光学導波管装置
【課題】案内されない光学経路を遮断できる空間フィルター構成を有する導波管装置を提供する。
【解決手段】ほぼ対向する第1表面と第2表面、入力端、及び出力端を有する光学的に透明な基板118を有する。光学的導波領域122が、基板118内に配置され、入力端から出力端へ伸長する。複数の電極128、130、132、134が、光学的導波領域122に関する第2表面上の所定の位置に配置される。導波管装置は、複数の光学バリアを有する。各光学バリアは、第1表面及び第2表面の1方に近接して位置され、案内されないモードの異なる光学経路を遮断するように配置される。
【解決手段】ほぼ対向する第1表面と第2表面、入力端、及び出力端を有する光学的に透明な基板118を有する。光学的導波領域122が、基板118内に配置され、入力端から出力端へ伸長する。複数の電極128、130、132、134が、光学的導波領域122に関する第2表面上の所定の位置に配置される。導波管装置は、複数の光学バリアを有する。各光学バリアは、第1表面及び第2表面の1方に近接して位置され、案内されないモードの異なる光学経路を遮断するように配置される。
【発明の詳細な説明】
【関連事項】
【0001】
本発明は海軍省により与えられた契約N00030−05−C−0007の下に政府の支援により行われた。政府はこの発明についてある権利を有する。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に電子光学導波管装置(electro-optic waveguide devices)に関し、特に、反射光を遮断するための改善された空間フィルタ(spatial filter)を有する導波管装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、光学通信装置(例えば、集積光学又は多機能チップ)は、光透過性の基体(optically transmissive substrate)内に形成され、入力光ファイバと1又はそれ以上の出力光ファイバとの間で光学的に結合された導波管を通って伝播する光信号を変調するために電極を利用する電子光学装置を日常的に使用している。基体は典型的にはニオブ酸リチウム(LiNbO3)のような電子光学結晶を有し、この結晶は実質上偏光された光を伝達し、電圧に曝された場合にその屈折率が変化する。一般に、このような光学変調器においては、1又はそれ以上の導波管を基体の上表面近傍に形成することができ、1又はそれ以上の表面電極を導波管近傍の表面上に設けられる。表面電極を介して基体に電圧が加えられたとき、基体を通って伝播する光はそれに従って変調され、位相変調光信号を生じさせる。
【0004】
[0004]導波管装置が放出する光信号の質は、伝播する光を単一の偏光モード(例えば、横磁気モード又は横電気モード)に制限する装置の能力及び一般に偏光消光比(polarization extinction ratio;PER)として参照される特性により強く影響を受ける。1つの既知の導波管装置特に陽子交換偏光子においては、PERは、(そこを通って)案内されない横磁気(TM)モードの光が進行でき、出力ファイバで受け取られ、従って所望の光信号と干渉するような2つの光学経路(即ち、主要な光学経路及び補助的な光学経路)を遮断するように、空間フィルタを使用して、増大される。空間フィルタはその光学経路を実質上遮断するように基体の底部において主要な及び補助的な反射地点に位置するバリヤ(例えば、バッフル、又は、例えばダイスソーにより基体内に切削された溝)を利用することができる。
【0005】
代わりに、バリヤは、そこを通過する横磁気(TM)モードの光が導波管から離れるように導かれるように、異なる屈折率を有する材料で構成された区域とすることができる。上述の導波管装置においては、3つのバリヤは、互いに関して及び基体の両端に関して等距離の位置において基体の底表面に沿って位置する;すなわち、Xの長さを有する基体に対しては、第1のフィルタは基体の第1の端部から(1/4)Xの距離で位置し、第2のフィルタは第1のフィルタから(1/4)X及び第1の端部から(1/2)Xの距離で位置し、第3のフィルタは第2のフィルタから(1/4)X及び第1の端部から(3/4)Xの距離で位置する。
【0006】
[0005]不運にも、上述の形式の空間フィルタ構成は典型的には案内されない光が進行するたった2つの光学経路(即ち、主要な経路及び補助的な経路)しか遮断しない。したがって、案内されない光は多数の別の経路により導波管の出力に依然として到達することがある。導波管が二股である(単一の入力ファイバ及び2つの出力ファイバを有する)場合は、これらの別の経路は入力ファイバから各出力ファイバへ直接進行する2つの経路を含む。更に、既知の空間フィルタ構成は使用されるバリヤの数に関して遮断される光学経路の数を最大にしない;すなわち、既知の装置に利用される3つのバリヤは2つの案内されない光モード即ち主要なモード及び補助的なモードを遮断する。フィルタは、第1及び第3のバリヤが補助的な光学経路の2つの異なる反射地点に位置するという点で、余分である。