説明

光断層画像化装置、及び、その光プローブ押付力推定方法

【課題】既存の光プローブを用いて測定対象への光プローブの押付力を確認することができる光断層画像化装置、及び、その光プローブ押付力推定方法を提供する。
【解決手段】接触領域検出部484は、干渉信号から測定対象Sに対して光プローブ500が接触している領域を検出する。押付力推定部490は、接触領域検出部484で検出された接触領域の情報に基づいて、接触範囲の大きさを求める。そして、求めた接触範囲の大きさが、あらかじめ設定された適正範囲内か否かを判定して、測定対象Sに対する光プローブ500の押付力の適否を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光断層画像化装置、及び、その光プローブ押付力推定方法に係り、特に、測定対象に光を照射し、その反射光から測定対象の光断層画像を取得する光断層画像化装置、及び、その光プローブ押付力推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織等の測定対象を切断せずに断面画像を取得する方法として、OCT(Optical Coherence Tomography)計測を利用した光断層画像化装置が知られている(たとえば、特許文献1等)。この光断層画像化装置では、光プローブを血管、胆管、膵管、胃、食道、大腸などの体腔内に挿入し、ラジアル走査をすることにより、測定対象の光断層画像を取得するが、この際、光プローブを体腔壁に押し付けて測定が行われる。これは、測定の深度を上げるためと、生体の体動を抑えるためであるが、この押し付けが過剰であると、光プローブが損傷するという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献2には、超音波センサの先端部に圧力センサを設置し、体腔壁への押し付け力量を数値化してモニタに表示する技術、及び、過剰な押し付け時には警告する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72280号公報
【特許文献2】特開平6−70930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光プローブの先端に圧力センサを設けると、部品点数が増加し、先端部の構成が複雑になるとともに、先端部の構成配置も制約を受けるという欠点がある。また、極細の光プローブでは、圧力センサを設けること事態が困難という問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、既存の光プローブを用いて測定対象への光プローブの押付力を確認することができる光断層画像化装置、及び、その光プローブ押付力推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、光源と、前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段と、前記測定対象に対する前記光プローブの接触領域を検出する接触領域検出手段と、前記接触領域検出手段によって検出された接触領域の大きさに基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定する押付力推定手段と、前記押付力推定手段で推定された前記光プローブの押付力を告知する告知手段と、を備えたことを特徴とする光断層画像化装置を提供する。
【0008】
本発明では、測定対象に対する光プローブの接触領域を検出し、その大小に基づいて、測定対象に対する光プローブの押付力を推定する。すなわち、押付力が高くなれば、接触領域も増すので、その接触領域の大小に基づいて、押付力を推定する。これにより、光プローブの先端に圧力センサ等を設けたりしなくても、押付力を確認することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記押付力推定手段は、前記接触領域検出手段によって検出された接触領域が、あらかじめ設定された適正範囲内であるか否かを判定して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0010】
本発明では、求めた接触領域が、あらかじめ設定された適正範囲内にあるか否かを判定して、押付力を推定する。すなわち、求めた接触領域が適正範囲内であれば、適正な押付力と推定する。その一方で求めた接触領域が適正範囲を下回っていれば、押付力不足と推定し、上回っていれば、押付過剰と推定する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記測定対象ごとに前記適正範囲が設定されることを特徴とする請求項2に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0012】
本発明によれば、測定対象ごとに適正範囲が設定される。硬い組織と柔らかい組織とでは、同じ押付力で押し付けても、光プローブに接触する領域が変わるので、測定対象ごとに適正範囲を設定することにより、より正確に押付力を推定することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、接触領域と押付力との関係を表すテーブルが記録された記憶手段を備え、前記押付力推定手段は、前記テーブルを参照して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0014】
本発明では、あらかじめ用意された接触領域と押付力との関係を表すテーブルを参照して、押付力を推定する。すなわち、接触領域は押付力によって変わるので、あらかじめ接触領域と押付力との関係を求めておき、その関係をテーブルに記録しておくことにより、テーブルを参照するだけで、接触領域から押付力を求めることができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記テーブルは、前記測定対象ごとに用意されて前記記憶手段に記録され、前記押付力推定手段は、測定対象に対応したテーブルを参照して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項4に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0016】
本発明によれば、測定対象ごとにテーブルが用意され、記憶手段に記録される。これにより、より正確に押付力を推定することができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、光源と、前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段と、前記光断層画像取得手段によって取得された光断層画像に基づいて、前記測定対象の表面の形状を検出し、該表面の形状に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定する押付力推定手段と、前記押付力推定手段で推定された前記光プローブの押付力を告知する告知手段と、を備えたことを特徴とする光断層画像化装置を提供する。
【0018】
本発明では、光断層画像から測定対象の表面形状を検出し、検出した表面形状に基づいて、測定対象に対する光プローブの押付力を推定する。すなわち、押付力によって測定対象の表面形状が変化するので、光プローブを押し付けたときの測定対象の表面形状を求めて、押付力を推定する。これにより、光プローブの先端に圧力センサ等を設けたりしなくても、押付力を確認することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、前記押付力推定手段は、前記測定対象の表面を画する曲線を抽出し、該曲線の微分係数の絶対値の積分値を評価値として算出し、該評価値に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項6に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0020】
本発明では、測定対象の表面を画する曲線(測定対象の表面形状を表す曲線)を抽出し、その曲線の微分係数の絶対値の積分値を評価値として求め、求めた評価値に基づいて押付力を推定する。一般に測定対象の表面形状は、光プローブの押付力が大きくなるほど大きく変形する(光プローブの外周に巻き付く量が大きくなる)。曲線の微分係数の絶対値の積分値は、その曲線の変形の程度を示す指標となるので、曲線の微分係数の絶対値の積分値を求めることにより、曲線の変形の程度を知ることができる。したがって、測定対象の表面を画する曲線の微分係数の絶対値の積分値を求めることにより、その大小によって押付力を推定することができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記押付力推定手段は、前記評価値が、あらかじめ設定された適正範囲内であるか否かを判定して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項7に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0022】
