説明

光半導体装置用反射部材付リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム基板、光半導体装置、および、光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法、並びに、光半導体装置の製造方法

【課題】 本発明は、金属製のリフレクターとリードフレームを用いる場合においても、リフレクターとリードフレームのリード部(電極部)との間の絶縁性を確保しつつ、反射率が高く、放熱性に優れた光半導体装置用反射部材付リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム基板、光半導体装置、および、光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法、並びに、光半導体装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 金属リードフレームのリード部(電極部)を段差構造とし、この段差に絶縁性樹脂を充填することで金属リフレクターとの絶縁性を確保し、一方、金属リードフレームのダイパッド部(素子載置部)と金属リフレクターとを、伝熱性を有する接着層を介して接合することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の光半導体素子を載置する光半導体装置用反射部材付リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム基板、光半導体装置、および、光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法、並びに、光半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(発光ダイオード)素子を光源として用いる照明装置が、各種家電、OA機器、車両機器の表示灯、一般照明、車載照明、およびディスプレイ等に用いられている。このような照明装置の中には、互いに絶縁された端子部(電極)を有するリードフレームとLED素子とを有する光半導体装置を含むものがある。
【0003】
このような光半導体装置として、例えば、特許文献1には、PLCC(Plastic leaded chip carrier)タイプの光半導体装置が開示されている。特許文献1において、PLCCタイプの光半導体装置は、リードフレームを保持する構造体と、LED素子を封止するドーム形カプセル材料とを有している。
【0004】
ここで、上述のような光半導体装置においては、効率良く光を取り出すために、リフレクターを設ける必要がある。光半導体装置において、金属製の基板またはリードフレームを用いた場合には、リフレクターは樹脂により形成されることが一般的である。
しかしながら、樹脂製のリフレクターは反射率が十分でなく、かつ、樹脂劣化による反射率の低下が問題となる。また、LED素子の発光により生じた熱を、放熱する特性も十分ではない。
【0005】
そこで、反射率や放熱特性を向上させることを目的に、リフレクターを金属製とすることが提案されている(特許文献2〜4)。
ただし、金属リフレクターを金属リードフレームに用いるためには、両者の絶縁を確保することが必要になる。
【0006】
例えば、特許文献2には、絶縁性接着層を介して金属リフレクターを金属リードフレームに固定する光半導体装置、または、金属リフレクター(アルミニウム製)の表面に金属酸化膜(アルマイト)を形成し、導電性接着層を介して金属リフレクターを金属リードフレームに固定する光半導体装置が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、金属リフレクターの底部を一部削除加工して段差を形成し、この段差に絶縁層を形成することで、金属リードフレームとの絶縁性を確保した光半導体装置が記載されている。
【0008】
また、特許文献4には、金属リフレクターとダイパッドを一体に形成し、絶縁性接着層を介してリード部(電極部)が固定されている光半導体装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−49167号公報
【特許文献1】特開2009−283653号公報
【特許文献2】特開2009−283654号公報
【特許文献3】特開2010−21426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、一般に、絶縁性接着層はエポキシ樹脂やアクリル樹脂などから構成されており、熱伝導率が低い。
それゆえ、上述のように、絶縁性接着層を介して金属リフレクターを金属リードフレームに固定する構造では、LED素子からの熱を金属リードフレームから金属リフレクターに効率良く伝達させることは困難であり、これに伴い、LED素子からの熱を金属リフレクターから放熱させることも困難になるので、放熱特性の向上は得られ難い。
【0011】
一方、アルマイト等の金属酸化膜は、一般に、酸化される前の金属よりも反射率が低いため、金属リフレクターの表面をアルマイトにした場合は、絶縁性は確保できたとしても、光の反射率は低下してしまうことになる。
【0012】
また、絶縁性確保のために、金属リフレクターの底部を一部削除して段差を形成する方法では、その削除した箇所からは光が反射されないため、反射効率が低下する。
【0013】
また、金属リフレクターとダイパッドを一体化する方法では、構造が複雑になり、このような光半導体装置を製造することは困難性を伴い、生産性が低下する。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、例えば、金属製のリフレクターとリードフレームを用いる場合においても、リフレクターとリードフレームのリード部(電極部)との間の絶縁性を確保しつつ、反射率が高く、放熱性に優れた光半導体装置用反射部材付リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム基板、光半導体装置、および、光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法、並びに、光半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、種々研究した結果、金属リードフレームのリード部(電極部)を段差構造とし、この段差に絶縁性樹脂を充填することで金属リフレクターとの絶縁性を確保し、一方、金属リードフレームのダイパッド部(素子載置部)と金属リフレクターとを、伝熱性を有する接着層を介して接合することで、上記課題を解決できることを見出して本発明を完成したものである。
【0016】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、金属材料から構成され、天側の開口が底側の開口よりも大きくなるように開口側面が傾斜している枠状構造を有する第1部材と、金属材料から構成され、前記第1部材の前記枠状構造の底面の一部と伝熱性を有する接着層を介して接合されている第2部材と、金属材料から構成され、接続部と、前記接続部よりも厚さの薄い薄肉部と、を有し、平面視上、前記接続部が前記第1部材の底側の開口内に配置され、前記薄肉部が前記第1部材の前記枠状構造の底面の下に配置されている第3部材と、を備え、絶縁性樹脂が、前記第3部材と前記第1部材とが絶縁されるように、前記第3部材の薄肉部と前記第1部材の枠状構造の底面との間に介在し、かつ、前記第3部材と前記第2部材とが絶縁されるように、前記第3部材と前記第2部材との間に介在することを特徴とする光半導体装置用反射部材付リードフレームである。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記伝熱性を有する接着層が、導電性接着層であることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームである。
