説明

光ネットワーク制御システム、光ネットワーク制御方法およびプログラム

【課題】ネットワーク規模が大きくなった際に拡張性の問題や計算の複雑化に伴う問題を回避する。
【解決手段】隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、ドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路すべての品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択し、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索し、波長を計算して、これらの情報をYに隣接するXのボーダノードXa1およびXa2に送信する。送信されたこれらの情報をX内の各ノードに公告する。ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、S1は、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定し、経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスペアレントまたはトランスルーセントな波長スイッチング光ネットワーク(リングや島)が複数つながったマルチリング(またはマルチドメイン)光ネットワークにおけるネットワーク制御を実現する光ネットワーク制御システム、光ネットワーク制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチドメインネットワークのトラヒックエンジニアリングには、図5に示すように、ノードから独立したPCE (Path Computation Element)と呼ばれる経路計算機能を有するネットワークエレメントを用いることが提案されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照。)。これは、ドメイン毎にPCEが配置され、自分のネットワークのTE情報(トラヒックエンジニアリング情報)を管理し、ドメインの異なるネットワークからの要求に対して、自ネットワークの経路情報またはTE情報を提供する方式である。これは、ネットワーク規模が大きくなった際に拡張性の問題や計算の複雑化に伴う問題を回避できる手法として注目されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】RFC5623, “Framework for PCE−Based Inter−Layer MPLS and GMPLS Traffic Engineering”, SEPTEMBER, 2009.
【非特許文献2】IETF PCE WG draft, draft−ietf−pce−wson−routing−wavelength−03.txt “PCEP Requirements for WSON Routing and Wavelength Assignment”, working in Progress.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PCEを用いた手法では、PCEに問い合わせを行う手順が追加されるため、障害時の自動予備経路探索並びに自動復旧に時間を要するという問題がある。また、新たに、PCC(Path Computation Clent)−PCE間やPCE−PCE間のプロトコルの実装が必要となる。そのため、PCEを用いず、すべてを自律分散に行う場合の問題点(ネットワークの拡張性の問題や計算の複雑性の問題等)を回避しながら、パス計算からパス経路制御まで実施できることが期待されるが、こうした技術に対して、具体的に言及したものは存在しない。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ネットワーク規模が大きくなった際に拡張性の問題や計算の複雑化に伴う問題を回避できる光ネットワーク制御システム、光ネットワーク制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
(1)本発明は、トランスペアレントまたはトランスルーセント光ネットワークが複数接続されたマルチリンクまたはマルチドメイン光ネットワークにおける光ネットワーク制
御システムであって、始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する品質計算手段(例えば、図2の品質計算部120に相当)と、リーチ可能な経路のうち、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する検索手段(例えば、図2の検索部130に相当)と、該波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する波長計算手段(例えば、図2の波長計算部140に相当)と、前記品質計算手段と波長計算手段において得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する情報送信手段(例えば、図2の情報送信部150に相当)と、を備え、前記ボーダノードXa1およびXa2が、前記送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインX内の各ノードに公告する公告手段と、前記ソースノードS1が、ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する経路決定手段(例えば、図3の経路決定部210に相当)と、該決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信するシグナリングメッセージ送信手段(例えば、図3の送信部220に相当)と、を備え、始端ドメインのボーダノード以外のボーダノードが、前記シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定する経路設定手段と、を備えたことを特徴とする光ネットワークシステムを提案している。
【0008】
