説明

光情報再生方法、光情報再生装置、光情報記録再生装置及び光情報再生プログラム

【課題】 実際の再生時にはホログラム媒体である光ディスクの厚みムラ、面ブレ、偏心などにより生じた収差がデータの回転や湾曲、歪み、符号間干渉となって生じるので、それらを効率良く低減するためには、イコライザ(EQ)処理を行うのが望ましい。
【解決手段】 ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体において、情報記録層には、特定のページ又はブロックの記録パターンとして、第1の参照光に対しては既知パターンが記録され、第2の参照光に対してはデータパターンが記録されている。まず、既知パターンを第1の参照光を照射して読み出して等化処理を行い、それにより得られたタップ係数を記憶する(S1〜S3)。続いて、第2の参照光を光情報記録媒体に照射してデータパターンを再生し、学習値として記憶しておいたタップ係数を利用して2次元EQ処理を行う(S4,S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光情報再生方法、光情報再生装置、光情報記録再生装置及び記録媒体に係り、特にホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を具備した光情報記録媒体から記録情報を光学的に再生する光情報再生方法、光情報再生装置、光情報記録再生装置及び光情報再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録するホログラフィック記録は、一般的に、イメージ情報を持った光と参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を記録媒体に書き込むことによって行われる。記録された情報の再生時には、その記録媒体に参照光を照射することにより、干渉縞による回折によりイメージ情報が再生される。
【0003】
近年では、超高密度光記録のために、ボリュームホログラフィ、特にデジタルボリュームホログラフィが実用域で開発され注目を集めている。ボリュームホログラフィとは、記録媒体の厚み方向も積極的に活用して、3次元的に干渉縞を書き込む方式であり、厚みを増すことで回折効率を高め、多重記録を用いて記録容量の増大を図ることができるという特徴がある。そして、デジタルボリュームホログラフィとは、ボリュームホログラフィと同様の記録媒体と記録方式を用いつつも、記録するイメージ情報は2値化したデジタルパターンに限定した、コンピュータ指向のホログラフィック記録方式である。
【0004】
このデジタルボリュームホログラフィでは、例えばアナログ的な絵のような画像情報も、一旦デジタイズして、2次元デジタルパターン情報(ページデータともいう)に展開し、これをイメージ情報として記録する。再生時は、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることで、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にSN比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行ったり、2値化データをコード化しエラー訂正を行ったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能になる。
【0005】
このような2次元デジタルパターン情報には、パターン検出の際に使用される、位置決め用の同期コード(以下、Syncコード又はシンクコードという)が含まれている。このSyncコードはCCD(Charge Coupled Devise:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)で構成された画像検出器上に設けられたSyncコードとのマッチングが取られる。そして、両Syncコードが一致するようにして位置決めがなされ、再生画像が検出される。
【0006】
なお、図10は2次元デジタルパターン(ページデータ)の一例を示す。図10において、複数個ある大きめのマークがSyncコードであり、これを用いてCCDやCMOSなどの画像検出器上で位置合わせが行われる。
【0007】
2つの画像のマッチングを取るための1つの方法として、テンプレートマッチングが知られている(例えば、非特許文献1参照)。テンプレートマッチングは、ある画像情報の中から所望画像パターンが効率良く検知することができるものである。しかしながら、このテンプレートマッチングでは、最大相関値を所定の式を用いて算出する必要があるが、その式は再生像の中のあるパターンとテンプレート画像との類似性を示す相関値を求めるものであり、その相関値は全体のページデータを複数分割して設けられた1つの領域における再生像の中のすべての座標位置について算出するものであるため、計算量が膨大となり、迅速な処理による画像検出実現には問題である。
【0008】
そこで、この問題を解決するため、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体から情報を再生する装置において、再生用参照光を上記の情報記録層に対して照射することによって発生される再生光を検出する検出手段を、再生光に含まれる再生像の位置決めを行うためのシンクコード(Syncコード)は全て同一のピクセル値を持つように設定し、XY平面からなるサーチ範囲においていずれか一方の成分を固定して、もう一方向での相関値を求め、次いで固定していた方の方向での相関値を取得し、サーチ範囲において得られた全ての相関値から最大となるものをマッチングが取れた位置とするようにした光情報再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この特許文献1記載の従来の光情報再生装置によれば、全て同一のピクセル値を持つSyncコードを導入することで、相関値を算出するための計算量を減らし、更に、相関値を計算する際に、X方向又はY方向を固定して、どちらか一方のサーチを行い、それが終了した後で、もう一方のサーチを行うことにより計算を簡略化することにより、計算処理時間の短縮を図っている。
【0010】
【非特許文献1】「コンピュータ画像処理入門」、総研出版、昭和61年6月1日発行、p.149〜151
【特許文献1】特開2004−310957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかるに、上記の特許文献1記載の従来の光情報再生装置では、SYNCコード位置を見つけたとしても、実際の記録データビットを抽出するためには、2次元デジタルパターン(ページデータ)の歪みや回転には対応できず、ビット単位の位置を特定することができない。特に、実際のシステム上においては、光情報記録媒体である光ディスクの厚みムラや、面ブレ、偏心などにより生じた収差がデータの回転や湾曲、歪み、符号間干渉となって生じてくる。
【0012】
