光信号を面外に伝送するための共振結合
【課題】共振信号の面外への放射を改善する。
【解決手段】
光学構造(1302)が、光共振システム(1310)の表面(1304)上に形成され、放射される共振信号の特性を変更する。光学構造は、共振信号の一部に位相シフトを与えるよう構成されることができる。共振信号が、軸対称の放射パターンを有する単一共振モードから成るので、位相シフトを用いることにより、放射される共振信号の出力特性を、例えば平行にし、分散し、方向を変更し、形づくることができる。光学構造を用いて、光共振システムの品質ファクタを調整することもできる。
【解決手段】
光学構造(1302)が、光共振システム(1310)の表面(1304)上に形成され、放射される共振信号の特性を変更する。光学構造は、共振信号の一部に位相シフトを与えるよう構成されることができる。共振信号が、軸対称の放射パターンを有する単一共振モードから成るので、位相シフトを用いることにより、放射される共振信号の出力特性を、例えば平行にし、分散し、方向を変更し、形づくることができる。光学構造を用いて、光共振システムの品質ファクタを調整することもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光信号を面外に伝送するための共振結合に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールの集積光デバイスは、かつては純粋に電子分野に制限されていた信号生成および処理機能を、急速に獲得しつつある。これらのナノスケールデバイスは、典型的には平面であり、通常は、基板によって支持された平面型導波管を含み、ここで、該平面型導波管は、光を基板に閉じ込める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、自由空間の送信について、または、より典型的には光ファイバへの結合について、平面型導波管からの光信号を、面外の方向(out-of-plane)で効率的に結合することは、困難な場合がある。さらに、面外の方向で平面型基板から抽出された光信号は、該抽出システムの特定のアーキテクチャに依存するモード特性を有し、該モード特性は、所望の用途に完全に準拠するとは限らない場合がある。これまで、所望の放射特性を達成するために抽出されたビームを形作るのに、外部バルク光素子が使用されてきた。例えば、シリンドリカルレンズまたはボールレンズなどの外部レンズを使用し、抽出されたビームを、隣接する光ファイバに集束させることができる。しかし、バルク光素子のサイズおよびアライメントの制限により、これらの集積光素子における使用は問題となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
光学システムは、平面基板に形成され、該基板に対して面外の方向に共振光信号を放射する光共振システムと、光共振システムの面上に形成され、放射された共振信号の特性を変更するための光学構造と、を備える。例えば、該光学構造は、共振信号の一部に位相シフトを与えるよう構成される誘電体層である。共振信号が、軸方向に対称的な放射パターンを備えた単一共振モードを含むので、位相シフトを使用して、放射された共振信号の出力特性を、例えば平行にし、分散し、方向を変え、一般的には形作ることができる。また、光構造を使用して、光共振システムの品質ファクタ(Q)を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、図面を参照するとよりよく理解することができる。図面の中の構成要素は必ずしもスケールどおりに描かれているものではなく、本発明の原理を明確に示すことに力点が置かれている。さらに、図面の中では、同様な参照符号は、いくつかの図面に渡って対応する部分を示す。
【0006】
本発明を、図面を参照して説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化されることができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈するべきではない。これらの実施形態は、当業者に本発明の範囲を伝えることを目的としている。さらに、本明細書で与えられる「例」はすべて、非限定的な例である。
【0007】
図1を参照すると、光入力信号100が、光共振(optically resonant)システム101に供給される。光共振システム101は、光共振システム101の共振特性を介して、光入力信号100のエネルギーを捕捉する。ついで、光共振システム101は、光出力信号102を放射する。例として、光出力信号は、光入力信号100に直交する方向で放射されることができる。
【0008】
異なる実施形態における光入力信号100は、光ファイバ導波管、誘電体導波管、自由空間などを含む、いくつかの異なる媒体中を移動することができる。放射される光出力信号102は、減衰することもあるが、典型的には、光入力信号100上でコード化されている任意の「情報コンテンツ(information content)」を保持している。一実施形態では、光出力信号102は、該出力信号を、光ファイバまたは他の集積光デバイスに結合するため、理想的な、軸方向に対称的な放射パターンを有する。
【0009】
図2を参照すると、本発明の代替実施形態の構成図が示されている。この実施形態では、光入力信号200は、光共振システム202の近くの基板領域201に進行する。光共振システム202は、該信号の一部を捕捉して、光出力信号204を生成する。たとえば、光入力信号は、基板領域の上面220および下面221に対して実質的に平行な方向で進行し、光出力信号は、光入力信号200に対して直交する方向に放射されることができる。
【0010】
光共振システムは、光共振システム202における光入力信号200に関連付けられたエバネッセント場(evanescent field)203を捕捉することによって、動作する。エバネッセント場は、信号が導波管を伝播するときに生成される。光入力信号は、その電磁気的性質により、本質的に、導波管を囲むエバネッセント場を生成する。光入力信号200によって光共振システムに近接して生成されるエバネッセント場203は、光共振システム202の少なくとも1つのモードで共振し、光エネルギーが光共振システム202に伝わることを可能にする。ついで光共振システム202は、該光エネルギーを所望の方向に優先的に(preferentially, 差別的に)放射し、光出力信号204を生成する。光共振システム202によって生成される光出力信号204は、減衰することがあるが、典型的には、入力信号200上にコード化された「情報内容」を保持する。一実施形態においては、出力信号204は、光出力信号を、光ファイバまたは他の集積光デバイスに結合するために、理想的な、軸方向に対称的な放射パターンを有する。
【0011】
図3を参照すると、図2の光共振システムを使用する方法の一実施形態が示されている。ブロック300では、光共振システムが、光信号を受信する。ブロック301では、共振特性を使用して、第2の光信号を生成する。ついで、ブロック302では、第2の信号が放射される。
【0012】
一例として、光共振システムは、典型的には導波管を介して光信号を受信する。この導波管は、光共振システムで終了してもよいし、または、光共振システムを介して続いてもよい。いずれの場合も、導波管の外部に伸びるエバネッセント場により、光信号は、光共振システムに結合することができる。光共振システムの非対称的な閉じ込めの特性(asymmetrical containment profile)により、光共振システムは、優先的に第2の光信号を放射することできる。ついで、該放射された光信号は、他の集積光デバイスに結合することができ、または、単に光ファイバに結合して、該放射された光信号を他の場所に伝えることができる。
【0013】
図4を参照すると、光共振システムの実施形態の概略図が示されている。自由空間内に示された光共振システムのこの実施形態は、誘電体構造400を含む。誘電体構造400は、第1の構造の誘電体平行プレート401a〜f、第2の構造の誘電体同心シリンダ402a〜cを含む。光共振システムの第1の構造は、光共振システムの第2の構造と、互いに重なって光通信し、光入力信号の少なくとも一部を捕捉する。ついで、第1の構造および第2の構造は、出力信号を放射するよう動作する。たとえば、光出力信号は、光入力信号に直交する方向で放射されることができる。
【0014】
図5を参照すると、本発明の光共振システムの一実施形態の断面図が示されている。光共振システム400は、複数のプレート401a〜fおよび複数のシリンダ402a〜cを含み、これらは互いに交差して、共振特性を備えた中央キャビティ500を形成する。プレート401a〜fのそれぞれは、x−y面内に存在し、x−y平面に直交するz軸に沿って、光エネルギーを部分的に反射する。シリンダ402a〜cのそれぞれは、x−y平面に対して平行な放射方向に、光を部分的に反射する。典型的には、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cは、同じ誘電体材料または同様な誘電体材料から形成される。たとえば、このような誘電体材料として使用することのできる材料は、シリコンである。周囲の材料、すなわち実質的に平行な面420および421を有する光基板501は、典型的には、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cを形成する材料よりも低い誘電率を有する誘電体材料から形成される。典型的な一実施形態では、プレートおよびシリンダの典型的な誘電率は約11であることができ、該周囲の材料の典型的な誘電率は約2であることができる。しかしながら、当業者であれば、多くの異なる誘電率を、該光共振システムを形成するのに用いることができ、本発明は、ここに開示した誘電率に限定されないことを理解するであろう。図5に示すようにプレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cを組み合わせると、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cは、所定の波長の光を捕捉するよう動作する。これらの波長の光は、光共振システム400の寸法および材料にしたがって、捕捉される。これについては、2002年4月16日に提出された「RESONANT COUPLING OF OPTICAL SIGNALS FOR OUT-OF-PLANE TRANSMISSION(面外伝送のための光信号の共振結合)」という名称の米国特許出願番号第10/123,656号に記述されている(これは、本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組込まれる)。
