説明

光度計

【課題】溶解および反応を加速できるマイクロキュベットを備えた光度計を提供する。
【解決手段】マイクロキュベット7の中の液体試料の透過率を決定するための光度計がこの液体試料の毛管層のためのキャビティを有し、自由液体表面がこのキャビティの主面を横切って伸び、このキャビティは最初に反応を達成するための試薬を用意し、それがこの液体試料の所定の物質の含有量を示すためのこの液体試料の透過率に影響し、マイクロキュベット用ホルダ6およびこのマイクロキュベットの方へ向けた光束の透過率が測定される。このキュベットホルダ6は、この自由液体表面の平面を伸び且つこのキャビティの主面と平行な成分を有する方向に振動し、それによって混合を達成して溶解および反応を加速するために、軸受に取付け、互いから毛管の距離の本質的に平行な壁の間に配置した、薄い液体層の中で混合を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはマイクロキュベットの中の液体試料の透過率を、このマイクロキュベット用ホルダおよびこのキュベットの方へ向けた光束の透過率を測定するための測定手段を有する光度計によって決定することに関する。マイクロキュベットは、液体試料の毛管層のためのキャビティを有し、その試料は、自由液体表面がキャビティの主面を横切って拡がる。更に詳しくは、このキャビティは、液体試料の自由液体表面がこの実際のキャビティにまたはそれに関連して出来るようでもよい。このキャビティは、最初に反応を達成するための試薬を用意し、それが液体試料の透過率に影響し、所定の物質の含有量を決定できるようにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
溶液中の物質の濃度を定量的に決定するための、吸収または透過測光のような、光学的方法は良く知られ、多くの文献がある。
そのような定量的決定を行うための光度計も良く知られ、通常光学部品、機械部品および電気部品を含む。光学部品には、例えば、所定の波長の光束を創るためのモノクロメータ干渉フィルタを備える光源、および透過光束の光量に相当する電気信号を発生する光検出器がある。機械部品には、光学部品が取付けられているケーシング、およびやはりこのケーシングに配置されていて、この光度計で測定すべき試料用を意図するホルダがある。やはりこのケーシングに配置されているのが適当な電気部品には、測定結果を提示するためのユニットは勿論、光源を制御し且つ光検出器からの信号を扱うために必要な回路がある。命令を有するマイクロプロセッサをこの電気部品の必須要素として含めることができる。
上記のような光度計は、ヨーロッパ特許第0 469 097号に開示されている。この特許は、全血の中のグルコースを決めるための光度計を開示する。この光度計は、二つの異なる波長での測定に基づく。これらの一つは、測定波長を構成し、他は、例えば、濁った試料についての測定の安全性を増すための補償波長を構成する。この光度計の設計は、簡単で頑丈である。
【0003】
使い捨てマイクロキュベットが、例えば、米国特許第4,088,448号に開示されている。これらのマイクロキュベットは、血液のような、液体の採取、この液体試料の試薬との混合および試薬と混合した試料の直接光学分析用を意図する。このキュベットは、二つの平行な、および好ましくは平面の、表面を有する本体を含み、それらの表面が光学波長を形成し、互いから所定の距離に置いて平面の測定キャビティを作る。この測定キャビティは、入口を介してこの本体の外部環境に通ずる。更に、この測定キャビティは、所定の容積を有し、試料が毛管力によって入れるように設計してある。乾燥試薬をこのキャビティの内面に付ける。
【0004】
米国特許第4,088,448号に基づくマイクロキュベットは、かなりの程度に商業的に成功し、現在、例えば、全血の中のヘモグロビンおよびグルコースの定量的決定のために使われている。この成功に寄与した重要な要因は、採取から応答までの時間が非常に短いことである。この時間が非常に短い理由の一つは、ヘモグロビンおよびグルコースの決定のために使う試薬組成物がマイクロキュベットの毛管キャビティに吸込んだ少量の血液に容易に溶けることである。これは、試薬成分が一様分布で実際上直ちに混合する結果となる。しかし、これらの従来技術のマイクロキュベットは、容易には溶けず、従って溶解のために比較的長期間要する試薬が必要な成分の決定には適さないことが分かった。仮令、米国特許第4,088,448号が示唆するように、試料と試薬の混合をマイクロキュベットを振動しながら行っても、混合は不十分である。