本発明では、求めた評価値が、あらかじめ設定された適正範囲内にあるか否かを判定して、押付力を推定する。すなわち、求めた評価値が適正範囲内であれば、適正な押付力と推定する。その一方で求めた評価値が適正範囲を下回っていれば、押付力不足と推定し、上回っていれば、押付過剰と推定する。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記測定対象ごとに前記適正範囲が設定されることを特徴とする請求項8に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0024】
本発明によれば、測定対象ごとに適正範囲が設定される。硬い組織と柔らかい組織とでは、同じ押付力で押し付けても、光プローブに接触する領域が変わるので、測定対象ごとに適正範囲を設定することにより、より正確に押付力を推定することができる。
【0025】
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、前記押付力推定手段は、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力と、前記評価値との関係を表すテーブルを参照して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項7に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0026】
本発明では、あらかじめ用意された評価値と押付力との関係を表すテーブルを参照して、押付力を推定する。すなわち、評価値は押付力によって変わるので、あらかじめ評価値と押付力との関係を求めておき、その関係をテーブルに記録しておくことにより、テーブルを参照するだけで、評価値から押付力を求めることができる。
【0027】
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記測定対象ごとに前記テーブルが用意されることを特徴とする請求項10に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0028】
本発明によれば、測定対象ごとにテーブルが用意され、記憶手段に記録される。これにより、より正確に押付力を推定することができる。
【0029】
請求項12に係る発明は、前記目的を達成するために、表示手段を備え、前記告知手段は、前記光断層画像取得手段で取得された光断層画像とともに、前記押付力推定手段で推定した前記光プローブの押付力を前記表示手段に表示させて、前記光プローブの押付力を告知することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0030】
本発明によれば、求めた光プローブの押付力の情報が光断層画像とともに表示手段に表示されて告知される。これにより、光断層画像が表示される画面と同じ画面上で押付力を確認することができる。
【0031】
請求項13に係る発明は、前記目的を達成するために、前記押付力推定手段で推定した前記光プローブの押付力に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力の適否を判定する判定手段と、前記判定手段によって前記光プローブの押付力が適正ではないと判定された場合に警告する警告手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光断層画像化装置を提供する。
【0032】
本発明によれば、押付力の適否が判定され、押付力が適正でないと、警告がなされる。これにより、過剰な押し付けなどによる光プローブの破損等を防止することができる。
【0033】
請求項14に係る発明は、前記目的を達成するために、光源と、前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段とを備えた光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法であって、前記測定対象に対する前記光プローブの接触領域を検出し、該接触領域の大きさに基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法を提供する。
【0034】
本発明によれば、測定対象に対する光プローブの接触領域が検出され、その接触領域の大きさに基づいて、測定対象に対する光プローブの押付力が推定される。すなわち、接触の程度に基づいて、光プローブの押付力が推定される。
【0035】
請求項15に係る発明は、前記目的を達成するために、光源と、前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段とを備えた光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法であって、前記光断層画像に基づいて、前記測定対象の表面の形状を検出し、該表面の形状に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法を提供する。
【0036】
本発明によれば、測定対象の表面の形状に基づいて、測定対象に対する光プローブの押付力が推定される。すなわち、測定対象の表面の変形の程度に基づいて、光プローブの押付力が推定される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、既存の光プローブを用いて測定対象への光プローブの押付力を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】光断層画像化装置と内視鏡装置とで構成される画像診断装置の外観図
【図2】光断層画像化装置の構成を示すブロック図
【図3】プローブ挿入部の先端の構成を示す側面断面図
【図4】OCTプロセッサに備えられた処理部の構成を示すブロック図
【図5】光プローブの回転方向の測定位置の情報を説明するための説明図
【図6】干渉信号にFFTをかけて取得した計算結果の模式的な一例を示すグラフ
【図7】接触領域の検出方法を説明するための説明図
【図8】光プローブを用いて光断層画像を取得する様子を示す図
【図9】干渉信号に基づいて光プローブ外周の位置の検出する手順を示すフローチャート
【図10】シースと測定対象との接触領域を検出する手順を示すフローチャート
【図11】光断層画像を作成するための画像処理の手順を示すフローチャート
【図12】測定対象との接触領域の情報に基づいて光プローブの押付力を推定する手順を示すフローチャート
【図13】モニタ装置に表示される画面の一例を示す図
【図14】モニタ装置に表示される画面の他の一例を示す図
【図15】光プローブを押し付けたときの測定対象の表面形状を模式的に表した図
【図16】光断層画像化装置の処理部の他の実施の形態の構成を示すブロック図
【図17】光断層画像から押付力を推定する手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0040】
≪画像診断装置≫
図1は、光断層画像化装置と内視鏡装置とで構成される画像診断装置の外観図である。
【0041】
同図に示すように、画像診断装置10は、内視鏡装置12と、光断層画像化装置14と、モニタ装置16とで構成される。内視鏡装置12は、被写体の光学像を電気信号に変換して出力する電子内視鏡装置であり、内視鏡100と、内視鏡プロセッサ200と、光源装置300とで構成される。一方、光断層画像化装置14は、OCTプロセッサ400と光プローブ500とで構成される。画像診断装置10は、内視鏡装置12で取得される画像(観察画像)をモニタ装置16に表示するとともに、光断層画像化装置14で取得される画像(光断層画像)をモニタ装置16に表示する。
【0042】
なお、図1には図示されていないが、画像診断装置10には、この他、所定の操作、情報入力等を行うための入力装置(キーボード、マウス等)が備えられている。
【0043】
〈内視鏡装置〉
内視鏡装置12は、内視鏡100と、内視鏡プロセッサ200と、光源装置300とで構成される。
【0044】
[内視鏡]
内視鏡100は、手元操作部112と内視鏡挿入部114と有し、ユニバーサルケーブル116を介して内視鏡プロセッサ200及び光源装置300に接続される。
【0045】
手元操作部112には、送気・送水ボタン130、アングルノブ132、吸引ボタン134、シャッタボタン136等の各種操作ボタン類が設けられている。術者は、これらの操作ボタン類を操作して、所要の操作を行う。
【0046】
また、手元操作部112には、内視鏡挿入部114の先端に設けられた鉗子口156に連通された鉗子挿入口138が設けられており、この鉗子挿入口138を利用して、光断層画像化装置14の光プローブ500が被検者の体腔内に挿入される。
【0047】
内視鏡挿入部114は、可撓性を有する軟性部140と、手元操作部112のアングルノブによって湾曲操作される湾曲部142と、先端部144とで構成される。被検者の体内には、この内視鏡挿入部114が挿入される。
【0048】
先端部144の端面には、観察光学系150、一対の照明光学系152、洗浄ノズル154、鉗子口156が設けられている。観察光学系150は、被写体の光学像を図示しない固体撮像素子(たとえば、CCD等)の受光面上に結像させる。固体撮像素子は、受光面上に結像された被写体の光学像を電気信号(画像信号)に変換して出力する。照明光学系152は、観察光学系150の撮影範囲に向けて照明光を照射する。洗浄ノズル154は、観察光学系150に向けて水又はエアを選択的に噴射し、観察光学系150を洗浄する。
