説明

光学式複合感圧粘着物と光学式複合感圧粘着物を有する装置

【課題】
気泡や空気漏れ等の問題を有効のに改善し、コストや製造時間を増加させず、また光線の透過に影響する色ムラ(mura)を起こさない光学式複合感圧粘着物を提供する。
【解決手段】
光学式複合感圧粘着物であって、この第一部分と第二部分はそれぞれ異なる架橋結合密度(crosslinked density)を有し、また両者は複合体となる単一構造を形成する。第一部分、第二部分は相互に異質性(heterogeneity)を有する第一張り合わせレイヤーと、第二張り合わせレイヤーにそれぞれ張り合わせられる。これにより、第一部分と第二部分は第一張り合わせレイヤーと第二張り合わせレイヤーにそれぞれ異なる介面接着性(interfacial adhesion)と異なる体積レオロジー性(bulk rheology)を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧粘着物に関し、より詳しくは、タッチ装置、表示装置及びタッチ表示パネルに適用される光学式複合感圧粘着物に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチ表示パネル(touch-display screen)はタッチ技術と表示技術とに系合し、電子装置における同時に入力と表示を行う作業に普遍的に応用されている。
図1Aは従来のタッチ表示パネルの側面堆積(stacking)図を図示し、これは表示モジュール10とタッチモジュール12と、両者の間で遮光及び防塵を行うスペーサ11を含む。
スペーサ11中の空気は両側の表示モジュール10の媒介をし、タッチモジュール12は異なる屈折係数(refractive index)を有し、光線の部分的な反射を引き起こし、これにより光の透過度を低下させ映像のコントラスト(contrast)に影響を与えた。
【0003】
図1Bは、この問題を改善するための構成を示す。
図1Bでは、光学式(optical level)感圧粘着物(pressure-sensitive adhesive、 PSA)13を使用し、図1Aのスペーサ11自体と、その空気媒介の代替とする。
感圧粘着物は粘弾性(viscoelastic)物質で、軽微な圧力(finger pressure)を適当な時間掛け続けることにより接着力を生み、これにより二つの同質性の光学材質のモジュールを張り合わせる。例えば皆ガラス材質で出来ているタッチモジュール12と表示モジュール10である。
図1Bに示す構成は光線の反射と影像コントラストの問題を改善する。
【0004】
但し感圧粘着物により張り合わせられた二つの光学モジュールは、材料は互いに異質性の光学材料であり、例えば図1Cに示すタッチ表示パネルのタッチモジュール12と偏光フィルム14間のものもそうである。この図式中、偏光フィルム14と表示モジュール10は表示装置を組成する。
ここでは、タッチモジュール12と偏光フィルム14は互いに異質性の光学材料であり、例えばタッチモジュール12の張り合わせ面はガラス表面に属し、偏光フィルム14の張り合わせ面はプラスティック材質に属し、両者間にもし同じ感圧粘着物13を使用すれば、張り合わせ上若干の問題が生じる。
それは偏光フィルム14の構造は一般的にトリアセチル・セルロース(Triacetyl cellulose、 TAC)フィルム14A、ポリビニル・アルコール(Polyvinyl alcohol、 PVA)フィルム14B、トリアセチル・セルロース(TAC)フィルム14Cの三層構造になるためである。
然しながら、PVAフィルム14B中のPVA分子は温度或いは湿度の変化に従い軸方向の弛緩変形を起こし、これにより偏光フィルム14の縮小(shrinkage)現象を引き起こしてしまい、これが感圧粘着物13とタッチモジュール12のガラス表面の張り合わせ境界面の気泡の伸張につながる。
このほか、TACフィルム14A中の気体の水分子のガス放出(outgassing)物質或いは低分子量の外来物質が容易に感圧粘着物13に進入でき光学粘着物メッシュ構造を破壊し、接着性を低下させレイヤーの剥離(de-lamination)を引き起こす。
【0005】
異質な光学レイヤーにより生産される気泡や、ガス放出等の問題を改善させる、従来の方法の一つは感圧粘着物13の材質の特性を改変させ、例えばその材料の分子量を増加させ、架橋結合密度(crosslinked density)を高める、或いは感圧粘着物分子チェーン構造の変形抵抗力(deformation resistance)を高める等である。
