説明

光変調装置

【課題】2次の非線形歪と3次の非線形歪とを同時に抑制可能な光変調装置を提供する。
【解決手段】レーザ駆動部6は、歪み検出部5からレーザ光LB3の非線形歪を示す比I1/I2を受け、電圧電流変換部3からRF電流を受ける。そして、レーザ駆動部6は、比I1/I2に基づいて、光フィルタ4が光変調器2の出力とRF電圧との関係における非線形歪を抑制するための透過特性を有するようにレーザ光源1が出射するレーザ光LB1の中心波長を決定し、その決定した中心波長とRF電流に比例した変動波長とを有するレーザ光LB1を出射するようにレーザ光源1を駆動する。レーザ光源1は、レーザ光LB1を出射し、光変調器2は、レーザ光LB1の透過強度をRF電圧に比例した透過強度に変換してレーザ光LB2を出力し、光フィルタ4は、自己の透過特性によってレーザ光LB2の非線形歪を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光変調装置に関し、特に、非線形歪みを抑制可能な光変調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、放送と通信との融合に関するサービスシステムが注目されており、放送と通信との融合システムを実現する基盤ネットワークとしてソフトウェア光ファイバ無線ネットワーク(SDNW:Software Defined Radio−on−Fiber Network)に関する研究が行なわれている。
【0003】
SDNWにおいては、RoF(Radio−on−Fiber)ネットワークがユーザの端末(携帯電話機およびPDA(Personal Digital Assistant)等)および高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)等と、インターネットとの間のリンクを構築する機能を果たす。
【0004】
そして、RoFネットワークは、UHF(Ultra High Frequency)帯のデジタル放送、2GHz帯の3G携帯電話および5GHz帯の無線LAN(IEEE802.11a,IEEE802.11n)等、強度が複雑に変化するRF信号を一括して直接光変調する必要があるため、非常にダイナミックレンジが高い、即ち、低歪/低雑音の電波の光変換技術を必要とする。
【0005】
従来、電気信号を光信号に変換する装置として電界吸収型光変調器(EAM:Electro−Absorption Modulator)が知られている(非特許文献1)。この電界吸収型光変調器は、入射された光の透過強度を印加された電圧に比例する透過強度に設定して出力するものであり、一般に歪が最小となるバイアス電圧で動作される。
【非特許文献1】Young−Shik Kang, Jiyoun Lim, Sung−Bock Kim, Jeha Kim,“Improvement of linearity in EAM by composite QWs”,International Topical Meeting on Microwave Photonics, 10−12 September, 2003.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の電界吸収型光変調器においては、マルチオクターブ伝送時の歪の原因となる2次の非線形歪と3次の非線形歪とを同時に抑制することが困難である。
【0007】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、2次の非線形歪と3次の非線形歪とを同時に抑制可能な光変調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、光変調装置は、レーザ光源と、光変調器と、光フィルタと、調整手段とを備える。レーザ光源は、レーザ光を出射する。光変調器は、レーザ光源から入射されたレーザ光の透過強度を印加電圧に比例した透過強度に設定して出力する。光フィルタは、光変調器から出力されたレーザ光の透過強度を透過特性によって調整して出力する。調整手段は、光変調器の出力と印加電圧との関係における非線形歪みを抑制するための透過特性を光フィルタが有するようにレーザ光源が出射するレーザ光の波長または光フィルタのパラメータを調整する。
【0009】
好ましくは、調整手段は、光フィルタが非線形歪みを抑制するための透過特性を有するようにレーザ光の波長を調整する。レーザ光源は、調整手段によって調整された波長を有するレーザ光を出射する。
【0010】
好ましくは、調整手段は、光フィルタの透過特性が非線形歪みを抑制するための透過特性を有するように光フィルタのパラメータを調整する。
【0011】
好ましくは、レーザ光源は、無線信号に応じて変動する波長成分を有するレーザ光を出射する。調整手段は、光フィルタが非線形歪みを抑制するための透過特性を有するように光フィルタに含まれる2つの鏡の間隔または光フィルタの屈折率を調整する。
【0012】
好ましくは、レーザ光源は、任意の単一波長を有するレーザ光を出射する。調整手段は、光フィルタが非線形歪みを抑制するための透過特性を有するように光フィルタの屈折率を無線信号に応じて調整する。
【発明の効果】
【0013】
この発明による光変調装置においては、調整手段は、光フィルタが光変調器から出力されたレーザ光の非線形歪を抑制するための透過特性を有するようにレーザ光の波長または光フィルタのパラメータを調整し、光フィルタは、透過特性によって光変調器から出力されたレーザ光の非線形歪を抑制する。つまり、光フィルタは、光変調器から出力されたレーザ光の非線形歪を自己が有する非線形歪によって抑制する。
【0014】
従って、この発明によれば、2次の非線形歪みおよび3次の非線形歪を同時に抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による光変調装置の構成を示す概略ブロック図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による光変調装置10は、レーザ光源1と、光変調器2と、電圧電流変換部3と、光フィルタ4と、歪み検出部5と、レーザ駆動部6とを備える。
【0017】
レーザ光源1は、レーザ駆動部6からの制御によって、中心波長を有するレーザ光と、無線信号(=RF電圧)に比例した変動波長を有するレーザ光とを合成したレーザ光LB1を発生し、その発生したレーザ光LB1を光変調器2へ導く。
【0018】
光変調器2は、光の透過強度が印加電圧に比例する電界吸収型光変調器(EAM)からなる。そして、光変調器2は、レーザ光源1からのレーザ光LB1の透過強度を外部から受けたRF電圧に比例する透過強度に設定してレーザ光LB2を光フィルタ4へ出力する。
【0019】
電圧電流変換部3は、外部から受けたRF電圧をRF電流に変換し、その変換したRF電流をレーザ駆動部6へ出力する。
【0020】
光フィルタ4は、光変調器2から受けたレーザ光LB2の波長に応じて透過強度を調整してレーザ光LB3を歪み検出部5および外部へ出力する。
【0021】
歪み検出部5は、光フィルタ4からレーザ光LB3を受け、その受けたレーザ光LB3の非線形歪を後述する方法によって検出する。そして、歪み検出部5は、その検出した非線形歪をレーザ駆動部6へ出力する。
【0022】
レーザ駆動部6は、歪み検出部5から非線形歪を受け、電圧電流変換部3からRF電流を受ける。そして、レーザ駆動部6は、非線形歪およびRF電流に基づいて、非線形歪を抑制するためのレーザ光の中心波長λを後述する方法によって検出し、その検出した中心波長λと、RF電圧(=RF電流)による変動波長Δλとを有するレーザ光LB1を出射するようにレーザ光源1を駆動する。
【0023】
図2は、図1に示す歪み検出部5における非線形歪の検出方法を説明するための図である。図2を参照して、光フィルタ4は、レーザ光の波長に対する透過特性T1を有する。この透過特性T1は、透過率がレーザ光の波長に対して極大値を有する特性からなる。
【0024】
そして、中心波長λおよび変動波長Δλを有するレーザ光LB2が光フィルタ4に入射すると、光フィルタ4は、レーザ光LB2の透過強度を透過特性T1によって調整してレーザ光LB3を出射する。そして、レーザ光LB3は、中心軸から上側に振幅I1を有し、中心軸から下側に振幅I2を有する。
【0025】
振幅I1が振幅I2よりも大きい領域において、非線形歪が相対的に大きいとき、振幅I1と振幅I2との比I1/I2は、“1”よりも大きくなり、非線形歪が相対的に小さいとき、振幅I1と振幅I2との比I1/I2は、“1”に近づく。
【0026】
また、振幅I1が振幅I2よりも小さい領域において、非線形歪が相対的に大きいとき、振幅I1と振幅I2との比I1/I2は、“1”よりも小さくなり、非線形歪が相対的に小さいとき、振幅I1と振幅I2との比I1/I2は、“1”に近づく。
【0027】
従って、歪み検出部5は、光フィルタ4から受けたレーザ光LB3の振幅I1と振幅I2とを検出し、その検出した振幅I1と振幅I2との比I1/I2を演算することによって非線形歪を検出する。
