説明

光学式水素ガス検出素子及びその製造方法と、その素子を使用した光学式水素ガス検知装置及び方法

【課題】 可燃性を有する水素ガスに対して、安全で、反応速度が速くかつ高感度に検出可能な光学式水素ガス検出素子及びその製造方法、ならびにその光学式水素ガス検出素子を使って水素ガスを光学的に検知するための装置及び方法を提供すること。
【解決手段】 透明基板と、該透明基板上に形成された高配向性の酸化タングステン薄膜と、該高配向性酸化タングステン薄膜の表面上に堆積された触媒金属とから構成される光学式水素ガス検出素子であって、該触媒金属が分子状の水素ガスを吸着して水素原子へと解離するものである、前記光学式水素ガス検出素子。また、その光学式水素ガス検出素子を用いた光学式水素ガス検知装置及び方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、水素ガスの検知に関連したものであり、具体的には光学式の水素ガス検出素子及びその製造方法と、その素子を使用した光学式水素ガス検知装置及び方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素ガス検出素子として、接触燃焼方式又は半導体方式が広く利用されている。接触燃焼方式は、白金やパラジウムの細線をヒーターとして予め加熱しておき、そこに水素ガスが接触、反応して生じる導電率の変化を電気的に検出することで水素ガスの存在を知る方法である。
【0003】
一方、半導体方式においては、絶縁基板に酸化物半導体である酸化錫や酸化亜鉛の層を形成し、その上に一定の間隔をおいて対向させた一対の電極を設けた検出器を使用する。この検出器に水素ガスが接触すると酸化物との間で電子の授受が生じ、その結果、半導体層のキャリアが増加し電気抵抗が減少して電極間の電流が増加する。この電流変化を検出することにより、水素ガスの存在を知ることができる。但し、この方式は、水素ガスの検知に際して絶縁基板の裏面から予め加熱しておく必要がある。
【0004】
これらの方法はいずれも、水素ガスの検出に際して予めセンサーを加熱しておく必要があるため、水素ガスのような可燃性ガスの雰囲気下では防爆対策が必須であり、また素子を絶えず加熱するため劣化が速く、検出の信頼性にも問題がある。
【0005】
これらの問題を解決する手段として、近年、光学的に水素ガスを検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。光学的方法では、水素ガスを吸着解離する作用を有する触媒金属(例えば、パラジウム)の薄膜を表面層とし、この解離水素によって還元される酸化物(例えば、酸化タングステン)の薄膜を下地層として、これらの層を蒸着法などで基体上に積層して構成したセンサーを使用する。このセンサーに水素ガスが接触すると、まず表面層の触媒金属(パラジウム)により水素が吸着解離され、次いで発生した原子状水素が下地層の被還元酸化物(酸化タングステン)に拡散して着色を呈する。この着色による透過光強度の変化を測定することにより、水素ガスを検知することができる。このような光学方式は、加熱などの手段を必要としないため本質的に安全性が高く、かつ水素ガス検知に対する選択性がよく、可燃性ガスである水素ガスの検知方法としては優れた方法である。
【0006】
しかしながら、従来の酸化タングステンを使用した光学式水素ガス検出素子では、水素ガス検知による透過光強度の変化が10%程度であるため、水素ガスの検出信号がノイズに埋もれてしまう恐れがある。このような低い感度の水素ガス検出素子を漏洩検知器に使用した場合には、ノイズによる誤動作などが起こりやすく実用上の問題が生ずる。また、従来の光学式水素ガス検出素子では、透過光強度が10%変化するのに10秒と反応速度が遅く、これは使用している酸化タングステンが不純物の多いゾルゲル溶液状のものである(例えば、特許文献4、特許文献3参照)ことに起因すると考えられるが、実用化のためには反応速度の更なる向上が望まれる。更に、ゾルゲル溶液から得られる酸化タングステンを使用した素子においては、波長1310nmの近赤外光線を使用するが、近赤外光線の光源として使用されるレーザーは、可視光線のものに比べて高価であり、サイズも大きいというデメリットがある。近赤外光線の光軸調整や取り扱いのためには、専門的な技術を要する視覚化補助装置を使用したり、安全性に注意したりする必要があり、取り扱いが難しいというデメリットもある。
【特許文献1】特開昭60−39536号公報
【特許文献2】特開平7−72080号公報
【特許文献3】特開2003−329592号公報
