説明

光学式エンコーダ

【課題】簡単な構成で、回転体の相対回転角および絶対回転角を検出することができる光学式エンコーダを提供する。
【解決手段】相対回転角検出部22は、相対回転角検出用受光部20からの出力信号を受けて、コードホイール1の透過領域としての光オン部11a,11bおよび遮断領域としての光オフ部12からの光量の相違に基づいて、コードホイール1の相対回転角を検出する。一方、絶対回転角検出部23は、絶対回転角検出用受光部21からの出力信号を受けて、コードホイール1の第1の領域としての第1光オン部11aおよび第2の領域としての第2光オン部11bからの光量の相違に基づいて、コードホイール1の絶対回転角を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学式エンコーダ、回転角検出装置、モータおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、回転ディスクの変調パターンに対して、LEDやフォトトランジスタ等から構成される光学式エンコーダは、インクジェットプリンタや複写機において静音化、省電力化という利点よりDCモータでの駆動・制御系が増えることにより、需要が増大している。最近では、インクリメンタル型デジタルエンコーダが広く用いられており、従来の回転軸の相対位置情報を構成する手段としては、例えば、特開昭59−40258号公報(特許文献1)に示されるように、受光素子群をスリットの配列方向に1/4ピッチの間隔で配置し、それらの出力信号を比較することにより構成されたものが提案されている。
【0003】
また、一般的に、DCブラシレスモータでは、ロータの磁極を検知してロータの回転位置を検出するためにホール素子が用いられる。例えば、特開2001−275383号公報(特許文献2)に示されるように、ロータシャフトにそれと同軸に固着された支持板にロータ磁石と同一の磁極数を有するリング状の検出磁石を設け、この検出磁石の端面に対向して配置されたホール素子により磁極の極性を検出して、転流位置を制御するように構成したものが提案されている。
【0004】
しかしながら、上記従来のインクリメンタルエンコーダでは、相対的な回転角および回転方向の検出は可能だが、DCブラシレスモータに用いた場合、ロータ位置検出等のために必要となる絶対回転角の検出は困難であるという問題があった。この結果、ロータの絶対回転角を検出するために、検出磁石とホール素子との検出系の構成が必要となり、構成が複雑となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−40258号公報
【特許文献2】特開2001−275383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、簡単な構成にて、モータのロータ等の相対回転角および絶対回転角を検出できる光学式エンコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の光学式エンコーダは、
光源から出射される光を透過する複数の透過領域と、上記光源から出射される光を遮断する複数の遮断領域とを有し、上記透過領域と上記遮断領域とを周方向に交互に配列すると共に、上記光源から出射される光を透過する第1の領域と、上記光源から出射される光を透過すると共に上記第1の領域の透過率と異なる透過率を有する第2の領域とを、周方向に順に配列している回転体の相対回転角および絶対回転角を検出する光学式エンコーダであって、
上記光源から出射される光を、上記回転体の上記透過領域および上記遮断領域を介して、受光する相対回転角検出用受光部と、
上記光源から出射される光を、上記回転体の上記第1の領域および上記第2の領域を介して、受光する絶対回転角検出用受光部と、
上記相対回転角検出用受光部からの出力信号を受け、上記透過領域および上記遮断領域からの光量の相違に基づいて、上記回転体の相対回転角を検出する相対回転角検出部と、
上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を受け、上記第1の領域および上記第2の領域からの光量の相違に基づいて、上記回転体の絶対回転角を検出する絶対回転角検出部と
を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明の光学式エンコーダによれば、上記相対回転角検出部は、相対回転角検出用受光部からの出力信号を受けて、透過領域および遮断領域からの光量の相違に基づいて、回転体の相対回転角を検出する。一方、上記絶対回転角検出部は、絶対回転角検出用受光部からの出力信号を受けて、第1の領域および第2の領域からの光量の相違に基づいて、回転体の絶対回転角を検出する。このため、簡単な構成で、回転体の相対回転角および絶対回転角を検出することができる。
【0009】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、
上記回転体は、コードホイールであり、
このコードホイールは、
上記透過領域としての第1または第2光オン部と、
上記遮断領域としての光オフ部と
を有し、
上記第1光オン部の透過率と上記第2光オン部の透過率とは、異なり、
複数の上記第1光オン部は、周方向に連続して配列されて、上記第1の領域を構成し、
複数の上記第2光オン部は、周方向に連続して配列されて、上記第2の領域を構成している。
【0010】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記回転体としてのコードホイールは、透過領域としての第1または第2光オン部と、遮断領域としての光オフ部とを有し、複数の第1光オン部は、周方向に連続して配列されて、第1の領域を構成し、複数の第2光オン部は、周方向に連続して配列されて、第2の領域を構成しているので、第1光オン部は、透過領域と第1の領域とを兼用し、第2光オン部は、透過領域と第2の領域とを兼用している。このため、一つのコードホイールで、相対回転角情報と絶対回転角情報とを得ることができ、回転角の検出系の構成を簡略化できコストを低減できる。
【0011】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、
上記絶対回転角検出用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記第1または第2光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であり、
上記絶対回転角検出部は、上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、閾値と比較することにより、上記コードホイールの絶対回転角を算出する。
【0012】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記絶対回転角検出用受光部の幅は、コードホイールにおける互いに隣接する第1または第2光オン部と光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であるので、第1、第2光オン部と光オフ部との変調の影響を受けずに、絶対回転角検出用受光部から第1、第2光オン部の透過率の変化量に準じた出力信号を得ることができる。また、第1、第2光オン部の配置を、コードホイールの絶対回転角を検出したい領域で変化させておき、絶対回転角検出用受光部からの出力信号と回転角毎に対応する閾値とを比較することにより、コードホイールの絶対回転角を検出できて、回転角の検出系の構成を簡略化できる。
