説明

光学材料のレーザ損傷耐性推定方法及びレーザ損傷耐性推定装置

【課題】光学材料がレーザ光を照射することにより蛍光発光を生じる場合であっても、非破壊でレーザ損傷耐性を精度よく評価することができるレーザ損傷耐性測定方法と装置を提供する。
【解決手段】第1波長のレーザ光を光学材料に照射して蛍光発光を観測することを含む予備測定ステップと、光学材料の一部である測定領域に2光子吸収を生じさせつつ照射強度を変化させて、その測定領域における照射強度に対する透過率の変化を測定する測定ステップと、照射強度に対する透過率の変化に基づいて、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第1推定ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊で光学材料のレーザ損傷耐性の評価ができるレーザ損傷耐性推定方法とレーザ損傷耐性推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を用いたレーザシステムは、微細加工、情報通信など幅広い産業分野で利用されている。このレーザシステムでは、波長変換、集光・反射、増幅素子等を構成するために光学結晶等の光学材料が用いられているが、それらの光学材料は、高いエネルギー密度のレーザ光に晒されるため、その光学材料の良否がシステムの性能・信頼性を左右する。
【0003】
これらのシステムに用いられる光学材料としては、主にレンズ、ミラー基板、窓材等に使用される石英に代表されるガラス材料、主にレーザ発振に用いられるNd:YAG、Yb:YAG等の単結晶材料、主に波長変換に使用されるCLBO(CsLiB10)、LBO(Li)、BBO(BaB)、KTP(KTiOPO)等の単結晶材料、主にレンズに使用されるCaF、MgF等の単結晶材料、主に窓材として使用される透光性セラミックスなどが挙げられるが、これらの光学材料は、製造方法、使用原料によって得られる品質が異なり、如何にして品質を評価して品質を保証するかが重要になる。
【0004】
例えば、単結晶材料では、転位等の結晶欠陥、不純物の量などによって、光学特性が変化したりレーザ損傷耐性が劣化したりする。また、ガラス材料やセラミックス材料では、材料の均一性や気泡の存在若しくは粒界の状態などによって、光学特性が変化したりレーザ損傷耐性が劣化したりする。また、一般的には、ガラスより結晶材料、小型より大型な材料になるほど、製造・量産化技術は極めて難しくなる。
【0005】
したがって、レーザシステムを構成するガラス、結晶、セラミックスなどの光学材料の評価、特にレーザ損傷耐性の評価が重要になる。しかしながら、従来のレーザ損傷耐性の評価は、レーザ光を直接材料に照射して破壊しなければ計測できないことから、レーザシステムに用いられる光学材料を直接評価することはできないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明者らは、非破壊でかつ安価に光学材料のレーザ損傷耐性を評価することができる方法を提案した(特許文献1)。この提案した方法では、レーザ光の照射により光学材料内の一部に2光子吸収を発生させ、その2光子吸収に起因する透過率低下に基づいて、レーザ損傷耐性を評価している。
【特許文献1】特開2005−114720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示された方法は、光学材料がレーザ光を照射することにより蛍光発光を生じる場合には、レーザ損傷耐性を精度よく評価することができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、光学材料がレーザ光を照射することにより蛍光発光を生じる場合であっても、非破壊でレーザ損傷耐性を精度よく評価することができるレーザ損傷耐性測定方法とレーザ損傷耐性測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者は、鋭意検討を繰り返した結果、光学材料が蛍光を発光する場合と蛍光を発生しない場合とで、透過率の低下とレーザ損傷耐性閾値の間の関係に異なる傾向があることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明に係る光学材料のレーザ損傷耐性推定方法は、光学材料に第1波長のレーザ光を照射して蛍光発光を観測することを含む予備測定ステップと、
上記光学材料の一部である測定領域に2光子吸収を生じさせつつ照射強度を変化させて、当該測定領域における照射強度に対する透過率の変化を測定する測定ステップと、
上記照射強度に対する透過率の変化に基づいて、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第1推定ステップと、を含むことを特徴とする。
以上のように構成された本発明に係るレーザ損傷耐性推定方法では、蛍光発光の観測及び照射強度に対する透過率の変化は非破壊で測定することができ、その非破壊の測定データに基づいてレーザ損傷耐性が推定される。
【0010】
