説明

光学位置測定装置

【課題】走査ユニットとこのために湾曲された測定方向に可動で大きな据付け公差を備える尺度具体化部との相対運動を検出する高解像度光学位置測定装置を提供する。
【解決手段】走査ユニット20が少なくとも一つの反射器ユニットと一つの検出器ユニットを有し、反射器ユニットが一つの第一波面補正器、一つの光線方向インバーターと一つの第二波面補正器から成る。反射器ユニットは、走査ユニット20内で、光束が尺度具体化部10と第一波面補正器との第一組合せを通過し、引き続いて光線方向インバーターを介して尺度具体化部10への方向へ後方反射が行われ、次に検出器ユニットに衝突する前に、尺度具体化部10と第二波面補正器とから成る第二組合せを通過するようにされ、尺度具体化部10における第一回折によって生じる部分光束の波面変形は、尺度具体化部10における第一回折の際に部分光束の生じる波面変形を補償する波面変形に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学位置測定装置に関する。
湾曲された測定方向に沿って尺度具体化部と走査ユニットの相対運動を検出する光学位置測定装置との関係において、二つの基本タイプa)とb)を区別すべきである;
a)部分円板上に配置された半径方向区分の形態の尺度具体化部を備える光学位置測定装置;
b)部分円板上に配置されたドラム区分の形態の尺度具体化部を備える光学位置測定装置。
【背景技術】
【0002】
尺度具体化部として精密な半径方向区分を備える部分円板を包含する最初に述べた光学位置測定装置では、通常には走査ユニットに対する尺度具体化部の据付け公差が非常に小さい。これは、強力な信号低下のせいであり、この信号低下は半径方向区分の目標据付け位置からの僅かな半径方向正接或いは縦位置偏差の際に据付け位置と一緒に現れる波面変形に基づいて信号発生に関与された部分光束を生じ、この部分光束が干渉する重なりをもたらす。この場合には、半径方向区分の半径方向に変更する格子定数が強力な波面変形を引き起こす。これは、半径方向区分により曲げられた部分光束の波面が部分的に平らな波面の著しい偏差を有することを意味する。
【0003】
同様な問題は、二つの述べたカテゴリーの光学位置測定装置でも生じ、尺度具体化部が所謂ドラム区分として回転するドラム或いは回転するシリンダの外周に配置されている。ここでは湾曲されたドラム区分が同様に信号発生させるように利用される部分光束における波面のゆがみを引き起こす。
【0004】
この種の波面変形は既に尺度具体化部の理想的据付け位置に生じ、次に名目的波面変形と呼ばれている。理想的据付け位置でない場合には、追加的公差条件付き波面変形が生じる。信号発生させるために利用された部分光束における異なった生じる波面変形は、発生した位置信号における前記信号始まりの応答的に重要である。その結果、この種の光学位置測定装置は信号品質を明確に悪化させる。
【0005】
尺度具体化部と走査ユニットの直線的変位運動を検出する高解像度光学位置測定装置には、さらに、三重プリズムの形態の後方反射鏡の使用が知られていて;例えばこのために、欧州特許出願公開第387520号明細書(特許文献1)に開示されている。その明細書に提案された走査光路では、レザー光源の視準した光束が尺度具体化部の直線的格子にて部分光束+1と−1の回折配列で回折される。引き続いて、部分光束が三重プリズムの形態の一つ或いは複数の後方反射鏡によって新たに尺度具体化部の直線的格子に偏向される。尺度具体化部の更なる回折の後に、両部分光線束が重なり箇所で干渉される。三重プリズムとして形成された一つ或いは複数の後方反射鏡の使用によって、走査ユニットに対する尺度具体化部の任意の傾斜でも、両部分光束が第二回折後に尺度具体化部の直線的格子においてその方向を維持することが確保されている。それは、干渉する部分光束の波形前部傾斜を生じない。それから最高干渉対照が干渉部分光束の重なり領域において生じる。この種類や形式では、根本的に大きな据付け公差が尺度具体化部の最も精密な区分期間や尺度具体化部の箇所における大きな走査面、即ち大きな光線横断面の場合にも、達成できる。けれども、根本的に、そのような光学位置測定装置の良好な特性は、部分光束の波面が尺度具体化部の直線的格子における回折後に並びに後方反射鏡における反射後に出来るだけ平らなままであることを基礎としている。それにより波面傾斜が尺度具体化部の傾斜により理想的形式で使用された後方反射鏡によって補償される。
【0006】
現在は、尺度具体化部の相対運動を検出する高解像度光学位置測定装置と湾曲された測定装置、つまり半径方向格子区分或いはドラム区分を備えるシステムに沿う走査ユニットとが後方反射鏡と関連して使用されるから、一定の問題が生じる。米国特許第5442172号明細書(特許文献2)には、これら問題が分析されていて、誤解された解決手段が提案されている。理想的反射鏡ユニットが提案されるので、波面変形の信号品質を制限する影響がこの刊行物によると減少される。これは、球状レンズと、レンズの焦点平面に配置されている屋根陵プリズムとの組合せを包含する。けれども、提案された走査光学装置の正確な分析は、いつも、重大な信号低下が尺度具体化部と走査ユニットの分解の際に生じることを明らかにする。このために、提案された理想的後方反射鏡ユニットの際に光線焦点が屋根陵プリズムの屋根陵に位置し、それ故に、このプリズムが各誤差無しにこの領域には製造されなけばならない。この領域には、例えば封入、汚染或いは飛躍のような不等質性が全く存在しない。それ故に、そのような構成部材における高い仕上げ要件に基づいて、これは、極めて高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第387520号明細書
【特許文献2】米国特許第5442172号明細書
【特許文献3】欧州特許第163362号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1923673号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第102005029917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の課題は、走査ユニットとこのために湾曲された測定方向に可動で大きな据付け公差を備える尺度具体化部との相対運動を検出する高解像度光学位置測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、この発明によると、請求項1の特徴事項を備える光学位置測定装置によって解決される。
【0010】
この発明による光学位置測定装置の好ましい実施態様は、従属請求項における措置から明らかになる。
【0011】
この発明の光学位置測定装置は、走査ユニットと尺度具体化部とを包含し、走査ユニットと尺度具体化部が湾曲された測定方向に沿って互いに移動できる。この発明の光学位置測定装置を介して走査ユニットと尺度具体化部の相対位置が検出できる。走査ユニットの側面には、少なくとも一つの反射鏡ユニットと検出器ユニットが設けられている。反射鏡ユニットは第一波面補正器、光線方向インバーターと第二波面補正器から成る。反射鏡ユニットは走査ユニットには、光束がまず最初に尺度具体化部と第一波面補正器との第一組合せを通過し、引き続いて、光線方向インバーターを介して部分光束から尺度具体化部の方向への後方反射が行われ、部分光束が引き続いて検出器ユニットに衝突する前に、部分光束が尺度具体化部と第二波面補正器から成る第二組合せを通過するように、配置されて且つ形成されている。反射鏡ユニットを介して、尺度具体化部における第一回折を介して生じる部分光束の波面変形が尺度具体化部における第二回折にて部分光束の生じる波面変形を補償する波面変形に変換されることが確認される。
【発明の効果】
【0012】
第一波面補正器によって尺度具体化部と第一波面補正器との第一組合せから生じる波面の平らな波面を備える視準した部分光束への変換が行われるのは、利点である。第二波面前部補正器によって尺度具体化部と第二波面補正器との第二組合せから生じる波面の平らな波面を備える視準した部分光束への変換が行われるので、干渉する部分光束の波面が尺度具体化部における第二回折の後に干渉箇所に等しい。
【0013】
この場合には、尺度具体化部と第一波面補正器との第一組合せが尺度具体化部−第一波面補正器の順序で光線拡張方向に配置されていて、そして尺度具体化部と第二波面補正器との第二組合せが尺度具体化部−第二波面補正器の順序で光線拡張方向に配置されていることが企図されている。
【0014】
このために選択的に、尺度具体化部と第一波面補正器との第一組合せが第一波面補正器−尺度具体化部の順序で光線拡張方向に配置されていて、そして尺度具体化部と第二波面補正器との第二組合せが第二波面補正器−尺度具体化部の順序で光線拡張方向に配置されていることが企図されている。
【0015】
好ましくは、光線方向インバーターは、光線方向変換がそれから反射された部分光束に関して二つの直交方向に行われるように形成されている。
【0016】
可能な実施態様では、光線方向インバーターが三重鏡として或いは三重プリズムとして形成されている。
【0017】
さらに、光線方向インバーターがレンズと反射鏡から成る組合せを包含する。
【0018】
波面補正器或いは光線方向インバーターの少なくとも一方が回折光学要素として形成されていることが可能である。
【0019】
波面補正器が回折光学要素として形成され得る。
【0020】
さらに、波面補正器と光線方向インバーターのレンズが回折光学要素として形成されていることが可能である。
【0021】
さらに、波面補正器がそれぞれに走査グリットの形態の回折光学組合せ要素として形成されていて、その走査格子が走査格子に入射する部分光束における次の追加的光学機能性:一つの光学偏向作用、一つの光学分割作用或いは統合作用、反射鏡における光学焦点合せ作用の少なくとも一つを有することが企図されている。
【0022】
この場合には、反射鏡と回折光学要素が透明な走査プレートの対向位置している側面に配置され得る。
【0023】
他の実施態様では、尺度具体化部が回転軸を中心に回転する部分円板上の半径方向区分として形成されて、同心円に回転軸を中心に配置されている。
【0024】
このために選択的に、尺度具体化部が回転する区分ドラムの外周上のドラム区分として形成されていて、回転軸が区分ドラムの縦軸と重なることが企図されている。
【0025】
このために、走査ユニットの光学要素は、光源から放射された光束がおよそ90°のある角度の下でドラム区分に入射するように、形成されて配置されているときに、利点である。
【0026】
それ故に、この発明による光学位置測定装置の走査光学機器は、反射鏡ユニットの特殊な構成に基づいている。これは、尺度具体化部により回折された部分光束は、部分光束が引き続いて干渉の際に等しい波面を有するように、再び尺度具体化部に戻し反射されることが確認される。それ故に、最高干渉対照が干渉する信号発生の際に保証されている。これは、尺度具体化部の理想的据付け状態並びに小さい公差条件付き偏差をこれから確認される。それ故に、この発明による位置測定装置の走査光学機器によって、標準的並びに公差条件付き波面変形が確実に修正される。尺度具体化部と走査ユニットの場合によっては最適相対調整しない場合の信号中断が回避される、即ち所望の大きな据付け公差が保証されている。
