説明

光学フィルム、光反射フィルム、液晶表示パネル、光学フィルム製造方法および装置、型ローラ製造方法、ならびに光学フィルム貼付方法および装置

【課題】 モアレ縞の発生を防止することができる光反射フィルムを提供する
【解決手段】 型フィルム1の一表面には、一直線状に連なる角錐形状の凸部3の列6が平行に複数列形成された粗面5が形成され、この一直線状に連なる凸部3の列6は、型フィルム1の端辺7に対して所定角度で傾斜する。この型フィルム1を転写することによって、光学フィルム140が作成され、この光学フィルム140に光反射膜を蒸着して光反射フィルムが作成される。この光反射フィルムを備える液晶表示パネルでは、発生するモアレ縞のピッチが小さくなって、目視できなくなり、モアレ縞の発生を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルム、光反射フィルム、液晶表示パネル、光学フィルム製造方法および装置、型ローラ製造方法、ならびに光学フィルム貼付方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ワードプロセッサ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、ポケットテレビおよび携帯電話などへの液晶表示パネルの適用が急速に進展している。特に、液晶表示パネルの中でも、外部から入射した光を光反射フィルムによって反射させて表示させる反射型液晶表示パネルや半透過型液晶表示パネルでは、外光を利用できるため消費電力が低く、さらに薄型および軽量化が可能であるため注目されている。
【0003】また近年、携帯電話などにおいては、反射型液晶表示パネルのカラー表示化が望まれており、これに伴って光反射フィルムの高性能化が必要とされ、明るさ、つまり光反射フィルムの反射率が重要なポイントとなっている。この高性能な光反射フィルムとしては、光反射フィルムの表面に所定の形状の凹凸を形成することによって、様々な角度から入射した光を、効率よく利用することができる拡散反射フィルムがある。したがって、光反射フィルムによる反射光を液晶表示パネルの視角に合わせるために、光反射フィルムの凹凸を所定の傾斜角度を有する角錐構造とした拡散反射フィルムの採用が期待されている。このような角錐構造を有するプリズム形状の凹凸の先行技術が、特開平11−147255号公報に開示されている。
【0004】また、凹凸を有する光反射フィルムの製造方法としては、特開平11−248909号公報に開示されるフォトリソグラフィ法や、特開平10−311910号公報に開示される切削器で母体を切削して、母型を形成し、これを転写して光反射フィルムを製造するエンボス法などがある。さらに、特開2000−47199号公報には、表面に不規則な凹凸が形成されたロール状の原盤を樹脂層に押し当てることによって原盤の凹凸を樹脂層に転写し、これにアルミニウムから成る反射膜と薄膜層とを積層することによって、光反射フィルムを製造する方法が記載されている。
【0005】また、特開平10−311910号公報には、光反射フィルムと表示電極とのモアレ縞の発生を凹凸のピッチをランダムにすることによって、解消する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の特開平11−248909号公報または特開平10−311910号公報の製造方法で、ピッチをランダムに配置した凹凸を有する光反射フィルムを作成するためには、高価な装置を必要とし、生産性も低下する。
【0007】また、特開2000―47199号公報の不規則な凹凸では、反射光の指向性が低下してしまうという問題がある。特に液晶表示パネルでは、液晶には視角方向があるため、必然的に表示を見る位置が限定される。つまり、光反射フィルムは、反視角方向に対して光を反射する必要がなく、反視角方向に反射する光をも視角方向に反射することが望まれる。すなわち、光反射フィルムには指向性が要求され、このような充分な指向性を得るためには、凹凸の形状および配置に規則性を持たせる必要がある。
【0008】しかしながら凹凸形状として、一列に並んだ角錐列を有する光反射フィルムを備える液晶表示パネルでは、各角錐の稜線と、一列に並んだ画素電極列とによってモアレ縞が発生するので、角錐の稜線と画素電極列とをずらして配置する必要がある。
【0009】また、角錐列と光反射フィルムの端辺とが平行であると、この光反射フィルムの端辺と基板の端辺とを平行に配置すると、角錐の稜線と画素電極列とによってモアレ縞が発生する。つまり上述したモアレ縞の発生を防止するためには、画素電極列に対して、光反射フィルムを斜めに貼り付ける必要がある。
【0010】このとき、図11に示すように基板の内側に光反射フィルムを貼り付ける場合では、基板上に光反射フィルムの存在しない領域が存在するため、液晶表示パネルの取れ数が減少して生産性が低下する。また図12R>2に示すように基板の外側に光反射フィルムを貼り付ける場合では、基板からはみ出た光反射フィルムを切断する工程において、ダストが発生し、これが異物となって生産性が低下する。また図13に示すように、光反射フィルムを基板に貼り付ける工程では、ローラから送り出された帯状の光反射フィルムに対して、基板を斜めにして搬送する必要があり、この工程の作業が困難である。
【0011】したがって本発明の第1の目的は、基板に容易に貼り付けられ、かつモアレ縞の発生を防止することができる光学フィルムおよび光反射フィルムと、この光反射フィルムを備える液晶表示パネルとを提供することである。
【0012】また本発明の第2の目的は、基板に容易に貼り付けられ、かつモアレ縞の発生を防止することができる光学フィルムの製造方法および装置、ならびにこの装置に使用される型ローラの製造方法を提供することである。
【0013】また本発明の第3の目的は、基板に光学フィルムを容易に貼り付けることができる光学フィルム貼り付け方法および装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、一直線状に連続する凸部または凹部の列が、平行に複数列隣接して形成された光学フィルムであって、前記各列の凸部または凹部の稜線が、前記光学フィルムの端辺に対して、所定の角度で傾斜することを特徴とする光学フィルムである。
