説明

光学活性環状アルコール化合物及びその製法

【課題】医薬化合物の合成中間体として有用な光学活性環状アルコール化合物(光学活性4−ヒドロキシテトラヒドロキノリン化合物)及びその製法の提供。
【解決手段】一般式[II]:


〔式中、Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。〕で示される環状ケトン化合物を、(A)光学活性オキサザボロリジン類化合物及び水素化ホウ素類化合物の存在下、或いは(B)遷移金属化合物と不斉配位子とから得られる不斉遷移金属錯体と水素供与体との存在下で不斉還元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化合物の合成中間体として有用な光学活性環状アルコール化合物(光学活性4−ヒドロキシテトラヒドロキノリン化合物)及びその製法に関する。更に本発明は、当該光学活性アルコール類化合物を用いることからなる光学活性ナフタレン化合物の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、分子内に不斉中心を有する医薬化合物は、目的とする薬理活性及び副作用等の観点から、ラセミ体ではなく、光学活性体の形で使用することが望ましい。cAMP特異的ホスホジエステラーゼ(PDE4)阻害活性を有し、抗喘息薬等として有用であることが知られている一般式[A−2]:
【化1】


で示されるラセミ型ナフタレン化合物(特許文献1)もその分子内に1個の不斉炭素原子を有していることから、光学活性体として臨床使用に供することが望ましいと考えられる。当該化合物[A−2]は、式[B−1]:
【化2】


で示される化合物と式[B−2]:
【化3】


で示される4(1H)−キノリノン化合物とを反応させた後、該反応生成物を水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより取得できることは知られているが(特許文献1)、対応する光学活性体自体及びその製法(ラセミ体の光学分割方法、不斉合成方法等)については、何ら報告されていない。
【0003】
合成化学的見地から、化合物[A−2]の光学活性体を製造するに際しては、化合物[B−2]に代えて、一般式[Ib]:
【化4】


〔式中、Zは水酸基の保護基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性環状アルコール化合物(光学活性テトラヒドロキノリン化合物)を合成中間体として使用する方法が考えられる。しかしながら、当該光学活性環状アルコール化合物は、それ自体が新規化合物であり、無論、その製造方法についても、これまで報告されていない。このような状況のもとでは、上記光学活性環状アルコール化合物を用いた化合物[A−2]の光学活性体製法を確立する為には、上記の光学活性環状アルコール化合物を高い光学純度で収率良く製造する方法の開発が必要となる。
【0004】
一般的に、光学活性アルコール化合物の製造法としては、例えば、対応するプロキラルなケトン化合物を(1)光学活性オキサザボロリジン類化合物(CBS触媒)存在下で不斉還元する方法(非特許文献1および2)、(2)遷移金属化合物と不斉配位子とから得られる不斉遷移金属錯体の存在下で不斉還元する方法(非特許文献3)、或いは(3)リパーゼを用いて不斉アシル化する方法(非特許文献4)等が想定され得る。しかし、これまでのところ、テトラヒドロキノリノンのような、カルボニル炭素とヘテロ原子(窒素原子)とを同一環内に含有する環状ケトン化合物に関しては、上記の如き不斉還元もしくは不斉アシル化法の適用可能性を検討した報告はなされていない。
【0005】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、CBS触媒等の不斉還元触媒を用いることにより、環状ケトン化合物[II]から対応する光学活性アルコール化合物[I]を高い光学純度で収率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第748805号(第2頁参照)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】E.J.Coreyら、Journal of The American Chemical Society,Vol.109,pp.7925−7926(1987)(第7925頁参照)
【非特許文献2】G.J.Quallichら,Tetrahedron Letters,Vol.34,No.5,pp.785−788(1993)(第785頁参照)
【非特許文献3】S.Hshiguchiら、Journal of the American Chemical Society,Vol.117,pp.7562−7563(1995)(第7562頁参照)
【非特許文献4】J.Uenishiら,Journal of Organic Chemistry Vol.63,pp.2481−2487(1998)(第2482頁左欄18〜25行目参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光学活性ナフタレン化合物等の医薬化合物の合成中間体として有用な光学活性環状アルコール化合物(光学活性1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリノール化合物)を工業的有利に製造する方法及び当該化合物を提供するものである。また、本発明は当該光学活性合成中間体を用いた光学活性ナフタレン化合物の製法及び当該化合物をも提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一般式[II]:
【化5】


〔式中、Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。〕
で示される環状ケトン化合物を、(A)光学活性オキサザボロリジン類化合物(CBS触媒)及び水素化ホウ素類化合物の存在下、或いは(B)遷移金属化合物と不斉配位子とから得られる不斉遷移金属錯体と水素供与体との存在下で不斉還元することを特徴とする一般式[I]:
【化6】


〔式中、Rは前記と同一意味を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性環状アルコール化合物の製法に関する。
本発明はまた、一般式[S−I]:
【化7】


〔式中、Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。〕
又は、一般式[R−I]:
【化8】


で示される光学活性環状アルコール化合物又はその塩に関する。
【0010】
また、本発明は、光学活性環状アルコール化合物[I]を用いる一般式[A]:
【化9】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性ナフタレン化合物の製法に関する。
本発明の一局面は、下記工程(a)乃至(c):
(a)一般式[Ib]:
【化10】


〔式中、Zは水酸基の保護基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される化合物と一般式[III]:
【化11】


〔式中、RaおよびRbは、同一または異なって、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表す。〕
で示される化合物とを反応させることにより、一般式[IV]:
【化12】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性ナフタレン化合物を得る工程;
(b)化合物[IV]を還元して、一般式[V]:
【化13】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性2,3−ビスヒドロキシメチルナフタレン化合物を得る工程;及び
(c)化合物[V]から水酸基の保護基Zを除去する工程;
からなる一般式[A]:
【化14】