【0015】
図示されるように光基板501に形成された光共振システム400は一般に、面外の方向(out-of-plane direction)に光信号の方向を変えるのに使用される面外カプラ(out of plane coupler)として説明されることができ、より具体的には、三次元分布ブラッグ反射器(three dimensional distributed Bragg reflector)として説明されることができる。一般的に、光共振システム400は、システムの共振特性を介して光を捕捉する。光共振システムの特性は、該システムの寸法および該システムを構成する誘電体材料の屈折特性に従って定義される。
【0016】
図5に示す実施形態では、光共振システム400は、対称的な放射パターンを有し、捕捉された光エネルギーを、実質的に、すべての方向に放射する。この放射パターンを、光共振システム400の構造を変更することによって変えることができる。光共振構造の該変更は、光共振システム400の製作を変更することによって、または、製作後に光共振システム400を修正することによって、行われることができる。
【0017】
製作者は、光共振システム400の非対称性を介して光エネルギーを優先的に放射する非対称的な構造を形成することによって、光共振システム400の放射パターンを変えることができる。このような非対称構造は、非対称的な構造を有する光共振システム400を構築することによって達成されることができる。言いかえれば、光共振システム400の製作中、プレート401a〜fまたはシリンダ402a〜cの少なくとも1つ、またはそれらの一部を取り除き、光共振システム400が優先的に放射することができるようにする。当業者であれば、このような非対称的な構造は、製作後に、プレート401またはシリンダ402を光共振システム400から除去することによって、またはこれらの一部を光共振システム400から除去することによって達成されることができるということが、理解されるであろう。
【0018】
図5に示すように、光共振システムを、軸方向に対称な共振構造として構成し、光共振システム400を集積光デバイスに埋め込むこと等により、本発明の光共振システム400を、面外カプラとして使用することができる。一実施形態では、光基板に形成された光共振システム400に対し、基板面の外に放射するように仕向けることは、光共振システム400内のシリンダの数より少ないプレート対を使用することによって達成される。光共振システムは、比較的高いQファクターを有し、近接する平面型導波管のコアの外側に伸びる複数のエバネッセント場に結合する。また、光共振システム400は、近接する平面型導波管に対して直交する方向に光を放射するように構成される。近接する平面型導波管および中央キャビティの間の共振結合は、2つの構成要素の適切な設計および相対的な配置によって、整合させることができる(これは、上記の特許出願に説明されているとおりである)。光共振システムの反射器(プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜c)の周期の数は、すべての次元で、光共振システム400および近接する平面型導波管の間の適切な結合を達成するよう選択される。さらに、光共振システムの反射器の周期の数は、面外の放射が、光共振システム400について主なエネルギー損失メカニズムとなるように、選択されることができる。
【0019】
平面型導波管からエネルギーを抽出するための閉じ込め特性が非対称である構造を使用することは、単一の共振モードから、該共振モードの放射対称性を反映した軸方向の対称放射パターンで、面外の信号を放射するという利点を有している。
【0020】
図6を参照すると、図5の光共振システムの第1の機能を示す概略図が示されている。光共振システム400の基本動作を理解するのに有用な物理プロセスは、光入力信号600を、光基板602中の近くの導波管601から光共振システム400に結合するメカニズムである。典型的な幾何学的形状を、図6および図7に示す。ここで、導波管モードは、進行波または定在波のいずれであってもよい。
【0021】
図6は、光入力信号600を、導波管601を囲むエバネッセント場を介して光共振システム400に結合する実施形態を示す。これらのエバネッセント場は、光共振システム400の共振キャビティのモードを励起し、光エネルギーを、導波管601から光共振システム400内に伝える。ついで、光共振システム400は、基板表面から光エネルギーを放射し、第2の信号を形成する。
【0022】
図7は、光入力信号600が、基板701の導波管700を囲むエバネッセント場を介して光共振システム400にエネルギーを結合する定在波を形成する実施形態を示す。光共振システム400は、該システムの共振特性を介して、光入力信号600の光エネルギーを捕捉し、該光エネルギーを使用して、光出力信号を生成する。ついで、光共振システム400は、基板面を介して第2の光信号を放射する。なお、これらの幾何形状のそれぞれについて、導波管モードは、空間的に正規化可能であり、エネルギーの大部分を導波管601および700のコアに閉じ込め、該コアの外側に、計算可能なエバネッセント場がある、という前提がなされている。
【0023】
図8を参照すると、光共振システム400の受動的な性質に適用可能な相反性の原理によって、このシステムを使用して、エネルギーを、基板面の上部にある光源から、集積光デバイスの導波管に結合することができる。ここで、光入力信号800は、光共振システム400に導かれる。ついで、光共振システム400は、光入力信号からエネルギーを捕捉し、光出力信号801を生成し、光出力信号801を、基板803に形成された導波管802内に向ける。この実施形態における光共振システムは、実質的に導波管802内へ放射する非対称的な閉じ込め特性を有することができる。当業者であれば、これは、放射方向に非対称的な構造を備えた光共振システム400を形成することによって達成されることができる、ということが理解されるであろう。
【0024】
図9を参照すると、図5の光共振システムを製作する方法を示すフローチャートが示されている。第1のステップ900では、基板が提供される。基板を提供した後、次のステップ901では、共振キャビティが形成される。ステップ901のこのプロセスは短縮されているが、典型的には、当業者には周知のように、介在するフォトリソグラフィのステップにより特徴付けられる、一連の充填(fill)ステップおよび埋め戻し(backfill)ステップを含む。ユーザは、光共振システム400を製作するために、光共振システム400を製作する本方法のステップ901において、導波管を作成することができる。
【0025】
典型的には、これらのエッチングステップおよび埋め戻しステップは、層ごとに光共振システムを製作する手法を含むことができる。製作者は、上記の層ごとの手法の第1のステップとして、二酸化珪素などの第1の材料から形成される光基板に、少なくとも1つのリング(ring)をエッチングすることができる。次に、製作者は、該リング(複数可)を充填し、シリコンなどの第2の材料でプレートを堆積することができる。ついで製作者は、第1の材料を該プレート上に堆積し、所望の数のシリンダおよびプレートが作成されるまで、このプロセスを繰り返すことができる。
【0026】
代替的に、製作者は、まず第2の材料の層を基板上に堆積させることができる。ついで製作者は、該第2の材料の層をエッチングし、基板上に少なくとも1つのリングを形成することができる。次に製作者は、第1の材料の基板の層を堆積し、リング層のギャップを充填することができる。ついで製作者は、第2の材料のプレート層を堆積し、該プレートをエッチングし、該プレート層のギャップを充填する。ついで製作者は、所望の数のシリンダおよびプレートを形成するまで、これらの各ステップを繰り返すことができる。しかしながら、これらの製作方法は、使用することのできる方法の例にすぎず、当業者であれば、所与の構造を製作するために多くの異なる方法が存在することを理解するであろう。
【0027】
当業者であれば、プレートおよびシリンダの数が、光共振システムの閉じ込めの強度(containment strength)を規定する、ということを理解するであろう。閉じ込め強度は、共振信号を捕捉した後に、光共振システム内に含まれる共振信号を維持する、光共振システム400の能力を規定する。この閉じ込め強度は、光共振システム内に含まれるプレートまたはシリンダの数にしたがって、増加または減少させることができる。したがって、プレートまたはシリンダの数を調節し、用途ごとの特定の設計上の問題を補償することができる。さらに、当業者には、共振キャビティから放射される光パワーを調節するために、完成した光共振システム400をエッチングすることができる、ということが理解されよう。
【0028】
次に図10を参照すると、図5の光共振システムを製作する代替の方法を示すフローチャートが示されている。第1のステップは、図9に示す前述の実施形態と同じである。しかし、第2のステップ1000は異なる。ステップ1000により、ユーザは、非対称的な構造を有する光共振システムを形成することができる。完全に対称的な構造を形成する代りに、外側のプレートまたはシリンダのうちの1つまたは複数の少なくとも一部を、製作中に取り除く。こうして、該構造内で非対称な方向に優先的に放射する非対称的な光共振システムが形成される。
【0029】
次に図11を参照すると、図5の光共振システムの動作を示す図面が示されている。第1の構造1100は、複数の平行なプレート401a〜fを含む。これらのプレート401a〜fは、x−y平面内にあり、x−y平面に対して直交するz軸の方向に光エネルギーを部分的に反射する。したがって、第1の構造を、一次元(1−D)反射器と呼ぶことができる。第2の構造1101は、複数の同心シリンダ402a〜cを含む。シリンダ402a〜cは、該シリンダ402a〜cから放射状に、光放射を部分的に反射する。したがって、第2の構造を、二次元(2−D)反射器と呼ぶことができる。
【0030】
第1の構造1100および第2の構造1101は、互いのコヒーレントな挙動を乱すことなく、共に動作することができる。これは、該組み合わされた構造のTE(Transverse Electric)モードの方位の電場(azimuthal electric field)を記述する波動方程式が次式で記述されるとき、もっとも良好に観察される。
【数1】
【0031】
上式で、k0は、特定の周波数についての自由空間のkベクトルであり、ρは、放射距離(x−y平面内)、zは、放射軸に対して直交する軸に沿った距離、Eφ(ρ、z)は、極座標内の電場、ε⊥(ρ、z)は、第1の構造1100および第2の構造1101の材料の比誘電率であり、これらは同じであると仮定される。比誘電率ε⊥(ρ、z)は、次式によって与えられる。
