説明

光ディスク装置

【課題】埃などがスピンドルモータに付着してスピンドルモータの回転動作が鈍くなった場合、軽微な場合はその回転動作を回復し、製品寿命を延ばした光ディスク装置を提供する。
【解決手段】規定時間を過ぎてもスピンドルモータの回転数が規定回転数を超えていない場合、制御部は、スピンドルモータに印加している回転開始電圧を所定量高くする電圧アップ処理を、モータ駆動開始部に実行させる。制御部は、電圧アップ処理を、FGセンサで検出したスピンドルモータの回転数が規定回転数を超えるまで繰り返す。この結果、スピンドルモータに対する印加電圧とスピンドルモータの回転数との関係は、図7に示すような関係となる。駆動電圧を高くした場合、スピンドルモータの回転動作は、駆動電圧を高くする前のスピンドルモータの回転動作と比べ、力強くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを回転させながら、該光ディスクに記録されているデータを読取る光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクに対し読取パワーのレーザ光を照射し、該光ディスクに記録されているデータを読取る光ディスク装置が一般に普及している。
【0003】
周知のように、従来の光ディスク装置は、スピンドルモータの回転数(又は線速度)が目標値になるように、光ディスクを回転制御するスピンドルサーボ制御を行う。このスピンドルサーボ制御の制御系は、一般的に、光ディスクを回転させるスピンドルモータと、該スピンドルモータに取り付けられ、該スピンドルモータの回転数を検出するFGセンサと、該FGセンサの出力信号に基づいて該スピンドルモータの回転制御を行うFGサーボ回路と、を備える。
【0004】
従来の光ディスク装置は、スピンドルモータの回転動作を開始する時、まず、回転を開始するための回転開始電圧をスピンドルモータに印加する。そして、回転開始電圧によってスピンドルモータの回転動作を開始した後、FGセンサで検出したスピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、従来の光ディスク装置は上記スピンドルサーボ制御を行う。
一方、ディスク装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−187519公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、長期間光ディスク装置が使用されなかった場合等、埃などがスピンドルモータに付着することがある。この結果、スピンドルモータの回転動作が鈍くなったり、最悪、スピンドルモータが回転しなくなったりする。
これにより、光ディスクの回転が鈍くなるため、該光ディスクに記録されているデータを読取ることができなくなることがあった。即ち、埃などがスピンドルモータに付着することが、光ディスク装置の製品寿命を縮める原因となっていた。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決しようとするものであり、埃などがスピンドルモータに付着してスピンドルモータの回転動作が鈍くなった場合、軽微な場合はその回転動作を回復し、製品寿命を延ばした光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光ディスク装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0008】
(1)光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記スピンドルモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記スピンドルモータの回転動作を開始する時、回転を開始するための回転開始電圧を前記スピンドルモータに印加するモータ駆動開始手段と、
前記モータ駆動開始手段によって前記スピンドルモータの回転動作を開始した後に、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、前記スピンドルモータの回転数をサーボ制御により目標回転数に制御するスピンドルサーボ制御手段と、を備える光ディスク装置において、
前記モータ駆動開始手段は、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が前記回転開始電圧の印加開始から所定時間以内に前記一定回転数を超えなかった場合、前記スピンドルモータに印加している前記回転開始電圧を高くする。
【0009】
この構成において、スピンドルモータの回転速度が一定回転数を超えた場合、スピンドルモータの回転動作が正常であったとみなす。逆に、スピンドルモータの回転速度が所定時間以内に一定回転数を超えなかった場合、埃などがスピンドルモータに付着し、スピンドルモータの回転動作が異常であるとみなす。