【0018】
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記第3部材の薄肉部と前記第1部材の枠状構造の底面との間に介在する絶縁性樹脂と、前記第1部材の枠状構造の底面の一部とが、接着層を介して接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームである。
【0019】
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記第1部材の開口側面に、銀を含むめっき膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームである。
【0020】
また、本発明の請求項5に係る発明は、前記第2部材における前記第1部材側の面、および前記第3部材の接続部における前記第1部材側の面に、銀を含むめっき膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームである。
【0021】
また、本発明の請求項6に係る発明は、1個の前記第1部材に対して、前記第2部材または前記第3部材のいずれかを複数個、あるいはその両方を複数個有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームである。
【0022】
また、本発明の請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームに用いられる光半導体装置用リードフレームであって、前記第2部材と、前記第3部材と、を有することを特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
【0023】
また、本発明の請求項8に係る発明は、請求項7に記載の光半導体装置用リードフレームと、前記第2部材と前記第3部材との間、および、前記第3部材の薄肉部上に形成された絶縁性樹脂と、を備えたことを特徴とする樹脂付き光半導体装置用リードフレームである。
【0024】
また、本発明の請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造に用いられる光半導体装置用リードフレーム基板であって、前記第1部材に対応する一組の前記第2部材と前記第3部材とが平面上に複数組多面付けされており、前記第2部材と前記第3部材とが多面付けされている最外周には、前記第2部材および前記第3部材を保持する外枠部を有することを特徴とする光半導体装置用リードフレーム基板である。
【0025】
また、本発明の請求項10に係る発明は、請求項9に記載の光半導体装置用リードフレーム基板と、前記第2部材と前記第3部材との間、および、前記第3部材の薄肉部上に形成された絶縁性樹脂と、を備えたことを特徴とする樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板である。
【0026】
また、本発明の請求項11に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームと、前記第2部材における前記第1部材側の面に載置された光半導体素子と、前記光半導体素子を封止し、前記光半導体素子が発する光を透過する透光性樹脂と、を備えたことを特徴とする光半導体装置である。
【0027】
また、本発明の請求項12に係る発明は、金属材料から構成され、天側の開口が底側の開口よりも大きくなるように開口側面が傾斜している枠状構造を有する第1部材と、金属材料から構成され、前記第1部材の前記枠状構造の底面の一部と伝熱性を有する接着層を介して接合されている第2部材と、金属材料から構成され、接続部と、前記接続部よりも厚さの薄い薄肉部と、を有し、平面視上、前記接続部が前記第1部材の底側の開口内に配置され、前記薄肉部が前記第1部材の前記枠状構造の底面の下に配置されている第3部材と、を備え、絶縁性樹脂が、前記第3部材と前記第1部材とが絶縁されるように、前記第3部材の薄肉部と前記第1部材の枠状構造の底面との間に介在し、かつ、前記第3部材と前記第2部材とが絶縁されるように、前記第3部材と前記第2部材との間に介在する光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法であって、前記第1部材が平面上に複数多面付けされた第1の基板を形成する工程と、前記第1部材に対応する一組の前記第2部材と前記第3部材が平面上に複数組多面付けされた第2の基板を形成する工程と、前記第2の基板の前記第2部材と前記第3部材の間、および、前記第3部材の接続部と薄肉部の段差を埋めるように前記絶縁性樹脂を形成する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを位置合わせして、前記第1の基板の複数の前記第1部材の各底面の一部と、前記第2の基板の各第2部材における前記第1部材側の面とを、接着層を介して接合する工程と、を備えることを特徴とする光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法である。
【0028】
また、本発明の請求項13に係る発明は、請求項12に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られた光半導体装置用反射部材付リードフレームの前記第2部材における前記第1部材側の面に光半導体素子を載置する工程と、前記第1部材の開口に前記透光性樹脂を充填し、前記光半導体素子を封止して多面付けされた光半導体装置を得る工程と、前記多面付けされた光半導体装置を個片化して個々の光半導体装置を得る工程と、を備えることを特徴とする光半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0029】
上述のような構成を有するため、本発明によれば、リフレクターとリードフレームのリード部との間の絶縁性を確保でき、反射率が高く、放熱性に優れた光半導体装置用反射部材付リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム基板、および光半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の構成を説明する斜視図である。
【図3】本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの他の例の構成部材を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る光半導体装置用リードフレームの一例の構成を説明する斜視図である。
【図5】本発明に係る樹脂付き光半導体装置用リードフレームの一例の構成を説明する斜視図である。
【図6】本発明に係る光半導体装置用リードフレーム基板の一例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板の一例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る光半導体装置の一例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図9】本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の製造工程における第1の基板を示す説明図である。
