説明

光学装置

【課題】光学ファイバのセグメントを組み込んだパッケージ化されたファイバ結合光学機器を提供する。
【解決手段】光学機器アセンブリ120は、その上の構成要素126,128とファイバ溝124を有する基板122を備える。光学ファイバのセグメント100はファイバ溝124に係合して、基板122上の構成要素126,128との光学結合のために、ファイバセグメント100の位置決めをする。ファイバ保持器200は、ファイバセグメント100の、溝124との係合を維持する。ファイバ保持器200は、接着手段202により基板122に固定してもよい。基板122/保持器200上に形成された凹部領域は、接着手段202により充填され、保持部材200を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願者:Albert M. Benzoni,Joel S.Paslaski,and Peter C.Sercel
関連出願への優先権の主張
本出願は、2004年6月30日に出願された、先行出願同時係属米国暫定出願第60/584,654号に基づく優先権を主張するものであり、前記暫定出願は、その全体がここで記載されたかのごとく、参照によりその全体がここに組み込まれたものとする。
【背景技術】
【0002】
背景
本発明の分野は、光学ファイバに結合された光学機器に関する。ファイバ結合された光学機器のパッケージ化をここに開示する。
【0003】
光学ファイバに容易に結合するための光学構成要素のパッケージ化は、遠距離通信手段用の光学機器の製造過程においてはコストおよび時間がかかる部分である。光学ファイバ間の迅速な接続を可能にするためにコネクタを利用することができ、各ファイバは一対の嵌め合わせコネクタが設けられている。パッケージ化された光学機器にそのようなコネクタを設けるために、光学ファイバの短いセグメントがパッケージ内に使用され、その一端は機器に結合され、他端はコネクタ内で終端しており、嵌め合わせコネクタによる他の光学ファイバとの結合に利用される場合がよくある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここでは、光学ファイバのセグメントを組み込んだパッケージ化されたファイバ結合光学機器を提供するための装置および方法を開示する。パッケージサブアセンブリの構成により、光学機器は容易に組み立てられ、光学ファイバセグメントに光学的に結合され、それにより、ファイバ光学コネクタが提供される。
概要
光学装置は、その上の少なくとも1つの光学構成要素と、その上のファイバ溝を有する機器基板を備える光学装置アセンブリと、その第1端部がファイバ溝に係合している光学ファイバのセグメントであって、ファイバ溝はそこに係合しているファイバセグメントの第1端部を、基板上の少なくとも1つの光学構成要素と光学結合するように位置決めする光学ファイバのセグメントと、ファイバセグメントの第1端部上に位置して、その第1端部の、ファイバ溝との係合を維持するファイバ保持器を備える。
【0005】
第1実施形態においては、ファイバ保持器は、接着手段により機器基板に固定されている。機器基板またはファイバ保持器には、その上に形成された少なくとも1つの凹部領域が設けられ、接着手段は、少なくとも部分的には凹部領域を充填し、その中に保持部材を形成する。凹部領域は、多様に構成され、および/または、機器基板へのファイバ保持器の取り付け、および/またはファイバセグメントの、ファイバ溝との係合を増強するように適合される。第2実施形態においては、ファイバ保持器は、機器基板に係合され、光学ファイバセグメントの第1端部をファイバ溝に押し込むように付勢された弾力性保持器を備える。弾力性保持器は、多様に構成され、および/またはファイバセグメントのファイバ溝との係合を増強するために適合されてもよい。
【0006】
いずれの実施形態も、更に複数のファイバセグメントと、対応する複数のファイバ溝を有する1つまたは2以上の基板上の光学構成要素を備えてもよい。ファイバ保持器は、対応するファイバ溝に係合された各ファイバセグメントを維持するように配設される。1つまたは2以上のファイバセグメントとファイバ溝を有する各実施形態は、多様に構成され、および/または、嵌め合わせファイバ光学コネクタを増強するために、またはファイバピグテールを提供するために、または機械的スプライシングのためなどのために適合されてよいハウジングを更に備えてもよい。ハウジングは、多様に構成され、および/または、機械的な囲い、電磁的なシールド、電気的接続性、機械的搭載などを提供するように適合されてもよい。
【0007】
パッケージ化されたファイバ結合光学機器に関する目的と優位性は、図に例示され、下記に記述された説明および/または請求項に開示された、開示実施形態を参照することにより明白になろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1Aは、光学機器アセンブリと光学ファイバセグメントを例示している。
【図1B】図1Bは、光学機器アセンブリと光学ファイバセグメントを例示している。
【図2A】図2Aは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、ファイバ保持板を例示している。
