説明

光学変調回路、光学変調装置、画像表示装置、画像形成装置および光学変調方法

【課題】消費電力が大きくなるという問題を解決する光学変調回路を提供する。
【解決手段】包絡線検波回路112は、入力端子111に入力された入力信号の包絡線を検波する。除算回路113は、入力端子111に入力された入力信号を、包絡線検波回路112の検波結果で除算する。出力端子114は、包絡線検波回路112の検波結果を、AOM103に光束31を変調させるためのAOM変調信号として出力する。出力端子115は、除算回路113の除算結果を、LD101が発する光束31を変調するためのLD変調信号として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学変調回路、光学変調装置、画像表示装置および画像形成装置に関し、特には、入力画像信号に基づいてレーザダイオード(半導体レーザ)などの発光素子と音響光学素子などの光変調素子を変調駆動して出力光強度を変調する場合に好適な光学変調回路、光学変調装置、画像表示装置、画像形成装置および光学変調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ方式の画像表示装置では、ハロゲンランプが光源として用いられていた。しかしながら、近年では、レーザダイオードを用いた光源が開発されたため、このレーザダイオードを光源とする画像表示装置が実用化されている。このような画像表示装置では、光源から発せられた直進性の高い光束(レーザビーム光)が走査ミラーなどの走査用デバイスでスクリーン上に走査及び投影されることで、画像がスクリーン上に表示される。
【0003】
このような画像表示装置で画像の階調を表現するためには、光源から発せられる光を変調する必要がある。この変調方法の一つとして、レーザダイオードを駆動する駆動電流を制御することで、光源が発する光の出力光強度を直接変調する方法がある。また、レーザプリンタや複写機などの画像形成装置においても、レーザビーム光で画像の書込みを行うためにレーザダイオードが光源として用いられているが、一般に、レーザダイオードの駆動電流が直接変調される。
【0004】
レーザダイオードでは、ある値以上の電流(閾値電流)が流れると、光束を発する。レーザダイオードは、温度変化や経時変化により、駆動電流に対する出力光強度が変動するため、レーザダイオードを定電流で駆動しても出力光強度が変動するという問題点がある。なお、この問題点には、特に、温度変化や経時変化による閾値電流の変動が大きく関わる。
【0005】
通常、この問題点を改善するために、自動光量調整(Automatic Power Control:APC)機能が用いられている。自動光量調整機能では、レーザダイオードの出力光強度が検出され、この検出結果に基づいて駆動電流が制御される。
【0006】
一般に、自動光量調整機能を用いる画像表示装置や画像形成装置では、入力画像信号の各フレーム期間に含まれる非表示期間(ブランキング期間)中に、光量を調整するための調整用電圧が生成され、かつ、ホールド回路で保持される。また、画像表示期間中に、そのホールド回路で保持された調整用電圧に応じた駆動電流がレーザダイオードに供給される。
【0007】
このような自動光量調整機能を用いてレーザダイオードの出力光強度を制御する発光素子駆動回路は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0008】
この発光素子駆動回路(特許文献1では「発光素子駆動装置」と呼ばれる)は、図14に示すように、レーザダイオード駆動装置10であり、出力光強度検出部11と、複数のコンパレータ12‐1〜12‐nと、複数のサンプルホールド回路13‐1〜13‐nと、電圧/電流変換回路14‐1〜14‐nと、演算回路15と、スイッチ回路16と、電流加算器17と、駆動回路18とを有する。
【0009】
出力光強度検出部11は、レーザダイオード(LD)が発した光の光量に応じた検出電圧Vmonを出力するフォトダイオードを含む。コンパレータ12‐1〜12‐nのそれぞれは、出力光強度検出部11から出力された検出電圧Vmonを基準電圧Vref1〜Vrefnのそれぞれと比較し、それらの差分を示す差分電圧を出力する。サンプルホールド回路13‐1〜13‐nは、コンパレータ12‐1〜12‐nから出力された差分電圧のそれぞれを保持する。
【0010】
これらのサンプルホールド回路13‐1〜13‐nに保持された差分電圧は、電圧/電流変換回路14‐1〜14‐nのそれぞれで電流I1〜Inに変換される。演算回路15は、これらの電流I1〜Inに基づいてレーザダイオードの閾値電流Ithを求め、その閾値電流Ithに基づいたバイアス電流Ibiasを出力する。
【0011】
また、スイッチ回路16は、データ入力端子20を介して入力されたデータ(DATA)に応じてオン/オフ(スイッチング)動作し、電流変換回路14−1から供給される電流I1に応じたスイッチング電流Iswを出力し、電流加算器17の他方の加算入力として与える。
【0012】
電流加算器17は、スイッチング電流Iswにバイアス電流Ibiasを加算して駆動回路18に供給する。駆動回路18は、電流加算器17から供給された電流に応じた駆動電流をレーザダイオードのアノードに供給することで、レーザダイオードを駆動する。
【0013】
このように、レーザダイオード駆動装置10では、バイアス電流Ibiasとスイッチング電流Iswとを用いてAPC制御が行われるため、レーザダイオードの駆動電流に対する出力光強度の傾きや閾値電流が変動しても、出力光強度を一定にすることができる。
【0014】
しかしながら、この発光素子駆動回路では、画像表示期間中はバイアス電流Ibiasが一定に保たれるため、表示期間中にレーザダイオードの閾値電流Ithが変動したときに出力光強度を一定にできない。このため、特に、表示画像における暗部の輝度を均一化することが難しいという問題点がある。
【0015】
この問題点を改善する方法として、外部に設けた光学変調素子の駆動電圧を変調することによりレーザダイオードの出力光強度を変調する方法がある。このような方法を用いた光学変調装置が特許文献2に記載されている。
【0016】
特許文献2に記載された光学変調装置は、図15に示すように、光源1と、光源1から出力された光束2を集光するレンズ3と、レンズ3で集光された光束が通過する際にその光束に強度変調を行う変調器4と、変調器4を通過した光束を整形するレンズ5と、レンズ5で整形された光束を偏向する偏向鏡6と、偏向鏡6で偏向された光束が照射されるスクリーン7とを有する。
【0017】
