説明

光学コンパレータ用レンズ越し照明器

【課題】検査対象のレンズ越し照明システムを提供しつつ、水銀ランプのような大型の光源をより安全な小型の光源に置き換える。
【解決手段】照明システム38は、光学検査システムの対物系の一部を共有している。検査対象14を照明するため、複数のビーム形成光学系46が複数の有効光源44からの光を集め、対物系を通過させる。対物系は、上記検査対象から散乱した光を集めこの集められた光で対象の像を形成するために、前側リレーレンズ24と、後側リレーレンズと、前側リレーレンズと後側リレーレンズとの間に配置された対物系絞り26とを有している。上記対物系絞りを囲む上記ビーム形成光学系は、上記検査対象を照明するために求められる角度範囲内で不均一な光を配給するために、関連する有効光源とともに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測学の分野における光学コンパレータ用照明システムの改良に関するものであり、特に、光学検査機器の結像システムと光路を共有する照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光学コンパレータは、検査対象の像を参照データと比較するためにディスプレイスクリーンに投射する。参照データとの比較は、対象の直接照明、背後からの照明、斜めからの照明を含む種々の照明形式で行われる。
【0003】
上記コンパレータは、検査対象の像をディスプレイスクリーンに投射する役割を担う光学結像システムを有している。対物系は対象の中間像を形成するために用いることができる。この中間像は、参照データと比較することができるディスプレイ像を得るために、プロジェクタにより拡大することができる。
【0004】
いわゆるレンズ越し(スルー・ザ・レンズ:through-the-lens)の照明システムは、光を対物系を経て検査対象へ向かわせることにより、検査対象を照明するために用いられてきた。照明光は一般的には、光学結像系から離れている光源により得られる。この光源は結像系を通る光路と交差する光ビームを発生する。このような照明システムにおける開口絞りを囲むミラーは、照明ビームを結像システムの光路とアライメントするように曲げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような照明システムで用いられるタイプの光源は、水銀放電ランプ等であり、大きく高価であり、安全性の懸念もある。例えばある国では水銀放電ランプを禁じている。本発明は検査対象のレンズ越し照明を提供しつつ、このような大型の光源を置き換えることも目的に含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レンズ越しの照明システムの好ましい実施例において実現されるように、結像システムと共有の光路部分から離間して配置された大きな単一の光源を、上記共有の光路と同軸に配置された複数の小さな光源とそれに関連するビーム形成光学系とで置換する。
複数の光源は発光ダイオード(LED)を含むことができる。この発光ダイオードの出力はビーム形成光学系によって形づくられる。このビーム形成光学系は、結像システムの対物系の開口絞りを包囲する有効な照明器絞り(illuminator aperture;照明絞り)を占める。上記対物系絞りを満たす結像光と、包囲空間を満たす照明光は反対方向に伝播するが、これら結像光と照明光は、対物系の共通の光学要素を通って、検査対象に向かって進み又は検査対象から離れる方向に進む。上記ビーム形成光学系からの光の配給は、好ましくは、発生した光を検査対象により効率良く伝送し、かつ対象フィールドに光をより均一に分配するように配置される。
【0007】
本発明に係わる光学検査システムの一態様は、検査対象を照明する照明システムと、対象フィールド内での上記検査対象の像を得る結像システムとの両方を備えている。対物系が部分的に、上記照明システムと結像システムの両者で共有されている。この対物系は前側リレーレンズと、後側リレーレンズと、これら前後のリレーレンズ間に配置された対物系絞りとを有している。上記対物系は好ましくは、少なくとも略テレセントリックであり、上記検査対象からの散乱された光を集め、この集められた光で上記対象の像を形成する。この像は最終の像であってもよいが、好ましくはコンパレータのスクリーンに投射される中間像である。上記照明システムの多重化ビーム発生器は、上記検査対象を照明するために、複数の有効光源と、これら有効光源に関連し上記対物系絞りを囲むビーム形成光学系を有し、上記ビーム形成光学系の各々は、上記対象フィールドを照明するのに要求される角度範囲内で光を不均一に配給するために、関連する上記有効光源と一緒に配置されている。
【0008】
上記ビーム形成光学系の各々とそれに関連する有効光源は、好ましくは、対象フィールドがより効率的にかつ均一に照明されるように、上記要求される角度範囲内で光を異ならせて配給する。
例えば、上記ビーム形成光学系は、上記対物系の光軸の周りに対称に対をなして配置され、これら対内における非均一な光の分配を実質的に鏡面対称にすることができる。