【0013】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、
上記回転体は、コードホイールであり、
このコードホイールは、
上記透過領域としての光オン部と、
上記遮断領域としての光オフ部と、
上記第1の領域としての第1トラックと、
上記第2の領域としての第2トラックと
を有し、
上記第1と第2トラックと、上記光オン部とは、独立して設けられている。
【0014】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記第1と第2トラックと、上記光オン部とは、独立して設けられているので、一つのコードホイール上に相対回転角情報を検出するための光オン部および光オフ部の変調パターンと、絶対回転角情報を検出するための第1トラックおよび第2トラックの透過率変化パターンとを、独立して別のパターンで配することができる。このため、コードホイールの相対回転角および絶対回転角を検出する構成を簡易に製造でき、かつ、周方向に対する絶対回転角検出領域の自由度を高く設定できる。
【0015】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、
上記光源から出射される光を、上記コードホイールの上記光オン部および上記光オフ部を介して、受光する閾値生成用受光部と、
上記閾値生成用受光部からの出力信号を受けて閾値を生成する閾値生成部と
を有し、
上記閾値生成用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であり、
上記絶対回転角検出部は、上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、上記閾値生成部によって生成された上記閾値と比較することにより、上記コードホイールの絶対回転角を算出する。
【0016】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記閾値生成用受光部の幅は、コードホイールにおける互いに隣接する光オン部と光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であるので、光オン部と光オフ部との変調の影響を受けずに、閾値生成用受光部から安定した出力信号を得ることができる。そして、上記閾値生成部は、閾値生成用受光部からの出力信号を受けて閾値を生成するので、閾値生成部は、上記光源の経年的または温度による照射光量変化の影響を軽減して、閾値を生成できる。
【0017】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、
上記回転体は、コードホイールであり、
このコードホイールは、
上記透過領域としての光オン部と、
上記遮断領域としての光オフ部と、
上記光源から出射される光を透過する複数の第1トラックと、
上記光源から出射される光を透過すると共に上記第1トラックの透過率と異なる透過率を有する複数の第2トラックと
を有し、
上記複数の第1トラックは、周方向に連続して配列されて、上記第1の領域を構成し、
上記複数の第2トラックは、周方向に連続して配列されて、上記第2の領域を構成し、
上記各第1トラックは、上記各光オン部の径方向に隣接して、設けられ、
上記各第2トラックは、上記各光オン部の径方向に隣接して、設けられている。
【0018】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記各第1トラックは、上記各光オン部の径方向に隣接して、設けられ、上記各第2トラックは、上記各光オン部の径方向に隣接して、設けられているので、光オン部と第1、第2トラックとを同一のスリット内に一体に形成でき、小型化を図ることができる。
【0019】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、
上記絶対回転角検出用受光部は、上記第1または第2トラックに対向して配置され、
上記絶対回転角検出用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍である。
【0020】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記絶対回転角検出用受光部の幅は、コードホイールにおける互いに隣接する光オン部と光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であるので、(光オン部と一体に設けられた)第1、第2トラックと光オフ部との変調の影響を受けずに、第1、第2トラックの透過率の変化量に準じた絶対回転角検出用受光部からの出力信号を得ることができる。
【0021】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、
上記光源から出射される光を、上記コードホイールの上記光オン部および上記光オフ部を介して、受光する閾値生成用受光部と、
上記閾値生成用受光部からの出力信号を受けて閾値を生成する閾値生成部と
を有し、
上記閾値生成用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であり、
上記絶対回転角検出部は、上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、上記閾値生成部によって生成された上記閾値と比較することにより、上記コードホイールの絶対回転角を算出する。
【0022】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記閾値生成用受光部の幅は、コードホイールにおける互いに隣接する光オン部と光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であるので、光オン部と光オフ部との変調の影響を受けずに、閾値生成用受光部から安定した出力信号を得ることができる。そして、上記閾値生成部は、閾値生成用受光部からの出力信号を受けて閾値を生成するので、閾値生成部は、上記光源の経年的または温度による照射光量変化の影響を軽減して、閾値を生成できる。
【0023】
また、一実施形態の光学式エンコーダでは、上記複数の第1トラックまたは上記複数の第2トラックにおいて、上記複数のトラックのうちの一つのトラックの透過率は、上記複数のトラックのうちの他のトラックの透過率と異なる。
【0024】
この実施形態の光学式エンコーダによれば、上記複数の第1トラックまたは上記複数の第2トラックにおいて、一つのトラックの透過率は、他のトラックの透過率と異なるので、コードホイールの1回転の基準信号を得ることができる。
【0025】
また、一実施形態の回転角検出装置は、
コードホイールと、
上記コードホイールの相対回転角および絶対回転角を検出する上記光学式エンコーダと
を備える。
【0026】
この実施形態の回転角検出装置によれば、上記光学式エンコーダを備えるので、簡単な構成で、相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格の回転角検出装置を提供できる。
【0027】
また、一実施形態のモータは、
ロータと、
ステータと、
上記回転角検出装置と
を備え、
上記回転角検出装置の上記コードホイールは、上記ロータに対して相対的に静止するように、上記ロータに直接的または間接的に固定されている。
【0028】
この実施形態のモータによれば、上記回転角検出装置を備えるので、簡単な構成で、ロータの相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格のモータを提供できる。
【0029】
