光学情報読取装置
【課題】 結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備えたものにあって、そのための構成を簡単で且つ比較的小型に済ませ、しかも応答性の高いものとする。
【解決手段】 受光センサ3の前方に、第1のレンズ24及び第2のレンズ25を光軸O方向に移動可能に有する結像光学部4を設ける。レンズ24、25は、磁性体を有するレンズ保持枠に保持される。筒体内に永久磁石からなるレンズ保持機構を設け、第1のレンズ24は、位置a1,a2のどちらかに停止し保持され、第2のレンズ25は、位置b1,b2のどちらかに停止し保持される。レンズ24,25を移動させるための第1,第2のコイル及び駆動回路を設ける。制御回路は、二次元コードQの読取り(デコード)に失敗したときに、レンズ24,25を夫々独立して移動(2点間での位置変位)させ、結像光学部4の焦点位置を4段階に変更する
【解決手段】 受光センサ3の前方に、第1のレンズ24及び第2のレンズ25を光軸O方向に移動可能に有する結像光学部4を設ける。レンズ24、25は、磁性体を有するレンズ保持枠に保持される。筒体内に永久磁石からなるレンズ保持機構を設け、第1のレンズ24は、位置a1,a2のどちらかに停止し保持され、第2のレンズ25は、位置b1,b2のどちらかに停止し保持される。レンズ24,25を移動させるための第1,第2のコイル及び駆動回路を設ける。制御回路は、二次元コードQの読取り(デコード)に失敗したときに、レンズ24,25を夫々独立して移動(2点間での位置変位)させ、結像光学部4の焦点位置を4段階に変更する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結像光学部及び受光センサを有し、読取対象に記された情報コードを光学的に読取る読取機構を備えると共に、前記結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備える光学情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学情報例えばバーコードや二次元コードを読取るためのハンディタイプの光学情報読取装置は、例えば手持ち可能に構成された本体ケース内に、受光センサ、結像レンズを有する結像光学部、照明装置等からなる読取機構を備えて構成されている。これにて、照明装置により、本体ケースの先端部の読取口から読取対象(例えばバーコードが記された商品ラベル)に対して照明光を照射し、その反射光を読取口から入射して、結像光学部を介して受光センサにより撮像するようになっている。
【0003】
この場合、光学情報の読取距離(読取口から読取対象までの距離)は、装置に組込まれている結像光学部の光学特性(主として焦点距離)により予め決まったものとなり、従って、ユーザは、読取対象に対して装置(読取口)を所定の読取距離(ある程度の幅を有する)に位置させて読取作業を行うようになっている。これに対して、近年では、結像光学部の焦点位置を可変とする機構を設けることにより、一台の装置での読取可能距離の範囲を広げ、ユーザの利便を図ることが考えられている。
【0004】
その具体例として、対物撮像レンズとCCD検出素子との間に、厚みの異なる複数個(12個)の光学部品(シム)を円板の外周に沿って取付けてなる集束円板を設け、その円板を回転させることによって、使用する光学部品をいずれかに選択して焦点長を切替える構成のものが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2003−507778号公報(図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の焦点切替機構のような集束円板を設ける構成では、厚みの相違する複数個の光学部品が必要となり、部品数が多くなると共に全体が大型化する欠点があった。また、焦点位置を切替える際には、光学部品(シム)を順番に選択していく方式であるため、応答に時間がかかる不具合もある。さらには、この種の光学情報読取装置では、それほど多段階に焦点位置を変更する必要はなく、過剰品質であり、集束円板に高い位置決め精度が要求される等の事情もあった。
【0006】
尚、デジカメやビデオカメラ等においては、ベストフォーカス位置を切替えるために、ズームレンズや可変焦点レンズを搭載したものがある。ところが、この種の可変焦点レンズは、光量を確保するために絞りが大きく、線形的にベストフォーカスを移動させるものであるため、これを光学情報読取装置に適用した場合には、目的のフォーカス位置にレンズを移動させ、読取るまでに時間がかかり、読取速度が大幅に低下するものとなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備えたものにあって、そのための構成を簡単で且つ比較的小型に済ませることができ、しかも応答性の高いものとすることができる光学情報読取装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の光学情報読取装置は、結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備えたものにあって、前記結像光学部は、受光光軸上の2点間を移動可能な第1のレンズと、この第1のレンズと受光センサとの間に配置され受光光軸上の2点間を移動可能な第2のレンズとを有して構成され、前記焦点切替機構は、前記第1のレンズを移動させる第1の駆動手段と、前記第2のレンズを移動させる第2の駆動手段とを有して構成されると共に、前記受光センサにより撮像された画像データからの情報コードの読取りが失敗したときに、前記第1及び/又は第2の駆動手段を制御して前記結像光学部の焦点位置を自動で切替える制御手段を備えるところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0009】
これによれば、第1の駆動手段によって第1のレンズが結像光軸上の2点間を移動され、第2の駆動手段によって第2のレンズが結像光軸上の2点間を移動され、それら2個のレンズの位置の組合せにより、結像光学部の4種類の異なる焦点位置を得ることができる。この結果、読取可能距離の範囲を広げることができる。この場合、4種類の異なる焦点位置を得るために、光軸上に2個のレンズを設けるだけで済むので、部品数が少なく、コンパクトに配置することができる。そして、2個のレンズの2点間の位置を切替えるだけなので、短時間で焦点位置の変更を行うことができ、制御手段による制御も簡単で、応答性の高いものとすることができる。焦点位置の変更が自動で行われるので、ユーザの操作も簡単となる。
【0010】
このとき、前記焦点切替機構に、第1及び第2の駆動手段の非通電状態で、第1及び第2のレンズを移動された位置に保持するレンズ保持手段を設けることができる(請求項2の発明)。これにより、第1及び第2のレンズの停止時にはそれらの位置を保持するための電力が不要となるので、消費電力を少なく抑えることができる。より具体的には、レンズ保持手段を、第1及び第2のレンズに夫々設けられた磁性体を吸引するための永久磁石を設けて構成すれば(請求項3の発明)、レンズ保持手段を簡単な構成で済ませることができる。
【0011】
本発明においては、第1のレンズ及び第2のレンズが少なくとも停止位置に近づいた際に夫々空気制動室を形成するように構成し、第1のレンズ及び第2のレンズの移動時にその空気制動室内の空気が圧縮されることによって制動力が発生されるように構成することができる(請求項4の発明)。これにより、簡単な構成で、レンズの移動時の衝撃力を緩和することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記第1及び第2の駆動手段を、前記レンズを保持するレンズ保持枠を光軸方向にガイドするガイド軸と、前記レンズ保持枠を光軸方向に駆動するために駆動源によって回転されるリードスクリューと、前記レンズ保持枠に取付けられ、前記リードスクリューに噛合するラックギア部及びこのラックギア部を該リードスクリューに向けて付勢する付勢手段を有し該リードスクリューの回転に伴い前記レンズ保持枠を光軸方向に移動させるラックとを備えて構成することができる(請求項5の発明)。これによれば、リードスクリューを駆動源によって回転させることにより、レンズ保持枠ひいてはレンズを移動させることができ、このとき、ラックギア部をリードスクリューに向けて付勢する付勢手段を設けたことにより、ラックがガタなくリードスクリューと噛合うようになる。
【0013】
さらに本発明においては、制御手段を、結像光学部の焦点位置の1回の切替時に、第1及び第2の駆動手段のいずれか一方のみを動作させるように構成することができる(請求項6の発明)。これによれば、駆動手段を動作させる際の駆動電流を小さく済ませることができ、消費電力を抑えることができる。
【0014】
そして、照明光源及び照明用レンズを有し読取対象に対して照明光を照射するための照明機構を備えるものにあっては、照明用レンズを、第1又は第2のレンズと連結させて一体的に移動するように構成することができる(請求項7の発明)。これにより、結像光学部の焦点位置に変動とそれに応じた照明機構による照明範囲の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構における画角と、照明機構による照明範囲とが、第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴う照明用レンズの移動により、相似的に変化するように構成すれば(請求項8の発明)、常に、読取機構における画角に対する適切な照明範囲を得ることができる。
【0015】
光源及びマーカ用レンズを有し読取対象に対し読取位置を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構を備えるものにあっては、マーカ用レンズを、第1又は第2のレンズと連結させて一体的に移動するように構成することができる(請求項9の発明)。これにより、結像光学部の焦点位置に変動とそれに応じたマーカ光の照射視野角の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構における画角と、マーカ光照射機構によるマーカ光の照射視野角とが、第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴うマーカ用レンズの移動により、相似的に変化するように構成すれば(請求項10の発明)、常に、読取機構における画角に対する適切なマーカ光の照射視野角を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を手持ち式(ガンタイプ)の二次元コード読取装置に適用したいくつかの実施例について、図面を参照しながら説明する。
<1>第1の実施例
以下、本発明の第1の実施例について、図1ないし図8を参照しながら説明する。
【0017】
まず、図7及び図8を参照して、本実施例に係る光学情報読取装置たる二次元コード読取装置の全体構成について述べる。図7に示すように、二次元コード読取装置の本体ケース1は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状をなす主部1aの下面側後部寄りに、ユーザが片手で把持して操作することが可能なグリップ部1bを一体的に有して構成されている。前記本体ケース1(主部1a)の先端面部には、矩形状をなし透光性を有する読取口1cが設けられている。また、前記グリップ部1bの上端部には、読取指示用のトリガスイッチ2が設けられている。