また、変調器4の側面にはトランスデューサ(トランスジューサ)8が搭載されている。トランスデューサ8が振動することにより、変調器4を通過する光束に略直交する超音波進行波9が発生する。
【0018】
変調器4を通過する光束の光強度は超音波進行波9の振幅に応じて変わるため、トランスデューサ8の振動強度を制御することで超音波進行波9の振幅を変化させて、変調器4を通過する光束の光強度を変調させることができる。
【0019】
この光学変調装置では、表示画像における暗部の輝度は変調器4の変調レベルによって決まるため、光源1から出力される光束2の強度が変化しても暗部の輝度を画面上で均一にすることが可能となる。
【特許文献1】特開2003−298178号公報
【特許文献2】特許第3335373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献1に記載の発光素子駆動回路では、上述したように、画像表示期間中はバイアス電流Ibiasが一定に保たれるため、表示期間中にレーザダイオードの閾値電流が変動したときに出力光強度を一定にできないという問題点がある。
【0021】
特許文献2に記載の光学変調装置では、変調器4で光源1が発した光束を変調しているため、表示期間中にレーザダイオードの閾値電流が変動しても、出力光強度を一定にすることができる。
【0022】
しかしながら、特許文献2に記載の光学変調装置では、光源1から出力された光束を変調器4で変調するため、光源1は常に最大輝度に相当する強度の光束を出力しなくてはならない。よって、表示画像の輝度を高くするほど、消費電力が大きくなるという問題がある。
【0023】
また、変調器4の変調帯域はトランスデューサ8が発する超音波の中心周波数に依存する。このため、変調器4の変調帯域を上げて表示画像の解像度を高くするためには、超音波の中心周波数も上げる必要がある。また、一般的に、トランスデューサ8は、容量負荷となる圧電素子で構成されるため、超音波の中心周波数を高くするには電力を大きくしなければならない。よって、変調帯域を上げて表示画像の解像度を高くするために超音波の中心周波数を高くすると、変調器4の駆動にかかる消費電力が増加する。
【0024】
したがって、特許文献2に記載の光学変調装置には、表示画像の解像度の高くするほど、消費電力が大きくなるという問題もある。
【0025】
本発明の目的は、上記の課題である、消費電力が大きくなるという問題を解決する光学変調回路、光学変調装置、画像表示装置、画像形成装置および光学変調方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明による光学変調回路は、光源と前記光源が発した光束を変調する光学変調素子とを有する光学変調装置用の光学変調回路であって、入力信号が入力される入力端子と、前記入力端子に入力された入力信号の包絡線を検波し、該検波結果を出力する包絡線検波回路と、前記入力端子に入力された入力信号を、前記包絡線検波回路から出力された検波結果で除算し、該除算結果を出力する除算回路と、前記包絡線検波回路から出力された検波結果を、前記光学変調素子に前記光束を変調させるための制御信号として出力する第一出力端子と、前記除算回路から出力された除算結果を、前記光源が発する光束を変調するための変調信号として出力する第二出力端子と、を有する。
【0027】
また、本発明による第一の光学変調装置は、前記光学変調回路と、光源と、光学変調素子と、前記光学変調回路から出力された変調信号に応じて、前記光源が発する光束を変調する変調回路と、前記光学変調回路から出力された制御信号に応じて、前記光学変調素子の駆動信号を生成し、該駆動信号を前記光学変調素子に供給する制御回路と、を有し、前記光学変調素子は、前記制御回路から供給された駆動信号に応じて前記光源が発した光束を変調する。
【0028】
また、本発明による第二の光学変調装置は、前記光学変調回路と、光源と、光学変調素子と、前記光学変調回路から出力された変調信号に応じて、前記光源が発する光束を変調する変調回路と、前記光学変調回路から出力された制御信号に応じた前記光学変調素子の駆動信号を生成し、該駆動信号を前記光学変調素子に供給する制御回路と、を有し、前記光学変調素子は、前記制御回路から供給された駆動信号に応じて前記光源が発した光束を変調し、前記遅延時間は、前記変調回路が前記光源を変調するのにかかる時間と、前記光学変調素子が前記光束を変調するのにかかる時間との差に等しい。
【0029】
また、本発明による画像表示装置は、前記光学変調装置と、前記光学変調回路で変調された光束を第一の方向に走査する第一の走査デバイスと、前記第一の走査デバイスで走査された光束を前記第一の方向と異なる第二の方向に走査して出射する第二の走査デバイスとを有する。
【0030】
また、本発明による画像形成装置は、前記光学変調装置と、感光体と、前記光学変調回路で変調された光束を予め定められた方向に走査する走査デバイスと、前記走査デバイスで走査された光束を前記感光体に結像させる結像レンズと、を有する。
【0031】
また、本発明による光学変調方法は、光源と前記光源が発した光束を変調する光学変調素子とを有する光学変調装置用の光学変調回路による光学変調方法であって、入力信号が入力され、前記入力された入力信号の包絡線を検波し、該検波結果を出力し、前記入力された入力信号を、前記出力された検波結果で除算し、該除算結果を出力し、前記出力された検波結果を、前記光学変調素子に前記光束を変調させるための制御信号として出力し、前記出力された除算結果を、前記光源が発する光束を変調するための変調信号として出力する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、消費電力の低減化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有する構成には同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態の光学変調装置の構成を示したブロック図である。図1において、光学変調装置は、LD(レーザダイオード)101、コリメータレンズ102およびAOM(Acousto-Optic Modulator:音響光学変調素子)103を有する光出力部と、入力端子104、光学変調回路105、AOM駆動回路106およびLD駆動回路107を有する変調部と、を含む。
【0035】
LD101は、光源の一例である。LD101は、直進性の高い光束(レーザビーム光)31を発する。
【0036】
コリメータレンズ102は、LD101が発した光束31を所定の径の光束32に整形する。
