光ファイバ接続構造
【課題】フェルールを容易にフェルール受け部に挿入できる光ファイバ接続構造を提供する。
【解決手段】フェルール11を保持し、互いに合体できる一対のプロテクタ12,13を有する光ファイバの端末接続部10と、光ファイバの端末接続部10が挿入されるインターフェースハウジング21のキャビティ22と、インターフェースハウジング21に配置され、一対のフェルール11が挿入される一対のフェルール受け部とを有する光トランシーバ側の接続部20とを備えた光ファイバ接続構造であって、インターフェースハウジング21には、光ファイバの端末接続部10がキャビティ22に挿入される過程で、各フェルール11を適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部24が設けられた。
【解決手段】フェルール11を保持し、互いに合体できる一対のプロテクタ12,13を有する光ファイバの端末接続部10と、光ファイバの端末接続部10が挿入されるインターフェースハウジング21のキャビティ22と、インターフェースハウジング21に配置され、一対のフェルール11が挿入される一対のフェルール受け部とを有する光トランシーバ側の接続部20とを備えた光ファイバ接続構造であって、インターフェースハウジング21には、光ファイバの端末接続部10がキャビティ22に挿入される過程で、各フェルール11を適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部24が設けられた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの端末接続部と光信号授受体側の接続部とを接続する光ファイバ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車内の伝送情報の大容量化、高速化に対処するため、自動車内でも光ファイバケーブルによる光通信システムが採用されるようになってきている。このような光通信システムにあっては、光信号と電気信号の変換等を行うのに光ファイバ接続構造(光コネクタを含む)が使用される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば、光ファイバ接続構造は、光ファイバの端末接続部と、光信号授受体である光トランシーバ(FOT:Fiber Optical Transceiver)側の接続部とから構成される。従来の光ファイバの端末接続部100Aとしては、図6に示すように、一対の光ファイバ101に対して一体プロテクタ102を使用するものがある。この一体プロテクタ102は、一対の光ファイバ101を収容する2つのファイバ収容通路102aと、一対のフェルール103を保持する2つのフェルール保持溝102bを有する。
【0004】
また、他の光ファイバの端末接続部100Bとしては、図7に示すように、別個独立の一対のプロテクタ112を使用するものがある。各プロテクタ112は、1本の光ファイバ101を収容する1つのファイバ収容通路112aと、1個のフェルール110を保持する1つのフェルール保持溝112bを有する。
【0005】
図6に示すような光ファイバの端末接続部100Aでは、光トランシーバ側の接続部(図示せず)に一度に組み付けることができるが、一体プロテクタ102にフェルール110を組み付けた後に光学的検査を実施できない。図7に示すような光ファイバの端末接続部100Bでは、各プロテクタ112にフェルールを組み付けた後でも光学的検査を実施できるが、光ファイバの端末接続部100Bを光トランシーバ側の接続部130(図示せず)に一度に組み付けることができない。
【0006】
そこで、このような問題を解決する光ファイバの端末接続部100Cとして、図8に示すように、互いに合体可能な一対のプロテクタ122A,122Bを使用するものがある。各プロテクタ122A,122Bは、1本の光ファイバ101を収容する1つのファイバ収容通路122aと、1個のフェルール110を保持する1つのフェルール保持溝122b(図9に示す)を有する。そして、一対のプロテクタ122A,122Bは、合体ロック手段123によって合体できるようになっている。
【0007】
この光ファイバの端末接続部100Cでは、各プロテクタ122A,122Bにフェルール110を組み付けた後でも光学的検査を実施できる。又、光ファイバの端末接続部100Cを光トランシーバ側の接続部130に一度に組み付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−203409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図9に示すように、一対のプロテクタ122A,122Bは、互いのフェルール保持溝122bの開口側を対向配置した状態で合体される。そのため、フェルール保持溝122bに保持された各フェルール110は、各プロテクタ122A,122Bに対し、図9の矢印方向にそれぞれ移動できる。一方、図10及び図11に示すように、光トランシーバ(FOT:Fiber Optical Transceiver)側の接続部130は、インターフェースハウジング131を有する。インターフェースハウジング131には、光ファイバ側の端末接続部100Cが挿入されるキャビティ132と、このキャビティ132の底面に開口する一対のフェルール受け収容室133が設けられている。一対のフェルール受け収容室133に一対の光トランシーバのフェルール受け部(図示せず)がそれぞれ収容される。各フェルール受け部(図示せず)に各フェルール110が挿入される。一対のフェルール受け部(図示せず)及びフェルール受け収容室133は、所定のピッチ間隔に設定されている。
