説明

光伝送装置および方法

【課題】マルチキャリア信号をサブキャリア毎に信号処理可能とする光伝送装置および方法を提供する。
【解決手段】マルチキャリア信号光伝送装置は、クライアント信号情報を受信し、クライアント信号情報から、クライアント信号のデータを収容するマルチキャリア信号のサブキャリアを決定し、サブキャリアとクライアント信号のデータとの関係を設定し、前記関係を対向装置に伝達し、サブキャリアにデータをマッピングして送信するマルチキャリア信号送信器と、前記関係を対向装置から受信し、サブキャリアにマッピングされた信号を受信し、前記関係を基にして、受信した信号をクライアント信号に分離するマルチキャリア信号受信器とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信ネットワークの光伝送装置および方法に関し、より詳細にはマルチキャリア信号光をサブキャリア毎に処理することを可能にする光伝送装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信ネットワークにおいてマルチキャリア信号光を用いた伝送方式が提案されている(非特許文献1)。マルチキャリア信号光をサブキャリア毎にスイッチングすることにより、細かい帯域粒度の信号処理が可能となり、効率的な信号光帯域の利用が可能となる。
【0003】
また、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)勧告(非特許文献2、3)では、オーバーヘッド、ペイロードからなる信号構成を規定している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Junqiang Hu, Wei Wei, Ting Wang “OFDM-Based Adaptive and Programmable Optical Network,” Paper 7A4-4, OptoElectronics and Communication Conference (OECC)2010
【非特許文献2】ITU-T勧告 G.707 “Network Node Interface for the Synchronous Digital Hierarchy (SDH)”
【非特許文献3】ITU-T勧告 G.709 “Interfaces for the Optical Transport Network (OTN)”
【非特許文献4】IEEE802.1Q “Virtual LANs”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチキャリア信号光を処理するにあたり、ITU−T勧告に規定されている信号構成、すなわち、オーバーヘッド、ペイロードからなる信号構成に従うと、マルチキャリア信号光のサブキャリア単位で、上述の信号構成をとらなければならない。しかしながら、現状のシステムは、マルチキャリア信号光の全てのサブキャリアを束ねてひとつの信号として処理しているため、サブキャリア毎に信号処理することができない、という課題がある。
【0006】
したがって、本発明は、マルチキャリア信号をサブキャリア毎に信号処理可能とする光伝送装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するため本発明によるマルチキャリア信号光伝送装置は、クライアント信号情報を受信する受信手段と、前記クライアント信号情報から、前記クライアント信号のデータを収容するマルチキャリア信号のサブキャリアを決定する決定手段と、前記サブキャリアと前記クライアント信号のデータとの関係を設定する設定手段と、前記関係を対向装置に伝達する伝達手段と、前記サブキャリアに前記データをマッピングして送信する送信手段とを備えるマルチキャリア信号送信器と、前記関係を対向装置から受信する受信手段と、サブキャリアにマッピングされた信号を受信し、前記関係を基にして、受信した信号をクライアント信号に分離する分離手段とを備えるマルチキャリア信号受信器とを備える。
【0008】
また、前記クライアント信号のインタフェース毎またはVLAN ID(Virtual Local Area Network IDentification)毎に、前記クライアント信号のデータフローを識別する手段を有し、前記決定手段は、前記データフロー毎にマルチキャリア信号のサブキャリアを決定し、前記送信手段は、前記データフロー毎にクライアント信号を前記サブキャリアにマッピングし、前記分離手段は、前記関係を基にして、前記データフロー毎に受信した信号をクライアント信号に分離することも好ましい。
