光書込装置、画像形成装置及びデータ書込方法
【課題】LPHを構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定し、当該黒スジの位置に対する光量補正を可能とし、画質の向上を図ること。
【解決手段】主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部と、発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部と、複数の発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値からなる基本補正データと、結像レンズ固有のMTFデータに基づいて算出された発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び当該補正対象位置情報が示す局所的な位置に配列された発光素子の光量補正値を補正するための補正基準値を含む黒スジ補正データと、を記憶する記憶部31と、を備えたLPH3。
【解決手段】主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部と、発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部と、複数の発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値からなる基本補正データと、結像レンズ固有のMTFデータに基づいて算出された発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び当該補正対象位置情報が示す局所的な位置に配列された発光素子の光量補正値を補正するための補正基準値を含む黒スジ補正データと、を記憶する記憶部31と、を備えたLPH3。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書込装置、画像形成装置及びデータ書込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感光体の表面に静電潜像を形成させる光書込装置として、LEDプリンタヘッド(以下、LPHと称す。)を用いた画像形成装置が開発されている。LPHは、LEDチップアレイと、レンズアレイとを備えて構成されている。LEDチップアレイは、主走査方向に沿って予め設定された解像度に応じて配列された複数のLED(Light Emitting Diode)素子を有するLEDチップがアレイ上に配置されてなる。レンズアレイは、画像データに応じて発光されたLED素子からの照射光を集光させて感光体に静電潜像を結像させるGRIN(Graded-Index)レンズが複数配列されてなる。
【0003】
LPHを用いた画像形成装置において、LED素子の製造バラツキ、GRINレンズの取り付け固定時の角度変動や屈折率分布等に起因する光学特性のバラツキ、ごみの付着等により、光量ムラが発生することが知られている。光量ムラは、濃度ムラを発生させ、この濃度ムラに起因して画像上に黒スジや白スジが発生するという問題がある。
【0004】
そこで、LPHを備えた画像形成装置において、各ドットに対するMTFの特性グラフにおいて、デフォーカス位置を5段階に変化させて各ドットに対するMTFの変化を参照し、ビーム径変動の大きい箇所、即ち、MTFが急激に変動するディップの箇所を特定することにより、レンズアレイに起因する黒スジの位置を特定する画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−248185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、複数の異なるデフォーカス位置でのMTF測定を行なわなくてはならない。また、黒スジが生じる位置が特定された後、当該特定位置に対する補正手段の開示がなされていない。そのため、黒スジが現れる位置に対する補正をすることができないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、LPHを構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定し、当該黒スジの位置に対する光量補正を可能とし、画質の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部と、前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部と、複数の前記発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値からなる第1補正データと、前記結像レンズ固有の光学特性データに基づいて算出された前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び当該補正対象位置情報が示す局所的な位置に配列された発光素子の光量補正値を補正するための補正基準値を含む第2補正データと、を記憶する記憶部と、を備えた光書込装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光書込装置において、前記光学特性データは、前記光学部を透過した照射光から検出した光量データにより算出されたMTFデータである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光書込装置において、前記補正対象位置情報は、局所的に前記光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間を示す区間情報を示す。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光書込装置において、前記補正基準値は、前記区間に含まれる発光素子のうち、前記光学特性データに基づいて算出される値の最大値であり、前記区間情報は、前記光学特性データの値が最大値である発光素子の識別番号を示す最大素子番号と、当該最大素子番号から前記区間の一端部及び他端部までの素子数とを含む。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光書込装置において、前記記憶部は、複数の前記第2補正データを、前記最大素子番号が小さい順又は大きい順に格納する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の光書込装置において、前記記憶部は、複数の前記第2補正データを、前記最大値が小さい順又は大きい順に格納する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の光書込装置により画像を形成する画像形成装置において、前記光書込装置の記憶部から前記第1補正データ及び前記第2補正データを読み出し、前記第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正する制御部と、前記制御部により補正された第1補正データを記憶する本体記憶部と、を備える画像形成装置である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、前記制御部は、前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、当該調整した第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正し、前記本体記憶部に記憶されている第1補正データを当該補正された第1補正データに書き換える。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、前記制御部は、前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、前記光書込装置の記憶部に記憶されている第2補正データを当該調整した第2補正データに書き換える。
【0017】
請求項10に記載の発明は、主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部、前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部、記憶部を備えた光書込装置と、前記光書込装置の記憶部にデータを書き込む制御装置と、を備えるシステムにおけるデータ書込方法において、前記結像レンズ固有の光学特性データを測定する光学特性データ測定工程と、前記光学特性データに基づいて、前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び補正基準値を含む第2補正データを算出する第2補正データ算出工程と、前記第2補正データを前記記憶部に書き込む書込工程と、を含むデータ書込方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、発光素子それぞれの光量を補正するための第1補正データと、結像レンズ固有の光学特性データに基づく第2補正データとを記憶する記憶部を備えた光書込装置であることから、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、光学特性データとして、MTFデータを用いることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、局所的に光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間を示す区間情報により黒スジの位置を特定することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3と同様の効果を得られるのは勿論のこと、光学特性データの値が最大値となる最大素子番号と、当該最大素子番号から当該区間の一端部及び他端部までの素子数とにより、黒スジの位置を特定することができると共に、最大値により当該黒スジの位置の発光素子に対する光量補正を行なうことができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、第2補正データを最大素子番号が小さい順又は大きい順に格納することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、第2補正データを最大値が小さい順又は大きい順に格納することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、結像レンズ固有の光学特性データに基づく第2補正データに基づいて、発光素子それぞれの光量を補正するための第1補正データを補正することができるため、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7と同様の効果を得られるのは勿論のこと、入力部から入力された調整指示情報に基づいて第2補正データを調整することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7と同様の効果を得られるのは勿論のこと、光書込装置の記憶部に記憶されている第2補正データを、入力部から入力された補正指示情報に基づいて調整された第2補正データに書き換えることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、結像レンズ固有の光学特性データに基づく第2補正データを算出して光書込装置の記憶部に書き込むことができるため、当該光書込装置を用いて画像を形成する場合には、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】LPH検査システムの構成図である。
【図2】「俵積み」した結像レンズの配置例と発光素子との関係を示す図である。
【図3】画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】LPH検査処理のフローチャートである。
【図5】LPH検査システムで実行されるLPH部組検査処理のフローチャートである。
【図6】第1光量調整処理のフローチャートである。
【図7】第2光量調整処理のフローチャートである。
【図8】第3光量調整処理のフローチャートである。
【図9】1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理でのMTF測定処理のフローチャートである。
【図10】補正データ生成処理のフローチャートである。
【図11】補正データ生成処理のフローチャートである(図10の続き)。
【図12】最大値リストの例を示す図である。
【図13】ピーク素子番号PPを中心とした区間の発光素子の素子番号と差分値ΔM(n)と処理済差分値ΔMM(n)との例を示す図である。
【図14】補正データ書込処理のフローチャートである。
【図15】LPHの記憶部のメモリ構成の例を示す図である。
【図16】Aバンクの分割領域A1に記憶されるデータ書式例を示す図である。
【図17】Bバンクの分割領域B1に記憶されるデータ書式例を示す図である。
【図18】LPH組み立て処理のフローチャートである。
【図19】LPH調整処理のフローチャートである。
【図20】用紙上に形成された確認画像の例を示す図である。
【図21】調整メニュー画面の例を示す図である。
【図22】各発光素子に対する光量操作量のグラフの例である。
【図23】調整量が0の場合の補正量のイメージ図である。
【図24】調整量が−1の場合の補正量のイメージ図である。
【図25】調整量が−2の場合の補正量のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態は、LPH検査システムによりLPHの検査を行い、当該検査済みのLPHを画像形成装置に組み込んでLPHの光量調整を行うものである。
【0030】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態におけるLPH検査システム1の構成図を示す。
図1に示すように、LPH検査システム1は、暗箱11内に設けられたLPH3、LPH固定部材12、受光部13、駆動部14、LPH制御部15、受光制御部/駆動制御部16、制御装置17を備えて構成されている。
【0031】
LPH3は、光源部、光学部を有する。光源部は、予め設定された解像度に対応した画素ピッチで主走査方向に配列された複数の発光素子(例えば、LED(Light Emitting Diode)素子)からなるLEDアレイを有する。光学部は、当該発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結像させる複数の結像レンズ(例えば、GRIN(Graded-Index)レンズ)からなるレンズアレイを有する。LPH3は、画像データに基づいて発光素子が選択的に駆動されて点灯し、駆動された発光素子から照射される光を結像レンズにより露光面上に集光させて結像させる光書込装置である。
なお、各発光素子には、それぞれ固有の識別番号(素子番号)が付されている。
【0032】
更に、LPH3は、記憶部31を有する。記憶部31は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の電気的に書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。記憶部31としては、所定の記憶領域単位で消去/書き込みが行なえるものが好ましい。なお、記憶部31は、LPH3に固定的に設けられるもの、若しくは着脱自在に装着するものであっても良い。
【0033】
記憶部31には、LPH検査システム1にて取得されたLPHの各種データが保存される。この各種データには、基本補正データ及び黒スジ補正データが含まれる。
【0034】
基本補正データは、LPH3が備える複数の発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値が各発光素子の素子番号と対応付けられた形式でテーブル化された第1補正データである。
【0035】
黒スジ補正データは、結像レンズ固有の光学特性データに基づいて算出された発光素子の配列方向における局所的な結像レンズ固有の光学特性を補正するための第2補正データである。
【0036】
この黒スジ補正データには、区間情報が含まれる。区間情報は、発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報であり、局所的に光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間(補正対象区間)を示す。この区間情報は、基本補正データに含まれる光量補正値のうち補正対象となる発光素子を特定するものである。
【0037】
また、黒スジ補正データには、補正対象区間が示す局所的な位置に配置された発光素子の光量補正値を補正するための補正値の基準となる補正基準値が含まれる。この補正基準値は、補正対象区間に含まれる発光素子のうち、光学特性データに基づいて算出される値の最大値(後述する補正ピーク値MP)である。
【0038】
LPH固定部材12は、例えば、エア吸引によりLPH3を吸着保持し、LPH3を予め設定された位置に固定するものである。
【0039】
受光部13は、LPH3から照射される光を受光し、受光した光量値を受光制御部/駆動制御部16に出力する。受光部13としては、例えば、CCD((Charge Coupled Device)や光電子倍増管(Photo Multiplier)、フォトダイオード等を挙げることができる。
【0040】
駆動部14は、モータやLPH3の照射面と対向する位置の主走査方向に延在するガイドレール等を備え、受光部13をガイドレール上のLPH3の照射面と対向する位置に保持し、受光制御部/駆動制御部16からの指示に従って主走査方向に移動させる。
【0041】
LPH制御部15は、制御装置17から入力された指示に従って、LPH3全体を制御する。LPH制御部15は、制御装置17から入力された指示に応じて発光素子の露光時間(点灯時間)や光量補正値、点灯させる発光素子をLPH3に設定し、当該露光時間で選択した発光素子を点灯させる点灯制御を行なう。また、LPH制御部15は、制御装置17から入力された指示に従って、LPH3の記憶部31に基本補正データや黒スジ補正データ等の各種データを書き込む。
【0042】
受光制御部/駆動制御部16は、受光部13から入力される光量値に対して、光電変換処理、A/D変換処理を施して光量測定値を算出し、当該光量測定値を制御装置17に出力し、また、制御装置17から入力された指示に従って、駆動部のモータを駆動させ、ガイドレール上に保持されている受光部13をLPH3の主走査方向に移動させる。
【0043】
制御装置17は、制御部17a、メモリ17b、表示部17c、操作部17d、外部I/F17e等を有しており、LPH検査システム1全体を統括的に制御する。
【0044】
制御部17aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、ROM又はメモリ17bに記憶されているシステムプログラム、各処理プログラム、データ等を読み出して、RAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、制御装置17各部の動作を制御すると共に、LPH制御部15、受光制御部/駆動制御部16を統括的に制御し、LPH検査システム1全体の統括的な制御を行なうものである。
【0045】
また、制御部17aは、ROM又はメモリ17bに記憶されているLPH検査プログラム、光量補正テーブルや各種データ等を読み出して、LPH検査処理を実行する。LPH検査処理には、LPH部組検査処理、補正データ生成処理、補正データ書込処理等が含まれる。
【0046】
LPH部組検査処理は、結像レンズ固有の光学特性データ(MTF)を測定して光学特性データを取得する処理であり、第1〜3光量調整処理、MTF測定処理が含まれる。
第1〜3光量調整処置は、LPHの光量を測定し、基本補正データを生成する処理である。
【0047】
MTF測定処理は、第1〜3光量調整処理により生成された基本補正データに応じて設定された光量に基づいてLPH制御部15によりLPHの各発光素子が予め設定された点灯パターンで点灯されると共に、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14が駆動されて点灯される発光素子と対向する位置に受光部13が移動され、受光部13により受光され受光制御部/駆動制御部16により入力された光量測定値に基づいて発光素子毎の特性データが算出される。具体的には、MTF特性(Modulation Transfer Function特性)であり、コントラスト伝達関数とも呼ばれ、光学系の解像力を表すデータが算出される。
【0048】
本実施の形態におけるMTF測定処理での点灯パターンとしては、発光素子を3つ置きに点灯させる点灯パターン(以下、1(ON)−3(OFF)とも称す。)を用いる。他の点灯パターンとしては、発光素子を1つ置きに点灯させる点灯パターン(以下、1(ON)−1(OFF)とも称す。)や、発光素子を2つ置きに2素子単位で点灯させる点灯パターン(以下、2(ON)−2(OFF)とも称す。)がある。
【0049】
補正データ生成処理は、光学特性データに基づいて、発光素子の配列方向における局所的な第2補正データ(黒スジ補正データ)を算出する処理であり、第1〜3算出処理を含む。
【0050】
第1算出処理は、発光素子毎の特性データに基づいて、予め設定された第1の移動平均区間での発光素子毎の第1の移動平均値を第1演算値として算出する処理である。
第2算出処理は、発光素子毎の特性データに基づいて、第1の移動平均区間よりも大きい予め設定された第2の移動平均区間での発光素子毎の第2の移動平均値を、第1演算値(第1の移動平均値)とは異なる第2演算値として算出する処理である。
第1算出処理の第1の移動平均区間及び第2算出処理の第2移動平均区間は、LPH3の光学部の結像レンズの配置構成に基づいて定める。
【0051】