また、本発明に係るレーザ損傷耐性推定方法では、上記第1推定ステップにおいて、上記照射強度に対する透過率の変化に基づいて、蛍光発光が観測されなかったときには、予め求められた蛍光発光を伴わない場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定することをさらに含むことが好ましい。
このようにすると、蛍光発光を生じる光学材料と蛍光発光を生じない光学材料の両方のレーザ損傷耐性を非破壊で求めることができる。
【0011】
また、本発明に係るレーザ損傷耐性推定方法において、上記予備測定ステップは、上記第1波長のレーザ光を異なる強度で上記光学材料に照射して、照射強度に対する透過率の変化に基づいて上記光学材料の一部に発生させた2光子吸収に起因する非線形吸収量の評価が可能であるか否か判断するステップと、非線形吸収量の評価が可能になるように、上記非線形吸収量を増加させる一方蛍光を抑える調整ステップとをさらに含むことが好ましい。
【0012】
さらに、上記予備測定ステップの後に、2光子吸収が発生した上記一部を測定領域として上記光学材料を複数の測定領域に分割するステップを含み、その複数の測定領域について順次前記測定ステップと前記第1推定ステップを繰り返すようにしてもよい。
このようにすると、測定が必要な領域全体のレーザ損傷耐性を非破壊で求めることができ、そのレーザ損傷耐性の強度分布を3次元でイメージングすることもできる。
【0013】
また、上記推定された第1波長におけるレーザ損傷耐性に基づいて、予め求められた第1波長におけるレーザ損傷耐性と第2波長におけるレーザ損傷耐性の相関データを参照して第2波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第2推定ステップをさらに含むようにしてもよい。
このようにすると、第2波長のレーザ光における蛍光発光現象及び透過率の測定が技術的又は経済的な理由により困難な場合であっても、第2波長のレーザ光に対するレーザ損傷耐性を非破壊で求めることができる。
【0014】
本発明に係る光学材料のレーザ損傷耐性推定装置は、第1波長のレーザ光を発生する少なくとも1つのレーザ光源と、該レーザ光源から出射される上記レーザ光を集光して光学材料に照射する光学システムと、上記光学材料を透過するレーザ光の強度を測定する透過光検出器と、照射された上記レーザ光による蛍光を検出する発光検出器と、を含む光学測定装置と、
上記光学材料内の一部である測定領域に照射されるエネルギー密度を向上させて当該測定領域に2光子吸収を生じさせ、上記光学材料内における上記測定領域以外に照射されるエネルギー密度を減少させるように上記光学システムを制御して上記光学試料の蛍光発光を抑制した状態で上記レーザ光源の発光強度を変化させる光学測定制御装置と、
上記透過光検出器によって検出された上記レーザ光の強度と上記レーザ光源の発光強度とに基づいて上記測定領域に照射されるレーザ光の照射強度に対する透過率の変化を算出し、その算出された透過率の変化に基づいて、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照しながら上記第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第1推定装置と、を有してなることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るレーザ損傷耐性推定装置において、上記第1推定装置は、上記照射強度に対する透過率の変化に基づいて、蛍光発光が観測されたときには、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定し、蛍光発光が観測されなかったときには、予め求められた蛍光発光を伴わない場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定することが好ましい。
【0016】
本発明に係るレーザ損傷耐性推定装置において、上記光学測定装置は上記光学測定制御装置の制御にしたがって上記光学材料又は上記光学システムを移動させるステージを含むことが好ましく、これにより、光学材料の広い範囲にわたってレーザ損傷耐性を求めることができ、そのレーザ損傷耐性の強度分布を3次元でイメージングすることもできる。
【0017】
本発明に係るレーザ損傷耐性推定装置において、上記推定された第1波長におけるレーザ損傷耐性に基づいて、予め求められた第1波長におけるレーザ損傷耐性と第2波長におけるレーザ損傷耐性の相関データを参照して第2波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第2推定装置をさらに含むように構成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように構成された本発明に係るレーザ損傷耐性推定方法及び装置は、第1波長のレーザ光を光学材料に照射して蛍光発光を観測した上で、上記測定領域における照射強度に対する透過率の変化を測定し、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する。
