説明

光ファイバクロージャ、支持線および光ファイバケーブルの保持構造

【課題】 作業性に優れ、簡易な構造で、確実に接続部等の保護が可能な光ファイバクロージャ等を提供する。
【解決手段】 クロージャ1は、主に光ファイバトレイ7、ケーブル保持部9、カバー3、端面カバー5等から構成される。光ファイバケーブル11および支持線15は一対のケーブル保持部9によって保持される。ケーブル保持部9は、クロージャ1の両端部近傍にそれぞれ設けられ、光ファイバトレイ7に固定される。ケーブル保持部9は主に、台座23および押さえ部材25等から構成される。台座23は、光ファイバトレイ7に固定される板状部材である。台座23には、ボルト27と螺合可能な雌ねじ部が形成される。押さえ部材25は、ボルト27によって台座23に取り付け可能であり、ボルト27によって、押さえ部材25と台座23との距離を調整可能である。ケーブル保持部9には、支持線保持部29および光ファイバケーブル保持部31が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの接続部等に用いられ、光ファイバケーブルの接続部等を収容して保護するために用いられる光ファイバ用の架空クロージャ等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバケーブルを架空にて接続等を行う場合には、光ファイバクロージャが用いられる。例えば、光ファイバクロージャ内で、接続対象の本線光ファイバケーブルの心線同士が引き出され、互いの端部同士が接続されて接続部が形成され、接続作業時に形成される光ファイバ心線の余長部および接続部が光ファイバクロージャ内の光ファイバトレイに収容され、カバー等で覆われて保護される。
【0003】
このような光ファイバクロージャとしては、接続部等を確実に保護するため、例えば、特許文献1に示すように、クロージャ内にメインフレームが設けられ、メインフレームに光ファイバトレイ等が取り付けられる。メインフレームによって、クロージャの強度が確保され、接続部等が確実に保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−121773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のようにメインフレームを用い、メインフレームに各部品を取り付けると、小型化を達成することができず、部品点数も増加する。また、光ファイバケーブルを支持する支持線を保持するため、支持線の保持部をクロージャ外部に形成すると、支持線と光ファイバケーブルとの距離が長くなり、このため、クロージャ近傍において光ファイバケーブルと支持線との分離するための作業が必要となり、作業性が悪い。このため、作業性に優れ、小型で簡易な構造のクロージャが要求される。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、作業性に優れ、簡易な構造で、確実に接続部等の保護が可能な光ファイバクロージャ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、光ファイバケーブルの接続部に用いられるクロージャであって、ケーブルを保持するケーブル保持部と、前記光ファイバケーブルの接続部を収納可能な光ファイバトレイと、前記光ファイバトレイおよび前記ケーブル保持部を覆うカバーと、を具備し、前記ケーブル保持部は、支持線および光ファイバケーブルを保持可能に一体で形成され、一体化された前記ケーブル保持部は、クロージャの両端部近傍にそれぞれ一対設けられ、前記光ファイバケーブルの敷設方向に沿って互いに連結されており、前記ケーブル保持部は、台座部と、押さえ部材とから構成され、前記台座部および/または前記押さえ部材には、支持線が保持される支持線保持部と、光ファイバケーブルが保持される光ファイバケーブル保持部とが形成され、前記支持線および前記光ファイバケーブルをそれぞれ前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部に配置した状態で、前記支持線および前記光ファイバケーブルを前記台座部および前記押さえ部材とで挟みこむことで、前記支持線および前記光ファイバケーブルが保持され、前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部は、前記台座部または前記押さえ部材の少なくとも一方に形成された凹部であり、前記支持線保持部における凹部の深さは、前記光ファイバケーブル保持部における凹部の深さよりも浅く、前記ケーブル保持部および前記光ファイバトレイが前記カバーの内部に収容可能であることを特徴とする光ファイバクロージャである。