【特許文献4】特開2003−166938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、可燃性を有する水素ガスに対して、安全で、応答速度が速くかつ高感度に検出可能な光学式水素ガス検出素子及びその製造方法と、その光学式水素ガス検出素子を使って水素ガスを光学的に検知するための装置及び方法とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来技術の課題を解決するため、水素ガスの検出時に透過光強度が10%以下に減少する酸化タングステンを探索したところ、結晶成長方向が揃った高配向性の酸化タングステン薄膜が光学式水素ガス検出素子に有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の第一の発明は、光学式水素ガス検出素子であって、透明基板と、該透明基板上に形成された高配向性の酸化タングステン薄膜と、該高配向性酸化タングステン薄膜の表面上に堆積された触媒金属とから構成され、該触媒金属が分子状の水素ガスを吸着して水素原子へと解離するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の光学式水素ガス検出素子においては、高配向性酸化タングステン薄膜が、単斜晶(001)面に結晶配向したものであることが好ましい。
また、本発明の光学式水素ガス検出素子においては、透明基板が、可視光線に対して透明又は半透明であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の光学式水素ガス検出素子においては、透明基板が、セラミックスから構成される基板であることが好ましい。
また、本発明の光学式水素ガス検出素子においては、堆積された触媒金属の厚さが30nm〜50nmであることが好ましい。
【0012】
更に、本発明の光学式水素ガス検出素子においては、酸化タングステン薄膜が、透明基板の一表面又は両表面上に形成されたことが好ましい。
本発明の第二は、光学式水素ガス検出素子を製造するための方法であって、タングステンを含むスパッタリングターゲットをスパッタリングして、透明基板上に酸化タングステン薄膜を形成し、次いで、該酸化タングステン薄膜の表面上に触媒金属を堆積することを含み、該酸化タングステン薄膜が、スパッタリングを行う際の基板温度及び堆積速度を制御することにより、単斜晶(001)面に強く結晶配向されたものであることを特徴とする。
【0013】
本発明の光学式水素ガス検出素子を製造するための方法においては、スパッタリングを行う際の基板温度が400℃〜700℃であり、酸化タングステン薄膜の堆積速度が0.2μm/h〜1.0μm/hであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の光学式水素ガス検出素子を製造するための方法においては、スパッタリングを減圧酸化雰囲気で行うことが好ましい。
また、本発明の光学式水素ガス検出素子を製造するための方法においては、スパッタリングを、アルゴンと酸素の混合減圧酸化雰囲気で行うことが好ましい。
【0015】
更に、本発明の光学式水素ガス検出素子を製造するための方法においては、スパッタリングターゲットが金属タングステンであることが好ましい。
本発明の第三は、光学式水素ガス検知装置であって、光源と、光学式水素ガス検出素子と、受光素子と、該光源から発せられる可視光線を該光学式水素ガス検出素子へと入射する第一の光学導波管系と、該光学式水素ガス検出素子を透過する透過光を該受光素子へと伝送する第二の光学導波管系と、該受光素子により発せられる電気信号から水素ガスによる信号を選別する信号処理手段と、該信号処理手段により選別された水素ガスによる信号を検知して警報する警報手段とから構成され、該光学式水素ガス検出素子が、本発明の第一の光学式水素ガス検出素子であることを特徴とする。
【0016】
本発明の光学式水素ガス検知装置においては、光学式水素ガス検出素子が脱着又は交換可能であることが好ましい。
本発明の第四は、光学式水素ガス検知方法であって、水素ガスを含む雰囲気中において、光源から発せられる可視光線を本発明の第一の光学式水素ガス検出素子へと入射させ、該光学式水素ガス検出素子を透過する透過光を受光素子へと伝送して電気信号に変換し、そして該受光素子により発せられる電気信号から水素ガスによる信号を選別することを含み、分子状の水素ガスが、該光学式水素ガス検出素子の触媒金属により水素原子へと解離され、該水素原子が該光学式水素ガス検出素子の高配向性酸化タングステン薄膜へと拡散することによる透過光強度の変化を検出することを特徴とする。
【0017】
本発明の光学式水素ガス検知方法においては、触媒金属と酸化タングステン薄膜の両方の透過光強度をモニターすることにより水素ガスを検知することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明にしたがえば、可燃性を有する水素ガスに対して、安全で、応答速度が速くかつ高感度に検出可能な光学式水素ガス検出素子及びその製造方法が提供される。また、本発明にしたがえば、その光学式水素ガス検出素子を使って水素ガスを光学的に検知するための装置及び方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の光学式水素ガス検出素子及びその製造方法、ならびにその素子を使用した光学式水素ガス検知装置及び方法の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明の光学式水素ガス検出素子の好適な実施形態について説明する。
