説明

光トランシーバ、光送信レベル設定方法および設定プログラム

【課題】送信側の光パワーの調整を容易に行うことができ、これによって消費電力の軽減や装置の長寿命化を可能とする光トランシーバ等を提供する。
【解決手段】光トランシーバ10は、光送信部10aが、送信光信号を発光するレーザーダイオード素子12と、送信データ信号をレーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換するレーザーダイオードドライバ11とを備え、光受信部10bが、受信光信号を受光して受信光電流を発生するフォトダイオード素子13と、受信光電流を増幅および電圧変換して出力するトランスインピーダンスアンプ14とを備える。そして、レーザーダイオードドライバ11が、受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流をレーザーダイオード素子に入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバ、光送信レベル設定方法および設定プログラムに関し、特に消費電力の軽減や装置の長寿命化のために光送信レベルを適切に設定しうる光トランシーバ等に関する。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバは、光通信装置本体に対して着脱可能に実装され、装置本体からクロック信号を供給されて動作する。そして、光トランシーバに内蔵されたレーザーダイオードおよびフォトダイオードが、供給されたクロック信号に基づいて動作し、光ケーブルを介して他のネットワークとの間のデータ送受信を行い、光通信装置本体はローカルネットワークを介して上位装置に接続される。
【0003】
これに関連する技術文献として、次の各々がある。その中でも特許文献1には、加入者装置側で受信光信号の強度を検出して、それに応じて中央装置に向けての送信光信号の強度を調節するという加入者装置用光送受信器について記載されている。特許文献2にも、これと同様に加入者装置側で送信光信号の強度を調節するという光通信システムについて記載されている。
【0004】
特許文献3には、加入者装置側と加入者収容装置側の双方で遅延時間を補正するというPONシステムについて記載されている。特許文献4には、光通信における伝送距離の測定を容易に行うことができるという光トランシーバが記載されている。特許文献5には、空中赤外線通信で、相手方の送受信器との距離に応じて自らの送信出力を制御するという出力制御装置が記載されている。特許文献6には、制御情報を特定のビットに含めて送信するという光通信システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−318629号公報
【特許文献2】特開2010−161454号公報
【特許文献3】特開2000−295266号公報
【特許文献4】特開2008−252750号公報
【特許文献5】特開平09−083443号公報
【特許文献6】特開平11−308177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に近年は、光通信ネットワークの規模が、加入者数においても、伝送されるデータの総量においても、急激に増大している。また、特に最近は電力の供給が全国的に逼迫していて、そのため光通信ネットワークにおいても、消費電力の軽減が急務となっている。もちろん、光通信ネットワークを運営する以上、通信事業者にとってはコストの軽減は常に求められるし、ネットワークダウンは絶対にあってはならないことである。
【0007】
以上のような事情から、光通信装置本体に着脱可能に実装されて使用される光トランシーバに対しても、消費電力の軽減、装置の長寿命化・高信頼化が特に望まれている。光トランシーバにおいては特に、レーザーダイオードで発光する送信側の光パワーが過大であると、明らかに消費電力の無駄となり、また過大な光パワーを発光するレーザーダイオードと過大な光パワーを受光するフォトダイオードの双方で部品の劣化を早めることとなる。一方、光パワーが過小であると、エラーが多発してデータの伝送を正常に行うことができない。
【0008】
従って、光トランシーバにおいては、受信側のフォトダイオードでの受光に最適な光パワーの範囲となるよう、送信側の光パワーを調整する必要がある。しかしながら、通常の光通信装置では、複数台の光トランシーバが実装され、その各々が伝送長がそれぞれ異なる光ケーブルと接続されている。そして、それらの光ケーブルの中で伝送損失が最大の、即ち伝送距離が最長のものに合わせて、同一の光通信装置に実装された全ての光トランシーバの光パワーを調整している。
【0009】
これは、同一の光通信装置に実装された(伝送距離がより短い、即ち伝送損失がより小さい)他の光ケーブルに接続される光トランシーバにとっては、過大な光パワーとなる危険性が高い。即ち、伝送長(伝送損失)が異なる各々の光ケーブルに対して最適になるよう、各々の光トランシーバの光パワーを調整することが望ましいが、通常の光通信装置では操作が煩雑になるので、そのような調整は滅多に行われないのが現状である。
【0010】
この問題を解決しうる技術は、前述の特許文献1〜6には記載されていない。特許文献1〜2はいずれも「加入者装置側で」送信光信号の強度を調節するという技術であるが、多くの加入者に向けて多数の光トランシーバが高密度に実装される中央局の光通信装置本体側において特に消費電力の軽減や装置の長寿命化・高信頼化が望まれており、特許文献1〜2の技術では中央局側でその効果を発揮することができない。
【0011】
残る特許文献3〜6は、そもそも光ファイバ通信で送信光信号の強度の調節を行う技術が記載されていない。また、これらの中で光トランシーバについての技術が記載されているのは特許文献4だけであり、これも「伝送距離の測定」を目的とするものであって、送信光信号の強度を調節するものではない。
【0012】