この構成においては、スピンドルモータの回転速度が所定時間以内に一定回転数を超えなかった場合、モータ駆動開始手段は駆動電圧を高くする。駆動電圧を高くした場合、スピンドルモータの回転動作は、駆動電圧を高くする前のスピンドルモータの回転動作と比べ、力強くなる。
これにより、埃などがスピンドルモータに付着してスピンドルモータの回転動作が鈍くなっても、軽微な場合はその力によって回転動作を回復することができる。従って、光ディスク装置の製品寿命を延ばすことができる。
なお、所定時間および一定回転数は、光ディスクがセットされている条件下で予め定められる数値であり、スピンドルモータの回転動作が正常であると判断できる数値に定める。また、所定時間および一定回転数は、後述の規定時間および規定回転数とそれぞれ同じになることもあり得る。
【0010】
(2)前記モータ駆動開始手段は、
前記スピンドルモータの回転動作を診断する診断モードが指示されると、前記診断モードを開始し、前記スピンドルモータに前記回転開始電圧を印加して前記スピンドルモータの回転動作を開始する診断開始手段と、
前記回転動作の開始から規定時間経過後、前記スピンドルモータに印加している前記回転開始電圧を所定量高くする電圧アップ処理を、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が規定回転数を超えるまで、又は前記回転開始電圧の電圧値が前記回転開始電圧より大きい所定値を超えるまで、繰り返す繰返手段と、
前記電圧アップ処理を行った回数をカウントするカウント手段と、
前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が規定回転数を超えると、又は、前記回転開始電圧の電圧値が所定値を超えると、前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を停止して前記スピンドルモータの回転動作を終了し、前記スピンドルモータの回転動作に関する診断結果を、前記カウント手段のカウント値に応じて表示する診断結果表示手段と、を有する。
【0011】
この構成では、主として、ユーザが診断モードを指示する場面を想定している。そして、スピンドルモータの回転速度が規定回転数を超えた場合、スピンドルモータの回転動作が正常であったとみなす。逆に、スピンドルモータの回転速度が規定時間以内に規定回転数を超えなかった場合、埃などがスピンドルモータに付着し、スピンドルモータの回転動作が異常であるとみなす。
この構成においては、モータ駆動開始手段が診断を行い、その診断結果をカウント値に応じて表示する。
なお、規定時間および規定回転数は、予め定められる数値であり、スピンドルモータの回転動作が正常であると判断できる数値に定める。
【0012】
(3)前記診断結果表示手段は、以下のメッセージを前記診断結果として表示する。
【0013】
前記カウント値が第1の値以下である場合、装置本体が正常である旨を表示し、
前記カウント値が前記第1の値のより大きい第2の値以上である場合、前記装置本体の修理が必要である旨を表示し、
前記カウント値が前記第1の値より大きく前記第2の値未満である場合、前記装置本体の修理時期が近い旨を表示する。
【0014】
この構成において、スピンドルモータの回転動作が回復する見込みがない場合がある。この場合、光ディスク装置の修理(分解清掃を含む)が必要である。そこで、この構成においては、光ディスク装置の修理が必要である旨を表示している。ユーザは、この表示を見て、光ディスク装置の修理が必要であることを把握する。
また、この構成において、光ディスクの回転動作が鈍ると、つまりスピンドルモータの回転動作が鈍ると、スピンドルモータに小さな埃が付着しただけにも係らず、光ディスク装置が故障したのではないかとユーザが誤解する。そこで、この構成においては、光ディスク装置の修理時期が近い旨を表示している。ユーザは、この表示を見て、光ディスク装置が故障したのではなく、光ディスク装置の修理時期が近いことを把握する。
【0015】
(4)前記診断開始手段は、光ディスクが前記装置本体にセットされていない状態でのみ、前記診断モードを開始する。
【0016】
この構成において、光ディスクには、光ディスク毎に個体差がある。そして、その個体差があるため、印加電圧と回転数の関係も光ディスク毎に異なる。そのため、正確な診断ができない。
この構成においては、前記モータ駆動開始手段は、光ディスクが装置本体にセットされていない状態で、診断を行う。そして、診断後、前記モータ駆動開始手段は、診断結果を表示する。