また、一実施形態の電子機器は、上記回転角検出装置、または、上記モータを備える。
【0030】
この実施形態の電子機器によれば、上記回転角検出装置または上記モータを備えるので、簡単な構成で、相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格の電子機器を提供できる。
【発明の効果】
【0031】
この発明の光学式エンコーダによれば、上記相対回転角検出部は、相対回転角検出用受光部からの出力信号を受けて、透過領域および遮断領域からの光量の相違に基づいて、回転体の相対回転角を検出する一方、上記絶対回転角検出部は、絶対回転角検出用受光部からの出力信号を受けて、第1の領域および第2の領域からの光量の相違に基づいて、回転体の絶対回転角を検出するので、簡単な構成で、回転体の相対回転角および絶対回転角を検出することができる。
【0032】
この発明の回転角検出装置によれば、上記光学式エンコーダを備えるので、簡単な構成で、相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格の回転角検出装置を提供できる。
【0033】
この発明のモータによれば、上記回転角検出装置を備えるので、簡単な構成で、ロータの相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格のモータを提供できる。
【0034】
この発明の電子機器によれば、上記回転角検出装置または上記モータを備えるので、簡単な構成で、相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格の電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態の光学式エンコーダとともに用いられるコードホイールの平面図である。
【図2】第1実施形態の光学式エンコーダとコードホイールとの簡略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態の光学式エンコーダとともに用いられるコードホイールの平面図である。
【図4】第2実施形態の光学式エンコーダとコードホイールとの簡略構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態の光学式エンコーダとともに用いられるコードホイールの平面図である。
【図6】第3実施形態の光学式エンコーダとコードホイールとの簡略構成図である。
【図7】本発明の第4実施形態の光学式エンコーダとともに用いられるコードホイールの平面図である。
【図8】第4実施形態の光学式エンコーダとコードホイールとの簡略構成図である。
【図9】第1から第3絶対回転角検出部の絶対回転角信号のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の光学式エンコーダとともに用いられるコードホイールを示し、図2は、光学式エンコーダとコードホイールとの簡略構成図を示している。この光学式エンコーダは、コードホイールともに、回転検出装置を構成する。
【0038】
上記回転検出装置は、例えば、ロータとステータとともに、モータを構成する。このとき、回転角検出装置のコードホイールは、ロータに対して相対的に静止するように、ロータに直接的または間接的に固定される。また、上記回転検出装置や上記モータは、例えば、インクジェットプリンタや複写機などの電子機器に用いられる。
【0039】
図1と図2に示すように、上記光学式エンコーダ2は、回転体としての上記コードホイール1の相対回転角および絶対回転角を検出する。コードホイール1は、複数の第1光オン部11aおよび複数の第2光オン部11bと、複数の光オフ部12とを有する。
【0040】
上記第1と第2光オン部11a,11bは、光源Lから出射される光を透過する透過領域を構成する。上記光オフ部12は、光源Lから出射される光を遮断する遮断領域を構成する。透過領域と遮断領域とは、周方向に交互に配列されている。
【0041】
上記第1光オン部11aの透過率と上記第2光オン部11bの透過率とは、異なり、第1光オン部11aの透過率は、第2光オン部11bの透過率よりも大きい。第1光オン部11aは、例えば、スリットにより形成され、第2光オン部11bは、例えば、スリットに低透過率の樹脂などを取り付けて形成される。
【0042】
上記複数の第1光オン部11aは、周方向に連続して配列されて、第1の領域51を構成する。上記複数の第2光オン部11bは、周方向に連続して配列されて、第2の領域52を構成している。第1の領域51と第2の領域52とは、それぞれ中心角180°の領域を占め、周方向に順に配列されている。
【0043】
上記光学式エンコーダ2は、相対回転角検出用受光部20と、絶対回転角検出用受光部21と、相対回転角検出部22と、絶対回転角検出部23とを有する。
【0044】
上記相対回転角検出用受光部20は、光源Lから出射される光を、コードホイール1の透過領域(第1、第2光オン部11a,11b)および遮断領域(光オフ部12)を介して、受光する。
【0045】
上記相対回転角検出用受光部20は、第1から第4受光素子20a,20b,20c,20dを有し、この4つの受光素子20a,20b,20c,20dは、コードホイール1の透過領域および遮断領域に対向するように、周方向に連続的に配列されている。
【0046】
上記相対回転角検出用受光部20の幅は、コードホイール1における互いに隣接する第1または第2光オン部11a,11bと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子20a,20b,20c,20dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0047】
上記絶対回転角検出用受光部21は、光源Lから出射される光を、コードホイール1の第1の領域51(第1光オン部11a)および第2の領域52(第2光オン部11b)を介して、受光する。
【0048】
上記絶対回転角検出用受光部21は、第1から第4受光素子21a,21b,21c,21dを有し、この4つの受光素子21a,21b,21c,21dは、コードホイール1の第1の領域51および第2の領域52に対向するように、周方向に連続的に配列されている。絶対回転角検出用受光部21は、相対回転角検出用受光部20に連続的に配列されている。
【0049】
上記絶対回転角検出用受光部21の幅は、コードホイール1における互いに隣接する第1または第2光オン部11a,11bと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子21a,21b,21c,21dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0050】
上記相対回転角検出部22は、上記相対回転角検出用受光部20からの出力信号を受け、透過領域および遮断領域からの光量の相違に基づいて、コードホイール1の相対回転角を検出する。
【0051】
上記相対回転角検出部22は、第1、第3受光素子20a,20cに接続される第1差動アンプ40aと、この第1差動アンプ40aに接続される第1コンパレータ50aと、第2、第4受光素子20b,20dに接続される第2差動アンプ40bと、この第2差動アンプ40bに接続される第2コンパレータ50bとを有する。
【0052】
上記第1、第3受光素子20a,20cは、入力ピッチ長Pに対して180°の位相差をもって、A相を出力する一方、上記第2、第4受光素子20b,20dは、入力ピッチ長Pに対して180°の位相差をもって、B相を出力する。そして、上記第1、第2コンパレータ50a,50bは、特開昭59−40258号公報と同様に、A相出力とB相出力とを比較し、ON/OFF制御して、コードホイール1の相対回転角信号を形成する。