【0037】
AOM103は、光学変調素子の一例である。AOM103は、コリメータレンズ102で整形された光束32を通過させる。また、光束32が通過する際に、AOM103は、その光束32を変調する。
【0038】
具体的には、AOM103は、トランスデューサ108を側面に備える。トランスデューサ108は、AOM駆動回路106から供給されるAOM−RF信号に応じた超音波進行波(進行波型の超音波)33を発する。具体的には、トランスデューサ108は、AOM−RF信号の振幅に比例した強度の超音波進行波33を発する。光束32は、超音波進行波33の強度に応じて変調される。
【0039】
なお、AOM−RF信号の中心周波数は、超音波進行波33の中心周波数に比例する。また、トランスデューサ108は、変換器の一例である。
【0040】
入力端子104には、入力信号が入力される。入力信号は、映像信号(より具体的には、映像信号に含まれる輝度信号)である。
【0041】
光学変調回路105は、光源変調装置用の光束を変調するための回路である。
【0042】
図2は、光学変調回路105の構成例を示したブロック図である。図2において、光学変調回路105は、入力端子111と、包絡線検波回路112と、除算回路113と、出力端子114および115とを有する。
【0043】
入力端子111には、入力端子104に入力された入力信号が入力される。
【0044】
包絡線検波回路112は、入力端子104に入力された入力信号の包絡線を検波し、その検波結果を出力する。
【0045】
除算回路113は、入力端子104に入力された入力信号を、包絡線検波回路112から出力された検波結果で除算し、その除算結果を出力する。
【0046】
出力端子114は、第一出力端子の一例である。出力端子114は、包絡線検波回路112から出力された検波結果をAOM変調信号として出力する。AOM変調信号は、制御信号の一例であり、AOM103に光束32を変調させるための信号である。
【0047】
出力端子115は、第二出力端子の一例である。出力端子115は、除算回路113の除算結果をLD変調信号として出力する。LD変調信号は、変調信号の一例であり、LD101が発する光束を変調するための信号である。
【0048】
図1に戻る。AOM駆動回路106は、制御回路の一例である。AOM駆動回路106は、光学変調回路105から出力されたAOM変調信号に応じてAOM103に光束32を変調させる。
【0049】
具体的には、AOM駆動回路106は、AOM変調信号に応じて、AOM103の駆動電圧を生成し、その駆動電圧をAOM−RF信号としてAOM103に供給することで、AOM103に光束32を変調させる。なお、AOM−RF信号は、駆動信号の一例である。
【0050】
より具体的には、AOM駆動回路106は、所定の周波数の正弦波であるRF信号の振幅をAOM変調信号の振幅に応じて変調し、その変調したRF信号を、AOM−RF信号としてAOM103のトランスデューサ108に供給する。
【0051】
これにより、トランスデューサ108がそのAOM−RF信号の振幅に応じた強度の超音波進行波33をAOM103内に発生し、その超音波進行波33の強度に応じて光束32の光強度が変調されることとなる。したがって、AOM駆動回路106は、AOM変調信号に応じて、AOM103に光束32を変調させることになる。
【0052】
なお、AOM駆動回路106は、RF信号を生成する発振器を有する。また、RF信号の周波数は、主に光束32の径の大きさに応じて規定される閾値以上である。RF信号の周波数が閾値以上であれば、トランスデューサ108による光束32の変調の精度が良くなる。また、光束32の径の大きさが大きくなるほど、RF信号の周波数は大きくなる。
【0053】
LD駆動回路107は、光学変調回路105から出力されたAOM変調信号に応じてLD101が発する光束31を変調する。より具体的には、LD駆動回路107は、定電流であるLD101のLD駆動電流の値をAOM変調信号の振幅に応じて変調し、その変調したLD駆動電流をLD101に供給する。これにより、LD101はその変調を行ったLD駆動電流の値に応じた光強度で光束31を発することとなり、LD101が発する光束31を変調することになる。
【0054】
なお、LD駆動回路107は、定電流を発生する電流源を有する。
【0055】
次に動作を説明する。
【0056】
図3は、光学変調装置の動作例を説明するための説明図である。図3では、光学変調装置と、光学変調装置内を通過する信号のレベルダイヤグラムとが示されている。
【0057】
先ず、変調部の動作について説明する。
【0058】
入力端子104に入力された入力信号120は、光学変調回路105の入力端子111に入力される。入力信号120のレベルダイヤグラムでは、横軸は、時間を表わし、縦軸は、入力信号120の輝度信号レベルを表わす。
【0059】
入力端子111に入力された入力信号120は、包絡線検波回路112に入力されるとともに、入力信号Bとして除算回路113に入力される。
【0060】
包絡線検波回路112は、その入力された入力信号120の包絡線を検波し、その検波結果をAOM変調信号(AOM MOD)121として出力端子114を介してAOM駆動回路106に出力するとともに、その検波結果を検波結果Aとして除算回路113に出力する。
【0061】
AOM変調信号121のレベルダイヤグラムでは、横軸は、時間を表わし、縦軸は、AOM変調信号121の輝度信号レベルを表わす。このレベルダイヤグラムからわかるように、入力信号120の低周波領域では、AOM変調信号121と入力信号とが略等しくなる。また、通常、包絡線の検波結果の周波数帯域の最大値は、入力信号の周波数帯域の最大値よりも低くなる。したがって、AOM変調信号121の周波数帯域は、入力信号の周波数帯域よりも下がる。
【0062】
また、包絡線検波回路112から出力された検波結果Bが除算回路113に入力されると、除算回路113は、その入力された検波結果Bを、その入力された入力信号Aで除算する。除算回路113は、その除算結果をLD変調信号(LD MOD)122として出力端子115を介してLD駆動回路107に出力する。
【0063】
LD変調信号122のレベルダイヤグラムでは、横軸は、時間を表わし、縦軸は、LD変調信号122の輝度信号レベルを表わす。このレベルダイヤグラムからも分かるように、変調信号122は、高周波領域では、入力信号120と略等しくなる。
【0064】
