説明

光学素子、3D画像表示装置、メガネ、及び3D画像表示システム

【課題】3D画像の色味の改善に寄与する光学素子の提供。
【解決手段】基準方位軸Aに対して、遅相軸の方位角θ1が0〜90°の範囲にあり、且つ波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)がλ/2である第1のλ/2領域、及び遅相軸の方位角φ1が90〜180°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2である第2のλ/2領域を含むパターンλ/2層と、遅相軸の方位角が(2θ1+45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第1のλ/4領域、及び遅相軸の方位角が(2φ1−45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第2のλ/4領域を含むパターンλ/4層とを、第1のλ/2領域と第1のλ/4領域、及び第2のλ/2領域と第2のλ/4領域とを対応させて積層してなる光学素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体(3D)画象表示装置、及びそれを観察するのに利用するメガネに有用な光学素子、並びにそれを利用した、3D画像表示装置、メガネ、及び3D表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体画像を表示する3D画像表示装置の一様式として、右眼用画像及び左眼用画像を、例えば、互いに反対方向の円偏光画像とするための光学素子を利用する様式がある。前記光学素子として、遅相軸が互いに直交する領域にパターン化されたパターンλ/4板と偏光板との積層体が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、従来のパターン光学素子ではλ/4層を光が透過した後に、円偏光に変換されるが、すべての波長の光が同じ楕円率の円偏光には変換されないという問題がある。
また、従来、3D画像観賞用メガネにも、円偏光を直線偏光に変換することを目的としてλ/4板が利用されているが、同様に、すべての波長の円偏光が、直線偏光に変換されるわけではなく、波長によっては楕円率が小さい楕円偏光に変換される。そのため、本来白色であるべき明視野パターン部が黄色味をおびる、あるいは、本来黒色であるべき暗視野パターン部が紫色味をおびるという問題がある。さらに、メガネを着用した状態のまま首を傾斜した場合、通常使用時より色がずれるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−232365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記諸問題に鑑みなされたものであって、3D表示特性、特に、3D画像の色味の改善に寄与する光学素子、並びにそれを有する3D画像表示装置、メガネ及び3D表示システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 基準方位軸Aに対して、
遅相軸の方位角θ1が0〜90°の範囲にあり、且つ波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)がλ/2である第1のλ/2領域、及び遅相軸の方位角φ1が90〜180°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2である第2のλ/2領域を含むパターンλ/2層と、
遅相軸の方位角が(2θ1+45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第1のλ/4領域、及び遅相軸の方位角が(2φ1−45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第2のλ/4領域を含むパターンλ/4層とを、
第1のλ/2領域と第1のλ/4領域、及び第2のλ/2領域と第2のλ/4領域とを対応させて積層してなる光学素子。
[2] 前記パターンλ/2層の表面上に、基準方位軸Aに対して、吸収軸の方位角α1が0°である偏光子をさらに有する[1]の光学素子。
[3] 方位角θ1が10〜25°又は65〜80°、方位角φ1が100〜115°又は155〜170°である[1]又は[2]の光学素子。
[4] 方位角θ1が20〜25°又は65〜70°、方位角φ1が110〜115°又は155〜160°である[1]又は[2]の光学素子。
[5] 方位角θ1が12〜18°又は72〜78°、方位角φ1が102〜108°又は162〜168°である[1]又は[2]の光学素子。
[6] 表示素子と、その視認側表面に配置される[1]〜[5]のいずれかの光学素子とを有する3D画像表示装置。
【0007】
[7] 基準方位軸Bに対して、
遅相軸の方位角が(2θ2+45)°であり、且つ波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)がλ/4であるλ/4層と、
遅相軸の方位角θ2が0〜90°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2であるλ/2層と、
吸収軸の方位角α2が0°である偏光子とを、
この順で積層してなる第1の光学素子;及び
基準方位軸Bに対して、
遅相軸の方位角が(2φ2−45)°であり、且つRe(550)がλ/4であるλ/4層と、
遅相軸の方位角φ2が90〜180°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2であるλ/2層と、
吸収軸の方位角α2が0°である偏光子とを、
この順で積層してなる第2の光学素子;
のいずれか一方を右眼用に、他方を左目用に配置してなるメガネ。
[8] 方位角θ2が10〜25°又は65〜80°、方位角φ2が100〜115°又は155〜170°である[7]のメガネ。
[9] 方位角θ2が20〜25°又は65〜70°、方位角φ2が110〜115°又は155〜160°である[7]のメガネ。
[10] 方位角θ2が12〜18°又は72〜78°、方位角φ2が102〜108°又は162〜168°である[7]のメガネ。
[11] [6]の3D画像表示装置と、
前記3D画像表示装置に表示される右眼用及び左眼用の偏光画像のそれぞれを、観察者の右眼及び左眼にそれぞれ入射させるためのメガネと、
を有する3D画像表示システム。
[12] 前記メガネが、[7]〜[10]のいずれかのメガネである[11]の3D画像表示システム。
[13] 基準方位軸Aと基準方位軸Bのなす角が、0°又は90°である[12]の3D画像表示システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、3D表示特性、特に、3D画像の色ズレを軽減し、色味の改善に寄与する光学素子、並びにそれを有する3D画像表示装置、メガネ及び3D表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の光学素子の一例の断面模式図である。
【図2】本発明の光学素子の基準方位軸Aの方向の例を、画像表示面との関係で示した模式図である。
【図3】本発明のメガネの一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、実施の形態を挙げて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
まず、本明細書で用いられる用語について説明する。
【0011】
Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、後述する位相差層中のディスコティック液晶分子の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
【0012】
【数1】

なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
【0013】
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0014】
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
なお、屈折率の測定波長は、特に断らない限り、可視光域のλ=550nmでの値であり、Re及びRthの測定波長については、特に断らない限り、550nmとする。
【0015】
本明細書では、円偏光とは、進行する光に正対したときに観察される電場ベクトルの終点の軌跡が完全な円である光であることを意味せず、楕円率が1に近い楕円偏光も略円偏光とみなして円偏光と呼ぶものとする。略円偏光と見なせる楕円率の目安は0.5以上である。但し、本発明の光学素子は、入射あるいは出射する光の楕円率の大きさによって制約を受けるものではない。
【0016】
また、本明細書では、nを整数とした場合、ある方位角γ°と(γ+180n)°は区別しない。
【0017】
本発明は、パターンλ/2層とパターンλ/4層とを所定の軸関係で積層してなる光学素子に関する。本発明の光学素子は、自然光をパターンごとに右(楕)円偏光と左(楕)円偏光とに変換する機能がある。本発明の光学素子は、右眼用及び左眼用の画像として互いに逆向きの(楕)円偏光画像を表示し、それらの画像を、偏光メガネを装着した観察者が観察し、右眼及び左眼にのみそれぞれの画像を入射することで3D表示として認識させる、3D表示システムに有用である。例えば、3D画像表示装置の視認側表面に配置されるパターン位相差板として、及び3D表示システム用メガネの左右レンズとして利用することができる。
【0018】
本発明では、パターンλ/2層とパターンλ/4層とを、所定の軸関係で積層しているので、円偏光の楕円率の波長依存性を軽減することができる。それにより、本発明の光学素子を3D画像表示装置のパターン位相差板として視認側に配置すると、明視野パターン部の黄色味、又は暗視野パターン部の紫色味が抑制される。さらに、首傾斜時の色ずれも抑制することができる。また、3D表示システムのメガネに利用することでも同様の効果が得られ、即ち、円偏光の楕円率の波長依存性が軽減されたことにより、明視野パターン部の黄色味、又は暗視野パターン部の紫色味が抑制することができ、さらに、首傾斜時の色ずれも抑制することができる。さらに、本発明の光学素子を搭載した3D画像表示装置を、本発明を利用したメガネを介して観察することで、さらに高い効果が得られ、即ち、明視野パターン部の黄色味、または、暗視野パターン部の紫色味を大幅に抑制することができ、また、首傾斜時の色ずれも大幅に抑制することができる。
【0019】
1.3D画像表示装置用光学素子
本発明の光学素子は、基準方位軸Aに対して、
遅相軸の方位角θ1が0〜90°の範囲にあり、且つ波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)がλ/2である第1のλ/2領域、及び遅相軸の方位角φ1が90〜180°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2である第2のλ/2領域を含むパターンλ/2層と、
遅相軸の方位角が(2θ1+45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第1のλ/4領域、及び遅相軸の方位角が(2φ1−45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第2のλ/4領域を含むパターンλ/4層とを、
第1のλ/2領域と第1のλ/4領域、及び第2のλ/2領域と第2のλ/4領域とを対応させて積層してなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の光学素子の一態様は、前記パターンλ/2層の表面上に、基準方位軸Aに対して、吸収軸の方位角α1が0°である偏光子をさらに有する光学素子である。図1に本態様の断面模式図を示す。図1の態様を、画像表示素子に搭載する場合には、偏光子側を表示素子側にして配置する。また、パターンλ/4層の上には、保護層、反射防止層等の機能層が配置されていてもよい。
【0021】
自然光をパターンごとに円偏光等の所定の偏光に変換するためには、偏光子が必要であるが、本発明の光学素子と組み合わせて用いる表示素子が、視認側表面に偏光子を有する場合には、当該偏光子を光学素子の円偏光等への変換作用に利用してもよい。例えば、表示素子が透過型液晶パネルの態様では、液晶セルを挟んで、一対の偏光子が配置されているので、視認側表面に配置されている偏光子の吸収軸との関係で、上記関係を満足させて、本発明の光学素子(但し、偏光子を有さない態様)を配置することによっても、同様の効果が得られる。また、視認側表面に偏光子を有する液晶パネル等の表示素子に、本発明の光学素子であって、偏光子を有する態様を搭載する場合には、上記軸関係を満足させるとともに、表示素子が有する偏光子の吸収軸と、光学素子が有する偏光子の吸収軸とを一致させて配置する。
【0022】
本発明の光学素子は、微細な領域にパターニングされたλ/2層及びλ/4層を有する、いわゆるパターン光学素子である。λ/2層及びλ/4層のパターニングの形状・周期は互いに一致しているのが好ましい。即ち、互いに対応させて積層される第1のλ/2領域と第1のλ/4領域、及び第2のλ/2領域と第2のλ/4領域とは、同一形状であるのが好ましい。また、λ/2層内及びλ/4層内の各領域の形状については特に制限はないが、左右画像が不均一にならないように、領域は、互いに等しい形状であるのが好ましく、またそれぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。即ち、第1のλ/2領域と第2のλ/2領域、及び第1のλ/4領域と第2のλ/4領域とは、互いに等しい形状であるのが好ましく、またそれぞれの配置は、均等且つ対称的であるのが好ましい。
表示装置の画面は通常矩形状であり、この形状の位相差板を想定すると、本発明の光学素子の例には、パターンの周期として、表示面の上下方向に第1及び第2の領域を交互に配置した、即ち、パターン周期が表示面の上下方向にある光学素子、及び表示面の左右方向に第1及び第2の領域を交互に配置した、即ち、パターン周期が表示面の左右方向にある光学素子、が含まれる。
【0023】
<基準方位軸A>
本発明の光学素子では、各遅相軸の方位を、基準方位軸Aに基づいて特定する。基準方位軸Aは、パターン光学素子の面内に存在する軸であり、パターン光学素子のλ/4層およびλ/2層の遅相軸の方位角を定義する基準となる軸である。また、偏光子がパターン光学素子に積層されている場合は該偏光子の吸収軸の方位角を定義する基準となる軸である。
【0024】
<パターン光学素子の遅相軸の方位角>
本発明のパターン光学素子のλ/2層及びλ/4層の遅相軸の方位角は、それぞれ以下の通り定義する。パターン光学素子面の法線に平行な方向で、且つ「λ/2層」→「λ/4層」の向きのベクトルに正対したとき、基準方位軸Aを0°として、反時計まわりを正とする。また、偏光子がパターン光学素子に積層されている場合は、該偏光子の吸収軸の方位角は、以下の通り定義する。パターン光学素子面の法線に平行な方向で、且つ「偏光子」→「λ/4層」の向きのベクトルに正対したとき、基準方位軸Aを0°として、反時計まわりを正とする。
【0025】
<第1のλ/2領域>
本発明のパターン光学素子において、第1のλ/2領域とは、パターン光学素子のパターンλ/2層において、基準方位軸Aに対する遅相軸の方位角θ1の範囲が、0°≦θ1<90°である領域を意味する。θ1は、0〜45°未満又は45°以上90°未満であるのが好ましく、10〜25°又は65〜80°であるのがより好ましく、20〜25°又は65〜70°であるのがさらに好ましく、12〜18°又は72〜78°であるのが特に好ましい。
【0026】
<第2のλ/2領域>
本発明のパターン光学素子において、第2のλ/2領域とは、パターン光学素子のパターンλ/2層において、基準方位軸Aに対する遅相軸の方位角φ1の範囲が、90°≦φ1<180°である領域を意味する。φ1は、90〜135°未満又は135°以上180°未満であるのが好ましく、100〜115°又は155〜170°であるのがより好ましく、110〜115°又は155〜160°であるのがさらに好ましく、102〜108°又は162〜168°であるのが特に好ましい。
【0027】
<第1のλ/4領域>
第1のλ/4領域とは、本発明のパターン光学素子のパターンλ/4層において、基準方位軸Aに対する遅相軸の方位角が、(2θ1+45)°である領域を意味する。本発明のパターン光学素子は、第1のλ/2領域と第1のλ/4領域とが積層された構造を有する。本明細書では、第1のλ/2領域と第1のλ/4領域とが積層された領域をまとめて、「第1の領域」という場合がある。また、偏光子を積層した態様では、偏光子、第1のλ/2領域、及び第1のλ/4領域の順に積層された領域をまとめて、「第1の領域」という場合がある。また、公知である2種類のパターン化されたλ/4層を有するパターン光学素子の場合、基準方位軸Aに対する遅相軸の方位角が45°である領域を第1のλ/4領域と呼び、さらに、偏光子を積層した態様では、偏光子と第1のλ/4領域とが積層された領域をまとめて、「第1の領域」という場合がある。
【0028】
<第2のλ/4領域>
第2のλ/4領域とは、本発明のパターン光学素子のパターンλ/4層において、基準方位軸Aに対する遅相軸の方位角が、(2φ1−45)°である領域を意味する。本発明のパターン光学素子は、第2のλ/2領域と第2のλ/4領域とが積層された構造を有する。本明細書では、第2のλ/2領域と第2のλ/4領域とが積層された領域をまとめて、「第2の領域」という場合がある。また、偏光子を積層した態様では、偏光子、第2のλ/2領域、及び第2のλ/4領域の順に積層された領域をまとめて、「第2の領域」という場合がある。また、公知である2種類のパターン化されたλ/4層を有するパターン光学素子の場合、基準方位軸Aに対する遅相軸の方位角が135°である領域を第2のλ/4領域と呼び、さらに、偏光子を積層した態様では、偏光子と第2のλ/4領域とが積層された領域をまとめて、「第2の領域」という場合がある。
【0029】
<偏光子>
偏光子は、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であればよく、吸収型偏光子を利用することができる。偏光子の吸収軸の方位角は、基準方位軸Aに対して略0°にする。基準方位軸Aは面内の任意の方向にとることができる。透過型液晶パネルに搭載する態様では、液晶パネルの視認側には、所定の方向に吸収軸を有する偏光子が配置されているのが一般的であり、光学素子が有する偏光子の吸収軸と、液晶パネルの視認側に配置される偏光子の吸収軸とを一致させて配置させる必要がある。通常、TNモード液晶パネルでは、偏光子の吸収軸は、画像表示面左右方向を0°として、45°又は135°の方向になっているのが一般的であり、したがって、矩形状の本発明の光学素子を、TNモード液晶パネルと組み合わせる態様では、図2(a)に示す通り、基準方位軸Aは、画像表示面左右方向を0°とした場合に、45°又は135°の方向とするのが好ましい。また、通常、VAモード及びIPSモード液晶パネルでは、偏光子の吸収軸は、画像表示面左右方向を0°として、0°又は90°の方向になっているのが一般的であり、したがって、矩形状の本発明の光学素子を、VAモード又はIPSモード液晶パネルと組み合わせる態様では、図2(b)に示す通り、基準方位軸Aは、画像表示面左右方向を0°とした場合に、0°又は90°の方向とするのが好ましい。
【0030】
<λ/2層及びλ/4層の遅相軸の方位角の組み合わせ例>
下記の表に、本発明の光学素子のλ/2層及びλ/4層の遅相軸の方位角の組み合わせ例を示す。下記表に示す通り、組み合わせは、「I」、「II」、「III」、及び「IV」の4つに分類される。
【0031】
【表1】