然しながら、改変された感圧粘着物13は材料の凝集力(cohesive strength)を高め原材料(raw material)の内応力を解放させず、即ち、その感圧粘着物13は応力緩和能力(stress relaxation capacity)を欠き、これにより容易に色ムラ(mura)現象を招く。
偏光フィルムが引き起こす各種の問題と応力緩和特性の詳細は、Hyunaee Chun氏等著作の”Effect of the Stress Relaxation Property of Acrylic Pressure-Sensitive Adhesive on Light-Leakage Phenomenon of Polarizer in Liquid Crystal Display”、Journal of Applied Polymer Science、 Vol. 106、 2746-2752 (2007)を参考できる。
【0006】
従来の気泡、ガス放出等の問題を改善する他の方法は製造工程の中で行われる。例えば、加熱処理設備或いは真空接着設備の導入による接着技術で感圧粘着物の張り合わせ基板表面積の水和性(wettability)を高め、張り合わせ表面積を増加させる。
然しながら、これらの方法は一般的に有効的な問題の改善法とはならず、またコストと製造時間を増加させ、これにより生産力を低下させた。
【0007】
従来の気泡、ガス放出等の問題のもう一つの改善方法は一種の多層感圧粘着物構造16を使用した方法で、図1Dに例示し、これは第一感圧粘着物レイヤー16A、中間レイヤー(backing layer)(或いは光学補償レイヤー(optical compensation layer))16B及び第二感圧粘着物レイヤー16Cからなる
。この構造は米国特許出願公開第2007/0110941号明細書、或いは米国特許第5、795、650号明細書に掲載されている。この多層感圧粘着物構造16は気泡、ガス放出等の問題を改善するが、然しながら、多層堆積構造を使用し、製造工程の複雑化のみならず、光線の透過率や色度表現にも影響を及ぼしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0110941号明細書
【特許文献2】米国特許第5,795,650号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した従来の技術では、コストと製造時間の増加といった問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、有効的に気泡、ガス放出等の問題を改善し、コスト、製造時間を増加させず、また色ムラ(mura)現象を発生させず光線の透過に影響させない光学式複合感圧粘着物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る実施形態の、光学式複合感圧粘着物は第一部分と第二部分からなる。第一部分と第二部分は複合体となる単一構造を組成し、ここでは第一部分の架橋結合密度(crosslinked density)は第二部分の架橋結合密度より大きい。第一部分は第一張り合わせレイヤーに張り合わせられ、また第二部分は第二張り合わせレイヤーに張り合わせられ、また第一張り合わせレイヤーと第二張り合わせレイヤーは相互に異質性(heterogeneity)を有する。
【0012】
本発明に係る実施形態の複合感圧粘着物はタッチ装置に応用され、これはタッチ基板とカバーレンズレイヤー(cover lens)で構成される。複合感圧粘着物はカバーレンズレイヤーとタッチ基板の間に張り合わせられる。
【0013】
本発明に係る実施形態の複合感圧粘着物は表示装置に応用され、これは少なくとも一つの偏光フィルムと表示モジュールからなる。少なくとも一つの複合感圧粘着物は偏光フィルムと表示モジュールの間に張り合わせられる。タッチレイヤーはカバーレンズレイヤーの表面(即ち、タッチオンレンズ式(touch-on-lens)表示装置)、表示モジュールの表面(即ち、オンセル式(on-cell)表示装置)或いは表示モジュール内部(即ち、インセル式(in-cell)表示装置)に位置する。
【0014】
本発明に係る実施形態の複合感圧粘着物はタッチ表示パネルに応用され、これはタッチ装置と表示装置からなる。複合感圧粘着物はタッチ装置と表示装置の間に張り合わせられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】従来のタッチ表示パネルの側面堆積図である。
