説明

光拡散シート、光拡散シートを用いた照明装置、及び表示装置

【課題】光透過性を十分に有しかつ光源を隠蔽する光拡散シートを提供すること及び、経時による光拡散シートの光透過性能低下、外観不良の発生を抑制し、光拡散性能を持続する光拡散シートを提供すること。
【解決手段】光拡散シート1は、少なくとも透明樹脂3と、架橋メラミン樹脂を含む球状体である光拡散剤2と、安定剤とを含む光拡散シートであって、該光拡散シートが第一面11及び第二面12を有し、光源からの光21は第一面11又は第二面12から入光し、該第一面11または該第二面12から均一に拡散し、他方の面から出光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から発する光を均一に拡散させるための光拡散シートに関する。
【0002】
詳しくは、内側からの光を用いて情報を表示する内部照明式表示装置(内照表示装置ともいう)や、自然光を拡散する光拡散シートに用いられるもので、具体的には、照明カバーを用いた照明器具、光柱や光壁等の照明看板や電飾看板や内照標識等の内照表示装置、遊技機、及び自動販売機等に用いられる内照表示装置や、透過型投影機等のスクリーン、自然光を拡散するパネルや窓や採光板やアーケード等に用いられる光拡散シートに関する。
【0003】
さらに詳しくは、従来技術と比較し光源を隠蔽することで照明装置の外観を改善し、また、経時により発生する光拡散シートの変色、割れ、及び剥がれ等の外観不良の発生を抑制した光拡散シートに関する。
【背景技術】
【0004】
照明看板及び内照標識等の照明装置は、光源と光拡散シート、及び各種情報を表示する情報表示部で構成されている。従来の光拡散シートは、シート表面に微細な凹凸を形成すること、または光拡散剤をシート中に分散させることで、光源からの光を拡散させている。
【0005】
優れた光拡散シートに関しては、従来からいくつかの提案がなされている。
【0006】
例えば、シート表面に凹凸が形成された光拡散シートが提案されている(特許文献1)
【0007】
また、メラミンビーズを含む光拡散シートが提案されている(特許文献2、3)
【0008】
しかしながら、いずれの光拡散シートも、光源の隠蔽が不十分であり、かつ、経時による光拡散シートに変色、割れが発生し外観不良の発生の抑制が不十分である。
【0009】
以下、従来の光拡散シートについて説明する。
【0010】
シート表面に凹凸が形成された光拡散シートは、シボ付けロールの凹凸形状の転写時、シートを型から剥離させる際の成形性が悪く、剥離異常により外観不良が起きる場合がある。また、シートの取り扱い時にシート表面の凹凸にひっかかりが生じ、シート表面に傷がつく場合がある。くわえて、屋外使用時に、シート表面凹凸に汚れが付着し、光拡散性能が低下する場合がある。さらに、照明装置に用いる場合、光透過性を十分に有し、かつ光源を隠蔽し光拡散性も同時に達成することが不十分である。
【0011】
また、従来のメラミンビーズを用いた光拡散シートは、メラミンビーズと樹脂とともに製膜すると、光源からの熱や光、水分、及び酸素に起因し、樹脂が劣化し、光拡散シートに変色や割れが発生し、経時により光拡散性能が低下する。つまり、外観不良の抑制が不十分である。また、メラミンビーズがシート表面に露出しているため、ビーズの欠落が発生する場合がある。また、アクリル樹脂や塩化ビニル樹脂に代表される透明樹脂にメラミンビーズを添加すると、塩基性のメラミン樹脂と酸性傾向のある透明樹脂が反応するため、経時による透明樹脂の劣化により、光拡散シートの光拡散性能が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002-221612号
【特許文献2】特開2002-228807号
【特許文献3】特開2004−99878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとしている課題は、光透過性を十分に有し、かつ光源を隠蔽する光拡散シートを提供することである。
【0014】
本発明が解決しようとしている別の課題は、経時による光拡散シートの光透過性能低下、及び外観不良の発生を抑制し、光拡散性能を持続する光拡散シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の光拡散シートは、少なくとも透明樹脂と、架橋メラミン樹脂を含む球状体である
光拡散剤と、安定剤とを含む光拡散シートであって、該光拡散シートが第一面及び第二面を有し、
光源からの光は第一面又は第二面から入光し、該第一面または該第二面から均一に拡散し、他
方の面から出光することを特徴とするものである。
【0016】
本発明の光拡散シートは、該光拡散剤がシリカを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の光拡散シートは、該第一面及び該第二面の少なくとも一方に、凹凸が形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の光拡散シートは、該光拡散剤が該光拡散層の該第一面及び該第二面に露出していないことが好ましい。
【0019】
本発明の光拡散シートは、該光拡散シートの全光線透過率が60%以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の光拡散シートは、該光拡散シートの平行光線透過率が2%以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の光拡散シートは、該光拡散シートの厚みが25〜200μmであることが好ましい。
【0022】
本発明の光拡散シートは、該透明樹脂が少なくともアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、及びウレタン樹脂のいずれかを含むことが好ましい。
【0023】
本発明の光拡散シートは、該光拡散シートがキャスト法で製膜されることが好ましい。
【0024】
本発明の光拡散シートは、光透過性の粘着剤層が積層されていることが好ましい。
【0025】
本発明の光拡散シートは、照明カバーを用いた照明器具、光柱や光壁等の照明看板や電飾看板や内照標識等の内照表示装置、遊技機、及び自動販売機等に用いられる内照表示装置や、透過型投影機等のスクリーン、自然光を拡散するパネルや窓や採光板やアーケード等に用いられる光拡散シートに用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光源を隠蔽することで照明装置の外観を改善し、また、経時により発生する光拡散シートの変色、割れ、及び剥がれ等の外観不良の発生を抑制した光拡散シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明における光拡散シートの断面図
【図2】参考例による光拡散シートの断面図
【0028】
本発明の光拡散シートの好ましい形態の一つを、図を引用しつつ以下に説明を行う。
【0029】
図1は本発明の実施形態による光拡散シートの断面図、図2は参考例による光拡散シートの断面図を示す。
【0030】
図1に示すように、本発明の光拡散シートは、透明樹脂と、架橋メラミン樹脂を含む球状体である光拡散剤とを含むものであり、第一面及び第二面を有している。尚、図1において光源から発する光は、第一面から入光し、第二面から出光している。光が、第二面から入光し、第一面から出光することも可能である。
