説明

光学部品、及び成膜方法

【課題】取り扱いが容易で、複数の面に膜を簡便に形成することが可能な光学部品を提供する。
【解決手段】光学部品1は枠体2を有する。枠体2の内側には、複数の光学機能部5が向きを揃えて互いに所定間隔の距離をおいて配列されている。各光学機能部5の両端部にはそれぞれツバ部6が設けられている。ツバ部6において光学機能部5とは反対側に、連結部7が設けられている。連結部7の一方の端部はツバ部6に接続され、他方の端部は枠体2に接続されている。これにより、連結部7は、ツバ部6と枠体2とを連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光学部品、及びその光学部品に対する成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板状の光学素子の表面と裏面とに膜を蒸着する方法が提案されている(例えば特許文献1)。この方法においては、内側の縁部に切り欠きが形成された治具が用いられる。光学素子の表面に膜を蒸着する場合、光学素子の表面を切り欠きに向い合わせて光学素子を治具の内側に設置する。そして、光学素子が設置された治具を蒸着装置に設置し、光学素子の表面に膜を蒸着する。切り欠きが治具に形成されているため、その切り欠きの形状が光学素子の表面に転写される。作業者は切り欠きの形状を参照することで、光学素子の表面及び裏面を判別することができる。光学素子の裏面に膜を蒸着する場合、光学素子を治具から取り外し、裏面を切り欠きに向い合わせて光学素子を治具の内側に設置する。そして、光学素子が設置された治具を蒸着装置に設置し、光学素子の裏面に膜を蒸着する。このようにして、光学素子の表面と裏面とに膜を蒸着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−215216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の方法では、光学素子に膜を蒸着するたびに、治具への光学素子の取り付け、蒸着装置への治具の設置、及び、治具からの光学素子の取り外しが必要となる。そのため、工数が増えてしまう。すなわち、複数の面に膜を蒸着するためには、その都度、上記の作業を行う必要があるため、工数が増えてしまう。また、光学素子の取り付け及び取り外しに起因して、光学素子の外観不良が発生する場合がある。
【0005】
また、特許文献1に記載の方法では、光学素子を1つずつ治具に設置する必要があるため、作業が煩雑であり、工数が増えてしまう。
【0006】
また、作業者が光学素子を治具に設置するため、光学素子の大きさは、作業者が取り扱いやすい大きさである必要がある。さらに、光学素子に転写された切り欠きの形状を作業者が見て、膜が蒸着された面を判別する必要がある。そのため、光学素子及び切り欠きの大きさは、作業者が見て判別できる程度の大きさであることが必要となる。このように、特許文献1に記載の方法を適用できる光学素子には限りがある。すなわち、特許文献1に記載の方法を適用できる光学素子は、ある程度の大きさを持った光学素子である必要がある。
【0007】
この発明は上記の問題点を解決するものであり、取り扱いが容易で、複数の面に膜を簡便に形成することが可能な光学部品、及びその光学部品に対する成膜方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、枠体と、前記枠体の内側に配列された複数の光学機能部と、前記光学機能部の両端部にそれぞれ設けられたツバ部と、前記ツバ部を間にして前記光学機能部とは反対側に設けられて前記ツバ部と前記枠体とを連結する連結部と、を有する光学部品である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る光学部品であって、前記連結部は折れ曲がった形状を有する。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る光学部品であって、前記光学機能部は棒状の形状を有する。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る光学部品であって、前記光学機能部はプリズムである。
請求項5に係る発明は、枠体と、前記枠体の内側に配列された複数の光学機能部と、前記光学機能部の両端部にそれぞれ設けられたツバ部と、前記ツバ部を間にして前記光学機能部とは反対側に設けられて前記ツバ部と前記枠体とを連結する連結部と、を有する光学部品に対する成膜方法であって、前記両端部にそれぞれ設けられた前記ツバ部の一部を押下することにより、前記両端部の前記ツバ部を結ぶ方向を回転軸として前記回転軸の周りに前記光学機能部を回転させて、前記光学機能部の光学面を蒸着源に向けて蒸着する、ことを特徴とする成膜方法である。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る成膜方法であって、突起部を有する治具を前記光学部品に押し当てることにより、前記突起部で前記ツバ部の一部を押下して前記光学機能部を回転させる。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る成膜方法であって、前記突起部の先端はテーパ状の形状を有しており、前記突起部は、前記先端のテーパの角度に応じて、前記光学機能部の回転の角度を変えられる構造である。
請求項8に係る発明は、請求項6又は請求項7に係る成膜方法であって、前記ツバ部において前記突起部によって押下する箇所を変えることにより、前記光学機能部の回転の方向を変える。