【0032】
製造適性の観点、及び光学特性の観点からは、上記分類I〜IVは、以下に示す分類Ia〜IVaであるのが好ましい。
【0033】
【表2】

【0034】
製造適性の観点、及び光学特性の観点からは、上記分類I〜IVは、以下に示す分類Ib〜IVbであるのがより好ましい。
【0035】
【表3】

【0036】
連続生産における製造適性を勘案すると、θ1及びφ1のいずれか一方が、生産ラインの搬送方向(TD方向)に対して平行又は直交であるのが好ましい。液晶の配向を利用して、λ/2層やλ/4層を形成する場合は、各層の遅相軸は、液晶分子の配向を制御することで所望の方向にすることができる。また、λ/2層やλ/4層に、複屈折ポリマーフィルムを利用する場合は、各層の遅相軸は、ポリマー分子の配向を制御することで所望の方向にすることができる。具体的には、前者では、配向膜に施すラビング処理や露光処理の方向等を制御する必要があり、後者では、延伸処理の方向等を制御する必要がある。これら制御すべき方向が、連続生産の生産ラインと一致又は直交していると、制御が容易になり、安定的な製造が可能になる。特に、λ/4層の遅相軸の配向制御は困難であり、配向制御のための処理方向が、生産ラインに一致又は直交しているのが、制御が容易であるので好ましい。即ち、基準方位軸Aを生産ラインの搬送方向(TD)に一致させて特定した場合は、製造適性の観点からは、以下に示す分類Ic〜IVcの光学素子がさらに好ましい。
【0037】
【表4】