【0049】
[内視鏡プロセッサ]
内視鏡プロセッサ200は、画像信号処理回路(図示せず)を内蔵しており、内視鏡100からCCDの画像信号を取り込み、観察画像の画像データを生成する。生成された観察画像の画像データは、モニタ装置16に出力可能な信号形式に変換されて、モニタ装置16に出力される。これにより、内視鏡100で得られた観察画像がモニタ装置16に表示される。
【0050】
[光源装置]
光源装置300は、光源(図示せず)を内蔵しており、照明光学系152から照射する照明光を内視鏡100に供給する。光源の光は、ライトガイド(図示せず)を介して照明光学系152に射出され、照明光学系152によって被写体に向けて照射される。
【0051】
〈光断層画像化装置〉
図2は、光断層画像化装置の構成を示すブロック図である。
【0052】
光断層画像化装置14は、OCTプロセッサ400と光プローブ500とで構成される。
【0053】
[OCTプロセッサ]
図2に示すように、光断層画像化装置14は、主として、光源ユニット412と、光源ユニット412から射出された光を測定光と参照光に分岐し、かつ、測定対象からの反射光と参照光を合波して干渉光を生成する分岐合波部414と、分岐部416と、参照光の光路長を調整する光路長調整部418と、分岐合波部414で生成された干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出部420と、干渉光検出部420で検出された干渉信号を処理する処理部422とを有している。
【0054】
〔光源ユニット〕
光源ユニット412は、半導体光増幅器440と、光分岐部442と、コリメータレンズ444と、回折格子素子446と、光学系448と、回転多面鏡450とを有し、周波数を一定の周期で掃引させたレーザ光Laを射出する。
【0055】
半導体光増幅器440は、駆動電流が印加されることにより、微弱な放出光を射出し、また、入射された光を増幅する。この半導体光増幅器440には、光ファイバFB10が接続されている。具体的には、光ファイバFB10の一端は、半導体光増幅器440から光が射出される部分に接続され、光ファイバFB10の他端は、半導体光増幅器440に光を入射する部分に接続されている。半導体光増幅器440から射出された光は、光ファイバFB10に射出され、再び半導体光増幅器440に入射する。このように、半導体光増幅器440と光ファイバFB10とで光路のループを形成することにより、半導体光増幅器440及び光ファイバFB10が光共振器となり、半導体光増幅器440に駆動電流が印加されることにより、パルス状のレーザ光が生成される。
【0056】
光分岐部442は、光ファイバFB10の光路上に設けられている。この光分岐部442には、光ファイバFB11が接続されており、光ファイバFB10内を導波する光の一部を光ファイバFB11に分岐させる。
【0057】
コリメータレンズ444は、光ファイバFB11の他端に配置されており、光ファイバFB11から射出された光を平行光にする。
【0058】
回折格子素子446は、コリメータレンズ444で生成された平行光の光路上に所定角度傾斜して配置されている。回折格子素子446は、コリメータレンズ444から射出される平行光を分光する。
【0059】
光学系448は、回折格子素子446で分光された光の光路上に配置されている。光学系448は、複数のレンズで構成されており、回折格子素子446で分光された光を屈折させ、屈折させた光を平行光にする。
【0060】
回転多面鏡450は、光学系448で生成された平行光の光路上に配置されており、光学系448から射出された平行光を反射する。この回転多面鏡450は、図1中矢印R1方向に等速で回転する断面正八角形の柱状の回転体であり、回転することにより、各側面(反射面)の角度が光学系448の光軸に対して変化する。
【0061】
光ファイバFB11から射出された光は、コリメータレンズ444、回折格子素子446、光学系448を通り、回転多面鏡450で反射され、反射された光は、光学系448、回折格子素子446、コリメータレンズ444を通り、光ファイバFB11に入射される。
【0062】
ここで、上述したように、回転多面鏡450の反射面の角度が光学系448の光軸に対して変化するため、回転多面鏡450が、光を反射する角度は時間により変化する。このため、回折格子素子446により分光された光のうち、特定の周波数域の光だけが再び光ファイバFB11に入射する。
【0063】
ここで、光ファイバFB11に入射する特定の周波数域の光は、光学系448の光軸と回転多面鏡450の反射面との角度により決まるため、光ファイバFB11に入射する光の周波数域は、光学系448の光軸と回転多面鏡450の反射面との角度により変化する。
【0064】
光ファイバFB11に入射した特定の周波数域の光は、光分岐部442から光ファイバFB10に入射され、光ファイバFB10の光と合波される。これにより、光ファイバFB10に導光されたパルス状のレーザ光が、特定の周波数域のレーザ光となり、この特定周波数域のレーザ光Laが光ファイバFB1に射出される。
【0065】
ここで、回転多面鏡450が矢印R1方向に等速で回転しているため、再び光ファイバFB11に入射される光の波長λは、時間の経過に伴って一定の周期で変化する。これにより、光ファイバFB1に射出されるレーザ光Laの周波数も、時間の経過に伴った一定の周期で変化する。
【0066】
光源ユニット412は、このような構成であり、波長掃引されたレーザ光Laを光ファイバFB1側に射出する。
【0067】
〔分岐合波部〕
分岐合波部414は、たとえば、2×2の光ファイバカプラで構成される。この分岐合波部414には、光ファイバFB1と、光ファイバFB2と、光ファイバFB3と、光ファイバFB4とが接続される。
【0068】
この分岐合波部414は、光源ユニット412から光ファイバFB1を介して入射したレーザ光Laを測定光L1と参照光L2とに分割する。そして、測定光L1を光ファイバFB2に入射させ、参照光L2を光ファイバFB3に入射させる。
【0069】
また、分岐合波部414は、光路長調整部418から光ファイバFB3を介して入射した参照光L2と、光プローブ500から光ファイバFB2を介して入射した測定対象Sからの反射光L3とを合波して干渉光を生成し、生成した干渉光を干渉光L4と干渉光L5とに分割する。そして、干渉光L4を光ファイバFB4に入射させ、干渉光L5を光ファイバFB1に入射させる。
【0070】
〔分岐部〕
分岐部416は、光ファイバFB1の光路上に設けられている。この分岐部416には、光ファイバFB5が接続されており、光ファイバFB1に導波される干渉光L5を光ファイバFB5に入射させる。
【0071】
〔光路長調整部〕
光路長調整部418は、光ファイバFB3から射出された光を平行光にする第1光学レンズ464と、第1光学レンズ464で平行光にされた光を集光する第2光学レンズ466と、第2光学レンズ466で集光された光を反射する反射ミラー468と、第2光学レンズ466及び反射ミラー468を支持する基台470と、基台470を光軸方向に平行な方向に移動させるミラー駆動機構472とを有し、第1光学レンズ464と第2光学レンズ466との距離を変化させることにより、参照光L2の光路長を調整する。
【0072】
第1光学レンズ464は、光ファイバFB3のコアから射出された参照光L2を平行光にするとともに、反射ミラー468で反射された参照光L2を光ファイバFB3のコアに集光する。
【0073】
第2光学レンズ466は、第1光学レンズ464により平行光にされた参照光L2を反射ミラー468上に集光するとともに、反射ミラー468により反射された参照光L2を平行光にする。このように、第1光学レンズ464と第2光学レンズ466とにより共焦点光学系が形成されている。
【0074】
反射ミラー468は、第2光学レンズ466で集光される光の焦点に配置されており、第2光学レンズ466で集光された参照光L2を反射する。
【0075】
光ファイバFB3から射出した参照光L2は、第1光学レンズ464により平行光になり、第2光学レンズ466により反射ミラー468上に集光される。その後、反射ミラー468により反射された参照光L2は、第2光学レンズ466により平行光になり、第1光学レンズ464により光ファイバFB3のコアに集光される。
【0076】
基台470は、第2光学レンズ466と反射ミラー468とを固定する。ミラー駆動機構472は、基台470を第1光学レンズ464の光軸方向(図1矢印A方向)に移動させる。
【0077】
ミラー駆動機構472で、基台470を矢印A方向に移動させることにより、第1光学レンズ464と第2光学レンズ466との距離を変更することができ、参照光L2の光路長を調整することができる。
【0078】
〔干渉光検出部〕
干渉光検出部420は、光ファイバFB4と光ファイバFB5とに接続されており、光ファイバFB4で導波された干渉光L4の光強度を検出するとともに、光ファイバFB5で導波された干渉光L5の光強度を検出し、得られた干渉光L4、L5の光強度の情報に基づいて、干渉信号を生成する。
【0079】
〔処理部〕
処理部422は、干渉光検出部420で検出した干渉信号を処理して、光断層画像を生成する。
【0080】