【0053】
また、上記各受光素子20a,20b,20c,20dの幅は、(1/4)Pとなっており、上記A相出力と上記B相出力の位相差が、(1/4)P(つまり、90°)形成されることにより、コードホイール1の回転方向の検出も可能となる。
【0054】
ここで、上記第1光オン部11aの透過率と上記第2光オン部11bの透過率とは異なるため、第1、第2コンパレータ50a,50bでの比較を安定させる必要がある。このため、第1から第4受光素子20a,20b,20c,20dの出力電流に対して、第1、第2差動アンプ40a,40bによって、直流出力を入力側へ負帰還させる等、直流成分にオフセットをかける。
【0055】
なお、上記第1から第4受光素子20a,20b,20c,20dを一つのグループとして、複数のグループを配列してもよく、各々同一の位相関係にある受光素子の和を比較し平均化させることで、光量増大および平均化により、コンパレータでの比較の安定化に有効となる。
【0056】
上記絶対回転角検出部23は、上記絶対回転角検出用受光部21からの出力信号を受け、第1の領域51および第2の領域52からの光量の相違に基づいて、コードホイール1の絶対回転角を検出する。
【0057】
上記絶対回転角検出部23は、上記第1から第4受光素子21a,21b,21c,21dに接続されるアンプ30を有する。このアンプ30によって、各受光素子21a,21b,21c,21dの出力信号の和を取ることにより、光オン部11a,11bと光オフ部12との入力ピッチ長Pに相当する信号を取ることができる。
【0058】
このため、上記コードホイール1上の光オン部11a,11bと光オフ部12との変調パターンの影響を低減し、各受光素子21a,21b,21c,21dの出力信号の和は、第1光オン部11aでの透過率と第2光オン部11bの透過率の変化量を検出する。
【0059】
そして、この出力をアンプ30で増幅後、絶対回転角信号Vabsを生成し、この信号を閾値と比較することによりコードホイール1の領域設定された絶対回転角を検出できて、相対回転角および回転方向検出と同時に、移動および位置情報を得ることができる。つまり、絶対回転角検出部23は、絶対回転角検出用受光部21からの出力信号を、閾値と比較することにより、コードホイール1の絶対回転角を算出する。
【0060】
上記構成の光学式エンコーダ1によれば、上記相対回転角検出部22は、相対回転角検出用受光部20からの出力信号を受けて、透過領域および遮断領域からの光量の相違に基づいて、コードホイール1の相対回転角を検出する。一方、上記絶対回転角検出部23は、絶対回転角検出用受光部21からの出力信号を受けて、第1の領域51および第2の領域52からの光量の相違に基づいて、コードホイール1の絶対回転角を検出する。このため、簡単な構成で、コードホイール1の相対回転角および絶対回転角を検出することができる。
【0061】
上記構成の光学式エンコーダ1によれば、コードホイール1は、透過領域としての第1または第2光オン部11a,11bと、遮断領域としての光オフ部12とを有し、複数の第1光オン部11aは、周方向に連続して配列されて、第1の領域51を構成し、複数の第2光オン部11bは、周方向に連続して配列されて、第2の領域52を構成しているので、第1光オン部11aは、透過領域と第1の領域51とを兼用し、第2光オン部11bは、透過領域と第2の領域52とを兼用している。このため、一つのコードホイール1で、相対回転角情報と絶対回転角情報とを得ることができ、回転角の検出系の構成を簡略化できコストを低減できる。
【0062】
上記構成の光学式エンコーダ1によれば、上記絶対回転角検出用受光部21の幅は、コードホイール1における互いに隣接する第1または第2光オン部11a,11bと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しいので、第1、第2光オン部11a,11bと光オフ部12との変調の影響を受けずに、絶対回転角検出用受光部21から第1、第2光オン部11a,11bの透過率の変化量に準じた出力信号を得ることができる。また、第1、第2光オン部11a,11bの配置を、コードホイール1の絶対回転角を検出したい領域で変化させておき、絶対回転角検出用受光部21からの出力信号と回転角毎に対応する閾値とを比較することにより、コードホイール1の絶対回転角を検出できて、回転角の検出系の構成を簡略化できる。
【0063】
上記構成の回転角検出装置によれば、上記光学式エンコーダ1を備えるので、簡単な構成で、相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格の回転角検出装置を提供できる。
【0064】
上記構成のモータによれば、上記回転角検出装置を備えるので、簡単な構成で、ロータの相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格のモータを提供できる。
【0065】
上記構成の電子機器によれば、上記回転角検出装置または上記モータを備えるので、簡単な構成で、相対回転角および絶対回転角を検出することができ、低価格の電子機器を提供できる。
【0066】
(第2の実施形態)
図3と図4は、この発明の光学式エンコーダおよびコードホイールの第2の実施形態を示している。なお、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0067】
図3と図4に示すように、コードホイール1Aは、複数の光オン部11aと、複数の光オフ部12とを有する。光オン部11aは、光源Lから出射される光を透過する透過領域を構成する。光オフ部12は、光源Lから出射される光を遮断する遮断領域を構成する。透過領域と遮断領域とは、周方向に交互に配列されている。光オン部11aは、例えば、スリットにより形成される。
【0068】
上記コードホイール1Aは、第1の領域51Aとしての第1トラック13aと、第2の領域52Aとしての第2トラック13bとを有する。第1トラック13aと第2トラック13bとは、それぞれ中心角180°の領域を占め、周方向に順に配列されている。第1と第2トラック13a,13bは、光オン部11aとは独立して設けられ、光オン部11aの径方向外側に配置されている。
【0069】
上記第1トラック13aの透過率と上記第2トラック13bの透過率とは、異なり、第1トラック13aの透過率は、第2トラック13bの透過率よりも大きい。第1トラック13aは、例えば、円弧状のスリットにより形成され、第2トラック13bは、例えば、円弧状のスリットに低透過率の樹脂などを取り付けて形成される。
【0070】
上記光学式エンコーダ2Aは、相対回転角検出用受光部20と、絶対回転角検出用受光部24と、相対回転角検出部22と、絶対回転角検出部25と、閾値生成用受光部26と、閾値生成部27とを有する。
【0071】
上記相対回転角検出用受光部20は、光源Lから出射される光を、コードホイール1Aの透過領域(光オン部11a)および遮断領域(光オフ部12)を介して、受光する。
【0072】
上記相対回転角検出用受光部20は、第1から第4受光素子20a,20b,20c,20dを有し、この4つの受光素子20a,20b,20c,20dは、コードホイール1Aの透過領域および遮断領域に対向するように、周方向に連続的に配列されている。
【0073】
上記相対回転角検出用受光部20の幅は、コードホイール1Aにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子20a,20b,20c,20dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0074】
