説明

光学ヘッドおよび情報記憶装置

【課題】コア内のモード次数が低く、スライダに搭載することができてリソグラフィー技術で作製することができる構造を有した光学ヘッド、およびそのような光学ヘッドを備えて高記録密度で情報を記録することができる情報記憶装置を提供する。
【解決手段】内部に光が入射されてその光をその導波方向に導く導波コアと、上記導波コアを構成する光学材料と同じ光学材料からなる、その導波コアにつながり上記導波方向に対して傾いた方向に層状に延びた、光を導波コアへと導く傾斜コアと、上記傾斜コアの層に重なった、その傾斜コアの屈折率よりも低い屈折率を有するクラッド膜と、上記クラッド膜に接した、上記傾斜コアの厚さよりも厚い、光が入射されてその光がクラッド膜越しに上記傾斜コアへと入射する入射コアとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を導いて出射する光学ヘッド、および光を用いて情報を記録媒体に記録する情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記憶装置の分野では、コンピュータやITの発達に伴って、記録密度の絶え間ない向上が求められている。現状の磁気記録ヘッドより微細なビットを記録して記録密度の向上を図る方法として、光を記録媒体に照射し、媒体上で局所的に熱を発生させ、その熱により磁気ヘッドでの書き込みを容易にする熱アシスト記録方式が検討されている。この熱アシスト記録に必要な光のスポットサイズは、レンズによる集光スポットで達成できる回折限界以下である。そこで光導波路を用いたヘッドが検討されている。
【0003】
図1は、熱アシスト記録方式の情報記憶装置を示す図である。
【0004】
この図1には、情報記憶装置1のヘッド40周辺が示されている。情報記憶装置1には、図に示す矢印の方向に回転する円盤状の、磁化の向きで情報が記録される情報記録媒体10と、回転する情報記録媒体10の表面に生じる空気の流れによって、情報記録媒体10の表面に近接した状態で表面から浮上するスライダ50と、情報記録媒体10の表面に沿って延びて先端にスライダ50を保持したアーム20が備えられている。スライダ50は、情報記録媒体10表面からの浮上力を生むスライダ本体30を備え、スライダ本体30の側面には、情報記録媒体10に対する情報記録と情報再生を行うヘッド40が搭載されている。ヘッド40は、情報記録媒体10の回転に伴い、情報記録媒体10上の弧状のトラックに沿って情報の記録再生を行う。
【0005】
ヘッド40は、情報記録媒体10上の磁化の向きを読み取ることで情報を再生する再生ヘッド41と、情報記録媒体10に磁場を印加して磁化の向きを変えることで情報を記録する磁気ヘッド43と、情報記録媒体10上に光を照射して熱を発生させることで、磁気ヘッド43による磁化の向きの変更を補助する光学ヘッド42とで構成されている。なお、光学ヘッド42の光源については図示を省略したが、半導体レーザが搭載されており、その半導体レーザが出射した光が光学ヘッド42に導かれる。
【0006】
光学ヘッド42の基本構造は、いわゆる光導波路となっており、図1の上方から入射された光を図1の下方へと導いて情報記録媒体10に向けて出射する。
【0007】
この光学ヘッド42の先端(出射端)では、情報記録媒体10の半径方向(トラック間方向)と円周方向(トラック方向)のそれぞれについて光のスポットサイズを波長以下に絞らなければならないので、光学ヘッド42を構成する光導波路のコアサイズも波長以下でなければならない。図1で言えば、図の奥行き方向がトラック間方向で、図の左右方向がトラック方向である。
【0008】
ところが半導体レーザを光源とすると、半導体レーザで発生する光束のサイズは、サブミクロンより大きいため、光学ヘッド42内部で光束を縮小する構造が必要である。
【0009】
熱アシスト記録方式を採用していない現状の磁気記録ヘッドは、基板平面上に材料を積層してパターンエッチングするリソグラフィー技術によって作製されており、このリソグラフィー技術は技術的な蓄積が豊富で信頼性や経済性が高い。そのため、熱アシスト記録方式を採用した新たなヘッドも、リソグラフィー技術の応用によって作製可能な構造であることが望ましい。リソグラフィー技術でヘッド40を作製する場合には、図1の上下と奥行きの方向が積層の面内方向となり、図1の左右方向は積層の層間方向となる。
【0010】
このリソグラフフィー技術によれば、平面内のパターニングは、電子ビームやステッパ装置により既にサブミクロンの幅(即ち、光の波長以下のサイズ)が実現している。そのためトラック間方向のコアサイズについては、数十ミクロンサイズからサブミクロンにテーパ状パターンをエッチングすることで、容易にサブミクロン幅を実現できる。またテーパ長は、長いほど高い光効率で幅の狭いコアに光を伝搬させることができるが、このような長いテーパ長を作製することも容易である。
【0011】
一方、トラック方向におけるコアサイズの微細化については、トラック間方向と同様に数十ミクロンサイズからサブミクロンにテーパ状に加工することを考えると、光効率を高めるために長いテーパ面を作製するためには、基板平面の垂線に対して大きい角度のテーパ面を作製しなければならない。しかし、リソグラフィー技術では、このようなテーパ面の作製は難しく、何らかの工夫が必要となる。
【0012】
そこで、従来、コアの厚さをサブミクロン厚で作製しておいて、そのコアに光を入射させる方法が提案されている。このようなコアに光が入射することを、光学の分野では、コアの内外における光の結合と称する場合がある。コアに光を入射させる方法の代表的な提案としては、端面結合法(非特許文献1参照)、プリズム結合法(非特許文献2参照)、およびグレーティング法(非特許文献3参照)が知られている。
【0013】
図2は、端面結合法の説明図である。
【0014】
