説明

光学的に可変の多色バーコードによる安全要素

本発明は、バーコードが様々な色のついたバーコードエレメントを有し、それぞれの色には異なる文字値がコーディングされており、そのバーコードが光学的可変エレメントとして形成されている、情報をコーディングしたバーコードによる安全要素、およびこのような安全要素を有するセキュリティドキュメントおよび/または有価証券、およびそのような安全要素の製造方法ならびに読み取り方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に可変する安全要素と、このような安全要素を有するセキュリティドキュメントおよび/または有価証券、その製造方法ならびに読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
安全要素は、セキュリティドキュメントおよび/または有価証券の偽造またはコピーを防ぐ役割がある。安全要素には、例えば、識別番号、バイオメトリックデータなどといった個別データもしばしば用いられる。これらのものは、平の文章または絵の形で準備されるか、あるいは光学的にコーディングされたり、機械での読み取りが可能なように準備したりすることができる。最後に挙げた例では、機械による読み取り信頼性の高いものとして、いわゆるバーコードが知られている。
【0003】
US2005/0188576A1(特許文献1)から、ホログラムとして形成されているバーコードが知られている。この周知のバーコードは、その限りにおいて、「0」と「1」または「白」と「黒」という2値しかとらないバーコードエレメントを有している。しかし、二進法の場合、例えば、英数字の情報をコーディングするためには、非常に多くの桁または文字位置が必要となる。従って、バーコードの長さが長くなるか、面積が広がるか、あるいは読み取り安全性が不十分であるか、いずれかの場合が生じる。
【0004】
実際には、いわゆるカラー・ウルトラ・コードが知られており、これは二次元バーコードのバリエーションである。この場合、バーコードエレメントに様々な色をつけることが可能であるが、隣り合うピクセルの色についての選択規則があるため、データ密度の向上はわずかしかない。従って、周知のカラー・ウルトラ・コードは、例えば市販のコピー機やスキャナーを使って簡単に偽造やコピーができるため、一般的に安全性は低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2005/0188576A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の基本的な技術的課題は、データ密度が高くなってもサイズは小さく、同時にデータ密度を低下させることなく、偽造に対して安全であるような、コード化された情報をもつ安全要素を提示することである。
【0007】
定義
安全要素は、少なくともひとつのセキュリティ特性を有する構成ユニットである。安全要素は、貼り付けなどの方法によって、セキュリティドキュメントおよび/または有価証券と接続可能な独立した構成ユニットであり、しかしまた、セキュリティドキュメントおよび/または有価証券に統合された構成部品でもあり得る。前者の例としては、セキュリティドキュメントおよび/または有価証券の上に貼り付け可能なビザがある。後者の例としては、ラミネートなどにより紙幣や証明書に統合されたホログラムがある。
【0008】
セキュリティ特性とは、単純なコピーとは逆に、製造や複製が非常に困難である構造、あういは無許可に製造や複製ができない構造を言う。
【0009】
セキュリティドキュメントおよび/または有価証券としては、次のような例が挙げられる。すなわち、身分証明書、パスポート、IDカード、入場認可証、ビザ、制御文字、チケット、免許証、車検証、紙幣、小切手、郵便切手、クレジットカード、ICカードおよび粘着ラベル(例えば製品偽造防止のため)などである。このようなセキュリティドキュメントおよび/または有価証券は、基板、印刷層および選択的に透明シートを有している。担体である基板の上には、情報、イラスト、パターン、その他同様のものを記録した印刷層が取り付けられている。基板の材料としては、紙および/またはプラスチックをベースとするあらゆる標準的な素材が考えられる。
【0010】
