説明

光ディスク記録再生装置、及び光ディスク記録再生方法

【課題】記録可能領域であるデータ領域と、そのアドレス情報が事前にエンボスで記録されているヘッダ領域とが存在する光ディスクに対して、基本的な構成を変更することなく、データ領域とヘッダ領域の双方の記録データを高品質で再生することができる光ディスク記録再生装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る光ディスク記録再生装置は、光ディスクの再生信号からデータ領域とヘッダ領域とを判定する領域判定部と、再生信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、デジタル信号から、データ領域及びヘッダ領域の情報を読み取る再生復号部と、を備え、再生復号部は、データ領域を再生するときには第1の再生復号処理を行い、ヘッダ領域を再生するときは再生復号部の基本構成を変えることなく第2の再生復号処理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク記録再生装置、及び光ディスク記録再生方法に係り、特に、PRML方式を用いる光ディスク記録再生装置、及び光ディスク記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、HD(High Definition)映像を再生することを目的とした大容量光ディスク規格であるHD DVDプレイヤーおよびレコーダーが市場に出回りはじめた。このHD DVDは記録再生に波長405nmの青紫レーザを用い、読み出し専用のHD DVD-ROM規格では片面単層15GBの記録容量を有しており、片面2層では30GBの記録容量を有している。
【0003】
また、1回のみ書き込み可能なHD DVD-Rも同様に1層で15GB、2層で30GBの記録容量を有している。さらに、書き換え可能なHD DVD-RAMにおいては、単層だけで20GBもの記録容量を有している。
【0004】
この大容量化を実現するために、HD DVD規格ではレーザの短波長化だけでなくデータ再生の信号処理方式にPRML(Partial Response and Maximum Likelihood)方式と呼ばれる技術を採用している。PRML技術自体は公知技術であるが、概略は以下のような技術である。
【0005】
パーシャルレスポンス(PR)方式を用いる再生では、符号間干渉(隣り合って記録されているビットに対応する再生信号同士の干渉)を積極的に利用して必要な信号帯域を圧縮しつつデータの再生を行う。パーシャルレスポンス(PR)は、符号間干渉の発生のさせかたによってさらに複数のクラスに分類できる。例えばクラス1の場合、記録データ“1”に対して再生データが“11”の2ビットデータとして再生され、後続の1ビットに対して符号間干渉を発生させる。
【0006】
一方、ML(Maximum Likelihood)は、いわゆる最尤系列推定方式の一種であって、再生波形のもつ符号間干渉の規則を有効に利用し、複数時刻にわたる信号振幅の情報に基づいてデータ再生を行う処理である。最尤系列推定方式としては、ビタビ復号方式が多く用いられている。
【0007】
光ディスクから得られる再生波形に同期した同期クロックを生成し、このクロックによって再生波形自身をサンプルし振幅情報に変換する。その後適切な波形等化を行うことによってあらかじめ定めたパーシャルレスポンスの応答波形に変換し、ビタビ復号部において過去と現在のサンプルデータを用い、最も確からしいデータ系列を再生データとして出力する。
【0008】
このように、パーシャルレスポンス方式とビタビ復号方式(最尤復号)とを組み合わせる方式をPRML方式と呼んでいる。このPRML方式を実用化するためには、再生信号が目的のPRクラスの応答となるようにする高精度の適応等化技術およびこれを支える高精度のクロック再生技術を必要とする。
【0009】
次に、PRML方式で用いられているラン長制限符号について説明する。PRML方式を用いる再生回路では、光ディスクから再生された信号自身から、これに同期した基準クロックを、例えばPLL回路を用いて生成している。安定したクロックを生成するためには、記録信号は予め定めた時間以内で極性が反転する必要がある。同時に、記録信号の最高周波数を下げるためには、予め定めた時間中では記録信号の極性が反転しないようにすることも必要である。ここで、記録信号の極性が反転しない最大データ長を最大ラン長と呼び、極性が反転しない最小データ長を最小ラン長と呼ぶ。
【0010】
例えば、最大ラン長が7ビットで、最小ラン長が1ビットである変調規則を(1,7)RLLと呼び、これを一般にTminが2Tであることから2T系符号と呼んでいる。また最大ラン長が7ビットで、最小ラン長が2ビットである変調規則を(2,7)RLLと呼び、同様に3T系符号と呼んでいる。
【0011】
光ディスクで用いられる代表的な変調・復調方式としてはHD DVDに採用されている2T系符号のETM(Eight to Twelve Modulation)変調や、従来型のDVDに採用されている3T系符号の8/16変調(EFM plus)があげられる。
【0012】
このように、PRML方式を導入した記録再生装置においては、従来から行われている2値スライス方式では十分な再生性能が得られにくい高密度記録型の光ディスクに対しても大幅な性能改善が見込まれる。このため、HD DVD規格においてはPRML方式を採用しており、高い線記録密度を実現している。
【0013】
ところで、PRML方式による記録データの再生は、赤色レーザーを用いた従来のDVDにも適用可能である。特に、記録型ディスクのように記録条件等で信号品位が変わるディスクの場合、適応的に信号処理を行うPRML技術のメリットが大いに発揮される。
【0014】