この発明によれば、始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2の品質計算手段が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する。検索手段は、計算されたリーチ可能な経路すべてにおいて、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する。波長計算手段は、波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する。情報送信手段は、品質計算手段と波長計算手段において得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する。ボーダノードXa1およびXa2の公告手段は、送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをドメインX内の各ノードに公告する。ソースノードS1の経路決定手段は、ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する。シグナリングメッセージ送信手段は、決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する。始端ドメインのボーダノード以外のボーダノード(例えばYb1,Yb2)の経路設定手段は、シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定する。したがって、マルチリングあるいはマルチドメイン波長スイッチング光ネットワークにおいて、PCEを用いずに自律的に経路計算が可能となるため、比較的大規模な光ネットワークにおいても、予備経路探索や自動障害復旧が高速に実現でき、PCEPなどの新たなプロトコル実装が必要でなくなる。
【0009】
(2)本発明は、(1)の光ネットワーク制御システムについて、前記品質計算手段が、あるノード間におけるすべての経路の光信号対雑音比(OSNR)を計算し、OSNRがもっとも小さな経路の品質情報を選択することを特徴とする光ネットワーク制御システムを提案している。
【0010】
この発明によれば、品質計算手段が、あるノード間(例えばボーダノードYb1やYb2から終端ノードD1までの)におけるすべての経路の光信号対雑音比(OSNR)を計算し、OSNRがもっとも小さな経路の品質情報を選択する。すなわち、光信号対雑音比を品質のファクターとすることにより、的確に、始端ドメイン以外のドメインの品質情報(最悪値)を始端ドメインの始端ノードに通知することが可能となる。
【0011】
(3)本発明は、(1)の光ネットワーク制御システムについて、前記情報送信手段が、すべての経路情報でなく、集約された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをBGP−TEのアップデートメッセージに格納して、前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信することを特徴とする光ネットワーク制御システムを提案している。
【0012】
この発明によれば、情報送信手段が、すべての経路情報でなく、集約された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをBGP−TEのアップデートメッセージに格納して、ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する。したがって、既存の通信プロトコルを利用することにより、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信することができる。
【0013】
(4)本発明は、(3)の光ネットワーク制御システムについて、前記BGP−TEのアップデート周期が、波長情報が更新されたタイミングで交換される場合には、品質情報と波長連続性を満たす波長情報との送信を行わないことを特徴とする光ネットワーク制御システムを提案している。
【0014】
この発明によれば、BGP−TEのアップデート周期が、波長情報が更新されたタイミングで交換される場合には、品質情報と波長連続性を満たす波長情報との送信を行わない。つまり、波長情報が更新されたタイミングでは、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とが更新されるため、最新の情報を送信するように、送信を制御する。
【0015】
(5)本発明は、(1)の光ネットワーク制御システムについて、前記経路決定手段が、いくつかのボーダノードのうち、より大きなOSNR値を品質情報として公告し、かつ波長連続性を満たす波長情報を公告したボーダノードをインタードメインリンクとして選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定することを特徴とする光ネットワーク制御システムを提案している。
【0016】
この発明によれば、経路決定手段が、いくつかのボーダノードのうち、より大きなOSNR値を品質情報として公告し、かつ波長連続性を満たす波長情報を公告したボーダノードをインタードメインリンクとして選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定する。すなわち、大きなOSNR値を持ち品質がよく、かつ波長連続性を満たすインタードメインリンクを選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定することにより、的確に、OSNR値が大きい経路を決定することができる。
【0017】
(6)本発明は、(1)の光ネットワーク制御システムについて、前記シグナリングメッセージ送信手段が、シグナリングプロトコルのERO(Explicit Route Object)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送信することを特徴とする光ネットワーク制御システムを提案している。
【0018】
この発明によれば、シグナリングメッセージ送信手段が、シグナリングプロトコルのERO(Explicit Route Object)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送信する。したがって、既存の通信プロトコルを利用することにより、決定したボーダノードまでの経路情報を送信することができる。
【0019】