【図1B】感圧粘着物を使用した従来のタッチ表示パネルの側面堆積図である。
【図1C】感圧粘着物を使用したもう一つの従来のタッチ表示パネルの側面堆積図である。
【図1D】多層感圧粘着物構造を使用した従来のタッチ表示パネルの側面堆積図である。
【図2A】本発明に係る実施形態の光学式複合感圧粘着物と、それに張り合わせられる透光第一張り合わせレイヤー及び透光第二張り合わせレイヤーを図示する側面堆積図である。
【図2B】図2Aの特定の実施形態を図示するものである。
【図2C】図2Aのもう一つの特定の実施形態を図示するものである。
【図3A】本発明に係る複合感圧粘着物の第一応用例の側面堆積図である。
【図3B】本発明に係る複合感圧粘着物の第一応用例のより完全な側面堆積図である。
【図3C】タッチ装置の側面堆積図を図示し、これは本発明に係る複合感圧粘着物の第一応用例を根拠とし、特に図3Aの第一応用例のインクレイヤーをさらに図示するものである。
【図4A】は本発明に係る複合感圧粘着物の第二応用例の側面堆積図である。
【図4B】図4Aの第二応用例の第一変化型の側面堆積図である。
【図4C】図4Aの第二応用例の第二変化型の側面堆積図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0017】
図2Aの側面堆積図は本発明に係る実施形態の光学式複合感圧粘着物(optical level composite pressure-sensitive adhesive、簡略して複合感圧粘着物)20を図示し、この両側は透光(transparent)第一張り合わせレイヤー21及び透光第二張り合わせレイヤー22にそれぞれ張り合わせられる。
本説明書中の、”光学式”は複合感圧粘着物20が光透過性を有することを指し、またこの屈折係数(refractive index)は張り合わせレイヤーの屈折係数(例えば、一般的なガラスの屈折係数は大体1.5)に近づく。このほか、本説明書中の、”感圧粘着物”は一種の粘弾性(viscoelastic)物質を指し、これは適当(軽微)な圧力(例えばローラー(roller)を使用したプレス)により接着力(或いは粘着力)を生み、張り合わせレイヤー(例えば第一張り合わせレイヤー21及び第二張り合わせレイヤー22)と相互に張り合わせられる。
特別な声明が無い限り、説明書中の”複合感圧粘着物”は本発明に係る実施形態に掲載される感圧粘着物を指し、また”感圧粘着物”は一般的な従来の感圧粘着物を指す。本説明書に述べる実施形態の粘着力の生産は他の活性化メカニズム(例えば加熱、紫外線照射或いは溶剤の添加)に頼らず、然しながら応用においては、これらの活性化メカニズムの補助による接着を排除しない。
本説明書に述べる実施形態はタッチ表示パネルをもって例示するが、然しながら本発明の複合感圧粘着物は広く各種光学装置中に適用される。
本説明書の図式の示す各堆積概略図は、例示として用いられるのみで、ここでの各レイヤーのサイズの比例は実際の比例に基づき作画されたわけではない。本説明書中で称される方位はタッチ装置の方向を上とし、表示装置の方向を下とする。
【0018】
本実施形態の、第一張り合わせレイヤー21と第二張り合わせレイヤー22は異なる相(phase)の材質を有する、即ち、両者は相互に異質性(heterogeneity)を有する。例えば、第一張り合わせレイヤー21と第二張り合わせレイヤー22は互いに異なる物理、化学或いは表面構造特性を有する。
ある一つの特定の実施形態においては、図2Bに示すように、第二張り合わせレイヤー22はガラスレイヤーで、第一張り合わせレイヤー21は非ガラスレイヤーである。
他の一つの特定の実施形態においては、図2Cに示すように、第二張り合わせレイヤー22はガラスレイヤーで、第一張り合わせレイヤー21はプラスティックレイヤー(plastic-based layer)である。
【0019】
本実施形態の複合感圧粘着物20は二つの部分を有する。
第一張り合わせレイヤー21に接触する第一部分20Aと、第二張り合わせレイヤー22に接触する第二部分20Bである。
ここでは、第一部分20Aと第二部分20Bはそれぞれ互いに異なる架橋結合密度(crosslinked density)を有し、両者は複合体となる単一構造を形成し、その間には明確な境界面は存在せず、またその他のレイヤーもこの間には介在しない。
このため、本実施形態の複合感圧粘着物20と従来の多層感圧粘着物構造(16、図1D)とは明らかに異なる。
一般的に、本実施形態の複合感圧粘着物20の製造は、まず第一部分20Aと第二部分20Bに接着材(この順序は制限されない)を順に塗布し、それから硬化(curing)を経て生成される。