で示される光学活性ナフタレン化合物の製法である。
本発明はさらに、一般式[A]:
【化15】


〔式中、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性ナフタレン化合物、その水和物、またはその薬理的に許容し得る塩に関する。
本発明の一実施形態は、1−[2−[(4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン、その水和物、またはその薬理的に許容し得る塩である。
本発明の別の実施形態は、1−[2−[(4R)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン、その水和物、またはその薬理的に許容し得る塩である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、優れたPDE4阻害作用を有する光学活性ナフタレン化合物[A]等の医薬化合物の合成中間体として有用な光学活性環状アルコール化合物(光学活性4−ヒドロキシテトラヒドロキノリン化合物)を工業的有利に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の原料化合物(基質化合物)である環状ケトン化合物[II]において、Rがアミノ基の保護基である場合、当該保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基の如きアリール低級アルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基又はtert−ブトキシカルボニル基の如き低級アルコキシカルボニル基、或いはアセチル基又はトリフルオロアセチル基の如きハロゲン置換基を有していてもよい低級アルカノイル基等があげられ、このうち、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
【0013】
(A法)
オキサザボロリジン類化合物による環状ケトンの不斉還元
本発明で使用するオキサザボロリジン類化合物は、水素化ホウ素類化合物から基質(ケトン類化合物)のカルボニル炭素への立体選択的な水素移動(hydride transfer)を触媒する能力を有する1,3,2−オキサザボロリジン誘導体(以下、CBS触媒ということがある)を意味する。このようなオキサザボロリジン類化合物としては、例えば、下記一般式[a]:
【化16】


〔式中、Rは低級アルキル基又はフェニル基を表し、Phはフェニル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される化合物(Tetrahedron Letters,Vol.34,No.5,pp.785−788(1993))等があげられる。好ましい一般式[a]の化合物としては、例えば、一般式[R−a]:
【化17】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される化合物、及び一般式[S−a]:
【化18】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される化合物が挙げられる。
【0014】
上記化合物[a]の具体例としては、Rがメチル基、ブチル基、フェニル基等である化合物等があげられ、このうち、下式で示される(R)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジンまたは(S)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジンが好ましい。
【化19】

【0015】
本発明によれば、CBS触媒(オキサザボロリジン類化合物)を使い分けることにより、両光学活性アルコール化合物を容易に得ることができる。例えば、(R)−オキサザボロリジン類化合物[R−a]を用いて化合物[II]を水素化することにより、光学活性(4S)−アルコール化合物[I]を得ることができ、一方、(S)−オキサザボロリジン類化合物[S−a]を用いて化合物[II]を水素化することにより、光学活性(4R)−アルコール化合物[I]を得ることができる。
【0016】
水素化ホウ素類化合物としては、例えば、ジボラン、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、ボラン−1,4−オキサチアン錯体、ボラン−ジメチルアニリン錯体、ボラン−ジエチルアニリン錯体、ボラン−4−フェニルモルホリン錯体又はカテコールボラン等があげられ、このうち、ボラン−テトラヒドロフラン錯体又はボラン−ジメチルスルフィド錯体が好ましい。
【0017】
CBS触媒と水素化ホウ素類化合物とを用いた環状ケトン化合物[II]の不斉還元反応は、適当な溶媒中又は無溶媒で実施することができる。
【0018】
本反応を実施するに際しては、オキサザボロリジン類化合物(例えば、化合物[a])、水素化ホウ素類化合物及び環状ケトン化合物[II]を同時に反応系に添加してもよく、またオキサザボロリジン類化合物と水素化ホウ素類化合物とから予め錯体を調製した後、これに環状ケトン化合物[II]を添加してもよい。
【0019】
溶媒としては、不斉還元反応に影響を及ぼさないものであればよく、このような溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等があげられる。
【0020】
CBS触媒の量は、環状ケトン化合物[II]に対して0.001〜3当量、好ましくは0.01〜0.3当量である。水素化ホウ素類化合物の使用量は、環状ケトン化合物[II]に対して0.1〜10当量、好ましくは0.5〜3当量である。
【0021】
本不斉還元反応は−20〜60℃、好ましくは0〜40℃で実施することができる。
本不斉還元反応時間は、反応条件によっても異なるが、1〜24時間、好ましくは2〜3時間である。
【0022】
(B法)
不斉遷移金属錯体による環状ケトンの不斉還元
本発明で使用する不斉遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属化合物と不斉配位子とから得られる錯体であって、水素供与体存在下で環状ケトン類化合物[II]の水素移動型不斉還元(asymmetric transfer hydrogenation)を触媒する能力を有する錯体を使用することができる。
【0023】
不斉遷移金属錯体を調製するための遷移金属化合物としては、例えば、遷移金属−アレーン錯体、遷移金属−オレフィン錯体、遷移金属−カルボニル錯体等があげられる。当該化合物における金属種としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、コバルト等があげられ、このうち、ルテニウムが好ましい。具体的な遷移金属化合物としては、例えば、テトラクロロビス(ベンゼン)二ルテニウム([RuCl(C)])、テトラクロロビス(p−シメン)二ルテニウム([RuCl(C1014)])、テトラクロロビス(ヘキサメチルベンゼン)二ルテニウム([RuCl(C1218)])、テトラクロロビス(メシチレン)二ルテニウム([RuCl(C12)])、テトラクロロビス(安息香酸エチル)二ルテニウム([RuCl(C10)])、テトラブロモビス(ベンゼン)二ルテニウム([RuBr(C)])、テトラブロモビス(p−シメン)二ルテニウム([RuBr(C1014)])、テトラブロモビス(メシチレン)二ルテニウム([RuBr(C12)])、テトラヨードビス(ベンゼン)二ルテニウム([RuI(C)])、テトラヨードビス(p−シメン)二ルテニウム([RuI(C1014)])又はテトラヨードビス(メシチレン)二ルテニウム([RuI(C12)])の如きルテニウム−アレーン錯体等があげられる。
【0024】
不斉遷移金属錯体を調製するための不斉配位子としては、例えば、下記一般式[b]:
【化20】