上記絶対回転角検出用受光部24は、光源Lから出射される光を、コードホイール1Aの第1の領域51A(第1トラック13a)および第2の領域52A(第2トラック13b)を介して、受光する。絶対回転角検出用受光部24は、受光素子24aを有し、この受光素子24aは、コードホイール1Aの第1の領域51Aおよび第2の領域52Aに対向するように、配列されている。
【0075】
上記閾値生成用受光部26は、光源Lから出射される光を、コードホイール1Aの透過領域(光オン部11a)および遮断領域(光オフ部12)を介して、受光する。
【0076】
上記閾値生成用受光部26は、第1から第4受光素子26a,26b,26c,26dを有し、この4つの受光素子26a,26b,26c,26dは、コードホイール1Aの透過領域および遮断領域に対向するように、周方向に連続的に配列されている。閾値生成用受光部26は、相対回転角検出用受光部20に連続的に配列されている。
【0077】
上記閾値生成用受光部26の幅は、コードホイール1Aにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子26a,26b,26c,26dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0078】
上記相対回転角検出部22は、上記相対回転角検出用受光部20からの出力信号を受け、透過領域(光オン部11a)および遮断領域(光オフ部12)からの光量の相違に基づいて、コードホイール1Aの相対回転角を検出する。この相対回転角検出部22の具体的な説明は、上記第1の実施形態と同様であるため、省略する。
【0079】
上記閾値生成部27は、閾値生成用受光部26からの出力信号を受けて、絶対回転角検出用閾値を生成する。上記絶対回転角検出部25は、絶対回転角検出用受光部24からの出力信号を、アンプ30により増幅してから、絶対回転角信号Vabsを生成し、この信号を閾値生成部27によって生成された閾値と比較することにより、コードホイール1Aの絶対回転角を算出する。
【0080】
上記構成の光学式エンコーダ2Aによれば、上記第1の実施形態の作用効果に加えて、上記第1と第2トラック13a,13bと、上記光オン部11aとは、独立して設けられているので、一つのコードホイール1A上に相対回転角情報を検出するための光オン部11aおよび光オフ部12の変調パターンと、絶対回転角情報を検出するための第1トラック13aおよび第2トラック13bの透過率変化パターンとを、独立して別のパターンで配することができる。このため、コードホイール1Aの相対回転角および絶対回転角を検出する構成を簡易に製造でき、かつ、周方向に対する絶対回転角検出領域の自由度を高く設定できる。
【0081】
上記構成の光学式エンコーダ2Aによれば、上記閾値生成用受光部26の幅は、コードホイール1Aにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しいので、光オン部11aと光オフ部12との変調の影響を受けずに、閾値生成用受光部26から安定した出力信号を得ることができる。そして、上記閾値生成部27は、閾値生成用受光部26からの出力信号を受けて閾値を生成するので、閾値生成部27は、光源Lの経年的または温度による照射光量変化の影響を軽減して、閾値を生成できる。
【0082】
(第3の実施形態)
図5と図6は、この発明の光学式エンコーダおよびコードホイールの第3の実施形態を示している。なお、この第3の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0083】
図5と図6に示すように、コードホイール1Bは、複数の光オン部11aと、複数の光オフ部12とを有する。光オン部11aは、光源Lから出射される光を透過する透過領域を構成する。光オフ部12は、光源Lから出射される光を遮断する遮断領域を構成する。透過領域と遮断領域とは、周方向に交互に配列されている。光オン部11aは、例えば、スリットにより形成される。
【0084】
上記コードホイール1Bは、複数の第1トラック14aと複数の第2トラック14bとを有する。第1トラック14aと第2トラック14bとは、光源Lから出射される光を透過する。
【0085】
上記複数の第1トラック14aは、周方向に連続して配列されて、第1の領域51Bを構成する。上記複数の第2トラック14bは、周方向に連続して配列されて、第2の領域52Bを構成している。第1の領域51Bと第2の領域52Bとは、それぞれ中心角180°の領域を占め、周方向に順に配列されている。
【0086】
上記第1トラック14aの透過率と上記第2トラック14bの透過率とは、異なり、第1トラック14aの透過率は、第2トラック14bの透過率よりも大きい。第1トラック14aは、例えば、スリットにより形成され、第2トラック14bは、例えば、スリットに低透過率の樹脂などを取り付けて形成される。
【0087】
上記各第1トラック14aは、各光オン部11aの径方向外側に隣接して、設けられている。つまり、第1トラック14aと光オン部11aとを同一のスリット内に一体に形成している。同様に、上記各第2トラック14bは、各光オン部11aの径方向外側に隣接して、設けられている。つまり、第2トラック14bと光オン部11aとを同一のスリット内に一体に形成している。
【0088】
上記光学式エンコーダ2Bは、相対回転角検出用受光部20と、絶対回転角検出用受光部24と、相対回転角検出部22と、絶対回転角検出部25と、閾値生成用受光部26と、閾値生成部27とを有する。
【0089】
上記相対回転角検出用受光部20は、光源Lから出射される光を、コードホイール1Bの透過領域(光オン部11a)および遮断領域(光オフ部12)を介して、受光する。
【0090】
上記相対回転角検出用受光部20は、第1から第4受光素子20a,20b,20c,20dを有し、この4つの受光素子20a,20b,20c,20dは、コードホイール1Bの透過領域および遮断領域に対向するように、周方向に連続的に配列されている。
【0091】
上記相対回転角検出用受光部20の幅は、コードホイール1Bにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子20a,20b,20c,20dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0092】
上記絶対回転角検出用受光部24は、光源Lから出射される光を、コードホイール1Bの第1の領域51B(第1トラック14a)および第2の領域52B(第2トラック14b)を介して、受光する。絶対回転角検出用受光部24は、受光素子24aを有し、この受光素子24aは、コードホイール1Bの第1の領域51Bおよび第2の領域52Bに対向するように、配列されている。
【0093】
上記絶対回転角検出用受光部24の幅は、コードホイール1Bにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。
【0094】
上記閾値生成用受光部26は、光源Lから出射される光を、コードホイール1Bの透過領域(光オン部11a)および遮断領域(光オフ部12)を介して、受光する。
【0095】
上記閾値生成用受光部26は、第1から第4受光素子26a,26b,26c,26dを有し、この4つの受光素子26a,26b,26c,26dは、コードホイール1Bの透過領域および遮断領域に対向するように、周方向に連続的に配列されている。閾値生成用受光部26は、相対回転角検出用受光部20に連続的に配列されている。
