光学増幅装置
【課題】 好ましくない非線形性と利得飽和とが始まる前に、光ファイバー増幅器にエネルギーを蓄積する能力を大きくし、単一モード(SM)ファイバーで達成できるより大きいピーク強度およびパルス・エネルギーを発生させること。
【解決手段】 本発明の光学増幅装置は、回折限界に近いモードを持つ入力ビ−ムを発生させるレーザー源としてのファイバー発振器10と、多重モードファイバー増幅器12と、モード変換器14と、ポンプ源20とを有する。モード変換器14は、入力ビームを受けて多重モードファイバー増幅器12の基本モードに整合するように入力ビームのモードを変換し、多重モードファイバー増幅器12に入力するモード変換された入力ビームを作り出す。ポンプ源20は、多重モードファイバー増幅器12を光学的にポンピングし、本質的に基本モードで増幅された強力な出力ビームを生成する。
【解決手段】 本発明の光学増幅装置は、回折限界に近いモードを持つ入力ビ−ムを発生させるレーザー源としてのファイバー発振器10と、多重モードファイバー増幅器12と、モード変換器14と、ポンプ源20とを有する。モード変換器14は、入力ビームを受けて多重モードファイバー増幅器12の基本モードに整合するように入力ビームのモードを変換し、多重モードファイバー増幅器12に入力するモード変換された入力ビームを作り出す。ポンプ源20は、多重モードファイバー増幅器12を光学的にポンピングし、本質的に基本モードで増幅された強力な出力ビームを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一モード増幅システムにおいてレーザー光の増幅器に多重モードファイバーを使うことに関し、レーザー増幅装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
Maurer(1974)の米国特許第3,808,549号で述べられているように、希土類元素をドープした光ファイバーの光伝導性を利用して特徴ある簡単なレーザーを構成することができるので、希土類元素をドープした光ファイバーは、長い間、可干渉光(コヒーレント光)の光源としての利用が考えられて来た。しかし、ファイバー・レーザーに関する初期の業績は、回折限界の可干渉光を発生する手段が知られていなかったために、余り関心が持たれなかった。現在では、回折限界の光を利用することにより、レーザーの応用は数々の利益を生み出している。
【0003】
Pooleらが、“Fabrication of Low-Loss Optical Fibers Containing Rare-Earth Ions”, Optics Letters, Vol.22,pp.737-738(1985)で報告しているように、希土類元素をドープしたファイバーが製造できるようになったときに、初めて希土類元素をドープした単一モード(SM;single mode)のファイバーを使った技術が世に出現した。この技術においては、光ファイバーの基本モードのみが波長終端に導かれ、これによって回折限界の出力が得られる。
【0004】
SM光ファイバー増幅器を使った光ファイバー通信の要求が高まり、この分野のここ10年以上の間の進展は、ほとんどSMファイバー増幅器に集中している。このようなSM光ファイバー増幅器の進歩があったのは、SMファイバー増幅器が最もノイズの発生が少なく、また、それがSMファイバー光伝導線と互換性があるという事実があるからである。SMファイバー増幅器は、いずれの高次モードも含まないために形態上の分散が完全に消去されているので、光の透過バンド幅がもっとも大きい。一般に高次モードは異なった伝播常数を持っているので、一般的に形態上の分散は、多重モード(MM;multi mode)光ファイバーの透過バンド幅を限定し最も有害である。
【0005】
しかし、短い光パルスを増幅する場合、SM光ファイバーを使うことは不利である。何故なら、コア面積が限定されているので、光ファイバーの飽和エネルギーが限定され、したがって得られるパルス・エネルギーも制限されるからである。レーザー増幅器の飽和エネルギーEsatは、次式で表すことができる。
Esat=hvA/σ
ここで、hはプランク定数、vは光の振動数、σは励起放射の断面積、Aはコアの断面積である。今日、SM光ファイバーから得られる最大パルス・エネルギーは約160Jであり(Taverner et al. in Optics Letters, Vol.22, pp.378-380 (1997)による)、これはコア直径15μmのSMエルビウム・ドープ・ファイバーで得られたもので、これは1.55μmにおけるSM伝播と可換である最も大きなコア直径である。この結果は、ファイバーの開口数NA=0.07で得られたものである。さらにコア径を大きくするとファイバーのNAを小さくすることが必要で、この結果、不本意な感度低下を招き、曲げ損失につながる。
【0006】
SM増幅器の代替として、多重モード(MM)光ファイバーによる増幅が考えられる。例えば、“Chirped-pules amplification of ultra short pules with a multimode Tm:ZBLAN fiber upconversion amplifier”, by Yang et al., Optics Letters,Vol.20, pp.1044-1046(1995)を参照されたい。しかし、一般的には、MM光ファイバーへの入射条件とMMファイバーにおけるモード結合が制御できないから、MM光ファイバーにおける増幅実験では、形態上の分散のために好ましくないパルスの広大が起こり、回折限界にない出力となる。
【0007】
最近、Griebnerらは、“Efficient laser operation with nearly diffraction-limited output from a diode-pumped heavily Nd-doped multimode fiber, Optics Letters, Vol.21,pp.266-268(1996) の論文で、ファイバー長さを15mmより短く保ち、光ファイバーの基本モードに対するフィードバック量を最大に選んだとき、近似的に回折が制限された出力ビームをMMファイバー・レーザーから得ることができると述べている。しかし、用いるMMファイバーには数万のモードがあるから、この手法では厳密なモード結合を達成することが一つの問題である。また、モード選択を選択するとき、MMファイバーの端面とレーザー鏡との間の空隙も問題である考えられる。かくして、形態的な識別ができなくなり、その結果ビームの質が劣ることになる。
【0008】
DiGiovanniらの米国特許第5,187,759号には、ファイバーコアの中心近くの何らかの活性イオンを選択的に励起するか、閉じ込めるかすることにより、MMファイバー中の増幅された自然発光(ASE;amplified spontaneous emission)を減少させることができることが示されている。MM光ファイバーにおける低次モードの重畳は、ファイバーコアの中心近くの活性イオンに関して最も大きいので、何らかのASEはMMファイバーの低次モードで著しく発生する。結果として、ASEは高次モードでは発生しないから、ASEの発生量はMMファイバーでは大きく減少する。しかし、DiGiovanniの記述では、ドーパントの閉じ込めはASEの減少に関してのみである。DiGiovanniは、モード散乱が存在する場合、ドーパントの閉じ込めによりSM励起下にあるMMファイバーの基本モードのビーム品質を高めることができることについては述べてはいない。また、DiGiovanniのシステムでは、ドーパントの閉じ込めにより誘起される利得ガイドによって、MMファイバーにおける基本モードを効果的に導くことができるということを考慮していない。これはさらにSMの動作のみならず、MMファイバーに於いてもASEを減少させることになる。
【0009】
実際、DiGiovanniらのシステムは、回折限界にない出力ビームのMM信号源と考えられるので、実用的ではない。さらにドープされたファイバーに対してはクラッドは単層と考えられる。このことは光ファイバーに高出力半導体レーザーを結合することを試みるときには不利になる。MMファイバーに高出力半導体レーザーを結合するためには、先に述べたMaurerの特許に示唆されているように、二重クラッド構造が有利である。
【0010】
発明者らの知る限りでは、利得ガイドが光ファイバーに使われたことはない。一方、利得ガイドは従来の半導体または固体レーザーではよく知られている。例えば、Harterらの論文“Alexandrite-laser-pumped Cr3+:LiSrAlF6”, Optics Letters, Vol.17,pp.1512-1514(1992)を参照されたい。事実SMファイバーにおいては、導波路構造によって基本波のモードが著しく制限されるために利得ガイドは不適切である。しかしMM光ファイバーにおいては、導波路構造による基本波モードの制限は緩く、利得ガイドを装着することができる。MMファイバーのコアの大きさが大きくなるにつれて、ファイバー中の光の伝播は、近似的に自由空間の伝播に近づく。かくして、モード結合を十分小さくできるので、利得ガイドには著しい効果が期待される。
【0011】
高いパルス・エネルギーが得られることのほかに、MM光ファイバー増幅器は、MMファイバー増幅器に比してファイバー断面積が大きいので、非常に大きいピーク強度のパルスを増幅することにも使える。Fermannらが、米国特許出願第08/789,995号(1997年1月28日出願)で述べているように、ドープされていないMMファイバーとMM増幅ファイバーとは、パルスの圧縮にも使う事ができる。しかし、この仕事はスペクトルのプロファイルを奇麗にする(これはシステムの全体の効率を制限することになる)非線型スペクトル・フィルターと組み合わせて、ソリトン・ラマン圧縮器として用いることに限定されている。
【0012】
Kafkaらの米国特許第4,913,520号で明らかにされたように、SMファイバーでパルスを圧縮することと比較して、ファイバーのモードの大きさが大きいため、MMファイバーではより大きなパルス・エネルギーが得られる。特に2.5より大きいV値と、コアとクラッドと間の比較的大きい指数の回折(すなわち、Δn>0.3%)とが、効果は大きい。“Generation of high-energy 10-fs pulses by a new pulse compression technique”, Conference on Laser and Electro.-Optics, CLEO 91,Paper CtuR5, Optical Society of America Technical Digest Series, #9, pp.189-190(1996)の論文で、M.Nisoliらは、中空コア・ファイバーは基本波モードの大きさを大きくできるので、パルス圧縮に中空コア・ファイバーが使えると述べている。しかし、中空コア・ファイバーは本質的に透過損失があるので、気体を封入する必要があり、透過損失を最小にするには真直に保つことが必要である。このために、これらを実用に供することは難しい。
【0013】
Galvanauskasらの米国特許第5,499,134号で明らかにされているように、高強度パルスを得る代替法として、チャープ・ファイバー・ブラッグ格子を伴うチャープ・パルス増幅器が用いられる。この技術の限界の一つは、圧縮格子において限定されたコア面積を持つSMファイバーが用いられていることである。大きなパルス・エネルギーは、パルス圧縮のための、縮小されたモード結合を有するMMファイバーにチャープ・ファイバー・ブラッグ格子を用いることである。事実、最近、Strasserらは、“Reflective-mode conversion with UV-induced phase gratings in two-mode fiber”, Optical Society of America Conference on Optical Fiber Communication, OFC97,pp.348-349, (1997) の論文の中で、チャープされていないファイバー・ブラッグ格子を二重モードファイバーで示している。これらの格子はモード変換器(すなわち基本モードと高次モードを結合する)として使うことが出来るようにブレーズされている。パルス圧縮器としてブラッグ格子を使うためには、反射光中の高次モードの励起を最小にする必要があり、格子はブレーズされていてはならない。
【0014】
SM信号はMMファイバー構造に結合でき、数メートルで100秒の伝播長さとして保存されることはよく知られている。例えば、Gamblingらの論文“Pulse dispersion for Single-Mode Operation of Multimode Cladded Optical Fibers”, Electron Lett., Vol.10, pp.148-149,(1974)と、“Mode conversion coefficient in optical fibers”, Applied Optics, Vol.14, pp.1538-1542,(1975)とを参照されたい。しかし、Gamblingらは、液体コアのファイバーにおいてのみモード結合は低水準であることを見出した。一方、MM固体コア・ファイバー中のモード結合は厳しいことが見出されており、mm台の長さのファイバーの中でのみ基本モードの伝播ができる。Griebnerらの業績のように、Gamblingらは、10,000またはそれ以上のモードを維持できるMM固体コア光ファイバーを使った。