【図10】本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の製造工程における第2の基板を示す説明図であり、(a)は樹脂形成前の状態を示し、(b)は樹脂形成後の状態を示す。
【図11】本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の製造工程における第1の基板と樹脂形成後の第2の基板を接合した状態を示す説明図である。
【図12】本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【図13】本発明に係る光半導体装置の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【図14】本発明に係る光半導体装置の一例の製造工程における光半導体素子を載置した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の光半導体装置用反射部材付リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム基板、光半導体装置、および、光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法、並びに、光半導体装置の製造方法について詳細に説明する。
【0032】
[光半導体装置用反射部材付リードフレーム]
まず、本発明の光半導体装置用反射部材付リードフレームについて説明する。
図1は、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図であり、図2は、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の構成を説明する斜視図である。
【0033】
図1、または図2に示すように、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレーム1は、金属材料から構成される第1部材11、第2部材13、および第3部材14を備えており、第3部材14と第1部材11とが絶縁されるように、かつ、第3部材14と第2部材13とが絶縁されるように、絶縁性樹脂15が設けられている。
【0034】
ここで、第1部材11は、天側の開口が底側の開口よりも大きくなるように開口側面11aが傾斜している枠状構造を有している。
また、第2部材13は、前記第1部材の前記枠状構造の底面の一部と伝熱性を有する接着層12aを介して接合されている。
また、第3部材14は、接続部14Aと、前記接続部よりも厚さの薄い薄肉部14Bとを有し、平面視上、前記接続部14Aは前記第1部材の底側の開口内に配置されており、前記薄肉部14Bは、少なくとも一部が前記第1部材11の前記枠状構造の底面の下に配置されている。
そして、絶縁性樹脂15が、前記第3部材と前記第1部材とが絶縁されるように、前記第3部材の薄肉部と前記第1部材の枠状構造の底面との間に介在し、かつ、前記第3部材と前記第2部材とが絶縁されるように、前記第3部材と前記第2部材との間に介在している。
【0035】
第1部材11は、リフレクターとして機能するものであり、光反射性と放熱性を備えた材料である金属材料から構成されている。
また、第2部材13は、主にリードフレームのダイパッド部(素子載置部)として機能するものであり、第3部材14は、主にリードフレームのリード部(電極部)として機能するものである。第2部材13および第3部材14は、光反射性、放熱性、および導電性を備えた材料である金属材料から構成されている。
【0036】
上述のような第1部材11、第2部材13、第3部材14の材料としては、例えば、金属材料が挙げられ、好ましくは、銅(Cu)、銅合金、42合金(Ni40.5%〜43%のFe合金)である。
【0037】
また、前記第1部材11の開口側面11aには、銀(Ag)を含むめっき膜が形成されていることが好ましく、前記第2部材13における前記第1部材側の面、および前記第3部材14の接続部上面にも、銀を含むめっき膜が形成されていることが好ましい。光半導体素子からの光を、より効率良く反射することができるからである。
ここで、第1部材11においては、その開口側面11aに前記銀を含むめっき膜が形成されていれば上述の効果を奏するが、前記銀を含むめっき膜は、第1部材11の表面全体に形成されていてもよい。
また、前記第2部材13においては、前記第1部材11側の面であって前記第1部材の底側の開口に対応する部分に、前記銀を含むめっき膜が形成されていれば上述の効果を奏するが、前記銀を含むめっき膜は、第2部材13の表面全体に形成されていてもよい。
また、同様に、前記第3部材14においては、その接続部上面に前記銀を含むめっき膜が形成されていれば上述の効果を奏するが、前記銀を含むめっき膜は、第3部材14の表面全体に形成されていてもよい。
【0038】
また、第1部材11と第2部材13を接合する接着層12aは、伝熱性を有するものであり、例えば、導電性接着層である。
【0039】
また、絶縁性樹脂15は絶縁性を有する樹脂であり、例えば、従来の光半導体装置のリフレクターに用いられている熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。
例えば、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルサルホン、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、シリコーン、エポキシ、ポリエーテルイミド、ポリウレタンおよびポリブチレンアクリレート等を用いることができる。
さらにまた、これらの樹脂中に光反射剤として、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウムおよび窒化ホウ素のうちいずれかを添加することによって、光の反射率を増大させることも可能である。
【0040】
上述のような構成を有するため、本発明の光半導体装置用反射部材付リードフレームは、リフレクター(第1部材)とリードフレームのリード部(第3部材)との絶縁性を確保しながらも、反射率が高く、放熱性に優れたものになっている。
【0041】
より詳しく説明すると、本発明においては、例えば金属材料のように光反射性と放熱性を備えた材料からなる枠状構造の第1部材を、リフレクターとして用いることにより、反射率が高い光半導体装置用反射部材付リードフレームとすることができる。
【0042】
また、本発明においては、上述の特許文献3に記載されているような、絶縁性確保のために金属リフレクターの底部を一部削除して段差を形成したリードフレームとは異なり、リフレクターに相当する第1部材の底面には段差が無く、第2部材の素子載置面まで開口側面が形成されているため、光半導体素子からの光を効率よく反射することができる。
【0043】
また、本発明においては、例えば導電性接着層のように伝熱性を有する接着層を介して、リフレクターとして機能する第1部材と、主にリードフレームのダイパッド部として機能する第2部材が接合されているため、第2部材に載置される光半導体素子からの熱を、第2部材から第1部材に効率良く伝達させることができ、かつ、第1部材から効率良く放熱させることができるので、放熱性に優れた光半導体装置用反射部材付リードフレームとすることができる。
【0044】