【0038】
上記Ic〜IVcの分類それぞれに属する光学素子の例には、以下の表に記載の光学素子がそれぞれ含まれる。最右欄の番号は、各例を特定するための番号である。
【0039】
【表5】

【0040】
ところで、VAモード又はIPSモードの液晶表示装置では、偏光子の吸収軸は、一般的には、画像表示面左右方向又は上下方向に一致している。上記光学素子[1]〜[4]をVAモード又はIPSモードの液晶表示装置に搭載する場合には、基準方位軸Aを、VAモード又はIPSモードの液晶表示装置の偏光子の吸収軸と平行又は直交する軸として特定すれば、λ/4層の形成に、斜めラビング処理や、斜め光照射等の複雑な軸合わせを要する作業が不要になり、製造適性に優れる。また、例[2]及び例[3]では、第1及び第2のλ/4領域のそれぞれの遅相軸の方位角の差は0°又は180°であり、λ/4層については、パターン化せずに、一様なλ/4層を利用しても、同様の効果が得られる。
【0041】
また、光学特性の観点からは、上記分類I〜IVは、以下に示す分類Id〜IVdであるのがさらに好ましく、以下に示す分類Ie〜IVeであるのが特に好ましい。
【0042】
【表6】

【0043】
【表7】

【0044】
上記Ie〜IVeの分類それぞれに属する光学素子の例には、以下の表に記載の光学素子がそれぞれ含まれる。最右欄の番号は、各例を特定するための番号である。
【0045】
【表8】

【0046】
2.偏光メガネ用光学素子
本発明は、基準方位軸Bに対して、
遅相軸の方位角が(2θ2+45)°であり、且つ波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)がλ/4であるλ/4層と、
遅相軸の方位角θ2が0〜90°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2であるλ/2層と、
吸収軸の方位角α2が0°である偏光子とを、
この順で積層してなる第1の光学素子;及び
基準方位軸Bに対して、
遅相軸の方位角が(2φ2−45)°であり、且つRe(550)がλ/4であるλ/4層と、
遅相軸の方位角φ2が90〜180°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2であるλ/2層と、
吸収軸の方位角α2が0°である偏光子とを、
この順で積層してなる第2の光学素子;
のいずれか一方を右眼用に、他方を左目用に配置してなるメガネにも関する。
【0047】
図3に模式的に示す様に、上記第1及び第2の光学素子のうちいずれか一方が右眼用として配置され、他方が左眼用として配置される。また、本発明のメガネは、偏光子を観察者側にして、λ/4層を画像表示装置側にして配置される。また、λ/4層の表面には、保護層、反射防止層等の機能層が配置されていてもよい。
【0048】
<基準方位軸B>
基準方位軸Bは、メガネの光学素子の面内に存在する軸であり、メガネの光学素子のλ/4層およびλ/2層の遅相軸の方位角、及び偏光子の吸収軸の方位角を定義する基準になる軸である。
【0049】
<メガネの光学素子の遅相軸の方位角>
メガネの光学素子のλ/4層及びλ/2層の遅相軸、および、偏光子の吸収軸の方位角は次のように定義する。メガネの光学素子面の法線に平行な方向でかつ「λ/4層」→「偏光子」の向きのベクトルに正対したとき、基準方位軸Bを0°として、反時計まわりを正とする。
【0050】
<基準方位軸Aと基準方位軸Bのなす角α>
αは、パターン光学素子面とメガネの光学素子面が略平行であるときに定義される値で、基準方位軸Aと基準方位軸Bのなす角を表す。パターン光学素子とメガネの光学素子を組み合わせて使用する場合、3D画像表示装置に搭載されるパターン光学素子面と、観察者が装着するメガネの光学素子面は、空間的に離れた状態で使用することが多いが、その場合、パターン光学素子面をメガネの光学素子面に対し、略平行関係を保持したまま、基準方位軸Aと基準方位軸Bが同一平面に存在するまで平行移動し、なす角を定義する。αの定義は上記であるが、パターン光学素子とメガネの光学素子を組み合わせて使用する場合は、必ずしも、パターン光学素子面とメガネの光学素子面が略平行である必要ない。
なす角αは、任意の角度をとることができるが、3D表示装置側のパターン光学素子とメガネの光学素子との組み合わせによっては、0°もしくは90°であることが好ましい場合がある。
【0051】
<メガネのブリッジ部位の方向と基準方位軸Bのなす角β>
βは、メガネのブリッジ部位の方向と基準方位軸Bのなす角を表す。メガネのブリッジ部位とは、図3に示す通り、右眼用の光学素子と左眼用の光学素子とをつなぐ部位で、本明細書中において、ブリッジ部位の方向とは、右眼用の光学素子と左眼用の光学素子の略中点を結ぶ方向を意味する。βの定義は上記であるが、本発明のメガネは、必ずしもブリッジ部位が棒状であることを意味しない。なす角βは、任意の角度をとることができるが、表示装置との組み合わせによっては、0°、45°、90°が好ましいことがある。
【0052】
<第1の光学素子>
本発明のメガネが有する第1の光学素子は、λ/4層とλ/2層と偏光子とが、この順で積層された構造を有し、基準方位軸Bに対するλ/2層の遅相軸の方位角θ2の範囲が、0°≦θ2<90°であり、基準方位軸Bに対するλ/4層の遅相軸の方位角が、(2θ2+45)°である。第1の光学素子は、右眼及び左眼用のいずれかとして配置される。θ2は、0〜45°未満又は45°以上90°未満であるのが好ましく、10〜25°又は65〜80°であるのがより好ましく、20〜25°又は65〜70°であるのがさらに好ましく、12〜18°又は72〜78°であるのが特に好ましい。
【0053】
<第2の光学素子>
本発明のメガネの光学素子2は、偏光子とλ/4層とλ/2層が、この順で積層された構造を有し、基準方位軸Bに対するλ/2層の遅相軸の方位角φ2の範囲が、90°≦φ2<180°であり、基準方位軸Bに対するλ/4層の遅相軸の方位角が、(2φ2−45)°である。第2の光学素子は、右眼及び左眼用のいずれかとして配置される。φ2は、90〜135°未満又は135°以上180°未満であるのが好ましく、100〜115°又は155〜170°であるのがより好ましく、110〜115°又は155〜160°であるのがさらに好ましく、102〜108°又は162〜168°であるのが特に好ましい。
【0054】
なお、公知の3D用メガネは、λ/4層と偏光子とが積層された積層体を左右眼用に配置したものであり、偏光子の吸収軸との関係で、λ/4層の遅相軸の方位角は、45°又は135°である。本発明では、偏光子の吸収軸が、基準方位軸Bに対して0°であるので、即ち、従来の3D用メガネでは、基準方位角Bに対して、λ/4層の遅相軸の方位角は45°又は135°であると言える。
【0055】
<偏光子>
偏光子は、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であればよく、吸収型偏光子を利用することができる。偏光子の吸収軸の方位角は、基準方位軸Bに対して略0°にする。基準方位軸Bは面内の任意の方向にとることができる。
【0056】
<第1及び第2の光学素子のλ/2層及びλ/4層の遅相軸の方位角の組み合わせ例>
下記の表に、本発明のメガネの第1及び第2の光学素子のλ/4層とλ/2層の遅相軸の方位角の組み合わせ例を示す。下記表に示す通り、組み合わせは「i」、「ii」、「iii」、及び「iv」の4つに分類される。
【0057】
【表9】

