説明

光ピックアップ装置およびその組み立て方法

【課題】本発明は、部品点数や装置全体の厚みを抑えながら、アクチュエータの性能を決める弾性支持部材の保護と可動量の規制とを効果的に実現することができる光ピックアップ装置およびその組み立て方法を提供する。
【解決手段】本発明の光ピックアップ装置は、アクチュエータ1のレンズホルダーには可動量規制手段11が設けられており、可動量規制手段11が筐体2の天井面側に動くことを防止する可動量規制手段21と、筐体2の内壁とが、一体的に設けられている。これにより、可動量規制手段11と可動量規制手段21とが接触することで、レンズホルダー10の可動量を規制できる。また、可動量規制手段21は、アクチュエータ1を保護するアクチュエータ保護手段として使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクを記録媒体として再生または記録を行う光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ピックアップ装置は、コンパクトディスク(Compact Disc、略称:CD)およびデジタル多機能ディスク(Digital Versatile Disc、略称:DVD)などの光記録媒体に対して、情報の記録または再生を行う光記録媒体記録再生装置に搭載される。
【0003】
図6は、光ディスクを記録媒体として使用する従来技術の光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。図6(a)は光ピックアップ装置の上面図であり、図6(b)は光ピックアップ装置の正面図である。図6に示すように、光ピックアップ装置は、対物レンズ110と、アクチュエータと、光源130と、立上げミラー131およびコリメータレンズ132などを含む光学部品と、これら部品を内蔵し搭載した筐体120とを備えている。
【0004】
また、上記アクチュエータは、光ディスク112に情報を記録するため、または、光ディスク112に記録された情報を再生するために、以下に示す、フォーカス方向駆動手段及びチルト方向駆動手段を有している。即ち、上記アクチュエータは、対物レンズ110から検知される光ビーム130’を光ディスク112上での最適な焦点位置に制御するフォーカス方向駆動手段や、特定のトラックを追従するトラッキング方向駆動手段などを有し、場合によっては、光ディスク112の傾きに対応して対物レンズ110を傾かせるチルト方向駆動手段を有している。
【0005】
上記フォーカス方向駆動手段としては、フォーカスコイル105と磁石103とを使用した駆動機構により、対物レンズ110を保持しているレンズホルダー101を光軸方向へ動作させ、光ディスク112上の光ビームスポットの焦点を一致させるように追従させる。
【0006】
また、上記トラッキング方向駆動手段としては、トラッキングコイル106と磁石103とを使用した駆動機構により、対物レンズ110を保持しているレンズホルダー101を光軸と直交する方向へ動作させ、光ディスク112上の特定のトラックに光ビームスポットを追従させる。
【0007】
ここで、レンズホルダー101は、アクチュエータのベースプレート107に支持されており、そのベースプレート107への支持方法として、例えば、互いに平行に配置された上下左右4本の弾性支持体104により、レンズホルダー101を片持支持する。なお、フォーカスコイル105および磁石103によって発生する駆動力により、弾性支持体104の曲がり変形を起こすことで、レンズホルダー101をフォーカス方向へ駆動可能になっている。同様に、トラッキングコイル106および磁石103によって発生する駆動力により、弾性支持体104の曲がり変形を起こすことで、レンズホルダー101をトラッキング方向へ駆動可能になっている。
【0008】
また、上記互いに平行に配置された上下左右4本の弾性支持体104の他方端を固定支持する支持部材102を搭載するベースプレート107の傾きを変えることで、上記対物レンズ110の傾きを最適な姿勢に調整する。
【0009】
半導体レーザなどの光源130から出射する光ビーム130’は、コリメータレンズ132を介して立上げミラー131で進路を変え、さらに対物レンズ110を通して光ディスク112の信号面に集光される。
【0010】
また、図6(b)に示すように、アクチュエータの保護手段として、筐体120の天面側には、当該アクチュエータを覆うカバー111が設置されている。この場合、立上げミラー106に対して略直上に対物レンズ110を位置させる必要があるため、アクチュエータは、筐体120の天面側(カバー111が設置された側)より挿入される。つまり、筐体120の天井面側の上方開口部からアクチュエータおよび光学部品などを組み立てた後に、その上方から、アクチュエータの保護手段となり、且つ、レンズホルダー101の可動量制限手段にも用いられるカバー111を取り付ける。