【0005】
マイクロキュベットに存在する薄い毛管層の中で液体および試薬を混合するために特別に開発した方法が米国特許第4,936,687号に提案されている。この方法では、混合を達成するための手段として小さい磁性粒子を使用し、実際の混合作業は、特別に設計し且つ配置しおよび所定の方法で操作する外部磁石を使って実施する。この混合手順の後に、磁性粒子を試料の分析すべき部分から分離する。
この方法は、液体と試薬のある組合せに対しては良く機能するが、磁石の特別な配置と設計が必要であるので、工業上および商業上の観点からは特に魅力はない。微細磁性粒子を使い、混合工程後にこれらの粒子を分離することも時間と労力を要し、それがこの方法を複雑で比較的高価にする。その上、試料と試薬両方の化学的障害の危険性がある。
【0006】
更には、ヨーロッパ特許第75 605号が毛管液体層に於ける混合のための方法を開示する。この方法によれば、混合を反応容器の中で行い、その容器は、2枚の平行な板を含み、その間に分析すべき液体試料を薄層として付ける。混合は、これらの板のそれらの平面に垂直な相対運動によって実施する。しかし、この種の混合は、上に述べた型式のマイクロキュベットには、測定キャビティを形成するそれらの二つの平行な表面が互いから所定の距離に配置されているので、適用できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
薄い毛管層の中で液体および試薬を混合するための簡単且つ効果的方法で、溶けにくい試薬にも適する方法があれば、マイクロキュベットで実施できる決定の数を増やすだろう。その結果、マイクロキュベットがこれまで実施できなかった分析または以前に関心がなかった分析にも魅力的になるだろう。
本発明の一つの態様によれば、マイクロキュベットの中の薄い液体層での混合の問題に対して、前記請求項1に記載した顕著な特徴を有する、特別に設計した光度計によって解決策が見つかった。この光度計の好適実施例は、関連する従属請求項に記載されている。
この創意ある光度計は、前記請求項7から明白な特徴を備え、それ自体この発明の第2態様を構成する、混合プロセスを実行する。この混合プロセスの好適実施例は、関連する従属請求項から明白である。
【0008】
第1態様によれば、この発明は、この様に、液体試料の毛管層のためのキャビティを有し、自由液体表面がこのキャビティの主面を横切って伸びるマイクロキュベットの中の液体試料の透過率を決定するための光度計に関する。更に、このキャビティは、最初に反応を達成するための試薬を用意し、それがこの液体試料の所定の物質の含有量を定量化するためのその透過率に影響する。この光度計は、キュベット用ホルダおよびこのキュベットを通る透過率を測定するために測定手段を有する。この発明によれば、このホルダを、この自由液体表面の平面内に位置し且つこのキャビティの主面と平行な成分を有する方向に振動するために、軸受に取付ける。この成分は、この振動方向の主成分である、即ち、振動が本質的にこの自由液体表面の平面内で且つこのキャビティの主面と平行に起こるのが好ましい。その結果、比較的迅速な混合を達成し、それで溶解および反応を加速する。
【0009】
この振動は、この自由液体表面に弾性膜のような波動運動をさせ、この波動運動の波長および振幅は、この振動の振動数および大きさに依る。
好適実施例では、この振動を、この測定手段によってこのキュベットの方に向けた光束の方向と本質的に平行な軸の周りに揺動するために軸受に取付けたキュベットホルダによって達成する。このキュベットホルダによって支持するマイクロキュベットの中のキャビティの主面は、揺動の平面を伸び、または本質的に揺動の軸に関する半径の周りに傾斜することによってそれと(または一般的に、振動方向と)鋭角を成すことが出来る。
【0010】
