光束制御部材および照明装置
【課題】LEDから出射された光を広範囲に拡散し、簡単な構造で照明角度が広いLED電球等の照明装置を提供すること。
【解決手段】第1レンズ10と第2レンズ20とは、第1表面10cと第2裏面20aとが接する状態、あるいは、第1表面10cと第2裏面20aとの間に微少な間隙が存在する状態で組み付けられる。第1裏面10aを凹ませることにより、中心軸C上を頂点とする円錐面形状の第1凹面10dが形成される。第2表面20cを凹ませることにより、中心軸C上を頂点として中心軸から離れるに従って曲率が緩くなる曲面形状の第2凹面20dが形成される。
【解決手段】第1レンズ10と第2レンズ20とは、第1表面10cと第2裏面20aとが接する状態、あるいは、第1表面10cと第2裏面20aとの間に微少な間隙が存在する状態で組み付けられる。第1裏面10aを凹ませることにより、中心軸C上を頂点とする円錐面形状の第1凹面10dが形成される。第2表面20cを凹ませることにより、中心軸C上を頂点として中心軸から離れるに従って曲率が緩くなる曲面形状の第2凹面20dが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子から出射された光の進行方向を制御する光束制御部材、および、この光束制御部材を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な白熱電球は、外部電源から電力をフィラメントに供給することにより、フィラメントから広範囲の均一な光線を発生する。しかしながら、白熱電球には、消費電力が高く、高温であり、使用寿命が短い、等の欠点がある。
【0003】
これに対し、LED(発光ダイオード)電球は、寿命が長く、節電でき、廃棄物による環境汚染を発生しない、等の長所があるため、白熱電球に変わり、新時代の照明設備となりつつある。ただし、LEDは前方向のみにしか光が出射されないため、従来のLED電球を天井に取り付けた場合、天井や壁面からの反射光が少なくなり、直下照度が同等の白熱電球よりも暗く感じてしまう。
【0004】
この課題を解決するものとして、特許文献1の図4には、基板を円筒状に形成し、円筒の側面(LED電球の軸に平行な面)および円筒の上面(LED電球の軸に垂直な面)の両方にLEDを実装するとともに、LEDからの出射光を透光性カバーの内面に形成した蛍光体層によって拡散してLED電球の外部へ出射する、照明角度を拡げたLED電球が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−243807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来のLED電球は、基板の形状やLEDの配置等、構造が複雑であるため、製造コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、LEDから出射された光を広範囲に拡散することができる光束制御部材、および、この光束制御部材を用い、簡単な構造で照明角度が広いLED電球等の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光束制御部材は、発光素子から出射された光を入射し、進行方向を制御して出射する光束制御部材であって、板状の第1レンズと板状の第2レンズとにより構成され、前記第1レンズは、一方の主面である第1表面と、他方の主面である第1裏面と、前記第1レンズの平面外形を形作る第1側面と、を有し、前記第2レンズは、一方の主面である第2表面と、他方の主面である第2裏面と、前記第2レンズの平面外形を形作る第2側面と、を有し、前記第1レンズおよび前記第2レンズは、前記第2レンズの前記第2裏面を前記第1レンズの前記第1表面側に向けるとともに、前記第1レンズおよび前記第2レンズよりも低屈折率層を介して重ねて配置され、前記第1レンズの前記第1裏面を凹ませることにより形成され、前記発光素子から出射された光を入射して前記第1側面に向かって導光する光を生成する第1凹面と、前記第2レンズの前記第2表面を凹ませることにより形成され、前記第1凹面から入射して前記第1表面および前記第2裏面を透過した光を出射又は全反射させる第2凹面と、を有する、構成を採る。
【0009】
本発明の照明装置は、発光素子と、前記発光素子から入射した光を、進行方向を制御して出射する上記光束制御部材と、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、LEDから出射された光を広範囲に拡散することができ、LED1個とレンズ(光束制御部材)という簡単な構造で、照明角度が広いLED電球等の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材の形状を示す図
【図3】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のレンズの組み付け例を示す図
【図4】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材に入射する光の経路を示す図
【図5】従来のLED電球の配光分布を示す図
【図6】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図7】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション1の形状を示す図
【図8】図7の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図9】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション2の形状を示す図
【図10】図9の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図11】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション3の形状を示す図
【図12】図11の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図13】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション4の形状を示す図
【図14】図13の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図15】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球のバリエーションを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
〔LED電球の構成〕