【0020】
本発明の光学式水素ガス検出素子は、透明基板と、該透明基板上に形成された高配向性の酸化タングステン薄膜と、該高配向性酸化タングステン薄膜の表面上に堆積された触媒金属とから構成され、該触媒金属が分子状の水素ガスを吸着して水素原子へと解離するものであることを特徴とする。
【0021】
本発明において使用する透明基板は、可視光線に対して透明又は半透明であるものとする。透明基板は、400nm以上の可視光線に対して透明又は半透明であることが好ましい。基板としては、これらに限定されないが、ガラス、アルミナ、酸化チタン等のセラミックスから構成される基板が挙げられる。透明基板は、例えば、非晶質の石英ガラス基板を使用することができる。
【0022】
本発明の光学式水素ガス検出素子においては、上記の透明基板上に高配向性の酸化タングステン薄膜が形成される。高配向性酸化タングステン薄膜は、単斜晶(001)面に結晶配向したものであることが好ましい。本発明の一の態様において、高配向性酸化タングステン薄膜は透明基板の一表面上に形成され、また、本発明の別の態様においては、透明基板の両表面上に形成されてもよい。高配向性酸化タングステン薄膜が透明基板の両表面上に形成される場合には、水素ガスに対する反応面積が2倍となり、水素ガスが水素ガス検出素子に吸着したときの透過光強度の変化も2倍となるため、検出素子としての感度が向上される点で有利である。
【0023】
更に、本発明の光学式水素ガス検出素子においては、上記の高配向性酸化タングステン薄膜の表面上に触媒金属が堆積される。触媒金属は、分子状の水素ガスを吸着して水素原子へと解離するものであるものとする。触媒金属としては、これらに限定されないが、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム又はイリジウムを使用することができる。堆積された触媒金属の厚さは30nm〜50nmであることが好ましい。触媒金属の厚さが30nmより薄い場合は、水素ガスが吸着したときの透過光強度の変化が遅くなり(反応速度が低下する)、水素ガスの検出に遅れが生ずることから不都合である。一方、触媒金属の厚さが50nmより厚い場合は、触媒金属による入射光の遮蔽分が増加するため、透過光の強度が減少して受光素子の検出感度以下となり、水素ガスの検出が困難となることから不都合である。触媒金属の厚さが30nm〜50nmであれば、水素ガスが吸着したときの透過光強度の変化が速く、受光素子により検出可能な透過光強度が得られ、水素ガスの検出が可能となる。
【0024】
本発明の光学式水素ガス検出素子の一態様を図1に示す。図1の光学式水素ガス検出素子は、透明基板の一表面上に高配向性酸化タングステン薄膜が堆積され、高配向性酸化タングステン薄膜の表面上に触媒金属が堆積された積層構造から成るものである。触媒金属が検知対象ガスである水素ガスに曝されると共に、光線が触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜を透過するように構成されたものである。
【0025】
酸化タングステン薄膜の結晶性はX線回折法により評価することができる。例として、高配向性酸化タングステン薄膜のX線回折パターンを、結晶配向していない酸化タングステン薄膜と比較して図2に示す。図2(a)は、後述する実施例1の高配向性酸化タングステン薄膜であり、図2(b)は比較例1の結晶配向していない酸化タングステン薄膜である。高配向性酸化タングステン薄膜のX線回折パターンには、単斜晶の(001)面に由来するピークが観察され、他の結晶面由来のピークは観察されないことから、単斜晶(001)面に強く結晶配向していることがわかる。
【0026】
本発明の光学式水素ガス検出素子に可視光線を入射させると、触媒金属、高配向性酸化タングステン薄膜、透明基板を透過した光を、検出光として得ることができる。このとき、光学式水素ガス検出素子を含む雰囲気中に水素ガスが存在すると、水素ガスは検出素子の表面層である触媒金属と接触して、分子状の水素ガスが触媒金属により吸着され水素原子へと解離され、触媒金属層は脱色され透過光強度が増加する。大気中に存在する濃度1%以下の水素ガスが触媒金属層に付着すると、透過光強度の変化(増加)はせいぜい10%であり、透過光強度の変化速度(反応速度)は毎秒10%以上と速いため、従来は透過光強度の変化がノイズに埋もれ、水素ガスを検出することができなかった。しかしながら、本発明の光学式水素ガス検出素子を、ノイズフィルター及び信号増幅器を含む信号処理手段と組み合わせて使用することにより、ノイズと同程度の微小な信号強度である透過光強度の増加を検出して、水素ガスの存在を検出することが可能となった。次いで、発生した水素原子は、検出素子の下地層である酸化タングステン薄膜へと拡散して着色を呈し、透過光強度が変化(減少)する。この透過光強度の変化(減少)を受光素子により検出することにより、水素ガスを検知することができる。先の、触媒金属層への水素ガス吸着により透過光強度の増加と、酸化タングステン層への水素ガス拡散による透過光強度の減少のそれぞれを検出することにより、透過光強度の変化がノイズによるものではなく、水素ガスの吸着によるものであると判断することができる。
