説明

光断層画像撮像装置及びその撮像方法

【課題】 偏光OCT画像の取得が可能で、かつ高速にOCT画像が取得できる光断層画像撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1の光と第2の光をそれぞれ参照光と測定光とに分割する第1の分割手段と、
前記第1の分割手段により分割されたそれぞれの測定光を被検査物に照射することにより得られるそれぞれの戻り光を、対応する参照光と合波することにより第1の干渉光と第2の干渉光を得る干渉手段と、
前記第1の干渉光を第3の干渉光と第4の干渉光に分割する第2の分割手段と、
前記第2の干渉光と前記第4の干渉光のいずれかを選択する選択手段と、
前記第3の干渉光と前記第2の干渉光、または、前記第3の干渉光と前記第4の干渉光から断層画像を生成する画像手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光断層画像撮像装置及びその撮像方法に関し、特に、眼科診療等に用いられる断層画像を撮る光断層画像撮像装置及びその撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)は、試料(特に眼底)の断層画像を高分解能に得る方法である。以下、このようなOCTにより断層画像を撮る装置をOCT装置と記す。
【0003】
近年、眼科用OCT装置には、高速な撮像が可能なフーリエドメイン(Fourier Domain)方式が導入された。これにより、固視微動に代表される眼球運動による画像のブレや欠落を防ぐことを可能にしている。また、複数の測定光を照射した被検眼の前眼部からの戻り光による複数の干渉光をエリアセンサで検出する技術が、特許文献1に開示されている。これにより、眼球の3次元構造をスプライン曲面または多角形面を用いて高速に描画することができる。
【0004】
また、眼底組織の形状を境界面の反射と散乱の強さから単純にイメージングする通常のOCT画像とは異なる、眼底組織の偏光特性や動き等をイメージングする機能OCT装置の研究がなされている。機能OCT装置の一つである偏光OCT装置は、眼底組織の光学特性の一つである偏光パラメータ(リターデーションとオリエンテーション)を用いてイメージングを行う。その結果として、偏光パラメータを利用して、偏光OCT画像を構成し、その画像を眼底組織の区別やセグメンテーションに役立てることができる。偏光OCT装置は、試料を観察する測定光に円偏光あるいは偏光変調した光を用い、干渉光を2つの直交する直線偏光に分割して検出する構成をとる。 2つの分光器および波長幅の広い光源を有する偏光OCTにより高分解能な偏光OCT画像を取得する技術が、非特許文献1に開示されている。これは、取得した偏光パラメータを用いて眼底組織のうち網膜色素上皮層が区別された断層画像を描出している。なお、網膜色素上皮層では偏光をランダム化させる偏光解消が起こることが知られている。ここで、非特許文献1の偏光OCTは、2つの異なる偏光方向(互いに直交する直線偏光)の干渉光に対して、2つの回折格子を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−508068
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“Polarization maintaining fiber based ultra−high resolution spectral domain polarization sensitive optical coherence tomography”Opt.Express 17,22704(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の眼科用OCT装置は、偏光OCT装置等の機能OCT装置の機能は有していない。また、非特許文献1の偏光OCT装置は、複数の測定光による高速撮像に関しては記載されていない。このとき、複数の測定光による高速撮像と偏光OCTとの両方の機能を有する装置が好ましい。
【0008】
ここで、複数の測定光全てで偏光OCT画像を取得すると、被検眼からの戻り光を検出する際、次のように大型化する。すなわち、ラインセンサなどの検出手段の数、あるいは検出手段における各測定光の検出領域の数が、測定光の本数に対して2倍の数だけ必要になる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、複数の測定光による高速撮像と偏光OCTとの機能を両方有し、且つコンパクトな光断層画像撮像装置及びその撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光断層画像撮像装置は、第1の光と第2の光をそれぞれ参照光と測定光とに分割する第1の分割手段と、前記第1の分割手段により分割されたそれぞれの測定光を被検査物に照射することにより得られるそれぞれの戻り光を、対応する参照光と合波することにより第1の干渉光と第2の干渉光を得る干渉手段と、前記第1の干渉光を第3の干渉光と第4の干渉光に分割する第2の分割手段と、前記第2の干渉光と前記第4の干渉光のいずれかを選択する選択手段と、前記第3の干渉光と前記第2の干渉光、または、前記第3の干渉光と前記第4の干渉光から断層画像を生成する画像手段とを有する。
【0011】
更に、本発明の光断層画像の撮像方法は、第1の光と第2の光をそれぞれ参照光と測定光とに分割する第1の分割工程と、前記第1の分割工程により分割されたそれぞれの測定光を被検査物に照射することにより得られるそれぞれの戻り光を、対応する参照光と合波することにより第1の干渉光と第2の干渉光を得る干渉工程と、前記第1の干渉光を第3の干渉光と第4の干渉光に分割する第2の分割工程と、前記第2の干渉光と前記第4の干渉光のいずれかを選択する選択工程と、前記第3の干渉光と前記第2の干渉光、または、前記第3の干渉光と前記第4の干渉光から断層画像を生成する画像工程とを有する。
【0012】
