説明

光学絞り装置、および、プロジェクタ

【課題】良好な応答性および小型化を実現することのできる光学絞り装置、および、プロジェクタを提供すること。
【解決手段】本発明の光学絞り装置は、光軸と直交する面内に照度分布を有する光束が入射され、入射された光束の光量を調節して射出する光学絞り装置であって、光束が透過する開口部が形成された本体部と、本体部に移動自在に設けられ、開口部を透過する光束の透過量を可変に遮光する遮光羽根52とを備え、開口部を透過する光束の透過量が最大となる際に、遮光部は、開口部を透過する光束の光束照明領域Lの外周部LOUTを隠蔽している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学絞り装置、および、プロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置から射出された光束を変調して光学像を形成し、当該光学像を拡大投射するプロジェクタにおいて、光源装置から射出された光束の光量を調節する光学絞り装置が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の光学絞り装置は、点光源から射出された光束が入射される本体部と、本体部に形成され入射された光束を透過させる開口部と、本体部に対し移動可能に設けられ移動することで前記開口部を隠蔽する遮光羽根とを備えている。このような光学絞り装置において、開口部を透過する光束の透過量が最大とされた際に、当該光束の光束照明領域は、開口部内に完全に収まっている。このようなプロジェクタ用の光学絞り装置は、レンズシャッタカメラ等に搭載されている光学絞り装置やシャッタ装置を基に考案されたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004−48874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズシャッタカメラ等に搭載されている光学絞り装置では、レンズを介して入射される光束の光量を最大限取り込もうとするため、入射領域に対して十分なマージンを持って開口量が設定されている。
しかしながら、点光源から射出された光束の光束照明領域における照度分布は、中心から外周に向かって次第に低くなっている。このため、特許文献1に記載の光学絞り装置が、開口部を透過する透過量が最大となる状態から絞りを行う場合、遮光羽根は、光束照明領域上の最も照度の低い領域を隠蔽するに過ぎず、開口部を透過する透過量はあまり変化されない。すなわち、光学絞り装置の絞り量に応じて、透過量が応答性良く調節されているとは言えず、従って、特許文献1に記載の光学絞り装置では、優れた応答性で調光制御を行うことができないという問題がある。
さらに、近年、プロジェクタには軽薄短小化が望まれており、よって光学絞り装置に対しても小型化が求められている。
【0006】
本発明の目的は、良好な応答性および小型化を実現することのできる光学絞り装置、および、プロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学絞り装置は、光軸と直交する面内に照度分布を有する光束が入射され、入射された前記光束の光量を調節して射出する光学絞り装置であって、前記光束が透過する開口部が形成された本体部と、前記本体部に移動自在に設けられ、前記開口部を透過する前記光束の透過量を可変に遮光する遮光部とを備え、前記開口部を透過する前記光束の透過量が最大となる際に、前記遮光部は、前記開口部を透過する前記光束の光束照明領域の外周の一部を隠蔽していることを特徴とする。
【0008】
光束がランプ等の点光源から射出されたものである場合、光束の光束照明領域の照度分布は、中心が最も高く、中心から放射方向へ離れるにしたがって低くなる。そして、この光束照明領域の最も照度が低い領域において光束の透過・遮光が行われると、透過・遮光される光束の量が少ないことから、光学絞り装置を透過する光量(透過光量)はあまり変化されない。
【0009】
これに対し、本発明では、透過光量が最大となる際に、光束照明領域の外周の一部は遮光部によって隠蔽されている。すなわち、光束照明領域の照度が最も低い領域が遮光部によって隠蔽されていることとなる。すると、遮光部による移動に応じて、光束照明領域のうち最も照度が低い領域を除いた領域の光束に対して透過・遮光が行われる。これにより、遮光部の移動量と光学絞り装置を透過する光量の関係が直線性に優れることとなり、光量調節を行うための光学絞り装置の応答性を向上させることができる。
また、従来の光学絞り装置では、遮光部は、開口部が完全に開口される位置まで移動されていたが、本発明では、遮光部は、少なくとも光束照明領域から外周の一部を除いた位置まで移動されればよい。従って、光束照明領域の隠蔽部分だけ遮光部の移動距離を小さくすることができ、さらに、遮光部自体の寸法を小さくすることができるため、光学絞り装置を小型化することができる。
【0010】
このため、以下の効果を奏することができる。まず、遮光部が電力によって移動される場合、消費電力を低減させることができる。そして、遮光部の移動時に生じる騒音を低減させることができる。さらに、遮光部の寸法を小さくすることができることから、透過光量が最小となる際の絞り量をさらに低減させることができる。また、光学絞り装置の駆動機構に働く慣性力を低減させることができるため、光学絞り装置の劣化を抑制することができる。
【0011】
本発明では、前記遮光部は、前記本体部の前記開口部周縁にそれぞれ一端が回動自在に軸支され、回動位置に応じて他端が前記開口部端縁から内側に突出する複数の遮光羽根を備え、前記複数の遮光羽根のうち少なくともいずれかの遮光羽根は、前記開口部を透過する前記光束の透過量が最大となる際に、他端が前記開口部内に突出した状態で回動規制されることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、遮光羽根の回動量に応じて開口部の隠蔽状態が決定され、さらに、透過光量が最大となる際に、遮光羽根の他端が光束照明領域の外周の一部を隠蔽する。すなわち、遮光羽根の規制位置を制御することで、透過光量が最大となる際に隠蔽される光束照明領域の隠蔽部分を、適宜変更させることができる。従って、遮光羽根の規制位置を制御することで、最大透過光量を適宜変更することができる。
【0013】
本発明では、前記遮光部は、前記本体部の前記開口部周縁に互いに対向配置され、対向方向にそれぞれ進退可能に前記本体部に設けられた一対の遮光羽根を備え、前記一対の遮光羽根のうち少なくともいずれかの遮光羽根は、前記開口部を透過する前記光束の透過量が最大となる際に、前記開口部内に突出した状態で移動規制されることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、遮光羽根の移動量に応じて開口部の隠蔽状態が決定され、さらに、透過光量が最大となる際に、遮光羽根の一部が光束照明領域の外周の一部を隠蔽する。すなわち、遮光羽根の規制位置を制御することで、透過光量が最大となる際に隠蔽される光束照明領域の隠蔽部分を、適宜変更させることができる。従って、遮光羽根の規制位置を制御することで、最大透過光量を適宜変更することができる。
さらに、遮光羽根は、開口部周縁部分において対向方向に進退することで透過光量を調節する。このように、各遮光羽根の移動方向が直線状であることから、光学絞り装置の構成を簡素化させることができる。
【0015】
本発明では、前記本体部の光束入射側の前記開口部周縁には、光を反射させる光反射領域が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、光束照明領域より外側に漏れて本体部に入射される光を、光反射領域が反射する。すなわち、光反射領域は、光を反射して本体部における熱の発生を防止することから、光の入射による本体部の損傷・劣化を防ぐことができる。従って、光学絞り装置の熱による劣化を防ぐことができる。