〔式中、R及びRはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を表すか、或いは両者が結合して環式基を形成し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、アシル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、チオアシル基、置換基を有していてもよいチオカルバモイル基、置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性アルキレンジアミン化合物等があげられる。
【0025】
一般式[b]において、R及びRとしては、メチル基、クロルメチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基の如き置換基を有していてもよい低級アルキル基;フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基又は4−メトキシフェニル基の如き置換基を有していてもよいアリール基;フリル基又はピリジル基の如き置換基を有していてもよい芳香族複素環式基;或いは両者が互いに結合してテトラエチレン基(これらの基は低級アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)及びハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)から選ばれる1以上の基で更に置換されていてもよい)の如き環式基等を表し、R及びRは、独立して、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基の如き低級アルキル基;アセチル基、プロピオニル基又はベンゾイル基の如きアシル基;カルバモイル基、メチルカルバモイル基又はフェニルカルバモイル基の如き置換基を有していてもよいカルバモイル基;チオアセチル基、チオプロピオニル基又はチオベンゾイル基の如きチオアシル基;チオカルバモイル基、メチルチオカルバモイル基又はフェニルチオカルバモイル基の如き置換基を有していてもよいチオカルバモイル基;メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基又はエタンスルホニル基の如き置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2,4,6−メシチルスルホニル基、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、4−メトキシベンゼンスルホニル基、4−クロロベンゼンスルホニル基又は2−ナフチルスルホニル基の如き置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表す。
【0026】
上記不斉配位子(化合物[b])のうち、R及びRの一方が水素原子又は低級アルキル基で、他方が置換基を有していてもよいアリールスルホニル基である化合物が好ましい。
【0027】
より好ましい化合物[b]としては、例えば下記一般式[b1]:
【化21】


〔式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、低級アルキル基、ハロゲン原子及び低級アルコキシ基から選ばれる1乃至5個の基で置換されていてもよいベンゼン環を表し、R41は水素原子又は低級アルキル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性アルキレンジアミン化合物があげられる。
【0028】
上記光学活性ジアミン化合物の具体例としては、例えば、(S,S)−もしくは(R,R)−N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン;(S,S)−もしくは(R,R)−N−メチル−N’−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン;(S,S)−もしくは(R,R)−N−p−メトキシフェニルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン;(S,S)−もしくは(R,R)−N−p−クロロフェニルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン;(S,S)−もしくは(R,R)−N−p−メシチルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン;又は(S,S)−もしくは(R,R)−N−(2,4,6−トリ−イソプロピルフェニル)スルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン等があげられる。
【0029】
上記不斉配位子のうち、(S,S)−もしくは(R,R)−N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン〔(S,S)−もしくは(R,R)−TsDPEN〕が好ましい。
本発明によれば、不斉配位子を使い分けることにより、両光学活性アルコール化合物を容易に得ることができる。例えば、(S,S)−N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミンを用いることにより、光学活性(4S)−アルコール化合物[I]を得ることができ、一方、(R,R)−N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミンを用いることにより、光学活性(4R)−アルコール化合物[I]を得ることができる。
【0030】
上記不斉遷移金属錯体は、公知方法、例えば、Journal of the American Chemical Society,Vol.117,pp.7562−7563(1995)記載の方法等に従って製することができる。この際、例えば、ルテニウム−アレーン錯体化合物と光学活性ジアミン化合物[b1]とを用いることにより、下記一般式[C]:
【化22】


〔式中、Yはハロゲン原子を表し、Arは置換されていてもよいアリール基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。〕
で示される不斉遷移金属錯体を得ることができる。
【0031】
上記一般式[C]において、Yで示されるハロゲン原子としては塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等があげられる。また、Arが置換されたアリール基である場合、当該アリール基としては、例えば、1乃至6個の低級アルキル基で置換されたフェニル基等があげられる。
【0032】
上記の如くして得られる不斉遷移金属錯体による環状ケトン化合物[II]の不斉還元反応は、水素供与体の存在下、塩基の存在下又は不存在下、適当な溶媒中又は無溶媒で実施することができる。
【0033】
本不斉還元反応を実施するに際しては、上記のように、予め不斉遷移金属錯体を形成させた後、これに環状ケトン化合物[II]を添加するのが好ましいが、遷移金属化合物、不斉配位子及び環状ケトン化合物[II]を反応系内に同時に添加してもよい。
【0034】
水素供与体としては、例えば、α位に水素原子を有する低級アルカノール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール等)或いはギ酸類化合物(ギ酸、ギ酸エステル、ギ酸アンモニウム等)があげられ、このうち、イソプロパノールが好ましい。
【0035】
塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの如き水酸化アルカリ金属、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド又はカリウムイソプロポキシドの如きアルカリ金属アルコキシド、トリメチルアミンまたはトリエチルアミンの如き有機アミン類があげられる。
【0036】
上記本発明の不斉還元方法においては、前述した水素供与体(低級アルカノール等)が溶媒としても機能する為、特に他の溶媒を使用する必要はないが、使用するとすれば、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン等があげられる。
【0037】
本不斉還元反応における不斉遷移金属錯体の量は、環状ケトン化合物[II]に対して0.005〜1当量、好ましくは0.01〜0.1当量である。水素供与体の使用量は、環状ケトン化合物[II]に対して1〜1000当量、好ましくは5〜300当量である。塩基の使用量は、化合物[II]に対して0.1〜5当量、好ましくは0.3〜1当量である。
【0038】
本反応は−20〜80℃、好ましくは0〜50℃で実施することができる。
本不斉還元反応時間は、反応条件によっても異なるが、3〜24時間、好ましくは15〜20時間である。
【0039】
本発明に係る不斉還元反応における目的物(光学活性環状アルコール化合物)の分離・精製は、慣用の手法に従って実施することができる。例えば、CBS触媒を用いる不斉還元の場合、必要に応じて反応液に水、塩酸等を添加して触媒を不活性化した後、適当な溶媒(酢酸エチル、トルエン等)で反応生成物を抽出・濃縮し、得られる残さを、最少量のクロロホルム等の溶媒に溶解し、カラムクロマトグラフィーするか、または適当な溶媒中で結晶化することにより、目的の光学活性アルコール化合物を得ることができる。不斉遷移金属錯体を用いる不斉還元の場合においても、例えば、同様の手法に従って目的の光学活性アルコール化合物を得ることができる。
本発明により得られる光学活性アルコール化合物としては、例えば、一般式[S−I]:
【化23】


