説明

光書き込み装置、画像形成装置及び光書き込み装置の制御方法

【課題】簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動による画質の低下を防ぐ。
【解決手段】光書き込み装置の制御方法であって、画素情報を取得して主走査ライン毎にラインメモリ122に記憶し、感光体の回転における回転位置を認識し、感光体の回転における回転位置とLEDA281を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を参照すると共に、一主走査ラインの画像情報に基づいてLEDA281を発光させる際の光量を認識された回転位置に応じて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み装置、画像形成装置及び光書き込み装置の制御方法に関し、特に、感光体と光源との間隔の変動による画質の劣化の補正に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された書類の出力に用いられる画像形成装置においては、電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。電子写真方式の画像形成装置においては、感光体を露光することにより静電潜像を形成し、トナー等の顕色剤を用いてその静電潜像を現像してトナー画像を形成し、そのトナー画像を用紙に転写することによって紙出力を行う。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置において、感光体を露光する光書き込み装置にはLD(Laser Diode)ラスター光学系方式とLED(Light Emitting Diode)書込み方式とがある。LED書き込み方式の場合、LEDA(LED Array)ヘッドを含む。
【0005】
LED書き込み方式の光書き込み装置においては、上述したようにLEDAによって感光体ドラムを露光することにより静電潜像を形成するが、このLEDAと感光体ドラムとの距離が変動すると、LEDAから照射されて感光体ドラムに到達したビームスポット径が変動し、その結果画像の濃度変動を生じる。
【0006】
例えば、感光体ドラムに偏芯が生じている場合や、感光体ドラムの表面の部位に応じて膜厚が異なる場合等は、感光体ドラムの回転に応じて感光体ドラムとLEDAとの距離が変動するため、形成された画像において副走査方向に濃度変動が生じる。
【0007】
このような課題に対応するため、感光体ドラムと光源との距離を一定に保つための技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。また、感光体ドラムの回転による周期的な変動を補正するための技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1乃至3に開示された技術を用いる場合、感光体ドラムと光源との距離を一定に保つための部品を設ける必要があるため、部品構成が複雑化し、装置コストや管理コストの増大によって生産性が低下する。
【0009】
他方、特許文献4に開示された技術を用いる場合、感光体ドラムと光源との距離が変動することにより、感光体ドラム表面の光源に対する相対的な速度の変動に応じた画質の変動に対応することはできる。
【0010】
しかしながら、光源の発光周期を調整するだけでは、感光体ドラム表面と光源との距離が変動することによる、ビームスポット径の変動やビーム強度の変動に応じた画質の変動には対応することはできない。
【0011】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動による画質の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置であって、前記静電潜像として形成すべき画像を構成する画素の情報である画素情報を取得する画素情報取得部と、前記取得された画素情報を主走査ライン毎に記憶するライン画素情報記憶部と、前記記憶された画素情報に基づいて光源を発光させる発光制御部と、前記感光体の回転における回転位置を認識する回転位置認識部と、前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を参照し、前記発光制御部が一主走査ラインの前記画素情報に基づいて前記光源を発光させる際の光量を前記認識された回転位置に応じて制御する光量制御部とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置であって、上記光書き込み装置を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の更に他の態様は、回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置の制御方法であって、前記静電潜像として形成すべき画像を構成する画素の情報である画素情報を取得して記憶媒体に記憶し、前記取得された画素情報を主走査ライン毎に記憶媒体に記憶し、前記感光体の回転における回転位置を認識し、前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を参照すると共に、一主走査ラインの前記画素情報に基づいて前記光源を発光させる際の光量を前記認識された回転位置に応じて制御し、前記光量の制御に従い、前記記憶された画素情報に基づいて光源を発光させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動による画質の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリントエンジンの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光書き込み装置が対象とする課題の概念図である。
【図6】本発明の実施形態に係る感光体ドラムを模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の制御部を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る補正値情報の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る光量調整の態様を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る補正値情報の例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る光量調整の態様を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る光量調整の態様を示すタイミングチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る光書込み装置が対象とする課題の概念図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る周期補正情報の例を示す図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る光書き込み装置の制御部を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係る補正値算出用のパターンの例を示す図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る補正値算出動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る補正値算出動作において生成される情報の例を示す図である。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る補正値算出動作において生成される情報の例を示す図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る感光体ドラムの位相検知動作において生成される情報の例を示す図である。
【図21】本発明の第5の実施形態に係る感光体ドラムの位相と濃度のパターンとが関連付けられたテーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成装置としての複合機(MFP:Multi Function Peripheral)を例として説明する。尚、画像形成装置は複合機でなくとも良く、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等であっても良い。