【0016】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学絞り装置を備え、前記光学絞り装置は、前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に配設され、前記光源装置から前記光変調装置に照射される光束の光量を調整することを特徴とする。
本発明によれば、前述した光学絞り装置の効果作用と同様の作用効果を奏することができる。さらに、前述したように、光学絞り装置が小型化されるため、当該光学絞り装置を搭載する本発明のプロジェクタも小型化させることができる。
【0017】
本発明では、前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に、前記光源装置から射出された光束を前記光変調装置へ集光させる集光装置を備え、前記光学絞り装置は、少なくとも前記集光装置の光束前段側に配設されることが好ましい。
【0018】
光学絞り装置は、光源装置から射出され光変調装置に至る光束の光路上において、光束の光束照明領域の照度分布が偏在的である位置に設ければよい。ここで、集光装置を介した光束は、光変調装置に集光されるために、光束照明領域の各位置によって射出方向が調整される。すなわち、光学絞り装置は、少なくとも集光装置の光束前段側に配設されればよい。
このように、本発明によれば、プロジェクタの筐体内における光学絞り装置の配設位置は、比較的自由度を有するため、プロジェクタの大きさや構成、および、光源装置の構成等に応じて適宜決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
〔プロジェクタ1の構成〕
図1は、プロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン(図示略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筺体2と、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4等を備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装筺体2内において、投射レンズ3および光学ユニット4以外の空間には、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、およびプロジェクタ1全体を制御する制御装置等が配置されるものとする。
【0020】
外装筺体2は、合成樹脂等から構成され、図1に示すように、投射レンズ3および光学ユニット4を内部に収納配置する全体略直方体状に形成されている。この外装筺体2は、図示は省略するが、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケースと、プロジェクタ1の底面、前面、および背面をそれぞれ構成するロアーケースとで構成され、前記アッパーケースおよび前記ロアーケースは互いにねじ等で固定されている。
なお、外装筺体2は、合成樹脂等に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
【0021】
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から射出された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像(カラー画像)を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、外装筺体2の背面に沿って延出するとともに、外装筺体2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。なお、この光学ユニット4の詳細な構成については、後述する。
投射レンズ3は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する。この投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
【0022】
〔光学ユニット4の詳細な構成〕
光学ユニット4は、図1に示すように、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、光学装置44と、光学絞り装置5と、これら装置41〜44,5を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備える。
照明光学装置41は、光学装置44を構成する後述する液晶パネルの画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系である。この照明光学装置41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、集光装置としての第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、集光装置としての重畳レンズ415とを備える。
【0023】
光源装置411は、図1に示すように、放射状の光線を射出する光源ランプ416と、この光源ランプ416から射出された放射光を反射し所定位置に収束させるリフレクタ417と、リフレクタ417にて収束される光束を光軸Aに対して平行化する平行化凹レンズ418とを備える。光源ランプ416としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、高圧水銀ランプが多用される。また、リフレクタ417としては、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ418を省略した構成とする。
【0024】
第1レンズアレイ412は、光軸A方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を光学装置44の後述する液晶パネルの画像形成領域に結像させる機能を有している。
【0025】
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置され、第2レンズアレイ413からの光を1種類の偏光光に変換するものである。
具体的に、偏光変換素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の後述する液晶パネルの画像形成領域にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。
【0026】
色分離光学装置42は、図1に示すように、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422により照明光学装置41から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学装置42で分離された色光を赤色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
【0027】
この際、色分離光学装置42のダイクロイックミラー421では、照明光学装置41から射出された光束の赤色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、青色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ419を通って青色光用の液晶パネルに達する。このフィールドレンズ419は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の緑色光および赤色光用の液晶パネルの光入射側に設けられたフィールドレンズ419も同様である。
【0028】
ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ419を通って緑色光用の液晶パネルに達する。一方、赤色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学装置43を通り、さらにフィールドレンズ419を通って赤色光用の液晶パネルに達する。なお、赤色光にリレー光学装置43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ419に伝えるためである。なお、リレー光学装置43には、3つの色光のうち赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0029】
光学装置44は、光変調装置としての3つの液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、3つの入射側偏光板442と、3つの射出側偏光板443と、クロスダイクロイックプリズム444とを備える。
3つの入射側偏光板442は、図1に示すように、各フィールドレンズ419の光路後段にそれぞれ配置される。これら入射側偏光板442は、偏光変換素子414で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射され、入射された光束のうち、偏光変換素子414で揃えられた光束の偏光方位と略同一方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。これら入射側偏光板442は、図示は省略するが、サファイアあるいは水晶等の透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。
【0030】
3つの液晶パネル441は、図1に示すように、各入射側偏光板442の光路後段にそれぞれ配置される。これら液晶パネル441は、図示は省略するが、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、前記制御装置から出力される駆動信号に応じて、所定の画素位置の前記液晶の配向状態が制御され、各入射側偏光板442から射出された偏光光束の偏光方位をそれぞれ変調する。
3つの射出側偏光板443は、図1に示すように、各液晶パネル441の光路後段にそれぞれ配置される。これら射出側偏光板443は、入射側偏光板442と略同様の構成を有し、図示は省略するが、透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。なお、射出側偏光板443を構成する前記偏光膜は、光束を透過する透過軸が、入射側偏光板442にて光束を透過する透過軸に略直交するように配置される。
【0031】
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443の光路後段に配置され、各射出側偏光板443から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム444は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、液晶パネル441R,441Bから射出され各射出側偏光板443を介した各色光を反射し、液晶パネル441Gから射出され射出側偏光板443を介した色光を透過する。このようにして、各液晶パネル441にて変調された各色光が合成されてカラー画像が形成される。
【0032】
〔光学絞り装置5の構成〕
光学絞り装置5は、図1に示すように、第1レンズアレイ412と第2レンズアレイ413との間に配設され、前記制御装置による制御の下、後述する複数の遮光羽根が移動することで、第1レンズアレイ412から入射された光束の光量を調整して射出するものである。
図2は、光学絞り装置5を光束射出側(第2レンズアレイ413側)から見た斜視図である。光学絞り装置5は、図2に示すように、本体部としてのベース板51および羽根押え部材54と、ベース板51に移動自在に設けられ、光学絞り装置5に入射された光束の透過量を可変に遮光する遮光部としての4枚の遮光羽根52(52A,52B,52C,52D)とを備えている。
第1レンズアレイ412から射出された光束は、本体部の各部材に形成された開口部(羽根押え部材54に形成された開口部541等)に入射される。すなわち、光束の光束照明領域Lは、図2に示すように、開口部内に含まれている。さらに、遮光羽根52は、開口部内において光束の透過を許容する透過領域Bを形成している。そして、遮光羽根52は、それぞれが移動することでこの透過領域Bの面積を変更し、透過領域Bを透過する光束の透過量を調節する。
【0033】
図3を用いて、光学絞り装置5の詳細な構成を説明する。図3は、光学絞り装置5を光束射出側から見た分解斜視図である。
光学絞り装置5は、図3に示すように、ベース板51と、4枚の遮光羽根52と、4つの回動軸53と、羽根押え部材54と、4つのコイルばね55と、絞りリング56と、本体部としてのリング押え部材57と、電磁アクチュエータ58と、位置センサ59とを備える。
【0034】
ベース板51は、光学絞り装置5全体を支持して光学部品用筐体45内部に固定する部分である。このベース板51は、図3に示すように、ベース板本体511と、固定子接続部512とを備える。
図4は、ベース板本体511を光束入射側(第1レンズアレイ412側)から見た斜視図である。
ベース板本体511は、図4に示すように、入射する光束の走行方向に直交する平面に沿って延出する平面視略矩形形状を有する金属製の板体から構成されている。
このベース板本体511において、平面視略中央部分には、図3または図4に示すように、第1レンズアレイ412から射出された光束を通過可能とする平面視円形状の開口部5111が形成されている。
また、このベース板本体511において、光束射出側端面には、図3に示すように、該ベース板51の四隅位置近傍に平面視円形状の凹部5112(光束射出側から見て右上方側の凹部から時計回りに5112A,5112B,5112C,5112Dとする)がそれぞれ形成されている。そして、これら凹部5112は、4つの回動軸53の一方の端部側をそれぞれ固定するとともに、4つの遮光羽根52の後述する軸受け部を遊嵌状態でそれぞれ配置する。
【0035】
以下では、説明の便宜上、図3または図4に示すように、ベース板本体511において、開口部5111周縁の領域を、凹部5112Aを含む上側の第1領域RA、凹部5112Bを含む光束射出側から見て右側の第2領域RB、凹部5112Cを含む下側の第3領域RC、および凹部5112Dを含む光束射出側から見て左側の第4領域RDとする。
【0036】
さらに、このベース板本体511において、光束射出側端面の各領域RA〜RDには、図3に示すように、各凹部5112に近接した位置に、各凹部5112(各回動軸53)を中心とする平面視円弧形状を有する第1突条部5113Aが各凹部5112を囲うようにそれぞれ形成されている。これら第1突条部5113Aは、光学絞り装置5を組み立てた状態で、各遮光羽根52を構成する後述する各羽根板の板面にそれぞれ当接する部分である。
【0037】
さらにまた、このベース板本体511において、光束射出側端面の各領域RA〜RDには、図3に示すように、各凹部5112から離間した位置に、各凹部5112(各回動軸53)を中心とする平面視円弧形状を有する第2突条部5113Bがそれぞれ形成されている。これら第2突条部5113Bは、光学絞り装置5を組み立てた状態で、上述した第1突条部5113Aと同様に、各遮光羽根52を構成する後述する各羽根板の板面にそれぞれ当接する部分である。なお、各第2突条部5113Bの高さ寸法は、上述した各第1突条部5113Aと同様に設定されている。
【0038】