しかしながら、記録型DVDの代表例としてのDVD−RAMには、CAPA(Complementary Allocated Pit Address)領域とも呼ばれる特殊なヘッダ領域(以下、単にヘッダ領域という)が分割されたユーザデータブロック(以下、データ領域という)毎に設けられている。ヘッダ領域には物理アドレス情報が予めエンボス情報として記録されており、記録時のランダムアクセスを可能としている。ヘッダ領域のデータ記録形態とデータ領域の記録形態は大きく異なっており、このため両者の領域の再生信号の質も大きく異なっている。
【0015】
特許文献1には、これら2種類の領域の再生信号をいずれもPRML方式を用いて再生することを狙った技術が開示されている。例えば、波形等化用のデジタルフィルタで用いる係数を2種類の再生信号に対して切換えるという技術である。
【特許文献1】特開2002−8315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、ヘッダ領域の再生とデータ領域の再生をいずれもPRML方式で行うことは、以下のような理由により無理があると考えられる。
【0017】
第1の理由として、ヘッダ領域にはVFO(Variable Frequency Oscillator)信号と呼ばれる周期的な信号がヘッダ領域全体の65%%以上存在する。PRML方式で必要となる適応等化処理は、周期性のデータで学習を行うと発散してしまうという特性を持っている。このため、ヘッダ領域の再生信号に対して適応等化処理を行うことは技術的に困難である。
【0018】
第2の理由として、ヘッダ領域ではこれを構成する2つの領域(以下、ヘッダ1領域、及びヘッダ2領域という)がデータ領域のトラックの中心線に対して互いに反対方向にずれた位置に千鳥状に配置されている。このため、データ領域のトラックを再生しているレーザ光のビームスポットがヘッダ領域に入ると、その再生信号の振幅がヘッダ1領域とヘッダ2領域とでは大きく異なる可能性がある。
【0019】
振幅情報の乱れはPRML方式が苦手とするところであり、誤ったヘッダ領域の再生データを出力する可能性がある。
【0020】
第3の理由として、ヘッダ1領域から反射光とヘッダ2領域からの反射光が異なった位置から光学系に入射されるため、光学的な非線形性が再生信号に重畳される可能性があり、このこともPRML方式によるヘッダ領域の再生を困難にしている。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、記録可能領域であるデータ領域と、そのアドレス情報が事前にエンボスで記録されているヘッダ領域とが存在する光ディスクに対して、基本的な構成を変更することなく、データ領域とヘッダ領域の双方の記録データを高品質で再生することができる光ディスク記録再生装置、及び光ディスク記録再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明に係る光ディスク記録再生装置は、請求項1に記載したように、記録可能領域であるデータ領域と、前記データ領域のアドレス情報が予めエンボスで記録されているヘッダ領域とを有する光ディスクに対して記録再生を行う光ディスク記録再生装置において、前記光ディスクの再生信号から前記データ領域と前記ヘッダ領域とを判定する領域判定部と、前記再生信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部から出力される前記デジタル信号から、前記データ領域及び前記ヘッダ領域の情報を読み取る再生復号部と、を備え、前記再生復号部は、前記データ領域を再生するときには、前記再生復号部にて第1の再生復号処理を行い、前記ヘッダ領域を再生するときは、前記再生復号部の基本構成を変えることなく第2の再生復号処理を行う、ことを特徴とする。
【0023】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る光ディスク記録再生方法は、請求項10に記載したように、記録可能領域であるデータ領域と、前記データ領域のアドレス情報が予めエンボスで記録されているヘッダ領域とを有する光ディスクに対して記録再生を行う光ディスク記録再生方法において、(a)前記光ディスクの再生信号から前記データ領域と前記ヘッダ領域とを判定し、(b)前記再生信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、(c)前記AD変換部から出力される前記デジタル信号から前記データ領域及び前記ヘッダ領域の情報を読み取る、ステップを備え、ステップ(c)では、前記データ領域を再生するときには、PRML方式による再生を行い、前記ヘッダ領域を再生するときは、デジタルスライス方式による再生を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る光ディスク記録再生装置、及び光ディスク記録再生方法によれば、記録可能領域であるデータ領域と、そのアドレス情報が事前にエンボスで記録されているヘッダ領域とが存在する光ディスクに対して、基本的な構成を変更することなく、データ領域とヘッダ領域の双方の記録データを高品質で再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る光ディスク記録再生装置、及び光ディスク記録再生方法の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
(1)対象とする光ディスクの概要
図1は、本実施形態に係る光ディスク記録再生装置1で記録再生する光ディスク100の典型例としてのDVD−RAMの物理構造を示す図である。
【0027】
光ディスク100は、セクタと呼ばれるブロックに分割されており、各セクタには記録可能領域であるデータ領域と、データ領域のアドレス情報が予めエンボスで記録されているヘッダ領域とが設けられている。
【0028】