【0027】
次に、本発明の光学式水素ガス検出素子の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本発明の光学式水素ガス検出素子の製造方法は、タングステンを含むスパッタリングターゲットをスパッタリングして、透明基板上に酸化タングステン薄膜を形成し、次いで、該酸化タングステン薄膜の表面上に触媒金属を堆積することを含み、該酸化タングステン薄膜が、スパッタリングを行う際の基板温度及び堆積速度を制御することにより、単斜晶(001)面に強く結晶配向されたものであることを特徴とする。
【0028】
本発明において使用することができるスパッタリングターゲットは、タングステンを含むスパッタリングターゲットであり、好ましくは、金属タングステンである。スパッタリングターゲット中のタングステンの純度は、特に制限はないが、高いほうが好ましい。
【0029】
スパッタリングは減圧酸化雰囲気で行うことが好ましく、減圧酸化雰囲気は、アルゴンと酸素の混合減圧酸化雰囲気であることが好ましい。
本発明の方法においては、スパッタリングを行う際の基板温度及び堆積速度を制御することにより、単斜晶(001)面に強く結晶配向した酸化タングステン薄膜を製造する。
【0030】
スパッタリングを行う際の基板温度は、好ましくは、400℃〜700℃であり、最も好ましくは、600℃である。スパッタリングを行う際の堆積速度は、好ましくは、0.2μm/h〜1.0μm/hであり、より好ましくは、0.3μm/h〜0.9μm/h、最も好ましくは、0.3μm/h〜0.8μm/hである。ここで、堆積速度とは、単位時間あたりに酸化タングステン薄膜が堆積される速度をいう(μm/h)。堆積速度は、スパッタリングを行う際の投入スパッタリング電力、基板とターゲットとの間の距離、減圧酸化雰囲気のガス圧等のスパッタリング条件に依存して決定される。0.2μm/h〜1.0μm/hの堆積速度を達成するためには、例えば、投入スパッタリング電力が50W、基板とターゲットとの間の距離が10cmで、アルゴンと酸素の混合減圧酸化雰囲気でスパッタリングを行う場合、酸素ガス圧は5mPa〜80mPa、アルゴンガス圧は50mPa〜300mPaであればよい。好ましくは、酸素ガス圧は10mPa〜50mPa、アルゴンガス圧は80mPa〜230mPaである。
【0031】
スパッタリングをアルゴンと酸素の混合減圧酸化雰囲気で行う場合、0.2μm/h〜1.0μm/hの堆積速度を達成するためには、厳密には他のスパッタリング条件にも依存するが、酸素ガスの比率は、全ガス圧(酸素ガス圧とアルゴンガス圧の和)の約10%〜約30%に制御すればよい。したがって、上記の投入スパッタリング電力が50W、基板とターゲットとの間の距離が10cmである場合に、全ガス圧を100mPaに固定するときは、酸素ガスの分圧は10mPa〜30mPaに制御すればよい。減圧酸化雰囲気のガス圧(分圧)及び他のスパッタリング条件は、本明細書の開示に基づき当業者が適宜設定することができる。
【0032】
触媒金属の堆積は、高周波スパッタリング法、直流スパッタリング法、分子線エピタキシー法、又は真空蒸着法により行うことができ、酸化タングステン薄膜表面上への密着性が高く堆積できるものであればいずれの方法でもよい。例えば、高周波スパッタリング法により触媒金属を堆積する場合は、堆積条件として、スパッタリング電力は25W〜50W、基板温度は室温〜600℃で、アルゴンガス圧が130〜150mPaである雰囲気中で行うことが好ましい。触媒金属の堆積のための他の方法・条件は、本明細書の開示に基づき当業者が適宜設定することができる。
【0033】
次に、本発明の光学式水素ガス検出素子を使用した光学式水素ガス検知装置の好適な実施形態について説明する。
本発明の光学式水素ガス検知装置は、光源と、光学式水素ガス検出素子と、受光素子と、該光源から発せられる可視光線を該光学式水素ガス検出素子へと入射する第一の光学導波管系と、該光学式水素ガス検出素子を透過する透過光を該受光素子へと伝送する第二の光学導波管系と、該受光素子により発せられる電気信号から水素ガスによる信号を選別する信号処理手段と、該信号処理手段により選別された水素ガスによる信号を検知して警報する警報手段とから構成され、該光学式水素ガス検出素子が、上記説明した本発明にしたがった光学式水素ガス検出素子であることを特徴とする。
【0034】
本発明において使用することができる光源は、これらに限定されないが、He−Neレーザー、半導体レーザー、高輝度の発光ダイオード、高輝度フォトトランジスタ等の可視光線を発生可能なものである。光源から発せられる可視光線は、波長400nm以上の可視光線であることが好ましい。
【0035】