バーコードは、一般的には平面的なパターン構造であり、そのパターンはある文字列をコード化したものである。本質的に、一次元バーコードと二次元バーコードとに区別される。一次元またはリニアバーコードには、2種類の幅をもつコードとしてCode 2/5 Industrial、Code 2/5 Interleaved(ITF)、Code 2/5 3Bars Matrix、Code 39、Code 39 Extendedがあり、数種類の幅をもつコードとしてCode 93、Extended Code 93、Code 128、EAN13、UPC Version A、UPC Version E、Codabarがある。 二次元コードはスタック式とマトリックス式に区別される。スタック式コードには、Code 49、Code 16K、Codablock(A、F、256)、IPC−2D、Supercode、PDF417、Micro PDF、Color Ultra Code、Ultra Codeがある。マトリックス式コードには、Array Tag、Aztec、Code 1、Code(S)、CP Code、Data Matrix、DataStrip、Dot Code A、MaxiCode、QR Code、MiniCode、SmartCode、Snowflake Code、AccuCode (3−DI)、Vericodeがある。RSS−14はリニアコードとスタック式コードとを組み合わせたものである。
【0011】
バーコードエレメントは、バーコードのコーディングシステムの中で、ひとつの記号に対してコード化を行うバーコードの部分領域である。バーコードエレメントはピクセルとも呼ばれ、とくに二次元バーコードの場合に用いられる。一般的に、バーコードは二進法を用いてコーディングされており、従って、ひとつのバーコードエレメントは「0」または「1」をコーディングしている。これは、そのバーコードエレメントがオン(例えば黒)またはオフ(例えば白)のどちらかであることによる。それぞれのバーコードに応じて、様々なバーコードエレメントの連続からまず2値の記号列が形成され、次にこの記号列は、例えば英数字の記号列など、別の記号列に変換される。
【0012】
光学的に可変するエレメントは、例えば平面あるいは平坦な部分を有し、そこには顕微鏡でしか見ることのできない、または人間の目では知覚できないような表面構造が作られている。とくにこれに属するのがホログラムである。光学的に可変するエレメントは、この表面構造があることにより、読み取り角度域を様々に変えて見た場合に、様々な像や光学的特徴または光学的パターンあるいは色を示す。その際、像やパターンにこのような違いが現れる場合もあれば、例えば色や明るさだけに現れる場合もある。また、光学的な変動性は、照明の入射角および/または照明の色にも左右される。
【0013】
極座標系、すなわち幅角(Breitenwinkel)と経線角(Meridianwinkel)において、ひとつの基本ベクトルを中心とする立体角は規定の読み取り角度域と呼ばれ、バーコードを正確に検知するためには、この角度域から原点を見なければならない。このとき、その原点とは観察される各バーコードエレメントである。立体角はπ/2よりも小さく、π/4より小さいのが好ましい。さらに好ましいのはπ/8よりも小さく、もっとも好ましいのはπ/16よりも小さい場合である。
【0014】
極座標系、すなわち幅角(Breitenwinkel)と経線角 (Meridianwinkel)において、ひとつの基本ベクトルを中心とする立体角は規定の入射角域と呼ばれ、バーコードを正確に検知するためには、この入射角域から原点を照射しなければならない。このとき、その原点とは各バーコードエレメントである。立体角はπ/2よりも小さく、π/4より小さいのが好ましい。さらに好ましいのはπ/8よりも小さく、もっとも好ましいのはπ/16よりも小さい場合である。
【0015】
基数nの記数法では、それぞれの文字がn個の異なる文字値をとることができる。二進法の場合は2つの文字値 (0、1)、三進法の場合は3つの文字値 (0、1、2)、四進法の場合は (0、1、2、3) である。例えば、ローマ字のアルファベットをすべてコーディングするためには、二進法では5つの桁数またはバーコードエレメントが必要であり、三進法では3つの桁数またはバーコードエレメントで十分である。
【0016】
空間光変調装置は、光の強度を変調することによって、ほぼ平坦な対象物を二次元に空間分解して照らすことができる。この場合に関係しているのが、DMD(Digital Micromirror Device)チップ、LCD(Liquid Crystal Display)トランスミッションディスプレイ、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)ディスプレイである。これらのディスプレイはいずれも多数のピクセルによって構成されており、それぞれのピクセルが他のピクセルとは無関係にオンまたはオフになったりすることができ(その中間の状態も可能である)、従って、ピクセルを適切に制御することにより、パターンまたは象を投影することが可能である。自在な制御が可能であるため、例えば、様々な安全要素のための個別化されたバーコード形式など、様々な像やパターンを連続して次々に生成することも問題なくできる。しかし、もっとも広い意味における空間光変調装置は、様々な強度の光もしくは強度を変調した光をホログラフィック記録可能フィルムに照射する個々の構造物であるといえる。マスクやプリントフィルムあるいは印刷されたシートもこれに属しており、これらは露光する二次元のパターンに応じて、部分的に透明なもの、および部分的に透明度が少ないか、透明でないものがある。
