説明

光学素子および浮上型光ヘッド

【課題】小型化および省電力化を図る上で有利な光学素子および浮上型光ヘッドを提供する。
【解決手段】光学素子10は、第1光学素子12と、レンズ14と、液晶装置15と、第2光学素子18とを備えている。液晶装置15は、第1電極2602と第2電極2604に駆動電圧が印加されることにより、第2面1204および第3面1802の面に沿って液晶層16を構成する液晶素子の姿勢の変化に分布を持たせるとともに、前記電圧を変化させることによってレンズ14の焦点距離の調節が可能となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学素子および浮上型光ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクの回転により生じる空気流を利用して光ディスク上に光ヘッドを浮上させるいわゆる浮上スライダータイプの光ヘッド(以下浮上型光ヘッドという)を有する光ピックアップが提案されている。
このような光ピックアップとして、図7に示すように、第1屈折率を有する第1光学材料で形成された第1光学素子1と、第1光学素子1に形成された凹部2に前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する第2光学材料を充填することで構成された対物レンズ3とを有する光学素子4を用い、光源5から出射された光ビームを光学素子4を用いて光ディスク50に導くものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
このような光ピックアップにおいては、対物レンズ3の光軸上に配置されたコリメータレンズ5を光軸方向に動かすことによって対物レンズ3の焦点距離を制御していた。
【特許文献1】特開2002-251770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような光学素子4を用いた従来の光ピックアップでは、コリメータレンズ5が可動できるスペースを設ける必要があり、光ピックアップの小型化を図る上で不利があった。
また、焦点距離制御の際にコリメータレンズ5をアクチュエータで動かすため、アクチュエータによる電力消費が大きく、また、コリメータレンズ5の移動方向によっては、対物レンズ3への入射光が発散光となり対物レンズ3によって光ビームが蹴られてしまい光ディスク面に到達する光ビームパワーが削られて光の利用効率が低下してしまうことから光ビームを出射する光源の出射パワーを大きくする必要があり省電力化を図る上で不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、小型化および省電力化を図る上で有利な光学素子および浮上型光ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明は、第1屈折率を有する第1光学材料で形成された第1光学素子と、前記第1光学素子に形成された凹部に前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する第2光学材料を充填することで構成されたレンズとを有する光学素子であって、前記レンズの光軸が通る前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所に印加される駆動電圧により前記レンズの焦点距離の調節を可能とした液晶装置が設けられ、前記液晶装置を前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所との間で挟む第2光学素子が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、第1屈折率を有する第1光学材料で形成された第1光学素子と、前記第1光学素子に形成された凹部に前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する第2光学材料を充填することで構成されたレンズとを有する光学素子と、前記第1光学素子に設けられた浮上用レールとを備えた浮上型光ヘッドであって、前記光学素子は、前記レンズの光軸が通る前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所に印加される駆動電圧により前記レンズの焦点距離の調節を可能とした液晶装置が設けられ、前記液晶装置を前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所との間で挟む第2光学素子が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