上記ビーム形成光学系から光が配給される角度範囲が、上記対物系の光軸に向かって収束しこの光軸から広がる角度を含んでおり、上記ビーム形成光学系は好ましくは、上記光軸に向かって収束する角度内により多くの光を配給する。
【0009】
上記有効光源は好ましくは、制限された範囲の角度的に関連した光ビームを上記ビーム形成光学系と一緒に生成するために、相対的なサイズが決められ、この光ビームが上記前側リレーレンズにより上記対象フィールドにわたって空間的に分配される所定範囲のビームに変換される。
上記ビーム形成光学系が光軸を有し、一態様では、関連する有効光源がこのビーム形成光学系の光軸から外れた中心を有することができる。
好ましくは、上記有効光源の中心が、上記対物系の光軸から径方向に延びる方向において、上記ビーム形成光学系の光軸から外れている。
【0010】
他の態様では、上記ビーム形成光学系が上記対物系の光軸に対して傾いた光軸を有している。このビーム形成光学系の光軸は好ましくは、上記対物系の光軸を含む平面上において傾いている。
【0011】
コスト面を考慮して、上記対物系のリレーレンズは好ましくは制限されたサイズを有する。上記前側リレーレンズを通る上記対物系の開口数は、好ましくは、テレセントリック性に近づけるための一般的な条件にしたがって対物系絞りによって制限される。照明システムは、より高い開口数で対物系の前側フロントリレーレンズを通して作用する。そのようにして、対物系絞りに径方向に最も近い照明光だけが、テレセントリックに近い光として対象フィールドに近づく。対物系絞りからさらに径方向に離れた照明光は、徐々にテレセントリック性から外れる。例えば、前側リレーレンズの絞り(aperture)は、テレセントリックな照明に寄与しない角度を阻止することができる。
【0012】
他の態様では、上記ビーム形成光学系の周縁が、上記対物絞りに隣接して切り欠かれている。上記ビーム形成光学系の周縁が共通の径方向において切り欠かれた量にほぼ対応する径方向距離だけ、上記ビーム形成光学系の光軸の位置が上記対物系絞りに近づいている。上記対物系絞りに対してより径方向に近づいて収束された照明光により、空間的な均一性および全体的な効率性とともに、対象フィールドでの角度的な均一性を高めることができる。対物系の光軸に対して収束する所定角度の中で、光の分配を増やすことにより、角度的均一性の代わりに空間的な均一性を高めることができる。
【0013】
本発明の他の実施形態に係わる照明システムは、特に、検査対象の像を形成するための対物系を有する光学検査システムに用いられる。複数の有効光源と関連したビーム形成光学系が、上記検査対象を照明するために、これら複数の有効光源からの光を集めこの光を上記対物系の一部を通過させるように配置される。上記ビーム形成光学系のための共通ハウジングは中央開口を有しており、この中央開口の周りに上記ビーム形成光学系が設けられ、この中央開口内で対物系の絞りが画成される。上記共通ハウジングの中央開口内に配置された透光板は、上記対物系絞りを通過して熱が伝播するのを阻止する
【0014】
像伝送経路に近づけて複数の有効光源を配置することにより、特にリレーレンズの一方または他方が対流経路に沿って配置された場合には、結像システム内で熱外乱(heat disturbance)が生じやすくなる(例えば熱波)。共通ハウジングの中央開口内に透光板を配置することにより、結像経路に沿う熱の伝播を阻止する。
上記検査対象の偽の像が発生するのを回避するために、上記透光板が上記対物系の光軸に対して直交する姿勢から外れて傾斜している。
上記透光板と共通ハウジングとの間のシールは、このハウジングの中央開口を通って僅かな空気が流れることさえも、禁じる。
さらに、上記透光板は好ましくは、この透光板を冷やすために、上記共通ハウジングと熱的に結合されている。
上記共通ハウジングは、冷媒をこのハウジングを通してまたはハウジングの周りに流す等して、能動的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】光学コンパレータを示す図であり、検査対象からこの検査対象をデータと比較するスクリーンまでの、結像システムの像伝送経路を示す。
【図2】検査対象を照明する照明システムと共有の、上記結像システムの一部を示す図であり、断面で示す多重化ビーム発生器から対象までの照明経路を示す。
【図3】上記多重化ビーム発生器を軸方向から見た拡大図であり、結像システムの開口絞りを囲むビーム形成光学系の配置を示す。
【図4】上記光学コンパレータのための他の照明システムを示す図であり、変更された多重化ビーム発生器内において、有効光源がビーム形成光学系の軸に対して径方向に外れている。