この第2態様によれば、この発明は、互いから毛管の距離に配置した二つの本質的に平行平面壁の間に配置した、薄い液体層の中で混合を実行する方法に関する。混合は、これらの壁にこの液体層の平面内の運動を受けさせ、この運動をこれらの壁によってこの液体に加えられる毛管力と釣り合わせ、およびこの液体層と周囲媒体の間の境界面をそれが弾性膜として機能するように選択することによって実行する。この指示した運動は、本質的に往復運動であるのが好ましい。
この方法は、上に示す種類のマイクロキュベットの中に存在する薄い液体層の中で試料と試薬の混合を達成するのに良く適する。しかし、基本的に、この混合方法は、互いから毛管の距離に配置した本質的に平行な壁の間の薄い層の形の全ての液体に適用できる。
【0011】
毛管力は、これらの壁の材料の種類、もしあれば、試薬のような、添加剤を含む資料の種類、およびこれらの壁の間の距離に依る。この運動の振動数および振幅パラメータは、個々のケースに存在する毛管力に対して釣り合っていなければならず、これらのパラメータは、この振動数/振幅が高過ぎると起こるかも知れない、液体の一部がマイクロキュベットから逃げる如何なる危険もなしに、混合を行うに十分でなければならない。
この弾性膜の、即ち、この試料の周囲媒体、例えば、空気に対する境界面の長さの上限は、液体試料の体積が平行壁によってだけ限られ、且つキャビティに閉じ込められない場合に存在する。下限は、試料液体、試薬、適当なビート振動数、キャビティ深さ等に基づいて実験によって決める。
この運動に対する正しい条件が存在するとき、この境界面が弾性膜の役をし、それが試料液体の中の化合物および、もしあれば、溶けたまたは溶けている試薬組成物をこの液体運動で無理に動かし、それがこの薄い液体層の中で試料液体と試薬を混合する結果となる。
【0012】
上述のように、本発明による混合方法は、試料を毛管作用によって引き込む、使い捨てマイクロキュベットの中で混合するのに適する。
そのようなマイクロキュベットは、一般的に測定キャビティを備える本体を含み、その境界面が二つの本質的に平行で且つ好ましくは平面の表面を含み、それがこのマイクロキュベットを通る光路を形成し且つ互いから所定の距離に配置されてこのマイクロキュベットを通る光路長(経路長)を決定する。この測定キャビティは、所定の容積および隙間幅を有し、毛管入口がこのキャビティをこの本体の外部環境に結合する。毛管力の作用の下で、この入口を介して試料を測定キャビティに引き込む。所定量の乾燥試薬をこの測定キャビティに配置し、例えば、このキャビティの表面に付ける。
【0013】
このキュベットの容積は、0.1μl〜1mlの範囲でばらついてもよく、この薄い層の厚さは、0.01mmと2.0mmの間で、好ましくは0.1mmと1.0mmの間でばらついてもよい。キュベットの入口または開口での壁間の距離は、好ましくは0.01mmと1mmの間であることが出来、測定キャビティの壁間の距離より大きいのが好ましい。
どんな種類の試薬でもキュベットに付けられたとしても、蛋白質類および炭水化物類のような、比較的溶解困難な試薬を使うとき、特別な利益が得られる。
【0014】
本発明によれば、液体試料および試薬を備えるマイクロキュベットを、所望の混合を達成するために十分な期間および速度で本質的にこの層の平面内で運動させることによって混合を実行する。この運動は、回転でよいが、往復運動が好ましい。これらの運動のどの様な組合せも使うことが出来る。この新規な混合方法の重要な特徴は、液体試料がマイクロキュベットから流れ出ないように、この運動が毛管力に対して釣り合いがとれていることである。この毛管力は、試料の種類およびマイクロキュベットの壁の材料によって決まり、釣合せ作業は、実験的に行うのが好ましい。上述のように、試料と環境の間の境界面をこの境界面が弾性膜の役を出来るように選択することが決定的な特徴であり、その場合この運動もこの境界面の平面で起こり、または少なくともその成分を有するのが好ましい。使い捨てマイクロキュベットを使うとき、入口での試料と空気の間の境界面は、この入口の長さが十分であるか、またはこのマイクロキュベットが本質的に非毛管で更なる弾性膜を作れる、少なくとももう一つのキャビティを含むという条件でだけ弾性膜の役をするだろう。後者の場合、キュベットの入口は測定キャビティの平行壁間の距離より大きい必要はないが、一方前者の場合、即ち、試料液体のだけが周囲媒体(空気)に対して連続境界面(連続膜)を形成するとき、入口の長さは、測定キャビティの中の液体層の深さより少なくとも5倍、好ましくは10倍大きくあるべきである。
