説明

光学素子の製造方法

【課題】
従来のプラスチック成形に使用しているような安価な部材を用いて精密プレス成形ができるようにすることで、光学素子の製造コストを大幅に削減する。
【解決手段】
表面膜が形成された鉄鋼(ステンレス鋼を含む)及び/又は銅合金製の成形型を用いて、TeO成分及び/又はBi成分を必須に含有するガラスプリフォームを精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法を提供する。好ましくは前記表面膜は「Ni、Cr、Coからなる群より選択される1種以上」および「P、Bのいずれか一方又は両方」を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学分野においてニーズの高い光学恒数を有する光学素子を低コストで製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやプロジェクタなどの光学機器の分野においては、小型化、軽量化が要求され、それに伴い、光学素子の小型化、使用レンズ枚数の低減が課題となっている。
【0003】
通常、光学系を構成するレンズには、一般に球面レンズと非球面レンズがある。多くの球面レンズは、ガラス材料を冷間加工(研削・研磨等)することにより、或いはリヒートプレス成形して得られたガラス成形品を冷間加工することによって製造される。一方、非球面レンズは、加熱軟化した球形、楕円球又は扁平状プリフォームを、高精度な成形面をもつ金型でプレス成形し、金型の高精度な成形面の形状をプリフォーム材に転写して得る方法、すなわち、精密プレス成形によって製造されることが主流となっている。
【0004】
精密プレス成形によって、非球面レンズのようなガラス成形品を得るにあたっては、金型の高精度な成形面をガラスプリフォームに転写するために、加熱軟化させたプリフォームを高温環境下でプレスすることが必要である。従って、その際使用する金型も高温に曝され、また、金型に高いプレス圧力が加えられる。その結果として、プリフォームを加熱軟化させプレスする際に、金型の成形面に設けられている離型膜が損傷したりして金型の高精度な成形面が維持できなくなることが多く、また、金型自体も損傷し易い。そのようになると、金型を交換せざるを得ず、その結果として金型の交換回数が増加して、低コスト、大量生産を実現できなくなる。そこで、精密プレス成形に使用するプリフォームの素材となるガラスは、上記損傷を抑制し、金型の高精度な成形面を長く維持し、かつ、低いプレス圧力での精密プレス成形を可能にするという観点から、できるだけ低いガラス転移温度(Tg)を有することが望まれている。
【0005】
通常、光学ガラス材料の精密プレス成形に使用する金型は、高い耐熱性と高い強度とを有することからタングステンカーバイド等の超硬、サーメット、炭化ケイ素、結晶化ガラスの材料にて作製されている。
【0006】
また、その成形面には型とガラスの融着を防ぎ、離型性を向上させ、型の寿命を延ばすために表面膜(離型膜)が設けられる。表面膜としては種々な膜が公知であり、白金、イリジウム、レニウム、パラジウム、オスミウム等の貴金属膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、テトラヘドラルアモルファスカーボン(TAC)等の炭素膜、窒化クロム、窒化チタン等の窒化物膜が周知である。
【0007】
さらに、型膜の酸化による劣化を防ぐために、非酸化性雰囲気中において精密プレス成形を行うことも多い。
【0008】
このように、一般に光学ガラスを精密プレスするためには特殊な部品及び条件を要することが多く、その分、コストが高くなるという問題がある。
【0009】
特に、光学ガラスの精密プレス成形用型材として従来から使用されてきたタングステンカーバイド等の超硬合金製成形型では、材料の硬度が極めて大きく、そのため切削加工が困難でダイヤモンド砥石での研磨により表面形状を形成させる必要がある。しかしダイヤモンド砥石自体ですら摩耗してしまうこともあり、高精度な加工、例えば非球面形状の形成は困難で、光学素子に要求される精度を満たすのに非常に長い加工時間と手間を要する。
【0010】
前記手間のかかる研磨加工を用いず、切削加工が容易であり、高精度な型加工が比較的簡単にできる材料として鉄鋼、特にステンレス鋼等の金属材料が公知である。この金型は、主としてプラスチックレンズの射出成形の型材として使用され、比較的安価な材料として認知されている。しかしながら、ステンレス鋼等はガラスのプレス成形に必要な温度、例えば400℃以上の高温では変形しやすい上、ステンレス鋼型を400℃以上の高温で繰り返し使用すると酸化等により型表面が荒れるとともに、脆化することから、精密プレス成形用の型としては利用するのは不適当であるとされてきた。また、ステンレス鋼の金型は、その硬度がガラスをプレス成形するには十分でないことがあり、ガラスを高温でプレスした際に変形してしまうことがあった。
【0011】
このように、光学ガラスの精密プレス成形を、プラスチックレンズ成形で使用するような安価な部材を用いて行うためには、設備面、材料面における課題が多く、全く実用化されていない。
【0012】
ところで、光学ガラスの市場においては、光学系のコンパクト化のために、屈折率(nd)が2.0程度の高屈折率ガラスのニーズが高くなってきている。そして、この領域のガラスは、非球面レンズとして利用されるケースが非常に多く、かかるレンズを作製する際のコストを下げるための種々の研究がなされてきた。
【0013】