架橋結合密度の相異により第一部分20Aと第二部分20Bは、第一張り合わせレイヤー21と第二張り合わせレイヤー22に異なる介面接着性(interfacial adhesion)と、異なる体積レオロジー性(bulk rheology)をそれぞれ形成させるが、但し本発明の製造方法はこれに限られるわけではない。
感圧粘着物の接着性の定性と定量に関する説明については、Albrecht Zosel氏著作の”Molecular Structure、 Mechanical Behaviour and Adhesion Performance of Pressure Sensitive Adhesives”を参考できる。
【0020】
図2Cに示す特定の実施形態を例にとれば、この複合感圧粘着物20の第一部分20Aの架橋結合密度は第二部分20Bの架橋結合密度より大きい。
一般的に、架橋結合密度の大小は動態機械分析(dynamic mechanical analysis、 DMA)の係数(modulus)測定(例えば蓄積係数(storage modulus)の測定)で間接的に知ることが出来る。言い換えれば、係数は架橋結合密度の特徴として用いられ、例えば第一部分20Aの蓄積係数は2x105より大きく、第二部分20Bの蓄積係数は9x104より小さく、これにより複合感圧粘着物20の第一部分20Aの架橋結合密度は第二部分20Bの架橋結合密度より大きくなる。
実施形態の一つにおいて、摂氏80−85℃で高温DMAの係数測定後、第一部分20Aの蓄積係数は2x105−9x105となり、第二部分20Bの蓄積係数は2x104−9x104となる
【0021】
上述のとおり、複合感圧粘着物20の第一部分20Aと第二部分20Bの架橋結合密度は係数を変えることにより調整できる。このほか、第一部分20Aと第二部分20Bの架橋結合密度は分子量或いはガラス転移点(glass transition temperature、 Tg)を変えることにより調整できる。
例えば、分子量或いはガラス転移点を高めにすれば架橋結合密度も高めになる。実施形態の一つにおいて、第一部分20Aの分子量は約60000以上で、第二部分20Bの分子量は約30000以下であり、第一部分20Aのガラス転移点は−50℃〜−20℃であり、第二部分20Bのガラス転移点は−60℃〜−30℃である。
【0022】
一般的に、架橋結合密度を上昇させると凝集力(cohesive)が増加し、しかし表面積の水和性(wettability)と、剥離強度(peel strength)及び応力緩和能力(stress relaxation capacity)は低下する。
反対に、架橋結合密度を低下させると凝集力が減少し、しかしその表面積の水和性と、剥離強度及び応力緩和能力は上昇する。架橋結合密度と剥離強度の関係については、Junko Asahara氏等著作の”Crosslinked Acrylic Pressure-Sensitive Adhesives. I. Effect of the Crosslinking Reaction on the Peel Strength”、Journal of Applied Polymer Science、 Vol. 87、 1493-1499 (2003) を参考できる。
【0023】
このように、図2Cに示す特定の実施形態を例にとれば、プラスティックレイヤー21(例えば偏光フィルム)に張り合わせられる第一部分20Aは、高めの架橋結合密度を有し、これによりプラスティックレイヤー21の收縮或いは変形が生み出したせん断力が複合感圧粘着物20とガラスレイヤー22との境界面に伝わり伸張した気泡を発生させるのを緩和(relieve)できる。
このほか、第一部分20Aは高い凝集力を有し、これにより低分子量の物質或いはガス放出(outgassing)物質が複合感圧粘着物20に進入し、その光学粘着物メッシュ構造が破壊され、接着性が低下しレイヤーの剥離(de-lamination)が生じるのを防げる。
【0024】
他方では、ガラスレイヤー22に張り合わせられる第二部分20Bは、低めの架橋結合密度と良好な表面積の水和性を有し、高い接着性を持ち、これによりプラスティックレイヤー21の複合感圧粘着物20とガラスレイヤー22の境界面の張力に対するせん断力を抑制し、そして従来の色ムラ(mura)現象を回避できる。
このほか、他の例では、第二部分20Bは良好な表面積の水和性を有し、これにより有効的にガラスレイヤー22のインクレイヤーの断絶を補填し、気泡の発生を回避できる。