本発明の目的は、送信側の光パワーの調整を容易に行うことができ、これによって消費電力の軽減や装置の長寿命化を可能とする光トランシーバ、光送信レベル設定方法および設定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る光トランシーバは、局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部と、光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバであって、光送信部が、送信光信号を発光するレーザーダイオード素子と、送信データ信号をレーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換して当該レーザーダイオード素子に入力するレーザーダイオードドライバとを備え、光受信部が、受信光信号を受光して受信光電流を発生するフォトダイオード素子と、受信光電流を増幅および電圧変換してこれを受信データ信号として出力するトランスインピーダンスアンプとを備えると共に、レーザーダイオードドライバが、受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流をレーザーダイオード素子に入力することを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る光送信レベル設定方法は、局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部と、光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバを局側と端末側の各々が備える光通信システムにあって、局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、送信データ信号を光送信部の第1のレーザーダイオードドライバが第1のレーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換および入力して送信光信号を発光させて光ケーブルに送出し、局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光して受信光電流を発生して第2のレーザーダイオードドライバに入力し、局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、第2のレーザーダイオードドライバが受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を第2のレーザーダイオード素子に入力して送信光信号を発光させて光ケーブルに送出し、局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光し、局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、受光された受信光信号の強度を光パワー検出手段が検出して表示部に表示させる。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る光送信レベル設定プログラムは、局側上位装置から受信した送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて入射する光送信部と、光ケーブルから出射される受信光信号を受信データ信号に変換して局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバを局側と端末側の各々が備える光通信システムにあって、局側と端末側のうち一方の光トランシーバで発光されて光ケーブルに送出された受信光信号を、局側と端末側のうち他方の光トランシーバで受光して発生した受信光電流を入力されたレーザーダイオードドライバが備えるコンピュータに、受信光電流を入力デジタル値に変換する手順、入力デジタル値が予め与えられた数値の範囲内にあるか否かを判断する手順、予め備えられたルックアップテーブルの内容を参照して入力デジタル値に対応する出力デジタル値を決定する手順、および出力デジタル値に対応する出力電流をレーザーダイオード素子に入力させる手順を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記したように、光受信部のフォトダイオード素子が出力した受信光電流を、光送信部のレーザーダイオードドライバに入力してレーザーダイオード素子を発光させるように構成したので、特に測定器などを用意しなくても局側および端末側の光トランシーバのみで送信側の光パワーの調整が可能である。これによって、消費電力の軽減や装置の長寿命化を可能であるという優れた特徴を持つ光トランシーバ、光送信レベル設定方法および設定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光トランシーバの構成について示す説明図である。
【図2】図1に示したLDDのより詳しい構成の一例について示す説明図である。
【図3】図1で示した光トランシーバを使用した光通信システムの構成について示す説明図である。
【図4】図1で示したPD素子の受光特性を表すグラフである。
【図5】図1で示したLD素子の発光特性を表すグラフである。
【図6】図1に示した光通信システムで、伝送光損失の値を測定して送信光パワーを調整する動作について示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る光トランシーバの構成について示す説明図である。
【図8】図7で示したLDDのより詳しい構成について示す説明図である。
【図9】図8で示したLDD(出力決定部)の動作について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態の構成について添付図1〜3に基づいて説明する。
最初に、本実施形態の基本的な内容について説明し、その後でより具体的な内容について説明する。