【数2】
【0032】
ここで、ε⊥’は、第1の構造1100および第2の構造1101の誘電率の一定値である。式(1)は、組み合わさった第1の構造および第2の構造の誘電率を記述する式(2)の最後の項を除いて、完全に分離可能であることに注意されたい。この項は、f1(ρ)f2(z)に比例し、誘電率の値が、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cの交差領域内で二重にカウントされないようにするために必要とされる。式(1)が、ρ次元およびz次元の間で分離可能でないと、1−D反射器を含むプレート401a〜fの組、および2−D反射器を含むシリンダ402a〜cの組は、独立して動作しない。したがって、1−D反射器および2−D反射器を単に組み合わせても、3−D閉じ込め構造を作成することができない。
【0033】
適切なモード選択のために、該分離可能性(separability)を、非常に高レベルの精度に回復することができる。このモード選択は、TE0共振モードであり、これは、光共振システム400のコヒーレント設計ルールに従うと、すべてのプレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cの内面でヌル(null)の電場を有する。電場の値が、光共振システム400のプレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cの交点の分離不可能領域において「ダブルヌル(double-null)」(ρ次元およびz次元から)になると、分離可能性が回復される。したがって、分離不可能な項を該式から削除することができる。この近似に関連する数値エラーについては、摂動の技術(perturbative technique)を使用して、非常に小さくすることができる。
【0034】
しかしながら、図4に示すように、上記の式は、自由空間内の光共振システムについて計算している。図5の光共振システム400の関連する共振モードを計算するために、TE0モードに限定して、磁場Bに関する式をマックスウェル方程式から導出することができる。この導出の説明については、上記に引用した特許出願中に見いだすことができる。
【0035】
図4および図5に戻ると、光共振システム400の構造は、基板面から光エネルギーを抽出することが所望される任意の用途に使用されることができる。光エネルギーは、実質的に、任意の集積光デバイスからエバネッセント場を介して光共振システム400に結合することができ、最終的には光エネルギーの形態で、基板面の外に向けられることができる。これらの集積光学構造は、導波管から共振構造までの範囲に及び、光共振システムへの結合は、計算可能な方法で正確に制御されることができる。基板面から外に放射される光エネルギーは、自由空間伝送を介して他のデバイスまたは検出器に送られることができ、または、光ファイバによって効率的に収集されることができる。放射された光エネルギーは、理想的に光ファイバに結合するのに適している。これは、出力ビームが、円形対称を有しており、該ビームの直径が、出力波長のオーダであるためである。さらに、複数の光共振システム400を、単一の集積光デバイス上に製作することができる。これらの光共振システム400の波長に特有の性質により、すべてのカプラ(coupler)を、同じ波長で、または一連の波長で動作させることが可能になる。これらのすべての用途において、光共振システム400の生成に含まれる製作ステップは、典型的な集積光デバイスの標準的な成長手順に準拠する。2つの材料の構造は、関連する集積光デバイスの製作中に、選択的なエッチングおよび埋め戻しのプロセスによって、成長させることができる。
【0036】
光共振システムの詳細な設計規則は、上に引用した特許出願に記述されている。光共振システムの一例は、3つのシリンダおよび6枚のプレートを含んでおり、該プレートおよびシリンダは、シリコン(κ=11.56)から作成され、光基板は、二酸化珪素(κ=2.25)から作成される。1.55μmの波長を有する光信号を捕捉するためには、第1のシリンダ402aは、1.140μmの内半径および1.265μmの外半径を有する。第2のシリンダ402bは、1.737μmの内半径および1.860μmの外半径を有する。最後に、第3のシリンダは、2.329μmの内半径および2.452μmの外半径を有する。各プレートは、0.1175μmの厚さと、中央キャビティに接するプレートを除いて各プレート間に0.310μmの間隔を有する。中央キャビティに接するプレート401cおよび401dは、間に0.620μmの間隔を有する。したがって、一実施形態では、共振光キャビティは、1.55μmの波長の光信号を捕捉するために、0.620μmの高さと1.140μmの半径とを有する。
【0037】
次に図12を参照すると、非対称的な光共振キャビティが示されている。光共振システム400が、基板面平面1220から光を優先的に放射することができるようにするために、偶数でないプレート401a〜eを備えた光共振システムを形成することによって、光共振システムが非対称的に形成されている。このように、非対称的な光共振システム1201の主な放射メカニズムは、基板501に対して放射方向ではなくなり、図12の放射1202に示すように、基板の面1220および1221に対して面外となっている。
【0038】
非対称的な光共振システム1201の光放射の計算は、いくつかの理由によって困難なものがある。上面での閉じ込め境界条件の除去は、放射する共振モードについての分析的な解決を妨げる。また、放射共振モードが正規化可能ではないので、概算のモード整合(mode matching)手順は機能しない。この結果、図12の構造の放射特性を概算する最良の手段は、摂動的(perturbative)である。
【0039】
典型的な例として、10個のシリンダ領域および3個のプレート対の領域を含み、光共振システム1201の誘電率が11.56でバックグラウンド領域501の誘電率が2.25の構造を、設計規則を用いて特定する。面外放射を強調する非対称的な構造を有しない完全な光共振システム400については、材料による損失を考慮しなければ、共振器の計算されたQは、1.0×108である。この計算されたQは、基板501への放射方向における放射損失のみに起因する。当然ながら、測定されるQは、材料による損失があるためはるかに低くなるであろう。光共振システム400を、最上部の高誘電性のプレート領域を有しない非対称に構成する場合、基板からの放射を計算すると2×106のQを生成する。言い換えれば、非対称的な光共振システム1201の共振モードについては、基板501に漏れるエネルギーに比べて、約50倍のエネルギーが、非対称的な光共振システム1201の上面を介して逃げる可能性がある。光共振システム1201が、最上部の2つの高誘電率プレート領域を有しない非対称に構成される場合、基板から出る放射を計算すると、5.7×104のQを生成する。この構成については、非対称的な光共振システム1201は、基板から非常に強力に放射し、基板内に入るエネルギーと比べると基板外に放射されるエネルギーは、約2000倍であることが分かる。この例から、非対称的な光共振システムの共振モードを基板外の放射場に結合することは、非常に広い範囲にわたって調節されることができる、ということが明らかである。
【0040】
要約すると、集積光デバイスに形成することのできる共振キャビティを備える光共振システムを使用して、効率的な面外カプラが実現される。光共振システムは、計算可能な結合効率で、光エネルギーを、導波管などの集積光デバイスの近接する構成要素から伝送し、光共振システム外に送ることができる。さらに、光共振システムの出力は、軸方向に対称的であり、ビームの直径が放射波長のオーダである、という利点を有する。
【0041】
一部の用途では、光共振システムから放射される共振信号の少なくとも1つの特性を変更することが望ましい。本発明の一実施形態では、光学構造を、光共振システムの面上に形成し、放射される共振信号の特性を変更する。たとえば、光学構造は、共振信号の一部に位相シフトを与えるよう構成される。共振信号は、軸対称の放射パターンを有する単一の信号共振モードから成るため、位相シフトを使用して、たとえば放射された共振信号の出力特性を平行にし(collimate)、分散し(disperse)、方向を変え(direct)、一般に形作る(shape)ことができる。また、光学構造を使用して、光共振システムのQを調整することができる。
【0042】
図13Aは、光共振システム1310の面1304上に形成され、放射された共振信号の放射特性を変更する、光学構造1302の側面の断面図を示す。図13Aの例では、光学構造1302は、誘電体材料の同心リング1312aおよび1312bを含む。これらは、光共振システムの最上面上に成長したものである。光共振システム1310は、基板1314に形成される。図13Bは、図13Aに示す同心リング1312aおよび1312bの斜視図を示す。同心リング1312aおよび1312bは、放射された共振信号の一部に位相シフトを選択的に与えるような大きさに作られ、配置される。一実施形態では、光学構造1302は、光共振システム1310を形成するために使用されるリソグラフィ製作技術と同じ技術を使用して、二酸化珪素から形成される。
【0043】
次に、光学構造の設計上の考慮を、図14から図16を参照しながら説明する。図14の上の部分は、図1から図12を参照して説明した、光共振システム1310の半分の側面の断面図を示す。説明のために、光共振システム1310は、図13Aおよび図13Bに関して説明される光学構造1302を有しないで示されている。図14に示す光共振システム1310は、1.55μmで入力光信号1316を共振させるように設計され、二酸化珪素の基板1314の中に作成され、該二酸化珪素は、2.25の誘電率を有する。光共振システムの第1の構造401a〜eおよび第2の構造402a〜cは、純粋なシリコンから形成され、該純粋なシリコンは11.56の誘電率を有する。図14の例としての実施形態では、光共振システム1310の第1の構造401a〜eを構成する円形プレートは、約3μmの直径、および約0.1175μmの厚さを有し、該円形プレート間のy方向の間隔は、2つの内側のプレートについては約0.620μmであり、さらなるプレートについては0.310μmである。光共振システム1310の第2の構造402a〜cを構成する同心シリンダは、約1.140/1.265、1.737/1.860、2.329/2.452μmの内径および外径をそれぞれ有する。同心シリンダの間隔は、隣接した同心シリンダ間の二酸化珪素の環状領域を画定する。前述したように、共振信号1320は、入力光信号1310(たとえば、1.55μmの光信号)に応答して、光共振システムから面外の方向に放射される。光共振システムの面1304における電場成分Eφは、中央キャビティ1322の中心軸1324からの距離ρの関数として、その位相が時間と共に振動しかつ指数関数的に減少する振幅を有する。図14の下には、中央キャビティ1322の中心軸1324からの距離ρの関数として、電場Eφの振幅のスナップショットを、光共振構造1310に対して示す。共振場モードについては、電場の振動は、光共振システムの各同心シリンダの内面でゼロを有する。電場の振幅は、場がゼロの両方の側で反対の符号となり、光共振システムの同心シリンダ間の環状領域に対応する交互の極性を有する電場の同心環状領域を形成する。電場Eφの極性が交互であるため、結果として、基板および円形プレートの面に対して垂直な方向では、電場は、極性が反対の隣接した環状領域から、弱め合い干渉の寄与分(destructively interfering contribution)を受ける。該弱め合い干渉の寄与分により、共振信号のビーム特性は、種々の環状領域の場の振幅および位相によって左右される分布で、基板面に垂直な面に対して傾けられる(ゆがめられる)。
