説明

光学式位置検出装置

【課題】検出位置の多寡にかかわらず検出対象の位置検出の精度を確保することができる光学式位置検出装置を提供する。
【解決手段】レバー等の検出対象に連動して変位する遮光部材21を複数の発光素子12から受光素子13への光路を遮る態様で設けた。この遮光部材21には、各発光素子12からの光に対する受光素子13での受光の有無の組合せが当該遮光部材21の位置毎に異なるように設定された特定の遮光パターンを形成した。このため、検出対象に連動して遮光部材21が各位置に変位した場合、受光素子13からの電気信号に基づき生成される論理信号の組合せはすべて異なる。当該論理信号の組合せに基づき遮光部材21、ひいては検出対象の位置が特定可能となる。また、受光量の変化に基づき検出対象の位置を特定するものと異なり、検出精度が検出位置数の多寡の影響を受けることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式の位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、発光素子と受光素子との間に遮光板が配設されてなる光学式の位置検出装置が知られている。当該遮光板には、検出対象の移動位置に応じて開口面積の異なる複数の開口部が連設されている。このため、検出対象であるレバー等に連動して当該遮光板が変位すると、当該変位に応じて遮蔽板によって遮断される光量が多段階に変化する。受光素子に入射する光量も多段的に変化するので、当該受光素子において生成される電気信号も多段階に変化する。当該電気信号に基づき検出対象の位置が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−110876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来の光学式の位置検出装置には、つぎのような問題があった。すなわち、隣り合う検出位置であっても透過光量を離散的に変動させるべく、隣接する開口部間で開口面積を大きく異なるように形成されているものの、検出位置の増加に伴い隣接する開口部の開口面積の差、すなわち受光素子への入射光量の変化は自ずと小さなものとなる。このように、検出位置数によっては、依然として検出精度の確保が困難となる状況が懸念される。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、検出位置の多寡にかかわらず検出対象の位置検出の精度を確保することができる光学式位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、検出対象に連動して直線的に変位する遮光部材を複数の発光素子から受光手段への光路を遮る態様で設け、当該遮光部材は、各発光素子からの光に対する受光手段での受光の有無の組合せが当該遮光部材の位置毎に異なるように設定された特定の遮光パターンが形成されてなることをその要旨とする。
【0007】
この構成によれば、検出対象に連動する遮光部材の各位置と各発光素子からの光に対する受光手段での受光の有無の組合せとが1対1で対応する。このため、受光手段での受光の有無の組合せに基づき遮光部材、ひいては検出対象の位置を特定することができる。また、受光素子において受光される光量の変化に基づき検出対象の位置を特定するものと異なり、位置検出の精度が検出すべき位置数の影響を受けることはない。このため、検出位置の多寡にかかわらず検出対象の位置検出の精度を確保することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学式位置検出装置において、前記光路は、前記複数の発光素子からの光を前記受光手段へ導くライトガイドを含んで構成されてなることをその要旨とする。
【0009】
この構成によれば、発光素子の光はライトガイドを通じて受光手段へ導かれる。すなわち、ライトガイドにより発光素子の光を任意の位置まで自由に導くことができる。このため、発光素子と受光素子との相対的な位置関係を自由に設定することが可能になる。発光素子と受光手段とを対向して設ける必要がない。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光学式位置検出装置において、前記受光手段は単一の受光素子を備えて構成され、前記複数の発光素子は順番に繰り返し点灯されることをその要旨とする。
【0011】
この構成によれば、順番に点灯することにより、単一の受光素子により、各発光素子の光に対する受光の有無を判定可能になる。そして各発光素子からの光に対する受光素子での受光の有無の組合せに基づき検出対象の位置を特定可能となる。複数の発光素子に対して単一の受光素子を設けるだけでよいので、構成の簡素化が図られる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の光学式位置検出装置において、前記複数の発光素子及び前記受光手段は同一の基板に設けられてなることをその要旨とする。