【0018】
前記本体ケース1(主部1a)内の先端側部分には、商品に付されたラベルやカタログ等の読取対象R(図8参照)に記録された情報コードたる例えばQRコード等の二次元コードQ(図1にのみ模式的に図示)を読取るための読取機構が設けられる。図8にも示すように、この読取機構は、例えばCCDエリアセンサからなる受光センサ3、結像光学部4、読取対象R(二次元コードQ)に対して照明光を照射するための照明機構5(図7では図示省略)、前記読取対象Rに対して読取位置(読取範囲)を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構6などから構成されている。
【0019】
そのうち受光センサ3は、本体ケース1(主部1a)内の中央部に前記読取口1cを向いて配設されており、その前方に前記結像光学部4が配設されている。この結像光学部4は、複数枚のレンズを備えて構成され、その詳細については後述する。そして、これも後述するように、本実施例では、結像光学部4の焦点位置を変更するための焦点切替機構8(図8参照)が設けられるようになっている。前記照明機構5は、詳しく図示はしないが、照明光源となるLEDと、このLEDの前部に配置され光を集光及び拡散する照明用レンズとを、前記結像光学部4の周囲部(上部を除く)に、前記読取口1cに向けて複数組配設して構成されている。
【0020】
また、前記マーカ光照射機構6は、例えば光源となるレーザダイオード7を備えると共に、そのレーザダイオード7の前部に位置して、コリメートレンズ、マーカ光のパターンを形成するフォログラム、絞りを順に備えて構成されている。このマーカ光照射機構6は、前記結像光学部4の上部に位置して読取口1cを向いて水平やや斜め下向きに配設されており、読取口1cを通してマーカ光を照射するようになっている。図示は省略するが、このマーカ光は、例えば、受光センサ3の撮影視野に対応したやや横長の長方形の4つの角部を示すL字状の光と、その中心を示す十字状の光とからなっている。尚、このマーカ光照射機構6は、装置の電源オン時には、受光センサ3による二次元コードQの画像取込み(撮影)時を除いて、常にマーカ光を照射(点灯)するようになっている。
【0021】
これにて、ユーザは、読取対象Rに記された二次元コードQが、マーカ光で示される読取位置(読取範囲)に入るように本体ケース1の位置合せを行い、トリガスイッチ2のオン操作を行うようにすれば、照明機構5によって、読取口1cを通して読取対象Rに記された二次元コードQに照明光が照射され、二次元コードQからの反射光が読取口1cを通して入射され、前記結像光学部4によって受光センサ3上に結像され、以て、二次元コードQの画像が取込まれるようになっている。
【0022】
このとき、結像光学部4の光学特性(主として焦点距離)によって、情報コードの読取りが良好に行えるような、装置(読取口1c)から読取対象Rまでの距離(焦点位置)が決まってくる。この場合、例えば、結像光学部4の焦点位置(ベストフォーカス)の近傍(前後)に全体で100〜200mm程度の幅をもつ範囲が、読取りに適した範囲とされ、その範囲を外れると、読取り(情報コードのデコード)が不可能となる。尚、図8には、受光センサ3の受光光軸をOで示している。
【0023】
また、図7に示すように、前記本体ケース1(主部1a)内の後部側には、図8に示す各回路等が実装されている回路基板9が設けられている。さらに、図8のみに図示するように、本体ケース1の外面部(主部1aの上面部)には、ユーザが各種入力指示を行うための操作スイッチ10、報知用のLED11、液晶表示器12などが設けられている。前記操作スイッチ10は、後述する読取距離の初期値を設定するための手段として機能する。また、本体ケース1内にはエラー報知等を行うためのブザー13や、外部との通信を行うための通信インタフェイス14、駆動電源となる二次電池15等も設けられている。
【0024】
図8は、本実施例の二次元コード読取装置の電気的構成を概略的に示しており、前記回路基板9には、マイコンを主体として構成され、全体の制御やデコード処理等を行う制御回路16が設けられている。この制御回路16には、前記トリガスイッチ2及び操作スイッチ10からの信号が入力されるようになっていると共に、制御回路16は、前記受光センサ3、照明機構5、マーカ光照射機構6、後述する焦点切替機構8を制御するようになっており、以て、読取対象Rに記された二次元コードQの画像の取込み動作を実行するようになっている。また、この制御回路16は、前記LED11、ブザー13、液晶表示器12を制御し、通信インタフェイス14を介して外部(管理コンピュータ等)とのデータ通信を実行する。
【0025】
さらに、前記回路基板9には、増幅回路17、A/D変換回路18、メモリ19、特定比検出回路20、同期信号発生回路21、アドレス発生回路22などが実装され、これらも前記制御回路16により制御されるようになっている。これにて、受光センサ3による撮像信号が、増幅回路17にて増幅され、A/D変換回路18にてデジタル信号に変換されて画像データとしてメモリ19に記憶される。またこのとき、特定比検出回路20にて画像データ中の特定パターンが検出されるようになっている。前記受光センサ3及び特定比検出回路20、アドレス発生回路22には、同期信号発生回路21から同期信号が与えられるようになっている。尚、前記メモリ19は、不揮発性メモリを含んで構成されている。
【0026】
ここで、本実施例における結像光学部4及び焦点切替機構8について、図1ないし図6も参照して詳述する。図3及び図4に示すように、結像光学部4は、鏡筒と称される筒体23内に、第1のレンズ24及び第2のレンズ25の2枚(2組)のレンズを有して構成される。そのうち筒体23は、例えばプラスチック等の非磁性材料からなり、全体として受光光軸O方向を軸方向とした円筒状をなしている。また、図4(a)に示すように、この筒体23の内周面には、レンズ24,25を回り止め状態にすると共に、軸方向に案内するためのガイド溝部23aが軸方向に延びて形成されている。尚、この筒体23は、二分割されたものを組合せて構成される。
【0027】
そして、筒体23の内周部には、先端部(受光センサ3から遠い側、図で左側)及び基端部(受光センサ3に近い側、図で右側)に夫々位置して、リング状をなす第1及び第2の永久磁石26及び27が設けられていると共に、軸方向中間部に位置してやはりリング状をなす中間永久磁石28が設けられている。このとき、各永久磁石26〜28は、図4(b)に示すように、全て、先端面側がS極、基端面側がN極に着磁されており、図4(b)に矢印Bで示す方向に磁束(磁力線)を発生させるようになっている。後述するように、これら永久磁石26〜28がレンズ保持機構を構成するようになっている。
【0028】
一方、前記第1のレンズ24及び第2のレンズ25は、夫々、レンズ保持枠29に保持されて設けられるようになっている。図5に第1のレンズ24を代表させて示すように、レンズ保持枠29は、一定の緩衝機能を有する材料例えばプラスチック材料からなり、薄肉な円筒状をなす胴部の両端部に鍔状部を有するいわゆるボビン形状をなすように構成されている。前記第1,第2のレンズ24,25は、例えばプラスチック,ガラス等から薄型のほぼ円柱状(凸レンズ形状)に構成され、夫々レンズ保持枠29の内周部に固定されている。尚、第1,第2のレンズ24,25は、夫々単独のレンズであっても良いし、複数枚のレンズの組合せ(レンズ群)であっても良い。
【0029】
前記各レンズ保持枠29の胴部の外周部には、例えば鉄等の磁性材料から断面が矩形状をなすリング状に構成された磁性体30が固着されている。このとき、図5に示すように、前記磁性体30には、その外周面の一部に、若干だけ外周側に突出し前記筒体23のガイド溝部23aに嵌合する突起部30aが一体に設けられている。
【0030】
前記第1のレンズ24は、レンズ保持枠29に保持された状態で、筒体23内の第1の永久磁石26と中間永久磁石28との間に位置して設けられる。このとき、磁性体30の突起部30aが、筒体23のガイド溝部23aに嵌合することにより、第1のレンズ24の回り止めが図られると共に、ガイド溝部23aによって光軸O方向に沿ってガイドされるようになっている。これにて、第1のレンズ24は、その先端側の面(レンズ保持枠29の一方の鍔状部)が第1の永久磁石26に当接される位置(図1に示す位置a1)と、基端側の面(レンズ保持枠29の他方の鍔状部)が中間永久磁石28に当接される位置(図1に示す位置a2)との間で、光軸O方向に移動(摺動)可能とされている。
【0031】
同様に、前記第2のレンズ25は、レンズ保持枠29に保持された状態で、筒体23内の中間永久磁石28と第2の永久磁石27との間に位置して設けられる。このとき、やはり磁性体30の突起部30aが、筒体23のガイド溝部23aに嵌合することにより、第2のレンズ25の回り止めが図られると共に、ガイド溝部23aによって光軸O方向に沿ってガイドされるようになっている。これにて、第2のレンズ25は、その先端側の面(レンズ保持枠29の一方の鍔状部)が中間永久磁石28に当接される位置(図1に示す位置b1)と、基端側の面(レンズ保持枠29の他方の鍔状部)が第2の永久磁石27に当接される位置(図1に示す位置b2)との間で、光軸O方向に移動(摺動)可能とされている。
【0032】
この場合、第1のレンズ24は、磁性体30が第1の永久磁石26又は中間永久磁石28のいずれかの吸引力を受けることにより、位置a1,a2のどちらかに停止し、その位置に保持されるようになっている。また、第2のレンズ25は、磁性体30が中間永久磁石28又は第2の永久磁石27のいずれかの吸引力を受けることにより、位置b1,b2のどちらかに停止し、その位置に保持されるようになっている。尚、本実施例では、図1にのみ示すように、位置a1,a2間の距離が、位置b1,b2間の距離の約2倍とされるようになっている。
【0033】
そして、図3及び図4に示すように、前記筒体23の外周部には、第1の永久磁石26と中間永久磁石28との間の位置に対応して、第1のレンズ24を移動させる第1の駆動手段としての第1のコイル31が巻装されていると共に、中間永久磁石28と第2の永久磁石27との間の位置に対応して、第2のレンズ25を移動させる第2の駆動手段としての第2のコイル32が巻装されている。
【0034】
このとき、第1のレンズ24は、通常時(第1のコイル31の非通電状態)には、磁性体30が第1の永久磁石26又は中間永久磁石28に吸引されていることによって、一方の位置a1又はa2に停止しており、第1のコイル31に所定の向きに通電されると、コイル31が発生する磁界によって磁性体30が第1の永久磁石26又は中間永久磁石28から反発し、第1のレンズ24がその停止位置から引離され、他方の位置a2又はa1に移動されるようになっている。
【0035】
同様に、第2のレンズ25は、通常時(第2のコイル32の非通電状態)には、一方の位置b1又はb2に停止しており、第2のコイル32に所定の向きに通電されることによって第2のレンズ25が停止位置から引離され、他方の位置b2又はb1に移動されるようになっている。尚、この移動の際に、レンズ24,25(レンズ保持枠29)は、いずれかの永久磁石26〜28に衝接するようになるが、比較的軟質なレンズ保持枠29の鍔状部によってその衝撃が緩和される。