【0018】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
【0019】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
【0020】
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0021】
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0022】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
【0023】
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0024】
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0025】
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0026】
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
【0027】
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報であり、出力するべき画像を構成する画素の情報、即ち画素情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
【0028】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0029】
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された用紙は排紙トレイ27に排紙される。
【0030】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
【0031】
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
【0032】
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
【0033】
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
【0034】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
【0035】
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK、106M、106C、106Yが配列されている。
【0036】
これら複数の画像形成部106BK、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Yは画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0037】
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0038】
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106BKが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BK、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、光書き込み装置200、現像器112BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113BK等から構成されている。光書き込み装置200は、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
【0039】
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書き込み装置200からのブラック画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0040】
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0041】
以上のようにして、画像形成部106BKにより搬送ベルト105上に転写されたブラックのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0042】
搬送ベルト105上に転写されたブラック、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
【0043】
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0044】
このような画像形成装置1においては、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの軸間距離の誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの平行度誤差、光書込み装置200内での光源の設置誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yへの静電潜像の書込みタイミング誤差等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色間で位置ずれが生ずることがある。
【0045】
また、同様の原因により、転写対象である用紙において本来画像が転写される範囲から外れた範囲に画像が転写されることがある。このような位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ等が知られている。また、用紙を搬送する搬送ローラの回転速度の誤差や摩耗による搬送量の誤差等が知られている。
【0046】
このような位置ずれを補正するため、パターン検知センサ117が設けられている。パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yによって搬送ベルト105上に転写された位置ずれ補正用パターンを読み取るための光学センサであり、搬送ベルト105の表面に描画された補正用パターンを照射するための発光素子及び補正用パターンからの反射光を受光するための受光素子を含む。図3に示すように、パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの下流側において、搬送ベルト105の搬送方向と直行する方向に沿って同一の基板上に支持されている。
【0047】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に照射される照射光は、光源であるLEDA(LED Array)281BK、281M、281C、281Y(以降、総じてLEDA281とする)から照射される。
【0048】
LEDA281は、発光素子であるLEDが、感光体ドラム109の主走査方向に並べられて構成されている。光書き込み装置111に含まれる制御部は、主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、出力すべき画像のデータに基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
【0049】
次に、上述したような感光体と光源との距離の変動によって生じる問題について、図5を参照して説明する。図5は、一様な濃度の帯状の画像の画像データに基づいて画像形成出力を実行した場合に、実際に画像形成出力される画像及びその画像の副走査方向における光源と感光体との距離(以降、光源距離とする)の例を示す図である。図5に示すように、副走査方向において色が濃い部分と色が薄い部分とがあることがわかる。
【0050】
一般的に、LEDA281から照射されたビームは感光体ドラム109表面において焦点となり、感光体ドラム109表面に到達したビームのスポット径が一定となるように調整されている。しかしながら、感光体ドラム109の膜厚変動や、感光体ドラム109の偏芯により、感光体ドラム109とLEDA281との距離は、感光体ドラム109の回転に応じて変動するため、感光体ドラム109表面に到達したビームのスポット径も変動し、その結果、副走査方向における画像濃度の変動が生じる。