【0013】
この構成によれば、発光素子及び受光素子等の電子部品を同一の基板に集約することができるので、設置スペースを節約することが可能になる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の光学式位置検出装置において、前記遮光パターンは、光を通す部分である透光部と、光を通さない部分である不透光部とが縦横に格子状に配設されてなるとともに、前記複数の発光素子は、前記透光部及び前記不透光部の配置間隔に対応して直線状に配設されてなることをその要旨とする。
【0014】
この構成によれば、遮光部材、ひいては検出対象の縦横方向における複数の位置を検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出位置の多寡にかかわらず検出対象の位置検出の精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、第1の実施の形態の位置検出装置の概略構成を示す正面図、(b)は、同じく基板の正面図、(c)は、同じく遮光板の遮光パターンを示す正面図。
【図2】(a)は、遮光パターンの設定に使用される二進数列の一例を示す図、(b)は、遮光パターンに対応する倫理信号の並びを示す遮光部材の正面図、(c)は、4つの発光素子の光に対する受光素子での受光の有無の組合せを示す4ビットの二進データを十進数で表記した一覧図。
【図3】(a)は、発光素子に対する遮光部材の基準位置を示す模式図、(b)〜(e)は、遮光部材の変位と発光素子との位置関係を示す模式図。
【図4】(a)は、第2の実施の形態の基板の正面図、(b)は、同じく位置検出装置の正面図。
【図5】(a),(b)は、それぞれ他の実施の形態の位置検出装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る光学式の位置検出装置を具体化した一実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。本例の位置検出装置は、例えば車両のレバーコンビネーションスイッチあるいはシフトレバー装置のレバー等を検出対象としてその変位を検出する。
【0018】
<発光素子及び受光素子>
図1(a)に示すように、位置検出装置は、各種の電子部品が設けられる基板11を備えてなる。この基板11の同一面上には、4つの発光素子12、及び受光素子13が設けられている。図1(b)に併せて示すように、4つの発光素子12及び受光素子13は、図中の上下方向において1列に並んで設けられている。4つの発光素子12は互いに近接して設けられている。受光素子13は、4つの発光素子12群の下方に間隔をおいて設けられている。発光素子12としては例えばLED(発光ダイオード)が、受光素子13としては例えばフォトトランジスタが採用される。発光素子12は、電圧の印加により発光する。受光素子13は、受光される光量に応じた電圧レベルの電気信号を生成する。
【0019】
これら発光素子12及び受光素子13は、制御回路14に接続されている。制御回路14は、単一のICチップとして基板11に設けてもよいし、位置検出装置の演算結果を利用する車両システムの制御装置等に組み込んでもよい。制御回路14は、位置検出装置の各部を統括的に制御する。例えば制御回路14は、4つの発光素子12の発光制御を行う。具体的には、4つの発光素子12を順番に繰り返し点灯させる。この発光させる順番は任意である。例えば図1(a)中の上から順番に点灯させてもよいし、下から順番に点灯させてもよい。また、無作為に点灯させてもよい。制御回路14は、どの発光素子12を点灯させたのかを認識可能であるので、各発光素子12の光に対する受光素子13での受光の有無を個別に判定可能である。
【0020】
また、制御回路14は、受光素子13において生成される電気信号に基づき当該受光素子13の受光の有無を判断する。すなわち、制御回路14は、受光素子13において生成される電気信号の電圧レベルに応じてH(ハイ)レベル又はL(ロー)レベルの電圧レベルを有する論理信号(論理「1」又は論理「0」)を生成する。本例では、受光素子13が受光したときに生成される電気信号に基づきLレベルの論理信号(論理「0」)が生成される。これに対し、受光素子13が受光しないときに生成される電気信号に基づきHレベルの論理信号(論理「1」)が生成される。そして、制御回路14は、順番に繰り返し点灯する4つの発光素子12からの光に対する受光素子13での受光の有無の組合せに基づき、検出対象の位置の演算等を行う。
【0021】
<ライトガイド>