【0010】
光ファイバの端末接続部100Cをキャビティ132に挿入すると、一対のフェルール110がそれぞれ挿入方向の直交方向に変移できるため、一対のフェルール110をスムーズにフェルール受け部(図示せず)に挿入できないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、フェルールを容易にフェルール受け部に挿入できる光ファイバ接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、フェルールを保持し、互いに合体できる複数のフェルール保持部材を有する光ファイバの端末接続部と、前記光ファイバの前記端末接続部が挿入されるインターフェースハウジングのキャビティと、前記インターフェースハウジングに配置され、複数の前記フェルールが挿入される複数のフェルール受け部とを有する光信号授受体側の接続部とを備えた光ファイバ接続構造であって、前記インターフェースハウジングには、前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される過程で、前記各フェルールを適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
前記各フェルール保持部材は、前記各フェルールをその軸方向の直交方向に挿入するフェルール保持溝をそれぞれ有し、一対の前記フェルール保持部材は、互いの前記フェルール保持溝の開口面を対向配置された状態で合体され、前記フェルール用ガイド部は、前記キャビティに挿入される一対の前記フェルールの間に入り込み、一対の前記フェルールの間隔を所望のピッチ間隔にガイドすることが好ましい。
【0014】
合体された一対の前記フェルール保持部材と前記インターフェースハウジングには、いずれか一方に前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される際にガイドするガイド溝が、他方にガイドリブがそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0015】
一対の前記フェルール保持部材の一方には、互いの合体状態で嵌合する嵌合凹部が、他方には嵌合凸部がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、合体された複数のフェルール保持部材をキャビティに挿入すると、フェルール用ガイド部が各フェルールを各フェルール受け部の適正な収容位置にガイドし、各フェルールがズムーズに各フェルール受け部に挿入される。以上より、フェルールを容易にフェルール受け部に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示し、光ファイバ接続構造の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、一対のプロテクタの合体前の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、光ファイバの端末接続部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容した状態を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容した状態を示す断面図である。
【図6】従来例を示し、光ファイバの端末接続部の斜視図である。
【図7】他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部の斜視図である。
【図8】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部の斜視図である。
【図9】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部の断面図である。
【図10】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容する前状態を示す斜視図である。
【図11】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図5は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、光ファイバ接続構造は、光ファイバ1の端末接続部10と光信号授受体である光トランシーバ側の接続部20とから構成される。
【0020】
光ファイバ1の端末接続部10は、一対の光ファイバ1の端末にそれぞれ接続された一対のフェルール11と、互いに合体可能な一対のフェルール保持部材であるプロテクタ12,13とを備えている。
【0021】
各フェルール11は、フェルール本体11aと、このフェルール本体11aの外周に突出する保持用フランジ部11bと、同じくフェルール本体11aの外周に突出する過挿入防止用フランジ部11cとを有する。
【0022】
各プロテクタ12,13は、図1、図2に詳しく示すように、光ファイバ1を所定の配策経路に沿って収容し・保護するファイバ収容通路12a,13aと、このファイバ収容通路12a,13aに連続して設けられ、フェルール11を保持するフェルール保持溝12b,13bとを備えている。ファイバ収容通路12a,13aは、その両端位置で光ファイバ1の向きを90度変更するよう湾曲されている。フェルール保持溝12b,13bは、フェルール11の保持用フランジ部11bを収容し、保持する。
【0023】