したがって、本発明によれば、光学材料がレーザ光を照射することにより蛍光発光を生じる場合であっても、非破壊でレーザ損傷耐性を精度よく評価することが可能なレーザ損傷耐性測定方法とレーザ損傷耐性測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態のレーザ損傷耐性測定方法及びレーザ損傷耐性測定装置について説明する。
図1は、実施の形態のレーザ損傷耐性測定装置の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、実施の形態のレーザ損傷耐性測定装置は、光学測定部10と、光学測定制御部11と、第1データベース13が接続された第1推定処理部12と、第2データベース15が接続された第2推定処理部14とから構成されている。
【0020】
本実施の形態において、各部は以下のように構成される。
<光学測定部10>
光学測定部10は、図2に示すように、(a)第1の波長のレーザ光を出射するレーザ光源1と、(b)レーザ光源1から出射されたレーザ光を2つに分割して分割した一方の光をモニター用レーザ光としてパワーモニタ5に入射し、他方の光を測定用レーザ光として集光レンズユニット2に入射するビームスプリッタ6と、(c)入射される測定用レーザ光を集光して光学材料7に入射する集光レンズユニット2と、(d)光学材料7を透過した測定用レーザ光の透過光強度を検出する透過光検出器3と、(e)レーザ光の強度をモニターするパワーモニタ5と、(f)光学材料7の蛍光発光の有無及び発光量を検出する発光検出器4と、を含み、後述する光学測定制御部11によって制御されて第1推定処理部に測定データを出力する。
また、光学測定部10は、図示はしていないが、測定対象である光学材料7又は集光レンズユニット2を移動させる移動ステージを有している。
【0021】
<光学測定制御部11>
光学測定制御部は、(i)非線形吸収を生じさせるようにエネルギーを測定領域に集中させ、蛍光発光によるエネルギー吸収を抑えて非線形吸収による透過率の減少が観測できるように光学系を調整する光学系制御部と、(ii)各測定領域において、レーザ光の入射エネルギー強度を順次変化させて試料に入射して、各入射エネルギー強度に対する透過率と蛍光発光強度とを測定する測定制御部と、(iii)測定領域の大きさ及び位置情報に基づいて測定が必要とされる全領域の透過率が測定されるように測定領域の位置を順次移動させる走査制御部とを有し、図2に示すフローチャートにしたがって、光学測定部10を制御する。
【0022】
以下、図2に示すフローチャートに基づいて、光学測定制御部11の制御手順を説明する。
(ステップS1(初期値設定))
ステップS1では、予備測定のためのレーザ光源に対する初期値を設定する。
例えば、波長が可変のレーザ発振器の場合では、測定波長である第1波長、出射レーザ光の最小強度、最大強度、出射強度の上昇ステップやビームを試料内に集光するレンズ系の焦点距離等の初期値が設定される。
尚、波長が固定されたレーザ発振器の場合では、レーザ波長の初期値は設定する必要はない。
【0023】
(ステップS2(予備測定))
ステップS2では、設定された初期値にしたがって、レーザ光源1を駆動して所定の強度ステップでレーザ光を出射させて光学材料に入射して、それぞれの入射強度に対して透過光の強度と蛍光発光強度を測定する。
【0024】
(ステップS3)
ステップS3では、光学材料に入射されるレーザ光の入射強度に対する透過率の変化に基づいて、非線形吸収が発生しているか、非線形吸収の測定が可能か否かを判断して、非線形吸収が発生していないか、又は発生していても測定が可能でない場合には、ステップS4に進み、非線形吸収が発生しかつ測定が可能である場合には、ステップS5に進む。
【0025】
(ステップS4)
ステップS4では、非線形吸収量が発生又は増加するように、蛍光が観測される場合には、蛍光によるエネルギー吸収を抑えるように、光学レンズ系を調整してステップS2に進む。例えば、集光レンズユニット2の焦点距離を短くすると、焦点近傍におけるレーザ光のエネルギー密度を高くできる一方、焦点から離れるにしたがって急速にエネルギー密度を低くでき、測定領域となる焦点近傍の領域における2光子吸収に起因した非線形吸収量を大きくし、測定領域外における蛍光発光を相対的に抑えることができる。
以下、非線形吸収の測定が可能になるまで、ステップS2,ステップS3を繰り返す。
尚、ステップS4における光学レンズ系の調整の結果、後述の一測定における測定範囲(大きさ)が決定され、その測定範囲に基づいて一測定における測定領域が決定される。
【0026】
(ステップS5)
ステップS5では、試料における全測定範囲を、ステップS4の光学調整の結果得られた測定範囲(2光子吸収が生じる範囲)を基に、試料中の測定が必要な全範囲が測定できるように、複数の測定領域に分割して、スタート位置の測定領域、終了位置の測定領域、およびスキャンステップ(ステージの移動ステップ)を設定する。
【0027】
(ステップS6)
ステップS6では、各測定領域における、試料に入射するレーザ光の入射エネルギー強度の初期値と終了値、エネルギーの増加ステップ(測定ポイント数)を設定する。