例えば、特開2003−48723(特許文献1)には、Teを含有するガラス素材のプレス成形方法が記載されている。
【特許文献1】特開2003−48723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1に記載の工程では、ガラスをタングステンカーバイトやセラミックスの型でプレス成形しているため、型の材料やその加工に非常に高いコストを要し、光学素子に要求される精度を満たすための加工には非常に長い時間と手間を要する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は従来技術の問題点を解消し、光学素子としてニーズの高まっているndが1.9以上、アッベ数(νd)が15以上のガラスを、従来のプラスチック成形に使用しているような安価な部材を用いて精密プレス成形ができるようにすることで、光学素子の製造コストを大幅に削減する製造方法を今般見出した。
【0016】
すなわち、本発明者はステンレス鋼等でプレス可能な熱的特性(ガラス転移点、屈伏点等)と、需要の大きい光学恒数を有するように組成を調整された光学ガラスプリフォームと、当該プリフォームのプレスに適した型材及び型膜を組み合わせて精密プレス成形することにより、極めて低コストにて量産できる方法を見出したのである。
【0017】
本発明の第1の構成は、表面膜が形成された鉄鋼(ステンレス鋼を含む)及び/又は銅合金製の成形型を用い、TeO及び/又はBi成分を必須に含有するガラスプリフォームを精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法である。
【0018】
本発明の第2の構成は、前記表面膜が「Ni、Cr、Coからなる群より選択される1種以上」および「P、Bのいずれか一方又は両方」を含有することを特徴とする前記構成1の製造方法である。
【0019】
本発明の第3の構成は、前記表面膜において「Ni、Cr、及びCoの合計量(質量%)」と「P及びBの合計量(質量%)」との比が、85:15〜99:1の範囲であることを特徴とする前記構成2の製造方法である。
【0020】
本発明の第4の構成は、前記表面膜の硬度が200(Hv)以上、厚みが0.5μm以上であることを特徴とする前記構成1〜3の製造方法である。
【0021】
本発明の第5の構成は、前記表面膜に有機物粉末、炭素系粉末、又はセラミックスを分散させることを特徴とする前記構成1〜4の製造方法である。
【0022】
本発明の第6の構成は、前記成形型と前記表面膜の間に中間層が設けられていることを特徴とする前記構成5の製造方法である。
【0023】
本発明の第7の構成は、400℃以下で成形することを特徴とする前記構成1〜6の製造方法である。
【0024】
本発明の第8の構成は、前記ガラスプリフォームが、屈折率(nd)が1.9以上およびアッベ数(νd)が15以上であり、ガラス転移点(Tg)が300℃以下であり、Pb及び/又はAs成分を含まず、TeO成分を50mol%以上含有することを特徴とする光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成1〜7の製造方法である。
【0025】
本発明の第9の構成は、前記ガラスプリフォームが、RO(RはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)成分、ZnO成分、Bi成分を含有し、さらにAl及び/又はGa成分を含有する光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8の製造方法である。
【0026】
本発明の第10の構成は、前記ガラスプリフォームが、酸化物基準のmol%で、
TeO 50〜90%、
O(RはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上) 5〜30%、
ZnO 1〜30%及び
Bi 1〜20%
の各成分を含有する光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8又は9の製造方法である。
【0027】
本発明の第11の構成は、前記ガラスプリフォームが、Al及び/又はGa成分を酸化物基準のmol%で、外割で0.01〜3.0mol%含有する光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8〜10の製造方法である。
【0028】
本発明の第12の構成は、前記ガラスプリフォームが、粉末法耐水性が1級、2級又は3級である光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8〜11の製造方法である。
【0029】
本発明の第13の構成は、前記ガラスプリフォームが、B、GeO及びP成分の含有率の合計が酸化物基準で5mol%以下である光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8〜12の製造方法である。
【0030】
本発明の第14の構成は、前記ガラスプリフォームが、RO成分がLiO及び/又はNaO成分からなる光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8〜13の製造方法である。
【0031】
本発明の第15の構成は、前記ガラスプリフォームが、F成分を実質的に含有しない光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8〜14の製造方法である。