この図2(および後述の図3〜図5)には、図1に示す光学ヘッド42に対応する部分が示されているが、説明の便宜上、図の向きが異なっており、図の下方がスライダ本体側で上方がヘッド側となっている。以下説明する図3〜図5でも同様である。
【0015】
端面結合法は、光源から発射された光束L1を、レンズ51等を用いて収束光に変換し、スライダ52の切断面に露出しているコア53aに入射させる方法である。コア53aはクラッドに53bに挟まれており、入射した光はコア53a内を伝搬する。
【0016】
図3は、プリズム結合法の説明図である。
【0017】
プリズム結合法では、光学ヘッドを構成する光導波路のコア54に対してプリズム55を並べ、コア54とプリズム55の底面との間に光の波長以下の間隔を設け、プリズム55底面に当たる光の位相とコア54内の伝搬光の位相が同じとなるように所定の入射角θで光を底面に照射する方法である。そのような入射角θを得るために、プリズム55の入射側には斜面55aが形成されている。
【0018】
図4は、グレーティング法の説明図である。
【0019】
グレーティング法は、コア56の上面にグレーティング57を形成し、コア56内の伝搬光の位相とグレーティング57に入射する光の位相が同じとなる回折角を用いて光を結合する方法である。
【非特許文献1】Shubert, R. Harris, J.H. ,"Optical Surface Waves on Thin Films and Their Application to Integrated Data Processors", IEEE Trans. Microwave Theory and Tech., 16, 12,pp. 1048−1054, Dec. 1968 (ISSN: 0018−9480)
【非特許文献2】J. H. Harris, R. Shubert, and J. N. Polky, "Beam Coupling to Films," J. Opt. Soc. Am. 60, p1007 (1970) (ISSN: 0030−3941)
【非特許文献3】M. L. Dakss, L. Kuhn, P. F. Heidrich, and B. A. Scott,"GRATING COUPLER FOR EFFICIENT EXCITATION OF OPTICAL GUIDED WAVES IN THIN FILMS",Appl. Phys, Lett., 16, 12, pp. 523−525, June 1970 (ISSN:0003−6951)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記のプリズム結合法は、後述するように作製の容易さという点で欠点を有しているため、リソグラフィー技術での作製が可能な構造に変更することが考えられる。本明細書では、このように構造を変更した結合法(コアへの光の入射方法)をテーパ結合法と称する。
【0021】
図5は、テーパ結合法の説明図である。
【0022】
テーパ結合法は、プリズム結合法におけるプリズムに替えて、リソグラフィー技術で作製可能な厚い第1コア58を用い、プリズム結合法と同様な入射角θでサブミクロン厚の第2コア59に光を入射させる方法である。
【0023】
第1コア58の入射側の端面は入射光に対して垂直となっており、上述の入射角θを得るためにテーパ結合法では、第1コア58の傾斜面58aにおける光反射を用いる。
【0024】
熱アシスト記録方式に用いられる光学ヘッドの場合、上述したどの結合法でも、入射後の光のモードを考慮する必要がある。
【0025】
図6は、モード光の電界強度分布を表す模式図である。
【0026】
図の縦軸は、光の伝搬方向を横切る方向におけるコア内位置を表しており、図の横軸は、各位置における光の電界強度を表している。
【0027】
モード光の電界強度分布は、基本モードでは山ひとつの分布となるが、1次モードで山2つの分布、2次モードで山3つの分布となる。
【0028】
熱アシスト記録方式に用いられる光学ヘッドの場合には、同じ出力強度であれば、山ひとつの強度分布を示す基本モードの方が高次のモード光よりも有効である。なぜなら山ひとつの強度分布であれば、情報記録媒体に照射するときの光のピーク強度を強化することができ、情報記録媒体上での温度を局所的に増加できるからである。
【0029】
このような光のモードも考慮に入れて、上述した各結合法について以下検討する。
【0030】
まず端面結合法では、スライダの切断面に露出したコアに収束光を照射するが、このとき収束光のNAを小さくすることで、コア中に基本モード光を発生させることができる。また、スライダの切断面に光を照射するので、磁気ヘッドや再生ヘッドで必要な書き込み用や読み込み用の電極パットとレイアウトで重ならないといった利点がある。ところが、基本モードを発生するためにNAを小さくすると、スライダの入射側の端面における収束光のスポットサイズが大きくなってしまう。例えば、コアの材料がTiO、コア厚が0.6μm、クラッドの材料がAlの光導波路に、660nmのレーザを照射する場合には、基本モードを発生させるNAは0.48である。このNAによって得られるスポットサイズは1.2μmとなり、コア厚より大きいため、コア内に入射する光量が低下する。逆に、スポットサイズが回折限界の0.6μm程度(波長程度)となるようにレーザを集光する場合にはNAが0.9以上となり、コア内では高次モード光が発生して伝搬光の強度分布特性が劣化するといった問題がある。
【0031】