その結果、既知の空間フィルタ構成は効率的ではなく、最適な価格/性能比を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0006]従って、3つ以上の案内されない光学経路を遮断できる空間フィルタ構成を有する導波管装置を提供することが望ましいことを認識すべきである。また、導波管は使用されるバリヤの数に関して遮断される案内されない光学経路の数を最大にするように形状づけられることが望ましいことを認識すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]案内されるモード及び案内されないモードを有する、光を受け取るための光学導波管装置が提供される。この導波管装置は第1及び第2の実質上対向する表面と、入力端部と、出力端部とを備えた光透過性の基体を有する。光学導波管区域は基体内に位置し、入力端部から出力端部へ延びる。複数の電極は導波管区域に関して所定の位置で第1の表面上に位置する。装置は、各々第1及び第2の表面のうちの一方の近傍に位置し、案内されないモードの異なる光学経路を遮断するように位置決めされた複数の光学バリヤを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[0008]以下、同様の符号で同様の素子を示す添付図面に関連して本発明を説明する。本発明の次の詳細な説明は本質的に単なる例示であって、本発明又は本発明の応用及び使用を限定する意図のものではない。更に、本発明の上述の背景技術又は本発明の以下の詳細な説明において提示したいかなる理論にも限定されることを意図するものではない。
【0010】
[0021]図1は、入力光ファイバ104に光学的に結合された第1の端部102と、第1の出力光ファイバ108及び第2の出力光ファイバ110に光学的に結合された第2の端部106とを備えた既知の電子光学装置(例えば、光学変調器)100の斜視図である。光ファイバ104、108、110はそれぞれフェルール112、114、116を介して電子光学装置100に結合される。電子光学結晶(例えば、ニオブ酸リチウム)で構成され、装置100の第1の端部102から第2の端部106へ延びる光透過性の基体118は、その中に形成された光学導波管122と、その上に位置するバッファ層120(例えば、SiO2、常温加硫ポッチング材料等)を有する。図1に明示するように、導波管122は二股となって第1の導波管区分124及び第2の導波管区分126を提供し、これらの区分は基体118を通して光を案内するためのもので、最終的にはそれぞれ出力ファイバ108、110に接続する。導波管区分124、126は基体118の上表面に設けた第1及び第2の対の電極間を通過するように形状づけられる。更に詳細には、導波管区分124は電極128、130間を通過し、導波管区分126は電極132、134間を通過する。
【0011】
[0022]入力ファイバ104は、実質上案内されるモード及び案内されないモード(例えば案内されない横磁気(transverse magnetic;TM)モード及び案内される横電気(transverse electric;TE)モード)に分割する基体118内へ光を送給する。導波管区分124、126に沿って伝播するときに、案内される横電気(TE)モードの光はそれぞれ対をなす電極128、130及び対をなす電極132、134間を通過し、各電極はそこを横切って電圧が適用されるように形状づけられる。例えば、各対内の一方の電極は接地することができ、一方、他方の電極はこれに電圧を適用することができる。特に図1を参照すると、電極128、134は接地することができ、電極130は第1の電圧V1に結合することができ、電極132は第2の電圧V2に結合することができる。基体118の屈折率は、電極130、132に適用される電圧に応答して変化し、電極対間を進行する光信号の位相はそれに従って変調される。
【0012】
[0023]図2は、図1の2−2線における電子光学装置100の代表的な断面図である。導波管区分126、フェルール116及び出力ファイバ110は明瞭のために図示省略してある。図2を参照すると、入力ファイバ104により基体118に結合された光は横磁気(TM)モード136及び横電気(TE)モード138を有する。基体118へ入ったとき、横電気(TE)モード138の光は導波管122により出力ファイバ108、110(図1)へ案内される。逆に、横磁気(TM)モード136の光は、符号140で示すように、部分的に基体118を出て装置100の上方の領域に入り、符号142で示すように、案内されない状態で基体118を通って部分的に伝播する。上述のように、案内されない状態で基体118を通って伝播する横磁気(TM)モード136の光の一部は、出力ファイバ118、110(図1)により受け取られることがあり、それによって、光学変調器の信号の質を劣化させることがある。しかし、すべての案内されない横磁気(TM)モード136の光がそのように受け取られるわけではないことを認識すべきである;すなわち、基体118内である光学経路に沿って進行する光のみが、光学的な受け取りを許容するファイバの長手軸線に関して適当な角度で出力ファイバ108、110(図1)に到達する。例えば、主要な経路及び補助的な経路に沿って進行する案内されないモード136の光は出力ファイバ114、116(図1)において受け取られることがある。
