説明

光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体

【課題】
共押出法によりアクリル系樹脂層が積層成形された光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体において、ハンドリング時に付いた傷が目立ちにくく、耐光性と鉛筆硬度が優れ、輝度ムラが小さい光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体を提供すること。
【解決手段】
光拡散性微粒子を含有させたポリカーボネート樹脂(A)層と紫外線吸収剤および光拡散性微粒子を含有させたアクリル系樹脂(B)層を共押出させるに際に、1.0〜2.0mmのポリカーボネート樹脂(A)層の少なくとも一方の面に、紫外線吸収剤と粒子径が5〜30μmの光拡散性微粒子を含有したアクリル系樹脂(B)層の厚みが20〜50μmであって、ポリカーボネート樹脂(A)層に粒子径が1〜10μmであり、かつ屈折率が1.40〜1.46である光拡散性微粒子を積層体に対して0.1〜3重量%含有する、光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐光性と鉛筆硬度に優れたポリカーボネート樹脂積層体に関する。さらに詳しくは、ポリカーボネート樹脂本来の特性を損なうことなく、共押出法によりアクリル系樹脂層が積層成形された耐光性と鉛筆硬度が優れ、輝度ムラが小さい光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体に関する。この光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体は表層に微粒子を分散させているためにハンドリング時に付いた傷が目立ちにくい。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性と機械的強度、高い熱変形温度を有し、寸法安定性、加工性及び自己消火性に優れていることより、自動車窓ガラス材料や光学材料として多くの用途で使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、耐候性に劣るため、直射日光などに曝される屋外用途の場合には衝撃強度の低下や黄変すると云う問題点を有している。これらの問題点を改善する方法として、ポリカーボネート樹脂に紫外線吸収剤を配合した樹脂組成物が知られているが、長時間屋外使用における衝撃強度の低下や黄変の問題を解決できなかった。熱可塑性樹脂中に光拡散性微粒子が分散された光拡散層の両面に互いに同じ透明性熱可塑性樹脂からなる透明層が共押出成形により積層一体化されてなることを特徴とする多層光拡散板が提案されている(特許文献1参照)が、表層が透明であるためにハンドリング時に付いた傷が目立ちやすい。
【0003】
そして、光拡散剤を含有するメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂層の少なくとも一方の面に特定の紫外線吸収剤を0.01〜3重量部含有するメタクリル酸メチル系樹脂またはスチレン系樹脂層を積層してなる耐光性に優れた光拡散性樹脂板が提案されている(特許文献2参照)が、ポリカーボネート樹脂に比べて耐衝撃性が充分ではなく、吸湿による反りや耐熱性が不足すると言った課題を抱えている。
また、耐光性が良好な光拡散性微粒子としてメラミン系樹脂ビーズを含有する方法が提案されている(特許文献3参照)が、押出成形する場合、特にポリカーボネート樹脂の様に成形温度が高い場合には光拡散剤が熱劣化し、初期着色といった課題を抱えている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−202097号公報
【特許文献2】特開2004−50607号公報
【特許文献3】特開2002−228807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、共押出法によりアクリル系樹脂層が積層成形された光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体において、ハンドリング時に付いた傷が目立ちにくく、耐光性と鉛筆硬度が優れ、輝度ムラが小さい光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、光拡散性微粒子を含有させたポリカーボネート樹脂(A)層と紫外線吸収剤および光拡散性微粒子を含有させたアクリル系樹脂(B)層を共押出させるに際に、
1.0〜2.0mmのポリカーボネート樹脂(A)層の少なくとも一方の面に、紫外線吸収剤と粒子径が5〜30μmの光拡散性微粒子を含有したアクリル系樹脂(B)層の厚みが20〜50μmであって、ポリカーボネート樹脂(A)層に粒子径が1〜10μmであり、かつ屈折率が1.40〜1.46である光拡散性微粒子を積層体に対して0.1〜3重量%含有する、光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体は、アクリル系樹脂(B)層に5〜30μmの光拡散性微粒子を含有させることにより、マットロールを使用しなくても適度なマット感を付与でき、ハンドリング時の傷付きやシート成形時のロール汚れも目立ちにくく、輝度ムラの低減が図れる。また、表層のみにPMMA層を形成するため、耐衝撃性を保ちながら鉛筆硬度の向上と耐候性の改善が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に関わるポリカーボネート樹脂(A)層を構成するポリカーボネート樹脂としては特に制限されず、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物とホスゲンとを界面重合法により得られるか、または、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸のジエステルとのエステル交換反応により作られる分岐していてもよい熱可塑性ポリカーボネート重合体であり、例えばビスフェノールAを主原料とする炭酸エステル重合物が使用される。用いるポリカーボネート樹脂の分子量は特に限定されないが、通常の押出成形によりシート、ボードおよびプレートを製造できることが好ましく、粘度平均分子量は21,500〜30,000、好ましくは23,000〜28,000のものである。ポリカーボネート樹脂には、一般に用いられる各種の添加剤を添加しても良く、添加剤としては、例えば、酸化防止剤、着色防止剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、染顔料などが挙げられる。光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体層の厚みは、通常1.0mm〜2.0mmが採用される場合が多い。