以上より、光ディスク毎の個体差に依存しない、正確な診断を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、埃などがスピンドルモータに付着してスピンドルモータの回転動作が鈍くなっても、軽微な場合はその回転動作を回復することができる。従って、光ディスク装置の製品寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態である光ディスク装置について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態である光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図である。光ディスク装置1は、光ディスク装置1の各部を制御する制御部10と、光ディスク100にレーザ光を照射し、その反射光を検出する光ピックアップ2と、該反射光に基づいてRF信号を生成するRFアンプ3と、該RF信号から再生信号を生成し、装置1の外部に出力する記録再生部7と、ユーザからの操作を受け付ける操作部15と、装置1の動作状態などを表示する表示部16と、を備えている。光ディスク装置1は、所謂DVDプレーヤである。また、光ディスク100は、DVD(Digital Versatile Disk)である。
【0020】
さらに、光ディスク装置1は、装置本体にセットされている光ディスク100を回転させるスピンドルモータ13と、スピンドルモータ13に取り付けられ、スピンドルモータ13の回転数を検出するFG(FrequencyGenerator)センサ12と、FGセンサ12から入力された回転数を示すFGパルス信号に基づいてスピンドルモータ駆動信号を生成するサーボ回路4と、電源部(不図示)によって商用電源から取り出された駆動電源を該電源部から取得し、回転開始電圧を生成するモータ駆動開始部9と、制御部10の指示によりドライバ回路5への入力を切替える選択回路8と、入力された電気信号に基づいてスピンドルモータ13を駆動するドライバ回路5と、を備える。
なお、FGセンサ12が、本発明の「回転数検出手段」に相当する。また、サーボ回路4、ドライバ回路5が、本発明の「スピンドルサーボ制御手段」に相当する。また、制御部10、モータ駆動開始部9が、本発明の「モータ駆動開始手段」に相当する。
【0021】
記憶部11は、例えばEEPROMで構成される。記憶部11は、主制御プログラムを格納する。
【0022】
制御部10は、例えばマイクロコンピュータで構成される。制御部10は、上記主制御プログラムで処理されるデータを展開するためのワークフィールドとしてのRAM(不図示)と、後述の再印加処理を行った回数と診断回数とをそれぞれカウントするカウンタ10Aと、後述の回転開始電圧の印加時間等を計測するタイマー回路10Bと、を内蔵する。
なお、カウンタ10Aが、本発明の「カウント手段」に相当する。
【0023】
操作部15には、ユーザの操作を受け付ける複数のキーが設けられている。操作部15は、それらの操作に応じた信号(コマンド)を制御部10に伝送する。
【0024】
上記複数のキーは、診断モードを装置1に指示するための診断キー(不図示)を含む。この診断モードは、スピンドルモータ13の回転動作を診断するモードである。
【0025】
表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)で構成される。表示部16は、時刻、光ディスク装置1の動作状態を示す情報、再生中のデータに関する情報などを表示する。
【0026】
光ピックアップ2は、図示しないレーザダイオード(LD)、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ、フォトディテクタ、スレッドモータ、アクチュエータを備えている。
光ピックアップ2は、公知の光ディスク装置と同様に、光ディスク100の半径方向に延びる軸に移動自在に取り付けられている。スレッドモータが、光ピックアップ2を光ディスク100の半径方向に移動する。
LDは、レーザ光を出力する光源である。フォトディテクタは、複数の受光素子で形成されており、光ディスク100からの反射光を検出する。フォトディテクタは、例えば、受光領域がほぼ均等に4分割されており、4つの受光領域を形成している。
対物レンズは、光ディスク100に対するレーザ光の照射位置を調節する。また、アクチュエータは、対物レンズを光ディスク100に接離する方向、および光ディスク100の半径方向に移動させる。
【0027】
ここで、以下、再生時における動作について説明する。
【0028】
光ピックアップ2は、光ディスク100に対して読取パワーのレーザ光を照射し、光ディスク100からの反射光をフォトディテクタで検出する。これにより、光ディスク装置1は、光ディスク100に記録されているデータを光学的に読み出す。
【0029】
RFアンプ3は、光ピックアップ2に設けられたフォトディテクタを構成する複数の受光素子で検出した光ディスク100からの反射光に基づいてRF信号を生成する。そして、RFアンプ3は、そのRF信号を増幅して記録再生部7に出力する。RF信号は、光ディスク100に記録されているデータの読取信号である。
【0030】
記録再生部7は、そのRF信号を処理して映像と音声のデータを取り出す。ここで、取り出されるデータは、例えばMPEGでエンコードされている。そして、記録再生部7は、これをデコードして再生信号を生成し、光ディスク装置1の外部に出力する。光ディスク装置1には、例えば液晶モニタやスピーカが接続される。
【0031】