【0028】
図3は、図1に示すレーザ駆動部6における中心波長λの検出方法を説明するための図である。図3の(a)は、中心波長がλ01であり、RF電圧(=RF電流)による変動波長Δλを有するレーザ光LB2−λ01に対する光フィルタ4の出力(レーザ光LB3−1)を示す。この場合、レーザ光LB3−1の振幅I1は、振幅I2に略等しい(=I1/I2≒1)。即ち、レーザ光LB3−1における非線形歪は、小さい。
【0029】
また、図3の(b)は、中心波長がλ02であり、RF電圧(=RF電流)による変動波長Δλを有するレーザ光LB2−λ02に対する光フィルタ4の出力(レーザ光LB3−2)を示す。この場合、レーザ光LB3−2の振幅I1は、振幅I2よりも大きい(I1/I2>>1)。即ち、レーザ光LB3−2における非線形歪は、大きい。
【0030】
更に、図3の(c)は、中心波長がλ03であり、RF電圧(=RF電流)による変動波長Δλを有するレーザ光LB2−λ03に対する光フィルタ4の出力(レーザ光LB3−3)を示す。この場合、レーザ光LB3−3の振幅I1は、振幅I2よりも小さい(I1/I2<<1)。即ち、レーザ光LB3−3における非線形歪は、大きい。
【0031】
レーザ駆動部6は、透過特性T1を保持している。そして、レーザ駆動部6は、歪み検出部5から比I1/I2を受けると、比I1/I2および透過特性T1に基づいて、現在の中心波長を検出する。即ち、レーザ駆動部6は、歪み検出部5から比I1/I2≒1を受けると、現在の中心波長が中心波長λ01であると検出し、比I1/I2>>1を歪み検出部5から受けると、現在の中心波長が中心波長λ02であると検出し、比I1/I2<<1を歪み検出部5から受けると、現在の中心波長が中心波長λ03であると検出する。
【0032】
レーザ駆動部6は、現在の中心波長として中心波長λ01を検出すれば、その検出した中心波長λ01を維持してレーザ光源1を駆動し、現在の中心波長として中心波長λ02または中心波長λ03を検出すれば、中心波長λ02またはλ03が中心波長λ01に近づくようにレーザ光源1を駆動する。
【0033】
図4は、図1に示す変調器2の透過特性を示す図である。光変調器2は、透過特性T2を有する。そして、透過特性T2は、バイアス電圧(負のバイアス電圧)が大きくなるに従って透過率が指数関数的に減少する特性である。
【0034】
RF電圧Vが中心電圧V01、および変動電圧ΔVからなる場合、即ち、RF電圧Vが電圧V01−ΔV〜V01+ΔVの範囲で変化する場合、光変調器2は、レーザ光LB2−V01を出力する。レーザ光LB2−V01において、振幅I1は、振幅I2にほぼ等しい(=I1/I2≒1)。従って、光変調器2は、V01−ΔV〜V01+ΔVの範囲で変化するRF電圧Vが印加されると、非線形歪が小さいレーザ光LB2−V01を出力する(図4の(a)参照)。
【0035】
一方、RF電圧Vが中心電圧V02、および変動電圧ΔVからなる場合、即ち、RF電圧Vが電圧V02−ΔV〜V02+ΔVの範囲で変化する場合、光変調器2は、レーザ光LB2−V02を出力する。レーザ光LB2−V02において、振幅I1は、振幅I2よりも小さい(I1/I2<<1)。従って、光変調器2は、V02−ΔV〜V02+ΔVの範囲で変化するRF電圧Vが印加されると、非線形歪が大きいレーザ光LB2−V02を出力する(図4の(b)参照)。
【0036】
図5および図6は、それぞれ、非線形歪を抑制する方法を説明するための第1および第2の図である。図4に示すレーザ光LB2−V01およびLB2−V02の各々は、中心波長λ(中心波長λ01,λ02,λ03のいずれか)および変動波長Δλを有するため、光フィルタ4は、レーザ光LB2−V01およびLB2−V02の中心波長λおよび変動波長Δλに応じた透過特性を示す(図3参照)。
【0037】
即ち、非線形歪が小さいレーザ光LB2−V01(図5の(a)参照)が中心波長λ01を有する場合、光フィルタ4は、非線形歪が小さいレーザ光LB3−λ01を出力し(図5の(b)参照)、非線形歪が小さいレーザ光LB2−V01が中心波長λ02または中心波長λ03を有する場合、光フィルタ4は、非線形歪が大きいレーザ光LB3−λ02またはLB3−λ03を出力する(図5の(c)または(d)参照)。
【0038】
また、非線形歪が大きいレーザ光LB2−V02(図6の(a)参照)が中心波長λ01を有する場合、光フィルタ4は、非線形歪が小さいレーザ光LB3−λ01を出力し(図6の(b)参照)、非線形歪が大きいレーザ光LB2−V02が中心波長λ02または中心波長λ03を有する場合、光フィルタ4は、非線形歪が大きいレーザ光LB3−λ02またはLB3−λ03を出力する(図6の(c)または(d)参照)。
【0039】
このように、光変調器2から出力されるレーザ光LB2がバイアス電圧に対して非線形歪を持っていても、光フィルタ4に入射するレーザ光LB2の中心波長が中心波長λ01であれば、光フィルタ4は、非線形歪が小さいレーザ光LB3−λ01を出力する。
【0040】
従って、この発明においては、レーザ駆動部6は、歪み検出部5からの比I1/I2に基づいて、光フィルタ4に入射するレーザ光LB2の中心波長が中心波長λ01になるようにレーザ光源1を駆動する。
【0041】
より具体的には、比I1/I2がI1/I2<<1である場合、レーザ光源1が出射しているレーザ光LB1の中心波長が中心波長λ03に近いことを意味するので、レーザ駆動部6は、歪み検出部5から比I1/I2<<1を受けると、現在の中心波長からΔλだけ長い中心波長λ+Δλ01を有するレーザ光LB1を出射するための中心電流I01を決定し、その決定した中心電流I01にRF電流の変動分ΔIを加算して駆動電流Id1=I01±ΔIを生成し、その生成した駆動電流Id1=I01±ΔIをレーザ光源1に供給して中心波長λ+Δλ01を有するレーザ光LB1を出射するようにレーザ光源1を駆動する。この場合、レーザ光源1は、波長λ+Δλ01±Δλを有するレーザ光LB1を出射する。
【0042】
その後、レーザ駆動部6は、歪み検出部5からI1/I2>>1である比I1/I2を受けると、中心波長がΔλ02だけ短いレーザ光LB1を出射するための中心電流I02を決定し、その決定した中心電流I02にRF電流の変動分ΔIを加算して駆動電流Id2=I02±ΔIを生成し、その生成した駆動電流Id2=I02±ΔIをレーザ光源1に供給して中心波長λ+Δλ01−Δλ02を有するレーザ光LB1を出射するようにレーザ光源1を駆動する。この場合、レーザ光源1は、波長λ+Δλ01−Δλ02±Δλを有するレーザ光LB1を出射する。
【0043】
以後、レーザ駆動部6は、上述した動作を繰り返し実行してレーザ光源1から出射されるレーザ光LB1の中心波長を中心波長λ01に近づける。これによって、光フィルタ4は、非線形歪が小さいレーザ光LB3を出力する。
【0044】
このように、実施の形態1においては、光変調器2で生じた透過強度と印加電圧(=RF電圧)との関係における非線形歪を光フィルタ4で生じる透過強度と波長との関係における非線形歪によって抑制することが可能な中心波長および変動波長を有するレーザ光を発生させることによって光変調装置10から出力されるレーザ光LB3の非線形歪を小さくする。つまり、光変調器2で生じた透過強度と印加電圧(=RF電圧)との関係における非線形歪を光フィルタ4で生じる透過強度と波長との関係における非線形歪によって吸収することによって光変調装置10から出力されるレーザ光LB3の非線形歪を小さくする。
【0045】
従って、この発明によれば、2次の非線形歪および3次の非線形歪を同時に抑制できる。
【0046】
光変調装置10における全体動作について説明する。電圧電流変換部3は、無線信号(=RF電圧)を受けると、その受けたRF電圧をRF電流に変換し、その変換したRF電流をレーザ駆動部6へ出力する。
【0047】
そして、レーザ駆動部6は、電圧電流変換部3からRF電流を受け、歪み検出部5から比I1/I2を受ける。レーザ駆動部6が最初に受ける比I1/I2は、“0”であるので、レーザ駆動部6は、レーザ光源1が最初に出射するレーザ光LB1の中心波長を任意に決定し、その決定した中心波長を有するレーザ光LB1をレーザ光源1が出射するための中心電流を決定する。
【0048】
その後、レーザ駆動部6は、その決定した中心電流にRF電流の変動分を加算して駆動電流を生成し、その生成した駆動電流をレーザ光源1に供給してレーザ光源1を駆動する。
【0049】
そうすると、レーザ光源1は、レーザ光LB1を出射し、その出射したレーザ光LB1を光変調器2へ導く。そして、光変調器2は、レーザ光LB1をレーザ光源1から受け、その受けたレーザ光LB1の透過強度をRF電圧に比例した透過強度に設定してレーザ光LB2を光フィルタ4へ出力する。
【0050】
光フィルタ4は、光変調器2からレーザ光LB2を受け、その受けたレーザ光LB2の透過強度をレーザ光LB2の中心波長および変動波長に応じた透過強度に設定してレーザ光LB3を歪み検出部5および外部へ出力する。
