説明

光ディスク装置

【課題】
グルーブレスディスクに適したフォーカス制御を可能にする光ディスク装置を提供することである。
【解決手段】
対物レンズをアクチュエータにより駆動することで、第一のレーザ光源から照射されたレーザ光が前記対物レンズにより集光したスポットAのサーボ層へのフォーカス引き込みと、第二のレーザ光源から照射されたレーザ光が前記対物レンズにより集光したスポットBの記録層へのフォーカス引き込みが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを用いて光ディスクから情報を再生、または光ディスクに情報を記録または再生する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Blu−ray Disc(TM)規格の光ディスクにおいて、記録容量を増加させるために3層や4層の記録層を有する光ディスクが開発され、規格化が行われた。今後更なる大容量化を目的として、より多数の記録層を有する光ディスクの開発が行われると予想されている。たとえば非特許文献1では、トラッキングサーボ制御を行うための物理的な溝構造を持つ層(以下、サーボ層)をもうけ、記録再生を行う層(記録層)にはランド/グルーブ構造を有さない光ディスク(グルーブレスディスク)が示されており、記録層を多数積層する場合でも製造が容易であるとされている。
【0003】
また、特許文献1には「フォーカス用レンズ(対物レンズ3)を光軸方向に動かすことで、フォーカス基準決定用のレーザ光(サーボ光)の焦点を、記録光の焦点とともに移動させつつ、フォーカス基準面(反射面72a)に合わせる。また、記録位置選択工程において、1つの記録層71中の深さ方向において設定した複数の記録位置のうちの1つを選択する。そして、フォーカス基準決定用のレーザ光の焦点位置に対する記録光の焦点位置と、前記記録位置選択工程で選択した記録位置とを比較して、記録光の焦点位置を前記記録位置に調整する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−226342号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Ogasawara et.al.、 ”16 Layers Write Once Disc with a Separated Guide Layer”、ISOM2010、Th−L−07
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなグルーブレスディスクを記録再生する際の課題のひとつとして、サーボ層に対するフォーカス制御と記録層に対するフォーカス制御の動作方法が挙げられる。
【0007】
その一例として、サーボ層に対するフォーカス制御と記録層に対するフォーカス制御が共にフォーカス制御をしていない状態から、前記2つのフォーカス制御が動作を開始した状態に移行する、フォーカス引き込み動作が挙げられる。
【0008】
特許文献1には、対物レンズを移動することで、サーボ層に対してサーボ光でフォーカス引き込みをし、そして、記録光用レンズまたは記録用光源を移動することで、記録層に対して記録光でフォーカス引き込みをすることが開示されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、対物レンズを用いてサーボ層に対してサーボ光でフォーカス引き込みをし、そして、対物レンズを用いずに記録光用レンズまたは記録用光源を移動することで、記録層に対して記録光でフォーカス引き込みをしているため、記録光用レンズの応答特性が対物レンズの応答特性よりも悪い場合などは、記録層に対しては安定したフォーカス引き込み制御を行うことができない可能性がある。
【0010】
また、特許文献1記載の技術において、記録光用レンズに応答特性が良いものを採用しようとすると、コストが高くなる。また、記録用光源を移動すると、装置の小型化が図れないという問題も生じる。
【0011】
そこで本発明の目的は、サーボ層と記録層を有する光ディスクの記録層に対して安定なフォーカス引き込みを可能にする光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は例えば特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サーボ層と記録層を有する光ディスクの記録層に対して安定なフォーカス引き込みを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1から実施例4の光ディスク装置を示す構成図
【図2】光ディスクの構造
【図3】本実施1セットアップ処理のフローチャート
【図4】実施例1におけるリレーレンズ駆動処理のフローチャート
【図5】実施例1におけるリレーレンズと収差補正素子の位置づけイメージ図
【図6】実施例1における収差補正素子駆動処理のフローチャート
【図7】実施例1におけるフォーカス引き込み処理1のフローチャート
【図8】実施例1におけるフォーカス引き込み処理2のフローチャート
【図9】実施例1における各部の動作波形イメージ図
【図10】実施例2におけるセットアップ処理のフローチャート
【図11】実施例2におけるフォーカス引き込み処理のフローチャート
【図12】実施例3におけるセットアップ処理のフローチャート
【図13】実施例3におけるリレーレンズ駆動処理のフローチャート
【図14】実施例3における収差補正素子駆動処理のフローチャート
【図15】実施例3におけるフォーカス引き込み処理のフローチャート
【図16】リレーレンズ及び収差補正素子による収束と発散の制御イメージ図
【図17】実施例4におけるフォーカス引き込み処理2のフローチャート
【図18】実施例5におけるセットアップ処理準備のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。また、ここで説明する構成は実施形態の一例を示すものであり、この実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
本発明における実施例1について、以下に説明する。
【0017】
図2に光ディスク101のディスク構造を示す。図2の光ディスク101はサーボ層のトラック(以下、ガイド溝)の構造を持つサーボ層と、ガイド溝を持たないN個の記録層(N≧1、Nは自然数)を有している。
【0018】
このガイド溝はスパイラル状に連続して形成されている。この溝は単にトラッキングのためだけでなく、光ディスク装置で書き込みのタイミングを生成すると共にディスク全周にわたるトラック位置を識別する番地(以下、アドレス)やディスク固有の副情報をトラック自身に埋め込むという重要な役割がある。これらの情報を持たせるためにBD、DVD、CDにおいて溝にウォブルとよばれる変調が施されている。
【0019】
本実施例の特徴はサーボ層にフォーカス引き込みした後に記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)にフォーカス引き込みを行う点である。この効果としては記録層を多数積層した光ディスクにおいて迷光や低い信号対ノイズ比による影響でフォーカス引き込みを失敗した場合、光ディスクに対物レンズが衝突し光ディスクの表面に傷が付き、傷付いた部分はデータの再生/記録が出来ない状態となる可能性がある。また最悪傷の大きさによっては光ディスクが再生/記録できなくなってしまう。これを防ぐために積層された記録層からの影響を受け難い650nmのレーザスポットを使い確実なフォーカス引き込みを行う。これにより、本実施例により光ディスクに対物レンズが衝突し光ディスクの表面への傷つけを防止しデータの保護を行う。また、図2に示す光ディスクの構造のサーボ層、記録層共に対物レンズによりフォーカス引き込みを実現する点も特徴である。
【0020】
これによりリレーレンズ1221のフォーカス方向の可動範囲を減らせるため、リレーレンズ1221のアクチュエータの物理的な可動範囲を対物レンズ1211のアクチュエータ1212と比べて狭くできる。このため安価なによりリレーレンズ1221の制御を実現できる。結果、安価な光ディスク装置をユーザに提供することが出来る。
【0021】
図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
光ディスク装置に装着された光ディスク101にレーザ光を照射することで情報の記録または再生を行い、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)などのインターフェースを通じてPC(Personal Computer)などのホスト(図示しない)と通信を行う。
【0023】
以下の説明では、図2の光ディスク101は4つの記録層を有するものとする(N=4)。また図2に示すように、ディスク表面から最も離れた記録層をL0と称し、残りの記録層についてはディスク表面に近づく順にL1、L2、L3と称することにする。
【0024】
光ディスク装置は対物レンズ1211によって、入射した光を記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)とサーボ層に集光しレーザスポットを生じさせる。
【0025】
本実施例における光ディスク装置は、光ピックアップ102と、信号処理回路103と、スピンドルモータ104と、サーボエラー信号生成回路105と、再生信号処理回路106と、スピンドル駆動回路107と、アクチュエータ駆動回路108と、リレーレンズ駆動回路109と、収差補正素子駆動回路110と、スライダモータ111と、スライダ駆動回路112で構成される。
【0026】