【0051】
図5の例においては、光源距離が短くなるほど濃度が高くなる場合を例としている。即ち、色が濃い部分は光源間距離が短い部分である。光源間距離が短い場合、LEDAから照射されたビームスポット径が大きくなり、図5のA1に示すように、主走査ライン毎に形成される画像の副走査方向の幅が広くなるため、結果的に色が濃くなる。色が薄い部分は光源間距離が長い部分である。光源間距離が長い場合、LEDAから照射されたビームスポット径が小さくなり、図5のA2に示すように、主走査ライン毎に形成される画像の副走査方向の幅が狭くなるため、結果的に色が薄くなる。
【0052】
尚、光源距離が長くなると、その分感光体ドラム109表面におけるビームの強度が下がるため、感光体ドラム109の露光強度が低下し、濃度が薄くなる場合もあり得る。何れにしても、感光体ドラム109の回転に応じて光源距離が変動し、それが副走査方向の画像濃度の変動となって現れることには違いない。そのような問題を解決することが本実施形態の要旨である。
【0053】
このような問題を回避するため、本実施形態に係る光書き込み装置111においては、図6(a)に示すように、感光体ドラム109の主走査方向端部に、感光体周期検知マーカー119aが設けられていると共に、その感光体周期検知マーカー119aを検知するための位相検知センサ118が設けられている。この位相検知センサ118により感光体ドラム109の回転の位相を検知し、その検知結果に基づいてLEDA281の発光を制御することが、本実施形態に係る要旨である。尚、位相検知センサ118は、LEDA281による露光地点と副走査方向において同一の地点を検知するように設けられている。
【0054】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る光書き込み装置111を制御する光書き込み装置制御部120の機能構成及びLEDA281、位相検知センサ118との接続関係を示す図である。図7に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120は、画像情報取得部121、ラインメモリ122、発光制御部123、発光時間制御部124及び補正情報記憶部125を含む。
【0055】
尚、本実施形態に係る光書き込み装置111は、図1において説明したようなCPU10や、RAM11並びにROM12等の記憶媒体といった情報処理機構を含み、図7に示すような光書込み装置制御部120は、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12等の記憶媒体に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって構成される。
【0056】
また、以降の説明においては、LEDA281及び位相検知センサ118に対する光書き込み装置制御部120の構成及び機能について説明するが、図3、図4において説明したように、LEDA281は感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に対応して設けられており、感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y毎に位相検知センサ118が設けられている。従って、光書き込み装置制御部120は、各色のLEDA281及び感光体ドラム109に対して設けられた位相検知センサ118に応じて制御を行う機能を有する。
【0057】
画像情報取得部121は、コントローラ20から入力される画像情報(上述した描画情報)を取得し、画像を構成する画素の情報を主走査ライン毎にラインメモリ122に格納する。即ち、画像情報取得部121が画素情報取得部として機能すると共に、ラインメモリ122が、ライン画素情報記憶部として機能する。
【0058】
発光制御部123は、ラインメモリ122に格納された画素情報に基づき、LEDA281の発光を制御する光源制御部である。発光制御部123は、副走査方向のクロックに従い、ラインメモリ122に格納された画素情報を主走査ライン毎に読み出して、LEDA281の点灯/消灯を制御する。この発光制御部123のLEDA281の発光制御における光量の調整が、本実施形態に係る要旨の1つである。
【0059】
発光時間制御部124は、上述した本実施形態に係る要旨を担う構成であり、発光制御部123がLEDA281を発光させる際の発光時間であるストローブ時間(以降、STRB時間とする)を制御することにより、上述したようにLEDA281の光量を調整する。発光時間制御部124は、位相検知センサ118から入力される周期信号に基づき、補正値情報記憶部125に記憶されている補正値の情報に従って上記の光量の調整を実行する。即ち、発光時間制御部124が、感光体ドラム109の位相、即ち回転位置を認識する回転位置認識部として機能すると共に、光量制御部として機能する。
【0060】
図8は、補正値情報記憶部125が記憶している補正値の情報(以降、補正値情報とする)の例を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係る補正値情報は、LEDA281のライン毎の発光におけるデフォルトのSTRB時間を示す“STRBDef”、STRB時間の調整における最大のSTRB時間を示す“STRBMax”、STRB時間の調整に際してSTRB時間を増加させる際のSTRB時間増加度合いとして、単位時間当たりの増加値を示す“ΔY1”、同じく、STRB時間を減少させる際のSTRB時間減少度合いとして、単位時間当たりの減少値を示す“ΔY3”、STRB時間を増加させる期間を示す“T1”、ストローブ時間を最大値に保つ期間を示す“T2”、ストローブ期間を減少させる期間を示す“T3”、ストローブ時間をデフォルトに保つ期間を示す“T4”の情報を含む。
【0061】
図8に示す夫々の情報は、感光体ドラム109の回転に応じた光源距離の変動に基づき、その変動による画質の劣化を防ぐようにLEDA281の光量が調整されるように設定されて記憶される。このような補正値情報に基づいて発光時間制御部124がSTRB時間を調整する際の時系列について、図9を参照して説明する。図9は、感光体ドラム109の回転に応じ、位相検知センサ118が感光体周期検知マーカー119aを検知して出力する周期信号と、発光時間制御部124によるSTRB時間の制御態様とを示すタイミングチャートである。
【0062】
図9に示すように、発光時間制御部124は、位相検知センサ118から出力される周期信号の立ち上がりに応じて、STRB時間をデフォルト値であるSTRBDefとするように、発光制御部123に対して制御信号を出力する。これにより、ストローブデフォルト期間T4の間、発光制御部123は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間をSTRBDefとする。
【0063】
発光時間制御部124は、位相検知センサ118の周期信号を検知すると、カウントを開始し、そのカウント値がT4に相当する値に達すると、カウンタをリセットし、カウントに従ってΔY1の増加度でSTRB時間を増加させるように発光制御部123に制御信号を出力する。これにより、図9に示すように、時間経過に伴ってSTRB時間が増加する。
【0064】
ここで、発光時間制御部124がカウントする値の例としては、実時間、感光体ドラム109を回転させるモータのパルス数、感光体ドラム109の回転に応じて出力される回転検知信号、光書き込み制御部120における内部クロック等を用いることができる。いずれの場合にしても図8に示すT1〜T4は、そのカウントする値に対応した情報として補正値情報記憶部125に記憶されている。
【0065】
上述したように、発光制御部123は、発光時間制御部124から入力される制御信号に従ってLEDA281を発光させる際のSTRB時間を調整する。そのため、ストローブ増加期間T1の間に発光制御部123がLEDA281を発光させる際のSTRB時間は、時間経過に応じてΔY1の増加度で増加する。
【0066】
発光時間制御部124は、ストローブ増加期間T1の開始時にリセットしたカウンタのカウント値がT1に相当する値に達すると、カウンタをリセットし、STRB時間を最大値であるSTRBMaxとするように、発光制御部123に対して制御信号を出力する。これにより、ストローブ最大期間T2の間、発光制御部123は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間をSTRBMaxとする。
