説明

光学デバイス

【課題】細径であっても高い接合強度を得ることができる光学デバイスを提供すること。
【解決手段】光学デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21などの導光部材と、光ファイバ21を保持する第1の保持部材31と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光学素子41を保持し、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように第1の保持部材31と接続する第2の保持部材51とを有している。また光学デバイス10は、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが接続する際に、一端部33である第1の接合部63と、一端部53と一端面55aとである第2の接合部65とを覆うようにして、第1の接合部63と第2の接合部65とに接合する接合部材61をさらに有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材と光学素子とを有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、光ファイバと光学素子とを接続する光学デバイスが開示されている。図9に示すように、筒状体111は、光ファイバ112が挿入される中空孔106を有している。光素子100の円筒体端面107は、中空孔106の中心軸に対して直角ではない傾斜角を有する平面として形成されている。光ファイバ112の接続端面113は、光ファイバ112の中心軸に対し所望の角度(例えば直角)を有するように、平面状に形成されている。光ファイバ112は中空孔106に挿入され、接続端面113の端面円周縁上の1点がほぼ円筒体端面107上に位置するように、接続端面113は配置される。つまり、中空孔106内において接続端面113が円筒体端面107より外側に突出しないように、光ファイバ112は筒状体111に配置される。
【0003】
上記のように光ファイバ112が配置された筒状体111において、接続端面113は光素子100の端面103に近接し、光導波路102の光導波路端面114と接続端面113とが対向するように配置され、接着剤115が光導波路端面114と接続端面113との間に施される。少なくとも、光導波路端面114と接続端面113との間隙部、円筒体端面107と端面103との間隙部、および光ファイバ112の周面と中空孔106の内周面との間隙部に、接着剤115が同時に充填される。接着剤115は互に連続し、硬化処理が、必要に応じて、連続した接着剤115に施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2901508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1において、光素子100の断面と、光ファイバ112を保持する筒状体111であるフェルールの断面とは、光ファイバ112の光軸に対して垂直方向の断面を示し、接着面として機能している。光学デバイスが細径になると、接着面の面積が減少し、これに伴い接合強度が著しく低下してしまう。
【0006】
なお接合が、接着剤によって行われていても、一般的に接着剤よりも接合強度に優れる溶接によって行われていても、接着面の面積の減少に伴い、接合強度が著しく低下してしまう。このように、特許文献1では、光学デバイスに必要とされる接合強度を満足できない。
【0007】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、細径であっても高い接合強度を得ることができる光学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、光を導光する導光部材と、前記導光部材を保持し、第1の接合部を有する第1の保持部材と、前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、前記光学素子を保持し、第2の接合部を有し、前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記第1の保持部材と接続する第2の保持部材と、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とが接続するために、前記第1の接合部と前記2の接合部とを覆うようにして前記第1の接合部と前記2の接合部とに接合する接合部材と、を具備し、前記第1の接合部と前記2の接合部との少なくとも一方は、段部として形成されていることを特徴とする光学デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、細径であっても高い接合強度を得ることができる光学デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係り、光結合後の光学デバイスを示す図である。
【図2】図2は、本実施形態の光学デバイスとは異なる光学デバイスを示す図であり、段部が配設されていない光学デバイスを示す図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図3B】図3Bは、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の第1の実施形態の第5の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態の第6の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の第1の実施形態の第7の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図7B】図7Bは、本発明の第1の実施形態の第7の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図7C】図7Cは、本発明の第1の実施形態の第8の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図8A】図8Aは、本発明の第1の実施形態の第9の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図8B】図8Bは、本発明の第1の実施形態の第9の変形例に係る光学デバイスを示す図である。