【0009】
本発明で使用するアクリル系樹脂は、メチルメタクリレートとメチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルアクリレート等のアクリレートとの共重合体であり、共重合組成及び分子量は共押出条件により適宜選択すればよいが、共重合組成比としてはメチルメタクリレート80〜99%、メチル、エチルまたはブチルアクリレート等のアクリレート1〜20%が好ましい。分子量は、重量平均分子量で30,000〜300,000であるが、これらだけに制限されるものではない。アクリル系樹脂の荷重撓み温度は高いほど、ガラス転移温度も高くなり、ロール転写温度もポリカーボネート樹脂のロール転写温度と近くなり、ロール転写性に優れ、外観の優れた積層体が得られる。従って、アクリル系樹脂の荷重撓み温度は90℃以上が良く、好ましくは95℃以上が、更に好ましくは100℃以上である。アクリル系樹脂には、一般に用いられる各種の添加剤を添加しても良く、添加剤としては、例えば、酸化防止剤、着色防止剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、染顔料などが挙げられる。
【0010】
また、ポリカーボネート樹脂(A)層と共に、共押出されるアクリル系樹脂(B)層の厚みは、20〜50μmであることが好ましい。20μm未満では耐光性の改良効果が小さく、50μmを超えてもさらなる耐光性の改良効果は期待できず、経済的にも不利になる。
【0011】
添加する紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系、ベンズオキサジン系、マロン酸エステル系、トリアジン系、および、それらをペンダントとして付加した高分子タイプの紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチレンブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等を例示することができ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロルベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等を例示することができる。
【0012】
また、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリチル酸エステル等が例示できる。
ベンズオキサジン系紫外線吸取剤としては2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン]等が例示できる。
マロン酸エステル系紫外線吸収剤としては[(4−メトキシフェニル)−メチレン]マロン酸ジメチル等が例示できる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができるが、これらだけに限定されるものではなく、一般的に入手可能な紫外線吸収剤などが含まれる。
【0013】
高分子タイプの紫外線吸収剤としては分子中にヒドロキシベンゾフェノンまたはヒドロキシベンゾトリアゾール構造を有する物であり、それらには水素原子がアルキル基に置換されたものもある。高分子タイプの紫外線吸収剤の一例としてBASF社から商品化されているUVA−633(2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)メタクリル酸メチル共重合体がある。本発明において好ましいのは、下記(1)式又は(2)式で表される紫外線吸収基がポリマーに共有結合したタイプである。特に好ましいのは、下記(1)式又は(2)式で表される紫外線吸収基がアクリル系樹脂に共有結合したタイプである。
【0014】
【化1】

(R1は炭素数が1〜8のアルキル基または水素原子を示す。)
【0015】
【化2】

(R1、R3は炭素数が1〜8のアルキル基または水素原子を示す。)
高分子タイプの紫外線吸収剤の含有量は分子中の(1)式または(2)式に相当する部分の分子量に代替して表記した。
【0016】
光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体を構成するアクリル系樹脂(B)層の紫外線吸収剤濃度は0.5〜5.0重量%が好ましい。アクリル系樹脂(B)層の紫外線吸収剤濃度が0.5重量%未満では、光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体の耐光性が不十分であり、5.0重量%を超えてもさらなる耐光性向上は期待出来ないばかりではなく、共押出成形時のロールの汚染や積層体の着色による外観不良を引き起こすことがあるので好ましくない。また、ポリカーボネート樹脂(A)層を構成するポリカーボネート樹脂に含有される紫外線吸収剤濃度は適宜選択することができる。本発明の効果を最大限とするためには、ポリカーボネート樹脂(A)層を構成するポリカーボネート樹脂に0.5重量%以下が好ましい。
【0017】
ポリカーボネート樹脂(A)層に添加される光拡散性微粒子としては、通常、ポリカーボネート樹脂と溶融混練しても破壊されず、適度な屈折率差を有することが好ましく、アクリル系架橋微粒子やシリコーン系微粒子が挙げられる。