2次元デジタルパターン(ページデータ)は画像処理として考えると、演算で回転をさせることも可能であるが、膨大な処理時間を要することは明白である。また、記録ビットが確定しないままの画像処理では、記録したビット数よりも多くのピクセルに対する処理を行わなければならなくなり、非現実な処理時間を有する。
【0013】
このような状態のなかで、データの回転や湾曲、歪み、符号間干渉の低減を効率良く行うためには、イコライザ(EQ)処理を行うのが望ましい。特に2次元のEQもしくは3次元(ページ方向を含む)のEQを施すことが重要である。効率良く2次元のEQを施すためには、収差に応じて、適応的に等化処理を行うことが望ましいが、エラーレートが悪い場合には、仮判別に誤りが多くなるため、正しいところに収束できなくなる。特に、ホログラフィ媒体への記録再生は、媒体、もしくは光学系のパラメータに敏感であるため、
正しいところに収束できなくなる可能性が高い。
【0014】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体から再生されたデータに回転、湾曲、歪み、符号間干渉などが生じても、適応等化処理が発散することなく、確実に等化処理を行い得る光情報再生方法、光情報再生装置、光情報記録再生装置及び光情報再生プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、第1の発明の光情報再生方法は、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層には、特定のページ又はブロックの記録パターンとして、第1の参照光に対しては既知パターンが記録され、第2の参照光に対してはデータパターンが記録されており、
第1の参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、既知パターンを検出する第1のステップと、第1のステップで検出された既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する第2のステップと、第2の参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、データパターンを検出する第3のステップと、第3のステップで検出されたデータパターンに対して、第2のステップで記憶された等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得る第4のステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明は、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層には、複数のブロックのうち特定のブロックの記録パターンとして既知パターンが記録され、残りのブロックの記録パターンとしてデータパターンが記録されており、再生用参照光が照射されることによって情報記録層の特定のブロックで発生される再生光を収集し、既知パターンを検出する第1のステップと、第1のステップで検出された既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する第2のステップと、再生用参照光が照射されることによって情報記録層の特定のブロック以外のブロックで発生される再生光を収集し、データパターンを検出する第3のステップと、第3のステップで検出されたデータパターンに対して、第2のステップで記憶された等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得る第4のステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
第1及び第2の発明では、光情報記録媒体から検出した既知パターンに対して等化処理したときに得られる等化用情報を記憶しておき、同じ光情報記録媒体から検出したデータパターンに対して2次元等化処理する際に、学習値として記憶しておいた上記の等化用情報を用いて等化処理する。すなわち、本発明では、確実に正しい2次元等化特性(EQ特性)を求めるために、既知パターンを利用する。従来は、既知パターンの記録は、光情報記録媒体の記録容量を低下させるため、避けられてきたが、ホログラフィを光情報記録媒体へ応用することによって、参照光と角度によるページの切り分けを利用した重ね書きが可能となり、飛躍的な容量増大が実現するので、既知パターンを記録する領域を設けることは、大きな問題ではなくなってくるからである。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明は、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層には、特定のページ又はブロックの記録パターンとして、第1の参照光に対しては既知パターンが記録され、第2の参照光に対してはデータパターンが記録されており、
第1の参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、既知パターンを検出する第1の検出手段と、第1の検出手段で検出された既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する等化用情報記憶手段と、第2の参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、データパターンを検出する第2の検出手段と、第2の検出手段で検出されたデータパターンに対して、等化用情報記憶手段で記憶された等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得るデータパターン等化手段とを有することを特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明は、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層には、複数のブロックのうち特定のブロックの記録パターンとして既知パターンが記録され、残りのブロックの記録パターンとしてデータパターンが記録されており、
再生用参照光が照射されることによって情報記録層の特定のブロックで発生される再生光を収集し、既知パターンを検出する第1の検出手段と、第1の検出手段で検出された既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する等化用情報記憶手段と、再生用参照光が照射されることによって情報記録層の特定のブロック以外のブロックで発生される再生光を収集し、データパターンを検出する第2の検出手段と、第2の検出手段で検出されたデータパターンに対して、等化用情報記憶手段で記憶された等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得るデータパターン等化手段とを有することを特徴とする。
【0020】
第3及び第4の発明の光情報再生装置は、光情報記録媒体から検出した既知パターンに対して等化処理したときに得られる等化用情報を記憶しておき、同じ光情報記録媒体から検出したデータパターンに対して2次元等化処理する際に、学習値として記憶しておいた上記の等化用情報を用いて等化処理する。