【0015】本発明に従えば、光学フィルムの表面には、一直線状に連なる凸部または凹部の列が平行に複数列形成され、各列は光学フィルムの端辺に対して所定の角度に配置されている。たとえば基板上に、この基板の端辺に平行な周期構造が形成されているとき、光学フィルムの端辺と基板の端辺とを平行に配置して、両者を貼り合わせるだけで、光学フィルムの各列と基板の周期構造とによって生じるモアレ縞の発生を防止できる。また、基板と光学フィルムとの位置決めが容易である。特に本発明の光学フィルムが、液晶表示パネルに適用された場合、画素の配列方向と光学フィルムの各列とが、所定の角度で配置される。これによって、光学フィルムの各列と基板の画素電極群とによって生じるモアレ縞のピッチが小さくなり、目視できなくなる。したがって、光学フィルムを簡単に位置決めするだけで、モアレ縞の発生を防止できる液晶表示パネルを再現性良く、かつ生産性良く製造することができる。このとき、液晶パネルのサイズやマザーガラスのサイズによって、基板の配置方法を変化させる必要がないので、光学フィルムを配置した基板の取れ数の計画が立てやすくなる。
【0016】また本発明は、前記凸部または前記凹部は、角錐形状であることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、光学フィルムは、規則的に配置された凸部から成る粗面を備えているので、充分な指向性を有しており、この光学フィルムに反射膜を成膜下光反射フィルムは効率よく視角方向に光を反射させることができる。したがって、この光反射フィルムを備える液晶表示パネルは明るい表示面を与えることができる。
【0018】また本発明は、請求項2記載の光学フィルムと、前記光学フィルムに成膜される反射膜とを含むことを特徴とする光反射フィルムである。
【0019】本発明に従えば、一直線状に連なる角錐形状の凸部または凹部の列が平行に複数列形成された粗面を有する光学フィルムに光反射膜が成膜されることによって、光反射フィルムが形成される。上記各列は、光反射フィルムの端辺に対して所定の角度で傾斜している。光反射フィルムの端辺と、液晶表示パネルの端辺とを平行に配置して、光反射フィルムを液晶表示パネルに貼り合わせるだけで、画素の配列方向と、一直線状に連なる各列とが所定角度で傾斜する。これによってモアレ縞のピッチが小さくなり、目視できなくなる。したがって、光反射フィルムを液晶表示パネルの端辺に沿って貼り合わせる簡単な位置決めだけで、モアレ縞の発生を防止できる液晶表示パネルを再現性良く、かつ生産性良く製造することができる。
【0020】また本発明は、相互に対向する一対の基板と、前記一対の基板間に封入される液晶と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成される画素電極と、請求項3記載の光反射フィルムとを有し、前記光反射フィルムの端辺が、前記画素電極が形成される基板の端辺に対して平行に配置され、かつ前記角錐形状の凸部または凹部の稜線が、前記画素電極の配列方向に対して、所定の角度で傾斜して配置されることを特徴とする液晶表示パネルである。
【0021】本発明に従えば、反射型液晶表示パネルは、規則的に配置された凸部の列から成る粗面を備えた光反射フィルムを、液晶表示パネルに貼り合わせることによって製造される。この光反射フィルムは、規則的に配置された凸部から成る粗面を有しているので、入射された光を高効率で視角方向に反射させることができ、明るい表示面を与えることができる。さらに、光反射フィルムの端辺と液晶表示パネルの端辺とを平行に配置しているので、粗面の各列が、画素電極の配列方向に対して、所定の角度で傾斜している。したがって、発生するモアレ縞のピッチが小さくなり、目視できなくなる。
【0022】また本発明は、前記光反射フィルムは、前記一対の基板間に配置されることを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、光反射フィルムの端辺と基板の端辺とを平行に配置して、光反射フィルムを基板の内側に貼り付けることによって、モアレ縞の発生を防止できる。
【0024】また本発明は、円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る母型を有する型ローラを備え、前記型ローラを、フィルム上で回転させることによって、フィルム表面に、一直線状に連続した凸部または凹部から成る粗面を転写することを特徴とする光学フィルム製造装置である。
【0025】本発明に従えば、光学フィルム製造装置は、フィルム上で回転させることによって、このフィルムの表面に凹凸から成る粗面を転写することができる型ローラを有する。この型ローラの円筒表面には、一直線状に連なる角錐形状の凹部の列が平行に複数列隣接して形成されており、この各列は、型ローラの周方向に対して所定の角度で傾斜している。したがって、この型ローラがフィルム上で回転しながらフィルムを押圧することによって、このフィルムの表面に一直線状に連なる角錐形状の凸部の列が複数列隣接した粗面が転写形成される。さらに、この型ローラの回転軸線に平行に、フィルムの端辺を配置することによって、下地フィルムの端辺と転写された一直線状に連なる凸部の列の陵線とが、所定の角度で傾斜する光学フィルムが製造される。そして、この光学フィルムを用いて光反射フィルムが形成される。以上のように、この型ローラを用いてフィルムに凹凸を転写するだけでモアレ縞の発生を防止できる光反射フィルムを製造することができ、生産性が良好である。さらに、型ローラの回転軸線とフィルムの端辺とを平行に配置するだけの簡単な位置決めによって、凹部の列の陵線をフィルムの端辺に対して、所定角度で傾斜させることができる。
【0026】また本発明は、円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る母型を有する型ローラと、前記型ローラをフィルム上で回転させることによって作成され、一直線状に連続した凸部または凹部から成る粗面を有する型フィルムの粗面を、この型フィルムとは異なるフィルムの表面に転写する転写手段とを含むことを特徴とする光学フィルム製造装置である。