【0025】
上述の複合感圧粘着物20の第一部分20Aと第二部分20Bの厚さは、応用されるケースに応じて個別に決定される。実施形態の一つにおいては、複合感圧粘着物20の厚さは第二部分20Bの厚さにより決定され、これは約100−500μmで、第一部分20Aの厚さは10−25μmとなる。
第一部分20Aと第二部分20Bの材質は、決して限定されるわけではないが、アクリルベース(acrylic-based)の感圧粘着物、ゴムベース(rubber-based)の感圧粘着物、或いはシリコンベース(silicon-based)の感圧粘着物となる。
【0026】
図3Aは本発明に係る複合感圧粘着物の第一応用例(一種のタッチ表示パネル)の側面堆積図を図示する。本応用例の、タッチ表示パネルは主にカバーレンズレイヤー(cover lens)30、タッチ基板32、第一偏光フィルム(polarizer)34A、表示モジュール36及び第二偏光フィルム34Bで構成される。ここでは、第一偏光フィルム34A、第二偏光フィルム34Bと表示モジュール36は表示装置1を組成し、これは決して限定されるわけではないが、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ或いはEL(electroluminescent、 EL)ディスプレイとなる。
表示モジュール36は少なくともガラスレイヤー360と、表示ユニット(cell)レイヤー361及び第二ガラスレイヤー362を含み、ここでは、第一ガラスレイヤー360と第二ガラスレイヤー362は両側にそれぞれ位置し、第一偏光フィルム34Aと第二偏光フィルム34Bにそれぞれ隣接し、表示ユニット(cell)レイヤー361はこの両レイヤー間に介在する。
液晶ディスプレイを例にとると、第一ガラスレイヤー360はカラーフィルター(CF)レイヤーで、第二ガラスレイヤー362はアレイ(array)レイヤーになる。このほか、カバーレンズレイヤー30とタッチ基板32はタッチ装置2を組成する。
【0027】
本応用例では、カバーレンズレイヤー30の材質はガラス或いはプラスティックであり、タッチ基板32の材質もガラス或いはプラスティックである。
カバーレンズレイヤー30とタッチ基板32の材質が互いに異なる時(即ち、一方はガラスで他方はプラスティックの時)、両者間の第一感圧粘着物31は上述の実施形態の複合感圧粘着物を使用して張り合わせられ、そうでなければ一般的な感圧粘着物を使用する。
類似する状況として、タッチ基板32の材質がガラスの時、タッチ基板32と第一偏光フィルム34A間の第二感圧粘着物33は複合感圧粘着物を使用して張り合わせられ、そうでなければ一般的な感圧粘着物を使用する。
複合感圧粘着物の組成とその張り合わせ方式に関しては、前述の図2Aから図2C及びその説明を参考にし、これにより再度の説明はしない。
【0028】
図3Bは本発明に係る複合感圧粘着物の第一応用例のより完全な側面堆積図を図示する。表示装置1は順に光学補償レイヤー35、カバーレンズレイヤー37、第一偏光フィルム34A、第一ガラスレイヤー360、表示ユニットレイヤー361、第二ガラスレイヤー362及び第二偏光フィルム34Bで構成される。図式を簡潔化するため、これらレイヤーの間の粘着物レイヤーは省略する。
【0029】
図3Cはタッチ装置2の側面堆積図を図示し、これは本発明に係る複合感圧粘着物の第一応用例を原拠とする。カバーレンズレイヤー30とタッチ基板32の間の第一感圧粘着物31に複合感圧粘着物を使用する時、これの接触するカバーレンズレイヤー30の部分は良好な表面積の水和性を有し、これにより有効的にインクレイヤー301の断絶を補填でき、気泡の発生を回避できる。
【0030】
図4Aは本発明に係る複合感圧粘着物の第二応用例の側面堆積図を図示し、第一応用例(図3A)と相同の構成物には相同の構成物符号を使用する。
第一応用例との最も大きな違いは、本応用例はタッチ基板32を省略し、代替手段として、本応用例はタッチ基板32上に本来配置されるタッチレイヤー32B(例えばインジウムースズ酸化物(ITO)レイヤー)を直接カバーレンズレイヤー30の下部表面(即ち、第一偏光フィルム34Aの上部表面に面する)に作製し、この種の構成はタッチオンレンズ式(touch-on-lens)表示装置と呼称される。
【0031】
本応用例の、カバーレンズレイヤー30の材質がガラスの時、カバーレンズレイヤー30と第一偏光フィルム34A間の第三感圧粘着物38は複合感圧粘着物を使用し張り合わせられ、そうでなければ一般的な感圧粘着物を使用する。