【0032】
本発明の第16の構成は、前記ガラスプリフォームが、酸化物基準のmol%で、任意成分として
SiO 0〜10%及び/又は
LiO 0〜30%及び/又は
NaO 0〜20%及び/又は
O 0〜15%及び/又は
CsO 0〜10%及び/又は
MgO 0〜10%及び/又は
CaO 0〜20%及び/又は
BaO 0〜20%及び/又は
SrO 0〜20%及び/又は
TiO 0〜10%及び/又は
Nb 0〜10%及び/又は
Ta 0〜10%及び/又は
WO 0〜10%及び/又は
ZrO 0〜10%及び/又は
0〜10%及び/又は
Yb 0〜10%及び/又は
La 0〜10%及び/又は
Gd 0〜10%及び/又は
Sb 0〜0.5%
の各成分を含有する光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8〜15の製造方法である。
【0033】
本発明の第17の構成は、前記ガラスプリフォームが、Y、Yb、La及びGd成分の含有量の合計が10mol%未満である光学ガラスよりなることを特徴とする前記構成8〜16の製造方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明の製造方法によれば、非常にニーズの高い高屈折率領域の光学素子を、プラスチック成形に使用できる部材を使用できるため、安価で量産できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の製造方法について説明する。
【0036】
(成形型)
本発明の製造方法において使用される成形型は、精密プレス成形を行う際に適用される成形温度で変形をしなければ特に限定されるものではないが、後述する被成形体であるガラスプリフォームのTgが350℃以下であり、極力製造コストを削減したい本発明の趣旨を鑑みれば、プラスチックレンズ等の成形に使用しうる安価な型を使用することが好ましい。
【0037】
本発明の製造方法において使用される型材は、ダイヤモンド砥石による研削および/または研磨等、高コストの原因となる方法を要せず、安価な研削加工にて高精度に表面形状を形成できるものが好ましい。具体的には鉄鋼(ステンレス鋼を含む)及び/又は銅合金を主成分とする型材を使用することが好ましく、鉄鋼(ステンレス鋼を含む)を使用することがより好ましく、最も好ましくはステンレス鋼を型材として使用する。
【0038】
ここで、鉄鋼として使用されるものは、例えば鋼、鋳物、特殊鋼を含み、特にステンレス鋼としてマルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、析出硬化系ステンレスがある。また銅合金として使用されるものは、銅を主成分とする公知の合金を使用できる。
【0039】
本発明の成形型には、ガラスを精密プレス成形する際の熱や圧力などの負荷による酸化や磨耗から型材を守ることで成形型の寿命を延ばし、また離型性を向上させるため、所定の表面膜を形成することが好ましい。ここで本発明に使用されるガラスプリフォームを精密プレス成形するためには、好ましくは200Hv以上、より好ましくは250Hv以上、最も好ましくは300Hv以上の硬度を有する材料を表面膜として使用する。
【0040】
本発明におけるビッカース硬度は、試料荷重を9.807mNとし、その他の測定条件はJIS Z 2244に準じ測定された値である。
【0041】
前記表面膜の厚みは、精密プレス時の各種負荷から母材を保護でき、かつプリフォームと融着しなければ特に制限するものではない。しかし、多数のプレスを行って成形膜表面が劣化した際に、再度研削加工することで簡易に新たな成形面を形成できる程度の厚みを有するものが好ましい。このような簡易な膜再生を実現させることにより、煩雑な工程を省き、製造工程全体の低コスト化に貢献できる。そのような観点から、前記表面膜は、0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、最も好ましくは5μm以上の厚みを有する。
【0042】
前述のような硬度、耐熱性、離型性、厚みを有する膜を形成させるためには、膜の構成成分として、「Ni、Cr、Coからなる群より選択される1種以上」および「P、Bのいずれか一方又は両方」を含めることが好ましい。また(Ni、Cr、Co)−(P、B)系表面膜は後述のプリフォームの構成成分との化学反応性を考慮しても極めて良好な膜である。
【0043】
前記(Ni、Cr、Co)−(P、B)系表面膜において、Ni、Cr、Coの含有量が多すぎると耐蝕性が低下し膜の寿命が短くなりやすくなり、P、Bの含有量が多すぎると硬度が低下し変形しやすくなる。よって「Ni、Cr、及びCoの合計量(質量%)」と「P及びBの合計量(質量%)」との比は、TeO系の光学ガラスとの化学反応性を考慮して、好ましくは85:15〜99:1、より好ましくは86:14〜98:2、最も好ましくは87:13〜97:3の範囲に調節される。
【0044】
成形型の表面膜の成膜は、特に限定するものではないが、イオンプレーティング法、スパッタリング法、ドライエッチング法、蒸着法、プラズマCVD法、PVD法、電解又は無電解メッキ法などの公知の方法を使用することが好ましい。特に無電解メッキ法が好ましい。
【0045】
膜の耐蝕性及び/又は離型性を向上させるために、前記膜中に公知の添加剤を分散させることもできる。例えばポリテトラフルオロエチレンなどの有機物粉末、カーボンブラックなどの炭素系粉末、SiCなどのセラミックスを分散させることもできる。その際は前記型と前記表面膜との密着度を向上させるためにNi、Cr及びCo等を主成分とする公知の膜による中間層を設けることが好ましい。