【0008】
一対の前記ケーブル保持部同士が、前記光ファイバトレイによって連結され、一対の前記ケーブル保持部間の前記支持線と、前記光ファイバトレイによって、前記ケーブル保持部が固定されてもよい。
【0009】
第1の発明によれば、クロージャ内部に支持線と光ファイバケーブルとを一体で保持するケーブル保持部を形成するため、支持線および光ファイバケーブルそれぞれの保持部を別体で形成する必要がない。このため、部品点数も少なく、構造も簡易である。
【0010】
また、支持線および光ファイバケーブルの保持部がクロージャ内部に形成されるため、支持線と光ファイバケーブルとの配置距離が短く、設置時の作業性にも優れる。
【0011】
また、この場合でも、支持線および光ファイバケーブルの保持部が一体であるため、小型化が達成できる。
【0012】
また、ケーブル保持部は、台座部と押さえ部材とから構成され、支持線と光ファイバケーブルとを台座と押さえ部材とで一括して挟み込むため、それぞれのケーブルを保持するための保持部材が不要であり、取付作業も容易である。
【0013】
また、支持線保持部および光ファイバケーブル保持部は、それぞれ台座または押さえ部材に形成された凹部であり、凹部にそれぞれのケーブルが保持されるため、ケーブルが保持部から抜けることがない。また、支持線よりも外径の大きな光ファイバケーブルの保持部に対しては、凹部の深さを深くすることで、台座に対して押さえ部材が斜めになりにくく、ケーブルをまっすぐに押さえ込むことができる。
【0014】
また、ケーブル保持部が光ファイバトレイに直接固定されて連結されることで、フレーム等を別途形成することなく、支持線、光ファイバトレイ、およびケーブル保持部全体がフレーム状に構成され、強度を確保することができるため、コンパクトなクロージャを得ることができる。
【0015】
第2の発明は、光ファイバケーブルの接続部に用いられるクロージャにおける支持線および光ファイバケーブルの保持構造であって、台座部と、押さえ部材とから構成され、ケーブルを保持するケーブル保持部と、前記光ファイバケーブルの接続部を収納可能な光ファイバトレイと、前記光ファイバトレイおよび前記ケーブル保持部を覆うカバーと、を具備し、前記ケーブル保持部は、支持線および光ファイバケーブルを保持可能に一体で形成され、一体化された前記ケーブル保持部は、クロージャの両端部近傍にそれぞれ一対設けられ、前記光ファイバトレイによって、前記光ファイバケーブルの敷設方向に沿って互いに連結されており、前記台座部および/または前記押さえ部材には、支持線が保持される支持線保持部と、光ファイバケーブルが保持される光ファイバケーブル保持部とが形成され、前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部にそれぞれ配置された前記支持線および前記光ファイバケーブルが、前記台座部および前記押さえ部材とで挟みこまれて保持され、前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部は、前記台座部または前記押さえ部材の少なくとも一方に形成された円弧状の凹部であり、前記支持線保持部における前記凹部の曲率半径が、前記支持線の半径よりも大きく、前記光ファイバケーブル保持部における凹部の曲率半径が、前記光ファイバケーブルの半径よりも大きいことを特徴とする支持線および光ファイバケーブルの保持構造である。
【0016】
前記ケーブル保持部は、さらに分岐ケーブルを保持可能な分岐ケーブル保持部が一体で形成されてもよい。
【0017】
第2の発明によれば、メインフレーム等のフレーム構造を別途設けることなく、確実にクロージャの強度を保つことができ、また、支持線および光ファイバケーブルを一括して保持可能であるため、構造が簡易かつ小型であり、また、支持線および光ファイバケーブルの外径に対してそれぞれの保持部の曲率半径が大きいため、各ケーブルの外径ばらつきにも対応可能であり、さらに複数の外径のケーブルにも同一部品で対応することができ、支持線および光ファイバケーブルを確実に保持可能な保持構造を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業性に優れ、簡易な構造で、確実に接続部等の保護が可能な光ファイバクロージャ等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】クロージャ1を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図。
【図2】ケーブル保持構造10を示す図で、(a)は図1(b)のA−A線矢視図、(b)はケーブル保持部9の分解図。