データ領域は相変化を用いた書換え可能領域であり、ランドとグルーブの双方に記録し再生することが出来る。また、データ領域にはウォブルが設けられている。
【0029】
一方、ヘッダ領域は光ディスク100の出荷時において予め物理アドレス情報がエンボスで記録されている領域である。ヘッダ領域は、ヘッダ1領域とヘッダ2領域の2つから構成されている。ヘッダ1領域とヘッダ2領域は、データ領域のトラック(ランド又はグルーブ)の中心線に対して、互いに逆方向にずれて千鳥状に配置されている。
【0030】
ヘッダ領域のデータは、ピットを有するエンボスで記録されており、相変化を用いているデータ領域の記録形態と大きく異なっている。
【0031】
図2(a)は、1セクタ分のデータ構造を示す図であり、図2(b)は、セクタの先頭にあるヘッダフィールドのデータ構造を示す図である。ヘッダ1領域にはHeader1 fieldとHeader2 fieldとがあり、ヘッダ2領域にはHeader3 fieldとHeader4 fieldとがある。各Header fieldには、VFO(Variable Frequency Oscillator)、AM(Address Mark)、PDI(Physical ID)、IED、PAと呼ばれるデータが記録されている。このうち、PDIが物理アドレスを示すデータである。
【0032】
図2(b)からわかるように、ヘッダ領域のなかではVFO領域が最も多くの割合を占めており、ヘッダ領域全体の65%以上となっている。
【0033】
図3は、ヘッダ領域とデータ領域の再生信号の強度を模式的に示した図であり、図3(a)が和信号、図3(b)が主にトラッキングサーボ制御に用いる差信号である。
【0034】
前述したように、ヘッダ領域とデータ領域とで記録形態が大きく異なっており、再生信号の強度も大きく異なっている。またヘッダ1領域とヘッダ2領域は千鳥状に配置されているため、差信号では極性が反対方向となるほか、和信号では非線形性を生じる場合がある。さらに、ヘッダ領域の再生ではトラッキングサーボはオフとなりフリーランとなるため、ドリフトによって中心線からビームスポットがずれた場合には、ヘッダ1領域とヘッダ2領域からの信号強度は和信号においても異なってくる場合がある。
【0035】
このように、ヘッダ領域の再生信号は信号振幅の変動要因が多く、さらに前述したように周期性信号からなるVFO領域が大部分を占めており、PRML方式による再生には不向きである。
【0036】
そこで、本実施形態に係る光ディスク記録再生装置1では、ヘッダ領域に対しては信号振幅の変動に強く、周期性信号に対しても問題なく再生復号が可能なデジタルスライス方式を採用し、データ領域に対しては高品質の再生を可能とするPRML方式を採用している。
【0037】
また、デジタルスライス方式の再生復号処理とPRML方式の再生復号処理とをほぼ同一の回路構成で実現しており、これによってシステム規模の拡大を防止している。
【0038】
デジタルスライス方式とPRML方式の切換えは、一部の信号経路の切換えやフィルタ値の置換等の方法で行われ、当然ながら瞬時(リアルタイム)に切り換えが行われる。
【0039】
(2)光ディスク記録再生装置の基本構成及び基本動作
PRML方式とデジタルスライス方式の切り換えについて説明する前に、光ディスク記録再生装置1の基本的な構成と動作をPRML方式での再生をベースとして説明する。
【0040】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク記録再生装置1の構成例を示す図である。光ディスク記録再生装置1の構成は、大きく分類すると、光ディスク100の記録データを再生する再生系と、光ディスク100にデータを記録する記録系と、ヘッダ領域検出系とからなっている。
【0041】
再生系としては、PUH(Pick Up Head)200、プリアンプ10、プリイコライザ11、振幅制御回路12、ACカップリング回路13、AD変換部14、再生復号部25、及びECC回路28を備えている。
【0042】
このうち、再生復号部25は、その内部構成として、オフセット制御回路15、アシンメトリ制御回路16、PLL部17、リミットイコライザ/適応等化器22、スライサ/ビタビ復号器27、同期復調回路27を備えている。
【0043】
さらに、PLL部17はその内部構成として、周波数検出器18、位相比較器19、ループフィルタ20、及びVCO21を有している。
【0044】
また、リミットイコライザ/適応等化器22は、その内部構成としてFIRフィルタ23、等化係数学習回路24を有している。
【0045】
記録系は、変調回路29と記録波形生成部30を有している。
【0046】
また、ヘッダ領域検出系はヘッダ領域検出回路50と領域判定回路51を有している。
【0047】
上記のように構成された光ディスク記録再生装置1の基本的な動作について再生系から説明する。
【0048】
PUH200は、レーザ素子(図示せず)を内蔵しており、再生用のレーザパワーでレーザ光を光ディスク100に対して照射し、光ディスク媒体からの反射光を検出することで、再生信号を出力する。
【0049】
PUH200から出力される再生信号は、プリアンプ10に送られて信号増幅等の処理を施され、プリイコライザ11で事前の波形等化がなされる。この波形等化特性は例えば高次のイクイリップルフィルタで構成すればよい。
【0050】
続いて波形等化処理された信号は振幅制御回路12で信号振幅の調整がなされ、ACカップリング回路13に入力される。ACカップリング回路13では、所定の時定数のフィルタでACカップリングされており、DC成分が除去される。ACカップリング回路13から出力されたアナログ再生信号は、AD変換部14によってデジタル値に変換される。
【0051】