【0027】本発明に従えば、光学フィルム製造装置は、フィルム上で回転させることによって、このフィルムの表面に凹凸から成る粗面を転写することができる型ローラを有する。この型ローラの円筒表面には、一直線状に連なる角錐形状の凹部の列が平行に複数列隣接して形成されており、この各列は、型ローラの周方向に対して所定の角度で傾斜している。したがって、この型ローラがフィルム上で回転しながらフィルムを押圧することによって、このフィルムの表面に一直線状に連なる角錐形状の凸部の列が複数列隣接した粗面が転写形成される。さらに、この型ローラの回転軸線に平行に、フィルムの端辺を配置することによって、下地フィルムの端辺と転写された一直線状に連なる凸部の列の陵線とが、所定の角度で傾斜する型フィルムが製造される。
【0028】また、光学フィルム製造装置は、型フィルムの粗面を、この型フィルムとは異なるフィルムの表面に転写する転写手段を備える。この転写手段によって型フィルムの粗面が、フィルムに転写されることによって光学フィルムが製造される。以上のようにして製造される光学フィルムを、光学フィルムの端辺と基板の端辺とを平行に配置して、両者を貼り合わせるだけで、光学フィルムの各列と基板の周期構造とによって生じるモアレ縞の発生を防止できる。
【0029】また本発明は、円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る母型を有する型ローラを、フィルム上で回転させることによって、フィルム表面に、一直線状に連続した凸部または凹部の各列を転写することを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
【0030】本発明に従えば、型ローラの円筒表面には、一直線状に連なる角錐形状の凹部の列が平行に複数列隣接して形成されており、この各列は、型ローラの周方向に対して所定の角度で傾斜している。したがって、この型ローラがフィルム上で回転しながらフィルムを押圧することによって、このフィルムの表面に一直線状に連なる角錐形状の凸部の列が複数列隣接した粗面が転写形成される。さらに、この型ローラの回転軸線に平行に、フィルムの端辺を配置することによって、下地フィルムの端辺と転写された一直線状に連なる凸部の列の陵線とが、所定の角度で傾斜する光学フィルムが製造される。そして、この光学フィルムを用いて光反射フィルムが形成される。以上のように、この型ローラを用いてフィルムに凹凸を転写するだけでモアレ縞の発生を防止できる光反射フィルムを製造することができ、生産性が良好である。さらに、型ローラの回転軸線とフィルムの端辺とを平行に配置するだけの簡単な位置決めによって、凹部の列の陵線をフィルムの端辺に対して、所定角度で傾斜させることができる。
【0031】また本発明は、円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る型ローラを、フィルム上で回転させることによって、フィルム表面に一直線状に連続した凸部または凹部の各列から成る粗面が転写された型フィルムを作成する工程と、前記型フィルムの粗面を、この型フィルムとは異なるフィルムの表面に転写する工程とを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
【0032】本発明に従えば、この型ローラの円筒表面には、一直線状に連なる角錐形状の凹部の列が平行に複数列隣接して形成されており、この各列は、型ローラの周方向に対して所定の角度で傾斜している。したがって、この型ローラがフィルム上で回転しながらフィルムを押圧することによって、このフィルムの表面に一直線状に連なる角錐形状の凸部の列が複数列隣接した粗面が転写形成される。さらに、この型ローラの回転軸線に平行に、フィルムの端辺を配置することによって、下地フィルムの端辺と転写された一直線状に連なる凸部の列の陵線とが、所定の角度で傾斜する型フィルムが製造される。
【0033】また本発明は、回転軸線まわりに回転する円筒状のローラ表面に、バイトの先端を配置し、前記バイトを、バイトの軸線に沿って往復動させることによって、ローラ表面に凹部の列を形成するとともに、前記ローラを回転させながら、バイトをローラの回転軸線に平行な方向に移動させることによって、ローラの周方向に対して、所定の角度で傾斜する凹部の列を形成することを特徴とする型ローラ製造方法である。
【0034】本発明に従えば、軸線まわりに回転するローラの円筒表面に対して、バイトの先端部を、バイトの軸線に沿って往復動させて、ローラの円筒表面を削ることによって、このローラの円筒表面に複数個の角錐形状の凹部から成る凹部の列が形成されて、型ローラが製造される。これと同時に、ローラを回転させながら、さらにバイトをローラの回転軸に平行に移動させることによって、形成された角錐形状の凹部の列は、ローラの周方向に対して所定の角度で傾斜する。このように、バイトを型ローラの回転軸線に平行に移動させながらローラ表面を削るだけで、型ローラの表面に所定の角度で傾斜した凹部の列を簡単に作成することができる。
【0035】さらに詳細に述べると、順回転するローラが一回転(または数回転)する間は、バイトをローラの回転軸線方向一方側(または他方側)に移動させながら、バイトを往復動させる。次に、バイトを最後に作成した角錐の隣に移動させた後、ローラを逆回転させ、逆回転するローラが一回転(または数回転)する間は、バイトを上記回転軸線方向他方側(一方側)に移動させながら、バイトを往復動させる。上記動作を順次的に繰り返すことによって、ローラ表面に所定の角度で傾斜した凹部の列を容易に作成することができる。
【0036】また本発明は、光学フィルムの粗面側に型フィルムが積層されて構成される積層体の光学フィルムを、基板上に貼り付ける光学フィルム貼付装置であって、前記積層体を基板上に供給する供給手段と、前記送り出された積層体と基板とを密着させる押圧手段と、相互に密着した積層体と基板とを接着する接着手段と、前記基板に接着された積層体から前記型フィルムを剥離する剥離手段とを備えることを特徴とする光学フィルム貼付装置である。