【図3】(a)は支持線15を示す断面図、(b)は光ファイバケーブル11を示す断面図、(c)は押さえ部材25を示す断面図。
【図4】クロージャ1のフレーム構造35を示す図。
【図5】他の実施形態を示す図で、(a)はケーブル保持構造10aを示す図、(b)はケーブル保持構造10bを示す図。
【図6】ケーブル保持構造10cを示す図。
【図7】ケーブル保持構造10dを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態にかかるクロージャ1について説明する。図1は、光ファイバケーブルの接続部等に用いられる光ファイバ用のクロージャ1を示す図であり、図1(a)は正面図、(b)は平面図である。なお、図1(a)においては、カバー3を透視した状態を示す図であり、図1(b)では、カバー3、端面カバー5等を外した状態を示す図である。
【0021】
クロージャ1は、主に光ファイバトレイ7、ケーブル保持部9、カバー3、端面カバー5等から構成される。なお、以下の説明においては、カバー3および端面カバー5を外した状態のものも、クロージャ1と称する。
【0022】
クロージャ1は、光ファイバケーブル11内部の光ファイバ同士の接続部等に用いられ、接続部を保護するためのものである。光ファイバケーブル11は、クロージャ1の外部においては支持線15によって支持される。支持線15は、例えば鋼線である。
【0023】
光ファイバケーブル11および支持線15は一対のケーブル保持部9によって保持される。ケーブル保持部9は、クロージャ1の両端部近傍にそれぞれ設けられる。光ファイバケーブル11は、ケーブル保持部9により保持されるため、クロージャ1内部における光ファイバの接続部等に張力等が付与されることが防止される。
【0024】
ケーブル保持部9は、光ファイバトレイ7に固定される。すなわち、一対のケーブル保持部9が光ファイバトレイ7によって、クロージャ1の長手方向(光ファイバケーブルの敷設方向)に沿って連結される。
【0025】
図1(b)に示すように、光ファイバトレイ7は、光ファイバ17同士の接続部19と、余長部21が収容される部位である。余長部21は、接続部19を形成する際に、光ファイバ同士の接続装置等までの取り回しや、切断作業その他の作業において必要とする光ファイバ17の余分長さである。
【0026】
ケーブル保持部9および光ファイバトレイ7は、カバー3によって覆われる。すなわち、光ファイバケーブル11および支持線15は、クロージャ(カバー3)を挿通する。カバー3は、例えば開閉可能な樹脂部材であり、閉じた状態ではケーブル保持部9および光ファイバトレイ7を覆うように固定されるが、カバー3を開くと、取り外すことが可能である。すなわち、クロージャ1内部での接続作業等においては、カバー3は取り外される。
【0027】
クロージャ1の両端面には、端面カバー5がそれぞれ設けられる。端面カバー5は、カバー3の両端面を封止するためのものである。なお、端面カバー5には、各ケーブル(光ファイバケーブル11および支持線15など)が貫通するための孔が形成される。
【0028】
図2(a)は、図1(b)のA−A線矢視図であり、ケーブル保持構造10(ケーブル保持部9)を示す図である。また、図2(b)はケーブル保持部9の分解図である。ケーブル保持部9は主に、台座23および押さえ部材25等から構成される。
【0029】
台座23は、光ファイバトレイ7に固定される板状部材である。台座23は光ファイバトレイ7に対して略垂直に立設される。台座23には、ボルト27と螺合可能な雌ねじ部が形成される。
【0030】
押さえ部材25は、ボルト27によって台座23に取り付け可能であり、ボルト27によって、押さえ部材25と台座23との距離を調整可能である。ケーブル保持部9には、支持線保持部29および光ファイバケーブル保持部31が形成される。支持線保持部29は、支持線15を保持する部位である。また、光ファイバケーブル保持部31は光ファイバケーブル11を保持する部位である。
【0031】
図2(b)に示すように、支持線15および光ファイバケーブル11をそれぞれ支持線保持部29、光ファイバケーブル保持部31に配置し、押さえ部材25を台座23に取り付けてボルト27を締めこむことで、図2(a)に示すように、支持線15および光ファイバケーブル11を台座23と押さえ部材25とで挟み込み、保持することができる。すなわち、支持線15および光ファイバケーブル11が極めて近接した位置で、一つの押さえ部材25によって一体で保持することができる。
【0032】
次に、支持線保持部29、光ファイバケーブル保持部31の形状について説明する。図3(a)は支持線15を示す断面図、図3(b)は光ファイバケーブル11を示す断面図、図3(c)は押さえ部材25を示す断面図である。