【0036】
これら第1及び第2のコイル31及び32への通電制御は、前記制御回路16により、図4(a)に示す駆動回路33を介してなされるようになっている。この駆動回路33は、前記制御回路16からの駆動信号を、第1の反転回路34を介して前記コイル31,32の一方の端子に与えると共に、第2の反転回路35及び第3の反転回路36を介して前記コイル31,32の他方の端子に与えるように構成され、また、前記制御回路16からのイネーブル信号(ENa,ENb)が前記第1及び第3の反転回路34及び36に与えられるようになっている。さらに、各コイル31,32において、端子間には定電圧化を図るためのツェナーダイオード37が設けられている。
【0037】
このような構成により、例えば、図4(b)に示すように、第1のレンズ24が位置a1にある状態で、第1のコイル31に図示の向きに駆動電流を流すと、第1のレンズ24(磁性体30)に矢印A方向の力が作用し、位置a2に移動されるのである。尚、このとき、制御回路16による、各コイル31,32に対する駆動信号の出力(通電)は、各コイル31,32の駆動電流の大きさを監視することにより制御され、図6に示すように、駆動電流が落込んだ時点で、レンズ24,25の移動が完了した判断して、駆動信号の出力が停止されるようになっている。
【0038】
これにて、前記第1及び第2のレンズ24及び25を夫々独立して自在に光軸O方向に移動(2点間での位置変位)させることにより、結像光学部4の焦点位置を変更する焦点切替機構8が構成されている。この場合、図1及び図3に示すように、結像光学部4の焦点位置を4段階に変更することが可能となる。
【0039】
即ち、図1(a)及び図3(a)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3に近い位置a2にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3に近い位置b2にある状態(この状態をパターン(1)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が最も遠くなる。図1(b)及び図3(b)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3に近い位置a2にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3から遠い位置b1にある状態(この状態をパターン(2)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が2番目に遠くなる。
【0040】
図1(c)及び図3(c)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3から遠い位置a1にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3に近い位置b2にある状態(この状態をパターン(3)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が3番目に遠くなる。図1(d)及び図3(d)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3から遠い位置a1にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3から遠い位置b1にある状態(この状態をパターン(4)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が最も近くなる。
【0041】
さて、後の作用説明でも述べるように、前記制御回路16は、そのソフトウエア的構成(読取制御プログラムの実行)により、読取対象Rに記された二次元コードQの画像を受光センサ3により撮影させる読取り動作を実行させるようになっている。そして、これと共に、二次元コードQの読取り(デコード)に失敗したときに、前記焦点切替機構8を制御して結像光学部4の焦点位置(レンズ24,25のパターン)を自動で切替えて、再度読取り動作を実行させるようになっている。従って、制御回路16が、制御手段として機能する。
【0042】
このとき、本実施例では、予め、読取距離の初期値がユーザの操作スイッチ10の操作により設定可能とされている。制御回路16には、その初期値に応じてレンズ24,25の初期位置がパターン(1)〜(4)のいずれかに設定され、例えば装置の電源オン時に常に初期位置に戻されるようになっている。また、各レンズ24,25の現在位置は、不揮発性メモリに常に記憶・更新されるようになっている。
【0043】
そして、制御回路16は、結像光学部4の焦点位置を自動で切替えるにあたっては、図2に示すように、初期位置毎に決められた順序でレンズ24,25のパターンの切替を行うようになっている。例えば、レンズ24,25の初期位置がパターン(1)である場合には、その位置で読取りに失敗したときに、パターン(2)に切替えて再度読取り動作を実行させる。その位置でも読取りに失敗したときに、パターン(3)に切替えて再度読取り動作を実行させ、更にその位置でも読取りに失敗したときに、パターン(4)に切替えて再度読取り動作を実行させる。尚、全ての位置(パターン)での読取りが失敗した場合には、読取不能と判断し、エラー報知を行うようになっている。
【0044】
上記構成の二次元コード読取装置において、ユーザが読取対象Rに記された二次元コードQを読取らせるにあたっては、本体ケース1を、読取対象Rから適当な(任意の)距離だけ離し、且つ、読取口1cをその読取対象Rに向けてマーカ光による位置合せを行った状態で、トリガスイッチ2を押圧操作するようにする。すると、制御回路16により、二次元コードQの読取動作が実行される。この読取動作は、上述のように、マーカ光が消灯された状態で照明機構5によって読取口1cを通して読取対象Rに記された二次元コードQに照明光が照射され、二次元コードQからの反射光が読取口1cを通して入射され、結像光学部4の第1のレンズ24及び第2のレンズ25を順に通して受光センサ3に結像されることにより行われる。
【0045】
このとき、結像光学部4の第1のレンズ24及び第2のレンズ25は、予め設定された読取距離の初期値に応じて初期位置(パターン(1)〜(4)のいずれか)に位置しており、そのパターンに応じた焦点位置とされる。従って、実際の読取対象Rまでの距離が、結像光学部4の焦点位置に応じたものであれば、読取りが適切に行われるようになる。これに対し、実際の読取対象Rまでの距離が結像光学部4の現在の焦点位置から外れた状態、例えば、レンズ24,25の初期位置がパターン(1)となっているにもかかわらず、読取対象Rまでの距離が比較的近い状態で、ユーザが読取動作を行わせようとした場合、適切な読取距離(焦点位置)から外れることになって、読取りが失敗する。
【0046】
制御回路16は、読取りが失敗した場合には、焦点切替機構8の第1,第2のコイル31,32を駆動制御し、レンズ24,25の位置(パターン)つまり焦点位置を自動で切替え、再度、読取り動作を実行する。このときのレンズ24,25の位置(パターン)の変更は、図2に示すように行われる。これにより、結像光学部4の4種類の異なる焦点位置のうち適切な焦点位置での読取が行われるようになり、従って、読取対象Rまでの距離がいずれの距離にあっても常に適切な焦点位置が得られて良好な読取りを行うことができ、全体としての読取可能距離の範囲を大幅に広げることができるのである。
【0047】
このように本実施例によれば、結像光学部4を、光軸O上の2点間を移動可能な第1及び第2のレンズ24及び25を設けて構成すると共に、焦点切替機構8を、それら第1及び第2のレンズ24及び25を夫々独立して移動させるように構成したので、それら2個のレンズ24,25の位置の組合せにより、結像光学部4の4種類の異なる焦点位置を得ることができ、読取可能距離の範囲を広げることができた。このとき、4種類の異なる焦点位置を得るために、2個のレンズ24,25を設けるだけで済むので、部品数が少なく、コンパクトに配置することができる。そして、2個のレンズ24,25の2点間の位置を切替えるだけなので、短時間で焦点位置の変更を行うことができ、制御回路16による制御も簡単で、応答性の高いものとすることができる。焦点位置の変更が自動で行われるので、ユーザの操作も簡単となる。
【0048】
そして、本実施例では、コイル31,32非通電状態で、3個の永久磁石26〜28によって第1及び第2のレンズ24及び25を移動された位置に保持する構成としたので、レンズ保持手段を簡単な構成で済ませることができると共に、第1及び第2のレンズ24及び25の停止時にはそれらの位置を保持するための電力が不要となるので、消費電力を少なく抑えることができるといった利点を得ることができる。
【0049】
<2>第2〜第4の実施例、その他の実施例
図9〜図11は、順に本発明の第2〜第4の実施例を示している。尚、以下に述べる各実施例も、上記第1の実施例と同様に、本発明を光学情報読取装置たるガンタイプの二次元コード読取装置に適用したものであるため、上記第1の実施例と同一部分には同一符号を付して新たな図示及び詳しい説明を省略することとし、以下、異なる点を中心に述べることとする。
【0050】
図9は、本発明の第2の実施例を示すものであり、結像光学部41の構成が上記第1の実施例と異なっている。この結像光学部41は、やはり、筒体23の内周側に、リング状の永久磁石26〜28を備えると共に、第1及び第2のレンズ24及び25を移動可能に備え、更に、筒体23の外周側に、第1及び第2のコイル31及び32を巻装して構成されている。
【0051】
そして、本実施例では、内周側に第1及び第2のレンズ24及び25を保持し外周側に磁性体30が固着される円筒ボビン状のレンズ保持枠42に、先端面側及び後端面側に若干量だけ立上る立上り壁部42aが一体に設けられている。この立上り壁部42aは、前記各永久磁石26〜28の内周部に僅かな隙間を存して嵌り込むような円筒状をなしている。これにて、第1のレンズ24及び第2のレンズ25(レンズ保持枠42の鍔状部)が少なくともいずれかの永久磁石26〜28に当接する停止位置に近づいた際に、永久磁石26〜28と、レンズ保持枠42(磁性体30)と、筒体23の内周面との間に空気制動室43が構成されるようになっている。
【0052】
これにて、例えば図示のように第1のレンズ24が矢印C方向(位置a1)に移動される際に、第1の永久磁石26の基端側の面と、第1のレンズ24のレンズ保持枠42の先端側の面と、筒体23の内周面との間に形成される空気制動室43において、その内部の空気が圧縮されることによって制動力が発生されるようになる。このような第2の実施例によれば、簡単な構成で、レンズ24,25の移動時の衝撃力を緩和することができるものである。
【0053】
図10は、本発明の第3の実施例を示すものであり、結像光学部の構成及び焦点切替機構の駆動手段の構成が上記第1の実施例と異なっている。即ち、結像光学部51は、受光センサ3の前部に、第1のレンズ24及び第2のレンズ25を備えて構成されるのであるが、各レンズ24,25は夫々レンズ保持枠52により保持されている。これらレンズ保持枠52は、共に、その左右両側部において、受光光軸Oと平行に延びて設けられた2本のガイド軸53,53により光軸O方向にスライド移動自在に支持されている。
