説明

光受信装置、信号処理装置および光受信方法

【課題】省電力化を図ること。
【解決手段】光受信装置100は、光分岐部101と、測定部102と、受信部103と、分散補償部104と、位相処理部105と、識別部106と、を備えている。光分岐部101は、局発光を分岐する。測定部102は、光分岐部101によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する。受信部103は、入力された信号光と各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する。分散補償部104は、受信部103によって変換された信号の波長分散を小さくする。位相処理部105は、分散補償部104によって波長分散を小さくされた信号の位相を、測定部102によって測定された位相変動に基づいて回転させる。識別部106は、位相処理部105によって位相を回転された信号を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信装置、信号処理装置および光受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタル信号処理用半導体素子の並列多重化した動作速度が、数10[Gb/s]に向上したことにより、長距離かつ大容量の光通信技術として、ディジタル信号処理を用いた多値伝送が可能なディジタルコヒーレント光通信の研究開発および実用化が進展してきている。
【0003】
ディジタルコヒーレント光通信では、受信する光信号の強度情報と位相情報の両方を、ディジタル回路を用いて操作できるために、光ファイバ伝送路における波長分散劣化、および、高速に変化する偏波モード分散(PMD:Polarization Mode Dispersion)劣化などを容易に補償することが可能になり、コヒーレント受信による高感度化も期待できて、長距離かつ大容量の光通信技術と考えられている。
【0004】
たとえば下記非特許文献1に示されているような従来のディジタル処理を用いた多値コヒーレント光伝送方式光受信器の大部分は、受信光または受信機局発光の位相変化は、受信光と局発光とを干渉させた後の電気信号をディジタル化した信号から推定するディジタル回路の構成であった。
【0005】
しかし、将来の実用化が予想されている16QAM,64QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)などの多値コヒーレント光伝送においては、光送信機の光源レーザの位相雑音および光受信機局発光レーザの位相雑音に対する要求が高くなり、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)などの方式より、狭いスペクトル線幅のレーザが要求されている。レーザ単体でこの要求を満たすためには、共振器長が大きい大型で高価なレーザが必要になり、実際の通信機器への適用に困難が予想されている。
【0006】
また、ディジタルコヒーレント受信機においては、ディジタル化した信号に対する波長分散補償が行われる。ここで、受信光は、光ファイバ伝送路の波長分散と受信側のディジタル回路における波長分散補償の両方の効果を受ける。このため、受信光の波長分散劣化はゼロに近づく。一方、受信側の局発光は、光ファイバ伝送路を通らないため、受信側のディジタル回路における波長分散補償の効果のみを受ける。このため、局発光に位相雑音が有意にある場合には、局発光の波長拡がりに比例して波形劣化が生じる。
【0007】
これに対して、信号光と干渉させていない局発光の位相変動を測定し、測定結果に基づいてディジタル回路において信号の位相回転処理を行うディジタルコヒーレント受信機が知られている(たとえば、下記非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Rasumussen,星田,中島、「100 Gbps光伝送システムのためのデジタルコヒーレント受信技術」、FUJITSU.60,5,p.476−483、2009年9月
【非特許文献2】M.Secondini,他、”Phase Noise Cancellation in Coherent Optical Receivers by Digital Coherence Enhancement”、ECOC 2010年9月、P4.17
【非特許文献3】William Shieh,Xingwen Yi,Yiran Ma,and Qi Yang、“Coherent optical OFDM:has its time come?[Invited]”、Journal of Optical Networking,Vol.7,Issue 3,pp.234−255、2008年
【非特許文献4】C.Xie,“Local oscillator phase noise induced penalties in optical coherent detection systems using electronic chromatic dispersion compensation”、OFC2009 OMT4、2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術では、局発光の位相変動に基づく電気信号の位相回転処理の消費電力が大きくなるという問題がある。すなわち、ナイキストの定理から、光伝送路での分散を受けて1シンボル内での変動が大きい状態の受信光波形からデータを再生するためにはシンボルレートの倍の速度で信号処理する必要がある。このため、波長分散などで乱れた受信光波形に対しては、局発光の位相変動に基づく電気信号の位相回転処理を高速に行うことになり、電子回路を並列多重した場合でも、その多重数が大きくなるので、ディジタル信号処理回路の消費電力が大きくなる。
【0010】
また、2πの範囲を超える位相変化(周波数変化)を補正する場合には、上記非特許文献2の方法では、単なる位相回転行列による演算ではなく、三角関数内部の位相項を操作する必要がある。このため、偏波多重していない光信号でさえ信号処理が複雑になる欠点がある。さらに、上記非特許文献2には記されていないが、光信号を偏波多重で伝送する場合には、2つの偏波の信号を分離した後でないと、2πの範囲を超える位相変化(周波数変化)は原理的に補正できないと言う欠点がある。
【0011】
開示の光受信装置、信号処理装置および光受信方法は、上述した問題点を解消するものであり、省電力化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、少なくとも、局発光を分岐する光分岐部と、前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて、前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を回転させる位相処理部と、前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
開示の光受信装置、信号処理装置および光受信方法によれば、ディジタル信号処理回路の低消費電力化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる光受信装置を示す図である。
【図2−1】図2−1は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例1を示す図である。
【図2−2】図2−2は、図2−1に示したディジタル処理部の構成例を示す図である。
【図3】図3は、図2−1に示した光位相ハイブリッド干渉計の構成例を示す図である。
【図4】図4は、図2−1に示した位相変動測定部の構成例を示す図である。
【図5】図5は、図2−1に示した可変遅延部の構成例を示す図である。
【図6】図6は、図2−1に示した補償値算出部の構成例を示す図である。
【図7−1】図7−1は、局発光の周波数変動の一例を示すグラフである。
【図7−2】図7−2は、周波数に応じた時間遅延の一例を示すグラフである。
【図7−3】図7−3は、周波数信号に時間遅延を与えた場合の出力パワーの一例を示すグラフである。
【図8】図8は、図2−2に示した振幅調整部および位相回転部による処理の一例を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例2のディジタル処理部の構成例を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例3を示す図である。
【図11−1】図11−1は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例4を示す図である。
【図11−2】図11−2は、図11−1に示したディジタル処理部の構成例を示す図である。
【図12】図12は、図11−1に示した補償値算出部の構成例を示す図である。
【図13】図13は、図11−2に示した位相回転部による処理の一例を示す図である。
【図14】図14は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例5を示す図である。
【図15】図15は、実施の形態2にかかる光受信装置を示す図である。
【図16−1】図16−1は、実施の形態2にかかる光受信装置の実施例1を示す図である。
【図16−2】図16−2は、図16−1に示したディジタル処理部の構成例を示す図である。
【図17】図17は、実施の形態2にかかる光受信装置の実施例2を示す図である。
【図18】図18は、実施の形態2にかかる光受信装置の実施例3を示す図である。
【図19】図19は、実施の形態3にかかる光受信装置を示す図である。
【図20】図20は、実施の形態3にかかる光受信装置の実施例1を示す図である。
【図21】図21は、図20に示した補償値算出部の構成例を示す図である。
【図22】図22は、実施の形態3にかかる光受信装置の実施例2を示す図である。
【図23】図23は、同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の例を示す図(その1)である。
【図24】図24は、同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の例を示す図(その2)である。
【図25】図25は、同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の例を示す図(その3)である。
【図26】図26は、同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の例を示す図(その4)である。