第一偏光フィルム34Aと表示モジュール36間の第四感圧粘着物39については、複合感圧粘着物を使用して張り合わせてもよい。
また、第二偏光フィルム34Bと表示モジュール36間の第五感圧粘着物40は、複合感圧粘着物を使用し張り合わせる。
【0032】
図4Bは本発明に係る複合感圧粘着物の第二応用例の第一変化型を図示し、これと図4Aの第二応用例の原型との差異は、本第一変化型のタッチレイヤー32Bは表示モジュール36の上部表面(即ち、第一偏光フィルム34Aの下部表面に面する)に作製され、この種の構成はオンセル式(on-cell)表示装置と呼称される。
【0033】
図4Cは本発明に係る複合感圧粘着物の第二応用例の第二変化型を図示し、これと図4Aの第二応用例の原型との差異は、本第二変化型のタッチレイヤー32Bは表示モジュール36の内部(例えば、第二ガラスレイヤー362に作製され、また表示ユニットレイヤー361の表面に面する)に作製され、この種の構成はインセル式(in-cell)表示装置と呼称される。
【0034】
上述の実施形態は本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当該技術分野を熟知する者に本発明の内容を理解させると共にこれをもって実施させることを目のとし、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
従って、本発明の精神を逸脱せずに行う各種の同様の効果をもつ改良又は変更は、後述の請求項に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0035】
1 表示装置
2 タッチ装置
10 表示モジュール
11 スペーサ
12 タッチモジュール
13 感圧粘着物
14 偏光フィルム
14A TACフィルム
14B PVAフィルム
14C TACフィルム
16 多層感圧粘着物構造
16A 第一感圧粘着物レイヤー
16B 中間レイヤー
16C 第二感圧粘着物レイヤー
20 複合感圧粘着物レイヤー
20A 第一部分
20B 第二部分
21 第一張り合わせレイヤー
22 第二張り合わせレイヤー
30 カバーレンズレイヤー
301 インクレイヤー
31 第一感圧粘着物
32 タッチ基板
32B タッチレイヤー
33 第二感圧粘着物
34A 第一偏光フィルム
34B 第二偏光フィルム
35 光学補償レイヤー
36 表示モジュール
361 第一ガラスレイヤー
361 表示ユニットレイヤー
362 第二ガラスレイヤー
37 カバーレンズレイヤー
38 第三感圧粘着物
39 第四感圧粘着物
40 第五感圧粘着物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式複合感圧粘着物であって、
第一部分と、
前記第一部分とともに複合体となる単一構造を形成する第二部分を含み、
ここでは前記第一部分の架橋結合密度は(crosslinked density)それの架橋結合密度より大きくなり、
また前記第一部分は第一張り合わせレイヤーに張り合わせられ、また前記第二部分は第二張り合わせレイヤーに張り合わせられ、前記第一張り合わせレイヤーと前記第二張り合わせレイヤーは相互に異質性(heterogeneity)を有することを特徴とする光学式複合感圧粘着物。
【請求項2】
前記第一部分の係数(modulus)は前記第二部分の係数より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項3】
摂氏85−80℃で動態機械分析(DMA)を行い係数を測定後、前記第一部分の蓄積係数(storage modulus)は2x105−9x105となり、また前記第二部分の蓄積係数は2x104−9x104となることを特徴とする、請求項2に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項4】
第一部分の蓄積係数は2x105より大きくなり、第二部分の蓄積係数は9x104より小さくなることを特徴とする、請求項2に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項5】
前記第一部分の分子量は前記第二部分の分子量より大きくなることを特徴とする、請求項1に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項6】
前記第一部分の分子量は60000以上であり、また前記第二部分の分子量は30000以下であることを特徴とする、請求項5に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項7】