また、本発明の光断層画像の撮像方法は、第1の光と第2の光をそれぞれ参照光と測定光とに分割し、分割されたそれぞれの測定光を被検査物に照射することにより得られるそれぞれの戻り光を、対応する参照光と合波することによる第1の干渉光と第2の干渉光を用いて断層画像を生成する光断層画像の撮像方法であって、撮像モードを第1のモードに設定する工程と、前記第1のモードにおいて、前記第1の干渉光と前記第2の干渉光を用いて、それぞれ断層画像を生成する工程と、前記撮像モードを第2のモードに設定する工程と、前記第2のモードにおいて、前記第1の干渉光を分割した第3の干渉光と第4の干渉光を用いて、断層画像を生成する工程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検出手段の数、あるいは検出手段における各測定光の検出領域の数を、測定光の本数に対して2倍の数より少なくすることができる。そして、複数の測定光による高速撮像と偏光OCTとの両方の機能を有し、且つコンパクトな光断層画像撮像装置及びその撮像方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1におけるOCT装置の構成について説明する図である。
【図2】本発明の実施例1におけるOCT装置の断層画像の取得方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施例1におけるOCT装置の断層画像の取得方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施例1におけるOCT装置の撮像手順について説明する図である。
【図5】本発明の実施例1におけるOCT装置の撮像手順について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に係る撮像装置について、図1を用いて説明する。なお、図1は本実施形態に係るOCT(通常のOCTと偏光OCTとの両方の機能を有するOCT)の装置構成を説明するための図である。
【0016】
まず、第一の測定光106−1に基づく光(測定光路に45°傾けて設けられたλ/4板167−2を通過して得た円偏光の光。)を照射した被検査物107からの戻り光108−1と、第一の測定光106−1に対応する参照光105−1に基づく光(参照光路に22.5°傾けて設けられたλ/4板167−1を通過して得た直線偏光の光。)とを合成した第一の合成光142−1を互いに異なる偏光方向である第一の光175−A1と第二の光175−B1とに第一の分割部136−Aにより分割する。
【0017】
次に、第二の測定光106−2に基づく光(測定光路に45°傾けて設けられたλ/4板167−2を通過して得た円偏光の光。)を照射した被検査物107からの戻り光108−2と、第二の測定光106−2に対応する参照光105−2に基づく光(参照光路に22.5°傾けて設けられたλ/4板167−1を通過して得た直線偏光の光。)とを合成した第二の合成光142−2に基づく第三の光(例えば、第二の合成光142−2自体。また、第二の分割部136−Bにより互いに異なる偏光方向である第三の光175−A2と第四の光175−B2とに分割した場合、第三の光175−A2のこと。)と第二の光175−B1とのうちいずれか一方を選択する選択部(例えば、光スイッチ137)を有する。
【0018】
また、選択部137で第二の光175−B2を選択した場合について説明する。この場合、第一の取得部(例えば、コンピュータ125)で、第一の光175−A1と第二の光175−B2とに基づいて被検査物107の偏光情報を示す断層画像(偏光OCT画像)を取得する(第一のモードとも呼ぶ)。また、選択部137で第三の光(第二の合成光142−2や第三の光175−A2など)を選択した場合について説明する。この場合、第二の取得部(例えば、コンピュータ125)で、第一の光175−A1と上記第三の光とに基づいて被検査物107の複数の強度情報を示す断層画像(複数の通常のOCT画像)を取得する(第二のモードとも呼ぶ)。なお、第一及び第二の取得部は、1つのコンピュータとして共通に構成されていても良いし、別対のコンピュータとして別々に構成されていても良い。
【0019】
これにより、検出手段の数、あるいは検出手段における各測定光の検出領域の数を、測定光の本数に対して2倍の数より少なくすることができる。そして、複数の測定光による高速撮像と偏光OCTとの両方の機能を有し、且つコンパクトな光断層画像撮像装置及びその撮像方法を実現することができる。
【0020】
ところで、上述した構成にすると、複数の測定光により高速撮像した通常のOCTの撮像領域の数に対して、偏光OCTの撮像領域の数が少なくなることを意味している。すなわち、通常のOCT画像の撮像領域の全範囲に対して、偏光OCTの撮像領域の範囲が狭くなる。このため、使用者の必要性に応じて、偏光OCTの撮像領域を決定可能に構成することが望ましい。そこで、複数の測定光により高速撮像した通常のOCT画像(広範囲画像)から、少なくとも一部の撮像領域を決定することが好ましい。そして、決定された撮像領域で偏光OCT画像を取得することが好ましい。
【0021】
ここで、第一の光175−A1と選択部137で選択された光とを分光する分光部(例えば、回折格子141)を有することが好ましい。このとき、第一の光175−A1の分光部141における照射位置に、選択部137で選択された光を照射する照射部(例えば、レンズ135−3)を有することが好ましい。これにより、1つの回折格子で構成できるため、2つの回折格子を用いる装置よりも小型化できる。
【0022】
また、第一の光175−A1と選択部137で選択された光とにそれぞれ対応する分光部141からの光をそれぞれ異なる領域で検出する検出部(例えば、ラインセンサ139)を有することが好ましい。これにより、複数の光を共通の検出部139で検出することができる。そして、第一及び第二の光にそれぞれ対応する検出部139の各領域からの出力に基づいて被検査物の複数の強度情報を示す断層画像、あるいは偏光情報を示す断層画像を取得することができる。
【0023】