【0015】
関連した仕事で、Glogeは、“Optical Power Flowin Multimode Fiber”, The Bell System Technical Journal, Vol.51, pp.1767-1783,(1972)の論文で700モードを維持できるMMファイバーの利用について報告している。この論文ではモード結合は十分短縮されており、長さ10cmのファイバー上のSM伝播が可能である。
【0016】
しかし、Glogeは長い波長(1.55μm)でMMファイバーを動作させること、および全モード数を700以下に縮小することにより、モード結合を縮小できることについては述べていない。また、この論文では増幅器としてMMファイバーを使うこと、MMファイバーの非線形性を使うことについては考慮されてはいない。
【0017】
発明者らは、SM信号を増幅するためにMMファイバーを使う先行技術(出力は主として基本モードに留まっている)については注目していない。その第一の理由は、MMファイバーにおける増幅が光電話回線の領域のような長距離の信号伝播には不適合であることである。発明者らはまた、多重モードファイバーにおけるパルスの圧縮に関する先行技術(出力が基本モードに留まっている)にも関心がない。
【0018】
上述の文献、特許および特許出願は、参考文献として本明細書中で参照されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、好ましくない非線形性と利得飽和とが始まる前に、光ファイバー増幅器にエネルギーを蓄積する能力を大きくし、単一モード(SM)ファイバーで達成できるより大きいピーク強度およびパルス・エネルギーを発生させることである。
【0020】
本発明の他の目的は、増幅された自然発光(ASE)を減少させるときに、多重モード(MM)ファイバーの中で基本モードの増幅をすることである。本発明の更なる目的は、基本モードの安定性を改善するためMMファイバーに利得ガイドを用いることである。それに加えて、本発明の目的は、回折限界に近い出力を保持しながら、ピーク強度が大きいパルスを数ピコ秒からフェムト秒の範囲に圧縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するために、本発明では光学増幅装置に多重モード光ファイバーを用いる。本発明に従えば、MM光ファイバー、すなわち約2.5より大きいV値を持ったファイバーは基本モードの出力を出すことが出来る。このことにより、好ましからざる非線形性と利得飽和を修正する前に、SMファイバーより大きいピーク強度とパルス・エネルギーを発生することが出来る。ファイバーの断面積を増すことは、光ファイバー増幅器におけるエネルギー蓄積能力を非常に大きくすることと等しい。本発明の増幅システムは超高速で高強度のパルスの発生源が必要な場合に役に立つものである。
【0022】
本発明の一つの視点に立てば、利得媒質はMMファイバーの中心にあるから、基本モードが選択的に増幅され、自然発光が減少する。さらに利得を制限することにより、利得ガイドによって大きな断面積を持つファイバー中の基本モードを安定にする。本発明の一つの実施例によれば、自己位相変調と、(希土類を)ドープした、またはドープしないMMファイバーにおける非線形性とを利用することにより、近似的な回折制限出力を保存しつつ、大きいピーク強度のパルスを数ヘムト秒の範囲まで圧縮することが出来る。
【0023】
本発明の他の実施例によれば、縮小されたモード結合を持ったMM光ファイバーにチャープ・ファイバー格子を書き込むことにより、高強度光パルスの線形パルス圧縮に対する強度限界は著しく大きくなる。さらに二重クラッドMMファイバー増幅器を利用することにより、比較的大面積の高出力半導体レーザーでポンピングすることが可能になる。
【0024】
本発明の更なる他の実施例によれば、完全なモード・フィルターを組み込むことにより、(希土類を)ドープしたMM光ファイバーから得られる、回折限界に近い単一モードの中の連続波を消すことが出来る。本発明の更なる他の実施例によれば、MM光ファイバーはファイバー光再生増幅器と高出力のQスイッチレーザーを構成することができる。さらに、MM光ファイバーを用いて、比較的弱い吸収断面積を持つドーパントを使ったクラッド−ポンプファイバー・レーザーを設計することができる。
【0025】
本発明のこれらの目的および実施態様、または他の目的および実施態様は、次に詳細に示す好ましい実施例と関連する図面から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1図1は、本発明の実施例1としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの模式図である。
【図2】図2は、多重モード増幅ファイバーをモード・フィルター・ファイバーに結合するときの効率を、多重モード増幅ファイバーの曲率の関数として示すグラフである。
【図3】図3は、最適のモード結合条件下で測定した多重モード増幅ファイバーから得られる増幅されたパルスの自己相関を示したグラフである。
【図4】図4は、最適条件ではないモード結合条件下で測定した多重モード増幅ファイバーから得られる増幅されたパルスの自己相関を示したグラフである。
【図5】図5図5は、本発明の実施例2としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムのブロック図である。
【図6】図6は、本発明の実施例3としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムのブロック図である。ここではパルス圧縮器が多重モードファイバーの出力端に配置されている。
【図7】図7図7は、本発明の実施例4としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施例5としての光学増幅装置に採用されている、ドープした多重モードファイバー・コアとドープされないファイバー・クラッドとを用いたファイバー断面の概念を示した模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施例6としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの構成を示す模式図である。ここでのファイバー再生増幅器は多重モードファイバー増幅器から構成されている。
【図10】図10は、本発明の実施例7としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの構成を示す模式図である。ここではMM−Qスイッチ・ファイバー・レーザーが構成されている。
【図11】図11は、本発明の実施例8としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅器システムの構成を示すブロック図である。ここでは多重モードファイバーの前に前置増幅器が挿入されている。
【図12】図12は、本発明の実施例9としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅器システムの構成を示すブロック図である。ここでは多重モードファイバーの出力側に周波数変換器が配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の光学増幅装置の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0028】
[実施例1]
図1に、本発明の実施例1としての光学増幅装置の構成を示す。図1に示される例では、エルビュウム・ファイバー発振器のようなフェムト秒単一モード(SM)ファイバー発振器10は、エルビウム/イッテルビウム・ファイバー増幅器のような多重モード(MM)ファイバー発振器12に結合されている。これに適合するMMファイバー増幅器の他の例には、Er,Yb,Nd,Tm,PrまたはHoイオンをドープされたものが含まれる。このシステムに利用するのに適合する発振器は、上に述べたFermannらの米国特許出願第08/789,995号に記載されている。
【0029】
二つのレンズを持つ望遠鏡14(L1,L2)は、発振器10のモードをMM増幅器12の基本モードに合わせるために使われる。更に、ポンプされたMMファイバー12の出力は、レンズL3,L4を使って、第二のSMファイバー(図1におけるモード・フィルター(MF)ファイバー16)に移される。レンズL3,L5およびビーム分離器18は、以下に述べるように、ポンプ源20から発生するポンプ光を増幅器ファイバーに結合するために使われる。
【0030】
図1にしたがったシステムの配置の例では、その発振器10は出力レベル14mW、波長1.56μm繰り返し周波数100MHzで、300フェムト秒の近似的にバンド幅が限定されたパルスを射出する。増幅ファイバー12は、例えば、コア直径約28μm、コアの開口数NA=0.19の二重クラッドMMエルビウム/イッテルビウム増幅器であり得る。この例での内側クラッドは直径約220μmで開口数NA=0.24である。そのコアは内部クラッドの中心に位置する。増幅器の長さは1.10mである。
【0031】
MM増幅器12における伝播モード数を増やし、テストをする目的で、780nmと633nmの短い波長を使った。ここで、780nmで動作するフェムト秒レーザー光源と633nmの連続波レーザー光源とは、MM増幅ファイバー12にレーザー光を射出することができる。これら二つの波長でSM動作を確実にするために、このMFファイバー16はコア直径4μmのファイバーで置き換えることができる。
【0032】
MM増幅器におけるモードの大約の数Nは、次の数1に示すように、そのV値から計算できる。
【0033】
V=(2πa/λ)NA, モード数N=(1/2)V2
ここで、aはコア直径であり、λは信号の波長である。また、1.55μmにおけるV値はV≒10.8であり、かくして上の例では、モード数は約58と計算される。典型的には、V値が2.41を超えるとき、すなわち基本モードに付加するモードが光ファイバー中を伝播できるとき、ファイバーはMMであると考えられる。
【0034】
Nモードを保証するMMファイバーのNモードと等価な励起に対して、SMファイバーへの最大の結合効率ηは、近似的に次の数2で与えられる。
【0035】
η≒(θ0/θmax)2≒1/N
ここで、θ0≒λ/4aは、MMファイバーの基本波モードの1/2発散角(発散角の半頂角)である。一方、θmaxは、MMファイバー出力の最も外側のモードの1/2最大発散角である。MMファイバーからの出力は、線形に偏光している。このことは、ファイバーにおける最低次のモードの励起にのみ当てはまる仮定である。MMファイバーをSM励起し、モード結合がない場合、θmax(Z)=θ0はファイバー長さと関係がない。しかし、モード結合が存在するときにθmaxは増加する。その結果として、MMファイバーの出力からSMファイバーへの結合効率ηは、η(z)=(θ0/θmax(z))2と共に減少する。なお、先に述べたGlogeの業績では、η(z)は次のように書くことができる。
【0036】
η(z)=θ02/(4Dz+θ02)
ここで、DはGlogeによって定義されたモード結合係数である。かくしてη(z)を測定すれば、モード結合係数Dが求まる。同様にηを測定すれば、上記数2からMMファイバーの励起モードの近似的な数が求まる。回折限界に近い光ビームの質を特徴づけるために使われるM2値に対して、Nを関係づけることが役に立つ。すなわち、N≒√M2であることが示される。
【0037】
本発明にしたがえば、MMファイバー増幅器12の出力である増幅されたビームが本質的に基本モードであるような、低レベルのモード結合が好ましい。したがって、10以下のM2値が好ましく、4以下であればさらに好ましく、2以下であればもっと好ましい。更に、モード数は3〜3000の範囲にあることが好ましく、3〜1000の範囲にあればなお好ましい。
【0038】
モード結合は、上記エルビウム/イッテルビウム・ファイバー(表1中のファイバー1)と三つの市販MMファイバー(表1中のファイバー2,3,4)に対して、1.1mのドープされていない増幅ファイバーで測定された。これらのファイバーのファイバー・パラメーターとモード結合係数D(m-1の単位)は、次の表1に示されている。表1中のファイバー1,3,4は、MCVD法で作られたものである。一方、表1中のファイバー2は、ロッド・イン・チューブ法で作られたものである。
【0039】
【表1】
【0040】
