説明

光ファイバの光伝送特性の制御方法および光ファイバシステム

【課題】光ファイバを用いる光伝送系において、光伝送特性を高速かつ安定に変化させる手段を提供する。
【解決手段】図1に断面を示すようなホーリーファイバの孔中に液晶が充填された液晶充填光ファイバを備えた光ファイバに対して、充填された液晶に磁場を印加して液晶の配向状態を変化させることにより光伝送特性を制御する。充填された液晶は、磁場無印加時はファイバの長さ方向に平行に、または断面内で放射状に配向していて、それぞれファイバの長さ方向に直交する方向、またはファイバの長さ方向の外部磁場を印加して配向状態を変化させる。外部磁場印加手段として磁場発生コイルを用いると、光伝送系は、コイルに流す電流値によって高速にかつ安定して設定、制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外場により光伝送特性を制御可能な光ファイバ、光ファイバシステムおよびその光伝送特性の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送に用いる光ファイバには従来、ドーピング等により屈折率を違えて形成されたコア部とクラッド部とで構成された光ファイバが用いられているが、伝送効率の向上や取り扱い性の改良のため、クラッド部、あるいはコア部およびクラッド部に、配列された複数の孔を有するホーリーファイバが検討されている。ホーリーファイバでは、配列された孔の効果により、フォトニックバンドギャップが生じたり、クラッド部の実効的な屈折率が小さくなって全反射が生じたりすることにより、光が閉じ込められ、効率よく光が伝送される。近年、このようなホーリーファイバの孔部に液晶を充填し、外場により液晶の状態を変化させることにより光伝送特性を制御する開発が始められていて、液晶の状態を変化させる手段として、熱や電場を利用する方法が試みられている。
【0003】
【非特許文献1】T.T.Larsen、他著 Optical Express,Vol.11,No.20,p.2589(2003年)
【非特許文献2】C.Kerbage、他著 Optical Fiber Conference 2002,講演番号;ThK1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホーリーファイバの孔部に充填された液晶の状態を変化させる方法として、熱を用いる方法は、その安定性や応答性に実用上の問題点がある。すなわち、熱を用いて液晶の状態を変化させるのには約10秒を要しスイッチング速度が低速であることが非特許文献2に記述されている。また、温度変動により液晶の配向状態が変化すると光伝送特性が変動する問題がある。
【0005】
また、前記液晶に対して電場を印加して配向状態を変化させる方法については、円形断面で長尺形状のファイバに安定かつ一様な電場を印加することは困難であり、また印加し得る電場の向きも限定されるという問題点もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、第1に、従来技術が有する前述の課題が解決された光ファイバの光伝送特性の制御方法を提供することにあり、第2に、光伝送特性の制御をおこなうことができる光ファイバシステムおよび光ファイバを提供することにある。
本発明は、光ファイバの光伝送特性の制御方法であって、前記光ファイバは、光ファイバの長さ方向に連続な孔を有し前記孔中に液晶が充填された液晶充填光ファイバを備えており、前記液晶に対して外部から磁場を印加して液晶の配向状態を変化させ、液晶充填光ファイバの透過率を変化させることを特徴とする光ファイバの光伝送特性の制御方法を提供する。
【0007】
この場合、前記液晶は磁場を印加しないときは光ファイバの長さ方向に配向していて、前記磁場印加手段により印加される磁場の方向は光ファイバの長さ方向と直交する方向であって、前記磁場の方向と平行な偏光方向の直線偏光の光伝送特性を変化させることが好ましい。
また、前記液晶は磁場を印加しないときは光ファイバの長さ方向と直交する断面内で放射状に配向していて、外部から印加する磁場の方向が光ファイバの長さ方向と平行な方向であることが好ましい。
【0008】
本発明はさらに、光ファイバの長さ方向に連続な孔を有し前記孔中に液晶が充填された液晶充填光ファイバと、前記液晶に対して外部から磁場を印加する磁場印加手段と、を備えていて、前記磁場印加手段により前記液晶に磁場を印加して液晶の配向状態を変化させ、液晶充填光ファイバの透過率を変化させて光伝送特性が制御されることを特徴とする光ファイバシステムを提供する。
【0009】