【0067】
尚、図9の例においては、ストローブ増加期間T1の経過により、STRBDeの値が丁度STRBMaxの値になるようにΔY1が設定されている場合を例としている。これに限らず、T1経過前にSTRB時間がSTRBMaxに到達するようにしても良い。この場合、発光時間制御部124は、T1の期間内であってもSTRB時間をSTRBMax以上には増加させないよう制御信号を出力する。
【0068】
ストローブ増加期間T2の開始時にリセットしたカウンタのカウント値がT2に相当する値に達すると、発光制御部124はカウンタをリセットし、カウントに従ってΔY3の減少度でSTRB時間を減少させるように発光制御部123に制御信号を出力する。これにより、ストローブ減少期間T3の間に発光制御部123がLEDA281を発光させる際のSTRB時間は、図9に示すように時間経過に応じてΔY3の減少度で減少する。
【0069】
ストローブ減少期間T3の開始時にリセットしたカウンタのカウント値がT3に相当する値に達すると、発光制御部124は、STRB時間をデフォルト値であるSTRBDefとするように、発光制御部123に対して制御信号を出力する。これにより、T3の経過後から次の周期信号が検知されるまでの期間であるT5の間、発光制御部123は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間をSTRBDefとする。
【0070】
このようなT4、T1、T2、T3、T5のサイクルにより、図9の期間T11に示すように、感光体ドラム109の1回転分に対するSTRB時間の調整が完了する。期間T11について更に説明すると、期間T4及び期間T5の間は、STRB時間がデフォルト、即ち最小のSTRB時間の期間である。この期間は、図5のA2に示すような、光源距離が短いために画像が濃くなる部分に対応した期間である。
【0071】
他方、図9の期間T1〜T3の間は、STRB時間が増加して最大値に到達し、その後デフォルトのSTRB時間に減少する期間である。この期間は、図5のA1のように、光源距離が長いために画像が薄くなる部分に対応した期間である。即ち、本実施形態においては、図5に示すような画像の濃淡が生じる場合において、画像が薄くなってしまう範囲に対して、STRB時間を長くすることにより光量を増やし、画像が薄くならないようにする。尚、STRB時間を増加若しくは減少させる態様としては、発光制御1ライン毎に、STRB時間をΔY1ずつ増加、またはΔY3ずつ減少させる態様が考えられる。
【0072】
次に、図9に示す期間T12について説明する。図9に示す期間T12は、感光体ドラム109の周期が何らかの要因によって変動してしまった場合の時系列を示している。図9に示すように、期間T4、T1、T2については、期間T11と同様にSTRB時間の調整が行われる。
【0073】
そして、図9に示すように、感光体ドラム109の周期変動によってストローブ減少期間T3の間に周期信号が検知された場合、発光時間制御部124はそこでカウンタをリセットし、期間T11や期間T12の開始時と同様にSTRB時間をデフォルト値であるSTRBDefとするように、発光制御部123に対して制御信号を出力し、期間T1を開始する。
【0074】
このように、図8に示すようにSTRB時間のデフォルト値、最大値、増加値、減少値を記憶しておき、周期信号の検知とその後のカウント値に応じて期間T1〜T4を切り換えて制御することにより、周期変動が起きた場合であっても、光書き込み装置制御部120の構成を複雑化することなく、感光体ドラム109の回転位相に応じた制御を行うことができる。
【0075】
以上、説明したように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120によれば、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動による画質の低下を防ぐことができる。また、本実施形態に係る補正の方法によれば、図9に示すような台形補正や三角波補正のような、感光体ドラム109の偏芯に対応可能な典型的な補正を実現することが可能であるが、図8に示すように、補正値情報として要する設定値も少なく、且つその設定値に応じて実行するべき処理も簡易であり、光書き込み装置制御部120の処理負荷を増加させることなく実現することができる。
【0076】
尚、上記実施形態においては、図9に示すように、デフォルトのSTRB時間を最小とし、最大値までの増加及び最大値からデフォルト値への減少により光量の調整を行う場合を例として説明した。これに限らず、デフォルト値、最小値、最大値を設定し、最大値とデフォルト値との増減だけでなく、最小値とデフォルト値との増減も含めて調整を行っても良い。また、デフォルト値を最大値としても良い。
【0077】
更には、感光体ドラム109の1周期の間における補正パターンは、図9に示すような最小値と最大値との間を一往復する補正パターンに限らず、様々な補正パターンを設定することが可能である。例えば、図9に示すような台形補正や、三角波補正を、1周期の間に複数含めることも可能である。
【0078】
また、上記実施形態においては、STRB時間の調整による光量調整を例として説明した。このSTRB時間の調整とは、発光制御部123がLEDA281を制御するライン周期の1クロックの期間、即ち、一主走査ライン分の静電潜像の描画に対応した期間におけるLEDA281を発光させる期間、即ちデューティー比の割合の調整である。これに限らず、発光制御部123がLEDA281を発光させる際の発光強度を調整することにより光量を調整しても良い。
【0079】
また、LEDA281の制御態様として、発光制御部123が、画像情報取得部121が取得する画像情報の解像度に対応したライン周期の整数倍であるN倍の周期でLEDA281を駆動し、ラインメモリ122に格納された画素情報のうち、一ライン分の画素情報をN回連続で読み出すことにより、副走査方向の解像度をN倍にする態様がある。そのような場合、元々の画像の一主走査ラインに対応するNラインのうち、LEDA281を発光させるラインの数を増減することにより、光量を調整することも可能である。
【0080】
また、上記実施形態においては、図5に示すような、副走査方向における画像濃度の変動を対象とし、図9に示すように、時系列、即ち感光体ドラム109の回転に応じて光量を調整することにより、副走査方向の変動に応じた画像濃度の変動を調整することを例として説明した。しかしながら、感光体ドラム109の膜厚の不均一や、LEDA281の主走査方向と、感光体ドラム109の主走査方向とが傾いている場合、副走査方向のみならず、主走査方向においても、光源距離による画像濃度の変動が生じ得る。
【0081】
そのような主走査方向における画像濃度の変動に対応する態様としては、LEDA281に含まれるLED素子を主走査方向に複数のブロックに分割し、図8、図9に示すT1〜T4を、夫々のブロック毎に設定し、発光制御部123が、LEDA281に含まれるLED素子を夫々のブロック毎に制御することにより可能である。
【0082】
一般的なLEDA281は、複数のLED素子が一方向に並べられて実装されたLEDチップが、そのLED素子の配列方向と同一の方向に更に複数並べられて構成される。従って、上記LED素子を分割するブロックとしては、このLEDチップ毎のLED素子を一のブロックとすることができる。
【0083】
また、図8、図9に示すT1及びT3の絶対値や、ΔY1及びΔY3の絶対値は、必ずしも同一である必要がない。これにより、様々な態様による感光体ドラム109の偏芯を補正可能であり、非対称な補正も可能である。
【0084】
また、光書き込み装置111の制御態様や、画像形成出力を開始するタイミングにおいては、感光体ドラム109の回転において周期信号が検知される前に光書き込みが開始されてしまう場合、即ち、発光時間制御部124が感光体ドラム109の位相を検知する前に光書き込みが開始されてしまう場合があり得る。そのような場合は、図9に示すような補正を行わず、デフォルトのSTRB時間である最小値のSTRB時間で光書き込みを実行することが好ましい。このような制御により、濃すぎる濃度で画像形成が実行されてしまうことを避けることができる。
【0085】
実施の形態2.