【0009】
また、前記伝達手段は、監視光または制御・管理網経由で前記関係を伝達することも好ましい。
【0010】
また、前記関係は、前記クライアント信号のデータを収容するサブキャリアの番号および該サブキャリアを収容する波長であることも好ましい。
【0011】
上記目的を実現するため本発明によるマルチキャリア信号光伝送は、クライアント信号情報を受信する受信ステップと、前記クライアント信号情報から、クライアント信号のデータを収容するマルチキャリア信号のサブキャリアを決定する決定ステップと、前記サブキャリアと前記クライアント信号のデータとの関係を設定する設定ステップと、前記関係を対向装置に伝達する伝達ステップと、前記サブキャリアに前記データをマッピングして送信する送信ステップと、前記関係を対向装置から受信する受信ステップと、サブキャリアにマッピングされた信号を受信し、前記関係を基にして、受信した信号をクライアント信号に分離する分離ステップとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明装置によると、サブキャリアに識別子を付与して管理することで信号のオーバーヘッドの役割を担わせ、マルチキャリア信号をサブキャリア毎に信号処理可能とする手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の光伝送装置を用いたシステムの概要を示す。
【図2】本発明装置のブロック図を示す。
【図3】光伝送装置が対向している場合の動作説明図を示す。
【図4】光伝送装置の送信器と受信器の動作フローを示す。
【図5】光OFDM信号を用いた実施例の送信器の構成例を示す。
【図6】光OFDM信号を用いた実施例の受信器の構成例を示す。
【図7】VLANタグを含むイーサネット信号のフレーム構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の光伝送装置を用いたシステムの概要を示す。図中の鎖線部分が本発明部分である。図1(a)は、対向装置同士の通信に監視光が用いられる場合を示す。監視光は、データが収容される信号光とは別の波長が用いられる。図1(b)は、光伝送装置と接続された制御・管理網を用いて、光伝送装置が制御される場合を示す。また、制御・管理網はネットワーク運用管理システムと接続されており、ネットワーク運用管理システムを通じて、各装置を制御・管理する。
【0015】
図2に、本発明装置のブロック図を示す。図2(a)は、マルチキャリア信号送信器のブロック図を示し、図2(b)は、マルチキャリア信号受信器のブロック図を示す。以下に、送信器と受信器のブロック図について説明する。
【0016】
マルチキャリア信号送信器1は、クライアント信号処理部11、電気マルチキャリア信号生成器12、マルチキャリア信号光生成器13、および制御部14を備えている。以下、各機能について説明する。
【0017】
クライアント信号処理部11は、クライアント信号を受信し、電気マルチキャリア信号生成器12に信号を送る機能を有する。クライアント信号のインタフェース毎にデータフローを識別する機能を有する。ここでは、クライアント信号として、イーサネット(登録商法)信号、SONET/SDH信号がある。また、データフロー識別機能として、クライアント信号のVLAN(Virtual Local Area Network)に属するデータを識別する機能も有する。
【0018】
電気マルチキャリア信号生成器12は、クライアント信号を、電気マルチキャリア信号に変換する機能を有する。クライアント信号のデータフローごとに、データをマルチキャリア信号のサブキャリアにマッピングする機能を有する。なお、サブキャリア番号については、低周波数側のサブキャリアから番号を付与、もしくは、高周波数側のサブキャリアから番号を付与する。システム内では、サブキャリア番号の付与ポリシーを統一する。
【0019】
マルチキャリア信号光生成器13は、電気マルチキャリア信号を、マルチキャリア信号光に変換する機能を有する。
【0020】
制御部14は、本装置の各機能を制御する。制御対象としては、クライアント信号処理部11、電気マルチキャリア信号生成器12、マルチキャリア信号光生成器13である。クライアント信号のデータフローを、マルチキャリア信号のサブキャリアにマッピングする際の制御を行う。また、使用波長、およびサブキャリアの識別子であるサブキャリア番号とサブキャリアに収容されたデータとの関係を記憶する。さらに、外部装置(監視光、もしくはネットワーク運用管理システム)と通信する機能を有する。
