説明

光情報記録媒体及び光情報記録媒体再生装置

【課題】RE層に記録された特定のデータが使用者の意図に反して劣化し再生できなくなることを防止できる光情報記録媒体及び光情報記録媒体再生装置を提供する。
【解決手段】光情報記録媒体100は、基板50上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層(ROM層20、RE層40)と、複数の情報記録層各々を分離する中間層30と、基板50より最も遠い位置に設けられた透光層10とを有している。複数の情報記録層は、情報を読み出すことのみ可能なROM層20と情報を書き換えることが可能な領域を含むRE層40とからなる。光情報記録媒体100には、RE層40に記録された特定情報の再生可否を、対応する光ディスク装置が判定するための適応可能機器情報が記録されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種情報が記録される複数の情報記録層を有する光情報記録媒体及びその再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、光情報記録媒体は、再生専用型(以降、ROM(Read Only Memory)と称する)、追記録型、書き換え型(以降、RE(REwritable)と称する)及び各々の2層版等、様々な形態の媒体が商品化されているが、用途としては新たな用途は提案されることは少なくなってきている。
【0003】
一方、現時点では商品化されていないが、特許文献1には、ディスクのROM層のコンテンツに関連したコンテンツをRE層に記録できる、ROM層とRE層とを併せ持つコンビネーションディスクの記載がある。
【0004】
このコンビネーションディスクの用途として、上記特許文献1には、ROM層に第1期の連続ドラマコンテンツと上記連続ドラマコンテンツの第2期を記録するための録画情報とが記録されておれば、容易に第2期の連続ドラマコンテンツをRE層に録画でき、第1期ドラマコンテンツと第2期ドラマコンテンツとを1枚のディスクに収納可能になる等の新規用途が記載されている。
【0005】
このように、今までになかった新規用途に使用できるコンビネーションディスクへの期待が高まっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/123289号パンフレット(2009年10月8日公開)
【特許文献2】国際公開第2010/082505号パンフレット(2010年7月22日公開)
【特許文献3】国際公開第2009/008435号パンフレット(2009年1月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コンビネーションディスクは、所謂リムーバブルディスクであるため、様々なメーカーの再生装置で、再生で可能でなければならない。
【0008】
一方、特許文献2に記載されている理由で、BD(Blu−ray Disc)タイプのコンビネーションディスクにおいては、透光層より最も遠い位置に設けられた情報記録層が、RE層である必要がある。
【0009】
そのため、例えば2層のコンビネーションディスクでは、透光層により近い位置にROM層が設けられ、透光層より最も離れた位置にRE層が設けられる。
【0010】
しかしながら、通常反射率の高いROM層と、通常反射率の低いRE層の反射率を、各層へのアクセスを考慮して同等にし、更にその反射率を、特許文献3に記載されているように下位互換を図るためには、コンビネーションディスク用RE層と、RE層のみで構成された2層REディスクのRE層とを、同等の反射率にする必要がある。
【0011】
その上で、再生レーザパワーの適応限界値や、高周波重畳(再生光を高い周波数で変調照射する技術)におけるピークパワーの平均パワーに対する比率の適応限界値等の再生耐久性に関する特性を得るためには、コンビネーションディスク用RE層を構成する各膜それぞれに、高い精度が要求される。
【0012】
そのため量産時において、再生レーザパワーの適応限界値や、高周波重畳におけるピークパワーの平均パワーに対する比率の適応限界値等の再生耐久性に関する特性に若干のバラツキが生じる可能性があった。
【0013】
すなわち、コンビネーションディスクによっては、RE層を再生すると、使用者が消去したくない情報までも劣化させてしまう恐れがあることになる。例えば、連続テレビドラマの一部の情報が劣化して再生できないなどの問題が生じる。
【0014】
一方、現状では再生装置の再生レーザパワーや高周波重畳におけるピークパワーの平均パワーに対する比率等が、各社間で実質ばらついているという問題がある。
【0015】
例えば、波長405nmのレーザ光を出射可能な半導体レーザと、開口数(N.A.)0.85の光学系を有するBDに対応した2種類の評価装置A、Bにおいて、再生レーザパワーを0.7mWに設定し、試作的に作製したコンビネーションディスクのRE層から再生した初期の信号波形と、約40000回再生後の信号波形とを比較してみた。評価装置AとBとは、異なるメーカー製の半導体レーザが搭載されている。評価装置Aの結果を図6(a)および(b)に示す。図6(a)は、評価装置AにおいてコンビネーションディスクのRE層から再生した初期の信号波形を示し、図6(b)は、評価装置AにおいてコンビネーションディスクのRE層から約40000回再生した後の信号波形を示している。
【0016】
図6(a)および(b)における各○部をみると、約40000回再生後(図6(b))に信号波形が崩れていることが分かる。また、評価装置Bにおいては、上記のような信号波形の劣化は見られなかった。
【0017】
すなわち、評価装置(またはメーカー)によって、再生時にコンビネーションディスクに与える影響が異なるといる問題が生じる
