説明

光ファイバーおよびそれを用いた水中衝撃波発生装置

【課題】レーザー光の集光効率が良く、耐久性の高い光ファイバーおよびそれを用いた衝撃波発生装置を提供する。
【解決手段】水中にレーザー光を照射して水中衝撃波を発生させる水中衝撃波発生装置10に用いられる光ファイバー11。光ファイバー11は、本体部16と、その先端に設けられたレーザー収束部17とからなり、レーザー収束部17が先端18aの径が基端18bの径より小さい略円錐台の形状を呈しており、かつ、軸線断面の側辺の半径方向に対する内角θが、先に向かって徐々に小さくなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーおよびそれを用いた水中衝撃波発生装置に関する。詳しくは、水中にパルスレーザー光を照射して水中衝撃波を発生するための光ファイバーおよびそれを用いた水中衝撃波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、患部に対する非薬物療法として高周波アブレーション治療が広く普及している。しかし、この治療法は治療部位を電極により焼灼するため、頻脈性不整脈における深部の不整脈の治療が困難であり、また発生する熱により重篤な血栓閉塞症を患部に併発させるおそれがあるという問題がある。
また、水中にパルスレーザー光を照射し発生させた水中衝撃波を収束させて、限局した空間に瞬間的に高圧を発生させ、尿路や腎臓結石を破砕除去する体外破砕術(Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy (ESWL))が確立されている。
本出願人は、例えば特許文献1に示すように、上記水中衝撃波収束法をカテーテルに組み入れ可能な大きさまでにまで小型化し、その水中衝撃波発生装置を提供することに成功している。
また、非特許文献1の3.6で示すように、光ファイバーの表面を粗面とする方が鏡面とすることより強い衝撃波を発生させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−61083号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】H. NOSE et al., Effect of Optical Fiber Output Surface on Laser Induced Shock Wave and Its Application, Japanese Journal of Applied Physics Vol. 43, No. 9A, 2004, pp. 6145-6151
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の水中衝撃波発生装置は、深部にある患部を治療できるという課題、および、治療部位において熱を発生させないため血栓閉塞症を発生させないという課題を解決したが、耐久性が低いことがわかった。特に、成形などで生じた表面の微細な亀裂に水が入り込んだり、レーザー光を照射した際に、わずかな亀裂を起点として破壊が生じたりすることがわかった。そのため、1回から数回のレーザー光を照射するだけで、光ファイバーの先端が損傷してしまい、それにより発生する衝撃波の強さが激減してしまうことがわかった。このため、より良い水中衝撃波発生装置を構築するためには、光ファイバーの耐久性を向上させることが必要不可欠である。
本発明は、エネルギーの大きい衝撃波を効率よく発生させることができ、かつ、耐久性の高い水中衝撃波発生装置用の光ファイバーおよびそれを用いた衝撃波発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光ファイバーは、水中にパルスレーザー光を照射して水中衝撃波を発生する水中衝撃波発生装置用の光ファイバーであって、線状の本体部と、その先端に設けられたレーザー収束部とからなり、前記レーザー収束部が、先に向かって径が小さくなり、軸中心に回転した回転体を呈しており、前記レーザー収束部は、その先端が前記軸に対して垂直
な平面部となった略円錐台を呈しており、前記レーザー収束部の軸線断面の側辺の半径方向に対する内角が、先に向かって徐々に小さくなるように構成されていることを特徴としている。
このような光ファイバーであって、前記レーザー収束部の表面が鏡面になっているものが好ましい。また、前記レーザー収束部の軸線断面の側辺が、複数の直線から構成されているもの、前記レーザー収束部の軸線断面の側辺が曲線から構成されているもの、または、前記レーザー収束部の軸線断面の側辺が直線および曲線から構成されているものが好ましい。