【0033】
図3(a)に示すように、支持線15の外径をd1とし、図3(b)に示すように、光ファイバケーブル11の外径をd2とする。通常、光ファイバケーブル11の外径d2は、支持線15の外径d1よりも大きい。
【0034】
押さえ部材25の、支持線保持部29に対応する部位には、支持線15の保持側に凹部25aが形成される。同様に、押さえ部材25の、光ファイバケーブル保持部31に対応する部位には、光ファイバケーブル11の保持側に凹部31aが形成される。凹部31aの凹深さは、凹部25aの凹深さよりも深い。なお、凹部25aの深さと凹部31aの深さは、保持対象である支持線15と光ファイバケーブル31の外径に対応し、それぞれのケーブルを保持した状態で、押さえ部材25が台座23に対して略まっすぐに固定されることが望ましい。すなわち、凹部31aの深さが、凹部25aに対して(d2−d1)だけ深く設定される。
【0035】
凹部25aの曲率半径r1は、支持線15の外径の1/2よりも大きい。また、凹部31aの曲率半径r2は、光ファイバケーブル11の外径の1/2よりも大きい。したがって、それぞれのケーブル(支持線15および光ファイバケーブル11)の外径ばらつきによって、設定した外径よりも大きなケーブルに対しても、ケーブルを確実に保持することができる。
【0036】
図4は、ケーブル保持部9によって支持線15および光ファイバケーブル11を保持した状態を示す正面図である。本発明にかかるクロージャ1は、前述したとおり、支持線15が一対のケーブル保持部9によって略まっすぐに確実に保持される。また、ケーブル保持部9は、光ファイバトレイ7の両端部近傍に固定される。したがって、光ファイバトレイ7、ケーブル保持部9、支持線15によって、略矩形のフレーム構造35が形成される。この際、光ファイバケーブル11は、フレーム構造35を貫通するように形成される。
【0037】
すなわち、クロージャ1は、特別なメインフレーム等を設けることなく、支持線15、光ファイバトレイ7、ケーブル保持部9などの構成部品によって、フレーム構造35を形成するため、部品点数も少なく、小型である。また、支持線15は光ファイバケーブル11に近接して保持され、クロージャ1内部に収容されるため、支持線15をクロージャ1の外部に分離する必要がなく作業性もよい。
【0038】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、フレーム部材等を用いることなく、クロージャ1の構成部品でクロージャのフレーム構造35を形成することができる。また、支持線15が光ファイバケーブル11と近接するようにケーブル保持部材9により一体で保持されるため、保持作業が容易で、支持線15と光ファイバケーブル11を分離する手間も削減できる。
【0039】
また、支持線保持部29および光ファイバケーブル保持部31のそれぞれの凹部によって、各ケーブルを確実に保持でき、この際、各ケーブルの外径に対応した凹部深さとすることで、押さえ部材25が傾いて取り付けられることが防止できる。また、それぞれの凹部の曲率半径を保持対象のケーブルの外径の曲率半径よりも大きくすることで、ケーブルの外径のばらつき(公差)により、設定値よりも外径の大きなケーブルにも対応することができる。
【0040】
次に、ケーブル保持構造の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、ケーブル保持構造10と同一の機能を奏する構成については、図2と同様の符号を付して、重複した説明を省略する。図5(a)は、ケーブル保持構造10aを示す図である。ケーブル保持構造10aは、ケーブル保持部9aによって支持線15および光ファイバケーブル11が保持される。ケーブル保持部9aはケーブル保持部9と略同様であるが、台座23の端部に折曲部37が形成される点で異なる。
【0041】
折曲部37は、台座23の立設方向に対して略垂直に押さえ部材25側に折曲げられて形成される部位である。すなわち、台座23は、略コの字状に形成され、コの字状の開口部側から押さえ部材25が取り付けられて固定される。したがって、支持線15等は、折曲部37によってより確実に保持され、保持部から外れることがない。
【0042】
なお、折曲部37と押さえ部材25によって、支持線保持部29、光ファイバケーブル保持部31の凹部の深さを浅くすることもできる。また、外径の異なる(サイズの異なる)支持線15、光ファイバケーブル11に対して適用しても、それぞれのケーブルが外れることがなく、確実に保持することができる。すなわち、折曲部37の長さ分だけ、適用可能なケーブルサイズ範囲が設定でき、この際のケーブル外れが防止できる。
