説明

光ファイバ保持用部品

【課題】 光ファイバ保持用部品の耐熱信頼性を向上させる。
【解決手段】 光ファイバ保持用部品10は、先端側から後端側に向かうにつれて内径が小さくなる導入部12、および内径が一定である保持部13を有する貫通孔11を具備したフェルール1と、保持部13に保持された第1部位21、第1部位21よりも先端側に位置して導入部12に囲まれた第2部位22および第2部位22よりも先端側に位置してフェルール1の先端側に引き出された第3部位23を有する光ファイバ2と、光ファイバ2の第3部位23を覆うように設けられた主部33、および第2部位22の先端側を覆うように設けられた、先端側から後端側に向かうにつれて外径が小さくなる副部34を有する被覆部材3と、導入部12に囲まれた空間に設けられた接着剤4とを備えている。これにより、光ファイバ保持用部品10の耐熱信頼性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ保持用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを挿入することによって保持するための部品として光ファイバ保持用部品が知られている。この光ファイバ保持用部品としては、例えば、特許文献1に記載の光コネクタが挙げられる。特許文献1に記載の光コネクタは、一端から光ファイバが挿入される貫通孔を有する第1のフェルールと、第1のフェルールの貫通孔に挿入されるとともに第1のフェルールの一端から引き出された光ファイバと、光ファイバのうち第1のフェルールから引き出された部分を覆う光ファイバコードと、第1のフェルールの一端側を保持する筒状の保持金具とを備えている。貫通孔には、第1のフェルールの一端の端面に向かうにつれて貫通孔の内径が大きくなる導入部分が形成されている。この導入部分は、光コネクタを組み立てる際に光ファイバを第1のフェルールに挿入しやすくするために形成されている。保持金具の内部および導入部分に囲まれた空間には、接着剤が充填されている。この接着剤によって、光ファイバ、光ファイバコードおよび第1のフェルールが互いに接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−288957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光コネクタにおいては、光ファイバコードが第1のフェルールの外部のみに位置しており、光ファイバのうち導入部分に囲まれた領域は接着剤と接している。このため、ヒートサイクル下において、接着剤に熱膨張が生じると、光ファイバのうち導入部分に囲まれた領域に熱応力が加わる可能性があった。そのため、光コネクタの耐熱信頼性を向上させることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明者は、光ファイバコードの外径をフェルールの一端における導入部分の内径よりも小さくすることによって、光ファイバコードを導入部分に囲まれた空間にまで挿入することによって、耐熱信頼性を向上させることができるということを見出した。これによれば、光ファイバコードを導入部分に囲まれた空間にまで延長して設けたことによって、光ファイバ、光ファイバコードおよび第1のフェルールを接着するために用いられる接着剤の容積を減らすことができる。これにより、ヒートサイクル下において接着剤に熱膨張が生じた際に、光ファイバに加わる熱応力を抑制することができる。
【0006】
しかしながら、光ファイバコードの外径を小さくした場合には、光ファイバコードの光ファイバを保護する機能が低下する可能性があった。その結果、光コネクタの外力に対する信頼性を向上させることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の光ファイバ保持用部品は、先端側から後端側に向かうにつれて内径が小さくなる導入部、および該導入部の後端側に内周面が連続して設けられた、内径が一定である保持部を有する貫通孔を具備したフェルールと、前記保持部に保持された第1部位、該第1部位よりも先端側に位置して前記導入部に囲まれた第2部位および該第2部位よりも先端側に位置して前記フェルールの先端側に引き出された第3部位を有する光ファイ