【0037】本発明に従えば、光学フィルムの粗面側に型フィルムが積層されて構成される積層体の光学フィルムを基板上に貼り付ける光学フィルム貼付装置は、送り手段と押圧手段と接着手段と剥離手段とを備える。送り手段によって基板上に積層体が配置され、押圧手段によって積層体の光学フィルムと基板とが密着される。次に、接着手段によって積層体と基板とが接着され、剥離手段によって積層体から型フィルムが剥離される。このようにして、送り手段によって送られた積層体の光学フィルムと、順次的に搬送される基板とを連続的に貼り合わせることができるので、生産性が向上する。
【0038】また本発明は、光学フィルムの粗面側に型フィルムが積層されて構成される積層体の光学フィルムを、基板上に貼り付ける光学フィルム貼付方法であって、前記基板上に送られた積層体を基板に密着させ、相互に密着した積層体と基板とを接着させた後、前記基板に接着した積層体から型フィルムを剥離することを特徴とする光学フィルム貼付方法である。
【0039】本発明に従えば、基板上に送り出された積層体が配置され、積層体の光学フィルムと基板とが密着される。次に、積層体と基板とが接着された後、積層体から型フィルムが剥離される。このようにして、積層体の光学フィルムと、順次的に搬送される基板とを連続的に貼り合わせることができるので、生産性が向上する。
【0040】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の型フィルム1を示す斜視図である。図2は、図1に示す型フィルム1の平面図である。図3は、本発明の実施の他形態の型フィルム1aを示す図である。なお、型フィルム1,1aを総称する場合には、単に型フィルム1と称す。型フィルム1は、樹脂機材2とベースフィルム102とによって構成され、帯状でフィルム状の樹脂機材2の一表面には、角錐形状の複数個の凸部3が規則的に配置された粗面5が形成され、この樹脂機材2の他表面にベースフィルム102が貼り付けられている。
【0041】上記凸部3は、たとえば一辺が40μmの正四角形の底面を有し、高さが2μmの四角錐体であり、この複数個の凸部3が一直線状に連なることによって、複数列の凸部の列6が構成される。この複数列の凸部の列6が相互に平行に隣接して配置されることによって、粗面5が構成される。これらの各凸部3の一直線状に連なる全ての陵線4a〜4dは、上記矩形の樹脂基材2のいずれかの辺7a〜7dに対して、所定の角度θで傾斜している。なお、この所定の角度θは、10度以上、80度以下に選ばれ、さらに好ましくは20度以上、40度以下に選ばれる。本実施形態では、この所定の角度θは、30度、すなわちπ/6ラジアンに選ばれる。
【0042】上記のように構成される型フィルム1は、本発明の光学フィルム製造装置の型フィルム作成部101によって製造される。図4は、この型フィルム作成部101の主要構成のみを示す図である。型フィルム作成部101は、粗面5の母型が形成された型ローラ105を感光性樹脂層103上で転がして、粗面5を感光性樹脂103上に転写し、型フィルム1を製造する装置である。
【0043】上記型ローラ105の円筒表面には、同一角錐形状の複数個の凹部24が規則的に配置されて成る母型が形成されている。この角錐形状の凹部24は、たとえば一辺が40μmの正四角形の底面を有し、高さが2μmの正四角錐体である。この複数個の凹部24が一直線状に連なることによって、複数列の凹部の列32が形成され、この複数列の凹部の列32が、相互に隣接して配置されることによって、母型が構成される。なお、この型ローラ105の母型の作成方法については後述する。
【0044】型フィルム作成部101は、長手シート状のベースフィルム102を、搬送方向下流側(図3の右方)に送り出す送りローラ108と、この送りローラ108にベースフィルム102を挟んで対向するコーティングローラ104と、このコーティングローラ104よりも、搬送方向下流側に設けられる型ローラ105と、この型ローラ105よりも搬送方向下流側に設けられる巻取りローラ106と、型ローラ105に、ベースフィルム12を挟んで対向する光源107とを含んで構成される。
【0045】次に、型フィルム1の製造方法について説明する。送りローラ108によって送り出されるベースフィルム102の一表面上で、感光性樹脂103を保持したコーティングローラ104を転がして、ベースフィルム102の一表面上に、感光性樹脂2を均一に塗布する。次に、塗布された感光性樹脂103の一表面上で、円筒表面に母型が形成された型ローラ105を回転させて、感光性樹脂103を押圧して粗面5を転写し、さらに裏面側から光源107で露光して感光性樹脂を硬化させることによって、このベースフィルム102の一表面上に、粗面5を備える感光性樹脂103が積層された型フィルム1が作成される。このようにして作成された型フィルム1が、巻取ローラ106によって巻き取られる。
【0046】なお、図2に示すように型フィルム1は、感光性樹脂103の幅と型ローラ105の幅とが、ほぼ等しい状態で作成した型フィルムであり、図3に示す型フィルム1aは、感光性樹脂103の幅が、型ローラ105の幅よりも小さい状態で作成した型フィルムである。
【0047】次に、型フィルム作成部101の特徴である型ローラ105の製造方法について説明する。図5は、型ローラ105の円筒表面に、粗面5の母型28を形成する方法を示す斜視図であり、図6は、型ローラ105を上方から見た図であり、図7は、型ローラ105の円筒表面を切削するバイト21を示す図である。図8は、型ローラ105の展開図である。
【0048】図5に示すように、型ローラ105は、円筒体であり、この円筒表面には切削加工が容易な銅合金が被覆されている。なお、本実施形態では直径D=7cm、幅W=40cmの型ローラ105が使用される。また、図7(a)〜(c)に示すように、バイト21は、ダイヤモンドから成る四角錐体の先端部22を有する。この先端部22の形状は、所望の粗面5を構成する凸部3の一直線状に連なる一方の陵線4を、所定長さだけ短くした四角錐体形状を有することが望ましく、本実施形態では、底面の形状が、長対角線25の長さa=150μm、短対角線26の長さb=100μmの菱形で、高さc=5μmの四角錐体に選ばれる。