また、処理部422は、干渉光検出部420で検出した干渉信号を処理して、測定対象Sに対する光プローブ500の接触領域、より正確には、光プローブ500のシース(光プローブ500の外筒)552の外周面と測定対象Sの表面とが接触しているとみなせる領域を検出する。
【0081】
さらに、処理部422は、検出した接触領域の情報に基づいて、測定対象Sに対する押付力を検出(推定)する。
【0082】
この処理部422の構成及び作用については、後に詳述する。
【0083】
[光プローブ]
光プローブ500は、図1に示すように、内視鏡100を介して被検者の体腔内に挿入されるプローブ挿入部502と、光プローブ500を駆動する駆動部504とを有し、ケーブル506を介してOCTプロセッサ400と接続される。
【0084】
〔挿入部〕
図3は、プローブ挿入部の先端の構成を示す側面断面図である。
【0085】
同図に示すように、光プローブ500のプローブ挿入部502は、シース552と、キャップ554と、光ファイバ556と、バネ558と、固定筒560と、ハーフボールレンズ562とで構成される。
【0086】
シース552は、可撓性を有する円筒のカテーテル状の部材であり、測定光L1及び反射光L3を透過可能な素材(本実施の形態では透明素材)で構成されている。なお、シース552は、少なくとも先端部(測定光L1及び反射光L3が通過部位)のみ透明に形成さればよく、必ずしも全体が透明に形成されている必要はない。
【0087】
キャップ554は、シース552の先端に設けられ、シース552の先端を閉塞する。
【0088】
光ファイバ556は、シース552の内部にシース552に沿って収容されており、光プローブ500をOCTプロセッサ400に接続すると、OCTプロセッサ400の光ファイバFB2に接続される。この光ファイバ556は、光ファイバFB2から射出された測定光L1をハーフボールレンズ562まで導波するとともに、ハーフボールレンズ562で取得した測定対象Sからの反射光L3を光ファイバFB2まで導波する。
【0089】
バネ558は、光ファイバ556の外周に配置されている。
【0090】
ハーフボールレンズ562は、光ファイバ556の先端に配置されており、測定部を構成する。このハーフボールレンズ562は、光ファイバ556から射出された測定光L1を集光して、測定対象Sに向けて射出するとともに、測定対象Sからの反射光L3を集光して、光ファイバ556に入射する。
【0091】
固定筒560は、光ファイバ556の先端に配置されており、ハーフボールレンズ562を光ファイバ556の端部に固定する。バネ558の先端は、この固定筒560に固定されている。
【0092】
〔駆動部〕
駆動部504は、プローブ挿入部502の基端部に接続されており、内蔵する駆動機構(図示せず)により、プローブ挿入部502の光ファイバ556をシース552内で回転、前後移動させる。
【0093】
プローブ挿入部502の光ファイバ556は、この駆動部504において、光ファイバFB2と接続される。この際、駆動機構により回転駆動される光ファイバ556の回転が、光ファイがFB2に伝達されないように、光ファイバ556と光ファイバFB2とは、ロータリージョイントを介して接続される。
【0094】
また、この駆動部504には、光ファイバ556の回転、移動を検出して、測定光L1の照射位置、すなわち、測定位置(回転方向の測定位置と、軸方向の測定位置)を検出する測定位置検出センサ(図示せず)が備えられている。この測定位置検出センサで検出された測定位置の位置情報は、ケーブル506を介して、OCTプロセッサ400の処理部422に取り込まれる。
【0095】
〈処理部の構成の詳細〉
図4は、OCTプロセッサに備えられた処理部の構成を示すブロック図である。
【0096】
同図に示すように、処理部422は、干渉信号取得部480と、A/D変換部482と、接触領域検出部484と、光断層画像生成部486と、補正部488と、押付力推定部490とを備えている。
【0097】
[干渉信号取得部]
干渉信号取得部480は、干渉光検出部420で検出された干渉信号を取得するとともに、駆動部504の測定位置検出センサ(図示せず)で検出された測定位置の位置情報を取得し、干渉信号と測定位置の位置情報とを対応付ける。
【0098】
図5は、光プローブの回転方向の測定位置の情報を説明するための説明図である。
【0099】
本実施形態では、ハーフボールレンズ562の回転速度と、測定光L1の周波数を掃引させる周期とから、ハーフボールレンズ562の1回転あたりの測定回数が決定する。一例として、本実施形態では、ハーフボールレンズ562が1回転する間に干渉信号を1024回取得するものとする。なお、ハーフボールレンズ562の回転と、干渉信号の取得(すなわち、測定光L1の掃引の周期)は、一定である。
【0100】
したがって、図5に示すように、測定光L1の回転方向の位置、すなわち、回転方向の測定位置は、n=1から順に回転中心を中心として所定角度ずつ移動していく。このように干渉信号を取得した位置は、所定角度ずつ移動するため、それぞれの干渉信号の測定位置にライン番号nを対応付けることができる。また、ハーフボールレンズ562は回転しているため、n=1024の測定位置とn=1の測定位置とは隣接している。
【0101】
測定位置の位置情報が対応付けられた干渉信号は、A/D変換部482に出力される。
【0102】
[A/D変換部]
干渉光検出部420から出力される干渉信号は、アナログ信号である。A/D変換部482は、このアナログ信号として出力されている干渉信号をデジタル信号に変換する。デジタル変換された干渉信号は、接触領域検出部484及び光断層画像生成部486に出力される。
【0103】
[接触領域検出部]
接触領域検出部484は、A/D変換部482でデジタル信号に変換された干渉信号をFFT(高速フーリエ変換)にかけ、干渉信号の周波数成分と強度との関係を取得し、取得した周波数成分と深さ方向(回転中心から離れる方向)とを対応付けることにより、深さ方向と強度との関係の情報を取得する。そして、取得した深さ方向と強度との関係の情報から、測定光L1が透過する位置におけるシース552の表面の位置(光プローブ外周の位置)を検出し、測定光L1が透過する位置におけるシース552と測定対象Sとの接触状態を検出する。
【0104】
ここで、測定光L1が透過する位置における光プローブ外周の位置の検出と、シース552と測定対象Sとの接触状態の検出は、次のようにして行われる。
【0105】
〔光プローブ外周の位置検出〕
まず、任意の1ライン分の干渉信号にFFTをかけて取得した周波数成分と強度との関係の情報を更に処理し、深さ方向と強度との関係の情報を取得する。
【0106】
図6は、干渉信号にFFTをかけて取得した計算結果の模式的な一例を示すグラフである。なお、図6では、横軸を深さ方向とし、縦軸を強度とした。
【0107】
同図に示すように、強度が高くなっている部分や、強度のピークを検出している位置が、物性が変わっている位置となる。したがって、この位置が、空気と物質、又は、物質と他の特性の物質との境界位置となる。
【0108】
なお、ピークの定義は、特に限定されず、強度が一定以上の値となった場合、また、強度の変化量が一定以上となった場合等種々の設定とすることができる。
【0109】
ここで、ハーフボールレンズ562から射出された測定光L1が、最も近い位置で反射する物質がシース552であるため、最初のピーク位置、すなわち、ハーフボールレンズ562に最も近い位置で検出されたピーク(図6では、ピークP1)が、光プローブ外周の位置となる。
【0110】
なお、ハーフボールレンズ562とシース552は、回転中心を中心として同心円状に配置されているため、ハーフボールレンズ562の回転中心と光プローブ外周の位置は、測定位置によらず一定距離となる。したがって、1つのラインで検出した光プローブ外周の位置を、全周の光プローブ外周の位置とすることができる。
【0111】
以上のようにして、光プローブ外周の位置を検出する。
【0112】
〔接触状態の検出〕
まず、光プローブ外周の位置の検出と同様に、1ライン分の干渉信号にFFTをかけ、深さ方向の情報を取得する。検出結果は、図6に示すグラフと同様に、深さ方向に複数のピークが検出される。この複数検出されたピークのうち、最初のピーク(図6では、ピークP1)が、シースを検出したピークであり、このシースを検出したピークに最も近い位置のピーク(図6では、ピークP2)が、測定対象の表面となる。すなわち、回転中心に2番目に近い位置(2番目に浅い位置)のピークの位置が測定対象Sの表面の位置となる。
【0113】
次に、検出した測定対象Sの表面と光プローブ外周との間の距離を検出し、検出した距離が閾値以下の場合は、測定対象Sと光プローブ外周とが接触状態である判定する。一方、検出した距離が閾値より大きい場合は、測定対象Sと光プローブ外周とが非接触状態であると判定する。
【0114】
以上のようにして、測定光L1が透過する位置におけるシース552と測定対象Sとの接触状態を検出する。
【0115】
このような、検出をラインごとに行い、測定領域の全周で、測定対象Sと光プローブ外周との接触状態を検出する。
【0116】
〔接触領域の検出〕
接触領域の検出は、上記のようにして検出した光プローブ全周の接触状態の検出結果に基づいて行われる。すなわち、測定対象Sと光プローブ外周とが接触状態である判定している領域を接触領域として検出する。
【0117】