また、このベース板本体511において、各領域RA〜RDには、図3または図4に示すように、各凹部5112に近接した位置に、光束射出側端面および光束入射側端面を貫通し、各凹部5112(各回動軸53)を中心とする平面視円弧形状を有するトラック孔5114がそれぞれ形成されている。これらトラック孔5114は、光学絞り装置5を組み立てた状態で、各遮光羽根52の後述するピン状部がそれぞれ挿通され、各ピン状部の移動時に各ピン状部と機械的に干渉しないように形成された逃げ孔である。
【0039】
さらに、このベース板本体511において、光束射出側端面の各領域RA〜RDには、図3に示すように、羽根押え部材54を取り付けるための取付用孔5115Aがそれぞれ形成されている。これら取付用孔5115Aは、ベース板本体511に各遮光羽根52が設置され各遮光羽根52が回動した場合であっても、各遮光羽根52と機械的に干渉しない位置にそれぞれ形成されている。
【0040】
さらにまた、このベース板本体511において、上方端部側には、図3または図4に示すように、開口部5111の中心軸を中心とする平面視円弧形状の円弧状孔5116が形成されている。
この円弧状孔5116は、光学絞り装置5を組み立てた状態で、電磁アクチュエータ58の後述する可動子、および絞りリング56の後述する可動子接続部の一部を挿通可能とし、絞りリング56が回動した場合であっても、前記可動子および前記可動子接続部の一部と機械的に干渉しない逃げ孔である。
【0041】
また、このベース板本体511において、光束入射側端面には、図4に示すように、開口部5111周縁から光束入射側に向けて突出する平面視円形枠状のリング支持部5117が形成されている。このリング支持部5117は、絞りリング56の後述する円孔に遊嵌状態で嵌合する部分である。
このリング支持部5117の周縁部分には、図4に示すように、平面視円形状の凹部5118が形成されている。また、この凹部5118は、上方側がベース板本体511の上端縁にかけて延出するように形成されている。そして、この凹部5118は、絞りリング56が設置され、開口部5111の略中心軸を中心として絞りリング56を回動可能に支持する部分であり、絞りリング56の外形形状に対応した形状を有している。
【0042】
固定子接続部512は、電磁アクチュエータ58の後述する固定子をベース板本体511に接続する部材である。この固定子接続部512は、図3に示すように、平面視略矩形状の板体から構成され、ベース板本体511の光束射出側端面に円弧状孔5116を覆うように取り付けられる。
この固定子接続部512において、光束射出側端面には、具体的な図示は省略するが、電磁アクチュエータ58の後述する固定子である電磁コイルの形状に対応して平面視略円形状の凹部が形成されている。この凹部は、前記電磁コイルを収納配置する部分である。
また、この固定子接続部512には、図3に示すように、前記凹部の略中心に位置し、光束射出側端面および光束入射側端面を貫通する平面視矩形状の貫通孔5121が形成されている。
【0043】
4つの遮光羽根52は、前述したように、環状配置されることで、第1レンズアレイ412から射出される光束を透過可能とする透過領域B(図2)を形成する。図3に示すように、ベース板本体511の光束射出側端面における各領域RA〜RDにおいて、4つの回動軸53を介して各凹部5112に、入射する光束の走行方向に直交する平面に沿って回動可能にそれぞれ軸支され、回動することで透過領域Bの開口面積を変更して、光束の光量を調整する。以下では、各領域RA〜RDに配置される遮光羽根52をそれぞれ、52A〜52Dとする。
これら遮光羽根52は、同一形状を有し、図3に示すように、羽根板521と、軸受け部522と、ピン状部523とでそれぞれ構成されている。
【0044】
羽根板521は、図3に示すように、端縁が曲線状に形成された平面視略L字形状を有し、入射光束を遮光する金属製の板体で構成される。そして、各羽根板521は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、各羽根板521における各L字形状の内側部分が開口部5111内側に向き、開口部5111を囲うように配置される。また、各羽根板521は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、各板面が入射する光束の走行方向に直交するように配置される。
【0045】
軸受け部522は、羽根板521におけるL字形状の一端側に一体的に設けられ、羽根板521を回動可能とする回動軸53の軸受けである。
この軸受け部522は、具体的な図示は省略するが、羽根板521の光束入射側端面から光束入射側に突出し、回動軸53を挿通可能とする略円筒形状を有している。すなわち、軸受け部522における光束の走行方向の厚み寸法は、羽根板521における光束の走行方向の厚み寸法よりも大きく形成されている。そして、軸受け部522は、回動軸53が挿通された状態で回動軸53に対して回動可能とし、回動軸53に対して回動することで、羽根板521を回動させる。このように各羽根板521が回動することで、各羽根板521における各L字形状の内側端縁で形成される光束を通過可能とする透過領域Bの面積が変更される。
【0046】
そして、光学絞り装置5を組み立てた状態では、軸受け部522に回動軸53が挿通されるとともに、軸受け部522の光束入射側端面がベース板本体511の凹部5112の底部分に当接する。
また、羽根板521は、軸受け部522に対して略垂直となるように構成され、光学絞り装置5を組み立てた状態では、軸受け部522に挿通される回動軸53に対して略垂直となる。すなわち、各羽根板521は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、ベース板本体511の板面に略平行な状態となる。
なお、各羽根板521は、軸受け部522に対して略垂直となる構成に限らず、各遮光羽根52の回動時に各羽根板521同士が接触しなければ、軸受け部522に対して略垂直以外の角度を有する構成を採用してもよい。すなわち、各遮光羽根52の回動時に各羽根板521同士が接触しなければ、各羽根板521がベース板本体511の板面に平行な平面に対して所定角度傾斜している構成を採用してもよい。
【0047】
ここで、軸受け部522が当接するベース板本体511の各凹部5112の底部分の高さ寸法は、具体的な図示は省略するが、光学絞り装置5を組み立てた状態、すなわち、各遮光羽根52の各軸受け部522の光束入射側端面が各凹部5112の底部分に当接した状態で、隣接する各羽根板521間に所定寸法の隙間が形成されているように設定されている。
具体的に、各凹部5112A〜5112Dのうち、対角位置にある凹部5112A,5112Cの底部分の高さ寸法は、同一寸法で形成されている。対角位置にある凹部5112B,5112Dの底部分の高さ寸法も同様に、同一寸法で形成されている。そして、各凹部5112A,5112Cの底部分の高さ寸法は、各凹部5112B,5112Dの底部分の高さ寸法よりも所定寸法、大きく設定されている。このような構成により、光学絞り装置5を組み立てた状態、すなわち、各遮光羽根52の各軸受け部522の光束入射側端面が各凹部5112の底部分に当接した状態では、各遮光羽根52A〜52Dにおいて、ベース板本体511からの各羽根板521の高さ位置が異なるものとなる。
すなわち、対角位置にある各遮光羽根52の各羽根板521がベース板本体511から同一の高さ位置に位置付けられ、隣接する各遮光羽根52の各羽根板521がベース板本体511から異なる高さ位置に位置付けられている。このように設定することで、隣接する各羽根板521間に所定寸法の隙間を形成し、各羽根板521を回動させた際に、各羽根板521同士が機械的に干渉することを回避している。
【0048】
ピン状部523は、軸受け部522の近傍であって、軸受け部522に対して羽根板521の他端側に設けられ、絞りリング56と係合し絞りリング56からの押圧力を受ける部分である。