【0028】
(ステップS7)
ステップS7では、パワーモニタ5によって光学材料7に入射されるエネルギーをモニターしながら光学材料7にレーザ光を入射して、その透過率及び蛍光発光強度を測定する。
【0029】
(ステップS8)
ステップS8では、測定された透過率と蛍光発光強度とを、その測定領域の位置情報に関連付けて出力する。
【0030】
(ステップS9)
ステップS9では、測定中の測定領域において、試料に入射するレーザ光の入射エネルギー強度が終了値に達したか否かを判断して、入射エネルギー強度が終了値に達していない場合には、ステップS10に進み、入射エネルギー強度が終了値に達している場合には、ステップS11に進む。
【0031】
(ステップS10)
ステップS10では、レーザ発振器の出力を一定値だけ増加させることにより、入射エネルギー強度を増加させる。
以下、ステップS7〜S9を繰り返す。
【0032】
(ステップS11)
ステップS11では、すべての測定領域の測定が終了したか否かを判断して、すべての測定領域の測定が終了していない場合には、ステップS12に進み、すべての測定領域の測定が終了した場合には、測定を終了する。
【0033】
(ステップS12)
ステップS12では、ステージを所定量だけ移動させて、隣接する測定領域に移動して、ステップS6〜S11を繰り返す。
【0034】
<第1推定処理部12>
第1推定処理部12には、光学測定制御部11による制御にしたがって、光学測定部10から出力される、光学材料7に入射されるエネルギー値、透過率及び蛍光発光強度が順次入力される。その入力データに基づいて、第1推定処理部12は、各測定領域ごとに、入射エネルギーに対する透過率の逆数の傾きを算出し、その算出された傾きと蛍光発光強度とに基づいて、予め第1データベース13に記憶された透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する。
【0035】
ここで、第1データベース13は、(i)蛍光発光を伴う場合の、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データと、(ii)蛍光発光を伴わない場合の、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを有している。
また、蛍光発光を伴う場合の、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データは、異なる蛍光発光強度に対してそれぞれ記憶されており、このように、入射エネルギー強度に対する蛍光発光強度に関係付けられた複数の相関データを持つことによって、より精度の高いレーザ損傷閾値の推定が可能になる。
【0036】
以下、第1推定処理部12における処理を図4に示すフローにしたがって説明する。
なお、図4に示すフローチャートは、1つの測定領域に対する処理フローを示すものであり、各測定領域ごとに図4に示す処理が繰り返される。
【0037】
(ステップS101)
ステップS101で、光学測定部10から出力される、光学材料7に入射されるエネルギー値、透過率及び蛍光発光強度を取得して、各測定領域ごとに、入射エネルギーに対する透過率の逆数の傾きを算出する。
【0038】
(ステップS102)
ステップS102で、蛍光発光を伴うか否かを判断して、蛍光発光を伴う場合には、ステップS103に進み、蛍光発光を伴わない場合には、ステップS104に進む。
【0039】
(ステップS103)
ステップS103では、入射エネルギーに対する透過率の逆数の傾きと蛍光発光強度とに基づいて、蛍光発光を伴う場合の、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照しながら、レーザ損傷閾値を推定する。ここでは、測定された蛍光発光強度に最も近い蛍光発光強度に対応して作成された入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照してレーザ損傷閾値を推定して、より精度の高いレーザ損傷閾値の推定を行う。
【0040】
(ステップS104)
ステップS104では、入射エネルギーに対する透過率の逆数の傾きに基づいて、蛍光発光を伴わない場合の、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照しながら、レーザ損傷閾値を推定する。
【0041】
(ステップS105)
そして、ステップS105で推定した第1波長におけるレーザ損傷閾値を、測定制御部から出力された当該測定領域の位置情報に関連づけて第2推定処理部に出力する。
【0042】
<第2推定処理部14>
第2推定処理部14は、第1推定処理部12から出力される当該測定領域における第1レーザ損傷閾値に基づいて、第1波長における第1レーザ損傷閾値と第2波長における第2レーザ損傷閾値との相関関係データを参照して第2波長における第2レーザ損傷閾値を推定し、当該測定領域の位置情報に関連付けて第2レーザ損傷閾値を出力する。