一方、主にリードフレームのリード部(電極部)として機能する第3部材について述べると、図1に示すように、まず、接続部14Aは、平面視上、第1部材11の底側の開口内に配置されるため、第1部材11とは非接触な関係、すなわち絶縁された関係であり、また、薄肉部14Bは、第1部材11の枠状構造の底面との間に絶縁性樹脂15が介在するため、第1部材11とは絶縁された関係である。
それゆえ、第3部材14は、第1部材11から絶縁されており、例えば、第1部材11を介して、第3部材14と第2部材とが短絡するということはない。
なお、第3部材14と第2部材13との間には、絶縁性樹脂15が介在するため、第3部材14と第2部材が直接接触することで短絡するということはない。
すなわち、本発明における第3部材14は、第1部材11および第2部材13に対し、絶縁性を確保したものである。
【0045】
また、本発明においては、図1に示すように、第1部材11の前記枠状構造の底面の一部と、第3部材14の薄肉部14Bと第1部材11の枠状構造の底面との間に形成された絶縁性樹脂15とが、接着層12bを介して接合されている構成としてもよい。
【0046】
このような構成であれば、第1部材11と絶縁性樹脂15との接合は、接着層12bが担うことになるため、絶縁性樹脂15には接合特性は要求されず、絶縁性樹脂15の材料選択において、より自由度が増すことになる。例えば、絶縁性樹脂15の材料として、光の反射特性がより高い材料を選択することができる。
【0047】
なお、上述の第1部材11と第2部材13とを接合する接着層12aは、例えば、導電性接着層のように、高い伝熱性を有することが好ましいが、この第1部材11と絶縁性樹脂15とを接合する接着層12bは、伝熱性については特に要求されず、導電性接着層以外に絶縁性接着層であっても良い。
【0048】
なお、図1および図2においては、1個の第1部材11に対して、1個の第2部材13、および1個の第3部材14を有する光半導体装置用反射部材付リードフレームの例を示しているが、本発明においては、載置する光半導体素子の数や種類に応じて、1個の前記第1部材に対して、前記第2部材または前記第3部材のいずれかを複数個、あるいはその両方を複数個有する形態であってもよい。
【0049】
図3は、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの他の例の構成部材を示す斜視図である。なお、煩雑となるのを避けるため、図3においては、図2における第1部材11、および樹脂15は記載せず、第2部材と第3部材のみを図示している。
【0050】
例えば、図3(a)または図3(b)に示すように、本発明においては、1個の第1部材に対して、1個の第2部材と2個の第3部材を有する構成としても良い。
ここで、図3(a)に示す例においては、1個の第2部材13aの一側面に対向して、2個の第3部材14a、14bが配置されており、図3(b)に示す例においては、1個の第2部材13bを両側から挟むようにして、2個の第3部材14c、14dが配置されている。
【0051】
また、同様に、本発明においては、1個の前記第1部材に対して、2個の第2部材と1個の第3部材を有する構成としても良い。例えば、図3(b)に示す例においては、2個の第2部材13c、13dの間に1個の第3部材14eが配置されている。
【0052】
なお、上記の実施形態は例示であり、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0053】
[光半導体装置用リードフレーム]
次に、本発明の光半導体装置用リードフレームについて説明する。
図4は、本発明に係る光半導体装置用リードフレームの一例の構成を説明する斜視図である。
図4に示すように、本発明に係る光半導体装置用リードフレーム2は、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームに用いられる光半導体装置用リードフレームであって、第2部材13と、第3部材14とを有するものである。
なお、第2部材13、および第3部材14については、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームにおいて説明した内容と同様であるので、ここでの詳述は省略する。
また、本発明の光半導体装置用リードフレームは、上述の図3に示す第2部材および第3部材から構成されていても良い。
【0054】
[樹脂付き光半導体装置用リードフレーム]
次に、本発明の樹脂付き光半導体装置用リードフレームについて説明する。
図5は、本発明に係る樹脂付き光半導体装置用リードフレームの一例の構成を説明する斜視図である。
図5に示すように、本発明に係る樹脂付き光半導体装置用リードフレーム3は、上述の光半導体装置用リードフレーム2と、第2部材13と第3部材14との間、および、第3部材14の薄肉部14Bの上に形成された絶縁性樹脂15と、を備えたものである。
なお、第2部材13、第3部材14、および絶縁性樹脂15については、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームにおいて説明した内容と同様であるので、ここでの詳述は省略する。
【0055】
[光半導体装置用リードフレーム基板]
次に、本発明の光半導体装置用リードフレーム基板について説明する。
図6は、本発明に係る光半導体装置用リードフレーム基板の一例を示す説明図である。
図6に示すように、本発明に係る光半導体装置用リードフレーム基板4は、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造に用いられる光半導体装置用リードフレーム基板であって、前記第1部材11に対応する一組の前記第2部材13と前記第3部材14とが平面上に複数組多面付けされており、前記第2部材13と前記第3部材14とが多面付けされている最外周には、前記第2部材13および前記第3部材14を保持する外枠部41を有するものである。
一組の第2部材13と第3部材14の外周は、ダイシングライン42になっており、一組の第2部材と第3部材と隣接する他の一組の第2部材と第3部材は、このダイシングライン42で分離されることにより、個々の光半導体装置用リードフレームとなる。
なお、第2部材13、および第3部材14については、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームにおいて説明した内容と同様であるので、ここでの詳述は省略する。
【0056】
[樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板]
次に、本発明の樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板について説明する。
図7は、本発明に係る樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板の一例を示す説明図である。
図7に示すように、本発明に係る樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板5は、上述の光半導体装置用リードフレーム基板と、前記第2部材と前記第3部材との間、および、前記第3部材の薄肉部の上に形成された絶縁性樹脂15と、を備えたものである。
上述の光半導体装置用リードフレーム基板と同様に、この樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板5においても、一組の第2部材13と第3部材14の外周は、ダイシングライン42になっており、一組の第2部材と第3部材と隣接する他の一組の第2部材と第3部材は、このダイシングライン42で分離されることにより、個々の樹脂付き光半導体装置用リードフレームとなる。