このピン状部523は、図3に示すように、羽根板521の光束入射側端面から光束入射側に突出する。そして、ピン状部523は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、図3に示すように、ベース板本体511のトラック孔5114に挿通され、トラック孔5114を介してベース板本体511の光束入射側端面から突出し、絞りリング56の後述する長孔と係合する。
【0049】
4つの回動軸53は、略円柱形状を有する金属製部材から構成され、ベース板本体511および羽根押え部材54間に固定され、各遮光羽根52を回動可能に軸支する部分である。
羽根押え部材54は、図3に示すように、固定子接続部512と組み合わせることでベース板本体511と略同様の外形形状となり平面視略矩形形状を有し、合成樹脂製の板体から構成され、各遮光羽根52を回動可能にベース板51に対して押圧する部分である。
この羽根押え部材54において、平面視略中央部分には、図3に示すように、ベース板本体511の開口部5111と同様の、第1レンズアレイ412から射出された光束を透過可能とする平面視円形状の開口部541が形成されている。羽根押え部材54は、ベース板本体511に対して各遮光羽根52を押圧した状態で固定される。
【0050】
4つのコイルばね55は、図3に示すように、各回動軸53を挿通可能とし、各回動軸53の他方の端部側を挿通した状態で各遮光羽根52と羽根押え部材54の間に配設され、一端側が各遮光羽根52の光束射出側(軸受け部522近傍)に当接し、他端側が羽根押え部材54の光束入射側端面(軸固定孔542周縁部分)に当接する。そして、各コイルばね55は、ベース板本体511に対して羽根押え部材54を取り付けた際に、各遮光羽根52をベース板本体511に向けて付勢し、各遮光羽根52の各軸受け部522をベース板本体511の凹部5112の底部分に当接させる。
【0051】
絞りリング56は、ベース板本体511の凹部5118に回動可能に設置され、凹部5118に設置された状態で各遮光羽根52の各ピン状部523と係合し、回動することで各ピン状部523を押圧し、各遮光羽根52の各羽根板521を、各回動軸53を中心として回動させる。この絞りリング56は、合成樹脂から構成され、図3に示すように、リング本体561と、可動子接続部562とが一体的に形成されたものである。
リング本体561は、ベース板本体511のリング支持部5117を挿通可能とする円孔5611を有し平面視円形枠状の板体で構成される。
このリング本体561には、図3に示すように、ベース板本体511の各トラック孔5114に対応した位置に、各トラック孔5114から突出した各ピン状部523を挿通可能とし、開口部5111の略中心軸を中心とする円周方向と交差する方向に略直線状に延びる長孔5612がそれぞれ形成されている。
【0052】
可動子接続部562は、図3に示すように、リング本体561の外周縁からリング本体561の板面に沿って外側に延出し、電磁アクチュエータ58の後述する可動子をリング本体561に接続する部分である。そして、可動子接続部562は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、図3に示すように、ベース板本体511の上方端部側に対向するように配置される。
この可動子接続部562は、図3に示すように、ベース板本体511の円弧状孔5116の形状に対応し、光束射出側に向けて突出する平面視略矩形枠形状の突出部5621が形成されている。この突出部5621は、その内部において、電磁アクチュエータ58の後述する可動子である永久磁石を収納配置する部分である。そして、光学絞り装置5を組み立てた状態では、突出部5621内部に収納配置された前記永久磁石、および突出部5621の一部がベース板本体511の円弧状孔5116に挿通される。
ここで、突出部5621における絞りリング56の回動方向(開口部5111の中心軸を中心とする回動方向)の長さ寸法は、ベース板本体511の円弧状孔5116における絞りリング56の回動方向の長さ寸法よりも小さく設定されている。このため、絞りリング56を回動させた場合であっても、円弧状孔5116と突出部5621とが機械的に干渉しないように構成されている。
【0053】
そして、光学絞り装置5を組み立てた状態で、絞りリング56が回動することで、リング本体561の各長孔5612が開口部5111の中心軸を中心とする円周方向と交差する方向に略直線状に延びるように形成されているので、各長孔5612の端縁にて各遮光羽根52の各ピン状部523が押圧され、各ピン状部523が各長孔5612に沿って移動する。また、各ピン状部523は、各長孔5612に沿って移動する際、ベース板51の各トラック孔5114に機械的に干渉することなく、ベース板51の各凹部5112(各回動軸53)を中心として回動するように移動する。そして、各ピン状部523の移動により、各遮光羽根52の各羽根板521が各回動軸53を中心として回動する。
【0054】
リング押え部材57は、図3に示すように、ベース板本体511と略同様の外形形状で平面視略矩形形状を有し、金属製の板体から構成され、絞りリング56を回動可能にベース板51に対して押圧する部分である。
このリング押え部材57において、平面視略中央部分には、図3に示すように、ベース板本体511の開口部5111と同様の、第1レンズアレイ412から射出された光束を透過可能とする平面視円形状の開口部571が形成されている。
また、このリング押え部材57には、図3に示すように、ベース板本体511の各トラック孔5114に対応した位置に、各トラック孔5114と同様のトラック孔572が形成されている。これらトラック孔572は、各トラック孔5114と同様に、光学絞り装置5を組み立てた状態で、各遮光羽根52の各ピン状部523が挿通され、各ピン状部523の移動時に各ピン状部523と機械的に干渉しないように形成された逃げ孔である。リング押え部材57は、ベース板本体511に対して絞りリング56を押圧した状態で固定される。
【0055】
また、図5は、リング押え部材57および光束照明領域Lを、光束入射側から見た模式平面図である。
リング押さえ部材57の光束入射側端面における開口部571周縁には、光反射面573が設けられている。光反射面573は、光学絞り装置5へ入射された光束のうち光束照明領域Lの外側に漏れた迷光を反射する。光反射面573は、優れた反射率を有するアルミニウム、銀および銅などの金属で形成されている。
【0056】
電磁アクチュエータ58は、図3に示すように、電磁コイル581と、永久磁石582とを備え、前記制御装置による制御の下、電気的なエネルギを機械的なエネルギに変換して電磁コイル581に対して永久磁石582を移動させることで、絞りリング56を回動させるものである。
電磁コイル581は、図3に示すように、リング形状を有し、コイル軸が入射光束の走行方向に略平行するように固定子接続部512の前記凹部に収納配置される。
永久磁石582は、図3に示すように、絞りリング56の可動子接続部562の突出部5621内側に嵌合固定される。
【0057】
そして、前記制御装置は、電磁コイル581と電気的に接続され、電磁コイル581に正通電あるいは逆通電を実施し、永久磁石582からの磁束と該磁束に略直交する電磁コイル581に通流される電流(図3中、電磁コイル581における上下方向に延びる部分に通流される電流)との相互作用による電磁力の方向を変更する。そして、電磁力により、永久磁石582を、突出部5621に沿って移動させる。永久磁石582の移動に応じて、絞りリング56が回動し、該絞りリング56の回動に連動して各遮光羽根52が回動し、第1レンズアレイ412から射出された光束の光量が調整される。
【0058】