(7)本発明は、トランスペアレントまたはトランスルーセント光ネットワークが複数接続されたマルチリンクまたはマルチドメイン光ネットワークにおける光ネットワーク制御方法であって、始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する第1のステップ(例えば、図4のステップS101に相当)と、リーチ可能な経路のうち、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する第2のステップ(例えば、図4のステップS102に相当)と、該波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する第3のステップ(例えば、図4のステップS103に相当)と、前記第1のステップと第3のステップにおいて得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する第4のステップ(例えば、図4のステップS104に相当)と、前記ボーダノードXa1およびXa2が、前記送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインX内の各ノードに公告する第5のステップ(例えば、図4のステップS105に相当)と、前記第1のステップから第5のステップを始端ドメインから終端ドメインまでの隣接ドメイン間で実行する第6のステップ(例えば、図4のステップS106に相当)と、ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、ソースノードS1が、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する第7のステップ(例えば、図4のステップS107に相当)と、ソースノードS1が、該決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する第8のステップ(例えば、図4のステップS108に相当)と、始端ドメインのボーダノード以外のボーダノードが、前記シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定する第9のステップ(例えば、図4のステップS109に相当)と、前記決定した経路情報にもとづいて、前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を設定する第10のステップ(例えば、図4のステップS110に相当)と、を備えたことを特徴とする光ネットワーク制御方法を提案している。
【0020】
この発明によれば、始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択し、リーチ可能な経路のうち、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索し、波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算して、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する。ボーダノードXa1およびXa2は、送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをドメインX内の各ノードに公告する。こうした上記の処理を始端ドメインから終端ドメインまでの隣接ドメイン間で実行する。ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、ソースノードS1は、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定し、決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する。始端ドメインのボーダノード以外のボーダノード(例えばYb1,Yb2)は、シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定し、決定した経路情報にもとづいて、ソースノードS1から終端ノードD1までの経路を設定する。したがって、マルチリングあるいはマルチドメイン波長スイッチング光ネットワークにおいて、PCEを用いずに自律的に経路計算が可能となるため、比較的大規模な光ネットワークにおいても、予備経路探索や自動障害復旧が高速に実現でき、PCEPなどの新たなプロトコル実装が必要でなくなる。
【0021】
(8)本発明は、(7)の光ネットワーク制御方法について、前記第1のステップにおいて、あるノード間におけるすべての経路の光信号対雑音比(OSNR)を計算し、OSNRがもっとも小さな経路の品質情報を選択することを特徴とする光ネットワーク制御方法を提案している。
【0022】
この発明によれば、第1のステップにおいて、あるノード間(例えばボーダノードYb1やYb2から終端ノードD1までの)におけるすべての経路の光信号対雑音比(OSNR)を計算し、OSNRがもっとも小さな経路の品質情報を選択する。すなわち、光信号対雑音比を品質のファクターとすることにより、的確に、始端ドメイン以外のドメインの品質情報(最悪値)を始端ドメインの始端ノードに通知することが可能となる。
【0023】
(9)本発明は、(7)の光ネットワーク制御方法について、前記第4のステップにおいて、すべての経路情報でなく、集約された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをBGP−TEのアップデートメッセージに格納して、前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信することを特徴とする光ネットワーク制御方法を提案している。
【0024】
この発明によれば、第4のステップにおいて、すべての経路情報でなく、集約された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをBGP−TEのアップデートメッセージに格納して、ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する。したがって、既存の通信プロトコルを利用することにより、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信することができる。
【0025】
(10)本発明は、(9)の光ネットワーク制御方法について、前記BGP−TEのアップデート周期が、波長情報が更新されたタイミングで交換される場合には、品質情報と波長連続性を満たす波長情報との送信を行わないことを特徴とする光ネットワーク制御方法を提案している。
【0026】
この発明によれば、BGP−TEのアップデート周期が、波長情報が更新されたタイミングで交換される場合には、品質情報と波長連続性を満たす波長情報との送信を行わない。つまり、波長情報が更新されたタイミングでは、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とが更新されるため、最新の情報を送信するように、送信を制御する。
【0027】