【0021】
第4の発明の光情報再生装置が再生する光情報記録媒体には、記録面を複数のブロックに分け、特定のブロックの記録パターンは既知のパターンとし、他のブロックはデータパターンを記録し、再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を収集し、検出する際、符号間干渉を受けた再生データパターンと、既知パターンとの関係から、符号間干渉を導き、それを補正するためのフィルタリング特性を求める。その特性に基づき、2次元等化処理を行う。
【0022】
また、上記の目的を達成するため、第5の発明は上記の既知パターンとデータパターンのページは、物理的に少なくとも50%以上既知パターンとデータパターンとが重なった場所であることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の光情報再生装置において、光情報記録媒体の既知パターンは、ページもしくはブロック内において、1ビットだけ、その他と反転の極性を有するビットで構成されたパターンであり、そのブロックが少なくとも2つ以上存在することを特徴とする。
【0024】
また、上記の目的を達成するため、ホログラフィを利用して情報を記録するための情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して、記録時はイメージ情報を持った光と参照光とを光情報記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を前記情報記録層に書き込み、再生時は光情報記録媒体に再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報記録再生装置において、第7の発明では、記録手段として、既知パターンで変調した光と第1の参照光とを用いて情報記録層に特定のページ又はブロックの記録パターンとして、既知パターンを記録すると共に、データパターンで変調した光と第2の参照光とを用いて情報記録層に特定のページ又はブロックの記録パターンとして、データパターンを記録する手段を有し、第8の発明では、記録手段として、既知パターンで変調した光と記録用参照光とを用いて情報記録層の複数のブロックのうち特定のブロックに既知パターンを記録すると共に、データパターンで変調した光と記録用参照光とを用いて情報記録層の複数のブロックのうち特定のブロック以外のブロックにデータパターンを記録する手段を有することを特徴とする。この発明では、既知パターンとデータパターンとを、再生時に分離可能なように情報記録層に記録できる。
【0025】
また、上記の目的を達成するため、本発明の光情報再生プログラムは、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する、第1又は第2の発明の光情報再生方法の各ステップを、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光情報記録媒体から検出した既知パターンに対して等化処理したときに得られる等化用情報を記憶しておき、同じ光情報記録媒体から検出したデータパターンに対して2次元等化処理する際に、学習値として記憶しておいた上記の等化用情報を用いて等化処理するようにしたため、円盤状の光情報記録媒体の厚みムラ、面ブレ、偏心などにより生じた収差がデータパターンの回転や湾曲、歪み、符号間干渉となって生じた場合でも、適応等化処理が発散することなく、確実に正しい2次元等化特性(EQ特性)をデータパターンに対して付与でき、これにより、回転や湾曲、歪み、符号間干渉を低減又は除去したデータパターンを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について、図面と共に説明する。図1は本発明になる光情報再生装置及び光情報記録再生装置の再生系の一実施の形態の構成図、図2は図1中のピックアップ装置の一実施の形態の構成図を示す。本実施の形態に係る光情報再生装置の構成について図1と共に説明するに、本実施の形態の光情報再生装置10は、光情報記録媒体(ここではホログラフィ媒体)1が取り付けられるスピンドル21と、このスピンドル21を回転させるスピンドルモータ22と、光情報記録媒体1に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光情報記録媒体1に記録されている情報を再生するためのピックアップ装置23と、このピックアップ装置23を光情報記録媒体1の半径方向に移動可能とする駆動装置24とを備えている。
【0028】
また、光情報再生装置10は、ピックアップ装置23の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE及び再生信号RFを検出するための検出回路25と、上記フォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ装置23内の対物レンズを光情報記録媒体1の厚み方向に移動させて光情報記録媒体1上の光ビームの焦点を制御するフォーカスサーボと、上記トラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ装置23内の対物レンズを移動制御して光情報記録媒体1上の光ビーム照射位置を光情報記録媒体1上のトラックに追従走査させるトラッキングサーボとを行うフォーカス/トラッキングサーボ回路26と、本実施の形態の要部を構成する信号処理回路27と、光情報再生装置10全体の制御を行うコントローラ28と、コントローラ28に対して種々の指示を与える操作部29とより構成されている。
【0029】
なお、図示は省略したが、トラッキングエラー信号TE及びコントローラ28からの指令に基づいて駆動装置24を制御してピックアップ装置23を光情報記録媒体1の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路や、コントローラ28からの指令に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するスピンドルサーボ回路も設けられている。
【0030】
コントローラ28は、信号処理回路27より出力される基本クロックやアドレス情報を入力として受け、ピックアップ装置23や各種サーボ回路の動作を制御する。コントローラ28は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を有し、CPUがRAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ28の機能を実現する。
【0031】
また、信号処理回路27は、本実施の形態の要部をなす回路で、ピックアップ装置23内の後述するCMOSセンサ又はCCDアレイの出力データをデコードして、光情報記録媒体1のデータエリアに記録されたデータを後述するフローチャートに従って再生したり、検出回路25からの再生RF信号より基本クロックを再生したりアドレスを判別する。
【0032】