【0011】
なお、アクチュエータの保護手段(レンズホルダーの可動量規制手段を含む)となるカバーの設置方法として、特許文献1に係る発明では、アクチュエータを保護するカバーと筐体とが別体に構成されている。このため、使用時の振動など外乱によってカバーの浮き、外れ、変形の可能性があり、カバーに可動量制限手段を持たせた場合、設定可動量を超えて可動してアクチュエータが破損する可能性もある。
【0012】
また、特許文献2に係る発明では、アクチュエータを覆う筐体(カバー)と、光学部品を載せる部分の筐体が別体になっており、且つ2つの筐体の接合部分にラビリンス構造を構成する形状が広範囲に必要になっている。このため、安価で薄型の構造が容易ではない。
【0013】
上記特許文献1,2に係る発明に比べ、特許文献3に係る発明では、筐体とアクチュエータの全体あるいは一部を天面より保護する手段とを一体的に構成し、またフォーカス方向の可動量も上記保護手段で自在に設定できる。但し、特許文献3の構成によれば、フォーカスコイル105および磁石103によって発生する駆動力により、弾性支持体104の曲がり変形を起こすことで、レンズホルダー101をフォーカス方向へ駆動可能になっている。同様に、トラッキングコイル106および磁石103によって発生する駆動力により、弾性支持体104の曲がり変形を起こすことで、レンズホルダー101をトラッキング方向へ駆動可能になっている。ブルーレイディスク(Blu−ray Disc(登録商標)、略称:BD)などの対物レンズの作動距離が短いディスクメディアには、保護手段部分の肉厚が薄くなりすぎて、記録/再生の実現が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−85493号公報 (公開日:1995年3月31日)
【特許文献2】特開2005−216329号公報(公開日:2005年8月11日)
【特許文献3】特開2006−12302号公報 (公開日:2006年1月12日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、従来のような構成によれば、アクチュエータの保護手段として別体のカバーが使用されたり、少なくとも筐体の一部がカバーと一体化される場合にあっても、カバー部分の浮き、外れ、変形の懸念がある。
【0016】
また、アクチュエータの保護手段となるカバーなどをレンズホルダーの可動量規制手段として用いるが、上記従来技術の構成には、カバーの側面から見て、カバー部分の浮き、外れ、変形により可動量規制が無効になる懸念や、対物レンズの作動距離の短いディスクメディアには天面カバーと筐体との一体化が非常に困難になるなどの問題がある。
【0017】
そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、部品点数や装置全体の厚みを抑えながら、アクチュエータの性能を決める弾性支持部材の保護と可動量の規制とを効果的に実現することができる光ピックアップ装置およびその組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の光ピックアップ装置は、上記課題を解決するために、記録媒体上に光ビームを集光する対物レンズ、当該対物レンズを保持して変位させるレンズホルダー、当該レンズホルダーを駆動可能となるように支持する弾性支持部材、及び、当該弾性支持部材の一端を固定するベース部材を備えるアクチュエータと、記録媒体からの戻り光を受光する光学部品とが、筐体に搭載されてなる光ピックアップ装置であって、上記レンズホルダーには第1の可動量規制手段が設けられており、上記第1の可動量規制手段が上記筐体の天面側に動くことを防止する第2の可動量規制手段と、上記筐体の内壁とが、一体的に設けられていることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、上記第1の可動量規制手段が上記筐体の天面側に動くことを防止する第2の可動量規制手段と、上記筐体の内壁とが、一体的に設けられている。よって、筐体の内壁に一体的に設けられた第2の可動量規制手段は、アクチュエータのレンズホルダーに設けられた第1の可動量規制手段に対応しそれと組み合わせて、アクチュエータのレンズホルダーの可動量を制限できる。即ち、第1の可動量規制手段と第2の可動量規制手段とが接触することで、レンズホルダーの可動量を規制できる。
【0020】
また、上記第2の可動量規制手段は、上記アクチュエータを保護するアクチュエータ保護手段として使用することもできる。
【0021】
従って、レンズホルダーの可動量を制限するための別体部品を設置する必要がなく、且つ部品点数や光ピックアップ装置の厚みを抑えながら、アクチュエータの性能を決める弾性支持体の保護と可動量の規制とを効果的に実現することが可能となり、光ピックアップ装置の小型化が実現できる。