【0027】
さらに、この発明の措置によって走査光学装置の組立の明確な簡略化が達成され、即ちこれは僅かな費用により仕上げられ得る。
【0028】
さらに、先行技術による位置測定装置の際に波面変形が小さくなる区分期間を増加することが選択すべきである。この理由から、所定の据付け公差と稼働公差並びに有効な走査領域量の際に尺度具体化部の区分期間とそれにより位置測定装置の解像度が制限された。この発明の措置によって現在では小さい区分期間が尺度具体化部の側面に使用され得る、即ち解像度が著しく増大される。
【0029】
この発明の他の利点及び詳細は、添付図に基づく実施例の次の明細書から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1a】信号取得に利用された部分光束において後方反射の際に生じる波面変形を説明する異なった(理想的場合)表現を示す。
【図1b】信号取得に利用された部分光束において後方反射の際に生じる波面変形を説明する異なった(平らでない波形前部)表現を示す。
【図1c】信号取得に利用された部分光束において後方反射の際に生じる波面変形を説明する異なった(任意に変形された波形前部)表現を示す。
【図1d】信号取得に利用された部分光束において後方反射の際に生じる波面変形を説明する異なった(反射鏡ユニット)表現を示す。
【図1e】信号取得に利用された部分光束において後方反射の際に生じる波面変形を説明する異なった(反射鏡ユニットの類似な作用機構)表現を示す。
【図2】異なった図(半径方向図)においてこの発明の光学位置測定装置の第一実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図3a】異なった図(図2の断面AA’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第一実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図3b】異なった図(図2の断面BB’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第一実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図4】この発明の光学位置測定装置の第一実施態様の波面補正器における平面図を示す。
【図5】この発明の光学位置測定装置の第一実施態様の走査光線行程の他の表現を示す。
【図6】異なった図(半径方向図)においてこの発明の光学位置測定装置の第二実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図7a】異なった図(図6の断面AA’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第二実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図7b】異なった図(図6の断面BB’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第二実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図8】この発明の光学位置測定装置の第二実施態様の波面補正器の図式図を示す。
【図9】異なった図(半径方向図)においてこの発明の光学位置測定装置の第三実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図10a】異なった図(図9の断面AA’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第三実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図10b】異なった図(図9の断面BB’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第三実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図11a】異なった図(図9の断面AA’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第三実施態様の一つの変態の走査光線行程の一部を示す。
【図11b】異なった図(図9の断面BB’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第三実施態様の一つの変態の走査光線行程の一部を示す。
【図12】図11a、11bから成るこの発明の光学位置測定装置の実施態様の格子区分の図式図を示す。
【図13】異なった図(半径方向図)においてこの発明の光学位置測定装置の第四実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図14a】異なった図(図13の断面AA’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第四実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図14b】異なった図(図13の断面BB’の正接断面図)においてこの発明の光学位置測定装置の第四実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図15】この発明の光学位置測定装置の第五実施態様の第一態様の走査光線行程の図式表現を示す。
【図16】この発明の光学位置測定装置の第五実施態様の第二態様の走査光線行程の図式表現を示す。
【図17】この発明の光学位置測定装置の第五実施態様の第三態様の走査光線行程の図式表現を示す。
【図18】図17から成る態様における異なった幾何学関係を示す。
【図19】異なった図(Z−Y図)においてこの発明の光学位置測定装置の第六実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図20a】異なった図(Z−X図624a)においてこの発明の光学位置測定装置の第六実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【図20b】異なった図(Z−X図624b)においてこの発明の光学位置測定装置の第六実施態様の走査光線行程の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の光学位置測定装置の異なった実施例が詳細に記載される前に、まず最初に図1a−1eに基づいて、後方反射の際に生じる波面変形の問題は、信号を取得するのに利用された部分光束において説明される。図1dと1eに基づいてこの発明の解決アプローチが記載されている。
【0032】
図1aは、任意の取得に関与された視準した二つの部分光束Sin1,in2 が三重プリズムとして形成された反射鏡ユニットRの方向に作動し、それぞれに一つの平らな波面Win1,in2 を有する理想的場合を図式的に具体化する。反射鏡ユニットRから、これら部分光束Sin1,in2 が拡張方向と波面に関して変換され、引き続いて、入射方向と非平行に更に平らな波面Wout1,Wout2を備える部分光束Sout1,Sout2として戻される。
【0033】
最初に説明されるように、興味のある光学位置測定装置の際に半径方向グリット区分或いはドラム区分の形態の信号取得に使用されて湾曲された尺度具体化部に基づいて並びに尺度具体化部の万一の欠陥のある取付けに基づいて、変形されて平らでない波面Win1,in2 が信号取得に関与された二つの部分光束Sin1,in2 に存在する。この場合は、図1bに具体化されている。反射鏡ユニットによって反射の際に平らでない波面がもはや変換されずに、図1bから明らかである。即ち、拡張方向に見なした凸状(凹状)波形前部が後方反射後に凸状(凹状)波面のままである。それ故に、それは、反射する部分光束Sout1,Sout2の波面Wout1,Wout2において著しい変形のままである。それ故に、この部分光束Sout1,Sout2の次の図示されていない干渉の際には、非常に僅かな干渉対照のみが生じ;発生された位置信号における非常に僅かな信号強度が望まれない結果である。
【0034】
これに対して、一つ或いは複数の入射部分光束Sin上の光学作用を有する反射鏡ユニットR’が望ましかった、これは、図1cに図示されている。したがって、反射鏡ユニットR’が入射部分光束Sinの各任意の変形された波面Winに変換した。特に入射部分光束Sinの光線方向が光線箇所を変更することなしに変換されるので、入射部分光束がはっきり目に見えるように後方反射後に再び元に戻される。
【0035】
この種の理想的反射鏡ユニットは位相結合する要素と呼ばれ、非線型レンズの手段によってのみ達成できて、それは、他の欠点に基づいて光学位置測定装置では有用ではない。
【0036】
それ故に、この発明によると、一つの解決策が企図されていて、これは、図1dと1eで強力に図式的に示されている。この場合には、図1dは、尺度具体化部1000の理想的取付けの場合のために反射鏡ユニットで尺度具体化部1000(半径方向区分或いはドラム区分)から入射する部分光束Sin或いはその波面Win上のこの発明により形成された反射鏡ユニット2000の光学作用を示す。図1eには、理想的でなく取付けた尺度具体化部1000の場合のために適切な関係が具体化されている。
【0037】
図1dによると、湾曲されて半径方向区分或いはドラム区分として形成された尺度具体化部1000における入射部分光束Sinの波面Winが第一屈折の際に一つの変形された或いは湾曲された波面Win’に元の平らな波面Winのゆがみを受ける。適切な分光束Sin’は、原理的に第一波面補正器2100、光線方向インバーター2300及び第二波面補正器2200を包含するこの発明により形成された反射鏡ユニット2000の方向に作動する。図1dには両波面補正器2100、2200が簡略化のために唯一の光学構成要素として図示されていて、この発明による光学位置測定装置の正しい実現では、このために、通常の二つの別の構成要素が設けられている。
【0038】
第一波面補正器2100によって、まず最初に変換された波面Win’を備える第一波面補正器に入射する部分光束Sin’は平らな波面Win”を備える分光線束Sin”への変換が行われる。部分光束Sin”が光線方向インバーター2300に到達し、この光線方向インバーターが光線方向インバーターに入射する部分光束Sin”を平らな波面Wout を備える反射する部分光束Sout として後方反射する、即ち入射方向に戻し反射する。
【0039】