逆に、結合係数からM2値の予測値を計算できる。例えば、計算されたM2値は、1mのMMファイバー12を伝播した後の値を示す。ファイバー1に対して、計算値と分離して測定されたM2値はよく一致した。基本モードのLP01と次の高次モードのLP11との間のビート長さLbは、表1に示してある。ビート長さLbは、伝播方向に沿って二つのモードについて2πの差分位相シフトが重畳する長さと定義される。固定した波長に対し、一定の散乱パワースペクトラムを仮定すれば、DはLb4に比例することを示すことができる。例えば、D.Marcuse,“The Theory of Dielectric Optical Waveguides”, p.238, Academic Press (1974), Glogeを参照されたい。ビート長さが長ければ、密接したモードの位相は一致し、より大きいパワーが長さの関数として付随する。Glogeによって明らかにされたように、モード結合は隣接したモード間で最も大きいと期待できるので、モード結合を避けるためにできるだけ短いLP01/LP11ビート長さを使うことが好ましい。
【0041】
一般的に、高レベルのモード結合は、大きな散乱損失を持つファイバーから得られると期待される。このことから、小さい散乱損失を持つファイバー中の長い波長においては、モード結合係数は小さいことが予測される。表1から解るように、ファイバー1の波長が大きくなると、モード結合は著しく減少する。モード結合の受容できるレベルは、ファイバー1においては、790nm程度に短い波長で達成される。光ファイバーのモード数はa/λにのみに依存するので、56μmほどの大きさのコア直径を持ったファイバーと同様なファイバーによって、1m長さにおけるモード結合を実現できる。より長い波長における散乱を減少させるために、より長い波長ではより大きなコア直径がよい。例えば、Tavernerらによれば、コア直径60μmのMMファイバーはSM増幅器よりも16倍にパルスピーク強度を増幅することができる。表1から解るように、また次に説明することにより、モード結合の許容できるレベルは特別に設計された50μmのコア直径を持つファイバーで得られる。
【0042】
さらに、勾配指数(グレーデッド・インデックス)MMファイバー中の伝播定数はよく似ており、モード結合への感度が著しく増加するので、モード結合を最小にするためには、段階指数(ステップ・インデックス)MMファイバーの方が勾配指数を持つMMファイバーより実用的である。モード結合を最小にするためには、ファイバー・モード間の伝播定数の差を最大にすることが好ましい。
【0043】
上記表1中のファイバー2は、ロッド・イン・チューブ法で製作されたものであって、本質的に散乱損失が大きく、MCVD成長法による上記表1中のファイバー1,3,4に比べて、より大きなモード結合係数を持っている。また、ファイバー2で測定されたモード結合係数は、GamblingらやGriebnerらによって得られた結果と同じである。彼らはロッド・イン・チューブ法で作られた段階指数をもつ固体コアファイバーを用いている。その結果、直接成長技術、例えばMCVD、OVD、PCVDまたはVADなどのファイバー製作技術によるMMファイバーを用いた場合は、モード結合の縮小が期待できる。
【0044】
上記表1に示すように、1.55μmにおいてファイバー4で得られたモード結合係数は、ファイバー3のそれの1/11である。この差は、ファイバー3の外径が125μmであるのに対し、ファイバー4の外径が250μmであることで説明がつく。表1で明らかなように、一般に厚いファイバーは硬く、モード結合を誘発する曲りや微少曲りに対して強い。
【0045】
発明者が行った実験では、最も小さいモード結合係数は縦方向に延ばされた光ファイバーによって得られる。例えば、ファイバー2,3のモード散乱係数は、ファイバーを引っ張り真直に保持して測定された。短い長さのファイバーに張力を加えることは、もっとも良い質のモードを得るのに利用できる。モード結合は、再び図1に示すように、増幅ファイバー(ファイバー1)がポンプされるような配置で測定した。増幅器は980nmの波長で、ブロード・ストライプの半導体レーザー(活性領域:1×500μm)から出射する3W以上の信号に対して反対方向にポンプされた。ここでは、MM増幅ファイバーの内部コアへのパワー結合を最大にするために脱磁をした。見かけのフィードバックを除くために、増幅器を約8°傾けて固定した。1.55μmで、100mW以上の信号出力を増幅システムから取り出した。
【0046】
MFファイバー16に対するMM増幅ファイバー12の結合効率を、MM増幅ファイバー12の曲率の関数として図2に示す。真直なMM増幅ファイバーと10cmの曲率を持ったMM増幅ファイバーについては、MFファイバー16に対しての結合効率は94%以上であるという結果が得られた。そしてモード結合は、MM増幅ファイバー12ではほぼ完全に消失し、SMはSMファイバー中の数mを伝播することができることを示した。5cmの曲率でもモード結合は認められず、この場合でもMM増幅ファイバー12からMFファイバー16への結合効率は約90%である。
【0047】
測定されたMMファイバー12からSMファイバーへの結合効率は、ポンプされない場合とポンプされた場合とではほぼ同じであるので、このような特殊な増幅ファイバーでは利得ガイドは比較的弱いことが明らかである。このような観測結果は単純な計算機モデルによっても得られた(以下を参照)。しかし、MM増幅ファイバー・コアの中心にドーパントが局在していると、基本モードが著しく増幅される。高次モードへ散乱するいずれの光も利得が低下し、基本モードと高次モードとの強度的重畳を縮小するために、より高次のモードにおける散乱光のレベルを低くすれば、基本モードの利得は飽和しない。かくして、上記の実験例では、モード散乱係数は非常に小さかったので利得ガイドによる効果は、簡単には観測されなかった。一般に、本発明によるMM増幅システムでは、利得ガイドが一つの役割を果たす。さらに、上記の計算機モデルでよれば、コア直径の大きいMMファイバーには基本モードの利得ガイドが存在し、そして、あるいは、コアとクラッド間の屈折率の違いが縮小することが予測される。
【0048】
モード直径が増加すると、信号が小さい、すなわち利得飽和がないという条件で、SMの大きさは利得プロファイルで決定できる。このことはモードの大きさが長さに依存することを意味する。小信号下で、モードは利得ガイドによって限定される。利得が飽和すると、MMファイバーのコアによって限定され、利得ガイドはより関係なくなり、モードの大きさを大きく出来る。ファイバーの長さに沿って先細になった(テーパーした)コアを用いることにより、長さに依存したモードの大きさが実現できる。このことは、例えばファイバーの長さ方向に沿ってファイバーの外径を先細りにすることにより実現できる。
【0049】
利得ガイドが存在すると、MMファイバーは本質的にSMになり、増幅された自発光(ASE)は減少する。利得ガイドが存在すると、ASEはMMファイバーのすべての可能なモードよりも、むしろ基本モードに誘導され、MMファイバーの雑音の性質が改善される。同様に、実験例では、ドーパントを制限すると、ファイバーにおいて増幅された自発光(ASE)レベルは著しく減少することが観測された。このことはMMファイバー12からMFファイバー16へのASEの結合効率を測定することにより証明できた。1mWのASEの強度レベルに対して、結合効率は15%と高い測定値が得られた。上記数2と比較すると、ASEは主として13次数低いモードで発生する(このうち半分は分極が減少したためと考えられる)。すなわち、ASEは、増幅ファイバーの全モード体積の約20%で起きる。ASEが大きく減少することが観測され、これによって増幅器における雑音レベルが下がり、またASEのレベルを低くすることにより、増幅器を飽和するのに要求される信号強度も減少する。発振増幅器の信号パルス源から最も大きいエネルギーを引き出すためには、一般的に、増幅器は飽和状態で動作するのが良い。
【0050】
小さな機械的揺動をファイバーに加えても、1.55μmと780nmにおけるMMファイバー12からMFファイバー16に対する結合効率は変わらないことが解った。実際の光学システムにおいて、加えられた機械的揺動は5cmの曲率により加えられる揺動に比べて小さいものである。このことは、このようなファイバーにおいて、モード伝播パターンの長時間安定性が実現できることを示している。
【0051】
MMファイバー12では、10cm程度の小さい曲率半径に対しても分極が保存されている。高度な分極を保持するために、このようなファイバーには楕円ファイバー・コアあるいは熱応力が利用される。最適のモード結合と最適条件から外れたモード結合とで、それぞれ測定されたMM増幅ファイバー12(曲率半径10cm)からの増幅されたパルスの自己相関を、それぞれ図3および図4に示す。最適条件から外れたモード結合での自己相関には、種々の伝播定数をもつ高次モードの励起のため、いくつかのピークが現れる。しかし、最適モード結合の条件下では、いずれの二次ピークも1%以下に抑えられている。このことは、MMファイバーからの出るパルスは高品質であることを示している。
【0052】
一般的に、MMファイバーの出力端で測定されたパルスのスペクトラムは自己相関よりも極端に結合条件に依存する。この理由はスペクトル測定が基本モードと高次モードとの間の位相に敏感であることにある。すなわち、MMファイバーの出力に1%の高次モードのエネルギーを含むとスペクトラム形状は10%揺動する。
【0053】
[実施例2]
本発明の実施例2としての光学増幅装置は、図5のブロック図に示すように、多重モード増幅システムである。このシステムには、回折限界に近い入力ビーム、モード変換器50およびMMファイバー増幅器52が含まれている。回折限界に近いビームは任意のレーザー・システムから得る事が出来る。これはファイバー・レーザーである必要はない。回折限界に近いビームは、連続波またはパルス状輻射を含むことが出来る。モード変換器50は、MM増幅器52のモードを整合することが出来る任意の光学的イメージングシステムから成っている。例えば、レンズ・システムを用いることも出来るだろう。
【0054】
逆に、先細りファイバーの先端の出力に置けるモードがMM増幅ファイバー52のモードと一致するような先細りファイバーの切片を利用することも出来る。この場合、非常に小型にするために、モード変換器は直接MMファイバー52に接続する事が出来る。MMファイバーに対するポンピング配列は、信号方向または側面ポンピングと逆方向または同方向にすることができる。同様にポンプ光のNAは、最小のASEに縮小できる。この場合、ポンプ光が直接ファイバー・コアに導かれるよう、単層クラッド・ファイバーを使うとさらに有利である。一般的に、MMファイバーには、単一、二重、多重のクラッドが採用されている。
【0055】
同方向ポンピングの場合、ポンプ光と信号光とは、二色性のビーム分離器(図示せず)に入射する。結合光学系は、ポンプ・ビームと信号ビームとの結合を同時に最適にするために最適化される。MMファイバー52を通った信号の単一と二重の光路には便益性がある。二重光路の場合、ファラデー回転鏡によりシステムの分極移動を除く事が出来る。勿論、二重光路構成では増幅器を最初に通ったあと、出力が回折限界に近いことを確実にするため、信号と高次モードとの結合を避けねばならない。
【0056】
随時、線形または非線形の光学素子をシステムの出力端に使う事が出来る。このようなシステムは、従来のレーザー・システムと接続して使われるいずれの応用例とも互換性がある。非線形を応用する多くの場合、十分の動作をさせるためには大きなピーク・パルスの出力が必要である。このことは、クラッドされたポンプSMファイバー増幅器で実現する事は難しい。なぜなら、通常このようなシステムでは、1/10mオーダーのファイバーが使われているからである。標準的なSM光増幅器においても、1kW/(増幅器の長さ)以上のピーク強度は希にしか実現されない。逆に、約15kWのピーク強度が、非線形効果がない状態で、1.5m長さの二重クラッドEr/Ybファイバー(上記表1のファイバー1)で得られる。すなわち、20kW/(増幅器長さ)以上のピーク強度を実現できる。
【0057】
本発明に従えば、MM増幅器を利用することは、大きなコア直径を利用できるということのために便利である。すなわち、MM増幅器を利用することにより、(クラッディング)/(ドープ・コア直径)の比を小さく出来る。そしてこのことにより増幅器の長さと非線形性とを最小にすることができる。しかしこのことはASEノイズを更に発生させることになる。
【0058】
[実施例3]
本発明の実施例3としての光学増幅装置は、図6のブロック図に示すように、多重モードファイバー増幅システムである。実施例3のシステムおいては、増幅器の出力パルスを圧縮するため拡張されたスペクトルが得られるように、高出力光パルスをドープされない(あるいは増幅する)MMファイバー中を伝播(または増幅)させることが出来る。非線形パルス圧縮を応用するため、正の(ソリトンを保持しない)あるいは負の(ソリトンを保持する)分散が利用される。かなりの量の自己位相変調を得るため、多重モードファイバー60における強度レベルは上げられる。光ファイバーにおける分散と自己位相変調が、光パルスのスペクトラムを広げ、パルス圧縮をするために用いられる。
【0059】