位置センサ59は、固定子接続部512に取り付けられ、電磁コイル581に対する永久磁石582の位置を検出する。より具体的に、位置センサ59は、電磁コイル581に対する永久磁石582の位置を検出することで、絞りリング56の回動位置、すなわち、各遮光羽根52の回動位置を検出する。位置センサ59は、検出した位置に応じた信号を前記制御装置に出力する。そして、前記制御装置は、位置センサ59にて検出された各遮光羽根52の回動位置を認識し、上述したように電磁コイル581に正通電あるいは逆通電を実施して、所定位置に各遮光羽根52を回動させる。
【0059】
〔光束照明領域Lの照度分布〕
図6は、光束照明領域Lの照度分布をハッチ密度として表した模式図である。図6では、照度が高い領域ほど当該領域にかかるハッチ密度も高くなっている。
光源装置411(図1)から射出された光束は、第1レンズアレイ412(図1)を介して光学絞り装置5へ入射する。この入射された光束の光束照明領域Lにおける照度分布は、図6に示すように中心M近傍で最も高く、中心Mを中心として放射方向外側へ向かうにつれて低くなっている。なお、図7は、図6の光束照明領域LのVII−VII線上おける光束分布をグラフとして表したものである。図7に示すように、VII−VII線上の光束分布は、中心Mにおいて最も高く、光束照明領域Lの中心Mから外れた外周部LOUTに近づくにつれて放物線状に減少する。
このように、光束照明領域Lの照度分布が一様でないのは、光源ランプ416が点光源であるためである。
【0060】
〔光学絞り装置5における遮光羽根52の作用〕
図8、図9を参照して、光学絞り装置5における遮光羽根52の作用について説明する。図8、図9は、遮光羽根52および透過領域Bを光束入射側から見た模式平面図である。
4つの遮光羽根52は、前述したように、電磁アクチュエータ58における永久磁石582の移動に応じて絞りリング56が回動し、該絞りリング56の回動に連動して回動される。そして、4つの遮光羽根52は、この電磁アクチュエータ58による回動に応じて透過領域Bを光束照明領域Lの中心Mを中心に開閉させ、透過領域Bの面積を所定の開閉可能範囲内において変更する。
【0061】
図8では、遮光羽根52によって透過領域Bが縮小され、透過領域Bの面積が開閉可能範囲における最小面積となっている。このとき、図8に示すように、光束照明領域Lは羽根板521によって大部分が隠蔽され、光束照明領域Lと重畳される透過領域Bの面積は、羽根板521と比べて遥かに小さい。すなわち、光学絞り装置5へ入射された光束のうち大部分の光束は羽根板521によって遮光される。そして、光学絞り装置5を透過する光束の光量は、所定の光量調節範囲における最小光量となる。
【0062】
一方、図9では、遮光羽根52によって透過領域Bが拡大され、透過領域Bの面積が開閉可能範囲における最大面積となっている。このとき、図9に示すように、光束照明領域Lは、大部分において透過領域Bと重畳されるものの、中心Mから外れた外周部LOUTは羽根板521によって隠蔽されている。すなわち、透過領域Bの面積が最大となるように遮光羽根52が制御されたときでも、光束の中心Mから外れた外周部LOUTの光は、羽根板521によって遮光される。光束照明領域Lの外周部LOUTが遮光されたことで、透過領域Bを透過する光束の光量は、光束照明領域Lにおける全光量の98%となる。
なお、図9では、光束照明領域Lと重畳する透過領域Bの面積が最大であることから、光学絞り装置5を透過する光束の光量は、所定の光量調節範囲における最大光量となる。
【0063】
光束照明領域LにおけるVII−VII線上の輝度分布グラフ(図7)に、本実施形態の透過領域Bの開閉可能範囲BOPEN、および、従来の光学絞り装置における開口部の開閉可能範囲BOPEN´を表した。図7に示すように、従来の光学絞り装置における開閉可能範囲BOPEN´は、外周部LOUTを含めた光束照明領域Lの全領域に渡っている。これに対し、本実施形態の透過領域Bの開閉可能範囲BOPENは、光束照明領域Lの外周部LOUTを除く中央領域に位置し、すなわち、本実施形態では、光束照明領域Lの中央領域において透過領域Bの開閉を行っている。従って、本実施形態では、図10に示すように、透過領域Bの開口比(%)(開口比=透過領域Bの面積/透過領域Bの最大面積)に対して、光学絞り装置5を透過した光量の光束(lm)が略直線的に変化している。特に、開口比が100%に近い状態、すなわち、透過領域Bの面積が最大面積に近い状態における透過領域Bの開閉に対しても、光学絞り装置5を透過する光量は略直線的に増減している。
【0064】
光束がランプ等の点光源から射出されたものである場合、光束の光束照明領域の照度分布は、中心が最も高く、中心から放射方向へ離れるにしたがって低くなる。そして、開口部が完全に開口される位置まで移動する従来の光学絞り装置では、この光束照明領域の最も照度が低い領域において光束の透過・遮光が行われても、透過・遮光される光束の量が少ないことから、透過光量があまり変化されない(図10において、従来の光学絞り装置の開口比80〜100%における光束変化を参照のこと)。
【0065】
これに対し、本実施形態では、透過光量が最大となる際に、光束照明領域Lの外周部LOUTは遮光羽根52によって隠蔽されている。すなわち、光束照明領域Lの照度が最も低い外周部LOUTが遮光羽根52によって隠蔽されていることとなる。すると、遮光羽根52による移動に応じて、光束照明領域Lのうち最も照度が低い外周部LOUTを除いた領域の光束に対して透過・遮光が行われる。これにより、遮光羽根52の移動量と光学絞り装置5を透過する光量の関係が直線性に優れることとなり、光量調節を行うための光学絞り装置5の応答性を向上させることができる。
また、本実施形態では、遮光羽根52は、少なくとも光束照明領域Lから外周部LOUTを除いた位置まで移動されればよい。従って、光束照明領域Lの隠蔽部分だけ遮光羽根52の移動距離を小さくすることができ、さらに、遮光羽根52自体の寸法を小さくすることができるため、光学絞り装置5を小型化することができる。
【0066】
このため、以下の効果を奏することができる。まず、遮光羽根52が電力によって移動される場合、消費電力を低減させることができる。そして、遮光羽根52の移動時に生じる騒音を低減させることができる。さらに、遮光羽根52の寸法を小さくすることができることから、透過光量が最小となる際の絞り量をさらに低減させることができる。また、光学絞り装置5の駆動機構に働く慣性力を低減させることができるため、光学絞り装置5の劣化を抑制することができる。
【0067】
遮光羽根52の回動量に応じて開口部の隠蔽状態が決定され、さらに、透過光量が最大となる際に、遮光羽根52が光束照明領域Lの外周部LOUTを隠蔽する。すなわち、遮光羽根52の規制位置を制御することで、透過光量が最大となる際に隠蔽される光束照明領域Lの隠蔽部分を、適宜変更させることができる。従って、遮光羽根52の規制位置を制御することで、最大透過光量を適宜変更することができる。
【0068】
さらに、光束照明領域Lより外側に漏れてリング押え部材57に入射される光を、光反射面573が反射する。すなわち、光反射面573は、光を反射して光学絞り装置5における熱の発生を防止することから、光の入射による光学絞り装置5の損傷・劣化を防ぐことができる。
【0069】
光学絞り装置1は、光源装置411から射出され液晶パネル441に至る光束の光路上において、光束の光束照明領域Lの照度分布が偏在的である位置に設ければよい。ここで、第2レンズアレイ413および重畳レンズ415を介した光束は、液晶パネル441に集光させるために、光束照明領域Lの各位置によって射出方向が調整される。すなわち、光学絞り装置5は、少なくとも、第2レンズアレイ413の光束前段側に配設されればよい。
このように、本実施形態によれば、プロジェクタ1の筐体内における光学絞り装置5の配設位置は、比較的自由度を有するため、プロジェクタ1の大きさや構成、および、光源装置411の構成等に応じて適宜決定することができる。
【0070】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を、図11〜図13に基づいて説明する。