そのため、本発明によれば、レンズの光軸が通る第1光学素子の箇所またはレンズの箇所に印加される駆動電圧によりレンズの焦点距離の調節を可能とした液晶装置が設けられ、液晶装置を第1光学素子の箇所またはレンズの箇所との間で挟む第2光学素子が設けられているので液晶装置により前記レンズの焦点距離の調整を行うことができる。
したがって、このような光学素子を用いて光ピックアップを構成し第1光学素子に形成されたレンズを光ビームを光ディスクの記録面に導く対物レンズとして使用した場合、従来のように光学素子の他にコリメータレンズを設けこのコリメータレンズをその光軸方向に動かす必要がない。
そのため、コリメータレンズが可動できるスペースを設ける必要がなく、光ピックアップの小型化を図る上で有利となる。
また、コリメータレンズを動かすアクチュエータによる電力消費に比較して液晶と内を駆動するために必要な電力消費は僅かであり、また、コリメータレンズの位置による光ビームのけられに対応して光源の出射パワーを大きくする必要がないため、省電力化を図る上で有利となる。
また、コリメータレンズを動かす可動部がないことにより振動等の外乱に強くなり特に携帯用の光ディスクドライブに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
小型化および省電力化を図るという目的を、光学素子のレンズの光軸が通る第1光学素子の箇所またはレンズの箇所に液晶層を設け、液晶層を第2光学素子により第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所との間で封入することによって実現した。
【実施例1】
【0007】
次に本発明の実施例1について図面を参照して説明する。
図1は実施例1の光学素子の構成を示す説明図である。
図1に示すように、光学素子10は、第1光学素子12と、レンズ14と、液晶装置15と、第2光学素子18とを備えている。
第1光学素子12は、第1屈折率N1を有する第1光学材料20で形成され、本実施例では透明な光学ガラスで形成され、均等な厚さを有する矩形板状を呈している。
第1光学素子12の厚さ方向の両側には平坦な平面で構成された第1面1202と第2面1204が互いに平行に設けられ、第1面1202の中央には第1面1202に対して回転対称あるいはほぼ回転対称の凹部1206が設けられている。
凹部1206には、第1屈折率N1とは異なる第2屈折率N2を有する第2光学材料22が充填されている。第2光学材料22は、本実施例では酸化タンタルや酸化ニオブあるいは酸化チタンなどのように前記光学ガラスよりも高い屈折率を有する透明材料で構成されている。
レンズ14は、凹部1206に充填された第2光学材料22によって構成され、レンズ14の第1面1202に臨む面は第1面1202とほぼ同一面となる平面をなしている。
【0008】
第2光学素子18は、第1光学素子12と同形同大の輪郭を有する矩形板状を呈し、本実施例では第1光学素子12と同じ材質の光学ガラスで形成されている。
第2光学素子18の厚さ方向の両側には平坦な平面で構成された第3面1802と第2面1804が互いに平行に設けられている。
第2光学素子18は、第3面1802が第1光学素子12の第2面1204と間隔をおいて平行し、かつ、第1光学素子12と第2光学素子18の輪郭が合致するように設けられている。
【0009】
液晶装置15はレンズ14の光軸が通る第1光学素子12の箇所に設けられ、第1光学素子12と第2光学素子18との間に挟まれている。
液晶装置15は、第1電極2602と、第2電極2604と、これら第1、第2電極2602,2604に挟まれた液晶層16とを有している。
本実施例では、第1電極2602は第1光学素子12の第2面1204に形成され、第2電極2604は第2光学素子18の第3面1802に形成されている。
これら第1、第2電極2602,2604は、ITO膜、酸化錫、酸化インジューム膜、あるいは金属膜などで形成された透明電極として構成されている。
液晶層16は、本実施例ではネマティック型液晶によって構成され、第1光学素子12の第2面1204と第2光学素子18の第3面1802との間に封入され、第1光学素子12および第2光学素子18の外周部はシール材24で封止されている。
したがって、液晶層16は第2光学素子18により第1光学素子12の箇所との間で第1電極2602と第2電極2604との間に封入されている。
【0010】
液晶装置15についてさらに説明する。
本実施例では、液晶装置15は、第1電極2602と第2電極2604に駆動電圧が印加されることにより第2面1204および第3面1802の面に沿って液晶層16を構成する液晶素子の姿勢の変化に分布を持たせるとともに、前記電圧を変化させることによってレンズ14の焦点距離の調節が可能となるように構成されている。
第1電極2602は、第2面1204に沿って延在する矩形状の平面電極として構成されている。