この場合、前記液晶は磁場を印加しないときは前記光ファイバの長さ方向に配向していて、前記磁場印加手段によって印加される磁場の方向は光ファイバの長さ方向と直交する方向であって、前記磁場の方向と平行な偏光方向の直線偏光の光伝送特性が制御されることが好ましい。
また、前記液晶は磁場を印加しないときは前記光ファイバの長さ方向と直交する断面内で放射状に配向していて、前記磁場印加手段により印加される磁場の方向は光ファイバの長さ方向と平行な方向であることが好ましい。
【0010】
さらにまた、本発明は、光ファイバの長さ方向に連続な孔を有し前記孔中に液晶が充填された液晶充填光ファイバであって、前記孔の表面には液晶を垂直に配向させる垂直配向処理が施されていて、前記液晶は磁場を印加しないときに前記光ファイバの長さ方向と直交する断面内で放射状に配向していることを特徴とする液晶充填光ファイバを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光ファイバの光伝送特性の制御方法によれば、光伝送特性を、高速にかつ安定して制御する制御方法が実現される。また、本発明の光ファイバシステムによれば、光伝送特性を高速かつ安定して制御可能な光ファイバシステムが実現される。さらにまた、磁場を印加しないときの液晶の配向を放射状とし印加する磁場の方向を光ファイバの長さ方向と平行な方向とすると、入射光の偏光方向によらず高速かつ安定に光伝送特性を制御可能な光ファイバが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の光ファイバは、ファイバの長さ方向に連続な孔を有し前記孔中に光学異方性材料が充填された液晶充填光ファイバを備える。かかる液晶充填光ファイバは、ファイバの長さ方向に直交する断面内に規則的に配列されファイバの長さ方向に連続な孔を有するホーリーファイバに光学異方性材料を充填することにより作製される。
用いるホーリーファイバは、フォトニックバンドギャップ型(PBG型)であってもよいし、全反射型(TIR型)であってもよく、また、コア部とクラッド部の両方に空孔を有する中空コア型であってもよいしコア部に中空を有さないタイプであってもよい。
【0013】
前述の孔に充填される光学異方性材料は、磁場により配向を制御できる液晶が好ましく用いられるが、これに限定されず、磁場により複屈折性を制御できる材料であればよい。液晶としてはネマチック液晶が好ましく用いられるが、コレステリック液晶、スメクチック液晶などを始めとする各種の液晶を使用することも可能である。液晶の配向変化により光伝送特性を変化させるためには、常光屈折率と異常光屈折率との屈折率差は0.1以上であることが好ましい。また、使用温度により光伝送特性が大きく変化することがないように、液晶相から等方相への相転移温度が、室温より充分高いことが好ましい。具体的には、60℃以上であることが好ましい。配向制御に必要な磁場強度を低く抑えるためには、金属カルボキシレート系の棒状液晶、フェロセン含有棒状液晶、ジチオチレン系金属錯体の棒状液晶をはじめとする金属錯体の棒状液晶、有機金属錯体のディスコチック液晶、有機ラジカル液晶などが好ましく用いられる。
【0014】
液晶は前記孔の全長にわたって充填されていてもよいが、部分的に充填されていてもよい。液晶を孔中に充填する方法としては、真空注入法が例示される。液晶充填部の長さは、必要な光伝搬特性の変化が得られる範囲で短くすると、液晶充填部により必要以上に光が減衰することを抑えられるので望ましい。液晶充填部の長さは10cm超では充分な透過光の強度が得られないおそれがある。液晶による光の不要な減衰を抑えるためには、2cm以下とすることが好ましい。また、前記孔中に充填された液晶全体に対して磁場を印加し配向を制御することが、必要な光伝送特性の制御幅を得るための液晶充填部の長さを最低限に抑えて不必要な光の減衰を抑えるために好ましいが、本発明により達成される機能を損なわない範囲において、磁場が印加されない液晶充填部があってもよい。
【0015】
ホーリーファイバの孔中に注入された液晶は、孔表面に特に配向処理を施さなくても微細空孔への注入に伴う流動効果により、磁場を印加しないときにファイバ長さ方向に揃った配向となる。また、前記孔表面に配向処理を施すことにより、磁場を印加しないときに特定の方向に揃った液晶配向状態が得られる。例えば、前記孔表面に垂直配向膜を施して、磁場無印加時に液晶分子が孔表面に対して垂直に配列し、ファイバ長さ方向に直交する断面内で放射状の液晶の配向を実現することができる。このような配向制御をおこなうと、素子の応答特性の高速化、安定化や、液晶配向状態を利用した素子が実現される。