【0051】
歪み検出部5は、光フィルタ4からレーザ光LB3を受け、その受けたレーザ光LB3の非線形歪(=比I1/I2)を検出し、その検出した比I1/I2をレーザ駆動部6へ出力する。
【0052】
そうすると、レーザ駆動部6は、歪み検出部5から受けた比I1/I2に基づいて、レーザ光LB3の非線形歪を減少させる中心波長を有するレーザ光LB1をレーザ光源1が出射するための中心電流を決定し、その決定した中心電流にRF電流の変動分を加算して駆動電流を生成する。そして、レーザ駆動部6は、その生成した駆動電流をレーザ光源1に供給してレーザ光源1を駆動する。
【0053】
レーザ光源1は、レーザ光LB1を出射し、その出射したレーザ光LB1を光変調器2へ導く。そして、光変調器2は、レーザ光LB1をレーザ光源1から受け、その受けたレーザ光LB1の透過強度をRF電圧に比例した透過強度に設定してレーザ光LB2を光フィルタ4へ出力する。
【0054】
光フィルタ4は、光変調器2からレーザ光LB2を受け、その受けたレーザ光LB2の透過強度をレーザ光LB2の中心波長および変動波長に応じた透過強度に設定してレーザ光LB3を歪み検出部5および外部へ出力する。
【0055】
歪み検出部5は、光フィルタ4からレーザ光LB3を受け、その受けたレーザ光LB3の非線形歪(=比I1/I2)を検出し、その検出した比I1/I2をレーザ駆動部6へ出力する。
【0056】
光変調装置10においては、上述した動作が繰り返し実行され、レーザ光源1は、最終的に、波長λ01±Δλを有するレーザ光LB1を出射し、光フィルタ4は、最終的に、非線形歪が小さいレーザ光LB3−λ01(図5および図6の(b)参照)を出力する。これによって、光変調装置10における全体動作が終了する。
【0057】
図7は、非線形歪の抑制に用いる光フィルタ4の透過特性T1の領域を示す概念図である。上記においては、光フィルタ4は、透過特性T1のうち、領域REG1における透過特性を用いて光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制すると説明したが、この発明においては、これに限らず、透過特性T1のうち、領域REG2における透過特性を用いて光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制してもよい。
【0058】
なお、実施の形態1においては、歪み検出部5およびレーザ駆動部6は、光変調器2の出力とRF電圧との関係における非線形歪みを抑制するための透過特性を光フィルタ4が有するようにレーザ光源1が出射するレーザ光の波長を調整する「調整手段」を構成する。
【0059】
また、レーザ駆動部6が比I1/I2およびRF電流に基づいてレーザ光LB1の波長を波長λ01±Δλに近づけてレーザ光源1を駆動することは、光フィルタ4が光変調器2の出力と印加電圧との関係における非線形歪を抑制するための透過特性を有するようにレーザ光の波長を調整することに相当する。
【0060】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2による光変調装置の構成を示す概略ブロック図である。図8を参照して、実施の形態2による光変調装置10Aは、図1に示す光変調装置10の光フィルタ4を光フィルタ4Aに代えたものであり、その他は、光変調装置10と同じである。
【0061】
なお、光変調装置10Aにおいては、歪み検出部5は、比I1/I2を光フィルタ4Aへ出力する。また、レーザ駆動部6は、中心電流IにRF電流の変動部ΔIを加算した駆動電流I±ΔIを生成し、その生成した駆動電流I±ΔIをレーザ光源1へ供給してレーザ光源1を駆動する。即ち、レーザ駆動部6は、中心波長が一定である波長λ±Δλを有するレーザ光LB1を出射するようにレーザ光源1を駆動する。
【0062】
光フィルタ4Aは、歪み検出部5から比I1/I2を受けると、その受けた比I1/I2に基づいて、透過特性を光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制するための透過特性に変える。そして、光フィルタ4Aは、光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制したレーザ光LB3を出力する。
【0063】
図9は、図8に示す光フィルタ4Aの構成を示す概略図である。図9を参照して、光フィルタ4Aは、ファイバ41と、ミラー42,43と、ピエゾ素子44と、駆動部45とを含む。
【0064】
ファイバ41は、エルビウムがドープされており、方向DR1において長さdを有する。ミラー42,43は、方向DR1においてファイバ41を両側から挟む。ピエゾ素子44は、ファイバ41の側面に接触する。駆動部45は、ピエゾ素子44に電圧を印加してファイバ41を方向DR1において伸縮させ、ファイバ41の長さdを変える。
【0065】
駆動部45が電圧V1をピエゾ素子44に印加すると、ピエゾ素子44は、方向DR1において伸縮し、ファイバ41の長さdは、d1に設定される。また、駆動部45が電圧V2をピエゾ素子44に印加すると、ピエゾ素子44は、方向DR1において伸縮し、ファイバ41の長さdは、d2に設定される。
【0066】
光フィルタ4Aは、ミラー42側から入射したレーザ光LB2をミラー42,43によって繰り返し反射し、レーザ光LB2の中心波長と波長の変動分とによって決定される透過率を有するレーザ光LB3をミラー43側から出力する。そして、ファイバ41の長さdがd1に設定された場合と、ファイバ41の長さdがd2に設定された場合とでは、レーザ光LB2に対する光フィルタ4Aの透過特性が異なる。
【0067】
図10は、図8に示す光フィルタ4Aの透過特性を示す図である。図10を参照して、光フィルタ4Aは、ファイバ41の長さdがd1であるとき、透過特性T3を有し、ファイバ41の長さdがd2(>d1)であるとき、透過特性T4を有する。
【0068】
このように、光フィルタ4Aは、ファイバ41の長さdが変化することによってレーザ光に対する透過特性が変化する。そして、この発明においては、例えば、透過特性T4の領域REG3を用いて光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制する。
【0069】
図11は、実施の形態2における非線形歪の抑制方法を説明するための概念図である。図11を参照して、レーザ光源1は、波長λ±Δλを有するレーザ光LB1を出射するので、波長λ±Δλを有するレーザ光LB2が光フィルタ4Aへ入射する。
【0070】
ファイバ41の長さdがd1に設定されている場合に、中心波長がλであり、変動波長がΔλであるレーザ光LB2が光フィルタ4Aへ入射すると、光フィルタ4Aは、透過特性T3に従ってレーザ光LB3−4を出力する。
【0071】
一方、ファイバ41の長さdがd2に設定されている場合に、中心波長がλであり、変動波長がΔλであるレーザ光LB2が光フィルタ4Aへ入射すると、光フィルタ4Aは、透過特性T4に従ってレーザ光LB3−5を出力する。
【0072】
レーザ光LB3−4においては、比I1/I2は、I1/I2>>1であり、レーザ光LB3−5においては、比I1/I2は、I1/I2≒1である。
【0073】
従って、光フィルタ4Aのファイバ41の長さdをd2に設定することによって、光フィルタ4Aは、光変調器2が出力したレーザ光LB2の非線形歪を抑制できる。
【0074】
光フィルタ4Aにおいて、透過特性T3を透過特性T4に調整する動作は、次のようになる。光フィルタ4Aの駆動部45は、歪み検出部5から比[I1/I2](>>1)を受けると、その受けた比[I1/I2]に基づいて、ファイバ41の長さdをd21に設定するための電圧V21をピエゾ素子41に印加する。
【0075】
そして、ファイバ41の長さdがd21に設定されると、光フィルタ4Aは、長さd21に対応した透過特性によってレーザ光LB2の透過率を調整してレーザ光LB3を出力する。
【0076】
その後、駆動部45は、歪み検出部5から比[I1/I2]よりも小さい比[I1/I2](>>1)を受けると、その受けた比[I1/I2]に基づいて、ファイバ41の長さdをd21よりも長いd22に設定するための電圧V22をピエゾ素子41に印加する。
【0077】
そして、ファイバ41の長さdがd22に設定されると、光フィルタ4Aは、長さd22に対応した透過特性によってレーザ光LB2の透過率を調整してレーザ光LB3を出力する。
【0078】
以後、光フィルタ4Aは、上述した動作を繰り返し実行し、透過特性を透過特性T4に設定する。そして、光フィルタ4Aは、光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制したレーザ光LB3を出力する。
【0079】
光フィルタ4Aを用いた光変調装置10Aにおける全体動作について説明する。電圧電流変換部3は、無線信号(=RF電圧)を受けると、その受けたRF電圧をRF電流に変換し、その変換したRF電流をレーザ駆動部6へ出力する。