【0046】
前記方法により成膜された成形膜は、成膜後の熱処置によりその硬度を向上させることもできる。当該熱処理は特別な方法を使用することを意図するものでなく、公知の方法により行うことができる。
【0047】
本発明において、その他の膜を使用したり、或いは多層膜として併用することもできるが、白金属系の膜、鉄、アルミニウム、銅などの公知の膜については、上記本発明のプリフォームを成形するためにはその硬度が不十分となりやすく、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)やテトラヘドラルアモルファスカーボン膜(TAC)のような炭素系膜では、厚みを所定の値以上にしにくいため、本発明の製法に使用する成形型の表面膜としては使用しにくい。
【0048】
(精密プレス成形条件)
本発明の方法において、プリフォームは、成形型内で加圧成形される。加圧成形の方法は、ガラスの組成及び物性などを考慮して適宜に選択されるが、プリフォームを成形型内に供給し、加熱軟化した状態で加圧成形するのが好ましい。
【0049】
例えば、一対の上型と下型との間にプリフォームを供給した後、ガラスの粘度で10〜1012ポアズ相当の温度まで成形型とプリフォームの両者を昇温加熱してプリフォームを加熱軟化させ、これを加圧成形することによって、型の成形面がプリフォームに転写されてガラス成形体が得られる。この成形方法では、成形型とプリフォームが等温の状態で加熱された後、プリフォームが加圧成形され、その後成形型とガラス成形体が冷却される。このため、ガラス成形体にヒケが発生せず、良好な面精度が得られるが、成形型の温度が高く、さらにガラスとの密着時間が長いため離型膜の損傷が生じやすい。
【0050】
そこで、一対の上型と下型を、予めガラス粘度で10〜1012ポアズ相当の温度に昇温し、該上型と下型の間に、上型及び下型と同等の温度に加熱したプリフォームを供給して、これを加圧成形する方法や、予めガラス粘度で10〜1012ポアズ相当の温度に昇温した一対の上型と下型の間に上型及び下型よりも高温に加熱したプリフォームを供給して、これを直ちに加圧成形する方法により、成形型とガラスの密着を短時間にし、成形型の成形面をプリフォームに転写することができる。この方法によれば、表面膜の損傷を低減させることができる。
【0051】
なお、下記本発明に使用されるプリフォームを使用した場合、成形温度は好ましくは400℃以下、より好ましくは390℃以下、最も好ましくは380℃以下に設定する。
【0052】
プレス成形時の雰囲気は、成形型の表面膜の劣化を低減させるため、非酸化性雰囲気とすることが好ましい。非酸化性雰囲気としては、アルゴン、窒素などの不活性ガス、水素などの還元性ガス又はそれらの混合ガスを使用することができ、好ましくは窒素ガス又は少量の水素ガスが混合された窒素ガスを使用することができる。
【0053】
加圧力及び時間は、ガラスの粘度などを考慮して適宜決定することができ、例えば、内径5〜20mmのステンレス型を用いて、4〜20MPaの圧力で30〜300秒程度加圧することができる。この後、成形型とガラスプリフォームを冷却し、好ましくはTg以下の温度となったところで、離型し、成形されたガラス成形体を取出す。プレス後の成形品の冷却は、加圧負荷を解除して行っても良いし、加圧しながら冷却させても良い。
【0054】
(精密プレス成形用プリフォーム)
次に本発明の製造方法においてプレスされる精密プレス成形用プリフォームについて説明する。
【0055】
本発明の製造方法に用いる光学ガラスは、光学設計上の要求から1.9以上のndおよびνdが15以上が好ましい。従来、この光学定数を実現するために様々な組成のガラスが用いられてきたが、いずれも光学定数は満たすもののTgが400℃を超えるものが多く、精密プレス成形の際にステンレス等の安価な材料を使用することができず、コストが大きくなるという問題があった。本発明の光学ガラスにおいては、これら公知のものに比べいっそう低いTgが要求されているため、好ましくは350℃以下、より好ましくは330℃以下、最も好ましくは300℃以下であることが好ましい。
【0056】
さらに、化学的耐久性が悪いと光学ガラスとして使用することが困難であるため、本発明の光学ガラスをレンズプリフォーム材に適用することを考慮すると、日本光学硝子工業会規格;JOGIS06−1999に規定される粉末法耐水性による評価が好ましくは1〜3級、より好ましくは1〜2級、最も好ましくは1級であることが望ましい。
【0057】
また、上記光学定数、Tg、耐久性等を満たす光学ガラスの組成として、酸化物基準でTeO、Biを主成分とすることが好ましい。前記組成は、特に本製造方法における(Ni、Cr、Co)−(P、B)系表面膜、型材との相性を考慮しても極めて良い反応性を持つ。
【0058】
本発明の光学ガラスにおいて、各成分の組成範囲を前記のとおり限定した理由を以下に述べる。以下、本明細書中においては特に断らない限り、ガラス組成の含有率は全て酸化物基準のモル%で表すものとする。
【0059】
本明細書中において「酸化物基準」とは、ガラス構成成分の原料として使用される酸化物、硝酸塩等が溶融時にすべて分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の質量の総和を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