次にプリズム結合法では、低屈折率の薄い層(通常は空気)を挟んで入射光とコア内の導波モードとの位相整合によりモード光を励起するので、コアの厚さが波長以下でも光の結合が可能である。しかし、基本モードを発生するには、プリズム底面に対する入射角θを大きくしなければならず、入射角θが小さいと高次モード光が発生してしまう。例えば、0.4μm厚のコアに対して結合を実現するためには、プリズムの屈折率にもよるが、入射角θとしては80〜85度以上という大きな角度が必要となる。このように入射角θが大きいと、プリズム底面で全反射する領域が光束径の1/cosθ倍に増大する。そのためコアに結合した伝搬光が再びプリズム底面側に戻ってしまい結合効率が低下するという問題がある。光束径を小さくするために集光すると、光束内の光線の傾きに差が発生し、プリズム底面への入射角に差が発生するので、コアとの位相整合が実現するスポット領域が限定されて結合効率が低下する。さらに、プリズムを搭載する面が、書き込みや読み込み用の電極パットと同じ面になるので、スライダに搭載するにはサブミリサイズのプリズムが必要となるが、このような微少なサイズのプリズムを単体として作製するのは難しくて高価であるといった問題がある。
【0032】
グレーティング法は、プリズム法と同じく基板平面内にグレーティングを作製するので、書き込みや読み込み用の電極パットと同じ面に搭載することになるという問題があるが、プリズム法とは異なり、リソグラフィー技術で作製することができるという利点がある。ところが、グレーティングにおける結合効率を向上するには、グレーティングに照射するスポットサイズを大きくしなければならず、光学理論的には、スポットサイズを無限に大きくすると結合効率が1に漸近する。しかし、当然ながらグレーティングの作製領域は有限サイズでなければならないし、スライダに搭載するにはサブミリサイズでなければならないため、結合効率が低下する。また、グレーティングの格子は間隔がサブミクロンであり、その間隔の深さや幅のバラツキによっても結合効率が低下するので作製が難しい。
【0033】
テーパ結合法では、光線の入射角θを傾斜面による反射で与えており、入射側の端面は入射光に対して垂直となっている。この構造は、量産加工の点から採用された構造であり、プリズム結合法のように入射側の端面に傾斜面を作製することが難しいため採用されている。また、プリズム結合法と同じく、コア内に基本モードを励起するには入射角θを大きくしなければならない。即ち、図5に示す傾斜面58aの傾斜角度αを小さくしなければならないが、エッチングや切削加工において傾斜角度αを小さくすることは難しく、作製上現実的な傾斜角度αを用いるとコア内には高次モードが励起されるという問題がある。
【0034】
図7は、作製上現実的な傾斜角度αを用いたときの電界強度分布を表した図である。
【0035】
この図7には、コアの材料がTiO、クラッドの材料がAl、第1コアの厚さが5μm、第2コアの厚さが0.7μm、第1コアと第2コアとの間の中間クラッドが0.1μm、テーパ面の傾斜角α=21.2度、レーザの波長が660nmでの電界強度分布を計算した結果として、電界強度の高い箇所Pが示されている。傾斜角αが21.2度という小さい角度であっても、図7に示すように第2コア内には3次モード光L2が励起されている。基本モード光を励起するためには、傾斜角度を10度以下にしなければならず、工業的量産においては、数ミクロン厚のコアをこのような傾斜角度で加工することは困難である。
【0036】
本発明は、上記事情に鑑み、コア内のモード次数が低く、スライダに搭載することができてリソグラフィー技術で作製することができる構造を有した光学ヘッド、およびそのような光学ヘッドを備えて高記録密度で情報を記録することができる情報記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記目的を達成する本発明の光学ヘッドは、
外部から光が入射され、その入射された光を最終的には所定の導波方向に沿って導いて先端から出射する光学ヘッドであって、
所定の光学材料からなる、上記導波方向に沿って層状に延びた、内部に光が入射されてその光をその導波方向に導く導波コアと、
上記導波コアを構成する光学材料と同じ光学材料からなる、その導波コアに導かれる光の入射側でその導波コアにつながり上記導波方向に対して傾いた方向に層状に延びた、内部に光が入射されてその光を導波コアへと導く傾斜コアと、
上記傾斜コアの層に重なった、その傾斜コアを構成する光学材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学材料からなるクラッド膜と、
上記クラッド膜に接した、上記傾斜コアの厚さよりも厚い、そのクラッド膜を構成する光学材料の屈折率よりも高い屈折率を有する光学材料からなる、光が入射されてその光がクラッド膜越しに上記傾斜コアへと入射する入射コアとを備えたことを特徴とする。
【0038】
このクラッド層は、厚さがゼロでもよいが、入射光のクラッド層内の波長以下の厚さが望ましい。
【0039】
本発明の光学ヘッドによれば、入射コアに入射した光は、光の結合によって傾斜コア内に入射する。このとき位相整合に必要な入射角は上述したプリズム結合法における入射角と同じであるが、本発明では、傾斜コアから導波コアへと光が導かれる際にモード次数を低下させることができる。このため、傾斜コアの傾斜角度が、リソグラフィー技術で作製することができる程度に大きい現実的な角度であっても、最終的に導波コア内に励起されるモード光は低次のモード光となる。また、本発明の光学ヘッドは、傾斜コアの傾斜角度を十分に大きくすることができるので、スライダに搭載することができるサイズ内に収まるように作製することができる。さらに、入射コアの厚さを十分に厚くすることができるので、外部から光学ヘッド内への入射光量を十分に多くして光利用効率を向上させることができる。
【0040】
本発明の光学ヘッドにおいて、
「 上記導波コアおよび上記入射コアが、これら導波コアおよび入射コアを構成するいずれの光学材料の屈折率よりも低い屈折率を有する下部クラッドの上に形成されたものであって、