【0080】
そして、レーザ駆動部6は、電圧電流変換部3からRF電流を受け、レーザ光源1が出射するレーザ光LB1の中心波長を決定し、その決定した中心波長を有するレーザ光LB1をレーザ光源1が出射するための中心電流を決定する。
【0081】
その後、レーザ駆動部6は、その決定した中心電流にRF電流の変動分を加算して駆動電流を生成し、その生成した駆動電流を供給してレーザ光源1を駆動する。
【0082】
そうすると、レーザ光源1は、レーザ光LB1を出射し、その出射したレーザ光LB1を光変調器2へ導く。そして、光変調器2は、レーザ光源1から受けたレーザ光LB1の透過強度をRF電圧に比例した透過強度に設定してレーザ光LB2を光フィルタ4Aへ出力する。
【0083】
光フィルタ4Aの駆動部45は、最初、比I1/I2=0を受けるので、ピエゾ素子44に印加する電圧を任意に決定し、その決定した電圧をピエゾ素子44に印加する。これによって、ファイバ41の長さdは、ある1つの長さに設定される。
【0084】
そして、光フィルタ4Aは、光変調器2から受けたレーザ光LB2の透過強度をファイバ41の長さdに応じた透過強度に設定してレーザ光LB3を歪み検出部5および外部へ出力する。
【0085】
歪み検出部5は、光フィルタ4Aからレーザ光LB3を受け、その受けたレーザ光LB3の非線形歪(=比I1/I2)を検出し、その検出した比I1/I2を光フィルタ4Aへ出力する。
【0086】
そうすると、光フィルタ4Aの駆動部45は、歪み検出部5から受けた比I1/I2に基づいて、ファイバ41の長さdをレーザ光LB3の非線形歪が減少する長さに設定するための電圧を決定し、その決定した電圧をピエゾ素子44に印加する。これによって、ファイバ41の長さは、レーザ光LB3の非線形歪が減少する長さに設定される。
【0087】
そして、光フィルタ4Aは、レーザ光LB2の非線形歪を減少してレーザ光LB3を出力する。
【0088】
光フィルタ4Aを用いた光変調装置10Aにおいては、上述した動作が繰り返し実行され、光フィルタ4Aは、最終的に非線形歪が小さいレーザ光LB3−5(図11参照)を出力する。これによって、光フィルタ4Aを用いた光変調装置10Aにおける全体動作が終了する。
【0089】
図12は、図8に示す光フィルタ4Aの他の構成を示す概略図である。図8に示す光フィルタ4Aは、図12に示す光フィルタ4A−1であってもよい。図12を参照して、光フィルタ4A−1は、液晶46と、ミラー47,48と、電極49,50と、駆動部51とを含む。
【0090】
液晶46は、例えば、TN液晶からなる。ミラー47,48は、方向DR1において液晶46の両側を挟む。電極49,50は、方向DR2において、液晶46の両側に配置される。駆動部51は、電極49,50間に電圧を印加する。
【0091】
TN液晶は、電圧が印加されていないとき、約1.50の屈折率を有し、電圧が印加されると、その印加される電圧の大きさによって屈折率が約1.75まで大きくなる。
【0092】
光フィルタ4A−1は、ミラー47側から入射したレーザ光LB2をミラー47,48によって繰り返し反射し、レーザ光LB2の中心波長と波長の変動分とによって決定される透過率を有するレーザ光LB3をミラー48側から出力する。そして、液晶46の屈折率が1.50に設定された場合と、液晶46の屈折率が1.75に設定された場合とでは、レーザ光LB2に対する光フィルタ4A−1の透過特性が異なる。つまり、液晶46の屈折率が1.50から1.75へ変化すると、光フィルタ4A−1の透過特性が図10に示す透過特性T3から透過特性T4に変わる。
【0093】
その結果、光フィルタ4A−1を用いた場合にも、光フィルタ4Aを用いた場合と同様に、光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制できる。
【0094】
光フィルタ4A−1を用いた光変調装置10Aにおける全体動作は、光フィルタ4Aを用いた光変調装置10Aにおける全体動作のファイバ41の長さをレーザ光LB3の非線形歪が減少する長さに設定する点を液晶46の屈折率をレーザ光LB3の非線形歪が減少する屈折率に設定する点に変えればよい。
【0095】
なお、実施の形態2においては、図10に示す領域REG3に限らず、その他の領域を用いて光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制してもよい。
【0096】
また、実施の形態2においては、ファイバ41の長さdおよび液晶46の屈折率は、光フィルタ4A,4A−1のパラメータを構成し、歪み検出部5および駆動部45または歪み検出部5および駆動部51は、光変調器2の出力とRF電圧との関係における非線形歪みを抑制するための透過特性を光フィルタ4A,4A−1が有するように光フィルタ4A,4A−1のパラメータを調整する「調整手段」を構成する。
【0097】
[実施の形態3]
図13は、実施の形態3による光変調装置の構成を示す概略ブロック図である。図13を参照して、実施の形態3による光変調装置10Bは、図1に示すレーザ駆動部6をレーザ駆動部6Aに代え、光フィルタ4を光フィルタ4Bに代え、電圧電流変換部3を削除したものであり、その他は、光変調装置10と同じである。
【0098】
なお、光変調装置10Bにおいては、歪み検出部5は、比I1/I2を光フィルタ4Bへ出力する。
【0099】
レーザ駆動部6Aは、中心波長λを有するレーザ光LB1を出射するようにレーザ光源1を駆動する。即ち、レーザ駆動部6Aは、RF電圧に比例した変動波長を有しない1つの波長λを有するレーザ光LB1を出射するようにレーザ光源1を駆動する。
【0100】
光フィルタ4Bは、歪み検出部5から比I1/I2を受け、外部からRF電圧を受ける。そして、光フィルタ4Bは、その受けた比I1/I2に基づいて、透過特性を光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制するための透過特性に変える。そして、光フィルタ4Bは、光変調器2から出力されたレーザ光LB2の非線形歪を抑制したレーザ光LB3を出力する。
【0101】
図14は、図13に示す光フィルタ4Bの構成を示す概略図である。図14を参照して、光フィルタ4Bは、ニオブ酸リチウム(LiNbO)61と、ミラー62,63と、電極64,65と、駆動部66とを含む。
【0102】
ミラー62,63は、方向DR1においてニオブ酸リチウム61を両側から挟む。電極64,65は、方向DR2においてニオブ酸リチウム61を両側から挟む。
【0103】
駆動部66は、歪み検出部5から受けた比I1/I2に基づいて、中心電圧Vを決定し、その決定した中心電圧VにRF電圧の変動電圧ΔVを加算して電圧V=V±ΔVを生成する。そして、駆動部66は、その生成した電圧V=V±ΔVを電極64,65間に印加する。この電圧V=V±ΔVは、電圧Vを中心として振幅が±ΔVの範囲で数十GHzの周波数で変化する電圧である。
【0104】
ニオブ酸リチウム61は、電極64,65間に印加された電圧V=V±ΔVに応じて、電圧Vが有する数十GHzの周波数で屈折率が変化する。その結果、光フィルタ4Bは、透過特性がRF電圧に同期して変化する。
【0105】
図15は、図14に示す光フィルタ4Bの透過特性を示す図である。ニオブ酸リチウム61の両端に印加される電圧Vの中心電圧VがV01であり、変動電圧がΔVであるとき、光フィルタ4Bは、透過特性T5を有する。また、ニオブ酸リチウム61の両端に印加される電圧Vの中心電圧VがV02であり、変動電圧がΔVであるとき、光フィルタ4Bは、透過特性T6を有する。
【0106】
透過特性T5は、透過特性T51,T52,T53からなる。そして、ニオブ酸リチウム61の両端に電圧V01−ΔVが印加された場合、光フィルタ4Bは、透過特性T51を有し、ニオブ酸リチウム61の両端に電圧V01が印加された場合、光フィルタ4Bは、透過特性T52を有し、ニオブ酸リチウム61の両端に電圧V01+ΔVが印加された場合、光フィルタ4Bは、透過特性T53を有する。その結果、電圧V01±ΔVがニオブ酸リチウム61の両端に印加された場合、光フィルタ4Bの透過特性は、透過特性T51,T52,T53の間で数十GHzの周波数で変化する。
【0107】
また、透過特性T6は、透過特性T61,T62,T63からなる。そして、ニオブ酸リチウム61の両端に電圧V02−ΔVが印加された場合、光フィルタ4Bは、透過特性T61を有し、ニオブ酸リチウム61の両端に電圧V02が印加された場合、光フィルタ4Bは、透過特性T62を有し、ニオブ酸リチウム61の両端に電圧V02+ΔVが印加された場合、光フィルタ4Bは、透過特性T63を有する。その結果、電圧V02±ΔVがニオブ酸リチウム61の両端に印加された場合、光フィルタ4Bの透過特性は、透過特性T61,T62,T63の間で数十GHzの周波数で変化する。
【0108】