本発明において使用する受光素子は、可視光の強度を電気信号に変換できるものであれば特に制限されない。受光素子は、例えば、フォトダイオードを使用することができる。
本発明において使用する第一の光学導波管系及び第二の光学導波管系は、当技術分野において既知のものを使用することができる。第一の光学導波管系及び第二の光学導波管系は、例えば、光ファイバーケーブルである。
【0036】
本発明において使用する信号処理手段は、受光素子から送られる電気信号から、光学式水素ガス検出素子による水素ガス検出信号を選別できるものであれば、強度弁別検出方式、差動検出方式又は交流波位相検出方式等の信号処理方式を問わず、当技術分野において既知のものを使用することができる。
【0037】
本発明にしたがった、高配向性酸化タングステン薄膜から構成される光学式水素ガス検出素子は、試料セルを用いた条件(すなわち、気密性の高い容器中で雰囲気ガスの圧力、流量、濃度を一定に保持した条件)では、水素濃度1%のアルゴンガスの暴露に対し、透過光強度が5%以下となる感度を有し、透過光強度の変化速度(反応速度)が毎秒20%以上の速い反応速度を有する。本発明の光学式水素ガス検出素子を用いた光学式水素ガス検知装置では、ノイズフィルターと信号増幅機能を備えた信号処理手段を使用することにより、大気中の濃度1%以下の水素ガスを5秒以下で検出可能となる。
【0038】
本発明において使用する警報手段は、信号処理手段により選別された水素ガス検出信号を検知して、警報音、警告灯又は緊急通報等の警報を伴う報知ができるものであれば、手段に制限はない。
【0039】
本発明の光学式水素ガス検知装置の一態様を図3に概念図で示す。図3において、光学式水素ガス検出素子は、向き合う2本の光ファイバーケーブルの間に位置するアダプターにマウントされる。光源であるレーザーからの可視光レーザー光線は、一方の光ファイバーケーブルを通して水素ガス検出素子へ入射される。光学式水素ガス検出素子の透過光は、他方の光ファイバーケーブルを通して受光素子へと伝送される。透過光の光信号は受光素子により電気信号へ変換されて信号処理ユニットへ送られ、信号処理ユニットにて、信号に含有されるノイズの排除・低減、そして増幅が行われ、水素ガスによる信号か否かが判断される。信号が水素ガスによるものと判断された場合、警報システムにより水素ガスが存在することが報知される。
【0040】
また、従来の水素ガス検出素子は、検出感度が低かったため強固に固定して光軸を正確に調整する必要があったところ、本発明の光学式水素ガス検出素子は従来のものよりも高感度であるため、正確な光軸調整の必要がなく、検出素子を容易に脱着又は交換可能であるように固定すればよい。光学式水素ガス検出素子は、容易に脱着可能なアダプターを使用することにより、劣化した場合の交換を容易に行うことが可能となる。
【0041】
次に、本発明の光学式水素ガス検出素子を使用した光学式水素ガス検知方法の好適な実施形態について説明する。
本発明の光学式水素ガス検知方法は、水素ガスを含む雰囲気中において、光源から発せられる可視光線を請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子へと入射させ、該光学式水素ガス検出素子を透過する透過光を受光素子へと伝送して電気信号に変換し、そして該受光素子により発せられる電気信号から水素ガスによる信号を選別することを含み、分子状の水素ガスが、該光学式水素ガス検出素子の触媒金属により水素原子へと解離され、該水素原子が該光学式水素ガス検出素子の高配向性酸化タングステン薄膜へと拡散することによる透過光強度の変化を検出することを特徴とする。
【0042】
水素ガスが検出されると、光学式水素ガス検出素子(触媒金属、高配向性酸化タングステン薄膜、次いで透明基板)を透過する透過光強度が変化(減少)する。
本発明の方法においては、触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜の両方を透過する光の強度変化をモニターするか、または触媒金属のみを透過する光の強度変化と、触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜の両方を透過する光の強度変化とを個別にモニターすればよい。触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜の両方の透過光強度をモニターする場合は、触媒金属の透過光強度の変化だけをモニターする方法に比べ、水素ガス検出の信頼性は向上する。触媒金属のみを透過する光の強度変化と、触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜の両方を透過する光の強度変化とを個別にモニターする場合の、本発明の光学式水素ガス検知方法を実施するための装置の一態様の概念図を図8に示す。図8において、まず光源は波長630nmの赤色LEDである。光源からの光は、同期信号発生器により信号処理器とともに同期をとったライトチョッパを通り、ビームスプリッターで2つに分けられ、光ファイバーケーブルA、Bを通り、アダプターに取り付けられた光学式水素ガス検出素子の触媒金属からなる水素ガス検出部A、触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜からなる水素ガス検出部Bのそれぞれに入射される。水素ガス検出部Aの透過光と水素ガス検出部Bからの透過光は、光ファイバーケーブルA、Bを通り、それぞれ受光素子Aと受光素子Bにより検出され電気信号へ変換される。受光素子Aと受光素子Bからの電気信号は、信号処理ユニットにより同期をとられ、ノイズの排除・低減、そして増幅が行われ、水素ガスによる信号か否かが判断される。信号が水素ガスによるものと判断された場合、警報システムにより水素ガスが存在することが報知される。