【0021】
マルチキャリア信号受信器2は、マルチキャリア信号光受信器21、電気マルチキャリア信号受信器22、クライアント信号処理部23、および制御部24を備えている。以下、各機能について説明する。
【0022】
マルチキャリア信号光受信器21は、マルチキャリア信号光を受信し、電気マルチキャリア信号に変換する機能を有する。なお、マルチキャリア信号光の受信に当たっては、ひとつのサブキャリアを受信する場合から全てのサブキャリアを受信する場合まである。
【0023】
電気マルチキャリア信号受信器22は、電気マルチキャリア信号をクライアント信号に変換する機能を有する。ここでは、受信信号のサブキャリア番号を確認すると共に、使用波長、およびサブキャリアの識別子であるサブキャリア番号を基にしてクライアント信号のデータフローを認識し、クライアント信号処理部23へ転送する。
【0024】
クライアント信号処理部23は、電気マルチキャリア信号受信器22からの信号を受信し、波長情報、およびサブキャリアの識別子であるサブキャリア番号に従って所望のクライアント側に信号を送る機能を有する。
【0025】
制御部24は、本装置の各機能を制御する。制御対象としては、マルチキャリア信号光受信器21、電気マルチキャリア信号生成器22、クライアント信号処理部23である。受信したマルチキャリア信号光を、クライアント信号のデータフローごとに、分離する制御を行う。また、使用波長、およびサブキャリアの識別子であるサブキャリア番号とサブキャリアに収容されたデータの関係を記憶する。さらに、外部装置(監視光、もしくはネットワーク運用管理システム)と通信する機能を有する。
【0026】
図3に、光伝送装置が対向している場合の動作説明図を示す。図3において、送信器と受信器間の通信は、図1(a)、(b)に示したように、監視光、もしくは、制御・管理網を通して行われる。光伝送装置が対向している場合の動作概要について記述する。
【0027】
左側の光伝送装置(送信器)は、回線設定に先立ち、収容するクライアント信号情報をネットワーク運用管理システムから受け取る。受け取ったクライアント信号情報に基づいて、クライアントデータをマッピングするマルチキャリア信号光の波長とサブキャリアを決定する。
【0028】
左側の光伝送装置(送信器)は、回線設定先の光伝送装置に対して、回線設定に使用されるマルチキャリア信号光の波長とサブキャリア情報を通知する。
【0029】
右側の光伝送装置(受信器)は、回線設定の通知を受信する。また、クライアント信号情報をネットワーク運用管理システムまたは送信器から受け取る。回線設定完了後にその旨を送信元に通知する。
【0030】
左側の光伝送装置(送信器)は、受信機からの回線設定完了を確認する。クライアント信号を受信後、クライアント信号のデータフロー、サイズを確認後、決定したサブキャリアにデータをマッピングして送信を開始する。
【0031】
右側の光伝送装置(受信器)は、信号を受信し、通知されたマルチキャリア信号光の波長とサブキャリア情報を基にして、クライアントデータを分離し、そのデータをクライアント装置へと転送する。
【0032】
図4に、光伝送装置の送信器と受信器の動作フローを示す。図の左側は送信側のフローを示し、右側は受信側のフローを示す。まず、送信側のフローについて説明する。
【0033】
(S1)開始:光伝送装置の送信器の動作を開始する。
(S2)クライアント信号情報の受信:回線設定において収容するクライアント信号の情報を、ネットワーク運用管理システムから受信する。
(S3)データのサイズに応じてマッピングするサブキャリア数を決定:クライアント信号のデータフローのサイズに応じて、データをマッピングするサブキャリア数を決定する。サブキャリアには識別子としてサブキャリア番号を付与して管理する。ここで、データフローのサイズをBflow、各サブキャリアのビットレートをBsub、使用するサブキャリア数をSubnumとする。この時、使用するサブキャリア数は下記となる。
Subnum=Bflow/Bsub (式1)
ただし、割り切れない場合は数値を切り上げる。
(S4)回線設定する際の、使用波長、および使用サブキャリア情報を通知:使用する波長情報、およびS3にて決定されたデータをマッピングするサブキャリア情報を通知する。ここで、波長情報は、使用するサブキャリアを含むマルチキャリア信号光の中心波長とする。サブキャリア情報は、使用するサブキャリア番号をX〜Yとする(XとYは整数とする。)。