次に、スピンドルサーボ制御について、図2を参照しつつ説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態である光ディスク装置において制御部の光ディスクセット時の動作を示すフローチャートである。光ディスク100が光ディスク装置1にセットされると、制御部10は、タイマー回路10Bのタイマーをスタートする(S1)。ここで測定開始する時間は、回転開始電圧の印加時間に相当する。この時間は、後述のS4で用いる。
なお、光ディスク100が光ディスク装置1にセットされた時、選択回路8は、ドライバ回路5への入力を、スイッチの切替えによりモータ駆動開始部9に与えている。この理由は、最初に高い電圧を印加して光ディスク100を回すためである。
【0033】
次に、制御部10は、スピンドルモータ13の回転を開始するための回転開始電圧を印加するようモータ駆動開始部9に指示する(S2)。これにより、モータ駆動開始部9は、選択回路8及びドライバ回路5を介して、上記の駆動電源から生成した回転開始電圧をスピンドルモータ13に印加する。そして、スピンドルモータ13は、印加された電圧によってモータを回し、光ディスク100を回転させる。
【0034】
図3は、スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数との関係を示す図である。図4は、スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数との関係を示す図である。
【0035】
図3に示すように、スピンドルモータ13の回転速度が所定時間以内に一定回転数を超えた場合、スピンドルモータ13の回転動作が正常であるとみなす。逆に、図4に示すように、スピンドルモータ13の回転速度が所定時間以内に一定回転数を超えなかった場合、埃などがスピンドルモータ13に付着し、スピンドルモータ13の回転動作に問題があるとみなす。ここで、所定時間および一定回転数は、光ディスク100がセットされている条件下で予め定められる数値であり、スピンドルモータ13の回転動作が正常であると判断できる数値に定める。また、所定時間および一定回転数は、後述の規定時間および規定回転数とそれぞれ同じになることもあり得る。
【0036】
回転開始電圧によってスピンドルモータ13の回転動作を開始した後、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が、図3に示すように所定時間以内に一定回転数を超えると(S3、S4)、光ディスク装置1はスピンドルサーボ制御を行う。S4の判定は、S1においてタイマー回路10Bで測定している時間が所定時間以内かどうかにより行われる。
【0037】
上記のスピンドルサーボ制御について詳述する。まず、制御部10は、ドライバ回路5への入力をサーボ回路4に切替えるよう選択回路8に指示する。光ディスク100が回転すると、FGセンサ12は、一回転毎に均等な幅のパルス信号をFGパルス信号としてサーボ回路4に出力する。サーボ回路4は、FGセンサ12から入力された回転数を示すFGパルス信号に基づいて、スピンドルモータ13の回転数を目標値にするためのスピンドルモータ駆動信号を生成し、ドライバ回路5に出力する。ドライバ回路5は、入力された電気信号に基づいてスピンドルモータ13を駆動する。これらの一連の動作を繰り返すことにより、スピンドルサーボ制御が行われる。
【0038】
一方、回転開始電圧によってスピンドルモータ13の回転動作を開始した後、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が、図4に示すように所定時間以内に一定回転数を超えなかった場合(S3、S4)、制御部10は、スピンドルモータ13に印加している回転開始電圧を所定量高くする電圧アップ処理を、モータ駆動開始部9に実行させる(S5)。そして、制御部10は、図4に示すように、その電圧アップ処理を、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が一定回転数を超えるまで(S6)、又は回転開始電圧の電圧値が回転開始電圧より大きい所定値を超えるまで(S7)、繰り返す。
なお、この実施形態では、回転開始電圧の電圧値は、3(V)とする。所定量は、0、1(V)とする。所定値は、6(V)とする。
【0039】
そして、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が、図3に示すように一定回転数を超えると(S6)、光ディスク装置1は上記のスピンドルサーボ制御を行う。
【0040】
このように駆動電圧を高くした場合、スピンドルモータ13の回転動作は、駆動電圧を高くする前のスピンドルモータ13の回転動作と比べ、力強くなる。また、1回の電圧アップでスピンドルモータ13の回転動作が正常に回復しなくとも、複数回行えば正常に回復する場合も有り得る。
【0041】
これにより、埃などがスピンドルモータ13に付着してスピンドルモータ13の回転動作が鈍くなっても、軽微な場合はその力によって回転動作を回復することができる。従って、光ディスク装置1の製品寿命を延ばすことができる。