上記下部クラッドと上記導波コアおよび上記入射コアとの間に、所定の反応性エッチングにおけるエッチング性が上記導波コアおよび上記入射コアのエッチング性よりも低い保護膜を備えた」
という形態は好ましい形態である。
【0041】
この好ましい形態の光学ヘッドによれば、傾斜コアの傾斜などをエッチングで加工する場合であっても、保護膜によって下部クラッドが保護されるため、下部クラッドを土台として入射コアなどを高い精度で作製することができる。
【0042】
また、本発明の光学ヘッドにおいて、上記導波コアは、上記導波方向の前方ほど層の広がりが狭くなる先細り部分を有するものであることが好ましい。
【0043】
このような先細り部分を有することで、導波コア内を伝搬する光が集光されるので、光学ヘッドからの出射光についてスポットサイズ縮小と強度向上とを図ることができる。
【0044】
また、本発明の光学ヘッドにおいて、上記傾斜コアは、上記入射コア側とは逆側に凸に層が湾曲したものであることが好ましい。
【0045】
このように傾斜コアが湾曲していることで、入射コアから傾斜コアへと入射した光が湾曲面で反射されて集光されることになる。傾斜コアの湾曲の大きさを調整することによって集光位置を調整することができ、光学ヘッドからの出射光についてスポットサイズ縮小と強度向上とを図ることができる。
【0046】
上記目的を達成する本発明の情報記憶装置は、
光が入射され、その入射された光を最終的には所定の導波方向に沿って導いて先端から出射し、記録媒体の表面をその光で加熱する光学ヘッドと、
上記光学ヘッドによって加熱された記録媒体表面に磁場を印加することによってその記録媒体に情報を記録する磁気ヘッドとを備え、
上記光学ヘッドが、
所定の光学材料からなる、上記導波方向に沿って層状に延びた、内部に光が入射されてその光をその導波方向に導く導波コアと、
上記導波コアを構成する光学材料と同じ光学材料からなる、その導波コアに導かれる光の入射側でその導波コアにつながり上記導波方向に対して傾いた方向に層状に延びた、内部に光が入射されてその光を導波コアへと導く傾斜コアと、
上記傾斜コアの層に重なった、その傾斜コアを構成する光学材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学材料からなるクラッド膜と、
上記クラッド膜に接した、上記傾斜コアの厚さよりも厚い、そのクラッド膜を構成する光学材料の屈折率よりも高い屈折率を有する光学材料からなる、光が入射されてその光がクラッド膜越しに上記傾斜コアへと入射する入射コアとを備えたものであることを特徴とする。
【0047】
本発明の情報記憶装置によれば、光学ヘッドによって低次のモード光を記録媒体表面に照射することができ、記録媒体表面を局所的に加熱して高い記録密度で情報を記録することができる。
【発明の効果】
【0048】
以上説明したように、本発明の光学ヘッドは、コア内のモード次数が低く、スライダに搭載することができてリソグラフィー技術で作製することができる構造を有している。また、本発明の情報記憶装置は、高記録密度で情報を記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0050】
図8は、本発明の情報記憶装置の第1実施形態を示す図である。
【0051】
この図8には、図1と同様に、情報記憶装置100のヘッド140周辺が示されている。この図8に示されている情報記憶装置100は熱アシスト記録方式の情報記憶装置であり、この図8に示されている部分以外の他の部分の構造は、情報記憶装置における周知の構造と同様な構造であるため説明は省略する。また、この図8に示されている情報記憶装置100の基本構造は、図1に示す情報記憶装置1の基本構造と同様であり、図に示す矢印の方向に回転する円盤状の情報記録媒体110と、情報記録媒体110の表面に近接した状態で表面から浮上するスライダ150と、情報記録媒体110の表面に沿って延びて先端にスライダ150を保持したアーム120が備えられている。
【0052】
スライダ150は、スライダ本体130にヘッド140が搭載された構成となっており、ヘッド140は、再生ヘッド141と光学ヘッド142と磁気ヘッド143とで構成されている。ここで光学ヘッド142は、本発明の光学ヘッドの第1実施形態に相当している。
【0053】
なお、光学ヘッド142の光源についてはここでも図示を省略したが、情報記憶装置100には半導体レーザが搭載されており、その半導体レーザが出射した光が、数十ミクロンの太さの光導波路で光学ヘッド142に導かれる構造となっている。
【0054】
次に、光学ヘッド142の構造について説明する。
【0055】
図9は、光学ヘッドの断面図、図10は、光学ヘッドの斜視図である。ただし、図9には、光学ヘッドの、主に、光が入射する側の構造が示されており、図10には、光学ヘッドを構成する導波路の主にコア部分が示されている。また、図8とは異なり、これら図9図10では、図示の便宜上、光を導く方向が図の横方向となる向きに光学ヘッドが示されている。また、以下の説明では、図9の上下方向をヘッドにおける上下として説明する。
【0056】
本実施形態の光学ヘッド142は、再生ヘッド141の上部シールド204上に形成されており、上部シールド204上には屈折率の低い下部クラッド1421が存在し、その下部クラッド1421上には保護膜1422が設けられている。そして、保護膜1422上には、傾斜面を有しミクロンサイズの厚さを有する屈折率の高い第1コア1423が存在する。そして、第1コア1423の傾斜面上を、屈折率が低く薄膜状の中間クラッド1424が覆い、さらにその中間クラッド1424上には、第1コア1423よりも厚さが薄いサブミクロンサイズで屈折率の高い第2コア1425が設けられている。第2コア1425は、第1コア1423の傾斜面に沿った傾斜部分1425aと、その傾斜部分1425aにつながって保護膜1422上を延びた延長部分1425bとを有しており、延長部分1425bは、図10に示すように、テーパ状に先細りの形状を有している。光学ヘッド142の最上部は屈折率の低い上部クラッド1426で覆われている。
