光ファイバセンサ
【課題】感度及び測定精度が高くかつ安価な光ファイバセンサを提供する。
【解決手段】透光性樹脂からなり、互いに対向する第1の面と第2の面とを有する導光体と、第1の面に対向して配置され、入射された光の一部を反射する第1反射部材と、第2の面に対向して配置され、入射された光の一部又は全てを反射する第2反射部材とを備え、第1反射部材を介して入射される光を前記導光体中で多重干渉させて、第1の面と第2の面の間隔に対応する波長の光を、第1反射部材又は前記第2反射部材を介して出射することを特徴とする。
【解決手段】透光性樹脂からなり、互いに対向する第1の面と第2の面とを有する導光体と、第1の面に対向して配置され、入射された光の一部を反射する第1反射部材と、第2の面に対向して配置され、入射された光の一部又は全てを反射する第2反射部材とを備え、第1反射部材を介して入射される光を前記導光体中で多重干渉させて、第1の面と第2の面の間隔に対応する波長の光を、第1反射部材又は前記第2反射部材を介して出射することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンサは、感知部が光ファイバ、あるいは光学デバイスからなり、外力や温度などによる感知部の光学特性の変化を伝える経路が主に光ファイバからなるセンサである。このように光ファイバセンサでは、光学特性の変化を利用するため、感知部に給電する必要がなく、また、経路に用いられる光ファイバは伝送損失が小さいため、遠隔での計測に有利である。
【0003】
さらに、光ファイバ通信分野で発達した、時分割多重伝送や波長多重伝送といった多重化技術を応用させることで、一本の光ファイバで多点計測が可能であるという別の利点も有する。これらの特長を活かし、光ファイバセンサは大規模な土木構造物や海底地震計、あるいは製造プロセスラインにおける監視など、多くの分野での計測に用いられている。
【0004】
特許文献1には、エタロンと呼ばれる狭帯域波長フィルタを用いた温度センサが開示されている。エタロンとは、2つの反射部材の間で光を多重反射させて特定波長の光を取り出す狭帯域波長フィルタであり、特許文献1には、2つの反射部材の間に設けられる部材(SiO2薄膜の積層体)の厚さにより温度測定値がばらつくことが示され、温度測定値のバラツキを低減する発明が開示されている。
具体的には、700℃までの温度を遠隔測定できる温度−光強度トランスデューサーにおいて、2つの反射部材の間に設けられる部材の厚さに応じて光の波長を変えることにより、温度測定値のばらつきが抑えられることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、レーザー共振器に用いられるエタロンフィルタの製造方法について、エタロンフィルタの厚みを数nmから10nmの公差で作製する方法が説明されている。特許文献2の発明では、このような高精度で厚さ調整を行うため、石英等のガラス板を従来工法の通り研磨加工した後、nmオーダーの精密計測を行いつつ、反応性ガスによるエッチング加工を行うことで、数nmオーダーの調製を実現している。
【特許文献1】特開昭62−218831号
【特許文献2】特開2003−232917号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された光ファイバセンサは、構成が複雑であり、安価にできないという問題があった。
また、特許文献2に示された方法を適用することも考えられるが、エタロンフィルタの厚さの調整に時間がかかり、安価にできないという問題があった。
さらに、従来の光ファイバセンサは、温度に対する感度及び測定精度が十分でないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、感度及び測定精度が高くかつ安価な光ファイバセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために、本発明に係る光ファイバセンサは、透光性樹脂からなり、互いに対向する第1の面と第2の面とを有する導光体と、前記第1の面に被着され、かつ入射された光の一部を反射する第1反射部材と、前記第2の面に被着され、かつ入射された光の一部又は全てを反射する第2反射部材とを備え、
前記第1反射部材を介して入射される光を前記導光体中で多重干渉させて、前記第1の面と第2の面の間隔に対応する波長の光を、前記第1反射部材又は前記第2反射部材を介して出射することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記導光体は、13×10−6K−1≦α+β+αβを満足する線熱膨張係数αと屈折率温度係数βとを有することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記線熱膨張係数αと前記屈折率温度係数βとが、α+β+αβ≦1290×10−6K−1を満足することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、屈折率分布型ファイバを備え、光を該屈折率分布型ファイバにより集光して前記第1反射部材を介して前記導光体に入射することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記第1反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜で構成されていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記第1反射部材は、前記屈折率分布型ファイバの端面に形成された反射膜で構成されていてもよい。
【0014】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記第2反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜により構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、光ファイバをさらに含み、前記第1反射部材は、前記光ファイバの端面に形成された反射膜からなっていてもよい。
【0016】
前記反射膜は、誘電体多層膜により構成されていることが好ましい。
【0017】
前記透光性樹脂の周面に、吸湿材を含む樹脂からなる保護部材が被着されていることが好ましく、前記保護部材は、前記透光性樹脂と同じ材質の樹脂を主成分として含むことがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように構成された本発明に係る光ファイバセンサは、前記導光体が透光性樹脂により構成されているので、温度変化による厚さの変化を大きくでき、大きな波長変位が得られる。
従って、本発明によれば、感度と測定精度が高くかつ安価な光ファイバセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態の光ファイバセンサについて説明する。
実施形態1.