また信号処理回路103は光ディスク装置の各種の信号処理を行う回路であり、電位Vrefを基準として動作する。信号処理回路103は、システム制御回路1301と、記録層フォーカス制御回路1302と、スイッチ1303と、加算器1304と、記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305と、サーボ層フォーカス制御回路1306と、スイッチ1307と、加算器1308と、サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309と、トラッキング制御回路1310と、スイッチ1311と、スライダ制御回路1312と、スピンドル制御回路1313と、スイッチ1314と、スイッチ1315で構成される。
【0027】
光ディスク101はスピンドルモータ104により、所定の回転数で回転される。スピンドルモータ104は、信号処理回路103に搭載されたシステム制御回路1301からの指令信号を受けたスピンドル制御回路1313によって制御される。スピンドル制御回路1313から出力された信号はスピンドル駆動回路107で増幅され、増幅された信号がスピンドルモータ104に供給される。
【0028】
このように本実施例におけるスピンドル制御回路1313は、スピンドルモータ104の出力信号を元に、半径位置によらずに所定の回転数で回転するように制御を行うものとする。なお、このような回転方式はCAV制御と呼ばれる。
【0029】
光ピックアップ102は、たとえば405nmと650nmなど波長の異なる2つの光学系を備えている。
【0030】
まず、405nmの光学系について説明する。レーザパワー制御回路1201は、システム制御回路1301によって制御されており、レーザダイオード1202を駆動する電流を出力する。この駆動電流は、レーザノイズを抑制するために数百MHzの高周波重畳が印加されている。レーザダイオード1202は、駆動電流に応じた波形で波長405nmのレーザ光を出射する。出射されたレーザ光はコリメータレンズ1203にて平行光となり、ビームスプリッタ1204で一部が反射し、集光レンズ1205によってパワーモニタ1206に集光する。パワーモニタ1206は、レーザ光の強度に応じた電流または電圧をシステム制御回路1301にフィードバックする。これによって光ディスク101の記録層に集光するレーザ光の強度が、たとえば2mWなど所望の値に保持される。一方、ビームスプリッタ1204を透過したレーザ光は偏光ビームスプリッタ1207にて反射し、収差補正素子駆動回路110にて駆動される収差補正素子1209によって収束・発散が制御され、ダイクロイックミラー1208を透過する。ダイクロイックミラー1208は特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する光学素子である。ここでは波長405nmの光を透過し、650nmの光を反射するものとする。ダイクロイックミラー1208を透過したレーザ光は、1/4波長板1210にて円偏光となり、対物レンズ1211によって光ディスク101の記録層に集光する。対物レンズ1211は、アクチュエータ1212によって位置制御される。光ディスク101によって反射したレーザ光は、光ディスク101に記録された情報に応じて強度が変調され、1/4波長板1210にて直線偏光となり、ダイクロイックミラー1208および収差補正素子1209を経て、偏光ビームスプリッタ1207を透過する。透過したレーザ光は、集光レンズ1213によってディテクタ1214に集光する。ディテクタ1214はレーザ光の強度を検出し、これに応じた信号をサーボエラー信号生成回路105及び再生信号処理回路106に対して出力する。
【0031】
サーボエラー信号生成回路105は、ディテクタ1214及びディテクタ1223から出力された信号から、記録層に対するフォーカス制御に使用するための記録層フォーカスエラー信号(以下、R_FE信号)、サーボ層に対するフォーカス制御に使用するためのサーボ層フォーカスエラー信号(以下、S_FE信号)、トラッキング制御に使用するためのトラッキングエラー信号(以下、TE信号)を生成する。各エラー信号は、電位Vrefを基準として出力されるものとする。
【0032】
405nmの光学系におけるフォーカス制御は、記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)で行われる。
【0033】
記録層フォーカス制御回路1302は、システム制御回路1301からの指令信号により、R_FE信号に対してゲインと位相の補償を行い、記録層に対するフォーカス制御を行うための駆動信号を出力する。記録層フォーカス制御回路1302から出力された駆動信号は、スイッチ1303、加算器1304、スイッチ1314を介してアクチュエータ駆動回路108に入力される。
【0034】
スイッチ1303はシステム制御回路1301の出力するR_FON信号に基づき、記録層フォーカス制御回路1302の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して出力する。R_FON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1303の端子はaを選択して、記録層フォーカス制御回路1302の出力信号が加算器1304、スイッチ1314及びスイッチ1315を介してアクチュエータ駆動回路108あるいはリレーレンズ駆動回路109に出力される。一方でR_FON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1303の端子はbを選択し、基準電位Vrefを出力する。スイッチ1314及びスイッチ1315はシステム制御回路1301によりCo_SW信号のHighレベルとLowレベルが切り替わることで
アクチュエータ駆動回路108あるいはリレーレンズ駆動回路109と接続される。
【0035】
この結果、R_FON信号はフォーカス制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1303はフォーカス制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。R_FON信号がLowからHighに切り替わることで記録層に対するフォーカス制御がオンになる。この動作はフォーカス引き込み動作と呼ばれる。
【0036】
記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305は、システム制御回路1301からの指令信号により、所定の電圧を出力する。記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305は例えば、フォーカススイープ動作におけるスイープ電圧や、フォーカスジャンプ時のジャンプ電圧を出力する。
【0037】
加算器1304は、記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305の出力信号とスイッチ1303の出力信号を加算し、R_FODとしてスイッチ1314あるいはスイッチ1315の何れかを介してアクチュエータ駆動回路108或いはリレーレンズ駆動回路109に出力される。
【0038】
次に、650nmの光学系について説明する。405nmの光学系と同様に、レーザパワー制御回路1201がレーザダイオード1215を駆動し、レーザダイオード1215は波長650nmのレーザ光を出射する。レーザ光の一部は、コリメータレンズ1216、ビームスプリッタ1217、集光レンズ1218を経て、パワーモニタ1219にてパワーがモニタされる。モニタしたパワーをシステム制御回路1301にフィードバックすることで、光ディスク101のサーボ層に集光するレーザ光の強度が、たとえば3mWなど所望のパワーに保持される。ビームスプリッタ1217を透過したレーザ光は、偏光ビームスプリッタ1220を透過し、リレーレンズ1221にて収束・発散の制御が行われる。リレーレンズ1221を経たレーザ光は、ダイクロイックミラー1208にて反射し、1/4波長板1210を経て、対物レンズ1211により光ディスク101のサーボ層に集光する。光ディスク101にて反射したレーザ光を偏光ビームスプリッタ1220にて反射し、集光レンズ1222にてディテクタ1223に集光する。
【0039】
650nmの光学系におけるフォーカス制御はサーボ層で行われる。
【0040】
サーボ層フォーカス制御回路1306は、システム制御回路1301からの指令信号によりS_FE信号に対してゲインと位相の補償を行い、サーボ層に対するフォーカス制御を行うための駆動信号を出力し、スイッチ1307、加算器1308、スイッチ1314あるいはスイッチ1315を介してアクチュエータ駆動回路108あるいはリレーレンズレンズ駆動回路109に入力される。これによりサーボ層に対するフォーカス制御が行われる。
【0041】
スイッチ1307はシステム制御回路1301の出力するS_FON信号に基づき、サーボ層フォーカス制御回路1306の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して出力する。S_FON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1307の端子はcが選択される。一方でR_FON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1307の端子はdを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0042】
この結果、S_FON信号はサーボ層に対するフォーカス制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1307は、サーボ層に対するフォーカス制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。S_FON信号がLowからHighに切り替わることでサーボ層に対するフォーカス制御がオンされることになり、この動作はフォーカス引き込み動作と呼ばれる。
【0043】
サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309は、システム制御回路1301からの指令信号により、所定の電圧を出力する。サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309は例えば、フォーカススイープ動作におけるスイープ電圧を出力する。
【0044】
加算器1308は、サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309の出力信号とスイッチ1307の出力信号を加算し、S_FODとしてスイッチ1314あるいはスイッチ1315の何れかを介してアクチュエータ駆動回路108かリレーレンズ駆動回路109に出力される。
【0045】
リレーレンズ駆動回路109は、光ピックアップ102内に搭載されたリレーレンズ1221を駆動する。リレーレンズ1221を駆動することで、サーボ層に対して合焦するレーザスポットの合焦位置が変化し、記録層とサーボ層のレーザスポットの合焦位置の差異を補償することができる。
【0046】
前述したようにリレーレンズ駆動回路109あるいはアクチュエータ駆動回路108とサーボ層フォーカス制御回路1306が動作することで、光ディスク101に照射された波長650nmのレーザスポットが、常に光ディスク101のサーボ層の面上で合焦するように、サーボ層に対するフォーカス制御が行われる。
【0047】
スイッチ1314とスイッチ1315はシステム制御回路1301の出力するCo_SW信号を元に、R_FODとS_FODをアクチュエータ駆動回路108とリレーレンズ駆動回路109に出力する。Co_SW信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1314の端子はhをスイッチ1315の端子はiが選択され、R_FODはリレーレンズ駆動回路109に出力され、S_FODはアクチュエータ駆動回路108に出力される。一方でCo_SW信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1314の端子はgをスイッチ1315の端子はjが選択され、R_FODはアクチュエータ駆動回路108に出力され、S_FODはリレーレンズ駆動回路109に出力される。ここで、R_FON信号、S_FON信号、Co_SW信号のHgihレベルとLowレベルは前述した状態では無く、例えばCo_SW信号がLowレベルのときにスイッチ1314の端子はhをスイッチ1315の端子はiが選択するようにスイッチを制御しても良い。
【0048】
次に、本実施例におけるトラッキング制御について説明する。
【0049】
トラッキング制御回路1310は、システム制御回路1301からの指令信号により、トラッキングエラー信号TEに対してゲインと位相の補償を行い、トラッキング制御を行うための駆動信号を出力する。トラッキング制御回路1310から出力された駆動信号は、スイッチ1311を介してアクチュエータ駆動回路108に入力される。
【0050】
スイッチ1311はシステム制御回路1301の出力するTON信号に基づき、トラッキング制御回路1310の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して、トラッキング駆動信号TRDとしてアクチュエータ駆動回路108に出力する。TON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1311の端子はeを選択して、トラッキング制御回路1310の出力信号がアクチュエータ駆動回路108に出力される。一方でTON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1311の端子はfを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0051】
この結果、TON信号はトラッキング制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1311は、トラッキング制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。TON信号がLowからHighに切り替わることでトラッキング制御がオンされることになり、この動作はトラック引き込み動作と呼ばれる。
【0052】
アクチュエータ駆動回路108は、トラッキング駆動信号TRDに従ってアクチュエータ1212をディスク面に平行な方向に駆動することで、対物レンズ1211がディスク半径方向に駆動される。このように、本実施例におけるアクチュエータ駆動回路108は、フォーカス方向に駆動する回路とトラッキング方向に駆動する回路を包含したものである。
【0053】
上記したようにサーボエラー信号生成回路105及びトラッキング制御回路1310、アクチュエータ駆動回路108が動作することで、情報の記録時には波長650nmのレーザスポットがサーボ層に形成されたトラックを追従するようにトラッキング制御が行われる。更に情報の再生時には、波長405nmのレーザスポットが記録層に形成されたマークを追従するようにトラッキング制御が行われる。
【0054】
また再生信号処理回路106は、ディテクタ1214及びディテクタ1223で検出した電気信号に対してイコライズ処理を行い、再生信号として出力する。再生信号はシステム制御回路1301に入力され、システム制御回路1301内部にて増幅、等化、復号などの処理を行い、光ディスク101から読み出した情報(記録されたデータや現在のアドレス情報など)を生成する。
【0055】
スライダ制御回路1312は、システム制御回路1301からの指令信号を受けると、トラッキング制御回路1310の出力信号の平均値に基づいてスライダモータ111を駆動するスライダ駆動信号を出力する。このスライダ駆動信号に従ってスライダ駆動回路112がスライダモータ111を駆動することにより、トラックを追従し続けた場合であっても対物レンズ1211が常にレンズシフトがゼロとなる中立位置近傍で動作するように、光ピックアップ102がディスク半径方向に移送される。
【0056】
収差補正素子駆動回路110は、システム制御回路1301からの指令信号により、収差補正素子1209を駆動するための駆動電圧を生成し、収差補正素子1209を駆動する。
【0057】
図3に本実施例の光ディスク装置に光ディスク101が挿入された時のセットアップ処理全体のフローチャートを示す。
【0058】
光ディスク装置に光ディスク101が挿入されると、セットアップ処理が開始される(ステップS201)。セットアップ処理において光ディスク装置はまず、ディスク認識処理を行う(ステップS202)。ディスク認識処理においては、ディスクの有無の確認、ディスク種別や層数の確認を行う。
【0059】
この動作は例えば、システム制御回路1301がレーザパワー制御回路1201に指示してレーザダイオード1215を発光させる。次にシステム制御回路1301がR_FON信号としてLowレベル、Co_SW信号としてLowレベルとする。その後、システム制御回路1301が記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305に指示して対物レンズ1212をディスク面に略垂直な方向に駆動することで実現できる。光ディスク101にレーザ光を照射された結果、ディテクタ1214によって反射光が検出され、検出された信号を用いてディスク認識を行うことができる。
【0060】
次に光ディスク装置は、光ディスク101に対してリレーレンズ駆動処理(ステップS203)を行った後に球面収差補正素子駆動処理(ステップS204)を行う。本処理の詳細については後述する。
【0061】
次に光ディスク装置は、光ディスク101のサーボ面に対してフォーカス引き込み処理1を行う(ステップS205)。本処理の詳細について後述する。
【0062】
次に光ディスク装置は、光ディスク101のサーボ面に形成されたトラックに対してトラック引き込み処理を行う(ステップS206)。
【0063】
次に挿入された光ディスク101に対して、光ディスク装置内の各種パラメータを適正化するための第一の調整処理を行う(ステップS207)。各種パラメータとは、たとえばサーボ層フォーカス制御回路1306、トラッキング制御回路1310内に含まれる増幅器の増幅率を光ディスク101の反射率にあわせて調節することなどが挙げられる。
【0064】
各種調整処理(ステップS207)を行った後、光ディスク101のサーボ層に記録された管理情報を読み出す、管理情報読み出し処理を行う(ステップS208)。
【0065】
管理情報読み出し処理(ステップS208)を行った後、光ディスク101の記録層に対してフォーカス引き込み処理2を行う(ステップS209)。本処理の詳細について後述する。このときにフォーカス引き込みを行う層は本実施例ではL0としている。ここで、フォーカス引き込みを行う層はL0に限るものではなくL1、L2、L3の何れでも良い。
【0066】
フォーカス引き込み処理2(ステップS209)を行った後、光ディスク101に対して、光ディスク装置内の各種パラメータを適正化するための第二の調整処理を行う(ステップS210)。各種パラメータとは、たとえば記録層フォーカス制御回路1302やサーボ層フォーカス制御回路1306内に含まれる増幅器の増幅率を光ディスク101の反射率にあわせて調節することなどが挙げられる。
【0067】
第二の調整処理(ステップS210)を行った後、光ディスク101の記録層に記録された管理情報を読み出す、記録層管理情報読み出し処理を行う(ステップS211)。
【0068】
管理情報読み出し処理(ステップS211)を行った後、セットアップ処理が終了する(ステップS212)。これにより、ホストからの指示を受けて情報の記録または再生を行うことが可能な状態となる。
【0069】