【0042】
一方、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が一定回転数を超えるまでに(S6)、回転開始電圧の電圧値が所定値6(V)を超えると(S7)、制御部10は、スピンドルモータ13に印加している電圧を停止するようモータ駆動開始部9に指示する(S8)。S7及びS8を設けた理由は、これ以上電圧値を上げると危険であるためである。そして、制御部10は、本処理を異常終了する。
【0043】
図5は、本発明の実施形態である光ディスク装置において制御部の動作を示すフローチャートである。この動作は、ユーザが診断キーを押下した時、又は制御部10が上記異常終了した時の動作である。ここで、この実施形態では、回転開始電圧の電圧値は、3(V)とする。所定量は、0、1(V)とする。所定値は、6(V)とする。
【0044】
ユーザが診断キーを押下すると、又は上記異常終了すると、制御部10は、光ディスク100が装置本体にセットされているかどうかをPUヘッド2に確認させる(S11)。
【0045】
そして、光ディスク100が装置本体にセットされている場合、制御部10は、光ディスク100をエジェクトすることを促す表示を表示部16に行い(S12)、本処理をする。S12では、光ディスク毎の個体差を考慮している。光ディスク100が装置本体にセットされている場合、印加電圧と回転数の関係も光ディスク毎に異なり、正確な診断ができない。そこで、S11及びS12を設けている。
以上より、光ディスク毎の個体差に依存しない、正確な診断を行うことができる。
なお、実施の際は、診断の正確性を欠くが、S11、S12をスルーして、本ルーチンを行っても構わない。
【0046】
一方、光ディスク100が装置本体にセットされていない場合、制御部10は、診断モードを開始し、以下の処理を実行する。
【0047】
制御部10は、スピンドルモータ13に回転開始電圧を印加してスピンドルモータ13の回転動作を開始する(S13)。
【0048】
回転動作の開始から規定時間経過後(S14)、制御部10は、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が規定回転数を超えているかどうかを判定する(S15)。
【0049】
図6は、スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数との関係を示す図である。図7は、スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数との関係を示す図である。
【0050】
図6に示すように、スピンドルモータ13の回転速度が規定時間以内に規定回転数を超えた場合、スピンドルモータ13の回転動作が正常であるとみなす。逆に、図7に示すように、スピンドルモータ13の回転速度が規定時間以内に規定回転数を超えなかった場合、埃などがスピンドルモータ13に付着し、スピンドルモータ13の回転動作に問題があるとみなす。ここで、規定時間および規定回転数は、予め定められる数値であり、スピンドルモータ13の回転動作が正常であると判断できる数値に定める。
【0051】
スピンドルモータ13の回転数が図6に示すように規定回転数を超えている場合、制御部10は、S19に進み処理を継続する。この場合、スピンドルモータ13の回転動作は正常である。
【0052】
一方、スピンドルモータ13の回転数が図7に示すように規定回転数を超えていない場合、制御部10は、スピンドルモータ13に印加している回転開始電圧を所定量高くする電圧アップ処理を、モータ駆動開始部9に実行させる(S16)。S15判断否定では、スピンドルモータ13の回転動作が異常である場面を想定している。この処理は、S5と同じである。
【0053】
そして、制御部10は、電圧アップ処理を、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が規定回転数を超えるまで(S15)、又は回転開始電圧の電圧値が回転開始電圧より大きい所定値を超えるまで(S18)、繰り返す。この結果、スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数との関係は、図7に示すような関係となる。
【0054】
このように駆動電圧を高くした場合、スピンドルモータ13の回転動作は、駆動電圧を高くする前のスピンドルモータ13の回転動作と比べ、力強くなる。また、1回の電圧アップでスピンドルモータ13の回転動作が正常に回復しなくとも、複数回行えば正常に回復する場合も有り得る。
以上より、埃などがスピンドルモータ13に付着してスピンドルモータ13の回転動作が鈍くなっても、軽微な場合はその回転動作を回復することができる。従って、光ディスク装置1の製品寿命を一層延ばすことができる。
【0055】
この繰り返している間、制御部10は、電圧アップ処理を行った回数をNGカウント数としてカウンタ10Aでカウントする(S17)。
【0056】