AD変換部14のサンプリングクロックは、サンプリングタイミングが適切となるように、再生信号自体からクロックを抽出している。即ち、再生波形から周波数検出器18によりチャネル周波数を検出し、また位相比較器19により、理想サンプリング点との位相誤差を検出し制御される。
【0052】
一般にPLL(Phase Locked Loop)と呼ばれる部分であり、周波数制御および位相制御ともに、同一のループフィルタ20によって制御がなされ、VCO21(Voltage Controlled Oscillators)によりクロックがAD変換部14に供給される。
【0053】
光ディスク100が、DVD−RAMのような記録可能な媒体の場合は、記録用のクロックを生成しなければならない関係上、データ領域のディスク溝にウォブルと呼ばれる蛇行が刻まれている(図1参照)。このウォブル周波数とチャネル周波数は一定の割合になるよう規格されているため、再生信号自体から抽出しなくても周波数制御だけならばウォブル信号を用いて行うことが可能であるが、この部分の詳細説明は省略する。
【0054】
AD変換部14にAD変換された再生信号は、オフセット制御回路15及びアシンメトリ制御回路16によってデジタル波形整形がなされる。
【0055】
オフセット制御回路15は、例えば信号成分のデューティ比が一定になるように再生信号のオフセット量を制御する。また、アシンメトリ制御回路16は、オフセット調整された再生信号を、例えば平均値検波することで信号の振幅方向の非対称性を検出し、再生信号の波形が中心値に対して対称な波形となるように制御する。
【0056】
デジタル波形整形された再生信号は次にリミットイコライザ/適応等化器22に入力され、所定のパーシャルレスポンス(PR)に応じた応答波形となるように波形等化処理が行われる。波形等化処理は、所定のタップ数を有するFIRフィルタ23で行われるが、FIRフィルタ23でもちられるタップ係数は、等化係数学習回路24にて生成される。
【0057】
リミットイコライザ/適応等化器22の構成や動作(ここでは、適応等価器としての構成や動作)は公知のものであるが、最も一般的なLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いた動作について以下に説明する。
【0058】
図5は、リミットイコライザ/適応等化器22の細部構成例を示すブロック図であり、FIRフィルタ23と等化係数学習回路24から成っている。なお、図5には、説明の便宜上、スライサ/ビタビ復号器26の内部処理(等化誤差生成)も一部含めている。
【0059】
本実施形態に係るリミットイコライザ/適応等化器22では、デジタルスライス方式とPRML方式の処理を共用するために、図5に示したFIRフィルタ23の構成ではなく、後述する転置型に修正した構成としているが、以下の基本動作の説明では一般に知られている図5の構成(標準型)を用いて説明する。
【0060】
FIRフィルタ23は、例えばフリップフロップで構成されるクロック値延器201、202、乗算器203、204、205、加算器206、207、208を備えて構成される。図5に示したFIRフィルタ23は3つの乗算器を用いた3タップ構成となっているが、タップ数は特に限定するものではない。タップ数が増えた場合でも基本的な動作は同じであるため、以下の説明では図5に示した3タップ構成で説明する。
【0061】
時刻kにおけるリミットイコライザ/適応等化器22(FIRフィルタ23)への入力信号をx(k),乗算器203、204、205に入力される乗数をそれぞれ、c1, c2, c3とすると、リミットイコライザ/適応等化器22の出力Y(k)は以下の式で表現できる。
[数1]
Y(k) = x(k)*c1 +x(k-1)*c2 + x(k-2)*c3 (式1)
【0062】
このY(k)に対してスライサ/ビタビ復号器26で得られるバイナリデータをA(k)とする。目的とするPRのクラスを例えばPR(3443)とし、A(k)が正しい再生データであるとすると、時刻kでのリミットイコライザ/適応等化器22の本来の出力Z(k)は、以下の式となる。
[数2]
Z(k) = 3*A(k) +4*A(k-1) +4*A(k-2) +3*A(k-3) -7 (式2)
そこで、時刻kでの等化誤差 E(k)を以下の式で定義する。
[数3]
E(k) = Y(k) - Z(k) (式3)
【0063】
この等化誤差E(k)が等化係数学習回路24に入力され、等化係数学習回路24にて各乗算器203、204、205の係数c1, c2, c3が適応学習される。適応学習では以下の式に従い各乗算器の係数c1, c2, c3を更新する。
[数4]
c1(k+1) = c1(k) -α*x(k) *E(k) (式4)
c2(k+1) = c2(k) -α*x(k-1)*E(k) (式5)
c3(k+1) = c3(k) -α*x(k-2)*E(k) (式6)
【0064】
(式4)〜(式6)におけるαは、更新係数であり、正の小さな値、例えば 0.01等を設定する。学習の初期にはこのαの値を大きくし、一定時間経過後にαの値を小さくする。αが大きい場合にはノイズ等による誤作動するため、よりエラー率を良くするためには適切なαの値まで小さくさせる必要がある。
【0065】
図5中、波形合成回路216では、(式2)に示した処理が行われる。また、遅延回路2215では、加算回路208の出力Y(k)を、ビタビ復号回路26での処理時間相当の遅延処理が行われる。さらに、加算回路217において、上記の(式3)に示した処理が行われる。
【0066】
等化係数学習回路24の係数更新回路212、213、214では、(式4)から(式6)に示した演算が夫々行われ、各乗算器203、204、205の係数c1, c2, c3を更新する。なお、レジスタ209、210、211は、係数c1, c2, c3を一時的に格納するレジスタである。
【0067】