【0015】
好適実施例によれば、本質的に非毛管のキャビティを、乾燥試薬を含むこの毛管測定キャビティに隣接して且つこの入口および測定キャビティと本質的に整列して配置する。この実施例で液体試料をマイクロキュベットに引き込んで、この発明に従って混合するとき、測定キャビティの中の液体および非毛管キャビティに存在する媒体、通常空気が別の境界面を形成し、それも弾性膜の役をする。
さて、この発明による光度計の実施例並びにそれに使用するマイクロキュベットを添付の図面を参照して更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0016】
図1ないし図5に示す光度計の実施例は、蓋3で密閉可能な測定区画室2を備えるケーシング1を有する。蓋3は、軸4の軸受に旋回可能に取付けられ、このケーシング1の上面にあるボタン5を押すことによって解放なフック部材によって閉じた位置に保持され、ばねが蓋3と協同してこの蓋を図2に示す上方に旋回したまたは開いた位置へ開く。
キュベットホルダ6を測定区画室2に配置する。マイクロキュベット7をキュベットホルダ6の中の適所に配置して示し、キュベットホルダ6の中に配置したマイクロキュベット7の下でこの測定区画室の底8に取付けた光検出器9の上で測定の準備ができている。
【0017】
蓋3は、二つの部品から成り、それらは互いに入れ子式に取付けられ、閉じた位置で下の部品がばね作用によって測定区画室2の底8に対して押し付けられ、この光検出器9および蓋3の下部にある光源10が蓋3を閉じる度毎に互いに対して所定の位置を取るようになっている。蓋3を閉じた位置では、この様に光源10および光検出器9が互いから所定の距離および互いに対して所定の向きにあり、それは蓋3が移動式であるにも拘わらず光度計の測定を秀れた再現性で実施できることを意味する。
キュベットホルダ6は、軸11上の軸受に枢着され、その軸は、キュベットホルダ6の中に配置されたマイクロキュベット7の薄いキャビティの主面に垂直に伸びる。キュベットホルダ6を軸11上で旋回するとき、マイクロキュベット7のキャビティがこの様にそれ自体の平面を動く。キュベットホルダ6は、軸11の直径上でキュベットホルダ6の中に置いたマイクロキュベット7と反対の側を伸びるアーム12も有する。アーム12の自由端は、クランク13の第1端に関節結合され、その他端は、モータ16の軸15に固定したクランクアーム14に結合されている。クランクアーム14は、この場合、軸15と同心でクランク13の他端と偏心結合された円板の形を有する。
【0018】
モータ16がクランクアーム14を軸15の周りに回転するように駆動するとき、クランク13の第1端、従ってアーム12の自由端がその結果として揺動させられ、キュベットホルダ6が軸11の周りに揺動運動し、マイクロキュベット7がそのキャビティの主面で振動させられる。
マイクロキュベット7がキュベットホルダ6の中で、このマイクロキュベット7のキャビティの中の試料液体の自由液体表面が軸11の接平面と本質的に一致するような位置を有し、即ち、キュベットホルダ6の中のマイクロキュベット7の振動が自由液体表面と一致しまたは少なくともその平面の成分を有し、および本質的にこのキャビティの主面と本質的の平行である方向に起こるべきであることが本質的特徴である。これは、試料液体と試薬を効果的に混合する結果となり、それが測定に決定的な透過率変化を生じる反応を加速する。
【0019】
実際の透過率測定では、モータ16の回転を停止する。各測定に対して全く同一の測定位置を達成するために、好適にはステップモータであるモータ16をクランクの変位がキュベットホルダ6の変位を最小にする領域でクランク13の運動を止めるようにする。これは、アーム12がモータ軸15から最も離れているか最も近いときに停止するとこうなる。
光源10がマイクロキュベット7の方に向ける光束の数ミリ程度の小さな直径に対して、マイクロキュベット7を通る透過率の測定が振動中如何なる場合も邪魔されずに継続的に実行可能であるような、振幅でキュベットホルダ6を振動することによって、結局透過率変化を決定できる。これは、混合が得るべき透過率の正しい値に対して十分であるときを決める可能性をもたらす。
【実施例2】
【0020】