【図9】図9は、従来の光学デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2とを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、光学デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21などの導光部材と、光ファイバ21を保持する第1の保持部材31と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光学素子41を保持し、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように第1の保持部材31と接続する第2の保持部材51とを有している。
【0012】
図1に示すように、光ファイバ21は、光を出射する出射端面23aを一端部23に有している。光ファイバ21の他端部25は、光ファイバ21を保護する例えば樹脂製の被覆層25aによって被覆されている。光ファイバ21は、例えばガラスとプラスチックとの少なくとも一方によって形成されている。
【0013】
第1の保持部材31は、例えばジルコニアとガラスと金属との少なくとも1つによって形成されているフェルールである。この金属は、例えばニッケルとSUSと真鍮との少なくとも1つによって構成されている。第1の保持部材31は、例えば円筒形状を有している。第1の保持部材31の外径は、例えば0.9mmとなっている。また、図1に示すように、円筒形状の第1の保持部材31は、光ファイバ21が嵌合または接着する貫通孔31aを、第1の保持部材31の中心に有している。貫通孔31aは、第1の保持部材31の軸方向において、第1の保持部材31を貫通している。貫通孔31aは、第1の保持部材31が光ファイバ21を保持するために配設されており、保持孔として機能する。第1の保持部材31は、光ファイバ21の出射端面23aが第1の保持部材31の一端面31bと同一平面上に配設されるように、光ファイバ21を保持している。一端面31bは、第1の保持部材31の一端部33に配設されている。
【0014】
貫通孔31aは、一端面31bにおいて開口している。一端面31bにおいて、貫通孔31aの開口部周辺は、例えば平面として形成されている。
【0015】
なお図1に示すように、一端部33は、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが接続する際に、後述する接合部材61によって覆われ、接合部材61と接合する。つまり一端部33側の第1の保持部材31の外周面39aは、接合部材61が接合する接合面として機能する。また一端部33は接合部材61と接合する第1の接合部63として形成され、第1の保持部材31は一端部33である第1の接合部63を有していることとなる。
【0016】
また第1の保持部材31は、貫通孔31aと連通し、光ファイバ21が貫通孔31aに挿入されるように、光ファイバ21の一端部23を貫通孔31aにガイドするガイド口31dを他端面31cに有している。ガイド口31dと他端面31cとは、第1の保持部材31の他端部35に配設されている。ガイド口31dは、第1の保持部材31の他端面31cから第1の保持部材31の一端面31b側に向かって縮径している円錐台形状を有しており、傾斜しているテーパとなっている。なお前述した被覆層25aは、第1の保持部材31の他端面31c側、詳細にはガイド口31d付近にまで配設されているのみであり、貫通孔31aには挿入されない。このため光ファイバ21の一端部23は、被覆層25aから露出している。
【0017】
ガイド口31dには、被覆層25aを含む光ファイバ21の他端部25側を第1の保持部材31に接着する接着部材37が配設される。接着部材37は、被覆層25aにも配設される。接着部材37は、例えば、光学用の接着剤や、シリコンやエポキシ等の接着剤などである。
【0018】
光学素子41は、例えば蛍光体である。光学素子41は、例えば円錐台形状を有している。なお光学素子41は、円錐台形状に限定することはなく、円柱形状や半球形状や放物形状であってもよい。光学素子41は、例えば平面状の一端面43aを有している。一端面43aは、出射端面23aから出射された光が入射する入射端面である。一端面43aは、出射端面23aよりも大きい。
【0019】
第2の保持部材51は、例えば金属によって形成されている。この金属は、例えばニッケルとSUSと真鍮との少なくとも1つによって構成される。第2の保持部材51は、第1の保持部材31とは別体である。第2の保持部材51は、段付き形状に形成されており、このため例えば凸形状の外形を有している。このような第2の保持部材51は、段部71が形成されるように、一端部53と、一端部53と一体で一端部53よりも大きい(太い)他端部55とから構成されている。一端部53と他端部55とは、例えば円柱形状を有している。この場合、一端部53は細径部として形成され、他端部55は太径部として形成されており、一端部53と他端部55とは同軸に形成されている。
【0020】
図1に示すように、一端部53の外径は、例えば一端部23の外径と略同一となっている。