【0018】
ポリカーボネート樹脂(A)層に添加されるアクリル系の光拡散性微粒子としては、ポリカーボネート樹脂の成形温度まで加熱しても溶融しない架橋微粒子[積水化成品(株)製のテクポリマーやガンツ化成(株)製のガンツパールGMF−0346S]等が挙げられる。
【0019】
ポリカーボネート樹脂(A)層に添加されるシリコーン系の光拡散性微粒子としては、ポリカーボネート樹脂の成形温度まで加熱しても溶融しない架橋微粒子[東芝GEシリコーン社製のトスパール120や信越化学工業(株)製のKMP−590、KMP−605]等が挙げられる。
【0020】
ポリカーボネート樹脂(A)層に添加される光拡散性微粒子の粒径は1.0〜10μmが好ましく、1.0〜5μmがより好ましい。粒径が1.0μm未満では拡散性が得られにくく、添加量を多くする必要が有る。10μmを超えると透過率が低下し易くなる等の欠点が発生する事がある。
【0021】
ポリカーボネート樹脂(A)層に添加される光拡散性微粒子の屈折率は1.41〜1.46が好ましい。屈折率が1.46を超えると充分な拡散性を得るために添加量を増やす必要がある。屈折率が1.41未満では光透過性の観点から好ましくない。
【0022】
光拡散性微粒子のポリカーボネート樹脂(A)層に対する配合量は、ポリカーボネート樹脂積層体の板厚や光拡散性微粒子の屈折率や粒子径によるが、通常、0.1〜3重量%であり、好ましくは0.3〜2重量%である。光拡散性微粒子の配合量が0.1重量%未満では光拡散性が不十分であり、3重量%を超えると光線透過率が低下し、コスト的にも不利になる。
【0023】
アクリル系樹脂(B)層に添加される光拡散性微粒子としては、通常、表層のアクリル系樹脂と溶融混練しても破壊されず、シート表面に適度な凹凸を付与するだけの粒子径であることが好ましく、アクリル系架橋微粒子やシリコーン系微粒子が挙げられる。
【0024】
アクリル系樹脂(B)層に添加されるアクリル系の光拡散性微粒子としては、アクリル系樹脂の成形温度まで加熱しても溶融しない架橋微粒子[例えば、積水化成品(株)製のテクポリマーやガンツ化成(株)製のガンツパールGMF−0346S]等が挙げられる。
【0025】
アクリル系樹脂(B)層に添加されるシリコーン系の光拡散性微粒子としては、アクリル系樹脂の成形温度まで加熱しても溶融しない架橋微粒子[例えば、東芝GEシリコーン社製トスパール3120や信越化学工業(株)製KMP−601]等が挙げられる。
【0026】
アクリル系樹脂(B)層に添加される光拡散性微粒子の粒径は5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。粒径が5μm未満では適度な凹凸が付与されにくい。30μmを超えると表面の凹凸が大きすぎて外観を損ねたり、輝度ムラが大きくなる等の欠点が発生する事がある。
【0027】
アクリル系樹脂(B)層に添加される光拡散性微粒子の屈折率は1.40〜1.46
がより好ましい。屈折率が1.46を超えると充分な拡散性を得るために添加量を増やす必要がある。屈折率が1.41未満では光透過性の観点から好ましくない。
【0028】
光拡散性微粒子のアクリル系樹脂(B)層に対する配合量は、光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体の板厚や光拡散性微粒子の屈折率や粒子径によるが、通常、0.5〜5重量%であり、好ましくは1〜3重量%である。光拡散性微粒子の配合量が0.5重量%未満では適度な凹凸が付与されにくく、5重量%を超えるとコスト的に不利になる。
【0029】
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体には蛍光増白剤を添加することができる。蛍光増白剤は、ポリカーボネート樹脂(A)層およびアクリル系樹脂(B)層に任意に添加することができ、各層の樹脂に対し、0.001〜0.05重量%が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられ、紫外線吸収剤を添加する場合など、黄色系への着色を緩和するのに有効である。この様な機能を有するものであれば特に制限は無く、例えばクマリン系、ナフタルイミド系化合物等が挙げられる。
クマリン系化合物の具体例としては、3−フェニル−7−アミノクマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−メトキシ)クマリン、3−フェニル−7−ナフトトリアゾール−クマリン、4−メチル−7−ヒドロキシ−クマリン、3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリンなどを挙げることができる。ナフタルイミド系化合物の具体例としては、4−メトキシ−N−メチルナフタル酸イミドなどを挙げることができる。
【0030】
本発明の光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体は、光拡散性微粒子を含有させたポリカーボネート樹脂(A)層と紫外線吸収剤および光拡散性微粒子を含有させたアクリル系樹脂(B)層を共押出させるに際に、ポリカーボネート樹脂(A)層の少なくとも一方の面に、紫外線吸収剤と粒子径が10〜20μmの光拡散性微粒子を含有したアクリル系樹脂層(B)の厚みが20〜50μmであって、ポリカーボネート樹脂(A)層に粒子径が1〜10μmであり、かつ屈折率が1.40〜1.46である光拡散性微粒子を積層体に対して0.1〜3重量%含有することを特徴とした板厚が1.0〜2.0mmである光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体に関するものである。
【0031】
積層体製造工程の具体例を以下に記す。積層板の製造に用いられる押出装置としては、一般に基板層を構成するポリカーボネート樹脂を押し出す一つのメイン押出機と、被覆層を構成するアクリル樹脂を押し出す1又2以上のサブ押出機により構成され、通常サブ押出機はメイン押出機より小型のものが採用される。メイン押出機の温度条件は、通常230〜290℃、好ましくは240〜280℃であり、サブ押出機の温度条件は通常220〜270℃、好ましくは230〜260℃である。
