説明

光拡散フィルム、面光源装置及び液晶表示装置

本発明による光拡散フィルム1は、透明基材11と、透明基材11上に設けられ少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、かつ、表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状17を有する光拡散層15とを備えている。前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選択された、いずれか1つ又は複数からなる。前記光拡散層15は光拡散機能を有するフィラーを含まず、かつ、表面の微細な凹凸形状17がDPS法で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収機能を有する光拡散フィルムに関し、さらに詳しくは、液晶ディスプレイなどの面光源装置に用いられる光拡散フィルム、及びこれを用いた面光源装置並びに該面光源装置を用いた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(技術の背景)パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、液晶テレビジョンなどの液晶表示装置は、液晶自体が発光しないので、面光源装置(バックライトともいう)で裏側から照明する。該面光源装置は液晶画面の全体を均一に照射させるため、導光板を用いるエッジライト方式と、蛍光管を並べた直下型方式がある。エッジライト方式は、線状光源からの光を導光板の側端面より入射させて、導光板裏面の光散乱パターンによって導光板表面から放出される面状発光に変換させる。直下型方式は、液晶表示装置の直下に複数の線状光源を並べて面状に光らせる。このような面光源装置には、入射した光源からの光を、光出射面から出射させ、さらに、光を拡散、集光させ、照射面の輝度を均一にするために、光拡散フィルム、レンズフィルム、保護光拡散フィルムなどが設けられている。
近年、液晶表示装置は画面面積が大型化されて、テレビジョン(TV)用などに用いられてきている。従来の小型画面では、大きな問題とならなかった表示画像の輝度であるが、TVは比較的明るい部屋で、かつ多人数でみるために、広い視野角や高輝度が必要である。このために、TV用の液晶表示装置の面光源装置に用いる光源としては、出力の大きい複数の蛍光燈を用いた直下型方式が主として用いられる。
しかしながら、この光源は出力を増加させると、可視光線の輻射とともに、不要な紫外線の輻射も増加する。その為、該紫外線によって、面光源装置内の光拡散フィルム、レンズフィルム、偏光フィルムなどの光学部材が劣化し、着色したり、ヒビ割れしたりしてしまう。勿論、レンズフィルム、偏光フィルム等に紫外線吸収剤を添加する対策も考えられる。しかし、偏光フィルム、レンズフィルム等の光学フィルムは所望の偏光特性、屈折率等の光学的パラメータを得る必要が有る。その為、紫外線吸収剤の様な不純物を添加することは問題が有り、難しかった。更に通常光学フィルムに使われるアクリル樹脂等の樹脂中に紫外線吸収剤を添加した場合、経時的に紫外線吸収剤がブリード(滲出)し、紫外線吸収剤が低下したり、ブリードした紫外線吸収剤が結晶化して、白濁する等の問題もあった。
【0003】
(先行技術)従来、エッジライト方式の面光源装置に於いて使用する光拡散フィルムとしては、光拡散層又は基材自身へ紫外線吸収剤を含有したものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかしながら、いずれの公報も、エッジライト方式光源を主体とする面光源装置であり、単に添加剤的に入れてもよいと記載されているのみで、本発明のように、特定の紫外線吸収剤の効果に注目して、直下型方式の強い紫外線を放つ光源を持つ面光源装置へ適用する光拡散フィルムについては、記載も示唆もされていない。
また、特許文献2は、偏光分離シートとの密着防止用のマットフィルムに関する、本発明者らの出願によるものであり、本願の直下に強力な光源を有する大型TV用のバックライト用の光拡散フィルムについては、記載も示唆もされていない。
【0004】
【特許文献1】特開2001−21706号公報
【特許文献2】特開2001−42108号公報
【特許文献3】特開2003−50306号公報
【発明の開示】
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、高輝度ではあるが、可視光線と共に紫外線の出力も強力な面光源装置を、TV用の液晶表示装置などに使用して、強力な紫外線の照射を受けても、着色しにくく透明性が高く、長期間にわたって光学特性を維持でき、表示画像に優れ、環境信頼性が高いと共に、レンズフィルムの屈折率(集光性)、偏光フィルムの偏光特性には影響せず、更に、紫外線吸収剤のブリードも生じ難い液晶表示装置を実現し得る、光拡散フィルム、面光源装置及び液晶表示装置を提供することである。
【0006】
本発明は、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面に、直接または他の層を介して設けられた光拡散層とを備え、光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする光拡散フィルムである。
【0007】