なお、第1波長における第1レーザ損傷閾値と第2波長における第2レーザ損傷閾値との相関関係は、第2データベース15に記憶されている。
【0043】
<第1データベース>
第1データベース13には、上述したように、(i)蛍光発光を伴う場合の、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関関係と、(ii)蛍光発光を伴わない場合の、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関関係とが記憶されている。
ここで、入射エネルギー強度に対する透過率の変化は、具体的には、入射エネルギーに対して透過率の逆数(1/透過率)をプロットしたときの直線の傾きで表されており、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関関係とは、当該傾きとレーザ損傷閾値との相関関係のことである。
【0044】
以下、入射エネルギー強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関関係についてCaF結晶の場合について説明する。CaF結晶には波長213nmのレーザ光を照射して、透過率の変化とレーザ損傷耐性をそれぞれ評価している。最初に、蛍光発光を伴うCaF結晶の例を説明する。
なお、以下の相関関係は、本発明者等によって初めて見出された知見であり、本発明は、本発明者が見出した新規の知見にあって初めて完成されたものである。
図5は、レーザ損傷閾値が異なる9つのCaF結晶(No.1〜9)についてそれぞれ、入射エネルギーを変化させた時の蛍光発光強度を示している。この図5から明らかなように、どの結晶についても入射エネルギーを増加させるにしたがって、蛍光発光強度は増加している。
【0045】
また、図6は、No.1〜No.9のCaF結晶についてそれぞれ、入射エネルギーを変化させた時の透過率をその透過率の逆数で示したグラフである。図6に示されているように、入射エネルギーが増加するにしたがって透過率の逆数は直線的に大きくなっていて、両者は比例関係にある。したがって、入射エネルギーの増加と透過率の減少は単純な比例関係にはなく非線形関係にあり、透過率の減少は非線形吸収量に起因したものであることがわかる。
【0046】
また、以下に表に示すように、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きが大きいものほど、すなわち非線形吸収量の大きいものほどレーザ損傷閾値は大きくなっており、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きとレーザ損傷閾値の間にも相関がある。
【0047】
【表1】

【0048】
また、図7は、実質的に蛍光発光を伴わないCaF結晶について、入射エネルギーを変化させた時の透過率をその透過率の逆数で示したグラフである。ここでは、レーザ損傷閾値の異なる3つのサンプルA,B,Cについて、入射エネルギーに対する透過率を測定した。3つのサンプルの中で、サンプルAが最もレーザ損傷閾値が低く、サンプルCが最もレーザ損傷閾値が高い。
【0049】
図7に示されているように、いずれのサンプルも入射エネルギーが増加するにしたがって透過率の逆数は直線的に大きくなっていて、両者は比例関係にある。したがって、入射エネルギーの増加と透過率の減少は単純な比例関係にはなく非線形関係にあり、透過率の減少は非線形吸収量に起因したものであることがわかる。
【0050】
透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きが大きいものほど、すなわち非線形吸収量の大きいものほどレーザ損傷閾値は小さくなっており、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きとレーザ損傷閾値の間にも相関がある。したがって、この相関に基づいてレーザ損傷閾値を推定することが可能である。
【0051】
しかしながら、蛍光発光を伴わないCaF結晶では、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きが大きいものほどレーザ損傷閾値は小さくなっており、蛍光発光を伴うCaF結晶では、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きが大きいものほど、レーザ損傷閾値は大きくなっている点で、両者の傾向は全く異なっている。
【0052】
さらに、さまざまな品質のCaF結晶について蛍光発光の有無、非線形吸収量、レーザ損傷閾値の相関関係を以下の表にまとめた。既に述べた様に、蛍光発光を伴うCaF結晶では透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きが大きいものほど、すなわち非線形吸収量の大きいものほどレーザ損傷閾値は大きくなっており、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きとレーザ損傷閾値の間にも相関がある。一方、蛍光発光を伴わないCaF結晶では、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きが大きいものほどレーザ損傷閾値は小さくなっており、蛍光発光を伴うCaF結晶では、透過率の逆数の入射エネルギーに対する傾きが大きいものほど、レーザ損傷閾値は大きくなる。精度良くこれらの相関関係を示す為には、さらに蛍光発光強度を考慮する必要がある。