【図2B】図2Bは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、ファイバ保持板を例示している。
【図2C】図2Cは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、ファイバ保持板を例示している。
【図2D】図2Dは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、ファイバ保持板を例示している。
【図3A】図3Aは、ファイバ保持板上の種々のファイバ溝を例示している。
【図3B】図3Bは、ファイバ保持板上の種々のファイバ溝を例示している。
【図3C】図3Cは、ファイバ保持板上の種々のファイバ溝を例示している。
【図3D】図3Dは、ファイバ保持板上の種々のファイバ溝を例示している。
【図4A】図4Aは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図4B】図4Bは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図4C】図4Cは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図4D】図4Dは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図5A】図5Aは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図5B】図5Bは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図5C】図5Cは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図5D】図5Dは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図6A】図6Aは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図6B】図6Bは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図6C】図6Cは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図6D】図6Dは、凹部領域において接着剤により形成された保持部材の種々の構成を例示している。
【図7A】図7Aは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図7B】図7Bは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図7C】図7Cは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図7D】図7Dは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図8A】図8Aは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図8B】図8Bは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図8C】図8Cは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図8D】図8Dは、光学機器アセンブリと、光学ファイバセグメントと、弾力性ファイバ保持器を例示している。
【図9】図9は、光学機器アセンブリと、光学セグメントと、ハウジングと、ファイバ保持器の分解図を例示している。
【図10】図10は、光学機器アセンブリと、光学セグメントと、ハウジングと、ファイバ保持器の分解図を例示している。
【図11】図11は、光学機器アセンブリと、光学セグメントと、ハウジングと、ファイバ保持器の分解図を例示している。
【図12】図12は、ファイバセグメントとハウジングの種々の構成を例示している。
【図13】図13は、ファイバセグメントとハウジングの種々の構成を例示している。
【図14】図14は、ファイバセグメントとハウジングの種々の構成を例示している。
【図15】図15は、ファイバセグメントとハウジングの種々の構成を例示している。
【図16】図16は、光学機器アセンブリ、複数のファイバセグメント、ファイバ保持器、およびハウジングを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図に示された実施形態は、例であり、本開示および/または付随の請求項の範囲を制限するものと解釈されてならない。
実施形態の詳細な説明