【0049】このバイト21で、型ローラ105の円筒表面を切削するとき、まずバイト21を、その長対角線25と型ローラ105の回転軸線23に平行な方向との成す角度が、所定の角度θとなるように、傾けた状態で型ローラ105の上方に配置する。この傾けた所定の角度θが、前述した型フィルム1の各凸部3の陵線4と、フィルム状の樹脂基材2の端辺7との成す角度θとなる。なお、本実施形態ではこの所定の角度θは、たとえばπ/6ラジアンに選ばれる。
【0050】型ローラ105を切削するとき、型ローラ105を回転軸線23まわりに、表面速度Vyで周方向(Y方向)に回転させながら、バイト21を速度Vzで鉛直方向(Z方向)に往復動させて、型ローラ105の円筒表面を切削する。このとき、バイト21は、鉛直方向(Z方向)に往復動しながら、さらに回転軸線23に平行な方向(X方向)に速度Vxで移動する。
【0051】すなわち、図8に示すようにバイト21は、切削開始位置t0から位置t1まで鉛直下方に速度Vzで移動して、型ローラ105を切削する。このとき位置t1で切削深さは最大深さに達する。その後、位置t2まで鉛直上方に速度Vzで移動して、型ローラ105を切削する。このときバイト21は、位置t2で、切削開始位置t0と同じ高さ位置に戻る。このようにして、バイト21が、鉛直方向に1回往復動することによって型ローラ105の円筒表面に1つの角錐形状の凹部24が形成され、この1回の往復動を1周期として繰返すことによって、型ローラ105の円筒表面に複数個の角錐形状の凹部24が形成される。なお、このバイト21のX方向への変位速度および変位量は、所望する凹部24の形状によって、任意の値を選択することが可能である。
【0052】これと同時に、バイト21は、切削開始位置t0から位置t10まで速度Vxで回転軸線23に沿って、移動する。さらにこれと同時に、型ローラ105は回転軸線23まわりに表面速度Vyで周方向に回転する。すなわちバイト21が、切削開始位置t0から位置t10まで速度Vyで、回転軸線23に垂直な方向(図8R>8の下方)に移動したことになる。つまり、バイト21は、切削開始位置t0から位置t1まで図8に仮想線で示す軌跡29に沿って変位しながら、鉛直方向(図8の紙面に垂直な方向)に往復動して、型ローラ105の円筒表面に複数個の凹部24を形成する。したがって、この複数個の凹部24は、直線状の軌跡29に沿って、一直線状に連なり、凹部の列32が形成される。その後、バイト21は、位置t10まで達すると、型ローラ105を逆回転させ、図8の仮想線で示す軌跡30に沿って、次周期の開始位置t11まで移動する。バイト21が、開始位置t11まで達すると、型ローラ105、バイト21を回転軸線23に沿って他方側(図8の左方)に移動させて、図8に仮想線で示す軌跡31に沿って、前述と同様に往復動を繰返す。したがって上記の動作を一周期として繰返すことによって、型ローラ105の円筒表面に複数列の凹部の列32が相互に隣接して形成される。なお、このバイト21のX方向(図8の左右方向)の速度Vxと、ローラ21の表面速度Vyとは、Vx/Vy=Tanθの関係を満たしている。
【0053】さらに詳しく述べると、型ローラ105を回転軸線23まわりに表面速度Vy=40√2cos(π/6)=49mm/sで回転(図8の下方に移動)させながら、切削開始位置t0からバイト21を速度Vz=4mm/sで下降させるとともに、バイト21を回転軸線23に沿って、一方側(図8の右方)に速度Vx=40√2sin(π/6)=28.3mm/sで移動させて、切削する。その後、切削深さが2μmにまで達すると、バイト21を速度Vz=4mm/sで上昇させながら切削する。このようにして、型ローラ105の円筒表面に、一辺が40μmの正四角形の底面を有し、高さが2μmの四角錐体から成る凹部24が形成され、軌跡29に沿って、順次2つめおよび3つめと、凹部24が形成されて行く。その後、型ローラ105が1回転する直前の凹部24を形成できる限界位置t10まで、軌跡29に沿って、凹部24を順次形成する。なお本実施形態では、9,075個(型ローラ105の変位量が18.15√6cm)の凹部24が軌跡29に沿って一直線状に連なって形成される。
【0054】その後、バイト21を位置t10から回転軸線23に平行に40sin(π/12)=10.4μm移動させ、かつ型ローラ105を逆回転させて、40cos(π/12)=38.6μm移動させて、次周期の切削開始位置t11に配置する。その後、型ローラ105を表面速度Vy=40√2cos(π/6)=49mm/sで逆回転(図7の上方に移動)させながら、バイト21を、回転軸線23に沿って、他方側(図7の左方)に速度Vx=40√2sin(π/6)=28.3mm/sで移動させるとともに、速度Vz=4mm/sで昇降させて、軌跡31に沿って、凹部24を順次形成する。なお本実施形態では、9,073個の凹部24が、軌跡31に沿って一直線状に連なって形成される。以下同様にして、図7に示すように最密構造をとるように凹部24を順次作成し、反射板用下地フィルム1の粗面5の母型28を型ローラ105の円筒表面に形成する。
【0055】なお、本実施形態では、型ローラ105を逆回転させ、次周期の凹部24を形成したが、他の形成方法として、型ローラ105が一周した時点で、切削開始位置を移動させ、その後、再び型ローラ105を順回転させて凹部24を形成してもよい。またバイト21を2本以上並べて配置し、複数本のバイト21で同時に凹部24を形成してもよい。
【0056】図9は、本発明の光学フィルム製造装置の光学フィルム作成部111の主要構成のみを示す図である。なお、光学フィルム製造装置は、図3の型フィルム作成部101と、図9の光学フィルム作成部111とによって構成される。光学フィルム作成部101は、型フィルム1の粗面5を感光性樹脂層113上に転写し、光学フィルムを作成する装置である。
【0057】光学フィルム作成部111は、長手シート状のベースフィルム112を、搬送方向下流側(図9の右方)に送り出す送りローラ119と、この送りローラ119にベースフィルム112を挟んで対向するコーティングローラ114と、このコーティングローラ114よりも搬送方向下流側に設けられる型フィルム供給ローラ115と、この型フィルム供給ローラ115よりも搬送方向下流側に設けられる一対の転写ローラ118a,118b(転写手段)と、一対の転写ローラ118a,118bよりも搬送方向下流側に設けられる巻取ローラ116とを含んで構成される。