図1(a)に示すように、基板11には、ライトガイド15が対向して設けられている。ライトガイド15は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明樹脂材料により四角柱状に形成されるとともに、同図中の上下方向へ延びるように配設されている。ライトガイド15は、基板11に平行をなす第1の部位16と、当該第1の部位16の下端に設けられて基板11側へ突出する第2の部位17とからL字状をなしている。第1の部位16の基板11側の側面は、当該基板11に対して平行をなすとともに、4つの発光素子12に対向する入射面16aとされている。第2の部位17の先端面は、基板11に対して平行をなすとともに、受光素子13に対向する出射面17aとされている。
【0022】
同図に矢印で示されるように、4つの発光素子12から出射された光は、ライトガイド15の第1の部位16、正確には入射面16aに入射する。この入射した光はライトガイド15と空気との屈折率の差により全反射しながら当該ライトガイド15の内部を伝播する。この伝播する光は、第2の部位17の出射面17aから外部へ出射する。この出射した光は、受光素子13に入射する。
【0023】
<遮光部材>
図1(a)に示すように、ライトガイド15、正確にはその第1の部位16と4つの発光素子12との間には、遮光部材21が設けられている。図1(c)に併せて示すように、この遮光部材21は、レバー等の検出対象に連動して、図中の上下左右へ変位する。遮光部材21は、例えばABS(Acrylonitrile butadiene styrene)樹脂あるいはポリカーボネート等の合成樹脂材料により矩形板状に形成されるとともに、例えば黒色に着色されることにより不透光性を有してなる。
【0024】
遮光部材21には、その光を通す部分である複数の透光部22、及び光を通さない部分である複数の不透光部23が縦横に格子状に並べて設けられることにより、特定の遮光パターンが形成されている。本例では、透光部22は遮光部材21における矩形の孔が形成された部分をいい、不透光部23は当該孔が設けられていない部分である。なお、遮光部材21において透光部22が形成されていない部分は、本来、何ら区別はない。この点本例では、説明の便宜上、透光部22の開口面積と同じ面積を有して透光部22と共に遮光パターンを形成する部分として区別する。図1(c)では、不透光部23に相当する部分を網掛けで示す。
【0025】
また本例では、合計24個の透光部22及び不透光部23が、8行3列の行列をなす態様で設けられている。透光部22及び不透光部23の列における配置間隔は、4つの発光素子12の配置間隔と等しく設定されている。すなわち、遮光部材21が縦横に変位したとき、4つの発光素子12はそれぞれ透光部22又は不透光部23に対応する。
【0026】
遮光部材21の遮光パターンは、例えば特定のアルゴリズムにより求められる数字列(例えばM系列乱数)を使用して設定される。M系列乱数とは、M系列(線形最大周期列/Maximum-length linearly recurring sequence)を利用して生成する擬似乱数をいう。本例では、図2(a)に示されるように、「0000100110101110」で表される16桁の二進数列が使用される。当該数列の論理「0」には透光部22が、同じく論理「1」には不透光部23が対応して設定される。
【0027】
遮光部材21において、図1(c)に示される1列目(最左列)の遮光パターンは先の二進数列の9桁目〜16桁目の数字列「00001001」を使用して設定されている。同様に、遮光部材21の2列目(中央列)の遮光パターンは先の二進数列の4桁目〜11桁目の数字列「00110101」を、同じく3列目(最右列)の遮光パターンは先の二進数列の15,16桁目及び1〜6桁目の数字列「10101110」を使用して設定されている。これら3つの数字列の8桁目〜1桁目の値は、3つの列の1行目〜8行目にそれぞれ対応して設定されている。そして、これら数字列の論理「0」及び論理「1」の並びに対応するように、透光部22及び不透光部23が形成される。例えば、図2(b)に示されるように、遮光部材21の1列目においては、1行目から順に「00001001」のように数値が並んで設定されるところ、これに対応して遮光部材21の1列目には、図1(b)に示されるように、上(1行目)から順に、透光部22、透光部22、透光部22、透光部22、不透光部23、透光部22、透光部22,透光部22が間隔をおいて形成される。2列目、及び3列目についても同様にして透光部22及び不透光部23が形成される。
【0028】
前述したように、本例では4つの発光素子12が設けられているところ、これら発光素子12が透光部22及び不透光部23のいずれかに対応するかたちで遮光部材21が取り得る位置は全部で15通りとなる。すなわち、図2(b)に示されるように、遮光部材21は、4つを一組とする発光素子12に対して、横方向においては3つの位置(1列目〜3列目)、縦方向においては5つの位置(NO.1〜NO.5)をとる。例えば4つの発光素子12が遮光部材21の1列目における1行目〜4行目の透光部22に対応している場合に、遮光部材21が下方へ一の透光部22あるいは不透光部23の分ずつ変位したとき、4つの発光素子12は、「0000」、「0001」、「0010」、「0100」、「1001」の5つの数字列に対応する位置をとる。同様に、4つの発光素子12が遮光部材21の2列目に対応している場合、4つの発光素子12は、「0011」、「0110」、「1101」、「1010」、「0101」の5つの数字列に対応する位置をとる。また同様に、4つの発光素子12が遮光部材21の3列目に対応している場合、4つの発光素子12は、「1011」、「0111」、「1110」、「1100」、「1000」の5つの数字列に対応する位置をとる。