【0013】
[0024]図3は、また電子光学装置100の横断面図であり、基体118内で案内されない横磁気(TM)モード136の光が進行できるような4つの可能な経路を示す。このような経路は:(1)底表面148からの1つの横反射地点146を有する主要な光学反射経路144;(2)底表面148からの2つの横反射地点152、154と、基体118の頂表面158からの1つの横反射地点156とを有する補助的な光学反射経路150;(3)底表面148からの4つの横反射地点162、164、166、168と、頂表面158からの3つの横反射地点170、156、172とを有する第3の光学経路160;及び(4)底表面148又は頂表面158からの反射なしに、入力ファイバ104から出力ファイバ108、110(図1)への直接伝播を行う直接光学経路180、181(図3には経路181のみを示す)である。
【0014】
[0025]本発明によれば、バリヤは、案内されないモードの光が1又はそれ以上の出力ファイバに到達するのを妨害又は完全に阻止するように、図3に関連して上述した種々の横反射地点のうちの任意の地点及び案内される光信号と干渉することのある他の光学経路の反射地点に対応する任意の他の横反射地点において、基体118内に位置することができる。このようなバリヤは種々の形(例えば、案内されないモードの光を基体外へ導くような屈折率を有する実質上不透明な堆積物又は光学区域)をとることができるが、好ましくはバッフル(例えば、基体118内に生じた空間的な空隙)である。バッフルはダイアモンドソー又はダイスソーでの切削を含む種々の方法で所望の反射地点において生じさせることができる。更に、以下で更に説明するが、基体118内に位置するバッフルの横断面は矩形形状、鋸歯形状、ナイフエッジ形状等を含む種々の形状をとることができる。
【0015】
[0026]図4−6は、本発明の第1の実施の形態、即ち、実質上矩形の横断面を有する3つのバッフル174、176、178が底表面148に沿った異なる位置で基体118内に設けられるような光学変調器200を示す。特に、図4、5、6はそれぞれ変調器200の頂面図、図4の5−5線における側断面図及び底面図である。図4−6を参照すると、基体118がXの長さを有すると仮定すれば、バッフル174、176、178はそれぞれ基体118の第1の端部102からほぼ(1/8)X、(1/4)X、(1/2)Xの距離に位置することができる。別の方法で述べれば、バッフル174、176、178は図3に関連して上述したそれぞれの横反射地点162、152、146の近傍に位置する。図5に示すように、バッフル174、176、178をこのような方法で位置決めすることにより、変調器200のこの実施の形態は主要な、補助的な及び第3の反射光学経路174、176、178を実質上遮断する。この空間フィルタ構成は、ファイバ108の入力に到達しそこで受け取られる案内されない光の量を実質上減少させ、従って、出力信号の質を大幅に改善する。
【0016】
[0027]図7−9は、それぞれ本発明の第2の実施の形態の頂面図、(図7の8−8線における)側断面図及び底面図である。光学変調器210においては、実質上矩形の横断面を有する2つのバッフル212、214は底表面148に沿って基体118内に設けられる。更に、鋸歯状の横断面を有する2つの狭いバッフル216、218は上表面158に沿って基体118内に設けられる。図7−9と図4−6との比較により認識できるように、バッフル212、214は光学変調器210内でのバッフル176、178と実質上同じ位置において光学変調器200内に位置し、従って、上述のように、光学経路150、144を実質上遮断する。しかし、変調器200と対比して、光学経路160は狭いバッフル216、218(図8)により実質上遮断される。更に、狭いバッフル216、218は直接光学経路180、181(図7、8)を実質上遮断する。
【0017】
基体118がXの長さを有する場合、バッフル216、218は基体118の第1の端部102からほぼ(3/4)Xだけ離れた距離で頂表面158内に位置する。狭いバッフル216、218は細長いバッフル212、214が行うような基体118の幅を跨がない;その理由は、バッフル216、218が、そこを通しての光の伝達を混乱させることなく、導波管122を横切ることができないからである。しかし、所望なら、バッフル212、214は単一の溝穴様の空隙を形成するように結合することができる。この形式のバッフルは図10−12に関連して後に一層詳細に説明する。光学変調器210の空間フィルタ構成は主要な反射光学経路144、補助的な反射光学経路150、第3の反射光学経路160及び直接光学経路180を実質上遮断する。先の場合のように、これは、出力ファイバ108、110において受け取られる案内されない光の量を減少させ、その結果、伝達される信号の光学的な質を改善する。
【0018】