【0032】
2種以上の溶融樹脂を被覆する方法としては、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式などの公知の方法を用いることができる。この場合、フィードブロックで積層された溶融樹脂はTダイなどのシート成形ダイに導かれ、シート状に成形された後、表面を鏡面処理または型加工された成形ロール(ポリッシングロール)に流入して、バンクを形成する。このシート状成形物は、成形ロール通過中に冷却が行われ、積層板が形成される。また、マルチマニホールドダイの場合は、該ダイ内で積層された溶融樹脂は同様にダイ内部でシート状に成形された後、成形ロールにて表面仕上げおよび冷却が行われ、積層板が形成される。ダイの温度としては、通常250〜320℃、好ましくは270〜300℃であり、成形ロール温度としては、通常100〜190℃、好ましくは110〜180℃である。ロールは縦型ロールまたは、横型ロールを適宜使用することができる。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明を実施例によってさらに詳述するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0034】
本実施例で用いた評価、測定方法を以下に示す。
(1)平均輝度:20インチ型直下型バックライトユニットに縦320mm、横420mmの試験片を組み込み、冷陰極管と直交する方向に冷陰極管5本をまたぐ様に5mmピッチで18点の輝度を測定し、その平均値を求めた。試験片の上には輝度向上フィルム、拡散フィルムを敷き、試験片と輝度測定機の距離を210mmとしてミノルタ製LS−100型輝度計を用いて測定を行った。
(2)輝度ムラ
上記(1)の測定における最大値と最小値の差を輝度ムラと定義する。輝度ムラが110cd/m2以下を合格とした。
(3)鉛筆硬度
JIS K5400に準拠し、1Kg荷重で測定を行った。ランクF以上を合格とした。
(4)耐擦傷性
100mm×300mmに切断したシートのPMMA面を上に向けて机の上にセットする。一方、50mm角に切断したシートのPMMA面を下に向け、20g/cm2の荷重で10往復摩擦し、擦傷の程度を確認する。傷が目立たないものを合格とした。
(5)y値
日本電色工業製の色差計SZ−Σ90型を使用して三刺激値Y、X、Zを測定し、CIE座標におけるy値を換算式から求めた。測定機の光源として15Wハロゲンランプを用いた。y値が0.30±0.1のものを合格とした。
(6)耐光性
スガ試験機(株)製フェードメーターにて促進試験を行なった。測定条件は、ブラックパネル温度83℃で行った。試験は、アクリル系樹脂(B)層側に光が当たる様に行う。
曝露前後の黄色度(Y.I.値)の差(ΔY.I.)を透過測定法で求めた。
50時間曝露後のΔY.Iが3以下を合格とした。
【0035】
実施例1
ポリカーボネート樹脂(A)層用押出機としてバレル直径65mm、スクリュウのL/D=35の単軸押出機を使用し、シリンダー温度270℃とし、吐出量を40Kg/hrとして押出した。また、被覆層となる紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂(B)層用押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D=32の単軸押出機を使用し、シリンダー温度240℃に設定し、吐出量を1700g/hrとして押出した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際の2種3層型フィードブロック設定温度は260℃、ダイス設定温度は280℃とした。フィードブロック内で積層一体化された(A)層と(B)層はダイスを出て、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度120℃、2番ロール温度140℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は0.5m/分、引き取り用ピンチロール速度0.6m/分とした。得られた積層体の厚さは2.0mm、吐出量から算出した(B)層の厚さは40μmであった。評価結果を表1に示した。
なお、本実施例で用いたポリカーボネート樹脂は、三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンE−2000(商品名)、粘度平均分子量27,500、ガラス転移温度147℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を0.1重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径2μmの東芝GEシリコーン社製トスパール120(商品名)を0.5重量%配合した。アクリル系樹脂は、クラレ(株)製、パラペットHR−1000L(商品名)、ガラス転移温度105℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を2.0重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径12μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール3120(商品名)を2重量%配合した。更に蛍光増白剤としてハッコールケミカル社製のハッコールPSR[化合物名:3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリン]を0.01重量%配合した。
【0036】
実施例2