【0022】
また、筐体にレンズホルダーの可動量の制限手段を設けることで、可動量規制だけでなく、対物レンズのクリーニングなど取り扱いによる弾性支持部材の変形から改善させ、生産性の向上と顧客によるレンズクリーニングによる弊害を低減することが可能となる。
【0023】
好ましくは、上記光ピックアップ装置において、上記アクチュエータを保護するとともに、上記弾性支持部材が上記筐体の天井面側に動くことを防止するアクチュエータ保護手段をさらに備え、上記アクチュエータ保護手段と、上記筐体の内壁とが、一体的に設けられている。
【0024】
この構成によれば、上記弾性支持体を保護する手段を上記筐体の内壁に一体的に設けることで、光ピックアップ装置の厚み方向のサイズを増やすことなく弾性支持体を保護し、性能を維持することが可能となる。
【0025】
好ましくは、上記光ピックアップ装置において、上記ベース部材の表面には、上記光学部品をその底面から保護する第1の保護手段が一体的に設けられている。
【0026】
この構成によれば、上記光学部品をその底面から保護する第1の保護手段を上記アクチュエータに一体的に設けることで、部品点数を増やすことなく、外的要因から光学部品を保護することが可能となる。
【0027】
好ましくは、上記光ピックアップ装置において、上記筐体の天井面側には、記録媒体に付着した異物を除去する異物除去手段が設けられている。
【0028】
この構成によれば、本発明の筐体上にカバーなど別体部品がないので、上記異物除去手段を、対物レンズへの異物付着が低減できる位置に自由に設計することができ、顧客における対物レンズのクリーニング機会を減少させ、商品寿命を向上させることが可能となる。
【0029】
好ましくは、上記光ピックアップ装置において、上記筐体の天井面側に、上記記録媒体と上記筐体との接触を防止するための第2の保護手段が設けられている。
【0030】
この構成によれば、本発明の筐体上にはカバーなど別体部品がないので、上記第2の保護手段を、自由に設計することができ、部品点数を増やすことなく記録媒体の樹脂面傷から保護することができる。
【0031】
好ましくは、上記筐体の底面側には、上記アクチュエータを取り付け可能な開口部が設けられており、上記開口部は、上記開口部の前端部に設けられた軸を支点として開閉される。
【0032】
この構成によれば、上記開口部は、上記開口部の前端部に設けられた軸を支点として開閉されるので、上記アクチュエータを上記開口部に取り付けた後に、上記軸を支点として上記開口部を閉じることにより、上記アクチュエータを筐体の底面側から挿入し、対物レンズが立上げミラーの上方に配置されるように組み立てることができ、組み立て作業をより簡素化することが可能となる。
【0033】
上記光ピックアップ装置の組み立て方法は、上記課題を解決するために、上記開口部を開く工程と、上記アクチュエータを上記開口部に取り付ける工程と、上記開口部を閉じることによって、上記アクチュエータを上記筐体に挿入する工程とを含むことを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、上記アクチュエータを上記筐体に挿入できる。従って、対物レンズが立上げミラーの上方に配置されるように組み立てることができ、組み立て作業をより簡素化することが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の光ピックアップ装置は、以上のように、レンズホルダーには第1の可動量規制手段が設けられており、上記第1の可動量規制手段が筐体の天井面側に動くことを防止する第2の可動量規制手段と、上記筐体の内壁とが、一体的に設けられているものである。
【0036】
それゆえ、部品点数や装置全体の厚みを抑えながら、アクチュエータの性能を決める弾性支持部材の保護と可動量の規制とを効果的に実現することができる光ピックアップ装置およびその組み立て方法を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置の構成を示す概略平面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図2】図1の光ピックアップ装置を構成するアクチュエータと、光学部品が装着された筐体とを別々に示した斜視図である。
【図3】図2における構成を組み立てた後の構成を示す斜視図である。
【図4】図2における構成を組み立てる途中の様子を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置の変形構成を示す概略図である。