【0096】
上記閾値生成用受光部26の幅は、コードホイール1Bにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子26a,26b,26c,26dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0097】
上記相対回転角検出部22は、上記相対回転角検出用受光部20からの出力信号を受け、透過領域(光オン部11a)および遮断領域(光オフ部12)からの光量の相違に基づいて、コードホイール1Bの相対回転角を検出する。この相対回転角検出部22の具体的な説明は、上記第1の実施形態と同様であるため、省略する。
【0098】
上記閾値生成部27は、閾値生成用受光部26からの出力信号を受けて、絶対回転角検出用閾値を生成する。上記絶対回転角検出部25は、絶対回転角検出用受光部24からの出力信号を、アンプ30により増幅してから、絶対回転角信号Vabsを生成し、この信号を閾値生成部27によって生成された閾値と比較することにより、コードホイール1Bの絶対回転角を算出する。
【0099】
上記構成の光学式エンコーダ2Bによれば、上記第1の実施形態の作用効果に加えて、上記絶対回転角検出用受光部24の幅は、コードホイール1Bにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しいので、(光オン部11aと一体に設けられた)第1、第2トラック14a,14bと光オフ部12との変調の影響を受けずに、第1、第2トラック14a,14bの透過率の変化量に準じた絶対回転角検出用受光部24からの出力信号を得ることができる。
【0100】
上記構成の光学式エンコーダ2Bによれば、上記閾値生成用受光部26の幅は、コードホイール1Bにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しいので、光オン部11aと光オフ部12との変調の影響を受けずに、閾値生成用受光部26から安定した出力信号を得ることができる。そして、上記閾値生成部27は、閾値生成用受光部26からの出力信号を受けて閾値を生成するので、閾値生成部27は、光源Lの経年的または温度による照射光量変化の影響を軽減して、閾値を生成できる。
【0101】
(第4の実施形態)
図7と図8は、この発明の光学式エンコーダおよびコードホイールの第4の実施形態を示している。なお、この第4の実施形態において、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0102】
図7と図8に示すように、コードホイール1Cは、複数の第1光オン部11aおよび複数の第2光オン部11bと、複数の光オフ部12とを有する。
【0103】
上記第1と第2光オン部11a,11bは、光源Lから出射される光を透過する透過領域を構成する。上記光オフ部12は、光源Lから出射される光を遮断する遮断領域を構成する。透過領域と遮断領域とは、周方向に交互に配列されている。
【0104】
上記第1光オン部11aの透過率と上記第2光オン部11bの透過率とは、異なり、第1光オン部11aの透過率は、第2光オン部11bの透過率よりも大きい。第1光オン部11aは、例えば、スリットにより形成され、第2光オン部11bは、例えば、スリットに低透過率の樹脂などを取り付けて形成される。
【0105】
上記複数の第1光オン部11aは、周方向に連続して配列されて、A領域を構成する。上記複数の第2光オン部11bは、周方向に連続して配列されて、B領域を構成している。A領域とB領域とは、それぞれ中心角180°の領域を占め、周方向に順に配列されている。
【0106】
上記コードホイール1Cは、複数の第1トラック14aと複数の第2トラック14bとを有する。第1トラック14aと第2トラック14bとは、光源Lから出射される光を透過する。
【0107】
上記複数の第1トラック14aは、周方向に連続して配列されて、C領域を構成する。上記複数の第2トラック14bは、周方向に連続して配列されて、D領域を構成している。C領域とD領域とは、それぞれ中心角180°の領域を占め、周方向に順に配列されている。
【0108】
上記第1トラック14aの透過率と上記第2トラック14bの透過率とは、異なり、第1トラック14aの透過率は、第2トラック14bの透過率よりも大きい。第1トラック14aは、例えば、スリットにより形成され、第2トラック14bは、例えば、スリットに低透過率の樹脂などを取り付けて形成される。
【0109】
上記各第1トラック14aは、各光オン部11aの径方向外側に隣接して、設けられている。上記各第2トラック14bは、各光オン部11aの径方向外側に隣接して、設けられている。
【0110】
上記複数の第2トラック14bのうちの一つの第2トラック16の透過率は、複数の第2トラック14bのうちの他の第2トラック14bの透過率と異なる。つまり、一つの第2トラック16の透過率は、他の第2トラック14bの透過率よりも小さい。
【0111】
上記コードホイール1Cは、複数の第3トラック15aと複数の第4トラック15bとを有する。第3トラック15aと第4トラック15bとは、光源Lから出射される光を透過する。
【0112】
上記複数の第3トラック15aは、周方向に連続して配列されて、E領域を構成する。上記複数の第4トラック15bは、周方向に連続して配列されて、F領域を構成している。E領域とF領域とは、それぞれ中心角180°の領域を占め、周方向に順に配列されている。
【0113】
上記第3トラック15aの透過率と上記第4トラック15bの透過率とは、異なり、第3トラック15aの透過率は、第4トラック15bの透過率よりも大きい。第3トラック15aは、例えば、スリットにより形成され、第4トラック15bは、例えば、スリットに低透過率の樹脂などを取り付けて形成される。
【0114】
上記各第3トラック15aは、各光オン部11aの径方向内側に隣接して、設けられている。上記各第4トラック15bは、各光オン部11aの径方向内側に隣接して、設けられている。
【0115】
上記第1または第2光オン部11a,11bと、第1または第2トラック14a,14bと、第3または第4トラック15a,15bとは、同一のスリット内に一体に形成されている。
【0116】
A領域とB領域との第1境界と、C領域とD領域との第2境界と、E領域とF領域との第3境界とは、順に、中心角度60°の位相で配置されている。そして、隣り合う上記境界の間に、第1から第6の領域51C,52C,53C,54C,55C,56Cを形成する。第1から第6の領域51C〜56Cは、それぞれ中心角度60°の領域を占め、互いに異なる透過率を有する。
【0117】
上記光学式エンコーダ2Cは、相対回転角検出用受光部20と、第1から第3絶対回転角検出用受光部31,32,33と、相対回転角検出部22と、第1から第3絶対回転角検出部41,42,43とを有する。
【0118】
上記相対回転角検出用受光部20は、光源Lから出射される光を、コードホイール1Cの透過領域(第1、第2光オン部11a,11b)および遮断領域(光オフ部12)を介して、受光する。
【0119】
上記相対回転角検出用受光部20は、第1から第4受光素子20a,20b,20c,20dを有し、この4つの受光素子20a,20b,20c,20dは、コードホイール1Cの透過領域および遮断領域に対向するように、周方向に連続的に配列されている。
【0120】
上記相対回転角検出用受光部20の幅は、コードホイール1Cにおける互いに隣接する光オン部11aと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子20a,20b,20c,20dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0121】