本実施形態に係る光トランシーバ10は、局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部10aと、光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して局側上位装置に出力する光受信部10bとを備える光トランシーバである。光トランシーバ10の光送信部10aが、送信光信号を発光するレーザーダイオード素子12と、送信データ信号をレーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換して当該レーザーダイオード素子に入力するレーザーダイオードドライバ11とを備え、光受信部10bが、受信光信号を受光して受信光電流を発生するフォトダイオード素子13と、受信光電流を増幅および電圧変換してこれを受信データ信号として出力するトランスインピーダンスアンプ14とを備える。そして、レーザーダイオードドライバ11が、受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流をレーザーダイオード素子に入力する。
【0019】
また、レーザーダイオードドライバ11が、送信光信号と受信光電流のうちのいずれをレーザーダイオード素子12に入力するかを切り替えるスイッチ11cを備える。
【0020】
さらに、レーザーダイオードドライバ11は、受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流をレーザーダイオード素子に入力するカレントミラー回路11aを備える。
【0021】
以上の構成を備えることにより、本実施形態に係る光トランシーバ10は、送信側の光パワーの調整を容易に行うことが可能なものとなる。
以下、これをより詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光トランシーバ10の構成について示す説明図である。光トランシーバ10は、送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブル20に向けて入射する光送信部10aと、光ケーブル20から出射される受信光信号を受信データ信号に変換して局側上位装置に出力する光受信部10bとを備える。さらに、受信光信号の強度を表示する表示部17と、送信光信号の強度を調整する調整部18とを備える。
【0023】
光送信部10aは、レーザーダイオードドライバ11(以後LDD11という)と、レーザーダイオード素子12(以後LD素子12という)とからなる。LDD11は、送信データ信号の入力を受けて、その入力に応じてLD素子12を発光駆動させる出力電流を発生する。その際、LDD11からの出力電流は、調整部18からの操作に応じて調整される。LD素子12は、LDD11からの出力電流によって発光し、その発光が送信光信号として光ケーブル20に入射される。
【0024】
光受信部10bは、フォトダイオード素子13(以後PD素子13という)と、トランスインピーダンスアンプ14(以後TIA14という)と、光パワー検出手段16とからなる。PD素子13は、光ケーブル20から出射される受信光信号を受光し、受信光電流を発生する。
【0025】
TIA14は、PD素子13によって発生される受信光電流を増幅および電圧変換して、これを受信データ信号として出力する。光パワー検出手段16は、TIA14からの出力信号から、PD素子13が受光した光パワーの値を検出して表示部17に表示する。
【0026】
図2は、図1に示したLDD11のより詳しい構成の一例について示す説明図である。LDD11には、カレントミラー回路11aが含まれている。カレントミラー回路11aはミラー比1:Nであり、PD素子13から出力される受信光電流をIr1とすると、カレントミラー回路11aは以下の数1で示される電流If1をLD素子12に対して出力する。
【0027】
【数1】

【0028】
図2には、ごく基本的な構成のカレントミラー回路を示しているが、実際にはアーリー効果などによる特性の悪化を抑制するための各種の構成が知られている。具体的には、たとえば特開2011−059840号公報などにその一例が記載されている。
【0029】
また、LDD11には、上位装置から入力された送信データ信号に応じてLD素子12を発光駆動させる出力電流を発生する光信号発生部11bと、光信号発生部11bからの出力電流とカレントミラー回路11aからの出力電流のうち、いずれをLD素子12に入力させるかを切り替えるスイッチ11cも含まれている。
【0030】
スイッチ11cは、光トランシーバ10の筐体外部から操作可能である。また、スイッチ11cを設けず、光信号発生部11bからの出力電流とカレントミラー回路11aからの出力電流の両方をLD素子12に入力させるように構成することもできる。
【0031】
図3は、図1で示した光トランシーバ10を使用した光通信システム100の構成について示す説明図である。光通信システム100は、通信局側通信装置110と、複数の端末側通信装置121、121、123とが、各々光ケーブル131、132、133で結ばれることによって構成される。図3では3台の端末側通信装置121〜123を示しているが、端末側通信装置の台数に制限はない。
【0032】
通信局側通信装置110には、図1で示した光トランシーバ10が3台実装されている。これらを光トランシーバ101〜103という。また、端末側通信装置121〜123には、図1で示した光トランシーバ10が各々1台ずつ実装されている。これらを光トランシーバ104〜106という。
【0033】
光トランシーバ101と104(端末側通信装置121)の間が光ケーブル131で結ばれ、光トランシーバ102と105(端末側通信装置122)の間が光ケーブル132で結ばれ、光トランシーバ103と106(端末側通信装置123)の間が光ケーブル133で結ばれている。
【0034】
ここで、光ケーブル131(光トランシーバ101−104間)のケーブル距離はd1、伝送光損失はPloss1である。また、光ケーブル132(光トランシーバ102−105間)のケーブル距離はd2、伝送光損失はPloss2である。そして、光ケーブル133(光トランシーバ103−106間)のケーブル距離はd3、伝送光損失はPloss3である。さらに、d1>d2>d3、かつPloss1>Ploss2>Ploss3である。