第2電極2604は、図2に示すように、レンズ14の光軸を中心とする半径の異なる同心円上に延在する複数の円環状の第1電極パターン28と、前記円の直径に沿って直線状に延在しこれら複数の第1電極パターン28と電気的に接続される第2電極パターン30とを有している。
また、各第1電極パターン28は、前記円の中心を通り第2電極パターン30の延在方向と直交する方向に延在する仮想線と交差する部分のパターンが除去されており、同一半径上に延在する第1電極パターン28は前記パターンが除去された部分で2つに分離されている。
また、各第1電極パターン28は、抵抗が低い材料(例えばITO膜)で形成され、第2電極パターン30は抵抗の大きい材料(例えば金属)で形成されている。
第2電極パターン30の両端3002,3004に電圧を印加すると、第2電極パターン30が抵抗を持つことから第2電極パターン30の長手方向に沿って電圧が徐々に低下する(上昇する)電圧分布が生じる。
これにより、第2電極パターン30につながっている各第1電極パターン28にも、第1電極パターン28が並ぶ順番にしたがって徐々に電圧が低下(上昇)する電圧分布が生じることになる。これにより、液晶層16に第2面1204および第3面1802の面に沿って電圧分布を持たせることができ、この電圧分布を、液晶層16を構成する液晶素子の姿勢の変化の分布によりレンズを形成するように設定することで液晶層16をレンズとして機能させることができる。
また、第2電極パターン30の両端3002,3004に印加する電圧を変化させることによって液晶装置15によってレンズ14の焦点距離を調整することができる。
【0011】
本実施例によれば、レンズ14の光軸が通る第1光学素子12の箇所に印加される駆動電圧により印加される駆動電圧によりレンズの焦点距離の調節を可能とした液晶装置15が設けられ、液晶装置15を第2光学素子18により第1光学素子12の箇所との間で挟んだので、液晶装置15によってレンズ14の焦点距離を調整することができる。
したがって、このような光学素子10を用いて光ピックアップを構成しレンズ14を光ビームを光ディスクの記録面に導く対物レンズとして使用した場合、従来のように光学素子10の他にコリメータレンズを設けこのコリメータレンズをその光軸方向に動かす必要がない。
そのため、コリメータレンズが可動できるスペースを設ける必要がなく、光ピックアップの小型化を図る上で有利となる。
また、コリメータレンズを動かすアクチュエータによる電力消費に比較して液晶装置15を駆動するために必要な電力消費は僅かであり、また、コリメータレンズの位置による光ビームのけられに対応して光源の出射パワーを大きくする必要がないため、省電力化を図る上で有利となる。
また、コリメータレンズを動かす可動部がないことにより振動等の外乱に強くなり特に携帯用の光ディスクドライブに適している。
また、液晶装置15による焦点距離の調整範囲は、コリメータレンズを動かす場合に比較して小さいものの、例えば浮上ヘッド等に装着されるような光ヘッドで必要とされる焦点距離の調整範囲を実現するためには十分である。
【実施例2】
【0012】
次に本発明の実施例2について図面を参照して説明する。
実施例2が実施例1と異なるのは、第2電極2604の形状である。
図3は実施例2の第2電極2604の形状を示す説明図である。
図3に示すように、第2電極2604は、矩形状の電極パターン32を有し、電極パターン32にはレンズ14の光軸を中心とする円形の孔34が形成されている。
このような電極パターン32からなる第2電極2604を設けた場合、液晶層16において電極パターン32に沿って不均一な電界を生じて電圧分布が変化し、液晶層16をレンズとして機能させることができる。
実施例2では、円形の孔34の直径と第1電極2602と第2電極2604に印加する電圧との双方が液晶層16における屈折率の分布がレンズとして機能するために最適な条件となる範囲では、液晶層16によって構成されるレンズも特に優れたレンズ特性を示すので、円形の孔34の直径と第1電極2602と第2電極2604に印加する電圧との双方が前記範囲となるように設定することが望ましい。
このような実施例2においても実施例1と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【実施例3】
【0013】
次に本発明の実施例3について図面を参照して説明する。
実施例3が実施例1と異なるのは、第1電極と第2電極との距離をこれら電極が広がる面に沿って変化させることで液晶層をレンズとして機能させた点である。
図4は実施例3の光学素子10′の構成を示す説明図であり、以下実施例1と同様の部分には同一の符号を付して説明する。
図4に示すように、光学素子10′の第2光学素子18は、液晶層16に面する内側基板1820と、液晶層16と反対側に設けられた外側基板1822とが重ね合わされて構成されている。