【0058】
製造適性の観点、及び光学特性の観点からは、上記分類i〜ivは、以下に示す分類ia〜ivaであるのが好ましい。
【0059】
【表10】

【0060】
製造適性の観点、及び光学特性の観点からは、上記分類i〜ivは、以下に示す分類ib〜ivbであるのがより好ましい。
【0061】
【表11】

【0062】
製造適性の観点からは、上記分類i〜ivは、以下に示す分類ic〜ivcであるのがさらに好ましい。製造適性の観点で好ましい理由については、3D表示装置用パターン光学素子について、Ic〜IVcが好ましい理由と同様である。
【0063】
【表12】

【0064】
上記ic〜ivcの分類それぞれに属する光学素子の例には、以下の表に記載の光学素子がそれぞれ含まれる。最右欄の番号は、各例を特定するための番号である。
【0065】
【表13】

【0066】
また、光学特性の観点からは、上記分類I〜IVは、以下に示す分類id〜ivdであるのがさらに好ましく、以下に示す分類ie〜iveであるのが特に好ましい。光学特性の観点で好ましい理由については、3D表示装置用パターン光学素子について、Id〜IVdさらにはIe〜IVeが好ましい理由と同様である。
【0067】
【表14】

【0068】
【表15】

【0069】
上記ie〜iveの分類それぞれに属する光学素子の例には、以下の表に記載の光学素子がそれぞれ含まれる。最右欄の番号は、各例を特定するための番号である。
【0070】
【表16】

【0071】
<パターン光学素子とメガネの光学素子の組み合わせの分類番号>
また、上記した通り、本発明のパターン光学素子を有する3D画像表示装置と、本発明のメガネとを組み合わせることによって、より高い効果を得ることができる。以下の表に、本発明の本発明のパターン光学素子と、本発明のメガネとの組み合わせ例を示す。
なお、上記表に示したパターン光学素子I〜IVの4種と、メガネの光学素子i〜ivの4種との組み合わせは16通りあり、該組み合わせは、「I-i」のように、ローマ数字の大文字とローマ数字の小文字の組み合わせで表される。特になす角αが0°もしくは90°のときは、「I−i//」または「I−i⊥」のように、各々、平行、垂直を表す記号「//」、「⊥」をローマ数字の大文字とローマ数字の小文字の組み合わせに添えて表記することがある。
【0072】
【表17】