そうすると、光フィルタ4Bは、単一の波長λを有するレーザ光LB2を受けるので、電圧V01±ΔVがニオブ酸リチウム61の両端に印加された場合、波長λを有するレーザ光LB2の振幅を透過特性T51,T52,T53によって変調してレーザ光LB3−6を出力し、電圧V02±ΔVがニオブ酸リチウム61の両端に印加された場合、波長λを有するレーザ光LB2の振幅を透過特性T61,T62,T63によって変調してレーザ光LB3−7を出力する。
【0109】
レーザ光LB3−6において、比I1/I2は、I1/I2>1であり、レーザ光LB3−7において、比I1/I2は、I1/I2≒1であるので、ニオブ酸リチウム61の両端に電圧V02±ΔVを印加することによって、光フィルタ4Bは、光変調器2の非線形歪を抑制することができる。
【0110】
光変調装置10Bにおける全体動作について説明する。レーザ駆動部6Aは、中心波長λを有するレーザ光LB1をレーザ光源1が出射するための駆動電流を生成し、その生成した駆動電流を供給してレーザ光源1を駆動する。
【0111】
そうすると、レーザ光源1は、レーザ光LB1を出射し、その出射したレーザ光LB1を光変調器2へ導く。そして、光変調器2は、レーザ光LB1をレーザ光源1から受け、その受けたレーザ光LB1の透過強度をRF電圧に比例した透過強度に設定してレーザ光LB2を光フィルタ4Bへ出力する。
【0112】
光フィルタ4Bの駆動部66は、最初、比I1/I2=0を受けるので、ニオブ酸リチウム61に印加する電圧を任意に決定し、その決定した電圧をニオブ酸リチウム61に印加する。これによって、光フィルタ4Bの透過特性は、ある1つの透過特性に設定される。
【0113】
そして、光フィルタ4Bは、光変調器2から受けたレーザ光LB2の透過強度をニオブ酸リチウム61の屈折率に応じた透過強度に設定してレーザ光LB3を歪み検出部5および外部へ出力する。
【0114】
歪み検出部5は、光フィルタ4Bから受けたレーザ光LB3の非線形歪(=比I1/I2)を検出し、その検出した比I1/I2を光フィルタ4Bへ出力する。
【0115】
そうすると、光フィルタ4Bの駆動部66は、歪み検出部5から受けた比I1/I2に基づいて、ニオブ酸リチウム61の屈折率をレーザ光LB3の非線形歪が減少する屈折率に設定するための電圧を決定し、その決定した電圧にRF電圧の変動電圧を加算した電圧をニオブ酸リチウム61の両端に印加する。これによって、ニオブ酸リチウム61の屈折率は、レーザ光LB3の非線形歪が減少する屈折率に設定される。
【0116】
そして、光フィルタ4Bは、レーザ光LB2の非線形歪を減少してレーザ光LB3を出力する。
【0117】
光変調装置10Bにおいては、上述した動作が繰り返し実行され、光フィルタ4Bは、最終的に非線形歪が小さいレーザ光LB3−7(図15参照)を出力する。これによって、光変調装置10Bにおける全体動作が終了する。
【0118】
このように、実施の形態3においては、レーザ光源1は、単一の波長を有するレーザ光LB1を出射し、光フィルタ4Bは、RF電圧に同期して屈折率を変化させて自己の透過特性を光変調器2で生じた非線形歪を抑制する透過特性に設定し、光変調器2で生じた非線形歪を抑制する。
【0119】
従って、この発明によれば、2次の非線形歪および3次の非線形歪を同時に抑制できる。
【0120】
なお、実施の形態3においては、ニオブ酸リチウム61の屈折率は、光フィルタ4Bのパラメータを構成し、歪み検出部5および駆動部66は、光変調器2の出力とRF電圧との関係における非線形歪みを抑制するための透過特性を光フィルタ4Bが有するように光フィルタ4Bのパラメータを調整する「調整手段」を構成する。
【0121】
[応用例1]
図16は、この発明の実施の形態による光変調装置を用いた中継システムの構成を示す概略ブロック図である。図16を参照して、中継システム100は、光変調装置10と、受信機20と、光ファイバ伝送線路30と、光電変換器40と、送信機60とを備える。
【0122】
なお、中継システム100においては、レーザ光源1は、光ファイバ伝送線路7によって光変調器2に接続され、光変調器2は、光ファイバ伝送線路8によって光フィルタ4に接続される。
【0123】
光変調装置10は、光ファイバ伝送線路30によって光電変換器40に接続される。受信機20は、光変調装置10の光変調器2および電圧電流変換部3に接続される。光電変換器40は、光ファイバ伝送線路30によって光フィルタ4に接続されるとともに、送信機60に接続される。
【0124】
受信機20は、無線通信空間から無線信号RFを受信し、その受信した無線信号RFを電圧Vからなる電気信号ES(V)に変換して光変調装置10の光変調器2および電圧電流変換部3へ出力する。光変調装置10において、電圧電流変換部3は、受信機20から受けた電気信号ES(V)をRF電流に変換してレーザ駆動部6へ出力する。
【0125】
そして、光変調装置10において、レーザ駆動部6は、電圧電流変換部3からRF電流を受け、歪み検出部5から比I1/I2を受け、その受けたRF電流および比I1/I2に基づいて、上述した動作によってレーザ光源1を駆動する。
【0126】
そうすると、光変調装置10において、レーザ光源1は、レーザ光LB1を発生し、その発生したレーザ光LB1を光ファイバ伝送線路7を介して光変調器2へ導く。そして、光変調器2は、レーザ光源1からのレーザ光LB1の透過強度を受信機20から受けた電気信号ES(V)の電圧Vに比例する透過強度に変換し、その変換した透過強度を有するレーザ光LB2を光フィルタ4へ出力する。光フィルタ4は、光変調器2からレーザ光LB2を受け、上述した方法によってレーザ光LB2の非線形歪を抑制し、光信号OSを光ファイバ伝送線路30へ出射する。これによって、光変調装置10は、受信機20から受けた電気信号ES(V)を非線形歪みを抑制して光信号OSに変換し、その変換した光信号OSを光ファイバ伝送線路30へ出力する。
【0127】
光ファイバ伝送線路30は、光変調装置10からの光信号OSを光電変換器40へ伝送する。光電変換器40は、光ファイバ伝送線路30から光信号OSを受信し、その受信した光信号OSを電気信号ES(V)に変換して送信機60へ出力する。
【0128】
送信機60は、光電変換器40から受けた電気信号ES(V)を無線信号に変換して無線通信空間へ送信する。
【0129】
このように、中継システム100は、受信機20が無線通信空間から受信した無線信号RFを非線形歪を抑制して光信号OSに変換して光電変換器40へ送信し、光電変換器40および送信機60は、光信号OSを無線信号に変換して無線通信空間へ送信する。即ち、中継システム100は、受信機20が無線通信空間から受信した無線信号RFを中継する。
【0130】
なお、中継システム100においては、光変調装置10に代えて光変調装置10Aまたは光変調装置10Bを用いてもよい。
【0131】
[応用例2]
図17は、この発明の実施の形態による光変調装置を用いた中継システムの構成を示す他の概略ブロック図である。図17を参照して、中継システム200は、送受信機210,260と、送受信モジュール220,250と、光ファイバ伝送線路230,240とを備える。
【0132】
送受信モジュール220は、光変調装置221と、光電変換器222とを含む。光変調装置221は、図1に示す光変調装置10と同じ構成からなる。また、送受信モジュール250は、光変調装置251と、光電変換器252とを含む。光変調装置251は、図1に示す光変調装置10と同じ構成からなる。
【0133】
送受信機210は、光変調装置221の光変調器2および電圧電流変換部3と、光電変換器222とに接続される。光ファイバ伝送線路230は、光変調装置221の光フィルタ4を送受信モジュール250の光電変換器252に接続する。
【0134】
光ファイバ伝送線路240は、光変調装置251の光フィルタ4を送受信モジュール220の光電変換器222に接続する。送受信機260は、光変調装置251の光変調器2および電圧電流変換部3と、光電変換器252とに接続される。
【0135】
送受信機210は、無線通信空間から無線信号RF1を受信し、その受信した無線信号RF1を電圧V1からなる電気信号ES1(V1)に変換して光変調装置221の光変調器2および電圧電流変換部3へ出力する。また、送受信機210は、光電変換器222から受けた電気信号ES2(V2)(電圧V2からなる)を無線信号RF1に変換して無線通信空間へ送信する。
【0136】
光変調装置221は、送受信機210から受けた電気信号ES1(V1)を非線形歪を抑制して光信号OS1に変換し、その変換した光信号OS1を光ファイバ伝送線路230へ出力する。
【0137】
光電変換器222は、光ファイバ伝送線路240から受けた光信号OS2を電圧V2からなる電気信号ES2(V2)に変換し、その変換した電気信号ES2(V2)を送受信機210へ出力する。
【0138】
光ファイバ伝送線路230は、光変調装置221から出力された光信号OS1を送受信モジュール250の光電変換器252へ伝搬する。光ファイバ伝送線路240は、送受信モジュール250の光変調装置251から出力された光信号OS2を送受信モジュール220の光電変換器222へ伝搬する。