MMファイバー60がソリトンを保持するとき、高次のソリトンを圧縮することは、MMファイバー60から、直接、短いパルスを得るために使われる。一般に正の分散の場合(ソリトンを保持しない)、スペクトル的に広がった光パルスを圧縮するために、付加的な線形あるいは非線形な圧縮されたパルス成分を使わなければならない。この場合、従来の線形パルス圧縮器62(プリズム、格子、グリスムあるいはSMチャープ・ファイバー・ブラッグ格子のような)は、光学増幅装置の出力端で使われる。チャープし周期的な極性を持った二重結晶が、圧縮され周波数が二倍になったパルスを得るために使われる。同様にチャープ・ファイバー格子は、このような構造が線形パルス圧縮器62に適用されたとき、その非線形性を縮小するために、縮小されたモード結合をもつMM光ファイバー60に書き込まれる。反射の高次モードの励起を除くためには、ブラッグ格子はブレーズされていてはならない。
【0060】
[実施例4]
図7は、本発明の実施例4としての光学増幅装置の構成を模式的に示したものである。図7に示すように、モード・フィルター70は、システム(光学増幅装置)の回折限界の出力を確実にするために、空洞鏡M1,M2の一つの前に挿入されている。モード・フィルター70は、適切にモード整合された光学系とつながった標準的なSMファイバーから成っている。替わりに、先細りファイバーをモード整合のために(上記の検討のように)使う事が出来る。最適のモード整合のために、レーザーの効率は全てのSMレーザーと略同程度である。しかし、MM増幅器76を使えば設計の余裕度が増す。異なったコア・クラッディング比を持った二重クラッドのエルビウム/イッテルビウム・ファイバーを、何処にでも適当に利用する事が出来る。
【0061】
[実施例5]
本発明の実施例5としての光学増幅装置では、図8に示すように、MMファイバーを使うことにより、小さい吸収断面積の二重クラッド・ファイバーを設計する事が出来る。例えば、二重クラッドErドープ増幅ファイバーはMMファイバーから構成することが出来る。SMファイバーを遮光している間に、大面積のダイオード・レーザーからのポンプ光を吸収するためには、大きなクラッディング/コア比を用いなければならないので、典型的なErドープ二重クラッド・ファイバーは、比較的効果が薄い。通常、このような設計では、クラッディングの直径がΦcl=100μm、コアの直径がΦco=10μmになる。この構造での有効な吸収量は単一モードErドープ・ファイバーの吸収量の100分の1(=Φcl/Φco)2である。しかし、MMErドープ・ファイバーを装備する事により、コアの大きさを著しく大きくでき、クラッディング/コアの比は小さくなり、増幅器長さもより短くなる。このことは高出力レーザーを設計するには非常に有益である。
【0062】
勿論、高出力Er二重クラッドレーザーを設計するために、クラッディングの直径を100μmより大きくすることができる。ドープされたMMファイバー・コアとドープされないファイバー・クラッディングとを用いたファイバー断面の概念図は、図8に示す通りである。図8に示すように、ドーパント・プロファイルにより明らかなように、活性ドーパントは断面に閉じ込められている。これは屈折率プロファイルにより定義されるように、ファイバー・コアより本質的に小さい。勿論、このようなレーザー・システムにおいて、ドーパントの局在は増幅器長を長くするので、ドーパントの局在はあまりない方が有益である。
【0063】
[実施例6]
本発明の実施例6としての光学増幅装置では、図9に示すように、ファイバー再生増幅器はMMファイバー増幅器90から構成されている。再生増幅器は、MMファイバー増幅器からmJのエネルギーを得るのに利用できる。MMファイバー増幅器の限られた利得のために、mJのエネルギーを引き出すには増幅器を通る幾つかの経路が必要である。このことは再生増幅器を使うことにより容易になる。図9に示すように、高速な光学スイッチ(OS)92は再生増幅器の入力パルス、出力パルスの切り替えに使われる。モード・フィルター94は、ファイバー・モードを“清浄”にするために、増幅過程に抱合させる事が出来る。モード・フィルター94は再生増幅器におけるいずれの非線形性も最小にするための空間フィルターから構成できる。
【0064】
種パルスは、要求される繰り返し率を持った光学スイッチ92によって動作する発振器96から選択できる。ファラデー回転子98および偏向ビーム分別器99は、システムからの増幅されたパルス出力と種パルスとを結合するために用いられる。増幅器の連続波かパルス状のポンピングかが利用できる。
【0065】
[実施例7]
本発明の実施例7としての光学増幅装置では、図10に示すように、MM−Qスイッチのあるファイバー・レーザー源が構成されている。MMファイバーを有する事により大きな断面積が可能になるので、単一モードファイバーに比較してエネルギー蓄積量が増加する。この結果、高強度のQスイッチされたパルスを直接このようなシステムから発生させる事が出来る。通常、これらのパルスの持続時間はナノ秒範囲にある。図10に示すように、最適なモードの質を保証するためにモード・フィルター100を用いる事が出来る。光学スイッチ102は、出力の結合のために用いられ、これはまた、二つの鏡M1,M2とMMファイバー104とによって限定される空洞の損失(Q)を変調するためにも役に立つ。半透過鏡M2は出力を引き出す事にも使うことが出来る。
【0066】
[実施例8]
本発明の実施例8としての光学増幅装置では、図11に示すように、MM増幅ファイバー112を十分に飽和させ、MM増幅ファイバー112におけるASEのレベルを減少させるために、MM増幅ファイバー112の前方に前置増幅器110が組み込まれている。前置増幅器は、SMともMMともすることができ、ASEの成長を最小にするためには、前置増幅ファイバー110のコア直径を最終のMM増幅ファイバー・コアの直径より小さく選ぶことが有用である。一つのアイソレータ(図示せず)をレーザー源と前置増幅器との間に挿入することができ、ASEを更に減少させるために、他のアイソレーターを前置増幅器110と最終のMM増幅ファイバー112の間に挿入することができる。同様にASEを減少させるため、狭いバンドの光フィルター(図示せず)をシステムの任意のところに挿入することができる。また、ASEの総量を減少させるために、光学スイッチ(図示せず)をレーザー源と前置増幅器110および最終増幅器112の間に用いることができる。
【0067】
一つ以上の前置増幅器をこのシステムに使うことができる。ここでは、システムで発生するASEの総量を最小にするために、アイソレーターと光フィルターと光学スイッチを使うことができる。さらに、前置増幅器と最終MM増幅器とにおける非線形過程をパルス圧縮のために使うことができる。
【0068】
[実施例9]
本発明の実施例9としての光学増幅装置では、図12に示すように、増幅された出力ビームの周波数を変換するために、MM増幅ファイバー122の下流に周波数変換器120が置かれている。周波数変換器としては、出力ビームの周波数を2倍にする周期的なあるいは非周期的な極性を持つLiNbO3結晶のような非線形結晶を使うことができる。
【0069】
[付記]
以上、幾つかの実施例を図示しこれについて説明をしたが、当業者によれば、本発明の思想および視点を離れずにこれらの技術の修正や変形が可能であることが認識できる。そして、本明細書の冒頭にある請求範囲によって発明を定義することにしたい。
【符号の説明】
【0070】
10:単一モード(SM)ファイバー発振器
12:多重モード(MM)ファイバー発振器、MM増幅ファイバー
14:望遠鏡(テレスコープ)
16:モード・フィルター(MF)ファイバー
18:ビーム分離器(ビーム・スプリッター)
20:ポンプ源
50:モード変換器 52:MMファイバー増幅器
60:多重モードファイバー 62:線形パルス圧縮機
70:モード・フィルター 76:MM増幅器
90:MMファイバー増幅器 92:光学スイッチ(OS)
94:モード・フィルター 94:空間フィルター
96:発振器 98:ファラデー回転子
99:偏光ビームスプリッター
100:モード・フィルター 102:光学スイッチ
104:MMファイバー
110:前置増幅器、前置増幅ファイバー 112:MM増幅ファイバー
120:周波数変換器 122:MM増幅ファイバー
L1〜L5:レンズ M1,M2:空洞鏡(キャビティー・ミラー)
M1:二色鏡(ダイクロイックミラー) M2:半透過鏡
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一モード増幅システムにおいてレーザー光の増幅器に多重モードファイバーを使うことに関し、レーザー増幅装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
Maurer(1974)の米国特許第3,808,549号で述べられているように、希土類元素をドープした光ファイバーの光伝導性を利用して特徴ある簡単なレーザーを構成することができるので、希土類元素をドープした光ファイバーは、長い間、可干渉光(コヒーレント光)の光源としての利用が考えられて来た。しかし、ファイバー・レーザーに関する初期の業績は、回折限界の可干渉光を発生する手段が知られていなかったために、余り関心が持たれなかった。現在では、回折限界の光を利用することにより、レーザーの応用は数々の利益を生み出している。
【0003】
Pooleらが、“Fabrication of Low-Loss Optical Fibers Containing Rare-Earth Ions”, Optics Letters, Vol.22,pp.737-738(1985)で報告しているように、希土類元素をドープしたファイバーが製造できるようになったときに、初めて希土類元素をドープした単一モード(SM;single mode)のファイバーを使った技術が世に出現した。この技術においては、光ファイバーの基本モードのみが波長終端に導かれ、これによって回折限界の出力が得られる。
【0004】
SM光ファイバー増幅器を使った光ファイバー通信の要求が高まり、この分野のここ10年以上の間の進展は、ほとんどSMファイバー増幅器に集中している。このようなSM光ファイバー増幅器の進歩があったのは、SMファイバー増幅器が最もノイズの発生が少なく、また、それがSMファイバー光伝導線と互換性があるという事実があるからである。SMファイバー増幅器は、いずれの高次モードも含まないために形態上の分散が完全に消去されているので、光の透過バンド幅がもっとも大きい。一般に高次モードは異なった伝播常数を持っているので、一般的に形態上の分散は、多重モード(MM;multi mode)光ファイバーの透過バンド幅を限定し最も有害である。
【0005】
しかし、短い光パルスを増幅する場合、SM光ファイバーを使うことは不利である。何故なら、コア面積が限定されているので、光ファイバーの飽和エネルギーが限定され、したがって得られるパルス・エネルギーも制限されるからである。レーザー増幅器の飽和エネルギーEsatは、次式で表すことができる。
Esat=hvA/σ
ここで、hはプランク定数、vは光の振動数、σは励起放射の断面積、Aはコアの断面積である。今日、SM光ファイバーから得られる最大パルス・エネルギーは約160Jであり(Taverner et al. in Optics Letters, Vol.22, pp.378-380 (1997)による)、これはコア直径15μmのSMエルビウム・ドープ・ファイバーで得られたもので、これは1.55μmにおけるSM伝播と可換である最も大きなコア直径である。この結果は、ファイバーの開口数NA=0.07で得られたものである。さらにコア径を大きくするとファイバーのNAを小さくすることが必要で、この結果、不本意な感度低下を招き、曲げ損失につながる。
【0006】
SM増幅器の代替として、多重モード(MM)光ファイバーによる増幅が考えられる。例えば、“Chirped-pules amplification of ultra short pules with a multimode Tm:ZBLAN fiber upconversion amplifier”, by Yang et al., Optics Letters,Vol.20, pp.1044-1046(1995)を参照されたい。しかし、一般的には、MM光ファイバーへの入射条件とMMファイバーにおけるモード結合が制御できないから、MM光ファイバーにおける増幅実験では、形態上の分散のために好ましくないパルスの広大が起こり、回折限界にない出力となる。
【0007】
最近、Griebnerらは、“Efficient laser operation with nearly diffraction-limited output from a diode-pumped heavily Nd-doped multimode fiber, Optics Letters, Vol.21,pp.266-268(1996) の論文で、ファイバー長さを15mmより短く保ち、光ファイバーの基本モードに対するフィードバック量を最大に選んだとき、近似的に回折が制限された出力ビームをMMファイバー・レーザーから得ることができると述べている。しかし、用いるMMファイバーには数万のモードがあるから、この手法では厳密なモード結合を達成することが一つの問題である。また、モード選択を選択するとき、MMファイバーの端面とレーザー鏡との間の空隙も問題である考えられる。かくして、形態的な識別ができなくなり、その結果ビームの質が劣ることになる。