【0043】
以上説明したとおり、本発明の光学式水素ガス検出素子を使用することにより、着火の原因となる加熱や電気信号を使うことなく、水素ガスの漏洩を光信号である水素ガス検出素子の透過光強度としてモニターすることができ、極めて安全に水素ガスの漏洩を検知することが可能となる。
【0044】
以下、本発明を、実施例及び図面を参照しながら更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
本発明にしたがった光学式水素ガス検出素子を、高配向性酸化タングステン薄膜を透明基板上に形成し(実施例1)、次いで、酸化タングステン薄膜の表面上に触媒金属を堆積する(実施例2)ことにより製造した。また、本発明にしたがった光学式水素ガス検出素子について、水素ガスの吸着による光学的感度と応答速度の評価を行い(実施例3)、更にこの検出素子を用いて光学式水素ガス漏洩検知方法を行った。以下に比較例とともに説明する。
(実施例1)
高配向性酸化タングステン薄膜を透明基板の表面にスパッタリング法を用いて製造した。透明基板は、寸法9mm×9mm、厚さ1mmの非晶質の石英ガラス基板を使用した。スパッタリングターゲットは金属タングステンを使用した。この透明基板とターゲットを10cmの距離を離して配置した。透明基板とターゲットを含む雰囲気を、酸素ガス圧22mPa、アルゴンガス圧92mPaの混合減圧酸化雰囲気とした。投入スパッタリング電力は50W、基板温度は600℃として、スパッタリングを1時間行った。スパッタリング後に基板の一表面上に得られた酸化タングステン薄膜の厚さは0.6μmであった(堆積速度0.6μm/h)。
【0046】
製造した酸化タングステン薄膜のX線回折パターンを図2aに示す。透明基板上に製造された酸化タングステン薄膜、単斜晶(001)面に強く結晶配向していることが判明した。
(比較例1)
スパッタリングを行う際の基板温度を600℃から200℃とした以外は、実施例1と同様の条件にしたがい、結晶性の低い基板の表面に酸化タングステン薄膜を製造した。スパッタリング後に基板上に得られた酸化タングステン薄膜の厚さは0.6μmであった(堆積速度0.6μm/h)。製造した酸化タングステン薄膜のX線回折パターンを図2bに示す。
【0047】
図をみると、回折角度23度付近に多結晶構造であることを示す幅の広いピークが観察された。この回折結果から、基板温度を200℃とした場合には、得られる酸化タングステン薄膜は結晶配向しないことが判明した。本発明においては、基板温度の制御が重要な因子であることを示している。
(実施例2)
実施例1にて製造した高配向性酸化タングステン薄膜の表面に、触媒金属であるパラジウムと白金を様々な厚さで堆積し、水素ガス検出感度の評価を行った。触媒金属の堆積は、高周波スパッタリング法を用い、スパッタリング電圧が50W、アルゴンガス圧が133mPa、基板温度が600℃の条件下で行った。本実施例の条件下では堆積速度は1500nm/hであり、堆積時間を制御して触媒金属を目的の厚さで堆積させた。
【0048】
図4に、パラジウムと白金の堆積厚さを変えた場合の、水素ガス吸着による透過光強度の変化率T/T(T:水素ガス吸着前の透過光強度、T:水素ガス吸着後の透過光強度)を示す。パラジウム及び白金は、厚さが共に30nm以上で、水素ガス吸着による透過光強度の変化率が65%以上になり、光学的水素ガス検出素子として十分な水素ガスの検出感度が得られることがわかった。
(実施例3)
実施例1にて製造した高配向性酸化タングステン薄膜の一表面上に、触媒金属である白金を40nmの厚さに堆積した積層構造の光学的水素ガス検出素子について、水素ガスの吸着による光学的感度と応答速度の評価を行った。図5に示す測定装置を使用し、水素ガスが1%含有されたアルゴンガスを試料セルに流して、水素ガスの吸着による透過光強度の変化率T/Tを測定した。図6にその評価結果を示す。
【0049】
本発明にしたがって製造した高配向性酸化タングステン薄膜から構成される光学的水素ガス検出素子は、透過光強度の変化率が95%以上であり非常に感度が高く、5秒以下で透過光強度が10%変化するという高い反応速度を持つことが示された。
(比較例2)
比較例1にて製造した、結晶配向していない酸化タングステン薄膜の表面に、触媒金属である白金が40nm堆積した構造の光学的水素ガス検出素子について、実施例3と同様な水素ガスの感度と応答速度の評価を行った。図6にその評価結果を示す。