【0058】次に、上記光学フィルム作成部111による光学フィルム140の作成方法について説明する。送りローラ119によって送り出されるベースフィルム112の一表面上で、感光性樹脂114を保持したコーティングローラ114を転がして、ベースフィルム112の一表面上に、感光性樹脂113を均一に塗布する。次に、塗布された感光性樹脂113の一表面上に、型フィルム供給ローラ115から型フィルム1を、その粗面5を感光性樹脂113に対向させた状態で供給する。次に、一対の転写ローラ118a,118bによって、型フィルム1と感光性樹脂113とベースフィルム112とを挟み込んで、これらを相互に密着させることによって、型フィルム1の粗面5を感光性樹脂113に転写する。このようにして、感光性樹脂113に粗面143が転写された光学フィルム140が形成され、光学フィルム140の粗面143側に型フィルム1が積層され、光学フィルム140の裏面にベースフィルムが積層された積層体141が、搬送方向下流側に送り出される。この送り出された積層体141が、巻取ローラ116によって巻き取られる。
【0059】図10は、本発明の光学フィルム貼付装置121の主要構成のみを示す図である。光学フィルム貼付装置121は、上記光学フィルム作成部111によって作成された積層体141から、光学フィルム140のみを基板143に貼付する装置である。
【0060】光学フィルム貼付装置121は、搬送される基板143上に配置される積層体供給ローラ122(供給手段)と、この積層体供給ローラ122よりも搬送方向上流側(図10の左方)に配置される第1剥離ローラ123と、積層体供給ローラ122よりも搬送方向下流側(図10の右方)に配置される押圧ローラ125(押圧手段)と、押圧ローラ125よりも搬送方向下流側に配置される露光器127(接着手段)と、露光器127よりも搬送方向下流側に配置される第2剥離ローラ126(剥離手段)とによって構成される。
【0061】次に、上記光学フィルム貼付装置121による光学フィルム140の貼付方法について説明する。光学フィルム140を含む積層体141は、ベースフィルム112と基板143の表面とが対向するように、積層体供給ローラ122によって供給される。この積層体141が基板143上に配置される前に、第1剥離ローラ123によって、積層体141からベースフィルム112が剥離される。したがって、積層体供給ローラ122の搬送方向下流側(図10の右方)では、基板143の表面と積層体141の光学フィルム140の裏面とが対向して接触する。
【0062】次に押圧ローラ125によって、基板143の一表面に接触した積層体141を、型フィルム1側から押圧して、基板143と積層体141の光学フィルム140とを密着させる。その後露光器127が、基板143側から積層体141の光学フィルム140を露光することによって、光学フィルム140が硬化され、光学フィルム140が基板143に接着する。その後、第2剥離ローラ126によって、積層体141の型フィルム1を剥離することによって、基板143上に光学フィルム140のみが貼付される。このようにして、貼付された光学フィルム140は基板143の寸法に応じて、所定のサイズに切断される。
【0063】上述の動作を、順次搬送される各基板143に対して実施することによって、各基板143に順次光学フィルム140を貼付することができ、生産性が向上する。ここで、光学フィルム140幅と基板143の幅とが、ほぼ等しい場合には、上記工程によって貼付工程は終了する。
【0064】一方、光学フィルム140の幅が基板143の幅よりも小さいとき、たとえば、光学フィルム140の幅が基板143の幅の約半分である場合には、モアレ縞の発生防止のために、基板に対して斜めに貼り付ける必要があった先行技術の光学フィルムでは、光学フィルム同士のつなぎ合わせが非常に困難であった。つまり、光学フィルム同士の位置決めが困難であった。これに対して、本発明の光学フィルム140では、粗面143の凸部の各列と光学フィルム140の端辺とは、所定の角度で傾斜しているので、一回目に貼付した光学フィルム140の端辺に接するように、光学フィルム貼付装置121の各ローラ122〜126を平行移動させて、上記工程を再び繰返して2回目の光学フィルム140を貼付するだけで、モアレ縞の発生を防止できる。
【0065】上述のようにして、基板143上に貼付された光学フィルム140の粗面143に、反射膜としてアルミニウムを蒸着することによって、光反射フィルムが形成される。
【0066】なお本実施形態では母型28が形成された型ローラ105を樹脂基材2上で転がすことによって、粗面5を有する型フィルム1を作成し、この型フィルム1の粗面5を感光性樹脂113に再び転写することによって、光学フィルム140を作成したが、上記型フィルム1を光学フィルムとして利用してもよい。また他の作成方法として、型ローラ105の円筒表面に、樹脂基材2を巻き付けて、この樹脂基材2を直接バイト21で切削して型フィルムまたは光学フィルムを作成してもよい。
【0067】次に本発明の光反射フィルムを用いた反射型液晶表示パネルについて説明する。上記の様にして作成した本発明の光反射フィルムの上に、SiO2膜およびITO膜をそれぞれ積層し、さらに電着法によってカラーフィルタの形成を行い、さらにこのカラーフィルタのうえにITOからなる第1電極を形成する。なおこのとき、第1電極は、その長手方向が光反射膜のガラス基板の端辺にたいして平行となるようにパターニングして、ストライプ状に形成する。その後、第1電極の上に、配向膜を形成して配向処理を行う。
【0068】一方、対向基板には、上記の第1電極の長手方向に直交するようにパターニングしたストライプ状の第2電極を形成し、この第2電極の上に絶縁膜を形成し、さらにこの絶縁膜の上に配向膜を形成して配向処理を行う。
【0069】上記の光反射フィルムを有するガラス基板と対向ガラス基板とをスペーサを介して対向させ、これらの2枚のガラス基板をシール剤によって貼り合わせた後、液晶を封入して本発明の反射型液晶表示パネルが製造される。