なお第一の調整処理(ステップS207)の第二の調整処理(ステップS210)のタイミングはこれに限るものではなく、第一の調整処理(ステップS207)の一部であるサーボ層フォーカス制御回路1306内の増幅器の増幅率を、フォーカス引き込み処理1(ステップS205)の前に行っても良い。また、記録層管理情報読み出し処理(ステップS211)により得られる管理情報とサーボ層管理情報読み出し処理S208により得られる管理情報は同じである場合には管理情報が一致することを確認するために本実施例では実施している。このため確認する必要がないのであれば記録層管理情報読み出し処理(ステップS211)を省いてもよい。
【0070】
図4は本実施例の光ディスク装置におけるリレーレンズ駆動処理(ステップS203)におけるフローチャートを示す。また、図5を用いてリレーレンズ駆動処理(ステップS203)と収差補正素子駆動処理(ステップS204)の動作を補足説明する。
【0071】
リレーレンズ駆動処理を開始する(ステップS301)と、まずシステム制御回路1301にからレーザパワー制御回路1201に対してレーザダイオード1202及びレーザダイオード1215を消灯するように指令を出力する。これによりレーザダイオード1202及びレーザダイオード1215は消灯する。図1のスイッチ1303の端子b、スイッチ1307の端子d、スイッチ1311の端子f、スイッチ1314の端子h、スイッチ1315の端子iが選択されるようにシステム制御回路1301からR_FON信号としてLowレベル、S_FON信号としてLowレベル、TON信号としてLowレベル、Co_SW信号としてHighレベルが各スイッチに対して出力される(ステップS302)。
【0072】
レーザ消灯及びスイッチ初期化処理(ステップS302)を行った後、システム制御回路1301からの指令信号により記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305はリレーレンズ駆動回路109に対して所定の電圧を出力し光ピックアップ102内に搭載されたリレーレンズ1221を駆動する。このリレーレンズ1221の駆動により収束・発散が制御された結果、図5に示すレーザスポット距離Dが変化する。例えば図5に示すサーボ層に合焦したレーザスポットに対してもう一方のレーザスポットをL0よりサーボ層側に例えば数〜数十umの位置に焦点を結ぶように収束制御しリレーレンズ1221を所望の位置に位置付ける(ステップS303)。但し、ディスク認識された光ディスク101の記録層の数に応じてL0の位置が変わるため、ディスク認識の層数に応じてこの所定の電圧は変化する。また、アクチュエータ1212やリレーレンズ駆動回路109の出力電圧は単位電圧(例えば1mV)当たりの移動量で表される感度やレンズの重さ等によってもこの所定の電圧は変化する。
【0073】
リレーレンズ位置付け処理(ステップS303)を行った後、リレーレンズ駆動処理が終了する(ステップS304)。
【0074】
図6に本実施例の光ディスク装置における収差補正素子駆動処理(ステップS204)におけるフローチャートを示す。また、図5を用いて各部の動作を補足説明する。
【0075】
リレーレンズ駆動処理(ステップS203)が終了した後、収差補正素子駆動処理(ステップS204)にて収差補正素子1209の位置付けを行う。
【0076】
収差補正素子駆動処理 (ステップS401) を開始すると、リレーレンズ位置付け処理(ステップS303)の結果に応じてシステム制御回路1301からの指令で例えばL0用の収差補正を行う位置に、収差素子駆動回路110にて駆動される収差補正素子1209の収束・発散を制御して収差補正素子1209を位置づける(ステップS402)。
【0077】
収差補正素子位置付け(ステップS402)を行った後、システム制御回路1301によって制御されているレーザパワー制御回路1201に対してレーザダイオード1215を駆動する電流を出力することでレーザダイオード1215は、駆動電流に応じた波形で波長650nmのレーザ光を出射する(ステップS403)。
【0078】
レーザ点灯処理(ステップS403)を行った後、収差補正素子駆動処理が終了する(ステップS404)。
【0079】
図7に、本実施例の光ディスク装置におけるフォーカス引き込み処理1(ステップS205)のフローチャートを示す。
【0080】
フォーカス引き込み処理1を開始すると(ステップS501)、システム制御回路1301はサーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309に対して、対物レンズフォーカススイープを指示する(ステップS502)。サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309は対物レンズフォーカススイープ指示を受けると、所定のパターンの電圧を出力して、対物レンズ1211をディスク面に略垂直な方向に駆動する。
【0081】
続いてシステム制御回路1301は、サーボエラー信号生成回路105の出力するS_FE信号を監視してサーボ層フォーカス引き込みタイミングであるかどうかを判断する(ステップS503)。
【0082】
サーボ層フォーカス引き込みタイミングでない場合(ステップS503でNoの場合)、ステップS503に戻り、サーボ層フォーカス引き込みタイミングになるまで待つ。
【0083】
サーボ層フォーカス引き込みタイミングである場合(ステップS503でYesの場合)、システム制御回路1301はS_FON信号をHighにすることでサーボ層に対するフォーカス引き込み処理(ステップS504)を指示しフォーカス引き込み処理を完了する。
【0084】
図8に、本実施例の光ディスク装置におけるフォーカス引き込み処理2(ステップS209)のフローチャートを示す。
【0085】
フォーカス引き込み処理2を開始すると(ステップS601)、システム制御回路1301はCo_SW信号をLowレベルにする出力することで、スイッチ1314の端子h及びスイッチ1315の端子iからスイッチ1314の端子g及びスイッチ1315の端子jにスイッチが切り替わる。更にシステム制御回路1301によって制御されているレーザパワー制御回路1201に対してレーザダイオード1202を駆動する電流を出力することでレーザダイオード1202は、駆動電流に応じた波形で波長405nmのレーザ光を出射する(ステップS602)。このスイッチ切り替えによりR_FODとアクチュエータ駆動回路108が接続され、S_FODとリレーレンズ駆動回路109が接続されることになる。ここで、Co_SW信号をHighからLowにレベルが変化による過渡応答で対物レンズ1211が光ディスク101に衝突する等の問題がある場合には、システム制御回路1301はCo_SW信号をHighレベルからLowレベルに切り替えを行う前にS_FODの出力電圧値を保持し、Co_SW信号をHighレベルからLowレベルに変化させS_FODの出力電圧保持を解除する処理を実施することで本問題は解決できる。
【0086】
スイッチ切替及びレーザ点灯処理(ステップS602)が終了した後、システム制御回路1301は記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305に対して、対物レンズフォーカススイープ(ステップS603)を指示する。記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305は対物レンズフォーカススイープ指示を受けると、所定のパターンの電圧を出力して、対物レンズ1211をディスク面に略垂直な方向に駆動する。
【0087】
続いてシステム制御回路1301は、サーボエラー信号生成回路105の出力するR_FE信号を監視して記録層フォーカス引き込みタイミングであるかどうかを判断する(ステップS604)。
【0088】
記録層フォーカス引き込みタイミングでない場合(ステップS604でNoの場合)、ステップS604に戻り、記録層フォーカス引き込みタイミングになるまで待つ。
【0089】
記録層フォーカス引き込みタイミングである場合(ステップS604でYesの場合)、システム制御回路1301はR_FON信号をHighにすることで記録層に対するフォーカス引き込み処理(ステップS605)を指示しフォーカス引き込み処理2(ステップS606)を完了する。
【0090】
図9を用いて、本実施例のフォーカス引き込み処理1及びフォーカス引き込み処理2における各部の動作波形を説明する。図9は、フォーカス引き込み処理中の各部の信号を示す波形図である。図9に示す波形のうち、(a)から(d)はサーボ層に関する信号であり、図9(e)から(h)は記録層に関する信号である。
【0091】
図9(a)はS_FE信号、(b)はサーボ層駆動電圧生成回路1309の出力信号、(c)はS_FON信号、(d)はS_FODである。また、図9(e)はR_FE信号、(f)は記録層駆動電圧生成回路1305の出力信号、(g)はR_FON信号、(h)はR_FODであり、(i)はCo_SW信号である。また、記録層の引き込みの対象をL0とした場合を示している。
【0092】
なおサーボ層駆動電圧生成回路1309の出力電圧(b)の極性は、出力電圧を正の方向に変化させた場合に、対物レンズ1211が光ディスク101に近づく極性であるとする。また記録層駆動電圧生成回路1305の出力電圧(f)における(i)のCo_SW信号がHighレベルの期間の極性は、出力電圧を正の方向に変化させた場合にリレーレンズ1221が入射光を収束制御するとする。また、(i)のCo_SW信号がLowレベルである期間の極性は出力電圧を正の方向に変化させた場合に、記録層駆動電圧生成回路1305の出力電圧(f)の極性は、対物レンズ1211が光ディスク101に近づく極性であるとする。
【0093】
サーボ層駆動電圧生成回路1309は対物レンズフォーカススイープ指示を受けると、図9(b)の波形の時刻t1からt3の期間で示すように、時間と共に出力電圧を増加させる。これにより、対物レンズ1211が光ディスク101に近づく動作となる。この動作のことを本明細書では、対物レンズスイープと呼ぶことにする。