【0057】
第1コア1423は、本発明にいう入射コアの一例に相当し、中間クラッド1424は、本発明にいうクラッド膜の一例に相当し、第2コア1425の延長部分1425bは、本発明にいう導波コアの一例に相当し、第2コア1425の傾斜部分1425aは、本発明にいう傾斜コアの一例に相当する。
【0058】
下部クラッド1421、中間クラッド1424、上部クラッド1426の材料としては、AlやSiOなどを用いることができ、第1コア1423、第2コア1425の材料としては例えばTiOを用いることができる。また、保護膜1422は、後述するように第1コア1423をエッチングで加工する時に下部クラッドを保護するためのものであり、エッチングで用いられる反応ガスの種類に応じた材料を使用することができ、材料によっては膜厚が数十nm以下で十分に効果がある。例えばCF反応性ガスを用いるエッチングの場合にはMgFなどのフッ素系材料で形成することができる。
【0059】
このような構造の光学ヘッド142に対し、光源からの光L3は図の左側から入射されて第1コア1423内を伝搬し、第1コア1423の傾斜面に所定の入射角θで照射される。そして、傾斜面での位相整合により、第1コア1423内の光と第2コア1425の傾斜部分1425a内の光が結合して効率よく第2コア1425内に光が導入される。傾斜面の傾斜角αが、工業的量産に適合可能な十分に大きい角度である場合には、第1コア1423の傾斜面から第2コア1425内に導入された光は高次モード光となるが、その高次モード光が第2コア1425内を伝搬されて傾斜部分1425aの端で伝搬方向が変わると光は低次モード光に変換されて延長部分1425bを進むこととなる。本実施形態では、第2コア1425の延長部分1425bは、図10に示すようにテーパ形状に先細りとなっており、延長部分1425b内を伝搬される低次モード光はテーパ形状により延長部分1425b内部に反射されながら集光され、光学ヘッド142の先端部142aから強い光が効率よく媒体に照射される。なお、本実施例では、テーパ形状の先細り構造を一例として採用しているが、楕円や放物線形状の先細り構造を採用しても集光に寄与することができる。
【0060】
図11は、図9および図10に示す構造の光学ヘッドにおける電界強度分布を表した図である。
【0061】
ここではFDTD法を用いて電場強度分布を計算した結果を示しており、第1コアおよび第2コアの材料はTiOを用い、下部クラッド、中間クラッド、および上部クラッドの材料はAlを用い、計算の簡便のため保護膜は省略した。また、第1コアの厚さが10μm、第2コアの厚さが0.7μm、中間クラッドの厚さが0.1μm、第1コアの傾斜面の傾斜角α=38.5度、入射光は660nmの波長のレーザであるものとして計算を行った。
【0062】
この図11には、計算の結果として電場強度が強い箇所Pが示されており、第2コアの傾斜部分内では一度3次モード光L3_1が励起され、第2コア内での伝搬方向の屈曲によって主に基本モード光L3_2が励起されることを表した強度分布となっている。つまり、本実施形態に示すような光学ヘッド構造を用いると、38.5度というような十分に大きな傾斜角αであっても光を低次モード光で効率よく光学ヘッド内に励起することができる。
【0063】
また、ここに結果を示した計算では、簡便のために保護膜を省略した構造が用いられているが、保護膜が存在すると下部クラッドの平滑度が保たれるため、下部クラッド、中間クラッド、および上部クラッドの材料として、例えば、反応ガスによってエッチングされるSiOを使用することができる。この結果、コアとクラッドの屈折率差が大きくなって全反射角が小さくなるためコア内の光の伝搬効率が高く、特に、第2コア内で伝搬方向が屈曲する際の伝搬効率が向上する。また、全反射角が小さくなると傾斜面の傾斜角αもさらに大きくすることができるので加工性も向上する。逆に、下部クラッド、中間クラッド、および上部クラッドの材料としてAlを用い、第1コアおよび第2コアの材料としてTiOを用いた場合には、Alのエッチング性がTiOのエッチング性よりも大幅に低いため保護膜を省略することも可能となる。
【0064】
また、ここに結果を示した計算では、中間クラッドの材料にその他のクラッドと同じ材料を使用しているが、中間クラッドの材料に、例えば、第1コアや第2コアの屈折率より低い屈折率を有するMgF材料のようなフッ素系材料を使用すると、CF反応性ガスによる第2コア以外のエッチングを抑制することができる。
【0065】
次に、本発明の情報記憶装置の第2実施形態について説明する。この第2実施形態の情報記憶装置は、光学ヘッドの第2実施形態を搭載している点を除いて上述の第1実施形態の情報記憶装置と同様の装置であるので、以下では光学ヘッドの第2実施形態について説明する。また、この第2実施形態の光学ヘッドは、第2コアの形状が異なっている点を除いて上述の第1実施形態の光学ヘッドとほぼ同様の構成を有しているので、第2コアの形状に着目して以下説明する。
【0066】
図12は、第2実施形態の光学ヘッドの斜視図である。
【0067】
この図12には、図10と同様に、光学ヘッドを構成する導波路の主にコア部分が示されている。
【0068】