また、LD駆動回路107は、LD変調信号122を受け付けると、定電流であるLD101のLD駆動電流の値をAOM変調信号の振幅に応じて変調し、その変調したLD駆動電流をLD101に供給する。
【0065】
また、AOM駆動回路106は、AOM変調信号121を受け付けると、所定の周波数の正弦波であるRF信号の振幅をAOM変調信号の振幅に応じて変調し、その変調したRF信号を、AOM−RF信号123としてトランスデューサ108に出力する。
【0066】
AOM−RF信号123のレベルダイヤグラムでは、横軸は、時間を表わし、縦軸は、AOM−RF信号123の振幅を表わす。
【0067】
続いて、光出力部の動作を説明する。
【0068】
LD101は、LD駆動回路107からLD駆動電流を受け付けると、そのLD駆動電流の値に応じた強度の光束31を発する。光束31は、コリメータレンズ102で所定の径の光束32に整形される。そして、光束32は、AOM103に入射される。
【0069】
AOM103のトランスデューサ108は、AOM駆動回路106からAOM−RF信号123を受け付けると、そのAOM−RF信号123の振幅に比例した振幅で振動することで、そのAOM−RF信号123の振幅に比例した強度の超音波進行波33をAOM103内に発生する。
【0070】
AOM103内では、超音波進行波33の強度に応じた回折格子34が生じる。AOM103に入射された光束32は、その回折格子34により、0次回折光35および1次回折光36に分岐される。1次回折光36の光強度は、超音波進行波33の強度に応じて変化する。一般的に、1次回折光36の光強度は、超音波進行波33の強度がゼロの場合、ゼロであり、超音波進行波33の強度が強くなるほど、強くなる。
【0071】
以上により、LD変調信号122に応じて変調された光束32は、AOM変調信号121に応じてAOM101によってさらに変調され、1次回折光36として出射される。よって、1次回折光36の光強度は、LD変調信号122とAOM変調信号121との積に比例する。従って、LD変調信号122およびAOM変調信号121は入力信号120に応じて生成されるので、1次回折光36は入力信号120で変調されることになる。
【0072】
1次回折光36のレベルダイヤグラムでは、横軸は、時間を表わし、縦軸は、1次回折光36の光強度を表わす。この1次回折光36の光強度は、AOM変調信号121の輝度信号レベルと、LD変調信号122の輝度信号レベルとの積に比例する。
【0073】
次に、図4〜図6を参照して、LD101の閾値電流が変動したときの光学変調装置の動作について説明する。
【0074】
LD101の閾値電流が適正値から変動して、入力信号120のレベルがゼロのときにLD101が発する光束31の輝度が5階調分上がった場合について説明する。なお、LD101の閾値電流が適正値の場合、入力信号120の輝度信号レベルがゼロのときにLD101が発する光束31の輝度がゼロになるものとする。
【0075】
図4では、本実施形態の光学変調装置と異なり、入力信号120がLD駆動回路107に入力された場合における、入力信号120と、光学変調装置から出力される光束124とのレベルダイヤグラムが示されている。
【0076】
この場合、入力信号120の輝度信号レベルがゼロの時に、LD101が発する光束31の光強度は、ゼロから5階調分上がってしまい、光束31の光強度がゼロにならない。
【0077】
図5では、本実施形態の光学変調装置における、入力信号120、AOM変調信号121、LD変調信号122および1次回折光36のレベルダイヤグラムが示されている。
【0078】
この場合、LD変調信号122に応じた変調が行われた光束32に、入力信号の低周波成分を再現する変調がAOM103で行われて1次回折光36が生成される。このため、入力信号の低周波帯域においては、入力信号120の輝度信号レベルがゼロの時に、1次回折光36の光強度をゼロとすることができる。
【0079】
図6は、光束124および1次回折光36の入力信号に対する変調誤差を示したチャートである。
【0080】
図6で示されたように、光束124では、入力信号120の輝度信号レベルがゼロに近いときに変調誤差が大きくなるが、1次回折光36では、低周波数の帯域において、変調誤差を小さくすることができる。なお、高周波数の帯域では、1次回折光36の変調誤差も光束124の変調誤差と同様に大きくなるが、信号に対する人間の目の応答特性は、高周波数の信号に対しては低いため、人間がその変調誤差を感知することは難しい。
【0081】
次に効果を説明する。
【0082】
本実施形態によれば、包絡線検波回路112は、入力端子111に入力された入力信号の包絡線を検波する。除算回路113は、入力端子111に入力された入力信号を、包絡線検波回路112の検波結果で除算する。出力端子114は、包絡線検波回路112の検波結果を、AOM103に光束31を変調させるためのAOM変調信号として出力する。出力端子115は、除算回路113の除算結果を、LD101が発する光束31を変調するためのLD変調信号として出力する。LD駆動回路107は、そのLD変調信号に応じてLD101が発する光束31を変調する。AOM駆動回路106は、そのAOM変調信号に応じたAOM−RF信号を生成し、その駆動信号をAOM103に供給する。AOM103は、そのAOM−RF信号に応じて光束32を変調する。
【0083】
この場合、LD101が発する光束31が包絡線の検波結果を入力信号で除算した除算結果で変調され、LD101から発せられた光束32がその検波結果でさらに変調される。したがって、入力信号120の輝度信号レベルが低いときは、LD101が発する光束31の光強度を下げることが可能になるため、LD101を最大輝度に相当する強度で光束を発しなくてもよくなる。したがって、LD101の駆動にかかる消費電力の低減化を図ることが可能になる。
【0084】
また、本実施形態では、AOM103は、AOM−RF信号に応じた超音波進行波33を発するトランスデューサ108を備え、超音波進行波33に応じてLD101が発した光束31を変調する。
【0085】
この場合、AOM変調信号121の周波数帯域は、入力信号の周波数帯域よりも下がるため、超音波進行波33の中心周波数を下げることが可能になり、AOM−RF信号の中心周波数を下げることが可能になる。なお、入力信号の高周波数成分は、LD101の変調で再現できる。
【0086】
よって、表示画像の解像度を高くするために、入力信号の周波数帯域の最大値を大きくしても、AOM−RF信号の中心周波数の増加を抑制することが可能になる。したがって、AOM103の消費電力の低減化を図ることが可能になる。
【0087】