【0031】
本発明に用いる光拡散剤は、少なくとも架橋メラミン樹脂を含む球状体である。本発明に用いられる光拡散シートは、本発明の好ましい態様である該透明樹脂が塩化ビニル樹脂(屈折率1.539)と屈折率比が大きい方が乱反射しやすいため、シリコーンビーズ(屈折率1.42)やアクリルビーズ(PMMAで屈折率1.49)よりも架橋メラミン樹脂(屈折率1.65〜1.66)の方が好ましい。また、球状体のため、製膜時、及び製膜後の光拡散シートの取り扱い時に、光拡散剤の形状変化が起きにくい。光拡散剤は、球形状を製膜後も維持可能のため、光源から発する光は、光拡散シートを透過時に均一に反射、散乱し、光拡散シートは十分な光拡散性が得られる。
【0032】
本発明に用いる光拡散剤の好ましい添加量の範囲は、前記透明樹脂100重量部に対し1〜40重量部、好ましくは5〜30重量部である。1重量部以上であれば十分な光拡散性能が得られ、かつ光源を隠蔽し、照明装置の外観が向上するため好ましい。40重量部以下であれば、適正な範囲で光拡散シートが伸縮するため取り扱い性に優れ、かつ十分な光透過性能が得られるため好ましい。
【0033】
本発明に用いる光拡散剤の好ましい平均粒径は1〜6μmである。平均粒径が1μm以上ならば均一に光が拡散するため好ましい。6μmを超えるとシート表面の凹凸が大きくなる場合があり、光拡散性やハンドリング性が劣ることがある。
【0034】
このような光拡散剤は、例えば日本触媒(株)製 商品名エポスターL15、M05、MS、M30、S12、S6、及びS、並びにエポスターGPとして入手可能である。
【0035】
本発明に用いる光拡散剤の好ましい構成は、シリカを含むことである。特に球形状の架橋メラミン樹脂の外表面に、シリカがコーティングされている構成の場合、塩基性のメラミン樹脂を含む光拡散剤と酸性傾向のある透明樹脂との間でも望ましくない反応が起きず、透明樹脂の劣化による光拡散シートの光透過性の低下、及び外観不良の発生を抑制できる。そのため、光拡散シートの光拡散性能が持続するので好ましい。
【0036】
このような光拡散剤は、例えば日産化学工業(株)製 商品名オプトビーズS500、2000M、3500M、6500M、10500M として入手可能である。
【0037】
本明細書における球状体は、必ずしも真球状体に限らない。球状体は、多少の形状のゆがみがあってもよく、例えば顕微鏡を用いて目視で球状と確認できるものを意味する。
【0038】
本明細書における光源は、放電ランプ、LED、有機EL、無機EL、及びレーザに代表される人工光源に加え、例えば太陽光に代表される自然光が挙げられる。放電ランプの種類は、白熱電球、ハロゲンランプ、蛍光灯、及び冷陰極管が挙げられる。
【0039】
本発明の光拡散シートは、光源点灯時に光源の形状、輪郭を隠蔽する。光源から発した光は、光拡散シートを透過し、観測者に十分な光を提供するが、光拡散シートを光が透過する際、十分に光が拡散されるため、光源の形状や輪郭を観測者は極めて視認しにくくなる。特に蛍光灯や冷陰極管に代表されるライン状の光源、またはLEDに代表される点状の光源に本発明の光拡散シートを用いた場合、光拡散シートは光源点灯時に十分な光透過性を有しかつ光源を隠蔽し、均一な外観を示す。
【0040】
本明細書における「光源を隠蔽する」という意味は、光源から発した光が、光拡散シートを透過し、観測者は光による情報の提供を十分に受け、かつ、観測者が光拡散シートを通して光源を見る際に、光源の形状や輪郭を極めて視認しにくい状態である。
【0041】
本発明の光拡散シートの好ましい構成は、前記第一面と前記第二面の少なくとも一方に凹凸が形成されることである。このような場合、光拡散シートの光拡散性能は、光拡散剤による光拡散性能に加え、光拡散シートの面の凹凸により、さらに光拡散性能を高くすることができる。
【0042】
本発明の光拡散シートの好ましい構成は、単層である。単層構造の場合、多層構造で起こる、光拡散シート内の層間剥離による光拡散性能の低下や、光源からの光が光拡散シート内の層間で反射することによる光透過性能の低下が起きない。
【0043】
光拡散シートが単層構造の場合、光拡散シートの第一面から光が入光し、第二面へと出光する際の光透過性能、及び光拡散性能は、第二面から入光し、第一面へと出光する際の光透過性能、及び光拡散性能と略同じである。光拡散シートと光源を組み合わせて照明装置を設置する場合、光拡散シートの光源に向ける面が制約されない。
【0044】
光拡散シートが異なる二層以上の構造をもつ場合、光拡散シートの第一面から光が入光し、第二面へと出光する際の光透過性能、及び光拡散性能は、第二面から入光し、第一面へと出光する際の光透過性能、及び光拡散性能と異なる場合がある。そのため、光拡散シートの光源に向ける面が制約を受ける場合がある。
【0045】
本明細書における凹凸は、表面の算術平均粗さが1μm以上かつ凹凸の平均間隔が300μm以下であることを意味する。
【0046】
このような表面の凹凸は、(株)小坂研究所製表面粗さ測定器サーフコーダーSE−30D(CUTOFF 0.8μm、基準長さ0.8mm)を用いて測定できる。
【0047】
本発明の光拡散シートの好ましい構成は、含まれる前記光拡散剤が前記第一面及び前記第二面に露出していないことである。このような構成の場合、光拡散シートの取り扱い時に発生する光拡散剤の欠落、光拡散シートをロール状で供給する際に予想される光拡散シート同士の傷つき光透過性および光拡散性の低下を抑制できる。
【0048】
本発明の光拡散シートの好ましい全光線透過率は、60%以上、より好ましくは75%以上である。光拡散シートの全光線透過率が60%以上ならば、本発明の光拡散シートを用いた照明装置が光源からの光を十分に透過し、十分な光量の照明装置となり、また、表示装置に用いた場合、表示装置の情報を提供できる。
【0049】
本発明の光拡散シートの好ましい平行光線透過率は、平行光線透過率が2%以下、より好ましくは0.5%以下である。光拡散シートの平行光線透過率が2%以下ならば、光透過性を十分に有し、かつ光を均一に拡散し、光源を隠蔽するため、照明装置の外観が優れ、情報伝達性能が向上する。
【0050】
本発明の光拡散シートの好ましい厚みは20〜200μm、さらに好ましくは30〜60μmである。20μm以上であれば、光透過性を十分に有しかつ光源を隠蔽できる。また、200μm以下であれば、光拡散シートを取り扱う際の作業性が向上する。
【0051】
本発明に用いることのできる透明樹脂は、架橋メラミン樹脂との屈折率比が大きい樹脂をもちいることができ、アクリル樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリ脂環族オレフィン、ウレタン樹脂、及びセルロースエステル樹脂である。アクリル樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸メチルに代表される各種(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸およびそれらの共重合体、アロイを含む。
【0052】
本発明に用いる好ましい透明樹脂は、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、及びウレタン樹脂である。
【0053】
アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、及びウレタン樹脂は、光透過性能が高いため、光拡散シートを透過する光が損失なく、本発明の光拡散シートを用いた照明装置が十分な情報を伝達する。
【0054】
また、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、及びウレタン樹脂を用いた場合、安定剤等の添加剤がブリードアウトしにくい。添加剤がブリードアウトすることで、光拡散シートの熱や光に対する安定性が失われる場合がある。また、添加剤のブリードアウトは、シート外観不良の原因の一つである。
【0055】
また、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、及びウレタン樹脂を用いた場合、製膜時の厚み制御が容易である等製膜時の加工性が優れる。中でも、塩化ビニル樹脂は安価であるので、特に好ましい。
【0056】
本発明に用いる光拡散剤と透明樹脂との屈折率比は、1.01〜1.13であることが好ましい。屈折率比が1.01以上であれば、光源からの光が十分に光拡散する。また1.13以下であれば、光源からの光が前記光拡散剤と前記透明樹脂間で過剰に光拡散することなく光透過性能低下を小さくすることができる。
【0057】
本発明の光拡散シートは、一種以上の安定剤を含む。安定剤を含むため、光源からの熱や光、及び水分、並びに酸素による経時の光拡散シートの光透過性低下、及び外観不良の発生を抑制し、光拡散性能を持続する。
【0058】
本発明の光拡散シートに用いる安定剤は、熱安定剤、安定助剤、光安定剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。安定助剤は、他の安定剤の安定化機能を増大させるために用いられる安定剤である。
【0059】
熱安定剤として、
ジアルキル錫ジカルボキシレート、ジアルキル錫マレートエステル、及びジアルキル錫メルカプタイド等の錫系安定剤、
並びに有機酸(オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ベへニン酸、及び安息香酸等)の金属(Li、Na、K、Cs、Cu、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Sn、及びPb等)塩、が挙げられる。これら熱安定剤は、本発明の好ましい態様である透明樹脂として塩化ビニル樹脂を用いる時に用いることが好ましい。
【0060】
安定助剤として、
トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、及び4,4’-イソプロピリデン-ジフェノール-アルキルホスファイト等のホスファイト化合物、
並びに過塩素酸ナトリウム、及び過塩素酸バリウム等の過塩素酸金属塩、
並びに2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、及び1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
【0061】
また、別の安定助剤として、
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、及び水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、
並びにベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、及びステアロイルベンゾイルメタン等のβジケトン化合物、
並びにハイドロタルサイト類、及びゼオライト類等の無機系安定剤、を挙げることができる。これらの安定助剤は、本発明の好ましい態様である透明樹脂として塩化ビニル樹脂を用いる時に用いることが好ましい。
【0062】
光安定剤として、
2,3‘-ジヒドロキシ-4,4’- ジメトキシベンゾフェノン、2,2‘-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン及
び2,2’,4,4‘-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、
2−(2‘-ヒドロキシ−5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2‘-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-5,6-ジクロルベンゾトリアゾ−ル)、2−(2‘-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)、ベンゾトリアゾ−ル、2−(2‘-ヒドロキシ-3’-メチル-5‘-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’-ヒドロキシ-3‘,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロル-ベンゾトリアゾ−ル、2−(2‘-ヒドロキシ-5’-フェニルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾ−ル、2−(2‘-ヒドロキシ-3’,5‘-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’-ヒドロキシ-3‘-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2‘-ヒドロキシ-3’,5‘-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’-ヒドロキシ-3‘,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2‘-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−{2‘-ヒドロキシ-3’−(3“,4”,5“,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5‘-メチルフェニル}ベンゾトリアゾ−ル、及び2−{2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)フェニル}-2-ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル等のベンゾトリアゾール系化合物、
並びにエチル-2-シアノ-3,3− ジフェニルアクリレ−ト、及び2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート化合物、
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本発明の光拡散シートに用いる特に好ましい光安定剤は、シアノアクリレート化合物である。シアノアクリレート化合物を用いた場合、透明樹脂に対し初期着色がなく、光透過性が優れる。
【0064】