【0008】
DiGiovanniらの米国特許第5,187,759号には、ファイバーコアの中心近くの何らかの活性イオンを選択的に励起するか、閉じ込めるかすることにより、MMファイバー中の増幅された自然発光(ASE;amplified spontaneous emission)を減少させることができることが示されている。MM光ファイバーにおける低次モードの重畳は、ファイバーコアの中心近くの活性イオンに関して最も大きいので、何らかのASEはMMファイバーの低次モードで著しく発生する。結果として、ASEは高次モードでは発生しないから、ASEの発生量はMMファイバーでは大きく減少する。しかし、DiGiovanniの記述では、ドーパントの閉じ込めはASEの減少に関してのみである。DiGiovanniは、モード散乱が存在する場合、ドーパントの閉じ込めによりSM励起下にあるMMファイバーの基本モードのビーム品質を高めることができることについては述べてはいない。また、DiGiovanniのシステムでは、ドーパントの閉じ込めにより誘起される利得ガイドによって、MMファイバーにおける基本モードを効果的に導くことができるということを考慮していない。これはさらにSMの動作のみならず、MMファイバーに於いてもASEを減少させることになる。
【0009】
実際、DiGiovanniらのシステムは、回折限界にない出力ビームのMM信号源と考えられるので、実用的ではない。さらにドープされたファイバーに対してはクラッドは単層と考えられる。このことは光ファイバーに高出力半導体レーザーを結合することを試みるときには不利になる。MMファイバーに高出力半導体レーザーを結合するためには、先に述べたMaurerの特許に示唆されているように、二重クラッド構造が有利である。
【0010】
発明者らの知る限りでは、利得ガイドが光ファイバーに使われたことはない。一方、利得ガイドは従来の半導体または固体レーザーではよく知られている。例えば、Harterらの論文“Alexandrite-laser-pumped Cr3+:LiSrAlF6”, Optics Letters, Vol.17,pp.1512-1514(1992)を参照されたい。事実SMファイバーにおいては、導波路構造によって基本波のモードが著しく制限されるために利得ガイドは不適切である。しかしMM光ファイバーにおいては、導波路構造による基本波モードの制限は緩く、利得ガイドを装着することができる。MMファイバーのコアの大きさが大きくなるにつれて、ファイバー中の光の伝播は、近似的に自由空間の伝播に近づく。かくして、モード結合を十分小さくできるので、利得ガイドには著しい効果が期待される。
【0011】
高いパルス・エネルギーが得られることのほかに、MM光ファイバー増幅器は、MMファイバー増幅器に比してファイバー断面積が大きいので、非常に大きいピーク強度のパルスを増幅することにも使える。Fermannらが、米国特許出願第08/789,995号(1997年1月28日出願)で述べているように、ドープされていないMMファイバーとMM増幅ファイバーとは、パルスの圧縮にも使う事ができる。しかし、この仕事はスペクトルのプロファイルを奇麗にする(これはシステムの全体の効率を制限することになる)非線型スペクトル・フィルターと組み合わせて、ソリトン・ラマン圧縮器として用いることに限定されている。
【0012】
Kafkaらの米国特許第4,913,520号で明らかにされたように、SMファイバーでパルスを圧縮することと比較して、ファイバーのモードの大きさが大きいため、MMファイバーではより大きなパルス・エネルギーが得られる。特に2.5より大きいV値と、コアとクラッドと間の比較的大きい指数の回折(すなわち、Δn>0.3%)とが、効果は大きい。“Generation of high-energy 10-fs pulses by a new pulse compression technique”, Conference on Laser and Electro.-Optics, CLEO 91,Paper CtuR5, Optical Society of America Technical Digest Series, #9, pp.189-190(1996)の論文で、M.Nisoliらは、中空コア・ファイバーは基本波モードの大きさを大きくできるので、パルス圧縮に中空コア・ファイバーが使えると述べている。しかし、中空コア・ファイバーは本質的に透過損失があるので、気体を封入する必要があり、透過損失を最小にするには真直に保つことが必要である。このために、これらを実用に供することは難しい。
【0013】
Galvanauskasらの米国特許第5,499,134号で明らかにされているように、高強度パルスを得る代替法として、チャープ・ファイバー・ブラッグ格子を伴うチャープ・パルス増幅器が用いられる。この技術の限界の一つは、圧縮格子において限定されたコア面積を持つSMファイバーが用いられていることである。大きなパルス・エネルギーは、パルス圧縮のための、縮小されたモード結合を有するMMファイバーにチャープ・ファイバー・ブラッグ格子を用いることである。事実、最近、Strasserらは、“Reflective-mode conversion with UV-induced phase gratings in two-mode fiber”, Optical Society of America Conference on Optical Fiber Communication, OFC97,pp.348-349, (1997) の論文の中で、チャープされていないファイバー・ブラッグ格子を二重モードファイバーで示している。これらの格子はモード変換器(すなわち基本モードと高次モードを結合する)として使うことが出来るようにブレーズされている。パルス圧縮器としてブラッグ格子を使うためには、反射光中の高次モードの励起を最小にする必要があり、格子はブレーズされていてはならない。
【0014】
SM信号はMMファイバー構造に結合でき、数メートルで100秒の伝播長さとして保存されることはよく知られている。例えば、Gamblingらの論文“Pulse dispersion for Single-Mode Operation of Multimode Cladded Optical Fibers”, Electron Lett., Vol.10, pp.148-149,(1974)と、“Mode conversion coefficient in optical fibers”, Applied Optics, Vol.14, pp.1538-1542,(1975)とを参照されたい。しかし、Gamblingらは、液体コアのファイバーにおいてのみモード結合は低水準であることを見出した。一方、MM固体コア・ファイバー中のモード結合は厳しいことが見出されており、mm台の長さのファイバーの中でのみ基本モードの伝播ができる。Griebnerらの業績のように、Gamblingらは、10,000またはそれ以上のモードを維持できるMM固体コア光ファイバーを使った。
【0015】
関連した仕事で、Glogeは、“Optical Power Flowin Multimode Fiber”, The Bell System Technical Journal, Vol.51, pp.1767-1783,(1972)の論文で700モードを維持できるMMファイバーの利用について報告している。この論文ではモード結合は十分短縮されており、長さ10cmのファイバー上のSM伝播が可能である。
【0016】
しかし、Glogeは長い波長(1.55μm)でMMファイバーを動作させること、および全モード数を700以下に縮小することにより、モード結合を縮小できることについては述べていない。また、この論文では増幅器としてMMファイバーを使うこと、MMファイバーの非線形性を使うことについては考慮されてはいない。
【0017】
発明者らは、SM信号を増幅するためにMMファイバーを使う先行技術(出力は主として基本モードに留まっている)については注目していない。その第一の理由は、MMファイバーにおける増幅が光電話回線の領域のような長距離の信号伝播には不適合であることである。発明者らはまた、多重モードファイバーにおけるパルスの圧縮に関する先行技術(出力が基本モードに留まっている)にも関心がない。
【0018】
上述の文献、特許および特許出願は、参考文献として本明細書中で参照されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、好ましくない非線形性と利得飽和とが始まる前に、光ファイバー増幅器にエネルギーを蓄積する能力を大きくし、単一モード(SM)ファイバーで達成できるより大きいピーク強度およびパルス・エネルギーを発生させることである。
【0020】
本発明の他の目的は、増幅された自然発光(ASE)を減少させるときに、多重モード(MM)ファイバーの中で基本モードの増幅をすることである。本発明の更なる目的は、基本モードの安定性を改善するためMMファイバーに利得ガイドを用いることである。それに加えて、本発明の目的は、回折限界に近い出力を保持しながら、ピーク強度が大きいパルスを数ピコ秒からフェムト秒の範囲に圧縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するために、本発明では光学増幅装置に多重モード光ファイバーを用いる。本発明に従えば、MM光ファイバー、すなわち約2.5より大きいV値を持ったファイバーは基本モードの出力を出すことが出来る。このことにより、好ましからざる非線形性と利得飽和を修正する前に、SMファイバーより大きいピーク強度とパルス・エネルギーを発生することが出来る。ファイバーの断面積を増すことは、光ファイバー増幅器におけるエネルギー蓄積能力を非常に大きくすることと等しい。本発明の増幅システムは超高速で高強度のパルスの発生源が必要な場合に役に立つものである。
【0022】
本発明の一つの視点に立てば、利得媒質はMMファイバーの中心にあるから、基本モードが選択的に増幅され、自然発光が減少する。さらに利得を制限することにより、利得ガイドによって大きな断面積を持つファイバー中の基本モードを安定にする。本発明の一つの実施例によれば、自己位相変調と、(希土類を)ドープした、またはドープしないMMファイバーにおける非線形性とを利用することにより、近似的な回折制限出力を保存しつつ、大きいピーク強度のパルスを数ヘムト秒の範囲まで圧縮することが出来る。
【0023】
本発明の他の実施例によれば、縮小されたモード結合を持ったMM光ファイバーにチャープ・ファイバー格子を書き込むことにより、高強度光パルスの線形パルス圧縮に対する強度限界は著しく大きくなる。さらに二重クラッドMMファイバー増幅器を利用することにより、比較的大面積の高出力半導体レーザーでポンピングすることが可能になる。
【0024】
本発明の更なる他の実施例によれば、完全なモード・フィルターを組み込むことにより、(希土類を)ドープしたMM光ファイバーから得られる、回折限界に近い単一モードの中の連続波を消すことが出来る。本発明の更なる他の実施例によれば、MM光ファイバーはファイバー光再生増幅器と高出力のQスイッチレーザーを構成することができる。さらに、MM光ファイバーを用いて、比較的弱い吸収断面積を持つドーパントを使ったクラッド−ポンプファイバー・レーザーを設計することができる。
【0025】
本発明のこれらの目的および実施態様、または他の目的および実施態様は、次に詳細に示す好ましい実施例と関連する図面から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1図1は、本発明の実施例1としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの模式図である。
【図2】図2は、多重モード増幅ファイバーをモード・フィルター・ファイバーに結合するときの効率を、多重モード増幅ファイバーの曲率の関数として示すグラフである。
【図3】図3は、最適のモード結合条件下で測定した多重モード増幅ファイバーから得られる増幅されたパルスの自己相関を示したグラフである。
【図4】図4は、最適条件ではないモード結合条件下で測定した多重モード増幅ファイバーから得られる増幅されたパルスの自己相関を示したグラフである。
【図5】図5図5は、本発明の実施例2としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムのブロック図である。
【図6】図6は、本発明の実施例3としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムのブロック図である。ここではパルス圧縮器が多重モードファイバーの出力端に配置されている。
【図7】図7図7は、本発明の実施例4としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施例5としての光学増幅装置に採用されている、ドープした多重モードファイバー・コアとドープされないファイバー・クラッドとを用いたファイバー断面の概念を示した模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施例6としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの構成を示す模式図である。ここでのファイバー再生増幅器は多重モードファイバー増幅器から構成されている。