図1Aと図1Bは、機器基板122上に光学構成要素126と128を備える光学機器アセンブリ120を模式的に例示している。光学構成要素は、それに制限されるわけではないが、1つまたは2以上の、平面状導波管、レーザー、増幅器、変調器、光検出器、合焦および/または偏光光学機器、光学格子、光学フィルタ、などを含んでもよい。構成要素126と128の間の光学結合は、適切な方法であればいずれにより達成してもよく、それに制限されるわけではないが、端部結合、自由空間結合、および横方向結合が含まれる。機器基板122は、その上面に形成されたファイバ溝124を有する。「上部」、「底部」、「上」、「下」などの用語は、ここでは機器基板に関して定義されるのであって、絶対的な方向に関してではないことに留意されたい。機器基板の「上部」とは、光学構成要素126/128が位置し、ファイバ溝124が形成される表面である。光学ファイバセグメント100は、ファイバ溝124と係合し、ファイバ溝は機器基板122上に位置して、構成要素126との光学結合のために、ファイバセグメント100の端部の位置決めをする。図に示される特別な例においては、構成要素126は、機器基板122上に形成され、ファイバ溝124に係合されたファイバセグメント100との光学的端部結合のために位置決めされている平面状導波管を備える。平面状導波管は、リッジ型導波管であっても、埋込み型導波管であっても、他の適切な平面状導波管であってもよい。しかし、ファイバセグメント100に、適切な方法のいずれかにより光学的に結合された他の光学構成要素のいずれも、本開示および/または付随する請求項の範囲に入れるものとする。
【0010】
ファイバ保持器は、ファイバセグメント100の端部の、ファイバ溝124との係合を維持するために採用され、それによりまた、構成要素126とファイバセグメント100の間の光学結合を維持する。1つの実施形態において、図2A−図2D、図3A−図3D、図4A−図4D、図5A−図5D、および図6A−図6Dに模式的に例示されるように、ファイバ保持器は、保持板200を備えて、接着手段により、ファイバセグメント100の端部とファイバ溝124の上方で機器基板122に固定される。別の実施形態においては、図7A−図7Dに模式的に例示されるように、ファイバ保持器は、機器基板に係合し、ファイバセグメント100の端部をファイバ溝124に押し込むように付勢された弾力性保持器300を備える。そのような実施形態の代替構成が、図8A−図8Dに模式的に例示されている。これらの実施形態のそれぞれが、下記に更に詳細に記述される。
【0011】
図2A−図2Dにおいて、ファイバ保持器は、ファイバ溝124の一部と、そこに係合しているファイバセグメント100の端部の上方で機器基板122に固定されている保持板200を備える。接着層202を備える接着手段は、保持板200を機器基板122に固定するように機能する。接着手段はまた、ファイバ溝124に係合しているファイバセグメント100の一部をカプセル化してもよい。接着層202を形成するのに適切な接着手段は、それに制限されるわけではないが、ポリマー、半田、ガラス、または接着層202を形成し、保持板200と機器基板122に十分に接着する適切な材料であればいずれをも含んでよい。
【0012】
多くの光学機器アセンブリに対して、基板122は、しばしばシリカ層のような付加的な材料層を有するシリコンを備える。他の適切な機器基板材料を採用してもよい。保持板200は、シリコンまたは他の適切な程度に剛性な材料のいずれをも備えてよい。保持板200は、図2A−図2Dにおいては、単なる平板として示されているが、ファイバ保持器は、適切ないずれの形状でもよい。図3A−図3Dにおいては、保持板200が、ファイバセグメント100を係合するために、その下側にあるファイバ溝204を伴って示されている。そのような溝は、保持板200の適切な位置決めを支援し、また保持板200および基板122を固定するためにより薄い接着層202を使用することも可能にする。保持板200上のそのようなファイバ溝204は、図3A−図3Dに示される例としてのいずれの断面形状であってもよく、または他の適切ないずれの断面形状であってもよい。ファイバ溝204の少なくとも一部は、機器基板122と、ファイバセグメント100と、保持板200が組み立てられ、接着手段により固定されるときには、接着手段により少なくとも部分的に充填される。ファイバ溝204の開口部が、溝のより深い部分よりも横方向の広がりにおいてより小さい、図3Dの特別な配置は、保持板200への接着手段の接着を増強する。溝204内の接着手段(図3Dのような)は、ファイバ溝204の開口部よりも大きな、少なくともその一部を有する保持部材を形成してもよい。そのような拡大された保持部材は、板200への接着手段の接着力が減少し,または全く機能しなくなった場合でも、保持板200を基板122へ固定するように機能する。基板への保持板の固定のためのこのタイプの配置は、下記に更に記述するように、ファイバ溝204とは独立して採用してもよい。
【0013】