図1は、本発明に係る実施形態1の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。この光ファイバセンサは、光ファイバ11と、その光ファイバ11の先端に接続された感知部10とを含んでなる。感知部10は、それぞれ入射された光の一部を反射するように構成され、かつ互いに対向する2つの反射部材(以下、第1反射部材を反射ミラー12a、第2反射部材を12bとする)、2つの反射ミラー12a、12bの間に設けられた導光体13とからなる。この感知部10は、例えば、反射ミラー12aを介して入射される光を光導光体13中で多重干渉させて、2つの反射ミラー12a、12bの間隔に対応する波長の光を、選択的に、反射ミラー12a又は、反射ミラー12bを介して出射する狭帯域波長フィルタである。
【0020】
ここで、特に、本実施形態の光ファイバセンサでは、2つの反射ミラー12a、12bの間に設けられた導光体13が、透光性樹脂、好ましくは、透光性接着剤からなることを特徴し、これにより感度の高い感知部を安価に製造することを可能にしている。
以下、本実施形態の光ファイバセンサについて、詳細に説明する。
【0021】
反射ミラー12a、12bは、誘電体多層膜や金属膜、又は誘電体多層膜や金属膜による反射膜が蒸着等によって形成されたガラス板などにより構成することができ、一部の光を反射し、残りの光を透過する部材である。反射ミラー12aは、例えば、光ファイバ11に直接成膜されていてもよいし、ガラス板に誘電体多層膜や金属膜を成膜したものを光ファイバ11と導光体13の間に配置するようにしてもよい。
また、反射ミラー12bは、導光体13に直接成膜されていてもよいし、ガラス板に誘電体多層膜や金属膜を成膜したものを導光体13に被着するようにしてもよい。
尚、反射ミラー12bは、入射される光の全てを反射するようにしてもよい。
このように、反射ミラー12aが光ファイバ11に、反射ミラー12bが導光体13に直接成膜されていると、屈折率が変化する媒体を介在させることなく光の伝送を行うことができるため、光の損失を低減することができる。
また、反射ミラー12aおよび反射ミラー12bがガラス誘電体多層膜や金属膜の形成されたガラス板によって構成されれば、たとえばガラス板に蒸着等の方法によって容易に、かつ精度よく作製することができるため、反射部材の製法の観点で好適である。
反射膜を構成する誘電体多層膜には、たとえばSiO2とTiO2を交互に積層させてなる多層膜やSiO2とTa2O5を交互に積層させてなる多層膜を用いることができる。また、反射膜を構成する金属膜には、たとえば金、銀、またはアルミニウムを積層させてなる多層膜を用いることができる。
【0022】
導光体13は、透光性樹脂、好ましくは、常温で柔軟性を持ち、紫外線、可視光、電子線、熱で重合し硬化する樹脂、又は常温で柔軟性を持ち、紫外線、可視光、電子線、熱で重合し硬化する透光性接着剤からなる。このような透光性樹脂および透光性接着剤としては、たとえばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が挙げられる。また、導光体13を熱可塑性の樹脂で構成することもできる。熱可塑性の樹脂を用いると、高温で軟化させて導光体13を所定の厚さに設定し、室温においてその厚さを維持できるので、容易に厚さ調整ができる。このような熱可塑性の樹脂としては、たとえばポリカーボネート樹脂等が挙げられる。さらに、導光体13には、耐熱性を持たせるため無機材料が含まれていても良い。
【0023】
この反射ミラー12a、12b及び導光体13により構成される感知部10は、一般的にエタロンと呼ばれ、このような干渉計のことを一般的にファブリ・ペロー干渉計と呼ばれる。
【0024】
以下、本実施形態の光ファイバセンサの原理及び動作について説明する。
まず、実施形態の光ファイバセンサにおいて、反射ミラー12aから光が角度θをもって入射したとすると、その光は、図9に示すように、厚さdの導光体13の内部で多重反射され、感知部10を透過または反射する。このとき、感知部10を透過する光のピーク波長λ(反射における減衰ピーク)は、次の関係式で与えられる。
mλ=2ndcosθ ・・・(1)
ここでmは干渉次数(整数)、nは導光体の屈折率、dは導光体13の厚み、θは入射光の角度である。
【0025】
ここで、θは要求により任意に設定し得るが、多くは0に設計され、その場合、(1)式は、次の(2)式になる。
mλ=2nd ・・・(2)式
【0026】
ここで、導光体13の線熱膨張係数をαとし、導光体13の屈折率nの温度変化係数をβとし、温度がT℃変化したときの波長λの波長シフト量をΔλとすると、mλ=2ndは以下のようになる。
m(λ+Δλ)=2nd(1+βT)(1+αT)・・・(3)
【0027】
したがって、干渉次数が1である場合、温度がT℃変化したときの波長シフト量Δλは、次の(4)式で与えられる。
Δλ=(α+β+αβ)Tλ・・・(4)
この(4)式からわかるように、波長シフト量Δλは導光体13の厚みdや屈折率nに関係なく、導光体13の線熱膨張係数αと屈折率温度係数βにより決定される。
この関係式(4)に基づいて、温度変化Tに対応する波長シフト量Δλを測定することにより、温度測定が可能である。
【0028】
一般に、透光性樹脂は、線熱膨張係数αと屈折率温度係数βは、石英等の無機物に比較して、石英より1桁から2桁ほど大きいので、本発明のように、導光体13として透光性樹脂を使用した場合には、温度変化に対する波長シフト量Δλを極めて大きくできる。従って、本発明によれば、感度が高く測定精度の高い温度センサが実現できる。
【0029】
具体的には、例えば、温度変化T=1℃とした時、(4)式はΔλ/λ=α+β+αβとなる。一方、例えば、現在市販されているスペクトラムアナライザの1550nm近傍における測定精度は、0.02nm程度である。Δλを0.02とし、λを1550nmとすると、Δλ/λはおよそ13×10−6となる。つまり13×10−6K−1≦α+β+αβのとき、T=1℃を識別できることになる。
【0030】
例えば、従来例の導光体として用いられていた石英は、α=0.5×10−6K−1、β=10×10−6K−1であり、現状の波長測定精度では十分な感度及び精度が得られない。これに対して、透光性樹脂を用いた導光体13は、一般的にαが石英より1桁から2桁ほど大きい。例えばアクリル系の紫外線硬化型接着剤は、α=70×10−6K−1、β=200×10−6K−1である。従って、透光性樹脂を用いた導光体13では、感度が高く、かつ0.05℃の精度で温度が測定できる温度センサが得られる。
【0031】
このように、本発明では、導光体13を透光性樹脂で構成しているので、温度センサとして用いたとき、感度及び温度精度を向上させることができる。
【0032】
次に、本実施形態の光ファイバセンサにおける各パラメータ(導光体の厚さd、反射ミラー12a,12bの反射率など)の好ましい範囲、特に光ファイバセンサを複数用いて、異なる場所の温度を測定する多点センサを構成する際の、好ましい範囲について説明する。
尚、ここでは反射光について説明するが、透過光についても同様である。
【0033】
まず、図1の光ファイバセンサにおいて、光ファイバ11に入射した光Eiは、その一部が、反射ミラー12aで反射し光ファイバ11に再入射される。ここで、反射ミラー12aでの反射率をR1とする。一方、反射ミラー12aを透過した透過光は、屈折率nの導光体13を透過し、反射ミラー12bで反射し、再び導光体13を透過して、反射ミラー12aに到達する。ここで反射ミラー12bでの反射率をR2とする。反射ミラー12aに、達した光はさらに、一部が反射し、残りの一部が透過する。反射光は再び導光体13を透過し、反射ミラー12bで反射し、再び導光体13を透過し、反射ミラー12aに到達する。ここでも反射ミラー12aに到達した光は一部が反射し一部が透過する。このようにして、反射と透過が繰り返し無限回行われる。この間、反射ミラー12aを透過して、光ファイバ11に再入射する光も無限に存在する。これら全ての光が干渉し合い、全体としての反射光強度Irと入射光強度Iiの比Ir/Iiは、以下の(5)式で表される。
【0034】
【0035】
ここでφ=4ndπ/λであり、dは導光体13の厚みである。
この(5)式のように、Ir/Iiは波長λ、導光体13の屈折率nや厚みdの関数で表される。