【図27】図27は、同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の例を示す図(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる光受信装置を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる光受信装置100は、光分岐部101と、測定部102と、信号光と局発光とを干渉させた光信号を電気信号に変換した後に充分な分解能を持つディジタル信号を生成する受信部103と、分散補償部104と、位相処理部105と、識別部106と、を備えている。光分岐部101には局発光(局部発振光)が入力される。局発光は、光受信装置100の内部の光源によって発振された局発光でもよいし、光受信装置100が設けられた受信局の光源によって発振された局発光でもよい。
【0017】
光分岐部101は、入力された局発光を分岐し、分岐した各局発光をそれぞれ測定部102および受信部103へ出力する。測定部102は、光分岐部101から出力された局発光の位相変動を測定する。位相変動は、たとえば、単位時間ごとの位相の変化量である。測定部102は、測定した位相変動を位相処理部105へ通知する。
【0018】
受信部103には、光受信装置100が受信する信号光が入力される。受信部103は、入力された信号光を、光分岐部101から出力された局発光を用いてコヒーレント受信する光フロントエンドである。具体的には、受信部103は、信号光と局発光とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する。受信部103は、ディジタルの信号に変換した信号を分散補償部104へ出力する。
【0019】
分散補償部104は、受信部103から出力された信号の波長分散を補償する。具体的には、分散補償部104は、受信部103から出力された信号に対して所定の波長分散特性(波長透過特性)を与えることで波長分散を補償する。ただし、分散補償部104による波長分散を補償する処理は、波長分散をゼロにする処理に限らず、たとえば波長分散を小さくする処理であればよい。分散補償部104は、波長分散を補償した信号を位相処理部105へ出力する。
【0020】
位相処理部105は、測定部102から通知された位相変動に基づいて、分散補償部104から出力された信号の位相を回転させる。これにより、分散補償部104から出力された信号に含まれる信号光と局発光との位相差のうちの、局発光の位相変動に起因する位相差を補償することができる。ただし、位相処理部105による位相差を補償する処理は、位相差をゼロにする処理に限らず、たとえば位相差を小さくする処理であればよい。
【0021】
また、位相処理部105は、測定部102から通知された位相変動に対して、分散補償部104における波長分散特性と同様の波長分散特性が与えられた位相変動に基づいて信号の位相を回転させる。これにより、分散補償部104から出力された信号に含まれる局発光成分における、分散補償部104の分散補償による波形劣化を補償(小さく)することができる。このため、信号に含まれる信号光と局発光との位相差のうちの、局発光の位相変動に起因する位相差を精度よく補償(小さく)することができる。
【0022】
位相処理部105は、位相を回転させた信号を識別部106へ出力する。識別部106は、位相処理部105から出力された信号を識別する。たとえば、具体的には、識別部106は、信号が示す位相および振幅の組み合わせを復調することで信号を識別する。識別部106は、識別したデータを出力する。
【0023】
図1に示した光受信装置100によれば、信号光と混合していない局発光の位相変動を測定し、測定結果に基づく位相回転処理を行うことができる。これにより、局発光の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差を補償することができる。さらに、測定結果に基づく位相回転処理を波長分散補償の後段で行うことで、1シンボル内での変動が無視できるレベルになるので、位相回転処理の対象の信号の最高周波数が半減する。このため、ナイキストの定理(標本化定理)により、位相回転処理を低速にしても、局発光の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差の補償が可能になる。このため、ディジタル処理における省電力化を図ることができる。
【0024】
また、光受信装置100は、局発光の位相変動に対して、波長分散補償の所定の波長分散特性と同様の波長分散特性が与えられた位相変動に基づいて位相回転処理を行うことができる。これにより、波長分散補償による局発光成分の波形劣化を補償することができる。このため、位相回転処理を波長分散補償の後段で行っても、局発光の位相変動に起因する位相差を精度よく補償することができる。
【0025】
<実施の形態1にかかる光受信装置の実施例1>
図2−1は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例1を示す図である。図2−2は、図2−1に示したディジタル処理部の構成例を示す図である。図2−1および図2−2に示す光受信装置200は、図1に示した光受信装置100の実施例1である。光受信装置200は、入力された信号光を、ディジタルコヒーレント方式で受信する光受信装置である。ここでは、光受信装置200が受信する信号光は、多値位相変調された複数の信号光が偏波多重された信号光であるとする。
【0026】
図2−1に示すように、光受信装置200は、偏光ビームスプリッタ211,215と、局発光源212(LO:Local Oscillator)と、光分岐部213と、遅延部214と、光位相ハイブリッド干渉計221,222と、受光部231〜234と、コンデンサ235〜238と、アナログ−ディジタル変換器240(ADC:Analog/Digital Converter)と、位相変動測定部250と、アナログ−ディジタル変換器260(ADC)と、可変遅延部271と、遅延制御部272と、補償値算出部273と、ディジタル処理部280(DSPU:Digital Signal Processing unit)と、を備えている。DSPU 280は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)などの半導体集積回路で実現される。アナログ−ディジタル変換器240もDSPU 280と同一の半導体集積回路に組み込まれる場合もある。
【0027】
図1に示した光分岐部101は、たとえば光分岐部213によって実現することができる。図1に示した測定部102は、たとえば位相変動測定部250によって実現することができる。図1に示した受信部103は、たとえば光位相ハイブリッド干渉計221,222、受光部231〜234およびアナログ−ディジタル変換器240によって実現することができる。
【0028】
偏光ビームスプリッタ211は、光受信装置200へ入力された信号光を偏波ごとに分離する。たとえば、偏光ビームスプリッタ211は、入力された信号光をX偏波の信号光とY偏波の信号光に分離する。偏光ビームスプリッタ211は、分離した各信号のうちのX偏波の信号光を光位相ハイブリッド干渉計221へ出力するとともに、Y偏波の信号光を光位相ハイブリッド干渉計222へ出力する。
【0029】
局発光源212は、局発光を発振して光分岐部213へ出力する。局発光源212が出力する励起光の波長は、光受信装置200が受信する信号光の波長とほぼ同じ波長とする。光分岐部213は、局発光源212から出力された局発光を分岐する。光分岐部213は、分岐した各局発光をそれぞれ遅延部214および位相変動測定部250へ出力する。遅延部214は、光分岐部213から出力された局発光を遅延させ、遅延させた局発光を偏光ビームスプリッタ215へ出力する。
【0030】
偏光ビームスプリッタ215は、光分岐部213から出力された局発光を偏波ごとに分離する。偏光ビームスプリッタ215は、入力された局発光をX偏波の局発光とY偏波の局発光に分離する。偏光ビームスプリッタ215は、分離した各局発光のうち、X偏波の局発光を光位相ハイブリッド干渉計221へ出力するとともに、Y偏波の局発光を光位相ハイブリッド干渉計222へ出力する。
【0031】
光位相ハイブリッド干渉計221は、偏光ビームスプリッタ211から出力されたX偏波の信号光と、局発光源212から出力されたX偏波の局発光と、に基づくコヒーレント検波を行う。具体的には、光位相ハイブリッド干渉計221は、信号光と局発光とを2種類以上の異なる位相で混合することにより、信号光のIチャンネルの振幅および位相を示す信号光と、信号光のQチャンネルの振幅および位相を示す信号光と、を出力する(たとえば図3参照)。
【0032】
光位相ハイブリッド干渉計222は、偏光ビームスプリッタ211から出力されたY偏波の信号光と、局発光源212から出力されたY偏波の局発光と、に基づくコヒーレント検波を行う。具体的には、光位相ハイブリッド干渉計222は、信号光と局発光とを2種類以上の異なる位相で混合することにより、信号光のIチャンネルの振幅および位相を示す信号光と、信号光のQチャンネルの振幅および位相を示す信号光と、を出力する(たとえば図3参照)。
【0033】
受光部231は、光位相ハイブリッド干渉計221から出力されたIチャンネルの信号光を受光する。受光部232は、光位相ハイブリッド干渉計221から出力されたQチャンネルの信号光を受光する。受光部233は、光位相ハイブリッド干渉計222から出力されたIチャンネルの信号光を受光する。受光部234は、光位相ハイブリッド干渉計222から出力されたQチャンネルの信号光を受光する。
【0034】
受光部231〜234は、受光した信号光に応じた信号(電気信号)を凡そ線形な入出力特性を保って増幅し、それぞれコンデンサ235〜238を介してアナログ−ディジタル変換器240へ出力する。アナログ−ディジタル変換器240は、受光部231〜234から出力された各信号を後段のディジタル信号処理のために充分な電圧分解能を有する個数の並列のディジタルの信号に変換し、並列のディジタルの信号に変換した各信号をディジタル処理部280へ出力する。
【0035】
位相変動測定部250は、光分岐部213から出力された局発光の位相変動Δφを測定する(たとえば図4参照)。位相変動Δφは、たとえば、単位時間(たとえば1タイムスロット)ごとの位相の変化量である。位相変動測定部250は、測定した位相変動Δφを示す位相変動信号をアナログ−ディジタル変換器260へ出力する。
【0036】
アナログ−ディジタル変換器260は、位相変動測定部250から出力された位相変動信号を後段のディジタル信号処理のために充分な電圧分解能を有する個数の並列のディジタル信号に変換し、並列のディジタル信号に変換した位相変動信号を可変遅延部271へ出力する。可変遅延部271は、アナログ−ディジタル変換器260から出力された位相変動信号を可変の量だけ遅延させ、遅延させた位相変動信号を補償値算出部273へ出力する(たとえば図5参照)。可変遅延部271による遅延量は遅延制御部272によって制御される。