【0016】
液晶に対して外部より磁場を印加することにより、液晶の配向状態を変化させることができる。液晶充填光ファイバに充填された液晶の配向状態を変化させると、液晶充填光ファイバの全反射効果、あるいはフォトニックバンドギャップ構造が変化し光閉じ込め効果が変化するので、このことを利用して光伝送特性を制御することができる。液晶の配向状態を変化させる方法として磁場を用いると、光ファイバの光伝送特性を高速にかつ安定して制御することができる。すなわち、液晶の配向状態を熱により制御しようとすると、屈折率などの液晶の物性が温度依存性を有するので、雰囲気の影響を受け易く安定した制御が難しいが、磁場強度による制御では、熱とは異なる外場を利用しているために、所定の範囲で温度が変動しても光伝送特性の変化が実質的に問題とならないように設計することが可能である。また、光伝送特性を変化させる速さは、動作温度、用いる液晶材料、印加する磁場強度、などによるが、室温下で0.1ミリ秒〜数10ミリ秒が例示される。
【0017】
外部から磁場を印加する手段として磁場発生コイルを用いると、磁場強度を電気的に安定かつ高速に制御することが可能であり、さらにコイルの形態やその設置方法により液晶に対する磁場の印加方向を任意に設定することができて好ましい。前記コイルは磁気コアを備えたものであってもよい。また、磁場発生コイルに代えて永久磁石を用いて、液晶充填部との距離を近づけたり離したりして磁場強度を変化させてもよい。
【0018】
外部から印加する磁場の方向と、磁場を印加しないときの液晶の配向状態とを組み合わせると、様々な特性の素子が実現される。例えば、光ファイバの長さ方向と直交する断面内で放射状の配向の液晶をもつ液晶充填光ファイバは偏光方向によらず光を減衰させるので、光ファイバの長さ方向と平行な磁場を発生する磁場発生コイルと組み合わせると、偏光方向によらず光伝播特性を変化させることができる。すなわち、液晶充填光ファイバに入射させる光の偏光方向に依存せずに、あるいは、光ファイバ中を伝播している間に光の偏光方向が保持されなくても、印加する外部磁場により、光伝送特性を制御することができる。
【0019】
本発明の液晶充填光ファイバは、他の光ファイバや他の光素子と接続して用いることができる。接続する他の光ファイバとしては、石英ガラス系のシングルモード光ファイバおよびマルチモード光ファイバ、複屈折材料が充填されていないホーリーファイバ、多成分ガラス光ファイバ、プラスチック光ファイバが例示される。本発明の光ファイバはかかる他の光ファイバや他の光素子に対して、融着結合、接触結合(butt coupling)、光学系による結合などにより接続される。
【0020】
また、本発明の光ファイバは、用いられる光ファイバや充填された液晶により本発明の効果を損なうまで減衰されたり、液晶を劣化させたりしない範囲であれば、いかなる波長の光に対しても適用することができる。また直線偏光以外に、目的に応じて他の偏光状態の光も使用することができる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に限定されない。
【0022】
[例1]
本例の液晶充填光ファイバは、図1に断面構造を示すホーリーファイバ20を用いて作製される。用いるホーリーファイバは外径が125μmで、中心に直径11μmの中空コア21を有する中空コア型であり、コアの周囲の直径約70μmのクラッドの領域22に4μmピッチで直径3.5μmの孔が六方最密構造状に多数配置されていて、孔以外の領域は全て石英ガラスからなる。
【0023】
上記ホーリーファイバを2cmの長さに切断し、その片端をファイバ融着接続器を用いて同一外径の石英ガラス製のシングルモード光ファイバに融着接続する。次いで真空注入法を用いて、前記ホーリーファイバの融着接続されていない側の端部より孔中にネマチック液晶を導入する。すなわち、真空引き可能な容器中に、片端がシングルモード光ファイバに融着接続された前記ホーリーファイバと液晶とを入れて雰囲気を真空引きし、150Paに到達したところでホーリーファイバの融着接続されていない端部をネマチック液晶に浸漬し、次いで大気圧に戻すことによって液晶を孔中に充填させる。キャピラリ現象により液晶は、ホーリーファイバの全長に渡って孔中に充填される。充填された液晶は、微細空孔への注入にともなう流動効果によりファイバの長さ方向に配向する。以上の手順により、液晶充填光ファイバを備えた本例の光ファイバが得られる。なお、液晶は光の波長589nmにおける常光屈折率、異常光屈折率がそれぞれ1.506、1.649のものを用いている。また同波長における石英ガラスの屈折率は1.4585である。