【0007】
本発明の水中衝撃波発生装置は、本発明の光ファイバーと、先端に凹面が形成された柱状の反射体と、その凹面を閉じる遮断膜と、前記凹面と遮断膜との間に充填される液体とから構成されている。また、反射体が、長軸を回転軸とした回転楕円面形状を有する前記凹面と、長軸上に形成され、前記凹面と連通する光ファイバーを通す中心孔とを有しており、前記光ファイバーは、レーザー収束部の先端が前記反射体の凹面の焦点にくるように固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光ファイバーは、線状の本体部と、その先端に設けられたレーザー収束部とからなり、前記レーザー収束部が、先に向かって径が小さくなり、軸中心に回転した回転体を呈しているため、光ファイバーの先端に基端から照射したレーザー光を集光させることでき、より強い衝撃波を効率よくピンポイントに発生させることができる。特に、前記レーザー収束部の軸線断面の側辺の半径方向に対する内角が、先に向かって徐々に小さくなるように構成されているため、光線追跡法に基づいてレーザー光を収束させることができる。また、前記レーザー収束部の先端が軸に対して垂直な平面部となった略円錐台を呈しているため、耐久性が高い。
【0009】
このような光ファイバーであって、前記レーザー収束部の表面が鏡面になっている場合、表面における微細な亀裂等を防止でき、その耐久性を向上させることができる。また、レーザー収束部の内面での乱反射を防ぎ、先端に向かって収束するレーザーエネルギー密度を高めることができる。特に、レーザー収束部を先端に向かって縮径した略円錐台としており、その機械的強度は円筒状のものより小さくなるが、従来の成形法のものより発生させる衝撃波が強く、かつ耐久性の高いものが得られる。
このような光ファイバーであって、レーザー収束部の軸線断面の側辺が複数の直線から構成されている場合、レーザー収束部の軸線断面の側辺が1または2以上の曲線から構成されている場合、または、前記レーザー収束部の軸線断面の側辺が1または2以上の曲線から構成される場合、レーザー光を光線追跡法に基づいて収束させることができ、安定した衝撃波を発生させることができる。
【0010】
本発明の水中衝撃波発生装置は、本発明の光ファイバーを用いているため、光ファイバーの耐久性が高く、装置全体としての耐久性も高い。また、光ファイバーの先端にレーザー光が収束するように構成されているため、発生した衝撃波も反射体外の焦点に正確に収束し、エネルギー効率も高い。また、装置からより遠い距離で大きな衝撃波を発生させることができる。そのため、より一層高度な治療に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1aは本発明の水中衝撃波発生装置の一実施形態を示す断面側面図であり、図1bはその水中衝撃波発生装置によって発生させた衝撃波の反射図である。
【図2】図2a〜eはそれぞれ本発明の光ファイバーのレーザー収束部の一実施形態を示す外形図である。
【図3】図3aは図2aのレーザー収束部の数式を表す概略図であり、図3bは図2aの光ファイバーのレーザー収束部にレーザー光を照射したときのレーザー光の収束図である。
【図4】図1aの反射体を示す断面側面図である。
【図5】水中衝撃波発生装置によって発生させた衝撃波の装置先端からの距離と強さの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に図1を用いて本発明の水中衝撃波発生装置を説明する。
水中衝撃波発生装置10は、光ファイバー11と、その光ファイバーを固定する反射体12と、その反射体12の先端の凹面開口部を閉じる遮断膜13と、凹面と遮断膜との間に充填される液体14とから構成される。この水中衝撃波発生装置10は、カテーテル15の先端に取り付けられる小型のものである。
【0013】
光ファイバー11は、線状の本体部16と、その先端に設けられたレーザー収束部17とからなり、脱水酸基処理をした石英製のものである。その本体部16の径としては、0.1〜1.0mm、0.5〜0.7mm、特に0.6mmのものが用いられる。
レーザー収束部17は、先に向かって径が小さくなり、本体部の軸中心に回転した回転体を呈しており、先端が本体部の軸に対して垂直な平面部18aとなった小さい略円錐台の形状を呈している(図2参照)。レーザー収束部17の先端平面部18aの径の基端18bの径に対する比は1/1.5〜1/6、好ましくは1/2〜1/3、特に好ましくは1/2である。