【0037】
補償値算出部273には、ディジタル処理部280から出力される分散補償パラメータと、可変遅延部271から出力された位相変動信号(Δφ)と、が入力される。分散補償パラメータは、ディジタル処理部280の分散補償処理において信号に与えられる所定の波長分散特性を示す情報である。補償値算出部273は、入力された分散補償パラメータと位相変動信号に基づいて、ディジタル処理部280における各補償値を算出する。
【0038】
具体的には、補償値算出部273は、ディジタル処理部280の振幅調整における振幅補償値を算出する(たとえば図6参照)。また、補償値算出部273は、ディジタル処理部280の位相回転における位相補償値を算出する(たとえば図6参照)。補償値算出部273は、算出した振幅補償値および位相補償値をディジタル処理部280へ出力する。
【0039】
図2−2に示すように、ディジタル処理部280は、波長分散補償部281と、適応等化部282と、間引き部283と、振幅調整部284と、位相回転部285と、周波数/位相処理部286と、復号部287と、を備える信号処理装置である。図1に示した分散補償部104は、たとえば波長分散補償部281によって実現することができる。図1に示した位相処理部105は、たとえば位相回転部285によって実現することができる。図1に示した識別部106は、たとえば復号部287によって実現することができる。
【0040】
波長分散補償部281には、アナログ−ディジタル変換器240から出力された各信号が入力される。波長分散補償部281は、入力された各信号に対して、所定の波長分散特性を与えることによって波長分散を補償する。所定の波長分散特性は、たとえば、光受信装置200が受信する信号光が伝送路上で受けた波長分散の逆特性である。これにより、各信号の波長分散を補償することができる。波長分散補償部281は、波長分散を補償した各信号を適応等化部282へ出力する。また、波長分散補償部281は、各信号光に与えた所定の波長分散特性を示す分散補償パラメータを補償値算出部273へ出力する。
【0041】
適応等化部282は、波長分散補償部281から出力された各信号に対して適応等化型の波形歪補償を行う。具体的には、適応等化部282は、伝送路で発生する高速に変動する各信号のX偏波成分とY偏波成分とのクロストークの解消、および各信号の偏波モード分散(PMD)などの波形歪成分を補償(小さく)する。適応等化部282は、適応等化型の波形歪補償を行った各信号を間引き部283へ出力する。
【0042】
間引き部283(デシメーション部:decimation部)は、適応等化部282から出力された各信号を所定の間隔で間引くことで、適応等化部282から出力された各信号のダウンサンプリングを行う。これにより、間引き部283の後段における各信号の処理を低速にすることができる。間引き部283は、ダウンサンプリングを行った各信号を振幅調整部284へ出力する。
【0043】
振幅調整部284(振幅処理部)は、補償値算出部273から出力された振幅補償値に基づいて、間引き部283から出力された各信号の振幅を調整する(たとえば図8参照)。振幅調整部284は、振幅を調整した各信号を位相回転部285へ出力する。位相回転部285は、補償値算出部273から出力された位相補償値に基づいて、振幅調整部284から出力された各信号の位相を回転させる(たとえば図8参照)。位相回転部285は、位相を回転させた各信号を周波数/位相処理部286へ出力する。
【0044】
周波数/位相処理部286は、位相回転部285から出力された各信号に対して、周波数偏差および位相偏差の補償を行う。具体的には、周波数/位相処理部286は、各信号の周波数偏差を推定し、推定した周波数偏差の逆特性を各信号に与えることで、各信号の周波数偏差を補償する。ただし、周波数/位相処理部286による周波数偏差の補償は、周波数差をゼロにする場合に限らず、周波数差を充分に小さくするものであればよい。
【0045】
また、周波数/位相処理部286は、位相回転部285から出力された各信号に対して、局発光源212の局発光との間の位相偏差を推定して補償する。ただし、周波数/位相処理部286による位相偏差の補償は、位相偏差をゼロにする場合に限らず、位相偏差を小さくするものであればよい。周波数/位相処理部286は、周波数偏差および位相偏差の補償を行った各信号を復号部287へ出力する。
【0046】
復号部287は、周波数/位相処理部286から出力された各信号を復号(識別)する。これにより、光受信装置200へ入力された信号光に含まれる、X偏波のI,Qチャンネルの各データと、Y偏波のI,Qチャンネルの各データと、を得ることができる。復号部287は、復号により得られた各データを出力する。
【0047】
図2−1および図2−2に示した構成において、遅延制御部272によって可変遅延部271の遅延量を調整する。これにより、光分岐部213で分岐された各局発光の一方が補償値に変換されて振幅調整部284および位相回転部285へ到達する時期と、各局発光の他方が信号光と混合されて振幅調整部284および位相回転部285へ到達する時期と、を合わせることができる。なお、遅延部214を省いた構成としてもよい。
【0048】
<光位相ハイブリッド干渉計の構成例>
図3は、図2−1に示した光位相ハイブリッド干渉計の構成例を示す図である。図3に示す光位相ハイブリッド干渉計300は、図2−1に示した光位相ハイブリッド干渉計221,222のそれぞれの構成例である。光位相ハイブリッド干渉計300は、光分岐部311,312と、位相シフト部320と、合波干渉部331,332と、を備えている。なお、合波干渉部331,332は、それぞれ2入力2出力の光カプラ要素で構成されることも多い、この場合には、後段の光電気変換素子としてバランスドPDなどを用いる。
【0049】
光分岐部311は、光位相ハイブリッド干渉計300へ入力された信号光を分岐し、分岐した各信号光をそれぞれ合波干渉部331および合波干渉部332へ出力する。光分岐部312は、光位相ハイブリッド干渉計300へ入力された局発光を分岐し、分岐した各局発光をそれぞれ合波干渉部331および位相シフト部320へ出力する。位相シフト部320は、光分岐部312から出力された局発光の位相を90度(π/2)シフトさせる。位相シフト部320は、位相をシフトさせた局発光を合波干渉部332へ出力する。
【0050】
合波干渉部331は、光分岐部311から出力された信号光と、光分岐部312から出力された局発光と、を干渉させ、干渉により得られた光をIチャンネルの信号光として出力する。合波干渉部332は、光分岐部311から出力された信号光と、位相シフト部320から出力された局発光と、を干渉させ、干渉により得られた光をQチャンネルの信号光として出力する。これにより、信号光と局発光とを混合し、Iチャンネルの信号光とQチャンネルの信号光とを出力することができる。
【0051】
<位相変動測定部の構成例>
図4は、図2−1に示した位相変動測定部の構成例を示す図である。図4に示す位相変動測定部250は、図2−1に示した位相変動測定部250の構成例である。図4に示すように、位相変動測定部250は、光カプラ401と、非対称マッハツェンダ干渉計410,420と、バイアス回路431,432と、バランスドPD441,442(Balanced Photo Detector)と、増幅部451,452と、信号処理回路460と、を備えた自己遅延ホモダイン検出器である。
【0052】
位相変動測定部250へ入力された局発光は光カプラ401へ入力される。光カプラ401は、入力された局発光を分岐し、分岐した各局発光をそれぞれ非対称マッハツェンダ干渉計410,420へ出力する1×2光カプラである。
【0053】
非対称マッハツェンダ干渉計410は、光カプラ411と、遅延部412と、位相調整部413と、光カプラ414と、を含んでいる。光カプラ411は、光カプラ401から出力された局発光を分岐し、分岐した各局発光をそれぞれ遅延部412および位相調整部413へ出力する2×2光カプラである。遅延部412は、光カプラ411から出力された局発光をΔtだけ遅延させ、遅延させた局発光を光カプラ414へ出力する。位相調整部413は、光カプラ411から出力された局発光をπ/4だけ遅延させ、遅延させた局発光を光カプラ414へ出力する。光カプラ414は、遅延部412および位相調整部413から出力された各局発光を干渉させ、干渉により得られた各光をバランスドPD441へ出力する2×2光カプラである。
【0054】
非対称マッハツェンダ干渉計420は、光カプラ421と、遅延部422,位相調整部423と、光カプラ424と、を含んでいる。光カプラ421は、光カプラ401から出力された局発光を分岐し、分岐した各局発光をそれぞれ遅延部422および位相調整部423へ出力する2×2光カプラである。遅延部422は、光カプラ421から出力された局発光をΔtだけ遅延させ、遅延させた局発光を光カプラ424へ出力する。位相調整部423は、光カプラ421から出力された局発光を−π/4だけ遅延させ、遅延させた局発光を光カプラ424へ出力する。光カプラ424は、遅延部422および位相調整部423から出力された各局発光を干渉させ、干渉により得られた各光をバランスドPD442へ出力する2×2光カプラである。
【0055】
バイアス回路431は、バランスドPD441へバイアスを供給する。バイアス回路432は、バランスドPD442へバイアスを供給する。バランスドPD441は、バイアス回路431から供給されるバイアスを用いて、非対称マッハツェンダ干渉計410から出力された各光をバランス受信するバランス型のPDである。バランスドPD441は、バランス受信により得られた信号を、増幅部451を介して信号処理回路460へ出力する。バランスドPD442は、バイアス回路432から供給されるバイアスを用いて、非対称マッハツェンダ干渉計420から出力された各光をバランス受信するバランス型のPDである。バランスドPD442は、バランス受信により得られた信号を、増幅部452を介して信号処理回路460へ出力する。
【0056】
信号処理回路460は、バランスドPD441,442から出力された各信号に基づいて、位相変動測定部250へ入力された局発光の位相変動Δφを算出する。ここで、非対称マッハツェンダ干渉計410,420は、互いにπ/2の位相差があるため、バランスドPD441,442から出力された信号Pmz1,Pmz2は、たとえば下記(1)式のように表すことができる。
【0057】
Pmz1=k×cos(θ)
Pmz2=k×sin(θ) …(1)
【0058】
上記(1)式において、θは、信号処理回路460へ入力された局発光の位相を示し、kは比例定数を示している。上記(1)式により、信号処理回路460へ入力された局発光の位相θは、バランスドPD441,442から出力された信号Pmz1,Pmz2を用いて、たとえば以下のように示すことができる。
【0059】