〔式中、Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。〕
又は、一般式[R−I]:
【化24】


で示される光学活性環状アルコール化合物又はその塩が挙げられる。好ましくは、Rは水素原子又はベンジルオキシカルボニル基である。
【0040】
上記分離・精製操作は、必要に応じ、アルコール化合物[I]の4位水酸基に予め適当な保護基を導入した後に実施してもよい。4位水酸基の保護基としては、例えば、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフルオロアセチル基、トリエチルシリル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、アセチル基などがあげられ、とりわけ、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましい。また、4位水酸基への保護基導入に続き、1位の保護基を常法により除去した後に、反応生成物を分離・精製することもできる。1位の保護基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基の如きアリール低級アルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基又はtert−ブトキシカルボニル基の如き低級アルコキシカルボニル基、或いはアセチル基又はトリフルオロアセチル基の如きハロゲン置換基を有していてもよい低級アルカノイル基等があげられ、このうち、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
【0041】
上記の如くして得られる光学活性環状アルコール化合物[I]を用い、例えば、以下の如くして光学活性ナフタレン化合物[A]を製することができる。
【0042】
即ち、化合物[A]は、
(i)光学活性環状アルコール化合物[I]の4位水酸基に保護基を導入することにより一般式[Ia]:
【化25】


〔式中、Zは水酸基の保護基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。〕
で示される化合物を製し;
(ii)化合物[Ia]の1位置換基(R)がアミノ基の保護基である場合、当該保護基を除去することにより一般式[Ib]:
【化26】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性テトラヒドロキノリン化合物を製し;
(iii)化合物[Ib]と一般式[III]:
【化27】


〔式中、RaおよびRbは、同一または異なって、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表す。〕
で示される化合物とを反応させることにより一般式[IV]:
【化28】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性ナフタレン化合物を製し;
(iv)化合物[IV]を還元して一般式[V]:
【化29】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性2,3−ビスヒドロキシメチルナフタレン化合物を製し;次いで
(v)化合物[V]から水酸基の保護基Zを除去することにより製することができる。
上記のカルボキシル基の保護基としては、例えば、低級アルキル基などがあげられる。
【0043】
工程(i): 光学活性環状アルコール化合物[I]の4位水酸基への保護基(Z)導入は、慣用の手法に従って実施することができる。例えば、当該保護基としてtert−ブチルジメチルシリル基を有する化合物[Ia]は、4位が水酸基である化合物[I]とtert−ブチルジメチルシリルハライド(例えば、tert−ブチルジメチルシリルクロリド)とを適当な溶媒中(N,N−ジメチルホルムアミド等)、塩基(イミダゾール等)の存在下で、0℃〜50℃で、30分間〜3時間反応させることにより、反応させることにより製することができる。
【0044】
工程(ii): 化合物[Ia]の1位がアミノ基の保護基である場合、当該保護基の除去は慣用の手法に従って実施することができる。例えば、当該保護基としてベンジルオキシカルボニル基を有する化合物[Ia]からの保護基の除去は、当該化合物を、触媒(パラジウム炭素等)の存在下、適当な溶媒中(エタノール等)、水素雰囲気(1気圧〜3気圧)、0℃〜50℃で、30分間〜3時間の条件で接触水素添加反応に付すことにより実施することができる。
また、当該保護基としてtert−ブトキシカルボニル基を有する化合物[Ia]からの保護基の除去は、当該化合物を、適当な溶媒中(エーテル等)、酸(塩酸等)と0℃〜50℃で、30分間〜3時間反応することにより実施することができ、当該保護基としてアセチル基またはトリフルオロアセチル基を有する化合物[IV]からの保護基の除去は、当該化合物を、適当な溶媒中(含水エタノール等)、塩基(水酸化ナトリウム等)と0℃〜50℃で、30分間〜3時間加水分解することにより実施することができる。
【0045】
工程(iii): 化合物[Ib]と化合物[III]との反応は、例えば、溶媒中、パラジウム触媒、塩基及びホスフィン配位子の存在下で実施することができる。化合物[Ib]としては、例えば、下記一般式[S−Ib]:
【化30】