ポリカーボネート樹脂(A)層用押出機としてバレル直径65mm、スクリュウのL/D=35の単軸押出機を使用し、シリンダー温度270℃とし、吐出量を40Kg/hrとして押出した。また、被覆層となる紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂(B)層用押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D=32の単軸押出機を使用し、シリンダー温度240℃に設定し、吐出量を1700g/hrとして押出した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際の2種3層型フィードブロック設定温度は260℃、ダイス設定温度は280℃とした。フィードブロック内で積層一体化された(A)層と(B)層はダイスを出て、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度120℃、2番ロール温度140℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は0.5m/分、引き取り用ピンチロール速度0.6m/分とした。得られた積層体の厚さは2.0mm、吐出量から算出した(B)層の厚さは40μmであった。評価結果を表1に示した。
なお、本実施例で用いたポリカーボネート樹脂は、三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンE−2000(商品名)、粘度平均分子量27,500、ガラス転移温度147℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を0.1重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径2μmの東芝GEシリコーン社製トスパール120(商品名)を0.5重量%配合した。アクリル系樹脂は、クラレ(株)製、パラペットHR−1000L(商品名)、ガラス転移温度105℃である。紫外線吸収剤としてBASF社製UVA−633(商品名)[化合物名:{2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン}メタクリル酸メチル共重合体]を3.0重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径12μmの東芝GEシリコーン(株)製トスパール3120(商品名)を2重量%配合した。更に蛍光増白剤としてハッコールケミカル社製のハッコールPSR[化合物名:3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリン]を0.01重量%配合した。
【0037】
実施例3
ポリカーボネート樹脂(A)層用押出機としてバレル直径65mm、スクリュウのL/D=35の単軸押出機を使用し、シリンダー温度270℃とし、吐出量を40Kg/hrとして押出した。また、被覆層となる紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂(B)層用押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D=32の単軸押出機を使用し、シリンダー温度240℃に設定し、吐出量を2200g/hrとして押出した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際の2種3層型フィードブロック設定温度は260℃、ダイス設定温度は280℃とした。フィードブロック内で積層一体化された(A)層と(B)層はダイスを出て、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度120℃、2番ロール温度140℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は0.7m/分、引き取り用ピンチロール速度0.8m/分とした。得られた積層体の厚さは1.5mm、吐出量から算出した(B)層の厚さは40μmであった。評価結果を表1に示した。
なお、本実施例で用いたポリカーボネート樹脂は、三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンE−2000(商品名)、粘度平均分子量27,500、ガラス転移温度147℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を0.1重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径3μm、屈折率1.46のガンツ化成(株)製ガンツパールGMF−0346S(商品名)を1.0重量%配合した。アクリル系樹脂は、クラレ(株)製、パラペットHR−1000L(商品名)、ガラス転移温度105℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を2.0重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径10μm、屈折率1.41の信越化学工業製KMP−601(商品名)を2重量%配合した。更に蛍光増白剤としてハッコールケミカル社製のハッコールPSR[化合物名:3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリン]を0.01重量%配合した。
【0038】
比較例1
ポリカーボネート樹脂(A)層用押出機としてバレル直径65mm、スクリュウのL/D=35の単軸押出機を使用し、シリンダー温度270℃とし、吐出量を40Kg/hrとして押出した。また、被覆層となる紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂(B)層用押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D=32の単軸押出機を使用し、シリンダー温度240℃に設定し、吐出量を1700g/hrとして押出した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際の2種2層型フィードブロック設定温度は260℃、ダイス設定温度は280℃とした。フィードブロック内で積層一体化された(A)層と(B)層はダイスを出て、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度120℃、2番ロール温度140℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は0.5m/分、引き取り用ピンチロール速度0.6m/分とした。得られた積層体の厚さは2.0mm、吐出量から算出した(B)層の厚さは40μmであった。評価結果を表2に示した。