【0035】
図4は、図1で示したPD素子13の受光特性を表すグラフである。PD素子13は、受信光信号の光パワー(単位dBm)に対して、線形に近似できる受信光電流(単位μA)を出力する。受信光パワーの値のうちの3点がPr1,Pr2,Pr3(Pr3>Pr2>Pr1)である場合、受信光電流は各々Ir1,Ir2,Ir3(Ir3>Ir2>Ir1)である。
【0036】
図5は、図1で示したLD素子12の発光特性を表すグラフである。LD素子12は、送信光電流(単位μA)に対して、線形に近似できる送信光パワー(単位dBm)で発光する。送信光電流の値のうちの3点がIf1,If2,If3(If1>If2>If3)である場合、送信光パワーは各々Pf1,Pf2,Pf3(Pf1>Pf2>Pf3)である。
【0037】
(動作の説明)
以上で示した光通信システム100の動作について説明する。この動作に先立って、局側光通信装置110の光トランシーバ101で、スイッチ11cをカレントミラー回路11aからの出力電流をLD素子12に入力させるように切り替えておき、同時にPD素子13から出力される受信光電流をLDD11に入力させるように切り替えておく。
【0038】
図6は、図1に示した光通信システム100で、伝送光損失の値を測定して送信光パワーを調整する動作について示す説明図である。まず、端末側光通信装置121の光トランシーバ104から、Pf0の送信光パワーの光信号が光ケーブル131に送出される(ステップS201)。光ケーブル131の伝送光損失はPloss1であるので、局側光通信装置110に内蔵される光トランシーバ101はPf0−Ploss1(=Pr1)の受信光パワーを受光する(ステップS202)。
【0039】
局側光通信装置110の光トランシーバ101で、Pr1の受信光パワーを受けたPD素子13は、図4に示したPr1に対応する受信光電流Ir1を出力する。その受信光電流Ir1をLDD11に入力し、LDD11内のカレントミラー回路11a(ミラー比1:N)が、数1にあるように電流If1をLD素子12に対して出力する。LD素子12は、図5に示したIf1に対応する送信光パワーPf1で発光する(ステップS203)。
【0040】
局側光通信装置110の光トランシーバ101から、送信光パワーPf1が光ケーブル131に送出されると、端末側光通信装置121の光トランシーバ104はPf1−Ploss1の受信光パワーを受光し(ステップS204)、受光した受信光パワーを表示部17に表示する(ステップS205)。
【0041】
以上の動作によって、端末側光通信装置121の光トランシーバ104側では、光パワー検出手段16によって、伝送光損失Ploss1の値を把握することができる。より具体的には、送出した送信光パワーPf0に対して、受光した受信光パワーは以下の数2で表される。
【0042】
【数2】

【0043】
これによって、ユーザは伝送光損失Ploss1の値を把握して、これに応じて調整部18を動かして、送信光パワーPf0の値を調整することができる。この調整は手動で行ってもよいし、また光トランシーバ10に自動的に送信光パワーPf0の値を最適値に調整する仕組みを設けてもよい。
【0044】
この動作は、局側光通信装置110の光トランシーバ101と、端末側光通信装置121の光トランシーバ104との、いずれの側からでも行うことができる。また、光トランシーバ102と105との間の光ケーブル132を介した光通信、および光トランシーバ103と106との間の光ケーブル133を介した光通信においても、同様に行うことができる。
【0045】
その際、Ploss1>Ploss2>Ploss3の関係、図4に示したPr3>Pr2>Pr1、Ir3>Ir2>Ir1の関係、および図5に示したPf1>Pf2>Pf3、If1>If2>If3の関係から、ケーブル距離が長く伝送光損失が大きい場合には通信局側通信装置110の光トランシーバ101〜cから送出される送信光パワーを大きくし、ケーブル距離が短く伝送光損失が小さい場合には送信光パワーを小さくするよう調整することが容易にできる。
【0046】
(第1の実施形態の全体的な動作)
次に、上記の実施形態の全体的な動作について説明する。
本実施形態に係る光送信レベル設定方法は、局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部と、光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバを局側と端末側の各々が備える光通信システムにあって、局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、送信データ信号を光送信部の第1のレーザーダイオードドライバが第1のレーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換および入力して送信光信号を発光させて光ケーブルに送出し(図6・ステップS201)、局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光して受信光電流を発生して第2のレーザーダイオードドライバに入力し(図6・ステップS202)局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、第2のレーザーダイオードドライバが受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を第2のレーザーダイオード素子に入力して送信光信号を発光させて光ケーブルに送出し(図6・ステップS203)、局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光し(図6・ステップS204)、局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、受光された受信光信号の強度を光パワー検出手段が検出して表示部に表示させる(図6・ステップS205)。