[0028]図10−12は、それぞれ本発明の第3の実施の形態の頂面図、(図10の11−11線における)側断面図及び底面図である。光学変調器220においては、実質上矩形の横断面を有する第1のバッフル222は底表面148の近傍で基体118内に設けられ、第2のバッフル224は上表面158の近傍で基体118内に設けられる。長手方向においては、バッフル222、224は各々基体118のほぼ中間区域に位置する。バッフル224は、光学反射経路150、160に加えて、入力ファイバ104から出力ファイバ108、110へ直接進行する光学経路(即ち、光学経路180、181)を遮断するように位置する。バッフル222は上述した方法で光学経路144を遮断するように位置する。従って、図10−12に示す実施の形態は、最少の数のバリヤにより、出力ファイバにおいて受け取られることのある案内されない光がそれに沿って進行するような実質上すべての重要な光学経路(即ち、主要な経路、補助的な経路、第3の経路及び直接光学経路)を妨害又は遮断するように形状づけられることを認識すべきである。
【0019】
[0029]以上の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施の形態を提示したが、多数の変形が存在することを認識すべきである。また、例示的な実施の形態(単数又は複数)は単なる例であり、いかなる意味においても本発明の要旨、応用性又は形状を限定することを意図するものではないことを認識すべきである。むしろ、上述の詳細な説明は本発明の例示的な実施の形態を履行するための便利なロードマップを当業者に提供する。特許請求の範囲に規定されるような本発明の要旨から逸脱することなく、例示的な実施の形態において述べた素子の機能及び配列について種々の変更が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】二重出力の光学変調器の斜視図である。
【図2】図1の2−2線における光学変調器の側断面図である。
【図3】図1の2−2線における光学変調器の側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光学変調器の頂面図である。
【図5】図4の5−5線における光学変調器の側断面図である。
【図6】図4、図5に示す光学変調器の底面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る光学変調器の頂面図である。
【図8】図7の8−8線における光学変調器の側断面図である。
【図9】図7、図8に示す光学変調器の底面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る光学変調器の頂面図である。
【図11】図10の11−11線における光学変調器の側断面図である。
【図12】図10、図11に示す光学変調器の底面図である。
【符号の説明】
【0021】
104:入力光ファイバ、108、110:出力光ファイバ、118:基体、122:導波管、128、130、132、134:電極、148:底表面、158:上(頂)表面、174、176、178、212、214、222:バッフル、200、210、220:導波管装置(光学変調器)。
【関連事項】
【0001】
本発明は海軍省により与えられた契約N00030−05−C−0007の下に政府の支援により行われた。政府はこの発明についてある権利を有する。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に電子光学導波管装置(electro-optic waveguide devices)に関し、特に、反射光を遮断するための改善された空間フィルタ(spatial filter)を有する導波管装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、光学通信装置(例えば、集積光学又は多機能チップ)は、光透過性の基体(optically transmissive substrate)内に形成され、入力光ファイバと1又はそれ以上の出力光ファイバとの間で光学的に結合された導波管を通って伝播する光信号を変調するために電極を利用する電子光学装置を日常的に使用している。基体は典型的にはニオブ酸リチウム(LiNbO3)のような電子光学結晶を有し、この結晶は実質上偏光された光を伝達し、電圧に曝された場合にその屈折率が変化する。一般に、このような光学変調器においては、1又はそれ以上の導波管を基体の上表面近傍に形成することができ、1又はそれ以上の表面電極を導波管近傍の表面上に設けられる。表面電極を介して基体に電圧が加えられたとき、基体を通って伝播する光はそれに従って変調され、位相変調光信号を生じさせる。
【0004】