本発明の光拡散シートに用いる光安定剤は2種類以上を併用することができるが、その好ましい添加量は、透明樹脂100重量部に対して合計0.5重量部以上かつ1種類あたり6重量部以下である。製膜時に、光拡散剤が樹脂中に均一に分散し、光拡散シートの光拡散性に影響しない限り特に制約はないが、光安定剤の添加量が十分でない場合、製膜時、及び経時による光安定剤のブリードアウト、及び分解により、光拡散シート中から光安定剤が失われるため、耐候性改善効果が得られない場合がある。0.5重量部以上添加することで、十分な光拡散シートの耐候変色性が達成できる。特に好ましくは3.0重量部以上である。本発明の光拡散シートの製膜時に、当業者が通常想定する量以上、例えば0.5重量部以上、の光安定剤を加えても、十分な光透過性、及び光拡散性能を保持し、かつ外観が優れている。1種類あたり6重量部を超えると、光拡散シートからブリードやブルームすることがある。
【0065】
本発明の光拡散シートに用いる安定剤は、錫系安定剤、ホスファイト化合物、及び光安定剤を併用することが好ましい。光拡散シートの初期光透過性、初期着色性、耐熱変色性、及び耐候変色性を改善するため特に好ましい。
【0066】
本発明の光拡散シートの耐候変色性は、サンシャインウエザオメーター等の促進曝露装置にて評価することが可能である。
【0067】
図2に示すように、本発明の光拡散シートは、前記第一面及び前記第二面の少なくとも一方に、光透過性の粘着剤層を積層することが可能である。図2は、光拡散シートの第二面側に粘着剤層が積層している。図2は、光源からの光は第一面から入光し、第二面から出光しているが、第二面から入光し、第一面から出光するように、光拡散シートと光源を設置することも可能である。
【0068】
粘着剤層を積層した本発明の光拡散シートは、光透過性基材に貼り付けて使用することができる。
【0069】
光透過性基材は、各種ガラス、及び各種透明樹脂が挙げられる。
【0070】
各種ガラスは、例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、及びリン酸塩ガラスに代表される各種ガラスが挙げられる。
【0071】
各種透明樹脂は、アクリル樹脂、塩化ビニルに代表されるハロゲン含有樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリオレフィンが挙げられる。
【0072】
前記光透過性の粘着剤層に用いられる樹脂は、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系、シリコーン系、フェノール系、酢酸ビニル系、及びゴム系である。
【0073】
特にアクリル系粘着剤は、光透過性、光安定性、及び熱安定性が優れているため、好ましい。
【0074】
前記光透過性の粘着剤層は、各種安定剤を含むことが好ましい。粘着剤層が各種安定剤、特に熱安定剤及び光安定剤を含む場合、特に制約はないが、本発明の光拡散シートが含む安定剤を用いることができる。前記粘着剤層中の安定剤は、本発明の光拡散シートに用いた安定剤と種類や量が同一でも、または異なってもかまわない。
【0075】
本発明の光拡散シートは、押出し法、カレンダー法、及びキャスト法による製膜が可能である。前記光拡散シートの厚みのムラを低減し、光拡散性及び光透過性が均一に制御しやすいため、キャスト法が好ましい。
【0076】
本発明の光拡散シートの製膜は、キャリアシート、シームレス金属ベルトを用いることができる。キャリアシートは、平滑な面をもつフィルム及び微小な凹凸をもつフィルムを用いることができる。
【0077】
本発明の光拡散シートの製膜に用いるキャリアシートは、表面に微小な凹凸が形成されているマットPETが好ましい。マットPETを使用することにより、マットPET表面の凹凸を光拡散シートに容易にかつ安価に転写可能である。
【0078】
本発明の光拡散シートは、情報表示部と組合せることができる。光拡散シートの前記第一面または第二面のどちらか一面に、任意の意匠、文字で構成される各種情報を表示する情報表示部を設けることが可能である。情報表示部は着色フィルムの貼付け、印刷によって設けることが可能である。情報表示部は、光を透過するもの、光を隠蔽するもの、の2種類がある。
【0079】
本発明の光拡散シートは、各種着色剤を含むことも好ましい。このような各種着色剤は、例えば有機顔料、無機顔料、及び有機染料が挙げられる。
【0080】
また、本発明の光拡散シートは、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷やオフセット印刷などにより着色されることも好ましい。中でもスクリーン印刷に比べるとインキの厚みが薄いため光透過性が良い点と、電子画像を直接印刷できる理由でインクジェット印刷が好ましく、特に溶剤型のインクジェット印刷が、本発明の光拡散フィルムへの画像鮮映性と密着性に優れる理由で好ましい。
【0081】
また、光拡散シート上に、光透過性着色フィルムを積層することも好ましく、該光透過性着色フィルムが上記のような印刷方法で印刷されていることも好ましい。
【0082】
このように、光拡散シート自体を情報表示に機能を有するものとする他、光拡散シート上に情報表示機能を有する層を設けることで、内部照明式表示装置とすることが好ましい。
【0083】
本発明の光拡散シートは、各種フィラーを含むことができる。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、及び二酸化ケイ素である。
二酸化ケイ素は粉砕法、粉砕溶融法、沈降法、気相法等各種製法で製造されたものが使用できる。上記フィラーを含有させることで、光拡散性能を更に高めることができる。
二酸化チタンは、ルチル結晶構造、アナターゼ結晶構造、およびそれらの各種表面処理されたものが使用できる。上記フィラーを含有させることで光拡散フィルムの全光線透過率を調整することができる。
【0084】
本発明の光拡散シ−トは、着色剤により着色することができる。着色剤は特に制限されるものではないが、長期間使用可能な耐候性、耐久性のある着色剤が好ましく、具体的には、THE SOCIETY OF DYERS AND COLOURISTS社出版による、COLOUR INDEX 3RD EDITION(Second Revision)(1982)及びSUPPLEMENT(1982)に掲載されている着色剤から選ぶことができる。
【0085】
以下に示す着色剤名は同書規定のCOLOUR INDEX GENERIC NAMEによる。例えば、Y−1はC.I.PIGMENT YELLOW1を意味し、またOは橙色(ORANGE)、Rは赤色(RED)、Vは紫色(VIOLET)、Bは青色(BLUE)、Cは緑色(GREEN)、Brは茶色(BROWN)、Bkは黒色(BLACk)、Wは白色(WHITE)を表している。
【0086】
上記着色剤の色としては、黄色、橙色、赤色、紫色、青色、緑色、茶色、黒色及び白色等いずれの色調のものでも用いることができる。以下、それぞれの好ましい着色剤を具体的に例示する。上記黄色系の好ましい着色剤としては、例えば、アゾ系、縮合多環系、金属錯塩系、無機系の顔料を挙げることができる。
【0087】
アゾ系の好ましい顔料としては、例えば、不溶性モノアゾ顔料(Y−97、Y−116、Y−120、 Y−151、Y−154)、ジスアゾ顔料(Y−81、Y−83、Y−155)、縮合アゾ顔料(Y−93、Y−94、Y−95、Y−128)を挙げることができ、また、縮合多環系の好ましい顔料としては、例えば、アントラキノン顔料(Y−24、Y−108、Y−147、Y−123、Y−99)、イソインドリノン顔料(Y−109、Y−110、 Y−173)、イソインドリン顔料(Y−139)、キノフタロン顔料(Y−138)を挙げることができ、また、金属錯塩系の好ましい顔料としては、例えば、同アゾメチン顔料(Y−117、 Y−129)、ニッケルニトロソ顔料(Y−153)、ニッケルアゾ顔料(G−10)を挙げることができる。更に、無機系の好ましい顔料としては、例えば、酸化鉄イエロ−(Y−42)、チタン−アンチモン−ニッケル酸化物(Y−53)等を挙げることができる。