図1は、本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球1を示す図である。
【0014】
LED電球1は、カバー2と、口金3と、電源ユニット4と、台座5と、LEDユニット6と、から主に構成される。
【0015】
カバー2は、高熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム)からなる。カバー2には円筒状の口金取り付け部2aが形成される。口金取り付け部2aの内面側には、中央部に孔2cを有する円盤状の支持部材2bが接着剤等によって取り付けられ、支持部材2bの内面側に電源ユニット4が配設される。
【0016】
口金3は、ねじ山を備えた筒状に形成された金属性のシェル部3a、および、シェル部3aの一端側の頂部にシェル部3aと絶縁部を介する金属製のアイレット部3bを有する。口金3は、シェル部3aの他端側である開口3cを、絶縁物を介してカバー2の口金取り付け部2aに装着することにより、カバー2に固定される。
【0017】
電源ユニット4は、略円柱形状であり、入力電線(図示せず)を介してシェル部3aとアイレット部3bの内側面に接続し、口金3から電力の供給を受ける。また、電源ユニット4は、出力電線4aを介してLEDユニット6に電力を供給する。
【0018】
台座5は、略円柱形状であり、伝熱性の接着材によりカバー2の内面に取り付けられる。台座5の中央付近には、台座5を厚み方向に貫通した貫通孔5aが設けられる。電源ユニット4に接続された出力電線4aは、支持部材2bの孔2cから台座5の貫通孔5aを通ってLEDユニット6の基板6aに接続される。
【0019】
LEDユニット6は、基板6aと、LED6bと、光束制御部材6cと、から構成され、基板6aの裏面を台座5に接着することにより台座5に取り付けられる。基板6aは、高熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム)からなる。基板6aの表面にはLED6bが実装される。LED6bは、基板6aの表面に絶縁層を介して形成された銅箔からなる配線パターン(図示せず)に接続され、可視光を放射する。光束制御部材6cは、LED6bに対向するように基板6aに取り付けられ、LED6bから出射された光の進行方向を制御する。なお、光束制御部材6cの形状等の詳細については後述する。
【0020】
LED電球1を電球用ソケット(図示せず)に取り付けると、口金3のシェル部3aとアイレット部3bがソケット内の電極と接触し、商用電源(図示せず)からの電力が電源ユニット4に供給される。電源ユニット4は、例えば160mAの直流電流の電力を、出力電線4aを介して基板6aのLED6bに供給する。LED6bは、電力が供給されると発光する。LED6bから出射された光は、光束制御部材6cによって進行方向を制御されて出射される。
【0021】
〔光束制御部材の形状〕
図2は、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材6cを示す図である。図2(a)は光束制御部材6cの平面図、図2(b)は光束制御部材6cの正面断面図、図2(c)は光束制御部材6cの底面図である。図2に示すように、本実施の形態に係る光束制御部材6cは、第1レンズ10と、第2レンズ20と、から主に構成される。
【0022】
第1レンズ10及び第2レンズ20は、いずれも、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、EP(エポキシ樹脂)、COP(シクロオレフィン樹脂)等の透明樹脂材料や透明なガラスで形成される。なお、第1レンズ10と第2レンズ20とは、互いに材質が異なっていても良い。
【0023】
第1レンズ10は、薄肉円柱形状に形成され、第1裏面10a、第1側面10b、第1表面10cを有する。第1裏面10aおよび第1表面10cは円形平面であり、第1側面10bは凸プリズム形状の円周曲面である。第1裏面10aの中央部には、第1裏面10aを凹ませることにより、中心軸C上を頂点とする円錐面形状の第1凹面10dが形成される。
【0024】
第2レンズ20は、薄肉円柱形状に形成され、第2裏面20a、第2側面20b、第2表面20cを有する。第2裏面20aおよび第2表面20cは円形平面であり、第2側面20bは径が一定の円周曲面である。第2表面20cの中央部には、第2表面20cを凹ませることにより、中心軸C上を頂点として中心軸から離れるに従って曲率が緩くなる曲面形状の第2凹面20dが形成される。
【0025】
〔光束制御部材のレンズの組み付け〕
第1レンズ10と第2レンズ20とは、第1表面10cと第2裏面20aとが接する状態、あるいは、第1表面10cと第2裏面20aとの間に微少な間隙が存在する状態で組み付けられる。すなわち、第1レンズ10と第2レンズ20とは密着しておらず、空気層が存在する。
【0026】
なお、本発明において、第1レンズ10と第2レンズ20の組み付け方については制限がない。
【0027】
例えば、図3に示すように、第1レンズ10の第1表面10cの外周部に、内径が第2レンズ20の外形とほぼ等しい円環状の凸縁部10eを形成し、第2レンズ20を第1レンズ10の凸縁部10eに嵌合させることにより、第1レンズ10と第2レンズ20とを組み付けることができる。
【0028】
あるいは、第1レンズ10の第1表面10cに微少な凹みを複数設け、第2レンズ20の第2裏面20aにこれらの凹みに対応する突起を設け、各突起を各凹みに嵌合させることにより、第1レンズ10と第2レンズ20とを組み付けることができる。
【0029】
あるいは、第2レンズ20の第2裏面20aに、底面が平面の突起を複数設け、接着剤によって第1レンズ10の第1表面10cに各突起の底面を接着することにより、第1レンズ10と第2レンズ20とを組み付けることができる。
【0030】
いずれの組み付け例においても、凹凸嵌合部や接着部が光束制御部材6cの光学特性に大きな影響を与えないように設計される。
【0031】
〔光束制御部材の取り付け〕
第1レンズ10と第2レンズ20とが組み付けられた光束制御部材6cは、第1裏面10aがLED6bに対向し、光束制御部材6cの中心軸CがLED6bの光軸Lと一致するように基板6aに取り付けられる。
【0032】
光軸Lとは、光束の代表となる仮想的な光線であって、LED6bの発光面の中心から発光面と垂直に出射される光であって、LED6bから出射される立体的な光束の中心における光の進行方向をいう。
【0033】
なお、本発明において、光束制御部材6cの基板6aへの取り付け方については制限がない。
【0034】
例えば、第1レンズ10の第1裏面10aに、底面が平面の突起を複数設け、接着剤によって基板6aに各突起の底面を接着することにより、光束制御部材6cの基板6aに取り付けることができる。
【0035】