請求項9に係る発明は、請求項5から請求項8のいずれかに係る成膜方法であって、前記光学機能部は棒状の形状を有しており、前記棒状の長手方向を前記回転軸として前記光学機能部を回転させる。
請求項10に係る発明は、請求項5から請求項9のいずれかに係る成膜方法であって、前記ツバ部において前記回転軸を間にして一方側にある第1の箇所を押下することにより、前記光学機能部を第1の方向に回転させて、前記光学機能部の第1の光学面を前記蒸着源に向けて蒸着し、前記ツバ部において前記回転軸を間にして前記第1の箇所とは反対側の第2の箇所を押下することにより、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向に前記光学機能部を回転させて、前記光学機能部における前記第1の光学面とは異なる第2の光学面を前記蒸着源に向けて蒸着する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、枠体を持って光学部品を取り扱うことができるため、光学機能部が微小であっても光学機能部の取り扱いが容易となる。また、複数の光学機能部が配列されているため、複数の光学機能部を一度に取り扱うことが可能となる。
【0010】
また、この発明の成膜方法によると、光学機能部を回転させることで、所望の面を蒸着源に向けて膜を形成することが可能となる。また、複数の光学機能部が配列されているため、複数の光学機能部に対して膜を一度に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施形態に係る光学部品の上面図である。
【図2】この発明の実施形態に係る光学部品を下面から見た部分斜視図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】光学機能部の断面図である。
【図6】この発明の実施形態に係る第1の治具の上面図である。
【図7】図6のVII−VII断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII断面図である。
【図9】蒸着装置の内部に設けられる構造体の一部を示す上面図である。
【図10】図9のXI−XI断面図である。
【図11】光学部品、第1の治具、及び構造体を重ねた状態を示す断面図である。
【図12】光学部品、第1の治具、及び構造体を重ねた状態を示す断面図である。
【図13】光学機能部の断面図である。
【図14】この発明の実施形態に係る第2の治具の上面図である。
【図15】図14のXV−XV断面図である。
【図16】光学部品、第2の治具、及び構造体を重ねた状態を示す断面図である。
【図17】光学部品、第2の治具、及び構造体を重ねた状態を示す断面図である。
【図18】光学機能部の断面図である。
【図19】変形例に係る光学部品を示す図であり、光学部品の一部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(光学部品1)
図1から図5を参照して、この発明の実施形態に係る光学部品について説明する。図1は光学部品の上面図であり、図2は図1の裏側から見た光学部品の部分斜視図である。図3から図5は光学部品の断面図である。説明の便宜上、X軸、Y軸、及びZ軸で規定される3次元の直交座標系を定義する。
【0013】
図1及び図2に示すように、この実施形態に係る光学部品1は枠体2を有する。枠体2は一例として矩形状の形状を有する。枠体2の内側の領域3には、複数の光学機能部5が向きを揃えて互いに所定間隔の距離をおいて配列されている。光学機能部5は一例として棒状の形状を有する。図1に示す例では、X−Y面内において、複数の光学機能部5が二次元的に配列されている。例えば、棒状の光学機能部5の長手方向をY方向に平行にして、X方向に向かって複数の光学機能部5が配列されている。X方向に配列された複数の光学機能部5を1列とした場合、図1に示す例では、複数の光学機能部5が2つの列をなして配置されている。列の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0014】
各光学機能部5の両端部にはそれぞれツバ部6が設けられている。ツバ部6は、一例として平板状の形状を有する。図1から図3に示すように、ツバ部6のX方向の幅は、光学機能部5の短手方向(X方向)の幅よりも長い。すなわち、ツバ部6は、複数の光学機能部5の配列方向(X方向)に向かって突出した形状を有する。なお、ツバ部6の一方の面61が、後述する治具の突起部によってZ方向に押下される。
【0015】
ツバ部6を間にして光学機能部5とは反対側に、連結部7が設けられている。連結部7の一方の端部はツバ部6に接続され、他方の端部は枠体2に接続されている。これにより、連結部7は、ツバ部6と枠体2とを連結する。一例として、連結部7の一部は直線状の形状を有し、他の一部が折れ曲がった形状を有する。具体的には、連結部7は、直線部9と屈曲部8とによって構成されている。直線部9は直線状の形状を有し、ツバ部6に接続されてツバ部6から枠体2に向かって延びている。屈曲部8は曲線状に折れ曲がった形状を有し、直線部9から枠体2に向かって延びて枠体2に接続されている。すなわち、直線部9は屈曲部8よりも枠体2の内側に配置されている。なお、連結部7は直線部9のみで構成されていてもよいし、屈曲部8のみで構成されていてもよい。連結部7は、一例として矩形状の断面形状、円形状の断面形状、又は楕円状の断面形状を有する。連結部7の断面形状は、一部が直線状で一部が曲線状であってもよい。