上記第1絶対回転角検出用受光部31は、光源Lから出射される光を、コードホイール1CのC領域(第1トラック14a)およびD領域(第2トラック14b)を介して、受光する。第1絶対回転角検出用受光部31は、受光素子31aを有し、この受光素子31aは、コードホイール1CのC領域およびD領域に対向するように、配列されている。
【0122】
上記第1絶対回転角検出用受光部31の幅は、コードホイール1Cにおける互いに隣接する光オン部11a,11bと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。
【0123】
上記第2絶対回転角検出用受光部32は、光源Lから出射される光を、コードホイール1CのA領域(第1光オン部11a)およびB領域(第2光オン部11b)を介して、受光する。
【0124】
上記第2絶対回転角検出用受光部32は、第1から第4受光素子32a,32b,32c,32dを有し、この4つの受光素子32a,32b,32c,32dは、コードホイール1CのA領域およびB領域に対向するように、周方向に連続的に配列されている。第2絶対回転角検出用受光部32は、相対回転角検出用受光部20に連続的に配列されている。
【0125】
上記第2絶対回転角検出用受光部32の幅は、コードホイール1Cにおける互いに隣接する光オン部11a,11bと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。つまり、各受光素子32a,32b,32c,32dの幅は、(1/4)Pとなる。
【0126】
上記第3絶対回転角検出用受光部33は、光源Lから出射される光を、コードホイール1CのE領域(第3トラック15a)およびF領域(第4トラック15b)を介して、受光する。第3絶対回転角検出用受光部33は、受光素子33aを有し、この受光素子33aは、コードホイール1CのE領域およびF領域に対向するように、配列されている。
【0127】
上記第3絶対回転角検出用受光部33の幅は、コードホイール1Cにおける互いに隣接する光オン部11a,11bと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しい。
【0128】
上記相対回転角検出部22は、上記相対回転角検出用受光部20からの出力信号を受け、透過領域(光オン部11a)および遮断領域(光オフ部12)からの光量の相違に基づいて、コードホイール1Cの相対回転角を検出する。この相対回転角検出部22の具体的な説明は、上記第1の実施形態と同様であるため、省略する。
【0129】
上記第1絶対回転角検出部41は、第1絶対回転角検出用受光部31からの出力信号を、アンプ61により増幅してから、絶対回転角信号Vabs1を生成し、この信号を閾値と比較する。上記第2絶対回転角検出部42は、第2絶対回転角検出用受光部32からの出力信号を、アンプ62により増幅してから、絶対回転角信号Vabs2を生成し、この信号を閾値と比較する。上記第3絶対回転角検出部43は、第3絶対回転角検出用受光部33からの出力信号を、アンプ63により増幅してから、絶対回転角信号Vabs3を生成し、この信号を閾値と比較する。そして、第1から第3絶対回転角検出部41,42,43により、コードホイール1Cの絶対回転角を算出する。つまり、コードホイール1の第1から第6の領域51C〜56Cを算出する。
【0130】
図9に示すように、上記第1から第3絶対回転角検出部41,42,43による絶対回転角の算出を具体的に説明すると、各絶対回転角信号Vabs1,Vabs2,Vabs3を絶対回転角検出用閾値で比較し、その出力の組み合わせにより、コードホイール1回転において60°ごとの位置(第1から第6の領域51C〜56C)を知ることができる。
【0131】
例えば、3相ブラシレスモータのロータの位置関係と対応させてロータの回転位置情報を得ることが可能となる。つまり、コードホイール1の第1から第6の領域51C〜56Cを、DCブラシレスモータのロータの着磁位置と相関させて、ロータの回転位置を検出することができる。
【0132】
また、絶対回転角信号Vabs1において、第1絶対回転角検出用受光部31がインデックス用パターンとしてのトラック16を検出することにより得られた出力の変化量を、インデックス検出用閾値で判定することにより、コードホイール1回転で1発の基準信号(インデックス)を得ることができる。
【0133】
したがって、相対回転角情報および回転方向と、60°毎の絶対回転角検出およびコードホイール1回転における基準信号とを、容易に得ることができる。
【0134】
上記構成の光学式エンコーダ2Cによれば、上記第1の実施形態の作用効果に加えて、上記第1から第3絶対回転角検出用受光部31,32,33のそれぞれの幅は、コードホイール1Cにおける互いに隣接する光オン部11a,11bと光オフ部12との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長Pと略等しいので、(光オン部11a,11bと一体に設けられた)トラック14a,14b,15a,15bと光オフ部12との変調の影響を受けずに、トラック14a,14b,15a,15bの透過率の変化量に準じた各絶対回転角検出用受光部31,32,33からの出力信号を得ることができる。
【0135】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1から上記第4の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、光学式エンコーダを、コードホイール以外の回転体の相対回転角および絶対回転角の検出に、用いてもよい。また、光学式エンコーダを有する回転検出装置を、モータ以外の回転装置に、用いてもよい。
【0136】
また、絶対回転角検出用受光部の幅を、コードホイールにおける互いに隣接する光オン部と光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍としてもよい。また、閾値生成用受光部の幅を、コードホイールにおける互いに隣接する光オン部と光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍としてもよい。
【0137】
また、絶対回転角検出部は、絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、複数の閾値と比較することにより、コードホイールの絶対回転角を算出するようにしてもよい。また、閾値生成部は、閾値生成用受光部からの出力信号を受けて複数の閾値を生成するようにしてもよく、絶対回転角検出部は、絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、この複数の閾値と比較することにより、コードホイールの絶対回転角を算出するようにしてもよい。
【0138】
また、トラックの形状や数量の増減は、自由であり、トラックを、光オン部の径方向外側でなく、光オン部の径方向内側に配置してもよい。
【符号の説明】
【0139】
1,1A,1B,1C コードホイール(回転体)
2,2A,2B,2C 光学式エンコーダ
11a 第1光オン部
11b 第2光オン部
12 光オフ部
13a,14a 第1トラック
13b,14b 第2トラック
15a 第3トラック
15b 第4トラック
20 相対回転角検出用受光部
21,24 絶対回転角検出用受光部
22 相対回転角検出部
23,25 絶対回転角検出部
26 閾値生成用受光部
27 閾値生成部