【0029】
このように、遮光部材21のとる15の位置に対応する4ビットの数字列はすべて異なるものとなる。すなわち、4つの発光素子12から出射される光が、受光素子13により受光されるか否かの組合せと、遮光部材21のとる15の位置とは1対1で対応する。したがって、4つの発光素子12から出射される光が受光素子13により受光されるか否かの組合せ、すなわち遮光部材21が先の4ビットの二進数列のいずれに対応する位置にあるかが分かれば、当該遮光部材21の絶対的な位置を即時に判定可能となる。ちなみに、遮光部材21のとる15の位置に対応する4ビットの二進数列を、10進数で表記すると、図2(c)の一覧図のように示される。
【0030】
制御回路14では、4つの発光素子12の順次点灯に伴い受光素子13において順次生成される電気信号の電圧レベルに基づき、遮光部材21の現在位置が4ビットの絶対的な2進データとして認識される。
【0031】
<位置検出装置の動作>
つぎに、前述のように構成した位置検出装置の動作について説明する。前述したように、4つの発光素子12は一定の点灯周期で、かつ順番に繰り返し点灯される。発光素子12が透光部22に対応しているときには、当該発光素子12からの出射光はライトガイド15を介して受光素子13へ出射される。発光素子12が不透光部23に対応しているときには、当該発光素子12からの出射光は不透光部23により遮られるので、受光素子13が受光することはない。透光部22に対応する各発光素子12からの光は、ライトガイド15を介して受光素子13に順次受光される。制御回路14は、受光素子13において順次生成される電気信号に基づき論理信号(論理「0」又は論理「1」)を順次生成する。そして制御回路14は、これら論理信号の組合せからなる4ビットの情報に基づき、遮光部材21、ひいては検出対象の位置を判定する。
【0032】
図3(a)に示されるように、4つの発光素子12が遮光部材21の中心、すなわち2列目の3行目〜6行目に対応する位置を、遮光部材21の基準位置とする。この場合、制御回路14において生成される論理信号の組合せは、二進数列で表した場合には「1101」、10進数表記では「13」となる。制御回路14は、論理信号の組合せが「1101」である旨認識したとき、遮光部材21は基準位置に存在する旨判定する。
【0033】
つぎに、レバー等の検出対象に連動して、遮光部材21が先の図3(a)に示される基準位置から図3(b)に示される位置、すなわち4つの発光素子12が2列目の2行目〜5行目に対応する位置へ変位した場合、制御回路14はつぎのような判定を行う。すなわち、この場合、制御回路14において認識される論理信号の組合せは、二進数列で表した場合には「0110」、10進数表記では「6」となる。制御回路14は、論理信号の組合せが「0110」である旨認識したとき、遮光部材21は基準位置に対して上方へ透光部22あるいは不透光部23の一つ分(一升分)だけ変位した位置に存在する旨判定する。
【0034】
また、遮光部材21が先の図3(a)に示される基準位置から図3(c)に示される位置、すなわち4つの発光素子12が2列目の4行目〜7行目に対応する位置へ変位した場合、制御回路14はつぎのような判定を行う。すなわち、この場合、制御回路14において認識される論理信号の組合せは、二進数列で表した場合には「1010」、10進数表記では「10」となる。制御回路14は、論理信号の組合せが「1010」である旨認識したとき、遮光部材21は基準位置に対して下方へ透光部22あるいは不透光部23の一つ分だけ変位した位置に存在する旨判定する。
【0035】
また、遮光部材21が先の図3(a)に示される基準位置から図3(d)に示される位置、すなわち4つの発光素子12が1列目の3行目〜6行目に対応する位置へ変位した場合、制御回路14はつぎのような判定を行う。すなわち、この場合、制御回路14において認識される論理信号の組合せは、二進数列で表した場合には「0010」、10進数表記では「2」となる。制御回路14は、論理信号の組合せが「0010」である旨認識したとき、遮光部材21は基準位置に対して左方へ透光部22あるいは不透光部23の一つ分、すなわち1列分だけ変位した位置に存在する旨判定する。
【0036】