【0094】
対物レンズスイープ中に、波長650nmのレーザスポットが光ディスク101の記録層を通過するタイミングで、S_FE信号にS字状の波形が出力される。例えば時刻t2は、波長650nmのレーザスポットが光ディスク101のL3層を通過したタイミングである。ここで図9には光ディスク101のディスク表面のS字は図示していない。また、波長650nmのレーザスポットにより記録層から図9のようなS字ではなく歪んだS字になることもある。
【0095】
図9では時刻t3は波長650nmのレーザスポットが光ディスク101のサーボ層を通過したタイミングであり、本実施例においてはこのタイミングがサーボ層フォーカス引き込みタイミングとなる。
【0096】
図9からサーボ層フォーカス引き込みタイミングは、S_FE信号を監視してS字の数をカウントし、5番目のS字のゼロクロス点である。ここで説明した、S字のカウント及びゼロクロス点の検出は、システム制御回路1031によって行われる。S字のカウントではなくS_FE信号の振幅電圧で閾値をシステム制御回路1031で設定し及び監視を行い、サーボ層に引き込むタイミングと判断して良い。
【0097】
システム制御回路1031は、時刻t3においてサーボ層フォーカス引き込みタイミングであることを検出すると、図9(c)に示すようにS_FON信号をLowレベルからHighレベルに変更して出力する。S_FON信号がHighレベルに変化すると、スイッチ1307が端子dから端子cに切り替わり、サーボ層フォーカス制御回路の出力がアクチュエータ駆動回路108に供給される。即ち、サーボ層フォーカス制御がなされ、サーボ層に対するフォーカス引き込みが行われる。
【0098】
更にシステム制御回路1031は、時刻t3においてサーボ層駆動電圧生成回路1309に対しても指示を出し、対物レンズスイープの停止を指示する。本実施例においてサーボ層駆動電圧生成回路1309は、時刻t3で対物レンズスイープの停止指示を受けた後も、時刻t3の時点での出力電圧値を保持する動作とする。S_FON信号のレベル変更と対物レンズスイープの停止指示の2つの動作が、図7のステップS504で説明したサーボ層フォーカス引き込み指示に対応する動作である。
【0099】
続いて時刻t4から時刻t5にかけてフォーカス引き込み処理2の各部の動作を説明する。
【0100】
フォーカス引き込み処理1によりスイッチ1307の端子cに切り替わりサーボ層のフォーカス制御がなされている状態であり、このフォーカス引き込み処理1の後は図3で示したようにサーボ層へのトラック引き込み処理(ステップS206)があるため、スイッチ1311の端子eに切り替わりサーボ層のトラッキング制御もなされている状態である。
【0101】
フォーカス引き込み処理2は時刻t4にて、システム制御回路1301はCo_SW信号をLowレベルを出力することで、スイッチ1314の端子h及びスイッチ1315の端子iからスイッチ1314の端子g及びスイッチ1315の端子jにスイッチが切り替わるため、R_FODとアクチュエータ駆動回路108が接続され、S_FODとリレーレンズ駆動回路109が接続される。更にシステム制御回路1301によって制御されているレーザパワー制御回路1201に対してレーザダイオード1202を駆動する電流を出力することでレーザダイオード1202は、駆動電流に応じた波形で波長405nmのレーザ光を出射する。これにより、レーザダイオード1215とレーザダイオード1202は共に点灯状態となる(S602)。
【0102】
記録層駆動電圧生成回路1305は対物レンズフォーカススイープ指示を受けると、図9(e)の波形の時刻t4からt5の期間で示すように、時間と共に出力電圧を減少させる。これは対物レンズ1211が光ディスク101から遠ざかる動作となる。この動作はリレーレンズ駆動処理(ステップS203)により波長650nmのレーザスポットがサーボ層に合焦している場合に波長405nmのレーザスポットがL0よりサーボ層側に位置づくようにリレーレンズ1221をシステム制御回路1301からの指令のもと記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305により図9(f)に示す所定の電圧TgtV_L0を出力していたためである。この状態から対物レンズフォーカススイープを開始するため対物レンズ1211が光ディスク101に衝突することなくL0にフォーカス引き込みを行うことができる。ここで、波長405nmのレーザスポットがL0よりサーボ層側に位置づくようにしたが、L1側に位置づくようにし、対物レンズフォーカススイープを光ディスク101に近づけても良い。
【0103】
対物レンズスイープ中に、波長405nmのレーザスポットが光ディスク101の記録層を通過するタイミングで、R_FE信号にS字状の波形が出力される。
【0104】
図9では時刻t5は波長405nmのレーザスポットが光ディスク101のL0を通過したタイミングであり、本実施例においてはこのタイミングが記録層フォーカス引き込みタイミングとなる。
【0105】
図9からわかるように、記録層フォーカス引き込みタイミングは、R_FE信号を監視してS字の数をカウントし最初のS字のゼロクロス点である。ここで説明した、S字のカウント及びゼロクロス点の検出は、システム制御回路1031によって行われる。
【0106】
システム制御回路1031は、時刻t4において記録層フォーカス引き込みタイミングであることを検出すると、図9(g)に示すようにR_FON信号をLowレベルからHighレベルに変更して出力する。S_FON信号がHighレベルに変化すると、スイッチ1303が端子bから端子aに切り替わり、記録層フォーカス制御回路の出力がアクチュエータ駆動回路108に供給されるようになる。即ち、記録層フォーカス制御がオンされて記録層に対するフォーカス引き込みが行われる。
【0107】
更にシステム制御回路1031は、時刻t5において記録層駆動電圧生成回路1305に対しても指示を出し、対物レンズスイープの停止を指示する。本実施例において記録層駆動電圧生成回路1305は、時刻t5で対物レンズスイープの停止指示を受けた後も、時刻t5の時の出力電圧値を保持する動作とする。R_FON信号のレベル変更と対物レンズスイープの停止指示の2つの動作が、図8のステップS605で説明した記録層フォーカス引き込み指示に対応する動作である。
【0108】
以上の構成により実施例1では、サーボ層、記録層共に対物レンズによりフォーカス引き込みを実現するので記録層に対して安定なフォーカス引き込みを可能となる。また、光ディスク101への対物レンズ1211の衝突による傷等を防止することが出来る。
【0109】
また、本実施例では光ディスク101のサーボ層と記録層ともに管理情報が記録されている場合であったが、記録層にのみ管理情報が記録されている場合には図3のサーボ層管理情報読み出し処理(ステップS208)は省くことで、セットアップ処理の時間を短縮することができる。逆に例えば、サーボ層にのみ管理情報が記録されている場合には図3の記録層管理情報読み出し処理(ステップS211)は省くことができ、セットアップ処理の時間の短縮することができる。
【実施例2】
【0110】
本発明における実施例2について、以下に説明する。
【0111】
本実施例の特徴は実施例1の特徴と効果に加えて、実施例1のフォーカス引き込み処理1とフォーカス引き込み処理2を1つのフォーカス引き込み処理に統合及び第一の調整処理と第二の調整処理を一つの調整処理に統合することでセットアップ処理時間を短縮する効果がある。図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図であり実施例1と同じ構成であるため重複に関しては省略する。
【0112】
図10に本実施例の光ディスク装置に光ディスク101が挿入された時のセットアップ処理全体のフローチャートを示す。
【0113】
図10のフローチャートにおいて図3の収差補正素子駆動処理(ステップS204)まで同一の処理であるためステップS704までの処理の説明は省略する。
【0114】
光ディスク装置は、光ディスク101のサーボ層と記録層に対してフォーカス引き込み処理行う(ステップS705)。
【0115】
次に光ディスク装置は、光ディスク101のサーボ層に形成されたトラックに対してトラック引き込み処理を行う(ステップS706)。
【0116】
次に挿入された光ディスク101に対して、光ディスク装置内の各種パラメータを適正化するための調整処理を行う(ステップS707)。各種パラメータとは、たとえば記録層フォーカス制御回路1302、サーボ層フォーカス制御回路1306、トラッキング制御回路1310内に含まれる増幅器の増幅率を光ディスク101の反射率にあわせて調節することなどが挙げられる。
【0117】
各種調整処理(ステップS707)を行った後、図3においてはフォーカス引き込み処理2(ステップS209)が処理されるまで記録層に記録された管理情報を読み出すことが出来なかったが、図10においてサーボ層及び記録層に対してフォーカス引き込み処理(ステップS705)を実施しているため光ディスク101の管理情報を読み出しはサーボ層、記録層の何れからも可能となる。そのため、サーボ層、記録層の両方から管理情報が一致することを確認するために両方を読んでも良いし、管理情報が記録層にのみ記録されている場合には記録層のみから管理情報の読み出し処理を行っても良い。また、サーボ層、記録層の両方に管理情報が記録されている場合にはどちらか一方のみの管理情報を読んでも良い。
【0118】
例えばここでは管理情報が記録層にのみ記録されているとして記録層のみから管理情報読み出し処理(ステップS208)を行う。
【0119】
管理情報読み出し処理(ステップS708)を行った後、セットアップ処理が終了する(ステップS709)。これにより、ホストからの指示を受けて情報の記録または再生を行うことが可能な状態となる。