なお、第2部材13、第3部材14、および絶縁性樹脂15については、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームにおいて説明した内容と同様であるので、ここでの詳述は省略する。
【0057】
[光半導体装置]
次に、本発明の光半導体装置について説明する。
図8は、本発明に係る光半導体装置の一例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【0058】
図8に示すように、本発明に係る光半導体装置20は、上述の本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームと、前記第1部材11の底側の開口内の前記第2部材13の上面に載置された光半導体素子21と、前記光半導体素子21を封止し、少なくとも前記光半導体素子21が発する光の一部を透過する透光性樹脂24と、を備えたものである。
【0059】
本発明に係る光半導体装置においては、リードフレームとして、上述の本発明に係る光半導体装置用リードフレームを用いているため、リフレクターとリードフレームのリード部との絶縁性を確保しながらも、反射率が高く、放熱性に優れた光半導体装置とすることができる。
【0060】
上述の光半導体素子としては、例えば、従来一般に用いられているLED素子を用いることができる。ここで、LED素子は、発光層として、例えば、GaP、GaAs、GaAlAs、GaAsP、AlInGaP等の化合物半導体単結晶、または、InGaN等の各種GaN系化合物半導体単結晶からなる材料を適宜選ぶことにより、紫外光から赤外光に渡る発光波長を選択することができるものである。
【0061】
光半導体素子の載置形態としては、例えば、図8に示すように、1個の第2部材13の上面に1個の光半導体素子21が載置され、2本のボンディングワイヤ22により、第2部材13および第3部材14に接続される形態がある。
また、図示はしないが、光半導体素子が、第2部材と第3部材に跨るように載置され、ボンディングワイヤに代えて、半田や、導電性および伝熱性を有する接着剤等によって、第2部材と第3部材に接続される形態(Flip Chip Package)もある。
【0062】
また、上述の図3(a)または図3(b)に示すリードフレームを用いる場合は、1個の第2部材13aまたは13bの上面に2個の光半導体素子が載置され、ボンディングワイヤにより、第2部材と、2個の第3部材14aと14b、または14cと14dに接続される形態が挙げられる。
【0063】
さらに、上述の図3(c)に示すリードフレームを用いる場合は、2個の第2部材13cおよび13dの上面にそれぞれ光半導体素子が1個載置され、ボンディングワイヤにより、2個の第2部材13c、13dと1個の第3部材14eに接続される形態が挙げられる。
【0064】
なお、光半導体素子21は、一般に、半田や、伝熱性を有する接着剤23により固定実装される。ここで、半田の代わりにダイボンディングペーストを用いる場合には、耐光性のあるエポキシ樹脂やシリコーン樹脂からなるダイボンディングペーストを選択することが可能である。
【0065】
また、ボンディングワイヤ22は、例えば、金(Au)等の導電性の良い材料からなり、1本のボンディングワイヤ22により光半導体素子21と第2部材が接続され、別のボンディングワイヤ22により光半導体素子21と第3部材が接続される。
なお、光半導体素子と第2部材、および第3部材との接続には、上述のように、ボンディングワイヤに代えて、半田や、導電性を有する接着剤等によって、第2部材、および第3部材に接続される方法もある。
また、ACF(異方性導電フィルム)、ACP(異方性導電ペースト)、NCF(非導電性フィルム)、またはNCP(非導電性ペースト)等を用いて光半導体素子の端子を第2部材、および第3部材の端子部に直接接合する方法もある。
【0066】
次に、透光性樹脂について説明する。
本発明に係る透光性樹脂としては、光の取り出し効率を向上させるために、光半導体素子の発光波長において光透過率が高く、また屈折率が高い材料を選択するのが望ましい。例えば、耐熱性、耐候性、及び機械的強度が高いという特性を満たす樹脂として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂を選択することが可能である。特に、光半導体素子として高輝度LEDを用いる場合、透光性樹脂は強い光にさらされるため、透光性樹脂は高い耐候性を有するシリコーン樹脂からなることが好ましい。
【0067】
なお、第1部材11等、光半導体装置用反射部材付リードフレームを構成する各部材については、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームにおいて説明した内容と同様であるので、ここでの詳述は省略する。
【0068】
[光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法]
次に、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法について説明する。
本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法は、前記第1部材が平面上に複数多面付けされた第1の基板を形成する工程と、前記第1部材に対応する一組の前記第2部材と前記第3部材が平面上に複数組多面付けされた第2の基板を形成する工程と、前記第2の基板の前記第2部材と前記第3部材の間、および前記第3部材の接続部と薄肉部の段差を埋めるように前記絶縁性樹脂を形成する工程と、前記第1の基板の複数の第1部材と対応する前記第2の基板の各第2部材とを位置合わせして、前記第1の基板の複数の前記第1部材の各底面の一部と前記第2の基板の各第2部材における前記第1部材側の面とを接着層を介して接合し、多面付けされた光半導体装置用反射部材付リードフレームを形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0069】
まず、上述の製造方法における第1の基板を形成する工程について説明する。
図9は、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の製造工程における第1の基板を示す説明図である。
図9に示すように、平板状の第1の基板30には、第1部材11が多面付けされており、最外周には、前記第1部材11を保持する外枠部31が設けられている。そして、隣接する第1部材11と第1部材11の間は、個々の光半導体装置に分離されるためのダイシングライン32になっている。
【0070】
第1の基板30を構成する材料は、第1部材11を構成する材料と同じであり、例えば、銅(Cu)、銅合金、42合金(Ni40.5%〜43%のFe合金)等からなる金属基板を使用することができる。また、第1の基板30の厚みは、例えば、0.05mm〜0.5mmの範囲である。
【0071】
また、第1の基板30における第1部材11の開口側面には、銀(Ag)を含むめっき膜が形成されていることが好ましい。光半導体素子からの光を、より効率良く反射することができるからである。なお、前記めっき膜は、第1の基板30の表面全体に形成されていても良い。
前記めっき膜の厚みは、例えば、0.02μm〜12μmの範囲である。
【0072】
上述のような第1の基板30は、エッチング法やプレス法等の加工方法を用いて金属基板等を加工することで形成することができる。
例えば、第1の基板30の材料として、銅を用いる場合、感光性レジストを塗布し、露光現像してパターニングした後に、エッチング液に塩化第二鉄水溶液を使用して、スプレーエッチングで加工することができる。