・Pmz1≧0かつPmz2≧0の場合、θ=cos-1(Pmz1/k)
・Pmz1<0かつPmz2≧0の場合、θ=π/2+cos-1(Pmz1/k)
・Pmz1<0かつPmz2<0の場合、θ=π+cos-1(Pmz1/k)
・Pmz1≧0かつPmz2<0の場合、θ=3π/2+cos-1(Pmz1/k)
【0060】
ここで、局発光の位相変動Δφは、たとえば、非対称マッハツェンダ干渉計410,420の2つの経路の間で生じる時間差がΔtの場合における信号Pmz1,Pmz2の位相差である。したがって、信号処理回路460は、信号Pmz1,Pmz2に基づいて、以下のように位相変動Δφを算出することができる。信号処理回路460は、算出した位相変動Δφを示す位相変動信号を出力する。
【0061】
また、2πを超える位相変動Δφについては、半導体レーザの位相雑音が連続的に変化する現象を示すWiener process でモデル化し得ることが 一般に知られているので、Δφが連続的に変化する特性を利用して、2πを超えるΔφを測定することが可能になる。
【0062】
・Pmz1≧0かつPmz2≧0の場合、Δφ=cos-1(Pmz1/k)
・Pmz1<0かつPmz2≧0の場合、Δφ=π/2+cos-1(Pmz1/k)
・Pmz1<0かつPmz2<0の場合、Δφ=π+cos-1(Pmz1/k)
・Pmz1≧0かつPmz2<0の場合、Δφ=3π/2+cos-1(Pmz1/k)
【0063】
<可変遅延部の構成例>
図5は、図2−1に示した可変遅延部の構成例を示す図である。図5に示す可変遅延部271は、図2−1に示した可変遅延部271の構成例である。図5に示すように、可変遅延部271は、遅延素子511〜516と、セレクタ520と、を備えている。遅延素子511〜516は縦列配置されている。可変遅延部271へ入力された信号は、遅延素子511およびセレクタ520へ入力される。
【0064】
遅延素子511は、入力された信号を遅延させ、遅延させた信号を遅延素子512およびセレクタ520へ出力する。遅延素子512は、入力された信号を遅延させ、遅延させた信号を遅延素子513およびセレクタ520へ出力する。遅延素子513は、入力された信号を遅延させ、遅延させた信号を遅延素子514およびセレクタ520へ出力する。
【0065】
遅延素子514は、入力された信号を遅延させ、遅延させた信号を遅延素子515およびセレクタ520へ出力する。遅延素子515は、入力された信号を遅延させ、遅延させた信号を遅延素子516およびセレクタ520へ出力する。遅延素子516は、入力された信号を遅延させ、遅延させた信号をセレクタ520へ出力する。
【0066】
セレクタ520は、遅延制御部272の制御によって、セレクタ520へ入力された各信号のうちのいずれかを選択し、選択した信号を出力する。これにより、可変遅延部271へ入力された信号に可変の遅延量を与えて出力することができる。
【0067】
<補償値算出部の構成例>
図6は、図2−1に示した補償値算出部の構成例を示す図である。図6において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図6に示すように、補償値算出部273は、分散補償部601と、反転部602と、周波数変換部603と、強度算出部604と、分散補償部605と、反転部606と、を備えている。補償値算出部273へ入力された位相変動信号(Δφ)は、分散補償部601および周波数変換部603へ入力される。
【0068】
分散補償部601は、入力された位相変動信号(Δφ)の分散補償を、ディジタル処理部280から出力された分散補償パラメータによって行う。分散補償部601は、分散補償を行った位相変動信号を反転部602へ出力する。したがって、分散補償部601から出力される位相変動信号は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた局発光の位相変動Δφ1を示す。
【0069】
反転部602は、分散補償部601から出力された位相変動信号(Δφ1)を反転させ、反転させた信号を位相補償値としてディジタル処理部280の位相回転部285へ出力する。したがって、反転部602から出力される位相補償値は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた局発光の位相変動と逆の位相変動−Δφ1を示す。
【0070】
周波数変換部603は、入力された位相変動信号が示す位相変動Δφを周波数変動Δfに変換する。これにより、位相変動測定部250および周波数変換部603によって、局発光の周波数変動を測定する周波数測定部を実現することができる。周波数変換部603は、変換した周波数変動Δfを示す周波数変動信号を強度算出部604へ出力する。
【0071】
強度算出部604は、周波数変換部603から出力された周波数変動信号が示す周波数変動Δfに基づいて、局発光の周波数変動Δfに起因する局発光の周波数変動と波長分散補償部281との影響により発生する強度変動Δpを算出する。具体的には、強度算出部604は、各タイムスロットにおいて周波数に応じた波長分散による時間遅延を付加することで、局発光の強度変動Δpを算出する(たとえば図7−1〜図7−3参照)。強度算出部604は、算出した強度変動Δp1を示す強度変動信号を反転部606へ出力する。
【0072】
反転部606は、強度算出部604から出力された強度変動信号(Δp1)を反転させる。反転部606は、反転させた強度変動信号を振幅補償値としてディジタル処理部280の振幅調整部284へ出力する。したがって、反転部606から出力される振幅補償値は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた局発光の強度変動と逆の強度変動−Δp1を示す。なお、反転部606が出力する振幅補償値は、たとえば下記(2)式によって示すことができる。
【0073】
【数1】

【0074】
分散補償部601や分散補償部605には、たとえば、FIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタなどの時間領域の分散補償を用いることができる。または、分散補償部601や分散補償部605における分散補償には、FFT(Fast Fourier Transform)により周波数領域に変換した信号を適宜位相シフト演算し、位相シフト演算した信号をIFFT(Inverse FFT)により時間領域に変換する周波数領域の分散補償を用いてもよい。なお、周波数変動Δfや強度変動Δpは信号光のビットレートに対して十分に低速であるため、分散補償部601,605は、小規模回路のフィルタによって実現することができる。
【0075】
<局発光の強度変動の算出>
図7−1は、局発光の周波数変動の一例を示すグラフである。図7−1において、横軸は強度算出部604の入力側の時間経過を示し、縦軸は局発光の周波数を示している。タイムスロットT1〜T10は、強度算出部604の入力側の時間経過における各タイムスロットを示している。周波数変動信号711〜720は、それぞれタイムスロットT1〜T10において強度算出部604へ入力される周波数変動信号(Δφ)を示している。基準周波数710は、局発光の基準の周波数を示している。
【0076】
図7−2は、周波数に応じた時間遅延の一例を示すグラフである。図7−2において、図7−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図7−2の横軸は、強度算出部604の出力側の時間経過を示している。強度算出部604は、図7−1に示した周波数変動信号711〜720に対して、それぞれ周波数変動信号711〜720が示す周波数に応じた時間遅延721〜730を与える。なお、周波数変動信号712は基準周波数710を示しているため、周波数変動信号712に対応する時間遅延722はゼロである。
【0077】
図7−3は、周波数信号に時間遅延を与えた場合の出力パワーの一例を示すグラフである。なお、図7−2の各タイムスロットT1〜T9の中に含まれる線分の長さが、各タイムスロットでの相対的なパワーになる。図7−3の縦軸は、強度算出部604の出力パワーを示している。図7−3において、図7−2に示した部分と同様の部分については説明を省略する。パワー信号731〜739は、周波数変動信号711〜720に時間遅延721〜730を与えた場合(図7−2参照)のそれぞれタイムスロットT1〜T9における出力パワーを示している。
【0078】
強度算出部604は、タイムスロットT1〜T9における局発光の強度変動Δpを示す強度変動信号としてパワー信号731〜739を出力する。図7−1〜図7−3に示したように、強度算出部604は、各タイムスロットにおいて周波数に応じた波長分散による時間遅延を付加することで、局発光の強度変動Δpを算出することができる。
【0079】
<振幅調整部および位相回転部による処理>
図8は、図2−2に示した振幅調整部および位相回転部による処理の一例を示す図である。図8において、図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。また、図8に示すディジタル処理部280において、振幅調整部284および位相回転部285以外の処理部については図示を省略している。図8に示す各信号(I,Q)は、振幅調整部284へ入力されたX偏波のI,Qチャンネルの各信号、または振幅調整部284へ入力されたY偏波のI,Qチャンネルの各信号である。ただし、図8においてはI,Qチャンネルの各信号を1本の線で示している。補足すると、実際のディジタル電子回路ではI,Qそれぞれ片方だけでも、複数の並列ディジタル信号となっている。
【0080】
振幅調整部284は、入力された各信号(I,Q)の振幅を、上記(2)式に示した補償値算出部273からの振幅補償値によって調整する。たとえば、振幅調整部284は、下記(3)式によって各信号(I,Q)の振幅を調整する。
【0081】
【数2】

【0082】
上述したように、上記(2)式に示した振幅補償値は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた局発光の強度変動Δp1の逆の強度変動−Δp1を示す。したがって、上記(3)式によって各信号(I,Q)の振幅を調整することで、局発光の位相変動に起因する各信号(I,Q)の強度変動を補償(小さく)することができる。振幅調整部284は、振幅を調整した各信号(I1,Q1)を位相回転部285へ出力する。
【0083】
位相回転部285は、振幅調整部284から出力された各信号(I1,Q1)の位相を、補償値算出部273からの位相補償値(−Δφ1)によって回転させる。たとえば、位相回転部285は、下記(4)式によって各信号(I1,Q1)の位相を回転させる。
【0084】
【数3】

【0085】