【0043】
なお、以上の説明においては、支持線保持部29および光ファイバケーブル保持部31における凹部を押さえ部材25側に設けたが、台座23側に形成してもよく、その両方に設けてもよい。
【0044】
たとえば、図5(b)は、台座23側に凹部を形成したケーブル保持部9bを用いたケーブル保持構造10bを示す図である。図に示す例では、支持線保持部29においては、台座23側にのみ凹部が形成され、光ファイバケーブル保持部31においては、台座23および押さえ部材25の両方に凹部が形成される。すなわち、各ケーブル保持部における凹部は、少なくとも台座および押さえ部材のいずれか一方に形成されれば良い。
【0045】
また、図6に示すように、分岐ケーブル41を一括して保持してもよい。図6は、分岐ケーブル保持部39を有するケーブル保持部9cを用いたケーブル保持構造10cを示す図である。ケーブル保持部9cは、光ファイバケーブル保持部31の下部に、少なくとも一つの分岐ケーブル41を保持可能な分岐ケーブル保持部39が形成される。分岐ケーブル保持部39は、光ファイバケーブル保持部31と略同様の構成である。
【0046】
なお、分岐ケーブル41は、当初から設けられる場合の他、後分岐において、後から追加される場合がある。この場合において、ボルト27が支持線保持部29と光ファイバケーブル保持部31の間にあれば、分岐ケーブル41がない状態でも、確実に支持線15および光ファイバケーブル11を保持することができる。
【0047】
また、押さえ部材25を2分割し、支持線15および光ファイバケーブル11を押さえるための押さえ部材と、分岐ケーブル41のみを押さえる押さえ部材とを別体で構成し、それぞれ台座に固定してもよい。
【0048】
また、分岐ケーブル41を一体で保持する場合には、図7に示すようなケーブル保持部9dを有するケーブル保持構造10dを用いてもよい。ケーブル保持部9dは、分岐ケーブル41を保持するための分岐ケーブル保持部39に、腕部43および突起部45が形成される。
【0049】
腕部23は、板状であり、分岐ケーブル保持部39の台座23に、互いの板面同士が対向するように立設する。腕部43は互いに板面同士が平行になるように設けられ、この際、腕部43の幅方向がケーブルの敷設方向に対応する。腕部43の先端部近傍には突起部45が形成される。突起部45は、先端が刃状(鋭利)に形成され、敷設される分岐ケーブル41の敷設方向に対して略垂直な方向に突出する。一対の隣り合う腕部43の間に分岐ケーブル41を押しこむと、突起部45は分岐ケーブル41のシースに対して食い込むように分岐ケーブル41を保持する。
【0050】
突起部45は、腕部43の端部(図中右端部であってケーブル挿入側端部)から所定の範囲にのみ形成される。すなわち、腕部43の基部(図中腕部左端)から突起部45の端部(左端)までは、突起部45が形成されない範囲が存在する。ここで、腕部43同士の間隔は、挿入される分岐ケーブル41の外径よりもやや広い。また、突起部45同士の間隔は、分岐ケーブル41の外径よりもやや狭い。したがって、分岐ケーブル41は、突起部45間に挿入されると、やや変形して挿入される。この際、突起部45における分岐ケーブル41の挿入側には、挿入側端部に行くにつれて徐々に対向する突起部45同士の間隔が広がるように形成されたテーパ形状が設けられる。このため、分岐ケーブル41の挿入性に優れる。
【0051】
腕部43の長さは、分岐ケーブル41の外径よりも長いため、分岐ケーブル41は、腕部43間に完全に押し込まれる。この際、腕部43の基部から突起部45の端部(挿入側とは逆側の端部)までの長さは、分岐ケーブル41の外径の1/2よりも長い。すなわち、突起部45までの長さは、分岐ケーブル41の半径よりも大きい。
【0052】
なお、突起部45の突出代は、分岐ケーブル41のシース厚み以下であることが望ましい。分岐ケーブル41の挿入時に、内部の光ファイバ心線等を傷つける恐れがあるためである。また、分岐ケーブル41が台座基部まで完全押し込まれた状態において、突起部45の端部が分岐ケーブル41のシースに食い込んだ状態であれば、分岐ケーブル41の軸方向への力に対して、より大きな保持力を得ることができる。
【0053】
ケーブル保持部9dによれば、分岐ケーブル41を簡易に保持可能であるとともに、分岐ケーブル41を後分岐によって設ける際にも、押さえ部材25を外す必要がなく、また、確実に各ケーブルを保持でき、それぞれの保持部を一体で形成するため、小型なクロージャを得ることができる。
【0054】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0055】
1………クロージャ
3………カバー
5………端面カバー