内側基板1820は、第2光学素子18の第3面1802を構成する面と、レンズ14の光軸を中心とする回転対称となる凸面1824とを有している。
外側基板1822は、第2光学素子18の第4面1804を構成する面と、レンズ14の光軸を中心とする回転対称な凹面1826とを有し、凸面1824と凹面1826とが合わされるように構成されている。
第2電極2604は内側基板1820と外側基板1822の間、すなわち、凸面1824と凹面1826の間に形成されている。
したがって、第2電極2604は、凸面1824と凹面1826に沿って延在することになり、第1電極2602と第2電極2604との距離は、レンズ14の光軸が通る箇所の距離が最大となり、レンズ14の光軸が通る箇所の外周に至るに従って第1電極2602と第2電極2604との距離が次第に連続的に短くなる。
このような構成によれば、第1電極2602と第2電極2604間の距離を各電極が広がる面に沿って次第に連続的に変化させることにより、液晶層16にかかる電界の分布に連続的な変化をもたせることができ、液晶層16をレンズとして機能させることができる。
このような実施例3においても実施例1と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【実施例4】
【0014】
ところで、光ディスクの記録および/または再生を行う光ピックアップにおいては、半導体レーザ光の利用効率を高めるために偏光分離光学系を利用することが多い。
このため光ディスクへの入射光は円偏光であることが望ましい場合がある。半導体レーザの出力光は直線偏光であるため、直線偏光を円偏光に変換するために1/4波長板を用いることが多い。
一方、液晶層をレンズとして機能させるためには、光ビームが直線偏光である必要がある。このため、偏光分離光学系を利用する場合には、1/4波長板は液晶層と光ディスクの記録面の間に挿入しなければならないという条件がある。
このような条件を満足した光学素子を示す実施例4について図面を参照して説明する。
実施例4が実施例1と異なるのは液晶装置15が1/4波長板を介して第1光学素子12に箇所と第2光学素子18との間に挟まれている点である。
図5は実施例4の光学素子10″の構成を示す説明図である。
図5に示すように、1/4波長板36は第1、第2光学素子12,18と同形同大の輪郭を有する矩形板状を呈し、レンズ14の光軸が通る第1光学素子12の箇所に設けられ、液晶装置15は、1/4波長板36を介して第1光学素子12の箇所と第2光学素子18との間で挟まれている。
1/4波長板36の厚さ方向の両側には平坦な平面で構成された第5面3602と第6面3604が互いに平行に設けられ、第5面3602が第1光学素子12の第2面1204に重ね合わせて接合されている。
第1電極2602は1/4波長板36が第2光学素子18に臨む第6面3604に設けられ、第2電極2604は第2光学素子18が1/4波長板36に臨む第3面1802に設けられている。
液晶層16は、1/4波長板36の第6面3604と第2光学素子18の第3面1802との間に封入され、第1光学素子12、第2光学素子18、1/4波長板36の外周部はシール材24で封止されている。
したがって、液晶層16は、第2光学素子18により1/4波長板36を介して第1光学素子12の箇所との間で第1電極2602と第2電極2604との間に封入されている。
そして、本実施例においても実施例1と同様に、第1電極2602と第2電極2604に駆動電圧が印加されることにより第2面1204および第3面1802の面に沿って液晶層16を構成する液晶素子の姿勢の変化に分布を持たせるとともに、前記電圧を変化させることによってレンズ14の焦点距離の調節が可能となるように構成されている。
このような構成によれば、直線偏向に偏光した光ビームLが第2光学素子18の第4面1804から入射されると、この光ビームLは、第2光学素子18の第3面1802から液晶層16に至りこの液晶層16によって実現されるレンズにより所望の焦点距離に選ばれた光ビームLが1/4波長板36に入射され円偏光に変換された後、レンズ14によって集光され光ディスク50の記録面上に焦点を結ぶ。
光ディスク50から反射した信号光としての光ビームLは円偏光の状態で、再びレンズ14、第1光学素子12を介して1/4波長板36を通過することによって直線偏光に変換される。
この1/4波長板36を通過した直線偏光の光ビームLの偏光方向は、初めに第2光学素子18の第4面1804に入射された直線偏光の光ビームLとは偏光方向が90度回転している。したがって、1/4波長板36を通過して液晶層16に入射する光ビームLは液晶層16にとって常光線となるため、この常光線としての光ビームLに対して、液晶層16はこの液晶層16への印加電圧値にかかわらず一定の屈折率を有するものとして機能する。