【0036】
次に、図2A,図2Bを参照しながら、導光体13の厚みdと、反射減衰ピーク間の間隔δλの関係、及び図3A〜図3Dを参照しながら、導光体13の厚みdの変動に対する反射減衰ピークの変動について説明する。
まず、図2Aは、導光体13の厚みd=20μmとしたときの、波長1580nm近傍(1550nm〜1610nm)のIr/Iiを示す図である。この図2Aにおいて、実線は、反射ミラー12a,12bの反射率をそれぞれ0.9としたとき(R1=R2=0.9)、破線は、反射ミラー12a,12bの反射率をそれぞれ0.5としたとき(R1=R2=0.5)、一点鎖線は、反射ミラー12a,12bの反射率をそれぞれ0.2としたとき(R1=R2=0.2)としたときの計算値である。
【0037】
図2Aに示す通り、反射ミラー12a、12bの反射率R1、R2を大きくすれば波長選択性の優れたフィルタにすることができる。
【0038】
また、ピーク波長は、φ=π/2+mλのときの値となり、隣接するピーク波長の間隔δλは、ある波長のピークλi=2nd/mと、次のピークλi+1=2nd/m+1の関数で決定される。これより、隣接するピーク波長の間隔δλは以下のように表される。
δλ=λ2/(2d+λ)・・・(6)
【0039】
図2Bは、隣接するピーク波長の間隔δλと導光体13の厚みdの関係を示した図である。このように導光体13の厚みdが小さくなるに従い、ピーク波長の間隔δλは大きくなる。
現在、多く行われている光多重通信における波長帯域はおよそ40nm程度である。波長帯域を40nmとした多点センサを考えると、同一感知部内の40nmの間に複数のピークが存在することは望ましくない。従って、図2Bより、導光体13の厚みdが20μm以下であることが望ましいことが理解できる。
【0040】
尚、多点センサとは、複数(例えば、4つ)の光ファイバセンサを異なる位置に配置し、各位置の温度を測定するものであり、例えば、図8に示すように、1つの光源101から出力した光を順次感知部10に入力して、1つの測定手段103により各点の温度を検出するように構成される。図8の例では、光サーキュレータ104を用いて、隣接する感知部10間を接続している。
【0041】
また、図3には、波長多重化をするために、4つの感知部10の波長ピークが互いに10nm程度離れるように設定した例を示している。波長多重間隔を10nm程度としたのは、温度センサは波長変動量と温度が相関することを利用したセンサであり、1つの感知部に対し、この程度の波長領域を割り当てる必要があるからである。
【0042】
図3に示す通り、このとき導光体13の厚みdは136nmだけ異なるように調整する必要があることが分かる。仮に波長多重間隔を、公差±1nmとして、10±1nmに設定した場合、導光体13の厚みdの調整精度は136±13.6nm程度にする必要がある。
【0043】
このように導光体13の厚みd、すなわちエタロンフィルタの厚みを極めて高精度に調製する必要がある。しかしながら、本発明においては、常温で柔軟性を持つ透光性樹脂を用いて導光体13を構成することにより、以下のような調整方法を用いて、導光体13の厚みdの厚みを極めて高精度に調製することができる。
【0044】
まず、図4は本発明の導光体13の厚みdの調製を行うための評価系(測定系)を示す図である。
以下の説明では、紫外線によりアクリルオリゴマーがアクリルポリマーに変化する樹脂を使用して導光体13を構成した例を用いて説明する。
【0045】
その評価系は、光ファイバ11、反射ミラー12a及び導光体13となる透光性樹脂を保持するファイバ保持具14と、反射ミラー12bを保持するステージ15と、ステージを動かすマイクロメータ16と、光源17と、スペクトラムアナライザ18と、光源からの光と測定光を分離する光サーキュレータ19とによって構成される。
尚、反射ミラー12bは、例えば、基体の上に反射膜が形成されてなり、ステージ15によって基体部分が保持される。また、図4において、導光体13となる透光性樹脂は硬化する前であり、最終形態をなしていない。
【0046】
以上のような評価系を用いて、マイクロメータ16により反射ミラー12bの基体13を動かし、反射ミラー12aと12bの間隔を、例えば、ほぼ、図3に示すような所望の特性が得られるように(約20μm)粗調整する。次に、光スペクトラムアナライザ18により、反射波形を観測しながら所望の特性になるように微調整を行う。そのようにして、最適化した点で紫外線を透光性樹脂に照射し、硬化させる。これにより所望の波長ピークを示す、感知部を作製できる。なお、硬化の際、数%の硬化収縮が発生するため、この分はあらかじめオフセットして調整する。
【0047】
このような方法によれば、マイクロメータによる調整で、所望の波長特性に調整が可能であり、ナノオーダーレベルの寸法の計測は必要としない。これにより、例えば、1550nmを目標ピーク波長として調製することもできるし、先に説明したm番目のピークであろうがm+1番目のピークであろうが調整できる。このように柔軟性のある状態の樹脂を調製することにより、種々の調整値に設定することが可能である。
【0048】
以上のような方法を用いることにより、個々のセンサに対して異なる値に調整することが可能であり、従来の研磨やエッチングといった複雑でかつ精密な調製をすることなく、マイクロメータを用いた簡単な調製で、波長多重化が可能な光ファイバセンサを提供できる。
【0049】
以上、本発明では、α、βが大きくできるので、波長シフト量が大きくでき、感度及び測定精度を高くできること、また、従来の研磨やエッチングといった複雑でかつ精密な調製をすることなく、マイクロメータを用いた簡単な調製で、波長多重化が可能な光ファイバセンサを提供できることを説明した。
しかしながら、多点センサを構成する場合には、光波長多重通信をすることを考慮して、波長多重通信が可能な範囲にα、βを設定することが必要である。
【0050】
例えば、現在の光波長多重通信の波長帯域40nmをΔλの最大値とすると、Δλ=40nm=(α+β+αβ)×T×1550nmである。例えば温度範囲を25±10℃とし、T=20℃とすると、α+β+αβ=1290×10−6K−1となり、これより小さいことが望ましい。より広い温度範囲の測定が必要な場合は、その測定温度範囲と光波長多重通信の波長帯域とを考慮して、α+β+αβを設定すればよい。
このように高精度な温度センサを提供し、かつ広範囲の温度計測をするためα+β+αβは以下の(7)式を満たす範囲で適切な値に設定することが望ましい。
13×10−6K−1≦α+β+αβ≦1290×10−6K−1・・・(7)式
【0051】
実施形態2.
図5は、本発明に係る実施形態2の光ファイバセンサの構成を模式的に示す図である。
本実施形態2の光ファイバセンサは、感知部10の周辺を、吸湿剤を含んだ保護膜(例えば、接着剤)21で覆った構造したことを特徴している。保護膜21で覆った以外は、実施形態1と同様に構成されている。尚、温度の変換量となる波長シフト量Δλは導光体13の厚みdに関係なく、導光体13の線熱膨張係数αによるものであるため、導光体13の周辺に接着剤21があっても温度検出特性に影響することはない。
【0052】
以上のように構成された本発明に係る実施形態2の光ファイバセンサは、導光体13の周辺を、吸湿剤を含んだ保護膜21で覆うことで信頼性の高い温度センサを提供することができる。すなわち、一般的に導光体13を構成する樹脂は、光学ガラスより吸湿性が高いが、吸湿剤を含んだ保護膜21で覆うことにより、高湿環境下でも高い信頼性が確保できる。保護膜21は、たとえばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の中に、シリカゲル、ゼオライト、カーボナイト等の無機物もしくは高い吸水性を有するポリアクリル酸塩系ポリマーやゴム化アスファルトなどの有機物を吸湿剤として含有させることによって構成される。この吸湿剤は、保護膜21中に0.1乃至50.0質量%含有されていることが好ましい。これは、吸湿剤が0.1質量%未満であると水分の浸入を抑制する効果が弱く、一方で、50.0質量%を超えると保護膜21を主として構成する樹脂の流動性の悪化に伴う樹脂の成型性が悪くなるため、所定の位置に保護膜21を形成することが困難になる。
【0053】
実施形態3.