機器基板122と保持板200のいずれかまたはその両者に、その断面が図4A−図4Dおよび図5A−図5Dに示されている、1つまたは2以上の凹部領域206を設けてもよい。断面図のいずれもが、外接する空洞、くぼみ、または穴(適切であればいかなる形状でも可)または細長いスロットの断面を表現してもよい。保持板200が機器基板122に組み付けられるとき、ある接着手段は凹部領域206を少なくとも部分的には充填し、それにより、接着層202に加えて、凹部領域206内に保持部材208を形成する。保持部材208は、対応する凹部領域206の開口部よりも、少なくとも横方向の寸法において大きな、少なくともその一部を含んでもよい(図4A−図4Dおよび図5A−図5Cのように)。このようにして、保持部材208は、接着層202の接着力が減少し、または完全に機能しなくなっても(これは、種々の理由により起こり、それに限定されるわけではないが、機器の使用期間や、約−40℃と約95℃の間の典型的な機器動作温度範囲内、またはそれを超えた範囲での変動や、湿度の変動または過剰湿度、熱的循環などが含まれる)、保持板または機器基板を接着層に固定するように機能する。しかし、保持部材208が凹部領域206の開口部よりも大きくなくても(図5Dのように)、結果として増大する接触表面積は、接着手段と保持板200および/または機器基板122との間の接着力を増強する。凹部領域は、種々の方法で構成または配置してもよく、ここで記述されたものは、例であって、本開示または付随する請求項の範囲を制限するものと解釈してはならない。
【0014】
凹部領域206は、保持板のみに(図4A)または機器基板(図4B)のみに設けても、またはその両者に設けてもよい(図4C−図4D)。両者の構造に設けられると、凹部領域は、実質的に対向する対として配置されるか(図4D)または、お互いから離されて配置される(図4C)。対向する対として配置されると、そのような対向する対の整列は、保持板200の機器基板122上への設置の正確性に依存するということに留意されたい。ほとんどの場合、そのような設置は、厳格な許容範囲内で維持される必要はなく、この許容範囲は、凹部領域206の対向対の整列にも適用される。
【0015】
凹部領域206は、凹部領域の開口部を介して戻ることができない保持部材208をももたらすように、種々の方法で配置または構成してよい。凹部領域206は、開口部が、そのより深い部分よりも少なくとも1つの横方向の寸法において小さくなるように形成してもよい。そのようにアンダーカットされた凹部領域は、適切な処理であればいずれにより形成してよい。保持板または機器基板がシリコンまたは他の結晶性材料を備えるならば、指向性エッチング処理を採用して、図4A−図4Dに類似する構造をもたらすようにしてもよい。または、保持板または機器基板は、基板材料上のオーバーレイ(例えば、シリコン基板上のシリカのオーバーレイ)、および基板材料を選択的にエッチングするように採用されるエッチング処理を備えてもよい。図5Aに示すように、所望の形状の開口部は、オーバーレイ(機器基板122上の層122a、保持板200上の層200a)を介して形成され、エッチング処理により、基板材料は選択的に除去され、アンダーカットされた凹部領域206が残る(図5Aのように)。保持板208は、凹部領域206全体を充填する必要はなく、その開口部よりも少なくとも1つの横方向の寸法において大きい部分を形成しさえすればよいということに留意されたい。
【0016】
保持板200と機器基板122への十分な接着力を有する接着層202を形成でき、凹部領域206内に保持部材208を形成できる適切な接着手段であれば、いかなるものも採用できる。適切な接着手段は、典型的には、その適用中にその一部の間は、流動でき、それにより接着手段は凹部領域206内に流れ込むことができる。硬化または凝固すると、保持部材208が形成される。適切な接着手段の例としては、それに限定されるわけではないが、硬化ポリマー(熱的または光化学的硬化、エポキシポリマーを含む)、リフローポリマー、リフロー半田、リフローガラス、溶融ガラスフリットなどがある。各例において、適用のある段階において、接着手段は、凹部領域に流れ込むことができる。硬化または凝固すると(流体ポリマー前駆体の硬化、加熱リフローポリマーの冷却、半田またはガラス、加熱溶融ガラスフリットの冷却など)、保持部材208が形成される。
【0017】
接着手段の、凹部領域206内への流れを促進するために、凹部領域は、第2開口部を、保持板200(図5B−図5C)または機器基板122(図示せず)の反対側に含んでもよい。第2開口部は、接着手段(流体前駆体、リフロー材料、フリットなど)の凹部領域への流れを促進する。凹部領域は、図5Bのように、第1開口部から距離をおいて、少なくとも1つの横方向の寸法においてそのサイズを大きくしてもよく、それにより、第1開口部を通りすぎるには大きすぎる保持部材208をもたらすことができる。凹部領域のサイズを大きくしなくとも、保持部材208の拡大部分は、図5Cのように、第2開口部から現れる接着手段(ポリマーのような)により形成してもよい。また、保持部材は、凹部領域の開口部よりも大きな部分がなくてもよいが(図5Dのように)、それでも、接着手段と保持板および/または機器基板の間の接着力を増強する(増大した接触表面積を介して)。
【0018】
図6A−図6Dは、機器基板122上の、複数の凹部領域206の種々の配置を例示する。複数の凹部領域の類似の配置もまた保持板200上において可能である。他の適切な配置を採用することもできる。凹部領域206の開口部のみが図6A−図6Dに示されているが、その拡大またはアンダーカットは明示されていない。図6Aと図6Bは、機器基板上に形成された多くの外接する空洞を例示している。付加的な空洞により、接着層202と機器基板122および/または保持板200の間のより強い結合をもたらすことができる。図6Cは、機器基板上に形成された複数のスロットを例示する。スロットは、機器基板のエッジ部まで延びていてもよく(図6Cのように)、スロットの面積を増大し、それにより、接着層202と機器基板122および/または保持板200の間の結合を増強し、および/または接着手段のスロットへの流れを促進する。スロットは同じ理由により、図6Dのようにお互い交差してもよい。