〔式中、Zはtert−ブチルジメチルシリル基を表す。〕
化合物、または下記一般式[R−Ib]:
【化31】


〔式中、Zはtert−ブチルジメチルシリル基を表す。〕
化合物が挙げられる。溶媒は、本反応に影響を与えないものであればよく、このような溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、1−ブタノール、アセトニトリル、もしくはこれらの混合溶媒等があげられる。パラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ニパラジウム、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド等があげられる。塩基としては、例えば、ナトリウムtert−ブトキシドの如きアルカリ金属低級アルコキシド、炭酸セシウム、炭酸カリウムの如き無機塩基等があげられる。ホスフィン配位子としては、例えば、トリ−(tert−ブチル)ホスホニウム−テトラフルオロボレート、ジ−(tert−ブチル)ホスホニウム−テトラフルオロボレート、トリ−(n−ブチル)ホスホニウム−テトラフルオロボレート、トリ−(tert−ブチル)ホスフィン等があげられる。
【0046】
化合物[Ib]の使用量は、化合物[III]に対して1.0〜2.0当量、好ましくは1.1〜1.5当量である。パラジウム触媒の使用量は、化合物[Ib]又は化合物[III]に対して0.01〜1当量、好ましくは0.02〜0.2当量である。塩基の使用量は、化合物[Ib]又は化合物[III]に対して0.5〜5当量、好ましくは1〜2当量である。ホスフィン配位子の使用量は、化合物[Ib]又は化合物[III]に対して0.01〜0.5当量、好ましくは0.02〜0.1当量である。
【0047】
本反応の反応温度は、25〜150℃、好ましくは80〜120℃であり、反応時間は、反応条件によっても異なるが、通常10分間〜8時間であり、好ましくは、30分間〜6時間である。
【0048】
工程(iv): 化合物[IV]の還元は、溶媒中、還元剤の存在下で実施することができる。溶媒は、本反応に影響を与えないものであればよく、このような溶媒としては、例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、もしくはこれらの混合溶媒等があげられる。還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化リチウムアルミニウムの如き金属水素化物等があげられる。還元剤の使用量は、化合物[IV]に対して1〜30当量、好ましくは5〜20当量である。
【0049】
本反応の反応温度は、0〜60℃、好ましくは15〜40℃であり、反応時間は、反応条件によっても異なるが、通常10分間〜8時間であり、好ましくは、30分間〜5時間である。
【0050】
工程(v): 化合物[V]からの保護基Zの除去は、当該保護基の種類に応じて、上記工程(ii)におけるアミノ基の保護基の除去反応と同様に、加水分解(当該保護基がアセチル基である場合)、酸処理(当該保護基が、トリエチルシリル基またはtert−ブトキシカルボニル基である場合)、還元(当該保護基がベンジルオキシカルボニル基またはベンジル基である場合)等の常法により実施することができる。また、当該保護基がtert−ブチルジメチルシリル基である場合は、例えば、酢酸中、テトラブチルアンモニウムフルオリドの存在下で反応することにより、当該保護基が容易に除去される。
本発明により、一般式[A]:
【化32】