【0044】
垂直面に向かって、すなわち、光共振システムおよび基板の面に対して垂直である面に向かって、よりピークにされた(最大がより高い)放射特性を生成するために、一組の誘電体リングを含む光学構造を、同じ極性の環状領域上に形成する。たとえば図15に示すように、二酸化珪素の3つの平らな同心リング構造1312a〜cは、負の極性を示す環状領域上に形成される(図14に示す)。同心リングの厚さは、共振信号の波長の関数として選択される。図15の実施形態では、同心リングは、該同心リングを通過する共振信号の一部に、180度の位相シフト(すなわち、極性の時間的な位相のシフト)を与える厚さで形成される。入力信号が1.55μmで、リングの誘電率が2.25であると仮定すると、180度の位相シフトを与えるためのリングの厚さは、1.55μmに設定される。同心リングによって引起された180度の位相シフトにより、図15の下のグラフに示すような、対応する環状領域で極性を効果的に逆にする。位相シフトの結果、また光共振システム1310の面1304および基板1314に対して垂直方向では、放射された放射場は、すべての環状領域から、強め合い干渉の寄与分(constructively interfering contribution)を受ける。強め合い干渉のために、放射された共振信号の角度分布(angular distribution)は、基板面に対してはるかに垂直にピークになる。
【0045】
図16は、共振キャビティの中心軸からの距離ρに対する、光共振システムの面1304における正規化された放射強度1330および1332を示す一例としてのグラフである。該例としてのグラフは、光学構造が無い場合(たとえば、強度線1330により特定され、リング厚さ=0μmの場合)と、二酸化珪素の厚さが1.55μmの平らな同心リングの光学構造の場合(強度線1332により特定される)を含む。図16に示すように、同心リングが存在するときには、放射強度1332は、基板面に対して垂直な方向を中心としてより緊密に集束される。
【0046】
光共振システムの上面に形成された上記の同心リングを、異なるように構成して、異なる結果を得ることができる。たとえば、光学構造は、リング(複数可)の一部、または異なる厚さまたは変化する厚さを伴うリング(複数可)を含むことができる。具体的には、リングの厚さは、リングごとに異なってもよいし、同じリング内で異なってもよい。図15の実施形態では、同心リング1312a〜cの厚さは、光共振システムの表面から放射して同心リングを通過する放射が、空(から)の空間を伝播した場合に得られるであろう位相に対して180度の位相シフトとなるように、選択されることができる。この実施形態では、180度の位相シフトを選択したが、所望の放射特性にしたがって、異なる角度の位相シフトも可能である。さらに、同心リングは、所望の放射特性に影響を与える任意の材料組成であってよい。
【0047】
光共振システムの面上に形成された光学構造を使用した、放射された放射場の変更は、光共振構造の結合効率にも影響を与える。具体的には、光学構造は、近接する集積光導波路構造に対する光共振システムのQにも影響を与える。たとえば、図14および図15を参照して説明した光共振システム1310のQは、同心リング1312a〜cを追加すると大幅に増加する。したがって、光共振システムの面上に形成された同心リングなどの光学構造を、製作の最終段階で使用し、光共振システムの結合特性を調整することができる。
【0048】
図17は、光放射の方向を変える方法のプロセスのフロー図を示す。ブロック1702では、指向性成分(directional component)を有し、少なくとも1つの波長を含む第1の光信号が、受信される。ブロック1704では、該少なくとも1つの波長において、第1の光信号で、共振信号が励起される。ブロック1706では、第1の光信号の指向性成分とは異なる面外の指向性成分を有する共振信号が、放射される。ブロック1708では、共振信号の一部を位相シフトすることにより、共振信号の特性を変更する。
【0049】
本発明の上記の実施形態は、本発明の原理を明確に理解するために述べられた実現形態の可能な例に過ぎないことを強調しなければならない。本発明の原理から実質的に離れることなく、本発明の上記の実施形態(複数可)に対して多くの変更および修正を行うことができる。このようなすべての修正および変更は、本開示と本発明の範囲内に含まれ、特許請求の範囲によって保護されることを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の光共振システムの実施形態を示す構成図。
【図2】本発明の光共振システムの代替実施形態を示す構成図。
【図3】図2の光共振システムを使用する方法を示すフローチャート。
【図4】本発明の光共振システムの実施形態の概略図。
【図5】光基板に形成された共振キャビティを示す、図2の光共振システムの断面図。
【図6】図5の光共振システムの第1の機能を示す概略図。
【図7】図5の光共振システムの代替の機能を示す概略図。
【図8】図5の光共振システムの代替の機能を示す概略図。
【図9】図5の光共振システムを作成する方法を示すフローチャート。
【図10】図5の光共振システムを作成する代替の方法を示すフローチャート。
【図11】図5の光共振システムの動作を示す図。
【図12】光共振システムの最上部プレートを有しない、図5の光共振システムの断面図。
【図13A】光共振システムの面上に形成され、放射された共振信号の特性を変更する、光学構造の側面断面図。
【図13B】図13Aに示す同心リングの斜視図。
【図14】光共振構造の中心軸からの距離ρの関数として示した電場Eφの振幅のスナップショットに関連して、光共振システムの半分を示す側面断面図。
【図15】光共振構造の中心軸からの距離ρの関数として示した電場Eφの振幅のスナップショットに関連して、最上部プレート上に光学構造が形成された光共振システムの半分を示す側面断面図。
【図16】共振キャビティの中心軸からの距離ρに対する、光共振システムの面における正規化された放射強度を一例として示すグラフ。
【図17】光放射の方向を変える方法のプロセスフローを示す図。
【符号の説明】
【0051】
401 プレート
402 同心シリンダ
1302 光学構造
1304 光共振システムの面
1310 光共振システム
1312 同心リング
1314 基板
1320 共振信号
【技術分野】
【0001】
この発明は、光信号を面外に伝送するための共振結合に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールの集積光デバイスは、かつては純粋に電子分野に制限されていた信号生成および処理機能を、急速に獲得しつつある。これらのナノスケールデバイスは、典型的には平面であり、通常は、基板によって支持された平面型導波管を含み、ここで、該平面型導波管は、光を基板に閉じ込める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、自由空間の送信について、または、より典型的には光ファイバへの結合について、平面型導波管からの光信号を、面外の方向(out-of-plane)で効率的に結合することは、困難な場合がある。さらに、面外の方向で平面型基板から抽出された光信号は、該抽出システムの特定のアーキテクチャに依存するモード特性を有し、該モード特性は、所望の用途に完全に準拠するとは限らない場合がある。これまで、所望の放射特性を達成するために抽出されたビームを形作るのに、外部バルク光素子が使用されてきた。例えば、シリンドリカルレンズまたはボールレンズなどの外部レンズを使用し、抽出されたビームを、隣接する光ファイバに集束させることができる。しかし、バルク光素子のサイズおよびアライメントの制限により、これらの集積光素子における使用は問題となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
光学システムは、平面基板に形成され、該基板に対して面外の方向に共振光信号を放射する光共振システムと、光共振システムの面上に形成され、放射された共振信号の特性を変更するための光学構造と、を備える。例えば、該光学構造は、共振信号の一部に位相シフトを与えるよう構成される誘電体層である。共振信号が、軸方向に対称的な放射パターンを備えた単一共振モードを含むので、位相シフトを使用して、放射された共振信号の出力特性を、例えば平行にし、分散し、方向を変え、一般的には形作ることができる。また、光構造を使用して、光共振システムの品質ファクタ(Q)を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、図面を参照するとよりよく理解することができる。図面の中の構成要素は必ずしもスケールどおりに描かれているものではなく、本発明の原理を明確に示すことに力点が置かれている。さらに、図面の中では、同様な参照符号は、いくつかの図面に渡って対応する部分を示す。
【0006】
本発明を、図面を参照して説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化されることができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈するべきではない。これらの実施形態は、当業者に本発明の範囲を伝えることを目的としている。さらに、本明細書で与えられる「例」はすべて、非限定的な例である。
【0007】
図1を参照すると、光入力信号100が、光共振(optically resonant)システム101に供給される。光共振システム101は、光共振システム101の共振特性を介して、光入力信号100のエネルギーを捕捉する。ついで、光共振システム101は、光出力信号102を放射する。例として、光出力信号は、光入力信号100に直交する方向で放射されることができる。