前記第一部分のガラス転移点(glass transition temperature、 Tg)は前記第二部分のガラス転移点より高いことを特徴とする、請求項1に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項8】
前記第一部分の厚さは前記第二部分の厚さより薄いことを特徴とする、請求項1に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項9】
前記第一部分の厚さは10−25μmであり、前記第二部分の厚さは100−500μmであることを特徴とする、請求項8に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項10】
前記第一部分と前記第二部分の材質はアクリルベース(acrylic-based)の感圧粘着物、ゴムベース(rubber-based)の感圧粘着物或いはシリコンベース(silicon-based)の感圧粘着物であることを特徴とする、請求項1に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項11】
前記第一張り合わせレイヤーは非ガラスレイヤーであり、また前記第二張り合わせレイヤーはガラスレイヤーであることを特徴とする、請求項1に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項12】
前記第一張り合わせレイヤーはプラスティックレイヤー(plastic-based layer)であり、また前記第二張り合わせレイヤーはガラスレイヤーであることを特徴とする、請求項11に記載の光学式複合感圧粘着物。
【請求項13】
光学式複合感圧粘着物を有する装置であって、タッチ装置であり、
タッチ基板と、
前記タッチ基板上方に位置するカバーレンズレイヤー(cover lens)と、
前記カバーレンズレイヤーと前記タッチ基板間に張り合わせられる複合感圧粘着物を含み、
ここでは前記複合感圧粘着物は第一部分と第二部分からなり、複合体となる単一構造を組成し、また前記第一部分の架橋結合密度(crosslinked density)は前記第二部分の架橋結合密度より大きくなることを特徴とする光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項14】
前記カバーレンズレイヤーと前記タッチ基板の両者の材質は、一方はガラスであり他方はプラスティックベース素材(plastic-based material)であり、前記複合感圧粘着物の第一部分は前記プラスティックベース素材側に張り合わせられ、前記第二部分は前記ガラス側に張り合わせられることを特徴とする、請求項13に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項15】
前記カバーレンズレイヤーはインクレイヤーをさらに含む前記タッチ基板の表面に面することを特徴とする、請求項13に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項16】
光学式複合感圧粘着物を有する装置であって、表示装置で
少なくとも一つの偏光フィルムと、
少なくとも一つのガラスレイヤーと表示ユニットレイヤーを有する表示モジュールと、
前記偏光フィルムと前記表示モジュール間に張り合わせられる少なくとも一つの複合感圧粘着物を含み、
ここでは前記複合感圧粘着物は第一部分と第二部分を含み、複合体となる単一構造を組成し、また前記第一部分の架橋結合密度(crosslinked density)は前記第二部分の架橋結合密度より大きく、
また前記第一部分は前記偏光フィルムに張り合わせられ、前記第二部分は前記表示モジュールに張り合わせられることを特徴とする光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項17】
液晶表示、有機発光ダイオード(OLED)表示装置或いはEL(electroluminescent、 EL)表示装置であることを特徴とする、請求項16に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項18】
前記少なくとも一つの偏光フィルムは第一偏光フィルムと第二偏光フィルムを含むことを特徴とする、請求項16に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項19】