【0016】
図4及び図5を参照して、光学機能部5の断面の形状について説明する。図5は、光学機能部5の断面を拡大した図である。光学機能部5は、一例として五角形の断面形状を有する棒状のプリズムである。例えば、光学機能部5は、回折格子を有するプリズムであってもよいし、レンズを有するプリズムであってもよい。また、光学機能部5は、光ピックアップ用のレンズであってもよい。
【0017】
後述するが、光学部品1は蒸着装置に設置され、光学機能部5の第1の光学面51及び第2の光学面52に、反射膜や反射防止膜などの膜が蒸着される。また、後述するが、光学機能部5を複数箇所で切断することで、複数の光学素子が作製される。例えばZ−X面を切断面とし、長手方向(Y方向)に所定間隔の距離をおいて複数の箇所で光学機能部5を切断することにより、複数の光学素子が作製される。
【0018】
光学機能部5の断面における各辺の長さは、例えば0.4mm程度である。また、枠体2及びツバ部6の厚さは、例えば0.5mm程度である。また、連結部7の断面の厚さは、例えば0.4mm程度である。なお、これらのサイズは一例であり、枠体2、光学機能部5、ツバ部6、及び連結部7のサイズがこれらの値に限定されず、上記のサイズより大きくても小さくてもよい。
【0019】
以上のように、連結部7、ツバ部6、光学機能部5、ツバ部6、及び連結部7が、それらの順番で接続されて1つの組4を構成している。各組4は、2つの連結部7によって枠体2に連結されている。光学部品1は、複数の組4が規則的に配列されていることになる。光学部品1は樹脂によって構成されており、例えば溶融微細転写によって作製される。
【0020】
以上の構成を有する光学部品1においては、ツバ部6の一部をZ方向に押下することにより、光学機能部5の長手方向(Y方向)を回転軸として、その回転軸のまわりにツバ部6を回転させることが可能となっている。すなわち、ツバ部6の一部を押下すると連結部7が回転軸(Y方向)のまわりにねじれ、そのことにより、ツバ部6を回転軸のまわりに回転させることができる。例えば連結部7の断面の厚さを、ツバ部6への押下によって連結部7が回転軸のまわりにねじれる程度の厚さにしておけばよい。ツバ部6の回転により、光学機能部5は回転軸のまわりに回転させられる。そして、ツバ部6への押圧を解除すると、連結部7のねじれが元に戻り、そのことにより、光学機能部5は元の状態に戻る。なお、光学機能部5の断面の略中心、連結部7とツバ部6とが接続する箇所、及び、連結部7と枠体2とが接続する箇所が、一直線上に並ぶように、光学機能部5、ツバ部6、及び連結部7が配置されていることが好ましい。これにより、光学機能部5の断面の略中心を回転軸が通り、光学機能部5をねじれさせずに回転軸のまわりに回転させることが可能となる。なお、連結部7の一部が屈曲部8で構成されていることにより、ねじれ(歪み)によるエネルギーが屈曲部8でより吸収されやすくなるため、連結部7のねじれ及び元の状態への復元が、より容易に行われる。
【0021】
以上の構成を有する光学部品1によると、作業者は枠体2を持って光学部品1を取り扱うことができるため、光学機能部5が微小であっても光学機能部5の取り扱いが容易となる。また、複数の光学機能部5が配列されているため、複数の光学機能部5を一緒に取り扱うことが可能となる。例えば、光学部品1を蒸着装置に設置することにより、複数の光学機能部5を一度に蒸着装置に設置して、複数の光学機能部5に対して一度に膜を蒸着することが可能となる。すなわち、光学機能部5を1つずつ取り扱わなくても済むため、作業が容易となり、成膜工程における工数を減らすことが可能となる。
【0022】
(第1の治具10)
図6から図8を参照して、この発明の実施形態に係る第1の治具について説明する。図6は、第1の治具の上面図である。図7及び図8は、第1の治具の断面図である。
【0023】
第1の治具10は、光学部品1を蒸着装置に取り付けるときに用いられ、蒸着装置の内部において光学部品1を押さえ付けてツバ部6の一部を押下する。図6に示すように、第1の治具10は平板状の形状を有する。また、図6及び図7に示すように、第1の治具10の表面11には、光学部品1のツバ部6の一部に対応する位置に、突起部12が設けられている。突起部12は、表面11に直交する方向(Z方向)に突起している。後述するが、第1の治具10によって光学部品1を押さえ付けたときに、突起部12が光学部品1のツバ部6の一部に当接してツバ部6の一部を押下する。図7に示すように、突起部12は矩形状の断面形状を有する。
【0024】
X方向に隣り合う各突起部12の間には、貫通孔13が形成されている。貫通孔13は、第1の治具10の厚さ方向(Z方向)に貫通している。突起部12によってツバ部6の一部が押下されたときに、ツバ部6が貫通孔13に入り込むことで、ツバ部6を貫通孔13に逃がすことができる。
【0025】
図6及び図8に示すように、第1の治具10の表面11には、光学部品1の光学機能部5に対応する位置に、凹部14が形成されている。凹部14は、光学機能部5の形状に対応して細長い形状を有する。
【0026】
突起部12及び貫通孔13のX方向への並びを基準にして、凹部14の反対側に、突起部12及び貫通孔13から所定距離をおいてX方向に延びる貫通孔15が形成されている。貫通孔15は、第1の治具10の厚さ方向(Z方向)に貫通している。突起部12及び貫通孔13と、貫通孔15との間には、X方向に延びる当接部16がある。当接部16は、表面11と同じ面上にある。当接部16は、第1の治具10において、光学部品1の連結部7に対応する位置に設けられている。例えば、当接部16は、第1の治具10において、連結部7の直線部9に対応する位置に設けられている。