本実施の形態の結像レンズの配置構成は、複数の結像レンズを主走査方向に2列に「俵積み」と呼ばれる配置で配列したものとする。図2に、「俵積み」した結像レンズの配置例と発光素子との関係を示す。図2に示すように、「俵積み」とは、円柱状の結像レンズを半径方向に隣接するように並べた第1層に、第1層と同様に並べた第2層の各結像レンズを、第1層の相互に隣接している2つの結像レンズの間に生じる谷間に配置するものである。この「俵積み」の配置では、隣接する2つの結像レンズの軸から軸までの距離が当該2つの結像レンズの半径の和の長さ、即ち直径Dの長さとなる。
【0052】
この「俵積み」の配置の場合、ある発光素子aから照射された光の光学寄与が最も高い結像レンズAが傾いたとき、当該結像レンズの次に光学寄与が高い結像レンズB1、B2(即ち、当該結像レンズAが属する層とは異なる層の結像レンズであって当該結像レンズに隣接する2つの結像レンズB1、B2)にも影響を与え、複数のレンズ素子が関連を持って黒スジが生じることが知られている。
【0053】
LPHの解像度が1200[dpi]の場合、結像レンズの直径Dに配列される発光素子の数は、約26素子となる。図2に示す発光素子aが点灯した場合の光学特性は、結像レンズAによる光学特性Laと結像レンズB1、B2とによる光学特性Lb1、Lb2に起因するものである。この結像レンズA、B1、B2により照射光が受光されて集光される発光素子の素子数は、2つの隣接する結像レンズの直径Dに配列される発光素子の数(約52素子)である。従って、約52素子が黒スジが発生する検出精度に寄与する最小の素子数となるため、この素子数を第1の移動平均区間とすることが好ましい。
【0054】
第2の移動平均区間は、各発光素子のMTF値をグラフ化したMTF曲線を平滑化するために必要とする素子数であることが求められる。例えば、第1の移動平均区間を52素子とした場合には、第2の移動平均区間は768素子が好ましい。
【0055】
第3算出処理は、発光素子毎に第1演算値としての第1の移動平均値と第2演算値としての第2移動平均値とに基づいて、第2移動平均値から第1の移動平均値を差分した差分値(移動平均差)を第3演算値として算出する処理である。
【0056】
第3算出処理後には、第3算出処理により算出された第3演算値と予め設定された閾値とに基づいて、黒スジ補正データが生成される。なお、閾値としては、1.6以上2.0以下であることが好ましい。
【0057】
黒スジ補正データには、補正対象区間の補正ピーク値MP、ピーク素子番号PP、区間情報が含まれる。
補正対象区間とは、第3演算値が予め設定された閾値以上となる発光素子の区間において、第3演算値が1以上となる発光素子の区間である。
補正ピーク値MPは、補正対象区間における第3演算値の最大値、即ち、光学特性データに基づいて算出される値の最大値である。
ピーク素子番号PPは、補正ピーク値MPに対応する発光素子の素子番号(最大素子番号)である。
【0058】
区間情報は、ピーク素子番号PPから補正対象区間の一端部及び他端部までの素子数である。この区間情報は、補正ピーク値MPに応じて光量補正値を補正する各補正値である光量操作量が定められ、当該各光量操作量に応じた区間の一端部及び他端部の素子数を含む。
【0059】
例えば、光量操作量が補正ピーク値である区間の素子数は、ピーク補正開始数MP1Aとピーク補正終了数MP1Bとの和である。ピーク補正開始数MP1Aは、ピーク素子番号PPから当該区間の一端部の発光素子までの素子数である。ピーク補正終了数MP1Bは、ピーク素子番号PPから当該区間の他端部の発光素子までの素子数ある。従って、光量操作量が補正ピーク値である区間は、ピーク素子番号PPにピーク補正開始数MP1Aを減算した素子番号から、ピーク素子番号PPにピーク補正終了数MP1Bを加算した素子番号までの区間となる。
【0060】
メモリ17bは、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリで構成され、各種プログラム及びデータを書き換え可能に記憶する。また、メモリ17bは、LPH検査処理プログラム、LPH3に設けられた各発光素子に対して予め設定された初期の光量補正値(初期光量補正値)を格納した光量補正テーブル、第1〜3光量調整処理に用いられるライン周期、露光時間、MTF測定処理に用いられる各種点灯パターン、閾値等の必要な各種データを記憶していると共に、受光部13により受光されて得られた光量測定値のテーブル(光量測定テーブル)、各種演算値等を記憶する。
更に、メモリ17bは、LPH検査処理により生成される基本補正データ及び黒スジ補正データを記憶する。
【0061】
表示部17cは、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electronic Luminescent)素子等を用いた表示画面を備え、制御部17aから入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力する各種表示画面や各種処理結果等を表示する各種表示画面を表示する。
【0062】
操作部17dは、各種操作キー群、表示部17cの表示画面を覆うタッチパネル等を有する。操作部17dは、操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を制御部17aに出力する。
【0063】
外部I/F17eは、ネットワークインターフェースカード(NIC;Network Interface Card)、モデム(MODEM:MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備えて構成され、通信可能に接続された外部機器や画像形成装置等と相互にデータの送受信を行う。
【0064】
図3に、本実施の形態における画像形成装置2の制御ブロック図を示す。
画像形成装置2は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像を紙等の用紙に画像形成するコピー機能や、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像データを受信し、画像データが表す画像を用紙上に形成して出力するプリンタ機能等を備えたデジタル複合機である。
【0065】
図3に示すように、画像形成装置2は、本体制御部21、機構制御部22、操作表示部23、外部I/F24、LPH3、プリント部4及び画像読取部(不図示)などにより構成され、各部はバスにより接続されている。
【0066】
本体制御部21は、CPU21a、本体記憶部21b、RAM21c、画像メモリ21d、画像処理部21e、画像処理部21eと接続されたLPH制御部21f、I/O(Input/Output)21g等を備えている。
【0067】
CPU21aは、本体記憶部21bに記憶されているシステムプログラム、各処理プログラム、データを読み出して、本体記憶部21b又はRAM21c内に展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置2各部の動作を集中制御する。システム全体のタイミング制御、本体記憶部21b又はRAM21cを使用した画像データの記憶及び蓄積制御、プリント部に対する画像データの入出力制御、他のアプリケーション(FAX、プリンタ、スキャナー等)とのインターフェース(I/F)や動作制御を行うものである。
【0068】
また、CPU21aは、本体記憶部21bに記憶されているLPH調整処理プログラム等の他各種データ等を読み出して、LPH調整処理を実行する。
LPH調整処理では、LPH3の記憶部31から基本補正データ(第1補正データ)及び黒スジ補正データ(第2補正データ)が読み出され、調整メニュー画面が操作表示部に表示され、操作表示部から入力された調整指示情報に応じて調整された黒スジ補正データに基づいて基本補正データが補正され、補正された基本補正データを本体記憶部21bに記憶させると共に、補正された基本補正データを用いた画質確認用の画像データに基づく画像がプリント部4により用紙に形成され出力される処理である。
【0069】
調整メニュー画面は、読み出された黒スジ補正データを表示すると共に、当該黒スジ補正データに対する調整指示情報を受け付けるものである。
【0070】
本体記憶部21bは、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリで構成され、画像形成装置2に対応する各種プログラム及び各種プログラムで処理するのに必要なデータが予め記憶されている。また、本体記憶部21bには、LPH調整処理プログラムや画質確認用の画像データ等のLPH調整処理プログラムにて必要な各種データが記憶されている。
【0071】
更に、本体記憶部21bは、光量補正データメモリを有する。
光量補正データメモリは、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の書き替え可能な不揮発性のメモリを用いて構成される。光量補正データメモリは、LPH3から読み出されたデータ(基本補正データ、黒スジ補正データ等)や、LPH調整処理プログラムにて補正された基本補正データが記憶される。
【0072】
RAM21cは、CPU21aにより実行される各種処理において、本体記憶部21bから読み出されたプログラム、入力、若しくは出力データ及びパラメータなどの一時的な格納領域となる。
【0073】
画像メモリ21dは、画像データメモリを有する。
画像データメモリは、DRAM(Dynamic RAM)等を用いて構成される。画像データメモリは、画像読取部や外部I/F24等から送られてきた画像データを記憶する。
【0074】
画像処理部21eは、画像メモリ21dに記憶されている画像データの画像処理(変倍、フィルタ、γ変換など)を行い、プリント出力対象となるプリントデータを生成する。
【0075】
LPH制御部21fは、画像処理部21eにより生成されたプリントデータを格納すると共に、生成されたプリントデータに基づいた各種信号や、LPH3の記憶部31に書き込むデータをLPH3に出力する。
【0076】
I/O21gは、LPH3の記憶部31から読み出された基本補正データ及び黒スジ補正データを、CPU21aに出力し、本体記憶部21bの光量補正データメモリに記憶させる。
【0077】
機構制御部22は、本体制御部21からの信号に基づいて画像形成装置2内の各種駆動機構及び各種センサ等を統括的に制御するものであり、例えば、画像形成部が備える感光体ドラムを一定速度で回転させるモータを駆動制御している。
【0078】
操作表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electronic Luminescent)素子を用いた等の表示画面や、テンキーや電源スイッチを含む操作キー群等から構成される。表示画面上には、表示画面を覆うようにタッチパネルが設けられており、本体制御部21から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種設定画面や調整メニュー画面、画像形成装置2の動作状態や処理結果等が表示される。また、操作表示部23は、操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を本体制御部21に送信する。
【0079】
外部I/F24は、ネットワークインターフェースカード(NIC;Network Interface Card)、モデム(MODEM:MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備えて構成され、通信可能に接続された外部機器やLPH検査システムが備える制御装置17と相互に情報の送受信を行う。
【0080】
プリント部4は、LPH3を有する画像形成部、クリーニング部、転写ベルト、給紙部、搬送部、定着部等を備え、用紙上に画像を形成する。
【0081】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図4に、本実施の形態におけるLPH検査処理のフローチャートを示す。
図4に示す処理は、LPH検査システムにおいて実行される処理である。
【0082】
まず、LPH3の初期検査が行なわれる(ステップS1)。初期検査では、LPH3を構成する各種部品の外観が観察され、キズや汚れ等が無いかが確認され、LPH3の光量やMTF値、フォーカス位置等の初期値が設定される処理である。
【0083】
初期検査後、LPH3を構成する各種部品や取り付け部材を組み立てるLPH部組が行われる(ステップS2)。部組が行なわれたLPH3がLPH固定部材12に仮設置され、受光部13に対する位置決めやフォーカス位置の調整が行われる(ステップS3)。
【0084】
フォーカス位置の調整後、LPH3を構成する各種部品等の接着及び乾燥が行なわれ、LPH3はLPH固定部材12等の固定支持部に固定される(ステップS4)。
【0085】
LPH固定部材12に固定されたLPH3に対してLPH部組検査処理が実行され(ステップS5)、ステップS5後に補正データ生成処理が実行される(ステップS6)。そして、ステップS6後に補正データ書込処理が実行され(ステップS7)、LPH検査システム1での処理は終了される。
【0086】
なお、ステップS7の補正データ書込処理は、LPH3が画像形成装置2の所定位置に取り付けられた後、LPH検査システム1と画像形成装置2とが通信を行って実行されるものであってもよい。詳細は後述する。
【0087】
図5に、LPH検査システム1で実行されるLPH部組検査処理のフローチャートを示す。図5に示す処理は、制御部17aと各部との協働により実行されるものである。
【0088】
制御部17aは、第1光量調整処理を実行させ(ステップS11)、第1光量調整処理の実行後、第2光量調整処理を実行させ(ステップS12)、第2光量調整処理の実行後、第3光量調整処理を実行させる(ステップS13)。
制御部17aにより第3光量調整処理の実行が完了すると、LPH3に設けられている発光素子の光量バラツキが予め設定された値以下に調整されると共に、各発光素子に対する光量補正値が素子番号に対応付けられた基本補正データが生成される。
なお、第1〜3光量調整処理の詳細については後述する。
【0089】
制御部17aは、発光素子の光量バラツキが調整されたLPH3に対して、MTF測定処理を実行し(ステップS14)、LPH部組検査処理を終了する。なお、MTF測定処理については、点灯パターン毎に各発光素子のMTF値を算出する正規処理と、連続して配列された複数素子共通のMTF値を算出する略式処理とがあり、演算効率の向上を図る上では略式処理を用いることが好ましく、本実施の形態では略式処理を用いる。
【0090】
図6に、第1光量調整処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、メモリ17bから初期検査により設定された初期光量補正値が格納された光量補正テーブルを読み出し、LPH制御部15により各発光素子の電流調整値となる初期光量補正値を各発光素子に設定させる(ステップS21)。また制御部17aは、メモリ17bからライン周期、露光時間を読み出し、LPH制御部15によりLPH3のライン周期、各発光素子の露光時間をLPH3に設定させる(ステップS22)。
【0091】
制御部17aは、点灯させる素子番号(点灯素子番号)nを0に指定した後(ステップS23)、点灯素子番号nに1を加算して(ステップS24)、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14を駆動させて受光部13を点灯素子番号nに対応する位置に移動させる(ステップS25)。
【0092】
制御部17aは、点灯素子番号nの発光素子をLPH制御部15により点灯させ(ステップS26)、受光部13が受光した光量値が受光制御部/駆動制御部16により変換された光量測定値P(n)を取得し、光量測定テーブルに格納する(ステップS27)。
【0093】
制御部17aは、点灯素子番号nが最終番目の素子番号であるか否かを判別する(ステップS28)。点灯素子番号nが最終番目の素子番号でない場合(ステップS28;NO)、制御部17aは、ステップS24の処理に戻り、点灯素子番号nが最終番目の素子番号である場合(ステップS28;YES)、第1光量調整処理を終了する。
【0094】
図7に、第2光量調整処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、メモリ17bに記憶されている光量測定テーブルを読み出し(ステップS31)、各発光素子の光量測定値から全発光素子の平均光量Paを算出し(ステップS32)、光量補正テーブルの展開領域をメモリ17bに確保する(ステップS33)。
【0095】
制御部17aは、参照する発光素子の素子番号(参照素子番号)nを1に設定し(ステップS34)、光量補正テーブルに格納されている参照素子番号nの光量補正値TT(n)を読み出す(ステップS35)。
【0096】
制御部17aは、読み出した参照素子番号nの光量補正値TT(n)、当該参照素子番号nの光量測定値P(n)、平均光量Paに基づいて、当該光量補正値TT(n)に補正を行ない、新たな光量補正値TT(n)を算出する(ステップS36)。具体的には、光量測定値P(n)を平均光量Paで除算した値から1を減算した値に読み出した光量補正値TT(n)を加算して、新たな光量補正値TT(n)とする。下記の式(1)に、新たな光量補正値TT(n)の算出式を示す。
【0097】
TT(n)=TT(n)+(P(n)/Pa−1) ・・・・(1)
【0098】
制御部17aは、ステップS36にて算出した光量補正値TT(n)を光量補正テーブルに上書きして保存し(ステップS37)、参照素子番号nに1を加算する(ステップS38)。
【0099】
制御部17aは、参照素子番号nが最終番目の素子番号に1を加算した値であるか否かを判別する(ステップS39)。参照素子番号nが最終番目の素子番号に1を加算した値でない場合(ステップS39;NO)、制御部17aは、ステップS35の処理に戻り、参照素子番号nが最終番目の素子番号に1を加算した値である場合(ステップS39;YES)、第2光量調整処理を終了する。
【0100】
図8に、第3光量調整処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、メモリ17bに記憶されている光量補正テーブル(即ち、第2光量調整処理により算出された光量補正値が格納されている光量補正テーブル)を読み出し、LPH制御部15により各発光素子の電流調整値となる光量補正値を各発光素子に設定させる(ステップS41)。なお、ステップS42〜S48は、第1光量調整処理のステップS22〜S28と同様であるため、説明は省略する。
【0101】
制御部17aは、本処理により生成された光量測定テーブルを読み出し(ステップS49)、各発光素子の光量測定値から全発光素子の平均光量Paを算出する(ステップS50)。
【0102】
制御部17aは、各発光素子の光量測定値P(n)、平均光量Paに基づいて、各発光素子の光量バラツキΔP(n)を算出する(ステップS51)。具体的には、光量測定値P(n)から平均光量Paを除算した値に100を乗算してパーセント[%]で示した値を光量バラツキΔP(n)として算出する。下記の式(2)に、素子番号nの発光素子の光量バラツキΔP(n)の算出式を示す。
【0103】
ΔP(n)=(P(n)−Pa)×100[%] ・・・・(2)
【0104】
制御部17aは、全ての発光素子の光量バラツキΔP(n)が±5[%]以内であるか否かを判別する(ステップS52)。全ての発光素子の光量バラツキΔP(n)が±5[%]以内でない場合(ステップS52;NO)、制御部17aは、第2光量調整処理に戻って(ステップS53)第3光量調整処理を終了し、全ての発光素子の光量バラツキΔP(n)が±5[%]以内である場合(ステップS52;YES)、第3光量調整処理を終了する。
【0105】
第1〜3光量調整処理が実行されることにより、全ての発光素子の光量バラツキが所定範囲(±5[%])以内となる光量補正テーブルが生成されることとなる。この光量補正テーブルが基本補正データとなる。また、第1〜3光量調整処理により、後に実行されるMTF測定処理で算出される各発光素子のMTF値の算出精度を向上でき、補正対象発光素子の特性精度の信頼性を向上させることができる。
【0106】
次に、MTF測定処理について説明する。
MTF測定処理での点灯パターンは、1(ON)−1(OFF)、1(ON)−3(OFF)、2(ON)−2(OFF)の3つの点灯パターンがある。MTF測定処理の種類は、いずれかの点灯パターンと正規処理又は略式処理のMTF算出処理との組み合わせがある。本実施の形態におけるMTF測定処理は、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンでの略式処理とする。
【0107】
以下、1(ON)−3(OFF)の略式処理のMTF測定処理について説明する。
1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理のMTF測定処理は、4つの連続して配置された発光素子を1組とし、各組のいずれか一つの発光素子のMTF値を算出し、当該MTF値を組共通のMTF値とする処理である。
【0108】
本実施の形態における1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理のMTF測定処理では、先頭の発光素子から3素子おきの発光素子(例えば、素子番号n=1,5,9・・・の発光素子)が順次点灯され、点灯された発光素子に対する最大光量値が取得され、また、点灯した素子間の3つの連続した発光素子のうち中央の位置の発光素子(例えば、素子番号n=3,7,11・・・の発光素子)の位置に受光部13が移動され、点灯された発光素子に対する最小光量値が取得される。そして、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理のMTF測定処理では、最大光量値と最小光量値に基づいてMTF値が算出され、当該MTF値が各組の共通のMTF値となる。
【0109】
図9に、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理でのMTF測定処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、測定前に各部の初期設定を行なう(ステップS61)。例えば、受光制御部/駆動制御部16により受光部13をガイドレール上の原点位置に移動させたり、受光部13のリファレンス調整、受光制御部/駆動制御部16内のA/D変換回路や格納メモリの初期設定等を行なう。