図7(A)及び(B)は、接触領域の検出方法を説明するための説明図である。なお、図7(A)及び(B)に示す円C1は、光プローブ外周を示す円である。
【0118】
同図(A)に示すように、全周のピークを検出することにより、測定対象Sの表面S1、S2が検出される。ここで、表面S1は、シース552と測定対象Sとが接触している部分があり、表面S2を含むその他の領域は、シース552から離れた位置にある。このような場合、接触領域検出部484は、同図(B)に示すように、表面S1の接触している部分を中心とした一定範囲の領域D1を接触領域として検出する。
【0119】
接触領域検出部484は、以上のようにして検出した接触領域の情報を光断層画像生成部486及び押付力推定部490に出力する。
【0120】
[光断層画像生成部]
光断層画像生成部486は、A/D変換部482でデジタル信号に変換された干渉信号を処理することにより、深さ方向の光断層画像を生成する。
【0121】
ここで、光断層画像の生成について簡単に説明する。なお、この点の詳細については、「武田 光夫、「光周波数走査スペクトル干渉顕微鏡」、光技術コンタクト、2003、Vol41、No7、p426−p432」に詳しい記載がなされている。
【0122】
測定光L1が測定対象Sに照射されたとき、測定対象Sの各深さからの反射光L3と参照光L2とがいろいろな光路長差をもって干渉しあう際の各光路長差lに対する干渉縞の光強度をS(l)とすると、干渉光検出部420において検出される干渉信号の光強度I(k)は、 I(k)=∫0∞S(l)[1+cos(kl)]dl で表される。ここで、kは波数、lは光路長差である。上式は波数k=ω/cを変数とする光周波数領域のインターフェログラムとして与えられていると考えることができる。このため、光断層画像生成部486において、干渉光検出部420で検出したスペクトル干渉縞に高速フーリエ変換を施し、干渉光L4の光強度S(l)を決定することにより、測定対象Sの測定開始位置からの距離情報と反射強度情報とを取得し、光断層画像を生成することができる。
【0123】
なお、光断層画像生成部486は、接触領域検出部484から出力された接触領域の情報に基づいて、接触領域の干渉信号のみを処理して光断層画像を生成する。これにより、処理速度の高速化を図ることができる。
【0124】
[補正部]
補正部488は、光断層画像生成部486により生成された光断層画像に対し、対数変換、ラジアル変換を施し、ライン番号順に配置し、光学レンズの回転中心を中心とした円形の画像とする。また、光断層画像に対し、鮮鋭化処理、平滑化処理等を施すことにより画質を補正する。
【0125】
補正部488で画質補正が施された光断層画像の画像データは内視鏡プロセッサ200に出力される。
【0126】
ここで、光断層画像の送信タイミングは特に限定されず、1ラインの処理が終わる毎に表示部に送信し、1ライン毎に書き換えて表示させてもよく、全ラインの処理(すなわち、光学レンズを1周させて取得した画像の処置)が終了し1枚の円形の光断層画像を形成した段階で送信してもよい。
【0127】
内視鏡プロセッサ200は、補正部488から得られた光断層画像の画像データをモニタ装置16に表示可能な信号形式に変換して、モニタ装置16に出力する。これにより、光断層画像がモニタ装置16に表示される。
【0128】
[押付力推定部]
押付力推定部490は、接触領域検出部484から出力された接触領域の情報に基づいて、測定対象Sに対する光プローブ500の押付力を推定する。
【0129】
すなわち、測定対象Sに対する光プローブ500の押付力を変えると、それに応じて接触領域も変化するので、測定対象Sに対する光プローブ500の接触領域の大きさから光プローブ500の押付力を推定する。
【0130】
具体的には、接触領域の情報に基づいて、接触範囲(たとえば、シース552の中心と接触領域がなす角度)の大きさを求め、求めた接触範囲が、あらかじめ設定された適正範囲内か否かを判定して、押付力の適否を判定する。ここで、求めた接触範囲が、あらかじめ設定された適正範囲内であれば、適正な押付力と判定(推定)する。一方、接触範囲が適正範囲の下限値を下回っていれば、押付不足と判定(推定)し、適正範囲の上限値を上回っていれば、押付過剰と判定(推定)する。
【0131】
このようにして、接触領域の大きさから光プローブの押し付け力の適否を判定(推定)し、その判定結果を内視鏡プロセッサ200に出力する。
【0132】
内視鏡プロセッサ200は、得られた判定結果に基づいて、モニタ装置16に表示するための表示データを生成し、モニタ装置16に出力する。
【0133】
なお、ここでの表示フォーマットは、特に限定されるものではなく、光プローブの押し付け力の適否が分かる形態であればよい。たとえば、適正、不足、過剰として表示する。
【0134】
また、適正範囲(上限値、下限値)は、たとえば、実験等により事前に求めて設定され、押付力推定部490に備えられたメモリ(図示せず)に記憶される。
【0135】
光断層画像化装置14を含む画像診断装置10の構成は以上のとおりである。
【0136】
≪画像診断装置の作用≫
次に、光断層画像化装置14を含む画像診断装置10の作用について説明する。
【0137】
図8は、光プローブを用いて光断層画像を取得する様子を示す図である。
【0138】
光プローブ500は、内視鏡100の鉗子チャンネルを利用して、被検者の体腔内に挿入される。すなわち、内視鏡100の手元操作部112に設けられた鉗子挿入口138にプローブ挿入部502を挿入し、そのプローブ挿入部502の先端を内視鏡100の先端部144に設けられた鉗子口156から突出させて、体腔内に挿入される。
【0139】
測定は、鉗子口156から突出させた光プローブ500のプローブ挿入部502の先端を測定対象Sに押し当てて行われる(シース552を測定対象Sに押し当てる。)。
【0140】
まず、測定対象Sを測定した干渉光及び干渉信号の取得方法について説明する。
【0141】
まず、ミラー駆動機構472で基台470を矢印A方向に移動させることにより、測定可能領域内に測定対象Sが位置するように光路長を調整し、設定する。その後、光源ユニット412からレーザ光Laを射出する。射出されたレーザ光Laは、分岐合波部414により測定光L1と参照光L2とに分割される。
【0142】
測定光L1は、光ファイバFB2及び光プローブ500を導波されて、測定対象Sに照射される。そして、測定対象Sの各深さ位置で反射された光が、反射光L3として光プローブ500に入射する。この反射光L3は、光プローブ500及び光ファイバFB2を介して分岐合波部414に入射される。
【0143】
一方、参照光L2は光ファイバFB3を介して光路長調整部418に入射される。そして、光路長調整部418により光路長が調整された参照光L2が再び光ファイバFB3を導波し分岐合波部414に入射される。
【0144】
分岐合波部414に入射された参照光L2は、測定対象Sからの反射光L3と合波され、干渉光が生成される。干渉光は、干渉光L4と干渉光L5とに分岐され、干渉光検出部420に入力されて、干渉信号として検出される。
【0145】
干渉信号は以上のようにして検出される。次に、干渉信号の処理方法について説明する。
【0146】
まず、干渉信号に基づいて光プローブ外周の位置を検出する方法について説明する。
【0147】
図9は、干渉信号に基づいて光プローブ外周の位置の検出する手順を示すフローチャートである。
【0148】
まず、任意の1ライン分の干渉信号を取得する(ステップS10)。具体的には、上述した方法で参照光L2と反射光L3とを合波されて生成された干渉光を干渉信号として干渉光検出部420で検出する。
【0149】
次に、アナログ信号として干渉光検出部420から出力される干渉信号をA/D変換部482でデジタル信号に変換する(ステップS12)。
【0150】
次に、A/D変換した干渉信号にFFTをかけて周波数成分と強度との関係の情報を取得し、さらに処理して深さ方向と強度との関係を取得することにより、ピーク位置を検出する(ステップS14)。ここで、上述したようにピーク位置は、光を反射した位置となり、基本的に物質の境界面となる。検出したピーク位置から光プローブ外周の位置を検出する(ステップS16)。具体的には、ピーク位置のうち、ハーフボールレンズ562に最も近い位置で検出されたピークを、光プローブ外周の位置として検出する。このようにして、光プローブ外周の位置を検出する。
【0151】
次に、シース552と測定対象Sとの接触領域を検出する方法について説明する。
【0152】
図10は、シースと測定対象との接触領域を検出する手順を示すフローチャートである。
【0153】
まず、ライン番号nをn=1とする(ステップS20)。ここで、ライン番号とは、任意の1ラインを基準として干渉信号の測定位置の順番に付されている番号である。本実施の形態では、ハーフボールレンズ562が一回転する間に干渉信号を1024回検出するので、1から1024まで番号が付されたラインが等間隔に配列されている(図5参照)。
【0154】
次に、ライン番号nの干渉信号を取得する(ステップS22)。具体的には、上述した方法で参照光L2と反射光L3とを合波されて生成された干渉光を干渉信号として干渉光検出部420で検出する。ここで、ライン番号は、干渉信号取得部480で干渉信号に対応付けられた位置情報で判定することができる。
【0155】
取得した干渉信号のライン番号がnでない場合は、ライン番号nの干渉信号が検出されるまで、干渉信号の取得を繰り返す。