【0017】
ひとつのコードが、人や物の大きな総体における一個人または物にとって、あるいは人や物の集団にとって唯一である場合、そのコードは個別化していることになる。ある国の住民全体で、あるグループを個別化するコードとしては、居住地である町が例に挙げられる。一人の人間を個別化しているコードとしては、身分証明書の番号などがある。すべての紙幣の中で、ある紙幣の集団を個別化しているコードは、価数である。ひとつの紙幣を個別化しているのは通し番号である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この技術的課題を解決するために、本発明は、情報をコーディングしたバーコードによる安全要素を提示する。その際、バーコードは、異なる文字値をコーディングしている様々な色のついたバーコードエレメントを有し、そのバーコードは光学的に可変するエレメントとして形成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、ひとつには、バーコードの構成に応じて、データ密度を2倍、4倍またはそれ以上に高めることが可能となる。それによって、安全要素を比較的小さくすることが可能となり、安全要素のついたセキュリティドキュメントおよび/または有価証券の全体的な視覚的印象が大きく損なわれずに済む。他方、この安全要素はコピー機や市販のスキャナーでは再現することができない。なぜなら、そのような機器では、光学的に可変するエレメントを完全にコピーすることは不可能であるか、あるいはコピーに変化が現われてしまうからである。そのような機器の場合は、光の入射角域が極端に広く、撮像の角度も変わらないので、安全要素の一部分しか再現できないか、安全要素が変化した状態で再現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】バーコードを作成するためのマスター(1)を示す。
【図2】マスター(1)を用いて密着印画紙として作られる本発明に基づくバーコードを持つホログラム(1a)の断面を示す。
【図3】入射角域(3a、3b)は異なり、読み取り角域(4)が同じであるマスター(1)を示す。
【図4】図3のホログラム(1a)の空間分解能カメラ(6)に読み取り方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
バーコードはホログラフィック・エレメントとして形成されるか、バーコードが(面積がより広いホログラムおよび/または重なり合う複数のホログラムから形成された)ホログラフィック・エレメントの一部を形成していることが好ましい。
【0022】
白色光またはスペクトル分類されて、エレメントに適合された光が規定の入射角範囲で安全要素に照射されると、規定の読み取り角度域においてバーコードが検出可能となり、読み取りが可能となる。別の方法では、様々な色のついたバーコードエレメントに光を照射すると、重複しない複数の規定入射角域と、ひとつの読み取り角度域または重複しない複数の異なる規定読み取り角度域とにおいて、バーコードエレメントが検出可能となり、読み取り可能となる。
【0023】
各バーコードエレメントが基数nによる記数法のある文字値をコーディングしており、その際、n=f+1(fは様々な色の数、n>2)であることが好ましい。とくに、f は2または3となり得る。色は、可視光線、赤外線またはUVの中で様々な波長を有することができ、例えば、「赤、緑、青」から成るグループを選択することができる。その他の文字値として「オフ」が、例えば黒または白、あるいはその他の様々な色によってこれに加えられるのが好ましい。
【0024】
様々な安全要素からなるバーコードは、様々な情報をコーディングすることができる。これに関連しているのは、個別化されたバーコードである。
【0025】
発明に基づく安全要素は、例えば、セキュリティドキュメントおよび/または有価証券の製造に使用される。その際、安全要素はセキュリティドキュメントおよび/または有価証券の上または中に取り付けられるか、その上あるいはその中に形成される。セキュリティドキュメントおよび/または有価証券の上に取り付ける場合は、例えば、貼り付けなどによって行うことができる。セキュリティドキュメントおよび/または有価証券の中に取り付ける場合は、例えば、ラミネートなどの方法によって行うことができる。セキュリティドキュメントおよび/または有価証券の中に形成する場合は、例えば、特許文献DE102004053367A1に従って行うことができる。