【0110】
制御部17aは、ステップS61の後、メモリ17bから光量補正テーブル(基本補正データ)を読み出し、LPH制御部15により各発光素子の電流調整値となる基本補正値を各発光素子に設定させる(ステップS62)。ステップS62で読み出される光量補正テーブルは、第2光量調整処理により算出された光量補正値が格納されている。
また制御部17aは、メモリ17bからライン周期、露光時間を読み出し、LPH制御部15によりLPH3のライン周期、各発光素子の露光時間をLPH3に設定させる(ステップS63)。
【0111】
制御部17aは、LPH制御部15により点灯パターンを各組の一端部に配置された発光素子を順次点灯する1(ON)−3(OFF)に設定させる(ステップS64)。制御部17aは、受光制御部/駆動制御部16により受光部13を原点位置に移動させ、また、制御部17aは参照素子番号nを0に設定する(ステップS65)。
【0112】
制御部17aは、参照素子番号nに1を加算し(ステップS66)、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14を駆動させて受光部13を参照素子番号nに対応する位置に移動させ、参照素子番号nの発光素子をLPH制御部15により点灯させる(ステップS67)。制御部17aは、受光部13が受光した光量値が受光制御部/駆動制御部16により変換された光量測定値P(n)を点灯された発光素子の最大光量値Aとして取得する(ステップS68)。
【0113】
制御部17aは、参照素子番号nに2を加算し(ステップS69)、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14を駆動させて受光部13を参照素子番号nに対応する位置に移動させる(ステップS70)。制御部17aは、受光部13が受光した光量値が受光制御部/駆動制御部16により変換された光量測定値P(n)をステップS67で点灯された発光素子の最小光量値Bとして取得する(ステップS71)。
【0114】
制御部17aは、ステップS68において取得した最大光量値A及びステップS71において取得した最小光量値Bに基づいて、参照素子番号n−2〜n+1と参照素子番号nとの共通のMTF値MTF(n−2〜n+1)を算出し(ステップS72)、算出したMTF値をメモリ17bに記憶させる。ステップS72におけるMTF値の算出は、下記の式(3)により算出される。
【0115】
MTF(n−2〜n+1)={(A−B)/(A+B)}×100[%]・・・・(3)
【0116】
制御部17aは、参照素子番号nが最終番目の素子番号であるか否かを判別する(ステップS73)。参照素子番号nが最終番目の素子番号でない場合(ステップS73;NO)、制御部17aは、参照素子番号nに2を加算し(ステップS74)、ステップS66の処理に戻る。参照素子番号nが最終番目の素子番号である場合(ステップS73;YES)、制御部17aは、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理でのMTF測定処理を終了する。
【0117】
図10、図11に、LPH検査システム1で実行される補正データ生成処理のフローチャートを示す。図10、図11に示す処理は、制御部17aと各部との協働により実行されるものである。
【0118】
制御部17aは、MTF測定処理にて得られた各発光素子のMTF値をメモリ17bから読み出し(ステップS81)、第1算出処理を実行する(ステップS82)。本実施の形態における第1算出処理は、第1の移動平均区間を52素子とし、各発光素子を当該第1の移動平均区間の中心として、各発光素子の第1の移動平均値を算出する。
【0119】
略式処理によりMTF値が算出された場合の第1算出処理について説明する。
本実施の形態における略式処理で算出されるMTF値は、4つの発光素子毎に共通のMTF値とする。従って、第1の移動平均区間を52素子とした場合、4素子を1組として13組単位で第1の移動平均値を算出する。例えば、4の倍数の素子番号の発光素子のMTF値に基づいて、各組の第1の移動平均値を算出する。組番号mに含まれる発光素子のうち最も素子番号が小さい素子番号の発光素子の第1の移動平均値MTFa1(n)は、下記の式(4)により算出される。
【0120】
MTFa1(n)={MTF(n−24)+MTF(n−20)+MTF(n−16)
+MTF(n−12)+MTF(n−8)+MTF(n−4)
+MTF(n)+MTF(n+4)+MTF(n+8)
+MTF(n+12)+MTF(n+16)+MTF(n+20)
+MTF(n+24)}/13
・・・・(4)
【0121】
なお、第1の移動平均区間の半数未満の組(1組目〜6組目)の発光素子の第1の移動平均値を、7組目の発光素子の第1の移動平均値とし、最終組(M組)から第1の移動平均区間の半数区間の組(M組〜M−6組目)の発光素子の第1の移動平均値を、M−7組目の発光素子の第1の移動平均値とする。
【0122】
制御部17aは、ステップS81後、第2算出処理を実行する(ステップS83)。本実施の形態における第2算出処理は、第2の移動平均区間を768素子とし、各発光素子を当該第2の移動平均区間の中心として、各発光素子の第2の移動平均値を算出する。
【0123】
略式処理によりMTF値が算出された場合の第2算出処理について説明する。
上述したように、略式処理で算出されたMTF値は、4つの発光素子毎に共通のMTF値である。従って、第2の移動平均区間を768素子とした場合、4素子を1組として192組単位で第2の移動平均値を算出する。例えば、4の倍数の素子番号の発光素子のMTF値に基づいて、各組の第2の移動平均値を算出する。組番号mに含まれる発光素子のうち最も素子番号が小さい素子番号の発光素子の第2の移動平均値MTFa2(n)は、下記の式(5)により算出される。
【0124】
MTFa2(n)={MTF(n−384)+MTF(n−380)+…
…+MTF(n−4)+MTF(n)+MTF(n+4)+…
…+MTF(n+376)+MTF(n+380)}/192
・・・・(5)
【0125】
なお、第2の移動平均区間の半数未満の組(1組目〜96組目)の発光素子の第2の移動平均値を、97組目の発光素子(素子番号n=385〜388の発光素子)の第2の移動平均値とし、最終組(M組)から第2の移動平均区間の半数区間の組(M組〜M−96組目)の発光素子の第2の移動平均値を、M−97組目の発光素子の第2の移動平均値とする。
【0126】
制御部17aは、第1算出処理及び第2算出処理後、各発光素子の第2の移動平均値MTFa2(n)から第1の移動平均値MTFa1(n)を差分した差分値ΔM(n)を算出する第3算出処理を実行する(ステップS84)。
【0127】
制御部17aは、所定区分毎に最大差分値ΔMmax(n)と、当該最大差分値ΔMmax(n)の発光素子の素子番号(最大素子番号Nmax)とを検出する。そして制御部17aは、最大素子番号Nmaxの素子番号順にリスト番号を付して、検出した最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)が格納された最大値リストを生成し(ステップS85)、メモリ17bに記憶する。
【0128】
図12に、最大値リストの例を示す。
図12に示す最大値リストでは、ステップS85での所定区分を、例えば、主走査方向に発光素子が15360画素配列されている場合には384素子単位の40個の区分とした場合の例である。この場合、384素子単位毎に、差分値ΔM(n)が予め設定された閾値以上となる発光素子のうち、差分値ΔM(n)が最大となる発光素子の素子番号(最大素子番号Nmax)と、最大素子番号Nmax(n)の差分値ΔM(n)(即ち、最大差分値ΔMmax(n))が検出される。従って、40個の区分それぞれに対する最大素子番号Nmax及び最大差分値ΔMmax(n)にリスト番号が付された最大値リストが生成されることとなる。
【0129】
制御部17aは、メモリ17bから最大値リストを読み出し(ステップS86)、参照するリスト番号(参照リスト番号)Lnを0に設定する(ステップS87)。
【0130】
制御部17aは、参照リスト番号Lnに1を加算した参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)を読み出す(ステップS88)。
【0131】
制御部17aは、参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)に該当するデータが最大値リストにあるか否か、即ち、ステップS88で参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)を読み出すことができたか否かを判別する(ステップS89)。参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)に該当するデータが最大値リストにない場合(ステップS89;NO)、制御部17aは、補正データ生成処理を終了する。
【0132】
参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)に該当するデータが最大値リストにある場合(ステップS89;YES)、ステップS88で読み出したる最大素子番号Nmaxをピーク素子番号PP、最大差分値ΔMmax(n)の小数点以下を切り捨てた値を補正ピーク値MPとする(ステップS90)。
【0133】
制御部17aは、ピーク素子番号PPを中心に予め設定された素子数の区間(例えば、ピーク素子番号PPを中心に前後200素子の区間)の素子番号と差分値ΔM(n)をメモリ17bから読み出す(ステップS91)。
【0134】
制御部17aは、読み出した区間の各差分値ΔM(n)を小数点以下を切り捨てた値に処理し、処理済みの各差分値(処理済差分値ΔMM(n))を算出する(ステップS92)。この処理済差分値ΔMM(n)が光量操作量[%]となる。
【0135】
図13に、ピーク素子番号PPを中心とした区間の発光素子の素子番号と差分値ΔM(n)と処理済差分値ΔMM(n)との例を示す。
【0136】
制御部17aは、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、各処理済差分値ΔMM(n)をチェックし、処理済差分値ΔMM(n)毎の区間の一端部までの素子数を算出する(ステップS93)。
【0137】
ステップS93では、例えば、補正ピーク値MPが3である場合、処理済差分値ΔMM(n)が3の場合、2の場合、1の場合の各区間のピーク素子番号PPから一端部までの素子数が算出される。
【0138】
具体的には、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が3から2となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14265)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差がピーク補正開始数MP1Aとして算出される。
また、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が2から1となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14237)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第2補正開始数SP2として算出される。
更に、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が1から0となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14217)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第1補正開始数SP1として算出される。
【0139】
制御部17aは、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、各処理済差分値ΔMM(n)をチェックし、処理済差分値ΔMM(n)毎の区間の他端部までの素子数を算出する(ステップS94)。
【0140】
ステップS94では、例えば、補正ピーク値MPが3である場合、処理済差分値ΔMM(n)が3の場合、2の場合、1の場合の各区間のピーク素子番号PPから一端部までの素子数が算出される。
【0141】
具体的には、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が3から2となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14273)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差がピーク補正終了数MP1Bとして算出される。
また、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が2から1となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14297)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第2補正終了数EP2として算出される。
更に、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が1から0となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14321)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第1補正終了数EP1として算出される。
【0142】
制御部17aは、ピーク素子番号PP、補正ピーク値MP、各処理済差分値ΔMM(n)の区間情報を黒スジ補正データとしてメモリ17bに記憶させ(ステップS95)、ステップS88の処理に戻る。
【0143】
ステップS95での区間情報としては、例えば、光量調整量である処理済差分値ΔMM(n)が補正ピーク値MPである区間を示すピーク補正開始数MP1A及びピーク補正終了数MP1B、光量調整量である処理済差分値ΔMM(n)が2である区間を示す第2補正開始数SP2及び第2補正終了数EP2、光量調整量である処理済差分値ΔMM(n)が1である区間を示す第1補正開始数SP1及び第1補正終了数EP1である。
【0144】
図14に、LPH検査システム1で実行される補正データ書込処理のフローチャートを示す。図14に示す処理は、制御部17aと各部との協働により実行されるものである。
【0145】
制御部17aは、LPH3内の記憶部31へのデータ書込準備を行なう(ステップS101)。ステップS101では、制御部17aは、LPH制御部15を介してLPH3の記憶部31との通信接続を確立する。
【0146】
制御部17aは、基本補正データをメモリ17bから読み出し(ステップS102)、また黒スジ補正データをメモリ17bから読み出し(ステップS103)、LPH3の記憶部31に基本補正データと黒スジ補正データを書き込み(ステップS104)、補正データ書込み処理を終了する。
【0147】
図15に、LPH3の記憶部31のメモリ構成の例を示す。
図15に示すように、記憶部31のメモリ領域は、2つの領域(Aバンク、Bバンク)に分かれている。各バンクは、更に2つの領域に分割されている。
【0148】
Aバンクは、メモリアドレスが「0000h」〜「2FFFh」の分割領域A1と、メモリアドレスが「30000h」〜「7FFFh」の分割領域A2から成る。分割領域A1には、基本補正データが格納される。分割領域A2には、各発光素子に対する光量補正値が基本補正データとは異なる第1拡張補正データと黒スジ補正データが格納される。
【0149】
Bバンクは、メモリアドレスが「8000h」〜「AFFFh」の分割領域B1と、メモリアドレスが「B000h」〜「FFFFh」の分割領域B2から成る。分割領域B1には、基本補正データと黒スジ補正データが格納される。分割領域B2には、各発光素子に対する光量補正値が基本補正データとは異なる第2拡張補正データと黒スジ補正データが格納される。
【0150】
本実施の形態では、Aバンクの分割領域A1、Bバンクの分割領域B1及びB2には、共通の黒スジ補正データが格納される。
【0151】
図16に、Aバンクの分割領域A1に記憶されるデータ書式例を示す。
図16に示すように、分割領域A1には、基本補正データと共に、最大値リストを生成した際の各所定区分に対する黒スジ補正データの有無を示す各4ビットの黒スジ補正データ格納状況を示すデータ(図16では、CP1〜CP40)が格納される。
黒スジ補正データ格納情報の所定区分の値が0である場合には、当該所定区分には黒スジ補正データがないと判別することができる。
【0152】
図17に、Bバンクの分割領域B1に記憶されるデータ書式例を示す。
図17に示すように、分割領域B1には、各黒スジ補正データを9Byteの書式として最大5つの黒スジ補正データ(PP1〜PP5)と、基本補正データとが格納される。
各黒スジ補正データは、ピーク素子番号PPが小さい順又は大きい順に格納、又は、補正ピーク値が小さい順又は大きい順に格納される。
【0153】
図17に示すように、各黒スジ補正データのピーク素子番号PP、第1補正開始数SP1、第1補正終了数EP1、第2補正開始数SP2、第2補正終了数EP2、ピーク補正開始数MP1A、ピーク補正終了数MP1B、補正ピーク値MPは、上位アドレスから1アドレスずつ1Byteの領域(ピーク素子番号PPは、上位アドレスから2アドレスの2byteの領域)に割り振られて格納される。
【0154】
ピーク素子番号PP、第1補正開始数SP1、第1補正終了数EP1、第2補正開始数SP2、第2補正終了数EP2、ピーク補正開始数MP1A、ピーク補正終了数MP1B、補正ピーク値MPのデータは、10進数で管理される。
なお、補正ピーク値MPがない場合には、補正ピーク値MPのデータとして「77h」が格納される。
【0155】
Aバンクの分割領域A2、Bバンクの分割領域B2に記憶されるデータ書式例は、図17に示すデータ書式の基本補正データを第1拡張補正データ、第2拡張補正データに換えたものと同様である。
【0156】
次に、画像形成装置2にて実行される処理を説明する。
図18に、本実施の形態におけるLPH組み立て処理のフローチャートを示す。
図18に示す処理は、画像形成装置2を用いて実行される処理である。
【0157】
LPH検査システム1によるLPH検査処理が完了したLPH3が画像形成装置2の所定位置に取り付けられる(ステップS111)。そして、LPH3が取り付けられた画像形成装置2は、LPH3の記憶部31に基本補正データがあるか否かを判別する(ステップS112)。
【0158】
取り付けられたLPH3に基本補正データがない場合(ステップS112;NO)、画像形成装置2は、LPH検査システム1と通信を行って基本補正データ等を記憶部31に書き込むデータ書込処理を実行する(ステップS113)。
【0159】
取り付けられたLPH3に基本補正データがある場合(ステップS112;YES)又はステップS113後、画像形成装置2は、LPH3を用いたLPH調整処理を実行し(ステップS114)、LPH組み立て処理が終了される。
【0160】
図19に、本実施の形態におけるLPH調整処理のフローチャートを示す。
図19に示す処理は、画像形成装置2にて実行される処理であり、CPU21aと各部との協働により実行されるものである。
【0161】
CPU21aは、I/O21gを介してLPH3の記憶部31から基本補正データを読み込み(ステップS131)、本体記憶部21bの光量補正データメモリ内に格納する。ステップS131では、例えば、記憶部31のAバンクの分割領域A1に格納されている基本補正データが読み出される。
【0162】
CPU21aは、ステップS131にて読み出した基本補正データを用いた確認画像データを生成し、当該確認画像データを画像処理部21eに出力する(ステップS132)。画像処理部21eにより確認画像データに基づくプリントデータが生成され、LPH制御部21fによりプリントデータに基づいた各種信号がLPH3に出力される。
【0163】
LPH3は、LPH制御部21fから入力された信号に基づいて駆動し、プリント部4により用紙上に確認画像が形成され出力される(ステップS133)。
【0164】
図20に、用紙上に形成された確認画像の例を示す。
図20に示すように、確認画像Pは、第1帯状画像Pa1〜Pa10と、第2帯状画像Pb1〜Pb10と、調整位置画像Pcとからなる。第1帯状画像Pa1〜Pa10と第2帯状画像Pb1〜Pb10は、スクリーン線及びスクリーン角度が異なる。
図20に示す確認画像Pの例は、黒スジLが現れた場合の例とする。
【0165】
第1帯状画像Pa1〜Pa10は、副走査方向Yにおいて隣接する第1帯状画像とは濃度が異なる。第1帯状画像Pa1〜Pa10は、副走査方向(用紙搬送方向)Yの先端から終端の方向に向かって、各第1帯状画像の濃度が順次10[%]単位で濃く又は薄くなるように配列されている。濃度20〜50[%]で検出性が良い。また、第1帯状画像Pa1〜Pa10は、スクリーン線141線、スクリーン角度45度であることが好ましい。
【0166】
第2帯状画像Pb1〜Pb10は、副走査方向Yにおいて隣接する第2帯状画像とは濃度が異なる。第2帯状画像Pb1〜Pb10は、副走査方向(用紙搬送方向)Yの先端から終端の方向に向かって、各第2帯状画像の濃度が順次10[%]単位で濃く又は薄くなるように配列されている。濃度20〜50[%]で検出性が良い。また、第2帯状画像Pb1〜Pb10は、スクリーン線175線、スクリーン角度15度であることが好ましい。
【0167】