【図6】従来技術に係る光ピックアップ装置の構成を示す概略平面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、この実施形態に記載されている構成部品の形状、その相対配置などは、特に限定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、本発明の各実施の形態において、同じ構成を有するものに対しては、同じ名称かつ同じ符号を付けて説明する。
【0039】
(光ピックアップ装置の構成)
まず、図1,2を参照して、本発明の実施の形態における光ピックアップ装置の構成を詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態における光ピックアップ装置を示す概略構成図である。図1(a)は上面図であり、図1(b)は正面図である。図2は、アクチュエータ1と、筐体2との構成を単独に示した斜視図である。
【0040】
図1(a),(b)に示すように、本実施の形態による光学ピックアップ装置は、対物レンズ10’と、光学部品と、アクチュエータ1と、これら部品を搭載するための筐体2とを備えている。
【0041】
対物レンズ10’は、記録媒体40に光ビーム(図示せず)を集光する。ここで、記録媒体として、コンパクトディスク(Compact Disc、略称:CD)、デジタル多機能ディスク(Digital Versatile Disc、略称:DVD)およびブルーレイディスク(Blu−ray Disc(登録商標)、略称:BD)などを用い、半導体レーザなどの光源30(図2を参照)から出射する光ビーム(図示せず)を用いることができる。
【0042】
光学部品は、上記記録媒体からの戻り光を受光するものであり、本実施の形態においては、図2に示すような立上げミラー31およびコリメータレンズ32などを含み、これら光学部品は、上記光源から出射する光ビームが、コリメータレンズ32を介して立上げミラー31に入射し、さらに立上げミラー31で進路を変えてから対物レンズ10’を通して記録媒体の信号面に集光されるように、筐体2の中に搭載されている。
【0043】
アクチュエータ1は、対物レンズ10’を変位させるものである。図1,2に示すように、アクチュエータ1には、対物レンズ10’を保持するレンズホルダー10が配置されている。また、レンズホルダー10には、対物レンズ10’をフォーカス方向に駆動させるためのフォーカスコイル15およびトラッキング方向に駆動させるためのトラッキングコイル16が取り付けられており、磁気回路手段として上記フォーカスコイル15およびトラッキングコイル16挟むように磁石13が取り付けられている。なお、レンズホルダー10およびレンズホルダー10に装着されているフォーカスコイル15、トラッキングコイル16および磁石13は、すべてベースプレート17(ベース部材)に配置されている。
【0044】
ここで、レンズホルダー10のベースプレート17への支持方法として、例えば、レンズホルダー10は、ベースプレート17に取り付け支持された4本の薄い金属板材やワイヤーなどの弾性支持部材14の一端に固定されている。すなわち、互いに平行に配置された上下左右4本のワイヤー状の弾性支持部材14により、レンズホルダー10が片持支持されている。また、この4本の弾性支持部材14の他端は、支持部材12を介してベースプレート17に固定されると共に、ダンピング材を介して支持され、ベースプレート17に対して可動可能になっている。
【0045】
フォーカスコイル15および磁石13によって発生する駆動力により、弾性支持部材14の曲がり変形を起こすことで、レンズホルダー10をフォーカス方向へ駆動可能になっている。同様に、トラッキングコイル16および磁石13によって発生する駆動力により、弾性支持部材14の曲がり変形を起こすことで、レンズホルダー10をトラッキング方向へ駆動可能になっている。
【0046】
なお、レンズホルダー10には、自体の可動量を制限するために用いられる可動量規制手段11(第1の可動量規制手段)が設けられている。図1(a)に示すように、可動量規制手段11は、弾性支持部材14の長さ方向とは法線方向となる方向に設けられている。
【0047】
筐体2は、対物レンズ10’、アクチュエータ1および光学部品を内蔵し搭載するものであり、図2に示すように、上記部品を囲むように形成されたベースフレーム20を備えている。ベースフレーム20の内側壁には、レンズホルダー10の可動量を制限するための可動量規制手段21(第2の可動量規制手段)が設けられている。つまり、可動量規制手段21は、可動量規制手段11と組み合わせてレンズホルダー10の可動量を制限するように、ベースフレーム20の内壁において、可動量規制手段11と対応できる位置に設けられている。
【0048】
ここで、以下、アクチュエータ1の以外の部品、すなわち光源30、立上げミラー31およびコリメータレンズ32などを筐体2に搭載してなる構成を、「筐体2」と略称する。
【0049】