【0008】
異なる実施形態における光入力信号100は、光ファイバ導波管、誘電体導波管、自由空間などを含む、いくつかの異なる媒体中を移動することができる。放射される光出力信号102は、減衰することもあるが、典型的には、光入力信号100上でコード化されている任意の「情報コンテンツ(information content)」を保持している。一実施形態では、光出力信号102は、該出力信号を、光ファイバまたは他の集積光デバイスに結合するため、理想的な、軸方向に対称的な放射パターンを有する。
【0009】
図2を参照すると、本発明の代替実施形態の構成図が示されている。この実施形態では、光入力信号200は、光共振システム202の近くの基板領域201に進行する。光共振システム202は、該信号の一部を捕捉して、光出力信号204を生成する。たとえば、光入力信号は、基板領域の上面220および下面221に対して実質的に平行な方向で進行し、光出力信号は、光入力信号200に対して直交する方向に放射されることができる。
【0010】
光共振システムは、光共振システム202における光入力信号200に関連付けられたエバネッセント場(evanescent field)203を捕捉することによって、動作する。エバネッセント場は、信号が導波管を伝播するときに生成される。光入力信号は、その電磁気的性質により、本質的に、導波管を囲むエバネッセント場を生成する。光入力信号200によって光共振システムに近接して生成されるエバネッセント場203は、光共振システム202の少なくとも1つのモードで共振し、光エネルギーが光共振システム202に伝わることを可能にする。ついで光共振システム202は、該光エネルギーを所望の方向に優先的に(preferentially, 差別的に)放射し、光出力信号204を生成する。光共振システム202によって生成される光出力信号204は、減衰することがあるが、典型的には、入力信号200上にコード化された「情報内容」を保持する。一実施形態においては、出力信号204は、光出力信号を、光ファイバまたは他の集積光デバイスに結合するために、理想的な、軸方向に対称的な放射パターンを有する。
【0011】
図3を参照すると、図2の光共振システムを使用する方法の一実施形態が示されている。ブロック300では、光共振システムが、光信号を受信する。ブロック301では、共振特性を使用して、第2の光信号を生成する。ついで、ブロック302では、第2の信号が放射される。
【0012】
一例として、光共振システムは、典型的には導波管を介して光信号を受信する。この導波管は、光共振システムで終了してもよいし、または、光共振システムを介して続いてもよい。いずれの場合も、導波管の外部に伸びるエバネッセント場により、光信号は、光共振システムに結合することができる。光共振システムの非対称的な閉じ込めの特性(asymmetrical containment profile)により、光共振システムは、優先的に第2の光信号を放射することできる。ついで、該放射された光信号は、他の集積光デバイスに結合することができ、または、単に光ファイバに結合して、該放射された光信号を他の場所に伝えることができる。
【0013】
図4を参照すると、光共振システムの実施形態の概略図が示されている。自由空間内に示された光共振システムのこの実施形態は、誘電体構造400を含む。誘電体構造400は、第1の構造の誘電体平行プレート401a〜f、第2の構造の誘電体同心シリンダ402a〜cを含む。光共振システムの第1の構造は、光共振システムの第2の構造と、互いに重なって光通信し、光入力信号の少なくとも一部を捕捉する。ついで、第1の構造および第2の構造は、出力信号を放射するよう動作する。たとえば、光出力信号は、光入力信号に直交する方向で放射されることができる。
【0014】
図5を参照すると、本発明の光共振システムの一実施形態の断面図が示されている。光共振システム400は、複数のプレート401a〜fおよび複数のシリンダ402a〜cを含み、これらは互いに交差して、共振特性を備えた中央キャビティ500を形成する。プレート401a〜fのそれぞれは、x−y面内に存在し、x−y平面に直交するz軸に沿って、光エネルギーを部分的に反射する。シリンダ402a〜cのそれぞれは、x−y平面に対して平行な放射方向に、光を部分的に反射する。典型的には、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cは、同じ誘電体材料または同様な誘電体材料から形成される。たとえば、このような誘電体材料として使用することのできる材料は、シリコンである。周囲の材料、すなわち実質的に平行な面420および421を有する光基板501は、典型的には、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cを形成する材料よりも低い誘電率を有する誘電体材料から形成される。典型的な一実施形態では、プレートおよびシリンダの典型的な誘電率は約11であることができ、該周囲の材料の典型的な誘電率は約2であることができる。しかしながら、当業者であれば、多くの異なる誘電率を、該光共振システムを形成するのに用いることができ、本発明は、ここに開示した誘電率に限定されないことを理解するであろう。図5に示すようにプレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cを組み合わせると、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cは、所定の波長の光を捕捉するよう動作する。これらの波長の光は、光共振システム400の寸法および材料にしたがって、捕捉される。これについては、2002年4月16日に提出された「RESONANT COUPLING OF OPTICAL SIGNALS FOR OUT-OF-PLANE TRANSMISSION(面外伝送のための光信号の共振結合)」という名称の米国特許出願番号第10/123,656号に記述されている(これは、本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組込まれる)。
【0015】
図示されるように光基板501に形成された光共振システム400は一般に、面外の方向(out-of-plane direction)に光信号の方向を変えるのに使用される面外カプラ(out of plane coupler)として説明されることができ、より具体的には、三次元分布ブラッグ反射器(three dimensional distributed Bragg reflector)として説明されることができる。一般的に、光共振システム400は、システムの共振特性を介して光を捕捉する。光共振システムの特性は、該システムの寸法および該システムを構成する誘電体材料の屈折特性に従って定義される。
【0016】
図5に示す実施形態では、光共振システム400は、対称的な放射パターンを有し、捕捉された光エネルギーを、実質的に、すべての方向に放射する。この放射パターンを、光共振システム400の構造を変更することによって変えることができる。光共振構造の該変更は、光共振システム400の製作を変更することによって、または、製作後に光共振システム400を修正することによって、行われることができる。
【0017】
製作者は、光共振システム400の非対称性を介して光エネルギーを優先的に放射する非対称的な構造を形成することによって、光共振システム400の放射パターンを変えることができる。このような非対称構造は、非対称的な構造を有する光共振システム400を構築することによって達成されることができる。言いかえれば、光共振システム400の製作中、プレート401a〜fまたはシリンダ402a〜cの少なくとも1つ、またはそれらの一部を取り除き、光共振システム400が優先的に放射することができるようにする。当業者であれば、このような非対称的な構造は、製作後に、プレート401またはシリンダ402を光共振システム400から除去することによって、またはこれらの一部を光共振システム400から除去することによって達成されることができるということが、理解されるであろう。
【0018】
図5に示すように、光共振システムを、軸方向に対称な共振構造として構成し、光共振システム400を集積光デバイスに埋め込むこと等により、本発明の光共振システム400を、面外カプラとして使用することができる。一実施形態では、光基板に形成された光共振システム400に対し、基板面の外に放射するように仕向けることは、光共振システム400内のシリンダの数より少ないプレート対を使用することによって達成される。光共振システムは、比較的高いQファクターを有し、近接する平面型導波管のコアの外側に伸びる複数のエバネッセント場に結合する。また、光共振システム400は、近接する平面型導波管に対して直交する方向に光を放射するように構成される。近接する平面型導波管および中央キャビティの間の共振結合は、2つの構成要素の適切な設計および相対的な配置によって、整合させることができる(これは、上記の特許出願に説明されているとおりである)。光共振システムの反射器(プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜c)の周期の数は、すべての次元で、光共振システム400および近接する平面型導波管の間の適切な結合を達成するよう選択される。さらに、光共振システムの反射器の周期の数は、面外の放射が、光共振システム400について主なエネルギー損失メカニズムとなるように、選択されることができる。
【0019】
平面型導波管からエネルギーを抽出するための閉じ込め特性が非対称である構造を使用することは、単一の共振モードから、該共振モードの放射対称性を反映した軸方向の対称放射パターンで、面外の信号を放射するという利点を有している。
【0020】
図6を参照すると、図5の光共振システムの第1の機能を示す概略図が示されている。光共振システム400の基本動作を理解するのに有用な物理プロセスは、光入力信号600を、光基板602中の近くの導波管601から光共振システム400に結合するメカニズムである。典型的な幾何学的形状を、図6および図7に示す。ここで、導波管モードは、進行波または定在波のいずれであってもよい。
【0021】
図6は、光入力信号600を、導波管601を囲むエバネッセント場を介して光共振システム400に結合する実施形態を示す。これらのエバネッセント場は、光共振システム400の共振キャビティのモードを励起し、光エネルギーを、導波管601から光共振システム400内に伝える。ついで、光共振システム400は、基板表面から光エネルギーを放射し、第2の信号を形成する。
【0022】