次に、光情報記録媒体1の構成とピックアップ装置23の構成について図2と共に更に詳細に説明する。図2において、光情報記録媒体1は、円盤状の透明基板2の一面に、ボリュームホログラフィを利用して情報が記録される情報記録層としてのホログラム記録層3と、保護層の機能を有する透明基板4と、アルミニウム製の反射膜5とが、この順番で積層された光ディスクの構成とされている。透明基板4は、例えば、インジェクションで作成されたアドレス付基板であり、アドレス・サーボエリアが所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス・サーボエリア間の区間がデータエリアになっている。なお、ホログラム記録層3は、光が照射されたときに光の強度に応じて屈折率、誘電率、反射率等の光学的特性が変化する公知のホログラム材料によって形成されている。
【0033】
一方、ピックアップ装置23は、光情報記録媒体1の透明基板2側に対向する対物レンズ12と、対物レンズ12の光情報記録媒体1の反対側に配設された1/4波長板13、ミラー14が配置されおり、また、レーザダイオード等の光源15、コリメータレンズ16、デフォーカス用凸レンズ17、偏光ビームスプリッタ(PBS)18及び光検出器20を有する構成とされている。
【0034】
光源15から出射した光は、コリメータレンズ16で平行光とされ、デフォーカス用凸レンズ17によって平行光を対物レンズ12に発散して入射する再生用参照光に生成されてPBS18に入射し、その偏光分離面18aを透過してミラー14に入射し、更に1/4波長板13によりP偏光の光が円偏光とされ、対物レンズ12により光情報記録媒体1に再生用参照光として照射される。この再生用参照光は光情報記録媒体1に今回再生すべき情報を記録する際に用いられた記録用参照光と同じものである。なお、対物レンズ12は、図示しないアクチュエータにより光情報記録媒体1の厚み方向及び半径方向に移動可能とされている。
【0035】
光情報記録媒体1からの戻り光(再生光)は、対物レンズ12を透過し、1/4波長板13により円偏光からS偏光の光とされた後、ミラー14で反射されてPBS18に入射し、PBS18の偏光分離面18aで反射されて再生光検出手段であるCCDまたはCMOSセンサからなる光検出器20で受光される。
【0036】
次に、本実施の形態の特徴について説明する。本実施の形態では、確実に正しい2次元イコライザ(EQ)特性を求めるために、既知のパターンを記録再生する。従来は、既知のパターンの記録は、光ディスク媒体の記録容量を低下させるため、避けられてきたが、ホログラフィ媒体を光ディスクへ応用することによって、参照光と角度によるページの切り分けを利用した重ね書きが可能となり、飛躍的な容量増大が実現するので、既知のパターンを記録する領域を設けることは、大きな問題ではなくなってくるからである。既知パターンの記録方法は、データパターンの記録方法と同様に、イメージ情報である既知パターン情報で変調された光と参照光とを光情報記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を情報記録層に書き込むことで行われる。
【0037】
上記の既知パターンの記録場所としては以下が考えられる。
【0038】
(1)ページでデータパターンと分離(場所は同じ)
(2)ページでデータパターンと分離(少しずれた位置)
(3)ページ内でブロックに分割し、既知データパターン領域とデータパターン領域を記録する。
【0039】
上記の(1)と(2)は、ホログラフィ媒体である光ディスク(図1の光情報記録媒体1)が、参照光によってページ分離可能なことを利用している。すなわち、ホログラフィ媒体では、参照光の位相を変えることでデータパターンと既知パターンを分離することができる。また、上記の(1)はホログラフィ媒体である光ディスク(図1の光情報記録媒体1)にデータパターンと既知パターンとを同一位置に重なるように記録しているので、光ディスクを停止、もしくは同一トラックを再度読む。これにより、それぞれのページに、光ディスクのチルトや面ブレの影響が同じように現れるため、正確な検出・補償ができることが期待できる。
【0040】
しかし、実際には光ディスクは回転しているため、(1)のように全く同一位置からデータパターンと既知パターンを読み取ることは、サーボの回転パルス等で制御しない限り困難で、かつ、光ディスクの一回転再生を待たなければならない。そこで、上記の(2)のように、少しだけデータパターンと既知パターンをずらして記録し、直ぐに別ページを記録するようにすると、光ディスクのチルトや面ブレなどは周波数が低いため、光ディスクが回転していても(1)と同様の効果が期待できる。
【0041】
但し、場所の影響を少なくするためには、図3に示すように、既知パターンのブロックIとデータパターンのブロックIIは、同じページでIIIで示すように物理的に50%以上は重なっているほうがよいことは勿論である。また、上記のブロックは(3)のブロックと同様に、それぞれのページに存在する記録部のことである。上記の(3)は同じページ内の特定のブロックの記録パターンは既知のパターンとし、それ以外のブロックはデータパターンとすることである。
【0042】
次に、既知パターンとデータパターンの例について説明する。図4(A−1)が記録パターンの一例を示す。図4(A−1)では、既知のパターンを黒四角形で示すように、中央だけ、反転するようなパターンとしている。すなわち、ページ又はブロック内において、1ビットだけその他と反転の極性を有するビットで構成されたパターンである。これは、2次元で考えられる孤立波形であり、このパターンを記録再生して図4(A−2)のようになったとすると、これは伝達特性そのものを示していることになる。
【0043】
すなわち、図4(A−2)は記録再生により符号間干渉を有するパターンであり、中央の反転パターンから周囲へ行くほど再生レベルが増加する(中央が最も再生レベルが低いものとした場合)パターンであり、光検出器(図2の20)で読み取った際のセルに入ってくる光量に対応したパターンである。光量は図中の濃淡に対応している。
【0044】
図4(A−3)は後述する再生方法及び再生装置により記録再生パターンから符号間干渉を取り除いた再生パターンを示す。なお、図4(A−1)〜(A−3)は孤立波形の場合であるが、これに対応したランダム信号を図4(B−1)〜(B−3)に示す。すなわち、図4(B−1)は光ディスクに記録されたランダム信号(データパターン)、同図(B−2)は光ディスクから再生された符号間干渉を有するランダム信号、同図(B−3)は本発明再生方法及び再生装置により符号間干渉が除去された再生ランダム信号を示す。
【0045】
ここで、図4(A−2)、(B−2)に示すような符号間干渉を有する再生信号から符号間干渉を除去するには、演算によって逆特性を求めて相殺除去するようにしてもよいが、実用的な手法として、等化がある。図5は本発明になる光情報再生装置の要部の一実施の形態のブロック図を示し、上記の等化を行う等化回路部である。この等化回路部は、図1の信号処理回路27内に設けられている。
【0046】