そして、FGセンサ12で検出したスピンドルモータ13の回転数が規定回転数を超えると(S15)、又は、回転開始電圧の電圧値が所定値を超えると(S18)、制御部10は、診断モードを終了し、スピンドルモータ13への回転開始電圧の印加を停止してスピンドルモータ13の回転動作を終了する(S19)。ここで、S18を設けた理由は、S8と同じである。
【0057】
スピンドルモータ13の回転動作が終了すると、制御部10は、診断を行った回数を診断カウント数としてカウンタ10Aでカウントする(S20)。
【0058】
制御部10は、診断カウント数が所定回数以上であるかどうかを判定する(S21)。所定回数は、例えば1回である。診断カウント数が所定回数未満である場合、制御部10は、S13に戻り処理を継続する。
【0059】
一方、診断カウント数が所定回数以上である場合、制御部10は、スピンドルモータ13の回転動作に関する診断結果を、カウンタ10Aのカウント値に応じて表示する(S22〜S26)。
【0060】
カウンタ10Aのカウント値が「0」である場合(S22)、制御部10は、装置本体が正常である旨を表示部16に表示する(S24)。ユーザは、この表示を見て、光ディスク装置1が正常であることを把握する。
なお、この実施形態では、「0」としているが、正常であると判断できるのであれば他の数値(例えば「3」)以下でも構わない。ここで、「0」が本発明の「第1の値」に相当する。
【0061】
一方、カウンタ10Aのカウント値が一定回数以上である場合(S23)、制御部10は、装置本体の修理が必要である旨を表示部16に表示する(S26)。ここで、一定回数は、S16における所定量(電圧アップ量)を考慮して予め定められる数値であり、例えば30回である。「一定回数」が本発明の「第2の値」に相当する。
スピンドルモータ13の回転動作が回復する見込みがない場合がある。この場合、光ディスク装置1の修理(分解清掃を含む)が必要である。そこで、S26では、光ディスク装置1の修理が必要である旨を表示している。ユーザは、この表示を見て、光ディスク装置1の修理が必要であることを把握する。
【0062】
又、カウンタ10Aのカウント値が一定回数未満である場合(S23)、制御部10は、装置本体の修理時期が近い旨を表示部16に表示する(S25)。光ディスク100の回転動作が鈍ると、つまりスピンドルモータ13の回転動作が鈍ると、スピンドルモータ13に小さな埃が付着しただけにも係らず、光ディスク装置1が故障したのではないかとユーザが誤解する。そこで、S25では、光ディスク装置1の修理時期が近い旨を表示している。ユーザは、この表示を見て、光ディスク装置1が故障したのではなく、光ディスク装置1の修理時期が近いことを把握する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態である光ディスク装置の主要部の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態である光ディスク装置において制御部の光ディスクセット時の動作を示すフローチャート
【図3】スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数(回転速度)との関係を示す図
【図4】スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数(回転速度)との関係を示す図
【図5】本発明の実施形態である光ディスク装置において制御部の動作を示すフローチャート
【図6】スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数(回転速度)との関係を示す図
【図7】スピンドルモータ13に対する印加電圧とスピンドルモータ13の回転数(回転速度)との関係を示す図
【符号の説明】
【0064】
1−光ディスク装置
2−光ピックアップ
3−RFアンプ
4−サーボ回路
5−ドライバ回路
7−記録再生部
8−選択回路
9−モータ駆動開始部
10−制御部
10A−カウンタ
10B−タイマー回路
12−センサ
13−スピンドルモータ
15−操作部
16−表示部
100−光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記スピンドルモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記スピンドルモータの回転動作を開始する時、回転を開始するための回転開始電圧を前記スピンドルモータに印加するモータ駆動開始手段と、
前記モータ駆動開始手段によって前記スピンドルモータの回転動作を開始した後に、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、前記スピンドルモータの回転数をサーボ制御により目標回転数に制御するスピンドルサーボ制御手段と、を備える光ディスク装置において、
前記モータ駆動開始手段は、