また、互いに異なる偏光方向である第一の光175−A1及び第二の光175−A2にそれぞれ対応する回折格子(例えば、透過型グレーティング141。)への照射光の偏光方向を調整することが好ましい。例えば、第一の偏光保持ファイバー134−5の出射端と第二の偏光保持ファイバー134−8の出射端との相対角度を調整する。このとき、回折格子141における該照射光の分光特性(回折格子に対する入射光の偏光方向)を互いに揃える。ここで、上記調整の際、第一の光175−A1と第二の光175−A2の偏光方向を揃えて回折格子141に照射することが好ましい。このとき、互いに異なる偏光方向である第一の光175−A1及び第二の光175−A2にそれぞれ対応する上記調整部からの光を分光する回折格子141からの光に基づいて被検査物107の偏光情報を示す断層画像(偏光OCT画像とも呼ぶ。)を取得することが好ましい。これにより、回折格子に対する入射光の偏光方向を互いに揃えることができる。このため、回折格子の偏光依存性による回折効率の低下を抑制することができるので、簡単な構成で精度の高い偏光パラメータを取得し、偏光OCT画像を取得できる。また、選択部の選択結果に基づいて被検査物の断層画像を表示部(ディスプレイなど)に表示させる表示制御部を有することが好ましい。また、上記第一のモードと上記第二のモードのいずれかを設定する設定部を有することが好ましい。また、設定部の設定結果に基づいて選択部を制御しても良い。
【0024】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0025】
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用したOCT装置について説明する。
【0026】
本実施例では、偏光断層画像を取得する偏光OCTと、2本の測定光を有するマルチビームOCTとの複合装置が構成される。偏光OCTのモードとマルチビームOCTのモードとは切り替えて使用できるように構成される。
【0027】
偏光OCTは、光源からの測定光を円偏光の状態で被検査物に照射し、被検査物に照射された測定光による戻り光を参照光と合波して干渉させ、その干渉光を2つの直線偏光に分割して測定し、被検査物の偏光OCT画像を撮像するように構成される。
【0028】
また、マルチビームOCTは、高速撮像や低ノイズ撮像等を目的として2本の測定光を有し、同時に2つの断層画像の取得が可能なように構成される。
【0029】
ここでは、OCT装置は、最初に、マルチビームOCTのモードを用い、2本の測定光を用いて広い撮像範囲に対して高速撮像を行い、次に、病変部等の注目される撮像範囲について偏光OCTのモードを用いて偏光パラメータを取得し、より詳細な被検査物の情報を取得することができるように構成されることを特徴とする。
【0030】
また、ここではスペクトラルドメイン方式のOCT装置について説明しているが、本発明はタイムドメイン方式やスウェプトソース方式のOCT装置にも適用できることは言うまでもない。
【0031】
<全体の概略構成>
図1を用いて、まず、本実施例におけるOCT装置の全体の概略構成について、具体的に説明する。本実施例のOCT装置100は、図1に示されるように、全体としてマイケルソン干渉系を構成し、多くの光路を光の偏光状態を保持できる偏光保持ファイバーを用いて構成される。
【0032】
図1において、光源101−1〜2から出射された光である出射光104−1〜2は、光カプラー131−1〜2にて参照光105−1〜2と測定光106−1〜2とに、それぞれ90:10の割合で分割される。測定光106−1〜2は、偏光保持ファイバー134−4、XYスキャナ119、レンズ120−1〜2等を介して、観察対象である被検眼107に導かれる。
【0033】
測定光106−1〜2は、観察対象である被検眼107によって反射あるいは散乱された戻り光108−1〜2となって戻され、光カプラー131−1〜2によって、参照光路を経由した参照光105−1〜2と合波される。
【0034】
参照光105−1〜2と戻り光108−1〜2とは合波された後、透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、検出素子として1つのラインセンサを有するラインカメラ139に入射される。ラインカメラ139は位置(波長)毎に光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、パソコン125にて、被検眼107の断層画像が構成される。電動ステージ117−1〜3、XYスキャナ119、光スイッチ137、光源101−1〜2はドライバ部181を介し、パソコン125によって制御され、駆動される。
【0035】
<光源>
つぎに、光源101−1〜2の周辺について説明する。
光源101−1〜2は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。波長は830nm、バンド幅50nmである。ここで、バンド幅は、得られる断層画像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメータである。また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE光源(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに波長は、得られる断層画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは830nmとする。観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。
【0036】
光源101−1〜2から出射された光である出射光104−1〜2のそれぞれは、シングルモードファイバー130、偏光コントローラ153、コネクター154、偏光保持ファイバー134−1、を通過し、光カプラー131−1〜2にて参照光105−1〜2と測定光106−1〜2とに90:10の強度比で分割される。
【0037】
また、光源101−1〜2はパソコン125からドライバ部181内の光源制御ドライバ187を介して制御することが可能に構成されている。