また、遮光部材21が先の図3(a)に示される基準位置から図3(e)に示される位置、すなわち4つの発光素子12が3列目の3行目〜6行目に対応する位置へ変位した場合、制御回路14はつぎのような判定を行う。すなわち、この場合、制御回路14において認識される論理信号の組合せは、二進数列で表した場合には「1110」、10進数表記では「14」となる。制御回路14は、論理信号の組合せが「1110」である旨認識したとき、遮光部材21は基準位置に対して右方へ透光部22あるいは不透光部23の一つ分、すなわち1列分だけ変位した位置に存在する旨判定する。
【0037】
遮光部材21がこれら以外の他の位置に変位した場合についても、同様にして遮光部材21の現在位置が判定される。
このように、レバー等の検出対象に連動して遮光部材21が各位置に変位した場合、受光素子13からの電気信号に基づき生成される論理信号の組合せに基づき遮光部材21、ひいてはレバー等の検出対象の絶対位置が特定される。
【0038】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)レバー等の検出対象に連動して変位する遮光部材21を複数の発光素子12から受光素子13への光路を遮る態様で設けた。この遮光部材21には、各発光素子12からの光に対する受光素子13での受光の有無の組合せが当該遮光部材21の位置毎に異なるように設定された特定の遮光パターンを形成した。このため、レバー等の検出対象に連動して遮光部材21が各位置に変位した場合、受光素子13からの電気信号に基づき生成される論理信号の組合せはすべて異なる。すなわち、遮光部材21の各位置と各論理信号の組合せとが1対1で対応するので、当該論理信号の組合せに基づき遮光部材21、ひいてはレバー等の検出対象の絶対位置が特定可能となる。また、受光素子において受光される光量の変化に基づき検出対象の位置を特定するものと異なり、検出すべき位置数に位置検出の精度は影響を受けない。このため、検出位置の多寡にかかわらず検出対象の位置検出の精度を確保することができる。
【0039】
(2)また、4つの発光素子12からの光が受光素子13において受光されたかどうかに基づき生成される論理信号(論理「0」又は論理「1」)の組合せに基づき検出対象の現在位置が検出される。微妙な光量変化に基づき検出対象の位置を検出するものに比べて、確実に検出対象の位置を検出することが可能である。誤検出も少ない。
【0040】
(3)さらに、制御回路14では、受光素子13において生成される電気信号の電圧レベルがHレベルかLレベルかを判定すればよい。このため、微妙な光量変化に基づき検出対象の位置を検出するものに比べて、AD変換器等について高精度な回路が不要である。このため、製品コストの低減化も図られる。ちなみに、微妙な光量変化に基づき検出対象の位置を検出するものにおいては、精度の高い発光回路あるいは検出回路が必要となる。この問題は、検出すべき位置が増大するほど顕著である。
【0041】
また、検出すべき位置数を増加させる場合であれ、これに伴い検出精度が低下するということがない。すなわち、光量変化に基づき検出対象の位置を検出するものと異なり、検出すべき位置数の増加に伴い検知幅が小さくなるようなことはなく、ノイズの影響も受けにくい。さらに、受光素子13の温度特性により検出精度が多少変動したとしても、検出対象の位置検出の精度が低下することはない。HレベルかLレベルかの判定ができればよいからである。このため、検出対象の位置検出の精度が確保される。
【0042】
(4)また、4つの発光素子12を順番に点灯し、それぞれを点灯した場合について受光素子13での受光の有無が判定される。すなわち、4つの発光素子を順番に発光させることにより、どの発光素子12からの光が受光素子13により受光され、どの発光素子12からの光が受光素子13により受光されていないかを、明確に切り分けて検出することが可能である。これにより、単一の受光素子13により、4つの発光素子12のオンオフを判定することが可能になる。受光素子13及びライトガイド15はそれぞれ1つずつ設ければよいので、構成の簡素化が図られる。
【0043】
(5)また、すべての発光素子12からの光を遮る遮光パターン(2進数/1111、10進数/15)が除かれている。このため、遮光部材21が移動途中であるにもかかわらず、これが特定の位置に存在している旨誤検出されることがない。したがって、検出対象の現在位置を正確に検出することができる。
【0044】
当該遮光パターン(2進数/1111)を設定してこれに特定の位置を割り当てることも考えられる。しかしこの場合には、遮光部材21が移動中であるにもかかわらず、「1111」の出力に基づき特定の位置に存在する旨誤検出されるおそれがある。例えば遮光部材21の2つの透光部22間の部分に4つの発光素子12が対応する場合等である。すべての発光素子12からの光を遮断する遮光パターンを除外することにより、こうした誤検出が抑制される。
【0045】