【0053】
【表2】

【0054】
したがって、本発明では、蛍光発光を伴うCaF結晶における、透過率の逆数の傾きレーザ損傷閾値の相関データと、蛍光発光を伴わないCaF結晶における、透過率の逆数の傾きとレーザ損傷閾値の相関データの2つの異なる相関データを用いてレーザ損傷閾値を推定するようにして、蛍光発光を伴うCaF結晶及び蛍光発光を伴わないCaF結晶の両方のレーザ損傷閾値の推定ができるようにしている。
【0055】
このように、本発明によれば、蛍光発光を伴う光学材料と蛍光発光を伴わない光学材料の異なる2つの相関データを持ち、蛍光発光を伴う光学材料の場合には、蛍光発光量を非線形吸収量の測定が可能な程度まで抑えた状態で透過率を測定することにより、蛍光発光を伴うか否かを問わず、非破壊で測定された透過率に基づいてレーザ損傷閾値を求めることが可能になった。
【0056】
<第2データベース>
第2データベース15は、第2推定処理部14に接続されており、第1波長における第1レーザ損傷閾値と第2波長における第2レーザ損傷閾値との相関関係が記憶されている。この相関データは、測定対象である光学材料(例えば、CaF結晶)について、破壊測定によって求めた第1波長における第1レーザ損傷閾値と破壊測定によって求めた第2波長における第2レーザ損傷閾値をデータベース化したものである。
【0057】
図8には、213nm波長のレーザ光によるレーザ破壊閾値と193nm波長のレーザ光によるレーザ破壊閾値との相関を示すグラフである。このような相関を示すデータに基づいて、上述のようにして非破壊で求めた213nm波長レーザ光に対する第1レーザ損傷閾値を基に、193nm波長のレーザ光によるレーザ破壊閾値を推定することができ、その結果、193nm波長のレーザ光によるレーザ破壊閾値を非破壊で求めることが可能になる。
【0058】
この図8に示した相関を用いると、非線形吸収の発生が可能で取り扱いが容易で安価な213nm紫外レーザ光により非破壊で測定した透過率に基づいて、213nm紫外レーザ光に対するレーザ損傷閾値と193nmレーザ光に対するレーザ損傷閾値とを求めることができる。このように、213nm紫外レーザ光に対するレーザ損傷閾値だけではなく、193nmレーザ光に対するレーザ損傷閾値も非破壊で求めることが可能になり、リソグラフィー露光波長は193nmに達している現在では、技術的意義は大きい。
【0059】
以上の説明では、CaF結晶の例により、213nm紫外レーザ光により非破壊で測定した透過率に基づいて、213nm紫外レーザ光に対するレーザ損傷閾値と193nmレーザ光に対するレーザ損傷閾値とを求めることができることを示した。
しかしながら、本発明は、CaF結晶における特定の波長(213nm紫外レーザ光及び193nmレーザ光)に対するレーザ損傷閾値を求める方法及び装置に限定されるものではない。
【0060】
例えば、特許文献1(特開2005−114720号公報)に示されているように、一般的に、光学材料は、その光学材料に特有の透過限界波長に関係づけられた特定の範囲の波長のレーザ光が所定の範囲のエネルギー密度で照射されると、2光子吸収に起因した非線形吸収により透過率の変化が生じ、その透過率の変化はレーザ損傷耐性と相関がある。また、多くの光学材料において、蛍光発光を伴うことも確認されており、その蛍光発光の有無及び蛍光発光強度により透過率の変化とレーザ損傷耐性と相関が異なったものになることは明らかである。
【0061】
したがって、本発明に係る技術的思想に基づいて、光学材料に固有の透過率の変化とレーザ損傷耐性と相関関係をデータベース化することにより、各種光学材料のレーザ損傷耐性の非破壊測定が可能になる。
【0062】
以上の説明から明らかなように、本明細書における第1波長のレーザ光は、特定の範囲内のエネルギー密度で光学材料に照射することにより2光子吸収に起因した非線形吸収を生じさせ得る波長範囲のレーザ光として定義され、光学材料によってその波長範囲は異なる。
【0063】
光学材料にレーザ光を照射して2光子吸収を発生させる場合、照射するレーザ光の波長は光学材料の透過限界波長よりも長く透過限界波長の5倍以下の波長を有することが好ましい。さらに、パルス幅が10−18s以上10−7s以下であるパルスレーザ光であれば、光学材料内のエネルギー密度を増大させて2光子吸収を発生させ、入射レーザ光の透過率を測定することで2光子吸収に起因する透過率低下を求めることができる。
たとえば、非線形光学結晶であるCLBO結晶に対しては、紫外領域のパルスレーザ光(266nm以下)を集光照射することにより、CLBO結晶中に二光子吸収をより容易に発生させることができる。