【0038】
ここでは、2つの光源から2つの出射光を用意したが、1つの光源からの光を2つの光に分割して2つの出射光としてもよい。
【0039】
偏光コントローラ153は出射された光の偏光の状態を調整する役割があり、ここではY軸方向(紙面に垂直)の直線偏光に調整される。
【0040】
<参照光路>
つぎに、参照光105−1〜2の光路について説明する。
光カプラー131−1〜2にて分割された参照光105−1〜2は偏光保持ファイバー134−2を通して、レンズ135−1に導かれ、ビーム径1mmの平行光になるよう、調整される。ここで、参照光105−1〜2はY軸方向の直線偏光となっている。
【0041】
次に、参照光105−1〜2は、λ/4板167−1(第一の変更部とも呼ぶ。)、分散補償用ガラス115を通過し、参照ミラーであるミラー114−1〜2に導かれる。参照光105−1〜2の光路長は、測定光106−1〜2の光路長とそれぞれ略同一に調整されているため、参照光105−1〜2と測定光106−1〜2とを干渉させることができる。次に、参照光105−1〜2は、ミラー114−1〜2にて反射され、再び光カプラー131−1〜2に導かれる。
【0042】
ここで、λ/4板167−1はその進相軸をY軸方向に対して22.5°傾けて設置されている。参照光105−1〜2は、λ/4板167−1を2回通過することでY軸方向に対して45°傾いた直線偏光となる。ここで、45°傾いた直線偏光は、X軸方向の直線偏光とY軸方向の直線偏光とを含む。
【0043】
さらに、参照光105−1〜2が通過した分散補償用ガラス115は被検眼107とレンズ120−1〜2に測定光106−1〜2が往復した時の分散を、参照光105−1〜2に対して補償するものである。ここでは、日本人の平均的な眼球の直径として代表的な値を想定し、L=24mmとする。
【0044】
また、117−1〜2は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動可能とすることができ、参照光105−1〜2の光路長を調整可能に構成されている。また、電動ステージ117−1〜2はパソコン125からドライバ部181内の電動ステージ駆動ドライバ183を介して制御することが可能に構成されている。
【0045】
<測定光路>
つぎに、測定光106−1〜2の光路について説明する。
光カプラー131−1〜2によって分割された測定光106−1〜2は偏光保持ファイバー134−4を介して、レンズ135−2に導かれ、ビーム径1mmの平行光になるよう調整される。測定光106−1〜2は、λ/4板167−2(第二の変更部とも呼ぶ。)を通過し、XYスキャナ119にて反射され、レンズ120−1〜2を通過し、被検眼107に入射される。
ここで、λ/4板167−2はその進相軸をY軸方向に対して45°傾けて設置されている。測定光106−1〜2は、λ/4板167−2を通過することで、円偏光となって被検眼107に入射される。ここで、円偏光は、X軸方向の直線偏光とY軸方向の直線偏光とを含み、互いに位相が90°ずれている。
【0046】
また、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106−1〜2の中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と一致するように調整されている。また、XYスキャナ119は、パソコン125からドライバ部181内の光スキャナ駆動ドライバ182を介して制御される。
【0047】
また、レンズ120−1〜2は網膜127を走査するための光学系であり、測定光106−1〜2を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。ここでは、レンズ120−1〜2の焦点距離は全て50mmである。ここでは、レンズ120−2は球面レンズを用いているが、被検眼107の光学収差(屈折異常)によっては、レンズ120−2にシリンドリカルレンズを用いてもよく、また、新たなレンズを測定光106の光路に追加してもよい。シリンドリカルレンズは、被検眼107が乱視の場合に有効である。
【0048】
また、117−3は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ120−2の位置を、調整し、制御することができる。また、電動ステージ117−3はパソコン125からドライバ部181内の電動ステージ駆動ドライバ183を介して制御される。レンズ120−2の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所定の層に測定光106−1〜2を集光し、観察することが可能になる。また、被検眼107が屈折異常を有している場合にも対応できる。
【0049】
測定光106−1〜2は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108−1〜2となる。参照光105−1〜2と戻り光108−1〜2とは、光カプラー131−1〜2にて合波され、さらに90:10に分割される。
【0050】
<測定系>
つぎに、本実施例のOCT装置における測定系の構成について説明する。
光カプラー131−1〜2にて合波された光142−1〜2は、偏光保持ファイバー134−3を通して、偏光カプラー136−A〜Bに導かれる。そこで、合波された光142−1は、2つの互いに直交する直線偏光である分割光175−A1と175−A2に分岐される。同様に、合波された光142−2は175−B1と175−B2とに分岐される。
【0051】
分割光175−A1と175−B1とは、X軸方向(紙面に平行)の直線偏光である。また、分割光175−A2と175−B2とは、Y軸方向(紙面に垂直)の直線偏光である。さらに、分割光175−A2と175−B1とは、それぞれ偏光保持ファイバー134−6と134−7とを介して、光スイッチ137に入射するように、構成されている。
【0052】