【0050】
結晶配向していない酸化タングステン薄膜から構成される光学的水素ガス検出素子は、透過光強度の変化率が10%以下で感度が弱く、また、反応速度も遅く、約30秒かかって透過光強度が5%変化する程度の性能であった。
(実施例4)
実施例3にて水素ガスの吸着による光学的感度の評価を行った光学的水素ガス検出素子を用いて、図3に示すような光学式水素ガス検知器装置を製造した。図7aに水素ガス検知の試験結果を示す。この試験では、コアの直径が50ミクロンの光ファイバーケーブルを用いた。大気中において、水素ガスが1%含有されたアルゴンガスを3秒間程度吹きかけると、透過光強度の増加が見られる。これは、白金層で水素が吸着解離していることを示す。続いて、透過光強度の減少が見られる。これは、触媒層で解離した水素が下部にある酸化タングステン層に拡散して着色を呈していることを示す。このような水素ガスの吸着から拡散までの一連の過程を、光学測定として観測した例はこれまでに存在しない。水素ガスを吹きかけると5秒程度で透過光強度が10%以上変化することから、従来の水素検出速度に比べて2倍以上の応答速度であることが分かった。この装置によれば、試料セルを用いない非密閉条件(すなわち、大気中で水素ガスが自由に拡散する条件)で、透過光強度は約20%も変化する。したがって、従来の密閉性の高い試料セルを用いた水素ガス検出素子による水素ガスの検出に比べると、本装置は実際に使用するのに近い条件で、2倍以上の高感度にて水素ガスを検知できることが実証された。
(比較例3)
実施例4にて製造した光学式水素ガス検知装置に取り付けられた光学的水素ガス検出素子をアダプターから取り外し、比較例2にて水素ガスの吸着による光学的感度の評価を行った結晶配向性の低い酸化タングステン薄膜からなる光学的水素ガス検出素子を取り付けて、実施例3と同様な水素ガス検知の試験を行った。図7bに示すように、実施例4に見られるような透過光強度の変化は起こらなかった。したがって、低い配向性の酸化タングステン薄膜から構成される光学的水素ガス検出素子では、実際に使用するのに近い条件での水素ガスの検知は出来なかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、高配向性酸化タングステン薄膜から構成される光学的水素ガス検出素子を製造する方法が提供される。本発明にしたがった単斜晶(001)面に強く結晶配向した高配向性酸化タングステン薄膜は、スパッタリングを行う際の基板温度に対して耐性のあるガラスやプラスチック等の比較的安価な透明基板の表面に成膜することができるため、生産コストの低減に有利な大面積薄膜の製造も可能である。
【0052】
本発明の光学式水素ガス検出素子の製造方法と、水素ガス検出素子を使った水素ガスを検知する方法とを用いることにより、実用的な条件で、高い反応速度かつ高い検出感度にて水素ガスを検知可能である。また、実施例で示したような光ファイバー等の光学導波管を使用することにより、水素ガスの漏洩の可能性のある危険な場所から、着火の心配の無い、或いは遠隔地の安全な場所に設置されている受光素子まで、透過光の光信号を伝送することが可能となる。したがって、着火の原因となる加熱や電気信号を使うことなく、水素ガス検出素子からの透過光を光信号として水素ガスをモニターする本発明の方法を用いることにより、極めて安全に水素ガスの漏洩を検知することができる。本発明にて提示された水素ガス検知方法は、水素燃料電池車、携帯電話等で用いられる次世代の水素利用発電システム実用化する上で、次世代型原子炉システムを用いた水素製造プラント、水素利用発電システム等への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の光学式水素ガス検出素子の一態様を示す模式図である。
【図2】図2は、X線回折パターンを示す図であり、(a)は高配向性酸化タングステン薄膜であり、(b)は結晶配向していない酸化タングステン薄膜である。
【図3】図3は、触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜の両方を透過する光の強度変化をモニターする場合の、本発明の光学式水素ガス検知装置の一態様を示す概念図である。
【図4】図4は、本発明の光学式水素ガス検出素子の水素ガス吸着による透過光強度の変化率T/Tを示す図である。
【図5】図5は、本発明の光学的水素ガス検出素子について水素ガスの吸着による光学的感度及び応答速度の評価装置を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の光学的水素ガス検出素子について水素ガスの吸着による光学的感度及び反応速度を示す図である。
【図7】図7は、光学式水素ガス検知器装置の水素ガス検知試験結果を示す図であり、(a)は本発明の光学的水素ガス検出素子を用いたものであり、(b)は比較例2の光学的水素ガス検出素子を用いたものである。