[0004]導波管装置が放出する光信号の質は、伝播する光を単一の偏光モード(例えば、横磁気モード又は横電気モード)に制限する装置の能力及び一般に偏光消光比(polarization extinction ratio;PER)として参照される特性により強く影響を受ける。1つの既知の導波管装置特に陽子交換偏光子においては、PERは、(そこを通って)案内されない横磁気(TM)モードの光が進行でき、出力ファイバで受け取られ、従って所望の光信号と干渉するような2つの光学経路(即ち、主要な光学経路及び補助的な光学経路)を遮断するように、空間フィルタを使用して、増大される。空間フィルタはその光学経路を実質上遮断するように基体の底部において主要な及び補助的な反射地点に位置するバリヤ(例えば、バッフル、又は、例えばダイスソーにより基体内に切削された溝)を利用することができる。
【0005】
代わりに、バリヤは、そこを通過する横磁気(TM)モードの光が導波管から離れるように導かれるように、異なる屈折率を有する材料で構成された区域とすることができる。上述の導波管装置においては、3つのバリヤは、互いに関して及び基体の両端に関して等距離の位置において基体の底表面に沿って位置する;すなわち、Xの長さを有する基体に対しては、第1のフィルタは基体の第1の端部から(1/4)Xの距離で位置し、第2のフィルタは第1のフィルタから(1/4)X及び第1の端部から(1/2)Xの距離で位置し、第3のフィルタは第2のフィルタから(1/4)X及び第1の端部から(3/4)Xの距離で位置する。
【0006】
[0005]不運にも、上述の形式の空間フィルタ構成は典型的には案内されない光が進行するたった2つの光学経路(即ち、主要な経路及び補助的な経路)しか遮断しない。したがって、案内されない光は多数の別の経路により導波管の出力に依然として到達することがある。導波管が二股である(単一の入力ファイバ及び2つの出力ファイバを有する)場合は、これらの別の経路は入力ファイバから各出力ファイバへ直接進行する2つの経路を含む。更に、既知の空間フィルタ構成は使用されるバリヤの数に関して遮断される光学経路の数を最大にしない;すなわち、既知の装置に利用される3つのバリヤは2つの案内されない光モード即ち主要なモード及び補助的なモードを遮断する。フィルタは、第1及び第3のバリヤが補助的な光学経路の2つの異なる反射地点に位置するという点で、余分である。その結果、既知の空間フィルタ構成は効率的ではなく、最適な価格/性能比を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0006]従って、3つ以上の案内されない光学経路を遮断できる空間フィルタ構成を有する導波管装置を提供することが望ましいことを認識すべきである。また、導波管は使用されるバリヤの数に関して遮断される案内されない光学経路の数を最大にするように形状づけられることが望ましいことを認識すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]案内されるモード及び案内されないモードを有する、光を受け取るための光学導波管装置が提供される。この導波管装置は第1及び第2の実質上対向する表面と、入力端部と、出力端部とを備えた光透過性の基体を有する。光学導波管区域は基体内に位置し、入力端部から出力端部へ延びる。複数の電極は導波管区域に関して所定の位置で第1の表面上に位置する。装置は、各々第1及び第2の表面のうちの一方の近傍に位置し、案内されないモードの異なる光学経路を遮断するように位置決めされた複数の光学バリヤを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[0008]以下、同様の符号で同様の素子を示す添付図面に関連して本発明を説明する。本発明の次の詳細な説明は本質的に単なる例示であって、本発明又は本発明の応用及び使用を限定する意図のものではない。更に、本発明の上述の背景技術又は本発明の以下の詳細な説明において提示したいかなる理論にも限定されることを意図するものではない。
【0010】
[0021]図1は、入力光ファイバ104に光学的に結合された第1の端部102と、第1の出力光ファイバ108及び第2の出力光ファイバ110に光学的に結合された第2の端部106とを備えた既知の電子光学装置(例えば、光学変調器)100の斜視図である。光ファイバ104、108、110はそれぞれフェルール112、114、116を介して電子光学装置100に結合される。電子光学結晶(例えば、ニオブ酸リチウム)で構成され、装置100の第1の端部102から第2の端部106へ延びる光透過性の基体118は、その中に形成された光学導波管122と、その上に位置するバッファ層120(例えば、SiO2、常温加硫ポッチング材料等)を有する。図1に明示するように、導波管122は二股となって第1の導波管区分124及び第2の導波管区分126を提供し、これらの区分は基体118を通して光を案内するためのもので、最終的にはそれぞれ出力ファイバ108、110に接続する。導波管区分124、126は基体118の上表面に設けた第1及び第2の対の電極間を通過するように形状づけられる。更に詳細には、導波管区分124は電極128、130間を通過し、導波管区分126は電極132、134間を通過する。
【0011】