【0047】
ここで、上記各動作ステップについては、これをコンピュータで実行可能にプログラム化し、これらを前記各ステップを直接実行する光トランシーバ10に実行させるようにしてもよい。本プログラムは、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリ等に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
この動作により、本実施形態は以下のような効果を奏する。
【0048】
本発明の実施例では、伝送光損失に応じて受光する受信光パワーを検知し、その受信光パワーに応じて光トランシーバから送出される送信光パワーを自動的に適切な値に調整することが可能となるため、光トランシーバ自体の消電力化や部品劣化、また局側光通信装置の省電力化が可能となる。その際、この動作は光ケーブルを介して相互に接続される一対の光トランシーバ同士で行われるから、同一の局側光通信装置110に実装された他の光トランシーバとは関係なく行うことができる。
【0049】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る光トランシーバ210は、カレントミラー回路11aを備える第1の実施形態のレーザーダイードドライバ11に代えて、受信光電流を入力デジタル値に変換するA/D変換部211aと、備えられた記憶部に予め記憶されたルックアップテーブル211dの内容を参照して入力デジタル値に対応する出力デジタル値を決定する出力決定部211bと、出力デジタル値に対応する出力電流をレーザーダイオード素子に入力するD/A変換部211cとを備えるレーザーダイードドライバ211を有するものとした。
【0050】
この構成によっても、前述した第1の実施形態と同一の効果が得られるのに加えて、さらに受信光電流の値を細かく判断して、その判断結果に応じて動作を多様に設定できる。
以下、これについてより詳しく説明する。
【0051】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光トランシーバ210の構成について示す説明図である。光トランシーバ210は、前述した第1の実施形態に係る光トランシーバ10と比べて、LDD11が別のレーザーダイオードドライバ211(以後LDD211という)に置換されており、これ以外の各構成要素は第1の実施形態に係る光トランシーバ10と同一であるので、同一の呼称および参照番号でいう。また、光通信システム全体の構成も、図3の構成で光トランシーバ10を光トランシーバ210に置換するのみである。
【0052】
図8は、図7で示したLDD211のより詳しい構成について示す説明図である。LDD211は、PD素子13または局側上位装置から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部211aと、A/D変換部211aから出力されるデジタル信号に対応する出力電流値(発光電流If1)を決定する出力決定部211bと、出力決定部211bで決定された出力電流値の電流を出力するD/A変換部211cと、出力決定部211bが出力電流値を決定する際に参照するデータであるルックアップテーブル(LUT)をあらかじめ記憶しているLUT記憶部211dとを備える。
【0053】
また、LDD211は、第1の実施形態でいうスイッチ11cに代わって、PD素子13と局側上位装置のうちのいずれのアナログ信号をA/D変換部211aに入力するかを切り替えるスイッチ211eも備えている。ここで、通常動作においては局側上位装置からのアナログ信号をA/D変換部211aに入力するが、本発明の動作においてはPD素子13からのアナログ信号をA/D変換部211aに入力するように入力信号をあらかじめ切り替えておく。第1の実施形態と同様に、スイッチ211eを省略することもできる。
【0054】
出力決定部211bは、マイクロプロセッサでコンピュータプログラムを動作させることによって実現することができる。そしてLUT記憶部211dは、ROMもしくはRAMなどのような記憶装置によって実現することができる。即ち、LDD211の動作は、コンピュータプログラムとして実現することができる。
【0055】
LUT記憶部211dに記憶されているLUTは、受信光電流Ir1に応じてA/D変換部211aから出力されるデジタル値Dr1と、それに応じてD/A変換部211cに入力して発光電流If1を出力させるデジタル値Df1との間の対応を記憶している。
【0056】
即ち、LDD211は、LUT記憶部211dに記憶されるデータ次第で、第1の実施形態におけるカレントミラー回路11aと同様に、受信光電流Ir1のN倍を発光電流If1として出力するようにすることもできる。また、それ以外にも受信光電流Ir1と発光電流If1との間の関係を任意の特性にすることもできる。
【0057】
図9は、図8で示したLDD211(出力決定部211b)の動作について示すフローチャートである。これは、第1の実施形態について示した図6のフローチャートでいうステップS202〜203に相当する動作である。この動作を行う前提も、第1の実施形態と同様に、PD素子13から出力される受信光電流をLDD11に入力させるようにあらかじめ切り替えておくものである。そして、前述のようにPD素子13からのアナログ信号をA/D変換部211aに入力するようスイッチ211eをあらかじめ切り替えておく。
【0058】
まず、出力決定部211bは、A/D変換部211aを介して受信光電流Ir1の入力があるか否かを判断する(ステップS301)。Ir1の入力があればステップS302に処理が進み、Ir1の入力がなければ警報を発して(ステップS304)処理を終了する。
【0059】