レーザー収束部の軸線断面の側辺の半径方向に対する内角θは、基端側から先端側に向かって(先に向かって)徐々に小さくなるように構成されている。また、レーザー収束部の耐久性を考慮するとその高さはファイバーの直径より低いことが好ましい。
【0014】
レーザー収束部17の表面は鏡面としており、表面の微細な亀裂や凹凸が無い。そのため、表面な微細な亀裂や凹凸に水が入り込み、その亀裂を起点としたレーザー収束部17の破壊を防止することができる。
レーザー収束部17の鏡面仕上げの方法としては、光学レンズの作成方法が用いられる。詳しくは、光学レンズ用の所定の道具を用いて、径24ミクロンから径1ミクロンまでの複数の研磨剤を用意し、大きいものから順番に研磨して鏡面に仕上げる方法が挙げられる。
【0015】
このようなレーザー収束部17の略円錐台の形状として、図2a〜eなどが挙げられる。
図2aのレーザー収束部17aは、基端18bの径Xに対して先端18aの径Yが約半分となっているものであり、軸線断面の形状が略台形を呈する。この台形の側辺は3つの直線(17a、17a、17a)からなっており、それぞれ基端部(本体部、図中左)側から台形の底辺(略円錐台の半径方向)に対する内角(θ、θ、θ)が徐々に小さくなるように構成されている(θ>θ>θ)。
【0016】
図2aのレーザー収束部17aでは、軸線断面形状である台形の側辺が3つの直線からなるものを挙げたが、次の数式を満たせば、2つの直線から構成されても、4つ以上の直線から構成されてもよい。基端から先端に向かってそれぞれの直線の半径方向に対する内角(θ1、θ2、・・・θn-1、θn)とする。

(数1)
0.4 < tan(2θn-1/2π)/tanθn < 0.5
n-1/2π<θn+1n、n=1,2,3…
ただし1/4π<θn<1/2π

このように設定することによって、図3aに示すように、半径方向に対する内角がθnの直線Cの内面で反射したレーザー光は、その直線の基端、先端によって形成される面A、面Bの間の平坦面Dを必ず通過する。そのため、レーザー光を効率よく集光でき、一層強い衝撃波を発生させることができる。また、レーザー収束部の耐久性を考慮すると略円錐台の高さはファイバーの直径より低いことが好ましい。
【0017】
図2bのレーザー収束部17bは、基端18bの径Xに対して先端18aの径Yが約1/6となっており、軸線断面の台形の側辺が3つの直線(17b、17b、17b)からなっている。また、このレーザー収束部17bの高さ(A’+B’+C’)を基端18bの径Xと同じにしている。それぞれ基端部(本体部、図中左)側から台形の底辺(略円錐台の半径方向)に対する内角(θ、θ、θ)が徐々に小さくなるように構成されており(θ>θ>θ)、全てのレーザー反射光が先端18aの平坦面を通過するように設定されている。
【0018】
図2cのレーザー収束部17cは、基端18bの径Xに対して先端18aの径Yが約1/3となっているものである。軸線断面の台形の側辺は2つの直線(17c、17c)とからなっており、それぞれ基端部(本体部、図中左)側から台形の底辺(略円錐台の半径方向)に対する内角(θ、θ)が先に向かって徐々に小さくなるように構成されている(θ>θ)。
この実施形態では、直線17cの内角θAを臨界角付近に設定している。つまり、水の屈折率を1.329、光ファイバーの屈折率を1.435としたとき、臨界角の定義(臨界角θc=arcsin(n2/n1)、n1:光ファイバーの屈折率、n2:水の屈折率)より直線17c1を通過して水中に透過するレーザー光が理論上無くなる臨界角度は、67.84度である。さらに、レーザー収束部の耐久性を考慮すると略円錐台はファイバーの直径より低いことが好まく、その場合は76.8度以下となる。したがって,67.84度<θA<76.8度としている。
【0019】
図2dのレーザー収束部17dは、基端18bの径Xに対して先端18aの径Yが約半分となっている。軸線断面の台形の側辺17d1が外向きに突出した湾曲線より構成されている。一方、側辺17d1は、2以上の湾曲線により構成されてもよい。
図2eのレーザー収束部17eは、基端18bの径Xに対して先端18aの径Yが半分となっている。軸線断面の台形の側辺が一つの直線17eと、1つの湾曲線17eより構成されている。
【0020】
図2a〜eのレーザー収束部17a〜eは、レーザー収束部の先端18aが基端18bより小さくなった略円錐台形状を呈し、かつ、レーザー収束部17の軸線断面形状の側辺の半径方向に対する内角が先に向かって連続的にあるいは不連続的に徐々に小さくなっていれば、集光効率の向上、および、光ファイバーのレーザー収束部17の耐久性の向上という本発明の効果が得られる。