監視光を用いて情報通知を行うシステムでは、監視光を通じて波長情報、およびサブキャリア情報を回線設定元の装置に通知する。運用・制御網を介してシステムの管理が行われているシステムの場合は、運用・制御網を介して回線設定元の装置に波長情報、およびサブキャリア情報の通知を行う。
(S5)回線設定確認:対向装置から、回線設定が完了したことを通知するメッセージが届くか確認する。回線設定完了が通知された場合はS8へ進む。回線設定完了が確認されなかった場合は、S6へ進む。
(S6)障害通知:回線設定の完了が確認されなかったことから、障害発生と判断し、障害発生をネットワーク運用管理システム等に通知する。
(S7)回線設定中止:設定途中の回線設定を中止する。その後、終了(S12)する。
(S8)データフローを確認:クライアント信号処理部にて、受信したクライアント信号のインタフェースとサイズを確認する。
(S9)決定されたサブキャリアに各データフローをマッピング:S3にて決定されたサブキャリアを用いて、クライアント信号のデータをマッピングする。この時、データサイズと収容するサブキャリア帯域の関係が、
flow<Subnum*Bsub (式2)
となる場合は、収容するサブキャリアの空き帯域にはスタッフバイトの挿入により、空き帯域を埋める。
(S10)電気マルチキャリア信号からマルチキャリア信号光を生成:マルチキャリア信号光生成器の電源をオンにし、S9にて生成された電気マルチキャリア信号を、マルチキャリア信号光に変換する。
(S11)マルチキャリア信号光を送信:S10にて生成されたマルチキャリア信号光を送信する。
(S12)終了:光伝送装置の送信器の動作を終了する。
【0034】
次に、受信側のフローについて説明する。
(S1)開始:光伝送装置の受信器の動作を開始する。
(S2)回線設定通知受信:回線設定元の装置から通知された回線設定通知を受信し、指定された波長、およびサブキャリア受信の設定準備として、マルチキャリア信号光受信器、電気マルチキャリア信号生成器、クライアント信号処理部の電源をオン状態にする。また、クライアント信号情報をネットワーク運用管理システムまたは送信器から受け取る。
(S3)回線設定確認:回線設定の準備が完了したことを確認する。準備が完了した場合は、S6へ進む。一方、準備が完了できなかった場合は、S4へ進む。
(S4)障害通知:障害発生をネットワーク運用管理システム等に通知する。
(S5)回線設定中止:設定途中の回線設定を中止する。その後、終了(S12)する。
(S6)設定完了通知:回線設定が完了したことを、回線設定元の装置に通知する。監視光を用いて情報通知を行うシステムでは、監視光を通じて、運用・制御網を介してシステムの管理が行われているシステムである場合は、運用・制御網を介して通知する。
(S7)マルチキャリア信号光の受信:マルチキャリア信号光を受信する。
(S8)受信サブキャリアの確認:受信したマルチキャリア信号光の波長、およびサブキャリア番号を確認する。
確認できた場合:確認したサブキャリア番号を基にして、データフローを識別し、S9へ進む。
確認できなかった場合:障害発生と判断しS4へ進む。
なお、ここではマルチキャリア信号光の波長のみを確認しても良い。この場合、データフローを識別することなくS9に進む。
(S9)受信したマルチキャリア信号光を電気マルチキャリア信号に変換:マルチキャリア信号光を電気マルチキャリア信号に変換する。
なお、サブキャリア番号が確認されていない場合、ここで確認し、データフローを識別後、マルチキャリア信号光を電気マルチキャリア信号に変換する。
(S10)電気マルチキャリア信号をクライアント信号に変換:変換された電気マルチキャリア信号から、クライアントデータを分離する。
(S11)クライアント信号を送信:クライアント信号を、クライアント装置へ送信する。
(S12)終了:光伝送装置の受信器の動作を終了する。
【0035】
次に、光伝送装置の実施例を示す。実施例1では、マルチキャリア信号光として、光OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)(非特許文献1)信号を用いた場合の実施例を示す。
【0036】
図5に、光OFDM信号を用いた実施例の送信器の構成例を示す。本送信器は、クライアント信号処理部、電気マルチキャリア信号生成器である電気OFDM信号生成器、および、マルチキャリア信号光生成器である光OFDM信号生成器、送信器制御部から構成される。
【0037】