【0027】
以上のように、第1の治具10によって光学部品1を蒸着装置に押さえ付けたときに、突起部12がツバ部6の一部に当接し、当接部16が連結部7に当接するように、突起部12及び当接部16の位置が決められている。なお、複数の凹部14が並んで形成されている領域には、凹部14の代わりに、第1の治具10の厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0028】
(構造体20)
図9及び図10を参照して、蒸着装置に光学部品1を設置するための構造体について説明する。図9は、構造体の一部を示す上面図である。図10は、構造体の断面図である。
【0029】
蒸着装置の内部には、複数の光学部品1を載置することが可能な構造体20が設けられている。構造体20は所定の厚さを有する。図9及び図10に示すように、構造体20の表面には、光学部品1を載置するための第1の凹部21と、第1の治具10を載置するための第2の凹部22とが形成されている。図10に示すように、構造体20の裏面側には蒸着源Tが設けられており、構造体20の裏面側から光学部品1に対して膜を蒸着する。第2の凹部22は、第1の凹部21の外側に形成されている。第1の凹部21の深さ(Z方向の長さ)は、第2の凹部22の深さよりも深い。第1の凹部21の外形形状及びサイズは、光学部品1の枠体2の外形形状及びサイズとほぼ同じである。光学部品1を第1の凹部21に嵌めることで、光学部品1を構造体20に載置する。また、第2の凹部22の外形形状及びサイズは、第1の治具10の外形形状及びサイズとほぼ同じである。第1の治具10を第2の凹部22に嵌めることで、第1の治具10を構造体20に載置する。この実施形態においては、光学部品1を第1の凹部21に載置し、その後、第1の治具10を第2の凹部22に載置する。
【0030】
第1の凹部21の内側には、構造体20の厚さ方向(Z方向)に貫通する貫通孔23及び貫通孔24が形成されている。貫通孔23は、構造体20において、光学部品1の複数の光学機能部5が配列された領域に対応する位置に形成されている。また、貫通孔24は、構造体20において、第1の治具10の貫通孔15に対応する位置に形成されている。また、構造体20において、第1の治具10の当接部16に対応する位置に、当接部25が設けられている。すなわち、貫通孔23と貫通孔24とで挟まれた領域が、当接部25に該当する。
【0031】
第1の凹部21、第2の凹部22、貫通孔23、貫通孔24、及び当接部25を1つの組とし、構造体20には複数の組が形成されている。これにより、複数の光学部品1を構造体20に設置することが可能となる。すなわち、複数の光学部品1を蒸着装置の内部に設置することが可能となる。
【0032】
なお、第1の凹部21及び第2の凹部22の一部において、第1の凹部21から第2の凹部22の外側にかけて第3の凹部26が設けられていてもよい。例えば、第3の凹部26の深さ(Z方向の長さ)は、第1の凹部21の深さと同じである。第3の凹部26は、光学部品1及び第1の治具10を構造体20から取り外すときに用いられる。作業者が第3の凹部26に指をかけて光学部品1及び第1の治具10を持ち上げることにより、光学部品1及び第1の治具10を構造体20から容易に取り外すことが可能となる。
【0033】
(第1の治具10を用いた成膜方法)
図11から図13を参照して、光学部品1に対する成膜方法について説明する。ここでは、第1の治具10を用いて、光学機能部5の第1の光学面51に膜を蒸着する場合について説明する。図11及び図12は、光学部品1、第1の治具10、及び構造体20を重ねた状態を示す断面図である。図13は、光学機能部5の断面図である。
【0034】
まず、光学部品1を構造体20に載置する。例えば図11に示すように、ツバ部6の面61とは反対側の面を構造体20に向けて、光学部品1を第1の凹部21に嵌めることで、光学部品1を構造体20に載置する。そして、光学部品1が構造体20に載置された状態で、第1の治具10の突起部12を光学部品1に向けて、第1の治具10を第2の凹部22に嵌めることで、第1の治具10を構造体20に載置する。突起部12は、ツバ部6の一部に対応する位置に設けられているため、第1の治具10を構造体20に載置することにより、突起部12がツバ部6の面61の一部に当接する。例えば、面61において光学機能部5を間にして一方側にある箇所に、突起部12が当接する。図11に示す例では、面61において光学機能部5を間にして右側にある箇所(第1の箇所)に、突起部12が当接する。第1の治具10において第1の箇所に対応する位置に突起部12を設けることにより、突起部12を第1の箇所に当接させることができる。
【0035】
また、光学部品1と第1の治具10とを構造体20に載置することにより、第1の治具10の当接部16と構造体20の当接部25とによって、光学部品1の直線部9が上下方向(Z方向)から挟まれる。すなわち、第1の治具10の当接部16と構造体20の当接部25とによって、光学部品1の直線部9を挟んで支持する。
【0036】