一方のプロテクタ12には、ロック爪14と嵌合凹部15が設けられている。他方のプロテクタ13には、ロック枠体16と嵌合凸部17が設けられている。嵌合凹部15と嵌合凸部17は、略三日月状の形態であり、任意の点を中心とした非点対称な形態である。つまり、嵌合状態では回転を阻止できる形態となっている。
【0024】
一対のプロテクタは、嵌合凹部15に嵌合凸部17を嵌め込み、ロック爪14とロック枠体16間を係止することによって合体される。合体状態では、互いのフェルール保持溝12b,13bの開口面が対向配置される。これにより、一対のフェルール11は、それぞれのフェルール保持溝12b,13bより脱落しない。又、各フェルール11は、図3にて矢印で示すように、双方のフェルール保持溝12b、13bの間の隙間等によって軸方向の直交方向に変移できる。一対のフェルール11は、各保持用フランジ部11bの外側面がフェルール保持溝12b,13bの外端面に突き当たる位置が所望のピッチ間隔P(つまり、下記するフェルール受け部のピッチ間隔P)に設定されている。
【0025】
合体された一対のプロテクタ12,13には、下記するガイドリブ25が挿入されるガイド溝18(図4に示す)が構成されている。
【0026】
光トランシーバ側の接続部20は、図1、図4及び図5に示すように、インターフェースハウジング21を有する。インターフェースハウジング21には、光ファイバ1側の端末接続部10が挿入されるキャビティ22と、このキャビティ22の底面に開口する一対のフェルール受け収容室23が設けられている。一対のフェルール受け収容室23に一対の光トランシーバのフェルール受け部(図示せず)がそれぞれ収容される。各フェルール受け部(図示せず)に各フェルール11が挿入される。一対のフェルール受け部(図示せず)及びフェルール受け収容室23は、所定のピッチ間隔Pに設定されている。
【0027】
インターフェースハウジング21には、一対のフェルール受け収容室23の間よりキャビティ22の上方に向かってフェルール用ガイド部24が突設されている。フェルール用ガイド部24は、挿入される一対のフェルール11の間に位置し、一対のフェルール11の間隔を所望のピッチ間隔Pに規制して、一対のフェルール受け部(図示せず)の適正な収容位置にガイドする。
【0028】
インターフェースハウジング21には、フェルール用ガイド部24より延設され、キャビティ22の開口側に向かって延びるガイドリブ25が設けられている。
【0029】
次に、光ファイバ1の端末接続部10を光トランシーバ側の接続部20に接続する接続作業を説明する。光ファイバ1とこれの端末に接続されたフェルール11を各プロテクタ12,13にそれぞれ組み付ける。そして、一対のプロテクタ12,13を合体させる。これで、光ファイバ1の端末接続部10が作製される(図1参照)。
【0030】
次に、光ファイバ1の端末接続部10を、その一対のフェルール11を挿入先端としてインターフェースハウジング21のキャビティ22に挿入する。ここで、光ファイバ1の端末接続部10のガイド溝18にキャビティ22側のガイドリブ25を位置合わせして挿入する。これにより、光ファイバ1の端末接続部10は、一対のフェルール11の挿入位置を目視できなくても適正な位置に挿入される。そして、一対のフェルール11が所望のピッチ間隔Pでないと、一対のフェルール11の一方、若しくは双方の過挿入防止用フランジ部11cがフェルール用ガイド部24に干渉する。干渉されたフェルール11はフェルール用ガイド部24からの押圧力を受けて所望のピッチ間隔Pとなる位置に変移する。つまり、フェルール用ガイド部24が一対のフェルール11を各フェルール受け部(図示せず)のピッチ間隔にガイドするため、一対のフェルール11は、一対のフェルール受け部(図示せず)に干渉等することなくスムーズに挿入される。
【0031】
以上説明したように、インターフェースハウジング21には、各フェルール11をフェルール受け部(図示せず)の適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部24が設けられている。従って、フェルール11を容易にフェルール受け部(図示せず)に挿入できる。
【0032】
各プロテクタ12,13は、フェルール11の軸方向に対し直交方向に挿入するフェルール保持溝12b,13bをそれぞれ有し、一対のプロテクタ12,13は、互いのフェルール保持溝12b,13bの開口面を対向配置された状態で合体される。そして、フェルール用ガイド部24は、キャビティ22に挿入される一対のフェルール11の間に位置し、一対のフェルール11の間隔を所望のピッチ間隔Pにガイドする。従って、単一のフェルール用ガイド部24によって一対のフェルール11をその所望のピッチ間隔Pにガイドできる。
【0033】
インターフェースハウジング21には、光ファイバ1の端末接続部10の挿入方向に沿って延びるガイドリブ25が設けられ、合体された一対のプロテクタ12,13には、ガイドリブ25が挿入されるガイド溝18が設けられている。従って、合体された一対のプロテクタ12,13は、フェルール11を目視することなく適正な挿入位置に挿入できる。ここで、インターフェースハウジング21にガイド溝を設け、合体された一対のプロテクタ12,13にガイドリブ25を設けても良い。
【0034】
一方のプロテクタ12には互いの合体時に嵌合する嵌合凹部15が設けられ、他方のプロテクタ13には嵌合凸部17がそれぞれ設けられている。従って、一対のプロテクタ12,13をガタ付きなく合体することができる。又、嵌合凹部15と嵌合凸部17は、非点対称な形態であるため、合体された一対のプロテクタ12,13が嵌合状態で互いに相対回転するのを防止できる。
【0035】