図6は本発明の実施形態3の光ファイバセンサの構成を模式的に示す図である。
この実施形態3の光ファイバセンサは、光ファイバ11と反射ミラー12aの間に、レンズ機能を有するグレーデッドインデックスファイバ(屈折率分布型ファイバ)31が接続されている以外は、実施形態1と同様に構成される。このようにすると、グレーデッドインデックスファイバ31のレンズ機能により、反射ミラー12bの第1反射光を効率よく光ファイバ11に再入射することができる。
【0054】
すなわち、光ファイバ11から出射された光は拡がって、反射ミラー12aを透過して導光体13を通過するので、反射ミラー12bで反射した光は光ファイバ11に再結合する時、ロスが発生することがある。このような場合、グレーデッドインデックスファイバ31を用いて、光ファイバ11から出射された光の広がりを抑えて集光するように反射ミラー12aを介して、導光体13に入射することで、反射ミラー12bで反射された光を効率よく光ファイバ11に再入射することができる。これにより、光ファイバ11と感知部10の間の光結合効率を高くできる。
【0055】
例えば、導光体13の厚みdが20μmであった場合、反射ミラー12bの反射率を100%としたときに、光ファイバ11に再入射する効率は78%であったとする。この場合、グレーデッドインデックスファイバ31を用いて、光ファイバ11に再入射する効率を高くすると、実質的には、実施形態1で図2Aを参照しながら説明した反射率を高めたことになり、波長選択性の高い測定が可能となる。従って、グレーデッドインデックスファイバ31を用いることにより、より高精度な測定が可能となる。
【0056】
また、実施形態3の光ファイバセンサにおいては、反射ミラー12aをグレーデッドインデックスファイバ31の端面に形成するようにしてもよい。
【0057】
以上実施形態により、詳細に説明したように、本発明は、感知部10の導光体13を透光性樹脂により構成しているので、温度変化に対して大きい波長変位量が得られるので、感度が高くかつ測定精度の高い光ファイバセンサが得られる。
また、本発明の光ファイバセンサは、透光性樹脂が柔軟性を有する状態で波長特性をモニターしながら、エタロンフィルタの間隔を調製することが可能であり、ナノオーダーの調製をすることなく、調製でき、製作作業性・量産性に優れた波長多重可能なセンサを提供することができる。
さらに、無機材料に比較して、透光性樹脂は、線熱膨張係数等の特性を比較的自由に調整することが可能であるから、使用環境、使用状態に応じて適切な感度及び測定精度の光ファイバセンサを提供できる。
【0058】
以上の実施形態では、反射光を用いて温度を測定した例により説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、感知部を透過する光を用いて温度を測定するようにしてもよい。
以上のようにしても実施形態1〜3と同様の効果が得られる。
【実施例】
【0059】
本発明に係る実施例として、以下のような光ファイバセンサを作製して評価した。
本実施例では、モードフィールド径10.5μmのシングルモードファイバからなる光ファイバ11、光ファイバ11に直接成膜した反射率90%、透過率10%の誘電体多層膜からなる反射ミラー12a、BK−7よりなる基体13に成膜された反射率99.9%の誘電体多層膜からなる反射ミラー12b、アクリル系の紫外線硬化樹脂からなる透光性接着剤を用いて構成した導光体13により、光ファイバセンサを作製した。尚、導光体13を構成する透光性接着剤の線熱膨張係数はα=70×10−6、屈折率の温度係数はβ=200×10−6である。また、ファイバ保持具14としてジルコニアフェルールを用いた。
【0060】
以上の部材を用いて、図4に示す系で測定しながら、反射ミラー12aと12bの間隔を、所望の特性が得られるように(約20μm)粗調整し、光スペクトラムアナライザ18により、反射波形を観測しながら所望の特性になるように微調整をした。
尚、硬化の際、1.8%の硬化収縮が発生するとして、オフセット量を設定した。
【0061】
以上のように作製した光ファイバセンサの感知部を恒温漕に入れて温度特性を測定した。その結果を図7に示す。図7に示すように、本発明の光ファイバセンサでは、温度に対してピーク波長の変化が線形に近い波長温度特性を示すことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る実施形態1の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。
【図2A】導光体の厚みd=20μmとしたときの、波長1580nm近傍における、入力光強度に対する反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図2B】隣接するピーク波長の間隔δλと導光体13の厚みdの関係を示した図である。
【図3A】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.000μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図3B】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.136μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図3C】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.272μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図3D】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.408μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図4】導光体13の厚みdの調製を行うための測定系を示す図である。
【図5】本発明に係る実施形態2の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。
【図6】本発明に係る実施形態3の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。
【図7】本発明に係る実施例の光ファイバセンサの評価結果を示す図である。
【図8】複数の光ファイバセンサを用いて構成された多点センサの構成を示すブロック図である。
【図9】導光体中の多重反射の様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 感知部、11 光ファイバ、12a、12b 反射ミラー、13 導光体、14 ファイバ保持具、15 ステージ、16 マイクロメータ、103 測定手段、104 光アイソレータ、17 光源、18 スペクトラムアナライザ、21 保護膜、31 グレーデッドインデックスファイバ(屈折率分布型ファイバ)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンサは、感知部が光ファイバ、あるいは光学デバイスからなり、外力や温度などによる感知部の光学特性の変化を伝える経路が主に光ファイバからなるセンサである。このように光ファイバセンサでは、光学特性の変化を利用するため、感知部に給電する必要がなく、また、経路に用いられる光ファイバは伝送損失が小さいため、遠隔での計測に有利である。