【0024】
孔中に充填された液晶を偏光顕微鏡で観察すると、図2に模式的に表した配向状態を示す。図2は孔中に充填された液晶の一部を、ファイバの長さ方向および長さ方向と直交する面で切った断面とともに俯瞰的に見た図で、図2(a)は磁場の印加がない場合、図2(b)はファイバの長さ方向と直交する方向に磁場が印加された場合であって、液晶分子は線で表わされている。
磁場無印加の状態では、微細空孔への注入にともなう流動効果により液晶分子はファイバの長さ方向に配向していて、印加する磁場強度の増加とともに液晶分子の方向は磁場の方向へと傾いていき、強度0.1テスラ程度の磁場が印加された状態では、液晶分子は印加された磁場の方向に配列しファイバ長さ方向と直交方向に配向した状態となる。
【0025】
このようにして作製された液晶充填光ファイバ4を備えた光ファイバを用いて、図3に示す光伝送系を構成する。光源1としてはHe−Neレーザを用い、液晶充填部に近接させて、ファイバ長さ方向と直交しかつ偏光子2の偏光方向と一致する方向の最大0.1テスラの磁場を発生する磁場印加手段5を配置する。磁場印加手段5は磁場発生コイル5aと磁気コア5bとを備えていて、電流可変な電源(図示せず)により駆動される。光源1から出射されたレーザ光は、偏光子2により直線偏光とされレンズ3により集光されて液晶充填光ファイバ4のコアにカップリングされる。カップリングされた光は、液晶充填光ファイバと融着接続されたシングルモード光ファイバ6を経て光検出器7に導かれる。光検出器7としてはフォトダイオードを用いる。液晶の配向状態は、前記磁場発生コイルに通電する電流のオンオフおよび電流値により液晶充填部に印加する磁場強度を変化させて制御される。
【0026】
図3の光伝送系において、光検出器7で受光される透過光強度は、印加磁場により変化させることができる。光検出器7で検出される透過光強度は、図4のような挙動を示し、磁場を印加しないときに最も大きい値が得られ、印加する磁場強度を増加させるにしたがって減少し、印加磁場強度0.1テスラでは実質的に受光されなくなる。すなわち印加磁場強度により、入射させる光強度に対する透過光強度の比を制御することが可能である。磁場強度はコイルに流す電流値によって決まるので、透過光強度は所望の値に容易に設定可能であり、一定の電流値に対して一定の透過率が安定して得られる。
【0027】
[例2]
長さ10cmの、例1と同じホーリーファイバを用意する。このホーリーファイバの一方の端部を、ベンゼンに溶解した質量濃度1%のレシチン溶液に浸漬し、他端から真空吸引してレシチン溶液を孔内に導入する。次いで浸漬した端部を液面から出してさらに真空吸引して過剰なレシチン溶液を除去し、さらに空気中で乾燥させて、孔の表面にレシチンよりなる垂直配向層を施す。このようにして作製された垂直配向処理ホーリーファイバを2cmの長さに切断し、例1と同様にシングルモード光ファイバに融着接続し、ネマチック液晶を充填して、本例の液晶充填光ファイバを備えた光ファイバが得られる。
【0028】
孔中に充填された液晶を偏光顕微鏡で観察すると、図5に模式的に表した配向状態を示す。図5は、図2と同様に孔中に充填された液晶の一部を、ファイバの長さ方向および長さ方向と直交する面で切った断面とともに俯瞰的に見た図である。すなわち、図5(a)に示した磁場無印加の状態では、液晶分子10は垂直配向処理の効果により孔表面に対して垂直になろうとするため、ファイバの長さ方向に直交する断面内でファイバ半径方向に放射状に配列する。この状態から印加する磁場強度を増加させていくと、液晶分子の方向は放射状から、磁場印加方向へと変化していき、0.1テスラ程度の磁場が印加されると図5(b)に示したように印加された磁場の方向に液晶分子が一斉に配列し、液晶はファイバ長さ方向と平行に配向した状態となる。
【0029】
得られた液晶充填光ファイバを用いて、図6に示す光伝送系を構成する。この光伝送系の構成は、液晶充填部に対して、ファイバの長さ方向に平行な方向に磁場を印加するための磁場発生コイル5を液晶充填部に巻きつけるように配設し、液晶充填光ファイバの液晶充填部に印加する磁場の方向をファイバ長さ方向と平行とした以外は例1と同様である。前記磁場発生コイルは、通電により0.1テスラまでの磁場を発生する。
【0030】