つまり、量産時におけるコンビネーションディスクの再生耐久性のバラツキと、再生装置の各社間のバラツキの双方に対応するためには、製造段階での抜き取り検査の頻度を増加させ作製精度を高める等を行う必要がある。その場合コンビネーションディスクの生産コストはRE層のみで構成されたディスクを生産するよりコストが高くなってしまうという問題があった。
【0018】
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、情報の保護と低生産コストの両立が可能であり、かつ連続テレビドラマなどの互いに関連する複数のコンテンツの予約記録やダウンロードを簡単に管理することができる情報記録媒体(コンビネーションディスク)、及び光情報記録媒体記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る光情報記録媒体は、上記の課題を解決するために、基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層は、情報を読み出すことのみ可能な層と情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層とからなる光情報記録媒体であって、上記書き換え層に記録された特定情報の再生可否を、光情報記録媒体再生装置が判定するための適応可能機器情報が記録されていることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、光情報記録媒体は、情報を読み出すことのみ可能な層と情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層とを有するコンビネーションディスクである。このようなコンビネーションディスクでは、互いに関連する複数のコンテンツの予約記録やダウンロードを簡単に管理することができる。
【0021】
この光情報記録媒体を光情報記録媒体再生装置で再生するときに、当該光情報記録媒体に記録された適応可能機器情報を用いて、書き換え層に記録された特定情報の再生可否が判定される。
【0022】
それゆえ、使用者が、光情報記録媒体の書き換え層に適応していない光情報記録媒体再生装置で特定情報を再生しようとした場合には、特定情報の再生を行わない選択をする(または、使用者に選択させる)ことができる。その結果、書き換え層に記録された特定情報が使用者の意図に反して劣化して再生できなくなることを防止できる。
【0023】
また、上記適応可能機器情報が、使用者が書き換え不可能な領域及び/又は形態で記録されていることが好ましい。
【0024】
上記の構成により、適応可能機器情報が使用者によって誤って消去されることを防止できる。
【0025】
また、上記適応可能機器情報が、情報を読み出すことのみ可能な層に記録されていることが好ましい。
【0026】
適応可能機器情報が、情報を読み出すことのみ可能な層に記録されていれば、適応可能機器情報が使用者によって誤って消去されることを防止できる。
【0027】
また、上記情報を読み出すことのみ可能な層には、使用者が利用可能な情報が記録されているデータ領域と、対応する光情報記録媒体再生装置が利用する情報が記録されているリードイン領域とが設けられており、上記適応可能機器情報が上記データ領域に記録されていることが好ましい。
【0028】
通常、データ領域以外のリードイン領域に記録される内容は、所定の規格に従って記録されるものであり、光情報記録媒体のメーカー独自の判断で変更することはできない。そのため、メーカーが、生産されたRE層の特性(品質)を考慮して適応可能機器情報をリードイン領域に記録することは困難である。
【0029】
適応可能機器情報を、情報を読み出すことのみ可能な層のデータ領域に記録する上記の構成により、光情報記録媒体を書き換え層まで作製し、ストックしておいた上で、生産された書き換え層の特性を考慮した上で、情報を読み出すことのみ可能な層のスタンパを作製できる。
【0030】
また、上記適応可能機器情報が、ファイル形式で記録されていることが好ましい。
【0031】
上記の構成により、通常データと同様のファイルシステムを用いた適応可能機器情報の参照が可能となり、光ディスク装置がパソコン用光ディスクドライブとパソコンソフトで構成される場合においても、適応可能機器情報の検索と管理を容易にできる。
【0032】
また、上記適応可能機器情報が、ディスクタイプ識別情報及び個体識別番号と合わせてバーコード状のストライプとして記録されていることが好ましい。
【0033】
上記の構成により、適応可能機器情報を使用者が書き換えることができなくなるとともに、ディスクタイプ識別情報及び個体識別番号を読み取るときに、一緒に適応可能機器情報を読み取ることができる。
【0034】
また、上記適応可能機器情報が、光情報記録媒体記録/再生装置製造者のメーカーコードを含む情報であることが好ましい。
【0035】
光情報記録媒体記録/再生装置の再生光の出力は、メーカーごとにほぼ決まっている。それゆえ、光情報記録媒体記録/再生装置のメーカーを特定する情報を適応可能機器情報に含めることで、適応可能な出力の再生光を出射する光情報記録媒体記録/再生装置を特定できる。
【0036】
また、上記適応可能機器情報は、上記特定情報を光情報記録媒体再生装置で再生する際に、使用者に、許諾の意図を上記光情報記録媒体再生装置に示す作業を促す表示を行う表示制御手段を起動させる情報であってもよい。
【0037】
上記の構成により、特定情報の再生によるメリットと、当該特定情報が劣化して再生できなくなるデメリットを比較し、使用者自身の意思により特定情報を再生するかどうかを決定できる。
【0038】
また、上記特定情報が、使用者によって上記書き換え層に記録された情報であってもよい。
【0039】
上記の構成により、使用者が書き換え層に記録した情報を特定情報として保護できる。
【0040】