【0060】
TeO成分はガラス形成の効果がある成分であり、本発明においては必須に含有する。しかし、その量が少なすぎるとガラス化しにくくなり、過剰に含有するとガラスとして不安定になりやすいという不利益がある。したがって本発明においては好ましくは50%、より好ましくは55%、最も好ましくは60%を下限とし、好ましくは90%、より好ましくは85%、最も好ましくは80%を上限とする。
【0061】
O成分(RはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)は、TeO成分のガラス化を容易にし、Tgを低く保つ効果がある任意成分であり、本発明においては有用な成分である。しかし、その量が少なすぎるとガラスを形成するためには不十分となりやすく、過剰に含有すると屈折率が低下しやすく、失透性が増しやすいという不利益がある。したがって本発明においてはRO成分含有量の合計が、好ましくは5%、より好ましくは7%、最も好ましくは10%を下限とし、好ましくは30%、より好ましくは27%、最も好ましくは25%を上限とする。
【0062】
次に、ROの各成分について説明する。
【0063】
LiO成分はTeO成分のガラス化を容易にし、Tgを低く保つ効果がある任意成分である。しかし、過剰に含有すると屈折率が低下しやすく、また失透性が増しやすいという不利益がある。本発明におけるLiO成分含有量は、0%でも良いが好ましくは1%、より好ましくは3%、最も好ましくは5%を下限とし、好ましくは30%、より好ましくは27%、最も好ましくは25%を上限とする。
【0064】
NaO成分はTeO成分のガラス化を容易にし、Tgを低く保つ効果がある任意成分である。しかし、過剰に含有すると屈折率が低下しやすく、また失透性が増しやすいという不利益があるため、含有しなくとも差し支えない。本発明におけるNaO成分含有量は、好ましくは20%、より好ましくは17%、最も好ましくは15%を上限とする。
【0065】
O成分はTeO成分のガラス化を容易にし、Tgを低く保つ効果がある任意成分である。しかし、過剰に含有すると屈折率が低下しやすく、また失透性が増しやすいという不利益があるため、含有しなくとも差し支えない。本発明において、KO成分含有量は好ましくは15%、より好ましくは13%、最も好ましくは10%を上限とする。
【0066】
CsO成分はTeO成分のガラス化を容易にする効果がある任意成分である。しかし、過剰に含有すると屈折率が低下しやすく、また失透性が増しやすくなるという不利益があるため、含有しなくとも差し支えない。本発明において、CsO成分は、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限とする。
【0067】
また、ROは好ましくはLiO及びNaO成分のいずれか一方或いは両方を含有することが好ましい。これは他のRO成分はLiO及びNaO成分に比べ、比較的失透性悪化が顕著とないやすいためである。
【0068】
ZnO成分はTeO成分のガラス化を容易にする効果がある任意成分であり、本発明においては有用な成分である。しかし、その量が少なすぎるとガラスが不安定になりやすく、過剰に含有しても失透性が増しやすくなったり、屈折率の低下やTgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては0%でも良いが、好ましくは1%、より好ましくは2%、最も好ましくは3%を下限とし、好ましくは30%、より好ましくは27%、最も好ましくは25%を上限とする。
【0069】
Bi成分はTeO成分のガラス化を容易にし、屈折率を高くする効果があり、発明においては有用な任意成分である。しかし、その量が少なすぎるとガラスが不安定になりやすく、過剰に含有しても失透性が増増しやすくなったり、またTgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、0%でも良いが好ましくは1%、より好ましくは2%、最も好ましくは3%を下限とし、好ましくは20%、より好ましくは17%、最も好ましくは15%を上限とする。
【0070】
AlおよびGa成分は、ともにガラスの失透性を抑制する効果がある任意成分であり、いずれか一方又は両方を含有することが好ましい。しかし、その量が少なすぎると失透性抑制の効果が不十分になりやすく、過剰に含有しても失透性が増しやすく、さらに屈折率の低下やTgの上昇を招きやすいという不利益がある。したがって本発明においてはAlおよびGa成分含有量の合計が、外割で好ましくは0.01%、より好ましくは0.05%、最も好ましくは0.1%を下限とし、好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
【0071】
なお、本間明細書中において「外割」とは、AlおよびGa成分以外の酸化物成分の合計含有量を100%と仮定した場合の、AlおよびGa成分の相対mol%を意味する。
【0072】
各々の成分については、Al成分は好ましくは2.0%、より好ましくは1.5%、最も好ましくは1.0%を上限とする。Gaは好ましくは2.0%、より好ましくは1.5%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
【0073】