ここでは、原理的な説明を行うので隣接した2つの再生データ列を考えるが、図4(A−2)のように、隣接±2以上のデータ列に伝達特性が影響しているものに関しては、隣接再生データ列を2よりも大きくした方がより効果的であることは勿論である。図5において、図2に示した光情報記録媒体1のホログラム記録層3のXY平面に記録されている既知パターンのうち、X方向又はY方向に再生された既知パターン再生データ列は、トランスバーサルフィルタ31に供給され、その既知パターン再生データ列の両側に隣接した既知パターン隣接再生データ列は、トランスバーサルフィルタ32、33に供給される。
【0047】
前記トランスバーサルフィルタ31、32、33は、それぞれ乗算器・低域フィルタ(LPF)34、35、36よりフィルタ係数(タップ係数)が入力されてそれに応じた特性のフィルタリング処理を入力信号に対して行う。トランスバーサルフィルタ31は、乗算器・LPF34よりのタップ係数(フィルタ係数)に基づいて波形等化処理を行い、再生すべき所望のデータ列からの読取信号の前後の信号との符号間干渉の影響を低減する。このトランスバーサルフィルタ31の出力波形等化後読取信号は、後述の減算器37及び38を通して減算器39に供給される。
【0048】
既知パターン発生ブロック40により発生された既知パターンは、上記の減算器34において波形等化後データと減算され、その差分値がエラー信号としてインバータ(INV)41で極性を反転された後、乗算器・LPF34に供給され、ここでトランスバーサルフィルタ31のタップ出力と乗算されて相関が検出され、LPFで積分される。乗算器・LPF34の出力積分値は、上記のエラー信号の値を0にする、トランスバーサルフィルタ31のフィルタ係数(タップ係数)としてトランスバーサルフィルタ31に入力される。上記のトランスバーサルフィルタ31、乗算器・LPF34、減算器37、38、39、インバータ41よりなるフィードバックループは、よく知られているLMSアルゴリズムを基本としている。
【0049】
一方、トランスバーサルフィルタ32、33にタップ係数(フィルタ係数)を供給する乗算器・LPF35、36は、減算器39から出力されるエラー信号が入力され、ここでトランスバーサルフィルタ32、33のタップ出力と乗算して隣接再生データの相関を抽出し、更にその相関値をLPFで積分してトランスバーサルフィルタ32、33に入力する。
【0050】
このようにして、トランスバーサルフィルタ32、33のタップ係数(フィルタ係数)は、隣接再生データの相関値に応じて更新され、トランスバーサルフィルタ32、33からは各隣接再生データからの読取信号に対応した擬似クロストーク信号が取り出される。これらのトランスバーサルフィルタ32、33の出力擬似クロストーク信号は、トランスバーサルフィルタ31からの波形等化後の既知パターン再生データ列の再生信号に、減算器37、38でそれぞれ減算される。
【0051】
これにより、減算器38からは、トランスバーサルフィルタ31からの波形等化後の既知パターン再生データ列の再生信号中のクロストークが相殺除去された、S/Nの良好な再生信号(X方向又はY方向の等化後情報データ)が出力される。その結果、減算器38からは図4(A−3)に示すように、図4(A−1)に示した元の既知パターンと同じ既知パターンが出力されると共に、等化するための各タップの係数が得られる。この実施の形態は、フィードバック処理であるため、安定な動作が実現できる。
【0052】
この実施の形態では、トランスバーサルフィルタ31を含む再生すべき既知パターン再生データ列の再生信号の符号間干渉除去ブロックと、トランスバーサルフィルタ32及び33を含む隣接再生データ列からの再生信号に基づく擬似クロストーク生成ブロックには、いずれも同一のエラー信号を0にするべく各タップ係数(フィルタ係数)を制御しているので、制御の衝突は発生しない。
【0053】
なお、図4(A−2)、(B−2)に示すような符号間干渉を有する再生信号から符号間干渉を除去するには、パーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別を行う方法もある。その場合、等化後のデータパターンは図6(A−3)に示したようになる。なお、図6(A−1)及び(A−2)は、図4(A−1)及び(A−2)に示したものと同じ、孤立波形の記録既知パターン、再生した符号間干渉を有する既知パターンを示す。
【0054】
このパーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別を行う方法では、図5に示した既知パターン発生ブロック40から、パーシャルレスポンス応答に相当する値、例えば、PR(1,2,1)であれば、0, 0, 0.5, 1, 0.5, 0, 0というように出力すればよい(この場合は、中央レベルを1に正規化している。)。
【0055】
次にデータパターンの等化について説明する。図7は本発明になる光情報再生装置の他の要部の一実施の形態のブロック図を示し、上記のデータパターンの等化を行う等化回路部である。この等化回路部は、図1の信号処理回路27内に設けられている。
【0056】
ここでは、原理的な説明を行うので隣接した2つのデータパターン再生データ列を考えるが、図4(A−2)のように、隣接±2以上のデータ列に伝達特性が影響しているものに関しては、隣接再生データ列を2よりも大きくした方がより効果的であることは勿論である。図7において、図2に示した光情報記録媒体1のホログラム記録層3のXY平面に記録されているデータパターンのうち、X方向又はY方向に再生されたデータパターン再生データ列は、トランスバーサルフィルタ45に供給され、そのデータパターン再生データ列の両側に隣接したデータパターン隣接再生データ列は、トランスバーサルフィルタ46、47に供給される。
【0057】
前記トランスバーサルフィルタ45、46、47は、それぞれ係数発生ブロック48、49、50よりフィルタ係数(タップ係数)が入力されてそれに応じた特性のフィルタリング処理を入力信号に対して行う。トランスバーサルフィルタ45は、係数発生ブロック48よりのタップ係数(フィルタ係数)に基づいて波形等化処理を行い、再生すべき所望のデータ列からの読取信号の前後の信号との符号間干渉の影響を低減する。
【0058】
トランスバーサルフィルタ46、47は係数発生ブロック49、50から出力されたタップ係数(フィルタ係数)に基づいて波形等化処理を行い、再生すべきデータパターン再生データ列に含まれる擬似クロストーク信号成分を発生し、減算器51、52に供給してトランスバーサルフィルタ45から出力される波形等化後のデータパターン再生データ列と減算させる。これにより、減算器52からは、トランスバーサルフィルタ45からの波形等化後のデータパターン再生データ列の再生信号中のクロストークが相殺除去された、S/Nの良好な再生信号(X方向又はY方向の等化後情報データ)が出力される。
【0059】
ここで、図5と図7とを比較すると、図5の乗算器・LPF34、35、36が図7では係数発生ブロック48、49、50に置き換わっており、図7では図5の構成により既知パターンや既知パターン隣接データによって学習した各タップ係数が係数発生ブロック48、49、50に記憶されており、その係数発生ブロック48、49、50からのタップ係数に基づいてトランスバーサルフィルタ45、46、47が動作する。