第2実施形態の光学ヘッド242では、第1コア2423の傾斜面が、光学ヘッド242の先端242a側に凸に湾曲しており、第1実施形態と同様な薄膜状の中間クラッド(図示は省略)を挟んでその傾斜面に沿って第2コア2425が形成されている。このため、第2コア2425の、その傾斜面に沿った傾斜部分2425aも先端242a側に凸に湾曲している。また、第2実施形態の光学ヘッド242では、傾斜部分2425aの端から延びる延長部分2425bは、第1実施形態とは異なり矩形状となっている。従って、この第2実施形態の光学ヘッド242では、延長部分2425bの形状による集光効果はないが、第1コア2423の傾斜面および第2コア2425の傾斜部分2425aが湾曲しているために、この光学ヘッド242に入射される光L4は、傾斜面や傾斜部分2425aで反射され伝搬されることで第2コア2425の中心方向に集光されることとなる。延長部分2425bを伝達された光が延長部分2425bの端で最もよく集光されるように、傾斜面および傾斜部分2425aの湾曲度と延長部分2425bの長さとが幾何光学的に設計されており、光学ヘッド242の先端242aからは強い光が効率よく出射されることとなる。
【0069】
なお、この第2実施形態では、傾斜面および傾斜部分2425aの湾曲による集光の効果を明示するために延長部分2425bの形状に矩形形状を採用しているが、本発明の光学ヘッドでは、第1実施形態のような先細り構造も併用して、傾斜面などの湾曲による集光と、延長部分の先細り構造による集光との双方を利用するものであってもよい。
【0070】
また、上述した各実施形態では、第1コアが第2コアの傾斜部分の下方に設けられており、光学ヘッドに入射されてくる光の進行方向は光学ヘッドの先端方向とほぼ同じ方向であるが、本発明にいう第1コアは、第2コアの傾斜部分の上方に設けられたものであってもよく、そのような第1コアを備えた光学ヘッドでは、光学ヘッドに入射されてくる光の進行方向は、光学ヘッドの先端方向に対して大きく傾いた方向(図9で言うと傾斜角αの約2倍の角度を持った上方から進入してくる方向)となる。
【0071】
以下では、上述した各実施形態の構造の製造方法を説明する。
【0072】
図8に示す情報記憶装置100のスライダ150は、上述したように、スライダ本体130にヘッド140が搭載された構成となっており、このような構成のスライダ150をリソグラフィー技術によって製造する基本的な工程は従来からよく知られている。すなわち、(1)多数のスライダ本体130の元となる基板を準備する工程と、(2)その基板上に多数の再生ヘッド141を作成する工程と、(3)各再生ヘッド141上に光学ヘッド142を作成する工程と、(4)各光学ヘッド142上に記録ヘッド143を作成する工程と、(5)個々のヘッド140を基板ごと切り出し、基板部分をスライダ本体130に加工してスライダ150を完成させる工程である。これらの工程のうち、光学ヘッド142を作成する工程を除く他の工程は従来と同様の工程であるのでこれ以上の説明は省略し、以下では光学ヘッド142を作成する工程について詳細に説明する。
【0073】
図13〜図24は、第1実施形態の光学ヘッドの製法例を表す工程図であり、各工程図には、側面図(A)と上面図(B)が記載されている。また、説明の簡便のために、各工程図では、多数同時に作成される光学ヘッドのうちの1つ分のみが示されている。
【0074】
図13には、基板201上に再生ヘッド141まで形成された状態が示されており、再生ヘッド141は、下部シールド202と上部シールド204とに再生素子203が挟まれた構造となっている。光学ヘッドはこの上部シールド204上に形成される。
【0075】
図14に示すように、上部シールド204上には、イオンプレーティング法などによって順に、光学ヘッドの下部クラッドとなるSiOの下部クラッド膜205と、MgFの保護膜206と、光学ヘッドの第1コアに加工されるTiOの第1コア膜207を成膜する。
【0076】
次に、第1コア膜207を、図9に示す第1コア1423の形に加工するために、図15に示すように、第1コア膜207上に、第1コア1423の上面の形と同等の形にレジストパターン208をステッパ装置等によって形成する。但し、図9では図の右側が光学ヘッドの先端側であったのに対し、この図15では、図の左側が光学ヘッドの先端側となっている。このため、再生ヘッドの再生素子203は、この図15では図の左側によった位置に形成されており、レジストパターン208は右側の端に形成されている。
【0077】
次にRIE装置に、反応電極に対して50度〜70度の角度で基板201を設置し、図16に示すようにレジストパターン208をマスクとして斜めに反応性エッチングを行う。この反応性エッチングにおける反応ガスとしては、ここでは一例としてCFガスを用いる。このガスは、TiOに反応するが、MgFの保護膜206には反応しないので、第1コア膜207が台形状に加工されて図9に示す第1コア1423の形が出来る。保護膜206が存在することで、CFガスに反応するSiOの下部クラッド膜205が保護されて平滑性が維持されている。第1コア膜207の加工後はレジストパターン208を除去し、図17に示すように台形状の第1コア膜207(即ち第1コア1423)を露出させる。
【0078】
次に、図18に示すように、第1コア膜207および保護膜206の上に、光学ヘッドの中間クラッドとなるSiOの中間クラッド膜209と、光学ヘッドの第2コアに加工されるTiOの第2コア膜210を成膜する。そして、第2コア膜210を図10に示す第2コア1425の形状に加工するために、図19に示すように、第2コア1425の形状と同様なテーパ形状のレジストパターン211をステッパ装置等で第2コア膜210上に形成する。このときレジストパターン211のテーパ形状(即ち第2コアの延長部分の形状)は、再生素子203に対応する位置に光が効率よく集光されるように設計されており、再生素子203に対応する設計上の所定位置にレジストパターン211を形成する。
【0079】
次にRIE装置に、反応電極に対して垂直に基板201を設置し、図20に示すようにレジストパターン211をマスクとして垂直にCFガスで反応性エッチングを行う。CFガスはTiOとSiOに反応するので中間クラッド膜209と第2コア膜210がレジストパターン211と同様なテーパ形状に加工され、図10に示す第2コア1425の形状が出来る。上述したように保護膜206によって下部クラッド膜205の平滑性が維持されているため、第2コア1425の傾斜部分と延長部分との角度が精度よく得られ、傾斜部分と延長部分との間での光の伝搬や光モードの変換における効率がよい。