電気OFDM信号生成器は、OFDM信号生成部、DAC(Digital Analog Converter)、LPF(Low Pass Filter)、IQミキサー、発振器から構成される。
【0038】
光OFDM生成器は、光源、データ変調器、変調器ドライバ、バイアス電源から成る。
【0039】
送信器制御部は、電気OFDM信号生成器、光OFDM信号生成器、およびクライアント信号処理部と接続されており、それぞれを制御する。また、送信器制御部は外部通信機能を有する。以下、各部分の動作について説明する。
【0040】
本例では、3つのクライアント信号を取り扱う場合を考える。各クライアント信号は、別々のインタフェースからクライアント信号処理部に入力されており、それぞれのインタフェースをIF、IF、IFとする。ここで、3つのクライアント信号は、2つの1GbE(ギガビットイーサネット)信号と1つの10GbE信号とする。
【0041】
クライアント信号処理部が各インタフェースから受信したクライアント信号のサイズを、各インタフェースのサイズから判断する。この時、IF、IF、IFのクライアント信号のサイズを、BIF1、BIF2、BIF3とすると、BIF1=BIF2=1Gbps,BIF3=10Gbpsとなる。
【0042】
次に、データをマッピングするサブキャリア数を決定する。ここでは、マルチキャリア信号光のビットレートを100Gbps、各サブキャリアのビットレートを100Mbpsとし、サブキャリア数を1000本とする。各信号をサブキャリアにマッピングするにあたり、(式1)を用いて、クライアント信号をマッピングするサブキャリア数を決定する。
【0043】
ここでは、BIF1=BIF2=1Gbpsであることから、BIF1とBIF2を収容するために必要なサブキャリア数をSubNum_IF1とSubNum_IF2とすると、
SubNum_IF1=SubNum_IF2=1Gbps/100Mbps=10
となる。
IF3を収容するために必要なサブキャリア数をSubNum_IF3とすると、
SubNum_IF3=10Gbps/100Mbps=100
となる。
【0044】
次に、回線設定に際して、送信器制御部は、クライアント信号の収容に使用する波長、およびサブキャリアの番号を決定すると共に、回線設定先の装置に使用する波長とサブキャリアの番号を通知する。
【0045】
なお、ここでは、クライアント信号の収容に使用する波長は“1”、IF、IF、IFのクライアント信号を収容するサブキャリア番号をそれぞれ“1〜10”、“11〜20”、“21〜120”とする。
【0046】
回線設定先の装置から、回線設定が完了したことを通知するメッセージを受信後、電気OFDM信号生成部にて、クライアント信号をサブキャリアにマッピングする。
【0047】
この例では、データサイズと収容するサブキャリア帯域が等しくなるため、収容するサブキャリアには空き帯域は発生しない。そのため、スタッフバイト挿入は実施しない。
【0048】
電気OFDM信号生成器により生成された信号を、光OFDM信号生成器を用いて光OFDM信号に変換する。その後、送信する。
【0049】
図6に、受信器の構成を示す。本受信器は、マルチキャリア信号光受信器である光OFDM信号受信器、電気マルチキャリア信号受信器である電気OFDM信号受信器、クライアント信号処理部、および受信器制御部から構成される。
【0050】
光OFDM信号受信器は、局部発振光、90度ハイブリッドカプラ、光電変換から構成される。
【0051】
電気OFDM信号受信器は、電気OFDM信号処理部、ADC(Analog Digital Converter)から構成される。
【0052】
受信器制御部は、光OFDM信号受信器、電気OFDM信号受信器、およびクライアント信号処理部と接続されており、それぞれを制御する。また、受信器制御部は外部通信機能を有する。以下、受信器の各部分の動作について説明する。
【0053】
回線設定に際して、受信器制御部は回線設定元装置からの回線設定通知を受信後、指定された波長、およびサブキャリア受信の設定準備として、光OFDM信号受信器、電気OFDM信号受信器、クライアント信号処理部の電源をオン状態にする。なお、本例では、波長1のサブキャリア1〜120までを受信する。
【0054】
設定準備完了後、回線設定元の装置に対して、回線設定が完了したことを通知する。監視光を用いて情報通知を行うシステムでは、監視光を通じて、運用・制御網を介してシステムの管理が行われているシステムである場合は、運用・制御網を介して通知する。
【0055】