【0073】
なお、本発明において第1部材は、天側の開口が底側の開口よりも大きくなるように開口側面が傾斜している枠状構造を有するが、例えば、上記のようにエッチング法で第1の基板30を加工する場合には、そのエッチング条件(スプレー圧や温度等)を調整することにより、前記開口側面の傾斜を所望の形状に形成することができる。
【0074】
また、上述のような銀を含むめっき膜を形成する場合は、例えば、シアン化銀を主成分とした銀めっき液を用いた電解めっきを施すことにより、第1の基板30の表面に、めっき膜を形成することができる。
なお、前記めっき膜を形成する前に、例えば、電解脱脂工程、酸洗工程、銅ストライク工程、を適宜選択し、その後、電解めっき工程を経てめっき膜を形成してもよい。
【0075】
次に、上述の製造方法における第2の基板を形成する工程について説明する。
図10は、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の製造工程における第2の基板を示す説明図であり、(a)は樹脂形成前の状態を示し、(b)は樹脂形成後の状態を示す。
【0076】
まず、図10(a)に示すように、第2の基板40には、上述の第1の基板30に多面付けされたそれぞれの第1部材11に対応する、一組の第2部材13と第3部材14が、平面上に複数組多面付けされており、前記第2部材13と前記第3部材14が多面付けされている最外周には、前記第2部材13および前記第3部材14を保持する外枠部41が設けられている。そして、一組の第2部材13と第3部材14の外周は、個々の光半導体装置に分離されるためのダイシングライン42になっている。
すなわち、図10(a)に示す第2の基板40は、上述の図6に示す光半導体装置用リードフレーム基板4と同じ構成要素を有するものである。
【0077】
第2の基板40を構成する材料は、第2部材13、および第3部材14を構成する材料と同じであり、例えば、銅(Cu)、銅合金、42合金(Ni40.5%〜43%のFe合金)等からなる金属基板を使用することができる。第2の基板40の厚みは、例えば、0.05mm〜0.5mmの範囲である。
【0078】
また、第2の基板40における第2部材13の上面、および第3部材14の段差上面には、銀(Ag)を含むめっき膜が形成されていることが好ましい。光半導体素子からの光を、より効率良く反射することができるからである。なお、前記めっき膜は、第2の基板40の表面全体に形成されていても良い。
前記めっき膜の厚みは、例えば、0.02μm〜12μmの範囲である。
【0079】
上述のような第2の基板40は、エッチング法やプレス法等の加工方法を用いて金属基板等を加工することで形成することができる。
例えば、第2の基板40の材料として、銅を用いる場合、感光性レジストを塗布し、露光現像してパターニングした後に、エッチング液に塩化第二鉄水溶液を使用して、スプレーエッチングで加工することができる。
【0080】
なお、本発明において第3部材14は、上述のように、接続部14Aと、前記接続部よりも厚さの薄い薄肉部14Bとを有するが、このような段差構造は、例えば、第2の基板40をハーフエッチング加工することで得ることができる。
【0081】
また、上述のような銀を含むめっき膜を形成する場合は、例えば、シアン化銀を主成分とした銀めっき液を用いた電解めっきを施すことにより、第2の基板40の表面に、めっき膜を形成することができる。
なお、前記めっき膜を形成する前に、例えば、電解脱脂工程、酸洗工程、銅ストライク工程、を適宜選択し、その後、電解めっき工程を経てめっき膜を形成してもよい。
【0082】
次に、図10(b)に示すように、第2の基板40の第2部材13と第3部材14の間、および第3部材14の薄肉部14Bの上には、絶縁性樹脂15が形成される。
絶縁性樹脂15の形成は、例えば、所望の形状に加工した金型を用いて、熱可塑性樹脂を射出成型またはトランスファ成型することにより形成することができ、これにより、第2の基板40と絶縁性樹脂15とが一体に結合される。
なお、図10(b)に示す樹脂付き第2の基板50は、上述の図7に示す樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板5と同じ構成要素を有するものである。
【0083】
次に、本発明の製造工程における前記第1の基板と前記絶縁性樹脂を形成した前記第2の基板とを接合し、多面付けされた光半導体装置用反射部材付リードフレームを形成する工程について説明する。
本発明においては、前記第1の基板30と前記樹脂付き第2の基板50とを位置合わせして、前記第1の基板30の複数の前記第1部材11の各底面の一部と、それぞれ対応する前記樹脂付き第2の基板50の各第2部材13における前記第1部材側の面とを、接着層12aを介して接合し、多面付けされた光半導体装置用反射部材付リードフレーム60を形成する。
なお、前記第1の基板30と前記樹脂付き第2の基板50との位置合わせは、公知の方法で行えばよい。また、前記接着層12aは、公知の方法で形成することができる。
【0084】
図11は、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の製造工程における第1の基板と樹脂形成後の第2の基板を接合した状態を示す説明図である。
図11に示すように、接合後の第1の基板30の複数の第1部材11の開口からは、それぞれ対応する樹脂付き第2の基板50の一組の第2部材13の上面の一部、第3部材14の接続部14A、および、絶縁性樹脂15の一部が露出している。
すなわち、図11は、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレーム1が、平板状に多面付けされた形態を示しており、例えば、ダイシングライン32で切断(ダイシング)されることによって、多面付け光半導体装置用反射部材付リードフレーム60から、個片化された個々の光半導体装置用反射部材付リードフレーム1を得ることができる。
なお、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームを用いて光半導体装置を製造する方法としては、例えば、光半導体装置用反射部材付リードフレームを個片化した後に半導体素子載置工程を行う方法や、光半導体装置用反射部材付リードフレームが多面付けされた状態で半導体素子載置工程を行う方法があり、本発明においては、いずれの方法も用いることができるが、製造効率の面から、後述の多面付けされた状態で半導体素子載置工程を行う方法が好ましい。
【0085】
次に、上述の本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの一例の製造工程を、各工程における断面図を用いて説明する。
図12は、本発明に係る光半導体装置用リードフレームの製造方法の一例を示す模式的工程図である。
【0086】
まず、図12(a)に示すように、平板状の第2の基板材料40Aを準備し、上述のエッチング法やプレス法により所望の形状に加工して、一組の第2部材13と第3部材14が平面上に複数組多面付けされた第2の基板40を形成する(図12(b))。なお、図示はしないが、上述のように、電解めっき法により、第2の基板40の表面に銀を含むめっき膜を形成しても良い。
【0087】
次に、図12(c)に示すように、第2の基板40の第2部材13と第3部材14の間、および第3部材14の接続部14Aと薄肉部14Bの段差を埋めるように、絶縁性樹脂15を形成する。成型方法には、上述のように、所望の形状に加工した金型を用いて、熱可塑性樹脂を射出成型またはトランスファ成型する方法を用いることができる。