調整位置画像Pcは、用紙搬送方向Yの両端部(先端部及び終端部)の近傍位置に主走査方向Xに渡って延在する帯状の画像と、当該帯状の画像の主走査方向の長さを予め設定された間隔(最大値リストの所定区分に相当する長さ)で区切る線とにより形成されてなる。この帯状の画像を区切る間隔は、LPH3が備える主走査方向に配列された発光素子を予め設定された数単位で区切った長さに相当する。例えば、主走査方向に発光素子が15360画素配列されている場合であって384素子毎に区切る場合には、当該帯状の画像を40個の区間に区切る線が形成される。
従って、調整位置画像Pcは、第1帯状画像及び第2帯状画像に現れる黒スジの主走査方向における位置を判別するめやすとなる。
【0168】
出力された確認画像は、本処理を画像形成装置2に実行させている作業員により目視され、当該作業員により確認画像上に黒スジが現れているか否かが判別される(ステップS134)。確認画像上に黒スジが現れていないと判別された場合(ステップS134;NO)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、LPH調整処理が終了される。また、スキャナーによる画像解析手段にて、黒スジを判定してもよい。
【0169】
確認画像上に黒スジが現れていると判別された場合(ステップS134;YES)、黒スジの出現がプロセスエンジン起因ではないか否かが作業員により判別される(ステップS135)。ステップS135では、作業員は、黒スジの形状によりプロセスエンジン起因であるか否かを判別する。プロセスエンジン起因ではない黒スジは、即ち、LPH3のレンズアレイに起因して現れた黒スジは、黒スジの幅が約1mm前後(結合レンズの直径の約2倍の長さ)であることが知られている。また、プロセスエンジン起因で現れた黒スジは、レンズアレイに起因する黒スジよりも幅が広く、装置構成部品に応じたスジとなる。
【0170】
黒スジの出現がプロセスエンジン起因である場合(ステップS135;NO)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、プロセスエンジン起因の解析処理が実行され(ステップS136)、LPH調整処理が終了される。このとき、LPH側の黒スジ情報と画像とを比較して、プロセスエンジン起因との原因分離を確認すると良い。プロセスエンジン起因との切り分け手段として、黒スジ情報を活用することもできる。
【0171】
黒スジの出現がプロセスエンジン起因でない場合(ステップS135;NO)、当該判別結果が操作表示部により入力される。CPU21aは、黒スジの出現がプロセス起因でない判別結果が入力されると、LPH3の記憶部31に記憶されている黒スジ補正データを読み込み(ステップS137)、本体記憶部21bの光量補正データメモリ内に格納する。ステップS137では、例えば、記憶部31のBバンクの分割領域B1に格納されている黒スジ補正データが読み出される。
【0172】
CPU21aは、読み込んだ黒スジ補正データの補正ピーク値MPが全て「77h」であるか否かを判別する(ステップS138)。黒スジ補正データの補正ピーク値MPが全て「77h」である場合(ステップS138;YES)、CPU21aは、黒スジ補正データが結合レンズの光学特性を補正するためのデータがない旨を示す調整不要情報を示していると判別し、LPH調整処理を終了する。
【0173】
ステップS138;YESの場合、黒スジ補正データの表示及び調整指示情報の受け付けを行わず、基本補正データに基づく画像を形成することができる。
【0174】
黒スジ補正データの補正ピーク値MPが全て「77h」ではない場合(ステップS138;NO)、CPU21aは、調整メニュー画面を操作表示部23に表示させる(ステップS139)。
【0175】
図21に、調整メニュー画面の例を示す。
図21に示すように、調整メニュー画面Gには、調整位置画像領域E1、調整値設定領域E21〜E25、確認画像プリントボタンBが設けられている。調整メニュー画面Gは、黒スジ補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部として機能する。
【0176】
調整位置画像領域E1には、確認画像に形成された調整位置画像Pcと同様の形態の調整位置画像が表示されており、黒スジ補正データのピーク素子番号PPが含まれる調整位置画像の区間の区間番号が調整位置画像上に表示されている。
【0177】
調整値設定領域E21には、データ番号表示領域E21a、区間番号表示領域E21b、補正ピーク値表示領域E21c、調整値表示領域E21dが設けられている。調整値設定領域E22〜E25は、調整値設定領域E21と同様の構成であるため、説明は省略する。
【0178】
データ番号表示領域E21aには、黒スジ補正データの識別番号が示される。
この黒スジ補正データの識別番号は、黒スジ補正データが記憶部31に記憶された際に付されるものであり、例えば、図17のPP1〜PP5である。区間番号表示領域E21bには、黒スジ補正データが含まれる区間の区間番号が示される。補正ピーク値表示領域E21cには、黒スジ補正データの補正ピーク値MPが示される。調整値表示領域E21dには、補正ピーク値MPを当該補正ピーク値MP以下に変更する調整値が示される。
【0179】
調整メニュー画面Gにより、テンキーにより入力された調整値が、調整指示情報として受け付けられる。
【0180】
CPU21aは、調整メニュー画面Gにより入力された各黒スジ補正データの調整値に応じて、光量補正値を補正する補正量の設定を行う(ステップS140)。補正量の設定について、図22を参照して説明する。
【0181】
図22に、各発光素子に対する光量操作量のグラフの例を示す。
図22に示すグラフは、横軸に素子番号、縦軸に光量操作量[%]と示す。
第1曲線L1は、差分値ΔM(n)をグラフ化したものであり、第2曲線L2は、処理済差分値ΔMM(n)をグラフ化したものである。
図22に示すグラフでは、補正ピーク値MPが3、ピーク素子番号PPが14269、ピーク補正開始数MP1Aが4、ピーク補正終了数MP1Bが4、第2補正開始数SP2が32、第2補正終了数EP2が28、第1補正開始数SP1が52、第1補正終了数EP1が52である。
【0182】
まず、光量操作量が3の区間を設定する。
光量操作量が補正ピーク値MP=3の区間は、ピーク素子番号PPにピーク補正開始数MP1Aを差分した素子番号から、ピーク素子番号PPにピーク補正終了数MP1Bを加算した素子番号までの区間である。
図22では、光量操作量が3の区間は、14265〜14273となる。
【0183】
次に、光量操作量が2の区間を設定する。
光量操作量が補正ピーク値MP=3から1を減算した値(2)の区間は、ピーク素子番号PPに第2補正開始数SP2を差分した素子番号から、ピーク素子番号PPにピーク補正開始数MP1Aを減算した素子番号までの区間と、ピーク素子番号PPにピーク補正終了数MP1Bを加算した素子番号から、ピーク素子番号PPに第2補正終了数EP2を加算した素子番号までの区間である。
図22では、光量操作量が2の区間は、14237〜14266、14274〜14297となる。
【0184】
光量操作量が1の区間を設定する。
光量操作量が補正ピーク値MP=3から2を減算した値(1)の区間は、ピーク素子番号PPに第1補正開始数SP1を差分した素子番号から、ピーク素子番号PPに第2補正開始数SP2を減算した素子番号までの区間と、ピーク素子番号PPに第2補正終了数EP2を加算した素子番号から、ピーク素子番号PPに第1補正終了数EP1を加算した素子番号までの区間である。
図22では、光量操作量が1の区間は、14217〜14236、14298〜14231となる。
【0185】
各光量操作量の区間が決定された後、調整量に応じて各補正対象区間の発光素子に対する光量補正値の補正量の設定が行われる。
【0186】
図23に、調整量が0の場合の補正量のイメージ図を示す。
調整量が0である場合、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)となる。
光量操作量が補正ピーク値MP(3)の区間(図23では、PP−MP1A〜PP+MP1B)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、補正ピーク値MPに応じて−3[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−3[%]減じた値に補正される。
【0187】
光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が2の区間(図23では、PP−SP2〜PP−MP1A、PP+MP1B〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、光量操作量に応じて−2[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−2[%]減じた値に補正される。
【0188】
光量操作量が補正ピーク値MPから2番目に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が1の区間(図23では、PP−SP1〜PP−SP2、PP+EP2〜PP+EP1)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、光量操作量に応じて−1[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−1[%]減じた値に補正される。
【0189】
図24に、調整量が−1の場合の補正量のイメージ図を示す。
調整量が−1である場合、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)から−1減算した値(2)となる。
光量操作量が補正ピーク値MPの区間、及び、光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が2の区間(図24では、PP−SP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、調整量により調整された補正ピーク値MPに応じて−2[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−2[%]減じた値に補正される。
【0190】
即ち、図24に示すように、補正ピーク値MPが3であるときに調整量が−1が設定された場合には、補正ピーク値MPの区間(図24では、PP−MP1A〜PP+MP1B)の補正量は、補正ピーク値MPが適用されず、補正ピーク値MPから調整量が減算された値が適用される。
【0191】
光量操作量が補正ピーク値MPから2番目に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が1の区間(図24では、PP−SP1〜PP−SP2、PP+EP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、光量操作量に応じて−1[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−1[%]減じた値に補正される。
【0192】
図25に、調整量が−2の場合の補正量のイメージ図を示す。
調整量が−2である場合、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)から−2減算した値(1)となる。
光量操作量が補正ピーク値MPの区間、及び、光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が2の区間(図25では、PP−SP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、調整量により調整された補正ピーク値MPに応じて−1[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−1[%]減じた値に補正される。
【0193】
即ち、図25に示すように、補正ピーク値MPが3であるときに調整量が−2が設定された場合には、補正ピーク値MPの区間(図25では、PP−MP1A〜PP+MP1B)の補正量は、補正ピーク値MPが適用されず、補正ピーク値MPから調整量が減算された値が適用される。また、光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間(図25では、PP−SP2〜PP−MP1A、PP+MP1B〜PP+EP2)の補正量は、当該区間の光量操作量の値が適用されず、補正ピーク値MPから調整量が減算された値が適用される。
【0194】
光量操作量が補正ピーク値MPから2番目に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が1の区間(図24では、PP−SP1〜PP−SP2、PP+EP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、0[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は補正されない。
【0195】
なお、補正ピーク値と当該調整値との和が0となる調整値が入力された場合、黒スジ補正データを用いた基本補正データの光量補正値の調整を行わない指示が入力されたこととなる。即ち、補正ピーク値MPが3であり調整値が−3の場合には、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)から−3減算した値(0)となり、発光素子の光量補正値に対する補正量が0[%]に設定されることから、発光素子の光量補正値は補正されない。
【0196】
このように、CPU21aは、黒スジ補正データと調整値とに基づいて、黒スジ補正データが示す区間に含まれる発光素子の光量補正値を調整する補正量を設定し、この補正量に応じて区間毎の発光素子の光量補正値を補正する。
【0197】
CPU21aは、補正量の設定後(ステップS140後)、黒スジ補正データの区間の発光素子の光量補正値を設定された補正量に基づいて補正する。そしてCPU21aは、本体記憶部21bに記憶されている基本補正データを、黒スジ補正データの区間の補正済みの光量補正値と、黒スジ補正データの区間を除く他の区間の基本補正データの光量補正値に書き換える。CPU21aは、本体記憶部21bに記憶されている基本補正データに基づいて確認画像データを生成し、当該確認画像データを画像処理部21eに出力する。
【0198】
画像処理部21eにより確認画像データに基づくプリントデータが生成され、LPH制御部21fによりプリントデータに基づいた各種信号がLPH3に出力される。そして、LPH3は、LPH制御部21fから入力された信号に基づいて駆動し、プリント部4により用紙上に確認画像が形成され出力される(ステップS141)。
【0199】
出力された確認画像は、作業員により目視され、当該作業員により確認画像上に黒スジが現れているか否かが判別される(ステップS142)。確認画像上に黒スジが現れていると判別された場合(ステップS142;NO)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、CPU21aはステップS139の処理に戻る。また、スキャナーによる画像解析手段にて黒スジを判定しても良い。
【0200】
確認画像上に黒スジが現れていないと判別された場合(ステップS142;YES)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、CPU21aは、入力された調整値に応じて調整された黒スジ補正データをLPH3が備える記憶部31に書き換え(ステップS143)、LPH調整処理を終了する。ステップS143では、記憶部31に記憶されている黒スジ補正データが、調整値に応じて設定された補正量を示す黒スジ補正データに書き換えられる。
【0201】
以上にように本実施の形態によれば、LPH3が、発光素子それぞれの光量を補正するための基本補正データと、結像レンズ固有のMTFデータに基づく黒スジ補正データとを記憶する記憶部31を備えていることから、LPH3を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0202】
特に、ピーク素子番号PPと、当該ピーク素子番号PPから光量操作量毎の区間の一端部及び他端部までの素子数(ピーク補正開始数MP1A、ピーク補正終了数MP1B、第1補正開始数SP1、第1補正終了数EP1、第2補正開始数SP2、第2補正終了数EP2)とにより、黒スジの位置を特定することができると共に、補正ピーク値MPにより当該黒スジの位置の発光素子に対する光量補正を行なうことができる。
【0203】
また、結像レンズ固有のMTFデータに基づく黒スジ補正データに基づいて、発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正位置を補正することができるため、LPH3を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0204】
更に、黒スジ補正データを調整メニュー画面Gにより受け付けられた調整指示情報(調整値)に基づいて調整することができるため、利用者の望む画質の画像を実現することができる。
【0205】
また、結像レンズ固有のMTFデータに基づく黒スジ補正データを算出してLPH3の記憶部31に書き込むことができるため、当該LPH3を用いて画像を形成する場合には、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0206】
更に、LPH3の記憶部31に記憶されている黒スジ補正データを、調整メニュー画面から入力された補正指示情報(調整値)に基づいて調整された黒スジ補正データに書き換えることができる。
【0207】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として
メモリ17bや本体記憶部21bを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0208】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0209】
1 LPH検査システム
2 画像形成装置
3 LPH
4 プリント部
11 暗箱
12 LPH固定部材
13 受光部
14 駆動部
15 LPH制御部
16 受光制御部/駆動制御部
17 制御装置
17a 制御部
17b メモリ
17c 表示部
17d 操作部
17e 外部I/F
21 本体制御部
21a CPU
21b 本体記憶部
21c RAM
21d 画像メモリ
21e 画像処理部
21f LPH制御部
21g I/O
22 機構制御部
23 操作表示部
24 外部I/F
31 記憶部
B 確認画像プリントボタン
G 調整メニュー画面
E1 調整位置画像領域
E21〜E25 調整値設定領域
E21a データ番号表示領域
E21b 区間番号表示領域
E21c ピーク値表示領域
E21d 調整値表示領域
L 黒スジ
L1 第1曲線
L2 第2曲線
P 確認画像
Pa1〜Pa10 帯状画像
Pb1〜Pb10 帯状画像
Pc 調整位置画像
EP1 第1補正終了数
EP2 第2補正終了数
MP 補正ピーク値
MP1A ピーク補正開始数
MP1B ピーク補正終了数
PP ピーク素子番号
SP1 第1補正開始数
SP2 第2補正開始数
X 主走査方向
Y 副走査方向(用紙搬送方向)
ΔM(n) 差分値
ΔMM(n) 処理済差分値
ΔMmax(n) 最大差分値
Nmax 最大素子番号
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書込装置、画像形成装置及びデータ書込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感光体の表面に静電潜像を形成させる光書込装置として、LEDプリンタヘッド(以下、LPHと称す。)を用いた画像形成装置が開発されている。LPHは、LEDチップアレイと、レンズアレイとを備えて構成されている。LEDチップアレイは、主走査方向に沿って予め設定された解像度に応じて配列された複数のLED(Light Emitting Diode)素子を有するLEDチップがアレイ上に配置されてなる。レンズアレイは、画像データに応じて発光されたLED素子からの照射光を集光させて感光体に静電潜像を結像させるGRIN(Graded-Index)レンズが複数配列されてなる。
【0003】
LPHを用いた画像形成装置において、LED素子の製造バラツキ、GRINレンズの取り付け固定時の角度変動や屈折率分布等に起因する光学特性のバラツキ、ごみの付着等により、光量ムラが発生することが知られている。光量ムラは、濃度ムラを発生させ、この濃度ムラに起因して画像上に黒スジや白スジが発生するという問題がある。
【0004】