なお、比較例1で用いたポリカーボネート樹脂は、三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンE−2000(商品名)、粘度平均分子量27,500、ガラス転移温度147℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を0.1重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径2μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール120を0.5重量%配合した。アクリル系樹脂は、クラレ(株)製、パラペットHR−1000L(商品名)、ガラス転移温度105℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を2.0重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径2μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール120を2.0重量%配合した。更に蛍光増白剤としてハッコールケミカル社製のハッコールPSR[化合物名:3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリン]を0.01重量%配合した。
【0039】
比較例2
ポリカーボネート樹脂(A)層用押出機としてバレル直径65mm、スクリュウのL/D=35の単軸押出機を使用し、シリンダー温度270℃とし、吐出量を40Kg/hrとして押出した。また、被覆層となる紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂(B)層用押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D=32の単軸押出機を使用し、シリンダー温度240℃に設定し、吐出量を1700g/hrとして押出した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際の2種2層型フィードブロック設定温度は260℃、ダイス設定温度は280℃とした。フィードブロック内で積層一体化された(A)層と(B)層はダイスを出て、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度120℃、2番ロール温度140℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は0.5m/分、引き取り用ピンチロール速度0.6m/分とした。得られた積層体の厚さは2.0mm、吐出量から算出した(B)層の厚さは40μmであった。評価結果を表2に示した。
なお、比較例2で用いたポリカーボネート樹脂は、三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンE−2000(商品名)、粘度平均分子量27,500、ガラス転移温度147℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を0.1重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径2μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール120を0.5重量%配合した。アクリル系樹脂は、クラレ(株)製、パラペットHR−1000L(商品名)、ガラス転移温度105℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を2.0重量%配合した。光拡散性微粒子は添加しない。更に蛍光増白剤としてハッコールケミカル社製のハッコールPSR[化合物名:3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリン]を0.01重量%配合した。
【0040】
比較例3
ポリカーボネート樹脂(A)層用押出機としてバレル直径65mm、スクリュウのL/D=35の単軸押出機を使用し、シリンダー温度270℃とし、吐出量を40Kg/hrとして押出した。また、被覆層となる紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂(B)層用押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D=32の単軸押出機を使用し、シリンダー温度240℃に設定し、吐出量を600g/hrとして押出した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際の2種2層型フィードブロック設定温度は260℃、ダイス設定温度は280℃とした。フィードブロック内で積層一体化された(A)層と(B)層はダイスを出て、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度120℃、2番ロール温度140℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は0.5m/分、引き取り用ピンチロール速度0.6m/分とした。得られた積層体の厚さは2.0mm、吐出量から算出した(B)層の厚さは15μmであった。評価結果を表2に示した。