上述したように、位相補償値(−Δφ1)は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた局発光の位相変動Δφ1の逆の位相変動−Δφ1を示す。したがって、上記(4)式によって各信号(I1,Q1)の位相を回転させることで、局発光の位相変動に起因する、各信号(I1,Q1)における信号光と局発光との位相差を補償(小さく)することができる。位相回転部285は、位相を回転させた各信号(I2,Q2)を出力する。
【0086】
<実施の形態1にかかる光受信装置の実施例2>
図9は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例2のディジタル処理部の構成例を示す図である。図9において、図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図9に示すように、光受信装置200において、位相回転部285を振幅調整部284の前段に設ける構成としてもよい。この場合においても、図2−1および図2−2に示した光受信装置200と同様の効果を得ることができる。
【0087】
<実施の形態1にかかる光受信装置の実施例3>
図10は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例3を示す図である。図10において、図2−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図10に示すように、光受信装置200は、図2−1に示した位相変動測定部250に代えて、周波数変動測定部1001および位相変換部1002を備えていてもよい。
【0088】
この場合は、図1に示した測定部102は、たとえば周波数変動測定部1001および位相変換部1002によって実現することができる。光分岐部213は、分岐した各局発光を周波数変動測定部1001および遅延部214へ出力する。周波数変動測定部1001は、光分岐部213から出力された局発光の周波数変動Δfを測定し、測定した周波数変動Δfを示す周波数変動信号をアナログ−ディジタル変換器260へ出力する。
【0089】
アナログ−ディジタル変換器260は、周波数変動測定部1001から出力された周波数変動信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換した周波数変動信号を位相変換部1002へ出力する。位相変換部1002は、アナログ−ディジタル変換器260から出力された周波数変動信号が示す周波数変動Δfを位相変動Δφに変換する。たとえば、位相変換部1002は、下記(5)式によって周波数変動Δfを位相変動Δφに変換することができる。
【0090】
【数4】

【0091】
すなわち、位相変換部1002は、周波数変動Δfを時間により積分することによって周波数変動Δfを位相変動Δφに変換することができる。これにより、位相変動測定部250を設けなくても局発光の位相変動Δφを測定することができる。位相変換部1002は、変換した位相変動Δφを示す位相変動信号を可変遅延部271へ出力する。可変遅延部271は、位相変換部1002から出力された位相変動信号を遅延させる。
【0092】
また、図10に示した構成において、図9に示したディジタル処理部280のように、位相回転部285を振幅調整部284の前段に設ける構成としてもよい。この場合においても、図10に示した光受信装置200と同様の効果を得ることができる。
【0093】
<実施の形態1にかかる光受信装置の実施例4>
図11−1は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例4を示す図である。図11−2は、図11−1に示したディジタル処理部の構成例を示す図である。図11−1および図11−2において、図2−1および図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図11−2に示すように、光受信装置200は、図2−2に示した振幅調整部284を省いた構成にしてもよい。
【0094】
図11−1および図11−2に示す構成においては、補償値算出部273は、振幅補償値を算出しなくてもよい。図11−1および図11−2に示す構成においても、たとえば局発光の周波数変動Δfが小さい場合には、2πの範囲の位相変化の補償を波長分散補償部281の後段で行うことで、充分な補償を行うことができる。
【0095】
図12は、図11−1に示した補償値算出部の構成例を示す図である。図12において、図6に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図12に示すように、図11−1に示した光受信装置200の補償値算出部273は、図6に示した周波数変換部603、強度算出部604、分散補償部605および反転部606を省いた構成にしてもよい。補償値算出部273は、位相補償値(−Δφ1)を算出してディジタル処理部280へ出力する。
【0096】
<位相回転部による処理>
図13は、図11−2に示した位相回転部による処理の一例を示す図である。図13において、図8に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図13に示す各信号(I,Q)は、位相回転部285へ入力されたX偏波のI,Qチャンネルの各信号、または位相回転部285へ入力されたY偏波のI,Qチャンネルの各信号である。ただし、図13においてはI,Qチャンネルの各信号を1本の線で示している。
【0097】
位相回転部285は、入力された各信号(I,Q)の位相を、補償値算出部273からの位相補償値(−Δφ1)によって回転させる。たとえば、位相回転部285は、下記(6)式によって各信号(I,Q)の位相を回転させる。位相回転部285は、位相を回転させた各信号(I1,Q1)を出力する。
【0098】
【数5】

【0099】
<実施の形態1にかかる光受信装置の実施例5>
図14は、実施の形態1にかかる光受信装置の実施例5を示す図である。図14に示す光受信装置200は、実施例3(図10)と実施例4(図11−1〜図13)を組み合わせた構成である。図14において、図10,図11−1〜図13に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図14に示すように、光受信装置200は、図2−1に示した位相変動測定部250に代えて周波数変動測定部1001および位相変換部1002を備えるとともに、振幅調整部284を省いた構成にしてもよい。
【0100】
このように、実施の形態1にかかる光受信装置100,200によれば、ディジタルコヒーレント受信において、信号光と混合していない局発光の位相変動を測定し、測定結果に基づく位相回転処理を行うことができる。これにより、局発光の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差を補償することができる。
【0101】
さらに、測定結果に基づく位相回転処理を波長分散補償の後段で行うことで、位相回転処理の対象の信号の最高周波数が低下する。このため、ナイキストの定理(標本化定理)により、位相回転処理を低速にしても、局発光の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差の補償が可能になる。たとえば、波長分散補償部281の後段で間引き部283によって各信号をダウンサンプリングすることで位相回転部285の処理を低速にすることができる。このため、ディジタル処理における省電力化を図ることができる。
【0102】
また、光受信装置100,200によれば、局発光の位相変動に対して、波長分散補償の所定の波長分散特性と同様の波長分散特性が与えられた位相変動に基づいて位相回転処理を行うことができる。これにより、波長分散補償による局発光成分の波形劣化を補償することができる。このため、位相回転処理を波長分散補償の後段で行っても、局発光の位相変動に起因する位相差を精度よく補償することができる。
【0103】
また、局発光の周波数変動の測定結果に基づいて、局発光の周波数変動に起因する強度変動を算出し、算出した強度変動に基づく振幅調整処理を行うことができる。これにより、局発光の位相変動に起因する強度変動を補償することができる。
【0104】
さらに、振幅調整処理を波長分散補償の後段で行うことで、振幅調整処理の対象の信号の最高周波数が低下する。このため、ナイキストの定理により、振幅調整処理を低速にしても、局発光の位相変動に起因する強度変動の補償が可能になる。たとえば、波長分散補償部281の後段で間引き部283によって各信号をダウンサンプリングすることで振幅調整部284の処理を低速にすることができる。このため、ディジタル処理における省電力化を図ることができる。
【0105】
また、光受信装置100,200によれば、局発光の周波数変動に対して、波長分散補償の所定の波長分散特性と同様の波長分散特性が与えられた周波数変動に基づいて振幅調整処理を行うことができる。これにより、波長分散補償によって拡大された局発光成分の強度変動を補償することができる。このため、振幅調整処理を波長分散補償の後段で行っても、局発光の周波数変動に起因する強度変動を精度よく補償することができる。
【0106】
光受信装置200によれば、偏波多重された信号光を受信する場合に、2つの偏波の信号を分離した後でディジタル信号処理を行うため、2πの範囲を超える位相変動(周波数変動)を補償することができる。
【0107】
(実施の形態2)
上述した従来技術(たとえば上記非特許文献2)では、送信側のレーザ光源において発生した位相変動に起因する信号光と局発光との位相差を補償することができないという問題がある。これに対して、たとえば上記非特許文献3の技術のように、信号光に含まれるパイロット・サブチャンネルの光位相を測定し、測定結果に基づいて位相差を補償することが考えられる。しかしながら、上記非特許文献3の技術では、局発光と信号光とを干渉(混合)させた信号に基づいて信号光の光位相を算出するため、局発光の位相変動によって測定結果に誤差が生じるという問題がある。
【0108】
これに対して、実施の形態2にかかる光受信装置100は、信号光のレーザ光源の位相変動を精度よく測定することで、位相変動に起因する信号光のレーザ光源の光と局発光との位相差を精度よく補償し、伝送品質を向上させる。
【0109】
図15は、実施の形態2にかかる光受信装置を示す図である。図15において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図15に示すように、実施の形態2にかかる光受信装置100は、図1に示した光分岐部101、測定部102および分散補償部104に代えて光分岐部1501および測定部1502を備えている。光分岐部1501には、光受信装置100が受信する信号光が入力される。光分岐部1501は、入力された信号光を分岐し、分岐した各信号光をそれぞれ測定部1502および受信部103へ出力する。
【0110】