次に、出力決定部211bは、入力された受信光電流Ir1の値をあらかじめ与えられたIr1minおよびIr1maxという2つの値と比較し、Ir1min≦Ir1<Ir1maxであるか否かを判断する(ステップS302)。具体的には、出力決定部211bは、LUT上でIr1minおよびIr1maxの各々が対応するデジタル値であるDr1minおよびDr1maxと、受信光電流Ir1に対応するデジタル値のDr1とを比較してDr1min≦Dr1<Dr1maxであるか否かを判断する。
【0060】
ステップS302で、受信光電流Ir1の値がIr1minおよびIr1maxの間の範囲になければ、やはり警報を発して(ステップS304)処理を終了する。受信光電流Ir1の値がIr1minおよびIr1maxの間の範囲にあれば、出力決定部211bは、LUTを参照してデジタル値Dr1に対応するデジタル値Df1を決定し、このデジタル値Df1をD/A変換部211cに対して出力する。D/A変換部211cは、デジタル値Df1に対応する発光電流If1をLD素子12に対して出力して(ステップS303)処理を終了する。
【0061】
(第2の実施形態の全体的な動作)
次に、上記の実施形態の全体的な動作について説明する。
本実施形態に係る第2のレーザーダイオードドライバが出力電流を第2のレーザーダイオード素子に入力する処理は(図6・ステップS202〜203)、受信光電流をA/D変換部が入力デジタル値に変換し、入力デジタル値が予め与えられた数値の範囲内にあるか否かを出力決定部が判断し(図9・ステップS301)、備えられた記憶部に予め記憶されたルックアップテーブルの内容を参照して入力デジタル値に対応する出力デジタル値を出力決定部が決定し(図9・ステップS302)、出力デジタル値に対応する出力電流をD/A変換部がレーザーダイオード素子に入力する(図9・ステップS303)。
【0062】
ここで、上記各動作ステップについては、これをコンピュータで実行可能にプログラム化し、これらを前記各ステップを直接実行する光トランシーバ210に実行させるようにしてもよい。本プログラムは、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリ等に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
この動作により、本実施形態は以下のような効果を奏する。
【0063】
これによって、第1の実施形態と同一の処理を行うことができる。さらに、たとえば光ケーブル断線や局側光通信装置の故障による光通信断があった場合には、前述のステップS301でIr1の入力がなされないので、ステップS304で警報を発することができる。そして、受信光電流Ir1の値があらかじめ与えられたIr1minおよびIr1maxの間の範囲にない場合にも、ステップS304で警報を発することができる。このIr1minおよびIr1maxの範囲は、特定の伝送距離や部品の劣化などを想定して設定することができる。
【0064】
(実施形態の拡張)
以上で述べた第1および第2の実施形態には、その趣旨を改変しない範囲で様々な拡張が考えられる。以下、それについて説明する。
【0065】
図6および図9に示した伝送光損失の測定の動作は、予め光トランシーバ10(210)のスイッチ11c(211e)を切り替えておくことが前提であるものとして説明した。
【0066】
しかしながら、たとえば一方の光トランシーバ10(210)から特定の光信号を「調整動作開始信号」として送信して、もう一方の光トランシーバ10(210)でこれに応じてスイッチ11c(211e)が切り替わって図6および図9に示した動作を行うようにすれば、予め各スイッチを切り替えておくこと無しに、伝送光損失の測定が可能となる。
【0067】
さらに、これと組み合わせて、光パワー検出手段16で検出された受信光パワーに応じて、光送信部10a(210a)での送信パワーを自動的に調節する手段を設けてもよい。即ち、この2つの特徴を加えれば、受信光パワーの測定と送信光パワーの調節とをまとめて自動化・無人化することができる。たとえば深夜など、ネットワークダウンの影響の少ない時間帯に、タイマーでこの動作を行ってもよい。
【0068】
また、第2の実施形態の図9・ステップS302の動作は、受信光電流がデジタル化されて処理されることを前提としたが、たとえばウィンドウコンパレータ回路などを利用して、同様の処理をアナログ的に実現することもできる。
【0069】
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができる。
【0070】
上述した実施形態について、その新規な技術内容の要点をまとめると、以下のようになる。なお、上記実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0071】
(付記1) 局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部と、前記光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して前記局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバであって、
前記光送信部が、前記送信光信号を発光するレーザーダイオード素子と、前記送信データ信号を前記レーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換して当該レーザーダイオード素子に入力するレーザーダイオードドライバとを備え、
前記光受信部が、前記受信光信号を受光して受信光電流を発生するフォトダイオード素子と、前記受信光電流を増幅および電圧変換してこれを前記受信データ信号として出力するトランスインピーダンスアンプとを備えると共に、
前記レーザーダイオードドライバが、前記受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を前記レーザーダイオード素子に入力することを特徴とする光トランシーバ。
【0072】
(付記2) 前記レーザーダイオードドライバが、前記送信光信号と前記受信光電流のうちのいずれを前記レーザーダイオード素子に入力するかを切り替えるスイッチを備えることを特徴とする、付記1に記載の光トランシーバ。