このような学習処理によって形成されたFIRフィルタ23を通過した再生信号(PRクラスに適応等化された信号出力)は、最後にスライサ/ビタビ復号器26においてPRクラスに応じた最尤列推定(ビタビ復号)を行い、2値の復号データ(バイナリデータ)が得られる。
【0068】
スライサ/ビタビ復号器26により出力されたバイナリデータは次に同期復調回路27に入力される。DVD−RAM含む従来型のDVDにおいては、バイナリデータ列はフレームと呼ばれる1488bit毎のデータとして記録されているが、同期復調回路27内の同期部ではこの各フレームの開始位置を表す32bitのバイナリデータ列(SYNCコード)を検出し、後段の復調部のための16bit毎の同期信号を生成する。
【0069】
次に同期復調回路27内の復調部では、16bit毎のバイナリデータを、予め定めた復調規則に従い8bitの再生データへ復調処理を行う。そしてバイトデータとなった信号(復調データ)は、さらにECC回路28に入力される。
【0070】
ECC回路28ではディフェクトなどで付加されたエラー訂正するエラー訂正処理が行われる。エラー訂正された再生データは、外部のホスト機器、例えばパーソナルコンピュータ等に出力される。
【0071】
次に、記録系の動作について概略説明する。外部のホスト機器から出力された記録用データは、変調回路29によって記録用の符号に符号変調される。符号変調された記録用のデータ列は、記録波形生成部30に入力される。記録波形生成部30では、レーザダイオード(レーザ素子)ドライバ(LDD)用の記録波形を生成する。この記録波形によって光ディスク100のデータ領域にデータが記録される。
【0072】
(2)ヘッダ領域とデータ領域の判定
ヘッダ領域とデータ領域とで再生復号処理を切換えるためには、ヘッダ領域の検出が必要となる。この検出はヘッダ領域検出回路50で行っている。
【0073】
図3を見てもわかるように、ヘッダ領域とそれ以外の領域では急激なDC段差が存在する。ヘッダ領域検出回路50は、PUH200から出力される和信号(プリアンプ10の出力信号)からこのDC段差を検出し、ヘッダ領域検出信号を生成する。また、差信号を用いて、ヘッダ1とヘッダ2の間のDC段差を検出するようにしてもよい。
【0074】
ヘッダ領域検出回路50で生成したヘッダ領域検出信号に基づいて、領域判定回路51ではヘッダ領域とデータ領域の処理の切り換えを行なうための各種タイミング信号を生成する。
【0075】
図6は、領域判定回路51で生成されるタイミング信号を例示したものである。
【0076】
まず、補間ヘッダ領域検出信号が生成される。補間ヘッダ領域検出信号は、いわゆるフライホイールカウンタで生成されるものであり、ヘッダ間の時間間隔を計測し、計測した時間間隔に基づいて次のヘッダ領域検出信号が到来するタイミングを予測してゲート波形を生成するものである。予測ゲートであるため、図6(b)に示したように実際のヘッダ領域の幅よりも広く取ることが可能である。ヘッダ領域検出信号が一時的に検出されなかった場合でも補間ヘッダ領域検出信号をしばらくの間出力させることができる。また、補間ヘッダ領域検出信号と実際に検出されたヘッダ領域検出信号の位置がずれていた場合には、補間ヘッダ領域検出信号の位置を補正するようにしても良い。
【0077】
領域判定回路51は、補間ヘッダ領域検出信号の立ち上がりから所定の時間遅延させて、3発のパルスをもつ時定数切り換え信号(図6(c))を生成している。
【0078】
再生信号では、ヘッダ領域の先頭とデータ領域の先頭の2箇所で大きなDC段差が発生する。また、ヘッダ1領域からヘッダ2領域へ移るときにもDC段差が発生する場合もある。
【0079】
前述したように、ACカップリング回路13では、所定の時定数のACカップリングフィルタでDC成分をカットしている。ACカップリングフィルタに大きなDC段差が入力されるとこれを早く吸収させる必要がある。このため、ACカップリングフィルタの時定数を小さく(応答を速く)することが好ましい。一方、収束後はノイズ低減の観点からACカップリングフィルタの時定数を大きく(応答を遅く)する方が好ましい。このように大きなDC段差が発生した場合、ACカップリングフィルタの時定数を多段階、例えば、高速、中速、低速の3段階、に切換える方式が好ましい。時定数切り換え信号は、ACカップリング回路13に対してこの時定数切り換えを行うためのタイミングを提供している。このような時定数の切換え制御により、ACカップリング回路13の出力波形(図6(a))では、DC段差が短時間かつスムースに吸収される。
【0080】
また、領域判定回路51は、補間ヘッダ領域検出信号の立ち上がりから所定の時間遅延させて、3発の領域切替信号を生成している。この時、1発目、2発目をヘッダ領域切替信号(図6(d))、3発目をデータ領域切替信号(図6(e))とし、両者を合わせて領域切替信号として図4中の各ブロックに送信している。この領域切替信号によって図4の各部はリライタブル領域であるデータ領域とエンボス領域であるヘッダ領域とを弁別することが可能となる。
【0081】
以下、領域切替信号に基づいて切換えられる各部の再生復号処理の詳細について説明する。
【0082】
(3)オフセット制御回路、アシンメトリ制御回路、及び等化係数学習回路
図7は、オフセット制御回路15の細部構成例を示す図である。オフセット制御回路15は、再生信号のデューティ比をデューティ比検波器151で検出し、デューティ比が一定、例えば50%、となるようにフィードバックループで入力信号のオフセット量(フィルタ値)を加算器154で加減算することで調整している。
【0083】
フィードバックループにはオフセット調整用の制御フィルタ152が設けられており、レジスタ等で構成される遅延素子153に格納されるオフセット量(フィルタ値)がクロック毎に更新されている。
【0084】