そこで、LPHを備えた画像形成装置において、各ドットに対するMTFの特性グラフにおいて、デフォーカス位置を5段階に変化させて各ドットに対するMTFの変化を参照し、ビーム径変動の大きい箇所、即ち、MTFが急激に変動するディップの箇所を特定することにより、レンズアレイに起因する黒スジの位置を特定する画像形成装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−248185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、複数の異なるデフォーカス位置でのMTF測定を行なわなくてはならない。また、黒スジが生じる位置が特定された後、当該特定位置に対する補正手段の開示がなされていない。そのため、黒スジが現れる位置に対する補正をすることができないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、LPHを構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定し、当該黒スジの位置に対する光量補正を可能とし、画質の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部と、前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部と、複数の前記発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値からなる第1補正データと、前記結像レンズ固有の光学特性データに基づいて算出された前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び当該補正対象位置情報が示す局所的な位置に配列された発光素子の光量補正値を補正するための補正基準値を含む第2補正データと、を記憶する記憶部と、を備えた光書込装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光書込装置において、前記光学特性データは、前記光学部を透過した照射光から検出した光量データにより算出されたMTFデータである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光書込装置において、前記補正対象位置情報は、局所的に前記光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間を示す区間情報を示す。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光書込装置において、前記補正基準値は、前記区間に含まれる発光素子のうち、前記光学特性データに基づいて算出される値の最大値であり、前記区間情報は、前記光学特性データの値が最大値である発光素子の識別番号を示す最大素子番号と、当該最大素子番号から前記区間の一端部及び他端部までの素子数とを含む。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光書込装置において、前記記憶部は、複数の前記第2補正データを、前記最大素子番号が小さい順又は大きい順に格納する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の光書込装置において、前記記憶部は、複数の前記第2補正データを、前記最大値が小さい順又は大きい順に格納する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の光書込装置により画像を形成する画像形成装置において、前記光書込装置の記憶部から前記第1補正データ及び前記第2補正データを読み出し、前記第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正する制御部と、前記制御部により補正された第1補正データを記憶する本体記憶部と、を備える画像形成装置である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、前記制御部は、前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、当該調整した第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正し、前記本体記憶部に記憶されている第1補正データを当該補正された第1補正データに書き換える。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、前記制御部は、前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、前記光書込装置の記憶部に記憶されている第2補正データを当該調整した第2補正データに書き換える。
【0017】
請求項10に記載の発明は、主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部、前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部、記憶部を備えた光書込装置と、前記光書込装置の記憶部にデータを書き込む制御装置と、を備えるシステムにおけるデータ書込方法において、前記結像レンズ固有の光学特性データを測定する光学特性データ測定工程と、前記光学特性データに基づいて、前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び補正基準値を含む第2補正データを算出する第2補正データ算出工程と、前記第2補正データを前記記憶部に書き込む書込工程と、を含むデータ書込方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、発光素子それぞれの光量を補正するための第1補正データと、結像レンズ固有の光学特性データに基づく第2補正データとを記憶する記憶部を備えた光書込装置であることから、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、光学特性データとして、MTFデータを用いることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、局所的に光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間を示す区間情報により黒スジの位置を特定することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3と同様の効果を得られるのは勿論のこと、光学特性データの値が最大値となる最大素子番号と、当該最大素子番号から当該区間の一端部及び他端部までの素子数とにより、黒スジの位置を特定することができると共に、最大値により当該黒スジの位置の発光素子に対する光量補正を行なうことができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、第2補正データを最大素子番号が小さい順又は大きい順に格納することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、第2補正データを最大値が小さい順又は大きい順に格納することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、結像レンズ固有の光学特性データに基づく第2補正データに基づいて、発光素子それぞれの光量を補正するための第1補正データを補正することができるため、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7と同様の効果を得られるのは勿論のこと、入力部から入力された調整指示情報に基づいて第2補正データを調整することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7と同様の効果を得られるのは勿論のこと、光書込装置の記憶部に記憶されている第2補正データを、入力部から入力された補正指示情報に基づいて調整された第2補正データに書き換えることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、結像レンズ固有の光学特性データに基づく第2補正データを算出して光書込装置の記憶部に書き込むことができるため、当該光書込装置を用いて画像を形成する場合には、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】LPH検査システムの構成図である。
【図2】「俵積み」した結像レンズの配置例と発光素子との関係を示す図である。
【図3】画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】LPH検査処理のフローチャートである。
【図5】LPH検査システムで実行されるLPH部組検査処理のフローチャートである。
【図6】第1光量調整処理のフローチャートである。
【図7】第2光量調整処理のフローチャートである。
【図8】第3光量調整処理のフローチャートである。
【図9】1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理でのMTF測定処理のフローチャートである。
【図10】補正データ生成処理のフローチャートである。
【図11】補正データ生成処理のフローチャートである(図10の続き)。
【図12】最大値リストの例を示す図である。
【図13】ピーク素子番号PPを中心とした区間の発光素子の素子番号と差分値ΔM(n)と処理済差分値ΔMM(n)との例を示す図である。
【図14】補正データ書込処理のフローチャートである。
【図15】LPHの記憶部のメモリ構成の例を示す図である。
【図16】Aバンクの分割領域A1に記憶されるデータ書式例を示す図である。
【図17】Bバンクの分割領域B1に記憶されるデータ書式例を示す図である。
【図18】LPH組み立て処理のフローチャートである。
【図19】LPH調整処理のフローチャートである。
【図20】用紙上に形成された確認画像の例を示す図である。
【図21】調整メニュー画面の例を示す図である。
【図22】各発光素子に対する光量操作量のグラフの例である。
【図23】調整量が0の場合の補正量のイメージ図である。
【図24】調整量が−1の場合の補正量のイメージ図である。
【図25】調整量が−2の場合の補正量のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態は、LPH検査システムによりLPHの検査を行い、当該検査済みのLPHを画像形成装置に組み込んでLPHの光量調整を行うものである。
【0030】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態におけるLPH検査システム1の構成図を示す。
図1に示すように、LPH検査システム1は、暗箱11内に設けられたLPH3、LPH固定部材12、受光部13、駆動部14、LPH制御部15、受光制御部/駆動制御部16、制御装置17を備えて構成されている。
【0031】
LPH3は、光源部、光学部を有する。光源部は、予め設定された解像度に対応した画素ピッチで主走査方向に配列された複数の発光素子(例えば、LED(Light Emitting Diode)素子)からなるLEDアレイを有する。光学部は、当該発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結像させる複数の結像レンズ(例えば、GRIN(Graded-Index)レンズ)からなるレンズアレイを有する。LPH3は、画像データに基づいて発光素子が選択的に駆動されて点灯し、駆動された発光素子から照射される光を結像レンズにより露光面上に集光させて結像させる光書込装置である。
なお、各発光素子には、それぞれ固有の識別番号(素子番号)が付されている。
【0032】
更に、LPH3は、記憶部31を有する。記憶部31は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の電気的に書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。記憶部31としては、所定の記憶領域単位で消去/書き込みが行なえるものが好ましい。なお、記憶部31は、LPH3に固定的に設けられるもの、若しくは着脱自在に装着するものであっても良い。
【0033】
記憶部31には、LPH検査システム1にて取得されたLPHの各種データが保存される。この各種データには、基本補正データ及び黒スジ補正データが含まれる。
【0034】
基本補正データは、LPH3が備える複数の発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値が各発光素子の素子番号と対応付けられた形式でテーブル化された第1補正データである。
【0035】
黒スジ補正データは、結像レンズ固有の光学特性データに基づいて算出された発光素子の配列方向における局所的な結像レンズ固有の光学特性を補正するための第2補正データである。
【0036】
この黒スジ補正データには、区間情報が含まれる。区間情報は、発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報であり、局所的に光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間(補正対象区間)を示す。この区間情報は、基本補正データに含まれる光量補正値のうち補正対象となる発光素子を特定するものである。
【0037】
また、黒スジ補正データには、補正対象区間が示す局所的な位置に配置された発光素子の光量補正値を補正するための補正値の基準となる補正基準値が含まれる。この補正基準値は、補正対象区間に含まれる発光素子のうち、光学特性データに基づいて算出される値の最大値(後述する補正ピーク値MP)である。
【0038】
LPH固定部材12は、例えば、エア吸引によりLPH3を吸着保持し、LPH3を予め設定された位置に固定するものである。
【0039】
受光部13は、LPH3から照射される光を受光し、受光した光量値を受光制御部/駆動制御部16に出力する。受光部13としては、例えば、CCD((Charge Coupled Device)や光電子倍増管(Photo Multiplier)、フォトダイオード等を挙げることができる。
【0040】
駆動部14は、モータやLPH3の照射面と対向する位置の主走査方向に延在するガイドレール等を備え、受光部13をガイドレール上のLPH3の照射面と対向する位置に保持し、受光制御部/駆動制御部16からの指示に従って主走査方向に移動させる。
【0041】
LPH制御部15は、制御装置17から入力された指示に従って、LPH3全体を制御する。LPH制御部15は、制御装置17から入力された指示に応じて発光素子の露光時間(点灯時間)や光量補正値、点灯させる発光素子をLPH3に設定し、当該露光時間で選択した発光素子を点灯させる点灯制御を行なう。また、LPH制御部15は、制御装置17から入力された指示に従って、LPH3の記憶部31に基本補正データや黒スジ補正データ等の各種データを書き込む。
【0042】
受光制御部/駆動制御部16は、受光部13から入力される光量値に対して、光電変換処理、A/D変換処理を施して光量測定値を算出し、当該光量測定値を制御装置17に出力し、また、制御装置17から入力された指示に従って、駆動部のモータを駆動させ、ガイドレール上に保持されている受光部13をLPH3の主走査方向に移動させる。
【0043】
制御装置17は、制御部17a、メモリ17b、表示部17c、操作部17d、外部I/F17e等を有しており、LPH検査システム1全体を統括的に制御する。
【0044】
制御部17aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、ROM又はメモリ17bに記憶されているシステムプログラム、各処理プログラム、データ等を読み出して、RAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、制御装置17各部の動作を制御すると共に、LPH制御部15、受光制御部/駆動制御部16を統括的に制御し、LPH検査システム1全体の統括的な制御を行なうものである。
【0045】
また、制御部17aは、ROM又はメモリ17bに記憶されているLPH検査プログラム、光量補正テーブルや各種データ等を読み出して、LPH検査処理を実行する。LPH検査処理には、LPH部組検査処理、補正データ生成処理、補正データ書込処理等が含まれる。
【0046】
LPH部組検査処理は、結像レンズ固有の光学特性データ(MTF)を測定して光学特性データを取得する処理であり、第1〜3光量調整処理、MTF測定処理が含まれる。
第1〜3光量調整処置は、LPHの光量を測定し、基本補正データを生成する処理である。
【0047】
MTF測定処理は、第1〜3光量調整処理により生成された基本補正データに応じて設定された光量に基づいてLPH制御部15によりLPHの各発光素子が予め設定された点灯パターンで点灯されると共に、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14が駆動されて点灯される発光素子と対向する位置に受光部13が移動され、受光部13により受光され受光制御部/駆動制御部16により入力された光量測定値に基づいて発光素子毎の特性データが算出される。具体的には、MTF特性(Modulation Transfer Function特性)であり、コントラスト伝達関数とも呼ばれ、光学系の解像力を表すデータが算出される。
【0048】
本実施の形態におけるMTF測定処理での点灯パターンとしては、発光素子を3つ置きに点灯させる点灯パターン(以下、1(ON)−3(OFF)とも称す。)を用いる。他の点灯パターンとしては、発光素子を1つ置きに点灯させる点灯パターン(以下、1(ON)−1(OFF)とも称す。)や、発光素子を2つ置きに2素子単位で点灯させる点灯パターン(以下、2(ON)−2(OFF)とも称す。)がある。
【0049】
補正データ生成処理は、光学特性データに基づいて、発光素子の配列方向における局所的な第2補正データ(黒スジ補正データ)を算出する処理であり、第1〜3算出処理を含む。
【0050】
第1算出処理は、発光素子毎の特性データに基づいて、予め設定された第1の移動平均区間での発光素子毎の第1の移動平均値を第1演算値として算出する処理である。
第2算出処理は、発光素子毎の特性データに基づいて、第1の移動平均区間よりも大きい予め設定された第2の移動平均区間での発光素子毎の第2の移動平均値を、第1演算値(第1の移動平均値)とは異なる第2演算値として算出する処理である。
第1算出処理の第1の移動平均区間及び第2算出処理の第2移動平均区間は、LPH3の光学部の結像レンズの配置構成に基づいて定める。
【0051】
本実施の形態の結像レンズの配置構成は、複数の結像レンズを主走査方向に2列に「俵積み」と呼ばれる配置で配列したものとする。図2に、「俵積み」した結像レンズの配置例と発光素子との関係を示す。図2に示すように、「俵積み」とは、円柱状の結像レンズを半径方向に隣接するように並べた第1層に、第1層と同様に並べた第2層の各結像レンズを、第1層の相互に隣接している2つの結像レンズの間に生じる谷間に配置するものである。この「俵積み」の配置では、隣接する2つの結像レンズの軸から軸までの距離が当該2つの結像レンズの半径の和の長さ、即ち直径Dの長さとなる。
【0052】
この「俵積み」の配置の場合、ある発光素子aから照射された光の光学寄与が最も高い結像レンズAが傾いたとき、当該結像レンズの次に光学寄与が高い結像レンズB1、B2(即ち、当該結像レンズAが属する層とは異なる層の結像レンズであって当該結像レンズに隣接する2つの結像レンズB1、B2)にも影響を与え、複数のレンズ素子が関連を持って黒スジが生じることが知られている。
【0053】
LPHの解像度が1200[dpi]の場合、結像レンズの直径Dに配列される発光素子の数は、約26素子となる。図2に示す発光素子aが点灯した場合の光学特性は、結像レンズAによる光学特性Laと結像レンズB1、B2とによる光学特性Lb1、Lb2に起因するものである。この結像レンズA、B1、B2により照射光が受光されて集光される発光素子の素子数は、2つの隣接する結像レンズの直径Dに配列される発光素子の数(約52素子)である。従って、約52素子が黒スジが発生する検出精度に寄与する最小の素子数となるため、この素子数を第1の移動平均区間とすることが好ましい。
【0054】
第2の移動平均区間は、各発光素子のMTF値をグラフ化したMTF曲線を平滑化するために必要とする素子数であることが求められる。例えば、第1の移動平均区間を52素子とした場合には、第2の移動平均区間は768素子が好ましい。
【0055】
第3算出処理は、発光素子毎に第1演算値としての第1の移動平均値と第2演算値としての第2移動平均値とに基づいて、第2移動平均値から第1の移動平均値を差分した差分値(移動平均差)を第3演算値として算出する処理である。
【0056】
第3算出処理後には、第3算出処理により算出された第3演算値と予め設定された閾値とに基づいて、黒スジ補正データが生成される。なお、閾値としては、1.6以上2.0以下であることが好ましい。
【0057】
黒スジ補正データには、補正対象区間の補正ピーク値MP、ピーク素子番号PP、区間情報が含まれる。
補正対象区間とは、第3演算値が予め設定された閾値以上となる発光素子の区間において、第3演算値が1以上となる発光素子の区間である。
補正ピーク値MPは、補正対象区間における第3演算値の最大値、即ち、光学特性データに基づいて算出される値の最大値である。
ピーク素子番号PPは、補正ピーク値MPに対応する発光素子の素子番号(最大素子番号)である。
【0058】
区間情報は、ピーク素子番号PPから補正対象区間の一端部及び他端部までの素子数である。この区間情報は、補正ピーク値MPに応じて光量補正値を補正する各補正値である光量操作量が定められ、当該各光量操作量に応じた区間の一端部及び他端部の素子数を含む。
【0059】
例えば、光量操作量が補正ピーク値である区間の素子数は、ピーク補正開始数MP1Aとピーク補正終了数MP1Bとの和である。ピーク補正開始数MP1Aは、ピーク素子番号PPから当該区間の一端部の発光素子までの素子数である。ピーク補正終了数MP1Bは、ピーク素子番号PPから当該区間の他端部の発光素子までの素子数ある。従って、光量操作量が補正ピーク値である区間は、ピーク素子番号PPにピーク補正開始数MP1Aを減算した素子番号から、ピーク素子番号PPにピーク補正終了数MP1Bを加算した素子番号までの区間となる。
【0060】
メモリ17bは、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリで構成され、各種プログラム及びデータを書き換え可能に記憶する。また、メモリ17bは、LPH検査処理プログラム、LPH3に設けられた各発光素子に対して予め設定された初期の光量補正値(初期光量補正値)を格納した光量補正テーブル、第1〜3光量調整処理に用いられるライン周期、露光時間、MTF測定処理に用いられる各種点灯パターン、閾値等の必要な各種データを記憶していると共に、受光部13により受光されて得られた光量測定値のテーブル(光量測定テーブル)、各種演算値等を記憶する。
更に、メモリ17bは、LPH検査処理により生成される基本補正データ及び黒スジ補正データを記憶する。
【0061】