【0088】
また、橙色系の好ましい顔料としては、例えば、アゾ系、縮合多環系顔料を挙げることができる。アゾ系の好ましい顔料としては、例えば、不溶性モノアゾ系顔料(O−36、O−5、O−38、O−60、 O−62)、ジスアゾ系顔料(O−34)、縮合アゾ系顔料(O−31)を挙げることができ、また、縮合多環系の好ましい顔料としては、例えば、ペリレン系顔料(O−43)、アントラキノン系顔料(O−40、O−51)、イソインドリノン系顔料(O−42)、キナクリドン系顔料(O−48、O−49)を挙げることができる。
【0089】
また、赤色系の好ましい顔料としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料、無機系顔料を挙げることができる。
【0090】
アゾ系の好ましい顔料としては、例えば、不溶性モノアゾ系顔料(R−2、R−6、R−7、R−9、 R−10、R−12、R−14、R−112、R−146、R−147、R−170、R−171、R−175、R−185、 R−187、R−188、R−208)、アゾレ−キ系顔料(R−52:2、R−115、R−151、R−243)、縮合アゾ系顔料(R−144、R−166、R−214、R−220、R−221、R−242)、ジスアゾ系顔料(R−38、R−37)を挙げることができる。
【0091】
また、縮合多環系の好ましい顔料としては、例えば、アントラキノン系顔料(R−168、R−177、R−216)、チオインジゴ系顔料(R−88)、ペリノン系顔料(R−194)、ペリレン系顔料(R−123、 R−149、R−178、R−179、R−190、R−224)、キナクリドン系顔料(V−19、R−122、R−202、 R−207、R−209、R−206)を挙げることができる。
【0092】
更に、新しい顔料としてジケトピロロピロ−ル系顔料(チバガイギ−製イルガジンDPPレッドBO)を挙げることができ、また、無機系の好ましい顔料としては、ベンガラ(赤色酸化鉄R−101)、亜鉛・鉄酸化物(R−225)等を挙げることができる。
【0093】
また、紫色系の好ましい顔料としては、例えば、アゾ系顔料、縮合多環系顔料、無機系顔料を挙げることができる。
【0094】
アゾ系の好ましい顔料としては、例えば、モノアゾ系顔料(V−50)等を挙げることができ、縮合多環系の好ましい顔料としては、例えば、ペリレン系顔料(V−29)、アントラキノン系顔料(V−31、 V−33)、チオインジゴ系顔料(V−38、V−36)、キナクリドン系顔料(V−19)、ジオキサジン系顔料(V−23、 V−37)を挙げることができ、また、無機系の好ましい顔料としては、例えば、リン酸コバルト系(V−14:1)、フェロライトバイオレット顔料(V−18)、コバルト・リチウム・バナジウムフォスフェ− ト顔料(V−47)等を挙げることができる。
【0095】
また、青色系の好ましい顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、無機系顔料を挙げることができる。
【0096】
フタロシアニン系の好ましい顔料としては、例えば、α型銅フタロシアニン系顔料(B−15:1、 B−15:2)、β型銅フタロシアニン系顔料(B−15:3、B−15:4)ε型フタロシアニン系顔料( B− 15:6)、無金属フタロシアニン系顔料(B−16)を挙げることができ、また、縮合多環系の好ましい顔料としては、例えば、インダトロン系顔料(B−60、B−21、B−22、B−64)を挙げることができる。
【0097】
また、無機系の好ましい顔料としては、例えば、紺色(B−27)、群青(B−29)、コバルト−アルミニウム酸化物系顔料(B−28)、コバルト−クロム−アルミニウム酸化物系顔料(B−3等を挙げることができる。
【0098】
また、緑色系の好ましい顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、縮合多環状系顔料、無機系顔料を挙げることができる。
【0099】
フタロシアニン系の好ましい顔料としては、例えば、中塩素化銅フタロシアニン系顔料(G−37)、高塩臭化銅フタロシアニン系顔料(G−7)、高塩臭素化銅フタロシアニン系顔料(G−36)等を挙げることができ、縮合多環系の好ましい顔料としては、例えば、ビオラントロングリ−ン(G−47)を挙げることができ、無機系の好ましい顔料としては、例えば、酸化クロム系顔料(G−17)、コバルト−チタン−ニッケル−亜鉛酸化物系顔料(G−9)、コバルト−チタン系顔料(G−50)等を挙げることができる。
【0100】
また、茶色系の好ましい顔料としては、アゾ系顔料、縮合多環系顔料、無機系顔料を挙げることができる。
【0101】
アゾ系の好ましい顔料としては、例えば、モノアゾ系顔料(Br−25、Br−32)、金属錯塩アゾ系顔料(Br−5、Br−2)、縮合アゾ系顔料(Br−23)を挙げることができ、縮合多環系の好ましい顔料としては、例えば、アントラキノン系顔料(Br−28)、ペリレン系顔料(Br−26)を挙げることができる。
【0102】
無機系の好ましい顔料としては、例えば、酸化鉄系顔料(Br−6)、鉄−クロム酸化物系顔料(BR−29)、亜鉛−鉄酸化物系顔料(Br−31)を挙げることができる。また、黒色系の好ましい顔料としては、有機系顔料、無機系顔料があり、有機系の好ましい顔料としては、例えば、アニリンブラック(Bk−1)、ペリレンブラック(Bk−31)等を挙げることができ、
【0103】
また、無機系の好ましい顔料としては、例えば、カ−ボンブラック(Bk−31)、 カ−ボンブラック(Bk−7)、カ−ボンブラック(Bk−9)、鉄黒(Bk−11)、コバルト酸化物系顔料(Bk−13)等を挙げることができる。
【0104】
また、白色系の好ましい顔料としては、無機系の顔料が好ましく、例えば、亜鉛華(W−4)、硫化亜鉛(W−7)、二酸化チタン(W−6)、炭酸カルシウム(W−18)、クレ−(W−19)、硫酸バリウム(W−21)、アルミナホワイト(W−24)、シリカ(W−27)、白雲母(W−20)、タンク(W−26)等を挙げることができる。
【0105】
その他、特に好ましい顔料としては、例えば、パ−ル顔料として知られる二酸化チタン被覆雲母等を挙げることができ、その粒径が2〜200μmのものが好 ましく、更に好ましくは4〜150μm、特に好ましくは5〜100μmである。また、耐候性の点から被覆層の酸化チタンはルチル型であることが好ましい。
【0106】
更に、酸化鉄等の着色剤で着色されていてもよく、干渉色を示すものであってもよく、シルバ−調、ミルク調のものであってもよい。
【0107】
市販品としては、メルク製、イリオジンマール製、ハイライト等がある。また、上記着色樹脂層は、上記顔料の他、その透明性、耐候性に影響のない範囲で、マイカ、アルミ粉を含有させることができる。
【0108】
着色剤として、樹脂に顔料が分散された形で市販されているカラーベースを用いることは
好ましい態様である。ポリエステル可塑剤系カラーベース、アクリル樹脂系カラーベース、酢酸ビニル樹脂系カラーベース、セルロース樹脂系カラーベース等が使用可能である。
【0109】