ヘッダ領域とデータ領域とでは、オフセット制御回路15の入力信号は異なるため、遅延素子153のオフセット量(フィルタ値)の初期値は、互いの切替時に設定しなおしており、この初期値の設定は領域切替信号に基づいて行われる。
【0085】
夫々の初期値は、予め定められた固定値を用いてもよいし、前回の各処理の終了時のオフセット量(フィルタ値)を適宜のメモリの保存しておき、これを夫々の初期値として用いる形態でもよい。
【0086】
図8は、アシンメトリ制御回路16の細部構成例を示す図である。アシンメトリ制御回路16は、再生信号の例えば平均値を平均値検波器161で検出し、平均値がゼロに近づくようにフィードバックループで入力信号の信号波形の非対称性をアシンメトリ除去回路164で除去している。例えば、平均値が負の場合には、入力波形の負の部分の振幅が小さくなるような係数を乗算することで、正と負の波形が対称になるように調整している。
【0087】
フィードバックループにはアシンメトリ調整用の制御フィルタ162が設けられており、オフセット制御回路15と同様にレジスタ等で構成される遅延素子163に格納される調整値(フィルタ値)がクロック毎に更新されている。
【0088】
この場合にも、ヘッダ領域とデータ領域とではアシンメトリ制御回路16の入力信号は異なるため、遅延素子163の調整値(フィルタ値)の初期値は、互いの切替時に設定しなおしており、この初期値の設定は領域切替信号に基づいて行われる。
【0089】
夫々の初期値は、予め定められた固定値を用いてもよいし、前回の各処理の終了時の調整値(フィルタ値)を適宜のメモリの保存しておき、これを夫々の初期値として用いる形態でもよい。
【0090】
リミットイコライザ/適応等化器22の等化係数学習回路22においても類似の制御フィルタが用いられており、フィルタ値がクロック毎に更新されている。具体的には、フィルタ係数c1, c2, c3が夫々のレジスタ209、210、211内で更新されている。これらのフィルタ値も、ヘッダ領域からデータ領域に切り換わり適応等化処理が開始されるときにはその初期値を設定する必要がある。設定のタイミングとして領域切替信号が用いられる。この場合にも初期値としては、所定の固定値でもよいし、前回の適応等化処理の最後の値を初期値として用いてもよい。
【0091】
(4)リミットイコライザ/適応等化器
図9は、本実施形態に係るリミットイコライザ/適応等化器22の細部構成例を示す図であり、特にこのうち、リミッタ付FIRフィルタ23の構成を例示する図である。リミッタ付FIRフィルタ23は、振幅制限リミッタ231、スイッチ232、及びデジタルフィルタ本体233で構成されている。
【0092】
デジタルフィルタ本体233は転置型で構成しており、この構成によってリミットイコライザとしてのフィルタと適応等化器としてのフィルタを同じ回路構成で実現している。一般にデジタルフィルタの構成として、乗算器の入力側に遅延回路を設ける標準型(図5に示した構成)と、乗算器の出力側に遅延回路を設ける転置型とがあるが、両者の間には等化な変換が可能である。
【0093】
データ領域を再生するときには、スイッチ232は入力Bを選択する。この選択によって入力信号は直接デジタルフィルタ本体233に入力される。また、このとき各乗算器の係数は、等化学習回路22から出力される値を用いる。
【0094】
一方、ヘッダ領域を再生するときには、スイッチ232は入力Aを選択する。この選択によって、振幅制限リミッタ231で振幅がリミットされた信号がデジタルフィルタ本体233に入力される。但し、デジタルフィルタ本体233の中央のタップにだけは振幅制限されていない入力信号がそのまま入力される。各乗算器の係数は、予め設定されているリミットイコライザ用の係数に切り替えられる。
【0095】
リミットイコライザ自体は、公知の技術であり詳細な説明は省略するが、高域ブースト用デジタルフィルタの前段にリミッタを設けた図9の構成により、ノイズによるジッタを増加させることなく3T等の高域信号振幅をブーストでき、デジタルスライス方式に有効な方式である。
【0096】
図10は、リミットイコライザの効果を示す図である。図10(a)はリミッタがない場合(高域ブーストフィルタのみ)の再生信号のアイパターンであり、図10(b)がその振幅ヒストグラムである。
【0097】
一方、図10(c)は、本実施形態に係るリミッタ付きイコライザを用いたときの再生信号のアイパターンであり、図10(d)がその振幅ヒストグラムである。
【0098】
これらの図からわかるように、リミッタ付きイコライザとして構成することにより、ジッタが低減され、デジタルスライス方式に有効であることがわかる。
【0099】
このように、リミッタ付FIRフィルタ23では、同じ回路構成をとりつつも、ヘッダ領域の再生ではデジタルスライス方式に適したリミッタ付きイコライザとして機能させ、データ領域の再生ではPRML方式に適した適応等化フィルタとして機能させている。
【0100】
(5)スライサ/ビタビ復号回路
スライサ/ビタビ復号回路26においても、領域切替信号によって、ヘッダ領域の復号方式とデータ領域の復号方式とを切換えている。
【0101】
データ領域の復号にはPRML方式に対応したビタビ復号処理を行っている。ビタビ復号処理自体は公知技術であり、説明は省略する。
【0102】
ヘッダ領域の復号にはデジタルスライス方式を用いており、例えば振幅がゼロ点より大きいか小さいかによって「1」と「0」を判断しバイナリデータを得ている。本実施形態では、このバイナリデータ出力に対してさらにランレングス制限に基づく補正処理を行っており、この補正処理によって誤り率を向上させている。
【0103】
DVD−RAMでは、3T系符号の8/16変調方式が採用されているため、2T以下の信号は発生しないはずである。この条件に基づき、スライスによって2値化したデータに1Tや2Tが生じた場合にはこれらを強制的に3Tに補正する処理を行なっている。
【0104】