〔式中、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性ナフタレン化合物、その水和物、またはその薬理的に許容し得る塩を得ることができる。
このような光学活性ナフタレン化合物の1つとしては、1−[2−[(4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン、その水和物、またはその薬理的的に許容し得る塩である。
このような光学活性ナフタレン化合物の1つとしては、1−[2−[(4R)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン、その水和物、またはその薬理的的に許容し得る塩である。
【0051】
尚、本発明における原料化合物[II]は、例えば、Journal of Medicinal Chemistry,Vol.8,pp.566−571(1965)記載の方法に従って製することができる。また、原料化合物[III]は、例えば、欧州特許第748805号記載の方法により製することができる。
【0052】
本明細書において、「低級アルキル」とは炭素数1〜6のアルキル、「低級アルコキシ」とは炭素数1〜6のアルコキシ、「低級アルカノイル」とは炭素数2〜7のアルカノイル、「アリール」とは6〜10員の単環もしくは二環式アリール、「芳香族複素環」とは硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選ばれる1以上の異項原子を含有する5〜10員芳香族複素環を表す。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例1
(1)25℃で4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン5.04gをテトラヒドロフラン20mLに溶解し、該溶液に氷冷下ベンジルオキシカルボニルクロリド5.6mL、水15mL及び炭酸カリウム4.73gを加え、該混合物を25℃で24時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を濃縮し、残さを加熱下でイソプロピルアルコール35mLに溶解した。該溶液を徐冷し、析出晶を氷冷下でろ取した。得られた結晶を冷イソプロピルアルコール25mLで洗浄後、50℃で16時間乾燥することにより、1−ベンジルオキシカルボニル−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン8.98g(収率93%)を得た。
MS(APCI)m/z:282[M+H]
IR(ATR)ν=1708,1683cm−1
H−NMR(CDCl)δ:8.00(dd,J=7.8,1.6Hz,1H),7.82(d,J=8.4Hz,1H),7.51(dt,J=1.6,7.8Hz,1H),7.43−7.34(m,5H),7.19(t,J=7.5Hz,1H),5.29(s,2H),4.25−4.22(m,2H),2.80−2.77(m,2H)
【0055】
(2)(R)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン溶液1.0mL及びテトラヒドロフラン5mLの混合物に25℃で1.0Mボラン・テトラヒドロフラン錯体1.4mLを滴下し、同温で15分間撹拌した。該反応液に上記(1)で得られた化合物281mgのテトラヒドロフラン7mL溶液を5分間かけて滴下した。反応液にメタノール1mLを滴下後、減圧濃縮し、残さにジクロロメタン10mL及びフタル酸塩緩衝液10mL(pH4.0)を加えた。該混合物から水層を除去した後、水を加えた。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製することにより、(4S)−1−ベンジルオキシカルボニル−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン283mg(収率:定量的、光学純度:97%ee)を得た。
MS(APCI)m/z:301[M+H]
IR(ATR)ν=3417,1686cm−1
H−NMR(CDCl)δ:7.87(d,J=8.2Hz,1H),7.42−7.23(m,7H),7.10(dt,J=1.3,7.4Hz,1H),5.27(d,J=12Hz,1H),5.22(d,J=12Hz,1H),4.79(dd,J=9.5,4.6Hz,1H),4.17−4.10(m,1H),3.73−3.65(m,1H),2.14−1.99(m,2H),1.79(d,J=4.9Hz,1H)
【0056】
尚、目的物の光学純度(鏡像体過剰率ee)は、以下の条件で測定した(これ以降の実施例において、別段の記載のない限り、これと同一条件で光学純度を測定した)。
使用カラム:CHIRALPAK AD−H(ダイセル化学)
移動相:エタノール/n−ヘキサン=20/80
【0057】
(3)前記(2)で得られる化合物28.33gのN,N−ジメチルホルムアミド424mL溶液に室温でイミダゾール40.85gおよびtert−ブチルジメチルシリルクロリド45.22gを加え、同温で1時間攪拌した。反応液を濃縮後、残さに酢酸エチル280mLと水140mLを加えて洗浄した。有機層を10%クエン酸水溶液140mL、3%炭酸水素ナトリウム水溶液140mLおよび20%食塩水57mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮することにより、(4S)−1−ベンジルオキシカルボニル−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン39.28g(収率:98.8%)を得た。
【0058】
(4)上記(3)で得られた化合物39.28gのエタノール393mL溶液に窒素雰囲気下パラジウム炭素1.96gを加えた後、水素雰囲気下で4時間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮した。得られる残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=30/1〜20/1)にて精製することにより、(4S)−4−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン14.82g(収率:56.9%、光学純度:98.8%ee)を得た。
[α]28=−128.6゜(メタノール、c=1.10)
H−NMR(CDCl)δ:7.13(d,J=7.7Hz,1H),7.04(t,J=6.9Hz,1H),6.63(t,J=7.4Hz,1H),6.48(d,J=7.7Hz,1H),4.78(t,J=4.4Hz,1H),3.7−3.9(br,1H),3.41−3.45(m,1H),3.24−3.28(m,1H),1.18−1.94(m,2H),0.91(s,9H),0.15(s,3H),0.10(s,3H)
【0059】
尚、目的物の光学純度(鏡像体過剰率ee)は、以下の条件で測定した。
使用カラム:CHIRALCEL OJ−H(ダイセル化学)
移動相:メタノール/n−ヘキサン=1/99
【0060】
実施例2
(R)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン溶液0.5mL及びジクロロメタン3mLの混合物に25℃で1.0Mボラン・ジメチルスルフィド錯体0.07mLを滴下し、同温で15分間撹拌した。該溶液に1−ベンジルオキシカルボニル−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン141mgのジクロロメタン2.5mL溶液を約10分間かけて滴下した。更に、該反応液に1.0Mボラン・ジメチルスルフィド錯体0.07mL及び1−ベンジルオキシカルボニル−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン141mgのジクロロメタン2.5mL溶液を交互に計4回添加した。反応液にメタノール1mLを滴下し、反応液を濃縮した。得られた残さにジクロロメタン10mL及びフタル酸塩緩衝液10mL(pH4.0)を加え、水層を除去した後、水を加えた。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)することにより、(4S)−1−ベンジルオキシカルボニル−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン559mg(収率:99%、光学純度:96%ee)を得た。
MS(APCI)m/z:301[M+NH
【0061】
実施例3
4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン147mgを実施例1(2)と同様に処理することにより、(4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン135mg(収率:90%、光学純度:96%ee)を得た。
MS(ESI)m/z:150[M+H]
IR(ATR)ν=3231cm−1
H−NMR(CDCl)δ:7.21(dd,J=7.4,1.5Hz,1H),7.10−7.05(m,1H),6.67(dt,J=1.0,7.4Hz,1H),6.53(dd,J=7.9,1.0Hz,1H),4.78−4.73(m,1H),3.41(dt,J=3.1,12Hz,1H),3.29−3.23(m,1H),2.06−1.99(m,1H),1.96−1.75(m,2H)
【0062】
尚、目的物の光学純度(鏡像体過剰率ee)は、以下の条件で測定した。
使用カラム:CHIRALCEL OJ−H(ダイセル化学)
移動相:エタノール/n−ヘキサン=10/90
【0063】
実施例4