測定部1502は、光分岐部1501から出力された信号光の位相変動を測定することで、信号光の送信側のレーザ光源の位相変動を測定する。たとえば、信号光がコヒーレントOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)によって伝送される信号である場合は、測定部1502は、信号光に含まれるパイロット信号(パイロット・サブチャンネル)を抽出する。
【0111】
そして、測定部1502は、抽出したパイロット信号の位相変動を測定する。パイロット信号は、固定パターンであるため、送信側のレーザ光源に対して一定の周波数偏差を保っている。このため、パイロット信号の位相変動を測定することで、送信側の光源の位相変動を精度よく測定することができる。測定部1502は、測定した位相変動を位相処理部105へ通知する。
【0112】
受信部103には、光分岐部1501から出力された信号光と、局発光と、が入力される。局発光は、光受信装置100の内部の光源によって発振された局発光でもよいし、光受信装置100が設けられた受信局の光源によって発振された局発光でもよい。受信部103は、光分岐部1501から出力された信号光を、入力された局発光を用いて受信する。
【0113】
位相処理部105は、測定部1502から通知された位相変動に基づいて、受信部103から出力された信号の位相を回転させる。これにより、受信部103から出力された信号に含まれる信号光と局発光との位相差のうちの、信号光のレーザ光源の位相変動に起因する位相差を補償(小さく)することができる。
【0114】
図15に示した光受信装置100によれば、局発光と混合していない信号光のレーザ光源の位相変動を測定することができる。これにより、局発光に位相変動が生じていても、信号光の位相変動を精度よく測定することができる。このため、位相変動の測定結果による位相回転処理を行うことで、信号光のレーザ光源の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差を精度よく補償することができる。
【0115】
<実施の形態2にかかる光受信装置の実施例1>
図16−1は、実施の形態2にかかる光受信装置の実施例1を示す図である。図16−2は、図16−1に示したディジタル処理部の構成例を示す図である。図16−1および図16−2において、図2−1および図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0116】
図16−1に示すように、実施の形態2にかかる光受信装置200は、図2−1に示した光分岐部213、遅延部214および位相変動測定部250に代えて、光分岐部1601と、光バンドパスフィルタ1602(BPF:Band Pass Filter)と、位相変動測定部1603と、遅延部1604と、を備えている。
【0117】
光分岐部1601は、光受信装置200へ入力された信号光を分岐し、分岐した各信号光をそれぞれ偏光ビームスプリッタ211および光バンドパスフィルタ1602へ出力する。偏光ビームスプリッタ211は、光分岐部1601から出力された信号光を偏波ごとに分離する。光バンドパスフィルタ1602は、光分岐部1601から出力された信号光の特定波長を透過させることにより、信号光に含まれるパイロット信号を抽出する。光バンドパスフィルタ1602は、抽出したパイロット信号を位相変動測定部1603へ出力する。
【0118】
位相変動測定部1603は、光バンドパスフィルタ1602から出力されたパイロット信号の位相変動を測定することで、信号光のレーザ光源の位相変動Δφsを測定する。位相変動測定部1603は、測定した位相変動Δφsを示す位相変動信号をアナログ−ディジタル変換器260へ出力する。位相変動測定部1603の構成例は、たとえば図4に示した位相変動測定部250の構成例と同様である。アナログ−ディジタル変換器260は、位相変動測定部1603から出力された位相変動信号(Δφs)をディジタルの信号に変換する。
【0119】
補償値算出部273は、可変遅延部271から出力された位相変動信号(Δφs)に基づいてディジタル処理部280における信号の補償値を算出する。たとえば、補償値算出部273は、可変遅延部271から出力された位相変動信号が示す位相変動Δφsを反転させる。補償値算出部273は、反転させた位相変動−Δφsを位相補償値としてディジタル処理部280へ出力する。
【0120】
図16−2に示すように、実施の形態2にかかるディジタル処理部280は、位相回転部285と、波長分散補償部281と、適応等化部282と、周波数/位相処理部286と、復号部287と、を備えている。図16−2に示すディジタル処理部280においては、位相回転部285は、波長分散補償部281の前段に設けられている。位相回転部285には、アナログ−ディジタル変換器240から出力された各信号が入力される。
【0121】
位相回転部285は、補償値算出部273から出力された位相補償値に基づいて、入力された各信号の位相を回転させる。たとえば、位相回転部285は上記(6)式によって各信号(I,Q)の位相を回転させる。ただし、この場合は上記(6)式の位相変動−Δφ1を位相変動−Δφsに置き換えるものとする。なお、図16−1および図16−2に示す構成においては、波長分散補償部281は分散補償パラメータを補償値算出部273へ出力しなくてもよい。
【0122】
図16−1および図16−2に示した構成において、遅延制御部272によって可変遅延部271の遅延量を調整する。これにより、光分岐部1601に分岐された各信号光の一方が補償値に変換されて位相回転部285へ到達する時期と、各信号光の他方が局発光と混合されて位相回転部285へ到達する時期と、を合わせることができる。なお、遅延部1604を省いた構成としてもよい。
【0123】
<実施の形態2にかかる光受信装置の実施例2>
図17は、実施の形態2にかかる光受信装置の実施例2を示す図である。図17において、図16−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図17に示すディジタル処理部280の構成例は、図16−2に示した構成例と同様である。図17に示すように、実施の形態2にかかる光受信装置200は、図16−1に示した位相変動測定部1603に代えて、周波数変動測定部1701および位相変換部1702を備えていてもよい。
【0124】
この場合は、図15に示した測定部102は、周波数変動測定部1701および位相変換部1702によって実現することができる。光バンドパスフィルタ1602は、抽出したパイロット信号を周波数変動測定部1701へ出力する。周波数変動測定部1701は、光バンドパスフィルタ1602から出力されたパイロット信号の周波数変動を測定することで、信号光のレーザ光源の周波数変動Δfsを測定する。周波数変動測定部1701は、測定した周波数変動Δfsを示す周波数変動信号をアナログ−ディジタル変換器260へ出力する。
【0125】
アナログ−ディジタル変換器260は、周波数変動測定部1701から出力された周波数変動信号(Δfs)をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換した周波数変動信号を位相変換部1702へ出力する。位相変換部1702は、アナログ−ディジタル変換器260から出力された周波数変動信号が示す周波数変動Δfsを位相変動Δφsに変換する。
【0126】
たとえば、位相変換部1702は、上記(5)式と同様に、周波数変動Δfsを時間により積分することによって周波数変動Δfsを位相変動Δφsに変換することができる。これにより、信号光のレーザ光源の周波数変動Δfsを測定することができる。位相変換部1702は、変換した位相変動Δφsを示す位相変動信号を可変遅延部271へ出力する。可変遅延部271は、位相変換部1702から出力された位相変動信号を遅延させる。
【0127】
<実施の形態2にかかる光受信装置の実施例3>
図18は、実施の形態2にかかる光受信装置の実施例3を示す図である。図18において、図16−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図18に示すディジタル処理部280の構成例は、図2−2に示した構成例と同様である。補償値算出部273には、ディジタル処理部280から出力される分散補償パラメータと、可変遅延部271から出力された位相変動信号(Δφs)と、が入力される。
【0128】
補償値算出部273は、入力された分散補償パラメータと位相変動信号に基づいて、ディジタル処理部280における各補償値を算出する。分散補償パラメータと位相変動信号(Δφs)に基づく各補償値の算出は、図6に示した分散補償パラメータと位相変動信号(Δφ)に基づく各補償値の算出と同様である。
【0129】
このように、実施の形態2にかかる光受信装置100,200によれば、局発光と混合していない信号光のレーザ光源の位相変動を測定することができる。これにより、局発光に位相変動が生じていても、信号光のレーザ光源の位相変動を精度よく測定することができる。このため、位相変動の測定結果による位相回転処理を行うことで、信号光のレーザ光源の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差を精度よく補償することができる。
【0130】
また、図18および図2−2に示したように、測定結果に基づく位相回転処理を波長分散補償の後段で行うことで、位相回転処理の対象の信号の最高周波数が低下する。このため、ナイキストの定理(標本化定理)により、位相回転処理を低速にしても、信号光のレーザ光源の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差の補償が可能になる。たとえば、波長分散補償部281の後段で間引き部283によって各信号をダウンサンプリングすることで位相回転部285の処理を低速にすることができる。このため、ディジタル処理における省電力化を図ることができる。
【0131】
さらに、振幅調整処理を波長分散補償の後段で行うことで、振幅調整処理の対象の信号の最高周波数が低下する。このため、ナイキストの定理により、振幅調整処理を低速にしても、信号光の位相変動に起因する強度変動の補償が可能になる。たとえば、波長分散補償部281の後段で間引き部283によって各信号をダウンサンプリングすることで振幅調整部284の処理を低速にすることができる。このため、ディジタル処理における省電力化を図ることができる。
【0132】
光受信装置200によれば、偏波多重された信号光を受信する場合に、2つの偏波の信号を分離した後でディジタル信号処理を行うため、2πの範囲を超える位相変動(周波数変動)を補償することができる。
【0133】
(実施の形態3)