前記スピンドルモータの回転動作を診断する診断モードが指示されると、光ディスクが前記装置本体にセットされていない状態でのみ前記診断モードを開始し、前記スピンドルモータに前記回転開始電圧を印加して前記スピンドルモータの回転動作を開始する診断開始手段と、
前記回転動作の開始から規定時間経過後、前記スピンドルモータに印加している前記回転開始電圧を所定量高くする電圧アップ処理を、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が規定回転数を超えるまで、又は前記回転開始電圧の電圧値が前記回転開始電圧より大きい所定値を超えるまで、繰り返す繰返手段と、
前記電圧アップ処理を行った回数をカウントするカウント手段と、
前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が規定回転数を超えると、又は、前記回転開始電圧の電圧値が所定値を超えると、前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を停止して前記スピンドルモータの回転動作を終了し、前記スピンドルモータの回転動作に関する診断結果を、前記カウント手段のカウント値に応じて表示する診断結果表示手段と、を有し、
前記診断結果表示手段は、以下のメッセージを前記診断結果として表示する光ディスク装置。
前記カウント値が第1の値以下である場合、装置本体が正常である旨を表示し、
前記カウント値が前記第1の値のより大きい第2の値以上である場合、前記装置本体の修理が必要である旨を表示し、
前記カウント値が前記第1の値より大きく前記第2の値未満である場合、前記装置本体の修理時期が近い旨を表示する。
【請求項2】
光ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記スピンドルモータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記スピンドルモータの回転動作を開始する時、回転を開始するための回転開始電圧を前記スピンドルモータに印加するモータ駆動開始手段と、
前記モータ駆動開始手段によって前記スピンドルモータの回転動作を開始した後に、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が一定回転数を超えると、前記スピンドルモータの回転数をサーボ制御により目標回転数に制御するスピンドルサーボ制御手段と、を備える光ディスク装置において、
前記モータ駆動開始手段は、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が前記回転開始電圧の印加開始から所定時間以内に前記一定回転数を超えなかった場合、前記スピンドルモータに印加している前記回転開始電圧を高くする光ディスク装置。
【請求項3】
前記モータ駆動開始手段は、
前記スピンドルモータの回転動作を診断する診断モードが指示されると、前記診断モードを開始し、前記スピンドルモータに前記回転開始電圧を印加して前記スピンドルモータの回転動作を開始する診断開始手段と、
前記回転動作の開始から規定時間経過後、前記スピンドルモータに印加している前記回転開始電圧を所定量高くする電圧アップ処理を、前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が規定回転数を超えるまで、又は前記回転開始電圧の電圧値が前記回転開始電圧より大きい所定値を超えるまで、繰り返す繰返手段と、
前記電圧アップ処理を行った回数をカウントするカウント手段と、
前記回転数検出手段で検出した前記スピンドルモータの回転数が規定回転数を超えると、又は、前記回転開始電圧の電圧値が所定値を超えると、前記スピンドルモータへの前記回転開始電圧の印加を停止して前記スピンドルモータの回転動作を終了し、前記スピンドルモータの回転動作に関する診断結果を、前記カウント手段のカウント値に応じて表示する診断結果表示手段と、を有する請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記診断結果表示手段は、以下のメッセージを前記診断結果として表示する請求項3に記載の光ディスク装置。
前記カウント値が第1の値以下である場合、装置本体が正常である旨を表示し、
前記カウント値が前記第1の値のより大きい第2の値以上である場合、前記装置本体の修理が必要である旨を表示し、
前記カウント値が前記第1の値より大きく前記第2の値未満である場合、前記装置本体の修理時期が近い旨を表示する。
【請求項5】
前記診断開始手段は、光ディスクが前記装置本体にセットされていない状態でのみ、前記診断モードを開始する請求項3又は4に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−108339(P2008−108339A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289476(P2006−289476)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】