【0088】
次に、図12(d)に示すように、別途、エッチング法等で形成した第1の基板30と、前記絶縁性樹脂15を形成した第2の基板(樹脂付き第2の基板50)とを、位置合わせし、第1の基板30の複数の第1部材11の底面の一部と、それぞれ対応する樹脂付き第2の基板50の各第2部材13における前記第1部材側の面とを、接着層12aを介して接合して、多面付けされた形態の本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレーム60を得る(図12(e))。
【0089】
なお、図12(d)に示す例においては、図1における接着層12bが接着層12aと同じであり、導電性接着層を用いている。ここで、図12(d)においては、第1の基板30の底面に接着層12aが形成されている例を示しているが、接着層12aは、第2の基板40、および樹脂15の上面に形成されていても良い。
【0090】
上述のように、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法によれば、第1部材が平面上に複数多面付けされた第1の基板と、前記第1部材に対応する一組の前記第2部材と前記第3部材が平面上に複数組多面付けされた樹脂付き第2の基板とを、位置合わせして、接着層を介して接合することで、複数個の本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームを、一括して製造することができる。
また、前記第1の基板、および前記樹脂付き第2の基板とも、互いに接合する面は平坦であるため、突起形状がある場合に比べて、位置合わせや接合は容易である。
それゆえ、本発明によれば、生産性良く、光半導体装置用反射部材付リードフレームを製造することができる。
【0091】
また、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られる光半導体装置用反射部材付リードフレームは、リフレクター(第1部材)とリードフレームのリード部(第3部材)との絶縁性を確保しながらも、反射率が高く、放熱性に優れたものになっている。
【0092】
より詳しく説明すると、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られる光半導体装置用反射部材付リードフレームは、金属材料のように光反射性と放熱性を備えた材料からなる枠状構造の第1部材を、リフレクターとして用いることにより、反射率が高い光半導体装置用反射部材付リードフレームとすることができる。
【0093】
また、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られる光半導体装置用反射部材付リードフレームにおいては、上述の特許文献3に記載されているような、絶縁性確保のために金属リフレクターの底部を一部削除して段差を形成したリードフレームとは異なり、リフレクターに相当する第1部材の底面には段差が無く、第2部材の素子載置面まで開口側面が形成されているため、光半導体素子からの光を効率よく反射することができる。
【0094】
また、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られる光半導体装置用反射部材付リードフレームにおいては、例えば導電性接着層のように伝熱性を有する接着層を介して、リフレクターとして機能する第1部材と、主にリードフレームのダイパッド部として機能する第2部材が接合されているため、第2部材に載置される光半導体素子からの熱を、第2部材から第1部材に効率良く伝達させることができ、かつ、第1部材から効率良く放熱させることができるので、放熱性に優れた光半導体装置用反射部材付リードフレームとすることができる。
【0095】
[光半導体装置の製造方法]
次に、本発明に係る光半導体装置の製造方法について、説明する。
図13は、本発明に係る光半導体装置の製造方法の一例を示す模式的工程図である。
また、図14は、本発明に係る光半導体装置の一例の製造工程における光半導体素子を載置した状態を示す説明図である。
【0096】
本発明に係る光半導体装置の製造方法は、上述の光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られた多面付けされた光半導体装置用反射部材付リードフレームの前記第2部材における前記第1部材側の面に光半導体素子を載置する工程と、前記第1部材の開口に前記透光性樹脂を充填し、前記光半導体素子を封止して多面付けされた光半導体装置を得る工程と、前記多面付けされた光半導体装置を個片化して個々の光半導体装置を得る工程と、を備えることを特徴とする。
【0097】
本発明に係る光半導体装置の製造方法としては、まず、図13(a)に示すように、上述の製造方法により得られた多面付け光半導体装置用反射部材付リードフレーム60を準備し、次いで、第1部材11の開口内の第2部材13の上面に、半田、または伝熱性を有する接着剤23を介して光半導体素子21を載置し、ボンディングワイヤ22により、光半導体素子21と第2部材13、および、光半導体素子21と第3部材14とを電気的に接続する。(図13(b))。
【0098】
ここで、第3部材14は、接続部14Aと薄肉部14Bからなる段差構造を有しているため、接続部14Aの上面を、第2部材13の上面と同じ高さ位置にしておけば、ボンディングワイヤ22による接続は容易になる。
【0099】
なお、この図13(b)における状態の平面図が、図14に相当する。
図14に示すように、第1の基板30に多面付けされた複数個の第1部材11の開口内の第2部材13の上面には、光半導体素子21が載置され、ボンディングワイヤ22により、光半導体素子21と第2部材13、および、光半導体素子21と第3部材14とが、電気的に接続されている。
【0100】
次に、図13(c)に示すように、第1部材11の開口に透光性樹脂24を充填して光半導体素子21を封止し、次いで、第1の基板30、接着層12a、および第2の基板40を、ダイシングライン32で切断(ダイシング)して、個片化された個々の光半導体装置20を得る(図13(d)、(e))。
【0101】
上述のように、本発明によれば、前記光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られた多面付け光半導体装置用反射部材付リードフレームを用いて、複数個の光半導体装置を一括して製造することができる。
ここで、前記多面付け光半導体装置用反射部材付リードフレームは、従来の平板状のリードフレームに樹脂製のリフレクターを形成したリードフレームと同様に扱えるため、従来と同様な自動化ラインを用いて、本発明に係る光半導体装置を一括して製造することができる。
すなわち、特殊な専用ラインを新たに導入する必要がないため、生産コストの上昇を抑制することができる。
【0102】
また、本発明に係る光半導体装置用反射部材付リードフレームは、従来の樹脂製のリフレクターを有するリードフレームに比べて、反射率が高く、放熱性に優れたものであるため、本発明に係る光半導体装置も、従来の樹脂製のリフレクターを有する光半導体装置に比べて、反射率が高く、放熱性に優れたものになる。
【0103】
以上、本発明の光半導体装置用反射部材付リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム、光半導体装置用リードフレーム基板、光半導体装置、および、光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法、並びに、光半導体装置の製造方法について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0104】