本発明は、光拡散層は透明基材の両方の面に設けられ、各光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、各光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする光拡散フィルムである。
【0008】
本発明は、光拡散層は透明基材の少なくとも一方の面にプライマ層を介して設けられていることを特徴とする光拡散フィルムである。
【0009】
本発明は、紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選択された、いずれか1つ又は複数からなることを特徴とする光拡散フィルムである。
【0010】
本発明は、紫外線吸収剤が、更にヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を含むことを特徴とする光拡散フィルムである。
【0011】
本発明は、平行に並んだ12本の冷陰極線管からなる光源を含む直下型面光源部を有する21型(21インチ)面光源装置へ組込まれた場合、組込み直後と各光源の点燈5000時間後に測定した、面光源装置の画面中央部のJIS−Z−8729に準拠するL*,a*,b*表色系における色相変化(b*)が2.0以下であることを特徴とする光拡散フィルムである。
【0012】
本発明は、平行に配列された複数の光源と、この光源を囲むとともに出光側に開口部を有し内面に光反射面が形成された反射板とを含む直下型面光源部と、直下型面光源部の出光側に配置された光拡散フィルムと、光拡散フィルムの出光側に配置されたレンズフィルムとを備え、光拡散フィルムは、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面に、直接または他の層を介して設けられた光拡散層とを備え、光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする面光源装置である。
【0013】
本発明は、光拡散層は透明基材の両方の面に設けられ、各光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、各光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする面光源装置である。
【0014】
本発明は、紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選択された、いずれか1つ又は複数からなることを特徴とする面光源装置である。
【0015】
本発明は、紫外線吸収剤が、更にヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を含むことを特徴とする面光源装置である。
【0016】
本発明は、光拡散層は透明基材の少なくとも一方の面にプライマ層を介して設けられていることを特徴とする面光源装置である。
【0017】
本発明は、直下型面光源部は光源として平行に配列された12本の冷陰極線管を含み、面光源装置は21型(21インチ)形状となっており、光拡散フィルムを面光源装置に組込んだ直後と各光源の点燈5000時間後に測定した、面光源装置の画面中央部のJIS−Z−8729に準拠するL*,a*,b*表色系における色相変化(b*)が2.0以下であることを特徴とする面光源装置である。
【0018】
本発明は、面光源装置と、面光源装置の出光側に配置された液晶表示パネルとを備えた液晶表示装置において、面光源装置は、平行に配列された複数の光源と、この光源を囲むとともに出光側に開口部を有し内面に光反射面が形成された反射板とを含む直下型面光源部と、直下型面光源部の出光側に配置された光拡散フィルムと、光拡散フィルムの出光側に配置されたレンズフィルムとを備え、光拡散フィルムは、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面に、直接または他の層を介して設けられた光拡散層とを備え、光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする液晶表示装置である。
【0019】
本発明によれば、着色しにくく透明性が高く、長期間にわたって光学特性を維持でき、表示画像に優れ、環境信頼性の高い光拡散フィルムが提供される。
本発明によれば、複数光源を持つ直下型方式のTV用などの大型画面でも、着色しにくく透明性が高く、長期間にわたって光学特性を維持できる面光源装置が提供される。
本発明によれば、比較的明るい部屋で、多人数でみることのできる、高輝度なTV用などの液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による面光源装置、及び液晶表示装置を示す図。
【図2】本発明による光拡散フィルムの断面図。
【図3】本発明による光拡散フィルムの製造工程を示す図。
【図4】本発明による光拡散フィルムの製造装置を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(基本の物)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による面光源装置および液晶表示装置を示し、図2は、本発明による光拡散フィルムを示す。
図1および図2に示すように、液晶表示装置60は面光源装置50と、この面光源装置50の出光側に配置された液晶表示パネル30とを備えている。