本発明に係る光情報記録媒体再生装置は、上記の課題を解決するために、上記光情報記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録媒体再生装置であって、上記光情報記録媒体に記録された上記適応可能機器情報を再生する再生手段と、再生した上記適応可能機器情報と、上記光情報記録媒体再生装置自体が保有している、自装置に関する識別情報または自装置に適応する光情報記録媒体に関する識別情報とを照合する照合手段と、照合された結果に基づいて、上記書き換え層に記録された特定情報の再生可否を決定する決定手段とを有することを特徴としている。
【0041】
上記の構成によれば、光情報記録媒体に記録された適応可能機器情報を再生手段が再生し、再生された適応可能機器情報と、光情報記録媒体再生装置が保有している識別情報とを照合手段が照合する。光情報記録媒体再生装置が保有している識別情報は、自装置に関する識別情報または自装置に適応する光情報記録媒体に関する識別情報である。そして、決定手段は、照合手段の照合結果に基づいて、書き換え層に記録された特定情報の再生可否を決定する。
【0042】
それゆえ、使用者が、光情報記録媒体の書き換え層に適応していない光情報記録媒体再生装置で特定情報を再生しようとした場合には、特定情報の再生を行わない選択をする(または、使用者に選択させる)ことができる。その結果、書き換え層に記録された特定情報が使用者の意図に反して劣化して再生できなくなることを防止できる。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明に係る光情報記録媒体は、書き換え層に記録された特定情報の再生可否を、対応する光情報記録媒体再生装置が判定するための適応可能機器情報が記録されている構成である。
【0044】
それゆえ、書き換え層に記録された特定情報が使用者の意図に反して劣化して再生できなくなることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る光情報記録媒体の構成を概念的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】上記光ディスク装置が備える主制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】上記光ディスク装置における適応可能機器情報の読み取り処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】上記光ディスク装置における特定情報の再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】(a)はコンビネーションディスクのRE層から再生した初期の信号波形を示す図であり、(b)はコンビネーションディスクのRE層から約40000回再生した後の信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0047】
(光情報記録媒体100の構成)
まず、図1に基づき、本発明の一実施形態である光情報記録媒体100の構成について説明する。図1は、本実施形態の光情報記録媒体100の構成を概念的に示す断面図である。
【0048】
図1に示すように、光情報記録媒体100は、光ヘッド12からの再生光の入射側から、透光層10、ROM(Read Only Memory)層20、中間層30、RE(Recordable)層40及び基板50が設けられた構成である。ROM層20及びRE層40に記録された情報は、再生光によって読み出すことが可能となっている。
【0049】
すなわち、光情報記録媒体100は、基板50上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層(ROM層20及びRE層40)と、複数の情報記録層各々を分離する中間層30と、基板50より最も遠い位置に設けられた透光層10とを有している。上記複数の情報記録層は、情報を読み出すことのみ可能なROM層20と情報を書き換えることが可能な領域を含むRE層40(書き換え層)とからなる。
【0050】
後述するように、光情報記録媒体100には、RE層40に記録された特定情報の再生可否を、対応する光情報記録媒体100が判定するための適応可能機器情報が記録されている。
【0051】
なお、光情報記録媒体100では、情報記録層は、ROM層20及びRE層40の2層のみとなっているが、情報記録層は、3層以上であっても良い。例えば、RE層40を複数層設けても良い。
【0052】
(各層の詳細)
<透光層10>
透光層10は、光ヘッド41から出射された再生光を透過する層であり、例えば、厚さ75μmの紫外線硬化樹脂からなる。透光層10の材料は、再生光の波長において透過率が高いものであれば良い。また、透光層10の表面には、表面保護のためのハードコートが設けられていても良い。
【0053】
<ROM層20>
ROM層20は、いわゆる再生専用の情報記録層であり、情報を読み出すことのみ可能な層である。このROM層20は、例えば、厚さ9nmのAPC(AgPdCu)からなる。
【0054】
また、ROM層20は、光情報記録媒体100の外周側から、第1情報記録領域20A及び第2情報記録領域20Bを有している。
【0055】
第1情報記録領域20Aは、データ領域であり、使用者が利用可能な情報が記録されている。使用者が利用可能な情報とは、例えば、OS(オペレーティング・システム)やアプリケーションソフトなどの各種ソフトウェアや動画データなどの各種コンテンツである。
【0056】
第2情報記録領域20Bは、対応する光ディスク装置1が利用する情報が記録されているリードイン領域である。この領域には、主に、媒体種類情報、再生条件情報及びセクター最終番号情報など、光情報記録媒体100に関する媒体情報が記録されている。
【0057】
媒体種類情報とは、R,RE,ROM(本実施の形態の場合はROM層とRE層とのコンビネーション)等の種類の情報と層数に関する情報である。再生条件情報とは、推奨再生レーザパワー、線速等の情報である。また、セクター最終番号情報とは、ROM層の記録されている領域を示す情報である。