本発明の光拡散シートは、光源と組み合わせて、照明装置として使用可能である。具体的には、照明カバーを用いた照明器具、光柱や光壁等の照明看板や電飾看板や内照標識等の内照表示装置、遊技機、及び自動販売機等に用いられる内照表示装置、透過型投影機等のスクリーンに用いられる光拡散シートに用いられることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0110】
以下、実施例、及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0111】
実施例1
以下の原料を、プライミクス(株)製T.K.ホモディスパーを用い、2000rpm×30分間撹拌して均一なオルガノゾル
を得た。
透明樹脂:ヴイテック(株)社製ペースト塩化ビニル樹脂 P−540(屈折率1.539)
100重量部
可塑剤:大日精化(株)製ポリエステル可塑剤ファインサイザーNS−5701
31重量部
改質剤:日本カーバイド工業(株)製溶液型アクリル樹脂MM075A−1 30重量部
熱安定剤:勝田化工(株)製オクチル錫メルカプタイド TM−188J 1重量部
安定助剤:アデカ(株)製アデカスタブ1500
0.5重量部
光安定剤:ビーエーエスエフジャパン(株)製ユビナール3039 4重量部
溶剤:エクソンモービル有限会社ソルベッソ100 50重量部
光拡散剤:日本触媒(株)製 エポスターS12(屈折率1.66) 18重量部
得られたオルガノゾルを、テスター産業(株)製マイクロメーター付アプリケーターを用いて、表面に凹凸が付いたリンテック(株)製サンド処理PET LSM100Xフィルム上の凹凸面に塗布し、エスペック(株)製オーブン80゜Cで2分間溶剤を揮発させ、東洋精機(株)製ギヤオーブン200゜Cで1分間キュアし、PETフィルムから剥離し、厚み50μmのシートを作製した。
【0112】
実施例2
厚みを22μmにした以外は実施例1と同様にシートを作製した。
【0113】
実施例3
厚みを25μmにした以外は実施例1と同様にシートを作製した。
【0114】
実施例4
厚みを100μmにした以外は実施例1と同様にシートを作製した。
【0115】
実施例5
厚みを205μmにした以外は実施例1と同様にシートを作製した。
【0116】
実施例6
キャリアシートとしてリンテック(株)製サンド処理PETLSM100Xフィルムの代わりに、表面が平滑な帝人デュポンポリエステルフィルム(株)製テトロンフィルムG2Zを用いた以外は実施例1と同様にシートを作製した。
【0117】
実施例7
光拡散剤として、日本触媒(株)製 エポスターS12 の代わりに、日産化学工業(株)製オプトビーズ2000M(屈折率1.65)を用いた以外は実施例1と同様にシートを作製した。
【0118】
実施例8
光安定剤としてビーエーエスエフジャパン(株)製ユビナール3039を0.5重量部使用した以外は実施例1と同様にシートを作製した。
【0119】
実施例9
溶剤としてエクソンモービル有限会社ソルベッソ100を用いない以外は実施例1と同一の原材料を用い、撹拌後、押出し法にてシートを作製した。樹脂が溶融状態でリンテック(株)製サンド処理PET LSM100Xフィルム上の凹凸面に流涎し、常温で固化させた。実施例9で得られたシートを光学顕微鏡にて表面状態を確認したところ、シートの表面に露出している光拡散剤が10数個観察された。
【0120】
実施例10
ヴイテック(株)社製ペースト塩化ビニル樹脂 P−540、及び日本カーバイド工業(株)製溶液型アクリル樹脂MM075A−1の代わりに、イーストマンケミカル社製ポリエチレンテレフタレート 商品名 GS2 を用いた以外は、実施例9と同様にして、押出し法にてシートを製膜した。キャリアシートを用いず製膜した。
【0121】
実施例11
MMA/BA=63/37のアクリル樹脂(屈折率1.48、日本カーバイド工業株式会社製)85重量部、セルロース樹脂(屈折率1.48、イーストマンケミカル製
商品名CAB−381−20)10重量部、ポリエステル−ウレタン樹脂(株式会社クラレ 商品名クラミロンU8765)5重量部、日本触媒(株)製 エポスターS12 18重量部、アデカ(株)製アデカスタブ1500 0.5重量部、ビーエーエスエフジャパン(株)製ユビナール3039 4重量部を溶剤テトラヒドロフラン614重量部とともにオートクレーブに入れ加熱し、溶解させ、固形分14%樹脂溶液(樹脂溶液1)を作った。この樹脂溶液1をPETフィルム(リンテック(株)製サンド処理PETLSM100Xフィルム)に塗布し、60℃にて1分間、続けて120℃にて2分間乾燥させ、厚み約40μmの光拡散シートを形成し、PETフィルムから剥離し、光拡散シートを得た。
【0122】
実施例12
大日精化(株)製ウレタン樹脂溶液レザロイドLU−4213 555.6(固形分100重量部)重量部、日本触媒(株)製 エポスターS12 18重量部、アデカ(株)製アデカスタブ1500 0.5重量部、ビーエーエスエフジャパン(株)製ユビナール3039 4重量部をプライミクス(株)製T.K.ホモディスパーを用い均一な塗工液を得た。この樹脂溶液をPETフィルム(リンテック(株)製サンド処理PET LSM100Xフィルム)に塗布し、60℃にて1分間、続けて120℃にて2分間乾燥させ、厚み約50μm光拡散シートを形成し、PETフィルムから剥離し、光拡散シートを得た。
【0123】
実施例13
富士フィルムイメージング株式会社製 フジカラーライトボックス8WAAA(蛍光ランプFL8N−EDL1本)を用い、このライトボックスの照明面の乳白アクリル板(W286×D237×T2mm)に換えて、厚さ2mmの透明アクリル板の照明面側に実施例1の光拡散シートを貼ったものを取り付けて内照表示装置とした。
アクリル板の表面に、予め溶剤型インクジェットプリンタ Roland VersaCamm
VP−540i を用い、エコソルマックスインクを用いて赤色の「止まれ」の文字を180ポイントで印刷したハイエスカル5080(透明粘着フィルム)を貼り付けた。
光源の形は認識できず、止まれの文字もはっきり見えた。
【0124】
比較例1
光拡散剤を添加せずに実施例1と同様にシートを作製した。
【0125】
比較例2
光拡散剤として、大日精化工業(株)製の酸化チタン分散顔料070−3を6重量部添加して用いた以外は実施例1と同様にシートを作成した。
【0126】
比較例3
安定剤である、勝田化工(株)製オクチル錫メルカプタイド TM−188J、アデカ(株)製アデカスタブ1500、及びビーエーエスエフジャパン(株)製ユビナール3039を添加しない以外は実施例1と同様にシートを作成した。
【0127】
得られたシートを以下の項目に従って評価した。結果を表1に示した。
【0128】
(1)全光線透過率および平行光線透過率
シートを日本電色工業(株) Haze Meter NDH2000 (D65)で測定した。
【0129】
(2)光拡散性
エーピー・ジャパン(株)製の白色LED照明モジュール100V−NSPWを光源とし、200ミリメートル×300ミリメートルのフィルムを、光源から5cm離して設置し、目視で観察した。
目視により光源形状を十分に隠蔽しかつ十分な光透過性を持つ場合を「良」、
光源形状の隠蔽が不十分ながら十分な光透過性を持つ場合を「やや良」、
光源形状を十分に隠蔽するが、光透過性に劣る場合を「可」、
光源形状の隠蔽が不足し、かつ光透過性に劣る場合を「不可」とした。