引き続いて、この部分光束Sout は、平らな波面Wout を備える反射する部分光束Sout を定義されて変形された波面Wout ’を備える一つの部分光束Sout ’に変換する第二波面補正器2200を通過する。第二波面補正器2200によるこの場合に生じる波面変形は、これが引き続いて行われる第二回折後に尺度具体化部1000に生じる波面変形を補償するように、行われる。それにより、尺度具体化部1000における第二回折後に平らな波面Wout ”を備える一つの部分光束Sout ”が再び作動する。このために類似して、反射鏡ユニット2000が別の図示されていない部分光束に作用するので、尺度具体化部1000における第二回折後に最終的に平らな波面を備える二つの部分光束が干渉する重畳をもたらされ得る。
【0040】
図1eには、反射鏡ユニット2000のこのために類似な作用機構は、尺度具体化部1000が理想的に取付けられていないので、標準的波面変形の外に、追加的公差条件付き波面変形が信号を発生するのに利用された部分光束に存在する場合のために図示されている。この追加的波面変形は図1eにて部分光束Sin’の傾斜した波面Win’によって尺度具体化部1000における第一回折後に示されている。第一波面補正器2100による通過の際に部分光束Sin’の変形された波面Win’が平らな波面Win”に変換され、さらに、部分光束Sin”が光線方向インバーター2300から後方反射する。さらに、波面Wout を備える後方反射した部分光束Sout が第二波面補正器2200に到達する。これは、部分光束Sout の入射波面Wout を再び定義された種類や形式で変形するので、適切な変形された波面Wout ’を備える一つの部分光束Sout ’が尺度具体化部1000の方向に再び作動する。第二波面補正器2200による定義された波面ゆがみに基づいて、尺度具体化部1000における第二回折後に平らな波面Wout ”を備える反射する部分光束Sout ”がさらに別の図示されていない部分光束と一緒に干渉する重畳をもたらされ得る。
【0041】
図1eに図示された反射鏡ユニット2000は、公差条件付き波面変形が波面の傾斜としてのみ生じて、波面の追加的曲率として生じないときに、反射する部分光束Sout ”の平らな波面のみを引き渡す。この点で、図1eから成る反射鏡ユニット2000が図1cから成る反射鏡ユニットR’と相違している。しかし、実際には、公差条件付き波面変形の主たる割合が波面の傾斜であるので、図1eから成るこの発明により形成された反射鏡ユニット2000が最終的所望の光学作用を示す。
【0042】
前もって説明された原理と考慮に基づいて、次に、この発明の光学位置測定装置の複数の具体的実施例が記載される。
[第一実施例]
【0043】
この発明の光学位置測定装置の第一実施例は、次に図2−5に基いて説明される。
【0044】
この実施例の原理的走査光線行程は、まず最初に図2、3aと3bによって記載されている。図2は、y−z平面における適切な光学位置測定装置の半径方向図を示し;この平面に垂直に(湾曲された)測定方向xが配向されている。図3aと3bは図2に示された断面線AA’或いはBB’に沿う光学位置測定装置の正接断面図を示す。
【0045】
図示された光学位置測定装置は、走査ユニット20及びこのために湾曲された測定方向xに沿って可動な尺度具体化部10を包含する。尺度具体化部10はこの場合に部分円板11上に配置されている半径方向区分として形成されている。部分円板11が回転軸線RAを中心に回転し、その周りに同心円に尺度具体化部10或いは半径方向区分が配置されている。
【0046】
尺度具体化部の光学走査から高さの正確な位置信号が走査ユニット20及び尺度具体化部10の回転運動に関して発生される。走査ユニット20及び尺度具体化部10はこの場合に例えば図示されていない互いに回転軸線RAを中心に回転する機械部分と接続されている。この発明の装置によって発生された位置信号が同様に図示されていない互いに連続電子工学に供給されて、この連続電子工学がその上例えば適切な機械部分の位置決めを制御する。
【0047】
尺度具体化部10は公知の仕方と形式で反射区分として形成されていて、回転軸線RAに対して半径方向に周期的に配置されて交互に起こる扇形状に細長い区分構造を有する。適した尺度具体化部10の典型的区分期間がおよそ1−4μmの値である。
【0048】
この例では静止的に配置された走査ユニット20が一列の光学要素を包含し、その個々の機能が走査光線行程の次の記載において変位依存位置信号を発生させるように説明される。
【0049】
光源21から放射された直線偏向された光束Sがまず最初にコリメーターレンズ22を介して視準して、回転軸線RAを中心に部分円板11上の尺度具体化部10或いは半径方向区分に到達する。光源として例えばレザーダイオードが使用されて、波長λ=780nmを備える光線を放射する。
【0050】
光源21がこの発明の光学位置測定装置において基本的に直接に走査ユニットに配置されていなければなく;図示された態様に対して選択的に、光源を外部に配列し、走査ユニットの放射された光線を適切な光波導体を介して供給することが企図され得たことを示唆されている。
【0051】
+1と−1回折配列における尺度具体化部10上に生じる回折によって二つの部分光束TS1a,TS2aGAが発生され、走査ユニット20の方向に戻し反射される。これら部分光束TS1a,TS2aGAが尺度具体化部10の形成に基づいて、湾曲された線に沿って尺度具体化部10の非理想的取付けに基づく場合によっては公差条件付き波面変形として名目上の波面変形を有する。
【0052】
走査ユニット20には、部分光束TS1a,TS2aが走査プレート23の片面上に配置されている。第一波面補正器24.1a,24.2aを介して部分光束TS1a,TS2aの変形された波面が補正される。引き続いて平らな波面を備える視準した部分光束TS1a,TS2aが光線方向インバーター26.1,26.2の方向にさらに進行する。光線方向インバーター26.1,26.2は本例では三重プリズムとして形成されていて、この三重プリズムが入射する部分光束TS1a,TS2aを生じる部分光束TS1b、TS2として尺度具体化部10の方向に戻し反射されている。この場合には、部分光束TS1b、TS2が半径方向に、即ち与えられたy方向に移動され、これはおよそ図2から明らかである。その後に両部分光束TS1b、TS2bがラムダ/4プレート25.1,25.2を通過し、それを介して両元の直線偏向された部分光束TS1b、TS2bが左右円形に偏向された部分光束TS1b、TS2bに変換されている。引き続いて、部分光束TS1b、TS2bが第二波面補正器24.1b,24.2bに到達する。これら補正器は、尺度具体化部10における第二回折後に両部分光束TS1b、TS2bがさらに視準されていて、共線的に重畳箇所に重畳されるように、両部分光束TS1b、TS2bの波面をゆがめる。
【0053】
引き続いて、一対の重畳された部分光束TS1b、TS2bから成る位相変位された位置信号の検出が行われる。両部分光束TS1b、TS2bがこのために尺度具体化部10における第二回折後に共線的に走査ユニット20の方向に進行し、そこで部分光束が分割格子27に衝突する。分割格子27は両入射する重畳された部分光束TS1b、TS2bを三つの他の対の部分光束に分割し、部分光束が検出器ユニットの方向に進行し、異なった立体方向に配置された偏向器28.1−28.3に到達し、その偏向器は異なった偏向方向を有する。偏向器28.1−28.3の後方配置された検出器要素29.1−29.3によって、最終的に位相変位された位置信号の検出が行われ;この例では、この場合に三つの120°位相変位された位置信号が生じる。したがって、検出器ユニットがこの実施例では検出器要素29.1−29.3の外になお偏向器28.1−28.3と分割格子27を包含する。
【0054】
走査光線行程の先行記載によると、この発明による反射鏡ユニットが使用され、この反射鏡ユニットはそれぞれに第一と第二波面補正器24.1a,24.1b,24.2a,24.2b並びにその間に配置された光線方向インバーター26.1,26.2を包含する。反射鏡ユニット或いはその適切な成分は歪んだ波面を備える入射する部分光束TS1a,TS2a或いはTS1b、TS2bに定義された光学作用を奏する。適切な光学作用によって、信号取得するのに利用された部分光束TS1a,TS2a或いはTS1b、TS2bにおける現波面変形により信号品質の劣化が生じないことが確認される。
【0055】
それで、第一波面補正器24.1a,24.2aによって波面に入射する部分光束TS1a,TS2aの変形された波面を平らな波面を備える視準した部分光束へと変換することが行われる;第二波面補正器24.1b,24.2bによって、重畳させる部分光束TS1b、TS2bの波面が尺度具体化部10における第二回折後に重畳箇所において等しいように、波面に入射する部分光束TS1a,TS2aの平らな波面のゆがみが生じる。
【0056】
さらに、使用された光線方向インバーター26.1,26.2はこの例では、光線方向インバーターから反射された部分光束TS1a,TS2aに関して半径方向且つ正接方向に行われ、即ち互いに直交して配向されている与えられたyとx方向に行われるように、形成されている。
【0057】
したがって、反射鏡ユニットのこの種の形成によって、部分光束TS1a,TS2aにおける偶発的波面変形は、第一回折によって尺度具体化部10に生じ、部分光束TS1b、TS2bにおける波面変形に変換され、この部分光束TS1b、TS2bが波面変形を第二回折に基づいて尺度具体化部10において補償する。
【0058】
後方反射された光学作用を備える光線方向インバーター26.1,26.2として、この実施例の反射鏡ユニットにおいて三重プリズムが設けられていて;このために選択的におよそこの箇所における三重鏡の使用が可能だろう。
【0059】
波面補正器24.1a,24.1b,24.2a,24.2bは図示された第一実施例において走査格子の形態で回折光学要素として形成されている。このための他の細部は、図4に基づいて説明されて、走査プレート上に配置された四つの波面補正器24.1a,24.1b,24.2a,24.2bを備える走査プレート23における平面図を示す。
【0060】
より良い近似では、波面補正器24.1a,24.1b,24.2a,24.2bを部分円板11上の半径方向尺度具体化部10のような同じ区分期間を備える半径方向走査格子として形成することが可能である。この場合には、走査プレート23上の半径方向走査格子として形成された波面補正器24.1a,24.1bが部分円板11上の半径方向区分として形成された尺度具体化部10に比べて充填間隔Δx=−xL だけ平行にずれて配置されている。充填間隔Δxはこの場合に、波面補正器24.1a,24.1bの尺度具体化部に平行な格子線に対して尺度具体化部10の光束の中心に位置する区分線の測定方向xに決定された間隔を適用する。これに対して、波面補正器24.2a,24.2bが充填間隔Δx=+xL だけ平行にずれて配置されている。必要な充填間隔|Δx|=xL は部分円板11上の半径方向格子の光線偏向によって平均走査半径RA に次の式1による走査プレート23の高さで決定される:
【数1】