【0058】
<中間層30>
中間層30は、ROM層20及びRE層40を分離するための層であり、例えば、厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂からなる。中間層30の材料は、これに限られたものではなく、再生光の波長において透過率が高い材料であれば良い。また、中間層30の厚さは、ROM層20及びRE層40を分離でき、層間クロストークが問題にならない適度の厚さであれば良い。
【0059】
<RE層40>
RE層40は、いわゆる書き換え型の情報記録層であり、情報を書き換えることが可能な層である。このRE層40は、例えば、スパッタ法等により7層の薄膜が積層されてなるものである。具体的には、この7層の薄膜は、再生光の入射側から、第1保護膜(厚さ35nmのZnS−SiO)、第2保護膜(厚さ5nmのZrO)、記録層(厚さ7nmのGeTe−SbTe)、第3保護膜(厚さ5nmのZrO)、第4保護膜(厚さ35nmのZnS−SiO)、第5保護膜(厚さ5nmのZrO)、及び反射膜(厚さ20nmのAPC(AgPdCu))が順に積層されている。
【0060】
また、RE層40は、光情報記録媒体100の外周側から、第3情報記録領域40A及び第4情報記録領域40Bを有している。
【0061】
第3情報記録領域40Aは、データ領域であり、使用者が任意で記録する情報(後述する特定情報を含む)は、この第3情報記録領域40Aに記録される。
【0062】
第4情報記録領域40Bは、リードイン領域であり、BCA(Burst Cutting Area)領域より外周側に設けられている。リードイン領域には、主に、媒体種類情報、再生条件情報、及び記録条件情報など、光情報記録媒体100に関する媒体情報が記録されている。
【0063】
媒体種類情報とは、R,RE,ROM(本実施の形態の場合はROM層とRE層とのコンビネーション)等の種類の情報と層数に関する情報である。再生条件情報とは、推奨再生レーザパワー、線速等の情報である。記録条件情報とは、推奨記録パワー、推奨記録ストラテジ等の情報である。
【0064】
また、BCAには、主として、光情報記録媒体の構造を示す識別情報(ディスク識別情報)が記録される。識別情報の具体例としては、ディスクの層のタイプ(再生専用型、追記型、書き換え型)、ディスクのサイズ、ディスクのバージョン(速度等に関連)、ディスクへの記録・再生の標準条件及びディスク固有の番号などが例示できる。これらの各識別情報のBCAにおける記録順序(又は配置方法)は、任意であってよい。なお、これらの記録順序は、通常規格などによって決められている。
【0065】
また、第4情報記録領域40Bには、第3情報記録領域40Aに記録されるOS更新用情報などの情報をファイル単位で管理するためのファイル管理情報が記憶されている。これにより、第3情報記録領域40Aに記録される情報をファイル管理情報に基づいてファイル単位で管理することができる。
【0066】
なお、透光層10、ROM層20、中間層30、RE層40及び基板50の厚み、層数、構成材料及び形成方法は、上述のものに限定されず、各層として機能するものであれば良い。
【0067】
(光ディスク装置1の構成)
次に、図2及び図3に基づき、本発明の一実施形態である光ディスク装置(光情報記録媒体再生装置)1の構成について説明する。光ディスク装置1は、光情報記録媒体100を含むDVDやBDなどの光情報記録媒体に対して情報の記録及び再生を行う装置である。
【0068】
図2は、光ディスク装置1の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、光ディスク装置1は、主として主制御部2、記録再生回路群3、光ピックアップ4、スピンドルモータ5、記憶部6、操作部7、ディスプレイ(表示手段、表示装置)8及びディスク装填認識部9を含んでいる。
【0069】
光ピックアップ4は、さらに光ヘッド41及びアクチュエータ42を含んでいる。
【0070】
また、記録再生回路群3は、さらに、ピックアップ駆動回路31、レーザ駆動回路32、再生回路33、アクチュエータ駆動回路34及びスピンドルモータ駆動回路35を含んでいる。
【0071】
記憶部6は、主制御部2が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、及び、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。特に記憶部6は、光情報記録媒体100から読み取った適応可能機器情報、及び自装置(光ディスク装置1)に関する識別情報または自装置に適応する光情報記録媒体に関する識別情報を格納する。この記憶部6は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0072】
操作部7は、使用者が、光ディスク装置1に各種の操作命令を入力するためのものであり、例えば、操作ボタンとそのインターフェースなどが例示できる。
【0073】
なお、再生回路33からの再生情報は、記憶部6に一時的若しくは常時記録される。
【0074】
ディスプレイ8は、記憶部6に記録されたデータを読み出した結果としての画像や、使用者に対するメッセージなどを表示させるためのものである。このディスプレイ8は、例えば、液晶ディスプレイである。なお、ディスプレイ8は、光ディスク装置1と通信可能に接続された別体の表示装置であっても良い。
【0075】
ディスク装填認識部9は、光情報記録媒体100の装填を検出するためのものであり、例えば、各種センサが例示できるが、光情報記録媒体100の装填を検出できるものであれば、どのようなセンサを用いても良い。このディスク装填認識部9は、検出した結果を検出信号として主制御部2へ出力する。
【0076】
(光ディスク装置1の動作の概要)
<再生時の動作>