このように光ファイバー11は構成されているため、例えば図3bに示すように、図2aのレーザー収束部17aにレーザー光Rを照射するとレーザー光は光線追跡法に基づいて収束する。
【0021】
反射体12は、図4に示すように、長軸回転軸とした回転楕円面形状を有する凹面22と、反射体の軸中心に形成され、凹面22と連通する光ファイバー11を通す中心孔23とを備えている円柱状のものである。凹面22の短径(開口部直径Z)としては、2.0〜2.5mm、特に2.3mmが好ましい。長径は、患部の深度に応じて決定することができるが、長短径比が1.2〜1.6、特に1.4〜1.45が好ましい。
【0022】
図1の遮断膜13は、プラスチック製の薄膜であって、弾力性を有するものが用いられる。そのような材質として、ポリエチレン等が挙げられる。
液体14としては、水、食塩水等が挙げられる。
カテーテル15は、可撓性を有するものであり、ポリウレタン、ポリアミド、それらに類するエラストマー、シリコンゴムなどの合成樹脂製が用いられる。
【0023】
本発明の水中衝撃波発生装置10は、光ファイバー11のレーザー収束部17の先端18aが反射体12の凹面22の一つの焦点F1に位置するように、反射体12の中心孔23に通して光ファイバー11を固定する(図1b参照)。これにより、光ファイバー11を介して照射されたレーザー光は反射体の凹面22の焦点F1で衝撃波を発生する。発生された衝撃波は、その焦点から360度に拡散されるが、反射体12の凹面に反射され、反射体12の外の第2の焦点F2に向かって収束する。このように、本発明の水中衝撃波装置10は、先端からある一定の距離に衝撃波を収束させることができる。例えば、頻脈性不整脈における深部の不整脈治療を正確に、かつ、安全に行うことができる。特に、光ファイバー11のレーザー収束部17は、複数回使用しても損傷せず耐久性が高く、小さいエネルギーで大きな衝撃波を発生させることができる。
【0024】
本発明の水中衝撃波発生装置に使用するレーザー光としては、パルス幅が50〜120ナノ秒、好ましくは70〜100ナノ秒、特に好ましくは70ナノ秒であり、エネルギーが1パルスあたり30mJ〜50mJのものが使用される。このようなレーザーとして、Qスイッチ付きHo:YAGレーザーが好ましい。
【実施例】
【0025】
次の光ファイバーの先端を次のように加工した。
[実施例1]
基端18bの径Xが0.6mmであり、先端18aの径Yが0.344mmであり、断面形状の側辺を構成する3つの直線(17a、17a、17a)の角度(θ、θ、θ)が78.9度、73.4度、65.6度であり、高さ(A’、B’、C’)が0.175mm、0.186mm、0.072mmである図2aのレーザー収束部17aを作製した(実施例1)。
このレーザー収束部17aの表面を、光学レンズの作成方法に使用する道具で、粗い研磨剤(溶融アルミナ(24ミクロン、16ミクロン、10ミクロン)、酸化セリウム(1ミクロン))から順に磨いて鏡面とした。
【0026】
[実施例2]
基端18bの径Xが0.6mmであり、先端18aの径Yが0.106mmであり、断面形状の側辺を構成する3つの直線(17b、17b、17b)の角度(θ、θ、θ)が70度、61度、55度であり、高さ(A’、B’、C’)が0.457mm、0.060mm、0.083mmである図2bのレーザー収束部17bを作製した(実施例2)。
【0027】
[実施例3]
基端18bの径Xが0.6mmであり、先端18aの径Yが0.148mmであり、断面形状の側辺を構成する2つの直線(17c、17c)の角度(θ、θ)が69度、60度であり、高さ(A’、B’)が0.213mm、0.242mmである図2cのレーザー収束部17cを作製した(実施例3)。
【0028】
[実施例4]
実施例1のレーザー収束部17aを備えた光ファイバー11と、短径4mmの半切楕円体形状の凹面(反射鏡)を備えた反射体12とを用意した。その反射体12の凹面22に
精製水(液体14)を満たし、その反射体の開口端を厚さ0.1mmのシリコンゴム製の遮断膜13で密封し、水中衝撃波発生装置10(実施例4)を製造した。光ファイバーのレーザー収束部17aは、その先端が反射体の第1の焦点(図1bのF1)と位置するように固定した。
【0029】
[比較例1]
へき開処理をした円筒状の先端を有する通常の光ファイバーを用意し、実施例1の反射体12、遮断膜13、液体14で水中衝撃波発生装置(比較例1)を製造した。光ファイバーの先端は、反射体の第1焦点に固定した。