このうち面光源装置50は冷陰極線管等からなり平行に配列された複数の光源21と、この光源21の下側(液晶表示パネルと反対側)および側面を囲むとともに出光側(液晶表示パネル側)に開口部27bを有する反射板27と、反射板27の出光側(開口部27b側)に配置された光拡散フィルム1と、光拡散フィルム1の出光側の配置にされたレンズフィルム40と、レンズフィルム40の出光側に必要に応じて配置された保護光拡散フィルム1Bとを備えている。
また、複数の光源21と、反射板27とによって直下型面光源部21aが構成される。
直下型面光源部21aのうち、反射板27の内面には光反射面27aが形成され、この光反射面27aによって光源21から下側および側面に向う光を開口部27b側へ戻すようになっている。そして反射板27の開口部27bから光源21からの光の全部を液晶表示パネル30側に向かって出光するようになっている。
【0022】
液晶表示パネル30は面光源装置50の出光側に設けられ、下基板35と、上基板33と、下基板35と上基板33とに挟まれた液晶層31とを有している。また、面光源装置50は、液晶表示パネル30を裏面から照明するバックライトとなっている。
【0023】
本発明の光拡散フィルム1は、図2にその実施形態を図示するように、透明基材11と、透明基材11両方の面に、プライマ層13を介して設けられた光拡散層15とを有し、該光拡散層15は表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状17を有している。また、光拡散層15は、電離放射線硬化性樹脂組成物と、この電離放射線硬化性樹脂組成物に含有された紫外線吸収剤とを有し、電離放射線を照射することにより硬化させた硬化物されている。なお、図2において、透明基材11の両面に光拡散層15が設けられているが、透明基材11の片面のみに光拡散層15を設けてもよい。透明基材11の両面に光拡散層15を設けた構成の場合、光拡散層15が片面のみに設けられた場合に比べて光拡散層15の厚みを増やし、紫外線吸収性能を強化した場合でも、透明基材11と光拡散層15の膨潤収縮率差による反りやタルミを生じ難い。又、図2においては透明基材11と光拡散層15との間にプライマ層13が介在しているが、基材11と光拡散層15とが直接十分な強度で接着する場合は、プライマ層13は省略し得る。更に、本発明の光拡散フィルム1は、実質光拡散性剤を含まず、光拡散層15の表面の凹凸形状による光拡散作用を利用している。よって、光拡散層の中に紫外線吸収剤を添加しても、光拡散性能に影響を与えることはない。
【0024】
(透明基材)透明基材11の材料としては、使用条件や製造に耐える透明性、絶縁性、耐熱性、機械的強度などがあれば、透明樹脂などの種々の材料が適用できる。透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカ−ボネ−トなどの樹脂からなるシート、フィルム、板などが適用できる。
【0025】
該透明樹脂から成る透明基材11は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。該透明基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該透明基材の厚さは、該透明樹脂から成る透明基材の場合は、通常、12〜1000μm程度が適用できるが、50〜700μmが好適で、100〜500μmが最適である。これ以下の厚さでは、機械的強度が不足して反りやたるみ、破斷などが発生し、これ以上では、過剰な性能となってコスト的にも無駄である。
【0026】
通常、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルムが透明性、耐熱性がよくコストも安いので好適に使用され、割れ難いこと、軽量で成形が容易なこと等の点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートが最適である。また、透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光線透過率で80%以上である。
【0027】
該透明基材表面は、光拡散層形成に先立って光拡散層形成面へ、易接着処理を施しても良い。易接着処理としては、プライマ(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)の塗布処理が代表的であるが、其他、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等が挙げられる。透明基材に必要に応じて、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。必要であれば透明基材中にも紫外線吸収剤を加えることも出来る。
図2において、透明基材フィルム11の両面にプライマ層13を設けた例を示す。
【0028】
(光拡散層)光拡散層15は表面に微細な凹凸形状17を有し適度な光拡散性を発揮し、また、光拡散層15は、公知の電離放射線硬化性樹脂組成物へ紫外線吸収剤を溶解又は分散させて電離放射線を照射して硬化させた硬化物からなる。又基本的にはシリカ粒子、樹脂ビーズ等の光拡散剤は含まない。