【0019】
凹部領域206を設け、その中に保持部材208を形成することにより、層とこれらの構造体との間の接着力が減少し、または完全に機能しなくなっても、接着層202は、保持板200および/または機器基板122に固定されたままで維持される。結合された構造体(基板122と板200)は、そこへの層202の接着力によってだけでなく、層202の粘着力および凹部領域206内の保持部材208により、その場所に保持される。そのような粘着力は長期間存続し、そのため、接着力が、温度および/または湿度の変動、および/またはそれが過剰な湿度のため、または熱的循環、機器の経年劣化、および/または接着剤の無機能化につながる他の因子により阻害されても、機器の使用期間を延長することができる。
【0020】
いくつかの例においては、接着層202が硬化するときの収縮は、層202、保持板200、基板122、または光学ファイバ100上に変形を生じることがある。そのような変形は、層202と保持板200または基板122間の接着機能不良、層202と保持部材208間の粘着不良、または保持部材208または凹部領域206の構造不良をもたらす。必要であれば、これはいくつかの方法により削減または改善することができる。接着層202の厚さを縮小することにより、単位面積当りの変形エネルギーを縮小することができ、または光学ファイバ100のコンプライアンスにより提供される相対的な変形の緩和を増大することができる。一般的には、接着層202の厚さは、約60μmを超えず(つまり、光学ファイバ100の典型的な直径の半分よりも数μm薄い)、典型的には、約10μmより薄く、場合によっては、約2〜4μmの厚さである。保持板200は、薄い金属板または薄いプラスチック板のような弾力性材料を備えてもよい。保持遺体の弾力性を、接着層202が硬化するときの縮小により誘発される変形を緩和または削減するために十分なようにすることができる。または、弾力性ある、規格に対応した、圧縮可能なまたは変形可能な材料を、保持板200とファイバセグメント100の間の溝204内に設置してもよい。そのような内挿材料は、接着層202の縮小に起因する変形を少なくとも部分的には緩和する。適切な材料の例としては、シリコン保持板200上の溝204内に成長、蒸着または他の方法で形成されたシリカがある。他の内挿材料や他の保持板材料も同様に採用できる。
【0021】
ある例では、接着手段と光学ファイバの熱膨張特性の違いにより、層202と保持板200または基板122の間の接着不良、層202と保持部材208の間の粘着不良、または保持部材208または凹部領域206の構造的不良が引き起こされることもある。必要であれば、これはいくつかの方法で改善できる。保持板200は、薄い金属板または薄いプラスチック板のような弾力性材料を備えてもよい。保持板の弾力性は、接着手段とファイバセグメントの異なる熱的膨張を十分に吸収できるようにすることができ、それにより、差分膨張により、接着手段が保持板または基板から分離することを実質的に解消し、それにより、ファイバセグメントが、所望の動作温度範囲(例えば、約−40℃と約95℃の間)において、ファイバ溝から離脱することを実質的に防止することができる。そのような弾力性保持板は、それでも十分に小さな熱膨張係数(約10-5/℃)を有し、それにより、保持板200と機器基板122の差分膨張の結果として、必要以上の剪断応力が広がることはない。ASTM F−15合金(つまり、Kovar(R))は、保持板200の製造に適した材料の例であり、他の材料もまた使用できる。または、弾力性材料を保持板200とファイバセグメント100の間の溝204に設置してもよい。そのような材料の弾力性は、上述したように、接着手段とファイバセグメントの異なる熱膨張を十分に吸収する、または部分的に補償するようにしてもよい。
【0022】
図7A−図7Dと図8A−図8Dは、ファイバ保持器が、ファイバセグメント上に位置し、機器基板122に係合し、ファイバセグメント100をファイバ溝124に押し込むように付勢されている弾力性ファイバ保持器300/400を備える、代替実施形態を例示している。弾力性ファイバ保持器300/400は、金属、ポリマー、または他の適切な弾力性材料、またはその組合せを備えてもよい。第2ファイバ溝402(図8A−図8Dの弾力性ファイバ保持器400上に示されており、図7A−図7Dの弾力性ファイバ保持器上には示されていないが、同様に設けることもできる)を、ファイバセグメント100を係合するために設けてもよい。
【0023】