例1と同様に、光源から光を入射させ印加する磁場強度を変化させて、光検出器で検出される透過光強度を測定する。印加磁場強度に対する透過光強度は図7のような挙動を示し、磁場を印加しないときには入射光は実質的に透過されないが、印加磁場強度の増加にともなって透過光強度は増加する。このグラフからわかるように、磁場強度により透過光強度を制御することが可能である。また、本例では、このような光伝送特性は、入射させる直線偏光の偏光方向によらない。磁場強度はコイルに流す電流値によって決まるので、本例の光伝送系を用いると、容易にまた安定して所望の光強度に設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の光ファイバの光伝送特性の制御方法、光ファイバシステム、または光ファイバは、光伝送特性を高速かつ安定して制御可能であり、光通信系に好ましく用いられる。特に孔中に充填された液晶が垂直配向され、光ファイバの長さ方向と平行な方向の磁場を印加する光ファイバまたは光ファイバの光伝送特性の制御方法を用いると、入射光の偏光方向によらず高速かつ安定した光伝送特性の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】液晶充填光ファイバの作製に用いるホーリーファイバの一例の断面図。
【図2】例1における孔中に充填された液晶の配向状態を模式的に示す俯瞰図。(a)磁場無印加時、(b)磁場印加時。
【図3】例1の光伝送系の構成図。
【図4】例1の光伝送系において、印加磁場強度に対する受光される透過光強度の挙動を示すグラフ。
【図5】例2における孔中に充填された液晶の配向状態を模式的に示す俯瞰図。(a)磁場無印加時、(b)磁場印加時。
【図6】例2の光伝送系の構成図。
【図7】例2の光伝送系において、印加磁場強度に対する受光される透過光強度の挙動を示すグラフ。
【符号の説明】
【0033】
1:光源
2;偏光子
3;レンズ
4;液晶充填光ファイバ
5:磁場印加手段
5a:磁場発生コイル
5b:磁気コア
6:シングルモード光ファイバ
7:光検出器
10:液晶分子
20:液晶が充填されるホーリーファイバ
21:中空コア
22:孔が多数配置されたクラッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの光伝送特性の制御方法であって、前記光ファイバは、光ファイバの長さ方向に連続な孔を有し前記孔中に液晶が充填された液晶充填光ファイバを備えており、前記液晶に対して外部から磁場を印加して液晶の配向状態を変化させ、液晶充填光ファイバの透過率を変化させることを特徴とする光ファイバの光伝送特性の制御方法。
【請求項2】
前記液晶は磁場を印加しないときは光ファイバの長さ方向に配向していて、前記磁場印加手段により印加される磁場の方向は光ファイバの長さ方向と直交する方向であって、前記磁場の方向と平行な偏光方向の直線偏光の光伝送特性を変化させる請求項1記載の光ファイバの光伝送特性の制御方法。
【請求項3】
前記液晶は磁場を印加しないときは光ファイバの長さ方向と直交する断面内で放射状に配向していて、外部から印加する磁場の方向が光ファイバの長さ方向と平行な方向である請求項1記載の光ファイバの光伝送特性の制御方法。
【請求項4】
光ファイバの長さ方向に連続な孔を有し前記孔中に液晶が充填された液晶充填光ファイバと、前記液晶に対して外部から磁場を印加する磁場印加手段と、を備えていて、前記磁場印加手段により前記液晶に磁場を印加して液晶の配向状態を変化させ、液晶充填光ファイバの透過率を変化させて光伝送特性が制御されることを特徴とする光ファイバシステム。
【請求項5】
前記液晶は磁場を印加しないときは前記光ファイバの長さ方向に配向していて、前記磁場印加手段によって印加される磁場の方向は光ファイバの長さ方向と直交する方向であって、前記磁場の方向と平行な偏光方向の直線偏光の光伝送特性が制御される請求項4記載の光ファイバシステム。
【請求項6】
前記液晶は磁場を印加しないときは前記光ファイバの長さ方向と直交する断面内で放射状に配向していて、前記磁場印加手段により印加される磁場の方向は光ファイバの長さ方向と平行な方向である請求項4記載の光ファイバシステム。
【請求項7】
光ファイバの長さ方向に連続な孔を有し前記孔中に液晶が充填された液晶充填光ファイバであって、前記孔の表面には垂直に液晶を配向させる垂直配向処理が施されていて、前記液晶は磁場を印加しないときに前記光ファイバの長さ方向と直交する断面内で放射状に配向していることを特徴とする液晶充填光ファイバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−162678(P2006−162678A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350010(P2004−350010)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】