次に、光OFDM信号を受信する。本例では、受信波長は1である。光OFDM信号を受信後、サブキャリア1〜120を受信しているか確認後、信号光を光電変換し、電気OFDM信号受信器を用いて信号処理する。電気OFDM信号受信器によりクライアントデータ信号に変換された信号は、サブキャリア番号に従って、クライアントに分ける。ここでは、サブキャリア番号1〜10と11〜20はそれぞれ1GbEクライアント信号である。また、サブキャリア番号21〜120は10GbEである。サブキャリア番号を基にしてクライアント信号処理部において分離されたクライアント信号を、指定された各インタフェースに転送する。
【0056】
実施例2では、VLANによるデータフローの識別を行う場合を説明する。ハードウェアの構成は実施例1と同様とする。以下、送信側の動作について説明する。
【0057】
クライアント信号としてイーサネット信号を用いることとし、そのデータフローの識別部分について述べる。本例では、3つのVLANから構成されるクライアント信号を取り扱う場合を考える。ここでは、それぞれのVLANを、VLAN1、VLAN2、VLAN3とする。
【0058】
VLAN1からVLAN3の各クライアント信号は、ひとつのインタフェースからクライアント信号処理部に入力されており、そのインタフェースを10GbEとする。
【0059】
クライアント信号処理部が受信したクライアント信号のサイズ情報をネットワーク運用管理システムから受け取る。この時、VLAN1、VLAN2、VLAN3のクライアント信号のサイズを、BVLAN1、BVLAN2、BVLAN3とする。ここでは、BVLAN1=BVLAN2=1Gbps,BVLAN3=100Mbpsであったとする。この部分の情報は、ネットワーク運用管理システムから受け取る。
【0060】
VLANの確認には、フレームのVLANタグを確認する。図7に、VLANタグを含むイーサネット信号のフレーム構成を示す。
【0061】
図7のタグ制御情報部分にVID(VLAN ID)情報が収容されている。クライアント信号処理部において、この部分を確認することで、VLANごとのデータフローの識別を行う。
【0062】
次に、データをマッピングするサブキャリア数を決定する。ここでは、マルチキャリア信号光のビットレートを100Gbps、各サブキャリアのビットレートを100Mbpsとし、サブキャリア数を1000本とする。各信号をサブキャリアにマッピングするにあたり、(式1)を用いて、クライアント信号をマッピングするサブキャリア数を決定する。
【0063】
ここでは、BVLAN1=BVLAN2=1Gbpsであることから、BVLAN1とBVLAN2を収容するために必要なサブキャリア数をSubNum_VLAN1とSubNum_VLAN2とすると、
SubNum_VLAN1=SubNum_VLAN2=1Gbps/100Mbps=10
となる。
VLAN3を収容するために必要なサブキャリア数をSubNum_VLAN3とすると、
SubNum_IF3=100Mbps/100Mbps=1
となる。
【0064】
次に、回線設定に際して、送信器制御部は、クライアント信号の収容に使用する波長、およびサブキャリアの番号を決定すると共に、回線設定先の装置に使用する波長情報とサブキャリア番号を通知する。
【0065】
なお、ここでは、クライアント信号の収容に使用する波長は“1”、BVLAN1、BVLAN2、BVLAN3のクライアント信号を収容するサブキャリア番号をそれぞれ“1〜10”、“11〜20”、“21”とする。
【0066】
以下は、実施例1と同様に下記の動作をとる。回線設定先の装置から、回線設定が完了したことを通知するメッセージを受信後、電気OFDM信号生成部にて、クライアント信号をサブキャリアにマッピングする。
【0067】
この例では、データサイズと収容するサブキャリア帯域が等しくなるため、収容するサブキャリアには空き帯域は発生しない。そのため、スタッフバイト挿入は実施しない。
【0068】
電気OFDM信号生成器により生成された信号を、光OFDM信号生成器を用いて光OFDM信号に変換する。その後、送信する。
【0069】
以下、受信側の動作について説明する。回線設定に際して、受信器制御部は回線設定元装置からの回線設定通知を受信後、指定された波長、およびサブキャリア受信の設定準備として、光OFDM信号受信器、電気OFDM信号受信器、クライアン信号処理部の電源をオン状態にする。なお、本例では、波長1のサブキャリア1〜21までを受信する。
【0070】