【0021】
図1に示すように、一端部53は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合する際、第1の保持部材31の一端部33と対向する。また一端部53は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合する際、第1の保持部材31の一端面31bと当接する平面状の一端面53aを有している。
【0022】
他端部55は、後述する接合部材61が接合する平面状の一端面55aを有している。一端面55aは、一端部53における第2の保持部材51の外周面59aに対して直交している。このため段部71は、直角を有する前述した角部73を有していることとなる。他端部55の外径は、例えば1.3mmとなっている。
【0023】
第2の保持部材51は、光学素子41が嵌合または接着する貫通孔51aを、第2の保持部材51の中心に有している。貫通孔51aは、第2の保持部材51の軸方向において、第2の保持部材51(一端部53と他端部55)を貫通している。貫通孔51aは、第2の保持部材51が光学素子41を保持するために配設されており、保持孔として機能する。このため、貫通孔51aは、光学素子41と同形状、例えば円錐台形状を有している。
【0024】
一端部53と一端面55aとは、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが接続する際に、接合部材61によって覆われ、接合部材61と接合する。つまり一端部53における第2の保持部材51の外周面59aと、一端面55aとは、接合部材61が接合する接合面として機能する。また一端部53と一端面55aとは接合部材61と接合する第2の接合部65として形成され、第2の保持部材51は一端部53と一端面55aとである第2の接合部65を有していることとなる。また第2の接合部65は、前述したように段部71として形成されている。
【0025】
また光学デバイス10は、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが接続する際に、一端部33である第1の接合部63と、一端部53と一端面55aとである第2の接合部65とを覆うようにして、第1の接合部63と第2の接合部65とに接合する接合部材61をさらに有している。なお接合部材61は、一端面31b,53aにも配設されてもよい。
【0026】
接合部材61は、例えばUV光を照射されることで硬化するエポキシ系の接着剤である。接合部材61は、アクティブアライメントが行われた後に、UV光を照射されることで硬化する。アクティブアライメントについては、後述する。接合部材61は、硬化によって第1の接合部63と第2の接合部65とに接合し、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを接合する。このため前述したように、一端部33における第1の保持部材31の外周面39aと、一端部53における第2の保持部材51の外周面59aと、一端面55aとは、接合面となる。
【0027】
第1の保持部材31と第2の保持部材51とが接続する際、接合部材61は、前述したように硬化する。これにより接合部材61は、接合部材61の接合力によって第1の接合部63と第2の接合部65とに接合する。このとき、硬化した接合部材61が第1の接合部63と第2の接合部65とを覆うために、硬化した接合部材61は、筒形状を有する1つの部材として機能し、一端部33,53側を支持する。そして応力(負荷)が光学デバイス10の径方向(せん断方向)において光学デバイス10に掛かっても、接合部材61はこの応力を緩衝する。言い換えると、接合部材61は、応力が第1の接合部63と第2の接合部65とに直接的に掛かることを防止し、光学デバイス10の折れ曲がりを防止する。
【0028】
また硬化した接合部材61は、第1の接合部63と第2の接合部65とに接合することで、第1の保持部材31と第2の保持部材51と一体となる。また硬化した接合部材61は、出射端面23aと一端面43aとの軸周りにおける肉厚を補強する補強部材として形成される。
【0029】
また接合部材61は、段部71として形成される第2の接合部65を有する第2の保持部材51において、光学デバイス10を細径化するために段部71から他端部55における第2の保持部材51の外周面59bにはみ出ず、外周面59bには接合しない。これにより接合部材61の外径は、最大で他端部55の外径と同様となり、最大で例えば1.3mmとなっている。このとき一端面55aは、接合部材61が外周面59bに向かってはみ出ることを防止する。つまり一端面55aは、外周面59bに向かう接合部材61を塞き止める塞き止め部として機能する。
【0030】
なお接合部材61は、光学デバイス10の径方向において外周面59bを超えなければ、第1の保持部材31において接合力を増すために他端部35側の外周面39aにまで接合されてもよい。
【0031】
次に本実施形態の光学デバイス10の組み立て方法について説明する。
光学素子41は貫通孔51aに配設され、第2の保持部材51は光学素子41を保持する。一端面43aには、図示しない屈折率整合部材が配設される。屈折率整合部材は、出射端面23aと一端面43aとの間且つ光路上において空気が入ることで光結合効率が低下することを防止するために配設されている。屈折率整合部材の屈折率は、光ファイバ21の屈折率と光学素子41の屈折率とに近似している。屈折率整合部材は、例えばマッチングオイルなどである。
【0032】
また、光ファイバ21はガイド口31dから貫通孔31aに配設され、接着部材37はガイド口31dにて被覆層25aを含む光ファイバ21を第1の保持部材31に接着する。これにより、第1の保持部材31は、光ファイバ21を保持する。
【0033】