(6)発光素子12及び受光素子13を同一の基板11に設けた。そして、発光素子12の光を基板11に対向して配設されるライトガイド15を介して受光素子13へ導くようにした。発光素子12及び受光素子13等の電子部品を同一の基板11に集約することができるので、電子部品間の配線等が簡単になる。また、発光素子12及び受光素子13の設置スペースが節約される。このように、ライトガイド15により発光素子12の光を任意の位置まで自由に導くことができるので、発光素子12と受光素子13との相対的な位置関係を自由に設定することが可能になる。本例のように、発光素子12と受光素子13とを対向させない構成が採用することもできる。
【0046】
(7)遮光部材21の遮光パターンとして、透光部22及び不透光部23を、複数行かつ複数列の行列をなす態様で縦横に格子状に並べて設けた。このため、遮光部材21、ひいては検出対象の縦横方向における複数の位置を検出することができる。
【0047】
<第2の実施の形態>
つぎに、本発明の第2の実施の形態を説明する。本例は、基本的には前記第1の実施の形態と同様の構成とされている。本例は、受光素子数の点で前記第1の実施の形態と異なる。このため、前記第1の実施の形態と同一の部材構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0048】
図4(a)に示すように、基板11には、4つの受光素子13が4つの発光素子12に対応して設けられている。4つの発光素子12及び4つの受光素子13は、それぞれ横方向へ一列に並んでいる。また、4つの発光素子12及び4つの受光素子13は、縦方向において1対1で対応するように設けられている。さらに、基板11には、図4(a)に二点鎖線で示されるように、4つのライトガイド15が対向して配設されている。各ライトガイド15は1組の発光素子12及び受光素子13に対応している。各発光素子12の光は、各ライトガイド15を介して独立して各受光素子13へ導かれる。図4(b)に示されるように、4つの発光素子12と4つのライトガイド15との間には、遮光部材21が介在されている。遮光部材21の遮光パターンは、前記第1の実施の形態と同じとされている。
【0049】
さて、本例では、4つの発光素子12は一定の点灯周期で同時に点灯される。透光部22に対応している発光素子12の光は、ライトガイド15を介して対応する受光素子13に受光される。不透光部23に対応している発光素子12の光は不透光部23により遮られるので、受光素子13に受光されることはない。制御回路14は、遮光部材21の遮光パターンに応じて生成される4ビットの論理信号(論理「0」又は論理「1」)の組合せからなる情報に基づき、遮光部材21、ひいては検出対象の位置を即時に検出する。
【0050】
したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の(1)〜(3)及び(5)〜(7)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(8)4つの発光素子12が同時に点灯される。このため、制御回路14では、検出対象の位置を、より迅速に検出することができる。また、4つの発光素子12を順次点灯させる場合に比べて、各発光素子12の点灯制御をより簡素なものとすることができる。
【0051】
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・第1及び第2の実施の形態において、発光素子12としてLEDを、受光素子13としてフォトトランジスタを採用したが、これらを他の素子に置換してもよい。例えば発光素子12としてレーザーダイオード等を、受光素子13としてフォトダイオード等を採用してもよい。
【0052】
・第1及び第2の実施の形態では、発光素子12及び受光素子13を同一の基板11の同一面に設けたが、互いに反対側の面に設けてもよい。この場合、基板11の一方面に設けられる発光素子12の光が、同じく他方面に設けられる受光素子13へ導かれるように、ライトガイド15の形状を設定する。
【0053】
・第1及び第2の実施の形態では、受光素子13での受光がある場合には論理「0」、受光がない場合には論理「1」の論理信号を生成するようにしたが、これを逆にしてもよい。すなわち、受光素子13での受光がある場合には論理「1」、受光がない場合には論理「0」の論理信号を生成する。このようにしても、遮光部材21の各位置と、論理信号の組合せからなる4ビットの情報とが1対1で対応する。
【0054】
・第1及び第2の実施の形態において、4つの発光素子12を設けたが、2つ以上であればよい。発光素子12の個数は、検出すべき位置数等により決定される。例えば2つの発光素子12を設けた場合には最大4つの位置を、3つの発光素子12を設けた場合には最大8つの位置を検出可能になる。また、5つの発光素子12を設けた場合には最大で32の位置を検出可能になる。
【0055】