【0073】
【表18】

【0074】
【表19】

【0075】
【表20】

【0076】
【表21】

【0077】
【表22】

【0078】
【表23】

【0079】
【表24】

【0080】
【表25】

【0081】
【表26】

【0082】
【表27】

【0083】
さらに、上記組み合わせの分類の例には、以下の表に記載の例が含まれる。
【0084】
【表28】

【0085】
【表29】

【0086】
【表30】

【0087】
【表31】

【0088】
本発明のパターン光学素子、及び本発明に用いられる第1及び第2の光学素子の材料及びその製造方法については特に制限はない。
【0089】
λ/2層及びλ/4層:
λ/2層及びλ/4層の材料については特に制限はなく、液晶組成物の配向を固定してなる位相差層、及び延伸フィルム等の位相差フィルムを利用することができる。パターン光学素子では、λ/2層、λ/4層のパターニングが必要であるので、パターニングが容易であるという観点では、液晶組成物の配向を固定してなる位相差層を利用するのが好ましい。
【0090】
パターンλ/2層及びパターンλ/4層は、配向膜を利用した種々の方法で形成でき、その製法については特に制限はない。
第1の態様は、液晶の配向制御に影響を与える複数の作用を利用し、その後、外部刺激(熱処理等)によりいずれかの作用を消失させて、所定の配向制御作用を支配的にする方法である。例えば、配向膜による配向制御能と、液晶組成物中に添加される配向制御剤の配向制御能との複合作用により、液晶を所定の配向状態とし、それを固定して一方の位相差領域を形成した後、外部刺激(熱処理等)により、いずれかの作用(例えば配向制御剤による作用)を消失させて、他の配向制御作用(配向膜による作用)を支配的にし、それによって他の配向状態を実現し、それを固定して他方の位相差領域を形成する。例えば、所定のピリジニウム化合物又はイミダゾリウム化合物は、ピリジニウム基又はイミダリウム基が親水的であるため前記親水的なポリビニルアルコール配向膜表面に偏在する。特に、ピリジニウム基が、さらに、水素原子のアクセプターの置換基であるアミノ基が置換されていると、ポリビニルアルコールとの間に分子間水素結合が発生し、より高密度に配向膜表面に偏在すると共に、水素結合の効果により、ピリジニウム誘導体がポリビニルアルコールの主鎖と直交する方向に配向するため、ラビング方向に対して液晶の直交配向を促進する。前記ピリジニウム誘導体は、分子内に複数個の芳香環を有しているため、前述した、液晶、特にディスコティック液晶との間に強い分子間π−π相互作用が起こり、ディスコティック液晶の配向膜界面近傍における直交配向を誘起する。特に、親水的なピリジニウム基に疎水的な芳香環が連結されていると、その疎水性の効果により垂直配向を誘起する効果も有する。しかし、その効果は、ある温度を超えて加熱すると、水素結合が切断され、前記ピリジニウム化合物等の配向膜表面における密度が低下し、その作用を消失する。その結果、ラビング配向膜そのものの規制力により液晶が配向し、液晶は平行配向状態になる。この方法の詳細については、特願2010−141345号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0091】
第2の態様は、パターン配向膜を利用する態様である。この態様では、互いに異なる配向制御能を有するパターン配向膜を形成し、その上に、液晶組成物を配置し、液晶を配向させる。液晶は、パターン配向膜のそれぞれの配向制御能によって配向規制され、互いに異なる配向状態を達成する。それぞれの配向状態を固定することで、配向膜のパターンに応じて第1及び第2の位相差領域のパターンが形成される。パターン配向膜は、印刷法、ラビング配向膜に対するマスクラビング、光配向膜に対するマスク露光等を利用して形成することができる。また、配向膜を一様に形成し、配向制御能に影響を与える添加剤(例えば、上記オニウム塩等)を別途所定のパターンで印刷することによって、パターン配向膜を形成することもできる。大掛かりな設備が不要である点や製造容易な点で、印刷法を利用する方法が好ましい。この方法の詳細については、特願2010−173077号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0092】
また、第1及び第2の態様を併用してもよい。一例は、配向膜中に光酸発生剤を添加する例である。この例では、配向膜中に光酸発生剤を添加し、パターン露光により、光酸発生剤が分解して酸性化合物が発生した領域と、発生していない領域とを形成する。光未照射部分では光酸発生剤はほぼ未分解のままであり、配向膜材料、液晶、及び所望により添加される配向制御剤の相互作用が配向状態を支配し、液晶を、その遅相軸がラビング方向と直交する方向に配向させる。配向膜へ光照射し、酸性化合物が発生すると、その相互作用はもはや支配的ではなくなり、ラビング配向膜のラビング方向が配向状態を支配し、液晶は、その遅相軸をラビング方向と平行にして平行配向する。前記配向膜に用いられる光酸発生剤としては、水溶性の化合物が好ましく用いられる。使用可能な光酸発生剤の例には、Prog. Polym. Sci., 23巻、1485頁(1998年)に記載の化合物が含まれる。前記光酸発生剤としては、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく用いられる。この方法の詳細については、特願2010−289360号明細書に記載があり、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0093】
偏光子:
本発明に利用する偏光子についても特に制限はない。一般的な吸収型偏光子を用いることができ、例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を利用した染料系偏光膜、及びポリエン系偏光膜のいずれも用いることができる。ヨウ素系偏光膜、及び染料系偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素又は二色性染料を吸着させ、延伸することで作製される。
【0094】
支持体:
本発明の光学素子は、前記λ/2層及びλ/4層を支持する透明支持体を有していてもよい。種々のポリマーフィルムを支持体として用いることができる。但し、光学特性に影響を与えないように、低Re及び低Rthのポリマーフィルムを用いるのが好ましい。
【0095】
反射防止層:
本発明の光学素子は、λ/4層の表面上に、反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では基材フィルム上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層又は基材フィルム上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。これは、特に3D画像を表示する場合に、外光反射によるフリッカが発生してしまうのを効果的に防ぐことができるからである。上記反射防止層は、さらにハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を有していてもよい。上記反射防止層を構成する各層の詳細については、特開2007−254699号公報の[0182]〜[0220]に記載があり、本発明に利用可能な反射防止層についても好ましい特性、好ましい材料等について、同様である。
【0096】
前記基材フィルムは、上記λ/2層又はλ/4層の支持体と同様、種々のポリマーフィルムを利用できるが、上記λ/4層の透明支持体を兼ねていてもよい。基材フィルムについても、光学特性に影響を与えないように、低Re及び低Rthのポリマーフィルムを用いるのが好ましい。
【0097】
3.3D画像表示装置及び3D画像表示システム
本発明は、表示素子と、その視認側表面に配置される本発明のパターン光学素子とを有する3D画像表示装置に関する。
また、本発明は、本発明の3D画像表示装置と、前記3D画像表示装置に表示される右眼用及び左眼用の偏光画像のそれぞれを、観察者の右眼及び左眼にそれぞれ入射させるためのメガネとを有する3D画像表示システムに関する。前記メガネが、本発明のメガネであるのが好ましく、本発明の光学素子と本発明のメガネとの好ましい組み合わせについては、上記の通りである。
【0098】
本発明において、表示素子についてはなんら制限はない。例えば、液晶層を含む液晶パネルであっても、有機EL層を含む有機EL表示パネルであっても、プラズマディスプレイパネルであってもよい。いずれの態様についても、種々の可能な構成を採用することができる。
【0099】
液晶セル:
本発明の3D用画像表示システムに用いられる3D用画像表示装置に利用される液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、又はTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、及び特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
【0100】
なお、画像素子として液晶パネルを利用する態様では、本発明のパターン光学素子を液晶セル内に配置する、いわゆるインセルの形態であってもよい。
【実施例】
【0101】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0102】
1.評価に使用した用語の意義
<明視野>
本明細書において、明視野とは、白色光を、偏光子が積層されたパターン光学素子の第2の領域を「偏光子→λ/4層」の向きに透過させ、さらに、第1の光学素子を「λ/4層→偏光子」の向きに透過させた後に観察される光の状態、もしくは、白色光を、パターン光学素子の第1の領域を「偏光子→λ/4層」の向きに透過させ、さらに、第2の光学素子を「λ/4層→偏光子」の向きに透過させた後に観察される光の状態をいう。明視野は白色であるのが好ましく、黄色味をおびるのは好ましくない。明視野は、5点から0点まで6段階で評価し、評価5点が白色で最も好適であり、評価の点数が小さくなるにつれて黄色味をおび、評価0点は最も好ましくない。
【0103】
<暗視野>
本明細書において、暗視野とは、白色光を、偏光子が積層されたパターン光学素子の第2の領域を「偏光子→λ/4層」の向きに透過させ、さらに、第2の光学素子2を「λ/4層→偏光子」の向きに透過させた後に観察される光の状態、もしくは、白色光を、パターン光学素子の第1の領域を「偏光子→λ/4層」の向きに透過させ、さらに、第1の光学素子を「λ/4層→偏光子」の向きに透過させた後に観察される光の状態をいう。暗視野は黒色であるのが好ましく、紫色味をおびるのは好ましくない。暗視野は、5点から0点まで6段階で評価し、評価5点が黒色で最も好適であり、評価の点数が小さくなるにつれて紫色味をおび、評価0点は最も好ましくない。
【0104】
<通常使用時>
本明細書において、通常使用時とは、視聴者がメガネをかけた状態で、表示装置面とメガネ面が略平行であって、かつ、メガネのブリッジ部位の方向が略水平方向である場合の使用形態である。
【0105】
<90°傾斜時>
本明細書において、90°傾斜時とは、視聴者がメガネをかけた状態で、表示装置面とメガネ面が略平行であって、かつ、メガネのブリッジ部位の方向が略鉛直方向である場合の使用形態である。
【0106】
<総合評価>
実施例の総合評価とは、明視野の評価点と暗視野の評価点の総和である。評価10から0まで11段階で評価する。総合評価10点は、明視野が白色、かつ、暗視野が黒色で、最も好適であり、0点は、明視野が黄色味が強く、かつ、暗視野が紫色味が強く、最も好ましくない。通常使用時の総合評価が高いほど好ましく、さらには、通常使用時の総合評価と90°傾斜時の総合評価がともに高いことが最も好ましい。
【0107】
2.パターン光学素子の準備
マスク露光処理により作製したパターン光配向膜、マスクラビング処理により作製したパターンラビング配向膜、又は上記した、添加剤等と配向膜との相互作用のON−OFFを利用して形成されたパターン配向膜等を種々利用して、液晶組成物の配向を制御し、配向状態を固定することで、パターンλ/2層及びパターンλ/4層をそれぞれ形成し、下記表に記載の構成のパターン光学素子をそれぞれ作製した。なお、λ/2層及びλ/4層はポリマーフィルムに支持された状態で積層したが、ポリマーフィルムのRe及びRthはほぼ0に近く、光学特性への影響はほとんどなかった。また、液晶組成物には、重合性棒状液晶または重合性ディスコティック液晶を利用し、所望により配向制御のための添加剤を添加し、また重合を進行させるための重合開始剤も添加した。
【0108】
市販のVAモード液晶表装置の視認側偏光子のさらに外側に、上記で作製した各パターン光学素子を、下記表に記載の軸関係で積層した。なお、使用したVAモード液晶表示装置の視認側に配置される偏光子の吸収軸は、画像表示面左右方向であったので、下記表の例では、基準方位軸Aは画像表示面左右方向である。
【0109】
【表32】