第1の治具10を構造体20に設置すると、図12に示すように、突起部12が光学部品1及び構造体20の方向に押し込まれ、そのことにより、突起部12がツバ部6の一部を押下する。ツバ部6の片側(第1の箇所)が突起部12によって押下されることにより、光学機能部5の長手方向(Y方向)を回転軸として、連結部7が回転軸のまわりにねじれ、そのことにより、光学機能部5及びツバ部6が回転軸のまわりに回転させられる。なお、光学機能部5の両端部に設けられたツバ部6を結ぶ方向(Y方向)が、回転軸に相当する。
【0037】
図13に、回転前の光学機能部5と回転後の光学機能部5とを示す。突起部12による押下によって、光学機能部5は回転軸のまわりで矢印Aの方向に回転させられる。構造体20の裏面側には蒸着源Tが設置されており、回転前においては、第1の光学面51は蒸着源Tに向いていない。矢印Aの方向に光学機能部5を回転させることにより、回転後においては、第1の光学面51を蒸着源Tに向けることが可能となる。
【0038】
そして、蒸着源Tから第1の光学面51に対して膜を蒸着する。例えば反射膜や反射防止膜を第1の光学面51に蒸着する。反射膜には、例えばアルミニウム(Al)や金(Au)などの金属の膜が用いられる。反射防止膜には、例えばSiO膜とTiO膜とが積層された膜や、SiO膜とZrO膜とが積層された膜などが用いられる。
【0039】
上述したように、突起部12によってツバ部6の一部を押下することにより、ツバ部6も回転軸のまわりに回転させられる。ツバ部6は、この回転によって光学部品1に直交する方向(Z方向)に立ち上がる。立ち上がった状態のツバ部6は、第1の治具10に形成された貫通孔13に入り込むため、ツバ部6を貫通孔13に逃がして、光学部品1と第1の治具10と構造体20とを重ねて設置することができる。また、光学機能部5を回転させたときに、光学機能部5の一部が、第1の治具10に形成された凹部14内を通る。
【0040】
また、突起部12の形状に応じて、光学機能部5の回転量(回転の角度)を変えることができる。例えば突起部12の側面の角度を所望の回転量に対応する角度とすることにより、光学機能部5の所望の面を蒸着源Tに向けて、その面に膜を蒸着することが可能となる。
【0041】
蒸着が終了した後、第1の治具10を構造体20から取り外すことにより、ツバ部6に対する押圧が解除される。押圧の解除によって連結部7のねじれが元に戻り、光学機能部5は元の状態に戻る。
【0042】
以上の構成を有する光学部品1に対する成膜方法によると、第1の治具10を用いてツバ部6の一部を押下することにより、複数の光学機能部5のそれぞれの第1の光学面51を、一度に蒸着源Tに向けることが可能となる。そのことにより、複数の光学機能部5のそれぞれの第1の光学面51に、一度に膜を蒸着することが可能となる。すなわち、光学部品1に設けられたすべての光学機能部5の第1の光学面51を、一度に蒸着源Tに向けることができるため、すべての光学機能部5の第1の光学面51に対して、一度に膜を蒸着することが可能となる。その結果、光学機能部5を1つずつ蒸着装置に設置して膜を蒸着する必要がないため、作業が容易となり、成膜工程における工数を減らすことが可能となる。また、突起部12の先端の角度によって所望の面を選択して蒸着源Tに向けることが可能となる。そのため、複数の光学機能部5のそれぞれにおける所望の面に、一度に膜を蒸着することが可能となる。
【0043】
(第2の治具30)
図14及び図15を参照して、この発明の実施形態に係る第2の治具について説明する。図14は、第2の治具の上面図である。図15は、第2の治具の断面図である。
【0044】
第2の治具30は第1の治具10と同様に、光学部品1を蒸着装置に取り付けるときに用いられ、蒸着装置の内部において光学部品1を押さえ付けてツバ部6の一部を押下する。第1の治具10は、光学機能部5の第1の光学面51に膜を蒸着するときに用いられるが、第2の治具30は、光学機能部5の第2の光学面52に膜を蒸着するときに用いられる。具体的には、第2の治具30は、第1の治具10とは異なる回転方向及び回転量を光学機能部5に与える。
【0045】
図14に示すように、第2の治具30は平板状の形状を有する。また、図14及び図15に示すように、第2の治具30の表面31には、光学部品1のツバ部6の一部に対応する位置に、突起部32が設けられている。突起部32は、表面31に直交する方向(Z方向)に突起している。第2の治具30によって光学部品1を押さえ付けたとき、突起部32が光学部品1のツバ部6の一部に当接してツバ部6を押下する。図15に示すように、突起部32の先端には、先端に向かって先細り状になっているテーパ部32Aが形成されている。すなわち、突起部32の先端の側面が、突起部32が突起している方向(Z方向)に対して所定の角度をもって斜めに形成されている。テーパ部32Aの角度によって、光学機能部5の回転量(回転の角度)を変えることができる。
【0046】
X方向に隣り合う各突起部32の間には、貫通孔33が形成されている。貫通孔33は、第2の治具30の厚さ方向(Z方向)に貫通している。突起部32によってツバ部6の一部が押下されたときに、ツバ部6が貫通孔33に入る込むことで、ツバ部6を貫通孔33に逃がすことができる。
【0047】
第1の治具10と同様に、第2の治具30の表面31には、光学部品1の光学機能部5に対応する位置に、凹部34が形成されている。凹部34は、光学機能部5の形状に対応して細長い形状を有する。
【0048】