【図5】上記光学コンパレータのためのさらに他の照明システムを示す図であり、変更された多重化ビーム発生器内で、ビーム形成光学系が有効光源とともに、結像システムと照明システムの共通軸に対して傾斜している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明に係わる光学検査システムの一実施例としての光学コンパレータ10は、検査対象14の中間像16を形成するための対物系(objective)12と、スクリーン22上に対象14の拡大像20を形成するためのプロジェクタ18とを備えている。この拡大像20は、対象14が公差範囲にあるか否かをチェックしたり、他の測定値を得るために、テンプレート等のデータと比較することができる。対物系12は、広い意味で中間像16を形成するための結像システム(imaging system)とみなすことができるが、プロジェエクタ18と組み合わされた対物系12は、一緒に拡大像20を形成し、より完全なコンパレータ10の結像システムを構築する。図示しないが、コンパレータ10は他の公知の特徴、すなわち、対象14を装着しかつ移動させる1つ以上のステージ、明るい光やバックライトのための照明システム、対象を測定したりデータと比較するための計測器、制御手段等を装備することができる。制御手段は、種々の比較をしたり、コンパレータを、処理システム、ワークフローシステム、通信システム等の他のシステムと結合する。
【0017】
上記対物系12は、開口絞り26(aperture stop)を跨いで配置された前側リレーレンズ24と後側リレーレンズ28を有している。この開口絞り26は好ましくは、前側リレーレンズ24の後側焦点面(buck focal plane)に位置するとともに、後側のリレーレンズ28の前側焦点面(front focal plane)に配置されている。前側リレーレンズ24は対象14が配置された対象フィールド30からの光を集め、後側リレーレンズ28は中間像フィールド32内に対象14の中間像16を形成する。上記開口絞り26は好ましくは、対象フィールド30にわたる対象14の焦点深度の変動に伴う中間像16の歪みを回避するために、対物系12が少なくとも略テレセントリックになるように、対象フィールド30からの収束される画角(field angle)を抑制する。好ましくは、対物系は1対1の倍率を有し、両側テレセントリック(doubly telecentric)である。すなわち、対象フィールド30と中間像フィールド32の両方でテレセントリックである。
【0018】
上記プロジェクタ18は、種々の倍率を提供し、中間像16をコンパレータスクリーン22に投射する。上記対物系12内の折り返しミラー34と、上記プロジェクタ18とスクリーン22との間に配置された折り返しミラー36は、対象14の設置に便利な位置と対象14の拡大された像20の観察に便利な位置とを結合するために、コンパレータ10内において像を表す光の方向を変える。
【0019】
本発明に係わるレンズ越し(スルー・ザ・レンズ:through-the-lens)の照明システム38は、上記対物系の開口絞り26を囲む多重化ビーム発生器(multiplexed beam generator)40を含んでいる。図示の多重化ビーム発生器40(図2にも示されており、さらに図3にも拡大して示されている)は、4つの有効光源44とそれに関連する4つのビーム形成光学系46を含み、これらは全て共通のハウジング50に設けられている。ハウジング50の中央開口は対物系12の絞り26として機能する。上記ビーム形成光学系46の出口側の面は好ましくは開口絞り26を含む平面上またはその近傍に配置されており、これにより、ビーム形成光学系46の出力が同一平面内で有効照明器開口絞り58(effective illuminator aperture stop;有効照明絞り)の少なくとも一部を満たすようになっている。4つの有効光源44は好ましくは、等しい数の発光ダイオード(LED)を備えている。対物系12の前側リレーレンズ24を介して対象フィールド30を集中的に照明するために、ビーム形成光学系46は好ましくは、有効光源44からの出力を角度的な広がりを有するビームに変換する集光レンズ(collector or collimating lens)である。
【0020】
上記有効光源44は、上記LEDと集光レンズとの間の拡散板(diffuser:図示しない)をLEDと組み合わせることにより、上記ビーム形成光学系46を介して所望の角度的広がりの光ビームを得るための形状及びサイズにすることができる。図示の実施例では、有効光源44はビーム形成光学系46の軸48とアライメントされており、これらビーム形成光学系46の軸は、対物系12の軸42(この軸は照明システム38と共通である)の周りに均等に分配されて配置されている。好ましくは、対象フィールド30においてバランスのとれた角度的分配の光を届けるために、ビーム形成光学系46は鏡面対称の対をなして配置されている。
【0021】
4つの(2対の)ビーム形成光学系46を図示しているが、これにより多いか少ないビーム形成光学系と関連する光源を用いることもできる(好ましくは鏡面対称の対をなして)。上記ビーム形成光学系は、開口絞りを囲む環状の周縁をできるだけ多く占めるのが好ましく、対象フィールドを照明するための最大画角を設定する有効照明器開口絞りの所望径に対応して、全体の径方向寸法が制限されている。
【0022】