第2実施形態は、第1実施形態と比較して、光学絞り装置6の構成が異なる。
〔光学絞り装置6の構成〕
図11は、本実施形態の光学絞り装置6を光束入射側(第1レンズアレイ412側)から見た分解斜視図である。
光学絞り装置6は、図11に示すように、本体部としてのベース体61と、電磁アクチュエータ62と、2枚の遮光体63と、本体部としてのカバー体64とを備えている。
【0071】
ベース体61は、第2レンズアレイ413(図1)の光束入射側に配置され、後述する電磁アクチュエータ62および遮光体63を支持する。なお、ベース体61は、合成樹脂材の射出成型により形成されている。ベース体61は、入射光束の走行方向と直交し、周縁は光束入射側へ僅かに立設されている。ベース体61は、略中央に形成された開口部611と、光束射出側へ膨出された膨出部612と、平面視両縁部において2本ずつ形成され、それぞれ光束入射側へ突出する計4本のスライドピン613とを備えている。
開口部611には、光束が通過される。また、膨出部612の光束入射側端面には、光束入射側へ突設された支持軸6121が形成されている。
【0072】
電磁アクチュエータ62は、光学絞り装置6が組み立てられた際に、ベース体61の膨出部612の光束入射側に形成された凹部内に収容される。電磁アクチュエータ62は、電磁コイル、永久磁石(図示略)、および、当該永久磁石に固定された回動部材621を備えている。
電磁アクチュエータ62は、前記制御装置による制御の下、電気的なエネルギを機械的なエネルギに変換して、電磁コイルに対し永久磁石を回転させることで、回動部材621を、支持軸6121を中心に回動させるものである。
【0073】
回動部材621は、光束の走行方向と略平行な円柱軸を有する略円柱形状を有し、前記円柱軸に沿って貫通形成された軸受孔6211と、円柱側面において径方向外側へ向かって延設された2本のシャフト6212とを備えている。
軸受孔6211には、ベース体61の支持軸6121が挿通される。これにより、回動部材621は、支持軸6121を回動軸として回動可能に支持される。
2本のシャフト6212は、互いに対向位置に形成され、それぞれ先端部において光束入射側へ突出するシャフト軸6213を備えている。
【0074】
2枚の遮光体63は、それぞれ電磁アクチュエータ62の光束入射側に配置される。なお、遮光体63は、合成樹脂材の射出成型により一体的に形成されている。合成樹脂材としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂以上の優れた耐熱性および耐久性を有する合成樹脂材であることが好ましい。
遮光体63は、光束の走行方向に対して直交する方向に沿う長尺板状のスライドアーム631と、スライドアーム631から透過領域Bの面内に沿って延設された平板状の遮光羽根632とを備えている。このうち、一方の遮光体63Aでは、遮光羽根632は、図11におけるスライドアーム631の下端部から延出され、他方の遮光体63Bでは、遮光羽根632は、スライドアーム631の略中央部から延出されている。
【0075】
スライドアーム631は、長手方向に沿って陥設されたスライド溝6311と、+Y軸方向端部に矩形状に陥設された接続孔6312とを備えている。スライド溝6311には、光学絞り装置6が構成された際に、ベース体61のスライドピン613が長手方向に摺動可能に係合される。接続孔6312には、光学絞り装置6が構成された際に、回動部材621のシャフト軸6213がX軸方向に摺動可能に係合される。
遮光部としての遮光羽根632は、電磁アクチュエータ62による遮光体63の駆動に伴って図11における上下方向に往復移動し、透過領域Bの面積を変更する。
【0076】
回動部材621の回動に応じて、シャフト軸6213が接続孔6312を摺動しながら、遮光体63を移動させる。すると、各遮光体63は、スライドピン613をスライド溝6311に摺動させながら、図11における上下方向に沿って互いに異なる向きへ移動する。これにより、透過領域Bの面積が遮光羽根632によって変更され、遮光体63を通過する光束の光量が調節される。
【0077】
カバー体64は、遮光体63の光束入射側に配置され、ベース体61とともに、電磁アクチュエータ62および遮光体63を収容する。なお、カバー体64は、合成樹脂材の射出成型により形成されている。カバー体64は、基板610とほぼ同寸法の矩形状板であり、略中央に形成された開口部641と、図11における平面視上端部の両縁にそれぞれ形成された2本のレール溝642と、光束入射側端面の開口部641周縁に設けられた光反射面643とを備える。
開口部641には、光源装置411から射出された光束が通過される。レール溝642は、カバー体64の平面視中央部を中心とする円弧状に陥設されている。レール溝642には、光学絞り装置6が組み立てられた際に、接続孔6312を介したシャフト軸6213の先端が挿通される。光反射面643は、第1実施形態の光反射面573と同様に、光学絞り装置6に入射された光束のうち、光束照明領域の外側に漏れた迷光を反射する。
【0078】
〔光学絞り装置6における遮光羽根632の作用〕
図11〜図13を参照して、光学絞り装置6における遮光羽根632の作用について説明する。図11、図12は、遮光羽根632および透過領域Bを光束入射側から見た模式平面図である。
遮光体63A,63Bは、前述したように、電磁アクチュエータ62の永久磁石の回動に応じて透過領域Bを図11〜図13における上下方向に開閉させ、透過領域Bの面積を所定の開閉可能範囲内において変更する。
【0079】
図12では、遮光羽根632によって透過領域Bが縮小され、透過領域Bの面積が開閉可能範囲における最小面積となっている。このとき、図12に示すように、光束照明領域Lは遮光羽根632によって大部分が隠蔽され、光束照明領域Lと重畳される透過領域Bの面積は、遮光羽根632と比べて遥かに小さい。すなわち、光学絞り装置6へ入射された光束のうち大部分の光束は遮光羽根632によって遮光される。そして、光学絞り装置6を透過する光束の光量は、所定の光量調節範囲における最小光量となる。
【0080】
一方、図13では、遮光羽根632によって透過領域Bが拡大され、透過領域Bの面積が開閉可能範囲における最大面積となっている。このとき、第1実施形態の光学絞り装置5と同様に、光束照明領域Lは、大部分において透過領域Bと重畳されるものの、中心Mから外れた外周部LOUT(図6)は遮光羽根632によって隠蔽されている。すなわち、透過領域Bの面積が最大となるように遮光羽根632が制御されたときでも、光束の中心Mから外れた外周部LOUTの光は、遮光羽根632によって遮光される。
【0081】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、光束照明領域Lの外周部LOUTが遮光されたことで、透過領域Bを透過する光束の光量は、光束照明領域Lにおける全光量の約98%となる。
なお、図13では、光束照明領域Lと重畳する透過領域Bの面積が最大であることから、光学絞り装置6を透過する光束の光量は、所定の光量調節範囲における最大光量となる。
【0082】
さらに、光学絞り装置6の透過領域Bの開閉可能範囲は、図7に示された第1実施形態の光学絞り装置5の透過領域Bの開閉可能範囲BOPENとほぼ同様となる。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、光束照明領域Lの中央領域において透過領域Bの開閉を行っている。従って、本実施形態においても、図10に示すように、透過領域Bの開口比(%)に対して、光学絞り装置6を透過した光量の光束(lm)が略直線的に変化する。特に、開口比が100%に近い状態、すなわち、透過領域Bの面積が最大面積に近い状態における透過領域Bの開閉に対しても、光学絞り装置6を透過する光量は略直線的に増減する。
【0083】