この実施形態では、合体された一対のプロテクタ12,13をインターフェースハウジング21のキャビティ22に挿入したが、合体しない個別状態で各プロテクタ12(又は13)を個別挿入しても良い。この場合にもフェルール用ガイド部24は、各フェルール11を各フェルール受け部(図示せず)の適正な収容位置にガイドする。
【0036】
この実施形態では、光ファイバ1の本数が二本の場合を示したが、光ファイバ1の本数は、3本以上であっても本発明を適用できる。
【0037】
この実施形態では、光ファイバ接続構造は、光信号と電気信号の変換を行うものであるが、光ファイバ同士の接続を行うものであっても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 光ファイバ
10 光ファイバの端末接続部
11 フェルール
12,13 プロテクタ(フェルール保持部材)
15 嵌合凹部
17 嵌合凸部
18 ガイド溝
20 光トランシーバ側の接続部
21 インターフェースハウジング
22 キャビティ
24 フェルール用ガイド部
25 ガイドリブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの端末接続部と光信号授受体側の接続部とを接続する光ファイバ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車内の伝送情報の大容量化、高速化に対処するため、自動車内でも光ファイバケーブルによる光通信システムが採用されるようになってきている。このような光通信システムにあっては、光信号と電気信号の変換等を行うのに光ファイバ接続構造(光コネクタを含む)が使用される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば、光ファイバ接続構造は、光ファイバの端末接続部と、光信号授受体である光トランシーバ(FOT:Fiber Optical Transceiver)側の接続部とから構成される。従来の光ファイバの端末接続部100Aとしては、図6に示すように、一対の光ファイバ101に対して一体プロテクタ102を使用するものがある。この一体プロテクタ102は、一対の光ファイバ101を収容する2つのファイバ収容通路102aと、一対のフェルール103を保持する2つのフェルール保持溝102bを有する。
【0004】
また、他の光ファイバの端末接続部100Bとしては、図7に示すように、別個独立の一対のプロテクタ112を使用するものがある。各プロテクタ112は、1本の光ファイバ101を収容する1つのファイバ収容通路112aと、1個のフェルール110を保持する1つのフェルール保持溝112bを有する。
【0005】
図6に示すような光ファイバの端末接続部100Aでは、光トランシーバ側の接続部(図示せず)に一度に組み付けることができるが、一体プロテクタ102にフェルール110を組み付けた後に光学的検査を実施できない。図7に示すような光ファイバの端末接続部100Bでは、各プロテクタ112にフェルールを組み付けた後でも光学的検査を実施できるが、光ファイバの端末接続部100Bを光トランシーバ側の接続部130(図示せず)に一度に組み付けることができない。
【0006】
そこで、このような問題を解決する光ファイバの端末接続部100Cとして、図8に示すように、互いに合体可能な一対のプロテクタ122A,122Bを使用するものがある。各プロテクタ122A,122Bは、1本の光ファイバ101を収容する1つのファイバ収容通路122aと、1個のフェルール110を保持する1つのフェルール保持溝122b(図9に示す)を有する。そして、一対のプロテクタ122A,122Bは、合体ロック手段123によって合体できるようになっている。
【0007】
この光ファイバの端末接続部100Cでは、各プロテクタ122A,122Bにフェルール110を組み付けた後でも光学的検査を実施できる。又、光ファイバの端末接続部100Cを光トランシーバ側の接続部130に一度に組み付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−203409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図9に示すように、一対のプロテクタ122A,122Bは、互いのフェルール保持溝122bの開口側を対向配置した状態で合体される。そのため、フェルール保持溝122bに保持された各フェルール110は、各プロテクタ122A,122Bに対し、図9の矢印方向にそれぞれ移動できる。一方、図10及び図11に示すように、光トランシーバ(FOT:Fiber Optical Transceiver)側の接続部130は、インターフェースハウジング131を有する。インターフェースハウジング131には、光ファイバ側の端末接続部100Cが挿入されるキャビティ132と、このキャビティ132の底面に開口する一対のフェルール受け収容室133が設けられている。一対のフェルール受け収容室133に一対の光トランシーバのフェルール受け部(図示せず)がそれぞれ収容される。各フェルール受け部(図示せず)に各フェルール110が挿入される。一対のフェルール受け部(図示せず)及びフェルール受け収容室133は、所定のピッチ間隔に設定されている。
【0010】