【0120】
なお調整処理S707のタイミングはこれに限るものではなく、例えば調整処理S707の一部である記録層フォーカス制御回路1302およびサーボ層フォーカス制御回路1306内の増幅器の増幅率を、例えばディスク認識時のR_FE信号やS_FE信号の振幅を用いて増幅器の増幅率を光ディスク101の反射率にあわせて調節することも可能であるので、調整処理S707の一部をフォーカス引き込み処理S705の前に行っても良い。
【0121】
図11に、本実施例の光ディスク装置におけるフォーカス引き込み処理(ステップS705)のフローチャートを示す。
【0122】
フォーカス引き込み処理(ステップS801)を開始すると、システム制御回路1301はサーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309に対して、対物レンズフォーカススイープを指示する(ステップS802)。サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309は対物レンズフォーカススイープ指示を受けると、所定のパターンの電圧を出力して、対物レンズ1211をディスク面に略垂直な方向に駆動する。
【0123】
続いてシステム制御回路1301は、サーボエラー信号生成回路105の出力するS_FE信号を監視してサーボ層フォーカス引き込みタイミングであるかどうかを判断する(ステップS803)。
【0124】
サーボ層フォーカス引き込みタイミングでない場合(ステップS803でNoの場合)、ステップS803に戻り、サーボ層フォーカス引き込みタイミングになるまで待つ。
【0125】
サーボ層フォーカス引き込みタイミングである場合(ステップS803でYesの場合)、システム制御回路1301はS_FON信号をHighにすることでサーボ層に対するフォーカス引き込み処理(ステップS804)を指示しサーボ層へのフォーカス引き込み処理は完了する。
【0126】
次に記録層へのフォーカス引き込みを行うためにシステム制御回路1301はCo_SW信号をHighレベルからLowレベルにする出力することで、スイッチ1314の端子h及びスイッチ1315の端子iからスイッチ1314の端子g及びスイッチ1315の端子jにスイッチが切り替わる。更にシステム制御回路1301によって制御されているレーザパワー制御回路1201に対してレーザダイオード1202を駆動する電流を出力することでレーザダイオード1202は、駆動電流に応じた波形で波長405nmのレーザ光を出射する(ステップS805)。このスイッチ切り替えの結果、R_FODとアクチュエータ駆動回路108が接続され、S_FODとリレーレンズ駆動回路109が接続されることになる。ここで、Co_SW信号をHighレベルからLowレベルに切り替えによる過渡応答で対物レンズ1211が光ディスク101に衝突する等の問題がある場合には、システム制御回路1301はCo_SW信号をHighレベルからLowレベルに切り替えを行う前にS_FODの出力電圧値を保持する。これによりアクチュエータ駆動回路108はS_FODに従ってアクチュエータ1212をディスク面に保持した状態からCo_SW信号をHighレベルからLowレベルに切り替わるとS_FODの出力電圧保持を解除することでリレーレンズ1221の制御がS_FODにより開始される。また、アクチュエータ回路108の制御はR_FODに切り替わる。このような処理を実施することで本問題は解決可能である。
【0127】
スイッチ切り替え及びレーザ点灯処理(ステップS805)が終了した後、システム制御回路1301は記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305に対して、対物レンズフォーカススイープを指示する(ステップS806)。記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305は対物レンズフォーカススイープ指示を受けると、所定のパターンの電圧を出力して、対物レンズ1211をディスク面に略垂直な方向に駆動する。
【0128】
続いてシステム制御回路1301は、サーボエラー信号生成回路105の出力するR_FE信号を監視して記録層フォーカス引き込みタイミングであるかどうかを判断する(ステップS807)。
【0129】
記録層フォーカス引き込みタイミングでない場合(ステップS807でNoの場合)、ステップS807に戻り、記録層フォーカス引き込みタイミングになるまで待つ。
【0130】
記録層フォーカス引き込みタイミングである場合(ステップS807でYesの場合)、システム制御回路1301はR_FON信号をHighレベルにすることで記録層に対するフォーカス引き込み処理を指示(ステップS808)しフォーカス引き込み処理(ステップS809)を完了する。
【0131】
本実施例のフォーカス引き込み処理における各部の動作の説明は図9と同様であるため省略する。
【0132】
以上の構成により実施例1ではサーボ層にフォーカス引き込みした後にサーボ層の管理情報を読んでから記録層にフォーカス引き込みを行う例であったが、実施例2では、サーボ層にフォーカス引き込みした後に記録層にフォーカス引き込みを行う。このため、実施例1の効果に加え、セットアップ処理時間を短縮することが出来る。また、本実施例ではサーボ層と記録層にフォーカス引き込みを行うため、サーボ層及び記録層の何れかの管理情報を選択して再生することができる。例えば、記録層の管理情報が再生出来なくても、サーボ層の管理情報を再生すれば良いため、互いに管理情報を補完できる。このため、光ディスク101の耐障害性を確保することができる光ディスク装置を実現できる。
【0133】
更に、記録層にのみ管理情報が記録されている場合には記録層の管理情報を、サーボ層にのみ管理情報が記録されている場合にはサーボ層の管理情報を再生するようなことも実現することができる。
【実施例3】
【0134】
本発明における実施例3について、以下に説明する。
【0135】
本実施例の特徴は実施例2の特徴と効果に加えて、実施例2のレーザ点灯処理を一括で行うことでセットアップ処理時間を短縮する効果がある。このため実施例3では実施例1と実施例2と違い、ディスク認識にて光ディスク101が図2のような記録層を多数積層したディスクであることが分かった場合には、605nmと405nmの2つのレーザダイオードが共に点灯する点である。図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図であり実施例1、実施例2と同じ構成であるため重複説明に関しては省略する。
【0136】
図12に本実施例の光ディスク装置に光ディスク101が挿入された時のセットアップ処理全体のフローチャートを示す。
【0137】
光ディスク装置に光ディスク101が挿入されると、セットアップ処理が開始される(ステップS901)。セットアップ処理において光ディスク装置はまず、ディスク認識処理を行う(ステップS902)。図12のフローチャートにおいてディスク認識(ステップS902)を行ったレーザがレーザダイオード1215であれば、図4のレーザ消灯及びスイッチ初期化(ステップS302)にてレーザダイオードを消灯する必要は無い。また、例えばディスク認識(ステップS902)を行ったレーザがレーザダイオード1202であっても消灯する必要は無く、システム制御回路1301によって制御されているレーザパワー制御回路1201に対してレーザダイオード1215を駆動する電流を出力することでレーザダイオード1215は、駆動電流に応じた波形で波長650nmのレーザ光を出射することで、レーザダイオード1202とレーザダイオード1215を共に点灯させることも可能である。したがって、図13においては図3のリレーレンズ駆動処理(ステップS203)の内のレーザ消灯及びスイッチ初期化(ステップS302)の内のレーザ消灯処理を削除し、スイッチ初期化(ステップS1003)とは独立させて、605nm及び405nmレーザ点灯処理(ステップS1002)を追加している。このため、実施例3においてはリレーレンズ駆動処理(ステップS903)にてレーザダイオード1215およびレーザダイオード1202は共に点灯することとなる。この結果、図6のレーザ点灯(ステップS403)が不要になるため、図14にレーザ点灯(ステップS403)を削除した収差補正素子駆動処理のフローチャートを示す。また、図15に図11のスイッチ切替及びレーザ点灯(ステップS805)のレーザ点灯を削除したフォーカス引き込み処理のフローチャートを示す。
【0138】
本実施例のフローチャートにおいて、レーザ点灯とレーザ消灯処理以外の処理に関しては前述した実施例と同一であるため説明は省略する。
【0139】
以上の構成により実施例3では実施例1と同様の効果を奏する。また、実施例2とは異なり、本実施例ではディスク認識後に605nmと405nmの2つのレーザダイオードが共に点灯することで、セットアップ時間を実施例1と実施例2と比べて短縮することができる。また、本実施例ではサーボ層と記録層にフォーカス引き込みを行うため、サーボ層及び記録層の何れかの管理情報を選択して再生することができる。例えば、記録層の管理情報が再生出来なくても、サーボ層の管理情報を再生すれば良いため、互いに管理情報を補完できる。このため、光ディスク101の耐障害性を確保することができる光ディスク装置を実現できる。
【0140】
更に、記録層にのみ管理情報が記録されている場合には記録層の管理情報を、サーボ層にのみ管理情報が記録されている場合にはサーボ層の管理情報を再生するようなことも実現することができる。
【実施例4】
【0141】
実施例1から実施例3において、例えば実施例2の図11にて説明した対物レンズフォーカススイープ指示(ステップS806)はリレーレンズ1221がサーボ層に650nmのレーザスポットが合焦している場合に405nmのレーザスポットを記録層のL0よりサーボ層側に例えば数〜数十umの位置に焦点を結ぶように収束制御されている位置から開始する例であった。