(電離放射線硬化性樹脂組成物) 電離放射線硬化性樹脂組成物としては、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート(以下、本明細書ではアクリレートとメタアクリレートとを(メタ)アクリレートと記載する)などの単量体、或いはオリゴマー(又はプレポリマー)、及び光重合開始剤や光増感剤などからなる公知のものが適用できる。
尚、電離放射線として電子線を用いる場合は、光重合開始剤や光増感剤は不要である。
該電離放射線硬化性樹脂組成物へ紫外線吸収剤を溶解又は分散させて、微細な凹凸17を賦型しながら、電離放射線を照射して硬化させる。
【0029】
上記単量体、オリゴマー(又はプレポリマー)は、3官能以上のものを少なくとも1種以上含有させ、3次元的に分子が架橋反応した硬化物を形成する様にすることが好ましい。此の様にすることにょって、紫外線吸収剤の経時的なブリード(滲出し)を防止することが出来ると共に、光拡散層の耐擦傷性も向上する。3官能以上の単量体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が、又3官能以上のプレポリマーとしては、3官能以上のポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
又、単官等単量体としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。官能単量体としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記光重合開始剤としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類などがあり、光増感剤としてはn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルホスフィンなどがあり、混合して使用する。
【0030】
以上のような材料を用いて光拡散層15を形成する。上記電離放射線硬化性樹脂組成物へ紫外線吸収剤を含有させ、硬化したもので、該紫外線吸収剤の紫外線吸収性によって耐紫外線性が付与されている。該耐紫外線性によって、紫外線の照射を受けても、着色しにくく透明性が高く、長期間にわたって光学特性を維持でき、表示画像に優れ、環境信頼性も高い。
又特に単量体、プレポリマー等が3次元的に架橋した高分子構造をなす電離放射線硬化樹脂中に、紫外線吸収剤を添加する場合は、高分子の3次元架橋構造により紫外線吸収剤のブリードの無い良好なものが得られる。
【0031】
着色による色相変化は、JIS−Z−8729に準拠したL*,a*,b*表色系における色相b*(bスター値)で表す。12本の冷陰極線管を平行に並べた光源を持つ21型(対角線長21インチ)面光源装置へ、本発明の光拡散フィルムを組み込んで、組込み直後と点燈5000時間後に測定した、面光源装置の画面中央部の色相変化(b*)は2.0以下、好ましくは1.0以下である。この範囲を超えると着色が大きく、透明性及び色純度に影響がでる。色相変化(b*)が2.0以下であると影響が少なく、また、1.0以下であれば、実用上の色相変化は認められない。b*の紫外線吸収剤による相関については、実施例中で詳細に説明する。
【0032】
(紫外線吸収剤)紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではなく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤などが適用できる。該紫外線吸収剤を用いることで、光拡散層の着色を防止する効果がある。通常、好ましくは、紫外線吸収剤に加えて、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を添加する。尚、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤は、実質紫外線吸収効果は無いが、これを添加した樹脂が紫外線により劣化する反応を阻害する作用を有する。従って、光拡散層15中にヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤のみを添加した場合でも、光拡散フィルム自体が面光源の出力光により着色等の劣化を起こすことを防止出来る。但し、光拡散フィルム1上に載置されるレンズフィルム40等の他の部材の紫外線劣化を防ぐ能力に欠ける。その為、光拡散フィルム1それ自体の紫外線劣化を防ぐことに加えて、更にその上に載置される他の部材の紫外線劣化も防止する為には光拡散層15には紫外線吸収剤添加は必須となる。
【0033】
ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4 −ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物がある。
【0034】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどがある。
好ましくは2−(5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾールである。
【0035】
サリシレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどがある。
【0036】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などがある。