バと、該光ファイバの前記第3部位を覆うように設けられた主部、および前記第2部位の先端側を覆うように設けられた、先端側から後端側に向かうにつれて外径が小さくなる副部を有する被覆部材と、前記導入部に囲まれた空間に設けられた接着剤とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様の光ファイバピグテールは、上記の光ファイバ保持用部品と、前記フェルールの先端側が内部に挿入されて固定されるとともに前記被覆部材の前記主部の後端側を囲んでいる筒形状のホルダとを備えており、前記接着剤が前記導入部に囲まれた空間から前記ホルダおよび前記被覆部材の前記主部に囲まれた空間にまで設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様の光ファイバ保持用部品および光ファイバピグテールによれば、被覆部材(光ファイバコード)が第2部位(光ファイバのうち導入部分に囲まれた領域)の先端側を覆うように設けられた副部を有しており、この副部の外径が先端側から後端側に向かうにつれて小さくなるように形成されている。これにより、フェルールの外部に位置する主部の外径を小さくすることなく接着剤の容積を減らすことができる。その結果、光ファイバ保持用部品の外力に対する信頼性を保ったまま、耐熱信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の光ファイバ保持用部品およびこれを用いた光ファイバピグテールを示す断面図である。
【図2】図1に示す光ファイバ保持用部品およびこれを用いた光ファイバピグテールの領域Aを拡大して示す部分拡大断面図である。
【図3】一変形例に係る光ファイバ保持用部品およびこれを用いた光ファイバピグテールの部分拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の光ファイバ保持用部品の製造工程を示す断面図である。
【図5】変形例1に係る光ファイバ保持用部品およびこれを用いた光ファイバピグテールの部分拡大断面図である。
【図6】変形例2に係る光ファイバ保持用部品およびこれを用いた光ファイバピグテールの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る光ファイバ保持用部品10および光ファイバピグテール100について図面を参照して説明する。なお、図面はいずれも模式的なものであって、実際の寸法とは異なることがある。
【0012】
<光ファイバ保持用部品の構成>
図1,2は本発明の一実施形態の光ファイバ保持用部品10を示す断面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態の光ファイバ保持用部品10は、先端側(図1においてはX1側)から後端側(図1においてはX2側)にかけて貫通する貫通孔11を有するフェルール1と、フェルール1の貫通孔11に後端側が挿入された光ファイバ2と、光ファイバ2のうちフェルール1から引き出された領域を覆う被覆部材3とを備えている。
【0013】
フェルール1は、略円筒形状の部材であって、光ファイバ2が挿入される貫通孔11を有している。フェルール1の後端側の外周部分には、面取り部14が設けられている。これにより、フェルール1を外部機器(図示せず)に挿入する際に、フェルール1の角部が外部機器(図示せず)に接触することを抑制できる。そのため、フェルール1の挿入をス
ムーズに行なうことができる。
【0014】
このフェルール1の寸法について説明する。ここでフェルール1に挿入される光ファイバ2は、JIS規格またはTIA/EIA規格にて規定されている外径125μmの光ファイバ2であるとして考える。この場合には、例えば、フェルール1は、外径が1〜3mm、長さが6〜12mmの円柱形状に設定することができる。
【0015】
フェルール1としては、例えば、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、ムライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素または窒化アルミニウムなどの単体もしくはこれらの混合物を主成分として含むセラミックス、あるいは結晶化ガラスなどのガラスセラミックスなどを用いることができる。特に、フェルール1を耐環境性および靱性に優れたものとするためには、ジルコニアを主成分とすることが好適である。
【0016】
貫通孔11は、フェルール1の円柱状の本体の中心軸に沿って貫通して先端および後端にそれぞれ開口するように設けられている。この貫通孔11は、光ファイバ2が挿入固定されるために設けられている。そして、この貫通孔11は、フェルール1の先端側に位置する導入部12とフェルール1の後端側に位置する保持部13とに大別することができる。
【0017】