【0061】
この式では;
D=尺度具体化部と波面補正器の間の有効な走査間隔
A = 平均走査半径
λ=光源の波長
N=部分円板上の尺度具体化部の線の数
【0062】
走査プレート23或いは適切な半径方向走査半径上の回折光学要素は、これらによって波面補正器24.1a,24.1b,24.2a,24.2bが形成されていて、特に位相構造として形成されている。簡単な態様では、例えば位相構造が180°の位相深さと局部的ウエブ幅を備えていて、この局部的ウエブ幅が局部的隙間幅と同じである。このために選択的に位相構造が使用され得た。これによって必要とされない回折配列が抑圧できて、それにより信号強度の更なる上昇が発生された位置信号に実現できる。
【0063】
今まで論じられた光学機能性の外に、この実施例の波面補正器24.1a,24.1b,24.2a,24.2bが他の光学作用を有する。この波面補正器は、波面補正器に入射する部分光束TS1a,TS2a或いはTS1b,TS2bが光学軸線OAと平行に偏向されるように、平均光学偏向作用を有する。それ故に、次に、波面補正器に関して、走査格子の形態の回折光学組合せ要素が論じられている。
【0064】
図4と図5の図から明らかであるように、走査プレート23の高さにおける部分光束TS1a或いはTS2aがそれぞれに部分光束TS1b,TS2bに比べてx方向において緩く内方にずれている。この充填は、半径方向に異なった局部的格子定数とそれにより異なった偏向作用では、部分光束TS1b,TS2bが尺度具体化部10上の同じ箇所に、即ち重畳箇所に衝突し、それにより光線充填無しに重畳される。光線方向インバーター26.1,26.2或いはこの例にこのために設けられた三重プリズムの適切に最適化位置(Xp1, p1)或いは(Xp2, p2)は次の関係2.1−2.3によって与えられる:

p1=−XL (式2.1)
p2=+XL (式2.2)
p1=Yp2=RA (式2.3)
【0065】
これら関係2.1−2.3は座標系に適用され、その中央が部分円板11の中心に位置し、そのx軸線が測定方向xと一致し、そのz軸線が尺度具体化部10に対して垂直に配向されている。この座標系は別の記載の過程でも使用される。
【0066】
それ故に、図4のx−y−平面には、三重プリズムとして形成された光線方向インバーター26.1,26.2の先端が対称的に波面補正器24.1a,24.1b,24.2a,24.2b上の部分光束TS1aとTS1b或いはTS2aとTS2bの衝突箇所の間に位置する。
【0067】
第一波面補正器24.1a,24.2aの箇所における部分光束TS1aとTS2aの波面は公知の技術と形式で数値的に所謂光線追跡方法によって或いは波形伝播によって決定される。人が波面補正器24.1a,24.2aの格子位相をこの波面と同一視するならば、理想的回折構造が算出され得る。それは、その回折構造から容易に歪まれ且つ更にずれた半径方向走査格子構造を明らかになる。それほどに最適化された波面補正器24.1aと24.2aが名目据付け位置において信号取得に関与された部分光束における理想的波面を発生させる。
【0068】
第二波面補正器24.1b或いは24.2bも、アナログ形式で最適化され得る。このために、波面が検出ユニットから出発して尺度具体化部10或いは部分円板11の半径方向区分を介して波面補正器24.1b或いは24.2bまで戻す理想的視準した部分光束の後方伝播によって算出され、波面補正器24.1b或いは24.2bの格子位相をこの波面と更に同一視する。この場合に使用された算出方法は、関連文献、例えば回折光学要素から知られている。正確な算出は、更に容易に歪まれ且つずれた半径方向走査格子構造を明らかにする。
【0069】
光線方向インバーター26.1,26.2或いはこのために設けられた三重プリズムが平らな波面を再び平らな波面に変換するので、波面補正器がそれらによって邪魔されいない。それ故に、波面補正器24.1b或いは24.2bを通して通過の際に、波面は、両部分光束TS1b、TS2b用の尺度具体化部10における第二回折後に平らな波面が生じるように、予め歪まれている。
【0070】
それ故に、この発明により形成された反射鏡ユニットによって、完全波面構造が位置測定装置(名目上波面補正器)とそれにより発生された位置信号の最高干渉対照と最高信号強度のあらゆる成分の名目据付け位置に確保される。球状レンズと屋根陵プリズムを備える先行技術から知られた波面補正器に比べて、これらは明白な改良を意味する。
【0071】
反射鏡ユニットにおける重要な別の要件は、尺度具体化部10或いは部分円板が容易に名目据付け位置から移動できるか、或いは傾斜されるならば、波面自体が修正できることである。特に尺度具体化部10の半径方向と正接方向変位が特に生じる信号品質のために臨界である。この発明の範囲内では、特に反射鏡ユニットにおける光線方向インバーター26.1,26.2の選択によって起因された波面変形が修正され得ることが認められた。それで、理想的光線方向インバーターとして例えばこの発明第一実施例に設けられた三重プリズムのような後方反射器要素が適している。これは、入射する部分光束の波面勾配によって決定された光線傾斜を流出する部分光束の同じ光線傾斜に移送する。この形式で両干渉する部分光束の追加的据付け欠陥によって生じる波面変形が(公差条件付き波面補正器で)修正される。明白に上昇した干渉対照は位置信号における僅かな公差条件付き信号強度降下或いは逆に大きな据付け公差を導く。特に半径方向と正接方向据付け公差が先行技術から知られた解決手段に著しく増大される。第一実施例に設けた三重プリズムの外に、この場合には光線方向インバーター26.1,26.2の選択的構成も設けられていて、これがなお次の例に基づいて説明される。
[第二実施例]
【0072】
この発明の光学位置測定装置の第二実施例の走査光線行程は図6、7aと7bの図において概略的に図示されている;この場合にこれら図が第一実施例の走査光線行程表示と一致する。図9には、この発明の光学位置測定装置の第二実施例用の波面補正器が示されている。次に、既に詳細に説明された第一例では重要な差異を取り扱われている。
【0073】
今や一方では、第一実施例では、三重プリズムとして形成された光線方向インバーターとして選択的に構成することが設けられている。それ故に、第二実施例では、光線方向インバーターがそれぞれに球状レンズ226.1a,226.2aとレンズの焦点に配置された後方反射鏡226.1、226.2とから成る組合せとして知られている。この場合には、光線経路では、光線拡張方向においてまず最初にレンズ226.1a,226.2a、次に後方反射鏡226.1、226.2と最終的に再びレンズ226.1a,226.2aを通過する。
【0074】
さらに、反射器ユニットの波面補正器224.1a,224b,224.2a,224.2bは走査格子の形態の回折光学要素として形成されておらず、むしろ、屈折光学要素として形成されている。これらは第一実施例と反対に、平均光学偏向機能を有しなく、光線経路を光学軸線OAに平行に整合させる。むしろ、X−Z平面では中心光線方向が尺度具体化部10から後方反射鏡226.1、226.2まで維持したままである。
【0075】
図8には、概略的形態でこの実施例の二つの波面補正器224.1a,224.1bが図示されている。必要な波面補正はここで小さい場所依存(局部的)偏向機能によって奏され、偏向機能がサドル形態における屈折によって異なった表面傾斜を備える走査プレート223.1に達成され、第一実施例の回折光学要素或いは走査格子のその走査プレートと同じである。半径方向位置の減少により(増加するy値)、正接方向偏向が光学軸線OAの方向においてより強くなる。
【0076】
屈折波面補正器224.1a,224.1bの製造は、例えば適した負形態における適切な構成要素のプレスによって或いはフライス加工と次の局部的研磨によって行われる。さらに、矩形ガラスロッドが熱変形によって螺旋に回転され、引き続いて、後面に計画研磨され且つ磨かれる。
【0077】
前もって説明された構成部材を除いて、第二実施例が原理的に第一実施例と一致する。[第三実施例]
【0078】
この発明の光学位置測定装置の第三実施例の基本的構成は、図9、10aと10bで具体的に説明されている。この場合にはこの表示は、さらに、第一と第二実施例の走査光線行程と一致する。次に、単に今まで実施例に対する重要な差異が説明される。
【0079】
レザーダイオードとして形成された光源321から放射された光束がコリメーターレンズ322によって視準されて部分円板311上に到達される。部分円板311上には、更に半径方向区分として形成された尺度具体化部310が配置されている。+/−1回折配列に偏向された部分光束が第一走査格子324.1a或いは324.2aに、即ち回折光学要素に衝突する。
【0080】
走査格子324.1a、324.2aはこの実施例では異なった光学機能を組合せる、即ち走査格子はさらに回折光学組合せ要素として形成されている。一方では、これらの走査格子は第一実施例に一致するそれぞれに一つの波面補正器兼偏向機能性を有する。さらに、入射する部分光束が光学軸線OAに対して平行に向けられ、部分光束の波面を修正するので、これら波面が最初に平らである。追加的に、走査格子324.1a、324.2aは光学レンズ機能性を有し、その上部分光束が反射鏡326.1、326.2に焦点合せられる。それぞれのレンズ焦点の位置(Xp1,Yp1),(Xp2,Yp2)はこの場合に次の関係3.1ー3.3により明らかになる:

p1=−XL (式3.1)
p2=+XL (式3.2)
p1=Yp2=RA (式3.3)
【0081】
それ故に、走査格子324.1a、324.2aは前の実施例から光線方向インバーターのレンズ要素の光学機能性を備える走査格子の波面補正器の光学機能を統合する。
【0082】
種々の光学機能性を唯一の回折光学要素或いは走査格子に植え込むために、各光学要素或いは光学機能をもたらす種々の位相変位が加えられ、適切な回折光学要素の位相機能のこの位相変位と同一視される。この位相機能が直接に典型的鋸歯状形状を備える回折光学要素の構造に与えられるか、或いはこの位相機能が定量化されて、例えば二段或いは四段回折光学要素を記載させる。この場合に更に180°の位相深さを備える二段位相格子構造は特に価格が安い。
【0083】
走査格子324.1a或いは324.2aによって部分光束が反射鏡326.1、326.2に焦点合せられ、反射後に他の走査格子324.1bと324.2bに到達する。この走査格子324.1bと324.2bは同様に再び複数の光学機能を維持する。走査格子に形成された光学レンズ機能性によって部分光束がまず最初に再び視準されて、波面補正器の光学レンズ機能性と偏向機能によって、部分光束が新たな回折後に尺度具体化部310に視準されるが、しかし、光学軸線OAに対する放射角αで再伝播されることが予め歪まれる。この場合には、生じる放射角αは、統合格子327における部分光束が走査プレート323の下面に完全に重なるように決定されている。統合格子327は公知の形式では両部分光束に混合し、生じる0.と+/−1回折配列で位相変位部分光束を生じ、この部分光束が検出器ユニットの検出器要素329.1ー329.3により検出される。偏光光学構成部材がこの実施例において位相変位された位置信号を発生させるために必要ない。それ故に、検出器ユニットは、この実施例において単に検出器要素329.1ー329.3を包含する。特に120°の部分光束の位相変位は、統合格子327の位相深さとウエブ幅の適した選択によって達成され、これは、例えば欧州特許第163362号明細書(特許文献3)に開示されている。統合格子327の格子定数は、統合格子に入射する部分光束が回折によってそれぞれの第一回折配列で光学軸線OAに対して平行に案内されるように、測定される。
【0084】
それによりこの実施例の光線方向インバーターは走査格子324.1a,324.2aの光学レンズ機能性と反射鏡326.1、326.2から成る。光線経過には、光線拡張方向でそれぞれに光学レンズ或いは走査格子324.1a,324.2a、反射鏡326.1、326.2と更に光学レンズ或いは走査格子324.1a,324.2aを通過する。
[第三実施例の変更態様]
【0085】
前もって説明された第三実施例では、部分光束が走査プレート323の内部で光学軸線OAに対して平行に進行するので、図11aと11bに図示されている第三実施例の変更態様が与えられる条件を断念する。
【0086】
ここで、走査格子324.1a’,324.2a’並びに324.1b’,324.2b’は前もって説明された光学機能性を含有する。けれども、平均光学偏向機能性が走査格子324.1a’,324.2a’の測定方向xにおいて僅かに、走査格子324.1b’,324.2b’の測定方向xにおいて大きく選択されるので、しかし、統合格子327’における部分光束が再び重なる。この発明による光学位置測定装置のこの態様では、部分光束が明らかであるように走査プレート323’内部を光学軸線OAに対して斜めに通過する。
【0087】
光源から尺度具体化部310’において第一屈折するまでの光線経過と尺度具体化部310’において第二回折後の光線経過の間のy方向におけるずれ(Versatz)は、走査格子324.1a’,324.2a’並びに324.1b’,324.2b’の光学レンズ機能性のレンズ焦点のy位置の選択によって決定される。光線経過のずれは少なくとも非常に大きく選択されるので、光源321’から尺度具体化部310’において第一回折するまでの光線経過が尺度具体化部310’において第二回折後の光線経過と重ならない。しかし、ずれ(Versatz)は非常に大きく選択されるので、尺度具体化部310’には、図示されていない追加的区分跡が半径RA で取付けられる。そのような区分跡は基準インパルス信号を発生させるように利用され得て、これは、例えば出願人の欧州特許出願公開第1923673号明細書(特許文献4)に開示されている。
【0088】
走査格子324.1b’,324.2b’の位相機能の算出は第一実施例に対して類似に行われる。検出器ユニットの検出器要素329.1’ー329.3’から回折走査格子324.1b’,324.2b’までの視準した光束の後方推進によって第一波面変形或いは位相変位が算出される。焦点から反射鏡への前方推進によって第二位相変位が算出される。両位相変位の差は、適切な回折光学要素にもたらされ、それにより回折光学要素の位相機能を意味する位相に正確に一致する。
【0089】
図12には、走査格子324.1a’,324.1b’のかなり粗雑にされた構造とこの発明の光学位置測定装置のこの態様の走査格子324.1a’,324.1b’と鏡対称走査格子324.2a’,324.2b’が図示されている。
【0090】
回折光学要素或いは走査格子における異なった光学機能性の組合せによって、この発明の光学位置測定装置のこの実施態様は、非常にコンパクトに且つ価格の安価に形成され得る。さらに、反射鏡326.1’、326.2’が単光的に走査プレート323’に取付けられるので、走査格子320’の簡単で、頑丈で、振動感知と温度感知構成が明らかである。
【0091】
公差条件付き波面変形を更に減少させるために、第一と第二走査格子324.1a’,324.2a’,324..1b’,324.2b’に一体的に形成されているレンズの焦点幅が等しくなく、むしろ、およそ異なって選択することが好ましいものとして明になった。f1が第一レンズの走査プレート媒体に測定された焦点幅であり、f2が第二レンズの適切な焦点幅であるならば、さらに、二つのレンズから成る組合せが視準した部分光束を再び視準した部分光束に移行する、即ち適用され;
f1+f2=2・DA (式4)
ここで:
f1=第一レンズの焦点幅
f2=第二レンズの焦点幅
r1=尺度具体化部の第一走査箇所の走査半径
r2=尺度具体化部の第二走査箇所の走査半径
A =走査プレートの厚さ
【0092】
焦点幅の比f1/f2が次の式5による尺度具体化部の第一或いは第二の走査半径r1或いはr2の付属比に一致して選定されるときに、特に有効である。