あるいは、基板6aに凹み、または貫通孔を複数設け、第1レンズ10の第1裏面10aにこれらの凹みに対応する突起を設け、各突起を各凹みに嵌合させることにより、光束制御部材6cの基板6aに取り付けることができる。
【0036】
〔光束制御部材内の光の経路〕
図4は、光束制御部材6cに入射する光の光路を示す図である。図4(a)は、LED6bの発光面の中心から出射される光の光路を示す図であり、図4(b)は、LED6bの発光面の中心より離れた点から出射される光の光路を示す図である。なお、以下の説明において、光軸L(中心軸C)に対する光の進行方向の角度をθとする。
【0037】
図4(a)および図4(b)に示すように、LED6bは発光面から放射状に光を出射する。LED6bから出射された光の大部分は、第1レンズ10の第1凹面10dから入射する。なお、LED6bから出射される光の進行方向の角度θの絶対値は90°より小さくなる。
【0038】
図4(a)および図4(b)に示すように、第1凹面10dから入射した光の内、第1レンズ10の材質による臨界角φ以下で第1表面10cに到達した光は、第1表面10cから出射され、第2レンズ20の第2裏面20aから第2レンズ20内に入射する。一方、臨界角φより大きい角度で第1表面10cに到達した光は、第1表面10cにおいて全反射され、その後、第1裏面10aと第1表面10cとの間を反射しながら進行し、第1側面10bから出射される。なお、第1レンズ10の材料がアクリルの場合、臨界角φはおよそ42°である。
【0039】
LED6bから出射された光が、第1凹面10dが形成されない第1裏面10aから第1レンズ10内に入射した場合には、略全光量が第1表面10cから出射することとなり、第1レンズ10内を導光する光が生成されない。したがって、第1凹面10dには、第1表面10cに近づくにしたがって凹部空間が先細りになるような傾斜面が形成されていることが必要である。
【0040】
図4(a)に示すように、LED6bの発光面の1点(本実施の形態においては発光面の中心)から出射された光の内、第2裏面20aから第2レンズ20内に入射した光は、第2凹面20dで全反射され、主として第2側面20bから出射される。
【0041】
また、図4(b)に示すように、LED6bの発光面の別の点(本実施の形態においては中心より離れた点)から出射された光の内、第2裏面20aから入射した一部の光は、第2表面20cあるいは第2凹面20dから出射され、残りの光は、第2凹面20dで全反射され、第2側面20bから出射される。このように、LED6bが点ではなく面状に発光していることにより、第2凹面20dにおいて全反射する光および屈折して出射する光の両方を生成することができる。
【0042】
図4(a)および図4(b)に示すように、第1側面10bあるいは第2側面20bから出射される光の一部の進行方向の角度θの絶対値は、90°より大きくなる。すなわち、光束制御部材6cは、LED6bから出射された光を広範囲に拡散して出射する。第1側面10bに下向きの傾斜面(第1裏面10aに近づくとともに光軸Lに近づくような傾斜面)を形成することにより、後方(−90°≧θ、+90°≦θ)への出射光量を増やすことが可能となる。
【0043】
〔配光分布の対比〕
図5は、光束制御部材6cを用いない従来のLED電球の配光分布を示す図であり、図6は、本実施の形態に係る光束制御部材6cを用いたLED電球の配光分布を示す図である。
【0044】
図5に示すように、従来のLED電球は、前方(−90°<θ<+90°)のみにしか光が出射されていない。これに対し、本実施の形態に係る光束制御部材6cを用いたLED電球は、後方(−180°<θ<−90°および+90°<θ≦+180°)にも光が出射されている。
【0045】
〔本実施の形態の効果〕
以上のように、本実施の形態の光束制御部材6cは、第1レンズ10と第2レンズ20とを、第1表面10cと第2裏面20aとの間に空気層が存在する状態で組み付けて構成され、第1凹面10dおよび第2凹面20dを有する。これにより、光束制御部材6cは、LED6bから出射された光を広範囲に拡げることができる。したがって、光束制御部材6cを用いることにより、簡単な構造で照明角度が広いLED電球等の照明装置を提供することができる。なお、本実施の形態では第1レンズ10と第2レンズ20とを空気層を介して重ね合わせる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、第1表面10cで全反射する光が生成される形態であればよく、第1レンズ10と第2レンズ20とを第1レンズ10および第2レンズ20よりも低屈折率材料で接着してもよい。
【0046】
さらに、本実施の形態によれば、光束制御部材6cを構成する2枚のレンズが、板状で薄肉であるので、各レンズの成形性を良くすることができる。
【0047】
〔バリエーション〕
以下、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーションについて、図7から図14を用いて説明する。
【0048】
図7は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション1の形状を示す図であり、図8は、図7の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図7では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−1を示す。
【0049】
図7に示す光束制御部材6c−1は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第2レンズ20の第2側面20b−1の形状が異なる。第2側面20b−1は、第2裏面20aから第2表面20cに向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図8との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、前方(−90°<θ<+90°)の光量を増やすことができる。
【0050】
図9は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション2の形状を示す図であり、図10は、図9の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図9では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−2を示す。
【0051】
図9に示す光束制御部材6c−2は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第2レンズ20の第2側面20b−2の形状が異なる。第2側面20b−2は、第2裏面20aから第2表面20cに向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図10との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、後方(−180°<θ<−90°および+90°<θ≦+180°)の光量を増やすことができる。