情報の再生時には、光ディスク装置1では、主制御部2がアクチュエータ駆動回路34介してアクチュエータ42を駆動することにより光ピックアップ4を光情報記録媒体100の近傍に移動させる。また、主制御部2は、ピックアップ駆動回路31を介して光ピックアップ4を光情報記録媒体100の記録部位へ移動させる。そして、主制御部2がレーザ駆動回路32を介して光ヘッド41から再生用のレーザビームを光情報記録媒体100に照射する。
【0077】
次に、光ヘッド41が検出した反射光は、再生回路33にて再生信号に変換され、主制御部2に入力される。これにより、光ディスク装置1は、光情報記録媒体100のトラックに記録された情報を再生する。
【0078】
<記録時の動作>
情報の記録時には、光ディスク装置1では、スピンドルモータ駆動回路35によって駆動されたスピンドルモータ5により光情報記録媒体100が回転する。また、アクチュエータ駆動回路34によってアクチュエータ42が駆動されることにより、光ピックアップ4が、回転した光情報記録媒体100の近傍へ移動する。さらに、ピックアップ駆動回路31によって、光ピックアップ4が、図示しない光情報記録媒体100のトラックへ移動する。
【0079】
そして、主制御部2がレーザ駆動回路32を介して記録条件を設定し、光ヘッド41から記録用のレーザビームを光情報記録媒体100の記録部位に照射することによって、光情報記録媒体100のトラックに情報が記録される。
【0080】
(主制御部2の構成)
図3は、主制御部2の構成を示すブロック図である。図3に示すように、主制御部2は、再生制御部21、ディスク管理部28、ピックアップ制御部29及びレーザ制御部36を備えている。
【0081】
再生制御部21は、ピックアップ制御部29及びレーザ制御部36に指令を発して光情報記録媒体100に記録されている情報の再生を実行するものである。この再生制御部21は、光ピックアップ4及び記録再生回路群3とともに、光情報記録媒体100に記録された適応可能機器情報を再生する再生手段のひとつであると見なすことができる。
【0082】
図3に示すように、再生制御部21は、照合部(照合手段)22、再生可否決定部(決定手段)23、RE再生指示部24、ROM再生指示部25、再生データ処理部26及び表示制御部(表示制御手段)27を備えている。
【0083】
照合部22は、再生された適応可能機器情報と、光ディスク装置1自体が保有している、自装置に関する識別情報または自装置に適応する光情報記録媒体に関する識別情報とを照合する。
【0084】
再生可否決定部23は、照合部22によって照合された結果に基づいて、RE層40に記録された特定情報の再生可否を決定する。特定情報の詳細及び再生可否の決定方法については後述する。
【0085】
RE再生指示部24は、RE層40に記憶されているユーザが記録した任意の情報やファイル管理情報などの読み出しの指示を行うものである。ただし、ユーザが記録した任意の情報のうち、特定情報については、再生可否決定部23によって再生可能と判断された場合のみ、当該特定情報の再生の指示を行う。
【0086】
ROM再生指示部25は、ROM層20に記憶されているソフトウェア又はコンテンツなどの読み出しの指示を行うものである。
【0087】
再生データ処理部26は、光ヘッド41から再生回路33を介して主制御部2に送信されてくる再生情報を受け取り、表示制御部27を介してディスプレイ8に出力するなど、再生情報の処理を行うものである。再生情報には、映像情報、音声情報、OS、ファイル管理情報などが含まれ、再生情報の種類に応じた処理がなされる。
【0088】
表示制御部27は、光情報記録媒体100から読み出された映像情報、使用者に提示するメッセージ、再生する情報を選択するための画面などをディスプレイ8に表示させるための処理を行う。
【0089】
ディスク管理部28は、光情報記録媒体100が光ディスク装置1に装填されたことをディスク装填認識部9が検出したときに出力される検出信号を受信して、再生制御部21などに動作命令を送信するなどの処理を行うものである。
【0090】
ピックアップ制御部29は、再生制御部21の制御下でピックアップ駆動回路31を制御する。
【0091】
レーザ制御部36は、再生制御部21の制御下でレーザ駆動回路32を制御する。
【0092】
(特定情報の詳細)
使用者が任意で記録する情報のうち、使用者が消したくないと考える情報を特定情報と称する。この特定情報は、使用者が指定する任意の情報であり、使用者によってRE層40に記録された情報であっても良い。使用者によってRE層40に記録された情報には、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードされた情報も含まれる。上記ダウンロードは、使用者が設定した所定のタイミングで行われてもよい。
【0093】
使用者は、特定の種類(例えば、特定のファイル形式)のデータが特定情報であると自動的に見なされるように設定しても良いし、個々のデータについて使用者が特定情報かどうかの指定を行っても良い。特定情報の指定は、当該情報がRE層40に記録されるときに行われても良いし、RE層40に記録された後の任意のタイミングで行われても良い。
【0094】
RE層40に記録された情報が、特定情報であるかどうかを識別する方法は、特に限定されない。例えば、ファイル名に、そのファイルが特定情報であることを示す文字または記号を含めても良い。このようなファイル名の設定は、使用者が手動で行っても良いし、使用者が、選択したデータを特定情報に指定する指示を入力した場合に、主制御部2が当該データのファイル名を設定しても良い。
【0095】
また、上述のように、特定のファイル形式のデータを特定情報であると見なしても良い。または、逆に、特定情報でないデータに対して、特定情報ではないことを示す情報を付与してもよい。
【0096】
(適応可能機器情報の詳細)