次に第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0088】
図7は、本実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。図7において、光学変調回路は、図2で示した構成に加えて遅延回路116をさらに有する。
【0089】
遅延回路116は、除算回路113と出力端子115とに介在する。遅延回路116は、除算回路113から出力された除算結果を所定の遅延時間だけ遅延する。
【0090】
出力端子115は、遅延回路116で遅延された除算結果をLD変調信号として出力する。
【0091】
第一の実施形態でも説明したように、トランスデューサ108は、AOM駆動回路106が出力するAOM−RF信号に応じて振動してAOM103内に超音波進行波33を発生する。AOM103内には、超音波進行波33により回折格子34が生じる。AOM103に入射されたた光束32は、回折格子34により0次回折光35と1次回折光36に分岐される。1次回折光36の強度は、超音波進行波33の強度に応じて変化する。従って、LD101が発する光束32は、AOM103によりさらに変調される。
【0092】
ここで、AOM103内を進行する超音波進行波33がトランスデューサ108で発生してから光束32を通過するまでには、ある経過時間が必要となる。このため、AOM103が光束32を変調するのに係る時間は、LD駆動回路107がLD101を変調するのに係る時間に比べて長い。また、これらの時間差は、その経過時間にほぼ等しい。
【0093】
したがって、遅延回路116の遅延時間がその時間差に設定されれば、LD駆動回路107によるLD101が発する光束32の変調とAOM103による光束32の変調とのタイミングを合わせることが可能になり、LD101が発する光束32の強度を適切に変調することが可能になる。
【0094】
次に効果を説明する。
【0095】
本実施形態では、遅延回路116は、除算回路113から出力された除算結果を所定の遅延時間だけ遅延する。出力端子115は、遅延回路116で遅延された除算結果をAOM変調信号として出力する。
【0096】
この場合、遅延回路116の遅延時間が適宜設定されれば、LD駆動回路107によるLD101の変調とAOM103による光束32の変調とのタイミングを合わせることが可能になり、LD101が発する光束32の強度を適切に変調することが可能になる。
【0097】
また、本実施形態では、遅延回路116の遅延時間は、LD駆動回路107がLD101を変調するのにかかる時間と、AOM103が光束32を変調するのにかかる時間との差に等しい。
【0098】
この場合、LD駆動回路107によるLD101の変調とAOM103による光束32の変調とのタイミングを合わせることが可能になる。
【0099】
次に第3の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、光学変調回路105(より具体的には、包絡線検波回路112)のより詳細な構成および動作について説明する。
【0100】
図8は、本実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。図8において、光学変調回路105は、図2と同様に、入力端子111と、包絡線検波回路112と、除算回路113と、出力端子114および115とを有する。また、包絡線検波回路112は、遅延素子51−1〜51−mを有する遅延部と、最大値検出回路52と、積分回路53とを有する。なお、入力信号は、nビットのデジタル信号とする。
【0101】
遅延素子51−1〜51−mは、直列に接続される。初段の遅延素子51−1の入力端子は、入力端子111と接続される。また、遅延素子51−1〜遅延素子51−mのそれぞれは、自己の入力端子に入力された信号を予め定められた単位時間だけ遅延する。
【0102】
これにより、遅延素子51−1〜51−mは、入力信号を順番に遅延していくことになる。また、遅延部は、入力信号を遅延素子51−1〜51−mのそれぞれで遅延させることによって、入力信号を段階的に遅延していき、入力信号を、遅延時間がそれぞれ異なる複数(m本)の遅延信号に変換することになる。
【0103】
最大値検出回路52は、入力信号とm本の遅延信号とを比較して、それらの信号のうちの最大値を出力する。
【0104】
積分回路53は、最大値検出回路52から出力された最大値を予め定められた積分時間にわたって積分し、その積分結果を包絡線検波回路112の検波結果として出力する。
【0105】
積分時間は、遅延素子51−1〜51−mの遅延時間の総和、つまり、単位時間のm倍であることが望ましい。これは、その積分時間内における、入力信号および遅延信号のうちの最大値の誤差を低減することができるためである。
【0106】
除算回路113は、遅延素子51−1〜51−mのうちのある遅延素子51−kが出力する遅延信号を、入力信号として積分回路53から出力された検波結果で除算する。ここで、mは偶数であり、遅延素子51−kは、m/2段目の遅延素子であることが望ましい。これは、入力信号の値の誤差を低減することができるためである。なお、mが奇数の場合、遅延素子51−kは、(m−1)/2段目または(m+1)/2段目の遅延素子であることが望ましい。
【0107】
次に効果を説明する。
【0108】
本実施形態では、入力信号はデジタル信号である。遅延部は、入力信号を段階的に遅延して、その入力信号を遅延時間がそれぞれ異なる複数の遅延信号に変換し、その複数の遅延信号を出力する。最大値検出回路52は、入力信号と複数の遅延信号とを比較して、それらの信号のうちの最大値を出力する。積分回路53は、最大値検出回路52から出力された最大値を予め定められた積分時間にわたって積分し、その積分結果を包絡線検波回路112の検波結果として出力する。
【0109】
この場合、入力信号がデジタル信号の場合に、入力信号の包絡線を容易に検波することが可能になる。
【0110】
また、本実施形態では、遅延部は、mを偶数としたときに、直列に接続されたm段の遅延素子51−1〜51−mを有する。除算回路113は、遅延素子51−1〜51−mのうちのm/2段目の遅延素子で遅延された入力信号を検波結果で除算する。
【0111】
この場合、入力信号の値の誤差を低減することが可能になる。
【0112】
次に第4の実施形態について図面を参照して説明する。
【0113】