[0022]入力ファイバ104は、実質上案内されるモード及び案内されないモード(例えば案内されない横磁気(transverse magnetic;TM)モード及び案内される横電気(transverse electric;TE)モード)に分割する基体118内へ光を送給する。導波管区分124、126に沿って伝播するときに、案内される横電気(TE)モードの光はそれぞれ対をなす電極128、130及び対をなす電極132、134間を通過し、各電極はそこを横切って電圧が適用されるように形状づけられる。例えば、各対内の一方の電極は接地することができ、一方、他方の電極はこれに電圧を適用することができる。特に図1を参照すると、電極128、134は接地することができ、電極130は第1の電圧V1に結合することができ、電極132は第2の電圧V2に結合することができる。基体118の屈折率は、電極130、132に適用される電圧に応答して変化し、電極対間を進行する光信号の位相はそれに従って変調される。
【0012】
[0023]図2は、図1の2−2線における電子光学装置100の代表的な断面図である。導波管区分126、フェルール116及び出力ファイバ110は明瞭のために図示省略してある。図2を参照すると、入力ファイバ104により基体118に結合された光は横磁気(TM)モード136及び横電気(TE)モード138を有する。基体118へ入ったとき、横電気(TE)モード138の光は導波管122により出力ファイバ108、110(図1)へ案内される。逆に、横磁気(TM)モード136の光は、符号140で示すように、部分的に基体118を出て装置100の上方の領域に入り、符号142で示すように、案内されない状態で基体118を通って部分的に伝播する。上述のように、案内されない状態で基体118を通って伝播する横磁気(TM)モード136の光の一部は、出力ファイバ118、110(図1)により受け取られることがあり、それによって、光学変調器の信号の質を劣化させることがある。しかし、すべての案内されない横磁気(TM)モード136の光がそのように受け取られるわけではないことを認識すべきである;すなわち、基体118内である光学経路に沿って進行する光のみが、光学的な受け取りを許容するファイバの長手軸線に関して適当な角度で出力ファイバ108、110(図1)に到達する。例えば、主要な経路及び補助的な経路に沿って進行する案内されないモード136の光は出力ファイバ114、116(図1)において受け取られることがある。
【0013】
[0024]図3は、また電子光学装置100の横断面図であり、基体118内で案内されない横磁気(TM)モード136の光が進行できるような4つの可能な経路を示す。このような経路は:(1)底表面148からの1つの横反射地点146を有する主要な光学反射経路144;(2)底表面148からの2つの横反射地点152、154と、基体118の頂表面158からの1つの横反射地点156とを有する補助的な光学反射経路150;(3)底表面148からの4つの横反射地点162、164、166、168と、頂表面158からの3つの横反射地点170、156、172とを有する第3の光学経路160;及び(4)底表面148又は頂表面158からの反射なしに、入力ファイバ104から出力ファイバ108、110(図1)への直接伝播を行う直接光学経路180、181(図3には経路181のみを示す)である。
【0014】
[0025]本発明によれば、バリヤは、案内されないモードの光が1又はそれ以上の出力ファイバに到達するのを妨害又は完全に阻止するように、図3に関連して上述した種々の横反射地点のうちの任意の地点及び案内される光信号と干渉することのある他の光学経路の反射地点に対応する任意の他の横反射地点において、基体118内に位置することができる。このようなバリヤは種々の形(例えば、案内されないモードの光を基体外へ導くような屈折率を有する実質上不透明な堆積物又は光学区域)をとることができるが、好ましくはバッフル(例えば、基体118内に生じた空間的な空隙)である。バッフルはダイアモンドソー又はダイスソーでの切削を含む種々の方法で所望の反射地点において生じさせることができる。更に、以下で更に説明するが、基体118内に位置するバッフルの横断面は矩形形状、鋸歯形状、ナイフエッジ形状等を含む種々の形状をとることができる。
【0015】
[0026]図4−6は、本発明の第1の実施の形態、即ち、実質上矩形の横断面を有する3つのバッフル174、176、178が底表面148に沿った異なる位置で基体118内に設けられるような光学変調器200を示す。特に、図4、5、6はそれぞれ変調器200の頂面図、図4の5−5線における側断面図及び底面図である。図4−6を参照すると、基体118がXの長さを有すると仮定すれば、バッフル174、176、178はそれぞれ基体118の第1の端部102からほぼ(1/8)X、(1/4)X、(1/2)Xの距離に位置することができる。別の方法で述べれば、バッフル174、176、178は図3に関連して上述したそれぞれの横反射地点162、152、146の近傍に位置する。図5に示すように、バッフル174、176、178をこのような方法で位置決めすることにより、変調器200のこの実施の形態は主要な、補助的な及び第3の反射光学経路174、176、178を実質上遮断する。この空間フィルタ構成は、ファイバ108の入力に到達しそこで受け取られる案内されない光の量を実質上減少させ、従って、出力信号の質を大幅に改善する。