この場合、光ピックアップ装置(アクチュエータ1を含む各部品を筐体2に組み立てた後の装置)において、アクチュエータ1の可動量規制手段11と支持部材12との間に弾性支持部材14が配置されているので、筐体2のベースフレーム20に設けられる可動量規制手段21は、弾性支持部材14と衝突しないように形成される必要がある。
【0050】
本実施の形態においては、可動量規制手段21を、ベースフレーム20の天井面側から底面側に向かってその内壁に設け、アクチュエータ1を筐体2に組み立てた後の構成において、可動量規制手段21が弾性支持部材14に接触しないように、その高さを調整することが好ましい。ここで、上記天井面側および底面側については、下記のように定義する。すなわち、アクチュエータ1(図2を参照)において、レンズホルダー10の対物レンズ10’が搭載されている側を天井面側とし、ベースプレート17が取り付けられている側を底面側とする。同じく、筐体2において、アクチュエータ1を筐体2に組み立てた後の構成(図3を参照)に対し、アクチュエータ1の天井面側と同一の側を天井面側とし、その反対側を底面側とする。
【0051】
そして、アクチュエータ1のレンズホルダー10に設けられた可動量規制手段11と、筐体2のベースフレーム20の内壁に設けられた可動量規制手段21とを組み合わせる。これにより、可動量規制手段11と可動量規制手段21とが接触することで、レンズホルダー10の可動量を規制できる。また、これだけでなく、生産工程または顧客における対物レンズ10’のクリーニングなど取り扱いによる弾性支持部材14の変形を改善させ、生産性の向上と長期信頼性確保を向上させることも可能となる。
【0052】
本実施の形態において、可動量規制手段21は、可動量規制手段11が筐体2の天井面側に動くことを防止するように形成することができるので、上記アクチュエータを保護する手段(弾性支持部材14が筐体2の天井面側に動くことを防止するアクチュエータ保護手段)としても作用する。例えば、可動量規制手段21を、アクチュエータ1の弾性支持部材14の長さ方向に沿って設置して、アクチュエータ1の天井面側から弾性支持部材14を保護するように、筐体2のベースフレーム20に一体的に設置することができる(図3を参照)。これにより、部品点数や光ピックアップ装置の厚みを抑えながら、アクチュエータの性能を決める弾性支持体の保護を効果的に実現することが可能となる。
【0053】
(光ピックアップ装置の組み立て方法)
次に、図1〜4を参照して、アクチュエータ1と筐体2とを組み立てて光ピックアップ装置を構成する方法について説明する。
【0054】
図3は、アクチュエータ1と筐体2とを組み立てた後の構成を示す斜視図であり、すなわち、図2に別々に示されたアクチュエータ1と、筐体2とを組み合わせてなる構成を示す斜視図である。また、図4は、アクチュエータ1を筐体2に組み立てる途中の様子を示す斜視図である。上記のように、筐体2の内壁には、アクチュエータ1における可動量規制手段11に対応して、可動量規制手段11が筐体2の天井面側から底面側に向かって設けられているので、本実施の形態においては、アクチュエータ1を筐体2の底面側から挿入し組み立てて光ピックアップ装置を構成する。
【0055】
つまり、図6に示すような従来の光ピックアップ装置のように、筐体の天井面側の開口部からアクチュエータを挿入し組み立てる方法と異なり、本発明では、筐体2の底面側からアクチュエータ1を挿入し組み立てる方法を用いる。図4に示すように、アクチュエータ1を筐体2の底面側の開口部25から挿入して組み立てる。
【0056】
本発明の実施の形態において、アクチュエータ1の筐体2への組み立て作業をより簡素化するために、以下に示す位置決め部18及び軸24を設けることが好ましい。即ち、アクチュエータ1のベースプレート17の前端部にアクチュエータ1の位置決め部18(図2を参照)に設け、筐体2の底面側における開口部25は、開口部25の前端部に設けられた軸24を支点として開口できる。ここで、軸24は、アクチュエータ1と筐体2とを組み立てるとき、アクチュエータ1の位置決め部18と組み合わせて、筐体2に対し当該位置決め部18にてアクチュエータ1を回転させることができるように、当該位置決め部18に対応して形成される。ここで、前端部とは、アクチュエータ1においては、レンズホルダー10の対物レンズ10’が搭載される部分に近づいている端部、すなわち、図4において、支持部材12と離れた側の端部を指し、筐体2においては、アクチュエータ1を搭載したとき、アクチュエータ1の前端部と同じ側にある端部を指す。
【0057】
そして、位置決め部18を基準としてアクチュエータ1を筐体2の底面側の開口部25に取り付けた後に、筐体2の軸24を支点として開口部25を閉じることにより、アクチュエータ1を筐体2に挿入する。これにより、対物レンズ10’の搭載部が立上げミラー31を回避し、且つ、その上方に配置されるようにする。ここで、軸24として、簡易的な段差でもよいし、勘合させて確実に回転させる構造でもよい。