導入部12は、光ファイバ2をフェルール1に挿入する際のガイドとしての機能を有する部位である。導入部12は、フェルール1の先端に設けられており、先端側から後端側に向かうにつれて内径が小さくなるように形成されている。本実施形態においては、貫通孔11の貫通方向に平行な面で切断したときの導入部12の表面に対応する部分の形状が2本の直線形状になっている。この2本の直線の延長線の成す角度は、例えば60°以上120°以下程度に設定することが好ましい。この角度が60°以上であると、導入部12に囲まれた空所に後述する被覆部材3を位置させることが容易になる。また、角度が120°以下であると、導入部12をガイドとして安定して機能させることができる。そのため、光ファイバ2の先端が導入部12に沿って動き易くなるので、光ファイバ2を安定して保持部13に挿入することができる。導入部12の開口面における内径は、0.5〜1.5mm程度に設定することができる。また、貫通孔11の貫通方向の長さは0.3〜2mm程度に設定することができる。
【0018】
保持部13は、導入部12から挿入された光ファイバ2を保持するための部位である。保持部13は、導入部12の後端側に内周面が連続して設けられており、フェルール1の後端側に開口している。保持部13は、内径が一定に形成されている。なお、ここでいう「内径が一定である」とは、フェルール1の製造時に生じる製造誤差程度のばらつきは無視できるものとする。「製造誤差程度」とは、例えば0.5μm程度の誤差を意味している。保持部13の内周面の算術平均粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。保持部13の内周面における算術平均粗さRaが0.05μm以下である場合には、光ファイバ2の挿入時における光ファイバ2へのダメージを抑制することができる。保持部13の内径は、光ファイバ2の外径が125μmのときには、例えば125.5〜127μmに設定することができる。
【0019】
光ファイバ2は、光信号を伝送する機能を担うものである。光ファイバ2としては、たとえば石英系光ファイバ2、プラスチック系光ファイバ2および多成分ガラス系光ファイバ2などが挙げられる。さらに単一モードの光を伝送するシングルモードファイバ、複数モードの光を伝送するマルチモードファイバ等、用途に応じて様々なものを使用できる。
【0020】
光ファイバ2は、後端部がフェルール1に挿入されており、先端はフェルール1の先端側から外部に引き出されている。光ファイバ2は、保持部13に保持された第1部位21
、第1部位21よりも先端側に位置して導入部12に囲まれた第2部位22および第2部位22よりも先端側に位置してフェルール1の先端側に引き出された第3部位23を有している。
【0021】
第1部位21は、フェルール1の保持部13に挿入されている領域であって、後端面がフェルール1の後端面と面一になるように研磨されている。第1部位21は、フェルール1の貫通孔11に挿入されることによってフェルール1と同心軸上に固定されている。これにより、外部の機器との光学的な接続を容易に行なうことができる。
【0022】
第2部位22は、フェルール1の導入部12の内部に位置しており、接着剤4を介してフェルール1および被覆部材3に接着されている。これにより、光ファイバ2とフェルール1とを強固に接合することができる。
【0023】
第3部位23は、フェルール1の外部に引き出されており、被覆部材3によって被われている。第3部位23は、被覆部材3に覆われていることによって外部からの圧力に対する信頼性が向上している。第3部位23は、外部の光学系と接続されており、外部の光学系から伝送された光信号を第2部位22に伝送する機能または第2部位22から伝送された光信号を外部の光学系に伝送する機能を有している。
【0024】
被覆部材3は、光ファイバ2を保護するための筒形状の部材である。被覆部材3は、主部33および副部34を有する。主部は、外径が一定の筒形状であって、光ファイバ2の第3部位23を覆うように設けられている。副部34は、先端側から後端側に向かうにつれて外径が小さくなるように形成された筒形状の部材である。本実施形態においては、副部34は貫通孔11の貫通方向に平行な面で切断したときの副部34の表面に対応する部分の形状が2本の直線形状になっている。副部34は、光ファイバ2の第2部位22の先端側を覆うように設けられている。副部34はフェルール1の導入部12と光ファイバ2との間に位置している。これにより、光ファイバ2、被覆部材3およびフェルール1を接着するために用いられる接着剤4の容積を減らすことができる。その結果、接着剤4に熱膨張が生じた際に、光ファイバ2に加わる熱応力を抑制することができる。
【0025】