【0130】
(3)安定性
アクリル酸エステル系粘着剤PE−121(日本カ−バイド工業(株)製) 100重量部に対し、架橋剤CK−101(日本カ−バイド工業(株)製) 2.5重量部、酢酸エチル25重量部を混合して粘着剤溶液を作製し、200μm間隙の塗料アプリケーターで剥離紙に塗工、加熱乾燥後、光拡散シートをラミネートして粘着剤層を設置した。得られた粘着剤付き光拡散シートを1mm厚アルミ板に貼り付けて安定性評価用シートとした。
スガ試験機(株)製サンシャインウェザーメーターを用い、JIS K7350−4 プラスチック−実験室光源による暴露試験方法−第4部:オープンフレームカーボンアークランプに従い、安定性評価用シートをブラックパネル温度63゜C、ガラスフィルターI型により曝露して2000時間後のシートの外観を確認した。
シートの外観で、クラックや割れ、または変色がある場合を「不可」とした。
【0131】
(4)光拡散剤の平均粒径
日機装株式会社製粒度分布測定装置MT3000シリーズを用いてレーザー回折散乱法を用いて計測した。日本触媒(株)製エポスターS12および日産化学工業(株)製オプトビーズ2000Mの平均粒径は、それぞれ1.8μm、2.3μmであった。
【0132】
(5)光拡散シート表面状態
光拡散シートの断面を、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製 BX51) にて観察し、光拡散シートの表面状態を確認した。各サンプル5点を観察したところ、実施例9を除くいずれのサンプルも光拡散シート表面から光拡散剤が露出していなかった。
【0133】
(6)粘着剤層付き光拡散シートの光拡散性能
実施例1で作製した光拡散シートに、(3)安定性 評価で用いた方法と同様にして粘着剤層を設置した。得られた粘着剤層付き200ミリメートル×300ミリメートルのシートを、イソプロパノールで脱脂洗浄した厚み
2mmのガラス板に貼り付けた。エーピー・ジャパン(株)製の白色LED照明モジュール100V−NSPWを光源とし、光拡散シート設置面が対向するように光源から5cm離して設置し、目視で観察した。
ムラが見られなかった。また、光源の形状及び輪郭が確認できず、隠蔽性能が高かった。比較例1で作製した光拡散シートを、粘着剤層を設置し同様に評価したところ、光が拡散せず、光源はその輪郭も含め目視にて明瞭に確認できた。
【0134】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0135】
内側からの光を用いて情報を表示する内部照明式表示装置(内照表示装置ともいう)や、自然光を拡散する光拡散シートに用いられるもので、具体的には、照明カバーを用いた照明器具、光柱や光壁等の照明看板や電飾看板や内照標識等の内照表示装置、遊技機、及び自動販売機等に用いられる内照表示装置や、透過型投影機等のスクリーン、自然光を拡散するパネルや窓や採光板やアーケード等に用いられる光拡散シートを提供できる。