【0139】
光変調装置251は、送受信機260から受けた電気信号ES4(V4)(電圧V4からなる)を非線形歪を抑制して光信号OS2に変換し、その変換した光信号OS2を光ファイバ伝送線路240へ出力する。
【0140】
光電変換器252は、光ファイバ伝送線路230から光信号OS1を受信し、その受信した光信号OS1を電圧V3からなる電気信号ES3(V3)に変換して送受信機260へ出力する。
【0141】
送受信機260は、光電変換器252から受けた電気信号ES3(V3)を無線信号RF2に変換して無線通信空間へ送信する。また、送受信機260は、無線通信空間から無線信号RF2を受信し、その受信した無線信号RF2を電圧V4からなる電気信号ES4(V4)に変換して光変調装置251へ出力する。
【0142】
中継システム200の全体動作について説明する。送受信機210は、無線通信空間から無線信号RF1を受信し、その受信した無線信号RF1を電圧V1からなる電気信号ES1(V1)に変換して光変調装置221の光変調器2および電圧電流変換部3へ出力する。光変調装置221において、電圧電流変換部3は、電気信号ES1(V1)をRF電流に変換してレーザ駆動部6へ出力する。
【0143】
そして、光変調装置221において、レーザ駆動部6は、電圧電流変換部3からRF電流を受け、歪み検出部5から比I1/I2を受け、その受けたRF電流および比I1/I2に基づいて、上述した動作によってレーザ光源1を駆動する。
【0144】
そして、光変調装置221のレーザ光源1は、レーザ光LB1を発生し、その発生したレーザ光LB1を光ファイバ伝送線路7を介して光変調器2へ導く。そうすると、光変調器2は、レーザ光源1からのレーザ光LB1の透過強度を送受信機210から受けた電気信号ES1(V1)の電圧V1に比例する透過強度に変換し、その変換した透過強度を有するレーザ光LB2を光フィルタ4へ出力する。そして、光変調装置221の光フィルタ4は、上述した方法によってレーザ光LB2の非線形歪を抑制し、光信号OS1を光ファイバ伝送線路230へ出射する。これによって、光変調装置221は、送受信機210から受けた電気信号ES1(V1)を非線形歪を抑制して光信号OS1に変換し、その変換した光信号OS1を光ファイバ伝送線路230へ出力する。
【0145】
光ファイバ伝送線路230は、光変調装置221からの光信号OS1を光電変換器252へ伝送する。そして、光電変換器252は、光ファイバ伝送線路230から光信号OS1を受信し、その受信した光信号OS1を電気信号ES3(V3)に変換して送受信機260へ出力する。
【0146】
送受信機260は、光電変換器252から受けた電気信号ES3(V3)を無線信号RF2に変換して無線通信空間へ送信する。
【0147】
また、送受信機260は、無線通信空間から無線信号RF2を受信し、その受信した無線信号RF2を電圧V4からなる電気信号ES4(V4)に変換して光変調装置251の光変調器2および電圧電流変換部3へ出力する。光変調装置251において、電圧電流変換部3は、電気信号ES4(V4)をRF電流に変換してレーザ駆動部6へ出力する。
【0148】
そして、光変調装置251において、レーザ駆動部6は、電圧電流変換部3からRF電流を受け、歪み検出部5から比I1/I2を受け、その受けたRF電流および比I1/I2に基づいて、上述した動作によってレーザ光源1を駆動する。
【0149】
そうすると、光変調装置251のレーザ光源1は、レーザ光LB1を発生し、その発生したレーザ光LB1を光ファイバ伝送線路7を介して光変調器2へ導く。そして、光変調器2は、レーザ光源1からのレーザ光LB1の透過強度を送受信機260から受けた電気信号ES4(V4)の電圧V4に比例する透過強度に変換し、その変換した透過強度を有するレーザ光LB2を光フィルタ4へ出力する。そして、光変調装置251の光フィルタ4は、上述した方法によってレーザ光LB2の非線形歪を抑制し、光信号OS2を光ファイバ伝送線路240へ出射する。これによって、光変調装置251は、送受信機260から受けた電気信号ES4(V4)を非線形歪を抑制して光信号OS2に変換し、その変換した光信号OS2を光ファイバ伝送線路240へ出力する。
【0150】
光ファイバ伝送線路240は、光変調装置251からの光信号OS2を光電変換器222へ伝送する。そして、光電変換器222は、光ファイバ伝送線路240から光信号OS2を受信し、その受信した光信号OS2を電気信号ES2(V2)に変換して送受信機210へ出力する。
【0151】
送受信機210は、光電変換器222から受けた電気信号ES2(V2)を無線信号RF1に変換して無線通信空間へ送信する。
【0152】
このように、中継システム200は、送受信機210が無線通信空間から受信した無線信号RF1を送受信モジュール220において非線形歪を抑制して光信号OS1に変換して送受信モジュール250へ送信し、送受信モジュール250および送受信機260は、光信号OS1を無線信号RF2に変換して無線通信空間へ送信するとともに、送受信機260が無線通信空間から受信した無線信号RF2を送受信モジュール250において非線形歪を抑制して光信号OS2に変換して送受信モジュール220へ送信し、送受信モジュール220および送受信機210は、光信号OS2を無線信号RF1に変換して無線通信空間へ送信する。即ち、中継システム200は、無線通信空間から受信した無線信号RF1,RF2を双方向で中継する。
【0153】
なお、中継システム200においては、光変調装置221,251の各々は、光変調装置10に代えて光変調装置10Aまたは光変調装置10Bからなっていてもよい。
【0154】
[応用例3]
図18は、この発明の実施の形態による光変調装置を用いたネットワークシステムの構成を示す概略図である。図18を参照して、ネットワークシステム300は、ゲートウェイ310と、送受信モジュール320,340,360,400,420と、光ファイバ伝送線路330,350,390,410と、携帯電話機370と、デジタル家電装置380と、無線LAN(Local Area Network)システム430と、AV(Audio Video)機器440とを備える。
【0155】
ゲートウェイ310、送受信モジュール320,340,360,400,420、光ファイバ伝送線路330,350,390,410、携帯電話機370、デジタル家電装置380、無線LANシステム430、およびAV機器440は、家屋460内に配置される。従って、ネットワークシステム300は、オフィスまたは家庭内におけるネットワークを構成する。また、送受信モジュール320,340,360,400,420の各々は、図17に示す送受信モジュール220,250と同じ構成からなる。
【0156】
ゲートウェイ310は、IP(Internet Protocol)ネットワーク450に接続される。送受信モジュール320は、ゲートウェイ310に接続される。光ファイバ伝送線路330は、送受信モジュール340を送受信モジュール320に接続する。送受信モジュール340は、アンテナ341を有し、光ファイバ伝送線路330を介して送受信モジュール320に接続される。
【0157】
光ファイバ伝送線路350は、送受信モジュール360を送受信モジュール340に接続する。送受信モジュール360は、光ファイバ伝送線路350を介して送受信モジュール340に接続される。デジタル家電装置380は、送受信モジュール360に接続される。
【0158】
光ファイバ伝送線路390は、送受信モジュール400を送受信モジュール320に接続する。送受信モジュール400は、アンテナ401を有し、光ファイバ伝送線路390を介して送受信モジュール320に接続される。
【0159】
光ファイバ伝送線路410は、送受信モジュール420を送受信モジュール400に接続する。送受信モジュール420は、光ファイバ伝送線路410を介して送受信モジュール400に接続される。AV機器440は、送受信モジュール420に接続される。
【0160】
ゲートウェイ310は、IPネットワーク450との間でデジタル信号を送受信する。そして、ゲートウェイ310は、IPネットワーク450から受信したデジタル信号をアナログ信号に変換して送受信モジュール320へ送信し、送受信モジュール320から受けたアナログ信号をデジタル信号に変換してIPネットワーク450へ送信する。
【0161】
送受信モジュール320は、ゲートウェイ310から受けたアナログ信号ANS(電圧Vからなる)を非線形歪みを抑制して光信号OS1に変換し、その変換した光信号OS1を光ファイバ伝送線路330を介して送受信モジュール340へ送信する。また、送受信モジュール320は、ゲートウェイ310から受けたアナログ信号ANSを非線形歪みを抑制して光信号OS2に変換し、その変換した光信号OS2を光ファイバ伝送線路390を介して送受信モジュール400へ送信する。更に、送受信モジュール320は、光ファイバ伝送線路330から光信号OS1を受信し、その受信した光信号OS1をアナログ信号ANSに変換してゲートウェイ310へ送信する。更に、送受信モジュール320は、光ファイバ伝送線路390から光信号OS2を受信し、その受信した光信号OS2をアナログ信号ANSに変換してゲートウェイ310へ送信する。