分割光175−A1は、偏光保持ファイバー134−5を介して、レンズ135−3に入射する。光スイッチ137は、入射された分割光175−A2(光路A)と175−B1(光路B)との何れかを選択して、偏光保持ファイバー134−8を介して、レンズ135−3に対して入射するように構成される。
【0053】
なお、光スイッチ137はパソコン125からドライバ部181内の光スイッチ駆動ドライバ186を介して制御される。
【0054】
ここで、OCT装置100は、光路Aを選択した場合には偏光OCT、光路Bを選択した場合にはマルチビームOCTを構成する。
【0055】
また、光スイッチ137には、機械的に光ファイバーを移動して光路を切り替える機械式光スイッチや、MEMS技術を用いて作製されたマイクロミラーを移動して光路を切り替えるMEMS光スイッチが用いられる。
【0056】
偏光保持ファイバー134−5と134−8とを介して導光された分割光175−A1と分割光175−A2と175−B1との何れか(ここでは175−Cとする)は、レンズ135−3に入射される。分割光175−A1と175−Cは、透過型グレーティング141の同一の位置に異なる入射角で到達し、それぞれ波長毎に分光され、レンズ135−4で集光され、ラインカメラ139の別々の位置に到達する。
【0057】
分割光175−A1と175−Cのそれぞれは、ラインカメラ139にて光の強度が位置(波長)毎に検出される。具体的には、ラインカメラ139上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。検出された光の強度は、フレームグラバー140を用いてパソコン125に取り込まれ、データ処理を行い断層画像を形成し、不図示の表示画面に表示される。
【0058】
ここでは、ラインカメラ139は2048画素を有し、分割光175−A1と175−Cのそれぞれの波長毎(1024分割)の強度を得ることができる。
【0059】
<断層画像の取得方法(偏光OCT)>
つぎに、OCT装置(偏光OCTのモード)を用いた断層画像の取得方法について図2(a)〜(c)を用いて説明する。
OCT装置100は、XYスキャナ119を制御し、ラインカメラ139で干渉縞を取得することで、網膜127の断層画像を取得することができる。ここでは、特に眼底組織の光学特性の一つである偏光パラメータを用いて断層画像を構成する偏光OCT画像(光軸に平行な面、XZ平面)の取得方法について説明する。
【0060】
偏光OCT画像を取得する場合には、測定光106−1のみを用いるため、パソコン125と光源制御ドライバ187とを用いて、光源101−1をオン、光源101−2をオフにする。また、パソコン125と光スイッチ駆動ドライバ186を用いて光スイッチ137の光路を光路Aに設定する。
【0061】
図2(a)は被検眼107の模式図であり、OCT装置100によって観察されている様子を示している。図2(a)に示すように、測定光106−1は角膜126を通して、網膜127に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光108−1となり、それぞれの位置での時間遅延を伴って、ラインカメラ139に到達する。
【0062】
ここで、参照光路の光路長と測定光路の光路長とがある程度近い場合に、ラインカメラ139にて、画素ピッチに対してサンプリング可能な干渉縞が光源101の波長幅に対応して検出される。上述のように、ラインカメラ139では、波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が偏光毎に並列に取得される。
【0063】
次に、波長軸上の情報である干渉縞を、ラインカメラ139と透過型グレーティング141との特性を考慮して、光周波数軸の干渉縞に変換する。さらに、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、深さ方向の情報が得られる。
【0064】
さらに、図2(b)に示すように、XYスキャナ119を駆動しながら、干渉縞を検知すれば、各X軸の位置毎に干渉縞が得られ、つまり、各X軸の位置毎の深さ方向の情報を得ることができる。
【0065】
ここで、分割光175−A1と175−Cとの干渉信号の振幅のそれぞれをA、Aとすると通常のOCT画像である強度OCT画像を構成する反射率Rは式(1)で表わすことができる。ここでは、非特許文献1を引用している。
R∝A+A (1)
さらに、偏光OCT画像を構成する偏光パラメータであるリターデーションδとオリエンテーションθとは、それぞれ式(2)と式(3)とで表わすことができる。
δ=arctan[A/A] (2)
θ=(180−ΔΦ)/2 (3)
ここでΦは分割光175−A1と175−Cの位相を示し、ΔΦはAとAとの位相差であり、ΔΦ=Φ−Φである。
【0066】
結果として、式(1)を用いると、XZ面での戻り光108の強度の2次元分布が得られ、それはすなわち断層画像132である(図2(c))。本来は、断層画像132は上記説明したように、戻り光108の強度をアレイ状に並べたものであり、例えばこの強度をグレースケールに当てはめて、表示されるものである。ここでは得られた断層画像の境界のみ強調して表示している。ここで、146は色素上皮層、147は内境界膜である。
【0067】
また、式(2)や式(3)を用いると、XZ面での戻り光の偏光状態の2次元分布が得られ、それらは偏光OCT画像である。特に、式(2)を用いると偏光間の相対的な位相遅れが描出されるリターデーション像が得られる。また、式(3)を用いると偏光の方向変化を示すオリエンテーション像が得られる。偏光OCT画像を構成することで、偏光解消、即ち偏光をランダム化するとされる色素上皮細胞等の眼底組織の微小な変化や、複屈折が大きいとされる線維構造の変化を描出することが可能になる。
【0068】
ここで、干渉信号175−Cの振幅Avは光スイッチ137における光量の損失を受けて、ラインカメラ139にて測定される。よって、光スイッチ137の仕様に合わせて、測定される振幅Avを補正するとよい。
【0069】
<断層画像の取得方法(マルチビームOCT)>
つぎに、OCT装置(マルチビームOCTのモード)を用いた断層画像の取得方法について図3(a)〜(d)を用いて説明する。