[RuI(p−シメン)]30.6mg、(S,S)−TsDPEN73.3mgおよびイソプロピルアルコール25mLの混合物を窒素気流下80℃で1時間加熱した。反応液を25℃まで冷却後、1−ベンジルオキシカルボニル−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン281mg、水酸化カリウム28.1mg及びイソプロピルアルコール10mLを順次添加し、該混合物を25℃で23時間撹拌した。反応液に0.1規定塩酸10mLを加えて攪拌後、減圧濃縮し、残さに酢酸エチル10mLを加えた。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製することにより、(4S)−1−ベンジルオキシカルボニル−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン270mg(光学純度99%ee、収率95%)を得た。
【0064】
実施例5
1−ベンジルオキシカルボニル−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(281mg)、[RuCl(ベンゼン)](25.0mg)および(S,S)−TsDPEN(73.3mg)を実施例4と同様に処理することにより、(4S)−1−ベンジルオキシカルボニル−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン244mg(光学純度97%ee、収率86%)を得た。
【0065】
実施例6
(1)1−(2−ブロモ−4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン20.00gのトルエン200mL溶液を減圧下で超音波処理した後、これに室温で酢酸パラジウム975mg、トリ−tert−ブチルホスホニウム テトラフルオロボラート1009mg、(4S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン13.72gおよびナトリウムtert−ブトキシド6.26gを加え、窒素置換後、100℃で4時間攪拌した。放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液100mL、水100mLおよび酢酸エチル100mLを加え、該混合液をセライトでろ過した。セライトを酢酸エチル100mLで洗浄後、有機層を分離した。該有機層を20%食塩水100gで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1〜4/1)で精製することにより、1−[2−[(4S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン22.31g(収率:80%)を得た。
MS(APCI)m/z:643[M+H]
[α]28=−62゜(メタノール、c=1)
【0066】
(2)上記(1)で得られた化合物21.21gのテトラヒドロフラン212mL溶液に室温で水素化ホウ素ナトリウム8.74gを加えた後、60℃でメタノール16.9mLを2時間かけて滴下した。更に該反応液に同温で水素化ホウ素ナトリウム8.74gを加え、メタノール16.9mLを2時間かけて滴下した。放冷後、反応液に20%食塩水212gを加え、酢酸エチル212mLで抽出した。水層を酢酸エチル212mLで抽出し、有機層を合わせて20%食塩水212gで洗浄し、硫酸マグネシウム10.6gで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜2/1)で精製することにより、1−[2−[(4S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン17.86g(収率:92%)を得た。
MS(APCI)m/z:587[M+H]
[α]28=−77゜(メタノール、c=1)
【0067】
(3)上記(2)で得られた化合物17.00gに水浴中で酢酸8.3mLと1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド−テトラヒドロフラン溶液289mLを加え、室温で4時間攪拌した。反応液に更に室温で1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド−テトラヒドロフラン溶液145mLを加え、同温で2時間攪拌した。反応液に6%炭酸水素ナトリウム水溶液と25%食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;クロロホルム/メタノール=99/1〜96/4)で精製することにより、1−[2−[(4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレンの10.4g(収率:72%)を粗生成物として得た。該化合物10.2gのエタノール30.6mL溶液に40℃で水10.6mLを加えた。結晶析出後、更に水306mLを加え、冷却した。析出晶をろ取して水20.6mLで洗浄後、室温で減圧乾燥することにより、1−[2−[(4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル]−4−ピリジル]−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−6,7−ジメトキシナフタレン1.5水和物8.66g(収率:85%、光学純度:99.9%ee)を結晶として得た。
MS(APCI)m/z:493[M+H]
[α]22=−92.2゜(メタノール、c=1)
水分含量:5.35%(カール・フィッシャー法)
H−NMR(CDCl)δ:8.46(t,J=5.3Hz,1H),7.71(d,J=6.6Hz,1H),7.37−7.39(m,2H),7.18(s,1H),7.13(d,J=8.2Hz,1H),7.05−7.10(m,1H),6.85−6.95(m,1H),6.80−6.85(m,1H),6.71(d,J=14.8Hz,1H),4.79−4.93(m,3H),4.58−4.70(m,2H),4.22−4.25(m,1H),4.00(d,J=6.9Hz,3H),3.88−3.99(m,1H),3.78(d,J=17.9Hz,3H),3.03−3.11(br,2H),2.03−2.16(m,3H)
【0068】
尚、目的物の光学純度(鏡像体過剰率ee)は、以下の条件で測定した。
使用カラム:SUMICHIRAL OA−4900(住化分析センター)
移動相:n−ヘキサン/エタノール/テロラヒドロフラン/トリフルオロ酢酸=350/100/50/1
【0069】
参考例
(1)3,4−ジメトキシベンズアルデヒド500gのメタノール2.5L溶液に臭素529gを室温下(必要に応じて冷却下)で1時間かけて滴下し、該混合物を同温で3時間攪拌した。反応液に水2.5Lを滴下し、結晶を析出させた。該結晶懸濁液に室温で20%水酸化ナトリウム水溶液を添加して約pH9〜10に調整した後、冷却した。析出晶をろ取して水洗後、50℃で12時間乾燥することにより、6−ブロモ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒド718.78g(収率:98%)を得た。
【0070】
(2)上記(1)で得られた化合物612.68g、オルトギ酸トリメチル397.88g及びメタノール612mLの懸濁液にp−トルエンスルホン酸4.76gを加え、該混合物を3時間加熱還流した。放冷後、28%ナトリウムメチラート−メタノール溶液2.70gを加え、濃縮した。残さをトルエン1.2Lに溶解後、濃縮し、再度残さをトルエン1.2Lに溶解後、濃縮することにより、6−ブロモ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール762.85g(収率:定量的)を得た。
【0071】
(3)上記(2)で得られた化合物2.91gのテトラヒドロフラン9mL溶液に窒素雰囲気下、ドライアイス−アセトン冷却下で1.6Mn−ブチルリチウムヘキサン溶液6.25mLを滴下し、該混合物を同温で30分撹拌した。反応液に2−ブロモ−4−ホルミルピリジン1.86gのテトラヒドロフラン9mL溶液を滴下し、1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた後、酢酸エチル30mLで抽出した。水層を酢酸エチル30mLで再度抽出し、抽出液を合わせて飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にクロロホルム100mLを加えて粉末化し、減圧濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1〜1/1)で精製することにより、3,4−ジメトキシ−6−(2−ブロモ−4−ピリジル)(ヒドロキシ)メチルベンズアルデヒドジメチルアセタール2.53g(収率:64%)を得た。
【0072】
(4)上記(3)で得られた化合物4.00g、フマル酸ジメチル1.59g、キシレン20mL及び酢酸2gの混合物を2時間加熱還流した。該溶液を放冷後、減圧濃縮し、残渣にトルエン8mLを加えて濃縮した。得られた残さにアセトニトリル8mLを加え、氷水浴中で三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル3.55gを滴下した。該混合物を2時間加熱還流し、反応液を放冷後、減圧濃縮した。残渣にクロロホルム28mLを加えた後、氷冷した。該混合物に25℃以下で25%アンモニア水3.41gを滴下した後、45〜50℃で15分間攪拌した。反応液に水24mLを加えた後、有機層を水20mL、20%食塩水28gで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残さにメタノール12mLを加えて加温した。該溶液を冷却し、析出晶をろ取することにより、1−(2−ブロモ−4−ピリジル)−2,3−ビス(メトキシカルボニル)−6,7−ジメトキシナフタレン3.67g(収率:79.7%)を結晶として得た。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、光学活性ナフタレン化合物(PDE4阻害薬)等の医薬化合物の合成中間体として有用な光学活性環状アルコール化合物を工業的有利に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[II]:
【化33】