【0080】
このように第2コア膜210を加工した後はレジストパターン211を除去して図21に示すようにテーパ形状の第2コア膜210(即ち第2コア1425)を露出させる。そして図22に示すように、光学ヘッドの上部クラッドとなるSiOの上部クラッド膜212を全体に成膜することで光学ヘッドの上述した第1実施形態の構造が完成する。
【0081】
このように光学ヘッドを形成した後、光学ヘッドの上部クラッド膜212のさらに上には、図23に示すように記録ヘッド143を形成する。そして、図24に示すように、再生素子203の位置で切り出し、研磨によって正確なサイズに仕上げることで図8に示すヘッド140の構造が完成する。
【0082】
図25〜図32は、第2実施形態の光学ヘッドの製法例を表す工程図であり、これらの工程図にも、側面図(A)と上面図(B)が記載され、説明の簡便のために、各工程図では、多数同時に作成される光学ヘッドのうちの1つ分のみが示されている。
【0083】
この第2実施形態の光学ヘッドの製法例は、上述した第1実施形態の製法例における各工程とほぼ同様の工程を含んでいるので、以下では、第1実施形態の製法例とは異なる箇所に着目して説明する。
【0084】
第1実施形態の製法例と同様に第1コア膜207まで成膜し、第1コア膜207を図12に示す第1コア2423の形状に加工するために、図25に示すように、第1コア膜207上に、第1コア2423の上面の形と同等の形にレジストパターン213を形成する。第2実施形態では第1コア2423の傾斜面が湾曲しているのでレジストパターン213の縁が丸くなっている。
【0085】
次にRIE装置に、反応電極に対して50度〜70度の角度で基板201を設置し、図26に示すようにレジストパターン213をマスクとして斜めに反応性エッチングを行う。これにより第1コア膜207が台形状に加工されるとともに斜面は湾曲した面となって図12に示す第1コア2423の形が出来る。第1コア膜207の加工後はレジストパターン213を除去し、図27に示すように台形状の第1コア膜207(即ち第1コア2423)を露出させる。
【0086】
次に、図28に示すように、第1コア膜207および保護膜206の上に、光学ヘッドの中間クラッドとなるSiOの中間クラッド膜214と、光学ヘッドの第2コアに加工されるTiOの第2コア膜215を成膜する。そして、図29に示すように、第2コア2425の形状と同様な矩形状のレジストパターン216をステッパ装置等で第2コア膜215上に形成する。
【0087】
次にRIE装置に、反応電極に対して垂直に基板201を設置し、図30に示すようにレジストパターン216をマスクとして垂直にCFガスで反応性エッチングを行い中間クラッド膜214と第2コア膜215をレジストパターン216と同様な矩形状に加工する。これにより、図12に示す第2コア2425の形状が出来る。
【0088】
このように第2コア膜215を加工した後はレジストパターン216を除去して図31に示すように矩形状の第2コア膜215(即ち第2コア2425)を露出させる。そして図32に示すように、光学ヘッドの上部クラッドとなるSiOの上部クラッド膜217を全体に成膜することで図12に示す第2実施形態の光学ヘッド242の構造が完成する。
【0089】
第3実施形態では、本実施形態1及び2は、再生ヘッド側が平坦で、記録ヘッド側に入射コアがあり、傾斜コアは、磁気ヘッド側に傾斜しているが、これは図33に示すように、記録ヘッド側が平坦で再生ヘッド側に入射コアがあり、傾斜コアは、再生ヘッド側に傾斜していても、同様の効果を得ることができる。この形態の製法は、再生ヘッド141を作製後、再生ヘッド141に本実施形態1及び2の反転パターンのエッチングを行う。そして下部クラッド膜205と、第2コア膜215と、中間クラッド214と、第一コア膜207を順次成膜する。そして第一コアを平坦処理後に上部クラッド膜217を成膜する。
【0090】
第4実施形態は、図34に示すように本実施形態1及び2及び3において、中間クラッド層214の厚さがゼロの光学ヘッドであり、第2コア膜215の屈折率が、第一コア膜207より大きい。この製法は、本実施形態1及び2及び3の製法において、中間クラッド層の成膜を省略することで作製できる。この形態においては、光学ヘッドの第1コアに加工されるTiOの第1コア膜207、第2コア膜に加工されるSi膜215を成膜する。
【0091】
なお、第1コア膜207と第2コア膜215が同じ材料である場合は、コア径を変換する光導波路になり、傾斜面を階段状にすることで近似することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】熱アシスト記録方式の情報記憶装置を示す図である。
【図2】端面結合法の説明図である。
【図3】プリズム結合法の説明図である。
【図4】グレーティング法の説明図である。
【図5】テーパ結合法の説明図である。
【図6】モード光の電界強度分布を表す模式図である。
【図7】作製上現実的な傾斜角度αを用いたときの電界強度分布を表した図である。
【図8】本発明の情報記憶装置の第1実施形態を示す図である。
【図9】第1実施形態の光学ヘッドの断面図である。
【図10】第1実施形態の光学ヘッドの斜視図である。
【図11】図9および図10に示す構造の光学ヘッドにおける電界強度分布を表した図である。
【図12】第2実施形態の光学ヘッドの斜視図である。
【図13】第1実施形態の製法例を表す第1の工程図である。
【図14】第1実施形態の製法例を表す第2の工程図である。