【図10】図10は、本発明の実施例7としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅システムの構成を示す模式図である。ここではMM−Qスイッチ・ファイバー・レーザーが構成されている。
【図11】図11は、本発明の実施例8としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅器システムの構成を示すブロック図である。ここでは多重モードファイバーの前に前置増幅器が挿入されている。
【図12】図12は、本発明の実施例9としての光学増幅装置である多重モードファイバー増幅器システムの構成を示すブロック図である。ここでは多重モードファイバーの出力側に周波数変換器が配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の光学増幅装置の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0028】
[実施例1]
図1に、本発明の実施例1としての光学増幅装置の構成を示す。図1に示される例では、エルビュウム・ファイバー発振器のようなフェムト秒単一モード(SM)ファイバー発振器10は、エルビウム/イッテルビウム・ファイバー増幅器のような多重モード(MM)ファイバー発振器12に結合されている。これに適合するMMファイバー増幅器の他の例には、Er,Yb,Nd,Tm,PrまたはHoイオンをドープされたものが含まれる。このシステムに利用するのに適合する発振器は、上に述べたFermannらの米国特許出願第08/789,995号に記載されている。
【0029】
二つのレンズを持つ望遠鏡14(L1,L2)は、発振器10のモードをMM増幅器12の基本モードに合わせるために使われる。更に、ポンプされたMMファイバー12の出力は、レンズL3,L4を使って、第二のSMファイバー(図1におけるモード・フィルター(MF)ファイバー16)に移される。レンズL3,L5およびビーム分離器18は、以下に述べるように、ポンプ源20から発生するポンプ光を増幅器ファイバーに結合するために使われる。
【0030】
図1にしたがったシステムの配置の例では、その発振器10は出力レベル14mW、波長1.56μm繰り返し周波数100MHzで、300フェムト秒の近似的にバンド幅が限定されたパルスを射出する。増幅ファイバー12は、例えば、コア直径約28μm、コアの開口数NA=0.19の二重クラッドMMエルビウム/イッテルビウム増幅器であり得る。この例での内側クラッドは直径約220μmで開口数NA=0.24である。そのコアは内部クラッドの中心に位置する。増幅器の長さは1.10mである。
【0031】
MM増幅器12における伝播モード数を増やし、テストをする目的で、780nmと633nmの短い波長を使った。ここで、780nmで動作するフェムト秒レーザー光源と633nmの連続波レーザー光源とは、MM増幅ファイバー12にレーザー光を射出することができる。これら二つの波長でSM動作を確実にするために、このMFファイバー16はコア直径4μmのファイバーで置き換えることができる。
【0032】
MM増幅器におけるモードの大約の数Nは、次の数1に示すように、そのV値から計算できる。
【0033】
V=(2πa/λ)NA, モード数N=(1/2)V2
ここで、aはコア直径であり、λは信号の波長である。また、1.55μmにおけるV値はV≒10.8であり、かくして上の例では、モード数は約58と計算される。典型的には、V値が2.41を超えるとき、すなわち基本モードに付加するモードが光ファイバー中を伝播できるとき、ファイバーはMMであると考えられる。
【0034】
Nモードを保証するMMファイバーのNモードと等価な励起に対して、SMファイバーへの最大の結合効率ηは、近似的に次の数2で与えられる。
【0035】
η≒(θ0/θmax)2≒1/N
ここで、θ0≒λ/4aは、MMファイバーの基本波モードの1/2発散角(発散角の半頂角)である。一方、θmaxは、MMファイバー出力の最も外側のモードの1/2最大発散角である。MMファイバーからの出力は、線形に偏光している。このことは、ファイバーにおける最低次のモードの励起にのみ当てはまる仮定である。MMファイバーをSM励起し、モード結合がない場合、θmax(Z)=θ0はファイバー長さと関係がない。しかし、モード結合が存在するときにθmaxは増加する。その結果として、MMファイバーの出力からSMファイバーへの結合効率ηは、η(z)=(θ0/θmax(z))2と共に減少する。なお、先に述べたGlogeの業績では、η(z)は次のように書くことができる。
【0036】
η(z)=θ02/(4Dz+θ02)
ここで、DはGlogeによって定義されたモード結合係数である。かくしてη(z)を測定すれば、モード結合係数Dが求まる。同様にηを測定すれば、上記数2からMMファイバーの励起モードの近似的な数が求まる。回折限界に近い光ビームの質を特徴づけるために使われるM2値に対して、Nを関係づけることが役に立つ。すなわち、N≒√M2であることが示される。
【0037】
本発明にしたがえば、MMファイバー増幅器12の出力である増幅されたビームが本質的に基本モードであるような、低レベルのモード結合が好ましい。したがって、10以下のM2値が好ましく、4以下であればさらに好ましく、2以下であればもっと好ましい。更に、モード数は3〜3000の範囲にあることが好ましく、3〜1000の範囲にあればなお好ましい。
【0038】
モード結合は、上記エルビウム/イッテルビウム・ファイバー(表1中のファイバー1)と三つの市販MMファイバー(表1中のファイバー2,3,4)に対して、1.1mのドープされていない増幅ファイバーで測定された。これらのファイバーのファイバー・パラメーターとモード結合係数D(m-1の単位)は、次の表1に示されている。表1中のファイバー1,3,4は、MCVD法で作られたものである。一方、表1中のファイバー2は、ロッド・イン・チューブ法で作られたものである。
【0039】
【表1】
【0040】
逆に、結合係数からM2値の予測値を計算できる。例えば、計算されたM2値は、1mのMMファイバー12を伝播した後の値を示す。ファイバー1に対して、計算値と分離して測定されたM2値はよく一致した。基本モードのLP01と次の高次モードのLP11との間のビート長さLbは、表1に示してある。ビート長さLbは、伝播方向に沿って二つのモードについて2πの差分位相シフトが重畳する長さと定義される。固定した波長に対し、一定の散乱パワースペクトラムを仮定すれば、DはLb4に比例することを示すことができる。例えば、D.Marcuse,“The Theory of Dielectric Optical Waveguides”, p.238, Academic Press (1974), Glogeを参照されたい。ビート長さが長ければ、密接したモードの位相は一致し、より大きいパワーが長さの関数として付随する。Glogeによって明らかにされたように、モード結合は隣接したモード間で最も大きいと期待できるので、モード結合を避けるためにできるだけ短いLP01/LP11ビート長さを使うことが好ましい。
【0041】
一般的に、高レベルのモード結合は、大きな散乱損失を持つファイバーから得られると期待される。このことから、小さい散乱損失を持つファイバー中の長い波長においては、モード結合係数は小さいことが予測される。表1から解るように、ファイバー1の波長が大きくなると、モード結合は著しく減少する。モード結合の受容できるレベルは、ファイバー1においては、790nm程度に短い波長で達成される。光ファイバーのモード数はa/λにのみに依存するので、56μmほどの大きさのコア直径を持ったファイバーと同様なファイバーによって、1m長さにおけるモード結合を実現できる。より長い波長における散乱を減少させるために、より長い波長ではより大きなコア直径がよい。例えば、Tavernerらによれば、コア直径60μmのMMファイバーはSM増幅器よりも16倍にパルスピーク強度を増幅することができる。表1から解るように、また次に説明することにより、モード結合の許容できるレベルは特別に設計された50μmのコア直径を持つファイバーで得られる。
【0042】
さらに、勾配指数(グレーデッド・インデックス)MMファイバー中の伝播定数はよく似ており、モード結合への感度が著しく増加するので、モード結合を最小にするためには、段階指数(ステップ・インデックス)MMファイバーの方が勾配指数を持つMMファイバーより実用的である。モード結合を最小にするためには、ファイバー・モード間の伝播定数の差を最大にすることが好ましい。
【0043】
上記表1中のファイバー2は、ロッド・イン・チューブ法で製作されたものであって、本質的に散乱損失が大きく、MCVD成長法による上記表1中のファイバー1,3,4に比べて、より大きなモード結合係数を持っている。また、ファイバー2で測定されたモード結合係数は、GamblingらやGriebnerらによって得られた結果と同じである。彼らはロッド・イン・チューブ法で作られた段階指数をもつ固体コアファイバーを用いている。その結果、直接成長技術、例えばMCVD、OVD、PCVDまたはVADなどのファイバー製作技術によるMMファイバーを用いた場合は、モード結合の縮小が期待できる。
【0044】
上記表1に示すように、1.55μmにおいてファイバー4で得られたモード結合係数は、ファイバー3のそれの1/11である。この差は、ファイバー3の外径が125μmであるのに対し、ファイバー4の外径が250μmであることで説明がつく。表1で明らかなように、一般に厚いファイバーは硬く、モード結合を誘発する曲りや微少曲りに対して強い。
【0045】
発明者が行った実験では、最も小さいモード結合係数は縦方向に延ばされた光ファイバーによって得られる。例えば、ファイバー2,3のモード散乱係数は、ファイバーを引っ張り真直に保持して測定された。短い長さのファイバーに張力を加えることは、もっとも良い質のモードを得るのに利用できる。モード結合は、再び図1に示すように、増幅ファイバー(ファイバー1)がポンプされるような配置で測定した。増幅器は980nmの波長で、ブロード・ストライプの半導体レーザー(活性領域:1×500μm)から出射する3W以上の信号に対して反対方向にポンプされた。ここでは、MM増幅ファイバーの内部コアへのパワー結合を最大にするために脱磁をした。見かけのフィードバックを除くために、増幅器を約8°傾けて固定した。1.55μmで、100mW以上の信号出力を増幅システムから取り出した。
【0046】
MFファイバー16に対するMM増幅ファイバー12の結合効率を、MM増幅ファイバー12の曲率の関数として図2に示す。真直なMM増幅ファイバーと10cmの曲率を持ったMM増幅ファイバーについては、MFファイバー16に対しての結合効率は94%以上であるという結果が得られた。そしてモード結合は、MM増幅ファイバー12ではほぼ完全に消失し、SMはSMファイバー中の数mを伝播することができることを示した。5cmの曲率でもモード結合は認められず、この場合でもMM増幅ファイバー12からMFファイバー16への結合効率は約90%である。
【0047】
測定されたMMファイバー12からSMファイバーへの結合効率は、ポンプされない場合とポンプされた場合とではほぼ同じであるので、このような特殊な増幅ファイバーでは利得ガイドは比較的弱いことが明らかである。このような観測結果は単純な計算機モデルによっても得られた(以下を参照)。しかし、MM増幅ファイバー・コアの中心にドーパントが局在していると、基本モードが著しく増幅される。高次モードへ散乱するいずれの光も利得が低下し、基本モードと高次モードとの強度的重畳を縮小するために、より高次のモードにおける散乱光のレベルを低くすれば、基本モードの利得は飽和しない。かくして、上記の実験例では、モード散乱係数は非常に小さかったので利得ガイドによる効果は、簡単には観測されなかった。一般に、本発明によるMM増幅システムでは、利得ガイドが一つの役割を果たす。さらに、上記の計算機モデルでよれば、コア直径の大きいMMファイバーには基本モードの利得ガイドが存在し、そして、あるいは、コアとクラッド間の屈折率の違いが縮小することが予測される。
【0048】
モード直径が増加すると、信号が小さい、すなわち利得飽和がないという条件で、SMの大きさは利得プロファイルで決定できる。このことはモードの大きさが長さに依存することを意味する。小信号下で、モードは利得ガイドによって限定される。利得が飽和すると、MMファイバーのコアによって限定され、利得ガイドはより関係なくなり、モードの大きさを大きく出来る。ファイバーの長さに沿って先細になった(テーパーした)コアを用いることにより、長さに依存したモードの大きさが実現できる。このことは、例えばファイバーの長さ方向に沿ってファイバーの外径を先細りにすることにより実現できる。
【0049】