【0054】
そして、左側のガイド軸53の更に左側には、駆動源としての第1のステッピングモータ54により回転される第1のリードスクリュー55が設けられ、第1のレンズ24を保持するレンズ保持枠52には、そのリードスクリュー55に噛合するラックギア部(図示せず)を有するラック56が設けられている。このとき、図示はしないが、ラックギア部は、ばね等の付勢手段によりリードスクリュー55に向けて付勢されている。これにて、第1のレンズ24を光軸O方向に移動させる第1の駆動手段が構成されている。
【0055】
同様に、右側のガイド軸53の更に右側には、駆動源としての第2のステッピングモータ57により回転される第2のリードスクリュー58が設けられ、第2のレンズ25を保持するレンズ保持枠52には、そのリードスクリュー58に噛合するラックギア部及びこのラックギア部を該リードスクリュー58に向けて付勢する付勢手段(いずれも図示せず)を有するラック59が設けられている。これにて、第2のレンズ25を光軸O方向に移動させる第2の駆動手段が構成されている。前記ステッピングモータ54,57は、制御回路16により制御される。
【0056】
これによれば、各リードスクリュー55,58が夫々ステッピングモータ54,57によって回転されることにより、レンズ保持枠52ひいてはレンズ24,25を移動させることができる。またこのとき、ラックギア部をリードスクリュー55,58に向けて付勢する付勢手段を設けたことにより、ラック56,59がガタなくリードスクリュー55,58と噛合うようになる。
【0057】
図11は、本発明の第4の実施例を示すものである。この第3の実施例では、結像光学部61は、受光センサ3の前部に、第1のレンズ62及び第2のレンズ63を備えて構成される。そして、結像光学部61の左右部位には、読取対象に対して照明光を照射するための2組の照明機構64が左右対称的に設けられている。各照明機構64は、照明光源としての複数個のLED65、その前部に設けられLED65からの光を集光するかまぼこ型レンズ66、かまぼこ型レンズ66からの光を前方に向けてほぼ直角に折曲げる反射鏡67、この反射鏡67の前方に配置された第1及び第2の照明用レンズ68及び69から構成されている。
【0058】
このとき、前記第1のレンズ62の左右部位に、第1の照明用レンズ68,68が一体的に連結され、その状態でレンズ保持枠70に保持され、もって第1のレンズ組立体71が構成されている。同様に、前記第2のレンズ63の左右部位に、第2の照明用レンズ69,69が一体的に連結され、その状態でレンズ保持枠70に保持され、もって第2のレンズ組立体72が構成されている。これら第1及び第2のレンズ組立体71及び72は、夫々光軸O方向に2点間で移動可能に設けられている。
【0059】
そして、各レンズ組立体71,72の左右両端部には、夫々永久磁石73が取付けられ、それらの外側には、コ字形の鉄心74に巻装されたコイル75が夫々設けられ、もって、駆動手段としての4組の電磁石が構成されている。これら電磁石(コイル75)は、制御回路16により制御されるようになっている。
【0060】
これにて、第1の照明用レンズ68,68が、第1のレンズ62と一体的に移動され、第2の照明用レンズ69,69が、第2のレンズ63と一体的に移動される。これにより、結像光学部61の焦点位置に変動とそれに応じた照明機構64による照明範囲の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構(結像光学部61)における画角と、照明機構64による照明範囲とが、レンズ62,63の移動及びそれに伴う照明用レンズ68,69の移動により、相似的に変化するように構成すれば、常に、読取機構の画角に対する適切な照明範囲を得ることができる。
【0061】
尚、本発明は、上記した各実施例に限定されるものではなく、下記のような拡張、変更が可能である。
即ち、図示はしないが、光源及びマーカ用レンズを有し読取対象Rに対し読取位置を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構を備えるものにあっては、上記第4の実施例と同様に、マーカ用レンズを、第1又は第2のレンズと連結させて一体的に移動するように構成することができる。
【0062】
これにより、結像光学部の焦点位置に変動とそれに応じたマーカ光の照射視野角の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構における画角と、マーカ光照射機構によるマーカ光の照射視野角とが、第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴うマーカ用レンズの移動により、相似的に変化するように構成すれば、常に、読取機構における画角に対する適切なマーカ光の照射視野角を得ることができる。結像光学部のレンズ、照明用レンズ、マーカ用レンズの三者を一体的に移動させるように構成しても良いことは勿論である。
【0063】
また、上記第1の実施例では、レンズ24,25の位置(パターン)を切替える際に、パターン(1)とパターン(4)との間での切替え、及び、パターン(2)とパターン(3)との間での切替えも含まれるようにしたが、本発明においては、結像光学部の焦点位置の1回の切替時に、第1及び第2の駆動手段のいずれか一方のみを動作させるように構成することができる。これによれば、駆動手段を動作させる際の駆動電流を小さく済ませることができ、消費電力を抑えることができる。
【0064】
さらには、上記各実施例では、本発明の光学情報読取装置を、情報コードとしての二次元コードQ、特にQRコードの読取りに適用したが、他の種類の二次元コードの読取りに適用したり、バーコードなどの一次元コードの読取りに適用したりすることもできる。その他、例えば本発明の光学情報読取装置は、ガンタイプのものに限らず、ハンディタイプのものや、FAシステムなどに固定的に組込まれるもの(離れた位置から情報コードを読取るものであって読取対象側の位置が変動するもの)であっても良く、また、全体のハードウエア構成などについても様々な変更が可能である等、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、第1,第2のレンズの位置と焦点位置との関係を示す図
【図2】焦点切替機構によるレンズのパターンの切替の順序を示す図
【図3】結像光学部におけるレンズの位置の4種類のパターンを示す縦断側面図
【図4】結像光学部部分の縦断側面図であり、(a)は駆動回路を併せて示すもの、(b)はコイル通電方向とレンズの移動方向との関係の一例を示す図
【図5】レンズがレンズ保持枠に保持された様子を示す斜視図
【図6】駆動回路における駆動信号と駆動電流との関係を示す図
【図7】二次元コード読取装置の構成を概略的に示す縦断側面図
【図8】二次元コード読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図9】本発明の第2の実施例を示すもので、結像光学部部分の縦断側面図
【図10】本発明の第3の実施例を示すもので、結像光学部及び駆動機構部分を概略的に示す斜視図
【図11】本発明の第4の実施例を示すもので、読取機構部分の構成を概略的に示す横断平面図
【符号の説明】
【0066】
図面中、1は本体ケース、3は受光センサ、4,41,51,61は結像光学部、5,64は照明機構、6はマーカ光照射機構、8は焦点切替機構、10は操作スイッチ、16は制御回路(制御手段)、23は筒体、24,62は第1のレンズ、25,63は第2のレンズ、26〜28は永久磁石、29,42,52,70はレンズ保持枠、30は磁性体、31は第1のコイル(第1の駆動手段)、32は第2のコイル(第2の駆動手段)、33は駆動回路、43は空気制動室、53はガイド軸、54,57はステッピングモータ(駆動源)、55,58はリードスクリュー、56,59はラック、65はLED(照明光源)、68,69は照明用レンズ、75はコイル(駆動手段)、Oは受光光軸、Qは二次元コード(情報コード)、Rは読取対象を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、結像光学部及び受光センサを有し、読取対象に記された情報コードを光学的に読取る読取機構を備えると共に、前記結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備える光学情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学情報例えばバーコードや二次元コードを読取るためのハンディタイプの光学情報読取装置は、例えば手持ち可能に構成された本体ケース内に、受光センサ、結像レンズを有する結像光学部、照明装置等からなる読取機構を備えて構成されている。これにて、照明装置により、本体ケースの先端部の読取口から読取対象(例えばバーコードが記された商品ラベル)に対して照明光を照射し、その反射光を読取口から入射して、結像光学部を介して受光センサにより撮像するようになっている。
【0003】
この場合、光学情報の読取距離(読取口から読取対象までの距離)は、装置に組込まれている結像光学部の光学特性(主として焦点距離)により予め決まったものとなり、従って、ユーザは、読取対象に対して装置(読取口)を所定の読取距離(ある程度の幅を有する)に位置させて読取作業を行うようになっている。これに対して、近年では、結像光学部の焦点位置を可変とする機構を設けることにより、一台の装置での読取可能距離の範囲を広げ、ユーザの利便を図ることが考えられている。
【0004】
その具体例として、対物撮像レンズとCCD検出素子との間に、厚みの異なる複数個(12個)の光学部品(シム)を円板の外周に沿って取付けてなる集束円板を設け、その円板を回転させることによって、使用する光学部品をいずれかに選択して焦点長を切替える構成のものが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2003−507778号公報(図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の焦点切替機構のような集束円板を設ける構成では、厚みの相違する複数個の光学部品が必要となり、部品数が多くなると共に全体が大型化する欠点があった。また、焦点位置を切替える際には、光学部品(シム)を順番に選択していく方式であるため、応答に時間がかかる不具合もある。さらには、この種の光学情報読取装置では、それほど多段階に焦点位置を変更する必要はなく、過剰品質であり、集束円板に高い位置決め精度が要求される等の事情もあった。
【0006】