1・・・光半導体装置用反射部材付リードフレーム
2・・・光半導体装置用リードフレーム
3・・・樹脂付き光半導体装置用リードフレーム
4・・・光半導体装置用リードフレーム基板
5・・・樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板
11・・・第1部材
11a・・・開口側面
12a・・・接着層
12b・・・接着層
13、13a、13b、13c・・・第2部材
14、14a、14b、14c、14d、14e・・・第3部材
14A・・・接続部
14B・・・薄肉部
15・・・絶縁性樹脂
20・・・光半導体装置
21・・・光半導体素子
22・・・ボンディングワイヤ
23・・・接着剤
24・・・透光性樹脂
30・・・第1の基板
31・・・外枠部
32・・・ダイシングライン
40・・・第2の基板
40A・・・第2の基板材料
41・・・外枠部
42・・・ダイシングライン
50・・・樹脂付き第2の基板
60・・・多面付け光半導体装置用反射部材付リードフレーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料から構成され、天側の開口が底側の開口よりも大きくなるように開口側面が傾斜している枠状構造を有する第1部材と、
金属材料から構成され、前記第1部材の前記枠状構造の底面の一部と伝熱性を有する接着層を介して接合されている第2部材と、
金属材料から構成され、
接続部と、前記接続部よりも厚さの薄い薄肉部と、を有し、
平面視上、
前記接続部が前記第1部材の底側の開口内に配置され、
前記薄肉部が前記第1部材の前記枠状構造の底面の下に配置されている第3部材と、
を備え、
絶縁性樹脂が、
前記第3部材と前記第1部材とが絶縁されるように、前記第3部材の薄肉部と前記第1部材の枠状構造の底面との間に介在し、かつ、
前記第3部材と前記第2部材とが絶縁されるように、前記第3部材と前記第2部材との間に介在することを特徴とする光半導体装置用反射部材付リードフレーム。
【請求項2】
前記伝熱性を有する接着層が、導電性接着層であることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレーム。
【請求項3】
前記第3部材の薄肉部と前記第1部材の枠状構造の底面との間に介在する絶縁性樹脂と、前記第1部材の枠状構造の底面の一部とが、接着層を介して接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレーム。
【請求項4】
前記第1部材の開口側面に、銀を含むめっき膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレーム。
【請求項5】
前記第2部材における前記第1部材側の面、および前記第3部材の接続部における前記第1部材側の面に、銀を含むめっき膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレーム。
【請求項6】
1個の前記第1部材に対して、前記第2部材または前記第3部材のいずれかを複数個、あるいはその両方を複数個有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレーム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームに用いられる光半導体装置用リードフレームであって、前記第2部材と、前記第3部材と、を有することを特徴とする光半導体装置用リードフレーム。
【請求項8】
請求項7に記載の光半導体装置用リードフレームと、
前記第2部材と前記第3部材との間、および、前記第3部材の薄肉部上に形成された絶縁性樹脂と、
を備えたことを特徴とする樹脂付き光半導体装置用リードフレーム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造に用いられる光半導体装置用リードフレーム基板であって、
前記第1部材に対応する一組の前記第2部材と前記第3部材とが平面上に複数組多面付けされており、前記第2部材と前記第3部材とが多面付けされている最外周には、前記第2部材および前記第3部材を保持する外枠部を有することを特徴とする光半導体装置用リードフレーム基板。
【請求項10】
請求項9に記載の光半導体装置用リードフレーム基板と、
前記第2部材と前記第3部材との間、および、前記第3部材の薄肉部上に形成された絶縁性樹脂と、
を備えたことを特徴とする樹脂付き光半導体装置用リードフレーム基板。
【請求項11】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームと、
前記第2部材における前記第1部材側の面に載置された光半導体素子と、
前記光半導体素子を封止し、前記光半導体素子が発する光を透過する透光性樹脂と、
を備えたことを特徴とする光半導体装置。
【請求項12】
金属材料から構成され、天側の開口が底側の開口よりも大きくなるように開口側面が傾斜している枠状構造を有する第1部材と、金属材料から構成され、前記第1部材の前記枠状構造の底面の一部と伝熱性を有する接着層を介して接合されている第2部材と、金属材料から構成され、接続部と、前記接続部よりも厚さの薄い薄肉部と、を有し、平面視上、前記接続部が前記第1部材の底側の開口内に配置され、前記薄肉部が前記第1部材の前記枠状構造の底面の下に配置されている第3部材と、を備え、絶縁性樹脂が、前記第3部材と前記第1部材とが絶縁されるように、前記第3部材の薄肉部と前記第1部材の枠状構造の底面との間に介在し、かつ、前記第3部材と前記第2部材とが絶縁されるように、前記第3部材と前記第2部材との間に介在する光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法であって、
前記第1部材が平面上に複数多面付けされた第1の基板を形成する工程と、
前記第1部材に対応する一組の前記第2部材と前記第3部材が平面上に複数組多面付けされた第2の基板を形成する工程と、
前記第2の基板の前記第2部材と前記第3部材の間、および、前記第3部材の接続部と薄肉部の段差を埋めるように前記絶縁性樹脂を形成する工程と、
前記第1の基板と前記絶縁性樹脂を形成した前記第2の基板とを位置合わせして、前記第1の基板の複数の前記第1部材の各底面の一部と、前記第2の基板の各第2部材における前記第1部材側の面とを、接着層を介して接合し、多面付けされた光半導体装置用反射部材付リードフレームを形成する工程と、
を備えることを特徴とする光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の光半導体装置用反射部材付リードフレームの製造方法により得られた多面付けされた光半導体装置用反射部材付リードフレームの前記第2部材における前記第1部材側の面に光半導体素子を載置する工程と、
前記第1部材の開口に前記透光性樹脂を充填し、前記光半導体素子を封止して多面付けされた光半導体装置を得る工程と、
前記多面付けされた光半導体装置を個片化して個々の光半導体装置を得る工程と、
を備えることを特徴とする光半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−69972(P2013−69972A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208742(P2011−208742)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】