実施の形態1においては、図8に示すような補正値情報を補正値情報記憶部125に記憶しておき、図9に示すような態様でSTRB時間を調整する場合を例として説明した。本実施形態においては、更に詳細な調整の態様を例として説明する。尚、実施の形態1と同様の符号を付す構成については、同一または相当部を示すものとし、詳細な説明を省略する。
【0086】
図10は、本実施形態において補正値情報記憶部125に記憶されている補正値情報の例を示す図である。図10に示すように、本実施形態に係る補正値情報としては、感光体周期検知マーカー119aの検知に基づいて判断される感光体ドラム109の“位相”と、夫々の位相における“STRB時間”とが関連付けられて記憶されている。
【0087】
即ち、本実施形態に係る発光時間制御部124は、補正値情報記憶部125から図10に示すような情報を取得し、位相検知センサ118から入力される周期信号に応じて、LEDA281を発光させる際のSTRB時間を制御するための制御信号を発光制御部123に入力する。尚、図10の例においては、“E1”の位相が、図6に示す感光体周期検知マーカー119aが検知されたタイミングに対応する位相である。
【0088】
図11は、本実施形態に係るSTRB時間の調整の時系列を示す図であり、実施の形態1の図9に相当する図である。図10においても、図9と同様に、感光体ドラム109の回転に応じ、位相検知センサ118が感光体周期検知マーカー119aを検知して出力する周期信号と、発光時間制御部124によるSTRB時間の制御態様とを示すタイミングチャートが示されている。
【0089】
図10に示すように、発光時間制御部124は、位相検知センサ118から出力される周期信号の立ち上がりに応じて、図10に示す位相“E1”に対応するSTRB時間“Y1”を指定する制御信号を発光制御部123に対して出力する。これにより、位相“E1”に対応する期間の間、発光制御部123は、LEDA281を発光させる際のSTRB時間を“Y1”とする。
【0090】
発光時間制御部124は、位相検知センサ118の周期信号を検知すると、カウントを開始し、そのカウント値が図10に示す“E1”、“E2”、“E3”・・・夫々の期間に相当する値に達すると、カウンタをリセットし、図10に示す補正値情報から次の位相に関連付けられているSTRB時間を取得して発光制御部123に制御信号として入力する。
【0091】
このような動作を繰り返すことにより、発光制御部123は、感光体ドラム109の1周分にわたって、図10に示す補正値情報に定められている“STRB時間”に従って発光制御部123がLEDA281を発光させる際のSTRB時間を制御する。図11の態様によれば、図8、図9において説明した態様よりもより詳細なSTRB時間の制御が可能となる。
【0092】
尚、図10、図11において説明した態様に、実施の形態1において説明した感光体ドラム109の周期変動に対する制御を組み合わせても良い。即ち、図11に示すように、周期信号の検知後、位相“E1”の期間から順番にSTRB時間を制御し、位相“E8”が終了する前に周期信号が検知された場合、発光時間制御部124は、周期信号の検知に従って位相“E1”に対応したSTRB時間“Y1”による発光が実行されるように発光制御部123を制御しても良い。
【0093】
他方、図11に示すE8の位相の制御を開始した場合、発光時間制御部124は、次の周期信号が検知されるまで、E8に対応するSTRB時間をキープする。これにより、急峻な濃度変化を避け、画像の劣化を防ぐことができる。
【0094】
また、図11の例のように、周期検知信号検知後の各位相をカウント値に基づいて判断するのではなく、実際の感光体ドラム109の位相を検知することにより判断しても良い。そのような例について以下に説明する。図6(b)は、感光体ドラム109の位相を検知する場合の感光体ドラム109を示す図である。図6(b)の例に係る感光体ドラム109には、感光体周期検知マーカー119aに加えて、所定間隔毎に感光体位相検知マーカー119bが設けられている。
【0095】
感光体周期検知マーカー119aと感光体位相検知マーカー119bとは副走査方向の幅が異なるため、位相検知センサ118による検知信号が検知状態となっている時間が感光体周期検知マーカー119aの検知時と感光体位相検知マーカー119bの検知時とでは異なる。発光時間制御部127は、位相検知センサ118の検知信号の差異により、感光体周期検知マーカー119aと感光体位相検知マーカー119bとを識別する。
【0096】
このような感光体ドラム109を用いる場合、発光時間制御部124は、感光体周期検知マーカー119aの検知信号である周期検知信号に加えて、感光体位相検知マーカー119bの検知信号である位相信号を検知する。そして、図12に示すように、発光時間制御部124は、周期信号の検知により位相“E1”の制御を開始した後、位相信号を検知する度に、図10に示す補正値情報から次の位相のSTRB時間を取得し、発光制御部123に制御信号として入力する。これにより、図11と同様の詳細なSTRB時間の制御が、感光体ドラム109の実際の位相に基づいて実行されることとなる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態に係る光書き込み制御装置120によれば、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動による画質の低下を防ぐことができると共に、感光体ドラム109の位相に応じてより詳細なSTRB時間の制御を実現することができる。
【0098】
尚、実施の形態1と同様に、主走査方向における画像濃度の変動に対応するためには、LEDA281に含まれるLED素子を複数のブロックに分割し、夫々のブロック毎に、図10に示す“STRB時間”を設定することによって実現可能である。
【0099】
また、上記実施形態においては、図10に示すように、補正値情報において、STRB時間を直接指定する場合を例として説明した。これに限らず、デフォルトのSTRB時間に対する補正値、即ち差分値の情報を、感光体ドラム109の位相に応じて設定するようにしても良い。いずれの場合であっても、補正値情報は、光量の補正に関する情報として、感光体ドラム109の位相に応じて発光制御部123がLEDA281を発光させる際の光量を特定するための情報であれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0100】
実施の形態3.
本実施形態においては、実施の形態1、2において説明した、光源距離によるスポット径変動、露光強度変動を原因とした画像濃度の変動の補正に加えて、光源距離の変動による感光体ドラム109表面の光源に対する相対速度の変動を原因とした画像濃度の変動を補正する態様について説明する。
【0101】
図13は、光源距離の変動による感光体ドラム109表面の光源に対する相対速度の変動を説明するための図であり、感光体ドラム109を回転軸方向に見た状態を示している。図13の例においては、感光体ドラム109の回転軸が左側にずれている。この場合、回転軸から感光体表面までの距離が最小であるrminと、最大であるrmaxとが生じる。そして、回転軸からの距離が異なれば、感光体ドラム109が所定の角速度で回転する場合において、感光体表面のLEDA281に対する相対的な速度(以降、表面速度とする)も、VminとVmaxのように差異が生じる。
【0102】
そして、発光制御部123が、常に一定のライン周期でLEDA281を発光させる場合、表面速度Vminの範囲においては、表面速度が遅いため、感光体ドラムの副走査方向の所定範囲内における発光回数が多くなり、色が濃くなる。他方、表面速度Vmaxの範囲においては、表面速度が速いため、感光体ドラムの副走査方向の所定範囲内における発光回数が少なくなり、色が薄くなる。このような課題を解決することが本実施形態に係る要旨である。
【0103】
そのため、本実施形態に係る補正情報記憶部125は、図8または図10に示すような補正値情報に加えて、感光体ドラム109の回転位相に応じてライン周期を調整するための図14に示すような情報(以降、周期補正情報とする)を記憶している。図14に示すように、本実施形態に係る周期補正情報は、感光体ドラム109の“位相”と、夫々の位相における“ライン周期“とが関連付けて記憶されている。
【0104】
このような周期補正情報に基づき、発光時間制御部124は、図11または図12における処理と同様に、感光体ドラム109の位相に応じて周期補正情報から“ライン周期”を読み出し、発光制御部123に制御信号として入力する。これにより、発光制御部123は、感光体ドラム109の位相に応じてLEDA281を制御する際のライン周期を調整するため、図13において説明したような課題を解決することができる。
【0105】
以上、説明したように、本実施形態に係る光書込み制御装置120によれば、簡易な構成により、感光体ドラムと光源との距離の変動による画質の低下を防ぐことができると共に、感光体ドラム109の表面速度の変動による画質の低下を防ぐことができる。
【0106】
尚、上記実施形態においては、図14に示すような周期補正情報を生成し、図11、図12に準じた態様でライン周期を補正する場合を例として説明した。この他、図8において説明したように、デフォルト、最大値(最小値)、増加度、減少度に加えて、夫々の期間を指定する態様であっても、同様に適用可能である。
【0107】
実施の形態4.