【0016】
[0027]図7−9は、それぞれ本発明の第2の実施の形態の頂面図、(図7の8−8線における)側断面図及び底面図である。光学変調器210においては、実質上矩形の横断面を有する2つのバッフル212、214は底表面148に沿って基体118内に設けられる。更に、鋸歯状の横断面を有する2つの狭いバッフル216、218は上表面158に沿って基体118内に設けられる。図7−9と図4−6との比較により認識できるように、バッフル212、214は光学変調器210内でのバッフル176、178と実質上同じ位置において光学変調器200内に位置し、従って、上述のように、光学経路150、144を実質上遮断する。しかし、変調器200と対比して、光学経路160は狭いバッフル216、218(図8)により実質上遮断される。更に、狭いバッフル216、218は直接光学経路180、181(図7、8)を実質上遮断する。
【0017】
基体118がXの長さを有する場合、バッフル216、218は基体118の第1の端部102からほぼ(3/4)Xだけ離れた距離で頂表面158内に位置する。狭いバッフル216、218は細長いバッフル212、214が行うような基体118の幅を跨がない;その理由は、バッフル216、218が、そこを通しての光の伝達を混乱させることなく、導波管122を横切ることができないからである。しかし、所望なら、バッフル212、214は単一の溝穴様の空隙を形成するように結合することができる。この形式のバッフルは図10−12に関連して後に一層詳細に説明する。光学変調器210の空間フィルタ構成は主要な反射光学経路144、補助的な反射光学経路150、第3の反射光学経路160及び直接光学経路180を実質上遮断する。先の場合のように、これは、出力ファイバ108、110において受け取られる案内されない光の量を減少させ、その結果、伝達される信号の光学的な質を改善する。
【0018】
[0028]図10−12は、それぞれ本発明の第3の実施の形態の頂面図、(図10の11−11線における)側断面図及び底面図である。光学変調器220においては、実質上矩形の横断面を有する第1のバッフル222は底表面148の近傍で基体118内に設けられ、第2のバッフル224は上表面158の近傍で基体118内に設けられる。長手方向においては、バッフル222、224は各々基体118のほぼ中間区域に位置する。バッフル224は、光学反射経路150、160に加えて、入力ファイバ104から出力ファイバ108、110へ直接進行する光学経路(即ち、光学経路180、181)を遮断するように位置する。バッフル222は上述した方法で光学経路144を遮断するように位置する。従って、図10−12に示す実施の形態は、最少の数のバリヤにより、出力ファイバにおいて受け取られることのある案内されない光がそれに沿って進行するような実質上すべての重要な光学経路(即ち、主要な経路、補助的な経路、第3の経路及び直接光学経路)を妨害又は遮断するように形状づけられることを認識すべきである。
【0019】
[0029]以上の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施の形態を提示したが、多数の変形が存在することを認識すべきである。また、例示的な実施の形態(単数又は複数)は単なる例であり、いかなる意味においても本発明の要旨、応用性又は形状を限定することを意図するものではないことを認識すべきである。むしろ、上述の詳細な説明は本発明の例示的な実施の形態を履行するための便利なロードマップを当業者に提供する。特許請求の範囲に規定されるような本発明の要旨から逸脱することなく、例示的な実施の形態において述べた素子の機能及び配列について種々の変更が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】二重出力の光学変調器の斜視図である。
【図2】図1の2−2線における光学変調器の側断面図である。
【図3】図1の2−2線における光学変調器の側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光学変調器の頂面図である。
【図5】図4の5−5線における光学変調器の側断面図である。
【図6】図4、図5に示す光学変調器の底面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る光学変調器の頂面図である。
【図8】図7の8−8線における光学変調器の側断面図である。
【図9】図7、図8に示す光学変調器の底面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る光学変調器の頂面図である。
【図11】図10の11−11線における光学変調器の側断面図である。
【図12】図10、図11に示す光学変調器の底面図である。
【符号の説明】
【0021】