【0156】
次に、アナログ信号として干渉光検出部420から出力される干渉信号をA/D変換部482でデジタル信号に変換する(ステップS24)。
【0157】
次に、A/D変換した干渉信号にFFTをかけ、ピーク位置を検出する(ステップS26)。ここで、上述したように、ピーク位置は、光を反射した位置となり、基本的に物質の境界面となる。
【0158】
次に、検出したピーク位置から測定対象Sの表面の位置を検出する(ステップS28)。ここで、測定対象Sと光プローブ500との間に他の物体は基本的に介在しない。したがって、上記ステップS16で検出したシースを検出した位置に最も近い位置のピーク、すなわち、回転中心に2番目に近い位置(2番目に浅い位置)のピークの位置を測定対象Sの表面の位置として検出する。
【0159】
次に、検出した測定対象Sの表面と光プローブ外周との距離を検出し、検出した距離が閾値X以下であるかを判定する(S30)。
【0160】
ここで、検出した距離が閾値X以下の場合は、測定対象Sと光プローブ外周とが接触状態であると判定(ステップS32)して、ステップS36に進む。
【0161】
一方、検出した距離が閾値Xより大きい場合は、測定対象Sと光プローブ外周とが非接触状態であると判定(ステップS34)して、ステップS36に進む。
【0162】
次に、ライン番号nがNであるかを判定する(ステップS36)。ここで、Nは、ラインの合計数(すなわち、全ラインの数)であり、本実施形態ではN=1024である。
【0163】
ライン番号nがNでなかった場合は、n=n+1とし(ステップS38)、ステップS22に進む。nを1大きくした後、ステップS22に進むことにより、1つ隣のライン番号の光プローブ外周と測定対象との接触の有無の判定を行う。
【0164】
他方、ライン番号nがNである場合は、各ラインの接触判定は終了し、接触範囲テーブルを作成する(ステップS40)。
【0165】
ここで、接触範囲テーブルは、接触していると判定した領域を中心として所定範囲の領域として検出する。たとえば、ライン番号(a+10)から(b−30)までが接触していると判定されている場合は、ライン番号aからライン番号bまでを接触領域とする。なお、接触範囲テーブルの設定方法は、あらかじめ入力されている設定条件に基づいて決定される。
【0166】
このようにして、接触範囲テーブルを作成し、接触領域の検出処理は終了となる。
【0167】
光プローブ外周と測定対象との接触領域は、以上のようにして検出する。
【0168】
次に、光断層画像を作成するための画像処理の方法について説明する。
【0169】
図11は、光断層画像を作成するための画像処理の手順を示すフローチャートである。
【0170】
まず、任意のライン番号であるライン番号nの干渉信号を取得する(ステップS50)。具体的には、上述した方法で参照光L2と反射光L3とを合波されて生成された干渉光を干渉信号として干渉光検出部420で検出する。
【0171】
次に、アナログ信号として干渉光検出部420から出力される干渉信号をA/D変換する(ステップS52)。
【0172】
次に、ライン番号nがステップS40で作成した接触範囲テーブルに含まれるか、すなわち、接触領域であるライン番号aからライン番号bの間に含まれるか否か(a≦n≦bであるか否か)を判定する(ステップS54)。
【0173】
ここで、ライン番号nが、a≦n≦bを満たしている場合は、A/D変換した干渉信号にFFTをかける(ステップS56)。
【0174】
次に、FFTをかけた結果から、ライン番号nの光断層画像を取得する(ステップS58)。
【0175】
ここで、光断層画像は、上述したようにFFTの結果に基づいて、所定の処理を施し画像を取得する。
【0176】
光断層画像を取得したら、ステップS62に進む。
【0177】
一方、ライン番号nが、a≦n≦bを満たしていない場合、すなわち、n<a又はb<nの場合は、マスク化処理をする(ステップS60)。
【0178】
ここで、マスク化処理とは、FFT及び光断層画像を取得するための処理を行わず、ライン番号nの画像を黒画像又は一定の決まった画像とする。
【0179】
マスク化処理が終了したら、ステップS62に進む。
【0180】
次に、終了指示があるか否かを判定する(ステップS62)。
【0181】
終了指示がない場合は、n=n+1とし(ステップS64)、その後、ステップS50に進む。nを1大きくした後、ステップS50に進むことにより、1つ隣のライン番号の光断層画像の取得処理を行う。
【0182】
なお、図示は省略したが、n=N+1となった場合は、nを1とし、終了指示があるまで、光断層画像の取得を続ける。
【0183】
終了指示がある場合は、処理を終了する。
【0184】
以上のようにして測定対象の光断層画像を取得する。
【0185】
このようにして取得されたマスク処理された領域の画像情報と光断層画像は、補正部488に出力され、ラジアル処理、鮮鋭化処理等の表示するための画像処理が施される。その後、内視鏡プロセッサ200に送られ、モニタ装置16に出力するための所要の信号処理が施されて、モニタ装置16に出力される。
【0186】
次に、測定対象との接触領域から光プローブの押付力を推定する方法について説明する。
【0187】
図12は、測定対象との接触領域の情報に基づいて光プローブの押付力を推定する手順を示すフローチャートである。
【0188】
まず、接触領域の情報を取得し、光プローブ500に対する測定対象Sの接触範囲の大きさを求める(ステップS70)。
【0189】
そして、求めた接触範囲の大きさが、あらかじめ設定された適正範囲内か否かを判定して、光プローブ500の押付力を推定する。
【0190】
具体的には、まず、求めた接触範囲の大きさが、あらかじめ設定された適正範囲の上限値(閾値max)と比較し、上限値を超えているか否かを判定する(ステップS72)。
【0191】
ここで、接触範囲の大きさが、適正範囲の上限値を超えていると判定すると、押付過剰と判定する(ステップS76)。
【0192】
一方、接触範囲の大きさが、適正範囲の上限値以下と判定すると、次に、適正範囲の下限値(閾値min)と比較する(ステップS73)。
【0193】
この結果、求めた接触範囲の大きさが、適正範囲の下限値以下であると判定すると、押付力は適正と判定する(ステップS75)。
【0194】
一方、求めた接触範囲の大きさが、適正範囲の下限値を下回っていると判定すると、押付力不足と判定する(ステップS74)。
【0195】
このように、接触領域の情報に基づいて、接触対象Sに対する光プローブ500の押付力を推定する。
【0196】
求めた押付力の情報は、内視鏡プロセッサ200に出力される。内視鏡プロセッサ200は、得られた押付力の情報に基づいて、モニタ装置16に表示するための表示データを生成し、モニタ装置16に出力する。これにより、モニタ装置16に接触対象Sに対する光プローブ500の押付力の情報が表示される。
【0197】
図13は、モニタ装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0198】
同図に示すように、本実施の形態の画像診断装置10では、モニタ装置16の画面に内視鏡装置12で取得される内視鏡画像(内視鏡100による観察画像)と、光断層画像化装置14で取得される光断層画像とが並列して表示される。
【0199】
押付力推定部490で推定された光プローブ500の押付力の情報は、この内視鏡画像、光断層画像と共にモニタ装置16に表示される。本例では、光断層画像の下部位置に[光プローブ押付力]として、[不足]、[適正]、[過剰]の情報が表示される(図13では、[適正]の場合が表示されている。)。
【0200】
術者は、このモニタ装置16の画面を確認することにより、現在の光プローブ500の押付力を把握することができる。
【0201】
なお、押付力の表示形態は、これに限定されるものではなく、その他の表示内容等を考慮して、適宜変更することができる。
【0202】
図14は、押付力の他の表示形態の一例を示す図である。本例は、押付力をグラフ表示したものである。同図に示す例では、光断層画像の下部位置にクサビ状のグラフが表示され、そのグラフ中に押付力を示す目盛が表示される。この場合、押付力が適正の場合は、グラフの中央に目盛が表示される(同図は、押付力が適正の場合が表示されている)。一方、押付力が不足の場合は、グラフの左端(クサビの先細の側の端部)に目盛が表示され、押付力が過剰の場合は、グラフの右端(クサビの幅広の側の端部)に目盛が表示される。このように、押付力の程度は、グラフ表示することもでき、これにより、視認性を向上させることができる。
【0203】
また、本例では、光断層画像と共にモニタ装置16に表示する構成としているが、他の表示手段に表示させるようにしてもよい。たとえば、専用の表示装置を用いて表示させるようにしてもよい。また、たとえば、ランプ等を点灯させて表示するようにしてもよい(たとえば、不足、適正、過剰ごとにランプを用意し、検出結果に応じて点灯させるようにしてもよい。)。
【0204】
また、光プローブの押付力を告知する方法は、これに限らず、音声等で表示させるようにしてもよいし、また、これらを併用してもよい。たとえば、押付力の不足、過剰時には、ブザーを鳴らして、警告を促すようにしてもよい(特に過剰時)。
【0205】