この発明による光度計の、図6に示す、第2実施例では、光源および光検出器を、ケーシング1’に固定して取付け、および図1ないし図5による実施例と同様な方法で軸11上に枢着し且つモータによって揺動するようにされたキュベットホルダ6’の上に突出する測定ブリッジ9’内に配置する。しかし、この場合は、キュベットホルダ11’内に置いたマイクロキュベット7の測定キャビティの主面が測定ブリッジ9’内で発生し、マイクロキュベット7の方へ向けられた光束に垂直に伸びないように、キュベットホルダ6’が軸11’に関する半径の周りに小角度傾斜する。この場合本質的特徴は、垂直位置からの偏差が混合を効果的に起こるようにする以上に大きくないことである。例えば、10°のオーダの偏差が極めて適切であると分かった。
言い方を変えると、測定キャビティの主面がこの場合揺動の平面と(または一般的に、振動の方向と)鋭角を成し、一方図1ないし図5による実施例では、同じ主面が揺動の平面(および振動方向)と平行である。
【0021】
図7および図8は、毛管入口21を備えるマイクロキュベット20の例を示す。試料をキュベット20に引き込んだとき、本質的に入口21の開口と一致する試料の自由境界面が周囲空気の方に弾性膜を形成する。この自由境界面が本質的に平面であり、(このマイクロキュベットの測定キャビティの主面と平行に見た)長さLが(上記主面に垂直に見た)幅Bより長いことは明らかである。しかし、この自由境界面は必ずしも平面である必要はなく、多かれ少なかれ曲がっていても良く、その場合、この境界面の平面はこの境界面の平均平面と理解すべきである。
対応して、二つの弾性膜が図9および図10に示すマイクロキュベット22で空気の方に生じ、そのマイクロキュベットは、毛管入口23および深さの深いキャビティ24を有し、上記キャビティは本質的に非毛管である。
この発明による攪拌を以下のように例示できる:
この攪拌をキャビティ深さとビート振動数の関数として検討した。同じ設計のキュベットを使用した。
【0022】
【表1】

【0023】
結果は、攪拌がビート振動数とキャビティ深さの両方に依存することを示す。この様に、良い攪拌は400μm深さのキャビティで60ビート/sで得られるが、30ビート/sでは得られない。もし、キャビティの深さが15ビート/s以下に減少すると、攪拌が起こらない。
この発明によれば、30と60ビート/sの間のビート振動数を使用するのが好ましい。その上、測定キャビティは、10μmと1000μmの間、好ましくは400μmと600μmの間の液体深さの試料液体薄層を与えるように設計するのが適切である。
この発明は、例えば、抗原抗体反応に基づく方法に良く適する。そのような方法の例は、尿の中のμアルブミンの決定であり、その場合人アルブミンに対する抗体を尿試料の中のアルブミンと反応するようにする。所定量の抗体を、PEG6000のような、補助剤がもしあればそれと共にキュベットキャビティに加え、乾燥する。所定の体積の試料がキュベットキャビティに入ると、試薬が溶解し、尿試料の中に存在するアルブミンが溶解した抗体と反応し、凝集物を形成して濁りを生じ、それは分光測光的に測定でき、アルブミンの濃度に比例する。本発明による混合は、上に説明した型式の光度計で行うのが好ましく、迅速且つ再現可能な応答を得るための重要な条件である。
【0024】
当業者は、この発明の上記実施例を前記請求項で定義するこの発明の範囲内で修正できることが分かるだろう。
それで、図1ないし図5による実施例の光検出器9は、光源10からの光束の中心線からオフセットして配置することができ、即ち、所定の角度を通って液体試料で散乱してから光源10からの光の透過率を測定すると言うことができる。
その代わりに、図1ないし図5による実施例で、光束の中心線からの光検出器9の距離を、異なる角度を通る散乱後に透過率を決定できるように、調整できる。後者は、もし、光検出器9が複数の光検出素子を光束の上記中心線から異なる距離に含むならばやはり達成できる。勿論、対応する配置を図6による第2実施例で可能である。
最後に、この光度計が、そのディスプレイ装置上で、測定した透過率または光の散乱またはこの測定した透過率に対応する吸収値を示すように設計することができる。この光度計がプリンタ等へ接続可能な信号出力も持つことができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明による光度計の実施例の閉位置に於ける透視図である。