図7A−図7Bに例示されている弾力性ファイバ保持器300は、弾力的にお互いに向けて付勢されている対向部材を備えてもよい。ファイバ保持器300は、機器基板122をその前方エッジ部(つまり、ファイバ溝124により交差されるエッジ部)において、対向部材(1つは機器基板の上で1つはその下)の間に機器基板122およびファイバセグメント100の一部と係合する。対向部材の弾力性付勢力により、ファイバセグメント100は、ファイバ溝124に押し込められる。ファイバセグメント100が通過する穴を設けてもよい。
【0024】
図8A−図8Bに例示されている弾力性ファイバ保持器400は、中心部材と2つの横方向弾力部材を備える。横方向部材は、機器基板122の対向する横方向のエッジ部を、その間のファイバ溝124およびファイバセグメント100と係合する。横方向部材は、その弾力性付勢力に対して下方に力を受け、機器基板のそれぞれの側方エッジ部を係合し、それにより、弾力性付勢力がファイバセグメント100をファイバ溝124押し込むことになる。機器基板122の対向する側方エッジ部は、横方向部材を係合するように適合してもよい。適切な適合としては、それに制限されるわけではないが、くぼみ、デテント、溝、スロット、リブ、タブ、およびアンダーカット面の1つまたは2以上がある。
【0025】
光学装置アセンブリ120および、上述したように多様な方法でそこに結合されたファイバセグメント100は、少なくとも部分的には、ファイバセグメントおよび光学装置を囲むように、ハウジング106/108内に固定してもよい(図9−図16)。ハウジングは、ファイバセグメント100の、その第2端において、他の光学ファイバへの光学結合を可能にするように、種々の方法で構成または適合することができる。機器アセンブリ120は、搭載板121に固定してもよく、機器アセンブリ120の1つまたは2以上の構成要素への電気的接続を、回路素子123(フレキシブル回路素子または他の適切なタイプの回路素子を備えてもよい)を介して行う。電磁シールド125を、機器アセンブリ120の少なくとも1つの構成要素を囲むために機器基板に固定してもよい。
【0026】
図9−図12において、ファイバセグメント100は、ファイバフェルール102内に収納され、ファイバセグメントの第1端部がファイバフェルールの第1端部から突出しており、ファイバセグメントの第2端部は、実質的にファイバフェルールの第2端部と同じ高さになっている。ファイバフェルール102は、ファイバスリーブ104内に収納され、そしてハウジング106/108内に搭載されている。ファイバスリーブ104内に収納された、嵌め合わせファイバ光学コネクタは、ファイバセグメント100の第2端部を、端部結合のために第2光学ファイバと整列させる。ハウジング106/108(ファイバフェルール102および/またはファイバスリーブ104を含んでも含まなくてもよい)の他の構成を、このように嵌め合わせファイバ光学コネクタを係合するために採用してもよい。
【0027】
図13において、ファイバセグメント100の第2端部は、ファイバピグテールとしてファイバフェルール102の第2端部から突出しており、ファイバ光学コネクタ130(適切なタイプまたは構成であればいずれでもよい)はある場合もない場合もある。図14において、ファイバセグメント100の第2端部は、ファイバフェルール102内で終端し、別の光学ファイバセグメント用のレセプタクルとして機能する。別の光学ファイバセグメントをファイバフェルール102に挿入してもよく、それとの端部結合のために、ファイバセグメント100の第2端部に対して押し込んでもよい。図15において、ファイバセグメント100の第2端部は、単にハウジング106/108から出て、それにより、ファイバピグテールとして機能するが、ファイバ光学コネクタ130(適切なタイプであればいずれでもよい)はある場合もない場合もある。
【0028】
図16において、複数のファイバセグメント100が複数の対応するファイバ溝と係合している。上述した保持板200は、対応する溝に係合しているファイバセグメントを保持するために採用してもよい。また、図7A−図7Dの保持器300に類似した、または図8A−図8Dの保持器400に類似した弾力性ファイバ保持器もまた等価的に採用できる。複数のファイバセグメント100を、機器基板122上の複数の構成要素126/128との光学結合のために位置決めしてもよい。ハウジング106/108は、嵌め合わせマルチファイバコネクタを係合するために、構成および/または適合してもよい。
【0029】
下記の参照による教示に従う基板上に組み付けられた光学構成要素は、パッケージ化およびファイバ結合のために本開示に従って容易に適合することができる。参照は、1つまたは2以上のその上の平面状導波管を含む機器基板上の光学機器のアセンブリを開示する。組み付けられた構成要素は、平面状導波管に光学的に結合してもよい。平面状導波管の1つは、光学ファイバへの結合に適切な光学モードを支持するように適合でき、上述したように光学結合のためのファイバ溝に対して、基板上で適切に位置決めすることができる。下記は、あたかもそれがすべてここで記載されたかのように、参照によりここに組み込まれたものとする。
【0030】
Henry A. Blauvelt,Kerry J.Vahala,David W. Vernooy、およびJoel S. Paslaskiによる、「光学接合装置および光学パワー横方向移動を採用する方法(Optical juncton apparatus and methods employing optical power transverse−transfer)」という題名の米国非暫定出願第10/187,030号(米国特許出願公告第2003/0081902号)と、