光ファイバの端末接続部100Cをキャビティ132に挿入すると、一対のフェルール110がそれぞれ挿入方向の直交方向に変移できるため、一対のフェルール110をスムーズにフェルール受け部(図示せず)に挿入できないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、フェルールを容易にフェルール受け部に挿入できる光ファイバ接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、フェルールを保持し、互いに合体できる複数のフェルール保持部材を有する光ファイバの端末接続部と、前記光ファイバの前記端末接続部が挿入されるインターフェースハウジングのキャビティと、前記インターフェースハウジングに配置され、複数の前記フェルールが挿入される複数のフェルール受け部とを有する光信号授受体側の接続部とを備えた光ファイバ接続構造であって、前記インターフェースハウジングには、前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される過程で、前記各フェルールを適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
前記各フェルール保持部材は、前記各フェルールをその軸方向の直交方向に挿入するフェルール保持溝をそれぞれ有し、一対の前記フェルール保持部材は、互いの前記フェルール保持溝の開口面を対向配置された状態で合体され、前記フェルール用ガイド部は、前記キャビティに挿入される一対の前記フェルールの間に入り込み、一対の前記フェルールの間隔を所望のピッチ間隔にガイドすることが好ましい。
【0014】
合体された一対の前記フェルール保持部材と前記インターフェースハウジングには、いずれか一方に前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される際にガイドするガイド溝が、他方にガイドリブがそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0015】
一対の前記フェルール保持部材の一方には、互いの合体状態で嵌合する嵌合凹部が、他方には嵌合凸部がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、合体された複数のフェルール保持部材をキャビティに挿入すると、フェルール用ガイド部が各フェルールを各フェルール受け部の適正な収容位置にガイドし、各フェルールがズムーズに各フェルール受け部に挿入される。以上より、フェルールを容易にフェルール受け部に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示し、光ファイバ接続構造の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、一対のプロテクタの合体前の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、光ファイバの端末接続部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容した状態を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容した状態を示す断面図である。
【図6】従来例を示し、光ファイバの端末接続部の斜視図である。
【図7】他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部の斜視図である。
【図8】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部の斜視図である。
【図9】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部の断面図である。
【図10】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容する前状態を示す斜視図である。
【図11】更に他の従来例を示し、光ファイバの端末接続部をインターフェースハウジング内に収容した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図5は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、光ファイバ接続構造は、光ファイバ1の端末接続部10と光信号授受体である光トランシーバ側の接続部20とから構成される。
【0020】
光ファイバ1の端末接続部10は、一対の光ファイバ1の端末にそれぞれ接続された一対のフェルール11と、互いに合体可能な一対のフェルール保持部材であるプロテクタ12,13とを備えている。
【0021】
各フェルール11は、フェルール本体11aと、このフェルール本体11aの外周に突出する保持用フランジ部11bと、同じくフェルール本体11aの外周に突出する過挿入防止用フランジ部11cとを有する。
【0022】
各プロテクタ12,13は、図1、図2に詳しく示すように、光ファイバ1を所定の配策経路に沿って収容し・保護するファイバ収容通路12a,13aと、このファイバ収容通路12a,13aに連続して設けられ、フェルール11を保持するフェルール保持溝12b,13bとを備えている。ファイバ収容通路12a,13aは、その両端位置で光ファイバ1の向きを90度変更するよう湾曲されている。フェルール保持溝12b,13bは、フェルール11の保持用フランジ部11bを収容し、保持する。
【0023】
一方のプロテクタ12には、ロック爪14と嵌合凹部15が設けられている。他方のプロテクタ13には、ロック枠体16と嵌合凸部17が設けられている。嵌合凹部15と嵌合凸部17は、略三日月状の形態であり、任意の点を中心とした非点対称な形態である。つまり、嵌合状態では回転を阻止できる形態となっている。
【0024】