図11は、スライサ/ビタビ復号回路26をデジタルスライス方式として機能させるときの構成例を示したものであり、スライス処理とランレングス制限に基づく補正処理を含めた機能を実現する構成となっている。
【0105】
図12は、図11中に示したA、B、C、D、Eの各点における波形を例示したものである。本例では、3T連続パターンが入力された場合の例を示している。
【0106】
図12(a)が3Tの連続パターンに対するFIRフィルタ12の出力の波形Aであり、スライス前の多値データ波形である。図12(b)は波形Aをスライスした後の波形Bであり、コンパレータ261でゼロと大小比較することで多値データからバイナリデータに変換している。波形Bには、ノイズ等に起因するジッタの影響で、本来含まれないはずの1Tや2Tが含まれている。
【0107】
図11中の1T補正パルス生成回路262では、図12(c)に示した1T補正パルス(波形C)が生成される。スライス後の波形Bに含まれる1Tを検出し、この1Tの中心に対して前後に2つの1Tを発生して1T補正パルスの波形Cを生成している。
【0108】
2T補正パルス生成回路262では、図12(d)に示した2T補正パルス(波形D)が生成される。2Tの場合、その前側か後側のいずれかに1Tを付加して強制的に3Tとするが、このとき入力信号の振幅情報に基づいてより確からいし側を推定している。この推定を前縁後縁判断回路264で行なっており、その結果によってスイッチ265を切換えている。
【0109】
1T補正パルス(波形C)と2T補正パルス(波形D)とをOR回路266でORをとり、その後、この信号と補正前の波形BとをXOR回路267で排他的ORをとり、図12(e)に示した補正後の波形Eを得ている。
【0110】
補正後の波形Eでは、1Tや2Tの誤った検出がすべて排除され、3Tの連続パターンが得られている。
【0111】
このように、本実施形態に係るスライサ/ビタビ復号回路26では、ランレングス制限に基づく補正を行なうことで、デジタルスライス方式に対しても誤検出を低減している。
【0112】
(6)位相比較器等
ビタビ復号処理によって多値データからバイナリデータを得る場合と、デジタルスライス処理によって多値データからバイナリデータを得る場合とで、多値データのサンプリング点の位相を半クロックシフトさせなければならない場合がある。
【0113】
図13は、パーシャルレスポンスのクラスがPR(3443)のときの4Tパターンをサンプリング点(○印で示す)と共に示した図である。
【0114】
この場合、ビタビ復号処理では4Tパターンのサンプリング点が図13(a)に示したようにゼロ点をクロスするようにサンプリングされることを想定している。
【0115】
一方、デジタルスライス処理では、4Tパターンのサンプリング点が図13(b)に示したようにゼロ点を挟んで対称となるようにサンプリングされることを想定している。
【0116】
つまり、ビタビ復号処理とデジタルスライス処理とでは、夫々期待するサンプリング点の位相が半クロックだけシフトしている。
【0117】
このため、デジタルスライス方式を用いるヘッダ領域の再生復号処理と、PRML方式を用いるデータ領域の再生復号処理とを切換える際には、サンプリング点の位相を半クロックだけシフトさせる必要がある。
【0118】
これを実現するためには、位相比較器18における位相検出方法を切換えればよい。例えば、ゼロ点を位相安定点として制御するゼロクロス型位相比較器(以下、ZPDという)から、非ゼロクロス型位相比較器(以下、NZPDという)方式に切り替えることによって、AD変換部14のサンプリング点の位相を半クロック(0.5T)だけシフトさせることができる。この問題を解決することができる。
【0119】
この他、リミッタ付FIRフィルタ23におけるFIRフィルタのタップ数を奇数タップから偶数タップに切り替えることでも、サンプリング点の位相を半クロックだけシフトさすることができる。即ち、奇数タップでは位相安定点はそのまま保存されるが、偶数タップの場合は位相が半クロック(0.5T)ずれる。この場合には、位相比較器18の位相検出方法を切換える必要なく、例えばZPDの構成のままでよい。
【0120】
以上説明してきたように、本実施形態に係る光ディスク記録再生装置1、及び光ディスク記録再生方法によれば、記録可能領域であるデータ領域と、そのアドレス情報が事前にエンボスで記録されているヘッダ領域とが存在する光ディスクに対して、基本的な構成を変更することなく、データ領域とヘッダ領域の双方の記録データを高品質で再生することができる。
【0121】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】DVD−RAMの物理構造を模式的に示す図。
【図2】DVD−RAMのデータ構造を模式的に示す図。
【図3】DVD−RAMの再生信号の信号強度を模式的に示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係る光ディスク記録再生装置の構成例を示す図。
【図5】適応等価器の動作原理の説明図。
【図6】ヘッダ領域の検出に基づく各種切替信号の一例を示す図。
【図7】オフセット制御回路の細部構成例を示すと共に、制御フィルタのフィルタ値の切換えを説明する図。
【図8】アシンメトリ制御回路の細部構成例を示すと共に、制御フィルタのフィルタ値の切換えを説明する図。
【図9】リミットイコライザ/適応等化器の細部構成例を示すと共に、ヘッダ領域とデータ領域での再生復号処理の切換えを説明する図。
【図10】リミットイコライザのジッタ低減の効果を例示する図。
【図11】スライサ/ビタビ復号回路において、ランレングス制限に基づく補正機能付きデジタルスライサとして機能させるときの構成例を示す図。
【図12】ランレングス制限に基づく補正機能を説明する図。