104:入力光ファイバ、108、110:出力光ファイバ、118:基体、122:導波管、128、130、132、134:電極、148:底表面、158:上(頂)表面、174、176、178、212、214、222:バッフル、200、210、220:導波管装置(光学変調器)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質上案内される第1のモード及び実質上案内されない第2のモードを有する光を受け取るための光学導波管装置(200)であって、
長さXを有し、実質上対向する第1の表面(148)及び第2の表面(158)、入力端部、並びに出力端部を備えた光透過性の基体(118);
第2の表面の近傍で基体内に位置し、入力端部から出力端部へ延びる光学導波管区域(122);
導波管区域(122)に関して所定の位置で第2の表面(158)上に位置する複数の電極(128、130、132、134);並びに
空間フィルタ;を有し、
前記空間フィルタが:
入力端部から実質上(1/2)Xの距離において第1の表面(148)の近傍で基体(118)内に位置する第1の光学バリヤ(178);
入力端部から実質上(1/4)Xの距離において第1の表面(148)の近傍で基体(118)内に位置する第2の光学バリヤ(176);及び
入力端部から実質上(n/8)Xの距離において第1の表面(148)の近傍で基体(118)内に位置する第3の光学バリヤ(174);を有し、
nが8より小さい奇数整数であることを特徴とする光学導波管装置。
【請求項2】
案内されるモード及び案内されないモードを有し、入力端部、出力端部、上方の表面(158)、及び下方の表面(148)を備えた光透過性の基体(118);
基体(118)へ光を送給するための、入力端部に結合された入力光ファイバ(104);
基体(118)から光を受け取るための、出力端部に結合された出力光ファイバ(108、110);
上方の表面(158)の近傍に位置し、第1の端部から第2の端部へ延びる導波管(122);及び
各々上方の表面(158)及び下方の表面(156)のうちの一方の近傍に位置し、基体(118)を通して案内されないモードの光が進行するような異なる光学経路を遮断する、複数のバッフル(174、176、178);を有することを特徴とする導波管装置。
【請求項3】
前記基体(118)がXの長さを有し、少なくとも1つのバッフルが入力端部からほぼ(1/2)Xの距離において下方の表面(148)の近傍に位置することを特徴とする請求項2の光学導波管装置。
【請求項1】
実質上案内される第1のモード及び実質上案内されない第2のモードを有する光を受け取るための光学導波管装置(200)であって、
長さXを有し、実質上対向する第1の表面(148)及び第2の表面(158)、入力端部、並びに出力端部を備えた光透過性の基体(118);
第2の表面の近傍で基体内に位置し、入力端部から出力端部へ延びる光学導波管区域(122);
導波管区域(122)に関して所定の位置で第2の表面(158)上に位置する複数の電極(128、130、132、134);並びに
空間フィルタ;を有し、
前記空間フィルタが:
入力端部から実質上(1/2)Xの距離において第1の表面(148)の近傍で基体(118)内に位置する第1の光学バリヤ(178);
入力端部から実質上(1/4)Xの距離において第1の表面(148)の近傍で基体(118)内に位置する第2の光学バリヤ(176);及び
入力端部から実質上(n/8)Xの距離において第1の表面(148)の近傍で基体(118)内に位置する第3の光学バリヤ(174);を有し、
nが8より小さい奇数整数であることを特徴とする光学導波管装置。
【請求項2】
案内されるモード及び案内されないモードを有し、入力端部、出力端部、上方の表面(158)、及び下方の表面(148)を備えた光透過性の基体(118);
基体(118)へ光を送給するための、入力端部に結合された入力光ファイバ(104);
基体(118)から光を受け取るための、出力端部に結合された出力光ファイバ(108、110);
上方の表面(158)の近傍に位置し、第1の端部から第2の端部へ延びる導波管(122);及び
各々上方の表面(158)及び下方の表面(156)のうちの一方の近傍に位置し、基体(118)を通して案内されないモードの光が進行するような異なる光学経路を遮断する、複数のバッフル(174、176、178);を有することを特徴とする導波管装置。
【請求項3】
前記基体(118)がXの長さを有し、少なくとも1つのバッフルが入力端部からほぼ(1/2)Xの距離において下方の表面(148)の近傍に位置することを特徴とする請求項2の光学導波管装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−107768(P2008−107768A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−47689(P2007−47689)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47689(P2007−47689)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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