【0037】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどがある。
【0038】
トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジンなどのがある。
【0039】
汎用性、取扱い性、コスト、紫外線吸収特性などの点で、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。更に、これら紫外線吸収剤とヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤とを併用する光拡散層15への耐紫外線性付与の点で、より好ましい。上記の紫外線吸収剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.05〜3質量部が用いられる。この範囲未満では紫外線吸収性が小さく耐紫外線性が不足し、この範囲を超えると相溶性が悪く、混濁状態となり透明性が低下し、高コストとなってしまう。この範囲から用途によって適宜選択して使用すればよい。尚、電離放射線に紫外線を選択する場合、紫外線吸収剤によって、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる為の紫外線が吸収される事を極力防ぐ必要がある。その為には、添加する紫外線吸収剤の吸収波長域が硬化に必要な紫外線の波長域の全域と重なることが無い様に紫外線吸収剤及び電離放射線硬化性樹脂との組合せを選ぶことが好ましい。
【0040】
(製造方法)次に、本発明の光拡散フィルムの製造方法について説明する。
図3は、本発明の1実施例を示す製造方法の工程図である。
図4は、本発明の1実施例を示す光拡散フィルムの製造装置の一部の模式的な断面図である。
【0041】
本発明の光拡散フィルムは、図3に示すような、特許第3233669号公報、米国特許第4576850号公報等で公知の方法(当業者が所謂DPS法(ドラムプリンティングシステム)と呼ぶ)である。(a)充填工程201、(b)接触工程202、(c)硬化工程203、(d)密着工程204、(e)剥離工程205とから構成されている。
(a)充填工程201は、光拡散性のある微細エンボス形状の型が形成されたロール凹版101を回転させ、そのロール凹版101の少なくとも凹部112に電離放射線硬化性樹脂液113を充填する工程である。(b)接触工程202は、充填工程201でロール凹版101に充填された電離放射線硬化性樹脂液113に対して、ロール凹版101の回転方向に同期して走向する透明基材11を接触させる工程である。(c)硬化工程203は、接触工程202で透明基材11がロール凹版101に接触している間に、ロール凹版101と透明基材11間にある電離放射線硬化性樹脂液113に、硬化装置117aからの電離放射線を照射して硬化させる工程である。又、此の硬化工程203に於いて、ロール凹版の凹部112の微細な凹凸形状により硬化物113aの賦形が完了する。(d)密着工程204は、硬化工程203で硬化する電離放射線硬化性樹脂液113と透明基材11とを密着させる工程である。なお、硬化工程203と密着工程204は、通常同時に進行する。(e)剥離工程205は、硬化工程203で微細な凹凸形状が賦形され、更に密着工程204で密着した電離放射線硬化性樹脂液113の硬化物113a、即ち電離放射線硬化樹脂と透明基材11をロール凹版101から剥離する工程である。なお、充填工程201は、図4(A)に図示するような空洞122を有するダイ120による充填、あるいはロール凹版101表面に塗上ロールにて直接塗布するなどの方式により行なわれる。また、ロール凹版101の凹部112は、工程説明のため大きな矩形状に形成されているが、本発明では微細な凹凸形状とすればよい。
なお、図4(A)において、ダイ120からロール凹版101側に供給される電離放射線硬化性能樹脂液113は、溶剤乾燥装置121により乾燥され、硬化装置117aからの電離放射線により硬化する。また透明基材11上に設けられた電離放射線硬化性樹脂液の硬化物113aは、更に硬化装置117bからの電離放射線により硬化する。
また図4(B)に示すようにロール凹版101上方に複数の硬化装置117aを設け、これら複数の硬化装置117aによって電離放射線硬化性樹脂液を順次硬化させても良い。
このようにして、透明基材11と、透明基材11上に設けられ表面に微細な凹凸形状17が形成された光拡散層15とを有する光拡散フィルム1が得られる。
【0042】
(凹凸形状)光拡散層15の微細な凹凸形状を賦型するには、これら形状と鏡像関係にある凹凸をロール凹版の表面へ形成しておき、上記DPS法で製造すればよい。該凹凸の形成方法としては、公知のサンドブラスト法、エッチング法が適用できる。サンドブラスト法は、ロール凹版の外側表面に、研磨材を吹きかけブラスト処理する。該研磨材としては、平均粒子径1〜100μm程度の炭化珪素、アランダム、コランダム、アルミナ、酸化クロム、酸化ジルコニウム、ガーネットなどの粒子や、白色溶融アルミナ、緑色炭化珪素、白色ジルコンなどのセラミックビーズ、ガラスビーズが適用できる。微細な凹凸形状としては、JIS−B−0601に準拠した表面粗さRzで、0.5〜20.0である。
【0043】