被覆部材3としては、例えば、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂またはポリエステルエラストマー等の合成樹脂を用いることができる。また、図3に示すように被覆部材3を第1被覆部材31と第1被覆部材31を覆うように設けられた第2被覆部材32とによって形成してもよい。この場合には、上記の合成樹脂を複数組み合わせて被覆部材3を構成することができる。具体的には、第1被覆部材31としてシリコーン樹脂を用いて、第2被覆部材32としてナイロン樹脂を用いることができる。
【0026】
なお、図3においては、第2被覆部材32によって第1被覆部材31が完全に覆われているが、これに限られない。具体的には、第1被覆部材31が副部34の表面に露出していてもよい。
【0027】
さらに、本実施形態においては、フェルール1の導入部12と被覆部材3の副部34との間隔が、一定になっている。これにより、光ファイバ2、被覆部材3およびフェルール1を接着するために用いられる接着剤4の容積を最小限に留めることができる。これにより、接着剤4に熱膨張率が生じた際に、光ファイバ2に加わる熱応力をさらに抑制することができる。
【0028】
接着剤4は、光ファイバ2、被覆部材3およびフェルール1を接着するための部材である。接着剤4としては、フェルール1に用いられる材料よりも熱膨張率が大きい材料が用いられる。具体的には、フェルール1に熱膨張率が9〜10×10−6/K程度であるジ
ルコニアを用いた場合であれば、熱膨張率が60〜80×10−6/Kであるエポキシ樹脂を用いることができる。接着剤4は、フェルール1の導入部12に囲まれた空間に設けられている。本実施形態においては、接着剤4はフェルール1の導入部12に囲まれた空間に充填されている。このように、接着剤4が、フェルール1の導入部12に囲まれた空間に隙間なく設けられていることによって、より強固に光ファイバ2を固定することができる。
【0029】
このような本実施形態における光ファイバ保持用部品10は、接着剤4に熱膨張が生じた際に、光ファイバ2に加わる熱応力が抑制されている。その結果、光ファイバ保持用部品10の耐熱信頼性が向上している。
【0030】
<フェルールの製造方法>
以下に、フェルール1の製造方法の例について説明する。なお、本製造方法では、フェルール1の構成材料として、ジルコニアを主成分とするセラミックス(ジルコニア系セラミックス)を用いて説明する。
【0031】
まず、フェルール1の原型となる成形体を構成する成形材料を調製する。具体的には、成形材料は、酸化ジルコニウム粉末と酸化イットリウム粉末との混合粉末をボールミルなどによって十分に混合粉砕した後、この粉砕物にバインダを添加した上で混合することにより、調製される。混合粉末は、酸化ジルコニウム粉末85〜99質量%に対して酸化イットリウム粉末1〜15質量%を混合したもの、特に酸化ジルコニウム粉末90〜98質量%に対して酸化イットリウム粉末2〜10質量%を混合したものが好適である。酸化ジルコニウム粉末としては、酸化ジルコニウムの純度が95%以上、特に98%以上のものが好適である。
【0032】
次に、調製された成形材料を用いて、貫通孔11を有する成形体を得る。具体的には、貫通孔11を成形するための構造を含むキャビティを有する成形用金型のキャビティに成形材料を充填し、所定の圧力でプレス成形を行なうことによって成形体を得る。なお、成形体を得るための手法は、上述のプレス成形には限られず、射出成形、鋳込成形、冷間静水圧成形または押出成形などの手法を採用してもよい。
【0033】
次に、得られた成形体を焼成することにより、焼結体を得る。具体的には、得られた成形体を500〜600℃の脱脂炉内に2〜10時間投入することによって、脱脂を行なった後、脱脂済の成形体を酸素雰囲気中にて、1300〜1500℃で0.5〜3時間焼成することにより、焼結体を得る。
【0034】
次に、得られた焼結体の貫通孔11の内周面に対して研磨加工などを施すことによって、導入部12を形成する。具体的には、フェルール1を貫通孔11を回転軸として回転させた状態で砥石またはワイヤを貫通孔11に押し当てることによって、導入部12を形成する。このとき、研削油を用いれば、表面粗さの増加を抑えつつ研磨を行なうことができるので好ましい。
【0035】
以上のようにして、フェルール11を製造することができる。
【0036】
<被覆部材における副部の形成方法>
以下に、被覆部材3における副部34の形成方法の例について説明する。なお、本製造方法では、図3に示すように第1被覆部材31と第2被覆部材32とから成る被覆部材3を用いて説明する。まず、光ファイバ2と光ファイバ2を覆う第1被覆部材31と第1被覆部材31を覆う第2被覆部材32とを備えた被覆部材3付きの光ファイバ2を用意する。光ファイバ2の端部の一部が第1被覆部材31から露出している。本例では、第2被覆