以上説明したように、本実施の形態の画像診断装置10によれば、処置中に測定対象Sに対する光プローブ500の押付力を知ることができるので、常に適正な押付力の下で光断層画像の測定処置を行うことができる。
【0206】
また、本実施の形態の光断層画像化装置は、光プローブ500の先端に圧力センサ等を設置したりすることなく、既存の構成で光プローブの押付力を検出することができる。
【0207】
《押付力を推定する他の実施の形態》
〈他の実施の形態1〉
上記のように、押付力を推定する際に用いる接触領域の適正範囲の情報は、あらかじめ実験等により求められるが、測定対象が光プローブに接触する領域は、同じ押付力であっても、測定対象(組織)によって異なる。すなわち、図15に示すように、同じ押付力で光プローブ500を押し付けた場合であっても、測定対象Sが硬い組織の場合は、接触範囲が小さくなり(同図(a))、柔らかい組織の場合は、接触範囲が大きくなる(同図(b))。
【0208】
したがって、1つの光プローブ500で種々の組織を対象として測定を行う場合には、測定対象ごとに適正範囲を設定することが好ましい。
【0209】
この場合、測定対象とする組織ごとに実験等により適正範囲(下限値、上限値)を求め、測定対象と適正範囲とを関連付けたテーブルを作成する。作成したテーブルは、たとえば、押付力推定部490に備えられたメモリ(図示せず)に格納する。
【0210】
術者は、測定時に入力装置(図示せず)から測定対象の情報を入力する(たとえば、あらかじめ用意された測定対象を選択して入力する)。押付力推定部490は、テーブルを参照して、入力された測定対象に対応する適正範囲の情報を取得する。そして、取得した適正範囲の情報に基づいて、押付力の推定処理を実行する。
【0211】
このように、測定対象ごとに適正範囲を設定することにより、より正確に押付力を推定することができる。
【0212】
なお、上記の例では、組織ごとに適正範囲を設定する場合を例に説明したが、より詳細に設定することもできる。たとえば、組織の他、被検者の性別、年齢等を考慮して、測定対象を分類することもできる。
【0213】
また、測定対象の柔らかさの程度に応じて分類することもできる。すなわち、組織の柔らかさの程度は、ある程度事前に分かるので、測定対象とする組織の柔らかさの程度に応じて適正範囲を設定することもできる。たとえば、柔らかい、標準、硬いの3段階に分けて、各段階ごとに適正範囲を設定するようにしてもよい。
【0214】
〈他の実施の形態2〉
上記実施の形態では、接触領域から求めた接触範囲の大きさと、適正範囲との対比により、押付力が、適正か、不足か、過剰かを判定する構成としているが、接触領域から求めた接触範囲の大きさから、より詳細に押付力を推定することもできる。
【0215】
すなわち、上記のように、接触領域は押付力に応じて変化するので、接触範囲を複数の区分に区分け、各区分ごとに対応する押付力を事前に求め、検出した接触範囲が、どの区分に属するかを判定して、押付力を推定する。
【0216】
たとえば、本例の光プローブ500は、シース552が円筒状に形成されているので、たとえば、10分割した場合、接触範囲(ここでは、シース552の中心となす角度)は、1:0°〜36°、2:36°〜72°、3:72°〜108°、4:108°〜144°、5:146°〜180°、6:180°〜216°、7:216°〜252°、8:252°〜288°、9:288°〜324°、10:324°〜360°に区分けされる。したがって、区分けされた各区分ごとに押付力を実験等により求め(測定可能な範囲で求める)、テーブルを作成する(各区分ごとに押付力を関連付けたテーブルを作成する。)。
【0217】
テーブルは、たとえば、押付力推定部490に備えられたメモリ(図示せず)に格納し、このテーブルを参照して、押付力を推定する。たとえば、押付力推定部490は、接触領域検出部484から得られた接触領域の情報に基づいて、接触範囲の大きさ(ここでは、接触領域がシース552の中心となす角度)を求め、求めた接触範囲の大きさが、どの区分に属するかを判定する。そして、対応する区分の押付力の情報を取得する。
【0218】
このように、接触範囲を複数の区分に区分けし、求めた接触範囲が、どの区分に属するかを判定することによって、押付力を推定することにより、より正確な押付力を把握することができる。
【0219】
なお、本実施の形態では、押付力をより詳細に求めることができるので、図14に示すように、押付力をモニタ装置16にグラフ表示する場合は、求めた押付力に応じて目盛の位置を移動させて表示する。すなわち、押付力が大きくなるほど、図中右側(幅広側)に移動して表示する。この場合、たとえば、色を変えるなどして、適正範囲を区分けして表示し、大圧力が適正範囲内であることを視認できるようにすることが好ましい。
【0220】
また、押付過剰時、押付不足時には、たとえば、ブザー等を慣らし、警告することが好ましい。この場合、たとえば、押付過剰時には、押付力の大きさに応じて、ブザーの音量を変えることが好ましい(押付力が大きくなるほど、音が大きくなるようにする。)。
【0221】
また、本実施の形態によれば、押付力をより詳細に求めることができるので、カテーテル状に形成されている光プローブ500の折れ曲がり(キンク)の可能性を予測することができる。すなわち、推定した押付力から光プローブ500の長手軸方向の曲げ応力を計測し、その計測結果から光プローブ500のキンクの可能性を予測することができる。これにより、より安全に使用することができる。
【0222】
なお、本例においても、複数の組織を対象として測定する場合は、測定対象ごとにテーブルを用意することが好ましい。これにより、より正確に押付力を推定することができる。
【0223】
〈他の実施の形態3〉
本実施の形態では、光断層画像化装置14で取得される光断層画像に基づいて、押付力を推定する。
【0224】
図16は、本実施の形態の光断層画像化装置の処理部の構成を示すブロック図である。
【0225】
同図に示すように、本実施の形態の光断層画像化装置の処理部422Aは、補正部488で生成された画質補正後の光断層画像を取得して、押付力を推定する押付力推定部490Aを備えている。
【0226】
この押付力推定部490Aは、補正部488から取得した光断層画像から測定対象Sの表面の形状を求め、求めた表面の形状の変形の程度から押付力を推定する。すなわち、測定対象Sの表面形状は、光プローブ500の押付力に応じて変化するので、その変形の程度に基づいて押付力を推定する。具体的には、取得した光断層画像から表面を画する曲線を抽出し、その変形の度合を評価し、押付力を推定する。より具体的には、光断層画像から表面を抽出し、その表面に形状を次曲線で近似し、近似した3次曲線の微分係数の絶対値の積分値を評価値として算出する。そして、算出した評価値が適正範囲内か否かを判定して、押付力を推定する。すなわち、曲線の微分係数の絶対値の積分値は、曲線の変形の程度を示す指標となるので、これを評価値として求めることにより、評価値の大小から押付力の適否を推定することができる。
【0227】
図17は、光断層画像から押付力を推定する手順を示すフローチャートである。
【0228】
まず、補正部から光断層画像を取得し、測定対象の表面のエッジを抽出する(ステップS80)。
【0229】
次に、抽出したエッジを3次曲線で近似する(ステップS82)。
【0230】
次に、求めた3次曲線の微分係数の絶対値の積分値を算出し、評価値を取得する(ステップS84)。
【0231】
次に、取得した評価値が、あらかじめ設定された適正範囲の上限値(閾値max)を超えているか否かを判定する(ステップS86)。
【0232】
ここで、この適正範囲は、事前に実験等により求められ、押付力推定部490Aに備えられたメモリ(図示せず)に格納される。
【0233】
この判定の結果、評価値が適正範囲の上限値を超えていれば、押付過剰と判定(推定)し(ステップS94)、処理を終了する。
【0234】
一方、評価値が適正範囲の上限値以下と判定すると、次に、評価値が、あらかじめ設定された適正範囲の下限値(閾値min)を下回っているかを判定する(ステップS88)。
【0235】
この判定の結果、評価値が適正範囲の下限値以上と判定すると、押付力は適正であると判定すし(ステップS92)、処理を終了する。
【0236】
一方、評価値が適正範囲の下限値を下回っていれば、押付不足と判定し(ステップS90)、処理を終了する。
【0237】
このように、本実施の形態では、光断層画像に基づいて光プローブ500の押付力を推定する。このため、本実施の形態においても、光プローブ500の先端に圧力センサ等を設置したりすることなく、既存の構成で光プローブの押付力を検出することができる。
【0238】
なお、本例においても、上記他の実施の形態1と同様に、複数の組織を対象として測定する場合は、測定対象ごとに適正範囲を設定することが好ましい。これにより、より正確に押付力を推定することができる。
【0239】
また、本例においても、上記他の実施の形態2と同様に、評価値を複数の区分に区分けし、区分ごとの押付力を事前に求めて設定することにより、より正確に押付力を推定することができる。そして、このように押付力をより詳細に求めるにより、光プローブ500のキンクの可能性を予測することができる。
【0240】
〈その他の実施の形態〉