電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線、電子線等が用いられる。硬化装置117として、紫外線の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の波長190〜380nmの紫外線のうちの少くとも1部の波長の紫外線を輻射スペクトル中に含む光源を用いることができる。
【0044】
また、電子線の場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等の照射源を備えた装置を用いることができ、50〜1000keV、好ましくは70〜300keVのエネルギーを持つ電子を照射する。照射線量としては、通常0.5〜30Mrad程度が好ましい。
【0045】
(面光源装置)本発明の面光源装置50は、既に述べた通り図1に示すように、少なくとも光源21と、該光源の光を所定の方向に面投光する反射板27と、光拡散フィルム1と、レンズフィルム40(但し、レンズの寸法は拡大誇張して図示)と、必要に応じて他の光学フィルムとを備える。光源21から出射する光を最初に受ける位置である反射板27の開口部27b直上に光拡散フィルム1が配置されている。レンズフィルム40等他の光学フィルム及び液晶表示パネル30は、光拡散フィルム1よりも上側に載置され、光源21からの光のうち紫外線を除去した可視光線が液晶表示パネル30に入射される。そして、前記光拡散フィルム1へ紫外線吸収剤が含有させていることを特徴とする。通常、画像表示に必要な十分な輝度を得る為に光源21は複数配置される。例えば21インチ(対角線長)画面用の場合、冷陰極線管を12本程度配列させる。又、本発明の面光源装置50は、光源21から出光する光を最初に受光する光拡散フィルム1で光源光の紫外線を吸収除去する。よって、その上に位置するレンズフィルム40、偏光フィルム等のその他の光学フィルム中に紫外線吸収剤を添加する必要はなく、その光学機能に影響を及ぼすことも無い。
【0046】
(液晶表示装置)本発明の液晶表示装置60は、図1に示すように、本発明の面光源装置50の出光側に液晶表示パネル30が設けられている。液晶表示装置60は、公知の各種方式のものが対象なり、白黒でもカラー(天然色を含む)でもよい。また、時計、電子卓上計算機、各種計器、ワードプロセッサ等の表示部に用いる数字、文字を表示するものでもよいし、テレビジョン用、電子計算機の出力モニタ用等の一般の画像を表示するものでもよい。好ましくは、強力かつ複数の光源を持つ直下型方式の面光源を有する、大型画面のTVや公共場所の掲示用などのモニターである。
【0047】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【実施例1】
【0048】
透明基材11としては、厚さ188μmの2軸延伸した透明なポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記)のフィルムA4300(東洋紡績社製、PETフィルム商品名)を用いた。ロール凹版としては、鉄芯表面にクロムメッキし、#250の液体サンドブラスト処理をした後に、再度クロムメッキ処理して、表面にJISB0601(1994年版)規定の10点平均表面粗さRzが1.3μmの微細な凹凸形状を形成した。
光拡散層15の形成方法としては、明細書中で説明したDPS法を用いた。まず、ロール凹版101を回転させ、そのロール凹版101の少なくとも凹部112に、下記組成の電離放射線硬化性樹脂液を用いて充填した。ロール凹版101の回転方向に同期して走向する上記透明基材11(表面側とする)を接触させた。該接触している間に、透明基材11側から電離放射線硬化性樹脂液に、紫外線ランプDバルブ117a(フージョン社製、硬化装置商品名)240W/cmを2灯用いて、75%、走行速度15m/minで紫外線を照射し硬化させた。硬化と同時に硬化した電離放射線硬化樹脂(硬化物113a)と透明基材とが密着し、且つ凹部112の微細な凹凸形状が賦形された。硬化物と透明基材をロール凹版から剥離して、透明基材11上に光拡散層15を形成した。
透明基材11の裏面側にも、表面側と同様にして光拡散層15を設けて、実施例1の光拡散フィルム1を得た。該光拡散フィルム1の両面には、ロール凹版の表面形状に対応する逆形状の凹凸形状が形成されていた。
実施例1の電離放射線硬化性樹脂液としては、3官能ウレタンアクリレートオリゴマー58質量部、テトラエチレングリコールジアクリレート15質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート10質量部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート10質量部、アデカスタブLA−31(旭電化工業社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)2質量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製、光開始剤商品名)5質量部とした。
【実施例2】
【0049】
下記の電離放射線硬化性樹脂液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光拡散フィルムを得た。