なお、比較例3で用いたポリカーボネート樹脂は、三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンE−2000(商品名)、粘度平均分子量27,500、ガラス転移温度147℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を0.1重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径2μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール120を0.5重量%配合した。アクリル系樹脂は、クラレ(株)製、パラペットHR−1000L(商品名)、ガラス転移温度105℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を2.0重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径12μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール3120(商品名)を2.0重量%配合した。更に蛍光増白剤としてハッコールケミカル社製のハッコールPSR[化合物名:3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリン]を0.01重量%配合した。
【0041】
比較例4
ポリカーボネート樹脂(A)層用押出機としてバレル直径65mm、スクリュウのL/D=35の単軸押出機を使用し、シリンダー温度270℃とし、吐出量を40Kg/hrとして押出した。また、被覆層となる紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂(B)層用押出機は、バレル直径32mm、スクリュウのL/D=32の単軸押出機を使用し、シリンダー温度240℃に設定し、吐出量を600g/hrとして押出した。2種類の樹脂を同時に溶融押出し、積層する際の2種2層型フィードブロック設定温度は260℃、ダイス設定温度は280℃とした。フィードブロック内で積層一体化された(A)層と(B)層はダイスを出て、鏡面仕上げされた3本のポリッシングロールに導かれ、1番ロール温度120℃、2番ロール温度140℃、3番ロール温度180℃に設定した。最初に流入するロール間隔にて、バンクを形成した後、2番、3番ロールを通過させた。引き取り速度は0.4m/分、引き取り用ピンチロール速度0.6m/分とした。得られた積層体の厚さは2.0mm、吐出量から算出した(B)層の厚さは30μmであった。評価結果を表2に示した。
なお、比較例4で用いたポリカーボネート樹脂は、三菱瓦斯化学(株)製、ユーピロンE−2000(商品名)、粘度平均分子量27,500、ガラス転移温度147℃である。紫外線吸収剤としてチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビン1577(商品名)[化合物名:2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン]を0.1重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径2μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール120を0.5重量%配合した。アクリル系樹脂は、クラレ(株)製、パラペットHR−1000L(商品名)、ガラス転移温度105℃である。紫外線吸収剤としてBASF社製UVA−633(商品名)[化合物名:{2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン}メタクリル酸メチル共重合体]を0.5重量%配合すると共に、光拡散性微粒子として平均粒子径12μm、屈折率1.41の東芝GEシリコーン社製トスパール3120を2.0重量%配合した。更に蛍光増白剤としてハッコールケミカル社製のハッコールPSR[化合物名:3−フェニル−7−(2H−ナフト[1,2−d]−トリアゾール−2−イル)クマリン]を0.01重量%配合した。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.0〜2.0mmのポリカーボネート樹脂(A)層の少なくとも一方の面に、紫外線吸収剤と粒子径が5〜30μmである光拡散性微粒子を含有した層厚みが20〜50μmのアクリル系樹脂(B)層を共押出によって積層した積層体であって、ポリカーボネート樹脂(A)層に粒子径が1〜10μmであり、かつ屈折率が1.40〜1.46である光拡散性微粒子を積層体に対して0.1〜3重量%含有する光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体。
【請求項2】
アクリル系樹脂(B)層の紫外線吸収剤濃度が0.3〜5重量%である請求項1記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体。
【請求項3】
紫外線吸収剤が、下記式(1)または式(2)で表される紫外線吸収基がポリマーに共有結合した高分子型紫外線吸収剤である請求項1又は2記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂積層体。
【化1】


(R1は炭素数が1〜8のアルキル基または水素原子を示す。)
【化2】

(R1、R3は炭素数が1〜8のアルキル基または水素原子を示す。)
【請求項4】
アクリル系樹脂(B)層に含有する光拡散性微粒子の屈折率が1.40〜1.46であり、光拡散性微粒子の含有量が0.5〜5重量%である請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。






【公開番号】特開2007−185816(P2007−185816A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4217(P2006−4217)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【出願人】(597003516)MGCフィルシート株式会社 (33)
【Fターム(参考)】