一対のプロテクタは、嵌合凹部15に嵌合凸部17を嵌め込み、ロック爪14とロック枠体16間を係止することによって合体される。合体状態では、互いのフェルール保持溝12b,13bの開口面が対向配置される。これにより、一対のフェルール11は、それぞれのフェルール保持溝12b,13bより脱落しない。又、各フェルール11は、図3にて矢印で示すように、双方のフェルール保持溝12b、13bの間の隙間等によって軸方向の直交方向に変移できる。一対のフェルール11は、各保持用フランジ部11bの外側面がフェルール保持溝12b,13bの外端面に突き当たる位置が所望のピッチ間隔P(つまり、下記するフェルール受け部のピッチ間隔P)に設定されている。
【0025】
合体された一対のプロテクタ12,13には、下記するガイドリブ25が挿入されるガイド溝18(図4に示す)が構成されている。
【0026】
光トランシーバ側の接続部20は、図1、図4及び図5に示すように、インターフェースハウジング21を有する。インターフェースハウジング21には、光ファイバ1側の端末接続部10が挿入されるキャビティ22と、このキャビティ22の底面に開口する一対のフェルール受け収容室23が設けられている。一対のフェルール受け収容室23に一対の光トランシーバのフェルール受け部(図示せず)がそれぞれ収容される。各フェルール受け部(図示せず)に各フェルール11が挿入される。一対のフェルール受け部(図示せず)及びフェルール受け収容室23は、所定のピッチ間隔Pに設定されている。
【0027】
インターフェースハウジング21には、一対のフェルール受け収容室23の間よりキャビティ22の上方に向かってフェルール用ガイド部24が突設されている。フェルール用ガイド部24は、挿入される一対のフェルール11の間に位置し、一対のフェルール11の間隔を所望のピッチ間隔Pに規制して、一対のフェルール受け部(図示せず)の適正な収容位置にガイドする。
【0028】
インターフェースハウジング21には、フェルール用ガイド部24より延設され、キャビティ22の開口側に向かって延びるガイドリブ25が設けられている。
【0029】
次に、光ファイバ1の端末接続部10を光トランシーバ側の接続部20に接続する接続作業を説明する。光ファイバ1とこれの端末に接続されたフェルール11を各プロテクタ12,13にそれぞれ組み付ける。そして、一対のプロテクタ12,13を合体させる。これで、光ファイバ1の端末接続部10が作製される(図1参照)。
【0030】
次に、光ファイバ1の端末接続部10を、その一対のフェルール11を挿入先端としてインターフェースハウジング21のキャビティ22に挿入する。ここで、光ファイバ1の端末接続部10のガイド溝18にキャビティ22側のガイドリブ25を位置合わせして挿入する。これにより、光ファイバ1の端末接続部10は、一対のフェルール11の挿入位置を目視できなくても適正な位置に挿入される。そして、一対のフェルール11が所望のピッチ間隔Pでないと、一対のフェルール11の一方、若しくは双方の過挿入防止用フランジ部11cがフェルール用ガイド部24に干渉する。干渉されたフェルール11はフェルール用ガイド部24からの押圧力を受けて所望のピッチ間隔Pとなる位置に変移する。つまり、フェルール用ガイド部24が一対のフェルール11を各フェルール受け部(図示せず)のピッチ間隔にガイドするため、一対のフェルール11は、一対のフェルール受け部(図示せず)に干渉等することなくスムーズに挿入される。
【0031】
以上説明したように、インターフェースハウジング21には、各フェルール11をフェルール受け部(図示せず)の適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部24が設けられている。従って、フェルール11を容易にフェルール受け部(図示せず)に挿入できる。
【0032】
各プロテクタ12,13は、フェルール11の軸方向に対し直交方向に挿入するフェルール保持溝12b,13bをそれぞれ有し、一対のプロテクタ12,13は、互いのフェルール保持溝12b,13bの開口面を対向配置された状態で合体される。そして、フェルール用ガイド部24は、キャビティ22に挿入される一対のフェルール11の間に位置し、一対のフェルール11の間隔を所望のピッチ間隔Pにガイドする。従って、単一のフェルール用ガイド部24によって一対のフェルール11をその所望のピッチ間隔Pにガイドできる。
【0033】
インターフェースハウジング21には、光ファイバ1の端末接続部10の挿入方向に沿って延びるガイドリブ25が設けられ、合体された一対のプロテクタ12,13には、ガイドリブ25が挿入されるガイド溝18が設けられている。従って、合体された一対のプロテクタ12,13は、フェルール11を目視することなく適正な挿入位置に挿入できる。ここで、インターフェースハウジング21にガイド溝を設け、合体された一対のプロテクタ12,13にガイドリブ25を設けても良い。
【0034】
一方のプロテクタ12には互いの合体時に嵌合する嵌合凹部15が設けられ、他方のプロテクタ13には嵌合凸部17がそれぞれ設けられている。従って、一対のプロテクタ12,13をガタ付きなく合体することができる。又、嵌合凹部15と嵌合凸部17は、非点対称な形態であるため、合体された一対のプロテクタ12,13が嵌合状態で互いに相対回転するのを防止できる。
【0035】
この実施形態では、合体された一対のプロテクタ12,13をインターフェースハウジング21のキャビティ22に挿入したが、合体しない個別状態で各プロテクタ12(又は13)を個別挿入しても良い。この場合にもフェルール用ガイド部24は、各フェルール11を各フェルール受け部(図示せず)の適正な収容位置にガイドする。
【0036】
この実施形態では、光ファイバ1の本数が二本の場合を示したが、光ファイバ1の本数は、3本以上であっても本発明を適用できる。