図2、図3に示すように、ビーム形成光学系46の周縁は、対物系の絞り26に隣接して切り欠かれた形状(平坦部54を見よ)を有している。これにより、ビーム形成光学系46の軸48を径方向において絞り26に近づけるように移動させる。上記光学系46が径方向において面取りされた量の分だけ軸48を径方向に移動させることにより、ビーム形成光学系46からのより多くの光が前側リレーレンズ24を通過し、しかも中間像32を形成するための対物系12により収束される画角に近い画角内に光が集められる。ビーム形成光学系46の径方向に切り欠かれた形状は、円形の周縁の一部を平坦にするが、凹み形状(凹面形状)を含む他の切り欠き形状を用いることもできる。この凹み形状は対物系絞り26の形状により一層適合する。
【0023】
上記有効光源44と、この光源に関連するとともに対物系絞り26を囲むビーム形成光学系46は多重化(multiplexed)ビーム発生器と称される。なぜなら、各光源44と関連するビーム形成光学系46からの空間的、角度的貢献が結合して、画角の全範囲にわたり対象フィールド30の少なくとも部分的に重なり合う部分を照明するからである。
第1の有効開口数で作用する前側リレーレンズ24は、対物系絞り26のサイズによって制限される画角の範囲において対象フィールド30からの光を集める。照明システムの一部として、前側リレーレンズ24は開口絞り26によって制限されない、より高い開口数で作用し、より大きな角度範囲で対象フィールド30に光を伝送する。この角度範囲は、前側リレーレンズ24の絞り(aperture)か、ビーム形成光学系46を包む照明器絞り58によって制限される。
ビーム形成光学系26の軸48を対物系絞り26に近づける上記ビーム形成光学系46の切り欠き形状(平坦部54)は、より多くの光が前側リレーレンズ24を通過するようにし、画角内においてより多くの光を対象フィールド30に集中させる。
【0024】
上記共通のハウジング50とその適応構造は、コンパレータ10の像伝送路に近い有効光源44により発生した熱からの、潜在的な望ましくない効果を減じる。
有効光源44をさらに隔離し、光軸42に沿って前側リレーレンズ24に向かう熱の伝播を阻止するため、ハウジング50の中央開口に透光板52が配置され、開口絞り26を覆っている。透光板52(光学ガラスで形成することができる)は、好ましくは少し傾けて設けられている(例えば、透光板52の光軸が対物系の軸42に対して約10°傾いている)。これにより、対象フィールド30から中間像フィールド32に至る像伝送路に沿って擬似反射が発生するのを回避することができる。反射を減じ透過性を増すために、この板に反射防止コーティングを施すことができる。
上記板52は好ましくは共通ハウジング50の中央開口にシールされている。この目的のために、室温加硫(RTV)シリコーン等の通常のシール材を用いることができる。このシール材料は好ましくは、(a)板52の周りの熱の流れを阻止し、(b)温度を均一化するために、板52とハウジング50との間の熱伝導経路を提供し、(c)ハウジング50内での板のしっかりと安定した取付を提供する。
上記共通のハウジング50内に設けられた有効光源44は、ハウジング内に熱を伝送する傾向を有する。共通ハウジング50に接続された循環冷却システム60は、ハウジング50から過剰な熱を引き出す。例えば、水等の冷却媒体がハウジング50と熱交換器との間を循環することができる。ファン(図示しない)を、光源44から熱を運ぶために用いることもできる。
【0025】
他の多重化ビーム発生器70が図4に示されている。上記多重化ビーム発生器40と同様に、多重化ビーム発生器70は、共通ハウジング80内において対物系12の開口絞り26の周りに一般的に好ましい鏡面対称の対をなして配置された、複数の有効光源74とそれに関連するビーム形成光学系76を有している。しかし、ビーム形成光学系76の周縁を切り欠く代わりに、有効光源74がビーム形成光学系76の軸78から径方向に外れている。有効光源の中心線82はビーム形成光学系76の軸78から距離dRだけ径方向、外方向に外れている。
【0026】
上記有効光源74の径方向のオフセットdRは、前側リレーレンズ24を通過して対象フィールドに到達する光を、開き角度(aperture angle)の範囲内(この範囲は、照明絞り(illumination aperture)内である)に集中させる。対物系絞り26の両側での有効光源74とそれに関連するビーム形成光学系76の鏡面対称は、対象フィールドでの照明をバランスがとれたものにするために提供される。すなわち、対物系絞り26の一方側における有効光源74とそれ関連するビーム形成光学系76により冷遇された対象フィールの位置は、対物系絞り26の反対側の鏡面対称の有効光源74とそれに関連するビーム形成光学系によって厚遇される。
対物系12またはプロジェクタ18により結像される対象フィールドを照明するのに要求される開き角度で光ビームを発生させるために、上記有効光源74の形状とサイズはビーム形成光学系76と関連して制限されるのが好ましい。好ましくは、上記径方向オフセットdRは、対象フィールド30を照明するのに要求される範囲内での、ある開き角度内において、光の集中をより増大させるために、制限される。