【0026】
本発明は、さらに、発明に基づく安全要素を有するセキュリティドキュメントおよび/または有価証券に関する。
【0027】
本発明のもうひとつの対象は、発明に基づく安全要素またはセキュリティドキュメントおよび/または有価証券の製造方法に関しており、以下の段階を有している。a) 情報が基数nによる記数法の記号列に変換される、b) 段階a) の記号列がバーコードに変換される、c) 段階b)のバーコードが空間光変調装置用の変調信号に変換されるか、空間光変調装置の中で変換される、d) 感光性の層をもつ基板が、少なくとも2色または好ましくは可視光の波長に対して作られたホログラフィマスターと、場合により段階c) の信号によって変調された空間光変調装置の介入によって露光される。この場合、ホログラフィマスターは、例えば文献EP0896260A2による摺りガラススクリーン・マスターであるか、マスターの中に摺りガラススクリーンの透過性ホログラムまたは反射ホログラムが露光されているものとすることができる。通常の方法においては、希望する干渉が参照ビームによって作られることは明白である。
【0028】
マスターに関しては、個々に様々な変更例が考えられ、様々な色に対する照射角度(入射角域)と反射または屈折の角度(読み取り角度域)を同一にすることもできる。そうすることによって、色選択的かつ空間分解能のある光検出器、例えばカラーCCDカメラなどを用いれば、(唯一の)読み取り角度域で、マスターの作成により決定された入射角域において白色光を照射した場合に読み取れるホログラフィック・バーコードを得ることができる。
【0029】
その他、多色のマスターに、入射角域/読み取り角度域の組み合わせをいくつか備えることができる。このことは、バーコードの特定の色を映すために、白色光あるいは該当する色をもつ光を入射させる規定入射角域ならびに光検出器のための規定読み取り角度域の調整が必要であることを意味している。さらに、この調整は、それぞれの組み合わせに応じて、様々な色に対して行わなければならない。様々な色の読み取り角度域が同じである場合、バーコードを撮るためには、固定した光検出器を設置することで十分である。例えば、白色光または該当する入射角域に割り当てられている色の光によって、光検出器にバーコードのコピーを作ることができる。これに加え、該当する光源が同時にオンになると、完全な色のついたバーコードの像が作られ、例えばカラーCCDカメラを使って撮影が可能である。該当する光源(白または該当色)を連続的にオンにすると、それぞれ一色に割り当てられた像が連続して生じる。これらの像を撮影するには、例えば白黒CCDカメラで十分である。次に、照射の連続情報(オンにした光源の順番)を用いて、連続した像に対して、色の割り当てが行われ、完全な色のついたバーコードまたはその情報の内容が再現される。
【実施例1】
【0030】
以下に、本発明を、実施例を用いて詳しく説明する。
【0031】
例1:様々な色に対する入射角域と読み取り角度域が同一である、ホログラフィック・バーコード。
【0032】
図1には、バーコードを作成するためのマスター1があり、その際、様々な色に対する入射角域3と読み取り角度域4は同一である(基本的に、読み取りと入射の両方の角度範囲は入れ換えることができる)。ここで関係するのは、文献EP0896260A2による摺りガラススクリーンのホログラフィック像であり、これはひとつの波長だけでなく、この例における赤、緑、青といった3種類の波長でも再現する。このことによって、ピクセル2a〜dは、従来の技術のようにオンかオフかという2種類の文字値ばかりでなく、4種類の文字値、すなわちオフ、赤、緑または青をとることができる。従って、ピクセル2a〜dの情報内容は2倍になる。この例では、ピクセル2aが赤、ピクセル2bが緑、ピクセル2cが青で再現される。ピクセル2dはオフとして再現され、反射は起こらない。
【0033】
図2には、マスター1を用いて、例えば密着印画として作られる、発明に基づくバーコードをもつホログラム1aの断面である。この場合、ピクセル2a〜dは、文字面に対し垂直方向に伸びるバーである。読み取りは、光源11から光が照射されることによって行われ、その光軸5は入射角域3の中にある。この光は白色光とすることができるため、再現されるすべての波長を含んでいる。次に、読み取りは、少なくとも一次元において空間分解能により色を識別する光検出器、例えばカラーカメラ6を使って行われ、その光軸7は読み取り角度域4の中を通っている。カメラ6の空間分解能は、この例のように古典的な一次元バーコードの場合、一次元にすることができる。その際、分解される次元の軸は、バーに対して垂直に、バーの面上を通っている。