ところで、TeO成分は本発明の光学ガラスにおいてガラス形成酸化物として作用しうるが、単独ではガラス化することが非常に困難である。そのため、上述の成分(すなわちRO、ZnO及びBi成分、並びにAlおよびGa成分の一方又は両方)の少なとも1種以上を含有させることが好ましい。また、TeO成分とそれらの成分を同時に含有させることによって、より優れた安定性、溶解性、化学的耐久性、光学ガラスとしての性能を備えたガラスを得やすくなる。
【0074】
、GeO及びP成分は屈折率を低下させ、Tgを高くする成分であるため、その合計量が好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限とする。ただし、いずれも含有しなくとも差し支えない。
【0075】
、GeO及びPの各々の成分については、それぞれ好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限とする。
【0076】
F成分については、失透性を増加させやすくする成分であるため、好ましくは5%、より好ましくは2%、最も好ましくは含有しない。なお、本発明におけるFの含有量は、本発明のガラスを構成する酸化物の一部又は全部をフッ化物置換したFの合計量が前記酸化物基準組成100mol%基準にして、F原子として計算した場合のmol%で表すものである。
【0077】
SiO成分は失透性を改善する効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、また屈折率が低下しやすくTgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは2%を上限とする。
【0078】
MgO成分は失透性を改善する効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、また屈折率が低下しやすくTgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは2%を上限とする。
【0079】
CaO成分は失透性を改善する効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、また屈折率が低下しやすくTgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは20%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0080】
BaO成分は失透性を改善する効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、また屈折率が低下しやすくTgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは20%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0081】
SrO成分は失透性を改善する効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、また屈折率が低下しやすくTgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは20%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0082】
TiO成分は屈折率を高くする効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0083】
Nb成分は屈折率を高くする効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0084】
Ta成分は屈折率を高くする効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0085】
WO成分は屈折率を高くする効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0086】
ZrO成分は化学的耐久性を改善する効果がある成分であるので本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは2%を上限とする。
【0087】
成分は化学的耐久性を改善する効果がある成分であるので本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0088】
Yb成分は屈折率を高くする効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0089】
La成分は屈折率を高くする効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0090】
Gd成分は屈折率を高くする効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0091】
、Yb、La及びGdからなる希土類酸化物成分は、上述のように化学的耐久性の改善や屈折率を高くする効果を有する任意成分である。しかし、これら成分が過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、その合計量が、好ましくは10%、より好ましくは7%、最も好ましくは5%を上限とする。
【0092】
Sb成分は清澄作用の効果がある成分であるので、本発明においては任意に含有できる。しかし、過剰に含有すると失透性が増加しやすくなり、Tgが高くなりやすいという不利益がある。したがって本発明においては、好ましくは0.5%、より好ましくは0.4%、最も好ましくは0.3%を上限とする。