〔式中、Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。〕
で示される環状ケトン化合物を、(A)光学活性オキサザボロリジン類化合物及び水素化ホウ素類化合物の存在下、或いは(B)遷移金属化合物と不斉配位子とから得られる不斉遷移金属錯体と水素供与体との存在下で不斉還元することを特徴とする一般式[I]:
【化34】


〔式中、Rは前記と同一意味を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性環状アルコール化合物の製法。
【請求項2】
不斉還元を光学活性オキサザボロリジン類化合物及び水素化ホウ素類化合物の存在下で実施する請求項1記載の製法。
【請求項3】
光学活性オキサザボロリジン類化合物が一般式[a]:
【化35】


〔式中、Rは低級アルキル基又はフェニル基を表し、Phはフェニル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される化合物であり、水素化ホウ素類化合物がジボラン、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、ボラン−1,4−オキサチアン錯体、ボラン−ジメチルアニリン錯体、ボラン−ジエチルアニリン錯体、ボラン−4−フェニルモルホリン錯体又はカテコールボランである請求項2記載の製法。
【請求項4】
光学活性オキサザボロリジン類化合物が一般式[R−a]:
【化36】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される化合物である請求項3記載の製法。
【請求項5】
光学活性オキサザボロリジン類化合物が一般式[S−a]:
【化37】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される化合物である請求項3記載の製法。
【請求項6】
不斉還元を遷移金属化合物と不斉配位子とから得られる不斉遷移金属錯体及び水素供与体の存在下で実施する請求項1記載の製法。
【請求項7】
遷移金属化合物がテトラクロロビス(ベンゼン)二ルテニウム、テトラクロロビス(p−シメン)二ルテニウム、テトラクロロビス(ヘキサメチルベンゼン)二ルテニウム、テトラクロロビス(メシチレン)二ルテニウム、テトラクロロビス(安息香酸エチル)二ルテニウム、テトラブロモビス(ベンゼン)二ルテニウム、テトラブロモビス(p−シメン)二ルテニウム、テトラブロモビス(メシチレン)二ルテニウム、テトラヨードビス(ベンゼン)二ルテニウム、テトラヨードビス(p−シメン)二ルテニウム又はテトラヨードビス(メシチレン)二ルテニウムである請求項6記載の製法。
【請求項8】
不斉配位子が下記一般式[b]:
【化38】


〔式中、R及びRはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環式基を表すか、或いは両者が結合して環式基を形成し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、アシル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、チオアシル基、置換基を有していてもよいチオカルバモイル基、置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性アルキレンジアミン化合物である請求項6記載の製法。
【請求項9】
不斉配位子が下記一般式[b1]:
【化39】


〔式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、低級アルキル基、ハロゲン原子及び低級アルコキシ基から選ばれる1乃至5個の基で置換されていてもよいベンゼン環を表し、R41は水素原子又は低級アルキル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される光学活性アルキレンジアミン化合物である請求項6記載の製法。
【請求項10】
不斉配位子が(S,S)−もしくは(R,R)−N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(S,S)−もしくは(R,R)−N−メチル−N’−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(S,S)−もしくは(R,R)−N−p−メトキシフェニルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(S,S)−もしくは(R,R)−N−p−クロロフェニルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(S,S)−もしくは(R,R)−N−p−メシチルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン又は(S,S)−もしくは(R,R)−N−(2,4,6−トリ−イソプロピルフェニル)スルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミンである請求項6記載の製法。
【請求項11】
水素供与体がα位に水素原子を有する低級アルカノールである請求項6記載の製法。
【請求項12】
一般式[S−I]:
【化40】


〔式中、Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。〕
で示される光学活性環状アルコール化合物又はその塩。
【請求項13】
一般式[R−I]:
【化41】


〔式中、Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。〕
で示される光学活性環状アルコール化合物又はその塩。
【請求項14】
Rが水素原子又はベンジルオキシカルボニル基である請求項12又は13記載の光学活性環状アルコール化合物。
【請求項15】
下記工程(a)乃至(c):
(a)一般式[Ib]:
【化42】


〔式中、Zは水酸基の保護基を表し、*は不斉炭素原子を表す。〕
で示される化合物と一般式[III]:
【化43】


〔式中、RaおよびRbは、同一または異なって、水素原子またはカルボキシル基の保護基を表し、Xはハロゲン原子を表す。〕
で示される化合物とを反応させることにより、一般式[IV]:
【化44】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性ナフタレン化合物を得る工程;
(b)化合物[IV]を還元して、一般式[V]:
【化45】


〔式中、記号は前記と同一意味を表す。〕
で示される光学活性2,3−ビスヒドロキシメチルナフタレン化合物を得る工程;及び
(c)化合物[V]から水酸基の保護基Zを除去する工程;
からなる一般式[A]:
【化46】


で示される光学活性ナフタレン化合物の製法。
【請求項16】
化合物[Ib]が下記一般式[S−Ib]:
【化47】


〔式中、Zはtert−ブチルジメチルシリル基を表す。〕
化合物である請求項15記載の製法。
【請求項17】
化合物[Ib]が下記一般式[R−Ib]:
【化48】


〔式中、Zはtert−ブチルジメチルシリル基を表す。〕
化合物である請求項15記載の製法。

【公開番号】特開2012−6939(P2012−6939A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166437(P2011−166437)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【分割の表示】特願2007−538775(P2007−538775)の分割
【原出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】