【0110】
3.メガネの作製
ラビング配向膜を種々利用して、液晶組成物の配向を制御し、配向状態を固定することで、λ/4層及びλ/2層をそれぞれ形成し、さらに偏光子と積層することで、下記表に記載の構成の第1及び第2の光学素子をそれぞれ作製した。これらの光学素子を、それぞれを右眼又は左眼用として配置したメガネをそれぞれ作製した。なお、λ/2層及びλ/4層はポリマーフィルムに支持された状態で積層したが、ポリマーフィルムのRe及びRthはほぼ0に近く、光学特性への影響はほとんどなかった。また、液晶組成物には、重合性棒状液晶または重合性ディスコティック液晶を利用し、所望により配向制御のための添加剤を添加し、また重合を進行させるための重合開始も添加した。又、偏光子としては、延伸処理したポリビニルアルコールのフィルムを、ヨウ素で染色した吸収型偏光子を用いた。
【0111】
なお、下記表中のβは、メガネのブリッジ方向に対する基準方位角Bのなす角を意味する。
【0112】
【表33】

【0113】
上記作製した各3D画像表示装置と、メガネとを下記表に示す通りに組み合わせ、3D表示システムをそれぞれ作製した。これらについて、通常使用時、90°傾斜時の明視野及び暗視野の色味を上記通りに評価し、さらに上記通り総合評価した。結果を下記表に示す。
【0114】
なお、下記表中のβは、メガネのブリッジ方向に対する基準方位角Bのなす角を意味する。下記表に示す例では、基準方位軸Aは画像表示面左右方向(水平方向)であり、通常使用時はブリッジ方向は水平方向であるため、通常使用時に限り、βは、基準方位軸Aと基準方位軸Bのなす角αと同じと見なせる。
【0115】
【表34】