部材32の熱変形温度が、第1被覆部材31の熱変形温度よりも低い被覆部材3を用いている。例えば、第1被覆部材31をシリコーン樹脂で成形し、第2被覆部材32をナイロン樹脂で成形すればよい。
【0037】
次に、第2被覆部材32の端部の一部分を取り除いて、第1被覆部材31を露出させる。
【0038】
さらに、図4に示すように、形成後の副部34および主部33の形状に対応した形状の第1凹部51、および第1凹部51の底面に形成された光ファイバ2が挿入される第2凹部52を有するホットプレート5に被覆部材3付きの光ファイバ2を挿入する。
【0039】
次に、被覆部材3付きの光ファイバ2をホットプレート5で加熱することによって、第2樹脂部材をホットプレート5の第1凹部51の形状に沿った形状に熱変形させる。本例では、上記方法によって第1被覆部材31のうち露出していた部分が第2被覆部材32によって覆われるように、第2被覆部材32を熱変形させる。
【0040】
次に、被覆部材3付きの光ファイバ2を冷却することによって、副部34が形成された被覆部材3付きの光ファイバ2を得ることができる。
【0041】
なお、本例では、副部34の傾斜を滑らかに形成することを目的として、第2被覆部材32の端部の一部分を取り除くことによって第1被覆部材31を露出させてから加熱を行なったが、これに限られない。具体的には、第2被覆部材32の端部を取り除くことなく加熱を行なってもよい。
【0042】
<光ファイバピグテールの構成>
光ファイバピグテール100は、上記の光ファイバ保持用部品10と光ファイバ保持用部品10の後端側に設けられたホルダ6とを備えている。
【0043】
ホルダ6は、筒形状の部材である。ホルダ6は、フェルール1の先端側が内部に挿入されて固定されており、主部33の後端側を囲んで位置している。ホルダ6は、フェルール1から引き出された光ファイバ2の第3部位23の一部および被覆部材3の主部33の一部を保護するために設けられている。ホルダ6の内周面と被覆部材3の主部33の外周面との間には空間が形成されており、この空間にも前述の接着剤4が設けられている。これにより、ホルダ6と光ファイバ保持用部品10とをより強固に固定することができる。
【0044】
ホルダ6の材料としては、例えば、ステンレスなどの金属材料を用いることができる。
【0045】
ホルダ6は、外周部の一部を外周方向に延設した、いわゆるフランジ状の延設部61を有している。延設部61は、光ファイバピグテール100を他部材に取り付けるために用いられる。
【0046】
ホルダ6の寸法としては例えば、延設部61以外の外径は0.9〜2.9mm、延設部61の外形は1.2〜3.4mm、内径は0.6〜2.4mmに設定することができる。
【0047】
このような本実施形態における光ファイバピグテール100は、接着剤4に熱膨張が生じた際に、光ファイバ2に加わる熱応力が抑制されている。その結果、光ファイバピグテール100の耐熱信頼性が向上している。
【0048】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、本実施形態においては、副部3
4の全体において先端側から後端側に向かうにつれて外径が小さくなっているが、これに限られない。例えば、断面視したときの副部34の外周面に貫通孔11と平行に形成されている領域があってもよい。
【0049】
<変形例1>
光ファイバ保持用部品10の変形例1について説明する。なお、本例の各構成において、上述の光ファイバ保持用部品10と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図1,2に示す光ファイバ保持用部品10においては、副部34は貫通孔11の貫通方向に平行な面で切断したときの副部34の表面に対応する部分の形状が2本の直線形状になっており、副部34と導入部12とが一定の間隔になるように形成されているが、これに限られない。例えば、図5に示すように副部34と導入部12とが一定の間隔になっていない形状である構成であってもよい。
【0051】
本変形例では、貫通孔11の貫通方向に垂直な方向における導入部12と副部34との間隔が、先端側から後端側に向かうにつれて小さくなっている。具体的には、導入部12の開口面における内径が1mmに設定されている場合であれば、副部34の先端側における導入部12と副部34との間隔を0.1mmに設定でき、副部34の後端側における導入部12と副部34との間隔を0.05mmに設定することができる。このような構成によって、接着剤4が熱膨張することによって熱応力が生じた際に、先端側に力を逃がしやすい構成にすることができる。これにより、フェルール1の導入部12に囲まれた部分において接着剤4と接する光ファイバ2に熱応力が加わることを抑制できる。その結果、接着剤4に熱膨張が生じた際に、光ファイバ2に加わる熱応力が抑制されている。その結果、光ファイバ保持用部品10の耐熱信頼性が向上している。