尚、デジカメやビデオカメラ等においては、ベストフォーカス位置を切替えるために、ズームレンズや可変焦点レンズを搭載したものがある。ところが、この種の可変焦点レンズは、光量を確保するために絞りが大きく、線形的にベストフォーカスを移動させるものであるため、これを光学情報読取装置に適用した場合には、目的のフォーカス位置にレンズを移動させ、読取るまでに時間がかかり、読取速度が大幅に低下するものとなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備えたものにあって、そのための構成を簡単で且つ比較的小型に済ませることができ、しかも応答性の高いものとすることができる光学情報読取装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の光学情報読取装置は、結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備えたものにあって、前記結像光学部は、受光光軸上の2点間を移動可能な第1のレンズと、この第1のレンズと受光センサとの間に配置され受光光軸上の2点間を移動可能な第2のレンズとを有して構成され、前記焦点切替機構は、前記第1のレンズを移動させる第1の駆動手段と、前記第2のレンズを移動させる第2の駆動手段とを有して構成されると共に、前記受光センサにより撮像された画像データからの情報コードの読取りが失敗したときに、前記第1及び/又は第2の駆動手段を制御して前記結像光学部の焦点位置を自動で切替える制御手段を備えるところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0009】
これによれば、第1の駆動手段によって第1のレンズが結像光軸上の2点間を移動され、第2の駆動手段によって第2のレンズが結像光軸上の2点間を移動され、それら2個のレンズの位置の組合せにより、結像光学部の4種類の異なる焦点位置を得ることができる。この結果、読取可能距離の範囲を広げることができる。この場合、4種類の異なる焦点位置を得るために、光軸上に2個のレンズを設けるだけで済むので、部品数が少なく、コンパクトに配置することができる。そして、2個のレンズの2点間の位置を切替えるだけなので、短時間で焦点位置の変更を行うことができ、制御手段による制御も簡単で、応答性の高いものとすることができる。焦点位置の変更が自動で行われるので、ユーザの操作も簡単となる。
【0010】
このとき、前記焦点切替機構に、第1及び第2の駆動手段の非通電状態で、第1及び第2のレンズを移動された位置に保持するレンズ保持手段を設けることができる(請求項2の発明)。これにより、第1及び第2のレンズの停止時にはそれらの位置を保持するための電力が不要となるので、消費電力を少なく抑えることができる。より具体的には、レンズ保持手段を、第1及び第2のレンズに夫々設けられた磁性体を吸引するための永久磁石を設けて構成すれば(請求項3の発明)、レンズ保持手段を簡単な構成で済ませることができる。
【0011】
本発明においては、第1のレンズ及び第2のレンズが少なくとも停止位置に近づいた際に夫々空気制動室を形成するように構成し、第1のレンズ及び第2のレンズの移動時にその空気制動室内の空気が圧縮されることによって制動力が発生されるように構成することができる(請求項4の発明)。これにより、簡単な構成で、レンズの移動時の衝撃力を緩和することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記第1及び第2の駆動手段を、前記レンズを保持するレンズ保持枠を光軸方向にガイドするガイド軸と、前記レンズ保持枠を光軸方向に駆動するために駆動源によって回転されるリードスクリューと、前記レンズ保持枠に取付けられ、前記リードスクリューに噛合するラックギア部及びこのラックギア部を該リードスクリューに向けて付勢する付勢手段を有し該リードスクリューの回転に伴い前記レンズ保持枠を光軸方向に移動させるラックとを備えて構成することができる(請求項5の発明)。これによれば、リードスクリューを駆動源によって回転させることにより、レンズ保持枠ひいてはレンズを移動させることができ、このとき、ラックギア部をリードスクリューに向けて付勢する付勢手段を設けたことにより、ラックがガタなくリードスクリューと噛合うようになる。
【0013】
さらに本発明においては、制御手段を、結像光学部の焦点位置の1回の切替時に、第1及び第2の駆動手段のいずれか一方のみを動作させるように構成することができる(請求項6の発明)。これによれば、駆動手段を動作させる際の駆動電流を小さく済ませることができ、消費電力を抑えることができる。
【0014】
そして、照明光源及び照明用レンズを有し読取対象に対して照明光を照射するための照明機構を備えるものにあっては、照明用レンズを、第1又は第2のレンズと連結させて一体的に移動するように構成することができる(請求項7の発明)。これにより、結像光学部の焦点位置に変動とそれに応じた照明機構による照明範囲の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構における画角と、照明機構による照明範囲とが、第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴う照明用レンズの移動により、相似的に変化するように構成すれば(請求項8の発明)、常に、読取機構における画角に対する適切な照明範囲を得ることができる。
【0015】
光源及びマーカ用レンズを有し読取対象に対し読取位置を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構を備えるものにあっては、マーカ用レンズを、第1又は第2のレンズと連結させて一体的に移動するように構成することができる(請求項9の発明)。これにより、結像光学部の焦点位置に変動とそれに応じたマーカ光の照射視野角の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構における画角と、マーカ光照射機構によるマーカ光の照射視野角とが、第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴うマーカ用レンズの移動により、相似的に変化するように構成すれば(請求項10の発明)、常に、読取機構における画角に対する適切なマーカ光の照射視野角を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を手持ち式(ガンタイプ)の二次元コード読取装置に適用したいくつかの実施例について、図面を参照しながら説明する。
<1>第1の実施例
以下、本発明の第1の実施例について、図1ないし図8を参照しながら説明する。
【0017】
まず、図7及び図8を参照して、本実施例に係る光学情報読取装置たる二次元コード読取装置の全体構成について述べる。図7に示すように、二次元コード読取装置の本体ケース1は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状をなす主部1aの下面側後部寄りに、ユーザが片手で把持して操作することが可能なグリップ部1bを一体的に有して構成されている。前記本体ケース1(主部1a)の先端面部には、矩形状をなし透光性を有する読取口1cが設けられている。また、前記グリップ部1bの上端部には、読取指示用のトリガスイッチ2が設けられている。
【0018】
前記本体ケース1(主部1a)内の先端側部分には、商品に付されたラベルやカタログ等の読取対象R(図8参照)に記録された情報コードたる例えばQRコード等の二次元コードQ(図1にのみ模式的に図示)を読取るための読取機構が設けられる。図8にも示すように、この読取機構は、例えばCCDエリアセンサからなる受光センサ3、結像光学部4、読取対象R(二次元コードQ)に対して照明光を照射するための照明機構5(図7では図示省略)、前記読取対象Rに対して読取位置(読取範囲)を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構6などから構成されている。
【0019】
そのうち受光センサ3は、本体ケース1(主部1a)内の中央部に前記読取口1cを向いて配設されており、その前方に前記結像光学部4が配設されている。この結像光学部4は、複数枚のレンズを備えて構成され、その詳細については後述する。そして、これも後述するように、本実施例では、結像光学部4の焦点位置を変更するための焦点切替機構8(図8参照)が設けられるようになっている。前記照明機構5は、詳しく図示はしないが、照明光源となるLEDと、このLEDの前部に配置され光を集光及び拡散する照明用レンズとを、前記結像光学部4の周囲部(上部を除く)に、前記読取口1cに向けて複数組配設して構成されている。
【0020】
また、前記マーカ光照射機構6は、例えば光源となるレーザダイオード7を備えると共に、そのレーザダイオード7の前部に位置して、コリメートレンズ、マーカ光のパターンを形成するフォログラム、絞りを順に備えて構成されている。このマーカ光照射機構6は、前記結像光学部4の上部に位置して読取口1cを向いて水平やや斜め下向きに配設されており、読取口1cを通してマーカ光を照射するようになっている。図示は省略するが、このマーカ光は、例えば、受光センサ3の撮影視野に対応したやや横長の長方形の4つの角部を示すL字状の光と、その中心を示す十字状の光とからなっている。尚、このマーカ光照射機構6は、装置の電源オン時には、受光センサ3による二次元コードQの画像取込み(撮影)時を除いて、常にマーカ光を照射(点灯)するようになっている。
【0021】
これにて、ユーザは、読取対象Rに記された二次元コードQが、マーカ光で示される読取位置(読取範囲)に入るように本体ケース1の位置合せを行い、トリガスイッチ2のオン操作を行うようにすれば、照明機構5によって、読取口1cを通して読取対象Rに記された二次元コードQに照明光が照射され、二次元コードQからの反射光が読取口1cを通して入射され、前記結像光学部4によって受光センサ3上に結像され、以て、二次元コードQの画像が取込まれるようになっている。
【0022】
このとき、結像光学部4の光学特性(主として焦点距離)によって、情報コードの読取りが良好に行えるような、装置(読取口1c)から読取対象Rまでの距離(焦点位置)が決まってくる。この場合、例えば、結像光学部4の焦点位置(ベストフォーカス)の近傍(前後)に全体で100〜200mm程度の幅をもつ範囲が、読取りに適した範囲とされ、その範囲を外れると、読取り(情報コードのデコード)が不可能となる。尚、図8には、受光センサ3の受光光軸をOで示している。
【0023】
また、図7に示すように、前記本体ケース1(主部1a)内の後部側には、図8に示す各回路等が実装されている回路基板9が設けられている。さらに、図8のみに図示するように、本体ケース1の外面部(主部1aの上面部)には、ユーザが各種入力指示を行うための操作スイッチ10、報知用のLED11、液晶表示器12などが設けられている。前記操作スイッチ10は、後述する読取距離の初期値を設定するための手段として機能する。また、本体ケース1内にはエラー報知等を行うためのブザー13や、外部との通信を行うための通信インタフェイス14、駆動電源となる二次電池15等も設けられている。
【0024】
図8は、本実施例の二次元コード読取装置の電気的構成を概略的に示しており、前記回路基板9には、マイコンを主体として構成され、全体の制御やデコード処理等を行う制御回路16が設けられている。この制御回路16には、前記トリガスイッチ2及び操作スイッチ10からの信号が入力されるようになっていると共に、制御回路16は、前記受光センサ3、照明機構5、マーカ光照射機構6、後述する焦点切替機構8を制御するようになっており、以て、読取対象Rに記された二次元コードQの画像の取込み動作を実行するようになっている。また、この制御回路16は、前記LED11、ブザー13、液晶表示器12を制御し、通信インタフェイス14を介して外部(管理コンピュータ等)とのデータ通信を実行する。
【0025】