二次元バーコードを使用する場合は、カメラ6が二次元分解能カメラであることが好ましい。この場合、分解する二次元の面はバーコード面に対して平行である。しかし、もちろん一次元または二次元バーコードを非空間分解能カメラ6で読み取ることも可能である。その場合、カメラ6を固定してホログラム1aを相対的に動かしたり、ホログラム1aを固定してカメラ6を相対的に動かしたり、ホログラム1aに対して光軸7を相対的に動かしたりすることによって、各ピクセルを個々に、規定の方向および順番でカメラ6の光軸に移動させなければならない。その際、読み取り角度域4を保持するために平行して移動することが必要である。このカメラの概念が、一般的および本実施例とは無関係に、像またはパターンを空間分解能によって二次元的に撮影する技術全般を含むことは明白である。例えば、このカメラは、一列に並んだセンサーによって一次元で分解しながら働くことができる。次に、安全要素が、カメラに対して平行ではなく、例えばセンサー列に対して直交する方向に相対運動することによって、二次元の空間分解が達成される。しかし、もっとも簡単な場合は、二次元分解するセンサーマトリックスが使用される。
【0034】
カラーカメラで読み取られたバーコードは、次に、評価電子装置8によって四進法の文字列に変換され、その後、たとえば十進法または英数字の文字列に変換されて表示されるか、さらに電子的に処理される。本例においては、ピクセル2aが1、ピクセル2bが2、ピクセル2cが3、ピクセル2dが0を代表している。「1230」の文字列をもつバーコードは、十進法においては0*40 +3*41+2*42 +1*43、すなわち108という数字をコーディングしている。2色またはそれ以上の色にも同様に当てはまり、その際、コーディングされた記数法は、n=f+1(fは異なる色の数)進法ということになる。
【0035】
ホログラム1aを白色光またはカラーカメラで読み取る際に、バーコードの全ピクセル2a〜dの読み取りが同時に行われる一方で、さらに、選択的にシーケンシャルな読み取りも行うことができる。そのために、ホログラム1aを白色光またはピクセル2a〜dに使用される色の波長光によって入射角域3で次々に照射する。カラーカメラ6(白色光での照射)または白黒カメラ6(様々な波長光での連続照射)により、照射されたホログラム1aの像がそれぞれひとつ撮影され、空間分解された情報が各ピクセルの色を介して得られる。空間分解能による読み取りの変更例に関しては、前記と同じである。評価は一般的な方法で行われる。
【実施例2】
【0036】
例2:様々な色の入射角域と読み取り角度域が異なっている、ホログラフィック・バーコード。
【0037】
図3には、バーコードを作成するためのマスター1が示されており、この場合、異なる色に対して入射角域3a、bが異なっており(ここでは、明瞭にするために2種類の色だけで説明する)、異なる色に対する読み取り角度域4は同じである(読み取りと入射に関して、基本的に両方の角度は入れ換えることができる)。図面上で見た場合、ピクセル2a(赤)は左からの照射で再現され、一方、ピクセル2b(緑)は右からの照射で再現される。これに対して、その他の方向から照射しても、ピクセル2a、bは再現されない。その他については、例1の実施形態と同じである。
【0038】
図4は、図3に従ってマスター1を用いて作成されたホログラム1aの読み取りを説明したものである。読み取り角度域4に、空間分解能カメラ6が配置されている。
【0039】
読み取りは、2つの光源11からの光の照射によって行われ(再現する色が2種類のみの場合、その他の場合、光源の数は再現する色の数に対応する)、その光軸5は、それぞれに該当する色に割り当てられた入射角域3a、bの中にある。光源11の光は、再現するすべての波長を含む白色光でも、入射角域3a、bに割り当てられている色の光でもよい。光源11は同時または連続的に作動させることができる。複数の光源11を使用する代わりに、光源11をひとつだけ使用することも可能である。その場合の光軸5は、複数の入射角度域3a、bの範囲内で連続的に揺動される。
【0040】
光源11を同時に作動する場合、バーコードの読み取りは、少なくとも一次元の空間分解能の色識別光検出器、例えばカラーカメラ6を用いて行い、その光軸7は読み取り角度域4の範囲内を通っている。空間分解能に関しては、例1の実施形態と同じである。
【0041】
複数の光源11を連続的に作動させる場合、またはひとつの光源11を連続して揺動させる場合、例1における連続読み取りの説明と同じことが当てはまる。
【0042】