【0027】
さらに他の多重化ビーム発生器90が図5に示されている。ここでは、複数の有効光源94が共通のハウジング100内で、関連するビーム形成光学系96の軸とアライメントされている。しかし、前側リレーレンズ24を通過して対象フィールドに到達する、開き角度の範囲内の光を集中させるために、ビーム形成光学系96の軸98が対物系の光軸42に対して、オフセット角dΘだけ傾いている(平行軸102に対して測定された角度として示されている)。軸98は好ましくは、対物系の軸42を含む軸方向に延びる平面(axial plane)内で傾く。前述した実施形態と同様に、対象フィールドでの照明のバランスをとるために、対物系絞り26の両側で有効光源94とそれに関連するビーム形成光学系96が鏡面対称となるのが好ましい。さらに前述した実施形態と同様に、対物系12またはプロジェクタ18により結像される対象フィールドを照明するのに要求される開き角度で光ビームを発生させるために、上記有効光源74の形状とサイズはビーム形成光学系76と関連して制限されるのが好ましい。上記オフセット角dΘは、対象フィールド30を照明するのに要求される範囲内での、ある開き角度内において、光の集中をより増大させるために、制限される。
【0028】
結像される対象フィールド30の照明に求められる開き角度の中で光の分配を制御するために、有効光源のサイズと形状を最適なものにするとともに、有効光源のオフセットとビーム形成光学系の傾きとの種々の組み合わせを用いることができる。
さらに、対象フィールドが結像される画角に近い画角内で光を集中させるために、傾斜した又は相対的にオフセットしたビーム形成光学系の軸を対物系絞りにより近づけるべく、ビーム形成光学系の周縁を切り欠くこともできる。
【0029】
本発明の好ましい態様として光学コンパレータに関して説明をしたが、本発明の教示は結像システムと照明システムを組み合わせた光学検査システムへの適用が期待される。特に、照明器が作用する最小の開口数が、結像器が作用する開口数を超えているシステムへの適用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象を照明する照明システムと、
対象フィールド内での上記検査対象の像を得る結像システムと、
一部が上記照明システムと結像システムの両方で共有される対物系と、
を備え、
上記対物系が、少なくとも略テレセントリックであり、上記検査対象からの散乱された光を集め、この集められた光で上記検査対象の像を形成するために、前側リレーレンズと、後側リレーレンズと、これら前後のリレーレンズ間に配置された対物系絞りとを有し、
上記照明システムの多重化ビーム発生器は、上記検査対象を照明するために、複数の有効光源と、これら有効光源に関連し上記対物系絞りを囲むビーム形成光学系を有し、
上記ビーム形成光学系の各々は、上記検査対象フィールドを照明するのに要求される角度範囲内で光を不均一に配給するために、関連する上記有効光源と一緒に配置されていることを特徴とする光学検査システム。
【請求項2】
上記ビーム形成光学系の各々とそれに関連する上記有効光源は、上記対象フィールドがより均一に照明されるように、上記要求される角度範囲内で光を異ならせて配給することを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項3】
上記ビーム形成光学系は、上記対物系の光軸の周りに対称に対をなして配置され、これら対内における非均一な光の分配が実質的に鏡面対称をなすことを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項4】
上記ビーム形成光学系から光が配給される角度範囲が、上記対物系の光軸に向かって収束しこの光軸から広がる角度を含んでおり、上記ビーム形成光学系は上記光軸に向かって収束する角度内により多くの光を配給することを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項5】
(a)上記対物系は第1の画角範囲で上記検査対象からの散乱された光を集め、上記複数の有効光源とそれに関連するビーム形成光学系は、より大きな第2の画角範囲で上記検査対象を照明するために、上記対物系絞りを囲むようにして配置されており、
(b)上記複数の有効光源とそれに関連するビーム形成光学系が、上記検査対象を照らすフィールドポイント間での角度変化を減じるために、上記第1の画角範囲内の角度により近い、上記第2の画角範囲内の角度で光を収束させることを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項6】
上記ビーム形成光学系の周縁が、上記対物絞りに隣接して切り欠かれていることを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項7】