(11)本発明は、(7)の光ネットワーク制御方法について、前記第9のステップにおいて、いくつかのボーダノードのうち、より大きなOSNR値を品質情報として公告し、かつ波長連続性を満たす波長情報を公告したボーダノードをインタードメインリンクとして選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定することを特徴とする光ネットワーク制御方法を提案している。
【0028】
この発明によれば、第9のステップにおいて、いくつかのボーダノードのうち、より大きなOSNR値を品質情報として公告し、かつ波長連続性を満たす波長情報を公告したボーダノードをインタードメインリンクとして選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定する。すなわち、大きなOSNR値を持ち品質がよく、かつ波長連続性を満たすインタードメインリンクを選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定することにより、的確に、OSNR値が大きい経路を決定することができる。
【0029】
(12)本発明は、(7)の光ネットワーク制御方法について、前記第8のステップのステップにおいて、前記ソースノードS1は、シグナリングプロトコルのERO(Explicit Route Object)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送信することを特徴とする光ネットワーク制御方法を提案している。
【0030】
この発明によれば、第8のステップのステップにおいて、ソースノードS1は、シグナリングプロトコルのERO(Explicit Route Object)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送信する。したがって、既存の通信プロトコルを利用することにより、決定したボーダノードまでの経路情報を送信することができる。
【0031】
(13)本発明は、トランスペアレントまたはトランスルーセント光ネットワークが複数接続されたマルチリンクまたはマルチドメイン光ネットワークにおける光ネットワーク制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の他の各ノードへの経路のうち、もっとも品質のよい経路を計算する第1のステップ(例えば、図4のステップS101に相当)と、該計算された経路において、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する第2のステップ(例えば、図4のステップS102に相当)と、該波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する第3のステップ(例えば、図4のステップS103に相当)と、前記第1のステップと第3のステップにおいて得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する第4のステップ(例えば、図4のステップS104に相当)と、前記ボーダノードXa1およびXa2が、前記送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインX内の各ノードに公告する第5のステップ(例えば、図4のステップS105に相当)と、前記第1のステップから第5のステップを始端ドメインから終端ドメインまでの隣接ドメイン間で実行する第6のステップ(例えば、図4のステップS106に相当)と、ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、ソースノードS1が、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する第7のステップ(例えば、図4のステップS107に相当)と、ソースノードS1が、該決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する第8のステップ(例えば、図4のステップS108に相当)と、始端ドメインのボーダノード以外のボーダノードが、前記シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定する第9のステップ(例えば、図4のステップS109に相当)と、前記決定した経路情報にもとづいて、前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を設定する第10のステップ(例えば、図4のステップS110に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0032】
この発明によれば、始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択し、リーチ可能な経路のうち、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索し、波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算して、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する。ボーダノードXa1およびXa2は、送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをドメインX内の各ノードに公告する。こうした上記の処理を始端ドメインから終端ドメインまでの隣接ドメイン間で実行する。ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、ソースノードS1は、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定し、決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する。始端ドメインのボーダノード以外のボーダノード(例えばYb1,Yb2)は、シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定し、決定した経路情報にもとづいて、ソースノードS1から終端ノードD1までの経路を設定する。したがって、マルチリングあるいはマルチドメイン波長スイッチング光ネットワークにおいて、PCEを用いずに自律的に経路計算が可能となるため、比較的大規模な光ネットワークにおいても、予備経路探索や自動障害復旧が高速に実現でき、PCEPなどの新たなプロトコル実装が必要でなくなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、マルチリングあるいはマルチドメイン波長スイッチング光ネットワークにおいて、PCEを用いずに自律的に経路計算が可能となるため、比較的大規模な光ネットワークにおいても、予備経路探索や自動障害復旧が高速に実現でき、PCEP(Path Computation Element Protocol)などの新たなプロトコル実装が必要でなくなるという効果がある。