適応可能機器情報は、RE層40に記録された特定情報の再生可否を、光ディスク装置1が判定するための情報である。より詳細には、この適応可能機器情報は、光情報記録媒体100に少なくとも1つ記録されており、次に示す情報またはその組み合わせを示すものである。すなわち、適応可能機器情報は、(1)当該適応可能機器情報が記録された光情報記録媒体100が有するRE層40に記録された特定情報を再生可能な光ディスク装置(適応可能再生装置と称する)の機種を示す情報、(2)適応可能再生装置の製造者のメーカーコード、または、(3)光情報記録媒体100が装填された光ディスク装置が、当該光情報記録媒体100が有するRE層40に記録された特定情報を再生可能であるかどうかを判定するための、当該光情報記録媒体100のRE層40の品質を示す情報、もしくはその組み合わせである。RE層40の品質を示す情報とは、例えば、RE層40の品質を複数段階のレベルで示したものである。
【0097】
この適応可能機器情報は、ファイル形式で記録されている。適応可能機器情報をファイル形式で記録することにより、通常データと同様のファイルシステムを用いた適応可能機器情報の参照が可能となり、光ディスク装置1がパソコン用光ディスクドライブとパソコンソフトで構成される場合においても、適応可能機器情報の検索と管理を容易にできる。
【0098】
適応可能機器情報として、適応可能再生装置の機種、メーカーコードまたはRE層40の品質を示す情報が複数設定されてもよい。
【0099】
光情報記録媒体100にRE層40が複数含まれている場合には、各RE層40についての適応可能機器情報を光情報記録媒体100に記録しても良いし、複数のRE層40に対応する1つの適応可能機器情報を記録しても良い。本実施形態では、適応可能機器情報は、1つの光情報記録媒体100に1つ記録されているものとする。
【0100】
適応可能機器情報は、光情報記録媒体100が有する記録領域のうち、使用者が書き換え不可能な領域に記録されているか、または、使用者が書き換え可能な領域において、書き換え不可能な形態で記録されているか、もしくは、使用者が書き換え不可能な領域において、書き換え不可能な形態で記録されている。
【0101】
使用者が書き換え不可能な領域とは、例えば、ROM層20、RE層40のBCA(第4情報記録領域40B)、及びRE層40の第3情報記録領域40Aに予め設定された書き換え不可能な領域である。
【0102】
使用者が書き換え不可能な形態とは、例えば、BCA記録、ROM層における凹凸による記録方式である。なお、BCA記録とは、YAGレーザ等によりパルスレーザー光を情報記録層に照射して、例えば約10μm程度の幅で長さが数百μmのストライプ(バーコードのような)を形成し、情報を記録する方式である。
【0103】
例えば、適応可能機器情報は、ディスクタイプ識別情報及び個体識別番号と合わせてバーコード状のストライプとして記録されていてもよい。
【0104】
使用者が書き換え不可能な領域及び書き換え不可能な形態については、上述のものに限定されず、その目的が果たせるものであればよい。
【0105】
ただし、適応可能機器情報は、ROM層20の特に第1情報記録領域(データ領域)20Aに記録することが好ましい。なぜならば、データ領域以外のリードイン領域に記録される内容は、通常、所定の規格に従って記録されるものであり、光情報記録媒体のメーカー独自の判断で変更することはできない。そのため、メーカーが、生産されたRE層40の特性(品質)を考慮して適応可能機器情報をリードイン領域に記録することはできないためである。
【0106】
つまり、適応可能機器情報をROM層20のデータ領域に記録する構成により、光情報記録媒体100をRE層40まで作製し、ストックしておいた上で、生産されたRE層40の特性を考慮した上で(すなわち、適応可能機器情報の内容を決定した上で)、ROM層20のスタンパを作製できる。
【0107】
なお、ROM層20は通常単一膜で作製できるため、品質管理がRE層40に比較して容易なため、各社の再生レーザパワーに対応できるように品質管理することは比較的容易である。
【0108】
また、上述したように、光情報記録媒体100の適応可能機器情報の照合対象となる、自装置(光ディスク装置1)に関する識別情報または自装置に適応する光情報記録媒体に関する識別情報は、予め記憶部6に格納されている。
【0109】
自装置に関する識別情報とは、例えば、光ディスク装置1の製造者のメーカーコード、光ディスク装置1の機種を示す機種情報である。また、適応可能記録媒体情報とは、光情報記録媒体100においてRE層40を再生することが可能な光情報記録媒体またはその品質を特定する情報(例えば、品質のレベル)である。
【0110】
光情報記録媒体100に記録された適応可能機器情報と、光ディスク装置1が保有する識別情報とは、互いに照合可能な関係にある。例えば、光情報記録媒体100の適応可能機器情報がメーカーコードであれば、光ディスク装置1の識別情報もメーカーコードである。
【0111】
(適応可能機器情報の読み取り処理の流れ)
次に、光情報記録媒体100が光ディスク装置1に装填されたときに、適応可能機器情報を読み取る処理について説明する。図4は、光ディスク装置1における適応可能機器情報の読み取り処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0112】
まず、光情報記録媒体100が装填されたことをディスク装填認識部9が検出すると、その旨を示す検出信号をディスク管理部28に送信する(S1)。
【0113】
ディスク管理部28は、上記検出信号を受けて、RE層40のBCAに記録されたディスク識別情報をごく低い出力のレーザパワーで読み出す(S2)。BCAに記録された情報は、低出力のレーザ光で読み出されるため、BCAに記録された情報が劣化して再生できなくなることはない。その後、ディスク管理部28は、再生制御部21のROM再生指示部25に動作命令を出力する。
【0114】
この動作命令を受けて、ROM再生指示部25は、記録再生回路群3を介して光ピックアップ4及びスピンドルモータ5などを制御することにより、光情報記録媒体100のROM層20のリードイン領域(第2情報記録領域20B)の情報、及びデータ領域(第1情報記録領域20A)に記録されている適応可能機器情報を読み取る(S3)。