【0052】
図11は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション3の形状を示す図であり、図12は、図11の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図11では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−3を示す。
【0053】
図11に示す光束制御部材6c−3は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第1レンズ10の第1側面10b−3の形状が異なる。第1側面10b−3は、第1裏面10aから第1表面10cに向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図12との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、後方(−180°<θ<−90°および+90°<θ≦+180°)の光量を増やすことができる。上向きの傾斜面(第1表面10cに向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面)が形成されていないことにより、上向きの傾斜面が形成されている図2に示した光束制御部材6cと比較して、前方(−90°<θ<+90°)への出射光量は減少している。
【0054】
図13は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション4の形状を示す図であり、図14は、図13の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図13では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−4を示す。
【0055】
図13に示す光束制御部材6c−4は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第1レンズ10の第1側面10b−4の形状が異なる。第1側面10b−4は、第1裏面10aから第1表面10cに向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図14との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、前方(−90°<θ<+90°)の光量を増やすことができる。また、第1裏面10aが基板6aよりも大きな面積で形成されることより、第1裏面10aからの出射光も得ることができ、θ=180°方向への光量を増やすことができる。
【0056】
本発明に係る光束制御部材6cは、第1凹面、第2凹面、第1側面、第2側面の形状を適宜変更することにより、出射角度θ方向への光量を調整することが可能となり、全方位出射が可能となる。
【0057】
本発明に係る照明装置には、光束制御部材6cからの出射光を更に拡散させるため、またはLEDユニットの保護のために、図15に示すように、表面が粗面化されたり内部に散乱粒子等が混入されたりしたグローブ7を取り付けてもよい。図15において、カバー2には拡開した環状のグローブ取り付け部2dが形成される。グローブ7は、透明樹脂材料や透明なガラスによって、端部7aが開口する球面状に形成される。端部7aがカバー2のグローブ取り付け部2dの内側に嵌合され、接着剤によって接着される。これにより、グローブ7は、LEDユニット6を覆うように、カバー2に固定される。
【0058】
また、光束制御部材6cの機能を損なわない範囲で、光束制御部材6c内に散乱材が含まれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る光束制御部材は、LED電球等の照明装置に広く活用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 LED電球
2 カバー
3 口金
4 電源ユニット
5 台座
6 LEDユニット
6a 基板
6b LED
6c 光束制御部材
7 グローブ
10 第1レンズ
10a 第1裏面
10b 第1側面
10c 第1表面
10d 第1凹面
10e 凸縁部
20 第2レンズ
20a 第2裏面
20b 第2側面
20c 第2表面
20d 第2凹面
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子から出射された光の進行方向を制御する光束制御部材、および、この光束制御部材を用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な白熱電球は、外部電源から電力をフィラメントに供給することにより、フィラメントから広範囲の均一な光線を発生する。しかしながら、白熱電球には、消費電力が高く、高温であり、使用寿命が短い、等の欠点がある。
【0003】
これに対し、LED(発光ダイオード)電球は、寿命が長く、節電でき、廃棄物による環境汚染を発生しない、等の長所があるため、白熱電球に変わり、新時代の照明設備となりつつある。ただし、LEDは前方向のみにしか光が出射されないため、従来のLED電球を天井に取り付けた場合、天井や壁面からの反射光が少なくなり、直下照度が同等の白熱電球よりも暗く感じてしまう。
【0004】
この課題を解決するものとして、特許文献1の図4には、基板を円筒状に形成し、円筒の側面(LED電球の軸に平行な面)および円筒の上面(LED電球の軸に垂直な面)の両方にLEDを実装するとともに、LEDからの出射光を透光性カバーの内面に形成した蛍光体層によって拡散してLED電球の外部へ出射する、照明角度を拡げたLED電球が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−243807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来のLED電球は、基板の形状やLEDの配置等、構造が複雑であるため、製造コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、LEDから出射された光を広範囲に拡散することができる光束制御部材、および、この光束制御部材を用い、簡単な構造で照明角度が広いLED電球等の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光束制御部材は、発光素子から出射された光を入射し、進行方向を制御して出射する光束制御部材であって、板状の第1レンズと板状の第2レンズとにより構成され、前記第1レンズは、一方の主面である第1表面と、他方の主面である第1裏面と、前記第1レンズの平面外形を形作る第1側面と、を有し、前記第2レンズは、一方の主面である第2表面と、他方の主面である第2裏面と、前記第2レンズの平面外形を形作る第2側面と、を有し、前記第1レンズおよび前記第2レンズは、前記第2レンズの前記第2裏面を前記第1レンズの前記第1表面側に向けるとともに、前記第1レンズおよび前記第2レンズよりも低屈折率層を介して重ねて配置され、前記第1レンズの前記第1裏面を凹ませることにより形成され、前記発光素子から出射された光を入射して前記第1側面に向かって導光する光を生成する第1凹面と、前記第2レンズの前記第2表面を凹ませることにより形成され、前記第1凹面から入射して前記第1表面および前記第2裏面を透過した光を出射又は全反射させる第2凹面と、を有する、構成を採る。