突起部32及び貫通孔33のX方向への並びを基準にして、凹部34の反対側に、突起部32及び貫通孔33から所定距離をおいてX方向に延びる貫通孔35が形成されている。貫通孔35は、第2の治具30の厚さ方向(Z方向)に貫通している。突起部32及び貫通孔33と、貫通孔35との間には、X方向に延びる当接部36がある。当接部36は、表面31と同じ面上にある。当接部36は、第2の治具30において、光学部品1の連結部7に対応する位置に設けられている。例えば、当接部36は、第2の治具30において、連結部7の直線部9に対応する位置に設けられている。
【0049】
以上のように、第2の治具30によって光学部品1を蒸着装置に押さえ付けたときに、突起部32がツバ部6の一部に当接し、当接部36が連結部7に当接するように、突起部32及び当接部36の位置が決められている。なお、複数の凹部34が並んで形成されている領域には、第2の治具30の厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0050】
また、第2の治具30は、上述した構造体20の第2の凹部22に載置される。すなわち、第2の治具30の外形形状及びサイズは、第2の凹部22の外形形状及びサイズとほぼ同じである。
【0051】
(第2の治具30を用いた成膜方法)
図16から図18を参照して、光学部品1に対する成膜方法について説明する。ここでは、第2の治具30を用いて、光学機能部5の第2の光学面52に膜を蒸着する場合について説明する。図16及び図17は、光学部品1、第2の治具30、及び構造体20を重ねた状態を示す断面図である。図18は、光学機能部5の断面図である。
【0052】
まず、光学部品1を構造体20に載置する。例えば図16に示すように、ツバ部6の面61とは反対側の面を構造体20に向けて、光学部品1を第1の凹部21に嵌めることで、光学部品1を構造体20に載置する。なお、第1の光学面51に続けて第2の光学面52に膜を蒸着する場合には、第1の治具10を取り外した後、光学部品1を構造体20に載置したままの状態にしておけばよい。そして、光学部品1が構造体20に載置された状態で、第2の治具30の突起部32を光学部品1に向けて、第2の治具30を第2の凹部22に嵌めることで、第2の治具30を構造体20に載置する。突起部32は、ツバ部6の一部に対応する位置に設けられているため、第2の治具30を構造体20に載置することにより、突起部32がツバ部6の面61の一部に当接する。例えば、面61において光学機能部5を間にして、第1の治具10の突起部12が当接する箇所(第1の箇所)とは反対側の箇所に、突起部32が当接する。図16に示す例では、面61において光学機能部5を間にして左側にある箇所(第2の箇所)に、突起部32が当接する。第2の治具30において第2の箇所に対応する位置に突起部32を設けることにより、突起部32を第2の箇所に当接させることができる。
【0053】
また、光学部品1と第2の治具30とを構造体20に載置することにより、第2の治具30の当接部36と構造体20の当接部25とによって、光学部品1の直線部9が上下方向(Z方向)から挟まれる。すなわち、第2の治具30の当接部36と構造体20の当接部25とによって、光学部品1の直線部9を挟んで支持する。
【0054】
第2の治具30を構造体20に設置すると、図17に示すように、突起部32が光学部品1及び構造体20の方向に押し込まれ、そのことにより、突起部32がツバ部6の一部を押下する。ツバ部6の片側(第2の箇所)が突起部32によって押下されることにより、光学機能部5の長手方向(Y方向)を回転軸として、連結部7が回転軸のまわりにねじれ、そのことにより、光学機能部5及びツバ部6が回転軸のまわりに回転させられる。
【0055】
図18に、回転前の光学機能部5と回転後の光学機能部5とを示す。突起部32による押下によって、光学機能部5は回転軸のまわりで矢印Bの方向に回転させられる。構造体20の裏面側には蒸着源Tが設置されており、回転前においては、第2の光学面52は蒸着源Tに向いていない。矢印Bの方向に光学機能部5を回転させることにより、回転後においては、第2の光学面52を蒸着源Tに向けることが可能となる。
【0056】
ツバ部6の面61において突起部32が当接する第2の箇所は、光学機能部5を間にして、第1の治具10の突起部12が当接する第1の箇所とは反対側にある。そのため、第2の治具30によって光学機能部5に与えられる回転の方向(矢印Bの方向)は、第1の治具10によって与えられる回転の方向(矢印Aの方向)とは逆の方向となる。このように、突起部の位置によって回転方向を変えることができる。すなわち、第1の治具10と第2の治具30とでは突起部の位置が互いに異なるため、ツバ部6において回転軸を間にして互いに反対側の位置を押下することができる。そのことにより、第1の治具10と第2の治具30とで、光学機能部5に対して互いに反対の回転方向を与えることが可能となる。
【0057】
また、テーパ部32Aの角度によって、光学機能部5の回転角度が規定される。図17に示すように、ツバ部6の面61の一部がテーパ部32Aに当接し、テーパ部32Aの角度以上には、ツバ部6及び光学機能部5は回転させられない。そのため、テーパ部32Aの角度によって光学機能部5の回転角度を変えて、光学機能部5の所望の面を蒸着源Tに向けることが可能となる。すなわち、テーパ部32Aの角度を所望の回転量(回転の角度)に対応する角度とすることにより、光学機能部5の所望の面を蒸着源Tに向けて、その面に膜を蒸着することが可能となる。
【0058】
そして、蒸着源Tから第2の光学面52に対して膜を蒸着する。例えば反射膜や反射防止膜を第2の光学面52に蒸着する。
【0059】