図19は、実施の形態3にかかる光受信装置を示す図である。図19において、図1または図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態3にかかる光受信装置100は、上述した実施の形態1,2を組み合わせた構成である。図19に示すように、実施の形態3にかかる光受信装置100は、光分岐部101(第一光分岐部)と、測定部102(第一測定部)と、受信部103と、分散補償部104と、位相処理部105と、識別部106と、光分岐部1501(第二光分岐部)と、測定部1502(第二測定部)と、を備えている。
【0134】
位相処理部105は、測定部102から通知された局発光の変動信号と、測定部1502から通知された信号光の変動信号と、の差分の位相変動に基づいて、分散補償部104から出力された信号の位相を回転させる。これにより、分散補償部104から出力された信号に含まれる信号光と局発光との位相差のうちの、局発光の位相変動および信号光の位相変動に起因する位相差を補償することができる。
【0135】
また、位相処理部105は、局発光の変動信号の位相変動に対して、分散補償部104における波長分散特性と逆の波長分散特性が与えられた位相変動、および、送信側レーザ光源の位相変動を表す測定部1502からの位相変動に基づいて信号の位相を回転させる。これにより、分散補償部104から出力された信号に含まれる局発光成分における、分散補償部104の分散補償による波形劣化を補償(小さく)することができる。このため、信号に含まれる信号光と局発光との位相差のうちの、局発光の位相変動および信号光の位相変動に起因する位相差を精度よく補償(小さく)することができる。
【0136】
図19に示した光受信装置100によれば、信号光と混合していない局発光の位相変動と、局発光と混合していない信号光の位相変動と、を測定し、位相回転処理を行うことができる。これにより、局発光の位相変動および信号光のレーザ光源の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差を補償することができる。これにより、伝送特性を向上させることができる。
【0137】
さらに、測定結果に基づく位相回転処理を波長分散補償の後段で行うことで、位相回転処理の対象の信号の最高周波数が低下する。このため、ナイキストの定理(標本化定理)により、位相回転処理を低速にしても局発光の位相変動および信号光の位相変動に起因する信号光と局発光との位相差の補償が可能になる。このため、ディジタル処理における省電力化を図ることができる。
【0138】
また、光受信装置100は、信号光と局発光の位相変動の差分に対して、波長分散補償の所定の波長分散特性と同様の波長分散特性が与えられた位相変動に基づいて位相回転処理を行うことができる。これにより、波長分散補償による局発光成分の波形劣化を補償することができる。このため、位相回転処理を波長分散補償の後段で行っても、局発光の位相変動に起因する位相差を精度よく補償することができる。
【0139】
<実施の形態3にかかる光受信装置の実施例1>
図20は、実施の形態3にかかる光受信装置の実施例1を示す図である。図20において、図2−1または図16−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図20に示すディジタル処理部280の構成例は、図2−2に示した構成例と同様である。図20に示すように、実施の形態3にかかる光受信装置200は、図2−1に示した構成に加えて、光分岐部1601と、光バンドパスフィルタ1602と、位相変動測定部1603と、遅延部1604と、可変遅延部2001と、を備えている。
【0140】
アナログ−ディジタル変換器260には、局発光の位相変動Δφを示す位相変動信号と、信号光の光源レーザの位相変動Δφsを示す位相変動信号と、が入力される。アナログ−ディジタル変換器260は、入力された各位相変動信号をディジタルの信号に変換する。アナログ−ディジタル変換器260は、変換した各位相変動信号をそれぞれ可変遅延部271,2001へ出力する。
【0141】
可変遅延部271は、アナログ−ディジタル変換器260から出力された位相変動信号(Δφ)を可変の量だけ遅延させて補償値算出部273へ出力する。可変遅延部2001は、アナログ−ディジタル変換器260から出力された位相変動信号(Δφs)を可変の量だけ遅延させて補償値算出部273へ出力する。可変遅延部271,2001による遅延量のそれぞれは、遅延制御部272によって制御される。
【0142】
補償値算出部273には、ディジタル処理部280から出力される分散補償パラメータと、可変遅延部271,2001から出力された位相変動信号(Δφ)および位相変動信号(Δφs)と、が入力される。補償値算出部273は、入力された分散補償パラメータと位相変動信号に基づいて、ディジタル処理部280における各補償値を算出する。
【0143】
<補償値算出部の構成例>
図21は、図20に示した補償値算出部の構成例を示す図である。図21に示す補償値算出部273は、図20に示した補償値算出部273の構成例である。図21において、図6に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図21に示すように、補償値算出部273は、図6に示した構成に加えて減算部2101を備えている。
【0144】
減算部2101は、補償値算出部273へ入力された位相変動信号が示すΔφを分散補償部601に入力し、その出力信号と、位相変動信号が示すΔφsと、を減算する。減算部2101は、減算により得られた差分の位相変動を反転部602へ出力する。したがって、減算部2101から出力される位相変動信号は、局発光の位相変動Δφを分散補償部601を通した結果の信号および信号光の光源レーザの位相変動に相当するΔφsに起因する、ディジタル処理部280により処理される各信号における信号光の光源レーザと、分散補償の影響を受けた局発光との位相差変動Δφd1を示す。
【0145】
分散補償部601は、局発光の位相変動Δφの分散補償を行う。したがって、分散補償部601から出力される位相変動信号は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた、局発光の位相差変動Δφ1を示す。このΔφ1とΔφsとを減算部2102に入力し、減算部2102の出力を反転部602に入力する。したがって、反転部602から出力される位相補償値は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた、信号光と局発光との位相差変動Δφd1と逆の位相差変動−Δφd1を示す。
【0146】
周波数変換部603は、局発光の位相変動信号が示す位相差変動Δφを周波数変動に変換する。したがって、周波数変換部603から出力される周波数変動信号は、局発光の位相変動Δφに起因する、ディジタル処理部280により処理される各信号における局発光の周波数変動Δfを示す。したがって、強度算出部604から出力される強度変動信号は、局発光の位相変動Δφに基づく周波数変動と波長分散補償部281との影響により発生する強度変動Δp1を示す。
【0147】
したがって、反転部606から出力される振幅補償値は、ディジタル処理部280における波長分散補償部281の分散補償によって影響を受けた、局発光の強度差変動Δp1と逆の強度差変動−Δp1を示す。
【0148】
ディジタル処理部280の振幅調整部284は、補償値算出部273から出力された振幅補償値(−Δp1)に基づいて各信号の振幅を調整する。ディジタル処理部280の位相回転部285は、補償値算出部273から出力された位相補償値(−Δφd1)に基づいて各信号の位相を回転させる。
【0149】
また、図21に示した構成において、図9に示したディジタル処理部280のように、位相回転部285を振幅調整部284の前段に設ける構成としてもよい。この場合においても、図20に示した光受信装置200と同様の効果を得ることができる。
【0150】
<実施の形態3にかかる光受信装置の実施例2>
図22は、実施の形態3にかかる光受信装置の実施例2を示す図である。図22において、図10,図17,図20に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図22に示すように、光受信装置200は、図20に示した位相変動測定部250,1603に代えて、周波数変動測定部1001,1701および位相変換部1002を備えていてもよい。
【0151】
アナログ−ディジタル変換器260には、局発光の周波数変動Δfを示す周波数変動信号と、信号光の周波数変動Δfsを示す周波数変動信号と、が入力される。アナログ−ディジタル変換器260は、入力された各周波数変動信号をディジタルの信号に変換する。アナログ−ディジタル変換器260は、変換した各周波数変動信号をそれぞれ位相変換部1002へ出力する。
【0152】
位相変換部1002は、アナログ−ディジタル変換器260から出力された各周波数変動信号の一方が示す周波数変動Δfを位相変動Δφに変換し、変換した位相変動Δφを示す位相変動信号を可変遅延部271へ出力する。また、位相変換部1002は、アナログ−ディジタル変換器260から出力された各周波数変動信号の他方が示す周波数変動Δfsを位相変動Δφsに変換し、変換した位相変動Δφsを示す位相変動信号を可変遅延部2001へ出力する。
【0153】
可変遅延部271は、位相変換部1002から出力された周波数変動信号(Δφ)を遅延させる。可変遅延部2001は、位相変換部1002から出力された位相変動信号(Δφs)を遅延させる。
【0154】
また、図22に示した構成において、図9に示したディジタル処理部280のように、位相回転部285を振幅調整部284の前段に設ける構成としてもよい。この場合においても、図22に示した光受信装置200と同様の効果を得ることができる。このように、実施の形態3にかかる光受信装置100によれば、実施の形態1にかかる光受信装置100の効果を奏するとともに、実施の形態2にかかる光受信装置100の効果を奏する。
【0155】
図23〜図27は、同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の例を示す図である。図23〜図27において、点線枠2301は、同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の範囲を示している。図23〜図27に示した同一パッケージの半導体集積回路に実装する構成要素の例は、他の実施例の図(図10、図11−1、図14、図16−1、図17、図18、図20、図22)についても、それぞれ同様の議論が成り立つ。
【0156】
以上説明したように、光受信装置、信号処理装置および光受信方法によれば、省電力化を図ることができる。
【0157】
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0158】
(付記1)局発光を分岐する光分岐部と、