設定準備完了後、回線設定元の装置に対して、回線設定が完了したことを通知する。監視光を用いて情報通知を行うシステムでは、監視光を通じて、運用・制御網を介してシステムの管理が行われているシステムである場合は、運用・制御網を介して通知する。
【0071】
次に、光OFDM信号を受信する。本例では、受信波長は1である。光OFDM信号を受信後、サブキャリア1〜21を受信しているか確認後、信号光を光電変換し、電気OFDM信号受信器を用いて信号処理する。電気OFDM信号受信器によりクライアントデータ信号に変換された信号は、サブキャリア番号に従って、クライアントに分ける。ここでは、サブキャリア番号1〜10と11〜20はそれぞれVLAN1、VLAN2の1GbEクライアント信号である。また、サブキャリア番号21はVLAN3の100Mbpsクライアント信号である。サブキャリアを基にしてクライアント信号処理部において分離されたクライアント信号を、VLAN1、VLAN2、VLAN3にマッピングして転送する。
【0072】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様および変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 マルチキャリア信号送信器
11 クライアント信号処理部
12 電気マルチキャリア信号生成器
13 マルチキャリア信号光生成器
14 制御部
2 マルチキャリア信号受信器
21 マルチキャリア信号光受信器
22 電気マルチキャリア信号受信器
23 クライアント信号処理部
24 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント信号情報を受信する受信手段と、
前記クライアント信号情報から、前記クライアント信号のデータを収容するマルチキャリア信号のサブキャリアを決定する決定手段と、
前記サブキャリアと前記クライアント信号のデータとの関係を設定する設定手段と、
前記関係を対向装置に伝達する伝達手段と、
前記サブキャリアに前記データをマッピングして送信する送信手段と、
を備えるマルチキャリア信号送信器と、
前記関係を対向装置から受信する受信手段と、
サブキャリアにマッピングされた信号を受信し、前記関係を基にして、受信した信号をクライアント信号に分離する分離手段と、
を備えるマルチキャリア信号受信器と、
を備えることを特徴とするマルチキャリア信号光伝送装置。
【請求項2】
前記クライアント信号のインタフェース毎またはVLAN ID毎に、前記クライアント信号のデータフローを識別する手段を有し、
前記決定手段は、前記データフロー毎にマルチキャリア信号のサブキャリアを決定し、
前記送信手段は、前記データフロー毎にクライアント信号を前記サブキャリアにマッピングし、
前記分離手段は、前記関係を基にして、前記データフロー毎に受信した信号をクライアント信号に分離することを特徴とする請求項1に記載のマルチキャリア信号光伝送装置。
【請求項3】
前記伝達手段は、監視光または制御・管理網経由で前記関係を伝達することを特徴とする請求項1または2に記載のマルチキャリア信号光伝送装置。
【請求項4】
前記関係は、前記クライアント信号のデータを収容するサブキャリアの番号および該サブキャリアを収容する波長であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチキャリア信号光伝送装置。
【請求項5】
クライアント信号情報を受信する受信ステップと、
前記クライアント信号情報から、クライアント信号のデータを収容するマルチキャリア信号のサブキャリアを決定する決定ステップと、
前記サブキャリアと前記クライアント信号のデータとの関係を設定する設定ステップと、
前記関係を対向装置に伝達する伝達ステップと、
前記サブキャリアに前記データをマッピングして送信する送信ステップと、
前記関係を対向装置から受信する受信ステップと、
サブキャリアにマッピングされた信号を受信し、前記関係を基にして、受信した信号をクライアント信号に分離する分離ステップと、
を有することを特徴とするマルチキャリア信号光伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−90096(P2012−90096A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235391(P2010−235391)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】