【0142】
本実施例では収差補正素子1209とリレーレンズ1221によりサーボ層にフォーカスを引き込んだ状態を維持して任意の記録層にフォーカス引き込みを行う例について説明する。
【0143】
本実施例の特徴として前述した実施例1から実施例3とは異なりリレーレンズ1221と球面収差補正素子1209を連動させて動作させる点が特徴である。
【0144】
本実施例の効果としては実施例1から実施例3においてL0に対してフォーカス引き込み処理を行う例であったが、例えば実施例1において前述した図3のサーボ層管理情報読み出し処理(ステップS208)においてサーボ層から管理情報を読み出した結果に応じて次のフォーカス引込み処理2(ステップS209)の引き込む記録層をL0からL1に変更することが可能となる。この結果、L0への不要なフォーカス引き込みの時間を短縮できるため光ディスク装置としてのセットアップ処理時間の短縮やセットアップ終了後の処理の短縮化になる。
【0145】
本実施例ではサーボ層にフォーカス引き込みをした状態で任意の記録層へフォーカス引き込みを行う例について以下、説明をする。
【0146】
図16の(d)は対物レンズ1211に対してリレーレンズ1221及び収差補正素子1209から平行光が入射している状態を設計中心と表記し、この設計中心からリレーレンズ1221及び収差補正素子1209が稼動した場合に収束と発散の制御がどのように対応しているかを示した表である。
【0147】
例えば、図16(a)では、収差補正素子1209を通過してきたレーザのスポットが平行光として対物レンズに入射してきたときにL1とL2の中間にある場合を図16(d)では設計中心と呼んでいる。図16の(b)はリレーレンズ1221を方向(4)に稼動させるとリレーレンズ1221を通過するレーザ光は収束制御され、収差補正素子を方向(1)に稼動させると収差補正素子を通過したレーザ光は発散制御される場合であり、(c)はリレーレンズ1221を方向(3)に稼動させるとリレーレンズ1221を通過するレーザ光は発散制御され、収差補正素子を方向(2)に稼動させると収差補正素子を通過したレーザ光は収束制御される場合である。
【0148】
本実施例で前述したように実施例1の図3のフローチャートのサーボ層管理情報読み出し処理(ステップS208)後では管理情報を読み出しているので例えばシステム制御回路1301からL0の位置で収差補正していた収差補正素子1209をL1に変更する指令が収差補正素子駆動回路109とサーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309に与えられた場合で説明する。
【0149】
図16の(c)の如く収差補正素子1209はL1の収差補正をするために方向(2)に収差補正素子駆動回路109により駆動される。このとき、対物レンズ1211の制御はS_FODからR_FODに切り替わっている。このため、収差補正素子1209のみを駆動してL0からL1にフォーカス引き込みをする動作に切り替えて対物レンズ1211の動作位置の制御をR_FODにより開始するとサーボ層のフォーカス制御ができなくなることがある。そのため、サーボ層へのフォーカス制御を実施しながらL1にフォーカス引き込みを行う場合には、システム制御回路1301から所定の電圧をサーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309に対して出力するように指令を出し、指令に応じた電圧が加算器1308介してS_FODに加えられる。この結果、リレーレンズ駆動回路109によりリレーレンズ1221が図16(c)に示す方向(3)に動くことになる。このようにフォーカス引き込みを行う目標の記録層に応じてリレーレンズ1221の位置を制御することによりサーボ層にフォーカスを引き込んだ状態で、任意の記録層にフォーカス引き込みが可能となる。
【0150】
この動作を実現するためのフローチャートを図17に示す。図17の内、図8のフォーカス引込み処理2と同じ処理に関しては説明を省略する。
【0151】
収差補正素子位置付け(ステップS1203)はシステム制御回路1301からの指令で収差素子駆動回路110にて駆動される収差補正素子1209の初期位置が例えばL0用の収差補正を行う位置に収差補正素子1209が位置づいている場合にはL1用の収差補正を行う位置に位置づけを行う処理である。
【0152】
収差補正素子位置付け処理が完了するとシステム制御回路1301は記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305に対して、対物レンズフォーカススイープを指示する(ステップS1204)。
【0153】
対物レンズフォーカススイープによりS_FE信号の信号はデフォーカスすることになる。このときS_FE信号に応じてサーボ層フォーカス制御回路1306によりリレーレンズ駆動回路109がリレーレンズ1221をフォーカス制御している。しかし、S_FE信号の信号がデフォーカスすることで可制御範囲を超え制御不能になる。これを防ぐために、S_FE信号の残差量をシステム制御回路1301はS_FE信号が可制御範囲内であることを閾値により監視している。この閾値は例えばS_FE信号のS字振幅の30%とする。この閾値はS_FE信号のS字の接線範囲や対物レンズの開口数やアクチュエータ1212の電圧に対する物理的な移動量等により適切な値を決める。対物レンズ1211がスイープすることでS_FE信号のデフォーカス量(図17では残差と表記)が閾値以上になる(ステップS1206のNo)とシステム制御回路1301からサーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309に対して図16の(c)の方向(3)にリレーレンズ1221が稼動するように所定の電圧を出力するように指令を出力する。この結果、S_FE信号のデフォーカス量が閾値以下になり、サーボ層のフォーカス制御が行われることになる。
一方S_FE信号の残差が閾値以下であれば(ステップS1206のYes)、システム制御回路1301は、サーボエラー信号生成回路105の出力するR_FE信号を監視して記録層フォーカス引き込みタイミングであるかどうかを判断する(ステップS1207)。
【0154】
記録層フォーカス引き込みタイミングでない場合(ステップS1207でNoの場合)、ステップS1207に戻り、記録層フォーカス引き込みタイミングになるまで待つ。
【0155】
記録層フォーカス引き込みタイミングである場合(ステップS1207でYesの場合)、システム制御回路1301はR_FON信号をHighレベルにすることで記録層に対するフォーカス引き込み処理(ステップS1208)を指示しフォーカス引き込み処理2(ステップS1209)を完了する。
【0156】
図17ではS_FE信号の残差量を閾値としたが、別の方法として図1に図示していないが光ディスク101から反射されてきたレーザダイオード1215の光の総光量を閾値として良い。
【0157】
以上の実施例におけるスピンドル制御回路1313は、スピンドルモータ104の出力信号を元にCAV制御を行う構成とした。しかしスピンドルモータ104の回転方式は、この方式に限るものではない。例えば、光ディスク101から読み出した情報を元に、線速度を一定に保つような回転制御を行う構成であってもよい。この制御はCLV制御と呼ばれている。この回転方式の場合、スピンドル制御回路1313はスピンドルモータ104の出力信号を用いずに制御を行うことになる。
【0158】
なお、ここではレーザダイオード1202とレーザダイオード1215を駆動するために同一のレーザパワー制御回路1201を用いたが、それぞれのレーザダイオードに固有のレーザパワー制御回路を備えても良い。
【0159】
また、収差補正素子1209は、405nmの光学系および650nmの光学系の両方に影響する位置に配置されてもよく、たとえば1/4波長板1210とダイクロイックミラー1208の間に設置しても良い。
【0160】
また、リレーレンズ1221と収差補正素子1209の初期位置付けはどちらを先に実施しても良いし、収差補正素子1209の初期位置付けを実施した後にリレーレンズ1221の初期位置付けをしても良い。
【0161】
以上の構成により実施例4では、実施例1から実施例3と異なり、収差補正素子1209とリレーレンズ1221によりサーボ層にフォーカスを引き込んだ状態を維持して任意の記録層にフォーカス引き込みを行うことができる。また、実施例1、実施例2及び実施例3と同様にサーボ層にフォーカス引き込みした後に記録層にフォーカス引き込みを行うことで、光ディスク101への対物レンズ1211の衝突による傷等を防止することが出来る。また、実施例3と同様にディスク認識後に605nmと405nmの2つのレーザダイオードが共に点灯することで、セットアップ時間を実施例1と実施例2と比べて短縮することができる。また、本実施例ではサーボ層と記録層にフォーカス引き込みを行うため、サーボ層及び記録層の何れかの管理情報を選択して再生することができる。例えば、記録層の管理情報が再生出来なくても、サーボ層の管理情報を再生すれば良いため、互いに管理情報を補完できる。このため、光ディスク101の耐障害性を確保することができる光ディスク装置を実現できる。
【0162】
更に、記録層にのみ管理情報が記録されている場合には記録層の管理情報を、サーボ層にのみ管理情報が記録されている場合にはサーボ層の管理情報を再生するようなことも実現することができる。
【実施例5】
【0163】
本実施例は対物レンズ1211が対物レンズスイープを開始する前にリレーレンズ1221と収差補正素子1209の初期位置づけを一括して行うことが特徴である。
【0164】
図18は本実施例の光ディスク装置おいて対物レンズ1211が光ディスク101に近づく動作を開始する前のセットアップ処理準備のフローチャートを示す。