さらに、前記回路基板9には、増幅回路17、A/D変換回路18、メモリ19、特定比検出回路20、同期信号発生回路21、アドレス発生回路22などが実装され、これらも前記制御回路16により制御されるようになっている。これにて、受光センサ3による撮像信号が、増幅回路17にて増幅され、A/D変換回路18にてデジタル信号に変換されて画像データとしてメモリ19に記憶される。またこのとき、特定比検出回路20にて画像データ中の特定パターンが検出されるようになっている。前記受光センサ3及び特定比検出回路20、アドレス発生回路22には、同期信号発生回路21から同期信号が与えられるようになっている。尚、前記メモリ19は、不揮発性メモリを含んで構成されている。
【0026】
ここで、本実施例における結像光学部4及び焦点切替機構8について、図1ないし図6も参照して詳述する。図3及び図4に示すように、結像光学部4は、鏡筒と称される筒体23内に、第1のレンズ24及び第2のレンズ25の2枚(2組)のレンズを有して構成される。そのうち筒体23は、例えばプラスチック等の非磁性材料からなり、全体として受光光軸O方向を軸方向とした円筒状をなしている。また、図4(a)に示すように、この筒体23の内周面には、レンズ24,25を回り止め状態にすると共に、軸方向に案内するためのガイド溝部23aが軸方向に延びて形成されている。尚、この筒体23は、二分割されたものを組合せて構成される。
【0027】
そして、筒体23の内周部には、先端部(受光センサ3から遠い側、図で左側)及び基端部(受光センサ3に近い側、図で右側)に夫々位置して、リング状をなす第1及び第2の永久磁石26及び27が設けられていると共に、軸方向中間部に位置してやはりリング状をなす中間永久磁石28が設けられている。このとき、各永久磁石26〜28は、図4(b)に示すように、全て、先端面側がS極、基端面側がN極に着磁されており、図4(b)に矢印Bで示す方向に磁束(磁力線)を発生させるようになっている。後述するように、これら永久磁石26〜28がレンズ保持機構を構成するようになっている。
【0028】
一方、前記第1のレンズ24及び第2のレンズ25は、夫々、レンズ保持枠29に保持されて設けられるようになっている。図5に第1のレンズ24を代表させて示すように、レンズ保持枠29は、一定の緩衝機能を有する材料例えばプラスチック材料からなり、薄肉な円筒状をなす胴部の両端部に鍔状部を有するいわゆるボビン形状をなすように構成されている。前記第1,第2のレンズ24,25は、例えばプラスチック,ガラス等から薄型のほぼ円柱状(凸レンズ形状)に構成され、夫々レンズ保持枠29の内周部に固定されている。尚、第1,第2のレンズ24,25は、夫々単独のレンズであっても良いし、複数枚のレンズの組合せ(レンズ群)であっても良い。
【0029】
前記各レンズ保持枠29の胴部の外周部には、例えば鉄等の磁性材料から断面が矩形状をなすリング状に構成された磁性体30が固着されている。このとき、図5に示すように、前記磁性体30には、その外周面の一部に、若干だけ外周側に突出し前記筒体23のガイド溝部23aに嵌合する突起部30aが一体に設けられている。
【0030】
前記第1のレンズ24は、レンズ保持枠29に保持された状態で、筒体23内の第1の永久磁石26と中間永久磁石28との間に位置して設けられる。このとき、磁性体30の突起部30aが、筒体23のガイド溝部23aに嵌合することにより、第1のレンズ24の回り止めが図られると共に、ガイド溝部23aによって光軸O方向に沿ってガイドされるようになっている。これにて、第1のレンズ24は、その先端側の面(レンズ保持枠29の一方の鍔状部)が第1の永久磁石26に当接される位置(図1に示す位置a1)と、基端側の面(レンズ保持枠29の他方の鍔状部)が中間永久磁石28に当接される位置(図1に示す位置a2)との間で、光軸O方向に移動(摺動)可能とされている。
【0031】
同様に、前記第2のレンズ25は、レンズ保持枠29に保持された状態で、筒体23内の中間永久磁石28と第2の永久磁石27との間に位置して設けられる。このとき、やはり磁性体30の突起部30aが、筒体23のガイド溝部23aに嵌合することにより、第2のレンズ25の回り止めが図られると共に、ガイド溝部23aによって光軸O方向に沿ってガイドされるようになっている。これにて、第2のレンズ25は、その先端側の面(レンズ保持枠29の一方の鍔状部)が中間永久磁石28に当接される位置(図1に示す位置b1)と、基端側の面(レンズ保持枠29の他方の鍔状部)が第2の永久磁石27に当接される位置(図1に示す位置b2)との間で、光軸O方向に移動(摺動)可能とされている。
【0032】
この場合、第1のレンズ24は、磁性体30が第1の永久磁石26又は中間永久磁石28のいずれかの吸引力を受けることにより、位置a1,a2のどちらかに停止し、その位置に保持されるようになっている。また、第2のレンズ25は、磁性体30が中間永久磁石28又は第2の永久磁石27のいずれかの吸引力を受けることにより、位置b1,b2のどちらかに停止し、その位置に保持されるようになっている。尚、本実施例では、図1にのみ示すように、位置a1,a2間の距離が、位置b1,b2間の距離の約2倍とされるようになっている。
【0033】
そして、図3及び図4に示すように、前記筒体23の外周部には、第1の永久磁石26と中間永久磁石28との間の位置に対応して、第1のレンズ24を移動させる第1の駆動手段としての第1のコイル31が巻装されていると共に、中間永久磁石28と第2の永久磁石27との間の位置に対応して、第2のレンズ25を移動させる第2の駆動手段としての第2のコイル32が巻装されている。
【0034】
このとき、第1のレンズ24は、通常時(第1のコイル31の非通電状態)には、磁性体30が第1の永久磁石26又は中間永久磁石28に吸引されていることによって、一方の位置a1又はa2に停止しており、第1のコイル31に所定の向きに通電されると、コイル31が発生する磁界によって磁性体30が第1の永久磁石26又は中間永久磁石28から反発し、第1のレンズ24がその停止位置から引離され、他方の位置a2又はa1に移動されるようになっている。
【0035】
同様に、第2のレンズ25は、通常時(第2のコイル32の非通電状態)には、一方の位置b1又はb2に停止しており、第2のコイル32に所定の向きに通電されることによって第2のレンズ25が停止位置から引離され、他方の位置b2又はb1に移動されるようになっている。尚、この移動の際に、レンズ24,25(レンズ保持枠29)は、いずれかの永久磁石26〜28に衝接するようになるが、比較的軟質なレンズ保持枠29の鍔状部によってその衝撃が緩和される。
【0036】
これら第1及び第2のコイル31及び32への通電制御は、前記制御回路16により、図4(a)に示す駆動回路33を介してなされるようになっている。この駆動回路33は、前記制御回路16からの駆動信号を、第1の反転回路34を介して前記コイル31,32の一方の端子に与えると共に、第2の反転回路35及び第3の反転回路36を介して前記コイル31,32の他方の端子に与えるように構成され、また、前記制御回路16からのイネーブル信号(ENa,ENb)が前記第1及び第3の反転回路34及び36に与えられるようになっている。さらに、各コイル31,32において、端子間には定電圧化を図るためのツェナーダイオード37が設けられている。
【0037】
このような構成により、例えば、図4(b)に示すように、第1のレンズ24が位置a1にある状態で、第1のコイル31に図示の向きに駆動電流を流すと、第1のレンズ24(磁性体30)に矢印A方向の力が作用し、位置a2に移動されるのである。尚、このとき、制御回路16による、各コイル31,32に対する駆動信号の出力(通電)は、各コイル31,32の駆動電流の大きさを監視することにより制御され、図6に示すように、駆動電流が落込んだ時点で、レンズ24,25の移動が完了した判断して、駆動信号の出力が停止されるようになっている。
【0038】
これにて、前記第1及び第2のレンズ24及び25を夫々独立して自在に光軸O方向に移動(2点間での位置変位)させることにより、結像光学部4の焦点位置を変更する焦点切替機構8が構成されている。この場合、図1及び図3に示すように、結像光学部4の焦点位置を4段階に変更することが可能となる。
【0039】
即ち、図1(a)及び図3(a)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3に近い位置a2にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3に近い位置b2にある状態(この状態をパターン(1)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が最も遠くなる。図1(b)及び図3(b)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3に近い位置a2にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3から遠い位置b1にある状態(この状態をパターン(2)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が2番目に遠くなる。
【0040】
図1(c)及び図3(c)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3から遠い位置a1にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3に近い位置b2にある状態(この状態をパターン(3)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が3番目に遠くなる。図1(d)及び図3(d)に示すように、第1のレンズ24が受光センサ3から遠い位置a1にあり且つ第2のレンズ25が受光センサ3から遠い位置b1にある状態(この状態をパターン(4)と称する)では、結像光学部4の焦点位置が最も近くなる。
【0041】
さて、後の作用説明でも述べるように、前記制御回路16は、そのソフトウエア的構成(読取制御プログラムの実行)により、読取対象Rに記された二次元コードQの画像を受光センサ3により撮影させる読取り動作を実行させるようになっている。そして、これと共に、二次元コードQの読取り(デコード)に失敗したときに、前記焦点切替機構8を制御して結像光学部4の焦点位置(レンズ24,25のパターン)を自動で切替えて、再度読取り動作を実行させるようになっている。従って、制御回路16が、制御手段として機能する。
【0042】
このとき、本実施例では、予め、読取距離の初期値がユーザの操作スイッチ10の操作により設定可能とされている。制御回路16には、その初期値に応じてレンズ24,25の初期位置がパターン(1)〜(4)のいずれかに設定され、例えば装置の電源オン時に常に初期位置に戻されるようになっている。また、各レンズ24,25の現在位置は、不揮発性メモリに常に記憶・更新されるようになっている。
【0043】
そして、制御回路16は、結像光学部4の焦点位置を自動で切替えるにあたっては、図2に示すように、初期位置毎に決められた順序でレンズ24,25のパターンの切替を行うようになっている。例えば、レンズ24,25の初期位置がパターン(1)である場合には、その位置で読取りに失敗したときに、パターン(2)に切替えて再度読取り動作を実行させる。その位置でも読取りに失敗したときに、パターン(3)に切替えて再度読取り動作を実行させ、更にその位置でも読取りに失敗したときに、パターン(4)に切替えて再度読取り動作を実行させる。尚、全ての位置(パターン)での読取りが失敗した場合には、読取不能と判断し、エラー報知を行うようになっている。