本実施形態においては、図10に示すような補正値情報を生成して補正値情報記憶部125に格納する態様について説明する。図15は、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120の機能構成を示す図である。図15に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120においては、発光時間制御部124が、パターン検知センサ117の検知信号も取得可能なように構成されている。そして、本実施形態に係る発光時間制御部124は、パターン検知センサ117から入力されるパターン検知信号に基づき、図10に示すような補正値情報を生成する。
【0108】
本実施形態に係る補正値情報の生成に際しては、発光制御部123がLEDA281を制御して図16に示すようなパターンを感光体ドラム109上に描画する。そして、発光時間制御部124が、そのパターンに基づくパターン検知センサ117による検知信号と、位相検知センサ118から入力される周期信号とに基づき、図10に示すような補正値情報を生成する。
【0109】
図16に示すように、本実施形態に係る補正値情報の生成において描画されるパターンは、主走査方向と平行な帯状の線が、副走査方向に複数配置されたパターンである。このパターンは、少なくとも感光体ドラム109の1周分に渡って配置される。また、帯状の線が配置される間隔は、図11や図12に示す“E1”、“E2”、“E3”・・・夫々の期間に相当する間隔である。
【0110】
図17は、本実施形態に係る補正値情報の生成動作を示すフローチャートである。図17に示すように、まずは発光制御部123が、図16に示すようなパターンの描画を開始する(S1701)。発光制御部123は、予め格納された図16に示すようなパターンを描画するための画像の情報に基づき、LEDA281を制御してパターンを描画させる。
【0111】
S1701において図16に示すようなパターンが描画される際、発光時間制御部124は、位相検知センサ118から入力される周期信号を検知すると共にカウントを開始しており、このカウント値に基づき、感光体ドラム109の1周における位相を判断することを可能としている。そして、発光制御部123が図16に示す帯状の線を描画するためにLEDA281を発光させる度に、上記態様により感光体ドラム109の位相を認識し、LEDA281の発光カウント値と、感光体ドラム109の位相とを関連付けて記憶している。これにより、図18に示すような位相テーブルが生成される。
【0112】
感光体ドラム109上にパターンが描画され、そのパターンが搬送ベルト105に転写されて搬送されることにより、パターン検知センサ117がそのパターンを検知する。発光制御部124は、パターン検知センサ117から検知信号を取得すると(S1702/YES)、パターンが検知された回数のカウント値と、パターン検知センサ117により検知されたパターンの濃度とが関連付けられた情報を記憶する(S1703)。
【0113】
発光時間制御部124は、図16に示すパターンの全てが検知されるまで、S1702、S1703の処理を繰り返す(S1704/NO)。これにより、図19に示すような情報が記憶される。図18は、パターンが検知された回数のカウント値とパターン検知センサ117により検知されたパターンの濃度とが関連付けられた情報である。尚、図18、図19に示す情報は、補正値情報記憶部125に一時的に格納されても良いし、RAMのような不揮発性の記憶媒体上において保持されていても良い。
【0114】
全てのパターンが検知されると(S1704/YES)、発光時間制御部124は、図18に示すカウント値と、図19に示すカウント値とを対応させ、同一のカウント値に関連付けられた“位相”と“濃度”とを関連付ける(S1705)。例えば、図18、図19の例の場合、濃度“D0”と、位相“E6”とが関連付けられる。
【0115】
位相と濃度との関連付けが完了すると、発光時間制御部124は、その濃度の情報に基づき、その濃度を適正値に補正するための補正値を算出する(S1706)。S1706において算出される補正値とは、図10に示す“STRB時間”に相当する。即ち、S1706において、発光時間制御部124は、パターン検知センサ117によって検知されたパターンの濃度を適正に補正するためのSTRB時間を算出する。これにより、図10に示すように、位相とSTRB時間とが関連付けられた補正値情報が生成される。
【0116】
補正値情報を生成すると、発光時間制御部124は、生成した補正値情報を補正値情報記憶部125に記憶し(S1707)、処理を終了する。このような処理により、補正値情報記憶部125に、図10に示すような補正情報が格納される。尚、S1705とS1706とは、処理を入れ替えても良い。即ち、図19に示す濃度を補正値に変換した上で、カウント値に基づいて位相と補正値とを関連付けても良い。
【0117】
このように、本実施形態においては、予め記憶されている図16に示すようなパターンの情報と、パターン検知センサ117によるパターンの検知結果と、位相検知センサ118による感光体ドラム109の位相の検知結果とに基づき、自動的に補正値情報を生成する。そのため、オペレータが手動で補正値を設定する必要がなく、装置の管理負担を軽減することができる。また、このような補正値の算出を定期的に実行することにより、感光体ドラム109の経時変化にも対応することができる。また、実際に感光体ドラム109、LEDA281が組付けられ、動作している状態にて補正値が算出されるため、より正確な補正値を算出することができる。
【0118】
尚、上記実施形態においては、図6(a)及び図11に準じた対応、即ち、周期信号の検知とカウント値によって感光体ドラム109の位相を判断する態様を例として説明した。これに限らず、図6(b)及び図12に準じた対応であっても、同様に適用することが可能である。
【0119】
また、実施の形態1、2と同様に、主走査方向に画像濃度の変動に対応するためには、LEDA281に含まれるLED素子を複数のブロックに分割し、夫々のブロックに対応させるように、パターン検知センサ117を主走査方向に複数設け、夫々のパターン検知センサ毎に検知された濃度に基づいてSTRB時間を算出することによって実現可能である。
【0120】
実施の形態5.