【図15】第1実施形態の製法例を表す第3の工程図である。
【図16】第1実施形態の製法例を表す第4の工程図である。
【図17】第1実施形態の製法例を表す第5の工程図である。
【図18】第1実施形態の製法例を表す第6の工程図である。
【図19】第1実施形態の製法例を表す第7の工程図である。
【図20】第1実施形態の製法例を表す第8の工程図である。
【図21】第1実施形態の製法例を表す第9の工程図である。
【図22】第1実施形態の製法例を表す第10の工程図である。
【図23】第1実施形態の製法例を表す第11の工程図である。
【図24】第1実施形態の製法例を表す第12の工程図である。
【図25】第2実施形態の製法例を表す第1の工程図である。
【図26】第2実施形態の製法例を表す第2の工程図である。
【図27】第2実施形態の製法例を表す第3の工程図である。
【図28】第2実施形態の製法例を表す第4の工程図である。
【図29】第2実施形態の製法例を表す第5の工程図である。
【図30】第2実施形態の製法例を表す第6の工程図である。
【図31】第2実施形態の製法例を表す第7の工程図である。
【図32】第2実施形態の製法例を表す第8の工程図である。
【図33】第1及び第2の実施形態において、再生ヘッド側に入射コアがある第3実施形態の形態図である。
【図34】第1及び第2及び第3の実施形態において、中間クラッドの厚さがゼロである第4実施形態の形態図である。
【符号の説明】
【0093】
100 情報記憶装置
110 情報記録媒体
120 アーム
130 スライダ本体
140 ヘッド
141 再生ヘッド
142 光学ヘッド
143 磁気ヘッド
1421 下部クラッド
1422 保護膜
1423 第1コア
1424 中間クラッド
1425 第2コア
1425a 傾斜部分
1425b 延長部分
1426 上部クラッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から光が入射され、その入射された光を最終的には所定の導波方向に沿って導いて先端から出射する光学ヘッドであって、
所定の光学材料からなる、前記導波方向に沿って層状に延びた、内部に光が入射されて該光を該導波方向に導く導波コアと、
前記導波コアを構成する光学材料と同じ光学材料からなる、該導波コアに導かれる光の入射側で該導波コアにつながり前記導波方向に対して傾いた方向に層状に延びた、内部に光が入射されて該光を該導波コアへと導く傾斜コアと、
前記傾斜コアの層に重なった、該傾斜コアを構成する光学材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学材料からなるクラッド膜と、
前記クラッド膜に接した、前記傾斜コアの厚さよりも厚い、該クラッド膜を構成する光学材料の屈折率よりも高い屈折率を有する光学材料からなる、光が入射されて該光が該クラッド膜越しに前記傾斜コアへと入射する入射コアとを備えたことを特徴とする光学ヘッド。
【請求項2】
前記導波コアおよび前記入射コアが、これら導波コアおよび入射コアを構成するいずれの光学材料の屈折率よりも低い屈折率を有する下部クラッドの上に形成されたものであって、
前記下部クラッドと前記導波コアおよび前記入射コアとの間に、所定の反応性エッチングにおけるエッチング性が前記導波コアおよび前記入射コアのエッチング性よりも低い保護膜を備えたことを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
【請求項3】
前記導波コアは、前記導波方向の前方ほど層の広がりが狭くなる先細り部分を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の光学ヘッド。
【請求項4】
前記傾斜コアは、前記入射コア側とは逆側に凸に層が湾曲したものであることを特徴とする請求項1または2記載の光学ヘッド。
【請求項5】
光が入射され、その入射された光を最終的には所定の導波方向に沿って導いて先端から出射し、記録媒体の表面を該光で加熱する光学ヘッドと、
前記光学ヘッドによって加熱された記録媒体表面に磁場を印加することによって該記録媒体に情報を記録する磁気ヘッドとを備え、
前記光学ヘッドが、
所定の光学材料からなる、前記導波方向に沿って層状に延びた、内部に光が入射されて該光を該導波方向に導く導波コアと、
前記導波コアを構成する光学材料と同じ光学材料からなる、該導波コアに導かれる光の入射側で該導波コアにつながり前記導波方向に対して傾いた方向に層状に延びた、内部に光が入射されて該光を該導波コアへと導く傾斜コアと、
前記傾斜コアの層に重なった、該傾斜コアを構成する光学材料の屈折率よりも低い屈折率を有する光学材料からなるクラッド膜と、
前記クラッド膜に接した、前記傾斜コアの厚さよりも厚い、該クラッド膜を構成する光学材料の屈折率よりも高い屈折率を有する光学材料からなる、光が入射されて該光が該クラッド膜越しに前記傾斜コアへと入射する入射コアとを備えたものであることを特徴とする情報記憶装置。
【請求項6】
前記傾斜コアは、磁気ヘッドあるいは再生ヘッドのいずれかの側に傾斜していることを特徴とする請求項1または2記載の光学ヘッド。
【請求項7】
前記傾斜コアと入射コアの間のクラッド膜の厚さがゼロであることを特徴とする請求項1または2記載の光学ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2009−48742(P2009−48742A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216211(P2007−216211)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、「大容量光ストレージ技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】