石英ガラスでは、波長266nm光のレーザ光の照射では2光子吸収に起因する透過率低下は顕著には観察できず、波長213nmであれば透過率の変化とレーザ損傷耐性と相関関係が確認できた。結晶材料に比べガラス材料では材料内の欠陥、不純物密度等が引く場合があり、その場合は照射するレーザ光のフォトンエネルギーを通常より高くする必要があり、波長が短いレーザ光の照射が不可欠である。
またたとえばCaF結晶に対しては、波長213nmのパルスレーザ光の照射で透過率の変化とレーザ損傷耐性と相関関係が確認できているが、波長860nmのフェムト秒レーザで二光子吸収を発生させレーザ損傷閾値を測定するといったことも可能である。
【0064】
以上の実施の形態では、集光レンズユニット2の焦点距離を調整(短く)することにより、測定領域外における蛍光発光を相対的に抑えて、測定領域における非線形吸収量に起因した透過率の測定を可能にした。
しかしながら、本発明では、図9に示すように2つのレーザ光を測定領域において重ね合わせるようにして、測定領域における2光子吸収に起因した非線形吸収量を増加させ、その測定領域外では2つのレーザ光が重ならないように、レーザパルス幅、及びタイミングを調整して、測定領域外における蛍光発光量を抑えるようにしてもよい。
【0065】
すなわち、図9に示す構成では、2つのレーザ光源と2つの透過光検出器3a,3bを備え、各レーザ光源から出射された2つのレーザ光La,Lbがそれぞれ対応する集光レンズユニット(図示せず)を介して異なる方向から光学材料7に入射される。この構成において、2つのレーザ光源は、光源から出射された光が光学材料の測定領域に至るまでの光路長を考慮して、2つのレーザパルスが測定領域において重なるように、パルス発生タイミングが光学測定制御部によって制御され、各レーザ光La,Lbに対応して設けられた透過光検出器3a,3bが、パルス発生タイミングに合わせて、各レーザ光La,Lbに対する透過率を検出する。
なお、この図9に示す構成において、測定領域は、照射されるパルスレーザのパルス幅及び集光レンズユニットによって集光されるビーム径に基づいて決定される。
【0066】
本構成においては、パルス周期及びデューティ比を同一に設定して、同一測定領域において複数回レーザパルスを照射して、それぞれ透過率を測定することが好ましく、これによってより精度の高い透過率測定が可能になる。
【0067】
以上のように光学測定部が構成されたレーザ損傷耐性推定装置では、測定領域以外の領域における蛍光発光の影響を受けることなく、透過率測定が可能になり、より高い精度で透過率を測定でき、高い精度でレーザ損傷耐性を推定できる。
【0068】
以上の説明では、2つのレーザ光源を備えて、各レーザ光源から出射された2つのレーザ光La,Lbを使用する例で説明したが、1つのレーザ光源から出射したレーザ光を分割して用いるようにしてもよい。
【0069】
以上の実施形態では、具体的な好ましい例について説明したが、本発明に係るレーザ損傷耐性推定方法及び装置は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上の本発明に係るレーザ損傷耐性推定方法及び装置によれば、非破壊でレーザ損傷耐性を評価することが可能であることから製造された光学材料の品質保証が可能となり、高品質の光学材料を用いて構成された信頼性の高いレーザシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る実施の形態のレーザ損傷耐性推定装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の光学測定部10の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の光学測定制御部11における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図1の第1推定処理部12における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】蛍光発光を伴うCaF結晶について、入射エネルギーに対する蛍光発光強度を示すグラフである。
【図6】蛍光発光を伴うCaF結晶について、入射エネルギーに対する透過率を示すグラフである。
【図7】蛍光発光を伴わないCaF結晶について、入射エネルギーに対する透過率を示すグラフである。
【図8】CaF結晶について、213nmレーザ光に対するレーザ損傷閾値と193nmレーザ光に対するレーザ損傷閾値の相関を示すグラフである。
【図9】本発明の変形例に係るレーザ損傷耐性推定装置におけるレーザ光の照射方法を模式的に示す模式図である。
【符号の説明】
【0072】
1 レーザ光源、2 集光レンズユニット、3,3a,3b 透過光検出器、4 発光検出器、5 パワーモニタ、6 ビームスプリッタ、7 光学材料、10 光学測定部、11 光学測定制御部、12 第1推定処理部、13 第1データベース、14 第2推定処理部、15 第1データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学材料に第1波長のレーザ光を照射して蛍光発光を観測することを含む予備測定ステップと、