【0115】
再生データ処理部26は、読み取った適応可能機器情報を記憶部6に格納する(S4)。そして、光ディスク装置1は、待機状態となる。
【0116】
なお、光ディスク装置1は、特定情報を再生する指示を使用者が入力したときに、光情報記録媒体100から適応可能機器情報を読み取っても良く、適応可能機器情報を読み取るタイミングは特に限定されない。
【0117】
(特定情報の再生処理の流れ)
次に、RE層40に記録された特定情報を再生するときの処理の流れの一例について説明する。図5は、特定情報の再生処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、適応可能機器情報が、光情報記録媒体100を製造したメーカーのメーカーコードである場合を例に挙げて説明する。また、適応可能機器情報は既に光情報記録媒体100から読み取られ、記憶部6に格納されているものとする。また、予め使用者が特定情報を指定しており、その特定情報のファイル名に、当該ファイルが特定情報であることを示す情報が含まれているものとする。
【0118】
まず、再生制御部21が、RE層40に記録された情報を再生する指示を使用者が入力したことを検出すると(S11)、再生可否決定部23は、当該情報のファイル名を確認することにより、当該情報が特定情報であるかどうかを判定する(S12)。特定情報であると判定した場合には(S12にてYES)、再生可否決定部23は、その特定情報が記録されているRE層40を有する光情報記録媒体100の適応可能機器情報と自装置のメーカーコードとを照合するよう照合部22に命じる。
【0119】
この命令を受けると、照合部22は、記憶部6に格納された、光情報記録媒体100の適応可能機器情報(メーカーコード)と、光ディスク装置1のメーカーコードとを照合する(S13)。光情報記録媒体100の適応可能機器情報としてのメーカーコードは、複数のメーカーのメーカーコードを含んでいても良い。複数のメーカーコードが記録されている場合には、そのうちの1つと、光ディスク装置1のメーカーコードとが一致すれば良い。
【0120】
光情報記録媒体100の適応可能機器情報としての少なくとも1つのメーカーコードのうちの1つと、光ディスク装置1のメーカーコードとが一致する場合には(S14にてYES)、照合部22は、一致結果を再生可否決定部23へ出力する。
【0121】
一致結果を受け取ると、再生可否決定部23は、特定情報を再生するよう、RE再生指示部24に命じる。
【0122】
この命令を受けると、RE再生指示部24は、記録再生回路群3を介して光ピックアップ4及びスピンドルモータ5などを制御することにより、上記特定情報を再生する(S15)。
【0123】
再生された特定情報は、再生データ処理部26における処理を経て、表示制御部27によってディスプレイ8に表示される(S16)。
【0124】
一方、光情報記録媒体100の適応可能機器情報としての少なくとも1つのメーカーコードのうちの1つと、光ディスク装置1のメーカーコードとが一致しない場合には(S14にてNO)、照合部22は、不一致結果を再生可否決定部23へ出力する。
【0125】
不一致結果を受け取ると、再生可否決定部23は、指定された特定情報が記録されたRE層40が光ディスク装置1に適応しておらず、特定情報を再生できないことを示すメッセージ(非適応メッセージ)を、表示制御部27を介してディスプレイ8に表示する(S17)。
【0126】
一方、使用者が再生を指示した情報が特定情報ではないと判定した場合には(S12にてNO)、再生可否決定部23は、当該情報を再生するよう、RE再生指示部24に命じ、当該情報が再生される(S18)。
【0127】
なお、照合部22が不一致結果を再生可否決定部23へ出力した場合に、非適応メッセージを示すとともに、それでも特定情報を再生するかどうかの指示を入力するよう使用者に促すメッセージを、表示制御部27を介してディスプレイ8に表示してもよい。
【0128】
この場合、使用者が再生指示を入力すれば、再生可否決定部23は、当該特定情報を再生するよう、RE再生指示部24に命じる。
【0129】
すなわち、適応可能機器情報は、特定情報を光ディスク装置1で再生する際に、使用者に、許諾の意図を光ディスク装置1に示す作業を促す表示を行う表示制御部27を起動させる情報であってもよい。
【0130】
この構成により、特定情報の再生によるメリットと、当該特定情報が破壊されるデメリットとを比較し、使用者自身の意思により特定情報を再生するかどうかを決定できる。
【0131】
(光情報記録媒体100及び光ディスク装置1の効果)
以上のように、光情報記録媒体100及び光ディスク装置1では、生産者が、生産された光情報記録媒体100のRE層40の状態(品質)によって、光情報記録媒体100が再生される光ディスク装置1の種類(機種またはメーカー)を特定できる。特定された情報は、適応可能機器情報として光情報記録媒体100に格納され、光情報記録媒体100が挿入された光ディスク装置1において、RE層40に記録された特定情報が再生可能かどうかを判定するために利用される。
【0132】
それゆえに使用者が消去したくない特定データが劣化し再生できなくなることを防止できる。
【0133】
(その他の変更例)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0134】
また、上述した光ディスク装置1の各ブロック、特に主制御部2は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0135】