【0070】なお、本発明の光反射フィルムは、その各辺が、第1電極の長手方向および第2電極の長手方向に平行になるように貼り付けられる。すなわち、光反射フィルムの端辺と、各ガラス基板の端辺とが平行になるように光反射フィルムを貼り付ける。これによって、前述したように、光反射フィルムの粗面5を形成する各凸部3の一直線状に連なる陵線4は、光反射フィルムの各辺に対して、所定の角度θ(本実施形態ではπ/6ラジアン)で傾斜することになり、各凸部3の陵線4は、第1電極の長手方向に対して所定の角度θ(本実施形態ではπ/6ラジアン)で傾斜するとともに、第2電極の長手方向に対しても、所定の角度θ(本実施形態ではπ/6ラジアン)で傾斜している。
【0071】したがって、発生するモアレ縞のピッチが小さくなって、目視できなくなり、これによって、光反射フィルムと各電極とによって生じるモアレ縞の発生を防止することができる。さらに、この粗面5は、前述したように規則的に配置されているので、充分な指向性を備えており、したがって、効率よく視角方向に光を反射することができ、明るい表示面を与えることができる。さらに、光反射フィルムは、ガラス基板の辺に沿って平行に貼り付けるだけでよいので、位置決めが容易であり、簡単に貼り付けることができる。
【0072】このようにして作成した反射型液晶表示パネルに対して、目視検査によるモアレ試験を行った結果、この反射型液晶表示パネルは、モアレ縞の発生しない明るい表示面を与えるものであることを本件発明者は確認している。また、光反射膜の各凸部3の稜線4と第1または第2電極の長手方向との成す角度を、液晶を封入する前に撮影した電子顕微鏡写真で確認した結果、所定の角度θが、良好に再現されていることが本件発明者によって、確認されている。
【0073】なお本実施形態では、反射型液晶表示パネルの光反射フィルムについて説明したが、本発明はこれに限定されることはない。たとえば、角錐形状の凸部の代わりに、半球状の凸部が形成された光学フィルムをマイクロレンズアレイとして使用し、これを透過型の液晶表示パネルに搭載することによって、この透過型液晶表示パネルの視野角を拡大し、かつバックライトの光利用効率を高めることができるとともに、モアレ縞の発生を抑えることができる。さらに前述したように、マイクロレンズアレイとして機能する光学フィルムの貼付作業が容易になるため、透過型液晶表示パネルの生産性も向上する。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、光学フィルムの表面には、一直線状に連なる凸部または凹部の列が平行に複数列形成され、各列は光学フィルムの端辺に対して所定の角度に配置されているので、たとえば、基板上に、この基板の端辺に平行な周期構造が形成されているとき、光学フィルムの端辺と基板の端辺とを平行に配置して、両者を貼り合わせるだけで、光学フィルムの各列と基板の周期構造とによって生じるモアレ縞の発生を防止できる。
【0075】また本発明によれば、光学フィルムは、規則的に配置された凸部から成る粗面を備えているので、充分な指向性を有しており、効率よく視角方向に光を反射させることができる。
【0076】また本発明によれば、光反射フィルムの端辺と、液晶表示パネルの端辺とを平行に配置して、光反射フィルムを液晶表示パネルに貼り合わせるだけで、画素の配列方向と、一直線状に連なる各列とが所定角度で傾斜する。これによってモアレ縞のピッチが小さくなり、目視できなくなる。
【0077】また本発明によれば、光反射フィルムは、規則的に配置された凸部から成る粗面を有しているので、入射された光を高効率で視角方向に反射させることができ、明るい表示面を与えることができるとともに、発生するモアレ縞のピッチが小さくなり、目視できなくなる。
【0078】また本発明によれば、モアレ縞の発生を防止できる。また本発明によれば、型ローラを用いてフィルムに凹凸を転写するだけでモアレ縞の発生を防止できる光反射フィルムを製造することができ、生産性が良好である。さらに、型ローラの回転軸線とフィルムの端辺とを平行に配置するだけの簡単な位置決めによって、凹部の列の陵線をフィルムの端辺に対して、所定角度で傾斜させることができる。
【0079】また本発明によれば、転写手段によって型フィルムの粗面が、フィルムに転写されることによって光学フィルムが製造される。以上のようにして製造される光学フィルムを、光学フィルムの端辺と基板の端辺とを平行に配置して、両者を貼り合わせるだけで、光学フィルムの各列と基板の周期構造とによって生じるモアレ縞の発生を防止できる。
【0080】また本発明によれば、型ローラを用いてフィルムに凹凸を転写するだけでモアレ縞の発生を防止できる光反射フィルムを製造することができ、生産性が良好である。さらに、型ローラの回転軸線とフィルムの端辺とを平行に配置するだけの簡単な位置決めによって、凹部の列の陵線をフィルムの端辺に対して、所定角度で傾斜させることができる。
【0081】また本発明によれば、転写手段によって型フィルムの粗面が、フィルムに転写されることによって光学フィルムが製造される。以上のようにして製造される光学フィルムを、光学フィルムの端辺と基板の端辺とを平行に配置して、両者を貼り合わせるだけで、光学フィルムの各列と基板の周期構造とによって生じるモアレ縞の発生を防止できる。
【0082】また本発明によれば、バイトを型ローラの回転軸線に平行に移動させながらローラ表面を削るだけで、型ローラの表面に所定の角度で傾斜した凹部の列を簡単に作成することができる。
【0083】また本発明によれば、送り手段によって送られた積層体の光学フィルムと、順次的に搬送される基板とを連続的に貼り合わせることができるので、生産性が向上する。
【0084】また本発明によれば、積層体の光学フィルムと、順次的に搬送される基板とを連続的に貼り合わせることができるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の型フィルム1を示す斜視図である。
【図2】図1に示す型フィルム1の平面図である。
【図3】本発明の実施の他形態の型フィルム1aの平面図である。