【0003】
さらに、光ファイバ通信分野で発達した、時分割多重伝送や波長多重伝送といった多重化技術を応用させることで、一本の光ファイバで多点計測が可能であるという別の利点も有する。これらの特長を活かし、光ファイバセンサは大規模な土木構造物や海底地震計、あるいは製造プロセスラインにおける監視など、多くの分野での計測に用いられている。
【0004】
特許文献1には、エタロンと呼ばれる狭帯域波長フィルタを用いた温度センサが開示されている。エタロンとは、2つの反射部材の間で光を多重反射させて特定波長の光を取り出す狭帯域波長フィルタであり、特許文献1には、2つの反射部材の間に設けられる部材(SiO2薄膜の積層体)の厚さにより温度測定値がばらつくことが示され、温度測定値のバラツキを低減する発明が開示されている。
具体的には、700℃までの温度を遠隔測定できる温度−光強度トランスデューサーにおいて、2つの反射部材の間に設けられる部材の厚さに応じて光の波長を変えることにより、温度測定値のばらつきが抑えられることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、レーザー共振器に用いられるエタロンフィルタの製造方法について、エタロンフィルタの厚みを数nmから10nmの公差で作製する方法が説明されている。特許文献2の発明では、このような高精度で厚さ調整を行うため、石英等のガラス板を従来工法の通り研磨加工した後、nmオーダーの精密計測を行いつつ、反応性ガスによるエッチング加工を行うことで、数nmオーダーの調製を実現している。
【特許文献1】特開昭62−218831号
【特許文献2】特開2003−232917号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された光ファイバセンサは、構成が複雑であり、安価にできないという問題があった。
また、特許文献2に示された方法を適用することも考えられるが、エタロンフィルタの厚さの調整に時間がかかり、安価にできないという問題があった。
さらに、従来の光ファイバセンサは、温度に対する感度及び測定精度が十分でないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、感度及び測定精度が高くかつ安価な光ファイバセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために、本発明に係る光ファイバセンサは、透光性樹脂からなり、互いに対向する第1の面と第2の面とを有する導光体と、前記第1の面に被着され、かつ入射された光の一部を反射する第1反射部材と、前記第2の面に被着され、かつ入射された光の一部又は全てを反射する第2反射部材とを備え、
前記第1反射部材を介して入射される光を前記導光体中で多重干渉させて、前記第1の面と第2の面の間隔に対応する波長の光を、前記第1反射部材又は前記第2反射部材を介して出射することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記導光体は、13×10−6K−1≦α+β+αβを満足する線熱膨張係数αと屈折率温度係数βとを有することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記線熱膨張係数αと前記屈折率温度係数βとが、α+β+αβ≦1290×10−6K−1を満足することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、屈折率分布型ファイバを備え、光を該屈折率分布型ファイバにより集光して前記第1反射部材を介して前記導光体に入射することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記第1反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜で構成されていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記第1反射部材は、前記屈折率分布型ファイバの端面に形成された反射膜で構成されていてもよい。
【0014】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、前記第2反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜により構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明に係る光ファイバセンサにおいて、光ファイバをさらに含み、前記第1反射部材は、前記光ファイバの端面に形成された反射膜からなっていてもよい。
【0016】
前記反射膜は、誘電体多層膜により構成されていることが好ましい。
【0017】
前記透光性樹脂の周面に、吸湿材を含む樹脂からなる保護部材が被着されていることが好ましく、前記保護部材は、前記透光性樹脂と同じ材質の樹脂を主成分として含むことがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように構成された本発明に係る光ファイバセンサは、前記導光体が透光性樹脂により構成されているので、温度変化による厚さの変化を大きくでき、大きな波長変位が得られる。
従って、本発明によれば、感度と測定精度が高くかつ安価な光ファイバセンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態の光ファイバセンサについて説明する。
実施形態1.
図1は、本発明に係る実施形態1の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。この光ファイバセンサは、光ファイバ11と、その光ファイバ11の先端に接続された感知部10とを含んでなる。感知部10は、それぞれ入射された光の一部を反射するように構成され、かつ互いに対向する2つの反射部材(以下、第1反射部材を反射ミラー12a、第2反射部材を12bとする)、2つの反射ミラー12a、12bの間に設けられた導光体13とからなる。この感知部10は、例えば、反射ミラー12aを介して入射される光を光導光体13中で多重干渉させて、2つの反射ミラー12a、12bの間隔に対応する波長の光を、選択的に、反射ミラー12a又は、反射ミラー12bを介して出射する狭帯域波長フィルタである。
【0020】
ここで、特に、本実施形態の光ファイバセンサでは、2つの反射ミラー12a、12bの間に設けられた導光体13が、透光性樹脂、好ましくは、透光性接着剤からなることを特徴し、これにより感度の高い感知部を安価に製造することを可能にしている。
以下、本実施形態の光ファイバセンサについて、詳細に説明する。
【0021】
反射ミラー12a、12bは、誘電体多層膜や金属膜、又は誘電体多層膜や金属膜による反射膜が蒸着等によって形成されたガラス板などにより構成することができ、一部の光を反射し、残りの光を透過する部材である。反射ミラー12aは、例えば、光ファイバ11に直接成膜されていてもよいし、ガラス板に誘電体多層膜や金属膜を成膜したものを光ファイバ11と導光体13の間に配置するようにしてもよい。
また、反射ミラー12bは、導光体13に直接成膜されていてもよいし、ガラス板に誘電体多層膜や金属膜を成膜したものを導光体13に被着するようにしてもよい。