なお上述した屈折率整合部材は、出射端面23aに配設されてもよい。つまり屈折率整合部材は、少なくとも出射端面23aと一端面43aとの間に介在している。
【0034】
第1の保持部材31と第2の保持部材51とは、それぞれ図示しない治具に配設される。
【0035】
次にアクティブアライメントが以下のように行われる。
レーザ光は、図示しない光源から出射され、光ファイバ21を透過する。光ファイバ21を透過したレーザ光は、出射端面23aから出射し、入射端面である一端面43aを介して光学素子41に入射する。光学素子41は、レーザ光を照射されることで所望の波長の光を励起し、この光を出射する。
【0036】
光学素子41から出射されたレーザ光の光量は、図示しない測定部によって測定される。
【0037】
第1の保持部材31と第2の保持部材51とのいずれか一方は、冶具によって位置を固定される。以下において、第1の保持部材31が固定されていると仮定する。
【0038】
光ファイバ21の光軸と光学素子41の光軸とが同一直線上に配置され、測定部によって測定されるレーザ光の光量が最大となるように、第2の保持部材51は、冶具によって第1の保持部材31に対して相対的に位置調整される。この後、例えば出射端面23aと一端面43aとが当接するように、第2の保持部材51は、冶具によって第1の保持部材31に向かって移動する。
これにより、アクティブアライメントが終了する。
【0039】
この状態で接合部材61は、外周面59aに向かうように図示しない装置から滴下される。このとき図示しない装置は、例えば光ファイバ21の光軸周りに回転し、また光軸に沿って移動する。これにより接合部材61は、第1の接合部63と第2の接合部65とを覆うようにして、第1の接合部63と第2の接合部65とに塗布される。このとき一端面55aは、外周面59bに向かう接合部材61を塞き止め、接合部材61が外周面59bに向かってはみ出すことを防止する。
【0040】
そして、接合部材61は、図示しないUV照射装置から照射されるUV光を、所望な時間照射される。これにより接合部材61は、硬化し、第1の接合部63と第2の接合部65とに接合し、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを接合する。
【0041】
よって、応力が光学デバイス10の径方向(せん断方向)において光学デバイス10に掛かっても、この応力は接合部材61によって緩衝される。言い換えると、応力は、接合部材61によって第1の接合部63と第2の接合部65とに直接的に掛かることを防止される。そして光学デバイス10の折れ曲がりが接合部材61によって防止される。
【0042】
また接合部材61は、段部71として形成される第2の接合部65において、塞き止め部である一端面55aによって、段部71から他端部55における第2の保持部材51の外周面59bにはみ出ず、外周面59bには接合しない。このため接合部材61は、第2の保持部材51よりも太くならず、最大で他端部55と同径となる。このため、光学デバイス10は、段部71によって細径を維持した状態で、段部71と接合部材61とによって高い接合強度を維持する。
【0043】
また図2に示すように、例えば段部71が形成されておらず、一端部53と他端部55とが一端部33よりも太く、一端部53と他端部55とが同径であるとする。この場合、第2の保持部材51において、第2の接合部65の面積が減少し、接合強度が低下してしまう。このため、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが外れてしまう虞が生じる。
しかしながら本実施形態では、図1に示し、前述したように、段部71が形成され、接合部材61が配設されているために、光学デバイス10は、段部71と接合部材61とによって高い接合強度を維持する。
【0044】
また例えば段部71が形成されておらず、一端部33と一端部53と他端部55とが同径、つまり第1の保持部材31と第2の保持部材51とが同じ外径を有しているとする。この場合、接合部材61が外周面39a,59aに配設され、光学デバイス10は接合部材61の厚み分だけ太くなる。
しかし本実施形態では、図1に示し、前述したように、段部71が形成され、接合部材61が段部71に配設されているために外周面59bにはみ出ず、このため接合部材61は、第2の保持部材51よりも太くならず、最大で他端部55と同径となる。このため、接合部材61は、光学デバイス10の径方向において光学デバイス10に収まる。よって、光学デバイス10は、段部71によって細径を維持することとなる。
【0045】
本実施形態では、接合部材61はアクティブアライメント後に硬化するため、アクティブアライメントにおいて、前述したように光ファイバ21の光軸と光学素子41の光軸との位置と、例えば出射端面23aと一端面43aとの当接状態と、測定部によって測定されるレーザ光の光量の状態と、第1の保持部材31と第2の保持部材51との相対位置とが調整が可能となる。
よって、光学デバイス10の組立精度と光結合効率とが向上した状態で、光学デバイス10は組み立てられる。
【0046】
このように本実施形態では、接合部材61が第1の接合部63と第2の接合部65とを覆い、第2の接合部65が段部71として形成されることで、図2に示す構成とは異なり光学デバイス10は細径であっても高い接合強度を得ることができる。よって本実施形態では、応力が光学デバイス10の径方向(せん断方向)において光学デバイス10に掛かっても、この応力を接合部材61によって緩衝できる。言い換えると本実施形態では、応力が接合部材61によって第1の接合部63と第2の接合部65とに直接的に掛かることを防止でき、光学デバイス10の折れ曲がりを接合部材61によって防止できる。
【0047】