さらに、従来できなかった品質や波長連続性の制約条件をマルチドメインの環境下で満足することが可能となり、またボーダノードのリジェネレータの使用可否の自動的な計算やリジェネレータを含む波長パス制御が可能となるため、光のネットワークの自動制御に関して拡張性、柔軟性、運用性、信頼性の向上が期待できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る光ネットワーク制御システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る終端側のドメイン内のボーダノードの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るソースノードの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ネットワーク制御システムの処理を示す図である。
【図5】従来例に係る光ネットワーク制御システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0036】
図1から図4を用いて、本発明の光ネットワーク制御システムに係る実施形態について説明する。なお、本発明は、トランスペアレントまたはトランスルーセント光ネットワークが複数接続されたマルチリンクまたはマルチドメイン光ネットワークにおける光ネットワーク制御システムに関するものであるが、本実施形態においては、理解を容易にするために、2つのドメインからなるマルチドメイン光ネットワークを例に説明する。
【0037】
<光ネットワーク制御システムの構成>
本実施形態に係る光ネットワーク制御システムは、図1に示すように、ドメインAとドメインBとからなるマルチドメイン光ネットワークである。ドメインAは、ソースノードS1とボーダノードA1、A2とを含む複数のノードからなる。ドメインBは、終端ノードD1とボーダノードB1、B2とを含む複数のノードからなる。また、ボーダノードA1、A2、B1、B2には、リジェネレータ群Rがそれぞれ設けられ、ボーダノードA1とボーダノードB1間、ボーダノードA2とボーダノードB2間には、インタードメインリンクが張られている。
【0038】
<ボーダノードの構成>
本実施形態に係るボーダノードB1、B2は、図2に示すように、集約情報記憶部110と、品質計算部120と、検索部130と、波長計算部140と、情報送信部150とから構成されている。
【0039】
集約情報記憶部110は、ドメイン内の各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報等を記憶保持する。品質計算部120は、自網内で公告されている品質情報を基に、B1または、B2からドメインB内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する。
【0040】
検索部130は、計算されたリーチ可能な経路すべてにおいて、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する。波長計算部140は、波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する。情報送信部150は、品質計算部120と波長計算部140において得られた、すべての経路情報でなく、集約された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをドメインBに隣接する始端側のドメインAのボーダノードA1およびA2に送信する。
【0041】
<ソースノードの構成>
本実施形態に係るソースノードS1は、図3に示すように、経路決定部210と、送信部220とから構成されている。
【0042】
経路決定部210は、ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する。
【0043】
送信部220は、シグナリングプロトコルのERO(Explicit Route Object)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送信する。
【0044】
<光ネットワーク制御システムの処理>
図4を用いて、本実施形態に係る光ネットワーク制御システムの処理について説明する。
【0045】
まず、前提として、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持している。
【0046】
ボーダノードB1およびB2は、自網内で公告されている品質情報を基に、B1または、B2からドメインB内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する(ステップS101)。
【0047】
ボーダノードB1およびB2は、計算されたリーチ可能な経路すべてにおいて、波長の連続性を満たす波長(複数も可)があるか否かを検索する(ステップS102)。ボーダノードB1およびB2は、波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する(ステップS103)。
【0048】
ボーダノードB1およびB2は、ステップS101とステップS103において得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを(BGP−TE)のアップデートメッセージに格納して、ドメインBに隣接する始端側のドメインAのボーダノードA1およびA2に送信する(ステップS104)。
【0049】
なお、BGP−TEのアップデートの周期が、波長情報が更新されたタイミング(例えばドメインBで波長が使われた場合など)で交換される場合は、シグナリングプロトコルの格納は行わない。通常のBGPのアップデート周期を用いる場合は、シグナリングプロトコルにOSNR値を転送可能なオブジェクトをパスメッセージに追加する。
【0050】
ボーダノードA1およびA2は、ドメインBの集約情報(最も高いOSNR値と波長連続性を満たす波長情報)をドメインA内にOSPF−TEを用いて公告する(ステップS105)。
【0051】
ソースノードS1へソースノードS1−終端ノードD1間の波長パス設定要求があると、ソースノードS1は、ドメインA内の情報とドメインBの集約情報とに基づいて、どちらのインタードメインリンク(どのボーダノード)を経由して経路設定すべきかを決定する(ステップS107)。決定手法としては、リジェネレータの使用を少なくするために、OSNR値が最大となる経路を選択する場合などが考えられる。