【0037】
この実施形態では、光ファイバ接続構造は、光信号と電気信号の変換を行うものであるが、光ファイバ同士の接続を行うものであっても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 光ファイバ
10 光ファイバの端末接続部
11 フェルール
12,13 プロテクタ(フェルール保持部材)
15 嵌合凹部
17 嵌合凸部
18 ガイド溝
20 光トランシーバ側の接続部
21 インターフェースハウジング
22 キャビティ
24 フェルール用ガイド部
25 ガイドリブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルールを保持し、互いに合体できる複数のフェルール保持部材を有する光ファイバの端末接続部と、
前記光ファイバの前記端末接続部が挿入されるインターフェースハウジングのキャビティと、前記インターフェースハウジングに配置され、複数の前記フェルールが挿入される複数のフェルール受け部とを有する光信号授受体側の接続部とを備えた光ファイバ接続構造であって、
前記インターフェースハウジングには、前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される過程で、前記各フェルールを適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部が設けられたことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項2】
請求項1記載の光ファイバ接続構造であって、
前記各フェルール保持部材は、前記各フェルールをその軸方向の直交方向に挿入するフェルール保持溝をそれぞれ有し、
一対の前記フェルール保持部材は、互いの前記フェルール保持溝の開口面を対向配置された状態で合体され、
前記フェルール用ガイド部は、前記キャビティに挿入される一対の前記フェルールの間に入り込み、一対の前記フェルールの間隔を所望のピッチ間隔にガイドすることを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項3】
請求項2記載の光ファイバ接続構造であって、
合体された一対の前記フェルール保持部材と前記インターフェースハウジングには、いずれか一方に前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される際にガイドするガイド溝が、他方にガイドリブがそれぞれ設けられていることを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光ファイバ接続構造であって、
一対の前記フェルール保持部材の一方には、互いの合体状態で嵌合する嵌合凹部が、他方には嵌合凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項1】
フェルールを保持し、互いに合体できる複数のフェルール保持部材を有する光ファイバの端末接続部と、
前記光ファイバの前記端末接続部が挿入されるインターフェースハウジングのキャビティと、前記インターフェースハウジングに配置され、複数の前記フェルールが挿入される複数のフェルール受け部とを有する光信号授受体側の接続部とを備えた光ファイバ接続構造であって、
前記インターフェースハウジングには、前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される過程で、前記各フェルールを適正な挿入位置にガイドするフェルール用ガイド部が設けられたことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項2】
請求項1記載の光ファイバ接続構造であって、
前記各フェルール保持部材は、前記各フェルールをその軸方向の直交方向に挿入するフェルール保持溝をそれぞれ有し、
一対の前記フェルール保持部材は、互いの前記フェルール保持溝の開口面を対向配置された状態で合体され、
前記フェルール用ガイド部は、前記キャビティに挿入される一対の前記フェルールの間に入り込み、一対の前記フェルールの間隔を所望のピッチ間隔にガイドすることを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項3】
請求項2記載の光ファイバ接続構造であって、
合体された一対の前記フェルール保持部材と前記インターフェースハウジングには、いずれか一方に前記光ファイバの前記端末接続部が前記キャビティに挿入される際にガイドするガイド溝が、他方にガイドリブがそれぞれ設けられていることを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光ファイバ接続構造であって、
一対の前記フェルール保持部材の一方には、互いの合体状態で嵌合する嵌合凹部が、他方には嵌合凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とする光ファイバ接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−252189(P2012−252189A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125199(P2011−125199)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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