また本実施形態では、段部71として形成される第2の接合部65において、塞き止め部である一端面55aによって、接合部材61が段部71から他端部55における第2の保持部材51の外周面59bにはみ出ることを防止できる。このため本実施形態では、接合部材61が第2の保持部材51よりも太くなることを防止でき、光学デバイス10が段部71によって細径を維持した状態で段部71と接合部材61によって高い接合強度を維持できる。
【0048】
また本実施形態では、接合部材61は、UV光を照射されて硬化することで、筒形状を有する1つの部材として初めて機能し、一端部33,53側を初めて支持し、第1の保持部材31と第2の保持部材51と初めて一体となり、補強部材として初めて形成される。このため、本実施形態では、アクティブアライメントにおいて第1の保持部材31と第2の保持部材51との相対位置等を調整でき、光学デバイス10の組立精度と光結合効率とが向上した状態で光学デバイス10を組み立てることができる。
【0049】
また本実施形態では、段部71において、角部73は直角を有し、一端部33,53とが円柱形状を有しているために、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを容易且つ安価に加工することができる。
【0050】
また本実施形態では、光学素子41が円錐台形状を有しているために、段部71が形成されること自体が第2の保持部材51の大径化には繋がらない。
【0051】
接合部材61が一端面31b,53aのみに配設されるだけだと、接合強度が十分に確保されない。
しかしながら本実施形態では、前述したように接合部材61が配設されるために、接合強度を十分に確保できる。
【0052】
なお本施形態では、一端面55a全体が接合部材61によって覆われているが、これに限定する必要はなく、角部73を含む一端面55aの少なくとも一部が接合部材61によって覆われていてもよい。
【0053】
また本実施形態では、段部71が1つのみ配設されているが、段部71は複数配設されていてもよい。
【0054】
次に図3Aと図3Bとを参照して本実施形態の第1の変形例と第2の変形例とについて説明する。
前述した第1の実施形態において、第2の接合部65は段部71として形成されているが、これに限定する必要は無い。
【0055】
第1の変形例として、図3Aに示すように、例えば、第1の接合部63が段部71として形成されていても良い。
または第2の変形例として、図3Bに示すように、例えば、第1の接合部63と第2の接合部65とが段部71として形成されていても良い。
このように、第1の接合部63と2の接合部との少なくとも一方が段部71として形成されていればよい。
【0056】
なお例えば図3Aに示す第1の変形例において、第1の保持部材31は、段部71が形成されるように、一端部33と、一端部33と一体で一端部33よりも大きい(太い)他端部35とから構成されている。
他端部35の外径は、例えば一端部53の外径と略同一となっている。なお第1の変形例では、一端部53の外径と他端部55の外径とは略同一となっている。
この場合、段部71、詳細には、他端部35の一端面35aと一端面53aとは、接合部材61が他端部35における第1の保持部材31の外周面39bと、第2の保持部材51の外周面59a,59bに向かってはみ出すことを防止する。つまり段部71、詳細には、一端面35aと一端面53aとは、外周面39b,59a,59bに向かう接合部材61を塞き止める塞き止め部として機能する。
【0057】
また段部71の大きさ、言い換えると、一端面35aと一端面53aとの距離は、接合部材61の体積と形状とを制御及び規定する制御規定部とにもなる。
この点は、第2の変形例についても略同様である。
【0058】
次に図4を参照して本実施形態の第3の変形例とについて説明する。
第1の接合部63(一端部33)の少なくとも一部は、接合面である外周面39aが傾斜するように、テーパ形状に形成されている。このため例えば一端部33は、第1の保持部材31の軸方向において、第1の保持部材31の他端面31c側から第1の保持部材31の一端面31b側に向かって縮径している円錐台形状を有している。
【0059】
また第2の接合部65(一端部53)の少なくとも一部は、接合面である外周面59aが傾斜するように、テーパ形状に形成されている。このため例えば一端部53は、第2の保持部材51の軸方向において、第2の保持部材51の他端面側から第2の保持部材51の一端面53a側に向かって縮径している円錐台形状を有している。
【0060】
本変形例では、一端部33,53が円錐台形状を有しているために、一端部33,53が筒形状を有している場合に比べて、接合部材61が第1の接合部63と第2の接合部65とに多く接合することができる。これにより本変形例では、より高い接合強度を得ることができる。
【0061】
次に図5Aを参照して本実施形態の第4の変形例について説明する。
第4の変形例として、段部71は、例えば鈍角を有する角部73を有している。
これにより本変形例では、応力が角部73に集中することを防止でき、シェア強度を高めることができる。
【0062】
次に図5Bを参照して本実施形態の第5の変形例とについて説明する。
第5の変形例として、段部71は、例えば鋭角を有する角部73を有している。
これにより本変形例では、接合部材61が外周面59bに向かってはみ出すことをより防止でき、光学デバイス10を確実に細径にできる。
【0063】
次に図6を参照して本実施形態の第6の変形例とについて説明する。
本変形例において、段部71、詳細には外周面59aは、光ファイバ21の軸方向に沿って配設されている溝部75を有している。溝部75は、例えば、光ファイバ21の周方向に沿って同心円上に複数配設されている。溝部75は、外周面59aから第2の保持部材51の中心軸に向かって窪んでいる。なお溝部75は、図6に示すように光ファイバ21の軸方向に連続して配設されていてもよいし、不連続に配設されていてもよい。