利得ガイドが存在すると、MMファイバーは本質的にSMになり、増幅された自発光(ASE)は減少する。利得ガイドが存在すると、ASEはMMファイバーのすべての可能なモードよりも、むしろ基本モードに誘導され、MMファイバーの雑音の性質が改善される。同様に、実験例では、ドーパントを制限すると、ファイバーにおいて増幅された自発光(ASE)レベルは著しく減少することが観測された。このことはMMファイバー12からMFファイバー16へのASEの結合効率を測定することにより証明できた。1mWのASEの強度レベルに対して、結合効率は15%と高い測定値が得られた。上記数2と比較すると、ASEは主として13次数低いモードで発生する(このうち半分は分極が減少したためと考えられる)。すなわち、ASEは、増幅ファイバーの全モード体積の約20%で起きる。ASEが大きく減少することが観測され、これによって増幅器における雑音レベルが下がり、またASEのレベルを低くすることにより、増幅器を飽和するのに要求される信号強度も減少する。発振増幅器の信号パルス源から最も大きいエネルギーを引き出すためには、一般的に、増幅器は飽和状態で動作するのが良い。
【0050】
小さな機械的揺動をファイバーに加えても、1.55μmと780nmにおけるMMファイバー12からMFファイバー16に対する結合効率は変わらないことが解った。実際の光学システムにおいて、加えられた機械的揺動は5cmの曲率により加えられる揺動に比べて小さいものである。このことは、このようなファイバーにおいて、モード伝播パターンの長時間安定性が実現できることを示している。
【0051】
MMファイバー12では、10cm程度の小さい曲率半径に対しても分極が保存されている。高度な分極を保持するために、このようなファイバーには楕円ファイバー・コアあるいは熱応力が利用される。最適のモード結合と最適条件から外れたモード結合とで、それぞれ測定されたMM増幅ファイバー12(曲率半径10cm)からの増幅されたパルスの自己相関を、それぞれ図3および図4に示す。最適条件から外れたモード結合での自己相関には、種々の伝播定数をもつ高次モードの励起のため、いくつかのピークが現れる。しかし、最適モード結合の条件下では、いずれの二次ピークも1%以下に抑えられている。このことは、MMファイバーからの出るパルスは高品質であることを示している。
【0052】
一般的に、MMファイバーの出力端で測定されたパルスのスペクトラムは自己相関よりも極端に結合条件に依存する。この理由はスペクトル測定が基本モードと高次モードとの間の位相に敏感であることにある。すなわち、MMファイバーの出力に1%の高次モードのエネルギーを含むとスペクトラム形状は10%揺動する。
【0053】
[実施例2]
本発明の実施例2としての光学増幅装置は、図5のブロック図に示すように、多重モード増幅システムである。このシステムには、回折限界に近い入力ビーム、モード変換器50およびMMファイバー増幅器52が含まれている。回折限界に近いビームは任意のレーザー・システムから得る事が出来る。これはファイバー・レーザーである必要はない。回折限界に近いビームは、連続波またはパルス状輻射を含むことが出来る。モード変換器50は、MM増幅器52のモードを整合することが出来る任意の光学的イメージングシステムから成っている。例えば、レンズ・システムを用いることも出来るだろう。
【0054】
逆に、先細りファイバーの先端の出力に置けるモードがMM増幅ファイバー52のモードと一致するような先細りファイバーの切片を利用することも出来る。この場合、非常に小型にするために、モード変換器は直接MMファイバー52に接続する事が出来る。MMファイバーに対するポンピング配列は、信号方向または側面ポンピングと逆方向または同方向にすることができる。同様にポンプ光のNAは、最小のASEに縮小できる。この場合、ポンプ光が直接ファイバー・コアに導かれるよう、単層クラッド・ファイバーを使うとさらに有利である。一般的に、MMファイバーには、単一、二重、多重のクラッドが採用されている。
【0055】
同方向ポンピングの場合、ポンプ光と信号光とは、二色性のビーム分離器(図示せず)に入射する。結合光学系は、ポンプ・ビームと信号ビームとの結合を同時に最適にするために最適化される。MMファイバー52を通った信号の単一と二重の光路には便益性がある。二重光路の場合、ファラデー回転鏡によりシステムの分極移動を除く事が出来る。勿論、二重光路構成では増幅器を最初に通ったあと、出力が回折限界に近いことを確実にするため、信号と高次モードとの結合を避けねばならない。
【0056】
随時、線形または非線形の光学素子をシステムの出力端に使う事が出来る。このようなシステムは、従来のレーザー・システムと接続して使われるいずれの応用例とも互換性がある。非線形を応用する多くの場合、十分の動作をさせるためには大きなピーク・パルスの出力が必要である。このことは、クラッドされたポンプSMファイバー増幅器で実現する事は難しい。なぜなら、通常このようなシステムでは、1/10mオーダーのファイバーが使われているからである。標準的なSM光増幅器においても、1kW/(増幅器の長さ)以上のピーク強度は希にしか実現されない。逆に、約15kWのピーク強度が、非線形効果がない状態で、1.5m長さの二重クラッドEr/Ybファイバー(上記表1のファイバー1)で得られる。すなわち、20kW/(増幅器長さ)以上のピーク強度を実現できる。
【0057】
本発明に従えば、MM増幅器を利用することは、大きなコア直径を利用できるということのために便利である。すなわち、MM増幅器を利用することにより、(クラッディング)/(ドープ・コア直径)の比を小さく出来る。そしてこのことにより増幅器の長さと非線形性とを最小にすることができる。しかしこのことはASEノイズを更に発生させることになる。
【0058】
[実施例3]
本発明の実施例3としての光学増幅装置は、図6のブロック図に示すように、多重モードファイバー増幅システムである。実施例3のシステムおいては、増幅器の出力パルスを圧縮するため拡張されたスペクトルが得られるように、高出力光パルスをドープされない(あるいは増幅する)MMファイバー中を伝播(または増幅)させることが出来る。非線形パルス圧縮を応用するため、正の(ソリトンを保持しない)あるいは負の(ソリトンを保持する)分散が利用される。かなりの量の自己位相変調を得るため、多重モードファイバー60における強度レベルは上げられる。光ファイバーにおける分散と自己位相変調が、光パルスのスペクトラムを広げ、パルス圧縮をするために用いられる。
【0059】
MMファイバー60がソリトンを保持するとき、高次のソリトンを圧縮することは、MMファイバー60から、直接、短いパルスを得るために使われる。一般に正の分散の場合(ソリトンを保持しない)、スペクトル的に広がった光パルスを圧縮するために、付加的な線形あるいは非線形な圧縮されたパルス成分を使わなければならない。この場合、従来の線形パルス圧縮器62(プリズム、格子、グリスムあるいはSMチャープ・ファイバー・ブラッグ格子のような)は、光学増幅装置の出力端で使われる。チャープし周期的な極性を持った二重結晶が、圧縮され周波数が二倍になったパルスを得るために使われる。同様にチャープ・ファイバー格子は、このような構造が線形パルス圧縮器62に適用されたとき、その非線形性を縮小するために、縮小されたモード結合をもつMM光ファイバー60に書き込まれる。反射の高次モードの励起を除くためには、ブラッグ格子はブレーズされていてはならない。
【0060】
[実施例4]
図7は、本発明の実施例4としての光学増幅装置の構成を模式的に示したものである。図7に示すように、モード・フィルター70は、システム(光学増幅装置)の回折限界の出力を確実にするために、空洞鏡M1,M2の一つの前に挿入されている。モード・フィルター70は、適切にモード整合された光学系とつながった標準的なSMファイバーから成っている。替わりに、先細りファイバーをモード整合のために(上記の検討のように)使う事が出来る。最適のモード整合のために、レーザーの効率は全てのSMレーザーと略同程度である。しかし、MM増幅器76を使えば設計の余裕度が増す。異なったコア・クラッディング比を持った二重クラッドのエルビウム/イッテルビウム・ファイバーを、何処にでも適当に利用する事が出来る。
【0061】
[実施例5]
本発明の実施例5としての光学増幅装置では、図8に示すように、MMファイバーを使うことにより、小さい吸収断面積の二重クラッド・ファイバーを設計する事が出来る。例えば、二重クラッドErドープ増幅ファイバーはMMファイバーから構成することが出来る。SMファイバーを遮光している間に、大面積のダイオード・レーザーからのポンプ光を吸収するためには、大きなクラッディング/コア比を用いなければならないので、典型的なErドープ二重クラッド・ファイバーは、比較的効果が薄い。通常、このような設計では、クラッディングの直径がΦcl=100μm、コアの直径がΦco=10μmになる。この構造での有効な吸収量は単一モードErドープ・ファイバーの吸収量の100分の1(=Φcl/Φco)2である。しかし、MMErドープ・ファイバーを装備する事により、コアの大きさを著しく大きくでき、クラッディング/コアの比は小さくなり、増幅器長さもより短くなる。このことは高出力レーザーを設計するには非常に有益である。
【0062】
勿論、高出力Er二重クラッドレーザーを設計するために、クラッディングの直径を100μmより大きくすることができる。ドープされたMMファイバー・コアとドープされないファイバー・クラッディングとを用いたファイバー断面の概念図は、図8に示す通りである。図8に示すように、ドーパント・プロファイルにより明らかなように、活性ドーパントは断面に閉じ込められている。これは屈折率プロファイルにより定義されるように、ファイバー・コアより本質的に小さい。勿論、このようなレーザー・システムにおいて、ドーパントの局在は増幅器長を長くするので、ドーパントの局在はあまりない方が有益である。
【0063】
[実施例6]
本発明の実施例6としての光学増幅装置では、図9に示すように、ファイバー再生増幅器はMMファイバー増幅器90から構成されている。再生増幅器は、MMファイバー増幅器からmJのエネルギーを得るのに利用できる。MMファイバー増幅器の限られた利得のために、mJのエネルギーを引き出すには増幅器を通る幾つかの経路が必要である。このことは再生増幅器を使うことにより容易になる。図9に示すように、高速な光学スイッチ(OS)92は再生増幅器の入力パルス、出力パルスの切り替えに使われる。モード・フィルター94は、ファイバー・モードを“清浄”にするために、増幅過程に抱合させる事が出来る。モード・フィルター94は再生増幅器におけるいずれの非線形性も最小にするための空間フィルターから構成できる。
【0064】
種パルスは、要求される繰り返し率を持った光学スイッチ92によって動作する発振器96から選択できる。ファラデー回転子98および偏向ビーム分別器99は、システムからの増幅されたパルス出力と種パルスとを結合するために用いられる。増幅器の連続波かパルス状のポンピングかが利用できる。
【0065】
[実施例7]
本発明の実施例7としての光学増幅装置では、図10に示すように、MM−Qスイッチのあるファイバー・レーザー源が構成されている。MMファイバーを有する事により大きな断面積が可能になるので、単一モードファイバーに比較してエネルギー蓄積量が増加する。この結果、高強度のQスイッチされたパルスを直接このようなシステムから発生させる事が出来る。通常、これらのパルスの持続時間はナノ秒範囲にある。図10に示すように、最適なモードの質を保証するためにモード・フィルター100を用いる事が出来る。光学スイッチ102は、出力の結合のために用いられ、これはまた、二つの鏡M1,M2とMMファイバー104とによって限定される空洞の損失(Q)を変調するためにも役に立つ。半透過鏡M2は出力を引き出す事にも使うことが出来る。
【0066】
[実施例8]
本発明の実施例8としての光学増幅装置では、図11に示すように、MM増幅ファイバー112を十分に飽和させ、MM増幅ファイバー112におけるASEのレベルを減少させるために、MM増幅ファイバー112の前方に前置増幅器110が組み込まれている。前置増幅器は、SMともMMともすることができ、ASEの成長を最小にするためには、前置増幅ファイバー110のコア直径を最終のMM増幅ファイバー・コアの直径より小さく選ぶことが有用である。一つのアイソレータ(図示せず)をレーザー源と前置増幅器との間に挿入することができ、ASEを更に減少させるために、他のアイソレーターを前置増幅器110と最終のMM増幅ファイバー112の間に挿入することができる。同様にASEを減少させるため、狭いバンドの光フィルター(図示せず)をシステムの任意のところに挿入することができる。また、ASEの総量を減少させるために、光学スイッチ(図示せず)をレーザー源と前置増幅器110および最終増幅器112の間に用いることができる。
【0067】
一つ以上の前置増幅器をこのシステムに使うことができる。ここでは、システムで発生するASEの総量を最小にするために、アイソレーターと光フィルターと光学スイッチを使うことができる。さらに、前置増幅器と最終MM増幅器とにおける非線形過程をパルス圧縮のために使うことができる。