本実施形態によれば、遮光羽根632の移動量に応じて開口部の隠蔽状態が決定され、さらに、透過光量が最大となる際に、遮光羽根632の一部が光束照明領域Lの外周部LOUTを隠蔽する。すなわち、遮光羽根632の規制位置を制御することで、透過光量が最大となる際に隠蔽される光束照明領域Lの隠蔽部分を、適宜変更させることができる。従って、遮光羽根632の規制位置を制御することで、最大透過光量を適宜変更することができる。
さらに、遮光羽根632は、開口部周縁部分において対向方向に進退することで透過光量を調節する。このように、各遮光羽根632の移動方向が直線状であることから、光学絞り装置6の構成を簡素化させることができる。
【0084】
〔前記実施形態の変形〕
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、前記実施形態は、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0085】
前記第1実施形態では光束照明領域Lの外周全周、前記第2実施形態では光束照明領域Lの外周の一部が隠蔽されたが、隠蔽領域は、照度の低い外周領域を隠蔽し、透過光量が、全光束照明領域Lの全光量の98%程度になるように隠蔽すればよい。
本発明では、遮光羽根52,632の移動の規制は、プロジェクタ1に搭載された制御基板の制御によるものでもよく、また、遮光羽根52,632を係止することによって回動を物理的に規制する係止部等によるものであってもよい。
前記第1実施形態の光学絞り装置5は、4枚の遮光羽根52により透過領域Bを形成していたが、本発明では、透過領域Bを形成する遮光羽根52の個数は限定されるものではない。
【0086】
前記実施形態では、光学絞り装置5,6は、集光装置である第2レンズアレイ413の光束前段側に配置された。このように、光学絞り装置5,6は、少なくとも集光装置の光束前段側に配置されていればよく、例えば、光源装置411の構成によっては、第1レンズアレイ412の光束前段側に配置させてもよい。
また、集光装置として、筒内に入射した光束を筒内面で屈折させて光束照明領域Lの照度を一様とするロッド等が挙げられる。
【0087】
前記実施形態では、光学絞り装置5,6を、光源ランプ416および液晶パネル441を備えたプロジェクタ1に搭載した構成を採用したが、これに限らず、光学絞り装置5,6を、例えば、液晶パネル441の代わりにDLP(Digital Light Processingを用いたプロジェクタ、光源ランプ416の代わりにLED(Light Emitting Diode)を用いたプロジェクタ、リアプロジェクタ、および、その他の光学機器に搭載した構成を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、光学絞り装置、および、プロジェクタに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの光学ユニットを示す模式図。
【図2】前記実施形態に係る光学絞り装置を光束射出側から見た斜視図
【図3】前記実施形態に係る光学絞り装置を示す分解斜視図。
【図4】前記実施形態に係るベース板本体を光束入射側から見た斜視図。
【図5】前記実施形態に係る光学絞り装置の羽根押え部材を光束入射側から見た模式平面図。
【図6】前記実施形態に係る光束照明領域の照度分布を説明するための模式図。
【図7】図6の光束照明領域のVII−VII線上における照度分布を表すグラフ。
【図8】前記実施形態に係る遮光羽根の作用を説明するための模式平面図。
【図9】前記実施形態に係る遮光羽根の作用を説明するための模式平面図。
【図10】前記実施形態に係る開口部の開口比と光学絞り装置を透過する光量との関係を表すグラフ。
【図11】本発明の第2実施形態に係る光学絞り装置を示す分解斜視図。
【図12】前記実施形態に係る遮光羽根の作用を説明するための模式平面図。
【図13】前記実施形態に係る遮光羽根の作用を説明するための模式平面図。
【符号の説明】
【0090】
1…プロジェクタ、3…投射レンズ(投射光学装置)、411…光源装置(光源)、413…第2レンズアレイ(集光装置)、415…重畳レンズ(集光装置)、441,441R,441B, 441G…液晶パネル(光変調装置)、5…光学絞り装置、51…ベース板(本体部)、5111…開口部、52…遮光羽根(遮光部)、54…羽根押え部材(本体部)、541…開口部、57…リング押え部材(本体部)、571…開口部、573…光反射面(光反射領域)、6…光学絞り装置、61…ベース体(本体部)、611…開口部、632…遮光羽根(遮光部)、64…カバー体(本体部)、641…開口部、643…光反射面(光反射領域)、B…透過領域、L…光束照明領域、LOUT…外周部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸と直交する面内に照度分布を有する光束が入射され、入射された前記光束の光量を調節して射出する光学絞り装置であって、
前記光束が透過する開口部が形成された本体部と、
前記本体部に移動自在に設けられ、前記開口部を透過する前記光束の透過量を可変に遮光する遮光部とを備え、
前記開口部を透過する前記光束の透過量が最大となる際に、前記遮光部は、前記開口部を透過する前記光束の光束照明領域の外周の一部を隠蔽していることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学絞り装置において、
前記遮光部は、前記本体部の前記開口部周縁にそれぞれ一端が回動自在に軸支され、回動位置に応じて他端が前記開口部端縁から内側に突出する複数の遮光羽根を備え、
前記複数の遮光羽根のうち少なくともいずれかの遮光羽根は、前記開口部を透過する前記光束の透過量が最大となる際に、他端が前記開口部内に突出した状態で回動規制されることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光学絞り装置において、
前記遮光部は、前記本体部の前記開口部周縁に互いに対向配置され、対向方向にそれぞれ進退可能に前記本体部に設けられた一対の遮光羽根を備え、
前記一対の遮光羽根のうち少なくともいずれかの遮光羽根は、前記開口部を透過する前記光束の透過量が最大となる際に、前記開口部内に突出した状態で移動規制されることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学絞り装置において、
前記本体部の光束入射側の前記開口部周縁には、光を反射させる光反射領域が形成されていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項5】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学絞り装置を備え、
前記光学絞り装置は、前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に配設され、前記光源装置から前記光変調装置に照射される光束の光量を調整することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクタにおいて、
前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に、前記光源装置から射出された光束を前記光変調装置へ集光させる集光装置を備え、
前記光学絞り装置は、少なくとも前記集光装置の光束前段側に配設されることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−199307(P2007−199307A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16817(P2006−16817)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】