【0044】
上記構成の二次元コード読取装置において、ユーザが読取対象Rに記された二次元コードQを読取らせるにあたっては、本体ケース1を、読取対象Rから適当な(任意の)距離だけ離し、且つ、読取口1cをその読取対象Rに向けてマーカ光による位置合せを行った状態で、トリガスイッチ2を押圧操作するようにする。すると、制御回路16により、二次元コードQの読取動作が実行される。この読取動作は、上述のように、マーカ光が消灯された状態で照明機構5によって読取口1cを通して読取対象Rに記された二次元コードQに照明光が照射され、二次元コードQからの反射光が読取口1cを通して入射され、結像光学部4の第1のレンズ24及び第2のレンズ25を順に通して受光センサ3に結像されることにより行われる。
【0045】
このとき、結像光学部4の第1のレンズ24及び第2のレンズ25は、予め設定された読取距離の初期値に応じて初期位置(パターン(1)〜(4)のいずれか)に位置しており、そのパターンに応じた焦点位置とされる。従って、実際の読取対象Rまでの距離が、結像光学部4の焦点位置に応じたものであれば、読取りが適切に行われるようになる。これに対し、実際の読取対象Rまでの距離が結像光学部4の現在の焦点位置から外れた状態、例えば、レンズ24,25の初期位置がパターン(1)となっているにもかかわらず、読取対象Rまでの距離が比較的近い状態で、ユーザが読取動作を行わせようとした場合、適切な読取距離(焦点位置)から外れることになって、読取りが失敗する。
【0046】
制御回路16は、読取りが失敗した場合には、焦点切替機構8の第1,第2のコイル31,32を駆動制御し、レンズ24,25の位置(パターン)つまり焦点位置を自動で切替え、再度、読取り動作を実行する。このときのレンズ24,25の位置(パターン)の変更は、図2に示すように行われる。これにより、結像光学部4の4種類の異なる焦点位置のうち適切な焦点位置での読取が行われるようになり、従って、読取対象Rまでの距離がいずれの距離にあっても常に適切な焦点位置が得られて良好な読取りを行うことができ、全体としての読取可能距離の範囲を大幅に広げることができるのである。
【0047】
このように本実施例によれば、結像光学部4を、光軸O上の2点間を移動可能な第1及び第2のレンズ24及び25を設けて構成すると共に、焦点切替機構8を、それら第1及び第2のレンズ24及び25を夫々独立して移動させるように構成したので、それら2個のレンズ24,25の位置の組合せにより、結像光学部4の4種類の異なる焦点位置を得ることができ、読取可能距離の範囲を広げることができた。このとき、4種類の異なる焦点位置を得るために、2個のレンズ24,25を設けるだけで済むので、部品数が少なく、コンパクトに配置することができる。そして、2個のレンズ24,25の2点間の位置を切替えるだけなので、短時間で焦点位置の変更を行うことができ、制御回路16による制御も簡単で、応答性の高いものとすることができる。焦点位置の変更が自動で行われるので、ユーザの操作も簡単となる。
【0048】
そして、本実施例では、コイル31,32非通電状態で、3個の永久磁石26〜28によって第1及び第2のレンズ24及び25を移動された位置に保持する構成としたので、レンズ保持手段を簡単な構成で済ませることができると共に、第1及び第2のレンズ24及び25の停止時にはそれらの位置を保持するための電力が不要となるので、消費電力を少なく抑えることができるといった利点を得ることができる。
【0049】
<2>第2〜第4の実施例、その他の実施例
図9〜図11は、順に本発明の第2〜第4の実施例を示している。尚、以下に述べる各実施例も、上記第1の実施例と同様に、本発明を光学情報読取装置たるガンタイプの二次元コード読取装置に適用したものであるため、上記第1の実施例と同一部分には同一符号を付して新たな図示及び詳しい説明を省略することとし、以下、異なる点を中心に述べることとする。
【0050】
図9は、本発明の第2の実施例を示すものであり、結像光学部41の構成が上記第1の実施例と異なっている。この結像光学部41は、やはり、筒体23の内周側に、リング状の永久磁石26〜28を備えると共に、第1及び第2のレンズ24及び25を移動可能に備え、更に、筒体23の外周側に、第1及び第2のコイル31及び32を巻装して構成されている。
【0051】
そして、本実施例では、内周側に第1及び第2のレンズ24及び25を保持し外周側に磁性体30が固着される円筒ボビン状のレンズ保持枠42に、先端面側及び後端面側に若干量だけ立上る立上り壁部42aが一体に設けられている。この立上り壁部42aは、前記各永久磁石26〜28の内周部に僅かな隙間を存して嵌り込むような円筒状をなしている。これにて、第1のレンズ24及び第2のレンズ25(レンズ保持枠42の鍔状部)が少なくともいずれかの永久磁石26〜28に当接する停止位置に近づいた際に、永久磁石26〜28と、レンズ保持枠42(磁性体30)と、筒体23の内周面との間に空気制動室43が構成されるようになっている。
【0052】
これにて、例えば図示のように第1のレンズ24が矢印C方向(位置a1)に移動される際に、第1の永久磁石26の基端側の面と、第1のレンズ24のレンズ保持枠42の先端側の面と、筒体23の内周面との間に形成される空気制動室43において、その内部の空気が圧縮されることによって制動力が発生されるようになる。このような第2の実施例によれば、簡単な構成で、レンズ24,25の移動時の衝撃力を緩和することができるものである。
【0053】
図10は、本発明の第3の実施例を示すものであり、結像光学部の構成及び焦点切替機構の駆動手段の構成が上記第1の実施例と異なっている。即ち、結像光学部51は、受光センサ3の前部に、第1のレンズ24及び第2のレンズ25を備えて構成されるのであるが、各レンズ24,25は夫々レンズ保持枠52により保持されている。これらレンズ保持枠52は、共に、その左右両側部において、受光光軸Oと平行に延びて設けられた2本のガイド軸53,53により光軸O方向にスライド移動自在に支持されている。
【0054】
そして、左側のガイド軸53の更に左側には、駆動源としての第1のステッピングモータ54により回転される第1のリードスクリュー55が設けられ、第1のレンズ24を保持するレンズ保持枠52には、そのリードスクリュー55に噛合するラックギア部(図示せず)を有するラック56が設けられている。このとき、図示はしないが、ラックギア部は、ばね等の付勢手段によりリードスクリュー55に向けて付勢されている。これにて、第1のレンズ24を光軸O方向に移動させる第1の駆動手段が構成されている。
【0055】
同様に、右側のガイド軸53の更に右側には、駆動源としての第2のステッピングモータ57により回転される第2のリードスクリュー58が設けられ、第2のレンズ25を保持するレンズ保持枠52には、そのリードスクリュー58に噛合するラックギア部及びこのラックギア部を該リードスクリュー58に向けて付勢する付勢手段(いずれも図示せず)を有するラック59が設けられている。これにて、第2のレンズ25を光軸O方向に移動させる第2の駆動手段が構成されている。前記ステッピングモータ54,57は、制御回路16により制御される。
【0056】
これによれば、各リードスクリュー55,58が夫々ステッピングモータ54,57によって回転されることにより、レンズ保持枠52ひいてはレンズ24,25を移動させることができる。またこのとき、ラックギア部をリードスクリュー55,58に向けて付勢する付勢手段を設けたことにより、ラック56,59がガタなくリードスクリュー55,58と噛合うようになる。
【0057】
図11は、本発明の第4の実施例を示すものである。この第3の実施例では、結像光学部61は、受光センサ3の前部に、第1のレンズ62及び第2のレンズ63を備えて構成される。そして、結像光学部61の左右部位には、読取対象に対して照明光を照射するための2組の照明機構64が左右対称的に設けられている。各照明機構64は、照明光源としての複数個のLED65、その前部に設けられLED65からの光を集光するかまぼこ型レンズ66、かまぼこ型レンズ66からの光を前方に向けてほぼ直角に折曲げる反射鏡67、この反射鏡67の前方に配置された第1及び第2の照明用レンズ68及び69から構成されている。
【0058】
このとき、前記第1のレンズ62の左右部位に、第1の照明用レンズ68,68が一体的に連結され、その状態でレンズ保持枠70に保持され、もって第1のレンズ組立体71が構成されている。同様に、前記第2のレンズ63の左右部位に、第2の照明用レンズ69,69が一体的に連結され、その状態でレンズ保持枠70に保持され、もって第2のレンズ組立体72が構成されている。これら第1及び第2のレンズ組立体71及び72は、夫々光軸O方向に2点間で移動可能に設けられている。
【0059】
そして、各レンズ組立体71,72の左右両端部には、夫々永久磁石73が取付けられ、それらの外側には、コ字形の鉄心74に巻装されたコイル75が夫々設けられ、もって、駆動手段としての4組の電磁石が構成されている。これら電磁石(コイル75)は、制御回路16により制御されるようになっている。
【0060】
これにて、第1の照明用レンズ68,68が、第1のレンズ62と一体的に移動され、第2の照明用レンズ69,69が、第2のレンズ63と一体的に移動される。これにより、結像光学部61の焦点位置に変動とそれに応じた照明機構64による照明範囲の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構(結像光学部61)における画角と、照明機構64による照明範囲とが、レンズ62,63の移動及びそれに伴う照明用レンズ68,69の移動により、相似的に変化するように構成すれば、常に、読取機構の画角に対する適切な照明範囲を得ることができる。
【0061】
尚、本発明は、上記した各実施例に限定されるものではなく、下記のような拡張、変更が可能である。
即ち、図示はしないが、光源及びマーカ用レンズを有し読取対象Rに対し読取位置を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構を備えるものにあっては、上記第4の実施例と同様に、マーカ用レンズを、第1又は第2のレンズと連結させて一体的に移動するように構成することができる。
【0062】
これにより、結像光学部の焦点位置に変動とそれに応じたマーカ光の照射視野角の変更とを、一括して行うことが可能となる。このとき、読取機構における画角と、マーカ光照射機構によるマーカ光の照射視野角とが、第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴うマーカ用レンズの移動により、相似的に変化するように構成すれば、常に、読取機構における画角に対する適切なマーカ光の照射視野角を得ることができる。結像光学部のレンズ、照明用レンズ、マーカ用レンズの三者を一体的に移動させるように構成しても良いことは勿論である。
【0063】