本実施形態においては、感光体ドラム109の位相検知の態様として、図6(a)、(b)とは異なる態様について説明する。図6(a)、(b)に示す感光体ドラムの位相検知の態様においては、感光体ドラム109にパターンを設ける必要があるため、感光体ドラム109の生産性に影響する。また、感光体ドラム109の経時変化により、パターンの検知が困難になる可能性もあり得る。
【0121】
これに対して、本実施形態においては、発光制御部123がLEDA281を制御し、図6(a)、(b)に示す感光体ドラム109の主走査方向端部のような、通常の画像形成出力では用いられない範囲に、感光体周期検知マーカー119a、感光体位相検知マーカー119bと同様のパターンを形成する。この際、発光制御部123は、同一のSTRB時間でLEDA281を発光させることにより全パターンを形成する。
【0122】
そして、そのパターンをパターン検知センサ117若しくは位相検知センサ118によって読み取ることにより、発光時間制御部124が、図20に示すような、各マーカーの濃度の情報を生成する。図20の例においては、例えば、濃度“D0”のパターンが、感光体周期検知マーカー119aに相当するパターン、即ち、他のパターンよりも副走査方向の幅が広いパターンの検知濃度である。
【0123】
更に、発光時間制御部124は、図21に示すような、感光体ドラム109の位相と、同一のSTRB時間で光書き込みを行った場合に形成されるパターンの濃度とが関連付けられたテーブルに基づき、図20に示す濃度の列と、図21に示す濃度の列とのパターンマッチングを行う。尚、図21に示すテーブルは、例えば、補正値情報記憶部125に記憶されている。
【0124】
そして、発光時間制御部124は、上記パターンマッチングに基づき、上述した感光体周期検知マーカー119aに相当するパターンに関連付けられた位相を抽出する。図21の例においては、位相“E6”が抽出される。これにより、位相“E6”が、感光体ドラム109において感光体周期検知マーカー119aが形成された範囲の位相であることが、発光時間制御部124によって認識される。
【0125】
従って、発光時間制御部124は、以降の制御において、例えば実施の形態2において説明したような光量の補正を行う場合、図11に示すように周期信号を検知すると、位相“E6”に相当するSTRB時間を読み出して発光制御部123を制御する。その後、“E7”、E8・・・といったように感光体ドラム109一周分の制御を行う。
【0126】
このような構成及び制御により、感光体ドラム109に予め感光体周期検知マーカー119a及び感光体位相検知マーカー119bが形成されていない場合であっても、実施の形態1〜4において説明したような制御を実行することが可能である。また、本実施形態を適用することにより、感光体周期検知マーカー119a及び感光体位相検知マーカー119bは、常に新たに形成されることとなるため、感光体ドラム109の経時劣化により読み取りが困難になることを回避することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 画像形成装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 エンジン
14 HDD
15 I/F
16 LCD
17 操作部
18 バス
20 コントローラ
21 ADF
22 スキャナユニット
23 排紙トレイ
24 ディスプレイパネル
25 給紙テーブル
26 プリントエンジン
27 排紙トレイ
28 ネットワークI/F
30 主制御部
31 エンジン制御部
32 入出力制御部
33 画像処理部
34 操作表示制御部
101 給紙トレイ
102 給紙ローラ
103 分離ローラ
104 用紙
105 搬送ベルト
106BK、106C、106M、106Y 画像形成部
107 駆動ローラ
108 従動ローラ
109BK、109C、109M、109Y 感光体ドラム
110BK 帯電器
111光書き込み装置
112BK、112C、112M、112Y 現像器
113BK、113C、113M、113Y 除電器
115BK、115C、115M、115Y 転写器
116 定着器
117 パターン検知センサ
118 位相検知センサ
119a 感光体周期検知マーカー
119b 感光体位相検知マーカー
120 光書き込み装置制御部
121 画像情報取得部
122 ラインメモリ
123 発光制御部
124 発光時間制御部
125 補正値情報記憶部
281、281BK、281Y、281M、281C LEDA
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】
【特許文献1】特開2010−008913号公報
【特許文献2】特開2006−187929号公報
【特許文献3】特開平7−52447号公報
【特許文献4】特開2007−144731号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置であって、
前記静電潜像として形成すべき画像を構成する画素の情報である画素情報を取得する画素情報取得部と、
前記取得された画素情報を主走査ライン毎に記憶するライン画素情報記憶部と、
前記記憶された画素情報に基づいて光源を発光させる発光制御部と、
前記感光体の回転における回転位置を認識する回転位置認識部と、
前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を参照し、前記発光制御部が一主走査ラインの前記画素情報に基づいて前記光源を発光させる際の光量を前記認識された回転位置に応じて制御する光量制御部とを含むことを特徴とする光書き込み装置。
【請求項2】
前記補正値情報は、前記光量を増加させる際の増加度合い、前記光量の最大値、前記光量を減少させる際の減少度合い、前記光量を増加させる期間、前記光量を最大値に保つ期間、前記光量を減少させる期間の情報を含み、
前記光量制御部は、前記認識された回転位置に応じて、前記光量を増加させる期間、前記光量を最大値に保つ期間、前記光量を減少させる期間のいずれかを判断し、その判断結果に応じて、前記光量を増加させる際の増加度合い、前記光量の最大値、前記光量を減少させる際の減少度合いの情報に基づいて前記光量を制御することを特徴とする請求項1に記載の光書き込み装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記光量を増加させる期間及び前記光量を減少させる期間において、前記光量制御部の制御に従い、前記発光制御部が前記光源を発光させる際の光量を一主走査ライン毎に増加または減少させることを特徴とする請求項2に記載の光書き込み装置。
【請求項4】