【0162】
光ファイバ伝送線路330は、送受信モジュール320,340間で光信号OS1を伝送する。送受信モジュール340において、光変調器2および光電変換器222(図17参照)は、アンテナ341に接続され、光変調器2は、光ファイバ伝送線路330,350に接続され、光電変換器222は、光ファイバ伝送線路330,350に接続される。従って、送受信モジュール340は、光変調器2によって、光ファイバ伝送線路330から光信号OS1を受信するとともに、その受信した光信号OS1を非線形歪みを抑制して光信号OS3に変換して光ファイバ伝送線路350へ送信する。また、送受信モジュール340は、光変調器2によって、光ファイバ伝送線路350から光信号OS3を受信するとともに、その受信した光信号OS3を非線形歪みを抑制して光信号OS1に変換して光ファイバ伝送線路330へ送信する。更に、送受信モジュール340は、光電変換器222によって、光ファイバ伝送線路330から光信号OS1を受信し、その受信した光信号OS1を電圧V1からなる電気信号ES1(V1)に変換してアンテナ341へ出力する。更に、送受信モジュール340は、光電変換器222によって、光ファイバ伝送線路350から光信号OS3を受信し、その受信した光信号OS3を電圧V1からなる電気信号ES1(V1)に変換してアンテナ341へ出力する。更に、送受信モジュール340は、アンテナ341から受けた電気信号ES1(V1)を非線形歪みを抑制して光信号OS1に変換し、その変換した光信号OS1を光ファイバ伝送線路330へ送信する。更に、送受信モジュール340は、アンテナ341から受けた電気信号ES1(V1)を非線形歪みを抑制して光信号OS3に変換し、その変換した光信号OS3を光ファイバ伝送線路350へ送信する。
【0163】
アンテナ341は、送受信モジュール340から受けた電気信号ES1(V1)を無線信号RF1に変換して携帯電話機370へ送信するとともに、携帯電話機370から無線信号RF1を受信し、その受信した無線信号RF1を電気信号ES1(V1)に変換して送受信モジュール340へ出力する。
【0164】
光ファイバ伝送線路350は、送受信モジュール340,360間で光信号OS3を伝搬する。
【0165】
送受信モジュール360は、光ファイバ伝送線路350から光信号OS3を受信し、その受信した光信号OS3を電圧V2からなる電気信号ES2(V2)に変換してデジタル家電装置380へ送信する。また、送受信モジュール360は、デジタル家電装置380から受けた電気信号ES2(V2)を非線形歪みを抑制して光信号OS3に変換し、その変換した光信号OS3を光ファイバ伝送線路350へ出力する。
【0166】
携帯電話機370は、アンテナ341との間で無線信号RF1を送受信する。デジタル家電装置380は、送受信モジュール360から受信した電気信号ES2(V2)の信号処理を行ない、所定の動作を行なう。
【0167】
光ファイバ伝送線路390は、送受信モジュール320,440間で光信号OS2を伝搬する。送受信モジュール400において、光変調器2および光電変換器222(図17参照)は、アンテナ401に接続され、光変調器2は、光ファイバ伝送線路390,410に接続され、光電変換器222は、光ファイバ伝送線路390,410に接続される。従って、送受信モジュール400は、光変調器2によって、光ファイバ伝送線路390から光信号OS2を受信するとともに、その受信した光信号OS2を非線形歪みを抑制して光信号OS4に変換して光ファイバ伝送線路410へ送信する。また、送受信モジュール400は、光変調器2によって、光ファイバ伝送線路410から光信号OS4を受信するとともに、その受信した光信号OS4を非線形歪みを抑制して光信号OS2に変換して光ファイバ伝送線路390へ送信する。更に、送受信モジュール400は、光電変換器222によって、光ファイバ伝送線路390から光信号OS2を受信し、その受信した光信号OS2を電圧V3からなる電気信号ES3(V3)に変換してアンテナ401へ出力する。更に、送受信モジュール400は、光電変換器222によって、光ファイバ伝送線路410から光信号OS4を受信し、その受信した光信号OS4を電圧V3からなる電気信号ES3(V3)に変換してアンテナ401へ出力する。更に、送受信モジュール400は、アンテナ401から受けた電気信号ES3(V3)を非線形歪みを抑制して光信号OS2に変換し、その変換した光信号OS2を光ファイバ伝送線路390へ送信する。更に、送受信モジュール400は、アンテナ401から受けた電気信号ES3(V3)を非線形歪みを抑制して光信号OS4に変換し、その変換した光信号OS4を光ファイバ伝送線路10へ送信する。
【0168】
アンテナ401は、送受信モジュール400から受けた電気信号ES3(V3)を無線信号RF2に変換して無線LANシステム430へ送信するとともに、無線LANシステム430から無線信号RF2を受信し、その受信した無線信号RF2を電気信号ES3(V3)に変換して送受信モジュール400へ出力する。
【0169】
光ファイバ伝送線路410は、送受信モジュール400,420間で光信号OS4を伝搬する。
【0170】
送受信モジュール420は、光ファイバ伝送線路410から光信号OS4を受信し、その受信した光信号OS4を電圧V4からなる電気信号ES4(V4)に変換してAV機器440へ送信する。また、送受信モジュール420は、AV機器440から受けた電気信号ES4(V4)を非線形歪みを抑制して光信号OS4に変換し、その変換した光信号OS4を光ファイバ伝送線路410へ出力する。
【0171】
無線LANシステム430は、アンテナ401との間で無線信号RF2を送受信する。AV機器440は、送受信モジュール420から受信した電気信号ES4(V4)の信号処理を行ない、音声または映像をユーザに与える。
【0172】
携帯電話機370がIPネットワーク450との間で通信を行なう動作について説明する。携帯電話機370は、無線信号RF1をアンテナ341へ送信し、アンテナ341は、携帯電話機370から無線信号RF1を受信し、その受信した無線信号RF1を電気信号ES1(V1)に変換して送受信モジュール340へ出力する。
【0173】
そうすると、送受信モジュール340において、光変調装置221(図17参照)は、アンテナ341からの電気信号ES1(V1)を非線形歪みを抑制して光信号OS1に変換し、その変換した光信号OS1を光ファイバ伝送線路330を介して送受信モジュール320へ送信する。
【0174】
送受信モジュール320は、光電変換器222(図17参照)によって、光ファイバ伝送線路330を介して送受信モジュール340から光信号OS1を受信し、その受信した光信号OS1をアナログ信号ANSに変換してゲートウェイ310へ送信する。そして、ゲートウェイ310は、アナログ信号ANSをデジタル信号に変換してIPネットワーク450へ送信する。
【0175】
その後、ゲートウェイ310は、IPネットワーク450からデジタル信号を受信すると、その受信したデジタル信号をアナログ信号ANSに変換して送受信モジュール320へ送信する。そして、送受信モジュール320は、ゲートウェイ310から受信したアナログ信号ANSを非線形歪みを抑制して光信号OS1に変換し、その変換した光信号OS1を光ファイバ伝送線路330を介して送受信モジュール340へ送信する。
【0176】
送受信モジュール340は、光ファイバ伝送線路330を介して送受信モジュール320から光信号OS1を受信し、その受信した光信号OS1を電気信号ES1(V1)に変換してアンテナ341へ出力する。そして、アンテナ341は、電気信号ES1(V1)を無線信号RF1に変換して携帯電話機370へ送信し、携帯電話機370は、アンテナ341から無線信号RF1を受信する。
【0177】
このようにして、携帯電話機370は、IPネットワーク450との間で通信を行なう。
【0178】
デジタル家電装置380、無線LANシステム430およびAV機器440も、携帯電話機370と同じ動作に従ってIPネットワーク450との間で通信を行なう。
【0179】
次に、携帯電話機370とデジタル家電装置380との間で通信を行なう動作について説明する。携帯電話機370は、無線信号RF1をアンテナ341へ送信し、アンテナ341は、携帯電話機370から無線信号RF1を受信し、その受信した無線信号RF1を電気信号ES1(V1)に変換して送受信モジュール340へ出力する。
【0180】
そうすると、送受信モジュール340において、光変調装置221(図17参照)は、アンテナ341からの電気信号ES1(V1)を非線形歪みを抑制して光信号OS3に変換し、その変換した光信号OS3を光ファイバ伝送線路350を介して送受信モジュール360へ送信する。
【0181】