また、突起部32によってツバ部6の一部を押下することにより、ツバ部6も回転軸のまわりに回転させられる。ツバ部6は、この回転によって光学部品1に直交する方向(Z方向)に立ち上がる。立ち上がった状態のツバ部6は、第2の治具30に形成された貫通孔33に入り込むため、ツバ部6を貫通孔33に逃がして、光学部品1と第2の治具30と構造体20とを重ねることができる。また、光学機能部5を回転させたときに、光学機能部5の一部が、第2の治具30に形成された凹部34内を通る。
【0060】
蒸着が終了した後、第2の治具30を構造体20から取り外すことにより、ツバ部6に対する押圧が解除される。押圧の解除によって連結部7のねじれが元に戻り、光学機能部5は元の状態に戻る。
【0061】
以上の構成を有する光学部品1に対する成膜方法によると、第2の治具30を用いてツバ部6の一部を押下することにより、複数の光学機能部5のそれぞれの第2の光学面52を、一度に蒸着源Tに向けることが可能となる、そのことにより、複数の光学機能部5のそれぞれの第2の光学面52に、一度に膜を蒸着することが可能となる。すなわち、光学部品1に設けられたすべての光学機能部5の第2の光学面52を、一度に蒸着源Tに向けることができるため、すべての光学機能部5の第2の光学面52に対して、一度に膜を蒸着することが可能となる。その結果、光学機能部5を1つずつ蒸着装置に装置して膜を蒸着する必要がないため、作業が容易となり、成膜工程における工数を減らすことが可能となる。
【0062】
この実施形態に係る光学部品1によると、光学機能部5の第1の光学面51と第2の光学面52とに対して、続けて膜を蒸着することができる。例えば光学部品1を構造体20に載置し、第1の治具10を構造体20に設置することにより、第1の光学面51を蒸着源Tに向ける。そして、第1の光学面51に膜を蒸着する。第1の光学面51への蒸着が終了した後、構造体20から第1の治具10を取り外す。光学部品1は構造体20に取り付けたままにしておく。次に、第2の治具30を構造体20に設置することにより、第2の光学面52を蒸着源Tに向ける。そして、第2の光学面52に膜を蒸着する。このように、光学部品1を構造体20に取り付けたまま、光学機能部5において異なる面に膜を蒸着することが可能となる。すなわち、光学部品1を構造体20に一度設置すれば、成膜対象となる面を変えるたびに光学部品1を蒸着装置から取り外して位置を変えなくても、異なる面にそれぞれ膜を蒸着することが可能となる。なお、第2の光学面52に膜を蒸着し、その後、第1の光学面51に膜を蒸着してもよい。
【0063】
また、成膜対象となる面に応じて、突起部の位置、突起部の高さ、突起部の先端の角度(テーパ部の角度)を変えることにより、所望の面を蒸着源Tに向けて、所望の面に膜を蒸着することが可能となる。すなわち、光学部品1を構造体20に一度設置すれば、治具を取り換えるだけで、光学機能部5において異なる面にそれぞれ膜を蒸着することが可能となる。成膜対象となる面を変えるたびに光学部品1を蒸着装置から取り外して位置を変える必要がないため、作業が簡便となり、光学部品1の取り付け及び取り外しに伴う外観の不良が発生しにくくなる。すなわち、異なる面にそれぞれ膜を蒸着する場合であっても、蒸着装置に光学部品1を設置し、成膜対象となるすべての面に膜を蒸着した後に、光学部品1を蒸着装置から取り外せば良いため、作業が簡便となり、取り付け及び取り外しに伴う外観不良が発生しにくくなる。また、作業手順に従って、成膜対象の面に対応する治具を使用すれば、既に成膜された面が再び成膜されずに済む。
【0064】
(蒸着後の工程)
光学機能部5に膜を蒸着した後、蒸着装置から光学部品1を取り出す。その後、光学機能部5を複数の箇所で切断することにより、複数の光学素子を得る。例えば、光学部品1に、粘着テープとして機能するダイシングテープを貼り付け、光学部品1をダイシング装置に設置する。まず、枠体2から複数の光学機能部5を切り離す。そして、Z−X面を切断面とし、光学機能部5の長手方向(Y方向)に所定間隔の距離をおいて複数の箇所で光学機能部5を切断することにより、複数の光学素子を得る。その後、複数の光学素子をトレーなどに梱包する。この実施形態に係る光学部品1によると、複数の光学機能部5に対して膜を一度に蒸着することができるため、微小な光学素子を大量に製造することができ、また、製造コストを削減することが可能となる。
【0065】
また、光学部品1は枠体2の外形形状を有するため、成形工程、成膜工程、及び後工程のそれぞれの工程間において、光学部品1の移送が容易となる。また、光学機能部5は枠体2に囲まれているため、衝撃に比較的強い。また、複数の光学部品1を重ねることにより、複数の光学部品1を保管するためのスペースを削減することが可能となる。
【0066】
(変形例)
図19を参照して、光学部品1の変形例について説明する。変形例として、連結部7の形状を変えた。図19は、光学部品の一部の上面図であり、連結部を拡大した図である。図19には、連結部7の別の例として、連結部7A、7B、7C、7Dが示されている。
【0067】
連結部7の形状は、突起部12、32による押下によって生じるねじれ(歪み)のエネルギーを吸収しやすい形状であれば、どのような形状であっても構わない。例えば、連結部7の両端部間の距離が、より長くなる形状であることが好ましい。変形例においては、一例として連結部7の屈曲部8の形状を変えている。
【0068】