【図8】図8は、触媒金属のみを透過する光の強度変化と、触媒金属及び高配向性酸化タングステン薄膜の両方を透過する光の強度変化とを個別にモニターする場合の、本発明の光学式水素ガス検知方法を実施するための装置の一態様を示す概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、該透明基板上に形成された高配向性の酸化タングステン薄膜と、該高配向性酸化タングステン薄膜の表面上に堆積された触媒金属とから構成される光学式水素ガス検出素子であって、該触媒金属が分子状の水素ガスを吸着して水素原子へと解離するものである、前記光学式水素ガス検出素子。
【請求項2】
高配向性酸化タングステン薄膜が、単斜晶(001)面に結晶配向したものである、請求項1記載の光学式水素ガス検出素子。
【請求項3】
透明基板が、可視光線に対して透明又は半透明である、請求項1又は2に記載の光学式水素ガス検出素子。
【請求項4】
透明基板が、セラミックスから構成される基板である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子。
【請求項5】
堆積された触媒金属の厚さが30nm〜50nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子。
【請求項6】
酸化タングステン薄膜が、透明基板の一表面又は両表面上に形成された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子。
【請求項7】
光学式水素ガス検出素子を製造するための方法であって、タングステンを含むスパッタリングターゲットをスパッタリングして、透明基板上に酸化タングステン薄膜を形成し、次いで、該酸化タングステン薄膜の表面上に触媒金属を堆積することを含み、該酸化タングステン薄膜が、スパッタリングを行う際の基板温度及び堆積速度を制御することにより、単斜晶(001)面に強く結晶配向されたものであることを特徴とする、前記光学式水素ガス検出素子の製造方法。
【請求項8】
スパッタリングを行う際の基板温度が400℃〜700℃であり、酸化タングステン薄膜の堆積速度が0.2μm/h〜1.0μm/hである、請求項7に記載の光学式水素ガス検出素子の製造方法。
【請求項9】
スパッタリングを減圧酸化雰囲気で行う、請求項7又は8に記載の光学式水素ガス検出素子の製造方法。
【請求項10】
スパッタリングを、アルゴンと酸素の混合減圧酸化雰囲気で行う、請求項7〜9のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子の製造方法。
【請求項11】
スパッタリングターゲットが金属タングステンである、請求項7〜10のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子の製造方法。
【請求項12】
光源と、光学式水素ガス検出素子と、受光素子と、該光源から発せられる可視光線を該光学式水素ガス検出素子へと入射する第一の光学導波管系と、該光学式水素ガス検出素子を透過する透過光を該受光素子へと伝送する第二の光学導波管系と、該受光素子により発せられる電気信号から水素ガスによる信号を選別する信号処理手段と、該信号処理手段により選別された水素ガスによる信号を検知して警報する警報手段とから構成される光学式水素ガス検知装置であって、該光学式水素ガス検出素子が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子であることを特徴とする、前記光学式水素ガス検知装置。
【請求項13】
光学式水素ガス検出素子が脱着又は交換可能である、請求項12に記載の光学式水素ガス検知装置。
【請求項14】
水素ガスを含む雰囲気中において、光源から発せられる可視光線を請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学式水素ガス検出素子へと入射させ、該光学式水素ガス検出素子を透過する透過光を受光素子へと伝送して電気信号に変換し、そして該受光素子により発せられる電気信号から水素ガスによる信号を選別することを含む光学式水素ガス検知方法であって、分子状の水素ガスが、該光学式水素ガス検出素子の触媒金属により水素原子へと解離され、該水素原子が該光学式水素ガス検出素子の高配向性酸化タングステン薄膜へと拡散することによる透過光強度の変化を検出することを特徴とする前記光学式水素ガス検知方法。
【請求項15】
触媒金属と酸化タングステン薄膜の両方の透過光強度をモニターすることにより水素ガスを検知する、請求項14記載の光学式水素ガス検知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−121013(P2007−121013A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311065(P2005−311065)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】