前記補正値情報は、前記感光体の回転周期における前記光量を増加させる期間、前記光量を最大値に保つ期間、前記光量を減少させる期間が設定された情報であり、
前記光量制御部は、前記回転位置認識部が前記感光体の周期を認識する毎に、前記光量を増加させる期間、前記光量を最大値に保つ期間、前記光量を減少させる期間の設定に応じた制御を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の光書き込み装置。
【請求項5】
前記補正値情報は、前記感光体の回転における回転位置と前記光量を特定するための情報とが関連付けられた情報であり、
前記光量制御部は、前記認識された回転位置に関連付けられた前記光量を特定するための情報に基づいて前記光量を制御することを特徴とする請求項1に記載の光書き込み装置。
【請求項6】
前記補正値情報は、前記感光体の回転における回転位置と前記光量を補正するための差分量とが関連付けられた情報であり、
前記光量制御部は、前記認識された回転位置に関連付けられた前記差分量に基づいて前記光量を制御することを特徴とする請求項5に記載の光書き込み装置。
【請求項7】
前記補正値情報は、前記感光体の回転方向の範囲を複数に分割した夫々の範囲と前記光量を特定するための情報とが関連付けられた情報であり、
前記光量制御部は、前記回転位置認識部が前記感光体の周期を認識して前記複数に分割した夫々の範囲についての前記光量の制御を実行した後、前記回転位置認識部が前記感光体の次の周期の開始を認識するまで、前記複数の範囲のうち最後の範囲に関連付けられた前記光量を特定するための情報に基づいて前記光量を制御することを特徴とする請求項5または6に記載の光書き込み装置。
【請求項8】
前記回転位置認識部は、前記感光体の周期を検知するために前記感光体に設けられた周期検知マーカーを検知することにより前記感光体の周期を認識し、前記感光体の周期の認識に応じて開始されるカウントのカウント値に基づいて前記感光体の回転における回転位置を認識することを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項9】
前記回転位置認識部は、前記感光体の周期を検知するために前記感光体に設けられた周期検知マーカーを検知することにより前記感光体の周期を認識すると共に、前記感光体の回転位置を検知するために前記感光体の副走査方向に所定間隔で設けられた回転位置検知マーカーを検知することにより前記感光体の回転における回転位置を認識することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項10】
前記周期検知マーカーと前記回転位置検知マーカーとは、副走査方向の幅が異なり、
前記回転位置認識部は、前記周期検知マーカーと前記回転位置検知マーカーとの副走査方向の幅の違いにより生じる検知信号の違いにより、前記周期検知マーカーと前記回転位置検知マーカーとを識別することを特徴とする請求項9に記載の光書き込み装置。
【請求項11】
前記回転位置認識部は、前記感光体の一周期分の回転位置に応じた濃度変動が予め記憶された情報を参照して、前記発光制御部が前記光源を制御して前記感光体の一周期分にわたって形成したパターンの読み取り結果における前記パターンの濃度の変動に基づいて前記感光体の回転位置を認識することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項12】
前記補正値情報は、前記感光体の回転における回転位置に対して、前記光源を主走査方向に複数の範囲に分割した夫々の範囲毎の光量の補正に関する情報が関連付けられた情報であり、
前記光量制御部は、前記認識された回転位置に応じて、主走査方向に複数の範囲に分割された前記光源の夫々の範囲毎に、前記光量を制御することを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項13】
前記発光制御部が前記光源を制御して前記感光体の一周期分にわたって形成したパターンを読み取るパターン読み取り部と、
前記パターンの読み取り結果と、前記回転位置認識部が認識した前記感光体の回転位置の認識結果とに基づき、前記補正値情報を生成して記憶媒体に記憶する補正値情報生成部とを含むことを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項に記載の光書き込み装置。
【請求項14】
前記発光制御部は、前記パターンとして、前記光源を制御して前記感光体の一周期分にわたって所定間隔で主走査方向と平行な線を複数形成し、
前記補正値情報生成部は、
前記発光制御部が前記線を形成する度に、前記線の形成回数と前記回転位置認識部によって認識された前記感光体の回転位置を関連付けて記憶し、
前記パターン読み取り部が前記線を読み取る度に、前記線の読み取り回数と前記線の読み取り結果における前記線の濃度を関連付けて記憶し、
前記線の形成回数と前記線の読み取り回数とを対応させることにより前記線の形成回数に関連付けられていた前記感光体の回転位置と前記線の読み取り回数に関連付けられていた前記線の濃度とを関連付け、
前記線の濃度に基づいて前記光量の補正に関する情報を算出することにより、前記濃度を前記光量の補正に関する情報に変換することにより前記補正値情報を生成することを特徴とする請求項13に記載の光書込み装置。
【請求項15】
請求項1乃至14いずれか1項に記載の光書き込み装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
回転によりその表面が光源に対して相対的に移動する感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置の制御方法であって、
前記静電潜像として形成すべき画像を構成する画素の情報である画素情報を取得して記憶媒体に記憶し、
前記取得された画素情報を主走査ライン毎に記憶媒体に記憶し、
前記感光体の回転における回転位置を認識し、
前記感光体の回転における回転位置と前記光源を発光させる際の光量の補正に関する情報とが関連付けられた補正値情報を参照すると共に、一主走査ラインの前記画素情報に基づいて前記光源を発光させる際の光量を前記認識された回転位置に応じて制御し、
前記光量の制御に従い、前記記憶された画素情報に基づいて光源を発光させることを特徴とする光書き込み装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−166467(P2012−166467A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29873(P2011−29873)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】