尚、反射ミラー12bは、入射される光の全てを反射するようにしてもよい。
このように、反射ミラー12aが光ファイバ11に、反射ミラー12bが導光体13に直接成膜されていると、屈折率が変化する媒体を介在させることなく光の伝送を行うことができるため、光の損失を低減することができる。
また、反射ミラー12aおよび反射ミラー12bがガラス誘電体多層膜や金属膜の形成されたガラス板によって構成されれば、たとえばガラス板に蒸着等の方法によって容易に、かつ精度よく作製することができるため、反射部材の製法の観点で好適である。
反射膜を構成する誘電体多層膜には、たとえばSiO2とTiO2を交互に積層させてなる多層膜やSiO2とTa2O5を交互に積層させてなる多層膜を用いることができる。また、反射膜を構成する金属膜には、たとえば金、銀、またはアルミニウムを積層させてなる多層膜を用いることができる。
【0022】
導光体13は、透光性樹脂、好ましくは、常温で柔軟性を持ち、紫外線、可視光、電子線、熱で重合し硬化する樹脂、又は常温で柔軟性を持ち、紫外線、可視光、電子線、熱で重合し硬化する透光性接着剤からなる。このような透光性樹脂および透光性接着剤としては、たとえばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が挙げられる。また、導光体13を熱可塑性の樹脂で構成することもできる。熱可塑性の樹脂を用いると、高温で軟化させて導光体13を所定の厚さに設定し、室温においてその厚さを維持できるので、容易に厚さ調整ができる。このような熱可塑性の樹脂としては、たとえばポリカーボネート樹脂等が挙げられる。さらに、導光体13には、耐熱性を持たせるため無機材料が含まれていても良い。
【0023】
この反射ミラー12a、12b及び導光体13により構成される感知部10は、一般的にエタロンと呼ばれ、このような干渉計のことを一般的にファブリ・ペロー干渉計と呼ばれる。
【0024】
以下、本実施形態の光ファイバセンサの原理及び動作について説明する。
まず、実施形態の光ファイバセンサにおいて、反射ミラー12aから光が角度θをもって入射したとすると、その光は、図9に示すように、厚さdの導光体13の内部で多重反射され、感知部10を透過または反射する。このとき、感知部10を透過する光のピーク波長λ(反射における減衰ピーク)は、次の関係式で与えられる。
mλ=2ndcosθ ・・・(1)
ここでmは干渉次数(整数)、nは導光体の屈折率、dは導光体13の厚み、θは入射光の角度である。
【0025】
ここで、θは要求により任意に設定し得るが、多くは0に設計され、その場合、(1)式は、次の(2)式になる。
mλ=2nd ・・・(2)式
【0026】
ここで、導光体13の線熱膨張係数をαとし、導光体13の屈折率nの温度変化係数をβとし、温度がT℃変化したときの波長λの波長シフト量をΔλとすると、mλ=2ndは以下のようになる。
m(λ+Δλ)=2nd(1+βT)(1+αT)・・・(3)
【0027】
したがって、干渉次数が1である場合、温度がT℃変化したときの波長シフト量Δλは、次の(4)式で与えられる。
Δλ=(α+β+αβ)Tλ・・・(4)
この(4)式からわかるように、波長シフト量Δλは導光体13の厚みdや屈折率nに関係なく、導光体13の線熱膨張係数αと屈折率温度係数βにより決定される。
この関係式(4)に基づいて、温度変化Tに対応する波長シフト量Δλを測定することにより、温度測定が可能である。
【0028】
一般に、透光性樹脂は、線熱膨張係数αと屈折率温度係数βは、石英等の無機物に比較して、石英より1桁から2桁ほど大きいので、本発明のように、導光体13として透光性樹脂を使用した場合には、温度変化に対する波長シフト量Δλを極めて大きくできる。従って、本発明によれば、感度が高く測定精度の高い温度センサが実現できる。
【0029】
具体的には、例えば、温度変化T=1℃とした時、(4)式はΔλ/λ=α+β+αβとなる。一方、例えば、現在市販されているスペクトラムアナライザの1550nm近傍における測定精度は、0.02nm程度である。Δλを0.02とし、λを1550nmとすると、Δλ/λはおよそ13×10−6となる。つまり13×10−6K−1≦α+β+αβのとき、T=1℃を識別できることになる。
【0030】
例えば、従来例の導光体として用いられていた石英は、α=0.5×10−6K−1、β=10×10−6K−1であり、現状の波長測定精度では十分な感度及び精度が得られない。これに対して、透光性樹脂を用いた導光体13は、一般的にαが石英より1桁から2桁ほど大きい。例えばアクリル系の紫外線硬化型接着剤は、α=70×10−6K−1、β=200×10−6K−1である。従って、透光性樹脂を用いた導光体13では、感度が高く、かつ0.05℃の精度で温度が測定できる温度センサが得られる。
【0031】
このように、本発明では、導光体13を透光性樹脂で構成しているので、温度センサとして用いたとき、感度及び温度精度を向上させることができる。
【0032】
次に、本実施形態の光ファイバセンサにおける各パラメータ(導光体の厚さd、反射ミラー12a,12bの反射率など)の好ましい範囲、特に光ファイバセンサを複数用いて、異なる場所の温度を測定する多点センサを構成する際の、好ましい範囲について説明する。
尚、ここでは反射光について説明するが、透過光についても同様である。
【0033】
まず、図1の光ファイバセンサにおいて、光ファイバ11に入射した光Eiは、その一部が、反射ミラー12aで反射し光ファイバ11に再入射される。ここで、反射ミラー12aでの反射率をR1とする。一方、反射ミラー12aを透過した透過光は、屈折率nの導光体13を透過し、反射ミラー12bで反射し、再び導光体13を透過して、反射ミラー12aに到達する。ここで反射ミラー12bでの反射率をR2とする。反射ミラー12aに、達した光はさらに、一部が反射し、残りの一部が透過する。反射光は再び導光体13を透過し、反射ミラー12bで反射し、再び導光体13を透過し、反射ミラー12aに到達する。ここでも反射ミラー12aに到達した光は一部が反射し一部が透過する。このようにして、反射と透過が繰り返し無限回行われる。この間、反射ミラー12aを透過して、光ファイバ11に再入射する光も無限に存在する。これら全ての光が干渉し合い、全体としての反射光強度Irと入射光強度Iiの比Ir/Iiは、以下の(5)式で表される。
【0034】
【0035】
ここでφ=4ndπ/λであり、dは導光体13の厚みである。
この(5)式のように、Ir/Iiは波長λ、導光体13の屈折率nや厚みdの関数で表される。
【0036】
次に、図2A,図2Bを参照しながら、導光体13の厚みdと、反射減衰ピーク間の間隔δλの関係、及び図3A〜図3Dを参照しながら、導光体13の厚みdの変動に対する反射減衰ピークの変動について説明する。
まず、図2Aは、導光体13の厚みd=20μmとしたときの、波長1580nm近傍(1550nm〜1610nm)のIr/Iiを示す図である。この図2Aにおいて、実線は、反射ミラー12a,12bの反射率をそれぞれ0.9としたとき(R1=R2=0.9)、破線は、反射ミラー12a,12bの反射率をそれぞれ0.5としたとき(R1=R2=0.5)、一点鎖線は、反射ミラー12a,12bの反射率をそれぞれ0.2としたとき(R1=R2=0.2)としたときの計算値である。
【0037】
図2Aに示す通り、反射ミラー12a、12bの反射率R1、R2を大きくすれば波長選択性の優れたフィルタにすることができる。