【0058】
これにより、アクチュエータ1筐体2に装着可能となるため、組み立て作業を簡素化させ、光ピックアップ装置の生産性を改善することができる。
【0059】
ここで、位置決め部18は、アクチュエータ1を取り付け時に立上げミラー31と干渉しない位置に設けることが必要である。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る光ピックアップ装置では、筐体2の底面側には、アクチュエータ1を取り付け可能な開口部25が設けられており、開口部25は、開口部25の前端部に設けられた軸24を支点として開閉される。
【0061】
また、本実施形態に係る光ピックアップ装置の組み立て方法は、開口部25を開く工程と、アクチュエータ1を開口部25に取り付ける工程と、開口部25を閉じることによって、アクチュエータ1を筐体2に挿入する工程とを含む。
【0062】
(光ピックアップ装置の構成の変形形態)
本発明の実施の形態において、上記実施の形態のように、筐体における可動量規制手段をアクチュエータ保護手段として機能させるが、アクチュエータ保護手段は、これに限定されるものではない。例えば、筐体の内側壁に設けられた可動量規制手段とは別体の部品として、アクチュエータを保護するとともに、弾性支持部材14が筐体2の天井面側に動くことを防止するための手段(アクチュエータ保護手段)を、筐体の内壁と一体的に(一体として)設けることも可能である。この場合、筐体の内側壁に設けられた可動量規制手段を、必ず上記実施の形態に説明した位置に設けることに限定されない。つまり、アクチュエータを筐体に組み立てる際に影響を与えない上で、アクチュエータに設けられた可動量規制手段と組み合わせてレンズホルダーの可動量を制御できればよい。
【0063】
このように、アクチュエータ保護手段を筐体の内側壁に設けたので、光ピックアップ装置全体の厚み方向のサイズを増やすことなく、アクチュエータを保護し、性能を維持することができる。
【0064】
ブルーレイディスク(登録商標)など焦点距離が短い記録媒体を記録・再生の対象とする装置の場合では、アクチュエータ保護手段を設置する場所が限られるので、筐体2における可動量規制手段21をアクチュエータ保護手段として機能させることが望ましい。また、ブルーレイディスク(登録商標)以外の、焦点距離があまり短くない記録媒体を記録・再生の対象とする装置については、筐体2における可動量規制手段21とアクチュエータ保護手段とをそれぞれ別体に設置することもできる。別体設置の方が必要な部分のみに弾性支持体4の部分を保護する構成を選択形成することができる。したがって、部品配置の自由度が増し、装置の軽量化が可能となる。
【0065】
また、本発明の実施の形態において、アクチュエータ1のベースプレート17の表面に立上げミラー31の保護手段18’(第1の保護手段、図2を参照)を設けることが好ましい。従来の光ピックアップ装置においては、アクチュエータを、筐体の上方から配置するため、アクチュエータ部品によって立上げミラーなどの光学部品の下部に保護手段を設けることはできなかった。これに対し、上記のように、本発明では、アクチュエータ1を筐体2の底面側から挿入して取り付けることができる。このため、アクチュエータ1の取り付け後に、立上げミラー31などの光学部品の底面(筐体2の底面側にある面)を保護する保護手段18’を設けることができる。つまり、光学部品保護手段を一体化することで、部品点数を増やすことなく、外的要因から光学部品を筐体2の底面側から保護することが可能となる。
【0066】
ここで、立上げミラー31の保護手段18’は、ベースプレート17の前段部が独立した構成になっていて、単にベースプレート17の前端部をそのまま伸ばすのではなく、例えば、Z曲げを入れたり潰しを入れたり、立上げミラー31を設置する高さ方向に配慮した形状が望ましい。
【0067】
つまり、立上げミラー31の保護手段18’は、アクチュエータ1の取り付け後に立上げミラー31を保護可能な位置関係に設けることが必要であるが、立上げミラー31の高さが光学系にも依存するため、ベースプレート17の前段部を単純に延ばすだけでなく、立上げミラー31を設置する高さ方向に配慮した形状が望ましい。
【0068】
また、本発明の実施の形態において、図5に示すように、筐体2の天井面側、かつ、対物レンズ10’より筐体2の天井面の主軸側(光ディスクの回転方向の手前側)に異物除去手段22を形成することが好ましい。この構成により、対物レンズ10’への異物付着を低減し、顧客における対物レンズ10’のクリーニング機会を低減させるため、商品寿命を向上させることが可能となる。また、本発明では、筐体2の上面に、アクチュエータ1を保護するためのカバーなどの別体部品が必要としないため、異物除去手段22の配置位置は自由に設計できる。つまり、異物除去手段22の配置位置および形状として、光ディスク上の異物を除去して対物レンズ10’への異物付着を低減することができれば、特に限定されていない。