【0064】
これにより第2の接合部65において、接合面積が増加する。よって応力が光学デバイス10の径方向(せん断方向)において光学デバイス10に掛かっても、接合部材61はこの応力をさらに緩衝する。言い換えると、接合部材61は、応力が第1の接合部63と第2の接合部65とに直接的に掛かることをさらに防止し、光学デバイス10の折れ曲がりをさらに防止する。
このように本変形例では、溝部75によって、接合面積を増加でき、光学デバイス10の径方向(せん断方向)において接合部材61のアンカー効果を高めることができ、光学デバイス10の径方向(せん断方向)においてより高い接合強度を得ることができる。
【0065】
次に図7Aと図7Bとを参照して本実施形態の第7の変形例とについて説明する。
図7Aに示すように、段部71、詳細には外周面59aは、光ファイバ21の周方向に沿って形成されている溝部75を有している。この溝部75は、リング状に連続して配設されている。図7Bに示すように、溝部75は、光ファイバ21の軸方向に沿って複数配設されていてもよい。このような溝部75は、くびれとして形成されている。
【0066】
本変形例では、溝部75によって、接合面積を増加でき、光学デバイス10の軸方向(引張方向)において接合部材61のアンカー効果を高めることができ、光学デバイス10の軸方向(引張方向)においてより高い接合強度を得ることができる。
【0067】
次に図7Cを参照して本実施形態の第8の変形例とについて説明する。
本変形例では、溝部75は、第2の保持部材51の中心軸を巻回するような螺旋形状を有している。これにより本変形例は、第7の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0068】
次に図8Aと図8Bとを参照して本実施形態の第9の変形例とについて説明する。
図8Aに示すように、本変形例では、溝部75は、Dカット形状を有している。図8Bに示すように、溝部75は、複数配設されていてもよい。これにより本変形例は、第7の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0069】
なお、前述した実施形態と各変形例とは、組み合わせることもできる。また例えば溝部75は、図6に示す第6の変形例において、第2の保持部材51に配設されているが、これに限定する必要はなく、第1の保持部材31と第2の保持部材51との少なくとも一方に配設されていれば良い。この点は、前述した実施形態と各変形例とにおいても同様である。
【0070】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0071】
10…光学デバイス、21…光ファイバ、23a…出射端面、31…第1の保持部材、41…光学素子、51…第2の保持部材、61…接合部材、63…第1の接合部、65…第2の接合部、71…段部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導光する導光部材と、
前記導光部材を保持し、第1の接合部を有する第1の保持部材と、
前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、
前記光学素子を保持し、第2の接合部を有し、前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記第1の保持部材と接続する第2の保持部材と、
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とが接続するために、前記第1の接合部と前記2の接合部とを覆うようにして前記第1の接合部と前記2の接合部とに接合する接合部材と、
を具備し、
前記第1の接合部と前記2の接合部との少なくとも一方は、段部として形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
前記段部は、直角と鈍角と鋭角との少なくとも1つを有する角部を有することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記段部は、前記導光部材の軸方向に沿って配設されている溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記溝部は、前記導光部材の周方向に沿って同心円上に複数配設されていることを特徴とする請求項3に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記段部は、前記導光部材の周方向に沿って形成されている溝部を有することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記溝部は、前記リング状に連続して配設されていることを特徴とする請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記溝部は、前記導光部材の軸方向に沿って複数配設されていることを特徴とする請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記溝部は、螺旋状に配設されていることを特徴とする請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記段部は、前記接合部材を塞き止める塞き止め部として形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−37199(P2013−37199A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173350(P2011−173350)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】