実施例2の電離放射線硬化性樹脂液としては、5官能ウレタンアクリレートオリゴマー59質量部、テトラエチレングリコールジアクリレート15質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート10質量部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート10質量部、CHIMASSORB−119FL(長瀬産業社製、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤)1質量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製、光開始剤商品名)5質量部とした。
【実施例3】
【0050】
下記の電離放射線硬化性樹脂液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光拡散フィルムを得た。
実施例3の電離放射線硬化性樹脂液としては、3官能ウレタンアクリレートオリゴマー59.5質量部、テトラエチレングリコールジアクリレート15質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート10質量部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート10質量部、CHIMASSORB−81FL(長瀬産業社製、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)0.5質量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製、光開始剤商品名)5質量部とした。
【実施例4】
【0051】
下記の電離放射線硬化性樹脂液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光拡散フィルムを得た。
実施例4の電離放射線硬化性樹脂液としては、5官能ウレタンアクリレートオリゴマー59.5質量部、テトラエチレングリコールジアクリレート15質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート10質量部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート10質量部、ザロール(APIコーポレーション社製、サリシレート系紫外線吸収剤)0.5質量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製、光開始剤商品名)5質量部とした。
【0052】
(比較例1)
下記の電離放射線硬化性樹脂液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光拡散フィルムを得た。
比較例1の電離放射線硬化性樹脂液としては、ウレタンアクリレートオリゴマー60質量部、テトラエチレングリコールジアクリレート15質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート10質量部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート10質量部、イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製、光開始剤商品名)5質量部とした。
【0053】
(評価方法)光拡散性、色相変化、透明性で評価した。
光拡散性はJIS−K7361に準拠したヘイズで、透明性は全光線透過率を用いた。
光拡散性、及び透明性は、JIS−K−7361−1に準拠して、ヘイズメーターHM150(村上色彩技術研究所社製、商品名)を用いて測定した。
色相は、JIS−Z−8729に準拠したL*,a*,b*表色系における色相b*(bスター値)を、色彩輝度計BM−7(トプコン社製、商品名)を用いて測定した。
測定条件は、12本の冷陰極線管を平行に並べた光源を持つ、21型(21インチ)面光源装置へ、実施例及び比較例の光拡散フィルムを組み込んだ後に、面光源装置の画面中央部の色相(b*)を、組込み直後、及び発光5000時間後に測定して、前後の差を色相変化(b*)を指標とした。評価の結果を「表1」に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
(評価結果)実施例のいずれも、光拡散性(ヘイズ)は良好で、また、透明性も90%以上と良好で、色相変化も1.0以下であり目視での黄変も認められず、光源からの紫外線によっても、黄色などへの変色が抑制されていた。
比較例では、光拡散性(ヘイズ)、透明性はよいものの、色相変化は2.8と大きく、目視でも黄色味を帯びていることが確認された。
【実施例5】
【0056】
実施例1の光拡散フィルムを用いて、図1に図示するような構成で、12本の冷陰極管を平行に並べた光源で、他の部材は公知のものを用いて、21型(21インチ)面光源装置を得た。該面光源装置は、前面にわたって着色が認められず、かつ均一で十分な輝度を有していた。点燈5000時間後でも、黄変などの色相変化は認められなかった。
【実施例6】
【0057】
実施例5の面光源装置を用いて、図1に図示するような構成で、透過型液晶パネルを載置して、21型(21インチ)TVモニター(液晶表示装置)を得た。該液晶表示装置の表示画像は、良好な画質であった。画像を表示して5000時間後でも、画像に画質などの変化は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、