すなわち、光ディスク装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである光ディスク装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記光ディスク装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0136】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0137】
また、光ディスク装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0138】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0139】
すなわち、本発明の光情報記録媒体再生装置は、上述の光情報記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録媒体再生装置であって、上記光情報記録媒体に記録された上記適応可能機器情報を再生する手段と、再生した上記適応可能機器情報と再生装置自体が保有している再生が許可されている光情報記録媒体を識別するための識別情報を照合する手段と、照合された結果に基づいて、上記書き換え層に記録された特定情報の再生可否を決定する手段を有することを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、光情報記録媒体が有する、情報を書き換えることが可能な書き換え層に記録された特定情報を再生するときに、当該特定情報が劣化し再生できなくなる可能性を低減できる。そのため、本発明は、書き換え層に記録された特定情報を保護することが望まれる光情報記録媒体及びその再生装置に適用できる。
【符号の説明】
【0141】
1 光ディスク装置(光情報記録媒体再生装置)
4 光ピックアップ(再生手段)
10 透光層
20 ROM層(情報を読み出すことのみ可能な層)
20A 第1情報記録領域(データ領域)
20B 第2情報記録領域(リードイン領域)
21 再生制御部(再生手段)
22 照合部(照合手段)
23 再生可否決定部(決定手段)
24 RE再生指示部(再生手段)
26 再生データ処理部(再生手段)
27 表示制御部(表示制御手段)
30 中間層
40 RE層(書き換え層)
40A 第3情報記録領域
40B 第4情報記録領域
41 光ヘッド(再生手段)
42 アクチュエータ(再生手段)
43 記録層
50 基板
100 光情報記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、再生光によって情報を読み出すことが可能な複数の情報記録層と、上記複数の情報記録層各々を分離する中間層と、上記基板より最も遠い位置に設けられた透光層とを有し、上記複数の情報記録層は、情報を読み出すことのみ可能な層と情報を書き換えることが可能な領域を含む書き換え層とからなる光情報記録媒体であって、
上記書き換え層に記録された特定情報の再生可否を、光情報記録媒体再生装置が判定するための適応可能機器情報が記録されていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項2】
上記適応可能機器情報が、使用者が書き換え不可能な領域及び/又は形態で記録されていること特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
【請求項3】
上記適応可能機器情報が、情報を読み出すことのみ可能な層に記録されていることを特徴とする請求項2に記載の光情報記録媒体。
【請求項4】
上記情報を読み出すことのみ可能な層には、使用者が利用可能な情報が記録されているデータ領域と、対応する光情報記録媒体再生装置が利用する情報が記録されているリードイン領域とが設けられており、
上記適応可能機器情報が上記データ領域に記録されていることを特徴とする請求項2に記載の光情報記録媒体。
【請求項5】
上記適応可能機器情報が、ファイル形式で記録されていることを特徴とする請求項4に記載の光情報記録媒体。
【請求項6】
上記適応可能機器情報が、ディスクタイプ識別情報及び個体識別番号と合わせてバーコード状のストライプとして記録されていることを特徴とする請求項2に記載の光情報記録媒体。
【請求項7】
上記適応可能機器情報が、光情報記録媒体記録/再生装置製造者のメーカーコードを含む情報であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項8】
上記適応可能機器情報は、上記特定情報を光情報記録媒体再生装置で再生する際に、使用者に、許諾の意図を上記光情報記録媒体再生装置に示す作業を促す表示を行う表示制御手段を起動させる情報であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項9】
上記特定情報が、使用者によって上記書き換え層に記録された情報であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の光情報記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録媒体再生装置であって、
上記光情報記録媒体に記録された上記適応可能機器情報を再生する再生手段と、
再生した上記適応可能機器情報と、上記光情報記録媒体再生装置自体が保有している、自装置に関する識別情報または自装置に適応する光情報記録媒体に関する識別情報とを照合する照合手段と、
照合された結果に基づいて、上記書き換え層に記録された特定情報の再生可否を決定する決定手段とを有することを特徴とする光情報記録媒体再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−38388(P2012−38388A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177962(P2010−177962)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】