【0052】
<変形例2>
光ファイバ保持用部品10の変形例2について説明する。なお、本例の各構成において、上述の光ファイバ保持用部品10と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図1,2に示す光ファイバ保持用部品10においては、副部34は貫通孔11の貫通方向に平行な面で切断したときの副部34の表面に対応する部分の形状が2本の直線形状になっており、副部34と導入部12とが一定の間隔になるように形成されているが、これに限られない。例えば、図6に示すように副部34と導入部12とが一定の間隔になっていない形状である構成であってもよい。
【0054】
本変形例では、被覆部材3は副部34として先端側に位置する第1副部35および後端側に位置する第2副部36を有している。さらに、貫通孔11の貫通方向に垂直な方向において、フェルール1の導入部12と被覆部材3の第1副部35との間隔が先端側から後端側に向かうにつれて小さくなっている。これにより、第1副部35近傍に設けられた接着剤4が熱膨張することによって熱応力が生じた際に、第1副部35近傍に設けられた接着剤4から見て先端側に力を逃がしやすい構成にすることができる。また、フェルール1の導入部12と被覆部材3の第2副部36との間隔が、先端側から後端側に向かうにつれて大きくなっている。これにより、接着剤4と光ファイバ2とが接する面積を大きくすることができるので、光ファイバ2とフェルール1とをより強固に保持することができる。その結果、光ファイバ保持用部品10の耐熱信頼性が向上している。
【符号の説明】
【0055】
10:光ファイバ保持用部品
100:光ファイバピグテール
1:フェルール
11:貫通孔
12:導入部
13:保持部
14:面取り部
2:光ファイバ
21:第1部位
22:第2部位
23:第3部位
3:被覆部材
31:第1被覆部材
32:第2被覆部材
33:主部
34:副部
35:第1副部
36:第2副部
4:接着剤
5:ホットプレート
6:ホルダ
61:延設部
X1:先端側
X2:後端側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側から後端側に向かうにつれて内径が小さくなる導入部、および該導入部の後端側に内周面が連続して設けられた、内径が一定である保持部を有する貫通孔を具備したフェルールと、
前記保持部に保持された第1部位、該第1部位よりも先端側に位置して前記導入部に囲まれた第2部位および該第2部位よりも先端側に位置して前記フェルールの先端側に引き出された第3部位を有する光ファイバと、
該光ファイバの前記第3部位を覆うように設けられた主部、および前記第2部位の先端側を覆うように設けられた、先端側から後端側に向かうにつれて外径が小さくなる副部を有する被覆部材と、
前記導入部に囲まれた空間に設けられた接着剤とを備えたことを特徴とする光ファイバ保持用部品。
【請求項2】
前記貫通孔の貫通方向に垂直な方向における前記導入部と前記副部との間隔が、先端側から後端側に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ保持用部品。
【請求項3】
前記被覆部材は前記副部として先端側に位置する第1副部および後端側に位置する第2副部を有しており、前記貫通孔の貫通方向に垂直な方向において、前記フェルールの前記導入部と前記被覆部材の前記第1副部との間隔が先端側から後端側に向かうにつれて小さくなっているとともに、前記フェルールの前記導入部と前記被覆部材の前記第2副部との間隔が先端側から後端側に向かうにつれて大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ保持用部品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバ保持用部品と、前記フェルールの先端側が内部に挿入されて固定されるとともに前記被覆部材の前記主部の後端側を囲んでいる筒形状のホルダとを備えており、前記接着剤が前記導入部に囲まれた空間から前記ホルダおよび前記被覆部材の前記主部に囲まれた空間にまで設けられていることを特徴とする光ファイバピグテール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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