【0068】
[実施例9]
本発明の実施例9としての光学増幅装置では、図12に示すように、増幅された出力ビームの周波数を変換するために、MM増幅ファイバー122の下流に周波数変換器120が置かれている。周波数変換器としては、出力ビームの周波数を2倍にする周期的なあるいは非周期的な極性を持つLiNbO3結晶のような非線形結晶を使うことができる。
【0069】
[付記]
以上、幾つかの実施例を図示しこれについて説明をしたが、当業者によれば、本発明の思想および視点を離れずにこれらの技術の修正や変形が可能であることが認識できる。そして、本明細書の冒頭にある請求範囲によって発明を定義することにしたい。
【符号の説明】
【0070】
10:単一モード(SM)ファイバー発振器
12:多重モード(MM)ファイバー発振器、MM増幅ファイバー
14:望遠鏡(テレスコープ)
16:モード・フィルター(MF)ファイバー
18:ビーム分離器(ビーム・スプリッター)
20:ポンプ源
50:モード変換器 52:MMファイバー増幅器
60:多重モードファイバー 62:線形パルス圧縮機
70:モード・フィルター 76:MM増幅器
90:MMファイバー増幅器 92:光学スイッチ(OS)
94:モード・フィルター 94:空間フィルター
96:発振器 98:ファラデー回転子
99:偏光ビームスプリッター
100:モード・フィルター 102:光学スイッチ
104:MMファイバー
110:前置増幅器、前置増幅ファイバー 112:MM増幅ファイバー
120:周波数変換器 122:MM増幅ファイバー
L1〜L5:レンズ M1,M2:空洞鏡(キャビティー・ミラー)
M1:二色鏡(ダイクロイックミラー) M2:半透過鏡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザシステムであって、
第1端部を有する所定長のドープされた多重モードファイバーと、
前記ドープされた多重モードファイバーをポンプするポンプ源と、
第2端部を有する所定長の単一モードファイバーと、
前記多重モードファイバーと前記単一モードファイバーとを含むレーザ・キャビティを生成するように配置された反射器とを備え、
前記ドープされた多重モードファイバーは前記単一モードファイバーよりも大きなコアを有し、前記単一モードファイバーの単一モードが前記多重モードファイバーの基本モードファイバーの基本モードに整合され、前記単一モードファイバーはモードフィルタとして作用し、前記レーザシステムの出力信号が本質的に回折限界であるように、前記単一モードファイバーの前記第2端部は前記多重モードファイバーの前記第1端部に対して配置され、
前記単一モードファイバーの前記単一モードと前記多重モードファイバーの前記基本モードとの整合がモード整合要素によって行われるレーザシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザシステムにおいて、前記ドープされた多重モードファイバーはクラッディング・ポンプされるレーザシステム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記ドープされた多重モードファイバーは二重クラッドを含むレーザシステム。
【請求項4】
請求項1−3のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記モード整合要素はレンズシステムであるレーザシステム。
【請求項5】
請求項1−3のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記モード整合要素はテーパ状のファイバーであるレーザシステム。
【請求項6】
請求項1−3のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーの前記第1端部は前記単一モードファイバーの前記第2端部に溶融結合されているレーザシステム。
【請求項7】
請求項1−6のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記反射器は鏡、ファイバー・ブラッグ格子、またはバルク格子の少なくとも1つを含むレーザシステム。
【請求項8】
請求項1−7のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーは折り曲げられているレーザシステム。
【請求項9】
請求項1−8のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記レーザ・キャビティ内に配置された光スイッチをさらに備え、前記光スイッチは前記レーザ・キャビティのQスイッチを可能にするレーザシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のレーザシステムにおいて、前記光スイッチはさらにレーザ光の出力の結合を用いているレーザシステム。
【請求項11】
請求項1−10のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーは15μmより大きな直径のコアを有するレーザシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のレーザシステムにおいて、前記単一モードファイバーは前記多重モードファイバーの一端に溶融結合されているレーザシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モード・ファイバは前記溶融結合部でテーパ状になっているレーザシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のレーザシステムにおいて、前記単一モード・ファイバは前記溶融結合部でテーパ状になっているレーザシステム。
【請求項15】
請求項1−14のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーはコア端を備え、前記多重モードファイバーの利得媒体は前記多重モードファイバーのコア内の中心部に集中しているレーザシステム。
【請求項16】
請求項1−15のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーは偏光保存性を有するレーザシステム。
【請求項17】
請求項8に記載のレーザシステムにおいて、折り曲げられた前記多重モードファイバーの折り曲げ半径は5cm−50cmであるレーザシステム。
【請求項18】
ファイバー・レーザシステムであって、
本質的に回折限界に近い出力信号を生成する請求項1−17のいずれか1項に記載のレーザシステムと、
前記レーザシステムの下流に配置されるとともに、前記レーザシステムからの前記回折限界に近い出力信号を受ける多重モードファイバー増幅器であって、前記多重モードファイバー増幅器は前記多重モードファイバー増幅器の出力が前記多重モードファイバー増幅器の本質的に基本モードである多重モードファイバー増幅器とを備えるファイバー・レーザシステム。
【請求項1】
レーザシステムであって、
第1端部を有する所定長のドープされた多重モードファイバーと、
前記ドープされた多重モードファイバーをポンプするポンプ源と、
第2端部を有する所定長の単一モードファイバーと、
前記多重モードファイバーと前記単一モードファイバーとを含むレーザ・キャビティを生成するように配置された反射器とを備え、
前記ドープされた多重モードファイバーは前記単一モードファイバーよりも大きなコアを有し、前記単一モードファイバーの単一モードが前記多重モードファイバーの基本モードファイバーの基本モードに整合され、前記単一モードファイバーはモードフィルタとして作用し、前記レーザシステムの出力信号が本質的に回折限界であるように、前記単一モードファイバーの前記第2端部は前記多重モードファイバーの前記第1端部に対して配置され、
前記単一モードファイバーの前記単一モードと前記多重モードファイバーの前記基本モードとの整合がモード整合要素によって行われるレーザシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザシステムにおいて、前記ドープされた多重モードファイバーはクラッディング・ポンプされるレーザシステム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記ドープされた多重モードファイバーは二重クラッドを含むレーザシステム。
【請求項4】
請求項1−3のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記モード整合要素はレンズシステムであるレーザシステム。
【請求項5】
請求項1−3のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記モード整合要素はテーパ状のファイバーであるレーザシステム。
【請求項6】
請求項1−3のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーの前記第1端部は前記単一モードファイバーの前記第2端部に溶融結合されているレーザシステム。
【請求項7】
請求項1−6のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記反射器は鏡、ファイバー・ブラッグ格子、またはバルク格子の少なくとも1つを含むレーザシステム。
【請求項8】
請求項1−7のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーは折り曲げられているレーザシステム。
【請求項9】
請求項1−8のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記レーザ・キャビティ内に配置された光スイッチをさらに備え、前記光スイッチは前記レーザ・キャビティのQスイッチを可能にするレーザシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のレーザシステムにおいて、前記光スイッチはさらにレーザ光の出力の結合を用いているレーザシステム。
【請求項11】
請求項1−10のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーは15μmより大きな直径のコアを有するレーザシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のレーザシステムにおいて、前記単一モードファイバーは前記多重モードファイバーの一端に溶融結合されているレーザシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モード・ファイバは前記溶融結合部でテーパ状になっているレーザシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のレーザシステムにおいて、前記単一モード・ファイバは前記溶融結合部でテーパ状になっているレーザシステム。
【請求項15】
請求項1−14のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーはコア端を備え、前記多重モードファイバーの利得媒体は前記多重モードファイバーのコア内の中心部に集中しているレーザシステム。
【請求項16】
請求項1−15のいずれか1項に記載のレーザシステムにおいて、前記多重モードファイバーは偏光保存性を有するレーザシステム。
【請求項17】
請求項8に記載のレーザシステムにおいて、折り曲げられた前記多重モードファイバーの折り曲げ半径は5cm−50cmであるレーザシステム。
【請求項18】
ファイバー・レーザシステムであって、
本質的に回折限界に近い出力信号を生成する請求項1−17のいずれか1項に記載のレーザシステムと、
前記レーザシステムの下流に配置されるとともに、前記レーザシステムからの前記回折限界に近い出力信号を受ける多重モードファイバー増幅器であって、前記多重モードファイバー増幅器は前記多重モードファイバー増幅器の出力が前記多重モードファイバー増幅器の本質的に基本モードである多重モードファイバー増幅器とを備えるファイバー・レーザシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−55362(P2013−55362A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274588(P2012−274588)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2007−146684(P2007−146684)の分割
【原出願日】平成10年6月23日(1998.6.23)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2007−146684(P2007−146684)の分割
【原出願日】平成10年6月23日(1998.6.23)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
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