【0009】
本発明の照明装置は、発光素子と、前記発光素子から入射した光を、進行方向を制御して出射する上記光束制御部材と、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、LEDから出射された光を広範囲に拡散することができ、LED1個とレンズ(光束制御部材)という簡単な構造で、照明角度が広いLED電球等の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材の形状を示す図
【図3】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のレンズの組み付け例を示す図
【図4】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材に入射する光の経路を示す図
【図5】従来のLED電球の配光分布を示す図
【図6】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図7】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション1の形状を示す図
【図8】図7の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図9】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション2の形状を示す図
【図10】図9の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図11】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション3の形状を示す図
【図12】図11の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図13】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション4の形状を示す図
【図14】図13の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図
【図15】本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球のバリエーションを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
〔LED電球の構成〕
図1は、本発明の一実施の形態に係る光束制御部材を用いたLED電球1を示す図である。
【0014】
LED電球1は、カバー2と、口金3と、電源ユニット4と、台座5と、LEDユニット6と、から主に構成される。
【0015】
カバー2は、高熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム)からなる。カバー2には円筒状の口金取り付け部2aが形成される。口金取り付け部2aの内面側には、中央部に孔2cを有する円盤状の支持部材2bが接着剤等によって取り付けられ、支持部材2bの内面側に電源ユニット4が配設される。
【0016】
口金3は、ねじ山を備えた筒状に形成された金属性のシェル部3a、および、シェル部3aの一端側の頂部にシェル部3aと絶縁部を介する金属製のアイレット部3bを有する。口金3は、シェル部3aの他端側である開口3cを、絶縁物を介してカバー2の口金取り付け部2aに装着することにより、カバー2に固定される。
【0017】
電源ユニット4は、略円柱形状であり、入力電線(図示せず)を介してシェル部3aとアイレット部3bの内側面に接続し、口金3から電力の供給を受ける。また、電源ユニット4は、出力電線4aを介してLEDユニット6に電力を供給する。
【0018】
台座5は、略円柱形状であり、伝熱性の接着材によりカバー2の内面に取り付けられる。台座5の中央付近には、台座5を厚み方向に貫通した貫通孔5aが設けられる。電源ユニット4に接続された出力電線4aは、支持部材2bの孔2cから台座5の貫通孔5aを通ってLEDユニット6の基板6aに接続される。
【0019】
LEDユニット6は、基板6aと、LED6bと、光束制御部材6cと、から構成され、基板6aの裏面を台座5に接着することにより台座5に取り付けられる。基板6aは、高熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム)からなる。基板6aの表面にはLED6bが実装される。LED6bは、基板6aの表面に絶縁層を介して形成された銅箔からなる配線パターン(図示せず)に接続され、可視光を放射する。光束制御部材6cは、LED6bに対向するように基板6aに取り付けられ、LED6bから出射された光の進行方向を制御する。なお、光束制御部材6cの形状等の詳細については後述する。
【0020】
LED電球1を電球用ソケット(図示せず)に取り付けると、口金3のシェル部3aとアイレット部3bがソケット内の電極と接触し、商用電源(図示せず)からの電力が電源ユニット4に供給される。電源ユニット4は、例えば160mAの直流電流の電力を、出力電線4aを介して基板6aのLED6bに供給する。LED6bは、電力が供給されると発光する。LED6bから出射された光は、光束制御部材6cによって進行方向を制御されて出射される。
【0021】
〔光束制御部材の形状〕
図2は、本発明の実施の形態1に係る光束制御部材6cを示す図である。図2(a)は光束制御部材6cの平面図、図2(b)は光束制御部材6cの正面断面図、図2(c)は光束制御部材6cの底面図である。図2に示すように、本実施の形態に係る光束制御部材6cは、第1レンズ10と、第2レンズ20と、から主に構成される。
【0022】