【0165】
セットアップ処理準備(ステップS1301)が開始すると、まず図1のスイッチ1303の端子b、スイッチ1307の端子d、スイッチ1311の端子f、スイッチ1314の端子h、スイッチ1315の端子iが選択されるようにシステム制御回路1301からR_FON信号としてLowレベル、S_FON信号としてLowレベル、TON信号としてLowレベル、Co_SW信号としてHighレベルが各スイッチに対して出力され、スイッチ初期化処理が行われる(ステップS1302)。
【0166】
スイッチ初期化処理(ステップS1302)が終了すると、リレーレンズ初期化処理(ステップS1302)を行う。この処理は例えばシステム制御回路1301からの指令信号により記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305はリレーレンズ駆動回路109に対して所定の電圧を出力し光ピックアップ102内に搭載されたリレーレンズ1221を駆動する。このリレーレンズ1221の駆動により収束・発散が制御された結果、図5に示すレーザスポット距離Dが変化する。例えば図5に示すサーボ層に合焦したレーザスポットに対してもう一方のレーザスポットを図2に示す光ディスク101のディスク表面から100umよりサーボ層側に例えば数〜数十umの位置に焦点を結ぶように収束制御しリレーレンズ1221を所望の位置に位置付ける(ステップS1303)。但し、ディスク認識された光ディスク101の記録層の数に応じて記録層のL0位置が変わるため、例えば基準層を持たない従来のBDのL0に初期化している。そのため、L1の位置を基準に初期位置を決めても良い。
【0167】
次に、リレーレンズ初期化処理(ステップS1303)の結果に応じてシステム制御回路1301からの指令で例えばL0用の収差補正を行う位置に、収差素子駆動回路110にて駆動される収差補正素子1209の収束・発散を制御して収差補正素子1209を位置づける(ステップS1304)。
【0168】
次に収差補正初期化処理(ステップS1304)が終了した後、セットアップ処理準備(ステップS1305)は終了する。
【0169】
例えば本実施例は光ディスク101に電源が供給された後に行っても良いし、例えば図3のディスク認識(ステップS202)が終わり、ディスクの有無の確認やディスク種別や層数の確認が分かった後に行っても良い。この場合は認識されたディスクに応じて初期化処理できる。
【0170】
以上の構成により実施例5では、実施例4と異なり、収差補正素子1209とリレーレンズ1221を一括して初期位置付けすることで、サーボ層にフォーカスを引き込んだ状態を維持して任意の記録層にフォーカス引き込みを行う。これにより、セットアップ時間の短縮ができる。また、前述の実施例と同様にサーボ層にフォーカス引き込みした後に記録層にフォーカス引き込みを行うことで、光ディスク101への対物レンズ1211の衝突による傷等を防止することが出来る。また、実施例3と同様にディスク認識後に605nmと405nmの2つのレーザダイオードが共に点灯することで、セットアップ時間を実施例4と比べて短縮することができる。また、本実施例ではサーボ層と記録層にフォーカス引き込みを行うため、サーボ層及び記録層の何れかの管理情報を選択して再生することができる。例えば、記録層の管理情報が再生出来なくても、サーボ層の管理情報を再生すれば良いため、互いに管理情報を補完できる。このため、光ディスク101の耐障害性を確保することができる光ディスク装置を実現できる。
【0171】
更に、記録層にのみ管理情報が記録されている場合には記録層の管理情報を、サーボ層にのみ管理情報が記録されている場合にはサーボ層の管理情報を再生するようなことも実現することができる。
【0172】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0173】
101…光ディスク
102…光ピックアップ
103…信号処理回路
104…スピンドルモータ
105…サーボエラー信号生成回路
106…再生信号処理回路
107…スピンドル駆動回路
108…アクチュエータ駆動回路
109…リレーレンズ駆動回路
110…収差補正素子駆動回路
111…スライダモータ
112…スライダ駆動回路

1201…レーザパワー制御回路
1202…レーザダイオード
1203…コリメータレンズ
1204…ビームスプリッタ
1205…集光レンズ
1206…パワーモニタ
1207…偏光ビームスプリッタ
1208…ダイクロイックミラー
1209…収差補正素子
1210…1/4波長板
1211…対物レンズ
1212…アクチュエータ
1213…集光レンズ
1214…ディテクタ
1215…レーザダイオード
1216…コリメータレンズ
1217…ビームスプリッタ
1218…集光レンズ
1219…パワーモニタ
1220…偏光ビームスプリッタ
1221…リレーレンズ
1222…集光レンズ
1223…ディテクタ

1301…システム制御回路
1302…記録層フォーカス制御回路
1303…スイッチ
1304…加算器
1305…記録層フォーカス駆動電圧生成回路
1306…サーボ層フォーカス制御回路
1307…スイッチ
1308…加算器
1309…サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路
1310…トラッキング制御回路
1311…スイッチ
1312…スライダ制御回路
1313…スピンドル制御回路
1314…スイッチ
1315…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボ層と記録層とから構成される光ディスクの記録および再生を行う光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記サーボ層にレーザ光を照射する第一のレーザ光源と、
前記光ディスクの前記記録層にレーザ光を照射する第二のレーザ光源と、
前記第一のレーザ光源と前記第二のレーザ光源からのレーザ光を前記光ディスクに集光する対物レンズと、
第一のレーザ光源より照射される第一のレーザ光の収束と発散を制御するリレーレンズと、
前記リレーレンズを前記光ディスク面に略垂直な方向に駆動する第一のアクチュエータと、
前記対物レンズを前記光ディスク面に略垂直な方向に駆動する第二のアクチュエータと、
前記第一のアクチュエータを制御する第一の制御手段と、
前記第二のアクチュエータを制御する第二の制御手段と、を備え
前記対物レンズを前記第二のアクチュエータにより駆動することで、
前記第一のレーザ光源から照射されたレーザ光が前記対物レンズにより集光したスポットAの前記サーボ層へのフォーカス引き込みと、前記第二のレーザ光源から照射されたレーザ光が前記対物レンズにより集光したスポットBの前記記録層へのフォーカス引き込みが行われることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記サーボ層へのフォーカス引き込みが行われた後に、前記記録層へのフォーカス引き込みが行われることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項2の光ディスク装置において、
前記第二の制御手段により前記第二のアクチュエータを制御し前記対物レンズを制御することで前記光スポットAを前記サーボ層にフォーカス引き込みした後に、前記第一の制御手段により第一のアクチュエータを制御することで前記サーボ層へのフォーカス引き込みを維持し、前記第二の制御手段により前記第二のアクチュエータを制御し前記対物レンズを駆動することで前記光スポットBを前記記録層の内の1つの層にフォーカス引き込みを行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3の光ディスク装置において、
前記光スポットBの収差補正する収差補正手段を、備え、
前記光ディスクに前記対物レンズにより集光した光スポットAと光スポットBの前記光ディスク面の略垂直な方向の前記2つの光スポット間隔を前記リレーレンズと前記収差補正手段により制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項4の光ディスク装置において、
前記光スポットAと前記光スポットBの前記光ディスクの面の略垂直な方向の集光スポット間隔を前記収差補正手段と前記リレーレンズの収束と発散を制御することでフォーカス引き込み目標とする前記記録層の内の一つの層と前記サーボ層の層間になるように位置付けることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項5の光ディスク装置において、
フォーカス引き込み目標とする前記記録層の内の一つの層と前記サーボ層の層間になるように前記収差補正手段と前記リレーレンズに位置付し、前記第二の制御手段により前記アクチュエータを制御し前記対物レンズの位置を制御することで前記光スポットAを前記サーボ層へのフォーカス引き込みを行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項6の光ディスク装置において、
前記サーボ層にフォーカス引き込みした後に、前記第一の制御手段により第一のアクチュエータを制御し前記リレーレンズを駆動することで前記光スポットAの前記サーボ層への引き込みを維持し、前記第一の制御手段により前記第一のアクチュエータを制御することで前記対物レンズを駆動し、前記光スポットBを前記記録層にフォーカス引き込みを行うことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−65369(P2013−65369A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202557(P2011−202557)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】