透明基材の少なくとも一方の面に、直接または他の層を介して設けられた光拡散層とを備え、
光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、
光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする光拡散フィルム。
【請求項2】
光拡散層は透明基材の両方の面に設けられ、
各光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、各光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
【請求項3】
光拡散層は透明基材の少なくとも一方の面にプライマ層を介して設けられていることを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
【請求項4】
紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選択された、いずれか1つ又は複数からなることを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
【請求項5】
紫外線吸収剤が、更にヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を含むことを特徴とする請求項4記載の光拡散フィルム。
【請求項6】
平行に並んだ12本の冷陰極線管からなる光源を含む直下型面光源部を有する21型(21インチ)面光源装置へ組込まれた場合、組込み直後と各光源の点燈5000時間後に測定した、面光源装置の画面中央部のJIS−Z−8729に準拠するL*,a*,b*表色系における色相変化(b*)が2.0以下であることを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
【請求項7】
平行に配列された複数の光源と、この光源を囲むとともに出光側に開口部を有し内面に光反射面が形成された反射板とを含む直下型面光源部と、
直下型面光源部の出光側に配置された光拡散フィルムと、
光拡散フィルムの出光側に配置されたレンズフィルムとを備え、
光拡散フィルムは、
透明基材と、
透明基材の少なくとも一方の面に、直接または他の層を介して設けられた光拡散層とを備え、
光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、
光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする面光源装置。
【請求項8】
光拡散層は透明基材の両方の面に設けられ、
各光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、各光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする請求項7記載の面光源装置。
【請求項9】
紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選択された、いずれか1つ又は複数からなることを特徴とする請求項7記載の面光源装置。
【請求項10】
紫外線吸収剤が、更にヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を含むことを特徴とする請求項9記載の面光源装置。
【請求項11】
光拡散層は透明基材の少なくとも一方の面にプライマ層を介して設けられていることを特徴とする請求項7記載の面光源装置。
【請求項12】
直下型面光源部は光源として平行に配列された12本の冷陰極線管を含み、
面光源装置は21型(21インチ)形状となっており、
光拡散フィルムを面光源装置に組込んだ直後と各光源の点燈5000時間後に測定した、面光源装置の画面中央部のJIS−Z−8729に準拠するL*,a*,b*表色系における色相変化(b*)が2.0以下であることを特徴とする請求項7記載の面光源装置。
【請求項13】
面光源装置と、
面光源装置の出光側に配置された液晶表示パネルとを備えた液晶表示装置において、
面光源装置は、
平行に配列された複数の光源と、この光源を囲むとともに出光側に開口部を有し内面に光反射面が形成された反射板とを含む直下型面光源部と、
直下型面光源部の出光側に配置された光拡散フィルムと、
光拡散フィルムの出光側に配置されたレンズフィルムとを備え、
光拡散フィルムは、
透明基材と、
透明基材の少なくとも一方の面に、直接または他の層を介して設けられた光拡散層とを備え、
光拡散層は少なくとも電離放射線硬化樹脂と紫外線吸収剤とを含み、
光拡散層の表面に光拡散機能を発現する微細な凹凸形状を設けたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【国際公開番号】WO2005/066663
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【発行日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516857(P2005−516857)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019620
【国際出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】