【0052】
ソースノードS1は、シグナリングプロトコル(RSVP−TE)のExplicit route object(ERO)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送出する(ステップS108)。
【0053】
ボーダノードB1またはB2にシグナリングメッセージが到着すると、ドメインB内の経路計算をもう一度行うか、保持している経路情報に基づいて、終端ノードD1までの経路を設定する(ステップS109、S110)。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態によれば、マルチリングあるいはマルチドメイン波長スイッチング光ネットワークにおいて、PCEを用いずに自律的に経路計算が可能となるため、比較的大規模な光ネットワークにおいても、予備経路探索や自動障害復旧が高速に実現でき、PCEPなどの新たなプロトコル実装が必要でなくなる。
【0055】
なお、光ネットワーク制御システムの処理をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを光ネットワーク制御システムに読み込ませ、実行することによって本発明の光ネットワーク制御システムを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0056】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されても良い。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0057】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0058】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
A1;ボーダノード
A2;ボーダノード
B1;ボーダノード
B2;ボーダノード
S1;ソースノード
D1;終端ノード
R;リジェネレータ群
110;集約情報記憶部
120;品質計算部
130;検索部
140;波長計算部
150;情報送信部
210;経路決定部
220;送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスペアレントまたはトランスルーセント光ネットワークが複数接続されたマルチリンクまたはマルチドメイン光ネットワークにおける光ネットワーク制御システムであって、
始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、
隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、
自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する品質計算手段と、
リーチ可能な経路のうち、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する検索手段と、
該波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する波長計算手段と、
前記品質計算手段と波長計算手段において得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する情報送信手段と、
を備え、
前記ボーダノードXa1およびXa2が、
前記送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインX内の各ノードに公告する公告手段と、
前記ソースノードS1が、ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する経路決定手段と、
該決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信するシグナリングメッセージ送信手段と、
を備え、
始端ドメインのボーダノード以外のボーダノードが、前記シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定する経路設定手段と、
を備えたことを特徴とする光ネットワークシステム。
【請求項2】
前記品質計算手段が、あるノード間におけるすべての経路の光信号対雑音比(OSNR)を計算し、OSNRがもっとも小さな経路の品質情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の光ネットワーク制御システム。
【請求項3】
前記情報送信手段が、すべての経路情報でなく、集約された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをBGP−TEのアップデートメッセージに格納して、前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信することを特徴とする請求項1に記載の光ネットワーク制御システム。
【請求項4】
前記BGP−TEのアップデート周期が、波長情報が更新されたタイミングで交換される場合には、品質情報と波長連続性を満たす波長情報との送信を行わないことを特徴とする請求項3に記載の光ネットワーク制御システム。
【請求項5】
前記経路決定手段が、いくつかのボーダノードのうち、より大きなOSNR値を品質情報として公告し、かつ波長連続性を満たす波長情報を公告したボーダノードをインタードメインリンクとして選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定することを特徴とする請求項1に記載の光ネットワーク制御システム。
【請求項6】
前記シグナリングメッセージ送信手段が、シグナリングプロトコルのERO(Explicit Route Object)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送信することを特徴とする請求項1に記載の光ネットワーク制御システム。
【請求項7】
トランスペアレントまたはトランスルーセント光ネットワークが複数接続されたマルチリンクまたはマルチドメイン光ネットワークにおける光ネットワーク制御方法であって、
始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、
隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する第1のステップと、