また、上記第1の実施例では、レンズ24,25の位置(パターン)を切替える際に、パターン(1)とパターン(4)との間での切替え、及び、パターン(2)とパターン(3)との間での切替えも含まれるようにしたが、本発明においては、結像光学部の焦点位置の1回の切替時に、第1及び第2の駆動手段のいずれか一方のみを動作させるように構成することができる。これによれば、駆動手段を動作させる際の駆動電流を小さく済ませることができ、消費電力を抑えることができる。
【0064】
さらには、上記各実施例では、本発明の光学情報読取装置を、情報コードとしての二次元コードQ、特にQRコードの読取りに適用したが、他の種類の二次元コードの読取りに適用したり、バーコードなどの一次元コードの読取りに適用したりすることもできる。その他、例えば本発明の光学情報読取装置は、ガンタイプのものに限らず、ハンディタイプのものや、FAシステムなどに固定的に組込まれるもの(離れた位置から情報コードを読取るものであって読取対象側の位置が変動するもの)であっても良く、また、全体のハードウエア構成などについても様々な変更が可能である等、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、第1,第2のレンズの位置と焦点位置との関係を示す図
【図2】焦点切替機構によるレンズのパターンの切替の順序を示す図
【図3】結像光学部におけるレンズの位置の4種類のパターンを示す縦断側面図
【図4】結像光学部部分の縦断側面図であり、(a)は駆動回路を併せて示すもの、(b)はコイル通電方向とレンズの移動方向との関係の一例を示す図
【図5】レンズがレンズ保持枠に保持された様子を示す斜視図
【図6】駆動回路における駆動信号と駆動電流との関係を示す図
【図7】二次元コード読取装置の構成を概略的に示す縦断側面図
【図8】二次元コード読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【図9】本発明の第2の実施例を示すもので、結像光学部部分の縦断側面図
【図10】本発明の第3の実施例を示すもので、結像光学部及び駆動機構部分を概略的に示す斜視図
【図11】本発明の第4の実施例を示すもので、読取機構部分の構成を概略的に示す横断平面図
【符号の説明】
【0066】
図面中、1は本体ケース、3は受光センサ、4,41,51,61は結像光学部、5,64は照明機構、6はマーカ光照射機構、8は焦点切替機構、10は操作スイッチ、16は制御回路(制御手段)、23は筒体、24,62は第1のレンズ、25,63は第2のレンズ、26〜28は永久磁石、29,42,52,70はレンズ保持枠、30は磁性体、31は第1のコイル(第1の駆動手段)、32は第2のコイル(第2の駆動手段)、33は駆動回路、43は空気制動室、53はガイド軸、54,57はステッピングモータ(駆動源)、55,58はリードスクリュー、56,59はラック、65はLED(照明光源)、68,69は照明用レンズ、75はコイル(駆動手段)、Oは受光光軸、Qは二次元コード(情報コード)、Rは読取対象を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学部及び受光センサを有し、読取対象に記された情報コードを光学的に読取る読取機構を備えると共に、前記結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備える光学情報読取装置であって、
前記結像光学部は、受光光軸上の2点間を移動可能な第1のレンズと、この第1のレンズと前記受光センサとの間に配置され受光光軸上の2点間を移動可能な第2のレンズとを有して構成され、
前記焦点切替機構は、前記第1のレンズを移動させる第1の駆動手段と、前記第2のレンズを移動させる第2の駆動手段とを有して構成されると共に、
前記受光センサにより撮像された画像データからの情報コードの読取りが失敗したときに、前記第1及び/又は第2の駆動手段を制御して前記結像光学部の焦点位置を自動で切替える制御手段を備えることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記焦点切替機構は、前記第1及び第2の駆動手段の非通電状態で、前記第1及び第2のレンズを移動された位置に保持するレンズ保持手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記レンズ保持手段は、前記第1及び第2のレンズに夫々設けられた磁性体を吸引するための永久磁石を有して構成されていることを特徴とする請求項2記載の光学情報読取装置。
【請求項4】
前記第1のレンズ及び第2のレンズが少なくとも停止位置に近づいた際に夫々空気制動室を形成するように構成されており、前記第1のレンズ及び第2のレンズの移動時に前記空気制動室内の空気が圧縮されることによって制動力が発生されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項5】
前記各駆動手段は、前記レンズを保持するレンズ保持枠を光軸方向にガイドするガイド軸と、前記レンズ保持枠を光軸方向に駆動するために駆動源によって回転されるリードスクリューと、前記レンズ保持枠に取付けられ、前記リードスクリューに噛合するラックギア部及びこのラックギア部を該リードスクリューに向けて付勢する付勢手段を有し該リードスクリューの回転に伴い前記レンズ保持枠を光軸方向に移動させるラックとを備えて構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記結像光学部の焦点位置の1回の切替時に、前記第1及び第2の駆動手段のいずれか一方のみを動作させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項7】
照明光源及び照明用レンズを有し前記読取対象に対して照明光を照射するための照明機構を備え、前記照明用レンズは、前記第1又は第2のレンズと連結されて一体的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項8】
前記読取機構における画角と、前記照明機構による照明範囲とが、前記第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴う前記照明用レンズの移動により、相似的に変化するように構成されていることを特徴とする請求項7記載の光学情報読取装置。
【請求項9】
光源及びマーカ用レンズを有し前記読取対象に対し読取位置を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構を備え、前記マーカ用レンズは、前記第1又は第2のレンズと連結されて一体的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項10】
前記読取機構における画角と、前記マーカ光照射機構によるマーカ光の照射視野角とが、前記第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴う前記マーカ用レンズの移動により、相似的に変化するように構成されていることを特徴とする請求項9記載の光学情報読取装置。
【請求項1】
結像光学部及び受光センサを有し、読取対象に記された情報コードを光学的に読取る読取機構を備えると共に、前記結像光学部の焦点位置を変更するための焦点切替機構を備える光学情報読取装置であって、
前記結像光学部は、受光光軸上の2点間を移動可能な第1のレンズと、この第1のレンズと前記受光センサとの間に配置され受光光軸上の2点間を移動可能な第2のレンズとを有して構成され、
前記焦点切替機構は、前記第1のレンズを移動させる第1の駆動手段と、前記第2のレンズを移動させる第2の駆動手段とを有して構成されると共に、
前記受光センサにより撮像された画像データからの情報コードの読取りが失敗したときに、前記第1及び/又は第2の駆動手段を制御して前記結像光学部の焦点位置を自動で切替える制御手段を備えることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記焦点切替機構は、前記第1及び第2の駆動手段の非通電状態で、前記第1及び第2のレンズを移動された位置に保持するレンズ保持手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記レンズ保持手段は、前記第1及び第2のレンズに夫々設けられた磁性体を吸引するための永久磁石を有して構成されていることを特徴とする請求項2記載の光学情報読取装置。
【請求項4】
前記第1のレンズ及び第2のレンズが少なくとも停止位置に近づいた際に夫々空気制動室を形成するように構成されており、前記第1のレンズ及び第2のレンズの移動時に前記空気制動室内の空気が圧縮されることによって制動力が発生されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項5】
前記各駆動手段は、前記レンズを保持するレンズ保持枠を光軸方向にガイドするガイド軸と、前記レンズ保持枠を光軸方向に駆動するために駆動源によって回転されるリードスクリューと、前記レンズ保持枠に取付けられ、前記リードスクリューに噛合するラックギア部及びこのラックギア部を該リードスクリューに向けて付勢する付勢手段を有し該リードスクリューの回転に伴い前記レンズ保持枠を光軸方向に移動させるラックとを備えて構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記結像光学部の焦点位置の1回の切替時に、前記第1及び第2の駆動手段のいずれか一方のみを動作させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項7】
照明光源及び照明用レンズを有し前記読取対象に対して照明光を照射するための照明機構を備え、前記照明用レンズは、前記第1又は第2のレンズと連結されて一体的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項8】
前記読取機構における画角と、前記照明機構による照明範囲とが、前記第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴う前記照明用レンズの移動により、相似的に変化するように構成されていることを特徴とする請求項7記載の光学情報読取装置。
【請求項9】
光源及びマーカ用レンズを有し前記読取対象に対し読取位置を示すためのマーカ光を照射するマーカ光照射機構を備え、前記マーカ用レンズは、前記第1又は第2のレンズと連結されて一体的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の光学情報読取装置。
【請求項10】
前記読取機構における画角と、前記マーカ光照射機構によるマーカ光の照射視野角とが、前記第1又は第2のレンズの移動及びそれに伴う前記マーカ用レンズの移動により、相似的に変化するように構成されていることを特徴とする請求項9記載の光学情報読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−221349(P2006−221349A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33210(P2005−33210)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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