前記少なくとも一つのガラスレイヤーは第一ガラスレイヤーと第二ガラスレイヤーを含み、ここでは前記第一ガラスレイヤーは前記第一偏光フィルムに近接され、前記第二ガラスレイヤーは前記第二偏光フィルムに近接され、また前記表示ユニットレイヤーは前記第一ガラスレイヤーと前記第二ガラスレイヤーの間に位置することを特徴とする、請求項18に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項20】
カバーレンズレイヤー(cover lens)ともう一つの複合感圧粘着物をさらに含み、ここでは前記第一偏光フィルムは前記第一ガラスレイヤーと前記カバーレンズレイヤーの間に位置され、前記もう一つの複合感圧粘着物は、前記第一偏光フィルムと前記カバーレンズレイヤーの間に張り合わせられることを特徴とする、請求項19に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項21】
光学補償レイヤーをさらに含み、ここでは前記カバーレンズレイヤーは前記第一偏光フィルムと前記光学補償レイヤーの間に位置されることを特徴とする、請求項19に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項22】
カバーレンズレイヤーと、
前記カバーレンズレイヤーの表面に前記偏光フィルムの方向に面して設置され、前記表示装置にタッチオンレンズ式(touch-on-lens)の表示装置を形成させるタッチレイヤーをさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項23】
タッチレイヤーをさらに含み、前記タッチレイヤーは前記表示モジュールの表面に前記偏光フィルムの方向に面して設置され、前記表示装置にオンセル式(on-cell)の表示装置を形成させることを特徴とする、請求項16に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項24】
タッチレイヤーをさらに含み、前記タッチレイヤーは前記表示モジュール内部に設置され、前記表示装置にインセル式(in-cell)の表示装置を形成させることを特徴とする、請求項16に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項25】
光学式複合感圧粘着物を有する装置であって、タッチ表示パネルで、
タッチ装置と、
表示装置と、
前記タッチ装置と前記表示装置間に張り合わせられる複合感圧粘着物を含み、
ここでは前記複合感圧粘着物は第一部分と第二部分からなり、複合体となる単一構造を組成し、また前記第一部分の架橋結合密度(crosslinked density)は前記第二部分の架橋結合密度とは異なることを特徴とする光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項26】
前記タッチ装置は、
カバーレンズレイヤーと、
前記カバーレンズレイヤー下方と前記表示装置上方に位置するタッチ基板を含むことを特徴とする、請求項25に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。
【請求項27】
前記表示装置は、
第一偏光フィルムと、
第二偏光フィルムと、
第一ガラスレイヤーと、
表示ユニットレイヤーと、
第二ガラスレイヤーを含み、ここでは前記第一ガラスレイヤーは前記第一偏光フィルムに近接され、前記第二ガラスレイヤーは前記第二偏光フィルムに近接され、また前記表示ユニットレイヤーは前記第一ガラスレイヤーと前記第二ガラスレイヤーの間に位置することを特徴とする、請求項25に記載の光学式複合感圧粘着物を有する装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2012−102312(P2012−102312A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82617(P2011−82617)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(504272327)宸鴻光電科技股▲分▼有限公司 (30)
【氏名又は名称原語表記】TPK TOUCH SOLUTIONS INC.
【住所又は居所原語表記】6F,NO.13−18,Sec.6, Min Quan E.Rd.,Neihu Dist.,Taipei,Taiwan.
【Fターム(参考)】