【0060】
なお、仮判別回路を設けて、適応等化にすることも可能である。既知データパターンによって学習した値を初期値とし、ある範囲までしか係数が変化しないように制限を与えておけば、発散を回避することができる。この場合の実施の形態のブロック図を図8に示す。同図中、図7と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図8において、減算器52の出力等化後情報データは、仮判別回路53及び減算器54にそれぞれ供給される。
【0061】
仮判別回路53は、暫定的に入力信号を判別し、理想的な値(目標となる値)を出力する。この仮判別結果と仮判別回路53の入力信号(減算器52の出力信号)とが減算器54において減算され、その差分値がエラー信号としてインバータ(INV)55で極性を反転された後、乗算器・LPF56に供給され、ここでトランスバーサルフィルタ45のタップ出力と乗算されて相関が検出され、LPFで積分される。なお、乗算器・LPF56には既知パターンにより学習した係数が初期値として記憶されている。
【0062】
乗算器・LPF56の出力積分値は、上記のエラー信号の値を0にする、トランスバーサルフィルタ45のフィルタ係数(タップ係数)としてトランスバーサルフィルタ45に入力される。上記のトランスバーサルフィルタ45、仮判別回路53、減算器54、インバータ55、乗算器・LPF56よりなるフィードバックループは、よく知られるLMSアルゴリズムを基本としている。
【0063】
一方、図8のトランスバーサルフィルタ46、47にタップ係数(フィルタ係数)を供給する乗算器・LPF57、58は、既知パターン再生データに隣接する既知パターンデータにより学習した係数が初期値として記憶されており、減算器54から出力されるエラー信号が入力され、ここでトランスバーサルフィルタ64、65のタップ出力(係数)と乗算して隣接情報データの相関を抽出し、更にその相関値をLPFで積分してトランスバーサルフィルタ46、47に入力する。
【0064】
このようにして、トランスバーサルフィルタ46、47のタップ係数(フィルタ係数)は、隣接情報データの相関値に応じて更新され、トランスバーサルフィルタ46、47からは各隣接データパターンからの読取信号に対応した擬似クロストーク信号が取り出される。これらのトランスバーサルフィルタ46、47の出力擬似クロストーク信号は、トランスバーサルフィルタ45からの波形等化後の再生すべきデータパターンの再生信号に、減算器51、52でそれぞれ減算される。
【0065】
これにより、減算器52からは、トランスバーサルフィルタ45からの波形等化後の再生すべきデータパターンの再生信号中のクロストークが相殺除去された、S/Nの良好な再生信号(X方向又はY方向の等化後情報データ)が出力される。
【0066】
なお、パーシャルレスポンス等化を前提とする場合には、仮判別回路53はパーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別(収束目標設定)を行うことは勿論である。パーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別回路は、本発明者が開示した公知の回路である(例えば、特許第3395734号公報参照)。
【0067】
次に、本発明になる光情報再生方法について説明する。図9は本発明になる光情報再生方法の一実施の形態のフローチャートを示す。この再生方法は図1の信号処理回路27にて行われる。まず、図1の光情報記録媒体1に記録されているページ又はブロックから既知パターンを再生する(ステップS1)。ここで、ホログラフィを利用した光情報記録媒体1に情報を記録するホログラフィック記録は、一般的に、イメージ情報を持った光と参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を光情報記録媒体1に書き込むことによって行われる。また、記録された情報の再生時には、その光情報記録媒体1に参照光を照射することにより、干渉縞による回折によりイメージ情報が再生される。
【0068】
続いて、再生された既知パターンに対して、既知パターンの目標値に基づき、図5のような構成中のトランスバーサルフィルタを用いた波形等化処理を行い(ステップS2)、最終的に得られたタップ係数をランダム・アクセス・メモリ(RAM)などのメモリに記憶する(ステップS3)。
【0069】
続いて、光情報記録媒体1に記録されているページ又はブロックからデータパターンを再生する(ステップS4)。ここで、既知パターンとデータパターンとの読み出し(再生)時に用いる参照光は互いに異なり、既知パターンの記録位置とデータパターンの記録位置は例えばサーボ信号によって位置検出できる。また、参照光の位相を変えることで既知パターンとデータパターンとを分離できる。
【0070】
ステップS4で得られたデータパターン再生データ列は、図7又は図8の構成により、ステップS3でRAMなどのメモリに記憶されている既知パターン等化時に得られたタップ係数に基づき、波形等化される(ステップS5)。その後、波形等化されたデータパターン再生データ列に対して、データ検出を行う(ステップS6)。このとき、ビタビ復号と組み合わせたデータ検出を行うこともできる。
【0071】
このように、本実施の形態によれば、光情報記録媒体の厚みムラ、面ブレ、偏心などにより生じた収差が再生データパターンの回転や湾曲、歪み、符号間干渉となって生じた場合でも、既知パターンを記録再生して得た等化処理時のタップ係数を、再生したデータパターンの学習値として利用することにより、適応等化処理が発散することなく、確実に等化処理できる。
【0072】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨を逸脱しない範囲において、様々な変形が可能である。例えば、既知パターンは、図4(A−1)等で説明した孤立波形に限定されるものではなく、また、ブロック内において、情報ビットの最小反転間隔であるビット長分だけ、その他と反転の極性を有するビットで構成されたパターンでもよい。
【0073】
また、既知パターン及びデータパターンは、ベースバンド信号でもよいし、LDPC(Low Density Parity Check Code:低密度パリティ検査符号)変調(又はターボ符号化)された信号、もしくはそれを並び替えた信号、更にはそれを並び替えた信号をランレングス変調した信号であってもよい。LDPC変調した場合は、シャノン限界に近い訂正能力を有するので、効率が良く、かつ、低S/Nでも低いエラーレートを実現することが可能である。
【0074】
また、既知パターン及びデータパターンは、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等で使用されているランレングス制限された信号でもよい。その場合は、伝送帯域とS/Nの関係から、既知データも最小ランレングス以上のパターンにすることが望ましい。