連結部7Aは、屈曲部8の代わりに屈曲部8Aを有する。屈曲部8Aは、直線部分がX−Y面内において左右に斜めに折れ曲がった形状を有する。このように連結部7Aの一部が折れ曲がっているため、連結部7Aの両端部間の距離が、連結部7Aを直線部9のみで構成するよりも長くなる。そのことにより、連結部7Aを直線部9のみで構成するよりも、ねじれ(歪み)によるエネルギーをより吸収しやすくなる。連結部7Bは、屈曲部8の代わりに屈曲部8Bを有する。屈曲部8Bは、屈曲部8Aと同様に、直線部分がX−Y面内において左右に斜めに折れ曲がった形状を有する。屈曲部8Bにおいては、折れ曲がった部分が曲線状となっている。これにより、折れ曲がった部分において、ねじれによる応力の集中を避けることが可能となる。
【0069】
連結部7Cは、屈曲部8の代わりに屈曲部8Cを有する。屈曲部8Cは、直線部分がX−Y面内においてほぼ直角に折れ曲がった形状を有する。これにより、連結部7Cの両端部間の距離がより長くなるため、ねじれ(歪み)によるエネルギーをより吸収しやすくなる。連結部7Dは、屈曲部8の代わりに屈曲部8Dを有する。屈曲部8Dは、屈曲部8Cと同様に、直線部分がX−Y面内においてほぼ直角に折れ曲がった形状を有する。屈曲部8Dにおいては、折れ曲がった部分が曲線状となっている。これにより、折れ曲がった部分において、ねじれによる応力の集中を避けることが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1 光学部品
2 枠体
5 光学機能部
6 ツバ部
7、7A、7B、7C、7D 連結部
8、8A、8B、8C、8D 屈曲部
9 直線部
10 第1の治具
11、31 表面
12、32 突起部
13、15、23、24、33、35 貫通孔
14、34 凹部
16、25、36 当接部
20 構造体
21 第1の凹部
22 第2の凹部
26 第3の凹部
30 第2の治具
51 第1の光学面
52 第2の光学面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体の内側に配列された複数の光学機能部と、
前記光学機能部の両端部にそれぞれ設けられたツバ部と、
前記ツバ部を間にして前記光学機能部とは反対側に設けられて前記ツバ部と前記枠体とを連結する連結部と、
を有する光学部品。
【請求項2】
前記連結部は折れ曲がった形状を有する、
請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記光学機能部は棒状の形状を有する、
請求項1又は請求項2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記光学機能部はプリズムである、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学部品。
【請求項5】
枠体と、
前記枠体の内側に配列された複数の光学機能部と、
前記光学機能部の両端部にそれぞれ設けられたツバ部と、
前記ツバ部を間にして前記光学機能部とは反対側に設けられて前記ツバ部と前記枠体とを連結する連結部と、
を有する光学部品に対する成膜方法であって、
前記両端部にそれぞれ設けられた前記ツバ部の一部を押下することにより、前記両端部の前記ツバ部を結ぶ方向を回転軸として前記回転軸の周りに前記光学機能部を回転させて、前記光学機能部の光学面を蒸着源に向けて蒸着する、
ことを特徴とする成膜方法。
【請求項6】
突起部を有する治具を前記光学部品に押し当てることにより、前記突起部で前記ツバ部の一部を押下して前記光学機能部を回転させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の成膜方法。
【請求項7】
前記突起部の先端はテーパ状の形状を有しており、
前記突起部は、前記先端のテーパの角度に応じて、前記光学機能部の回転の角度を変えられる構造である、
ことを特徴とする請求項6に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記ツバ部において前記突起部によって押下する箇所を変えることにより、前記光学機能部の回転の方向を変える、
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の成膜方法。
【請求項9】
前記光学機能部は棒状の形状を有しており、
前記棒状の長手方向を前記回転軸として前記光学機能部を回転させる、
ことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項10】
前記ツバ部において前記回転軸を間にして一方側にある第1の箇所を押下することにより、前記光学機能部を第1の方向に回転させて、前記光学機能部の第1の光学面を前記蒸着源に向けて蒸着し、
前記ツバ部において前記回転軸を間にして前記第1の箇所とは反対側の第2の箇所を押下することにより、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向に前記光学機能部を回転させて、前記光学機能部における前記第1の光学面とは異なる第2の光学面を前記蒸着源に向けて蒸着する、
ことを特徴とする請求項5から請求項9のいずれかに記載の成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−31438(P2012−31438A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169149(P2010−169149)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】