表示部17cは、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electronic Luminescent)素子等を用いた表示画面を備え、制御部17aから入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力する各種表示画面や各種処理結果等を表示する各種表示画面を表示する。
【0062】
操作部17dは、各種操作キー群、表示部17cの表示画面を覆うタッチパネル等を有する。操作部17dは、操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を制御部17aに出力する。
【0063】
外部I/F17eは、ネットワークインターフェースカード(NIC;Network Interface Card)、モデム(MODEM:MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備えて構成され、通信可能に接続された外部機器や画像形成装置等と相互にデータの送受信を行う。
【0064】
図3に、本実施の形態における画像形成装置2の制御ブロック図を示す。
画像形成装置2は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像を紙等の用紙に画像形成するコピー機能や、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像データを受信し、画像データが表す画像を用紙上に形成して出力するプリンタ機能等を備えたデジタル複合機である。
【0065】
図3に示すように、画像形成装置2は、本体制御部21、機構制御部22、操作表示部23、外部I/F24、LPH3、プリント部4及び画像読取部(不図示)などにより構成され、各部はバスにより接続されている。
【0066】
本体制御部21は、CPU21a、本体記憶部21b、RAM21c、画像メモリ21d、画像処理部21e、画像処理部21eと接続されたLPH制御部21f、I/O(Input/Output)21g等を備えている。
【0067】
CPU21aは、本体記憶部21bに記憶されているシステムプログラム、各処理プログラム、データを読み出して、本体記憶部21b又はRAM21c内に展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置2各部の動作を集中制御する。システム全体のタイミング制御、本体記憶部21b又はRAM21cを使用した画像データの記憶及び蓄積制御、プリント部に対する画像データの入出力制御、他のアプリケーション(FAX、プリンタ、スキャナー等)とのインターフェース(I/F)や動作制御を行うものである。
【0068】
また、CPU21aは、本体記憶部21bに記憶されているLPH調整処理プログラム等の他各種データ等を読み出して、LPH調整処理を実行する。
LPH調整処理では、LPH3の記憶部31から基本補正データ(第1補正データ)及び黒スジ補正データ(第2補正データ)が読み出され、調整メニュー画面が操作表示部に表示され、操作表示部から入力された調整指示情報に応じて調整された黒スジ補正データに基づいて基本補正データが補正され、補正された基本補正データを本体記憶部21bに記憶させると共に、補正された基本補正データを用いた画質確認用の画像データに基づく画像がプリント部4により用紙に形成され出力される処理である。
【0069】
調整メニュー画面は、読み出された黒スジ補正データを表示すると共に、当該黒スジ補正データに対する調整指示情報を受け付けるものである。
【0070】
本体記憶部21bは、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリで構成され、画像形成装置2に対応する各種プログラム及び各種プログラムで処理するのに必要なデータが予め記憶されている。また、本体記憶部21bには、LPH調整処理プログラムや画質確認用の画像データ等のLPH調整処理プログラムにて必要な各種データが記憶されている。
【0071】
更に、本体記憶部21bは、光量補正データメモリを有する。
光量補正データメモリは、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の書き替え可能な不揮発性のメモリを用いて構成される。光量補正データメモリは、LPH3から読み出されたデータ(基本補正データ、黒スジ補正データ等)や、LPH調整処理プログラムにて補正された基本補正データが記憶される。
【0072】
RAM21cは、CPU21aにより実行される各種処理において、本体記憶部21bから読み出されたプログラム、入力、若しくは出力データ及びパラメータなどの一時的な格納領域となる。
【0073】
画像メモリ21dは、画像データメモリを有する。
画像データメモリは、DRAM(Dynamic RAM)等を用いて構成される。画像データメモリは、画像読取部や外部I/F24等から送られてきた画像データを記憶する。
【0074】
画像処理部21eは、画像メモリ21dに記憶されている画像データの画像処理(変倍、フィルタ、γ変換など)を行い、プリント出力対象となるプリントデータを生成する。
【0075】
LPH制御部21fは、画像処理部21eにより生成されたプリントデータを格納すると共に、生成されたプリントデータに基づいた各種信号や、LPH3の記憶部31に書き込むデータをLPH3に出力する。
【0076】
I/O21gは、LPH3の記憶部31から読み出された基本補正データ及び黒スジ補正データを、CPU21aに出力し、本体記憶部21bの光量補正データメモリに記憶させる。
【0077】
機構制御部22は、本体制御部21からの信号に基づいて画像形成装置2内の各種駆動機構及び各種センサ等を統括的に制御するものであり、例えば、画像形成部が備える感光体ドラムを一定速度で回転させるモータを駆動制御している。
【0078】
操作表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electronic Luminescent)素子を用いた等の表示画面や、テンキーや電源スイッチを含む操作キー群等から構成される。表示画面上には、表示画面を覆うようにタッチパネルが設けられており、本体制御部21から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種設定画面や調整メニュー画面、画像形成装置2の動作状態や処理結果等が表示される。また、操作表示部23は、操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を本体制御部21に送信する。
【0079】
外部I/F24は、ネットワークインターフェースカード(NIC;Network Interface Card)、モデム(MODEM:MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備えて構成され、通信可能に接続された外部機器やLPH検査システムが備える制御装置17と相互に情報の送受信を行う。
【0080】
プリント部4は、LPH3を有する画像形成部、クリーニング部、転写ベルト、給紙部、搬送部、定着部等を備え、用紙上に画像を形成する。
【0081】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図4に、本実施の形態におけるLPH検査処理のフローチャートを示す。
図4に示す処理は、LPH検査システムにおいて実行される処理である。
【0082】
まず、LPH3の初期検査が行なわれる(ステップS1)。初期検査では、LPH3を構成する各種部品の外観が観察され、キズや汚れ等が無いかが確認され、LPH3の光量やMTF値、フォーカス位置等の初期値が設定される処理である。
【0083】
初期検査後、LPH3を構成する各種部品や取り付け部材を組み立てるLPH部組が行われる(ステップS2)。部組が行なわれたLPH3がLPH固定部材12に仮設置され、受光部13に対する位置決めやフォーカス位置の調整が行われる(ステップS3)。
【0084】
フォーカス位置の調整後、LPH3を構成する各種部品等の接着及び乾燥が行なわれ、LPH3はLPH固定部材12等の固定支持部に固定される(ステップS4)。
【0085】
LPH固定部材12に固定されたLPH3に対してLPH部組検査処理が実行され(ステップS5)、ステップS5後に補正データ生成処理が実行される(ステップS6)。そして、ステップS6後に補正データ書込処理が実行され(ステップS7)、LPH検査システム1での処理は終了される。
【0086】
なお、ステップS7の補正データ書込処理は、LPH3が画像形成装置2の所定位置に取り付けられた後、LPH検査システム1と画像形成装置2とが通信を行って実行されるものであってもよい。詳細は後述する。
【0087】
図5に、LPH検査システム1で実行されるLPH部組検査処理のフローチャートを示す。図5に示す処理は、制御部17aと各部との協働により実行されるものである。
【0088】
制御部17aは、第1光量調整処理を実行させ(ステップS11)、第1光量調整処理の実行後、第2光量調整処理を実行させ(ステップS12)、第2光量調整処理の実行後、第3光量調整処理を実行させる(ステップS13)。
制御部17aにより第3光量調整処理の実行が完了すると、LPH3に設けられている発光素子の光量バラツキが予め設定された値以下に調整されると共に、各発光素子に対する光量補正値が素子番号に対応付けられた基本補正データが生成される。
なお、第1〜3光量調整処理の詳細については後述する。
【0089】
制御部17aは、発光素子の光量バラツキが調整されたLPH3に対して、MTF測定処理を実行し(ステップS14)、LPH部組検査処理を終了する。なお、MTF測定処理については、点灯パターン毎に各発光素子のMTF値を算出する正規処理と、連続して配列された複数素子共通のMTF値を算出する略式処理とがあり、演算効率の向上を図る上では略式処理を用いることが好ましく、本実施の形態では略式処理を用いる。
【0090】
図6に、第1光量調整処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、メモリ17bから初期検査により設定された初期光量補正値が格納された光量補正テーブルを読み出し、LPH制御部15により各発光素子の電流調整値となる初期光量補正値を各発光素子に設定させる(ステップS21)。また制御部17aは、メモリ17bからライン周期、露光時間を読み出し、LPH制御部15によりLPH3のライン周期、各発光素子の露光時間をLPH3に設定させる(ステップS22)。
【0091】
制御部17aは、点灯させる素子番号(点灯素子番号)nを0に指定した後(ステップS23)、点灯素子番号nに1を加算して(ステップS24)、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14を駆動させて受光部13を点灯素子番号nに対応する位置に移動させる(ステップS25)。
【0092】
制御部17aは、点灯素子番号nの発光素子をLPH制御部15により点灯させ(ステップS26)、受光部13が受光した光量値が受光制御部/駆動制御部16により変換された光量測定値P(n)を取得し、光量測定テーブルに格納する(ステップS27)。
【0093】
制御部17aは、点灯素子番号nが最終番目の素子番号であるか否かを判別する(ステップS28)。点灯素子番号nが最終番目の素子番号でない場合(ステップS28;NO)、制御部17aは、ステップS24の処理に戻り、点灯素子番号nが最終番目の素子番号である場合(ステップS28;YES)、第1光量調整処理を終了する。
【0094】
図7に、第2光量調整処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、メモリ17bに記憶されている光量測定テーブルを読み出し(ステップS31)、各発光素子の光量測定値から全発光素子の平均光量Paを算出し(ステップS32)、光量補正テーブルの展開領域をメモリ17bに確保する(ステップS33)。
【0095】
制御部17aは、参照する発光素子の素子番号(参照素子番号)nを1に設定し(ステップS34)、光量補正テーブルに格納されている参照素子番号nの光量補正値TT(n)を読み出す(ステップS35)。
【0096】
制御部17aは、読み出した参照素子番号nの光量補正値TT(n)、当該参照素子番号nの光量測定値P(n)、平均光量Paに基づいて、当該光量補正値TT(n)に補正を行ない、新たな光量補正値TT(n)を算出する(ステップS36)。具体的には、光量測定値P(n)を平均光量Paで除算した値から1を減算した値に読み出した光量補正値TT(n)を加算して、新たな光量補正値TT(n)とする。下記の式(1)に、新たな光量補正値TT(n)の算出式を示す。
【0097】
TT(n)=TT(n)+(P(n)/Pa−1) ・・・・(1)
【0098】
制御部17aは、ステップS36にて算出した光量補正値TT(n)を光量補正テーブルに上書きして保存し(ステップS37)、参照素子番号nに1を加算する(ステップS38)。
【0099】
制御部17aは、参照素子番号nが最終番目の素子番号に1を加算した値であるか否かを判別する(ステップS39)。参照素子番号nが最終番目の素子番号に1を加算した値でない場合(ステップS39;NO)、制御部17aは、ステップS35の処理に戻り、参照素子番号nが最終番目の素子番号に1を加算した値である場合(ステップS39;YES)、第2光量調整処理を終了する。
【0100】
図8に、第3光量調整処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、メモリ17bに記憶されている光量補正テーブル(即ち、第2光量調整処理により算出された光量補正値が格納されている光量補正テーブル)を読み出し、LPH制御部15により各発光素子の電流調整値となる光量補正値を各発光素子に設定させる(ステップS41)。なお、ステップS42〜S48は、第1光量調整処理のステップS22〜S28と同様であるため、説明は省略する。
【0101】
制御部17aは、本処理により生成された光量測定テーブルを読み出し(ステップS49)、各発光素子の光量測定値から全発光素子の平均光量Paを算出する(ステップS50)。
【0102】
制御部17aは、各発光素子の光量測定値P(n)、平均光量Paに基づいて、各発光素子の光量バラツキΔP(n)を算出する(ステップS51)。具体的には、光量測定値P(n)から平均光量Paを除算した値に100を乗算してパーセント[%]で示した値を光量バラツキΔP(n)として算出する。下記の式(2)に、素子番号nの発光素子の光量バラツキΔP(n)の算出式を示す。
【0103】
ΔP(n)=(P(n)−Pa)×100[%] ・・・・(2)
【0104】
制御部17aは、全ての発光素子の光量バラツキΔP(n)が±5[%]以内であるか否かを判別する(ステップS52)。全ての発光素子の光量バラツキΔP(n)が±5[%]以内でない場合(ステップS52;NO)、制御部17aは、第2光量調整処理に戻って(ステップS53)第3光量調整処理を終了し、全ての発光素子の光量バラツキΔP(n)が±5[%]以内である場合(ステップS52;YES)、第3光量調整処理を終了する。
【0105】
第1〜3光量調整処理が実行されることにより、全ての発光素子の光量バラツキが所定範囲(±5[%])以内となる光量補正テーブルが生成されることとなる。この光量補正テーブルが基本補正データとなる。また、第1〜3光量調整処理により、後に実行されるMTF測定処理で算出される各発光素子のMTF値の算出精度を向上でき、補正対象発光素子の特性精度の信頼性を向上させることができる。
【0106】
次に、MTF測定処理について説明する。
MTF測定処理での点灯パターンは、1(ON)−1(OFF)、1(ON)−3(OFF)、2(ON)−2(OFF)の3つの点灯パターンがある。MTF測定処理の種類は、いずれかの点灯パターンと正規処理又は略式処理のMTF算出処理との組み合わせがある。本実施の形態におけるMTF測定処理は、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンでの略式処理とする。
【0107】
以下、1(ON)−3(OFF)の略式処理のMTF測定処理について説明する。
1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理のMTF測定処理は、4つの連続して配置された発光素子を1組とし、各組のいずれか一つの発光素子のMTF値を算出し、当該MTF値を組共通のMTF値とする処理である。
【0108】
本実施の形態における1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理のMTF測定処理では、先頭の発光素子から3素子おきの発光素子(例えば、素子番号n=1,5,9・・・の発光素子)が順次点灯され、点灯された発光素子に対する最大光量値が取得され、また、点灯した素子間の3つの連続した発光素子のうち中央の位置の発光素子(例えば、素子番号n=3,7,11・・・の発光素子)の位置に受光部13が移動され、点灯された発光素子に対する最小光量値が取得される。そして、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理のMTF測定処理では、最大光量値と最小光量値に基づいてMTF値が算出され、当該MTF値が各組の共通のMTF値となる。
【0109】
図9に、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理でのMTF測定処理のフローチャートを示す。
制御部17aは、測定前に各部の初期設定を行なう(ステップS61)。例えば、受光制御部/駆動制御部16により受光部13をガイドレール上の原点位置に移動させたり、受光部13のリファレンス調整、受光制御部/駆動制御部16内のA/D変換回路や格納メモリの初期設定等を行なう。
【0110】
制御部17aは、ステップS61の後、メモリ17bから光量補正テーブル(基本補正データ)を読み出し、LPH制御部15により各発光素子の電流調整値となる基本補正値を各発光素子に設定させる(ステップS62)。ステップS62で読み出される光量補正テーブルは、第2光量調整処理により算出された光量補正値が格納されている。
また制御部17aは、メモリ17bからライン周期、露光時間を読み出し、LPH制御部15によりLPH3のライン周期、各発光素子の露光時間をLPH3に設定させる(ステップS63)。
【0111】
制御部17aは、LPH制御部15により点灯パターンを各組の一端部に配置された発光素子を順次点灯する1(ON)−3(OFF)に設定させる(ステップS64)。制御部17aは、受光制御部/駆動制御部16により受光部13を原点位置に移動させ、また、制御部17aは参照素子番号nを0に設定する(ステップS65)。
【0112】
制御部17aは、参照素子番号nに1を加算し(ステップS66)、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14を駆動させて受光部13を参照素子番号nに対応する位置に移動させ、参照素子番号nの発光素子をLPH制御部15により点灯させる(ステップS67)。制御部17aは、受光部13が受光した光量値が受光制御部/駆動制御部16により変換された光量測定値P(n)を点灯された発光素子の最大光量値Aとして取得する(ステップS68)。
【0113】
制御部17aは、参照素子番号nに2を加算し(ステップS69)、受光制御部/駆動制御部16により駆動部14を駆動させて受光部13を参照素子番号nに対応する位置に移動させる(ステップS70)。制御部17aは、受光部13が受光した光量値が受光制御部/駆動制御部16により変換された光量測定値P(n)をステップS67で点灯された発光素子の最小光量値Bとして取得する(ステップS71)。
【0114】
制御部17aは、ステップS68において取得した最大光量値A及びステップS71において取得した最小光量値Bに基づいて、参照素子番号n−2〜n+1と参照素子番号nとの共通のMTF値MTF(n−2〜n+1)を算出し(ステップS72)、算出したMTF値をメモリ17bに記憶させる。ステップS72におけるMTF値の算出は、下記の式(3)により算出される。
【0115】
MTF(n−2〜n+1)={(A−B)/(A+B)}×100[%]・・・・(3)
【0116】
制御部17aは、参照素子番号nが最終番目の素子番号であるか否かを判別する(ステップS73)。参照素子番号nが最終番目の素子番号でない場合(ステップS73;NO)、制御部17aは、参照素子番号nに2を加算し(ステップS74)、ステップS66の処理に戻る。参照素子番号nが最終番目の素子番号である場合(ステップS73;YES)、制御部17aは、1(ON)−3(OFF)の点灯パターンの略式処理でのMTF測定処理を終了する。
【0117】
図10、図11に、LPH検査システム1で実行される補正データ生成処理のフローチャートを示す。図10、図11に示す処理は、制御部17aと各部との協働により実行されるものである。
【0118】
制御部17aは、MTF測定処理にて得られた各発光素子のMTF値をメモリ17bから読み出し(ステップS81)、第1算出処理を実行する(ステップS82)。本実施の形態における第1算出処理は、第1の移動平均区間を52素子とし、各発光素子を当該第1の移動平均区間の中心として、各発光素子の第1の移動平均値を算出する。
【0119】
略式処理によりMTF値が算出された場合の第1算出処理について説明する。
本実施の形態における略式処理で算出されるMTF値は、4つの発光素子毎に共通のMTF値とする。従って、第1の移動平均区間を52素子とした場合、4素子を1組として13組単位で第1の移動平均値を算出する。例えば、4の倍数の素子番号の発光素子のMTF値に基づいて、各組の第1の移動平均値を算出する。組番号mに含まれる発光素子のうち最も素子番号が小さい素子番号の発光素子の第1の移動平均値MTFa1(n)は、下記の式(4)により算出される。
【0120】
MTFa1(n)={MTF(n−24)+MTF(n−20)+MTF(n−16)
+MTF(n−12)+MTF(n−8)+MTF(n−4)
+MTF(n)+MTF(n+4)+MTF(n+8)
+MTF(n+12)+MTF(n+16)+MTF(n+20)
+MTF(n+24)}/13
・・・・(4)