前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、
入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【0159】
(付記2)前記分散補償部は、前記変換された信号に所定の波長分散特性を与えることによって前記波長分散を小さくし、
前記位相処理部は、前記所定の波長分散特性が与えられた前記位相変動に基づいて前記位相を回転させることを特徴とする付記1に記載の光受信装置。
【0160】
(付記3)前記各局発光の一方の周波数変動を測定する周波数測定部と、
前記周波数測定部によって測定された周波数変動に基づいて、前記局発光の周波数変動に起因する強度変動を算出する算出部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の振幅を、前記算出部によって算出された強度変動に基づいて調整する振幅処理部を備えることを特徴とする付記1または2に記載の光受信装置。
【0161】
(付記4)前記分散補償部は、前記変換された信号に所定の波長分散特性を与えることによって前記波長分散を小さくし、
前記振幅処理部は、前記所定の波長分散特性が与えられた前記強度変動に基づいて前記振幅を調整することを特徴とする付記3に記載の光受信装置。
【0162】
(付記5)前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号を間引くダウンサンプリングを行う間引き部を備え、
前記位相処理部は、前記間引き部によってダウンサンプリングされた信号の位相を回転させることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の光受信装置。
【0163】
(付記6)前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号を間引くダウンサンプリングを行う間引き部を備え、
前記振幅処理部は、前記間引き部によってダウンサンプリングされた信号の振幅を調整することを特徴とする付記3または4に記載の光受信装置。
【0164】
(付記7)入力された信号光を分岐する光分岐部と、
前記光分岐部によって分岐された各信号光の一方の位相変動を測定する測定部と、
前記各信号光の他方を局発光と混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、
前記受信部によって変換された信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【0165】
(付記8)前記各信号光の一方の周波数変動を測定する周波数測定部と、
前記周波数測定部によって測定された周波数変動に基づいて、前記信号光の周波数変動に起因する強度変動を算出する算出部と、
前記受信部によって変換された信号の振幅を、前記算出部によって算出された強度変動に基づいて調整する振幅処理部を備えることを特徴とする付記7に記載の光受信装置。
【0166】
(付記9)局発光を分岐する第一光分岐部と、
入力された信号光を分岐する第二光分岐部と、
前記第一光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する第一測定部と、
前記第二光分岐部によって分岐された各信号光の一方の位相変動を測定する第二測定部と、
前記第一光分岐部によって分岐された各局発光の他方と、前記第二光分岐部によって分岐された各信号光の他方と、を混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記第一測定部および前記第二測定部によって測定された各位相変動の差に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【0167】
(付記10)偏波多重の光信号を受信することを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の光受信装置。
【0168】
(付記11)局発光を分岐する光分岐部と、前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、を備える光受信装置に適用される信号処理装置であって、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【0169】
(付記12)局発光を分岐する光分岐部と、前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、を備える光受信装置に適用される信号処理装置であって、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【0170】
(付記13)局発光を分岐する光分岐部と、前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、を備える光受信装置による光受信方法において、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくし、
波長分散を小さくした信号の位相を前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させ、
位相を回転させた信号を識別する、
ことを特徴とする光受信方法。
【符号の説明】
【0171】
100,200 光受信装置
101,213,311,312,1501,1601 光分岐部
211,215 偏光ビームスプリッタ
212 局発光源
214,412,422,1604 遅延部
221,222,300 光位相ハイブリッド干渉計
231〜234 受光部
235〜238 コンデンサ
240,260 アナログ−ディジタル変換器
250,1603 位相変動測定部
271,2001 可変遅延部
272 遅延制御部
273 補償値算出部
331,332 干渉部
401,411,414,421,424 光カプラ
410,420 非対称マッハツェンダ干渉計
413,423 位相調整部
441,442 バランスドPD
451,452 増幅部
511〜516 遅延素子
710 基準周波数
711〜720 周波数変動信号
721〜730 時間遅延
731〜739 パワー信号
1602 光バンドパスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局発光を分岐する光分岐部と、
前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、
入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【請求項2】
前記分散補償部は、前記変換された信号に所定の波長分散特性を与えることによって前記波長分散を小さくし、
前記位相処理部は、前記所定の波長分散特性が与えられた前記位相変動に基づいて前記位相を回転させることを特徴とする請求項1に記載の光受信装置。
【請求項3】
前記各局発光の一方の周波数変動を測定する周波数測定部と、
前記周波数測定部によって測定された周波数変動に基づいて、前記局発光の周波数変動に起因する強度変動を算出する算出部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の振幅を、前記算出部によって算出された強度変動に基づいて調整する振幅処理部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光受信装置。
【請求項4】
入力された信号光を分岐する光分岐部と、
前記光分岐部によって分岐された各信号光の一方の位相変動を測定する測定部と、
前記各信号光の他方を局発光と混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、
前記受信部によって変換された信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【請求項5】
局発光を分岐する第一光分岐部と、
入力された信号光を分岐する第二光分岐部と、
前記第一光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する第一測定部と、
前記第二光分岐部によって分岐された各信号光の一方の位相変動を測定する第二測定部と、
前記第一光分岐部によって分岐された各局発光の他方と、前記第二光分岐部によって分岐された各信号光の他方と、を混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記第一測定部および前記第二測定部によって測定された各位相変動の差に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする光受信装置。
【請求項6】
局発光を分岐する光分岐部と、前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、を備える光受信装置に適用される信号処理装置であって、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項7】
局発光を分岐する光分岐部と、前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、を備える光受信装置に適用される信号処理装置であって、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくする分散補償部と、
前記分散補償部によって波長分散を小さくされた信号の位相を、前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させる位相処理部と、
前記位相処理部によって位相を回転された信号を識別する識別部と、
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項8】
局発光を分岐する光分岐部と、前記光分岐部によって分岐された各局発光の一方の位相変動を測定する測定部と、入力された信号光と前記各局発光の他方とを混合して受光し、受光により得られた信号をディジタルの信号に変換する受信部と、を備える光受信装置による光受信方法において、
前記受信部によって変換された信号の波長分散を小さくし、
波長分散を小さくした信号の位相を前記測定部によって測定された位相変動に基づいて回転させ、
位相を回転させた信号を識別する、
ことを特徴とする光受信方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−175581(P2012−175581A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37685(P2011−37685)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】