上記ビーム形成光学系の周縁が共通の径方向において切り欠かれた量にほぼ対応する径方向距離だけ、上記ビーム形成光学系の光軸の位置が上記対物系絞りに近づいていることを特徴とする請求項6に記載の光学検査システム。
【請求項8】
上記有効光源は、制限された範囲の角度的に関連した光ビームを上記ビーム形成光学系と一緒に生成するために、相対的なサイズが決められ、この光ビームが上記前側リレーレンズにより上記対象フィールドにわたって空間的に分配される所定範囲のビームに変換されることを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項9】
上記ビーム形成光学系が光軸を有し、関連する有効光源がこのビーム形成光学系の光軸から外れた中心を有していることを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項10】
上記有効光源の中心が、上記対物系の光軸から径方向に延びる方向において、上記ビーム形成光学系の光軸から外れていることを特徴とする請求項9に記載の光学検査システム。
【請求項11】
上記ビーム形成光学系が上記対物系の光軸に対して傾いた光軸を有することを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項12】
上記ビーム形成光学系の光軸が、上記対物系の光軸を含む平面上において傾いていることを特徴とする請求項11に記載の光学検査システム。
【請求項13】
上記有効光源が発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項14】
上記ビーム形成光学系が共通ハウジング内に配置され、この共通ハウジングが上記対物系絞りを画成する中央開口を有していることを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項15】
上記複数の有効光源と上記前側リレーレンズとの間での熱の伝播を阻止するために、上記共通ハウジングの上記中央開口内に、透光板が配置されていることを特徴とする請求項14に記載の光学検査システム。
【請求項16】
上記対物系によって形成された上記検査対象の像が拡大されない中間像であり、さらにこの中間像の拡大像をスクリーンに投射するためのプロジェクタを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項17】
上記対物系が両側テレセントリックであり、上記対物系絞りがテレセントリック絞りであることを特徴とする請求項1に記載の光学検査システム。
【請求項18】
検査対象の像を形成するための対物系を有する光学検査システムのための照明システムであって、
複数の有効光源と、上記検査対象を照明するためにこれら複数の有効光源からの光を集めこの光を上記対物系の一部を通過させるように向かわせる、関連したビーム形成光学系と、
上記ビーム形成光学系のための共通ハウジングであって、中央開口を有し、この中央開口の周りに上記ビーム形成光学系が設けられ、この中央開口内で対物系の絞りが画成される共通ハウジングと、
熱が上記対物系絞りを通過して伝播するのを阻止するために、上記共通ハウジングの中央開口内に配置された透光板と、
を備えた照明システム。
【請求項19】
上記検査対象の偽の像が発生するのを回避するために、上記透光板が傾斜していることを特徴とする請求項18に記載の照明システム。
【請求項20】
上記透光板の光軸が上記対物系の光軸に対して約10°傾いていることを特徴とする請求項19に記載の照明システム。
【請求項21】
さらに、上記透光板と共通ハウジングとの間にシールを備えたことを特徴とする請求項18に記載の照明システム。
【請求項22】
上記透光板が、この透光板を冷やすために、上記共通ハウジングと熱的に結合されていることを特徴とする請求項18に記載の照明システム。
【請求項23】
上記共通ハウジングが能動的に冷却されることを特徴とする請求項18に記載の照明システム。
【請求項24】
上記対物系が、上記対物系絞りを跨ぐ前側と後側のレンズを有し、
上記前側レンズが上記検査対象からの光を集め、
上記複数の有効光源が、上記対物系絞りと後側レンズとの間の位置において上記共通ハウジングによって支持された発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項18に記載の照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−108125(P2012−108125A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243046(P2011−243046)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(505377430)クオリティー ヴィジョン インターナショナル インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Quality Vision International, Inc.
【Fターム(参考)】