【0121】
なお、第1の移動平均区間の半数未満の組(1組目〜6組目)の発光素子の第1の移動平均値を、7組目の発光素子の第1の移動平均値とし、最終組(M組)から第1の移動平均区間の半数区間の組(M組〜M−6組目)の発光素子の第1の移動平均値を、M−7組目の発光素子の第1の移動平均値とする。
【0122】
制御部17aは、ステップS81後、第2算出処理を実行する(ステップS83)。本実施の形態における第2算出処理は、第2の移動平均区間を768素子とし、各発光素子を当該第2の移動平均区間の中心として、各発光素子の第2の移動平均値を算出する。
【0123】
略式処理によりMTF値が算出された場合の第2算出処理について説明する。
上述したように、略式処理で算出されたMTF値は、4つの発光素子毎に共通のMTF値である。従って、第2の移動平均区間を768素子とした場合、4素子を1組として192組単位で第2の移動平均値を算出する。例えば、4の倍数の素子番号の発光素子のMTF値に基づいて、各組の第2の移動平均値を算出する。組番号mに含まれる発光素子のうち最も素子番号が小さい素子番号の発光素子の第2の移動平均値MTFa2(n)は、下記の式(5)により算出される。
【0124】
MTFa2(n)={MTF(n−384)+MTF(n−380)+…
…+MTF(n−4)+MTF(n)+MTF(n+4)+…
…+MTF(n+376)+MTF(n+380)}/192
・・・・(5)
【0125】
なお、第2の移動平均区間の半数未満の組(1組目〜96組目)の発光素子の第2の移動平均値を、97組目の発光素子(素子番号n=385〜388の発光素子)の第2の移動平均値とし、最終組(M組)から第2の移動平均区間の半数区間の組(M組〜M−96組目)の発光素子の第2の移動平均値を、M−97組目の発光素子の第2の移動平均値とする。
【0126】
制御部17aは、第1算出処理及び第2算出処理後、各発光素子の第2の移動平均値MTFa2(n)から第1の移動平均値MTFa1(n)を差分した差分値ΔM(n)を算出する第3算出処理を実行する(ステップS84)。
【0127】
制御部17aは、所定区分毎に最大差分値ΔMmax(n)と、当該最大差分値ΔMmax(n)の発光素子の素子番号(最大素子番号Nmax)とを検出する。そして制御部17aは、最大素子番号Nmaxの素子番号順にリスト番号を付して、検出した最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)が格納された最大値リストを生成し(ステップS85)、メモリ17bに記憶する。
【0128】
図12に、最大値リストの例を示す。
図12に示す最大値リストでは、ステップS85での所定区分を、例えば、主走査方向に発光素子が15360画素配列されている場合には384素子単位の40個の区分とした場合の例である。この場合、384素子単位毎に、差分値ΔM(n)が予め設定された閾値以上となる発光素子のうち、差分値ΔM(n)が最大となる発光素子の素子番号(最大素子番号Nmax)と、最大素子番号Nmax(n)の差分値ΔM(n)(即ち、最大差分値ΔMmax(n))が検出される。従って、40個の区分それぞれに対する最大素子番号Nmax及び最大差分値ΔMmax(n)にリスト番号が付された最大値リストが生成されることとなる。
【0129】
制御部17aは、メモリ17bから最大値リストを読み出し(ステップS86)、参照するリスト番号(参照リスト番号)Lnを0に設定する(ステップS87)。
【0130】
制御部17aは、参照リスト番号Lnに1を加算した参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)を読み出す(ステップS88)。
【0131】
制御部17aは、参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)に該当するデータが最大値リストにあるか否か、即ち、ステップS88で参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)を読み出すことができたか否かを判別する(ステップS89)。参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)に該当するデータが最大値リストにない場合(ステップS89;NO)、制御部17aは、補正データ生成処理を終了する。
【0132】
参照リスト番号Lnに対する最大素子番号Nmaxと最大差分値ΔMmax(n)に該当するデータが最大値リストにある場合(ステップS89;YES)、ステップS88で読み出したる最大素子番号Nmaxをピーク素子番号PP、最大差分値ΔMmax(n)の小数点以下を切り捨てた値を補正ピーク値MPとする(ステップS90)。
【0133】
制御部17aは、ピーク素子番号PPを中心に予め設定された素子数の区間(例えば、ピーク素子番号PPを中心に前後200素子の区間)の素子番号と差分値ΔM(n)をメモリ17bから読み出す(ステップS91)。
【0134】
制御部17aは、読み出した区間の各差分値ΔM(n)を小数点以下を切り捨てた値に処理し、処理済みの各差分値(処理済差分値ΔMM(n))を算出する(ステップS92)。この処理済差分値ΔMM(n)が光量操作量[%]となる。
【0135】
図13に、ピーク素子番号PPを中心とした区間の発光素子の素子番号と差分値ΔM(n)と処理済差分値ΔMM(n)との例を示す。
【0136】
制御部17aは、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、各処理済差分値ΔMM(n)をチェックし、処理済差分値ΔMM(n)毎の区間の一端部までの素子数を算出する(ステップS93)。
【0137】
ステップS93では、例えば、補正ピーク値MPが3である場合、処理済差分値ΔMM(n)が3の場合、2の場合、1の場合の各区間のピーク素子番号PPから一端部までの素子数が算出される。
【0138】
具体的には、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が3から2となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14265)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差がピーク補正開始数MP1Aとして算出される。
また、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が2から1となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14237)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第2補正開始数SP2として算出される。
更に、ピーク素子番号PPから素子番号の値が小さい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が1から0となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14217)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第1補正開始数SP1として算出される。
【0139】
制御部17aは、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、各処理済差分値ΔMM(n)をチェックし、処理済差分値ΔMM(n)毎の区間の他端部までの素子数を算出する(ステップS94)。
【0140】
ステップS94では、例えば、補正ピーク値MPが3である場合、処理済差分値ΔMM(n)が3の場合、2の場合、1の場合の各区間のピーク素子番号PPから一端部までの素子数が算出される。
【0141】
具体的には、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が3から2となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14273)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差がピーク補正終了数MP1Bとして算出される。
また、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が2から1となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14297)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第2補正終了数EP2として算出される。
更に、ピーク素子番号PPから素子番号の値が大きい方向に向かって、処理済差分値ΔMM(n)が1から0となる発光素子の素子番号(図13では素子番号14321)が検出され、検出された素子番号とピーク素子番号PPとの差が第1補正終了数EP1として算出される。
【0142】
制御部17aは、ピーク素子番号PP、補正ピーク値MP、各処理済差分値ΔMM(n)の区間情報を黒スジ補正データとしてメモリ17bに記憶させ(ステップS95)、ステップS88の処理に戻る。
【0143】
ステップS95での区間情報としては、例えば、光量調整量である処理済差分値ΔMM(n)が補正ピーク値MPである区間を示すピーク補正開始数MP1A及びピーク補正終了数MP1B、光量調整量である処理済差分値ΔMM(n)が2である区間を示す第2補正開始数SP2及び第2補正終了数EP2、光量調整量である処理済差分値ΔMM(n)が1である区間を示す第1補正開始数SP1及び第1補正終了数EP1である。
【0144】
図14に、LPH検査システム1で実行される補正データ書込処理のフローチャートを示す。図14に示す処理は、制御部17aと各部との協働により実行されるものである。
【0145】
制御部17aは、LPH3内の記憶部31へのデータ書込準備を行なう(ステップS101)。ステップS101では、制御部17aは、LPH制御部15を介してLPH3の記憶部31との通信接続を確立する。
【0146】
制御部17aは、基本補正データをメモリ17bから読み出し(ステップS102)、また黒スジ補正データをメモリ17bから読み出し(ステップS103)、LPH3の記憶部31に基本補正データと黒スジ補正データを書き込み(ステップS104)、補正データ書込み処理を終了する。
【0147】
図15に、LPH3の記憶部31のメモリ構成の例を示す。
図15に示すように、記憶部31のメモリ領域は、2つの領域(Aバンク、Bバンク)に分かれている。各バンクは、更に2つの領域に分割されている。
【0148】
Aバンクは、メモリアドレスが「0000h」〜「2FFFh」の分割領域A1と、メモリアドレスが「30000h」〜「7FFFh」の分割領域A2から成る。分割領域A1には、基本補正データが格納される。分割領域A2には、各発光素子に対する光量補正値が基本補正データとは異なる第1拡張補正データと黒スジ補正データが格納される。
【0149】
Bバンクは、メモリアドレスが「8000h」〜「AFFFh」の分割領域B1と、メモリアドレスが「B000h」〜「FFFFh」の分割領域B2から成る。分割領域B1には、基本補正データと黒スジ補正データが格納される。分割領域B2には、各発光素子に対する光量補正値が基本補正データとは異なる第2拡張補正データと黒スジ補正データが格納される。
【0150】
本実施の形態では、Aバンクの分割領域A1、Bバンクの分割領域B1及びB2には、共通の黒スジ補正データが格納される。
【0151】
図16に、Aバンクの分割領域A1に記憶されるデータ書式例を示す。
図16に示すように、分割領域A1には、基本補正データと共に、最大値リストを生成した際の各所定区分に対する黒スジ補正データの有無を示す各4ビットの黒スジ補正データ格納状況を示すデータ(図16では、CP1〜CP40)が格納される。
黒スジ補正データ格納情報の所定区分の値が0である場合には、当該所定区分には黒スジ補正データがないと判別することができる。
【0152】
図17に、Bバンクの分割領域B1に記憶されるデータ書式例を示す。
図17に示すように、分割領域B1には、各黒スジ補正データを9Byteの書式として最大5つの黒スジ補正データ(PP1〜PP5)と、基本補正データとが格納される。
各黒スジ補正データは、ピーク素子番号PPが小さい順又は大きい順に格納、又は、補正ピーク値が小さい順又は大きい順に格納される。
【0153】
図17に示すように、各黒スジ補正データのピーク素子番号PP、第1補正開始数SP1、第1補正終了数EP1、第2補正開始数SP2、第2補正終了数EP2、ピーク補正開始数MP1A、ピーク補正終了数MP1B、補正ピーク値MPは、上位アドレスから1アドレスずつ1Byteの領域(ピーク素子番号PPは、上位アドレスから2アドレスの2byteの領域)に割り振られて格納される。
【0154】
ピーク素子番号PP、第1補正開始数SP1、第1補正終了数EP1、第2補正開始数SP2、第2補正終了数EP2、ピーク補正開始数MP1A、ピーク補正終了数MP1B、補正ピーク値MPのデータは、10進数で管理される。
なお、補正ピーク値MPがない場合には、補正ピーク値MPのデータとして「77h」が格納される。
【0155】
Aバンクの分割領域A2、Bバンクの分割領域B2に記憶されるデータ書式例は、図17に示すデータ書式の基本補正データを第1拡張補正データ、第2拡張補正データに換えたものと同様である。
【0156】
次に、画像形成装置2にて実行される処理を説明する。
図18に、本実施の形態におけるLPH組み立て処理のフローチャートを示す。
図18に示す処理は、画像形成装置2を用いて実行される処理である。
【0157】
LPH検査システム1によるLPH検査処理が完了したLPH3が画像形成装置2の所定位置に取り付けられる(ステップS111)。そして、LPH3が取り付けられた画像形成装置2は、LPH3の記憶部31に基本補正データがあるか否かを判別する(ステップS112)。
【0158】
取り付けられたLPH3に基本補正データがない場合(ステップS112;NO)、画像形成装置2は、LPH検査システム1と通信を行って基本補正データ等を記憶部31に書き込むデータ書込処理を実行する(ステップS113)。
【0159】
取り付けられたLPH3に基本補正データがある場合(ステップS112;YES)又はステップS113後、画像形成装置2は、LPH3を用いたLPH調整処理を実行し(ステップS114)、LPH組み立て処理が終了される。
【0160】
図19に、本実施の形態におけるLPH調整処理のフローチャートを示す。
図19に示す処理は、画像形成装置2にて実行される処理であり、CPU21aと各部との協働により実行されるものである。
【0161】
CPU21aは、I/O21gを介してLPH3の記憶部31から基本補正データを読み込み(ステップS131)、本体記憶部21bの光量補正データメモリ内に格納する。ステップS131では、例えば、記憶部31のAバンクの分割領域A1に格納されている基本補正データが読み出される。
【0162】
CPU21aは、ステップS131にて読み出した基本補正データを用いた確認画像データを生成し、当該確認画像データを画像処理部21eに出力する(ステップS132)。画像処理部21eにより確認画像データに基づくプリントデータが生成され、LPH制御部21fによりプリントデータに基づいた各種信号がLPH3に出力される。
【0163】
LPH3は、LPH制御部21fから入力された信号に基づいて駆動し、プリント部4により用紙上に確認画像が形成され出力される(ステップS133)。
【0164】
図20に、用紙上に形成された確認画像の例を示す。
図20に示すように、確認画像Pは、第1帯状画像Pa1〜Pa10と、第2帯状画像Pb1〜Pb10と、調整位置画像Pcとからなる。第1帯状画像Pa1〜Pa10と第2帯状画像Pb1〜Pb10は、スクリーン線及びスクリーン角度が異なる。
図20に示す確認画像Pの例は、黒スジLが現れた場合の例とする。
【0165】
第1帯状画像Pa1〜Pa10は、副走査方向Yにおいて隣接する第1帯状画像とは濃度が異なる。第1帯状画像Pa1〜Pa10は、副走査方向(用紙搬送方向)Yの先端から終端の方向に向かって、各第1帯状画像の濃度が順次10[%]単位で濃く又は薄くなるように配列されている。濃度20〜50[%]で検出性が良い。また、第1帯状画像Pa1〜Pa10は、スクリーン線141線、スクリーン角度45度であることが好ましい。
【0166】
第2帯状画像Pb1〜Pb10は、副走査方向Yにおいて隣接する第2帯状画像とは濃度が異なる。第2帯状画像Pb1〜Pb10は、副走査方向(用紙搬送方向)Yの先端から終端の方向に向かって、各第2帯状画像の濃度が順次10[%]単位で濃く又は薄くなるように配列されている。濃度20〜50[%]で検出性が良い。また、第2帯状画像Pb1〜Pb10は、スクリーン線175線、スクリーン角度15度であることが好ましい。
【0167】
調整位置画像Pcは、用紙搬送方向Yの両端部(先端部及び終端部)の近傍位置に主走査方向Xに渡って延在する帯状の画像と、当該帯状の画像の主走査方向の長さを予め設定された間隔(最大値リストの所定区分に相当する長さ)で区切る線とにより形成されてなる。この帯状の画像を区切る間隔は、LPH3が備える主走査方向に配列された発光素子を予め設定された数単位で区切った長さに相当する。例えば、主走査方向に発光素子が15360画素配列されている場合であって384素子毎に区切る場合には、当該帯状の画像を40個の区間に区切る線が形成される。
従って、調整位置画像Pcは、第1帯状画像及び第2帯状画像に現れる黒スジの主走査方向における位置を判別するめやすとなる。
【0168】
出力された確認画像は、本処理を画像形成装置2に実行させている作業員により目視され、当該作業員により確認画像上に黒スジが現れているか否かが判別される(ステップS134)。確認画像上に黒スジが現れていないと判別された場合(ステップS134;NO)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、LPH調整処理が終了される。また、スキャナーによる画像解析手段にて、黒スジを判定してもよい。
【0169】
確認画像上に黒スジが現れていると判別された場合(ステップS134;YES)、黒スジの出現がプロセスエンジン起因ではないか否かが作業員により判別される(ステップS135)。ステップS135では、作業員は、黒スジの形状によりプロセスエンジン起因であるか否かを判別する。プロセスエンジン起因ではない黒スジは、即ち、LPH3のレンズアレイに起因して現れた黒スジは、黒スジの幅が約1mm前後(結合レンズの直径の約2倍の長さ)であることが知られている。また、プロセスエンジン起因で現れた黒スジは、レンズアレイに起因する黒スジよりも幅が広く、装置構成部品に応じたスジとなる。
【0170】
黒スジの出現がプロセスエンジン起因である場合(ステップS135;NO)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、プロセスエンジン起因の解析処理が実行され(ステップS136)、LPH調整処理が終了される。このとき、LPH側の黒スジ情報と画像とを比較して、プロセスエンジン起因との原因分離を確認すると良い。プロセスエンジン起因との切り分け手段として、黒スジ情報を活用することもできる。
【0171】
黒スジの出現がプロセスエンジン起因でない場合(ステップS135;NO)、当該判別結果が操作表示部により入力される。CPU21aは、黒スジの出現がプロセス起因でない判別結果が入力されると、LPH3の記憶部31に記憶されている黒スジ補正データを読み込み(ステップS137)、本体記憶部21bの光量補正データメモリ内に格納する。ステップS137では、例えば、記憶部31のBバンクの分割領域B1に格納されている黒スジ補正データが読み出される。
【0172】
CPU21aは、読み込んだ黒スジ補正データの補正ピーク値MPが全て「77h」であるか否かを判別する(ステップS138)。黒スジ補正データの補正ピーク値MPが全て「77h」である場合(ステップS138;YES)、CPU21aは、黒スジ補正データが結合レンズの光学特性を補正するためのデータがない旨を示す調整不要情報を示していると判別し、LPH調整処理を終了する。
【0173】
ステップS138;YESの場合、黒スジ補正データの表示及び調整指示情報の受け付けを行わず、基本補正データに基づく画像を形成することができる。
【0174】
黒スジ補正データの補正ピーク値MPが全て「77h」ではない場合(ステップS138;NO)、CPU21aは、調整メニュー画面を操作表示部23に表示させる(ステップS139)。
【0175】
図21に、調整メニュー画面の例を示す。
図21に示すように、調整メニュー画面Gには、調整位置画像領域E1、調整値設定領域E21〜E25、確認画像プリントボタンBが設けられている。調整メニュー画面Gは、黒スジ補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部として機能する。
【0176】
調整位置画像領域E1には、確認画像に形成された調整位置画像Pcと同様の形態の調整位置画像が表示されており、黒スジ補正データのピーク素子番号PPが含まれる調整位置画像の区間の区間番号が調整位置画像上に表示されている。
【0177】
調整値設定領域E21には、データ番号表示領域E21a、区間番号表示領域E21b、補正ピーク値表示領域E21c、調整値表示領域E21dが設けられている。調整値設定領域E22〜E25は、調整値設定領域E21と同様の構成であるため、説明は省略する。
【0178】
データ番号表示領域E21aには、黒スジ補正データの識別番号が示される。
この黒スジ補正データの識別番号は、黒スジ補正データが記憶部31に記憶された際に付されるものであり、例えば、図17のPP1〜PP5である。区間番号表示領域E21bには、黒スジ補正データが含まれる区間の区間番号が示される。補正ピーク値表示領域E21cには、黒スジ補正データの補正ピーク値MPが示される。調整値表示領域E21dには、補正ピーク値MPを当該補正ピーク値MP以下に変更する調整値が示される。