【0075】
更に、以上の実施の形態における一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもでき、本発明は一連の処理をソフトウェアにより実行させるコンピュータプログラムも包含するものである。このコンピュータプログラムは、コンピュータ専用のハードウェアに組み込まれていてもよいし、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行させることが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどにプログラム格納媒体からインストールされたり、あるいは通信ネットワークなどを介して配信されてインストールされてもよい。
【0076】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は、もちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明装置の一実施の形態の構成図である。
【図2】図1中のピックアップ装置の一例の構成図である。
【図3】既知パターンのブロックとデータパターンのブロックが、同じページで物理的に50%以上重なっている状態を示す図である。
【図4】孤立波形の既知パターンとランダム信号のそれぞれについて、記録信号、再生された符号間干渉を有する信号、符号間干渉を除去した再生信号をそれぞれ示す図である。
【図5】本発明装置の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図6】孤立波形の既知パターンについて、記録信号、再生された符号間干渉を有する信号、パーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別により符号間干渉を除去した再生信号をそれぞれ示す図である。
【図7】本発明装置の他の要部の一実施の形態のブロック図である。
【図8】本発明装置の他の要部の他の実施の形態のブロック図である。
【図9】本発明再生方法の一実施の形態のフローチャートである。
【図10】光情報記録媒体上のSyncコードを示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 光情報記録媒体
3 ホログラム記録層
10 光情報再生装置
12 対物レンズ
15 光源
20 光検出器
23 ピックアップ装置
25 検出回路
27 信号処理回路
31、32、33、45、46、47 トランスバーサルフィルタ
34、35、36、56、57、58 乗算器・LPF
37、38、39、51、52、54 減算器
40 既知パターン発生ブロック
48、49、50 係数発生ブロック
53 仮判別回路



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層には、特定のページ又はブロックの記録パターンとして、第1の参照光に対しては既知パターンが記録され、第2の参照光に対してはデータパターンが記録されており、
前記第1の参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、前記既知パターンを検出する第1のステップと、
前記第1のステップで検出された前記既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する第2のステップと、
前記第2の参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、前記データパターンを検出する第3のステップと、
前記第3のステップで検出された前記データパターンに対して、前記第2のステップで記憶された前記等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、前記データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得る第4のステップと
を含むことを特徴とする光情報再生方法。
【請求項2】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層には、複数のブロックのうち特定のブロックの記録パターンとして既知パターンが記録され、残りのブロックの記録パターンとしてデータパターンが記録されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層の前記特定のブロックで発生される前記再生光を収集し、前記既知パターンを検出する第1のステップと、
前記第1のステップで検出された前記既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する第2のステップと、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層の前記特定のブロック以外のブロックで発生される前記再生光を収集し、前記データパターンを検出する第3のステップと、
前記第3のステップで検出された前記データパターンに対して、前記第2のステップで記憶された前記等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、前記データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得る第4のステップと
を含むことを特徴とする光情報再生方法。
【請求項3】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層には、特定のページ又はブロックの記録パターンとして、第1の参照光に対しては既知パターンが記録され、第2の参照光に対してはデータパターンが記録されており、
前記第1の参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、前記既知パターンを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段で検出された前記既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する等化用情報記憶手段と、
前記第2の参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、前記データパターンを検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段で検出された前記データパターンに対して、前記等化用情報記憶手段で記憶された前記等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、前記データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得るデータパターン等化手段と