【図4】型フィルム作成部101の主要構成のみを示す図である。
【図5】型ローラ105を上方から見た図である。
【図6】型ローラ105の円筒表面に、粗面5の母型28を形成する方法を示す斜視図である。
【図7】型ローラ105の円筒表面を切削するバイト21を示す図である。
【図8】型ローラ105の展開図である。
【図9】光学フィルム作成部111の主要構成のみを示す図である。
【図10】光学フィルム貼付装置121の主要構成のみを示す図である。
【図11】基板150の内側に、先行技術の光反射フィルム151を貼り付けた状態を示す図である。
【図12】基板150の外側に、先行技術の光反射フィルム151を貼り付けた状態を示す図である。
【図13】先行技術の光反射フィルム151を基板150に貼り付ける工程を示す図である。
【符号の説明】
1 型フィルム
2 樹脂基材
3 凸部
4 陵線
5 粗面
6 凸部の列
21 バイト
22 先端部
24 凹部
28 母型
101 型フィルム作成部
105 型ローラ
111 光学フィルム作成部111
121 光学フィルム貼付装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一直線状に連続する凸部または凹部の列が、平行に複数列隣接して形成された光学フィルムであって、前記各列の凸部または凹部の稜線が、前記光学フィルムの端辺に対して、所定の角度で傾斜することを特徴とする光学フィルム。
【請求項2】 前記凸部または前記凹部は、角錐形状であることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム。
【請求項3】 請求項2記載の光学フィルムと、前記光学フィルムに成膜される反射膜とを含むことを特徴とする光反射フィルム。
【請求項4】 相互に対向する一対の基板と、前記一対の基板間に封入される液晶と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成される画素電極と、請求項3記載の光反射フィルムとを有し、前記光反射フィルムの端辺が、前記画素電極が形成される基板の端辺に対して平行に配置され、かつ前記角錐形状の凸部または凹部の稜線が、前記画素電極の配列方向に対して、所定の角度で傾斜して配置されることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項5】 前記光反射フィルムは、前記一対の基板間に配置されることを特徴とする請求項4記載の液晶表示パネル。
【請求項6】 円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る母型を有する型ローラを備え、前記型ローラを、フィルム上で回転させることによって、フィルム表面に、一直線状に連続した凸部または凹部から成る粗面を転写することを特徴とする光学フィルム製造装置。
【請求項7】 円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る母型を有する型ローラと、前記型ローラをフィルム上で回転させることによって作成され、一直線状に連続した凸部または凹部から成る粗面を有する型フィルムの粗面を、この型フィルムとは異なるフィルムの表面に転写する転写手段とを含むことを特徴とする光学フィルム製造装置。
【請求項8】 円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る母型を有する型ローラを、フィルム上で回転させることによって、フィルム表面に、一直線状に連続した凸部または凹部の各列を転写することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項9】 円筒の表面に、一直線状に連続する凹部または凸部の列が、平行に複数列隣接されるとともに、前記各列が円筒の周方向に対して所定の角度で傾斜されて成る型ローラを、フィルム上で回転させることによって、フィルム表面に一直線状に連続した凸部または凹部の各列から成る粗面が転写された型フィルムを作成する工程と、前記型フィルムの粗面を、この型フィルムとは異なるフィルムの表面に転写する工程とを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項10】 回転軸線まわりに回転する円筒状のローラ表面に、バイトの先端を配置し、前記バイトを、バイトの軸線に沿って往復動させることによって、ローラ表面に凹部の列を形成するとともに、前記ローラを回転させながら、バイトをローラの回転軸線に平行な方向に移動させることによって、ローラの周方向に対して、所定の角度で傾斜する凹部の列を形成することを特徴とする型ローラ製造方法。
【請求項11】 光学フィルムの粗面側に型フィルムが積層されて構成される積層体の光学フィルムを、基板上に貼り付ける光学フィルム貼付装置であって、前記積層体を基板上に供給する供給手段と、前記送り出された積層体と基板とを密着させる押圧手段と、相互に密着した積層体と基板とを接着する接着手段と、前記基板に接着された積層体から前記型フィルムを剥離する剥離手段とを備えることを特徴とする光学フィルム貼付装置。
【請求項12】 光学フィルムの粗面側に型フィルムが積層されて構成される積層体の光学フィルムを、基板上に貼り付ける光学フィルム貼付方法であって、前記基板上に送られた積層体を基板に密着させ、相互に密着した積層体と基板とを接着させた後、前記基板に接着した積層体から型フィルムを剥離することを特徴とする光学フィルム貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図11】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2002−14208(P2002−14208A)
【公開日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−31310(P2001−31310)
【出願日】平成13年2月7日(2001.2.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】