f1/f2=r1/r2 (式5)
【0093】
この条件によって所謂ケプラー望遠鏡が特徴とされていて、負結像比を有し、第一外部走査箇所を縮小されて第二内部走査箇所に結像する(或いは選択的に内部走査箇所を拡大されて外部走査箇所に結像する)。部分円板311の僅かな半径方向或いは正接方向変位では、大きい半径により減少する局部的波面傾斜が生じる。外部走査箇所の長い焦点幅レンズ前の光線方向変更が次の内部走査箇所用の短い焦点幅レンズ後のより大きい光線方向変更に変換されるから、この依存性は式5による上記条件によって補償される。各走査箇所の内部で局部的レンズ焦点幅f1(x,y)或いはf2(x’,y’)が決定されるので、この最適化が更に統合され得て、局部的レンズ焦点幅は各第一走査箇所(x,y)と付属する第二走査箇所(x’,y’)用の式4を満たし、さらに、半径方向と正接方向用の局部的光線方向変更が第一走査箇所から第二走査箇所へのそのような形式に移行し、局部的光線方向変更が最適に波面傾斜の上記半径方向依存性を補償する。それにより時々大きくなった取付け公差が達成される。
[第四実施例]
【0094】
この発明の光学位置測定装置の第四実施例の基本的構成は、図13並びに14aと14bに具体的に示す。表現は前の実施例の走査光線行程表現に一致する。引き続いて、さらに、従来の実施例に対する重要な相違のみが説明される。
【0095】
この発明の光学位置測定装置の第四実施例では、今や分散光源が部分円板411の尺度具体化部410を照射する。特にここで光源として所謂VCSEL光源(縦空所表面発射レーザ)が使用される。それ故に、コリメーターレンズが設けられていない。
【0096】
分散光束が尺度具体化部410に+/−1.回折配列で回折されるか、或いは分割される。この場合には、第一走査格子424.1a、424.2aは再び複数の光学機能性を補償する。さらに、レンズの光学機能性が分散部分光束を視準するように形成されるならば、波面変形用の波面補正器の光学機能性が部分円板411上の半径方向区分として形成された尺度具体化部410並びに焦点合せレンズの光学機能性によって部分光束を走査プレート424の上面の中心に焦点合せる。反射鏡426における分散光束の反射後に分散光束が同様に複数の光学機能性を有する第二走査格子424.1b、424.2bに到達する。第二走査格子424.1b、424.2bに分散部分光束が視準するならば、分散部分光束が尺度具体化部410或いは半径方向区分における次の回折のために波面補正器に受けられ、部分光束を検出器ユニットの検出器要素に429.1ー429.3に焦点合せル。最終的に統合格子427が両部分光束を干渉させる。
【0097】
この実施例の特別性は、部分円板411上の尺度具体化部410対角線走査にある。それにより万一の測定欠陥がx−y−平面の部分円板411の変位の際に阻止される。この実施態様でも、理想的光線方向インバーターが後方反射器であり、この後方反射器は第三実施例におけるように走査格子424.1a、424.2a、424.1b、424.2bの光学レンズ機能性と反射鏡426とから成る。光線経過では、さらに、光学レンズ或いは反射鏡426の走査格子424.1a、424.2aと次に再びレンズ或いは走査格子424.1b、424.2bを通過する。
【0098】
この発明の光学位置測定装置が尺度具体化部としてそれぞれに一つの走査半径方向区分を包含する前に説明された実施例によると、反射器ユニットの一列の異なった実現可能性が走査ユニットに存在する。けれども、あらゆる異なった実現可能性によって反射器ユニットの次の光学機能性が保証される:
【0099】
入射する部分光束の小さい半径方向(正接方向)光線方向変更が流出する部分光束の実質的に反対の半径方向(正接方向)光線方向変更に変換される。
【0100】
入射する部分光束の小さい半径方向(正接方向)光線方向変更が流出する部分光束の実質的に反対の光線方向変更に変換される。
【0101】
半径方向区分における第一回折によって生じる波面変形が、半径方向区分における第二回折によって波面変形を補償する波面変形に変換される。
[第五実施例]
【0102】
今やこの発明の光学位置測定装置の第五実施例の異なった態様が記載されている。これは、今まで説明された例とは、走査された尺度具体化部がドラム区分として回転区分ドラムの外周に形成されていることを相違する。この場合には、回転軸線がドラム区分の縦軸線と一致する。
【0103】
第五実施例の第一と第二態様の構成は、図15と16に概略的に図示されている。これら両態様は、走査の測定方向が図15による態様では正接方向xに配向され、図16による態様では軸方向yに配向されている。これは、図15によるこの発明の光学位置測定装置によって回転区分ドラム510の方位角が決定でき、これと違って図16による態様では回転区分ドラム510’の軸方向変位が決定できることを意味する。
【0104】
原理的に第五実施例のこれら両態様における走査は、先行実施例における説明された走査に、特に第一と第二波面補正器並びに光線方向インバーターを備える反射器ユニットの構成に関して一致する。それ故に、次に、これら態様の若干の検討に値する観点で短く出発される。
【0105】
コリメーターレンズ522、522’によって視準された光束は区分ドラム510、510’に到達し、ドラムの外周には尺度具体化部511、511’がドラム区分の形態で配置されている。この場合には、図15の尺度具体化部511は軸方向において区分格子線を有し、図16の尺度具体化部511’では、区分格子線が正接方向に配向されて配置されている。+/−1.回折配列に偏向された或いは分割された部分光束が湾曲されたドラム区分における反射によってそれぞれの波面の変形を受ける。
【0106】
図16による態様の場合には、尺度具体化部511’に入射する視準された光束が区分ドラム510’を更にその頂点にあたる。尺度具体化部511’から反射された回折配列或いは部分光束がここで追加的に測定方向に垂直なx方向における傾斜を受ける。
【0107】
回折光学要素或いは走査格子524.1a、424.2a或いは524.1a’、424.2a’は適切に選定された位相機能によってこの波面変形並びに図16の場合に生じる光線勾配を補償し、部分光束を反射鏡526.1、526.2或いは526.1’、526.2’に焦点合せする。そこから分散部分光束が同様に回折光学要素として形成された走査格子524.1b、424.2bに到達する。この場合には、それら位相機能がそれぞれの符号にまで第一走査格子524.1a、424.2a或いは524.1a’、424.2a’の位相機能と同じである。尺度具体化部511或いは511’における新たな反射後に両部分光束が再び平らな波面を有し、引き続いて、互いに干渉する。走査格子524.1a、424.2a或いは524.1a’、424.2a’はさらに、波面補正器、レンズと光線偏向器の光学機能性を補償する。
【0108】
走査格子524.1a、424.2a或いは524.1a’、424.2a’に形成されたレンズ機能は、第二、第三と第四実施例におけるように、球状レンズとして形成され得る。無論、図15と16による区分ドラム510、510’の走査において波面歪みが実質的に正接方向のみに生じる。軸方向において区分ドラム510、510’が直線であり、尺度具体化部511、511’或いはドラム区分の偏向作用が一定である。これは、後方反射が軸方向に無条件に必要ないという結論を導く。無論、ここで、後方反射が測定方向に垂直に各場合に必要とされて、走査レンズの公知の傾倒感度を光学軸線OAを中心に減少させる(モアレ傾倒)ことを考慮すべきである。この関係では、出願人のドイツ特許出願公開第102005029917号明細書(特許文献5)に表現的に示されている。それから、軸方向測定方向を備える図16の態様においてドラム区分510’の走査にのみ完全後方反射を断念され得ることが生じる。半径方向区分の走査を含むあらゆる他の場合には、完全後方反射を備える光線方向インバーターが必要である。完全後方反射は、上記するように、三重プリズム、三重鏡、球状レンズと反射鏡から成る組合せを介して並びに屋根陵に対して平行なレンズ作用を備えるシリンダレンズと屋根陵プリズムから成る組合せによって実現される。これに対して、非完全一軸後方反射のために、屋根陵プリズム或いはシリンダレンズと反射鏡から成る組合せを必要とされる。図16による態様の一軸後方反射の整合は、屋根陵プリズムの屋根陵が軸方向に配向されているか、或いはシリンダレンズが正接方向に焦点合せるように行われなければならない。
【0109】
上記説明された第一実施例におけるように、図15と図16による両態様では、位相変位された位置信号の発生が偏光光学的に行われる。けれども、ここでも、第三実施例に対して類似に、位相変位された位置信号は回折的に走査光線路を介して適して形成された統合格子によって得られる。
【0110】
場合によっては、それぞれの測定課題は、軸方向変位並びに区分ドラム510或いは510’の方位角を検出することを必要とし得る。この場合には、尺度具体化部511と511’を合流し、交差格子区分として区分ドラムの外周上に形成することが可能である。それらによってこの発明の光学位置測定装置用の必要な構造空間並びに区分ドラムの慣性モーメントが減少される。さらに、この場合には、全体で六個の走査ユニットの使用によって区分ドラムの完全6次元状態が決定され得る。
【0111】
この発明の光学位置測定装置の第五実施態様の第三態様は、部分的に図17に図示されている;図18はこの態様の一定幾何学次元制御を次に説明するために用いられる。この発明の光学位置測定装置のこの態様は、前もって説明された第二態様のように、図示されていない交差格子区分と一緒に、軸方向変位並びに区分ドラム610或いは510’の方位角を検出するか、或いは6個の走査ユニット620を介して区分ドラム611の6次元状態を決定するように、使用される。このために、走査が使用され、測定方向がドラム外周の表面上の垂線を中心に回転される。これは、尺度具体化部610の区分点線の整合によって、これが同様に上記表面垂線を中心に回転され配置されているように、達成される。この場合には、およそ+/−45°だけ交差格子区分の両測定方向の対称的旋回は、種々の回折光学要素を備える異なっていない種々の走査ユニットが走査プレートに仕上げられなければならないという利点を有する。むしろ、等しいが、しかし、互いに上記垂線方向を中心に回転された走査ユニットが使用され得る。
【0112】
尺度具体化部のこの種の構成では、走査する部分光束の衝突点の横ずれに基づいて、走査プレートに関する垂直な照明では、第一等級の尺度具体化部により戻し反射された両部分光束が非対称的に走査プレートに衝突する。これから、波面の歪みを訂正すべきである両第一通過走査格子624.1a、624.2aは同様に鏡像により等しくないだろうことを生じる。これから、理想的でない取付けの際にデザインに仮定された波長から光源の波長の偏差の際に両互いに干渉する部分光束の波面の強力に異なった変形が行われる。それにより、これは、変調度合の迅速な減少とそれにより発生された位置信号の信号大きさを導いた。
【0113】
第一回折光学要素624.1aと624.2aのこの非対称性とそれと結合された減少取付け公差は照明する光線Sの傾斜入射によってと二つの互いに干渉する部分光束TSの同様に傾斜放射によって取り除かれるが、これは、図17と図18の上部に具体的に示されている。
【0114】
大凡、これは、達成される、というのは、通過点は、走査プレート623と照明する光線Sの入射角εによって、尺度具体化部610或いはドラム区分から戻し反射された部分光束の0.等級が垂直に且つ両第一走査格子624.1aと624.2aの間の中間に生じるが、これが図18に示されているように、選定され得るからである。
【0115】
それ故に、照明する光線Sの入射角εが特に次のように選定される:
【数6】