図7は、光入力信号600が、基板701の導波管700を囲むエバネッセント場を介して光共振システム400にエネルギーを結合する定在波を形成する実施形態を示す。光共振システム400は、該システムの共振特性を介して、光入力信号600の光エネルギーを捕捉し、該光エネルギーを使用して、光出力信号を生成する。ついで、光共振システム400は、基板面を介して第2の光信号を放射する。なお、これらの幾何形状のそれぞれについて、導波管モードは、空間的に正規化可能であり、エネルギーの大部分を導波管601および700のコアに閉じ込め、該コアの外側に、計算可能なエバネッセント場がある、という前提がなされている。
【0023】
図8を参照すると、光共振システム400の受動的な性質に適用可能な相反性の原理によって、このシステムを使用して、エネルギーを、基板面の上部にある光源から、集積光デバイスの導波管に結合することができる。ここで、光入力信号800は、光共振システム400に導かれる。ついで、光共振システム400は、光入力信号からエネルギーを捕捉し、光出力信号801を生成し、光出力信号801を、基板803に形成された導波管802内に向ける。この実施形態における光共振システムは、実質的に導波管802内へ放射する非対称的な閉じ込め特性を有することができる。当業者であれば、これは、放射方向に非対称的な構造を備えた光共振システム400を形成することによって達成されることができる、ということが理解されるであろう。
【0024】
図9を参照すると、図5の光共振システムを製作する方法を示すフローチャートが示されている。第1のステップ900では、基板が提供される。基板を提供した後、次のステップ901では、共振キャビティが形成される。ステップ901のこのプロセスは短縮されているが、典型的には、当業者には周知のように、介在するフォトリソグラフィのステップにより特徴付けられる、一連の充填(fill)ステップおよび埋め戻し(backfill)ステップを含む。ユーザは、光共振システム400を製作するために、光共振システム400を製作する本方法のステップ901において、導波管を作成することができる。
【0025】
典型的には、これらのエッチングステップおよび埋め戻しステップは、層ごとに光共振システムを製作する手法を含むことができる。製作者は、上記の層ごとの手法の第1のステップとして、二酸化珪素などの第1の材料から形成される光基板に、少なくとも1つのリング(ring)をエッチングすることができる。次に、製作者は、該リング(複数可)を充填し、シリコンなどの第2の材料でプレートを堆積することができる。ついで製作者は、第1の材料を該プレート上に堆積し、所望の数のシリンダおよびプレートが作成されるまで、このプロセスを繰り返すことができる。
【0026】
代替的に、製作者は、まず第2の材料の層を基板上に堆積させることができる。ついで製作者は、該第2の材料の層をエッチングし、基板上に少なくとも1つのリングを形成することができる。次に製作者は、第1の材料の基板の層を堆積し、リング層のギャップを充填することができる。ついで製作者は、第2の材料のプレート層を堆積し、該プレートをエッチングし、該プレート層のギャップを充填する。ついで製作者は、所望の数のシリンダおよびプレートを形成するまで、これらの各ステップを繰り返すことができる。しかしながら、これらの製作方法は、使用することのできる方法の例にすぎず、当業者であれば、所与の構造を製作するために多くの異なる方法が存在することを理解するであろう。
【0027】
当業者であれば、プレートおよびシリンダの数が、光共振システムの閉じ込めの強度(containment strength)を規定する、ということを理解するであろう。閉じ込め強度は、共振信号を捕捉した後に、光共振システム内に含まれる共振信号を維持する、光共振システム400の能力を規定する。この閉じ込め強度は、光共振システム内に含まれるプレートまたはシリンダの数にしたがって、増加または減少させることができる。したがって、プレートまたはシリンダの数を調節し、用途ごとの特定の設計上の問題を補償することができる。さらに、当業者には、共振キャビティから放射される光パワーを調節するために、完成した光共振システム400をエッチングすることができる、ということが理解されよう。
【0028】
次に図10を参照すると、図5の光共振システムを製作する代替の方法を示すフローチャートが示されている。第1のステップは、図9に示す前述の実施形態と同じである。しかし、第2のステップ1000は異なる。ステップ1000により、ユーザは、非対称的な構造を有する光共振システムを形成することができる。完全に対称的な構造を形成する代りに、外側のプレートまたはシリンダのうちの1つまたは複数の少なくとも一部を、製作中に取り除く。こうして、該構造内で非対称な方向に優先的に放射する非対称的な光共振システムが形成される。
【0029】
次に図11を参照すると、図5の光共振システムの動作を示す図面が示されている。第1の構造1100は、複数の平行なプレート401a〜fを含む。これらのプレート401a〜fは、x−y平面内にあり、x−y平面に対して直交するz軸の方向に光エネルギーを部分的に反射する。したがって、第1の構造を、一次元(1−D)反射器と呼ぶことができる。第2の構造1101は、複数の同心シリンダ402a〜cを含む。シリンダ402a〜cは、該シリンダ402a〜cから放射状に、光放射を部分的に反射する。したがって、第2の構造を、二次元(2−D)反射器と呼ぶことができる。
【0030】
第1の構造1100および第2の構造1101は、互いのコヒーレントな挙動を乱すことなく、共に動作することができる。これは、該組み合わされた構造のTE(Transverse Electric)モードの方位の電場(azimuthal electric field)を記述する波動方程式が次式で記述されるとき、もっとも良好に観察される。
【数1】
【0031】
上式で、k0は、特定の周波数についての自由空間のkベクトルであり、ρは、放射距離(x−y平面内)、zは、放射軸に対して直交する軸に沿った距離、Eφ(ρ、z)は、極座標内の電場、ε⊥(ρ、z)は、第1の構造1100および第2の構造1101の材料の比誘電率であり、これらは同じであると仮定される。比誘電率ε⊥(ρ、z)は、次式によって与えられる。
【数2】
【0032】
ここで、ε⊥’は、第1の構造1100および第2の構造1101の誘電率の一定値である。式(1)は、組み合わさった第1の構造および第2の構造の誘電率を記述する式(2)の最後の項を除いて、完全に分離可能であることに注意されたい。この項は、f1(ρ)f2(z)に比例し、誘電率の値が、プレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cの交差領域内で二重にカウントされないようにするために必要とされる。式(1)が、ρ次元およびz次元の間で分離可能でないと、1−D反射器を含むプレート401a〜fの組、および2−D反射器を含むシリンダ402a〜cの組は、独立して動作しない。したがって、1−D反射器および2−D反射器を単に組み合わせても、3−D閉じ込め構造を作成することができない。
【0033】
適切なモード選択のために、該分離可能性(separability)を、非常に高レベルの精度に回復することができる。このモード選択は、TE0共振モードであり、これは、光共振システム400のコヒーレント設計ルールに従うと、すべてのプレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cの内面でヌル(null)の電場を有する。電場の値が、光共振システム400のプレート401a〜fおよびシリンダ402a〜cの交点の分離不可能領域において「ダブルヌル(double-null)」(ρ次元およびz次元から)になると、分離可能性が回復される。したがって、分離不可能な項を該式から削除することができる。この近似に関連する数値エラーについては、摂動の技術(perturbative technique)を使用して、非常に小さくすることができる。
【0034】
しかしながら、図4に示すように、上記の式は、自由空間内の光共振システムについて計算している。図5の光共振システム400の関連する共振モードを計算するために、TE0モードに限定して、磁場Bに関する式をマックスウェル方程式から導出することができる。この導出の説明については、上記に引用した特許出願中に見いだすことができる。
【0035】
図4および図5に戻ると、光共振システム400の構造は、基板面から光エネルギーを抽出することが所望される任意の用途に使用されることができる。光エネルギーは、実質的に、任意の集積光デバイスからエバネッセント場を介して光共振システム400に結合することができ、最終的には光エネルギーの形態で、基板面の外に向けられることができる。これらの集積光学構造は、導波管から共振構造までの範囲に及び、光共振システムへの結合は、計算可能な方法で正確に制御されることができる。基板面から外に放射される光エネルギーは、自由空間伝送を介して他のデバイスまたは検出器に送られることができ、または、光ファイバによって効率的に収集されることができる。放射された光エネルギーは、理想的に光ファイバに結合するのに適している。これは、出力ビームが、円形対称を有しており、該ビームの直径が、出力波長のオーダであるためである。さらに、複数の光共振システム400を、単一の集積光デバイス上に製作することができる。これらの光共振システム400の波長に特有の性質により、すべてのカプラ(coupler)を、同じ波長で、または一連の波長で動作させることが可能になる。これらのすべての用途において、光共振システム400の生成に含まれる製作ステップは、典型的な集積光デバイスの標準的な成長手順に準拠する。2つの材料の構造は、関連する集積光デバイスの製作中に、選択的なエッチングおよび埋め戻しのプロセスによって、成長させることができる。
【0036】
光共振システムの詳細な設計規則は、上に引用した特許出願に記述されている。光共振システムの一例は、3つのシリンダおよび6枚のプレートを含んでおり、該プレートおよびシリンダは、シリコン(κ=11.56)から作成され、光基板は、二酸化珪素(κ=2.25)から作成される。1.55μmの波長を有する光信号を捕捉するためには、第1のシリンダ402aは、1.140μmの内半径および1.265μmの外半径を有する。第2のシリンダ402bは、1.737μmの内半径および1.860μmの外半径を有する。最後に、第3のシリンダは、2.329μmの内半径および2.452μmの外半径を有する。各プレートは、0.1175μmの厚さと、中央キャビティに接するプレートを除いて各プレート間に0.310μmの間隔を有する。中央キャビティに接するプレート401cおよび401dは、間に0.620μmの間隔を有する。したがって、一実施形態では、共振光キャビティは、1.55μmの波長の光信号を捕捉するために、0.620μmの高さと1.140μmの半径とを有する。