【符号の説明】
【0136】
1 ・・・ 光拡散シート
2 ・・・ 光拡散剤
3 ・・・ 透明樹脂
4 ・・・ 粘着剤層
11 ・・・ 第一面
12 ・・・ 第二面
21 ・・・ 光源からの光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも透明樹脂と、架橋メラミン樹脂を含む球状体である光拡散剤と、安定剤とを含む光拡散シートであって、該光拡散シートが第一面及び第二面を有し、光源からの光は第一面又は第二面から入光し、該第一面または該第二面から均一に拡散し、他方の面から出光することを特徴とする光拡散シート。

【請求項2】
該光拡散剤がシリカを含むことを特徴とする請求項1に記載の光拡散シート。

【請求項3】
該第一面及び該第二面の少なくとも一方に、凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の光拡散シート。

【請求項4】
該光拡散剤が該光拡散シートの該第一面及び該第二面に露出していないことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光拡散シート。

【請求項5】
該光拡散シートの全光線透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光拡散シート。

【請求項6】
該光拡散シートの平行光線透過率が2%以下であることを特徴とする請求項5記載の光拡散シート。

【請求項7】
該光拡散シートの厚みが25〜200μmであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光拡散シート。

【請求項8】
該透明樹脂が少なくともアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、及びウレタン樹脂のいずれかを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の光拡散シート。

【請求項9】
該透明樹脂が塩化ビニル樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の光拡散シート。

【請求項10】
該光拡散シートがキャスト法で製膜されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光拡散シート。

【請求項11】
該光拡散シートが着色されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光拡散シート。

【請求項12】
該第一面及び該第二面の少なくとも一方に光透過性の粘着剤層が積層されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の光拡散シート

【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光拡散シートを用いた照明装置。

【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光拡散シート上に、光透過性着色フィルムを積層したことを特徴とする内部照明式表示装置。

【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の光拡散シート上に、インクジェットプリンターで印刷したことを特徴とする内部照明式表示装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−175227(P2011−175227A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126825(P2010−126825)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【Fターム(参考)】