【0073】
(付記3) 前記レーザーダイオードドライバが、前記受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を前記レーザーダイオード素子に入力するカレントミラー回路を備えることを特徴とする、付記1に記載の光トランシーバ。
【0074】
(付記4) 前記レーザーダイオードドライバが、
前記受信光電流を入力デジタル値に変換するA/D変換部と、
備えられた記憶部に予め記憶されたルックアップテーブルの内容を参照して前記入力デジタル値に対応する出力デジタル値を決定する出力決定部と、
前記出力デジタル値に対応する前記出力電流を前記レーザーダイオード素子に入力するD/A変換部とを備えることを特徴とする、付記1に記載の光トランシーバ。
【0075】
(付記5) 局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部と、前記光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して前記局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバを局側と端末側の各々が備える光通信システムにあって、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、前記送信データ信号を前記光送信部の第1のレーザーダイオードドライバが第1のレーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換および入力して前記送信光信号を発光させて前記光ケーブルに送出し、
前記局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、前記光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光して受信光電流を発生して第2のレーザーダイオードドライバに入力し、
前記局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、前記第2のレーザーダイオードドライバが前記受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を第2のレーザーダイオード素子に入力して前記送信光信号を発光させて前記光ケーブルに送出し、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、前記光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光し、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、受光された前記受信光信号の強度を光パワー検出手段が検出して表示部に表示させる
ことを特徴とする光送信レベル設定方法。
【0076】
(付記6) 前記第2のレーザーダイオードドライバが出力電流を第2のレーザーダイオード素子に入力する処理が、
前記受信光電流をA/D変換部が入力デジタル値に変換し、
前記入力デジタル値が予め与えられた数値の範囲内にあるか否かを出力決定部が判断し、
備えられた記憶部に予め記憶されたルックアップテーブルの内容を参照して前記入力デジタル値に対応する出力デジタル値を前記出力決定部が決定し、
前記出力デジタル値に対応する出力電流をD/A変換部が前記レーザーダイオード素子に入力する
ことを特徴とする、付記5に記載の光送信レベル設定方法。
【0077】
(付記7) 局側上位装置から受信した送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて入射する光送信部と、前記光ケーブルから出射される受信光信号を受信データ信号に変換して前記局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバを局側と端末側の各々が備える光通信システムにあって、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで発光されて前記光ケーブルに送出された受信光信号を、前記局側と端末側のうち他方の光トランシーバで受光して発生した受信光電流を入力されたレーザーダイオードドライバが備えるコンピュータに、
前記受信光電流を入力デジタル値に変換する手順、
前記入力デジタル値が予め与えられた数値の範囲内にあるか否かを判断する手順、
予め備えられたルックアップテーブルの内容を参照して前記入力デジタル値に対応する出力デジタル値を決定する手順、
および前記出力デジタル値に対応する出力電流をレーザーダイオード素子に入力させる手順
を実行させることを特徴とする光送信レベル設定プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0078】
光トランシーバを利用する光通信システムにおいて幅広く利用することができる。特に、1台の光通信装置に多数の光トランシーバを実装する形の光通信システムに適する。
【符号の説明】
【0079】
10、101、102、103、104、105、106、210 光トランシーバ
10a 光送信部
10b 光受信部
11、211 LDD
11a カレントミラー回路
11b 光信号発生部
11c スイッチ
12 LD素子
13 PD素子
14 TIA
16 光パワー検出手段
20、131、132、133 光ケーブル
100 光通信システム
110 通信局側通信装置
121、122、123 端末側通信装置
211a A/D変換部
211b 出力決定部
211c D/A変換部
211d LUT記憶部
211e スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部と、前記光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して前記局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバであって、