【0038】
また、ピーク波長は、φ=π/2+mλのときの値となり、隣接するピーク波長の間隔δλは、ある波長のピークλi=2nd/mと、次のピークλi+1=2nd/m+1の関数で決定される。これより、隣接するピーク波長の間隔δλは以下のように表される。
δλ=λ2/(2d+λ)・・・(6)
【0039】
図2Bは、隣接するピーク波長の間隔δλと導光体13の厚みdの関係を示した図である。このように導光体13の厚みdが小さくなるに従い、ピーク波長の間隔δλは大きくなる。
現在、多く行われている光多重通信における波長帯域はおよそ40nm程度である。波長帯域を40nmとした多点センサを考えると、同一感知部内の40nmの間に複数のピークが存在することは望ましくない。従って、図2Bより、導光体13の厚みdが20μm以下であることが望ましいことが理解できる。
【0040】
尚、多点センサとは、複数(例えば、4つ)の光ファイバセンサを異なる位置に配置し、各位置の温度を測定するものであり、例えば、図8に示すように、1つの光源101から出力した光を順次感知部10に入力して、1つの測定手段103により各点の温度を検出するように構成される。図8の例では、光サーキュレータ104を用いて、隣接する感知部10間を接続している。
【0041】
また、図3には、波長多重化をするために、4つの感知部10の波長ピークが互いに10nm程度離れるように設定した例を示している。波長多重間隔を10nm程度としたのは、温度センサは波長変動量と温度が相関することを利用したセンサであり、1つの感知部に対し、この程度の波長領域を割り当てる必要があるからである。
【0042】
図3に示す通り、このとき導光体13の厚みdは136nmだけ異なるように調整する必要があることが分かる。仮に波長多重間隔を、公差±1nmとして、10±1nmに設定した場合、導光体13の厚みdの調整精度は136±13.6nm程度にする必要がある。
【0043】
このように導光体13の厚みd、すなわちエタロンフィルタの厚みを極めて高精度に調製する必要がある。しかしながら、本発明においては、常温で柔軟性を持つ透光性樹脂を用いて導光体13を構成することにより、以下のような調整方法を用いて、導光体13の厚みdの厚みを極めて高精度に調製することができる。
【0044】
まず、図4は本発明の導光体13の厚みdの調製を行うための評価系(測定系)を示す図である。
以下の説明では、紫外線によりアクリルオリゴマーがアクリルポリマーに変化する樹脂を使用して導光体13を構成した例を用いて説明する。
【0045】
その評価系は、光ファイバ11、反射ミラー12a及び導光体13となる透光性樹脂を保持するファイバ保持具14と、反射ミラー12bを保持するステージ15と、ステージを動かすマイクロメータ16と、光源17と、スペクトラムアナライザ18と、光源からの光と測定光を分離する光サーキュレータ19とによって構成される。
尚、反射ミラー12bは、例えば、基体の上に反射膜が形成されてなり、ステージ15によって基体部分が保持される。また、図4において、導光体13となる透光性樹脂は硬化する前であり、最終形態をなしていない。
【0046】
以上のような評価系を用いて、マイクロメータ16により反射ミラー12bの基体13を動かし、反射ミラー12aと12bの間隔を、例えば、ほぼ、図3に示すような所望の特性が得られるように(約20μm)粗調整する。次に、光スペクトラムアナライザ18により、反射波形を観測しながら所望の特性になるように微調整を行う。そのようにして、最適化した点で紫外線を透光性樹脂に照射し、硬化させる。これにより所望の波長ピークを示す、感知部を作製できる。なお、硬化の際、数%の硬化収縮が発生するため、この分はあらかじめオフセットして調整する。
【0047】
このような方法によれば、マイクロメータによる調整で、所望の波長特性に調整が可能であり、ナノオーダーレベルの寸法の計測は必要としない。これにより、例えば、1550nmを目標ピーク波長として調製することもできるし、先に説明したm番目のピークであろうがm+1番目のピークであろうが調整できる。このように柔軟性のある状態の樹脂を調製することにより、種々の調整値に設定することが可能である。
【0048】
以上のような方法を用いることにより、個々のセンサに対して異なる値に調整することが可能であり、従来の研磨やエッチングといった複雑でかつ精密な調製をすることなく、マイクロメータを用いた簡単な調製で、波長多重化が可能な光ファイバセンサを提供できる。
【0049】
以上、本発明では、α、βが大きくできるので、波長シフト量が大きくでき、感度及び測定精度を高くできること、また、従来の研磨やエッチングといった複雑でかつ精密な調製をすることなく、マイクロメータを用いた簡単な調製で、波長多重化が可能な光ファイバセンサを提供できることを説明した。
しかしながら、多点センサを構成する場合には、光波長多重通信をすることを考慮して、波長多重通信が可能な範囲にα、βを設定することが必要である。
【0050】
例えば、現在の光波長多重通信の波長帯域40nmをΔλの最大値とすると、Δλ=40nm=(α+β+αβ)×T×1550nmである。例えば温度範囲を25±10℃とし、T=20℃とすると、α+β+αβ=1290×10−6K−1となり、これより小さいことが望ましい。より広い温度範囲の測定が必要な場合は、その測定温度範囲と光波長多重通信の波長帯域とを考慮して、α+β+αβを設定すればよい。
このように高精度な温度センサを提供し、かつ広範囲の温度計測をするためα+β+αβは以下の(7)式を満たす範囲で適切な値に設定することが望ましい。
13×10−6K−1≦α+β+αβ≦1290×10−6K−1・・・(7)式
【0051】
実施形態2.
図5は、本発明に係る実施形態2の光ファイバセンサの構成を模式的に示す図である。
本実施形態2の光ファイバセンサは、感知部10の周辺を、吸湿剤を含んだ保護膜(例えば、接着剤)21で覆った構造したことを特徴している。保護膜21で覆った以外は、実施形態1と同様に構成されている。尚、温度の変換量となる波長シフト量Δλは導光体13の厚みdに関係なく、導光体13の線熱膨張係数αによるものであるため、導光体13の周辺に接着剤21があっても温度検出特性に影響することはない。
【0052】
以上のように構成された本発明に係る実施形態2の光ファイバセンサは、導光体13の周辺を、吸湿剤を含んだ保護膜21で覆うことで信頼性の高い温度センサを提供することができる。すなわち、一般的に導光体13を構成する樹脂は、光学ガラスより吸湿性が高いが、吸湿剤を含んだ保護膜21で覆うことにより、高湿環境下でも高い信頼性が確保できる。保護膜21は、たとえばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の中に、シリカゲル、ゼオライト、カーボナイト等の無機物もしくは高い吸水性を有するポリアクリル酸塩系ポリマーやゴム化アスファルトなどの有機物を吸湿剤として含有させることによって構成される。この吸湿剤は、保護膜21中に0.1乃至50.0質量%含有されていることが好ましい。これは、吸湿剤が0.1質量%未満であると水分の浸入を抑制する効果が弱く、一方で、50.0質量%を超えると保護膜21を主として構成する樹脂の流動性の悪化に伴う樹脂の成型性が悪くなるため、所定の位置に保護膜21を形成することが困難になる。
【0053】
実施形態3.