【図13】PRML方式とデジタルスライス方式とでサンプリング点の位相が半クロックずれることを説明する図。
【符号の説明】
【0123】
1 光ディスク記録再生装置
13 ACカップリング回路
14 AD変換部
15 オフセット制御回路
16 アシンメトリ制御回路
17 PLL部
18 位相比較器
19 周波数比較器
21 VCO
22 リミットイコライザ/適応等化器
23 リミッタ付FIRフィルタ
25 再生復号部
26 スライサ/ビタビ復号回路
27 同期復調回路
50 ヘッダ領域検出回路
51 領域判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録可能領域であるデータ領域と、前記データ領域のアドレス情報が予めエンボスで記録されているヘッダ領域とを有する光ディスクに対して記録再生を行う光ディスク記録再生装置において、
前記光ディスクの再生信号から前記データ領域と前記ヘッダ領域とを判定する領域判定部と、
前記再生信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部と、
前記AD変換部から出力される前記デジタル信号から、前記データ領域及び前記ヘッダ領域の情報を読み取る再生復号部と、
を備え、
前記再生復号部は、
前記データ領域を再生するときには、前記再生復号部にて第1の再生復号処理を行い、前記ヘッダ領域を再生するときは、前記再生復号部の基本構成を変えることなく第2の再生復号処理を行う、
ことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項2】
前記第1の再生復号処理は、PRML方式による再生復号処理であり、
前記第2の再生復号処理は、デジタルスライス方式による再生復号処理である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項3】
前記再生復号部は、デジタルフィルタ部を有しており、
前記デジタルフィルタ部は、
前記第1の再生復号処理を行うときには、適応等化フィルタとして動作し、
前記第2の再生復号処理を行うときには、リミットイコライザとして動作する、
ことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項4】
前記再生復号部は、多値のデジタル信号からバイナリデータに変換する復号部を有しており、
前記復号部は、
前記第1の再生復号処理を行うときは、ビタビ復号に基づく変換を行い、
前記第2の再生復号処理を行うときは、スライス処理に基づく変換を行うと共に変換した結果に対してランレングス制約に基づく補正を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項5】
前記再生復号部は、フェーズロックループ処理用の位相比較器を有しており、
前記第1の再生復号処理を行うときと前記第2の再生復号処理を行うときとで、前記位相比較器に入力される信号のサンプリング位置を半クロックだけシフトさせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項6】
前記第1の再生復号処理を行うときと前記第2の再生復号処理を行うときとで、前記デジタルフィルタ部のタップ数が奇数の場合は偶数に、偶数の場合は奇数に切換える、
ことを特徴とする請求項3に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項7】
前記再生復号部は、制御フィルタを有しており、
前記第1の再生復号処理を行うときと前記第2の再生復号処理を行うときとで、前記制御フィルタのフィルタ値を切換える、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項8】
前記制御フィルタは、前記第1の再生復号処理用の第1の初期値と、前記第2の再生復号処理用の第2の初期値とを有し、
前記第1の再生復号処理を行うときには、前記フィルタ値に前記第1の初期値を設定し、
前記第2の再生復号処理を行うときには、前記フィルタ値に前記第2の初期値を設定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項9】
前記制御フィルタは、
前記第1の再生復号処理を行うときには、そのフィルタ値の初期値として前回の第1の再生復号処理時の値を使用し、
前記第2の再生復号処理を行うときには、そのフィルタ値の初期値として前回の第2の再生復号処理時の値を使用する、
ことを特徴とする請求項7に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項10】
記録可能領域であるデータ領域と、前記データ領域のアドレス情報が予めエンボスで記録されているヘッダ領域とを有する光ディスクに対して記録再生を行う光ディスク記録再生方法において、
(a)前記光ディスクの再生信号から前記データ領域と前記ヘッダ領域とを判定し、
(b)前記再生信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、
(c)前記AD変換部から出力される前記デジタル信号から前記データ領域及び前記ヘッダ領域の情報を読み取る、
ステップを備え、
ステップ(c)では、
前記データ領域を再生するときには、PRML方式による再生を行い、前記ヘッダ領域を再生するときは、デジタルスライス方式による再生を行う、
ことを特徴とする光ディスク記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−159230(P2008−159230A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350274(P2006−350274)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】