OCT装置100は、高速撮像を目的として2つの測定光106−1〜2を用いて、同時に2つの断層画像の取得が可能なように構成されている。
【0070】
同時に2つの断層画像を取得する場合には、測定光106−1と106−2との両方を用いるため、パソコン125と光源制御ドライバ187とを用いて、光源101−1と101−2との両方をオンにする。また、パソコン125と光スイッチ駆動ドライバ186を用いて光スイッチ137の光路を光路Bに設定する。
【0071】
図2(a)は被検眼107の模式図であり、OCT装置100によって観察されている様子を示している。図3(a)に示すように、測定光106−1〜2は角膜126を通して、網膜127に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光108−1〜2となり、それぞれの位置での時間遅延を伴って、ラインカメラ139に到達する。
【0072】
ここで、参照光路の光路長と測定光路の光路長とがある程度近い場合に、ラインカメラ139にて、画素ピッチに対してサンプリング可能な干渉縞が光源101の波長幅に対応して検出される。上述のように、ラインカメラ139では、波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が測定光毎に並列に取得される。
【0073】
次に、波長軸上の情報である干渉縞を、ラインカメラ139と透過型グレーティング141との特性を考慮して、光周波数軸の干渉縞に変換する。さらに、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、深さ方向の情報が得られる。
【0074】
さらに、図3(b)に示すように、XYスキャナ119を駆動しながら、干渉縞を検知すれば、各X軸の位置毎に干渉縞が得られ、つまり、各X軸の位置毎の深さ方向の情報を得ることができる。ここでは簡単のため、測定光106−1のみを図示している。
結果として、XZ面での戻り光108−1〜2の強度の2次元分布が得られ、それはすなわち複数の断層画像となる(不図示)。
【0075】
また、図3(c)に示す様に、XYスキャナ119を制御して、測定光106−1(実線)と106−2(破線)とを網膜127上にラスタースキャンすれば、2つの断層画像を同時に、取得することができる。ここでは、XYスキャナの主走査方向をY軸方向、副走査方法をX軸方向として、スキャンする場合を示し、結果として複数のYZ面の断層画像を得ることができる。また、ここでは、測定光106−1〜2のそれぞれが、お互いの重複なくスキャンする場合を示しているが、断層画像間のレジストレーション補正等のため、重複してスキャンしてもよい。
【0076】
分割光175−A1と175−Cとから得られる隣接する領域の断層画像は、レジストレーション補正等に用いるため、その光路は同様の光学特性(透過率や偏光状態)になっていることが望ましい。ここで、偏光カプラー136−Bは偏光カプラー136−Aに対して光量の損失を補正し、偏光状態を同一にするために設置されているものである。
【0077】
さらに、図3(d)に示す様に、XYスキャナ119を制御して、測定光106−1(実線)と106−2(破線)とをY軸方向に並べて、網膜127上をラスタースキャンして、2つの断層画像を同時に、取得することができる。この場合、測定光106−1と106−2とは時間差をもって、略同一の位置を走査することになる。そのため、測定光106−1と106−2とから得られる干渉信号を平均化して、取得される断層画像のノイズ低減を図ることができる。また、測定光106−1と106−2とから得られる干渉信号の位相差から血流速の算出を行うドップラーOCTを構成することができる。
【0078】
<断層画像の撮像手順>
つぎに、OCT装置を用いた断層画像の撮像手順について具体的に図4〜5を用いて説明する。ここでは、OCT装置は、最初に、マルチビームOCTのモードを用い、2本の測定光を用いて広い撮像範囲に対して高速撮像を行って病変部を特定し、次に、特定された病変部について偏光OCTのモードを用いて、より詳細な観察を行う例について説明する。
【0079】
この断層画像の撮像方法においては、以下の(1)〜(7)の工程を、例えば連続して行うものである。或いは、適宜工程を戻って行うこともできる。また、コンピュータ等を用いて、以下の工程を自動的に行うように構成してもよい。図5に、断層画像の撮像方法を説明するための各工程のフロー図を示す。
【0080】
(1)OCT装置101の撮像モードをマルチビームOCTのモードに設定する。具体的には、パソコン125と光源制御ドライバ187とを用いて、光源101−1〜2の出力をオンにする。さらに、パソコン125と光スイッチ駆動ドライバ186とを用いて、光スイッチ137を光路Bとする。(図5のS1)
(2)被検者の被検眼107を所定の位置に誘導し、被検眼107に固視灯(不図示)を注視させた状態で、測定光106−1〜2を被検眼107に対して入射させる。ここでは、測定光1061〜2は平行光の状態で、被検眼107に対して入射するように、球面ミラー120−2の位置を電動ステージ117−2によって調整されている。(図5のS2)
(3)XYスキャナ119のY軸を駆動しながら、ラインカメラ139にて2つの干渉縞を検知して、2つの断層画像(不図示)を得る。(図5のS3)
(4)(3)の工程を行いながら、断層画像のコントラストが高くなるように、電動ステージ117−2を用いてレンズ120−2の位置を調整する。(図5のS4)
(5)図4(a)に示すように、測定光106−1〜2で網膜127上の領域Aを走査し、断層画像を得る。この工程では広範囲の断層画像を得ることを目的とし、測定光106−1と106−2とは基本的に隣接する異なる領域を走査している。ここでは、取得した断層画像から領域Bに病変候補部が存在すると特定される。ここで、病変候補部の抽出は、領域Aを構成する複数の断層画像をそれぞれ画像解析し、その結果を眼底表面に投影することにより求める等種々の手法があるので、その詳細については省略する。この画像解析は、疾患毎の専用解析プログラムを用いることでより正確に領域を特定することができる。(図5のS5)