図6は本発明の実施形態3の光ファイバセンサの構成を模式的に示す図である。
この実施形態3の光ファイバセンサは、光ファイバ11と反射ミラー12aの間に、レンズ機能を有するグレーデッドインデックスファイバ(屈折率分布型ファイバ)31が接続されている以外は、実施形態1と同様に構成される。このようにすると、グレーデッドインデックスファイバ31のレンズ機能により、反射ミラー12bの第1反射光を効率よく光ファイバ11に再入射することができる。
【0054】
すなわち、光ファイバ11から出射された光は拡がって、反射ミラー12aを透過して導光体13を通過するので、反射ミラー12bで反射した光は光ファイバ11に再結合する時、ロスが発生することがある。このような場合、グレーデッドインデックスファイバ31を用いて、光ファイバ11から出射された光の広がりを抑えて集光するように反射ミラー12aを介して、導光体13に入射することで、反射ミラー12bで反射された光を効率よく光ファイバ11に再入射することができる。これにより、光ファイバ11と感知部10の間の光結合効率を高くできる。
【0055】
例えば、導光体13の厚みdが20μmであった場合、反射ミラー12bの反射率を100%としたときに、光ファイバ11に再入射する効率は78%であったとする。この場合、グレーデッドインデックスファイバ31を用いて、光ファイバ11に再入射する効率を高くすると、実質的には、実施形態1で図2Aを参照しながら説明した反射率を高めたことになり、波長選択性の高い測定が可能となる。従って、グレーデッドインデックスファイバ31を用いることにより、より高精度な測定が可能となる。
【0056】
また、実施形態3の光ファイバセンサにおいては、反射ミラー12aをグレーデッドインデックスファイバ31の端面に形成するようにしてもよい。
【0057】
以上実施形態により、詳細に説明したように、本発明は、感知部10の導光体13を透光性樹脂により構成しているので、温度変化に対して大きい波長変位量が得られるので、感度が高くかつ測定精度の高い光ファイバセンサが得られる。
また、本発明の光ファイバセンサは、透光性樹脂が柔軟性を有する状態で波長特性をモニターしながら、エタロンフィルタの間隔を調製することが可能であり、ナノオーダーの調製をすることなく、調製でき、製作作業性・量産性に優れた波長多重可能なセンサを提供することができる。
さらに、無機材料に比較して、透光性樹脂は、線熱膨張係数等の特性を比較的自由に調整することが可能であるから、使用環境、使用状態に応じて適切な感度及び測定精度の光ファイバセンサを提供できる。
【0058】
以上の実施形態では、反射光を用いて温度を測定した例により説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、感知部を透過する光を用いて温度を測定するようにしてもよい。
以上のようにしても実施形態1〜3と同様の効果が得られる。
【実施例】
【0059】
本発明に係る実施例として、以下のような光ファイバセンサを作製して評価した。
本実施例では、モードフィールド径10.5μmのシングルモードファイバからなる光ファイバ11、光ファイバ11に直接成膜した反射率90%、透過率10%の誘電体多層膜からなる反射ミラー12a、BK−7よりなる基体13に成膜された反射率99.9%の誘電体多層膜からなる反射ミラー12b、アクリル系の紫外線硬化樹脂からなる透光性接着剤を用いて構成した導光体13により、光ファイバセンサを作製した。尚、導光体13を構成する透光性接着剤の線熱膨張係数はα=70×10−6、屈折率の温度係数はβ=200×10−6である。また、ファイバ保持具14としてジルコニアフェルールを用いた。
【0060】
以上の部材を用いて、図4に示す系で測定しながら、反射ミラー12aと12bの間隔を、所望の特性が得られるように(約20μm)粗調整し、光スペクトラムアナライザ18により、反射波形を観測しながら所望の特性になるように微調整をした。
尚、硬化の際、1.8%の硬化収縮が発生するとして、オフセット量を設定した。
【0061】
以上のように作製した光ファイバセンサの感知部を恒温漕に入れて温度特性を測定した。その結果を図7に示す。図7に示すように、本発明の光ファイバセンサでは、温度に対してピーク波長の変化が線形に近い波長温度特性を示すことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る実施形態1の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。
【図2A】導光体の厚みd=20μmとしたときの、波長1580nm近傍における、入力光強度に対する反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図2B】隣接するピーク波長の間隔δλと導光体13の厚みdの関係を示した図である。
【図3A】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.000μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図3B】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.136μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図3C】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.272μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図3D】実施形態1において、透光体13の厚さdを20.408μmに設定したときの反射光強度(Ir/Ii)を示す図である。
【図4】導光体13の厚みdの調製を行うための測定系を示す図である。
【図5】本発明に係る実施形態2の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。
【図6】本発明に係る実施形態3の光ファイバセンサの構成を示す模式図である。
【図7】本発明に係る実施例の光ファイバセンサの評価結果を示す図である。
【図8】複数の光ファイバセンサを用いて構成された多点センサの構成を示すブロック図である。
【図9】導光体中の多重反射の様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 感知部、11 光ファイバ、12a、12b 反射ミラー、13 導光体、14 ファイバ保持具、15 ステージ、16 マイクロメータ、103 測定手段、104 光アイソレータ、17 光源、18 スペクトラムアナライザ、21 保護膜、31 グレーデッドインデックスファイバ(屈折率分布型ファイバ)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性樹脂からなり、互いに対向する第1の面と第2の面とを有する導光体と、
前記第1の面に被着され、かつ入射された光の一部を反射する第1反射部材と、
前記第2の面に被着され、かつ入射された光の一部又は全てを反射する第2反射部材と、を備え、
前記第1反射部材を介して入射される光を前記導光体中で多重干渉させて、前記第1の面と第2の面の間隔に対応する波長の光を、前記第1反射部材又は前記第2反射部材を介して出射することを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】
前記導光体は、13×10−6K−1≦α+β+αβを満足する線熱膨張係数αと屈折率温度係数βとを有する請求項1記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】
前記線熱膨張係数αと前記屈折率温度係数βとが、α+β+αβ≦1290×10−6K−1を満足する請求項2記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】
屈折率分布型ファイバを備え、光を該屈折率分布型ファイバにより集光して前記第1反射部材を介して前記導光体に入射する請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。
【請求項5】
前記第1反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜により構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバセンサ。
【請求項6】
前記前記第1反射部材は、前記屈折率分布型ファイバの端面に形成された反射膜により構成されている請求項4記載の光ファイバセンサ。
【請求項7】
前記第2反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜により構成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項8】
光ファイバをさらに含み、前記第1反射部材は、前記光ファイバの端面に形成された反射膜により構成されている請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項9】
前記反射膜は、誘電体多層膜からなる請求項5〜8のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項10】
前記透光性樹脂の周面に、吸湿材を含む樹脂からなる保護部材が被着された請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項11】
前記保護部材は、前記透光性樹脂と同じ材質の樹脂を主成分として含む請求項10記載の光ファイバセンサ。
【請求項1】
透光性樹脂からなり、互いに対向する第1の面と第2の面とを有する導光体と、
前記第1の面に被着され、かつ入射された光の一部を反射する第1反射部材と、
前記第2の面に被着され、かつ入射された光の一部又は全てを反射する第2反射部材と、を備え、
前記第1反射部材を介して入射される光を前記導光体中で多重干渉させて、前記第1の面と第2の面の間隔に対応する波長の光を、前記第1反射部材又は前記第2反射部材を介して出射することを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】
前記導光体は、13×10−6K−1≦α+β+αβを満足する線熱膨張係数αと屈折率温度係数βとを有する請求項1記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】
前記線熱膨張係数αと前記屈折率温度係数βとが、α+β+αβ≦1290×10−6K−1を満足する請求項2記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】
屈折率分布型ファイバを備え、光を該屈折率分布型ファイバにより集光して前記第1反射部材を介して前記導光体に入射する請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。
【請求項5】
前記第1反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜により構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバセンサ。
【請求項6】
前記前記第1反射部材は、前記屈折率分布型ファイバの端面に形成された反射膜により構成されている請求項4記載の光ファイバセンサ。
【請求項7】
前記第2反射部材は、透光性を有する基体の一主面に形成された反射膜により構成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項8】
光ファイバをさらに含み、前記第1反射部材は、前記光ファイバの端面に形成された反射膜により構成されている請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項9】
前記反射膜は、誘電体多層膜からなる請求項5〜8のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項10】
前記透光性樹脂の周面に、吸湿材を含む樹脂からなる保護部材が被着された請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の光ファイバセンサ。
【請求項11】
前記保護部材は、前記透光性樹脂と同じ材質の樹脂を主成分として含む請求項10記載の光ファイバセンサ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−232509(P2007−232509A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53190(P2006−53190)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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