【0093】
次に、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない成分について説明する。
【0094】
鉛化合物は、精密プレス成形時に金型と融着しやすい成分であるという問題並びにガラスの製造のみならず、研磨等のガラスの冷間加工及びガラスの廃棄に至るまで、環境対策上の措置が必要となり、環境負荷が大きい成分であるという問題があるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
【0095】
As、カドミウム及びトリウム成分は、共に、環境に有害な影響を与え、環境負荷の非常に大きい成分であるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
【0096】
さらに本発明の光学ガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Eu、Nd、Sm、Tb、Dy、Er等の着色成分は、光線透過率を下げやすいので、実質的に含有しないことが好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、不純物として混入される場合を除き、人為的に含有させないことを意味する。
【0097】
本発明のガラス組成物は、その組成がmol%で表されているため直接的に質量%の記載に換算できるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分の質量%表示による組成は、酸化物基準組成で概ね以下の値をとる。
TeO 40〜90%、
O(RはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上) 5〜30%、
ZnO 1〜20%
Bi 1〜50%及び
Al及び/又はGaを外割で0.005〜3.0%並びに
、GeO及びP 0〜5%
SiO 0〜10%及び/又は
LiO 0〜10%及び/又は
NaO 0〜10%及び/又は
O 0〜10%及び/又は
MgO 0〜5%及び/又は
CaO 0〜20%及び/又は
BaO 0〜20%及び/又は
SrO 0〜20%及び/又は
TiO 0〜5%及び/又は
Nb 0〜20%及び/又は
Ta 0〜25%及び/又は
WO 0〜15%及び/又は
ZrO 0〜5%及び/又は
0〜15%及び/又は
Yb 0〜25%及び/又は
La 0〜20%及び/又は
Gd 0〜10%及び/又は
Sb 0〜2%
【実施例】
【0098】
本発明を下記実施例により詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
(実施例1)
酸化物基準で、TeO成分を65%、LiO成分を20%、ZnO成分を10%、Bi成分を5%、Al成分を外割で0.2%含有する光学ガラスからなるガラスプリフォームを用意した。このプリフォームの屈折率は2.03、アッベ数は19.1、ガラス転移温度は270℃であった。プリフォームの形状は、直径7.2mmの球状プリフォームを使用した。
【0099】
このプリフォームを以下に示す方法で精密プレス成形することにより、外形10mm、中心肉厚3.3mmの両凸光学レンズを製造した。
【0100】
成形型の型材として、STAVAX社製のステンレス金型(SUS420J2相当、硬度580Hv)を使用した。このステンレス型材を研削し、その上にNi−Pからなる中間層(Ni:P=90:10)を設けた後、ポリテトラフルオロエチレン粒子を約30体積%含有するNi−P膜(Ni:P=90:10)を無電解メッキ法により成膜した。膜厚は30μmとした。
【0101】
精密プレス成形の成形機としては東芝機械社製MO2C機を使用した。
【0102】
前記ガラスプリフォームを常温のまま、内径10.4mmの上記成形型内に供給し、窒素ガス雰囲気中で、297℃まで加熱して20MPaの圧力で60秒加圧した。その後、冷却速度−2.2℃/sで徐冷しながら10MPaの圧力で12秒加圧し続け、ガラス成形体の温度が50℃以下に下がったところで、ガラス成形体を取り出した。この工程を使用し、同一成形型で1000回連続プレス成形したところ、ガラス成形体にカン、ワレの発生はなかった。また、成形型の表面膜にも融着や白濁のような不利益は生じなかった。
【0103】
(実施例2)
研削したステンレス型材の上にNi−P−B膜(Ni:P:B=98:1.5:0.5)を無電解メッキ法により成膜した。その他の条件を実施例1と同じくし、同一成形型で1000回連続プレス成形したところ、ガラス成形体にカン、ワレの発生はなかった。また、成形型の表面膜にも融着や白濁のような不利益は生じなかった。
【0104】
(比較例)
成形型の型材として、超硬金型を使用した。この超硬金型にPtを主成分とする膜を真空蒸着法により成膜した。膜厚は0.5μmとした。精密プレス成形の成形機としては東芝機械社製MO2C機を使用した。前記ガラスプリフォームを常温のまま、内径10.4mmの上記成形型内に供給し、窒素ガス雰囲気中で、327℃まで加熱して10MPaの圧力で80秒加圧した。その後、冷却速度−2.2℃/sで徐冷しながら10MPaの圧力で12秒加圧し続け、ガラス成形体の温度が50℃以下に下がったところで、ガラス成形体を取り出した。この工程では成形型にガラスが融着してしまい、繰り返し成形を行うことができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面膜が形成された鉄鋼(ステンレス鋼を含む)及び/又は銅合金製の成形型を用い、TeO成分及び/又はBi成分を必須に含有するガラスプリフォームを精密プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項2】