上記光学材料の一部である測定領域に2光子吸収を生じさせつつ照射強度を変化させて、当該測定領域における照射強度に対する透過率の変化を測定する測定ステップと、
上記照射強度に対する透過率の変化に基づいて、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第1推定ステップと、を含むことを特徴とする光学材料のレーザ損傷耐性推定方法。
【請求項2】
上記第1推定ステップにおいて、
上記照射強度に対する透過率の変化に基づいて、蛍光発光が観測されたときには、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定し、蛍光発光が観測されなかったときには、予め求められた蛍光発光を伴わない場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する請求項1記載の光学材料のレーザ損傷耐性推定方法。
【請求項3】
上記予備測定ステップは、上記第1波長のレーザ光を異なる強度で上記光学材料に照射して、照射強度に対する透過率の変化に基づいて上記光学材料の一部に発生させた2光子吸収に起因する非線形吸収量の評価が可能であるか否か判断するステップと、非線形吸収量の評価が可能になるように、上記非線形吸収量を増加させる一方蛍光を抑える調整ステップとをさらに含む請求項1又は2に記載の光学材料のレーザ損傷耐性推定方法。
【請求項4】
上記予備測定ステップの後に、2光子吸収が発生した上記一部を測定領域として上記光学材料を複数の測定領域に分割するステップを含み、その複数の測定領域について順次前記測定ステップと前記第1推定ステップを繰り返す請求項3記載の光学材料のレーザ損傷耐性推定方法。
【請求項5】
上記推定された第1波長におけるレーザ損傷耐性に基づいて、予め求められた第1波長におけるレーザ損傷耐性と第2波長におけるレーザ損傷耐性の相関データを参照して第2波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第2推定ステップをさらに含む請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の光学材料のレーザ損傷耐性推定方法。
【請求項6】
第1波長のレーザ光を発生する少なくとも1つのレーザ光源と、該レーザ光源から出射される上記レーザ光を集光して光学材料に照射する光学システムと、上記光学材料を透過するレーザ光の強度を測定する透過光検出器と、照射された上記レーザ光による蛍光を検出する発光検出器と、を含む光学測定装置と、
上記光学材料内の一部である測定領域に照射されるエネルギー密度を向上させて当該測定領域に2光子吸収を生じさせ、上記光学材料内における上記測定領域以外に照射されるエネルギー密度を減少させるように上記光学システムを制御して上記光学試料の蛍光発光を抑制した状態で上記レーザ光源の発光強度を変化させる光学測定制御装置と、
上記透過光検出器によって検出された上記レーザ光の強度と上記レーザ光源の発光強度とに基づいて上記測定領域に照射されるレーザ光の照射強度に対する透過率の変化を算出し、その算出された透過率の変化に基づいて、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照しながら上記第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第1推定装置と、を有してなる光学材料のレーザ損傷耐性推定装置。
【請求項7】
上記第1推定装置は、
上記照射強度に対する透過率の変化に基づいて、蛍光発光が観測されたときには、予め求められた蛍光発光を伴う場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定し、蛍光発光が観測されなかったときには、予め求められた蛍光発光を伴わない場合の照射強度に対する透過率の変化とレーザ損傷耐性の相関データを参照して第1波長におけるレーザ損傷耐性を推定する請求項6記載の光学材料のレーザ損傷耐性推定装置。
【請求項8】
上記光学測定装置は、上記光学測定制御装置の制御にしたがって上記光学材料又は上記光学システムを移動させるステージを含む請求項6又は7記載の光学材料のレーザ損傷耐性推定装置。
【請求項9】
上記推定された第1波長におけるレーザ損傷耐性に基づいて、予め求められた第1波長におけるレーザ損傷耐性と第2波長におけるレーザ損傷耐性の相関データを参照して第2波長におけるレーザ損傷耐性を推定する第2推定装置をさらに含む請求項6〜8のうちのいずれか1つに記載の光学材料のレーザ損傷耐性推定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−36706(P2009−36706A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202904(P2007−202904)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(503420833)学校法人常翔学園 (62)
【Fターム(参考)】