7………光ファイバトレイ
9、9a、9b、9c、9d………ケーブル保持部
10、10a、10c、10d………ケーブル保持構造
11………光ファイバケーブル
15………支持線
17………光ファイバ
19………接続部
21………余長部
23………台座
25………押さえ部材
25a………凹部
27………ボルト
29………支持線保持部
31………光ファイバケーブル保持部
31a………凹部
35………フレーム構造
37………折曲部
39………分岐ケーブル保持部
41………分岐ケーブル
43………腕部
45………突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルの接続部に用いられるクロージャであって、
ケーブルを保持するケーブル保持部と、
前記光ファイバケーブルの接続部を収納可能な光ファイバトレイと、
前記光ファイバトレイおよび前記ケーブル保持部を覆うカバーと、
を具備し、
前記ケーブル保持部は、支持線および光ファイバケーブルを保持可能に一体で形成され、
一体化された前記ケーブル保持部は、クロージャの両端部近傍にそれぞれ一対設けられ、前記光ファイバケーブルの敷設方向に沿って互いに連結されており、
前記ケーブル保持部は、台座部と、押さえ部材とから構成され、
前記台座部および/または前記押さえ部材には、支持線が保持される支持線保持部と、光ファイバケーブルが保持される光ファイバケーブル保持部とが形成され、前記支持線および前記光ファイバケーブルをそれぞれ前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部に配置した状態で、前記支持線および前記光ファイバケーブルを前記台座部および前記押さえ部材とで挟みこむことで、前記支持線および前記光ファイバケーブルが保持され、
前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部は、前記台座部または前記押さえ部材の少なくとも一方に形成された凹部であり、
前記支持線保持部における凹部の深さは、前記光ファイバケーブル保持部における凹部の深さよりも浅く、
前記ケーブル保持部および前記光ファイバトレイが前記カバーの内部に収容可能であることを特徴とする光ファイバクロージャ。
【請求項2】
一対の前記ケーブル保持部同士が、前記光ファイバトレイによって連結され、一対の前記ケーブル保持部間の前記支持線と、前記光ファイバトレイによって、前記ケーブル保持部が固定されることを特徴とする請求項1記載の光ファイバクロージャ。
【請求項3】
光ファイバケーブルの接続部に用いられるクロージャにおける支持線および光ファイバケーブルの保持構造であって、
台座部と、押さえ部材とから構成され、ケーブルを保持するケーブル保持部と、
前記光ファイバケーブルの接続部を収納可能な光ファイバトレイと、
前記光ファイバトレイおよび前記ケーブル保持部を覆うカバーと、
を具備し、
前記ケーブル保持部は、支持線および光ファイバケーブルを保持可能に一体で形成され、一体化された前記ケーブル保持部は、クロージャの両端部近傍にそれぞれ一対設けられ、前記光ファイバトレイによって、前記光ファイバケーブルの敷設方向に沿って互いに連結されており、
前記台座部および/または前記押さえ部材には、支持線が保持される支持線保持部と、光ファイバケーブルが保持される光ファイバケーブル保持部とが形成され、
前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部にそれぞれ配置された前記支持線および前記光ファイバケーブルが、前記台座部および前記押さえ部材とで挟みこまれて保持され、
前記支持線保持部および前記光ファイバケーブル保持部は、前記台座部または前記押さえ部材の少なくとも一方に形成された円弧状の凹部であり、
前記支持線保持部における前記凹部の曲率半径が、前記支持線の半径よりも大きく、前記光ファイバケーブル保持部における凹部の曲率半径が、前記光ファイバケーブルの半径よりも大きいことを特徴とする支持線および光ファイバケーブルの保持構造。
【請求項4】
前記ケーブル保持部は、さらに分岐ケーブルを保持可能な分岐ケーブル保持部が一体で形成されることを特徴とする請求項3記載の支持線および光ファイバケーブルの保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−53132(P2012−53132A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193597(P2010−193597)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】