したがって、光ディスク50から反射した信号光としての光ビームL(戻り光)は、液晶層16に印加される電圧によって影響を受けない戻り光となり、図示しない信号検出系に導かれ電気信号に変換される。
このような構成によれば、偏光分離光学系を利用した光ピックアップに光学素子10″を適用するとともに、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施例では、第1光学素子12の第1、第2面1202,1204および第2光学素子18の第1、第2面1802,1804が平坦な平面で構成されているため、第1光学素子12および第2光学素子18に対する1/4波長板36と液晶層16の配置、位置決め、接合が極めて容易に行え、製造コストを低減する上で有利となる。
【実施例5】
【0015】
次に本発明の実施例5について図面を参照して説明する。
実施例5は実施例4の光学素子に浮上用レールを一体的に形成することで浮上型光ヘッドを構成したものである。
図6は実施例5の浮上型光ヘッドの構成を示す説明図である。
図6に示すように、浮上型光ヘッド70は、実施例4の光学素子10″の第1光学素子12に浮上スライダ80が取着されることで構成されている。
浮上スライダ80は、透明な光学部材で構成され、第1、第2光学素子12,18と同形同大の輪郭を有する矩形板状を呈し、厚さ方向の一側には平坦な平面で構成された第7面8002が設けられ、厚さ方向の他側には第7面8002と対向する第8面8004が設けられている。
第7面8002は、第2光学素子18の第1面1202と重ね合わされて接合されている。
第8面8004は、一対の辺部に沿って互いに平行して延在する2本の浮上用レール8006と、これら2本の浮上用レール8006で挟まれた溝部8008とが設けられている。
したがって、第1光学素子12に2本の浮上用レール8006が一体的に形成されていることになる。
このような浮上型光ヘッド70によれば、実施例4と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施例では、第1光学素子12の第1面1202、浮上スライダ80の第7面8002が平坦な平面で構成されているため、第1光学素子12に対する浮上スライダ80の配置、位置決め、接合が極めて容易に行え、製造コストを低減する上で有利となる。
【0016】
なお、上述した各実施例では、第1、第2光学素子12,18が光学ガラスである場合について説明したが第1、第2光学素子12,18は透明な合成樹脂であってもよい。
また、各実施例では、液晶装置15を第2光学素子18の箇所と第1光学素子12の第2面1204との間で挟んだ場合について説明したが、第1光学素子12の第1面1202側に第2光学素子18を設け、液晶装置15を第2光学素子18の箇所とレンズ14の箇所との間で封入してもよい。
また、実施例1〜実施例3の光学素子に対して実施例5と同様に浮上用レールを一体的に形成することで浮上型光ヘッドを構成できることは無論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の光学素子の構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の第2電極2604の構成を示す説明図である。
【図3】実施例2の第2電極2604の形状を示す説明図である。
【図4】実施例3の光学素子10′の構成を示す説明図である。
【図5】実施例4の光学素子10″の構成を示す説明図である。
【図6】実施例5の浮上型光ヘッドの構成を示す説明図である。
【図7】従来の光ピックアップの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
10、10′、10″……光学素子、12……第1光学素子、14……レンズ、15……液晶装置、16……液晶層、18……第2光学素子、20……第1光学材料、22……第2光学材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1屈折率を有する第1光学材料で形成された第1光学素子と、
前記第1光学素子に形成された凹部に前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する第2光学材料を充填することで構成されたレンズとを有する光学素子であって、
前記レンズの光軸が通る前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所に印加される駆動電圧により前記レンズの焦点距離の調節を可能とした液晶装置が設けられ、
前記液晶装置を前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所との間で挟む第2光学素子が設けられている、
ことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記液晶装置は、互いに対向し前記駆動電圧が印加される第1電極と第2電極と、これら第1、第2電極に挟まれた液晶層とを有し、前記液晶装置は前記レンズの光軸が通る第1光学素子の箇所に設けられ、前記第1電極は前記第1光学素子が前記第2光学素子に臨む面に形成され、前記第2電極は前記第2光学素子が前記第1光学素子に臨む面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項3】
前記液晶装置は、互いに対向し前記駆動電圧が印加される第1電極と第2電極と、これら第1、第2電極に挟まれた液晶層とを有し、前記液晶装置は前記レンズの光軸が通る第1光学素子の箇所に設けられ、前記第1電極は前記第1光学素子が前記第2光学素子に臨む面に形成され、前記第2光学素子は、前記液晶層に面する内側基板と、前記液晶層と反対側に設けられた外側基板とが重ね合わされて構成され、前記第2電極は前記内側基板と前記外側基板の間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項4】
前記レンズの光軸が通る前記レンズと前記液晶装置の間の箇所に1/4波長板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項5】
前記液晶装置は、互いに対向し前記駆動電圧が印加される第1電極と第2電極と、これら第1、第2電極に挟まれた液晶層とを有し、前記レンズの光軸が通る第1光学素子の箇所に1/4波長板が設けられ、前記液晶装置は前記1/4波長板を介して前記第1光学素子の箇所と前記第2光学素子との間で挟まれ、前記第1電極は前記1/4波長板が前記第2光学素子に臨む面に設けられ、前記第2電極は前記第2光学素子が前記1/4波長板に臨む面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項6】
第1屈折率を有する第1光学材料で形成された第1光学素子と、
前記第1光学素子に形成された凹部に前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有する第2光学材料を充填することで構成されたレンズとを有する光学素子と、
前記第1光学素子に設けられた浮上用レールとを備えた浮上型光ヘッドであって、
前記光学素子は、
前記レンズの光軸が通る前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所に印加される駆動電圧により前記レンズの焦点距離の調節を可能とした液晶装置が設けられ、
前記液晶装置を前記第1光学素子の箇所または前記レンズの箇所との間で挟む第2光学素子が設けられている、
ことを特徴とする浮上型光ヘッド。
【請求項7】
前記液晶装置は、互いに対向し前記駆動電圧が印加される第1電極と第2電極と、これら第1、第2電極に挟まれた液晶層とを有し、前記液晶装置は前記レンズの光軸が通る第1光学素子の箇所に設けられ、前記第1電極は前記第1光学素子が前記第2光学素子に臨む面に形成され、前記第2電極は前記第2光学素子が前記第1光学素子に臨む面に形成されていることを特徴とする請求項6記載の浮上型光ヘッド。
【請求項8】
前記液晶装置は、互いに対向し前記駆動電圧が印加される第1電極と第2電極と、これら第1、第2電極に挟まれた液晶層とを有し、前記液晶装置は前記レンズの光軸が通る第1光学素子の箇所に設けられ、前記第1電極は前記第1光学素子が前記第2光学素子に臨む面に形成され、前記第2光学素子は、前記液晶層に面する内側基板と、前記液晶層と反対側に設けられた外側基板とが重ね合わされて構成され、前記第2電極は前記内側基板と前記外側基板の間に形成されていることを特徴とする請求項6記載の浮上型光ヘッド。
【請求項9】
前記レンズの光軸が通る前記レンズと前記液晶装置の間の箇所に1/4波長板が設けられていることを特徴とする請求項6記載の浮上型光ヘッド。
【請求項10】
前記液晶装置は、互いに対向し前記駆動電圧が印加される第1電極と第2電極と、これら第1、第2電極に挟まれた液晶層とを有し、前記レンズの光軸が通る第1光学素子の箇所に1/4波長板が設けられ、前記液晶装置は前記1/4波長板を介して前記第1光学素子の箇所と前記第2光学素子との間で挟まれ、前記第1電極は前記1/4波長板が前記第2光学素子に臨む面に設けられ、前記第2電極は前記第2光学素子が前記1/4波長板に臨む面に設けられていることを特徴とする請求項6記載の浮上型光ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−4470(P2006−4470A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176861(P2004−176861)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】