31,32,33 第1、第2、第3絶対回転角検出用受光部
41,42,43 第1、第2、第3絶対回転角検出部
51,51A,51B,51C 第1の領域
52,52A,52B,52C 第2の領域
53C、54C,55C,56C 第3、第4、第5、第6の領域
L 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光を透過する複数の透過領域と、上記光源から出射される光を遮断する複数の遮断領域とを有し、上記透過領域と上記遮断領域とを周方向に交互に配列すると共に、上記光源から出射される光を透過する第1の領域と、上記光源から出射される光を透過すると共に上記第1の領域の透過率と異なる透過率を有する第2の領域とを、周方向に順に配列している回転体の相対回転角および絶対回転角を検出する光学式エンコーダであって、
上記光源から出射される光を、上記回転体の上記透過領域および上記遮断領域を介して、受光する相対回転角検出用受光部と、
上記光源から出射される光を、上記回転体の上記第1の領域および上記第2の領域を介して、受光する絶対回転角検出用受光部と、
上記相対回転角検出用受光部からの出力信号を受け、上記透過領域および上記遮断領域からの光量の相違に基づいて、上記回転体の相対回転角を検出する相対回転角検出部と、
上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を受け、上記第1の領域および上記第2の領域からの光量の相違に基づいて、上記回転体の絶対回転角を検出する絶対回転角検出部と
を備えることを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式エンコーダにおいて、
上記回転体は、コードホイールであり、
このコードホイールは、
上記透過領域としての第1または第2光オン部と、
上記遮断領域としての光オフ部と
を有し、
上記第1光オン部の透過率と上記第2光オン部の透過率とは、異なり、
複数の上記第1光オン部は、周方向に連続して配列されて、上記第1の領域を構成し、
複数の上記第2光オン部は、周方向に連続して配列されて、上記第2の領域を構成していることを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式エンコーダにおいて、
上記絶対回転角検出用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記第1または第2光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であり、
上記絶対回転角検出部は、上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、閾値と比較することにより、上記コードホイールの絶対回転角を算出することを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項4】
請求項1に記載の光学式エンコーダにおいて、
上記回転体は、コードホイールであり、
このコードホイールは、
上記透過領域としての光オン部と、
上記遮断領域としての光オフ部と、
上記第1の領域としての第1トラックと、
上記第2の領域としての第2トラックと
を有し、
上記第1と第2トラックと、上記光オン部とは、独立して設けられていることを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式エンコーダにおいて、
上記光源から出射される光を、上記コードホイールの上記光オン部および上記光オフ部を介して、受光する閾値生成用受光部と、
上記閾値生成用受光部からの出力信号を受けて閾値を生成する閾値生成部と
を有し、
上記閾値生成用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であり、
上記絶対回転角検出部は、上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、上記閾値生成部によって生成された上記閾値と比較することにより、上記コードホイールの絶対回転角を算出することを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項6】
請求項1に記載の光学式エンコーダにおいて、
上記回転体は、コードホイールであり、
このコードホイールは、
上記透過領域としての光オン部と、
上記遮断領域としての光オフ部と、
上記光源から出射される光を透過する複数の第1トラックと、
上記光源から出射される光を透過すると共に上記第1トラックの透過率と異なる透過率を有する複数の第2トラックと
を有し、
上記複数の第1トラックは、周方向に連続して配列されて、上記第1の領域を構成し、
上記複数の第2トラックは、周方向に連続して配列されて、上記第2の領域を構成し、
上記各第1トラックは、上記各光オン部の径方向に隣接して、設けられ、
上記各第2トラックは、上記各光オン部の径方向に隣接して、設けられていることを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項7】
請求項6に記載の光学式エンコーダにおいて、
上記絶対回転角検出用受光部は、上記第1または第2トラックに対向して配置され、
上記絶対回転角検出用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であることを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光学式エンコーダにおいて、
上記光源から出射される光を、上記コードホイールの上記光オン部および上記光オフ部を介して、受光する閾値生成用受光部と、
上記閾値生成用受光部からの出力信号を受けて閾値を生成する閾値生成部と
を有し、
上記閾値生成用受光部の幅は、上記コードホイールにおける互いに隣接する上記光オン部と上記光オフ部との周方向に沿った長さの和である入力ピッチ長の略整数倍であり、
上記絶対回転角検出部は、上記絶対回転角検出用受光部からの出力信号を、上記閾値生成部によって生成された上記閾値と比較することにより、上記コードホイールの絶対回転角を算出することを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項9】
請求項6から8の何れか一つに記載の光学式エンコーダにおいて、
上記複数の第1トラックまたは上記複数の第2トラックにおいて、上記複数のトラックのうちの一つのトラックの透過率は、上記複数のトラックのうちの他のトラックの透過率と異なることを特徴とする光学式エンコーダ。
【請求項10】
コードホイールと、
上記コードホイールの相対回転角および絶対回転角を検出する請求項1から9の何れか一つに記載の光学式エンコーダと
を備えることを特徴とする回転角検出装置。
【請求項11】
ロータと、
ステータと、
請求項10に記載の回転角検出装置と
を備え、
上記回転角検出装置の上記コードホイールは、上記ロータに対して相対的に静止するように、上記ロータに直接的または間接的に固定されていることを特徴とするモータ。
【請求項12】
請求項10に記載の回転角検出装置、または、請求項11に記載のモータを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−145358(P2012−145358A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1936(P2011−1936)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】