(6)OCT装置101の撮像モードを、偏光OCTのモードに設定する。具体的には、パソコン125と光源制御ドライバパソコン125と光源制御ドライバとを用いて、光源101−2の出力をオフにする。さらに、パソコン125と光スイッチ駆動ドライバ186とを用いて、光スイッチ137を光路Aとする。(図5のS6)
(7)図4(b)に示す領域Bを、測定光106−1で網膜127上を走査し、断層画像を得る。この工程では注目したい領域の詳細な断層画像を得ることを目的とし、測定光106−1を用いて偏光OCT画像を取得している。(図5のS7)
なお、本実施の形態では、マルチビームOCTとして2本の測定光について説明したが、3本以上の測定光を用い、偏光OCTの場合は、前述のような構成としても良い。
【0081】
また、マルチビームOCTで画像を撮像した後に、偏光OCTで画像を撮像したが、マルチビームOCTのモードと偏光OCTのモードを選択するモード設定スイッチを設け、選択されたモードで撮像できるように構成しても良い。
上記説明したように、複数の干渉光から任意の干渉光を選択して検出することで、1つのOCT装置で偏光OCTのモードとマルチビームOCTのモードとを選択して使うことが可能となり、スペース効率が高いOCT装置を実現することができる。
【0082】
また、干渉光を偏光毎に分岐する手段を有することで、偏光OCT装置を構成することが可能となり、被検査物のより詳細な断層画像を取得することができる。
【0083】
また、干渉光を選択する手段として光スイッチを用いることで、パソコン等を用いて外部から制御することが可能となり、撮像の自動化を図ることができる。
【0084】
また、複数の干渉光のうちの任意の干渉光を偏光毎に分岐して検出することで、偏光OCT装置を構成することが可能となり、被検査物のより詳細な断層画像を取得することができる。
【0085】
また、複数の光のそれぞれの出射と消灯とを制御する手段を有することで、パソコン等を用いて外部から制御することが可能となり、撮像の自動化を図ることができる。
【0086】
また、干渉光を回折格子を有する分光器で検出することでスペクトラルドメイン方式のOCT装置を構成することができ、高速な撮像を行うことができる。
【0087】
また、2つの干渉光を回折格子の同一の位置に入射させることで、回折格子のスペースを有効に活用することができる。
【0088】
また、2つの干渉光を一つのラインカメラに入射して、その強度を測定するように構成することで、簡単な構成で偏光OCTとマルチビームOCTとを構成することができる。
【0089】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0090】
101 光源
105 参照光
106 測定光
107 被検眼
108 戻り光
114 ミラー
115 分散補償用ガラス
117 電動ステージ
119 XYスキャナ
125 パソコン
126 角膜
127 網膜
134 偏光保持ファイバー
135 レンズ
136 偏光ファイバーカプラー
137 光スイッチ
139 ラインカメラ
154 コネクター
167 λ/4板
175 分割光
181 ドライバ部
182 光スキャナ駆動ドライバ
183 電動ステージ駆動ドライバ
186 光スイッチ駆動ドライバ
187 光源制御ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の測定光を照射した被検査物からの戻り光と、該第一の測定光に対応する参照光とを合成した第一の合成光を互いに異なる偏光方向である第一の光と第二の光とに分割する第一の分割手段と、
第二の測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と、該第二の測定光に対応する参照光とを合成した第二の合成光に基づく第三の光と前記第二の光とのうちいずれか一方を選択する選択手段と、
前記選択手段で前記第二の光を選択した場合、前記第一の光と該第二の光とに基づいて前記被検査物の偏光情報を示す断層画像を取得する第一の取得手段と、
前記選択手段で前記第三の光を選択した場合、前記第一の光と該第三の光とに基づいて前記被検査物の複数の強度情報を示す断層画像を取得する第二の取得手段と、
を有することを特徴とする光断層画像撮像装置。
【請求項2】
前記第一の光と前記選択手段で選択された光とを分光する分光手段と、
前記第一の光の前記分光手段における照射位置に、前記選択手段で選択された光を照射する照射手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項3】
前記第一の光と前記選択手段で選択された光とにそれぞれ対応する前記分光手段からの光をそれぞれ異なる領域で検出する検出手段を有することを特徴とする請求項2に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項4】
前記第一及び第二の測定光に対応する参照光の光路に設けられ、該参照光の偏光方向を変更する第一の変更手段と、
前記第一及び第二の測定光の光路に設けられ、該測定光の偏光方向を変更する第二の変更手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項5】
前記第一の変更手段が、前記参照光を直線偏光に変更し、
前記第二の変更手段が、前記測定光を円偏光に変更することを特徴とする請求項4に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項6】
前記第二の合成光を互いに異なる偏光方向である前記第三の光と第四の光との分割する第二の分割手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項7】
前記選択手段で前記第二の光を選択した場合、前記第一及び第二の光にそれぞれ対応する回折格子への照射光の偏光方向を調整して該回折格子における該照射光の分光特性を互いに揃える調整手段と、
前記第一及び第二の光にそれぞれ対応する前記調整手段からの光を分光する前記回折格子と、