【0037】
次に図12を参照すると、非対称的な光共振キャビティが示されている。光共振システム400が、基板面平面1220から光を優先的に放射することができるようにするために、偶数でないプレート401a〜eを備えた光共振システムを形成することによって、光共振システムが非対称的に形成されている。このように、非対称的な光共振システム1201の主な放射メカニズムは、基板501に対して放射方向ではなくなり、図12の放射1202に示すように、基板の面1220および1221に対して面外となっている。
【0038】
非対称的な光共振システム1201の光放射の計算は、いくつかの理由によって困難なものがある。上面での閉じ込め境界条件の除去は、放射する共振モードについての分析的な解決を妨げる。また、放射共振モードが正規化可能ではないので、概算のモード整合(mode matching)手順は機能しない。この結果、図12の構造の放射特性を概算する最良の手段は、摂動的(perturbative)である。
【0039】
典型的な例として、10個のシリンダ領域および3個のプレート対の領域を含み、光共振システム1201の誘電率が11.56でバックグラウンド領域501の誘電率が2.25の構造を、設計規則を用いて特定する。面外放射を強調する非対称的な構造を有しない完全な光共振システム400については、材料による損失を考慮しなければ、共振器の計算されたQは、1.0×108である。この計算されたQは、基板501への放射方向における放射損失のみに起因する。当然ながら、測定されるQは、材料による損失があるためはるかに低くなるであろう。光共振システム400を、最上部の高誘電性のプレート領域を有しない非対称に構成する場合、基板からの放射を計算すると2×106のQを生成する。言い換えれば、非対称的な光共振システム1201の共振モードについては、基板501に漏れるエネルギーに比べて、約50倍のエネルギーが、非対称的な光共振システム1201の上面を介して逃げる可能性がある。光共振システム1201が、最上部の2つの高誘電率プレート領域を有しない非対称に構成される場合、基板から出る放射を計算すると、5.7×104のQを生成する。この構成については、非対称的な光共振システム1201は、基板から非常に強力に放射し、基板内に入るエネルギーと比べると基板外に放射されるエネルギーは、約2000倍であることが分かる。この例から、非対称的な光共振システムの共振モードを基板外の放射場に結合することは、非常に広い範囲にわたって調節されることができる、ということが明らかである。
【0040】
要約すると、集積光デバイスに形成することのできる共振キャビティを備える光共振システムを使用して、効率的な面外カプラが実現される。光共振システムは、計算可能な結合効率で、光エネルギーを、導波管などの集積光デバイスの近接する構成要素から伝送し、光共振システム外に送ることができる。さらに、光共振システムの出力は、軸方向に対称的であり、ビームの直径が放射波長のオーダである、という利点を有する。
【0041】
一部の用途では、光共振システムから放射される共振信号の少なくとも1つの特性を変更することが望ましい。本発明の一実施形態では、光学構造を、光共振システムの面上に形成し、放射される共振信号の特性を変更する。たとえば、光学構造は、共振信号の一部に位相シフトを与えるよう構成される。共振信号は、軸対称の放射パターンを有する単一の信号共振モードから成るため、位相シフトを使用して、たとえば放射された共振信号の出力特性を平行にし(collimate)、分散し(disperse)、方向を変え(direct)、一般に形作る(shape)ことができる。また、光学構造を使用して、光共振システムのQを調整することができる。
【0042】
図13Aは、光共振システム1310の面1304上に形成され、放射された共振信号の放射特性を変更する、光学構造1302の側面の断面図を示す。図13Aの例では、光学構造1302は、誘電体材料の同心リング1312aおよび1312bを含む。これらは、光共振システムの最上面上に成長したものである。光共振システム1310は、基板1314に形成される。図13Bは、図13Aに示す同心リング1312aおよび1312bの斜視図を示す。同心リング1312aおよび1312bは、放射された共振信号の一部に位相シフトを選択的に与えるような大きさに作られ、配置される。一実施形態では、光学構造1302は、光共振システム1310を形成するために使用されるリソグラフィ製作技術と同じ技術を使用して、二酸化珪素から形成される。
【0043】
次に、光学構造の設計上の考慮を、図14から図16を参照しながら説明する。図14の上の部分は、図1から図12を参照して説明した、光共振システム1310の半分の側面の断面図を示す。説明のために、光共振システム1310は、図13Aおよび図13Bに関して説明される光学構造1302を有しないで示されている。図14に示す光共振システム1310は、1.55μmで入力光信号1316を共振させるように設計され、二酸化珪素の基板1314の中に作成され、該二酸化珪素は、2.25の誘電率を有する。光共振システムの第1の構造401a〜eおよび第2の構造402a〜cは、純粋なシリコンから形成され、該純粋なシリコンは11.56の誘電率を有する。図14の例としての実施形態では、光共振システム1310の第1の構造401a〜eを構成する円形プレートは、約3μmの直径、および約0.1175μmの厚さを有し、該円形プレート間のy方向の間隔は、2つの内側のプレートについては約0.620μmであり、さらなるプレートについては0.310μmである。光共振システム1310の第2の構造402a〜cを構成する同心シリンダは、約1.140/1.265、1.737/1.860、2.329/2.452μmの内径および外径をそれぞれ有する。同心シリンダの間隔は、隣接した同心シリンダ間の二酸化珪素の環状領域を画定する。前述したように、共振信号1320は、入力光信号1310(たとえば、1.55μmの光信号)に応答して、光共振システムから面外の方向に放射される。光共振システムの面1304における電場成分Eφは、中央キャビティ1322の中心軸1324からの距離ρの関数として、その位相が時間と共に振動しかつ指数関数的に減少する振幅を有する。図14の下には、中央キャビティ1322の中心軸1324からの距離ρの関数として、電場Eφの振幅のスナップショットを、光共振構造1310に対して示す。共振場モードについては、電場の振動は、光共振システムの各同心シリンダの内面でゼロを有する。電場の振幅は、場がゼロの両方の側で反対の符号となり、光共振システムの同心シリンダ間の環状領域に対応する交互の極性を有する電場の同心環状領域を形成する。電場Eφの極性が交互であるため、結果として、基板および円形プレートの面に対して垂直な方向では、電場は、極性が反対の隣接した環状領域から、弱め合い干渉の寄与分(destructively interfering contribution)を受ける。該弱め合い干渉の寄与分により、共振信号のビーム特性は、種々の環状領域の場の振幅および位相によって左右される分布で、基板面に垂直な面に対して傾けられる(ゆがめられる)。
【0044】
垂直面に向かって、すなわち、光共振システムおよび基板の面に対して垂直である面に向かって、よりピークにされた(最大がより高い)放射特性を生成するために、一組の誘電体リングを含む光学構造を、同じ極性の環状領域上に形成する。たとえば図15に示すように、二酸化珪素の3つの平らな同心リング構造1312a〜cは、負の極性を示す環状領域上に形成される(図14に示す)。同心リングの厚さは、共振信号の波長の関数として選択される。図15の実施形態では、同心リングは、該同心リングを通過する共振信号の一部に、180度の位相シフト(すなわち、極性の時間的な位相のシフト)を与える厚さで形成される。入力信号が1.55μmで、リングの誘電率が2.25であると仮定すると、180度の位相シフトを与えるためのリングの厚さは、1.55μmに設定される。同心リングによって引起された180度の位相シフトにより、図15の下のグラフに示すような、対応する環状領域で極性を効果的に逆にする。位相シフトの結果、また光共振システム1310の面1304および基板1314に対して垂直方向では、放射された放射場は、すべての環状領域から、強め合い干渉の寄与分(constructively interfering contribution)を受ける。強め合い干渉のために、放射された共振信号の角度分布(angular distribution)は、基板面に対してはるかに垂直にピークになる。
【0045】
図16は、共振キャビティの中心軸からの距離ρに対する、光共振システムの面1304における正規化された放射強度1330および1332を示す一例としてのグラフである。該例としてのグラフは、光学構造が無い場合(たとえば、強度線1330により特定され、リング厚さ=0μmの場合)と、二酸化珪素の厚さが1.55μmの平らな同心リングの光学構造の場合(強度線1332により特定される)を含む。図16に示すように、同心リングが存在するときには、放射強度1332は、基板面に対して垂直な方向を中心としてより緊密に集束される。
【0046】
光共振システムの上面に形成された上記の同心リングを、異なるように構成して、異なる結果を得ることができる。たとえば、光学構造は、リング(複数可)の一部、または異なる厚さまたは変化する厚さを伴うリング(複数可)を含むことができる。具体的には、リングの厚さは、リングごとに異なってもよいし、同じリング内で異なってもよい。図15の実施形態では、同心リング1312a〜cの厚さは、光共振システムの表面から放射して同心リングを通過する放射が、空(から)の空間を伝播した場合に得られるであろう位相に対して180度の位相シフトとなるように、選択されることができる。この実施形態では、180度の位相シフトを選択したが、所望の放射特性にしたがって、異なる角度の位相シフトも可能である。さらに、同心リングは、所望の放射特性に影響を与える任意の材料組成であってよい。
【0047】
光共振システムの面上に形成された光学構造を使用した、放射された放射場の変更は、光共振構造の結合効率にも影響を与える。具体的には、光学構造は、近接する集積光導波路構造に対する光共振システムのQにも影響を与える。たとえば、図14および図15を参照して説明した光共振システム1310のQは、同心リング1312a〜cを追加すると大幅に増加する。したがって、光共振システムの面上に形成された同心リングなどの光学構造を、製作の最終段階で使用し、光共振システムの結合特性を調整することができる。
【0048】