前記の例では示されていないが、複数の色に対する読み取り角度域4が異なるようにすることも可能である。読み取り角度域4および入射角域3に関するホログラム1aの相互作用のために、この例の実施形態は、光源11に合わせて、前記の使用カメラ6または光軸7を揺動させることのできるカメラ6にも適用される。この場合、複数の色に対して同じ入射角域3a、bまたは複数の色に対して異なる入射角域3a、bで作動させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードが様々な色のついたバーコードエレメントを有し、それぞれの色に異なる文字値がコーディングされ、前記バーコードが光学的可変エレメントとして形成されている、情報をコーディングしたバーコードによる安全要素。
【請求項2】
前記バーコードがホログラフィック・エレメントとして形成されているか、前記バーコードがホログラフィック・エレメントの一部を形成している、請求項1に記載の安全要素。
【請求項3】
前記バーコードが、規定の入射角度域において前記安全要素に照射される白色光で照らされた場合、規定の読み取り角度域において検知され、読み取られる、請求項1または2に記載の安全要素。
【請求項4】
様々な色のついた前記バーコードエレメントが、光を照射した際、重なり合わない複数の規定入射角域において、ひとつの読み取り角度域または重なり合わない複数の異なる規定読み取り角度域で検出可能であり、読み取ることのできる、請求項1または2に記載の安全要素。
【請求項5】
それぞれの前記バーコードエレメントが基数をnとする記数法のひとつの文字をコーディングしており、その際、n=f+1であって、fは異なる色の数を示し、n>2である、請求項1〜4のひとつに記載の安全要素。
【請求項6】
fが2または3である、請求項1〜5のひとつに記載の安全要素。
【請求項7】
前記の色が、可視光、赤外線またはUVの波長を有し、とくに「赤」、「緑」、「青」から成るグループから選択される、請求項1〜6のひとつに記載の安全要素。
【請求項8】
様々な安全要素の前記バーコードが、様々な情報をコーディングしている、請求項1〜7のひとつに記載の安全要素。
【請求項9】
a) 情報が基数をnとする記数法の記号列に変換される、b) 段階a) の記号列が前記バーコードに変換される、c) 段階b)の前記バーコードが空間光変調装置用の変調信号に変換されるか、前記空間光変調装置の中で変換される、d) 感光性の層をもつ基板が、ホログラフィマスターと前記空間光変調装置の介入によって露光される、以上の工程段階によって得られる、請求項1〜8のひとつに記載の安全要素。
【請求項10】
安全要素がセキュリティドキュメントおよび/または有価証券の上または中に取り付けられるか、その上またはその中に形成される、前記セキュリティドキュメントおよび/または有価証券を製造するための前記安全要素の適用。
【請求項11】
請求項1〜9のひとつに記載の前記安全要素を有するセキュリティドキュメントおよび/または有価証券。
【請求項12】
前記情報が個別化情報である、請求項11に記載のセキュリティドキュメントおよび/または有価証券。
【請求項13】
a) 情報が基数nによる記数法の記号列に変換される、b) 段階a) の記号列が前記バーコードに変換される、c) 段階b)の前記バーコードが空間光変調装置用の変調信号に変換されるか、前記空間光変調装置の中で変換される、d) 感光性の層をもつ基板が、ホログラフィマスターと前記空間光変調装置の介入によって露光される、以上の工程段階による、請求項1〜9のひとつに記載の安全要素の製造方法あるいは請求項11または12に記載のセキュリティドキュメントおよび/または有価証券の製造方法。
【請求項14】
白色光が、前記規定入射角域において前記安全要素に照射され、その際、前記読み取り角度域の中にある光軸をもつ色識別光検出器を用いて、前記バーコードが連続的または同時に読み取られる、請求項3に記載の安全要素の読み取り方法。
【請求項15】
重なり合わない複数の前記規定入射角域において光が照射され、その際、前記読み取り角度域の中にある光軸をもつ光検出器を用いて、前記バーコードが連続的または同時に読み取られる、請求項4に記載の安全要素の読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−511231(P2010−511231A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538583(P2009−538583)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/DE2007/002055
【国際公開番号】WO2008/064644
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(507302243)ブンデスドルクレイ ゲーエムベーハー (7)
【氏名又は名称原語表記】Bundesdruckerei GmbH
【Fターム(参考)】