第1レンズ10及び第2レンズ20は、いずれも、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、EP(エポキシ樹脂)、COP(シクロオレフィン樹脂)等の透明樹脂材料や透明なガラスで形成される。なお、第1レンズ10と第2レンズ20とは、互いに材質が異なっていても良い。
【0023】
第1レンズ10は、薄肉円柱形状に形成され、第1裏面10a、第1側面10b、第1表面10cを有する。第1裏面10aおよび第1表面10cは円形平面であり、第1側面10bは凸プリズム形状の円周曲面である。第1裏面10aの中央部には、第1裏面10aを凹ませることにより、中心軸C上を頂点とする円錐面形状の第1凹面10dが形成される。
【0024】
第2レンズ20は、薄肉円柱形状に形成され、第2裏面20a、第2側面20b、第2表面20cを有する。第2裏面20aおよび第2表面20cは円形平面であり、第2側面20bは径が一定の円周曲面である。第2表面20cの中央部には、第2表面20cを凹ませることにより、中心軸C上を頂点として中心軸から離れるに従って曲率が緩くなる曲面形状の第2凹面20dが形成される。
【0025】
〔光束制御部材のレンズの組み付け〕
第1レンズ10と第2レンズ20とは、第1表面10cと第2裏面20aとが接する状態、あるいは、第1表面10cと第2裏面20aとの間に微少な間隙が存在する状態で組み付けられる。すなわち、第1レンズ10と第2レンズ20とは密着しておらず、空気層が存在する。
【0026】
なお、本発明において、第1レンズ10と第2レンズ20の組み付け方については制限がない。
【0027】
例えば、図3に示すように、第1レンズ10の第1表面10cの外周部に、内径が第2レンズ20の外形とほぼ等しい円環状の凸縁部10eを形成し、第2レンズ20を第1レンズ10の凸縁部10eに嵌合させることにより、第1レンズ10と第2レンズ20とを組み付けることができる。
【0028】
あるいは、第1レンズ10の第1表面10cに微少な凹みを複数設け、第2レンズ20の第2裏面20aにこれらの凹みに対応する突起を設け、各突起を各凹みに嵌合させることにより、第1レンズ10と第2レンズ20とを組み付けることができる。
【0029】
あるいは、第2レンズ20の第2裏面20aに、底面が平面の突起を複数設け、接着剤によって第1レンズ10の第1表面10cに各突起の底面を接着することにより、第1レンズ10と第2レンズ20とを組み付けることができる。
【0030】
いずれの組み付け例においても、凹凸嵌合部や接着部が光束制御部材6cの光学特性に大きな影響を与えないように設計される。
【0031】
〔光束制御部材の取り付け〕
第1レンズ10と第2レンズ20とが組み付けられた光束制御部材6cは、第1裏面10aがLED6bに対向し、光束制御部材6cの中心軸CがLED6bの光軸Lと一致するように基板6aに取り付けられる。
【0032】
光軸Lとは、光束の代表となる仮想的な光線であって、LED6bの発光面の中心から発光面と垂直に出射される光であって、LED6bから出射される立体的な光束の中心における光の進行方向をいう。
【0033】
なお、本発明において、光束制御部材6cの基板6aへの取り付け方については制限がない。
【0034】
例えば、第1レンズ10の第1裏面10aに、底面が平面の突起を複数設け、接着剤によって基板6aに各突起の底面を接着することにより、光束制御部材6cの基板6aに取り付けることができる。
【0035】
あるいは、基板6aに凹み、または貫通孔を複数設け、第1レンズ10の第1裏面10aにこれらの凹みに対応する突起を設け、各突起を各凹みに嵌合させることにより、光束制御部材6cの基板6aに取り付けることができる。
【0036】
〔光束制御部材内の光の経路〕
図4は、光束制御部材6cに入射する光の光路を示す図である。図4(a)は、LED6bの発光面の中心から出射される光の光路を示す図であり、図4(b)は、LED6bの発光面の中心より離れた点から出射される光の光路を示す図である。なお、以下の説明において、光軸L(中心軸C)に対する光の進行方向の角度をθとする。
【0037】
図4(a)および図4(b)に示すように、LED6bは発光面から放射状に光を出射する。LED6bから出射された光の大部分は、第1レンズ10の第1凹面10dから入射する。なお、LED6bから出射される光の進行方向の角度θの絶対値は90°より小さくなる。
【0038】
図4(a)および図4(b)に示すように、第1凹面10dから入射した光の内、第1レンズ10の材質による臨界角φ以下で第1表面10cに到達した光は、第1表面10cから出射され、第2レンズ20の第2裏面20aから第2レンズ20内に入射する。一方、臨界角φより大きい角度で第1表面10cに到達した光は、第1表面10cにおいて全反射され、その後、第1裏面10aと第1表面10cとの間を反射しながら進行し、第1側面10bから出射される。なお、第1レンズ10の材料がアクリルの場合、臨界角φはおよそ42°である。
【0039】
LED6bから出射された光が、第1凹面10dが形成されない第1裏面10aから第1レンズ10内に入射した場合には、略全光量が第1表面10cから出射することとなり、第1レンズ10内を導光する光が生成されない。したがって、第1凹面10dには、第1表面10cに近づくにしたがって凹部空間が先細りになるような傾斜面が形成されていることが必要である。
【0040】
図4(a)に示すように、LED6bの発光面の1点(本実施の形態においては発光面の中心)から出射された光の内、第2裏面20aから第2レンズ20内に入射した光は、第2凹面20dで全反射され、主として第2側面20bから出射される。
【0041】
また、図4(b)に示すように、LED6bの発光面の別の点(本実施の形態においては中心より離れた点)から出射された光の内、第2裏面20aから入射した一部の光は、第2表面20cあるいは第2凹面20dから出射され、残りの光は、第2凹面20dで全反射され、第2側面20bから出射される。このように、LED6bが点ではなく面状に発光していることにより、第2凹面20dにおいて全反射する光および屈折して出射する光の両方を生成することができる。
【0042】
図4(a)および図4(b)に示すように、第1側面10bあるいは第2側面20bから出射される光の一部の進行方向の角度θの絶対値は、90°より大きくなる。すなわち、光束制御部材6cは、LED6bから出射された光を広範囲に拡散して出射する。第1側面10bに下向きの傾斜面(第1裏面10aに近づくとともに光軸Lに近づくような傾斜面)を形成することにより、後方(−90°≧θ、+90°≦θ)への出射光量を増やすことが可能となる。
【0043】
〔配光分布の対比〕
図5は、光束制御部材6cを用いない従来のLED電球の配光分布を示す図であり、図6は、本実施の形態に係る光束制御部材6cを用いたLED電球の配光分布を示す図である。
【0044】