図17は、光放射の方向を変える方法のプロセスのフロー図を示す。ブロック1702では、指向性成分(directional component)を有し、少なくとも1つの波長を含む第1の光信号が、受信される。ブロック1704では、該少なくとも1つの波長において、第1の光信号で、共振信号が励起される。ブロック1706では、第1の光信号の指向性成分とは異なる面外の指向性成分を有する共振信号が、放射される。ブロック1708では、共振信号の一部を位相シフトすることにより、共振信号の特性を変更する。
【0049】
本発明の上記の実施形態は、本発明の原理を明確に理解するために述べられた実現形態の可能な例に過ぎないことを強調しなければならない。本発明の原理から実質的に離れることなく、本発明の上記の実施形態(複数可)に対して多くの変更および修正を行うことができる。このようなすべての修正および変更は、本開示と本発明の範囲内に含まれ、特許請求の範囲によって保護されることを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の光共振システムの実施形態を示す構成図。
【図2】本発明の光共振システムの代替実施形態を示す構成図。
【図3】図2の光共振システムを使用する方法を示すフローチャート。
【図4】本発明の光共振システムの実施形態の概略図。
【図5】光基板に形成された共振キャビティを示す、図2の光共振システムの断面図。
【図6】図5の光共振システムの第1の機能を示す概略図。
【図7】図5の光共振システムの代替の機能を示す概略図。
【図8】図5の光共振システムの代替の機能を示す概略図。
【図9】図5の光共振システムを作成する方法を示すフローチャート。
【図10】図5の光共振システムを作成する代替の方法を示すフローチャート。
【図11】図5の光共振システムの動作を示す図。
【図12】光共振システムの最上部プレートを有しない、図5の光共振システムの断面図。
【図13A】光共振システムの面上に形成され、放射された共振信号の特性を変更する、光学構造の側面断面図。
【図13B】図13Aに示す同心リングの斜視図。
【図14】光共振構造の中心軸からの距離ρの関数として示した電場Eφの振幅のスナップショットに関連して、光共振システムの半分を示す側面断面図。
【図15】光共振構造の中心軸からの距離ρの関数として示した電場Eφの振幅のスナップショットに関連して、最上部プレート上に光学構造が形成された光共振システムの半分を示す側面断面図。
【図16】共振キャビティの中心軸からの距離ρに対する、光共振システムの面における正規化された放射強度を一例として示すグラフ。
【図17】光放射の方向を変える方法のプロセスフローを示す図。
【符号の説明】
【0051】
401 プレート
402 同心シリンダ
1302 光学構造
1304 光共振システムの面
1310 光共振システム
1312 同心リング
1314 基板
1320 共振信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の方向を変えるためのシステムであって、
或る面に対して実質的に平行である第1の面および第2の面を有する基板(1314)と、
前記基板に形成され、前記面に対して実質的に平行に伝播する第1の光信号の少なくとも一部を捕捉し、前記基板に対して面外の方向に共振信号を放射するよう構成される、光共振システム(1310)と、
前記光共振システムの面上に形成され、前記放射された共振信号の特性を変更するよう構成された光学構造(1302)と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記光学構造(1302)は、同心リング構造を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学構造(1302)は、複数の同心リング構造(1312a、1312b)を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光共振システムは、第1の構造および第2の構造を含み、
前記第1の構造(401)は、前記面に対して実質的に平行な位置にあり、該面に対して実質的に直交する第1の方向で光放射を反射し、
前記第2の構造(402)は、前記第1の構造と重なって該第1の構造と光通信し、前記面に対して実質的に平行な方向で光放射を反射し、
前記第1の構造および第2の構造は、該第1の構造および第2の構造の共振特性を介して共振キャビティ内で共振信号を励起することにより、前記面に対して実質的に平行に伝播する第1の光信号の少なくとも一部を捕捉するよう動作すると共に、該面に対して実質的に直交する第2の方向に前記共振信号を放射するよう動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学構造(1302)は、複数の同心リング構造(1312a、1312b)を備える、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記同心リング構造(1312a、1312b)は、前記第2の構造(402)に対して構成される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の構造(402)は、同心シリンダ構造を含み、
前記同心リング構造(1312a、1312b)は、該同心シリンダ構造に対して構成される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記同心リング構造(1312a、1312b)は、共通の極性の環状領域上に形成され、
前記環状領域は、前記同心シリンダ構造間の領域である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
光放射の方向を変えるための方法であって、
或る面に対して実質的に平行である第1の面および第2の面を有する光システム内で第1の光信号を受信するステップ(1702)であって、該第1の光信号は、前記面に対して実質的に平行である指向性成分を有すると共に、少なくとも1つの波長を含む、ステップと、
前記少なくとも1つの波長において、前記第1の光信号に応答して、共振信号を励起するステップ(1704)と、
前記基板に対して面外の方向に、前記共振信号を放射するステップ(1706)と、
前記共振信号の特性を変更するために、前記面外の方向に放射された共振信号の一部を位相シフトするステップ(1708)と、
を含む、方法。
【請求項10】
さらに、共通した極性の領域で、前記共振信号(1320)の一部を位相シフトするステップを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項1】
光信号の方向を変えるためのシステムであって、
或る面に対して実質的に平行である第1の面および第2の面を有する基板(1314)と、
前記基板に形成され、前記面に対して実質的に平行に伝播する第1の光信号の少なくとも一部を捕捉し、前記基板に対して面外の方向に共振信号を放射するよう構成される、光共振システム(1310)と、
前記光共振システムの面上に形成され、前記放射された共振信号の特性を変更するよう構成された光学構造(1302)と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記光学構造(1302)は、同心リング構造を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学構造(1302)は、複数の同心リング構造(1312a、1312b)を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光共振システムは、第1の構造および第2の構造を含み、
前記第1の構造(401)は、前記面に対して実質的に平行な位置にあり、該面に対して実質的に直交する第1の方向で光放射を反射し、
前記第2の構造(402)は、前記第1の構造と重なって該第1の構造と光通信し、前記面に対して実質的に平行な方向で光放射を反射し、
前記第1の構造および第2の構造は、該第1の構造および第2の構造の共振特性を介して共振キャビティ内で共振信号を励起することにより、前記面に対して実質的に平行に伝播する第1の光信号の少なくとも一部を捕捉するよう動作すると共に、該面に対して実質的に直交する第2の方向に前記共振信号を放射するよう動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学構造(1302)は、複数の同心リング構造(1312a、1312b)を備える、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記同心リング構造(1312a、1312b)は、前記第2の構造(402)に対して構成される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の構造(402)は、同心シリンダ構造を含み、
前記同心リング構造(1312a、1312b)は、該同心シリンダ構造に対して構成される、
請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記同心リング構造(1312a、1312b)は、共通の極性の環状領域上に形成され、
前記環状領域は、前記同心シリンダ構造間の領域である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
光放射の方向を変えるための方法であって、
或る面に対して実質的に平行である第1の面および第2の面を有する光システム内で第1の光信号を受信するステップ(1702)であって、該第1の光信号は、前記面に対して実質的に平行である指向性成分を有すると共に、少なくとも1つの波長を含む、ステップと、
前記少なくとも1つの波長において、前記第1の光信号に応答して、共振信号を励起するステップ(1704)と、
前記基板に対して面外の方向に、前記共振信号を放射するステップ(1706)と、
前記共振信号の特性を変更するために、前記面外の方向に放射された共振信号の一部を位相シフトするステップ(1708)と、
を含む、方法。
【請求項10】
さらに、共通した極性の領域で、前記共振信号(1320)の一部を位相シフトするステップを含む、
請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−91875(P2006−91875A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268638(P2005−268638)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】
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