【0116】
<実施例の結果>
従来のパターン光学素子を搭載した3D画像表示装置(比較例1)と従来の光学素子を搭載したメガネ(比較例2)を組み合わせた比較例3の3D画像表示システムでは、通常使用時は、明視野部は白色で評価5であるが、暗視野部の紫色味が非常に強く評価0である。この結果、比較例3の組み合わせでは、通常使用で、両目で観察した場合、紫色味が強い表示となり、総合評価は5である。
また、比較例3の組み合わせでは、90°傾斜時は、暗視野は黒色で評価5であるが、明視野の黄色味が強く評価0である。この結果、比較例3の組み合わせでは、90°傾斜使用で、両目で観察した場合、黄色味が強い表示となり、総合評価は5である。
さらに、比較例3の組み合せでは、明視野の通常使用時(白:5点)と90°傾斜時(黄味強い:0点)の色の差が大きく、かつ、暗視野の通常使用時(紫味強い:0点)と90°傾斜時(黒:5点)の色の差が大きいため、首を傾斜したときの色ズレが大きく好ましくない。
【0117】
<本発明のメガネの効果>
従来のパターン光学素子を搭載した3D画像表示装置(比較例1)と本発明の実施例の光学素子を搭載したメガネ(実施例5、9、11、又は15)を組み合わせた、実施例17〜20の3D表示システムでは、通常使用時、90°傾斜時ともに、総合評価は6〜7であり、比較例3の組み合せの総合評価5より改善された。
さらに、実施例17〜20では、明視野、明視野ともに、通常使用時(3〜4点)と90°傾斜時(3〜4点)の色の差が小さく、首を傾斜したときの色ズレが、比較例3より改善された。
実施例17〜20の組み合わせの中では、実施例5、又は9のメガネを使用した実施例17又は18の組み合わせ(総合評価6点)より、実施例11、又は15のメガネを使用した実施例19又は20組み合わせ(総合評価7点)のほうが、総合評価が高く、色ズレを抑制するうえではより好ましい。
【0118】
<本発明のパターン光学素子の効果>
本発明のパターン光学素子を搭載した3D画像表示装置(実施例1〜4)と従来の光学素子を搭載したメガネ(比較例2)を組み合わせた実施例21〜24では、通常使用時、90°傾斜時ともに、総合評価は7〜8であり、比較例3の組み合せの総合評価5より改善された。
さらに、実施例21〜24では、明視野、明視野ともに、通常使用時(3〜4点)と90°傾斜時(3〜4点)の色の差が小さく、首を傾斜したときの色ズレが、比較例3より改善された。
実施例21〜24の組み合わせの中では、実施例1又は2のパターン光学素子を使用した実施例21又は22の組み合わせ(総合評価7点)より、実施例3又は4のパターン光学素子を使用した実施例23又は24の組み合わせ(総合評価8点)のほうが、総合評価が高く、色ズレを抑制するうえではより好ましい。
【0119】
<本発明のパターン光学素子と本発明のメガネの組み合わせの効果>
本発明のパターン光学素子を搭載した表示装置(実施例1〜4)と本発明の光学素子を搭載したメガネ(実施例5〜16)を組み合わせた実施例25〜36では、通常使用時の総合評価が8〜10、90°傾斜時の総合評価が7〜9であり、比較例3の組み合せの総合評価5より大きく改善された。
さらに、実施例25〜36の組み合わせでは、明視野、明視野ともに、通常使用時(3〜5点)と90°傾斜時(3〜5点)の色の差が小さく、首を傾斜したときの色ズレが、比較例3の組み合わせより改善された。
実施例25〜36の組み合わせの中では、実施例1又は2のパターン光学素子を使用した実施例25〜30の組み合わせ(総合評価7〜9点)より、実施例3又は4のパターン光学素子を使用した実施例30〜36の組み合わせ(総合評価8〜10点)の方が、色ズレを抑制するうえではより好ましい。
通常使用に限定した場合、実施例25〜30の組み合わせの中では、実施例1のパターン光学素子を使用した実施例25〜28の組み合わせ(総合評価8点)より、実施例2のパターン光学素子を使用した実施例29〜30の組み合わせ(総合評価9点)の方が、色ズレを抑制するうえではより好ましい。
さらに、通常使用に限定した場合、実施例31〜36の組み合わせの中では、実施例3のパターン光学素子を使用した実施例31〜34の組み合わせ(総合評価9点)より、実施例4のパターン光学素子を使用した実施例35〜36の組み合わせ(総合評価10点)の方が、色ズレを抑制するうえではより好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準方位軸Aに対して、
遅相軸の方位角θ1が0〜90°の範囲にあり、且つ波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)がλ/2である第1のλ/2領域、及び遅相軸の方位角φ1が90〜180°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2である第2のλ/2領域を含むパターンλ/2層と、
遅相軸の方位角が(2θ1+45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第1のλ/4領域、及び遅相軸の方位角が(2φ1−45)°であり、且つRe(550)がλ/4である第2のλ/4領域を含むパターンλ/4層とを、
第1のλ/2領域と第1のλ/4領域、及び第2のλ/2領域と第2のλ/4領域とを対応させて積層してなる光学素子。
【請求項2】
前記パターンλ/2層の表面上に、基準方位軸Aに対して、吸収軸の方位角α1が0°である偏光子をさらに有する請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
方位角θ1が10〜25°又は65〜80°、方位角φ1が100〜115°又は155〜170°である請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項4】
方位角θ1が20〜25°又は65〜70°、方位角φ1が110〜115°又は155〜160°である請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項5】
方位角θ1が12〜18°又は72〜78°、方位角φ1が102〜108°又は162〜168°である請求項1又は2に記載の光学素子。
【請求項6】
表示素子と、その視認側表面に配置される請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子とを有する3D画像表示装置。
【請求項7】
基準方位軸Bに対して、
遅相軸の方位角が(2θ2+45)°であり、且つ波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)がλ/4であるλ/4層と、
遅相軸の方位角θ2が0〜90°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2であるλ/2層と、
吸収軸の方位角α2が0°である偏光子とを、
この順で積層してなる第1の光学素子;及び
基準方位軸Bに対して、
遅相軸の方位角が(2φ2−45)°であり、且つRe(550)がλ/4であるλ/4層と、
遅相軸の方位角φ2が90〜180°の範囲にあり、且つRe(550)がλ/2であるλ/2層と、
吸収軸の方位角α2が0°である偏光子とを、
この順で積層してなる第2の光学素子;
のいずれか一方を右眼用に、他方を左目用に配置してなるメガネ。
【請求項8】
方位角θ2が10〜25°又は65〜80°、方位角φ2が100〜115°又は155〜170°である請求項7に記載のメガネ。
【請求項9】
方位角θ2が20〜25°又は65〜70°、方位角φ2が110〜115°又は155〜160°である請求項7に記載のメガネ。
【請求項10】
方位角θ2が12〜18°又は72〜78°、方位角φ2が102〜108°又は162〜168°である請求項7に記載のメガネ。
【請求項11】
請求項6に記載の3D画像表示装置と、
前記3D画像表示装置に表示される右眼用及び左眼用の偏光画像のそれぞれを、観察者の右眼及び左眼にそれぞれ入射させるためのメガネと、
を有する3D画像表示システム。
【請求項12】
前記メガネが、請求項7〜10のいずれか1項に記載のメガネである請求項11に記載の3D画像表示システム。
【請求項13】
基準方位軸Aと基準方位軸Bのなす角が、0°又は90°である請求項12に記載の3D画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−208196(P2012−208196A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72008(P2011−72008)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】