図5に示すように、従来のLED電球は、前方(−90°<θ<+90°)のみにしか光が出射されていない。これに対し、本実施の形態に係る光束制御部材6cを用いたLED電球は、後方(−180°<θ<−90°および+90°<θ≦+180°)にも光が出射されている。
【0045】
〔本実施の形態の効果〕
以上のように、本実施の形態の光束制御部材6cは、第1レンズ10と第2レンズ20とを、第1表面10cと第2裏面20aとの間に空気層が存在する状態で組み付けて構成され、第1凹面10dおよび第2凹面20dを有する。これにより、光束制御部材6cは、LED6bから出射された光を広範囲に拡げることができる。したがって、光束制御部材6cを用いることにより、簡単な構造で照明角度が広いLED電球等の照明装置を提供することができる。なお、本実施の形態では第1レンズ10と第2レンズ20とを空気層を介して重ね合わせる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、第1表面10cで全反射する光が生成される形態であればよく、第1レンズ10と第2レンズ20とを第1レンズ10および第2レンズ20よりも低屈折率材料で接着してもよい。
【0046】
さらに、本実施の形態によれば、光束制御部材6cを構成する2枚のレンズが、板状で薄肉であるので、各レンズの成形性を良くすることができる。
【0047】
〔バリエーション〕
以下、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーションについて、図7から図14を用いて説明する。
【0048】
図7は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション1の形状を示す図であり、図8は、図7の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図7では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−1を示す。
【0049】
図7に示す光束制御部材6c−1は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第2レンズ20の第2側面20b−1の形状が異なる。第2側面20b−1は、第2裏面20aから第2表面20cに向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図8との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、前方(−90°<θ<+90°)の光量を増やすことができる。
【0050】
図9は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション2の形状を示す図であり、図10は、図9の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図9では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−2を示す。
【0051】
図9に示す光束制御部材6c−2は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第2レンズ20の第2側面20b−2の形状が異なる。第2側面20b−2は、第2裏面20aから第2表面20cに向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図10との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、後方(−180°<θ<−90°および+90°<θ≦+180°)の光量を増やすことができる。
【0052】
図11は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション3の形状を示す図であり、図12は、図11の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図11では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−3を示す。
【0053】
図11に示す光束制御部材6c−3は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第1レンズ10の第1側面10b−3の形状が異なる。第1側面10b−3は、第1裏面10aから第1表面10cに向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図12との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、後方(−180°<θ<−90°および+90°<θ≦+180°)の光量を増やすことができる。上向きの傾斜面(第1表面10cに向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面)が形成されていないことにより、上向きの傾斜面が形成されている図2に示した光束制御部材6cと比較して、前方(−90°<θ<+90°)への出射光量は減少している。
【0054】
図13は、本実施の形態に係る光束制御部材のバリエーション4の形状を示す図であり、図14は、図13の光束制御部材を用いたLED電球の配光分布を示す図である。なお、図13では、基板6aおよびLED6bとともに光束制御部材6c−4を示す。
【0055】
図13に示す光束制御部材6c−4は、図2に示した光束制御部材6cと比較して、第1レンズ10の第1側面10b−4の形状が異なる。第1側面10b−4は、第1裏面10aから第1表面10cに向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面に形成される。これにより、図6と図14との対比から明らかなように、図2に示した光束制御部材6cよりも、前方(−90°<θ<+90°)の光量を増やすことができる。また、第1裏面10aが基板6aよりも大きな面積で形成されることより、第1裏面10aからの出射光も得ることができ、θ=180°方向への光量を増やすことができる。
【0056】
本発明に係る光束制御部材6cは、第1凹面、第2凹面、第1側面、第2側面の形状を適宜変更することにより、出射角度θ方向への光量を調整することが可能となり、全方位出射が可能となる。
【0057】
本発明に係る照明装置には、光束制御部材6cからの出射光を更に拡散させるため、またはLEDユニットの保護のために、図15に示すように、表面が粗面化されたり内部に散乱粒子等が混入されたりしたグローブ7を取り付けてもよい。図15において、カバー2には拡開した環状のグローブ取り付け部2dが形成される。グローブ7は、透明樹脂材料や透明なガラスによって、端部7aが開口する球面状に形成される。端部7aがカバー2のグローブ取り付け部2dの内側に嵌合され、接着剤によって接着される。これにより、グローブ7は、LEDユニット6を覆うように、カバー2に固定される。