・第1及び第2の実施の形態では、遮光部材21の遮光パターンとして、透光部22及び不透光部23を8行3列の行列をなす態様で設けたが、行数あるいは列数は、検出すべき位置数等に応じて適宜設定すればよい。また、行列の態様でなく、透光部22及び不透光部23を一列(あるいは一行)に並べてもよい。この場合、透光部22及び不透光部23の並ぶ方向における遮光部材21の変位のみを検出可能となる。
【0056】
・第1及び第2の実施の形態では、透光部22として遮光部材21に矩形の孔を形成したが、次のようにしてもよい。例えば遮光部材21に透明樹脂で形成された部分を設け、これを透光部22とすることも可能である。
【0057】
・第1及び第2の実施の形態では、遮光部材21の遮光パターンを決定するためにM系列乱数等の数字列を使用したが、当該数字列は図2(a)に示されるものに限らず、他の数字列を生成してこれを利用することも可能である。
【0058】
・第1及び第2の実施の形態では、すべての発光素子12からの光を遮る遮光パターン(2進数/1111)を除くようにしたが、除外しなくてもよい。この場合、例えば受光素子13において生成される電気信号を一定時間に亘り監視等する。そして各発光素子12の光に対する受光素子13での受光の有無の組合せが当該一定時間以上経過する旨判断されるとき、遮光部材21は特定の位置に存在する旨判定する。この一定時間は、例えば遮光部材21に対して発光素子12が透光部22間を変位するために通常必要とされる時間等に基づき設定する。このようにすれば、遮光部材21が移動途中であるにもかかわらず、これを特定の位置に存在している旨誤検出することが回避可能である。
【0059】
・第1の実施の形態では、発光素子12及び受光素子13を同一の基板11に設けたが、別々の基板に設けるようにしてもよい。例えば図5(a)に示すように、発光素子12が設けられる基板11aと、受光素子13が設けられる基板11bとを、遮光部材21及びライトガイド15を介して互いに反対側に設ける。また、ライトガイド15の第2の部位17は、受光素子13が設けられる基板11b側へ突出させる。このようにしても発光素子12の光はライトガイド15を介して受光素子13へ導かれる。
【0060】
・第2の実施の形態では、発光素子12及び受光素子13を同一の基板11に設けたが、別々の基板に設けるようにしてもよい。例えば図5(b)に示すように、各発光素子12と各受光素子13とが遮光部材21を介して1対1で対向するように2つの基板11a,11bを設ける。各発光素子12からの光は、各受光素子13において受光される。このようにすれば、ライトガイド15を省略することも可能になる。
【0061】
・検出対象は、レバーに限られない。検出対象の変位を遮光部材21の縦横の変位に変換する機構等を設けることにより、様々な検出対象の位置を検出することが可能になる。回転体の回転位置の検出も可能になる。
【符号の説明】
【0062】
11…基板、12…発光素子、13…受光素子(受光手段)、15…ライトガイド、21…遮光部材、22…透光部、23…不透光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象に連動して直線的に変位する遮光部材を複数の発光素子から受光手段への光路を遮る態様で設け、当該遮光部材は、各発光素子からの光に対する受光手段での受光の有無の組合せが当該遮光部材の位置毎に異なるように設定された特定の遮光パターンが形成されてなる光学式位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置検出装置において、
前記光路は、前記複数の発光素子からの光を前記受光手段へ導くライトガイドを含んで構成されてなる光学式位置検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式位置検出装置において、
前記受光手段は単一の受光素子を備えて構成され、前記複数の発光素子は順番に繰り返し点灯される光学式位置検出装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の光学式位置検出装置において、
前記複数の発光素子及び前記受光手段は同一の基板に設けられてなる光学式位置検出装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の光学式位置検出装置において、
前記遮光パターンは、光を通す部分である透光部と、光を通さない部分である不透光部とが縦横に格子状に配設されてなるとともに、前記複数の発光素子は、前記透光部及び前記不透光部の配置間隔に対応して直線状に配設されてなる光学式位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−42382(P2012−42382A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185029(P2010−185029)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】