図9は、本実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。図9において、光学変調回路105は、図8で示した構成に加えて、図2で示した遅延回路116を有する。また、遅延回路116は、遅延素子54−1〜54−tを有する。なお、入力信号は、第三の実施形態と同様にnビットのデジタル信号とする。
【0114】
遅延素子54−1〜54−tは、直列に接続される。初段の遅延素子54−1の入力端子は、除算回路113の出力端子と接続され、最後段の遅延素子54−tの出力端子は、出力端子115に接続される。また、遅延素子54−1〜54−tのそれぞれは、自己の入力端子に入力された信号を予め定められた単位時間だけ遅延する。
【0115】
したがって、遅延素子54−1〜54−tは、入力信号を単位時間だけ順番に遅延していくことになる。このため、単位時間のt倍が、遅延回路116の遅延時間となる。
【0116】
次に効果を説明する。
【0117】
本実施形態では、遅延素子54−1〜54−tは、入力信号を順番に遅延していく。この場合、遅延素子54−1〜54−tの個数を変更することで、遅延回路116の遅延時間を変更することが可能になるので、容易に遅延回路116の遅延時間を調整することが可能になる。
【0118】
次に第5の実施形態について図面を参照して説明する。
【0119】
図10は、本実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。図10において、光学変調回路105は、図2と同様に、入力端子111と、包絡線検波回路112と、除算回路113と、出力端子114および115とを有する。なお、入力信号は、アナログ信号とする。
【0120】
包絡線検波回路112は、ダイオード61と、抵抗62とコンデンサ63とを有する積分部と、を有する。
【0121】
ダイオード61のアノードは、入力端子111に接続される。抵抗62およびコンデンサ63は、並列に接続される。また、抵抗およびコンデンサ63のそれぞれは、ダイオード61のカソードと、グランド端子とに接続される。
【0122】
ダイオード61は、入力端子111に入力された入力信号の電圧値が(カソード側の電圧値+順電圧)を上回ったとき、(入力信号−順電圧)の電圧値をカソードからに出力することで、入力信号を整流にする。
【0123】
抵抗62とコンデンサ63とを有する積分部は、ダイオード61で整流された入力異信号の電圧値を、その抵抗62の抵抗値とコンデンサ63の静電容量とで規定される時定数分の時間にわたって積分する。積分部は、その積分結果をAOM変調信号として出力する。
【0124】
除算回路113としては、一般的なアナログ除算回路を用いることができる。図10では、除算回路113は、FET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)64および65と、オペアンプ66、67および82と、抵抗68〜79と、定電圧源80および81とを有する。
【0125】
ここで、抵抗70、71、77および78の抵抗値は、互いに等しい。抵抗72および79の抵抗値は互いに等しい。抵抗68の抵抗値と抵抗69の抵抗値の比と、抵抗75の抵抗値と抵抗76の抵抗値の比と、抵抗74の抵抗値と抵抗73の抵抗値の比は、それぞれ等しい。なお、この比の値は、1:10以下が望ましい。また、抵抗70、71、77および78の抵抗値と、抵抗72および79の抵抗値の比は10:1以上が望ましい。定電圧源80の電圧値は、略1Vであり、定電圧源81の電圧値は、オペアンプ66〜68で発生するオフセット電圧をキャンセルする値である。
【0126】
次に効果を説明する。
【0127】
本実施形態では、入力信号は、アナログ信号である。ダイオード61は、入力信号を整流する。抵抗62およびコンデンサ63を有する積分部は、ダイオード61で整流された入力信号を、抵抗62の抵抗値とコンデンサ63の静電容量とで規定される時定数分の時間にわたって積分し、その積分結果を包絡線検波回路112の検波結果として出力する。
【0128】
この場合、入力信号がアナログ信号でも、入力信号の包絡線を容易に検波することが可能になる。
【0129】
次に第6の実施形態について図面を参照して説明する。
【0130】
図11は、本実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。
【0131】
包絡線検波回路112は、図10と同様に、ダイオード61と、抵抗62およびコンデンサ63を有する積分部と、を有しているが、それらの接続関係が図10の場合と異なっている。
【0132】
本実施形態では、ダイオード61およびコンデンサ63は、並列に接続される。ダイオード61およびコンデンサ63のそれぞれは、入力端子111とグランド端子とに接続される。また、抵抗62は、ダイオード61およびコンデンサ63に介在する。なお、ダイオード61は、抵抗62および入力端子111の間とグランド端子とに介在する。
【0133】
この場合、ダイオード61は、入力信号の電圧値が(グランド電位−順電圧)を上回ったとき、入力信号の電圧値が抵抗62に与えることで、入力信号を整流にする。抵抗62とコンデンサ63は、入力信号の電圧値を抵抗62の抵抗値とコンデンサ63の容量値で規定される時定数分の時間だけ積分して保持し、その後、その保持し電圧値をAOM変調信号として出力する。
【0134】
本実施形態では、第5の実施形態と同様に入力信号がアナログ信号でも、入力信号の包絡線を容易に検波することが可能になる。また、雑音に対する積分値の誤差を低減することが可能になる。
【0135】
また、第3から第5の実施形態において、通常、積分回路の積分時間を長くするほど、包絡線の検波結果の周波数帯域の最大値は小さくなる。このため、積分時間を調整することで、AOM―RF信号の中心周波数を調整することができる。
【0136】
ここで、AOM変調信号の周波数帯域の最大値がRF信号の周波数の半分よりも低くなるように、積分回路の積分時間を設定することが望ましい。
【0137】
次に、本発明の第7の実施形態について図面を参照して説明する。
【0138】
図12は、本実施形態の画像表示装置の構成を示したブロック図である。図12において、画像表示装置200は、光学変調装置201〜203と、コリメータレンズ204〜206と、反射ミラー207と、ダイクロイックミラー208および209と、水平走査ミラー210と、垂直走査ミラー211と有する。
【0139】
光学変調装置201〜203のそれぞれは、第一の実施形態で説明した光学変調装置と同じ構成を有する。なお、光学変調装置201〜203のそれぞれとしては、第一の実施形態で説明した光学変調装置だけでなく、第一から第六の実施形態で説明した光学変調装置のいずれか、または、それらの光学変調装置の当業者が理解し得る変更を行った光学変調装置を用いることができる。