【0069】
また、本発明の実施の形態において、図5に示すように、筐体2の天井面側、かつ、対物レンズ10’より筐体2の天井面側の外周側(光ディスクの外周側方向)に、記録媒体40(ディスクメディア、光ディスク)の保護手段23(第2の保護手段)を形成することが好ましい。これにより、部品点数を増やすことなく、記録媒体40の樹脂面傷から保護することができる。また、本発明では、筐体2の上面に、アクチュエータ1を保護するためのカバーなどの別体部品が必要としないため、保護手段23の配置位置は自由に設計できる。なお、筐体2が成形材料などディスクメディア樹脂面の材料より柔らかい材料によって構成されると、更に効果を増加する。
【0070】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の光ピックアップ装置は、部品点数や装置全体の厚みを抑えながら、アクチュエータの性能を決める弾性支持部材の保護と可動量の規制とを効果的に実現することができるので、小型化を目指す光ピックアップ装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 アクチュエータ
10 レンズホルダー
10’ 対物レンズ
11 可動量規制手段(第1の可動量規制手段)
12 支持部材
13 磁石
14 弾性支持部材
15 フォーカスコイル
16 トラッキングコイル
17 ベースプレート(ベース部材)
18 位置決め部
18’ 保護手段(第1の保護手段)
2 筐体
20 ベースフレーム
21 可動量規制手段(第2の可動量規制手段、アクチュエータ保護手段)
22 異物除去手段
23 保護手段(第2の保護手段)
24 軸
25 開口部
30 光源
31 立上げミラー(光学部品)
32 コリメータレンズ(光学部品)
40 記録媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に光ビームを集光する対物レンズ、当該対物レンズを保持して変位させるレンズホルダー、当該レンズホルダーを駆動可能となるように支持する弾性支持部材、及び、当該弾性支持部材の一端を固定するベース部材を備えるアクチュエータと、記録媒体からの戻り光を受光する光学部品とが、筐体に搭載されてなる光ピックアップ装置であって、
上記レンズホルダーには第1の可動量規制手段が設けられており、
上記第1の可動量規制手段が上記筐体の天井面側に動くことを防止する第2の可動量規制手段と、上記筐体の内壁とが、一体的に設けられていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
上記アクチュエータを保護するとともに、上記弾性支持部材が上記筐体の天井面側に動くことを防止するアクチュエータ保護手段をさらに備え、
上記アクチュエータ保護手段と、上記筐体の内壁とが、一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
上記ベース部材の表面には、上記光学部品をその底面から保護する第1の保護手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
上記筐体の天井面側に、記録媒体に付着した異物を除去する異物除去手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
上記筐体の天井面側に、上記記録媒体と上記筐体との接触を防止するための第2の保護手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
上記筐体の底面側には、上記アクチュエータを取り付け可能な開口部が設けられており、
上記開口部は、上記開口部の前端部に設けられた軸を支点として開閉されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光ピックアップ装置の組み立て方法であって、
上記開口部を開く工程と、
上記アクチュエータを上記開口部に取り付ける工程と、
上記開口部を閉じることによって、上記アクチュエータを上記筐体に挿入する工程とを含むことを特徴とする光ピックアップ装置の組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−170906(P2011−170906A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31634(P2010−31634)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】