本発明が適用される光断層画像化装置の構成は、上記実施の形態のものに限らず、たとえば、SD−OCT(spectral domain−OCT)計測により、測定対象の光断層画像を取得する構成や、TD−OCT(time domain−OCT)計測により、測定対象の光断層画像を取得する構成の光断層画像化装置にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0241】
10…画像診断装置、12…内視鏡装置、14…光断層画像化装置、16…モニタ装置、100…内視鏡、112…手元操作部、114…内視鏡挿入部、116…ユニバーサルケーブル、130…送気・送水ボタン、132…アングルノブ、134…吸引ボタン、136…シャッタボタン、138…鉗子挿入口、140…軟性部、142…湾曲部、144…先端部、150…観察光学系、152…照明光学系、154…洗浄ノズル、156…鉗子口、200…内視鏡プロセッサ、300…光源装置、400…OCTプロセッサ、412…光源ユニット、414…分岐合波部、416…分岐部、418…光路長調整部、420…干渉光検出部、422…処理部、422A…処理部、440…半導体光増幅器、442…光分岐部、444…コリメータレンズ、446…回折格子素子、448…光学系、450…回転多面鏡、464…第1光学レンズ、466…第2光学レンズ、468…反射ミラー、470…基台、472…ミラー駆動機構、480…干渉信号取得部、482…A/D変換部、484…接触領域検出部、486…光断層画像生成部、488…補正部、490…押付力推定部、490A…押付力推定部、500…光プローブ、502…プローブ挿入部、504…駆動部、506…ケーブル、552…シース、554…キャップ、556…光ファイバ、558…バネ、560…固定筒、562…ハーフボールレンズ、FB1〜FB11…光ファイバ、S…測定対象、La…レーザ光、L1…測定光、L2…参照光、L3…反射光、L4、L5…干渉光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、
シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、
前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、
前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、
前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、
前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段と、
前記測定対象に対する前記光プローブの接触領域を検出する接触領域検出手段と、
前記接触領域検出手段によって検出された接触領域の大きさに基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定する押付力推定手段と、
前記押付力推定手段で推定された前記光プローブの押付力を告知する告知手段と、
を備えたことを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項2】
前記押付力推定手段は、前記接触領域検出手段によって検出された接触領域が、あらかじめ設定された適正範囲内であるか否かを判定して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像化装置。
【請求項3】
前記測定対象ごとに前記適正範囲が設定されることを特徴とする請求項2に記載の光断層画像化装置。
【請求項4】
接触領域と押付力との関係を表すテーブルが記録された記憶手段を備え、前記押付力推定手段は、前記テーブルを参照して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像化装置。
【請求項5】
前記テーブルは、前記測定対象ごとに用意されて前記記憶手段に記録され、前記押付力推定手段は、測定対象に対応したテーブルを参照して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項4に記載の光断層画像化装置。
【請求項6】
光源と、
前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、
シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、
前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、
前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、
前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、
前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段と、
前記光断層画像取得手段によって取得された光断層画像に基づいて、前記測定対象の表面の形状を検出し、該表面の形状に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定する押付力推定手段と、
前記押付力推定手段で推定された前記光プローブの押付力を告知する告知手段と、
を備えたことを特徴とする光断層画像化装置。
【請求項7】
前記押付力推定手段は、前記測定対象の表面を画する曲線を抽出し、該曲線の微分係数の絶対値の積分値を評価値として算出し、該評価値に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項6に記載の光断層画像化装置。
【請求項8】
前記押付力推定手段は、前記評価値が、あらかじめ設定された適正範囲内であるか否かを判定して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項7に記載の光断層画像化装置。
【請求項9】
前記測定対象ごとに前記適正範囲が設定されることを特徴とする請求項8に記載の光断層画像化装置。
【請求項10】
前記押付力推定手段は、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力と、前記評価値との関係を表すテーブルを参照して、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする請求項7に記載の光断層画像化装置。
【請求項11】
前記測定対象ごとに前記テーブルが用意されることを特徴とする請求項10に記載の光断層画像化装置。
【請求項12】
表示手段を備え、
前記告知手段は、前記光断層画像取得手段で取得された光断層画像とともに、前記押付力推定手段で推定した前記光プローブの押付力を前記表示手段に表示させて、前記光プローブの押付力を告知することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光断層画像化装置。
【請求項13】
前記押付力推定手段で推定した前記光プローブの押付力に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力の適否を判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記光プローブの押付力が適正ではないと判定された場合に警告する警告手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光断層画像化装置。
【請求項14】
光源と、前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段とを備えた光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法であって、
前記測定対象に対する前記光プローブの接触領域を検出し、該接触領域の大きさに基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法。
【請求項15】
光源と、前記光源から射出された光を測定光と参照光とに分岐する分岐手段と、シース内に測定部を備え、該測定部から測定対象に向けて前記測定光を照射するとともに、その反射光を取得する光プローブと、前記光プローブの測定部を回転させる駆動手段と、前記光プローブの測定部で取得された反射光と前記参照光とを合波して干渉光を生成する合波手段と、前記干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段によって検出された干渉信号から光断層画像を取得する光断層画像取得手段とを備えた光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法であって、
前記光断層画像に基づいて、前記測定対象の表面の形状を検出し、該表面の形状に基づいて、前記測定対象に対する前記光プローブの押付力を推定することを特徴とする光断層画像化装置の光プローブ押付力推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−13520(P2012−13520A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149787(P2010−149787)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】