【0140】
コリメータレンズ204は、光学変調装置201から出力された光束(1次回折光36)を平行光束にする。コリメータレンズ205は、光学変調装置202から出力された光束を平行光束にする。コリメータレンズ206は、光学変調装置203から出力された光束を平行光束にする。
【0141】
反射ミラー207は、コリメータレンズ204からの平行光束を反射する。
【0142】
ダイクロイックミラー208は、反射ミラー207からの平行光束と、コリメータレンズ205からの平行光束とが交差する位置に設けられている。また、ダイクロイックミラー208は、反射ミラー207からの平行光束を透過すると共に、コリメータレンズ205からの平行光束を反射する。ここで、ダイクロイックミラー208は、それらの平行光束を同じ光軸で合成されるように平行光束を反射および透過する。
【0143】
ダイクロイックミラー209は、ダイクロイックミラー208からの平行光束と、コリメータレンズ206からの平行光束とが交差する位置に設けられている。また、ダイクロイックミラー208からの平行光束を透過すると共に、コリメータレンズ206からの平行光束を反射するような。ここで、ダイクロイックミラー209は、それらの平行光束を同じ光軸で合成されるように平行光束を反射および透過する。
【0144】
水平走査ミラー210は、ダイクロイックミラー209からの平行光束の進行方向に配置されている。水平走査ミラー210は、ダイクロイックミラー209からの平行光束を水平方向に走査する。なお、水平走査ミラー210の動作は、不図示の制御部からの水平走査制御信号により制御される。また、水平走査ミラー210は、第一の走査デバイスの一例であり、水平方向は、第一の方向の一例である。
【0145】
垂直走査ミラー211は、水平走査ミラー210からの平行光束の進行方向に配置されている。垂直走査ミラー211は、水平走査ミラー210で走査された平行光束を垂直方向に走査して、スクリーン212に出射する。なお、垂直走査ミラー211の動作は、不図示の制御部からの水平走査制御信号により制御される。また、垂直走査ミラー211は、第二の走査デバイスの一例であり、垂直方向は、第一の方向と異なる第二の方向の一例である。
【0146】
これにより、光学変調装置201〜203のLD101のそれぞれを、色がそれぞれ異なるLDにすれば、スクリーン212上にカラー画像を表示することができる。なお、光学変調装置201〜203のLD101のそれぞれの色は、例えば、赤、緑および青の光の三原色である。
【0147】
次に効果を説明する。
【0148】
本実施形態では、水平走査ミラー210は、光学変調装置201〜203のそれぞれで変調された平行光束が合成された平行光束を水平方向に走査する。垂直走査ミラー211は、水平走査ミラー210で走査された平行光束を垂直方向に走査して出射する。
【0149】
この場合、光学変調装置201〜203のそれぞれに第一の実施形態で説明した光学変調装置が用いられているため、消費電力の低減化を図ることが可能になる。
【0150】
次に、本発明の第8の実施形態について図面を参照して説明する。
【0151】
図13は、本実施形態の画像形成装置の構成を示したブロック図である。図13において、画像形成装置300は、光学変調装置301と、コリメータレンズ302と、反射ミラー303と、走査ミラー304と、fθレンズ305と、感光体306とを有する。
【0152】
光学変調装置301は、第一の実施形態で説明した光学変調装置と同じ構成を有する。なお、光学変調装置301は、第一の実施形態で説明した光学変調装置だけでなく、第一から第六の実施形態で説明した光学変調装置のいずれか、または、それらの光学変調装置の当業者が理解し得る変更を行った光学変調装置を用いることができる。
【0153】
コリメータレンズ302は、光学変調装置から出力された光束を平行光束にする。
【0154】
反射ミラー303は、コリメータレンズ302からの平行光束を反射する。
【0155】
走査ミラー304は、走査デバイスの一例である。反射ミラー303からの平行光束の進行方向に設けられている。走査ミラーは、反射ミラー303からの平行光束を予め定められた一方向に走査する。なお、走査ミラー304の動作は、不図示の制御部からの走査制御信号により制御される。
【0156】
fθレンズ305は、結像レンズの一例である。fθレンズ305は、走査ミラー304で走査された平行光束を感光体306に結像する。
【0157】
これにより、感光体306上に、画像を形成することができる。
【0158】
次に効果を説明する。
【0159】
本実施形態では、走査ミラー304は、光学変調装置301で変調された平行光束を予め定められた一方向に走査する。fθレンズ305は、走査ミラー304で走査された平行光束を感光体306に結像する。
【0160】
この場合、光学変調装置301に第一の実施形態で説明した光学変調装置が用いられているため、消費電力の低減化を図ることが可能になる。
【0161】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の第1の実施形態の光学変調装置の構成を示したブロック図である。
【図2】光学変調回路の構成例を示したブロック図である。
【図3】光学変調装置の動作例を説明するための説明図である。
【図4】LDの閾値電流が変動したときの光学変調装置の動作を説明するための説明図である。
【図5】LDの閾値電流が変動したときの光学変調装置の動作を説明するための説明図である。
【図6】変調誤差を示したチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。
【図11】本発明の第6の実施形態の光学変調回路の構成を示したブロック図である。
【図12】本発明の第7の実施形態の画像表示装置の構成を示したブロック図である。
【図13】本発明の第8の実施形態の画像形成装置の構成を示したブロック図である。
【図14】特許文献1に記載の発光素子駆動装置の構成を示したブロック図である。
【図15】特許文献2に記載された光学変調装置の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0163】
51、54 遅延素子
52 最大値検出回路
53 成分回路
61 ダイオード
62 抵抗
63 コンデンサ
101 LD
102 コリメータレンズ
103 AOM
104、111 入力端子
105 光学変調回路
106 AOM駆動回路