【0058】
また、光束制御部材6cの機能を損なわない範囲で、光束制御部材6c内に散乱材が含まれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る光束制御部材は、LED電球等の照明装置に広く活用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 LED電球
2 カバー
3 口金
4 電源ユニット
5 台座
6 LEDユニット
6a 基板
6b LED
6c 光束制御部材
7 グローブ
10 第1レンズ
10a 第1裏面
10b 第1側面
10c 第1表面
10d 第1凹面
10e 凸縁部
20 第2レンズ
20a 第2裏面
20b 第2側面
20c 第2表面
20d 第2凹面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から出射された光を入射し、進行方向を制御して出射する光束制御部材であって、
板状の第1レンズと板状の第2レンズとにより構成され、
前記第1レンズは、
一方の主面である第1表面と、他方の主面である第1裏面と、前記第1レンズの平面外形を形作る第1側面と、を有し、
前記第2レンズは、
一方の主面である第2表面と、他方の主面である第2裏面と、前記第2レンズの平面外形を形作る第2側面と、を有し、
前記第1レンズおよび前記第2レンズは、前記第2レンズの前記第2裏面を前記第1レンズの前記第1表面側に向けるとともに、前記第1レンズおよび前記第2レンズよりも低屈折率層を介して重ねて配置され、
前記第1レンズの前記第1裏面を凹ませることにより形成され、前記発光素子から出射された光を入射して前記第1側面に向かって導光する光を生成する第1凹面と、
前記第2レンズの前記第2表面を凹ませることにより形成され、前記第1凹面から入射して前記第1表面および前記第2裏面を透過した光を出射又は全反射させる第2凹面と、を有する、
光束制御部材。
【請求項2】
前記第1凹面は、前記第1レンズの中心軸上を頂点とする円錐面形状である、請求項1記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記第2凹面は、前記第2レンズの中心軸上を頂点として中心軸から離れるに従って曲率が緩くなる曲面形状である、請求項1または請求項2に記載の光束制御部材。
【請求項4】
前記第1レンズの側面は、凸プリズム形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項5】
前記第1レンズの側面は、前記第1裏面から前記第1表面に向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項6】
前記第1レンズの側面は、前記第1裏面から前記第1表面に向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項7】
前記第2レンズの側面は、前記第2裏面から前記第2表面に向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項8】
前記第2レンズの側面は、前記第2裏面から前記第2表面に向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項9】
発光素子と、
前記発光素子から入射した光を、進行方向を制御して出射する請求項1から請求項8のいずれかに記載の光束制御部材と、
を備える照明装置。
【請求項1】
発光素子から出射された光を入射し、進行方向を制御して出射する光束制御部材であって、
板状の第1レンズと板状の第2レンズとにより構成され、
前記第1レンズは、
一方の主面である第1表面と、他方の主面である第1裏面と、前記第1レンズの平面外形を形作る第1側面と、を有し、
前記第2レンズは、
一方の主面である第2表面と、他方の主面である第2裏面と、前記第2レンズの平面外形を形作る第2側面と、を有し、
前記第1レンズおよび前記第2レンズは、前記第2レンズの前記第2裏面を前記第1レンズの前記第1表面側に向けるとともに、前記第1レンズおよび前記第2レンズよりも低屈折率層を介して重ねて配置され、
前記第1レンズの前記第1裏面を凹ませることにより形成され、前記発光素子から出射された光を入射して前記第1側面に向かって導光する光を生成する第1凹面と、
前記第2レンズの前記第2表面を凹ませることにより形成され、前記第1凹面から入射して前記第1表面および前記第2裏面を透過した光を出射又は全反射させる第2凹面と、を有する、
光束制御部材。
【請求項2】
前記第1凹面は、前記第1レンズの中心軸上を頂点とする円錐面形状である、請求項1記載の光束制御部材。
【請求項3】
前記第2凹面は、前記第2レンズの中心軸上を頂点として中心軸から離れるに従って曲率が緩くなる曲面形状である、請求項1または請求項2に記載の光束制御部材。
【請求項4】
前記第1レンズの側面は、凸プリズム形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項5】
前記第1レンズの側面は、前記第1裏面から前記第1表面に向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項6】
前記第1レンズの側面は、前記第1裏面から前記第1表面に向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項7】
前記第2レンズの側面は、前記第2裏面から前記第2表面に向かって径が大きくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項8】
前記第2レンズの側面は、前記第2裏面から前記第2表面に向かって径が小さくなるテーパー形状の円周曲面を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光束制御部材。
【請求項9】
発光素子と、
前記発光素子から入射した光を、進行方向を制御して出射する請求項1から請求項8のいずれかに記載の光束制御部材と、
を備える照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−163602(P2012−163602A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21586(P2011−21586)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
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