送受信モジュール360は、光電変換器222(図17参照)によって、光ファイバ伝送線路350を介して送受信モジュール340から光信号OS3を受信し、その受信した光信号OS3を電気信号ES2(V2)に変換してデジタル家電装置380へ送信する。
【0182】
その後、デジタル家電装置380は、電気信号ES2(V2)を送受信モジュール360へ送信する。そして、送受信モジュール360は、デジタル家電装置380から受信した電気信号ES2(V2)を非線形歪みを抑制して光信号OS3に変換し、その変換した光信号OS3を光ファイバ伝送線路350を介して送受信モジュール340へ送信する。
【0183】
送受信モジュール340は、光ファイバ伝送線路350を介して送受信モジュール360から光信号OS3を受信し、その受信した光信号OS3を電気信号ES1(V1)に変換してアンテナ341へ出力する。そして、アンテナ341は、電気信号ES1(V1)を無線信号RF1に変換して携帯電話機370へ送信し、携帯電話機370は、アンテナ341から無線信号RF1を受信する。
【0184】
このようにして、携帯電話機370は、デジタル家電装置380との間で通信を行なう。
【0185】
携帯電話機370、デジタル家電装置380、無線LAシステム430およびAV機器440は、上述した携帯電話機370とデジタル家電装置380との間の通信と同じ方法によって相互に通信を行なう。
【0186】
上述したように、オフィスまたは家庭内に設置された携帯電話機370、デジタル家電装置380、無線LAシステム430およびAV機器440は、IPネットワーク450との間で通信を行なうとともに、相互に通信を行なう。従って、家屋460内のあらゆる場所において、携帯電話、無線LAN、およびテレビジョン放送等のサービスを受けることができる。
【0187】
そして、このような各種のサービスにおいては、各種の周波数帯域からなる電気信号を非線形歪みを抑制して光信号に変換する必要があるが、送受信モジュール320,340,360,400,420は、非線形歪みを抑制して電気信号を光信号に変換するので、ネットワークシステム300においては、各種の周波数帯域からなる電気信号を非線形歪みを抑制して光信号に変換して通信を行なうことができる。
【0188】
また、送受信モジュール320,340,360,400,420は、同じ構成からなるので、相互に異なる周波数を有する信号を送受信する携帯電話機370、デジタル家電装置380、無線LAN430およびAV機器440と接続する位置に送受信モジュールを配置する場合にも、携帯電話機370、デジタル家電装置380、無線LAN430およびAV機器440にそれぞれ対応した送受信モジュールを作製する必要がなく、ネットワークシステム300を容易に構築できる。
【0189】
なお、ゲートウェイ310は、「通信装置」を構成する。
【0190】
また、携帯電話機370、デジタル家電装置380、無線LAN430およびAV機器440は、「通信機器」を構成する。
【0191】
更に、送受信モジュール320は、「第1の送受信モジュール」を構成し、送受信モジュール340,360,400,420の各々は、「第2の送受信モジュール」を構成する。
【0192】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0193】
この発明は、2次の非線形歪と3次の非線形歪とを同時に抑制可能な光変調装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】この発明の実施の形態1による光変調装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す歪み検出部における非線形歪の検出方法を説明するための図である。
【図3】図1に示すレーザ駆動部における中心波長の検出方法を説明するための図である。
【図4】図1に示す変調器の透過特性を示す図である。
【図5】非線形歪を抑制する方法を説明するための第1の図である。
【図6】非線形歪を抑制する方法を説明するための第2の図である。
【図7】非線形歪の抑制に用いる光フィルタの透過特性の領域を示す概念図である。
【図8】実施の形態2による光変調装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】図8に示す光フィルタの構成を示す概略図である。
【図10】図8に示す光フィルタの透過特性を示す図である。
【図11】実施の形態2における非線形歪の抑制方法を説明するための概念図である。
【図12】図8に示す光フィルタの他の構成を示す概略図である。
【図13】実施の形態3による光変調装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図14】図13に示す光フィルタの構成を示す概略図である。
【図15】図14に示す光フィルタの透過特性を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態による光変調装置を用いた中継システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態による光変調装置を用いた中継システムの構成を示す他の概略ブロック図である。
【図18】この発明の実施の形態による光変調装置を用いたネットワークシステムの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0195】
1 レーザ光源、2 光変調器、3 電圧電流変換部、4,4A,4A−1,4B 光フィルタ、6,6A レーザ駆動部、7,8,30,230,240,330,350,390,410 光ファイバ伝送線路、10,10A,10B,221,251 光変調装置、20 受信機、40,222,252 光電変換器、41 ファイバ、42,43,47,48,62,63 ミラー、44 ピエゾ素子、45,51,66 駆動部、46 液晶、49,50,64,65 電極、60 送信機、61 ニオブ酸リチウム、100,200 中継システム、210,260 送受信機、220,250,320,340,360,400,420 送受信モジュール、300 ネットワークシステム、310 ゲートウェイ、341,401 アンテナ、370 携帯電話機、380 デジタル家電装置、430 無線LAN、440 AV機器、450 IPネットワーク、460 家屋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から入射されたレーザ光の透過強度を印加電圧に比例した透過強度に設定して出力する光変調器と、
前記光変調器から出力されたレーザ光の透過強度を透過特性によって調整して出力する光フィルタと、
前記光変調器の出力と前記印加電圧との関係における非線形歪みを抑制するための透過特性を前記光フィルタが有するように前記レーザ光源が出射するレーザ光の波長または前記光フィルタのパラメータを調整する調整手段とを備える光変調装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記光フィルタが前記非線形歪みを抑制するための透過特性を有するように前記レーザ光の波長を調整し、
前記レーザ光源は、前記調整手段によって調整された波長を有するレーザ光を出射する、請求項1に記載の光変調装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記光フィルタの透過特性が前記非線形歪みを抑制するための透過特性を有するように前記光フィルタのパラメータを調整する、請求項1に記載の光変調装置。
【請求項4】
前記レーザ光源は、無線信号に応じて変動する波長成分を有するレーザ光を出射し、
前記調整手段は、前記光フィルタが前記非線形歪みを抑制するための透過特性を有するように前記光フィルタに含まれる2つの鏡の間隔または前記光フィルタの屈折率を調整する、請求項3に記載の光変調装置。
【請求項5】
前記レーザ光源は、任意の単一波長を有するレーザ光を出射し、
前記調整手段は、前記光フィルタが前記非線形歪みを抑制するための透過特性を有するように前記光フィルタの屈折率を無線信号に応じて調整する、請求項3に記載の光変調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−233307(P2008−233307A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70136(P2007−70136)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、総務省、研究テーマ「広帯域無線信号の一括光伝送による放送・通信の融合に関する研究」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(503420833)学校法人常翔学園 (62)
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】