107 LD駆動回路
108 トランスデューサ
112 包絡線検波回路
113 除算回路
114、115 出力端子
200 画像表示装置
201〜203、301 光学変調装置
204〜206、302 コリメータレンズ
207、303 反射ミラー
208、209 ダイクロイックミラー
210、211、304 走査ミラー
212 スクリーン
300 画像形成装置
305 fθレンズ
306 感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と前記光源が発した光束を変調する光学変調素子とを有する光学変調装置用の光学変調回路であって、
入力信号が入力される入力端子と、
前記入力端子に入力された入力信号の包絡線を検波し、該検波結果を出力する包絡線検波回路と、
前記入力端子に入力された入力信号を、前記包絡線検波回路から出力された検波結果で除算し、該除算結果を出力する除算回路と、
前記包絡線検波回路から出力された検波結果を、前記光学変調素子に前記光束を変調させるための制御信号として出力する第一出力端子と、
前記除算回路から出力された除算結果を、前記光源が発する光束を変調するための変調信号として出力する第二出力端子と、を有する光学変調回路。
【請求項2】
請求項1に記載の光学変調回路において、
前記入力信号は、デジタル信号であり、
前記包絡線検波回路は、
前記入力信号を、段階的に遅延していくことで、遅延時間がそれぞれ異なる複数の遅延信号に変換し、該複数の遅延信号を出力する遅延部と、
前記遅延部から出力された複数の遅延信号と前記入力信号とのうちの最大値を出力する最大値検出回路と、
前記最大値検出回路から出力された最大値を予め定められた積分時間にわたって積分し、該積分結果を前記検波結果として出力する積分回路と、を有する、光学変調回路。
【請求項3】
請求項2に記載の光学変調回路において、
前記遅延部は、mを偶数としたときに、直列に接続されたm段の遅延素子を有し、前記入力信号を各遅延素子で遅延させることによって、前記入力信号を前記複数の遅延信号に変換し、
前記除算回路は、前記除算結果を除算する入力信号として、前記遅延素子のうちのm/2段目の遅延素子で遅延された入力信号を用いる、光学変調回路。
【請求項4】
請求項1に記載の光学変調回路において、
前記入力信号はアナログ信号であり、
前記包絡線検波回路は、ダイオードと、抵抗およびコンデンサを備える積分部と、を有し、
前記ダイオードは、前記入力信号を整流し、
前記積分部は、前記ダイオードで整流された入力信号を、前記抵抗の抵抗値と前記コンデンサの静電容量とで規定される時定数分の時間にわたって積分し、該積分結果を前記検波結果として出力する、光学変調回路。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学変調回路において、
前記除算回路から出力された除算結果を所定の遅延時間だけ遅延する遅延回路を含み、
前記第二出力端子は、前記遅延回路で遅延された除算結果を、前記変調信号として出力する、光学変調回路。
【請求項6】
請求項5に記載の光学変調回路において、
前記遅延回路は、前記除算結果を順番に遅延していく複数の第二遅延素子を有する、光学変調回路。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学変調回路と、
光源と、
光学変調素子と、
前記光学変調回路から出力された変調信号に応じて、前記光源が発する光束を変調する変調回路と、
前記光学変調回路から出力された制御信号に応じて、前記光学変調素子の駆動信号を生成し、該駆動信号を前記光学変調素子に供給する制御回路と、を有し、
前記光学変調素子は、前記制御回路から供給された駆動信号に応じて前記光源が発した光束を変調する、光学変調装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の光学変調回路と、
光源と、
光学変調素子と、
前記光学変調回路から出力された変調信号に応じて、前記光源が発する光束を変調する変調回路と、
前記光学変調回路から出力された制御信号に応じた前記光学変調素子の駆動信号を生成し、該駆動信号を前記光学変調素子に供給する制御回路と、を有し、
前記光学変調素子は、前記制御回路から供給された駆動信号に応じて前記光源が発した光束を変調し、
前記遅延時間は、前記変調回路が前記光源を変調するのにかかる時間と、前記光学変調素子が前記光束を変調するのにかかる時間との差に等しい、光学変調装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の光学変調装置において、
前記光学変調素子は、前記駆動信号に応じた超音波を発する変換器を備え、該変換器から発せられた超音波に応じて前記光源が発した光束を変調する音響光学変調素子である、光学変調装置。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の光学変調装置と、
前記光学変調装置で変調された光束を第一の方向に走査する第一の走査デバイスと、
前記第一の走査デバイスで走査された光束を前記第一の方向と異なる第二の方向に走査して出射する第二の走査デバイスとを有する画像表示装置。
【請求項11】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の光学変調装置と、
感光体と、
前記光学変調装置で変調された光束を予め定められた方向に走査する走査デバイスと、
前記走査デバイスで走査された光束を前記感光体に結像させる結像レンズと、を有する画像形成装置。
【請求項12】
光源と前記光源が発した光束を変調する光学変調素子とを有する光学変調装置用の光学変調回路による光学変調方法であって、
入力信号が入力され、
前記入力された入力信号の包絡線を検波し、該検波結果を出力し、
前記入力された入力信号を、前記出力された検波結果で除算し、該除算結果を出力し、
前記出力された検波結果を、前記光学変調素子に前記光束を変調させるための制御信号として出力し、
前記出力された除算結果を、前記光源が発する光束を変調するための変調信号として出力する、光学変調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−98039(P2010−98039A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266192(P2008−266192)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】