を有することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項4】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層には、複数のブロックのうち特定のブロックの記録パターンとして既知パターンが記録され、残りのブロックの記録パターンとしてデータパターンが記録されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層の前記特定のブロックで発生される前記再生光を収集し、前記既知パターンを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段で検出された前記既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する等化用情報記憶手段と、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層の前記特定のブロック以外のブロックで発生される前記再生光を収集し、前記データパターンを検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段で検出された前記データパターンに対して、前記等化用情報記憶手段で記憶された前記等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、前記データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得るデータパターン等化手段と
を有することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項5】
前記既知パターンと前記データパターンのページは、物理的に少なくとも50%以上前記既知パターンと前記データパターンとが重なった場所であることを特徴とする請求項3記載の光情報再生装置。
【請求項6】
前記既知パターンは、ページもしくはブロック内において、1ビットだけ、その他と反転の極性を有するビットで構成されたパターンであり、そのブロックが少なくとも2つ以上存在することを特徴とする請求項3乃至5のうちいずれか一項記載の光情報再生装置。
【請求項7】
ホログラフィを利用して情報を記録するための情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して、記録時はイメージ情報を持った光と参照光とを光情報記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を前記情報記録層に書き込み、再生時は前記光情報記録媒体に再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報記録再生装置において、
既知パターンで変調した光と第1の参照光とを用いて前記情報記録層に特定のページ又はブロックの記録パターンとして、前記既知パターンを記録すると共に、データパターンで変調した光と第2の参照光とを用いて前記情報記録層に特定のページ又はブロックの記録パターンとして、データパターンを記録する記録手段と、
前記第1の参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、前記既知パターンを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段で検出された前記既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する等化用情報記憶手段と、
前記第2の参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、前記データパターンを検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段で検出された前記データパターンに対して、前記等化用情報記憶手段で記憶された前記等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、前記データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得るデータパターン等化手段と
を有することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項8】
ホログラフィを利用して情報を記録するための情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して、記録時はイメージ情報を持った光と参照光とを光情報記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を前記情報記録層に書き込み、再生時は前記光情報記録媒体に再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報記録再生装置において、
既知パターンで変調した光と記録用参照光とを用いて前記情報記録層の複数のブロックのうち特定のブロックに前記既知パターンを記録すると共に、データパターンで変調した光と前記記録用参照光とを用いて前記情報記録層の前記複数のブロックのうち前記特定のブロック以外のブロックに前記データパターンを記録する記録手段と、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層の前記特定のブロックで発生される前記再生光を収集し、前記既知パターンを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段で検出された前記既知パターンに対して等化処理を行って等化用情報を得て、その等化用情報を記憶する等化用情報記憶手段と、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層の前記特定のブロック以外のブロックで発生される前記再生光を収集し、前記データパターンを検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段で検出された前記データパターンに対して、前記等化用情報記憶手段で記憶された前記等化用情報を用いて2次元等化処理を行うことにより、前記データパターンに含まれる符号間干渉を低減した等化後データパターンを得るデータパターン等化手段と
を有することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項9】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する、請求項1又は2記載の光情報再生方法の各ステップを、コンピュータにより実行させることを特徴とする光情報再生プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−4925(P2007−4925A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186243(P2005−186243)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】