前記第一及び第二の光にそれぞれ対応する前記回折格子からの光を検出する検出手段と、を有し、
前記第一の取得手段が、前記第一及び第二の光にそれぞれ対応する前記検出手段からの出力に基づいて前記被検査物の偏光情報を示す断層画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項8】
前記選択手段の選択結果に基づいて前記被検査物の断層画像を表示手段に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項9】
前記選択手段で前記第二の光を選択する第一のモードと、前記選択手段で前記第三の光を選択する第二のモードとのいずれか一方を設定する設定手段を有し、
前記設定手段の設定結果に基づいて前記選択手段を制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項10】
第一の測定光を照射した被検査物からの戻り光と、該第一の測定光に対応する参照光とを合成した第一の合成光を互いに異なる偏光方向である第一の光と第二の光とに分割する分割手段と、
第二の測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と、該第二の測定光に対応する参照光とを合成した第二の合成光に基づく第三の光と、前記第一及び第二の光のうち少なくとも一方とをそれぞれ検出する検出手段と、
前記検出手段からの前記第一及び第二の光の出力に基づいて前記被検査物の偏光情報を示す断層画像を取得する第一の取得手段と、
前記検出手段からの前記第一及び第二の光のうち少なくとも一方と前記第三の光とに基づいて前記被検査物の複数の強度情報を示す断層画像を取得する第二の取得手段と、
前記偏光情報を示す断層画像と前記強度情報を示す断層画像とを選択する選択手段と、
前記選択手段の選択結果に基づいて前記被検査物の断層画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする光断層画像撮像装置。
【請求項11】
前記選択手段が、前記第三の光と前記第二の光とのうちいずれか一方を選択することにより、前記偏光情報を示す断層画像と前記強度情報を示す断層画像とを選択することを特徴とする請求項10に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項12】
前記選択手段で前記第二の光を選択する第一のモードと、前記選択手段で前記第三の光を選択する第二のモードとのいずれか一方を設定する設定手段を有し、
前記設定手段の設定結果に基づいて前記選択手段を制御することを特徴とする請求項10あるいは11に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項13】
第一の測定光を照射した被検査物からの戻り光と、該第一の測定光に対応する参照光とを合成した第一の合成光を互いに異なる偏光方向である第一の光と第二の光とに分割する分割手段と、
第二の測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と、該第二の測定光に対応する参照光とを合成した第二の合成光に基づく第三の光と、前記第一及び第二の光のうち少なくとも一方とに基づいて前記被検査物の複数の強度情報を示す断層画像を取得する取得手段と、
前記強度情報を示す断層画像から、前記被検査物の偏光情報を示す断層画像を取得するための撮像領域を決定する決定手段と、
前記撮像領域で前記第一の測定光を走査する走査手段と、
を有することを特徴とする光断層画像撮像装置。
【請求項14】
前記偏光情報を示す断層画像と前記強度情報を示す断層画像とを選択する選択手段と、
前記選択手段の選択結果に基づいて前記被検査物の断層画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項13に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項15】
前記選択手段が、前記第三の光と前記第二の光とのうちいずれか一方を選択することにより、偏光情報を示す断層画像と前記強度情報を示す断層画像とを選択することを特徴とする請求項14に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項16】
前記選択手段で前記第二の光を選択する第一のモードと、前記選択手段で前記第三の光を選択する第二のモードとのいずれか一方を設定する設定手段を有し、
前記設定手段の設定結果に基づいて前記選択手段を制御することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項17】
第一の測定光を照射した被検査物からの戻り光と、該第一の測定光に対応する参照光とを合成した第一の合成光を互いに異なる偏光方向である第一の光と第二の光とに基づいて該被検査物の偏光情報を示す断層画像を取得する工程と、
第二の測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と、該第二の測定光に対応する参照光とを合成した第二の合成光に基づく第三の光と、前記第一及び第二の光のうち少なくとも一方とに基づいて該被検査物の複数の強度情報を示す断層画像を取得する工程と、
前記偏光情報を示す断層画像と前記強度情報を示す断層画像とを選択する工程と、
前記選択する工程の選択結果に基づいて前記被検査物の断層画像を表示手段に表示する工程と、
を含むことを特徴とする光断層画像撮像方法。
【請求項18】
請求項17に記載の光断層画像撮像方法をコンピュータで実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−16525(P2012−16525A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156920(P2010−156920)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】