【0030】
[比較例2]
基端の径が0.6mmであり、先端の径Yが 0.35mmであり、高さZが
0.43mmである回転円錐台のレーザー収束部を備えた光ファイバーを用意した。レーザー収束部の表面は、ナンバー4000の紙やすりで処理した(粗面)。実施例1の反射体12、遮断膜13、液体14で水中衝撃波発生装置(比較例2)を製造した。光ファイバーのレーザー収束部の先端が、反射体の第1焦点に配置されるように固定した。
【0031】
[比較例3]
基端の径が0.6mmであり、断面形状の側面が先端に向かってが湾曲しており、先端が曲面となっている全体として非球形状(弾丸形状)となっているレーザー収束部を備えた光ファイバーを用意した。レーザー収束部の表面は、ナンバー4000の紙やすりで処理した(粗面)。実施例1の反射体12、遮断膜13、液体14で水中衝撃波発生装置(比較例3)を製造した。光ファイバーのレーザー収束部の先端が、反射体の第1焦点に配置されるように固定した。
【0032】
実施例4および比較例1、2、3の水中衝撃波発生装置にHо:YAGレーザー(発振周期3Hz、レーザー出射端におけるエネルギーが35mJ/pulse)を照射し、衝撃波を発生させた。装置の先端からの距離に対する衝撃波最大過剰圧の変化を図5に示す。
【0033】
図5に示すように、実施例4を用いた場合、55〜65MPaの衝撃波(収束波)が確認できた。
一方、比較例1を用いた場合、15MPa前後の衝撃波(収束波)しか確認できなかった。比較例2、3を用いた場合でも、35〜45MPa前後の衝撃波しか確認できなかった。
また、実施例4では、装置の先端からの距離が2mm以上において最大値が観測されたのに対し、比較例1〜3では、装置の先端からの距離が2mm前において最大値が観測された。
また、光ファイバーの耐久性は、比較例2は300秒の連続照射で損傷し、比較例3は5秒の連続照射でレーザー収束部が損傷した。実施例4では、レーザーエネルギーが45mJ/pulseのとき,5秒連続照射を80回繰り返しても損傷は認められなかった。
【符号の説明】
【0034】
10 水中衝撃波発生装置
11 光ファイバー
12 反射体
13 遮断膜
14 液体
15 カテーテル
16本体部
17 レーザー収束部
17a〜17e レーザー収束部
17a〜17a、17b〜17b、17c、17c 側辺
18a 先端
18b 基端
22 凹面
23 中心孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中にレーザー光を照射して水中衝撃波を発生させる水中衝撃波発生装置用の光ファイバーであって、
線状の本体部と、その先端に設けられたレーザー収束部とからなり、
前記レーザー収束部が、先に向かって径が小さくなり、軸中心に回転した回転体を呈しており、
前記レーザー収束部は、その先端が前記軸に対して垂直な平面部となった略円錐台を呈しており、
前記レーザー収束部の軸線断面の側辺の半径方向に対する内角が、先に向かって徐々に小さくなるように構成されている、
光ファイバー。
【請求項2】
前記レーザー収束部の表面が鏡面になっている、
請求項1記載の光ファイバー。
【請求項3】
前記レーザー収束部の軸線断面の側辺が複数の直線から構成される、
請求項1記載の光ファイバー。
【請求項4】
前記レーザー収束部の軸線断面の側辺が曲線から構成される、
請求項1記載の光ファイバー。
【請求項5】
前記レーザー収束部の軸線断面の側辺が直線および曲線から構成される、
請求項1記載の光ファイバー。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の光ファイバーと、先端に凹面が形成された柱状の反射体と、その凹面を閉じる遮断膜と、前記凹面と遮断膜との間に充填される液体とから構成されており、
前記反射体が、長軸を回転軸とした回転楕円面形状を有する前記凹面と、長軸上に形成され、前記凹面と連通する光ファイバーを通す中心孔とを有しており、
前記光ファイバーは、レーザー収束部の先端が前記反射体の凹面の焦点にくるように固定されている、
水中衝撃波発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−85812(P2012−85812A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234858(P2010−234858)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】