リーチ可能な経路のうち、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する第2のステップと、
該波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する第3のステップと、
前記第1のステップと第3のステップにおいて得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する第4のステップと、
前記ボーダノードXa1およびXa2が、前記送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインX内の各ノードに公告する第5のステップと、
前記第1のステップから第5のステップを始端ドメインから終端ドメインまでの隣接ドメイン間で実行する第6のステップと、
ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、ソースノードS1が、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する第7のステップと、
ソースノードS1が、該決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する第8のステップと、
始端ドメインのボーダノード以外のボーダノードが、前記シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定する第9のステップと、
前記決定した経路情報にもとづいて、前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を設定する第10のステップと、
を備えたことを特徴とする光ネットワーク制御方法。
【請求項8】
前記第1のステップにおいて、あるノード間におけるすべての経路の光信号対雑音比(OSNR)を計算し、OSNRがもっとも小さな経路の品質情報を選択することを特徴とする請求項7に記載の光ネットワーク制御方法。
【請求項9】
前記第4のステップにおいて、すべての経路情報でなく、集約された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とをBGP−TEのアップデートメッセージに格納して、前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信することを特徴とする請求項7に記載の光ネットワーク制御方法。
【請求項10】
前記BGP−TEのアップデート周期が、波長情報が更新されたタイミングで交換される場合には、品質情報と波長連続性を満たす波長情報との送信を行わないことを特徴とする請求項9に記載の光ネットワーク制御方法。
【請求項11】
前記第9のステップにおいて、いくつかのボーダノードのうち、より大きなOSNR値を品質情報として公告し、かつ波長連続性を満たす波長情報を公告したボーダノードをインタードメインリンクとして選択し、入力信号光の光信号対雑音比(OSNR)が最大となる前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を決定することを特徴とする請求項7に記載の光ネットワーク制御方法。
【請求項12】
前記第8のステップのステップにおいて、前記ソースノードS1は、シグナリングプロトコルのERO(Explicit Route Object)に決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記述し、シグナリングメッセージを送信することを特徴とする請求項7に記載の光ネットワーク制御方法。
【請求項13】
トランスペアレントまたはトランスルーセント光ネットワークが複数接続されたマルチリンクまたはマルチドメイン光ネットワークにおける光ネットワーク制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
始端ドメイン内のソースノードS1から終端ドメイン内の終端ノードD1へパス設定する場合に、各ドメイン内では、各リンクの波長アベイラビリティー情報や品質情報、各ノードのリジェネレータアベイラビリティー情報が公告されており、どのノードもそれらの情報を保持しており、
隣接するドメインにおいて、終端側のドメイン内のボーダノードYb1およびYb2が、自網内で公告されている品質情報を基に、Yb1または、Yb2からドメインY内の終端ノードD1へリーチ可能な経路の品質(OSNR)を計算し、もっとも品質の悪い経路のOSNRを選択する第1のステップと、
リーチ可能な経路のうち、波長の連続性を満たす波長があるか否かを検索する第2のステップと、
該波長の連続性を満たす波長を検索した場合に、その波長を計算する第3のステップと、
前記第1のステップと第3のステップにおいて得られた、品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインYに隣接する始端側のドメインXのボーダノードXa1およびXa2に送信する第4のステップと、
前記ボーダノードXa1およびXa2が、前記送信された品質情報と波長連続性を満たす波長情報とを前記ドメインX内の各ノードに公告する第5のステップと、
前記第1のステップから第5のステップを始端ドメインから終端ドメインまでの隣接ドメイン間で実行する第6のステップと、
ソースノードS1に終端ノードD1までの波長パス設定要求がある場合に、ソースノードS1が、各ドメインの品質情報と波長連続性を満たす波長情報とに基づいて、2つのインタードメインリンクのうち、どちらのインタードメインリンクを経由して経路設定すべきかを決定する第7のステップと、
ソースノードS1が、該決定したボーダノードまでの経路情報を明示的に記載したシグナリングメッセージを送信する第8のステップと、
始端ドメインのボーダノード以外のボーダノードが、前記シグナリングメッセージを受信したときに、各ドメイン内の経路計算をもう一度行って、終端ノードD1までの経路を設定するか、あるいは保持している経路情報を基に、終端ノードD1までの経路を設定するかを決定する第9のステップと、
前記決定した経路情報にもとづいて、前記ソースノードS1から前記終端ノードD1までの経路を設定する第10のステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−213052(P2012−213052A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77866(P2011−77866)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】