Henry A. Blauvelt,David W. Vernooy、およびJoel S. Paslaskiによる、「導波管および/またはファイバの間の自由空間光学伝播のための光学アセンブリ(Optical assembolies for free−space optical propagation between waveguide(s) and/or fiber(s))という題名の米国非暫定出願第10/652,955号。
【0031】
本開示と付随する請求項の目的のために、接続詞「または(or)」は、i)明確に他の方法で記述されたとき、例えば「〜のいずれか(either...or)」、「〜のただ1つ(only one of...)」、または同様な表現によるか、ii)リストされた選択肢の2つまたは3つ以上が、特別な状況においてはお互いに排他的であり、「または(or)」が、お互いに排他的でない選択肢を含む組合せのみを含む場合以外は、それぞれの選択肢が含まれるように解釈されなければならない(例えば、「犬または猫」は、「犬または猫」または「その両者」と解釈され、「犬、猫、またはネズミ」は、「犬、猫、またはネズミ」またはそのいずれか2種類の組合せ、または3種類すべての組合せと解釈される)。開示された例としての実施形態および方法の等価物は、本開示および/または付随する請求項の範囲に含まれると解釈される。開示された例としての実施形態および方法、およびその等価物は、本開示または付随する請求項の範囲内において修正され得るものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器基板上に少なくとも1つの光学構成要素およびファイバ溝を備える光学機器アセンブリと、
前記ファイバ溝に係合され、当該係合によって端部が前記光学構成要素との光学結合のために位置決めされるファイバセグメントと、
前記ファイバセグメントの上方に位置し、前記ファイバセグメントの前記ファイバ溝との係合を維持するファイバ保持器と、
前記ファイバ保持器を前記機器基板に固定するための接着手段と、を備え、
前記機器基板と前記ファイバ保持器のいずれか一方または両方には、その表面の前記ファイバ溝の形成位置またはその対向位置から隔離された箇所に、前記ファイバ溝とは独立して、少なくとも1つの凹部領域が設けられ、
前記凹部領域は、前記表面に開口部を有するとともに当該表面の反対面の側に底部を有し、少なくとも1つの横方向の寸法において、前記開口部が当該開口部より深い当該凹部領域内の部分よりも小さく形成され、
前記接着手段は、前記凹部領域内に充填されて当該凹部領域内に保持部材を形成し、
前記保持部材は、前記横方向の寸法において、前記開口部よりも大きな部分を含む
ことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記機器基板または前記ファイバ保持器は、その表面にオーバーレイとしてのシリカ層が形成されており、
前記凹部領域は、前記シリカ層を介して形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記機器基板または前記ファイバ保持器は、シリコンからなり、
前記凹部領域は、エッチングにより形成されており、前記シリカ層を貫通する開口部の下方にアンダーカットされた前記シリコンのエッチングされた領域を備える
ことを特徴とする請求項2記載の光学装置。
【請求項4】
前記接着手段は、硬化ポリマー、リフローポリマー、リフロー半田、リフローガラス、または溶融ガラスフリットを備える
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の光学装置。
【請求項5】
前記ファイバ保持器は、前記対向位置に前記ファイバセグメントと係合する第2ファイバ溝を備える
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記ファイバ保持器の熱膨張係数は、約10-5/℃未満である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−248377(P2011−248377A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169767(P2011−169767)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【分割の表示】特願2007−519410(P2007−519410)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(592228756)ホーヤ コーポレイション ユーエスエイ (12)
【氏名又は名称原語表記】HOYA CORPORATION USA
【住所又は居所原語表記】101 METRO DRIVE,SUITE 500,SAN JOSE,CA 95110,U.S.A.
【Fターム(参考)】