前記表面膜が「Ni、Cr、Coからなる群より選択される1種以上」および「P、Bのいずれか一方又は両方」を含有することを特徴とする請求項1の製造方法。
【請求項3】
前記表面膜において「Ni、Cr、及びCoの合計量(質量%)」と「P及びBの合計量(質量%)」との比が、85:15〜99:1の範囲であることを特徴とする請求項1又は2いずれかの製造方法。
【請求項4】
前記表面膜の硬度が200(Hv)以上、厚みが0.5μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの製造方法。
【請求項5】
前記表面膜に有機物粉末、炭素系粉末、又はセラミックスを分散させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの製造方法。
【請求項6】
前記成形型と前記表面膜の間に中間層が設けられていることを特徴とする請求項5の光学素子の製造方法。
【請求項7】
400℃以下で成形することを特徴とする請求項1〜6いずれかの製造方法。
【請求項8】
前記ガラスプリフォームが、屈折率(nd)が1.9以上およびアッベ数(νd)が15以上であり、ガラス転移点(Tg)が350℃以下であり、Pb及び/又はAs成分を含まず、TeO成分を酸化物基準で50mol%以上含有することを特徴とする光学ガラスよりなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの製造方法。
【請求項9】
前記ガラスプリフォームが、RO(RはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)成分、ZnO成分、Bi成分を含有し、さらにAl及び/又はGa成分を含有する光学ガラスよりなることを特徴とする前記請求項8の製造方法。
【請求項10】
前記ガラスプリフォームが、酸化物基準のmol%で、
TeO 50〜90%、
O(RはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上) 5〜30%、
ZnO 1〜30%及び
Bi 1〜20%
の各成分を含有する光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8又は9の製造方法。
【請求項11】
前記ガラスプリフォームが、Al及び/又はGa成分を酸化物基準のmol%で、外割で0.01〜3.0mol%含有する光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8〜10のいずれかの製造方法。
【請求項12】
前記ガラスプリフォームは、JOGIS06−1999に規定される粉末法耐水性が1級、2級又は3級である光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8〜11のいずれかの製造方法。
【請求項13】
前記ガラスプリフォームが、B、GeO及びP成分の含有率の合計が、酸化物基準のmol%で、5mol%以下である光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8〜12のいずれかの製造方法。
【請求項14】
前記ガラスプリフォームが、RO成分がLiO及び/又はNaO成分からなる光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8〜13のいずれかの製造方法。
【請求項15】
前記ガラスプリフォームが、F成分の含有量が5mol%以下である光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8〜14のいずれかの製造方法。
【請求項16】
前記ガラスプリフォームが、酸化物基準のmol%で、任意成分として
SiO 0〜10%及び/又は
LiO 0〜30%及び/又は
NaO 0〜20%及び/又は
O 0〜15%及び/又は
CsO 0〜10%及び/又は
MgO 0〜10%及び/又は
CaO 0〜20%及び/又は
BaO 0〜20%及び/又は
SrO 0〜20%及び/又は
TiO 0〜10%及び/又は
Nb 0〜10%及び/又は
Ta 0〜10%及び/又は
WO 0〜10%及び/又は
ZrO 0〜10%及び/又は
0〜10%及び/又は
Yb 0〜10%及び/又は
La 0〜10%及び/又は
Gd 0〜10%及び/又は
Sb 0〜0.5%
の各成分を含有する光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8〜15のいずれかの製造方法。
【請求項17】
前記ガラスプリフォームが、Y、Yb、La及びGd成分の含有量の合計が10mol%未満である光学ガラスよりなることを特徴とする請求項8〜16のいずれかの製造方法。

【公開番号】特開2009−73707(P2009−73707A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245932(P2007−245932)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000128784)株式会社オハラ (539)
【Fターム(参考)】