【0116】
ここで:
0 =x方向における尺度具体化部の第一回折の際の走査箇所
R =区分ドラムの半径
【0117】
大きなドラム半径Rには近似的に適用される:

εB =2x0 /R (式6.1)
【0118】
走査プレート623の下面を通る照明された光線Sの突進点用のx座標が式7で与えられる:
【数7】

【0119】
ここで:
L =区分ドラムの頂点と走査プレートの間の走査距離
【0120】
大きなドラム半径Rには近似的に適用される:
【数7.1】

【0121】
走査プレート623の下面を通る照明された光線Sの突進点用のy座標が式8による第一走査格子624.1aと624.2aのy座標の平均値に一致する:

B =(y624 1a+y624 2a)/2 (式8)
【0122】
放射して干渉する光束用の適切な幾何学大きさ(放射角;突進座標)が次の式9.1乃至9.3により与えられる:

D =−xB (式9.1)

D =(y624 1b+y624 2b)/2 (式9.2)

εD =εB (式9.3)
【0123】
傾斜照明の使用は測定方向が正接方向或いは軸方向に通過しないすべての走査のために手助けになる。それで、対称的に形成された走査格子624.1a、624.2a並びに624.1b、624.2bが置かれ得る;その上、区分ドラムの大きな公差或いは定格位置が自由になる。この場合には、尺度具体化部610上或いは区分ドラム上の第一と第二走査点をx方向においてドラム頂点を中心に対称的に選定することが有効である。これは、波面補正器がドラム曲率により湾曲された波面の修正を受けることを導き、波面の傾斜が斜面照明によって補償される。
【0124】
半径方向格子走査を備える最初に記載された実施例におけるように、後方反射器が光線方向インバーター用の理想的解決手段を意味することが明らかになる。これは、定格位置からの区分ドラムの偏差の際に、公差条件付き波面変形が生じ、実質的に波面傾斜とそれにより光線傾斜を意味することに帰する。後方反射によってこの光線勾配が反転されるので、この光線勾配が尺度具体化部610における新たな回折後に再び解消されて、両部分光束の最適干渉を導く。
[第六実施例]
【0125】
図19、20aと20bに基づいて、最終的にこの発明の光学位置測定装置の第六実施例が記載されている。
【0126】
今まで説明された実施例では、いつも、尺度具体化部、両波面補正器と光線方向インバーターが光線拡張方向において光束或いは部分光束の次の順番に通過される:
尺度具体化部(第一回折)−第一波面補正器−光線方向インバーター−第二波面補正器−尺度具体化部(第二回折)。
【0127】
この順番に一致して、異なった要素がこの発明の光学位置測定装置に配置されている。
【0128】
けれども、この発明の範囲内では、これら要素が光束或いは部分光束の次の順番に通過できる:
第一波面補正器−尺度具体化部(第一回折)−光線方向インバーター−尺度具体化部(第二回折)−第二波面補正器
【0129】
それ故に、この発明によると、一般に、反射器ユニットは走査ユニットにおいて、光束がまず最初に尺度具体化部と第一波面補正器の第一組合せを通過し、引き続いて、光線方向インバーターを介して部分光束の尺度具体化部の方向への後方反射が行われ、部分光束が引き続いて検出器ユニットに到達するまで、部分光束が尺度具体化部と第二波面補正器の第二組合せを通過するように、配置され且つ形成されるか、又は配置されるか、或いは形成されることが言える。
【0130】
部分光束が異なった要素を第二挙げた順番に通過する光学位置測定装置の実施例は、図19、20aと20bに図示されている。
【0131】
光源621から発生された光束がコリメーターレンズ622を介して視準され、走査プレート623に配置されている第一走査格子624aに到達する。第一走査格子624aを介して、入射する光束が二つの屈折された部分光束の+/−1.回折配列に分割される。両部分光束が部分円板611上の半径方向区分として形成された尺度具体化部610に衝突する。そこで、部分光束が新たに+/−1.回折配列で回折され、図20aから明らかに、測定方向xにおいて実質的に反対に入射方向に対して戻し反射される。戻し反射された部分光束が三重プリズムとして形成された光線方向インバーターに衝突し、この光線方向インバーターから部分光束が尺度具体化部610の方向に後方反射される。尺度具体化部610における部分光束の新たな回折後にこの部分光束が第二走査格子624bに到達し、この第二走査格子が両部分光束を重ねられて干渉をもたらす。上記第三実施例におけるように、第二走査格子は、生じる0.と+/−1.回折配列において特に三つの互いに120°だけ位相ずれた光束が生じて、検出器ユニットの検出器要素629.1−629.3によって検出される。
【0132】
第一走査格子624aは更に異なった光学機能性を統合する。それは、光源621から入射する光束を二つの部分光束に分割する分割格子として作用する。この分割により同時に対称的偏向機能性が両部分光束のために接続されている。さらに、第一分割格子624aは第一波面補正器として作用する。これによって両部分光束の生じる波面は、半径方向区分として形成された尺度具体化部610における回折後にそれぞれの視準された部分光束が存在し、三重プリズムとして形成された光線方向インバーターの到達するように、歪まれる。さらに、後方反射が関与された部分光束の平らな波面により行われることが確認される。
【0133】
これと同様に、第二走査格子624bは異なった光学機能性を統合させる。第二走査格子624bは、尺度具体化部における第二回折に基づいて、歪まれる部分光束の波面を再び平らな波面に移行する第二波面補正器として作用する。さらに、第二走査格子624bはこの実施例では統合光束として作用し、この統合光束が両部分光束を干渉させて、三つの生じる位相変位された光束に変換される。
【0134】
この発明の位置測定装置の今まで記載された実施例とは違って、二つの分割された部分光束にここで分離された走査格子が付属されている。それ故に、第一と第二走査格子624a、624bがこの実施例ではそれぞれの二つの部分光束をそれぞれの波面に関して訂正することが必要である。このために、第一と第二走査格子624a、624bは回折構造として形成されている。
【0135】
この発明の位置測定装置の第六実施態様の特別な利点として、最終的にこれが特別にコンパクトな構成形状を有することが述べられている。
【0136】
この発明の位置測定装置の異なった今まで詳細に説明された実施例の外に、この発明の範囲内では、無論、他の実施可能性が生じる。様々な態様が次に短く暗示する。
【0137】
およそ第一走査箇所の方位角位置が走査された半径方向区分の際に半径方向区分の第二走査箇所の方位角位置からはずれる場合には、両走査箇所の波面勾配が部分円板の変位の際に定格位置からもはや整合されない。むしろ、走査箇所が互いに旋回されて、その大きさを変更されている。それ故に、プリズム(例えばドーバプリズム)或いは鏡配列のような追加的光学手段が走査箇所に適切に伝送する、即ち最適像回転と目盛りを保証するように、もたらされる。
【0138】
純屈折或いは純回折波面補正器やレンズに代えて使用するために、混合された屈折と回折要素が使用され得る。さらに、適して形成された鏡光学装置もこのために、使用され得る。
【0139】
走査された尺度具体化部は無論、同様に選択的に形成され得る、即ち透光尺度具体化部として形成され得る。
【0140】
この発明の走査概念は、半径方向区分或いはドラム区分の走査の外に他の非均一区分構造を走査するように使用され得る。
【0141】
さらに、光線方向インバーターを三重プリズム、三重鏡或いは鏡を備えるレンズとして形成させることが可能である。90°屋根陵プリズムとシリンダレンズから成る組合せがこのために使用され得て、レンズ作用が屋根陵に対して平行に配向されていて、屋根陵がレンズの焦点平面に配置されなければならない。
【符号の説明】
【0142】
10;210;310;410;510....尺度具体化部
20;220;320;420;520....走査ユニット
2000....反射器ユニット
2100....第一波面補正器
2200....第二波面補正器
2300....光線方向インバーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの走査ユニット(20;220;320;420;520;520’;620;2000)と一つの尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610;1000)との相対位置を検出する光学位置測定装置において、走査ユニット(20;220;320;420;520;520’;620;2000)と尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610;1000)とが湾曲された測定方向(x)に沿って互いに移動できて、そして
・走査ユニット(20;220;320;420;520;520’;620;2000)が少なくとも一つの反射器ユニット(2000)と一つの検出器ユニットを有し、反射器ユニット(2000)が一つの第一波面補正器(2100)、一つの光線方向インバーター(2300)と一つの第二波面補正器(2200)から成り、
・走査ユニット(20;220;320;420;520;520’;620;2000)内の反射器ユニット(2000)は、光束がまず最初に尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610;1000)と第一波面補正器(2100)との第一組合せを通過し、引き続いて光線方向インバーター(2300)を介して部分光束から尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)への方向へ後方反射が行われ、次に部分光束が最終的に検出器ユニットに衝突する前に、部分光束が尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610;1000)と第二波面補正器(2200)とから成る第二組合せを通過するように、配置され且つ形成されるか、又は配置されるか、或いは形成されており、
・反射器ユニット(2000)によって、尺度具体化部(10;210;310;410;510;521’;610;1000)における第一回折によって生じる部分光束の波面変形は、尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)における第一回折の際に部分光束の生じる波面変形を補償する波面変形に変換されることが確認されることを特徴とする光学位置測定装置。
【請求項2】
・第一波面補正器(2100)によって、尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)と第一波面補正器(2100)との第一組合せから生じる波面が平らな波面を備える視準された部分光束に変換することが行われ、そして
・第二波面補正器(2200)によって、尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)と第二波面補正器(2200)との第二組合せから生じる波面を平らな波面を備える視準された部分光束に変換することが行われるので、尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)における第二回折後の重なるようになる部分光束の波面が重なり箇所において等しいことを特徴とする請求項1に記載の光学位置測定装置。
【請求項3】
・尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)と第一波面補正器(2100)との第一組合せは尺度具体化部(10;210;310;410;510;521’;610)−第一波面補正器(2100)の順番に光線拡張方向に配置されていて、そして
・尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)と第二波面補正器(2200)との第二組合せは、第二波面補正器(2200)−尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)の順番に光線拡張方向に配置されていることを特徴とする請求項1或いは2に記載の光学位置測定装置。
【請求項4】
・尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)と第一波面補正器(2100)との第一組合せは、第一波面補正器(2100)−尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)の順番に光線拡張方向に配置されていて、そして
・尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)と第二波面補正器(2200)との第二組合せは、尺度具体化部(10;210;310;410;510;510’;610)−第二波面補正器(2200)の順番に光線拡張方向に配置されていることを特徴とする請求項1或いは2に記載の光学位置測定装置。
【請求項5】
光線方向インバーター(2300)は、光線方向反転が光線方向インバーターから反射された部分光束に関して二つの直交方向に行われるように、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学位置測定装置。
【請求項6】
光線方向インバーター(2300)は三重鏡或いは三重プリズムとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学位置測定装置。
【請求項7】
光線方向インバーター(2300)は一つのレンズと一つの反射鏡とから成る組合せとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学位置測定装置。
【請求項8】
波面補正器(2100;2200)或いは光線方向インバーター(2300)のレンズの少なくとも一方が屈折光学要素として形成されていることを特徴とする請求項7に記載の光学位置測定装置。
【請求項9】
波面補正器(2100;2200)が回折光学要素として形成されていることを特徴とする請求項6或いは7に記載の光学位置測定装置。
【請求項10】
波面補正器(2100;2200)と光線方向インバーター(2300)のレンズが屈折光学要素として形成されていることを特徴とする請求項9に記載の光学位置測定装置。
【請求項11】
波面補正器(2100;2200)がそれぞれに回折光学組合せ要素として走査格子の形態で形成されていて、この走査格子がさらに、走査格子に入射する部分光束上に次の追加的光学機能性:光学偏向作用、光学分割作用或いは統合作用、反射鏡上の光学焦点合せ作用の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項9に記載の光学位置測定装置。
【請求項12】
反射鏡と回折光学要素が透明な走査プレート(23;223;323;423;523;523’;623)の対向位置している側面に配置されていることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の光学位置測定装置。
【請求項13】
尺度具体化部(10;210;310;410)が回転軸線を中心に回転する部分円板(11;211;311;411)上の半径方向区分として形成され、回転軸線を中心に同心円に配置されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光学位置測定装置。
【請求項14】
尺度具体化部(510;510’;610)が回転する区分ドラム(511;511’;611)の外周上のドラム区分として形成されていて、回転軸線が区分ドラムの長手軸線と一致することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光学位置測定装置。
【請求項15】
走査ユニット(620)内の光学要素は、光源から発射された光束がおよそ90°の角度でドラム区分に入射するように、形成され且つ配置されていることを特徴とする請求項14に記載の光学位置測定装置。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図1d】
image rotate

【図1e】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14a】
image rotate

【図14b】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20a】
image rotate

【図20b】
image rotate


【公開番号】特開2011−247886(P2011−247886A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107788(P2011−107788)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】