前記光送信部が、前記送信光信号を発光するレーザーダイオード素子と、前記送信データ信号を前記レーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換して当該レーザーダイオード素子に入力するレーザーダイオードドライバとを備え、
前記光受信部が、前記受信光信号を受光して受信光電流を発生するフォトダイオード素子と、前記受信光電流を増幅および電圧変換してこれを前記受信データ信号として出力するトランスインピーダンスアンプとを備えると共に、
前記レーザーダイオードドライバが、前記受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を前記レーザーダイオード素子に入力することを特徴とする光トランシーバ。
【請求項2】
前記レーザーダイオードドライバが、前記送信光信号と前記受信光電流のうちのいずれを前記レーザーダイオード素子に入力するかを切り替えるスイッチを備えることを特徴とする、請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項3】
前記レーザーダイオードドライバが、前記受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を前記レーザーダイオード素子に入力するカレントミラー回路を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記レーザーダイオードドライバが、
前記受信光電流を入力デジタル値に変換するA/D変換部と、
備えられた記憶部に予め記憶されたルックアップテーブルの内容を参照して前記入力デジタル値に対応する出力デジタル値を決定する出力決定部と、
前記出力デジタル値に対応する前記出力電流を前記レーザーダイオード素子に入力するD/A変換部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
局側上位装置から送り込まれる送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて送出する光送信部と、前記光ケーブルを介して他のネットワークから送り込まれる受信光信号を受信データ信号に変換して前記局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバを局側と端末側の各々が備える光通信システムにあって、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、前記送信データ信号を前記光送信部の第1のレーザーダイオードドライバが第1のレーザーダイオード素子を発光駆動させる出力電流に変換および入力して前記送信光信号を発光させて前記光ケーブルに送出し、
前記局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、前記光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光して受信光電流を発生して第2のレーザーダイオードドライバに入力し、
前記局側と端末側のうち他方の光トランシーバで、前記第2のレーザーダイオードドライバが前記受信光電流に予め与えられた比率を乗算した出力電流を第2のレーザーダイオード素子に入力して前記送信光信号を発光させて前記光ケーブルに送出し、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、前記光ケーブルから送り込まれた受信光信号をフォトダイオード素子が受光し、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで、受光された前記受信光信号の強度を光パワー検出手段が検出して表示部に表示させる
ことを特徴とする光送信レベル設定方法。
【請求項6】
前記第2のレーザーダイオードドライバが出力電流を第2のレーザーダイオード素子に入力する処理が、
前記受信光電流をA/D変換部が入力デジタル値に変換し、
前記入力デジタル値が予め与えられた数値の範囲内にあるか否かを出力決定部が判断し、
備えられた記憶部に予め記憶されたルックアップテーブルの内容を参照して前記入力デジタル値に対応する出力デジタル値を前記出力決定部が決定し、
前記出力デジタル値に対応する出力電流をD/A変換部が前記レーザーダイオード素子に入力する
ことを特徴とする、請求項5に記載の光送信レベル設定方法。
【請求項7】
局側上位装置から受信した送信データ信号を送信光信号に変換して光ケーブルに向けて入射する光送信部と、前記光ケーブルから出射される受信光信号を受信データ信号に変換して前記局側上位装置に出力する光受信部とを備える光トランシーバを局側と端末側の各々が備える光通信システムにあって、
前記局側と端末側のうち一方の光トランシーバで発光されて前記光ケーブルに送出された受信光信号を、前記局側と端末側のうち他方の光トランシーバで受光して発生した受信光電流を入力されたレーザーダイオードドライバが備えるコンピュータに、
前記受信光電流を入力デジタル値に変換する手順、
前記入力デジタル値が予め与えられた数値の範囲内にあるか否かを判断する手順、
予め備えられたルックアップテーブルの内容を参照して前記入力デジタル値に対応する出力デジタル値を決定する手順、
および前記出力デジタル値に対応する出力電流をレーザーダイオード素子に入力させる手順
を実行させることを特徴とする光送信レベル設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−70204(P2013−70204A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206784(P2011−206784)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】