【0179】
調整メニュー画面Gにより、テンキーにより入力された調整値が、調整指示情報として受け付けられる。
【0180】
CPU21aは、調整メニュー画面Gにより入力された各黒スジ補正データの調整値に応じて、光量補正値を補正する補正量の設定を行う(ステップS140)。補正量の設定について、図22を参照して説明する。
【0181】
図22に、各発光素子に対する光量操作量のグラフの例を示す。
図22に示すグラフは、横軸に素子番号、縦軸に光量操作量[%]と示す。
第1曲線L1は、差分値ΔM(n)をグラフ化したものであり、第2曲線L2は、処理済差分値ΔMM(n)をグラフ化したものである。
図22に示すグラフでは、補正ピーク値MPが3、ピーク素子番号PPが14269、ピーク補正開始数MP1Aが4、ピーク補正終了数MP1Bが4、第2補正開始数SP2が32、第2補正終了数EP2が28、第1補正開始数SP1が52、第1補正終了数EP1が52である。
【0182】
まず、光量操作量が3の区間を設定する。
光量操作量が補正ピーク値MP=3の区間は、ピーク素子番号PPにピーク補正開始数MP1Aを差分した素子番号から、ピーク素子番号PPにピーク補正終了数MP1Bを加算した素子番号までの区間である。
図22では、光量操作量が3の区間は、14265〜14273となる。
【0183】
次に、光量操作量が2の区間を設定する。
光量操作量が補正ピーク値MP=3から1を減算した値(2)の区間は、ピーク素子番号PPに第2補正開始数SP2を差分した素子番号から、ピーク素子番号PPにピーク補正開始数MP1Aを減算した素子番号までの区間と、ピーク素子番号PPにピーク補正終了数MP1Bを加算した素子番号から、ピーク素子番号PPに第2補正終了数EP2を加算した素子番号までの区間である。
図22では、光量操作量が2の区間は、14237〜14266、14274〜14297となる。
【0184】
光量操作量が1の区間を設定する。
光量操作量が補正ピーク値MP=3から2を減算した値(1)の区間は、ピーク素子番号PPに第1補正開始数SP1を差分した素子番号から、ピーク素子番号PPに第2補正開始数SP2を減算した素子番号までの区間と、ピーク素子番号PPに第2補正終了数EP2を加算した素子番号から、ピーク素子番号PPに第1補正終了数EP1を加算した素子番号までの区間である。
図22では、光量操作量が1の区間は、14217〜14236、14298〜14231となる。
【0185】
各光量操作量の区間が決定された後、調整量に応じて各補正対象区間の発光素子に対する光量補正値の補正量の設定が行われる。
【0186】
図23に、調整量が0の場合の補正量のイメージ図を示す。
調整量が0である場合、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)となる。
光量操作量が補正ピーク値MP(3)の区間(図23では、PP−MP1A〜PP+MP1B)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、補正ピーク値MPに応じて−3[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−3[%]減じた値に補正される。
【0187】
光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が2の区間(図23では、PP−SP2〜PP−MP1A、PP+MP1B〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、光量操作量に応じて−2[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−2[%]減じた値に補正される。
【0188】
光量操作量が補正ピーク値MPから2番目に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が1の区間(図23では、PP−SP1〜PP−SP2、PP+EP2〜PP+EP1)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、光量操作量に応じて−1[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−1[%]減じた値に補正される。
【0189】
図24に、調整量が−1の場合の補正量のイメージ図を示す。
調整量が−1である場合、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)から−1減算した値(2)となる。
光量操作量が補正ピーク値MPの区間、及び、光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が2の区間(図24では、PP−SP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、調整量により調整された補正ピーク値MPに応じて−2[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−2[%]減じた値に補正される。
【0190】
即ち、図24に示すように、補正ピーク値MPが3であるときに調整量が−1が設定された場合には、補正ピーク値MPの区間(図24では、PP−MP1A〜PP+MP1B)の補正量は、補正ピーク値MPが適用されず、補正ピーク値MPから調整量が減算された値が適用される。
【0191】
光量操作量が補正ピーク値MPから2番目に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が1の区間(図24では、PP−SP1〜PP−SP2、PP+EP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、光量操作量に応じて−1[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−1[%]減じた値に補正される。
【0192】
図25に、調整量が−2の場合の補正量のイメージ図を示す。
調整量が−2である場合、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)から−2減算した値(1)となる。
光量操作量が補正ピーク値MPの区間、及び、光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が2の区間(図25では、PP−SP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、調整量により調整された補正ピーク値MPに応じて−1[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は、−1[%]減じた値に補正される。
【0193】
即ち、図25に示すように、補正ピーク値MPが3であるときに調整量が−2が設定された場合には、補正ピーク値MPの区間(図25では、PP−MP1A〜PP+MP1B)の補正量は、補正ピーク値MPが適用されず、補正ピーク値MPから調整量が減算された値が適用される。また、光量操作量が補正ピーク値MPの次に大きい光量操作量の区間(図25では、PP−SP2〜PP−MP1A、PP+MP1B〜PP+EP2)の補正量は、当該区間の光量操作量の値が適用されず、補正ピーク値MPから調整量が減算された値が適用される。
【0194】
光量操作量が補正ピーク値MPから2番目に大きい光量操作量の区間、即ち、光量操作量が1の区間(図24では、PP−SP1〜PP−SP2、PP+EP2〜PP+EP2)の発光素子の光量補正値に対する補正量は、0[%]に設定され、当該区間の発光素子の光量補正値は補正されない。
【0195】
なお、補正ピーク値と当該調整値との和が0となる調整値が入力された場合、黒スジ補正データを用いた基本補正データの光量補正値の調整を行わない指示が入力されたこととなる。即ち、補正ピーク値MPが3であり調整値が−3の場合には、光量操作量の最大値は補正ピーク値MP(3)から−3減算した値(0)となり、発光素子の光量補正値に対する補正量が0[%]に設定されることから、発光素子の光量補正値は補正されない。
【0196】
このように、CPU21aは、黒スジ補正データと調整値とに基づいて、黒スジ補正データが示す区間に含まれる発光素子の光量補正値を調整する補正量を設定し、この補正量に応じて区間毎の発光素子の光量補正値を補正する。
【0197】
CPU21aは、補正量の設定後(ステップS140後)、黒スジ補正データの区間の発光素子の光量補正値を設定された補正量に基づいて補正する。そしてCPU21aは、本体記憶部21bに記憶されている基本補正データを、黒スジ補正データの区間の補正済みの光量補正値と、黒スジ補正データの区間を除く他の区間の基本補正データの光量補正値に書き換える。CPU21aは、本体記憶部21bに記憶されている基本補正データに基づいて確認画像データを生成し、当該確認画像データを画像処理部21eに出力する。
【0198】
画像処理部21eにより確認画像データに基づくプリントデータが生成され、LPH制御部21fによりプリントデータに基づいた各種信号がLPH3に出力される。そして、LPH3は、LPH制御部21fから入力された信号に基づいて駆動し、プリント部4により用紙上に確認画像が形成され出力される(ステップS141)。
【0199】
出力された確認画像は、作業員により目視され、当該作業員により確認画像上に黒スジが現れているか否かが判別される(ステップS142)。確認画像上に黒スジが現れていると判別された場合(ステップS142;NO)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、CPU21aはステップS139の処理に戻る。また、スキャナーによる画像解析手段にて黒スジを判定しても良い。
【0200】
確認画像上に黒スジが現れていないと判別された場合(ステップS142;YES)、当該判別結果が操作表示部23により入力され、CPU21aは、入力された調整値に応じて調整された黒スジ補正データをLPH3が備える記憶部31に書き換え(ステップS143)、LPH調整処理を終了する。ステップS143では、記憶部31に記憶されている黒スジ補正データが、調整値に応じて設定された補正量を示す黒スジ補正データに書き換えられる。
【0201】
以上にように本実施の形態によれば、LPH3が、発光素子それぞれの光量を補正するための基本補正データと、結像レンズ固有のMTFデータに基づく黒スジ補正データとを記憶する記憶部31を備えていることから、LPH3を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0202】
特に、ピーク素子番号PPと、当該ピーク素子番号PPから光量操作量毎の区間の一端部及び他端部までの素子数(ピーク補正開始数MP1A、ピーク補正終了数MP1B、第1補正開始数SP1、第1補正終了数EP1、第2補正開始数SP2、第2補正終了数EP2)とにより、黒スジの位置を特定することができると共に、補正ピーク値MPにより当該黒スジの位置の発光素子に対する光量補正を行なうことができる。
【0203】
また、結像レンズ固有のMTFデータに基づく黒スジ補正データに基づいて、発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正位置を補正することができるため、LPH3を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0204】
更に、黒スジ補正データを調整メニュー画面Gにより受け付けられた調整指示情報(調整値)に基づいて調整することができるため、利用者の望む画質の画像を実現することができる。
【0205】
また、結像レンズ固有のMTFデータに基づく黒スジ補正データを算出してLPH3の記憶部31に書き込むことができるため、当該LPH3を用いて画像を形成する場合には、光書込装置を構成する結像レンズに起因して画像上に現れる黒スジの位置を特定することができ、当該黒スジの位置に対する光量補正が可能となり、画質の向上を図ることができる。
【0206】
更に、LPH3の記憶部31に記憶されている黒スジ補正データを、調整メニュー画面から入力された補正指示情報(調整値)に基づいて調整された黒スジ補正データに書き換えることができる。
【0207】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として
メモリ17bや本体記憶部21bを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0208】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0209】
1 LPH検査システム
2 画像形成装置
3 LPH
4 プリント部
11 暗箱
12 LPH固定部材
13 受光部
14 駆動部
15 LPH制御部
16 受光制御部/駆動制御部
17 制御装置
17a 制御部
17b メモリ
17c 表示部
17d 操作部
17e 外部I/F
21 本体制御部
21a CPU
21b 本体記憶部
21c RAM
21d 画像メモリ
21e 画像処理部
21f LPH制御部
21g I/O
22 機構制御部
23 操作表示部
24 外部I/F
31 記憶部
B 確認画像プリントボタン
G 調整メニュー画面
E1 調整位置画像領域
E21〜E25 調整値設定領域
E21a データ番号表示領域
E21b 区間番号表示領域
E21c ピーク値表示領域
E21d 調整値表示領域
L 黒スジ
L1 第1曲線
L2 第2曲線
P 確認画像
Pa1〜Pa10 帯状画像
Pb1〜Pb10 帯状画像
Pc 調整位置画像
EP1 第1補正終了数
EP2 第2補正終了数
MP 補正ピーク値
MP1A ピーク補正開始数
MP1B ピーク補正終了数
PP ピーク素子番号
SP1 第1補正開始数
SP2 第2補正開始数
X 主走査方向
Y 副走査方向(用紙搬送方向)
ΔM(n) 差分値
ΔMM(n) 処理済差分値
ΔMmax(n) 最大差分値
Nmax 最大素子番号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部と、
前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部と、
複数の前記発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値からなる第1補正データと、前記結像レンズ固有の光学特性データに基づいて算出された前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び当該補正対象位置情報が示す局所的な位置に配列された発光素子の光量補正値を補正するための補正基準値を含む第2補正データと、を記憶する記憶部と、
を備えた光書込装置。
【請求項2】
前記光学特性データは、
前記光学部を透過した照射光から検出した光量データにより算出されたMTFデータである、
請求項1に記載の光書込装置。
【請求項3】
前記補正対象位置情報は、
局所的に前記光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間を示す区間情報を示す、
請求項1又は2に記載の光書込装置。
【請求項4】
前記補正基準値は、
前記区間に含まれる発光素子のうち、前記光学特性データに基づいて算出される値の最大値であり、
前記区間情報は、
前記光学特性データの値が最大値である発光素子の識別番号を示す最大素子番号と、当該最大素子番号から前記区間の一端部及び他端部までの素子数とを含む、
請求項3に記載の光書込装置。
【請求項5】
前記記憶部は、
複数の前記第2補正データを、前記最大素子番号が小さい順又は大きい順に格納する、
請求項4に記載の光書込装置。
【請求項6】
前記記憶部は、
複数の前記第2補正データを、前記最大値が小さい順又は大きい順に格納する。
請求項4に記載の光書込装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の光書込装置により画像を形成する画像形成装置において、
前記光書込装置の記憶部から前記第1補正データ及び前記第2補正データを読み出し、前記第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正する制御部と、
前記制御部により補正された第1補正データを記憶する本体記憶部と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、当該調整した第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正し、前記本体記憶部に記憶されている第1補正データを当該補正された第1補正データに書き換える、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、前記光書込装置の記憶部に記憶されている第2補正データを当該調整した第2補正データに書き換える、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部、前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部、記憶部を備えた光書込装置と、前記光書込装置の記憶部にデータを書き込む制御装置と、を備えるシステムにおけるデータ書込方法において、
前記結像レンズ固有の光学特性データを測定する光学特性データ測定工程と、
前記光学特性データに基づいて、前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び補正基準値を含む第2補正データを算出する第2補正データ算出工程と、
前記第2補正データを前記記憶部に書き込む書込工程と、
を含む、
データ書込方法。
【請求項1】
主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部と、
前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部と、
複数の前記発光素子それぞれの光量を補正するための光量補正値からなる第1補正データと、前記結像レンズ固有の光学特性データに基づいて算出された前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び当該補正対象位置情報が示す局所的な位置に配列された発光素子の光量補正値を補正するための補正基準値を含む第2補正データと、を記憶する記憶部と、
を備えた光書込装置。
【請求項2】
前記光学特性データは、
前記光学部を透過した照射光から検出した光量データにより算出されたMTFデータである、
請求項1に記載の光書込装置。
【請求項3】
前記補正対象位置情報は、
局所的に前記光学特性データの値が変化する発光素子が配列されている区間を示す区間情報を示す、
請求項1又は2に記載の光書込装置。
【請求項4】
前記補正基準値は、
前記区間に含まれる発光素子のうち、前記光学特性データに基づいて算出される値の最大値であり、
前記区間情報は、
前記光学特性データの値が最大値である発光素子の識別番号を示す最大素子番号と、当該最大素子番号から前記区間の一端部及び他端部までの素子数とを含む、
請求項3に記載の光書込装置。
【請求項5】
前記記憶部は、
複数の前記第2補正データを、前記最大素子番号が小さい順又は大きい順に格納する、
請求項4に記載の光書込装置。
【請求項6】
前記記憶部は、
複数の前記第2補正データを、前記最大値が小さい順又は大きい順に格納する。
請求項4に記載の光書込装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の光書込装置により画像を形成する画像形成装置において、
前記光書込装置の記憶部から前記第1補正データ及び前記第2補正データを読み出し、前記第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正する制御部と、
前記制御部により補正された第1補正データを記憶する本体記憶部と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、当該調整した第2補正データに基づいて前記第1補正データを補正し、前記本体記憶部に記憶されている第1補正データを当該補正された第1補正データに書き換える、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2補正データに対する調整指示情報を受け付ける入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部から入力された調整指示情報に基づいて前記第2補正データを調整し、前記光書込装置の記憶部に記憶されている第2補正データを当該調整した第2補正データに書き換える、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
主走査方向に配列された複数の発光素子からなる光源部、前記発光素子からの照射光を集光させて露光面上に結合させる複数の結像レンズからなる光学部、記憶部を備えた光書込装置と、前記光書込装置の記憶部にデータを書き込む制御装置と、を備えるシステムにおけるデータ書込方法において、
前記結像レンズ固有の光学特性データを測定する光学特性データ測定工程と、
前記光学特性データに基づいて、前記発光素子の配列方向における局所的な補正対象位置情報及び補正基準値を含む第2補正データを算出する第2補正データ算出工程と、
前記第2補正データを前記記憶部に書き込む書込工程と、
を含む、
データ書込方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−173235(P2010−173235A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20003(P2009−20003)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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