【図2】この光度計の開位置に於ける対応する透視図である。
【図3】図2の光度計の平面図である。
【図4】図3の線IV−IVによる断面図である。
【図5】図4の線V−Vと同一水準での、図3の平面図に平行な断面図である。
【図6】創意ある光度計の第2実施例の、図2に対応する透視図である。
【図7】マイクロキュベットの透視図である。
【図8】図7のマイクロキュベットの断面図である。
【図9】二つのキャビティを備えるマイクロキュベットの透視図である。
【図10】図9によるマイクロキュベットの断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ケーシング
1’ ケーシング
2 測定区画室
3 蓋
4 軸
5 ボタン
6 キュベットホルダ
6’ キュベットホルダ
7 マイクロキュベット
8 測定区画室の底
9 光検出器
9’ 測定ブリッジ
10 光源
11 軸
12 アーム
13 クランク
14 クランクアーム
15 モータの軸
16 モータ
20 マイクロキュベット
21 毛管入口
22 マイクロキュベット
23 毛管入口
24 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料の毛管層のためのキャビティを有するマイクロキュベット(7,20,22)の中の液体試料の透過率を決定するための光度計であって、該キャビティは2つの平行な平面の表面を含み、前記毛管層は、前記液体試料と空気との間の境界面を有し、該境界面は前記2つの平行な平面の表面に対して垂直方向であり、前記キャビティには最初に反応を達成するための試薬を用意され、その反応は前記液体試料の所定の物質の含有量を決定するためのその透過率に影響し、
上記光度計がマイクロキュベット用ホルダ(6;6’)およびこのマイクロキュベットの方へ向けた光束の透過率を測定するために測定手段(9,10;9’)を有し、前記光度計は更にモータ(16)、クランク(13)、シャフト(11)及び該シャフトに設けられた軸受を備え、
混合を達成して溶解および反応を加速するために、且つ、前記キュベットホルダ(6;6’)を、前記測定手段(9,10;9’)によって前記マイクロキュベット(7,20,22)の方に向けた光束の方向と本質的に平行な軸(11)の周りに揺動するために、前記キュベットホルダ(6;6’)を、前記液体試料と空気との間の前記境界面内に位置し且つ前記平行な平面の表面と平行な方向に振動成分を有するように振動可能に前記軸受に取付け、
前記モータ(16)は、前記クランク(13)を介して前記キュベットホルダ(6;6’)を揺動させ、そして、前記測定を実行するために、前記クランク(13)の運動を、該クランクの変位が前記キュベットホルダ(6;6’)の変位を最小にする領域で、止めるように構成された光度計。
【請求項2】
請求項1で請求する光度計に於いて、前記キュベットホルダ(6;6’)は、前記液体試料と空気との間の前記境界面内に位置する振動であって前記平行な平面の表面と本質的に平行に振動が起こるように、前記軸受に設けられている光度計。
【請求項3】
請求項1または請求項2で請求する光度計に於いて、前記モータが、前記マイクロキュベット(7,20,22)を通る透過率の測定のために前記測定手段(9,10;9’)が発生した光束の直径に対して、このマイクロキュベットを通る透過率の測定を振動中継続的に実行可能であるような小さな振幅で前記キュベットホルダ(6;6’)を振動するようにした光度計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−116461(P2008−116461A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287196(P2007−287196)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【分割の表示】特願2000−540425(P2000−540425)の分割
【原出願日】平成11年1月14日(1999.1.14)
【出願人】(500154353)ヘモク アクチボラゲット (11)
【Fターム(参考)】